特許第6948198号(P6948198)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6948198
(24)【登録日】2021年9月22日
(45)【発行日】2021年10月13日
(54)【発明の名称】遠心ポンプ
(51)【国際特許分類】
   F04D 29/22 20060101AFI20210930BHJP
   F04D 29/60 20060101ALI20210930BHJP
   F04D 15/00 20060101ALI20210930BHJP
   F04D 29/041 20060101ALI20210930BHJP
【FI】
   F04D29/22 E
   F04D29/60 E
   F04D15/00 101B
   F04D29/041
   F04D29/22 C
【請求項の数】6
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-182161(P2017-182161)
(22)【出願日】2017年9月22日
(65)【公開番号】特開2019-56343(P2019-56343A)
(43)【公開日】2019年4月11日
【審査請求日】2020年7月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100118500
【弁理士】
【氏名又は名称】廣澤 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100091498
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 勇
(72)【発明者】
【氏名】蓬田 両健
(72)【発明者】
【氏名】川▲崎▼ 裕之
(72)【発明者】
【氏名】黒岩 聡
(72)【発明者】
【氏名】許 書毓
(72)【発明者】
【氏名】ベネトン、ファブリツィオ
(72)【発明者】
【氏名】トロビ、マルコ
(72)【発明者】
【氏名】崎濱 大
【審査官】 岸 智章
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭54−136604(JP,U)
【文献】 特開平03−160195(JP,A)
【文献】 特開2007−205360(JP,A)
【文献】 国際公開第2016/060221(WO,A1)
【文献】 特開昭58−192995(JP,A)
【文献】 実開昭62−036286(JP,U)
【文献】 実開昭56−161195(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 29/22
F04D 1/08
F04D 15/00
F04D 29/041
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸と、
前記回転軸に固定された羽根車と、
前記羽根車を収容するケーシングと、
前記羽根車の液体入口の周囲に配置されたライナーリングとを備えた遠心ポンプであって、
前記羽根車は、
前記回転軸に固定された主板と、
前記液体入口を有し、前記主板に対向するシュラウドと、
前記主板と前記シュラウドとの間に配置された複数の翼とを備え、
前記主板にはバランスホールが形成されており、
前記羽根車をその吸込側から見たときに、前記バランスホールは、前記液体入口よりも半径方向内側に位置しており、
前記主板の外周部には、半径方向内側に窪んだ複数のトリムエッジが形成されており、前記翼の外側部位は、前記複数のトリムエッジのうちの隣り合う2つの間に位置しており、
前記遠心ポンプは、前記羽根車のシュラウド側にのみ前記ライナーリングを持つシングルライナータイプの遠心ポンプであることを特徴とする遠心ポンプ。
【請求項2】
前記主板の直径は前記シュラウドの直径と同じか、または小さいことを特徴とする請求項1に記載の遠心ポンプ。
【請求項3】
前記羽根車は複数設けられており、前記複数の羽根車は前記回転軸に固定されていることを特徴とする請求項1または2に記載の遠心ポンプ。
【請求項4】
前記主板は、前記回転軸が貫通する貫通孔を有しており、
前記貫通孔は、前記回転軸の断面形状とは異なる形状を有しており、
前記貫通孔と前記回転軸の外面との間には複数の隙間が形成されており、
前記バランスホールは、前記複数の隙間のうちの少なくとも1つから構成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の遠心ポンプ。
【請求項5】
前記回転軸は、その表面にスプラインを有しており、
前記主板は前記スプラインが係合する形状を有した複数のキー溝を有しており、
前記バランスホールは、前記複数のキー溝のうちの一部から構成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の遠心ポンプ。
【請求項6】
前記羽根車および前記ケーシングのそれぞれは、プレス加工された金属板の組立体であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の遠心ポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遠心ポンプに関し、特に単段の羽根車または多段の羽根車を備えた遠心ポンプに関するものである。
【背景技術】
【0002】
遠心ポンプは、羽根車を回転させることで液体に遠心力を与え、液体を昇圧する。昇圧された液体の多くは、次段の羽根車に流入するか、または吐出口から吐き出されるが、昇圧された液体の一部は羽根車の主板裏側およびシュラウド裏側に流入する。羽根車の主板裏側とシュラウド裏側とでは、羽根車が液体の圧力を受ける面積の差異があるため、羽根車を吸込側に押す軸方向推力が発生する。
【0003】
このような軸方向推力を羽根車が受けるので、羽根車が固定される回転軸は、大きな軸方向推力を受けることができるハイスラスト軸受によって支持されるか、または追加のスラスト軸受によって支持される。しかしながら、軸方向推力は軸受の摩耗を早め、軸受の寿命を短くする。特に、多段遠心ポンプでは、大きな軸方向推力が発生するため、軸受の寿命が短くなる傾向が大きい。
【0004】
そこで、従来から、軸方向推力を低減させるいくつかの技術が提案されている。例えば、羽根車の主板に複数のバランスホールを設ける技術がある。羽根車の主板裏側に流入した液体は、バランスホールを通って羽根車内に流入する。その結果、羽根車の主板に作用する液体の圧力が低下し、軸方向推力が低減される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−9081号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、バランスホールは、羽根車によって昇圧された液体の一部を吸込側に戻すため、ポンプ効率を低下させてしまう。そこで、ポンプ効率を低下させることなく、軸方向推力を低減させるために、図8に示すようなダブルライナー構造が採用されることがある。このダブルライナー構造は、羽根車100の液体入口101の周囲に配置された第1ライナーリング104と、羽根車100の背面側(主板側)に配置された第2ライナーリング105とを備える。第1ライナーリング104は、羽根車100のシュラウド110に形成された液体入口101と微小な隙間を介して配置され、第2ライナーリング105は、羽根車100の主板(吐出側板部材)111に形成された円環部112と微小な隙間を介して配置されている。バランスホール115は、主板111に形成されており、第2ライナーリング105よりも半径方向において内側に位置している。
【0007】
このような位置に配置された第2ライナーリング105は、羽根車100によって昇圧された液体がバランスホール115に到達する量を低減することができる。結果として、バランスホール115を通じて羽根車100内に戻る液体の量を減らすことができる。
【0008】
しかしながら、第2ライナーリング105はポンプの運転時間とともに徐々に摩耗するため、第2ライナーリング105の定期的な交換が必要となる。さらに、多段遠心ポンプでは、各羽根車100の吐出側には戻り羽根120が配置されるために、第2ライナーリング105を配置するのに十分な大きさのスペースがない場合もある。
【0009】
そこで、本発明は、ポンプ効率を低下させることなく、簡易な構成で軸方向推力を低下させることができる遠心ポンプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様は、回転軸と、前記回転軸に固定された羽根車と、前記羽根車を収容するケーシングと、前記羽根車の液体入口の周囲に配置されたライナーリングとを備えた遠心ポンプであって、前記羽根車は、前記回転軸に固定された主板と、前記液体入口を有し、前記主板に対向するシュラウドと、前記主板と前記シュラウドとの間に配置された複数の翼とを備え、前記主板にはバランスホールが形成されており、前記羽根車をその吸込側から見たときに、前記バランスホールは、前記液体入口よりも半径方向内側に位置しており、前記主板の外周部には、半径方向内側に窪んだ複数のトリムエッジが形成されており、前記翼の外側部位は、前記複数のトリムエッジのうちの隣り合う2つの間に位置しており、前記遠心ポンプは、前記羽根車のシュラウド側にのみ前記ライナーリングを持つシングルライナータイプの遠心ポンプであることを特徴とする。
【0011】
本発明の好ましい態様は、前記主板の直径は前記シュラウドの直径と同じか、または小さいことを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記羽根車は複数設けられており、前記複数の羽根車は前記回転軸に固定されていることを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記主板は、前記回転軸が貫通する貫通孔を有しており、前記貫通孔は、前記回転軸の断面形状とは異なる形状を有しており、前記貫通孔と前記回転軸の外面との間には複数の隙間が形成されており、前記バランスホールは、前記複数の隙間のうちの少なくとも1つから構成されていることを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記回転軸は、その表面にスプラインを有しており、前記主板は前記スプラインが係合する形状を有した複数のキー溝を有しており、前記バランスホールは、前記複数のキー溝のうちの一部から構成されていることを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記羽根車および前記ケーシングのそれぞれは、プレス加工された金属板の組立体であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
トリムエッジが形成された主板を有する羽根車は、一般的な羽根車に比べて、ポンプ効率を低下させることなく、主板に加わる液体の圧力を大きく減らすことが流体シミュレーションにより実証されている。羽根車の主板に加わる液体の圧力が低いほど、軸方向推力は低下し、かつバランスホールを通過する液体の量が低下する。よって、本発明によれば、図8に示す第2のライナーリングを設けることなく、かつポンプ効率を低下させることなく、軸方向推力を低下させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】遠心ポンプの一実施形態を示す断面図である。
図2図1に示す遠心ポンプの一部を示す拡大断面図である。
図3】羽根車をその吸込側から見た図である。
図4】羽根車をその吐出側から見た図である。
図5図3および図4に示す羽根車の回転によって液体が昇圧されているときに主板に加わる液体の圧力の分布を示す模式図である。
図6図8に示す従来の羽根車の回転によって液体が昇圧されているときに主板に加わる液体の圧力の分布を示す模式図である。
図7図7(a)は、他の実施形態に係る羽根車をその吐出側から見た図であり、図7(b)は回転軸の他の実施形態を示す断面図である。
図8】ダブルライナータイプの従来の遠心ポンプを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、遠心ポンプの一実施形態を示す断面図である。
遠心ポンプは、回転軸1と、回転軸1に固定された複数の羽根車5と、羽根車5が収容されたケーシング7とを備えている。回転軸1は、電動モータ8に連結されている。電動モータ8により回転軸1が回転されると、羽根車5は回転軸1とともに回転される。
【0015】
ケーシング7は、内ケーシング7Aと外ケーシング7Bとを備えている。内ケーシング7Aは外ケーシング7B内に配置されており、内ケーシング7Aの外面は外ケーシング7Bによって覆われている。内ケーシング7Aの吸込側開口は、吸込ポート10に連結されており、外ケーシング7Bの吐出側開口は吐出ポート11に連結されている。羽根車5の周囲にはディフューザ15が配置されており、さらにディフューザ15の吐出側には戻り羽根16が配置されている。
【0016】
羽根車5の回転に伴い、液体は吸込ポート10を通じて羽根車5に吸い込まれる。羽根車5を回転させることで液体の速度および圧力が上昇し、さらに液体がディフューザ15を通過するときに液体の速度エネルギーは圧力に変換される。昇圧された液体は戻り羽根16によって次段の羽根車5に導かれ、さらに次段の羽根車5の回転よって昇圧される。最終段の羽根車5を出た液体は、内ケーシング7Aの端部に形成された複数の連通孔20を通じて外ケーシング7B内に流入する。液体は外ケーシング7Bの内面と内ケーシング7Aの外面との間に形成された流路21を通って吐出ポート11に向かい、吐出ポート11を通って遠心ポンプの外部に吐き出される。
【0017】
ケーシング7の吐出側開口端はケーシングカバー9で塞がれている。ケーシングカバー9および回転軸1には、メカニカルシール25が固定されている。メカニカルシール25は、ケーシングカバー9と回転軸1との間の隙間を封止する軸シールである。羽根車5の回転によって昇圧された液体の漏洩は、メカニカルシール25によって防止される。
【0018】
本実施形態では、羽根車5、内ケーシング7A、外ケーシング7Bのそれぞれは、プレス加工された金属板の組立体である。より具体的には、金属の板をプレス加工することにより、羽根車5、内ケーシング7A、外ケーシング7Bの各部品が成形され、これら部品を組み立てることで羽根車5、内ケーシング7A、外ケーシング7Bが形成される。金属板の材料として金属は、ステンレス鋼などの耐腐食性のある金属である。本実施形態に係る遠心ポンプは、複数の(図1では4つの)羽根車5を備えた多段遠心ポンプである。一実施形態では、遠心ポンプは、1つの羽根車5を備えた単段遠心ポンプであってもよい。
【0019】
図2は、図1に示す遠心ポンプの一部を示す拡大断面図である。羽根車5は、回転軸1に固定された主板(吐出側板部材)35と、主板35に対向するシュラウド(吸込側板部材)37と、主板35とシュラウド37との間に配置された複数の翼38とを備えている。羽根車5の液体入口30はシュラウド37に形成されている。主板35には複数のバランスホール40が形成されている。本実施形態では、バランスホール40は、回転軸1の周りに等間隔で配列されている。主板35は、その中央部に、回転軸1と羽根車5とを係合させるための係合部(ボス)45を有している。
【0020】
図2に示すように、羽根車5の液体入口30の周囲には、羽根車5の回転によって昇圧された液体が吸込側に戻ることを防止するためのライナーリング31が配置されている。このライナーリング31は内ケーシング7Aに固定されている。羽根車5の液体入口30とライナーリング31との間には微小な隙間が形成されている。図8に示すダブルライナータイプの遠心ポンプとは異なり、羽根車5の主板側(背面側)には第2ライナーリングは設けられていない。このような、羽根車5のシュラウド側にのみライナーリングを持ち、羽根車5の主板側にはライナーリングを持たないタイプは、シングルライナータイプと呼ばれる。
【0021】
図3は、羽根車5をその吸込側から見た図であり、図4は、羽根車5をその吐出側から見た図である。シュラウド(吸込側板部材)37は円形であり、その中心に液体入口30を有している。主板(吐出側板部材)35は、星型の形状を有している。主板35の直径は、シュラウド37の直径と同じか、または小さい。主板35の外周部には、半径方向内側に窪んだ複数のトリムエッジ42が形成されている。これらのトリムエッジ42は、羽根車5の中心の周りに等間隔に配列されている。翼38は、羽根車5の中心の周りに等間隔に配列されており、隣り合う翼38の間には液体の流路が形成される。各翼38の外側部位は、隣り合うトリムエッジ42の間に位置している。
【0022】
図4に示すように、主板35の係合部(ボス)45には、回転軸1が貫通する貫通孔48が形成されている。主板35には複数のバランスホール40が形成されている。バランスホール40は、羽根車5の中心の周りに等間隔で配列されており、各バランスホール40は隣り合う翼38,38の間に位置している。本実施形態では、6つのバランスホール40が形成されている。一実施形態では、5つ以下の、または7つ以上のバランスホール40を設けてもよい。
【0023】
係合部45は、貫通孔48の一部を構成する複数のキー溝46を有している。これらのキー溝46は、羽根車5の中心の周りに等間隔で配列されている。各キー溝46は、回転軸1の表面に形成されているスプライン50に係合する形状を有している。スプライン50は、回転軸1の軸方向に延びるキーである。スプライン50はキー溝46に係合し、これにより回転軸1から羽根車5へのトルクの伝達が確実になされる。
【0024】
図4に示す星型の主板35を有する羽根車5は、ポンプ効率を低下させることなく、軸方向推力を低下させることができることが、流体シミュレーションにより実証されている。図5は、本実施形態の羽根車5の回転によって液体が昇圧されているときに主板35に加わる液体の圧力の分布を示す模式図である。図5において、矢印の長さは圧力の大きさを表している。図5から分かるように、液体の圧力は主板35の全体に亘って均一に加わる。
【0025】
図6は、図8に示す従来の羽根車100の回転によって液体が昇圧されているときに主板111に加わる液体の圧力の分布を示す模式図である。図6に示すように、主板111に加わる液体の圧力は、図5に示す液体の圧力よりも全体的に高い。加えて、羽根車100の外周よりも中心の方が液体の圧力は高くなる。
【0026】
図5図6の圧力分布の対比から分かるように、図5に示す本実施形態に係る羽根車5では、主板35の全体に加わる液体の圧力が低い。結果として、主板35に形成されたバランスホール40を通じて羽根車5内に戻る液体の量は少ない。したがって、図8に示す第2ライナーリングを設けることは不要である。これに対して、図6に示す従来の羽根車100では、高い圧力が主板111に加わるため、液体が羽根車100内に戻る量を低減させるためには、図8に示す第2ライナーリング105を設けることが必要である。
【0027】
以上述べたように、本実施形態に係る羽根車5は、図8に示す第2のライナーリング105を設けることなく、かつポンプ効率を低下させることなく、軸方向推力を低下させることが可能である。
【0028】
図7(a)は、他の実施形態に係る羽根車5をその吐出側から見た図であり、図7(b)は回転軸1の他の実施形態を示す断面図である。特に説明しない本実施形態の構成は、図2乃至図6を参照して説明した実施形態と同じであるので、その重複する説明を省略する。本実施形態では、貫通孔48は、回転軸1の断面形状とは異なる形状を有している。貫通孔48と回転軸1の外面との間には複数の隙間が形成されており、バランスホール40は、複数の隙間のうちの少なくとも1つから構成されている。より具体的には、係合部(ボス)45に形成されているキー溝46のうちの少なくとも1つは、バランスホール40として機能する。すなわち、係合部45のキー溝46の数は、図7(b)に示す回転軸1のスプライン50の数よりも多い。したがって、スプライン50が係合しないキー溝46は、バランスホール40として機能することができる。本発明は、本実施形態に限らず、貫通孔48は、回転軸1の断面形状とは異なる四角形または六角形などの多角形状を有してもよい。また、回転軸1から主板35へのトルク伝達は、スプライン構造に限らず、テーパコレットなどの他の機構を利用してもよい。
【0029】
上述した実施形態は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明を実施できることを目的として記載されたものである。上記実施形態の種々の変形例は、当業者であれば当然になしうることであり、本発明の技術的思想は他の実施形態にも適用しうる。したがって、本発明は、記載された実施形態に限定されることはなく、特許請求の範囲によって定義される技術的思想に従った最も広い範囲に解釈されるものである。
【符号の説明】
【0030】
1 回転軸
5 羽根車
7 ケーシング
7A 内ケーシング
7B 外ケーシング
8 電動モータ
9 ケーシングカバー
10 吸込ポート
11 吐出ポート
15 ディフューザ
16 戻り羽根
20 連通孔
21 流路
25 メカニカルシール
30 液体入口
31 ライナーリング
35 主板(吐出側板部材)
37 シュラウド(吸込側板部材)
38 翼
40 バランスホール
42 トリムエッジ
45 係合部(ボス)
46 キー溝
48 貫通孔
50 スプライン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8