(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記光照射部は、前記第2偏光光の光路上において、前記偏光分離素子と前記光路合成部との間に配置され、前記フィルムに対してクロスニコル状態で配置されるとともに、前記第2偏光光を通す偏光フィルムを有する、
請求項1または2に記載の欠陥検査装置。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。同一の要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致していない。
【0029】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る欠陥検査装置を含む欠陥検査システムの模式図である。欠陥検査システム1は、搬送部2と、欠陥検査装置3Aとを備えており、帯状の光学フィルム100を、その長手方向に搬送部2で搬送しながら搬送経路に配置された欠陥検査装置3Aで、光学フィルム100の欠陥検査をする。
【0030】
搬送部2は搬送ローラRを有する。搬送部2は、搬送ローラRの他、搬送する光学フィルム100に張力を付与する張力付与装置を備えてもよい。
図1には、説明の便宜のために使用するXYZ直交座標が示されている。X方向は光学フィルム100の幅方向を示し、Y方向は光学フィルム100の搬送方向を示す。Z方向は、X方向及びY方向のそれぞれに直交する方向を示す。他の図面の説明においても、同様のXYZ直交座標を利用して説明する場合もある。
【0031】
欠陥検査システム1は、
図1に示したように、マーキング装置4を備えてもよい。マーキング装置4は、欠陥検査装置3Aから送られてくる欠陥情報を利用して、光学フィルム100上に目印Mを付す装置である。マーキング装置4は、例えば、光学フィルム100の幅方向Xに沿って延在するアームと、ペンなどを有するマーカヘッドとを有する。マーカヘッドがアーム上を幅方向Xに移動することにより、光学フィルム100上に目印Mが付される。マーキング装置4は、欠陥検査装置3Aにより制御されるように構成されていてもよいし、或いは、マーキング装置4自体がコンピュータといった制御部を有していてもよい。また、マーキング装置4は、欠陥検査装置3Aから送られてくる欠陥情報を2次元コード化し、光学フィルム100に印字してもよい。
【0032】
欠陥検査装置3Aで行う欠陥検査とは、光学フィルム100の製造工程(搬送工程を含む)の際に発生し得る欠陥を検出する処理の他、検査した欠陥の光学フィルム100における位置を示す欠陥マップを作成する処理を含んでもよい。この欠陥には、例えば、光学フィルム100の製造工程において光学フィルム100内に混入した気泡、異物及び輝点、光学フィルム100に付着した異物、光学フィルム100に生じた凹凸などである。
【0033】
図2を利用して第1実施形態に係る欠陥検査装置3Aについて説明する。
図2は、第1実施形態に係る欠陥検査装置3Aの模式図であり、
図2の(a)部は、欠陥検査装置3Aが有する液晶フィルタ(フィルタ部)がOFF状態の場合を示しており、
図2の(b)部は、欠陥検査装置3Aが有する液晶フィルタ(フィルタ部)がON状態を示している。
【0034】
図2では、欠陥検査装置3Aで検査する光学フィルム100として、直線偏光特性を有する偏光フィルムを例示している。以下では、断らない限り偏光フィルムとしての光学フィルム100は、フィルム本体101と、保護フィルム102と、保護フィルム103との積層体である。
【0035】
フィルム本体101は直線偏光特性を有する。第1実施形態において、フィルム本体101の偏光軸PA1は、光学フィルム100の搬送方向であるY方向に平行である。フィルム本体101の材料としては、例えばPVA(Polyvinyl Alcohol)が挙げられる。保護フィルム102,103は、フィルム本体101の両面に貼合されている。保護フィルム102,103の材料の例は、TAC(Triacetyl cellulose)が挙げられる。
【0036】
光学フィルム100は、保護フィルム102,103それぞれのフィルム本体101と接する面と反対側の面にさらに、プロテクトフィルム、セパレートフィルム等のフィルムを更に有してもよい。プロテクトフィルム、セパレートフィルム等のフィルムは、例えば、粘着剤または接着剤を介して保護フィルム102,103に貼合され得る。保護フィルム102,103のいずれか一方をセパレートフィルム等のフィルムに置換えてもよい。セパレートフィルム及びプロテクトフィルムの材料の例は、PET(Polyethylene Terephthalate)である。プロテクトフィルム及びセパレートフィルムは、光学フィルム100を例えば液晶パネルや他の光学フィルム等に貼り合わせる前後に、光学フィルム100から剥離される。
【0037】
以下では、光学フィルム100の搬送方向(フィルム本体101の偏光軸PA1方向)に偏光した光を第1偏光光と称し、第1偏光光と直交する方向に偏光した光を第2偏光光と称す。
【0038】
欠陥検査装置3Aは、光照射部10Aと、撮像部20Aとを備える。欠陥検査装置3Aは、光照射部10A及び撮像部20Aを制御する制御装置30を備えてもよい。以下では、断らない限り、制御装置30を備えた形態を説明する。他の実施形態においても同様である。
【0039】
光照射部10Aは、光学フィルム100からみて撮像部20Aと反対側に配置されている。光照射部10Aは、検査対象である光学フィルム100に照射する検査光Lを、光学フィルム100の検査領域A(
図1参照)に向けて出力する。光照射部10Aは、光源11と、液晶フィルタ12とを有し、光源11から出力した無偏光の光を、液晶フィルタ12を通すことによって所定の偏光状態を有する検査光Lとして出力する。
図2では、第1偏光光の偏光方向を両矢印で示しており、第2偏光光の偏光方向を黒丸で示している。
【0040】
光源11は、無偏光であり、光学フィルム100の組成および性質に影響を与えない光を出力できれば限定されない。光源11の例は、例えば、メタルハライドランプ、ハロゲン伝送ライト、蛍光灯などである。光源11は、
図1に示したように、光学フィルム100の幅方向に延在し得る。或いは、光照射部10Aは、複数の光源11を備え、それらが光学フィルム100の幅方向に沿って離散的に配置されていてもよい。
【0041】
第1実施形態において、液晶フィルタ12は、光源11から出力光に含まれる偏光光のうち所定の偏光方向の光を選択的に通す。液晶フィルタ12は、一定の電圧が印加された状態がON状態であり、上記一定の電圧が印加されていない状態でOFF状態である。液晶フィルタ12のON/OFF状態を切り替えることで、液晶フィルタ12が通す光の偏光方向が切り替えられる。液晶フィルタ12は、制御装置30に電気的に接続されており、制御装置30でON/OFF制御される。以下の説明では、断らない限り、液晶フィルタ12が通す光の所定の偏光方向の調整は、互いに直交する第1偏光と第2偏光との間で偏光方向の切り替えを意味する。しかしながら、液晶フィルタ12に印加する電圧を制御することによって、所定の偏光方向は調整され得る。
【0042】
液晶フィルタ12は、直線偏光フィルム12aと、液晶セル12bとを有する。直線偏光フィルム12aは直線偏光特性を有する。液晶セル12bは、セパレータを挟んで配置された一対のガラス板の間に液晶材料が充填されて構成されている。上記一対のガラス板の内面には、互いに配向方向が直交した配向膜が形成されている。
【0043】
液晶フィルタ12は、直線偏光フィルム12aが光学フィルム100とクロスニコルを形成するように、すなわち、Z方向からみた場合に、直線偏光フィルム12aの偏光軸PA2とフィルム本体101の偏光軸PA1とが直交するように配置されている。したがって、偏光軸PA2の方向は、紙面に直交する方向である。そのため、
図2では、偏光軸PA2を黒丸で示している。他の図面でも同様である。
【0044】
液晶フィルタ12は、光源11と光学フィルム100との間に直線偏光フィルム12aが光源11側に位置するように配置されている。よって、光源11からの無偏光の出力光が液晶フィルタ12に入射されると、直線偏光フィルム12aの偏光軸PA2に沿った偏光方向を有する光である第2偏光光のみが直線偏光フィルム12aを通過し、液晶セル12bに入射する。
【0045】
液晶フィルタ12がOFF状態の場合、液晶セル12bに入射した第2偏光光は、液晶セル12b内で偏光方向が90°回転し、
図2の(a)部に示したように、第1偏光光として出力される。すなわち、液晶フィルタ12がOFF状態では、見かけ上、第1偏光光が選択的に液晶フィルタ12を通過する。一方、液晶フィルタ12がON状態の場合、液晶セル12bには電圧が印加されている。この場合、
図2の(b)部に示したように、第2偏光光が出力される。すなわち、液晶フィルタ12がON状態では、第2偏光光が選択的に液晶フィルタ12を通過している。
【0046】
よって、光照射部10Aは、液晶フィルタ12をON/OFF制御することによって、第1偏光光としての検査光Lと、第2偏光光としての検査光Lを切り替えて光学フィルム100に照射する機能を有する。
【0047】
図2に示した液晶フィルタ12と光学フィルム100の配置関係は、光学フィルム100を液晶フィルタ12の液晶セル12bに貼合した場合、液晶パネルを構成する配置関係に相当する。
【0048】
撮像部20Aは、光学フィルム100を撮像する少なくとも一つのカメラ21を有する。
図1では、撮像部20Aが、光学フィルム100の幅方向に沿って配置された複数のカメラ21を有する形態を例示している。カメラ21は、CCDカメラといったエリアセンサカメラである。カメラ21は、ラインセンサカメラであってもよい。カメラ21がラインセンサカメラである場合、カメラ21と光学フィルム100とを相対的に移動させることで、光学フィルム100の検査領域Aを撮像可能である。撮像部20A(具体的には、カメラ21)は、制御装置30に電気的に接続されており、撮像タイミングが制御されるとともに、得られた撮像データを制御装置30に入力する。
【0049】
制御装置30は、光照射部10A及び撮像部20Aを制御する。第1実施形態では、制御装置30は、液晶フィルタ12及びカメラ21を制御する形態を説明しているが、例えば制御装置30は、光源11の光出力タイミングを制御してもよい。制御装置30は、例えばコンピュータ(演算部)を有する。制御装置30は、撮像部20から入力される撮像データに対して、欠陥部分を検出し、欠陥部分を強調表示するような画像処理を実施する機能、光学フィルム100の画像に対して欠陥位置を示す欠陥マップを作成する機能などを有してもよい。欠陥検査システム1が、
図1に例示したように、マーキング装置4を備える形態では、制御装置30は、
図1に示したようにマーキング装置4にも電気的に接続され、マーキング装置4を制御して、検出した欠陥情報に基づいた目印Mを光学フィルム100に付与してもよい。
【0050】
次に、欠陥検査装置3Aを利用して光学フィルム100を検査する方法について説明する。欠陥検査を実施する際には、光照射部10Aから所定の偏光状態(所定の偏光方向)の検査光Lを光学フィルム100の検査領域Aに照射する(検査光照射工程)。検査光照射工程で光学フィルム100に検査光Lを照射した際に、撮像部20A(より具体的にはカメラ21)で検査領域Aを撮像する(撮像工程)。
【0051】
検査光照射工程では、液晶フィルタ12をON/OFF制御することにより、検査光Lの所定の偏光状態を切り替える。具体的には、例えば、まず、液晶フィルタ12をOFF状態にセットし、第1偏光光である検査光Lを光学フィルム100に照射する。その後、液晶フィルタ12をON状態にセットし、第2偏光光である検査光Lを光学フィルム100に照射する。液晶フィルタ12をON状態にセットした後に、OFF状態に切り替えてもよい。
【0052】
撮像工程では、検査光Lの所定の偏光状態の切り替えに同期して、撮像部20Aで、検査領域Aを撮像する。
【0053】
上記欠陥検査方法では、検査光照射工程で第1偏光光である検査光Lを光学フィルム100に照射すると、検査光Lと、光学フィルム100とは平行ニコル状態、すなわち、検査光Lの偏光方向と、光学フィルム100が有するフィルム本体101の偏光軸PA1の方向とが実質的に一致した状態で、検査光Lが光学フィルム100に入射する。一方、検査光照射工程で第2偏光光である検査光Lを光学フィルム100に照射すると、検査光Lと光学フィルム100とはクロスニコル状態、すなわち、検査光Lの偏光方向と、偏光軸PA1とが実質的に直交した状態で、検査光Lが光学フィルム100に入射する。
【0054】
従って、液晶フィルタ12が通すべき光の所定の偏光方向の切り替えに同期して、撮像部20Aで、検査領域Aを撮像することで、光学フィルム100に対して平行ニコル状態の検査光L(平行ニコル光)及びクロスニコル状態の検査光L(クロスニコル光)それぞれで光学フィルム100が照明された場合の検査画像が、撮像工程で得られる。
【0055】
次に、
図1及び
図2に示した欠陥検査装置3Aを利用した欠陥検査方法を含む光学フィルム100の製造方法を説明する。ここでは、
図2に示したように、保護フィルム102、フィルム本体101及び保護フィルム103の積層体である光学フィルム100を製造する場合を例にして説明する。
【0056】
光学フィルム100を製造する際、帯状のフィルム本体101、帯状の保護フィルム102及び帯状の保護フィルム103をそれぞれ長手方向に搬送しながら、フィルム本体101の一方の片面に保護フィルム102を貼合し、他方の片面に保護フィルム103を貼合する(貼合工程)。フィルム本体101と、保護フィルム102及び保護フィルム103の貼合は、例えば一対の貼合ローラを用いて行い得る。貼合工程は、フィルム本体101に保護フィルム102及び保護フィルム103を同時に貼合してもよいし、フィルム本体101に、保護フィルム102及び保護フィルム103の一方を貼合した後、他方を貼合してもよい。
【0057】
上記貼合工程の後に、保護フィルム103、フィルム本体101及び保護フィルム102の積層体としての光学フィルム100を欠陥検査装置3Aにおける光照射部10Aと撮像部20Aとの間に搬送しながら欠陥検査装置3Aで光学フィルム100の欠陥検査を行う(欠陥検査工程)。欠陥検査工程では、上記で説明した欠陥検査方法で光学フィルム100の欠陥検査を行う。欠陥検査システム1が、マーキング装置4を備える形態では、欠陥検査工程の結果に応じて、マーキング装置4で目印Mを光学フィルム100に付与する工程(マーキング工程)を実施してもよい。
【0058】
上記製造方法では、保護フィルム103、フィルム本体101及び保護フィルム102の積層体としての光学フィルム100を、欠陥検査装置3Aによって欠陥検査を実施した。しかしながら、保護フィルム103及び保護フィルム102が貼合される前のフィルム本体101を光学フィルムとして欠陥検査装置3Aで欠陥検査してもよい。
【0059】
欠陥検査装置3A及び欠陥検査装置3Aを利用した欠陥検査方法では、液晶フィルタ12をON/OFF制御することによって、一つの装置で平行ニコル状態での照射による光学フィルム100の検査画像と、クロスニコル状態での照射による光学フィルム100の検査画像を得ることができる。
【0060】
したがって、欠陥検査装置3Aは、平行ニコルによる透過検査光学系(以下、「正透過検査光学系」と称す)と、クロスニコルによる透過検査光学系(以下、クロスニコル透過検査光学系)とが一つに統合された構成を有する。欠陥は、その種類に応じて正透過検査光学系及びクロスニコル透過検査光学系の何れかでのみ検出される場合がある。欠陥検査装置3Aのように、正透過検査光学系と、クロスニコル透過検査光学系とが一つの装置に統合されていれば、光学フィルム100内の欠陥を確実に検出しやすい。
【0061】
更に、正透過検査光学系及びクロスニコル透過検査光学系の何れでも検出可能な欠陥の場合において、例えば正透過検査光学系によって現れていた欠陥が、クロスニコル透過検査光学系の検査画像で現れない場合、その欠陥は、フィルム本体101より上側(撮像部20A側)に生じていると判断できる。すなわち、光学フィルム100における欠陥発生層を識別も可能である。そのため、上記欠陥検査方法を有する光学フィルム100の製造方法では、欠陥を含まない製品としての光学フィルム100をより製造し易い。
【0062】
欠陥検査装置3Aでは、正透過検査光学系での欠陥検査と、クロスニコル透過検査光学系での欠陥検査を、液晶フィルタ12のON/OFF制御で切り替え可能である。液晶フィルタ12の切り替えは、より短い時間(例えば、0.1msec〜25msec)で可能であるため、2つの検査光学系での欠陥検査を効率的に実施できる。そのため、上記欠陥検査方法を含んだ光学フィルム100の製造方法では、欠陥を含まない製品としての光学フィルム100を効率的に生産できる。
【0063】
(第2実施形態)
第1実施形態は、光照射部が液晶フィルタ(フィルタ部)を備えており、光学フィルム100の下側に液晶フィルタが配置された形態である。しかしながら、欠陥検査装置は、
図3に示したように、撮像部が液晶フィルタを備えてもよい。
【0064】
図3は、第2実施形態に係る欠陥検査装置3Bの模式図である。欠陥検査装置3Bは、光照射部10Bと、撮像部20Bとを有する。
図3では、光の光路の一例を一点鎖線の矢印で模式的に示している。
【0065】
光照射部10Bは、液晶フィルタ12を有しない点で、第1実施形態の光照射部10Aと相違する。光照射部10Bが有する光源11の構成は、第1実施形態の場合と同様である。
【0066】
撮像部20Bは、カメラ21と光学フィルム100との間に配置された液晶フィルタ12を有する点で、第1実施形態の撮像部20Aと相違する。カメラ21の構成は、第1実施形態の場合と同様である。カメラ21は、制御装置30に電気的に接続されており、第1実施形態と同様に制御装置30によって制御される。
【0067】
撮像部20Bが有する液晶フィルタ12の構成は、第1実施形態の場合と同様である。液晶フィルタ12は、制御装置30に電気的に接続されており、制御装置30によってON/OFF制御される。
【0068】
液晶フィルタ12は、直線偏光フィルム12aが撮像部20B側に位置し、直線偏光フィルム12aの偏光軸PA2と、フィルム本体101の偏光軸PA1とがクロスニコル状態になるように、配置されている。このような配置では、液晶フィルタ12には、液晶セル12b側から光が入射する。よって、液晶フィルタ12がOFF状態では、液晶フィルタ12は、直線偏光フィルム12aの偏光軸PA2と直交する偏光方向を有する第1偏光光を選択的に通過させる。ただし、液晶フィルタ12に入射した第1偏光光は、液晶セル12bを通過する間に偏光方向が90°回転し、第2偏光光として出力される。一方、液晶フィルタ12がON状態では、液晶フィルタ12は、第2偏光光を選択的に通過させる。液晶フィルタ12がON状態では、液晶フィルタ12に入射した第2偏光光は、その偏光方向を維持したまま液晶フィルタ12から出力される。
【0069】
次に、欠陥検査装置3Bを利用して光学フィルム100の欠陥を検査する方法を説明する。欠陥検査を実施する際には、光照射部10Bからの無偏光の出力光を検査光Lとして光学フィルム100の検査領域Aに照射する(検査光照射工程)。検査光照射工程で光学フィルム100に検査光Lを照射した際に、撮像部20B(より具体的にはカメラ21)で検査領域Aを撮像する(撮像工程)。より詳細には、カメラ21で液晶フィルタ12を通して光学フィルム100を撮像する。撮像工程では、液晶フィルタ12のON/OFF制御に同期してカメラ21で光学フィルム100を撮像することによって、液晶フィルタ12がON状態の場合の検査画像を得るとともに、液晶フィルタ12がOFF状態の場合の検査画像を得る。
【0070】
欠陥検査装置3Bも、第1実施形態の場合と同様に、正透過検査光学系と、クロスニコル検査光学系とが統合された装置である。この点を説明する。説明の便宜上、まず、光学フィルム100に欠陥がないと仮定する。
【0071】
上記検査光照射工程では、無偏光の光である検査光Lが光学フィルム100に照射される。光学フィルム100のフィルム本体101は偏光軸PA1を有するので、検査光Lに含まれる第1偏光光が光学フィルム100から出力され、液晶フィルタ12に入射する。
【0072】
液晶フィルタ12がOFF状態であれば、光学フィルム100からの第1偏光光は、前述したように、液晶フィルタ12を通過し、その通過過程で第2偏光光に変換された後、第2偏光光として出力される。液晶フィルタ12から出力された第2偏光光は、カメラ21で受けられる。よって、液晶フィルタ12がOFF状態の場合、光学フィルム100の透過画像が得られる。すなわち、液晶フィルタ12をOFF状態にセットした場合、欠陥検査装置3Bの検査光学系は、正透過検査光学系として機能する。
【0073】
一方、液晶フィルタ12がON状態であれば、前述したように液晶フィルタ12は、第2偏光光を選択的に通過させることから、光学フィルム100からの第1偏光光は、液晶フィルタ12を通過しない。換言すれば、ON状態の液晶フィルタ12は、光学フィルム100に対してクロスニコル状態で配置された偏光フィルタとして機能する。すなわち、液晶フィルタ12をON状態にセットした場合、欠陥検査装置3Bの検査光学系は、クロス透過検査光学系として機能する。
【0074】
したがって、欠陥検査装置3Bも、正透過検査光学系と、クロスニコル検査光学系とが統合された装置である。
【0075】
欠陥検査装置3Bを正透過検査光学系として機能させる場合において、光学フィルム100に欠陥が含まれていると、欠陥によって光が遮られたり、欠陥部分で偏光状態が擾乱されることで、検査画像において欠陥部分は、例えば暗い領域として現れる。
【0076】
一方、欠陥検査装置3Bをクロスニコル検査光学系として機能させる場合、光学フィルム100におけるフィルム本体101より上側(撮像部20B側)に欠陥が存在しなければ、前述したように、光学フィルム100からは第1偏光光が出力されるので、検査画像は実質的に真っ暗な画像となる。光学フィルム100におけるフィルム本体101より上側(撮像部20B側)に欠陥が存在していれば、フィルム本体101からの第1偏光光の偏光状態が欠陥で擾乱されるので、光学フィルム100からの出力光は、第2偏光光を含む。この第2偏光光は、ON状態の液晶フィルタ12を通過可能であることから、カメラ21に光が入射する。よって、検査画像において欠陥が輝点として現れる。
【0077】
欠陥検査装置3Bも、正透過検査光学系と、クロスニコル検査光学系とが統合された装置であり、正透過検査光学系と、クロスニコル検査光学系とは、液晶フィルタ12のON/OFF制御で切り替えられる。そのため、欠陥検査装置3Bも、第1実施形態の欠陥検査装置3Aと同様の作用効果を有する。
【0078】
更に、正透過検査光学系及びクロスニコル透過検査光学系の何れでも検出可能な欠陥の場合において、例えば正透過検査光学系によって現れていた欠陥が、クロスニコル透過検査光学系の検査画像で現れない場合、その欠陥は、フィルム本体101より上側(撮像部20A側)に生じていると判断できる。すなわち、欠陥検査装置3Bにおいても、光学フィルム100における欠陥発生層を識別も可能である。
【0079】
欠陥検査装置3Bは、欠陥検査装置3Aの代わりに
図1に示した欠陥検査システム1に適用できる。よって、欠陥検査装置3Bを利用した欠陥検査方法を含む光学フィルム100の製造方法は、第1実施形態と同様の作用効果を有する。
【0080】
(第3実施形態)
図4は、第3実施形態に係る欠陥検査装置3Cの模式図である。
図4でも、光の光路を一点鎖線で模式的に示している。
【0081】
図4に示した欠陥検査装置3Cは、第1実施形態において、撮像部20Aの代わりに第2実施形態で説明した撮像部20Bを備える点で、第1実施形態の欠陥検査装置3Aと相違する。光照射部10Aが有する液晶フィルタ12、撮像部20Bが有する液晶フィルタ12及びカメラ21は、第1及び第2実施形態の場合と同様に、制御装置30に電気的に接続され、制御装置30で制御される。
【0082】
欠陥検査装置3Cを利用して光学フィルム100の欠陥を検査する方法を説明する。欠陥検査を実施する際には、光照射部10Aから検査光Lを光学フィルム100の検査領域A(
図1参照)に照射する(検査光照射工程)。検査光照射工程で光学フィルム100に検査光Lを照射した際に、撮像部20B(より具体的にはカメラ21)で検査領域Aを撮像する(撮像工程)。
【0083】
検査光照射工程では、光照射部10Aが有する液晶フィルタ12をON/OFF制御することにより、第1実施形態の場合と同様に、検査光Lの所定の偏光状態(所定の偏光方向)を切り替える。撮像工程では、光照射部10Aが有する液晶フィルタ12のON/OFF制御に応じて、撮像部20Bが有する液晶フィルタ12をON/OFF制御し、光照射部10A及び撮像部20Bそれぞれが有する液晶フィルタ12のON状態とOFF状態の組み合わせに応じて検査画像を得る。
【0084】
具体的には、光照射部10Aが有する液晶フィルタ12をOFF状態にセットした際に、撮像部20Bが有する液晶フィルタ12をON/OFF制御し、撮像部20Bが有する液晶フィルタ12がOFF状態及びON状態にセットされた際に検査画像をそれぞれ得る。また、光照射部10Aが有する液晶フィルタ12をON状態にセットした際に、撮像部20Bが有する液晶フィルタ12をON/OFF制御し、撮像部20Bが有する液晶フィルタ12がOFF状態及びON状態にセットされた際に検査画像をそれぞれ得る。したがって、欠陥検査装置3Cでは、表1に示したケースa〜ケースdに対応した検査画像が得られる。
【表1】
【0085】
ケースaでは、光学フィルム100に平行ニコル状態の検査光Lが照射されるので、光学フィルム100からは第1偏光光が出力される。第1偏光光は、第2実施形態で説明したように、ケースaにおける液晶フィルタ12を通過可能である。よって、ケースaでの検査光学系は、正透過検査光学系に相当する。
【0086】
ケースbでは、ケースaと同様に、光学フィルム100からは第1偏光光が出力される。ケースbでは、撮像部20Bの液晶フィルタ12がON状態にセットされているので、光学フィルム100に欠陥が存在しない場合(より具体的には、フィルム本体101より上側に欠陥が存在しない場合)、撮像部20Bが有する液晶フィルタ12を光は通過しない。よって、ケースbは、クロスニコル透過検査光学系に相当する。
【0087】
ケースc及びケースdでは、光学フィルム100にクロスニコル状態の検査光Lが照射されるので、クロスニコル透過検査光学系に相当する。
【0088】
このように、欠陥検査装置3Cでも正透過検査光学系とクロスニコル透過検査光学系が統合されており、2つの光学系を液晶フィルタ12のON/OFF制御で切り替えられる。したがって、欠陥検査装置3C及び欠陥検査装置3Cを用いた欠陥検査方法は、第1実施形態の欠陥検査装置3Aと同様の作用効果を有する。
【0089】
欠陥検査装置3Cは、欠陥検査装置3Aの代わりに
図1に示した欠陥検査システム1に適用できる。よって、欠陥検査装置3Bを利用した欠陥検査方法を含む光学フィルム100の製造方法は、第1実施形態と同様の作用効果を有する。欠陥検査装置3Cでは、上記ケースa〜ケースdの4つの状態それぞれで光学フィルム100の欠陥検査を実施できることから、光学フィルム100に応じた検査をし易い。
【0090】
(第4実施形態)
第1〜第3実施形態で説明した欠陥検査装置3A,3B,3Cは、透過検査光学系を採用していた。しかしながら、
図5に模式的に示したように、欠陥検査装置は、反射検査光学系を採用してもよい。
図5は、第4実施形態に係る欠陥検査装置3Dの模式図である。
図5でも、光の光路の一例を一点鎖線で模式的に示している。
【0091】
欠陥検査装置3Dは、検査対象である光学フィルム100に対して、光照射部10Aと、撮像部20Aとが同じ側に配置されている点で、第1実施形態の欠陥検査装置3Aと相違する。換言すれば、欠陥検査装置3Dでは、第1の実施形態の欠陥検査装置3Aにおいて、光照射部10Aからの検査光Lが、光学フィルム100で反射した場合に、その反射光が撮像部20Aに入射するように光照射部10A及び撮像部20Aが配置されている。光照射部10A及び撮像部20Aの構成は、第1実施形態と同様であるとともに、欠陥検査装置3Dを利用した光学フィルム100の欠陥検査方法は、第1実施形態と同様である。
【0092】
欠陥検査装置3Dは、反射検査光学系を採用しているため、液晶フィルタ12をON/OFF制御することによって、一つの装置で、光学フィルム100に対する平行ニコル状態の検査光L(平行ニコル光)が光学フィルム100に照射された場合の反射検査画像と、光学フィルム100に対するクロスニコル状態の検査光L(クロスニコル光)が光学フィルム100に照射された場合の反射検査画像を得ることができる。したがって、欠陥検査装置3Dは、平行ニコル状態の反射検査光学系(以下、「正反射検査光学系」と称す)と、クロスニコル状態の反射検査光学系(以下、クロスニコル反射検査光学系)とが一つに統合されている。更に、正反射検査光学系とクロスニコル反射検査光学系とは、液晶フィルタ12をON/OFF制御することで切り替えられる。したがって、欠陥検査装置3D及び欠陥検査装置3Dを利用した光学フィルム100の欠陥検査方法は、第1実施形態の場合と同様の作用効果を有する。
【0093】
欠陥検査装置3Dは、前述したように反射検査光学系を採用している。光照射部10Aからの検査光Lが、第1偏光光である場合、検査光Lは、フィルム本体101より下側(
図5では、保護フィルム103)に伝播可能である。よって、正反射検査光学系では、フィルム本体101より下側に含まれる欠陥も検出可能である。逆に、光照射部10Aからの検査光Lが、第2偏光光である場合、検査光Lは、フィルム本体101より下側に伝播できない。したがって、クロスニコル反射検査光学系では、フィルム本体101及びフィルム本体101より上側に位置する欠陥を検査可能であるが、フィルム本体101より下側の欠陥を検出できない。したがって、欠陥検査装置3Dにおいて、正反射検査光学系での検査と、クロスニコル反射検査光学系での検査とを切り替えることによって、光学フィルム100の厚さ方向における欠陥の位置も特定できる。
【0094】
具体的には、正反射検査光学系及びクロスニコル反射検査光学系それぞれを利用した検査によって欠陥が検出できれば、その欠陥は、フィルム本体101及びフィルム本体101より上側に位置する。逆に、正反射検査光学系で欠陥が検出されている一方、クロスニコル反射検査光学系では欠陥が検出されていなければ、その欠陥は、フィルム本体101より下側に位置する。このように、欠陥検査装置3Dでは、欠陥の位置をより詳細に識別可能である。この点を検証した実験(検証実験)を説明する。検証実験の説明では、これまでの説明における構成要素に対応する要素には同様の符号をして説明する。
【0095】
[検証実験]
検証実験に使用した光学フィルム100は、保護フィルム103、フィルム本体101及び保護フィルム102がこの順に積層されたフィルムであった。保護フィルム102,103の材料はTACであり、フィルム本体101の材料はPVAであった。検証実験に使用した光学フィルム100には、保護フィルム102側に気泡が混入しているフィルムを使用した。
【0096】
検証実験では、
図5に示した構成の欠陥検査装置3Dを使用した。ただし、カメラ21にはラインセンサカメラを採用し、ラインセンサカメラと光学フィルム100とを相対的に移動させることで、光学フィルム100の検査画像を得た。
【0097】
(第1検査)
第1検査では、保護フィルム102側が光照射部10A及び撮像部20A側に位置するように、光学フィルム100を欠陥検査装置3Dにセットし、液晶フィルタ12をOFF状態及びON状態にセットすることで、正反射検査光学系と、クロスニコル反射検査光学系とで光学フィルム100の検査画像を得た。
図6は、第1検査での検査画像を示しており、
図6の(a)部は、正反射検査光学系での検査画像であり、
図6の(b)部は、クロスニコル反射検査光学系での検査画像である。
【0098】
(第2検査)
第2検査では、第1検査の場合に対して光学フィルム100を裏返した状態で欠陥検査装置3Dに光学フィルム100をセットした。すなわち、保護フィルム102側が光照射部10A及び撮像部20Aと反対側に位置するように、光学フィルム100を欠陥検査装置3Dにセットした。そして、第1検査の場合と同様に、正反射検査光学系と、クロスニコル反射検査光学系とで光学フィルム100の検査画像を得た。
図7は、第2検査での検査画像を示しており、
図7の(a)部は、正反射検査光学系での検査画像であり、
図7の(b)部は、クロスニコル反射検査光学系での検査画像である。
図7の(a)部及び(b)部において、一点鎖線で示した領域は互いに対応する領域である。
【0099】
第1検査では、正反射検査光学系の検査と、クロスニコル反射検査光学系の検査の何れでも気泡欠陥を確認できた。この場合、前述のように、欠陥はフィルム本体101より上側に位置すると推定される。そして、第1検査では、気泡欠陥を含む保護フィルム102がフィルム本体101より光照射部10A及び撮像部20A側に位置するため、フィルム本体101に対する欠陥位置が、検査画像から判断できるものと一致していることが理解できる。
【0100】
第2検査では、正反射検査光学系での検査では、
図7の(a)部の一点鎖線で囲んだ領域内に気泡欠陥を確認できた一方、クロスニコル反射検査光学系の検査では、
図7の(b)部の一点鎖線で囲んだ領域内には気泡欠陥を確認できなかった。この場合、前述したように、欠陥はフィルム本体101より下側に位置していると推定される。そして、第2検査では、気泡欠陥を含む保護フィルム102がフィルム本体101に対して光照射部10A及び撮像部20Aと反対側に位置するため、フィルム本体101に対する欠陥位置が、検査画像から判断できるものと一致していることが理解できる。
【0101】
したがって、欠陥検査装置3Dにおいて、正反射検査光学系及びクロスニコル反射検査光学系それぞれでの欠陥検査の結果を比較することで、欠陥の位置をより具体的に特定可能である。
【0102】
欠陥検査装置3Dは、欠陥検査装置3Dの代わりに
図1に示した欠陥検査システム1に適用できる。よって、欠陥検査装置3Dを利用した欠陥検査方法を含む光学フィルム100の製造方法は、第1実施形態と同様の作用効果を有する。
【0103】
(第5実施形態)
図8は、第5実施形態に係る欠陥検査装置3Eの模式図である。欠陥検査装置3Eは、第1光照射部10A1と第2光照射部10A2とを備える点で第1実施形態の欠陥検査装置3Aと相違する。
図8でも、光の光路の一例を一点鎖線で模式的に示している。
【0104】
第1光照射部10A1は、光学フィルム100からみて撮像部20Aと反対側に配置されており、検査光Lを光学フィルム100に斜め入射する。このように斜め入射するように第1光照射部10A1が配置されている点以外は、第1光照射部10A1の構成は、第1実施形態の光照射部10Aの構成と同様である。
【0105】
第2光照射部10A2は、第4実施形態で説明した光照射部10Aと同様の構成及び配置である。すなわち、第2光照射部10A2は、撮像部20Aと共に反射検査光学系を構成するように光学フィルム100に対して配置されている。第2光照射部10A2は、第1光照射部10A1及び第2光照射部10A2それぞれからの検査光Lに基づいて光学フィルム100から出力される光が、撮像部20Aが有するカメラ21の受光面の同じ領域に入射するように配置されていてもよいし、異なる領域に入射するように配置されていてもよい。
【0106】
制御装置30は、第1光照射部10A1及び第2光照射部10A2それぞれの液晶フィルタ12に電気的に接続されており、第1光照射部10A1及び第2光照射部10A2それぞれの液晶フィルタ12をON/OFF制御する。
【0107】
次に、欠陥検査装置3Eを利用した光学フィルム100の欠陥検査方法を説明する。まず、第1光照射部10A1及び第2光照射部10A2それぞれからの検査光Lに基づいて光学フィルム100から出力される光が、撮像部20Aが有するカメラ21の受光面の同じ領域に入射する形態を説明する。
【0108】
欠陥検査を実施する際には、第1光照射部10A1から検査光Lを光学フィルム100の検査領域A(
図1参照)に照射するとともに、第2光照射部10A2から検査光Lを光学フィルム100の検査領域Aに照射する(検査光照射工程)。検査光照射工程で光学フィルム100に検査光Lを照射した際に、撮像部20Aで光学フィルム100を撮像する(撮像工程)。
【0109】
検査光照射工程では、第1光照射部10A1及び第2光照射部10A2から異なるタイミングで検査光Lを光学フィルム100の検査領域Aに照射する。そして、第1光照射部10A1及び第2光照射部10A2それぞれから検査光Lを出力する際、検査光Lを出力する光照射部(第1光照射部10A1又は第2光照射部10A2)が有する液晶フィルタ12をON/OFF制御することで、検査光Lの所定の偏光状態を切り替える。
【0110】
例えば、第1光照射部10A1から検査光Lを出力する場合、第1光照射部10A1が有する液晶フィルタ12をOFF状態にセットして第1偏光光である検査光Lを光学フィルム100に照射する。続いて、第1光照射部10A1が有する液晶フィルタ12をON状態にセットして第2偏光光である検査光Lを光学フィルム100に照射する。第2光照射部10A2から検査光Lを出力する場合、第1光照射部10A1の場合と同様に、第2光照射部10A2が有する液晶フィルタ12をON/OFF制御する。
【0111】
撮像工程では、第1光照射部10A1から検査光Lを出力する際の液晶フィルタ12のON/OFF制御に同期して、撮像部20Aのカメラ21で光学フィルム100の検査領域Aを撮像する。同様に、第2光照射部10A2から検査光Lを出力する際の液晶フィルタ12のON/OFF制御に同期して、撮像部20Aのカメラ21で光学フィルム100の検査領域Aを撮像する。
【0112】
第1光照射部10A1及び第2光照射部10A2それぞれからの検査光Lに基づいて光学フィルム100から出力される光が、撮像部20Aが有するカメラ21の受光面の異なる領域に入射する場合の欠陥検査方法を説明する。この場合も上記検査光照射工程と撮像工程とを有する。
【0113】
ただし、検査光照射工程では、第1光照射部10A1及び第2光照射部10A2から同じタイミングで検査光Lを出力してもよい。そして、第1光照射部10A1及び第2光照射部10A2それぞれが有する液晶フィルタ12をON/OFF制御する。第1光照射部10A1が有する液晶フィルタ12のON/OFF制御及び第2光照射部10A2が有する液晶フィルタ12のON/OFF制御のタイミングは同じでも異なっていてもよい。
【0114】
撮像工程では、第1光照射部10A1及び第2光照射部10A2それぞれが有する液晶フィルタ12のON/OFF制御のタイミングに同期して撮像部20Aのカメラ21で光学フィルム100の検査領域Aを撮像する。
【0115】
欠陥検査装置3Eにおいて、第1光照射部10A1及び撮像部20Aは、第1実施形態で説明した透過検査光学系を構成している。したがって、欠陥検査装置3E及び欠陥検査装置3Eにおいて、第1光照射部10A1を利用した欠陥検査は、第1実施形態で説明した欠陥検査装置3Aと同様の作用効果を有する。
【0116】
欠陥検査装置3Eにおいて、第2光照射部10A2及び撮像部20Aは、第4実施形態で説明した反射検査光学系を構成している。したがって、欠陥検査装置3E及び欠陥検査装置3Eにおいて、第2光照射部10A2を利用した欠陥検査は、第4実施形態で説明した欠陥検査装置3Eと同様の作用効果を有する。
【0117】
更に、欠陥検査装置3Eでは、透過検査光学系と反射検査光学系が統合された装置である。そのため、透過検査光学系で検出可能な欠陥と、反射検査光学系で検出可能な欠陥とを一つの装置で検出でき、光学フィルム100の欠陥をより確実に検出可能である。
【0118】
欠陥検査装置3Eは、欠陥検査装置3Aの代わりに
図1に示した欠陥検査システム1に適用できる。よって、欠陥検査装置3Eを利用した欠陥検査方法を含む光学フィルム100の製造方法は、第1実施形態と同様の作用効果を有する。
【0119】
(第6実施形態)
図9は、第6実施形態に係る欠陥検査装置3Fの模式図である。欠陥検査装置3Fは、光照射部10Aの代わりに光照射部10Cを備える点で、第1実施形態の欠陥検査装置3Aと相違する。
図9でも光の光路を一点鎖線で模式的に示している。
【0120】
光照射部10Cは、光源11と、偏光分離素子13と、光路合成部14と、第1ミラー15A、第2ミラー15Bと、直線偏光フィルム16と、液晶フィルタ12とを有する。光源11の構成及び液晶フィルタ12の構成は、第1実施形態と同様である。
【0121】
偏光分離素子13は、光源11からの出力光の光路上に配置されており、光源11からの無偏光の出力光を、互いに偏光方向が直交する第1偏光光と第2偏光光とに分離する。具体的には、第2偏光光を透過し、第1偏光光を反射する。偏光分離素子13の例は、APF(AdvancedPolarizing Film)を用いた素子であり、例えば、プリズム、ガラス板などの一側面にAPFが形成された素子である。
【0122】
光路合成部14は、第2偏光光の光路上に配置されている。具体的には、Z方向において、偏光分離素子13と光学フィルム100との間に配置されている。光路合成部14は、偏光分離素子13で分離された第1偏光光の光路を第2偏光光の光路に合成して出力する光学素子である。光路合成部14は、第1偏光光及び第2偏光光の光路を一致させた状態で、第1偏光光及び第2偏光光を光学フィルム100側に出力する。光路合成部14の例は、偏光分離素子13と同じである。
【0123】
第1ミラー15A及び第2ミラー15Bは、偏光分離素子13で分離された第1偏光光を光路合成部14に導く光学系を構成している。具体的には、第1ミラー15Aは、偏光分離素子13の側方に配置されており、偏光分離素子13からの第1偏光光を光学フィルム100側に反射する。第2ミラー15Bは、第1ミラー15Aで反射された第1偏光光の光路上であって、光路合成部14の側方に配置されており、第1ミラー15Aで反射された第1偏光光を光路合成部14側に反射する。
【0124】
直線偏光フィルム16は、直線偏光特性を有する光学フィルムである。直線偏光フィルム16は、偏光分離素子13と光路合成部14との間において、第2偏光光の光路上に配置されている。直線偏光フィルム16は、その偏光軸PA3が、光学フィルム100とクロスニコル状態となるように、すなわち、Z方向からみて、フィルム本体101の偏光軸PA1と、直線偏光フィルム16の偏光軸PA3とが直交するように、配置されている。
【0125】
液晶フィルタ12は、第1ミラー15Aと第2ミラー15Bの間において、第1偏光光の光路上に配置されている。液晶フィルタ12は、直線偏光フィルム12aが第2ミラー15B側に位置しており、直線偏光フィルム12aの偏光軸PA2が、光学フィルム100と平行ニコル状態となるよう配置されている。このような配置では、液晶フィルタ12がON状態では、液晶フィルタ12は、第1偏光光を通す。一方、液晶フィルタ12がOFF状態では、液晶フィルタ12は、第1偏光光を遮断する。
【0126】
上記光照射部10Cの構成では、光源11からの出力光は、偏光分離素子13で第2偏光光と第1偏光光に分離される。具体的には、第2偏光光は偏光分離素子13を透過し、第1偏光光は第1ミラー15A側に反射する。
【0127】
偏光分離素子13を透過した第2偏光光は、直線偏光フィルム16に入射する。直線偏光フィルム16の偏光軸PA3の方向は、第2偏光光の偏光方向と同じであるため、偏光分離素子13からの第2偏光光は、直線偏光フィルム16を通過して、光路合成部14に入射する。
【0128】
一方、偏光分離素子13で反射された第1偏光光は、第1ミラー15Aで第2ミラー15B側に反射する。第1ミラー15Aと第2ミラー15Bの間には、液晶フィルタ12が配置されているので、第1ミラー15Aで反射した第1偏光光は液晶フィルタ12に入射する。
【0129】
液晶フィルタ12がON状態であれば、第1偏光光は、液晶フィルタ12を通過する。液晶フィルタ12を透過した第1偏光光は、第2ミラー15Bで反射し、光路合成部14に入射する。
【0130】
光路合成部14は、直線偏光フィルム16を通過した第2偏光光と、第2ミラー15Bからの第1偏光光の光路を一致させて出力する。換言すれば、光路合成部14は、第2偏光光と第1偏光光とを合成し、無偏光の光として出力する。よって、液晶フィルタ12がON状態では、光照射部10Cは、無偏光の検査光Lを出力する。
【0131】
液晶フィルタ12がOFF状態であれば、第1偏光光は液晶フィルタ12で遮断されるので、光路合成部14には、第1偏光光は到達しない。よって、光路合成部14からは、直線偏光フィルム16を通過した第2偏光光のみが出力される。すなわち、液晶フィルタ12がOFF状態では、光照射部10Cは、第2偏光光である検査光Lを出力する。
【0132】
このように、光照射部10Cでは、液晶フィルタ12をON/OFF制御することで、無偏光の検査光Lと、第2偏光光の検査光Lとを切り替えて出力できる。
【0133】
光照射部10Cが液晶フィルタ12のON/OFF制御により、検査光Lの偏光状態を切り替えて出力できるので、欠陥検査装置3Fを用いた光学フィルム100の欠陥検査方法は、欠陥検査装置3Aの場合と同様である。
【0134】
検査光Lが無偏光状態である場合、検査光Lは第1偏光光を含む。よって、第6実施形態では、液晶フィルタ12がON状態の場合、光学フィルム100には、平行ニコル光である検査光Lが照射される。一方、液晶フィルタ12がOFF状態であって、検査光Lが第2偏光光である場合、光学フィルム100には、クロスニコル光である検査光Lが照射される。したがって、欠陥検査装置3Fでは、正透過検査光学系とクロスニコル検査光学系とが統合されており、液晶フィルタ12のON/OFF制御によって、それらの検査光学系が切り替えられる。したがって、欠陥検査装置3F及び欠陥検査装置3Fを用いた光学フィルムの欠陥検査方法は、第1実施形態の場合と同様の作用効果を有する。
【0135】
液晶フィルタ12を光が通過すると、例えば偏光フィルムを通過する場合より光量が減衰する。しかしながら、欠陥検査装置3Fをクロスニコル透過検査光学系として使用して欠陥検査を実施する際、第2偏光光は、液晶フィルタ12を通過しないので、クロスニコル透過検査光学系の検査において、光学フィルム100の照明に必要な光量を確保し易い。欠陥検査装置3Fを正透過検査光学系として使用して欠陥検査を実施する際には、第1偏光光は液晶フィルタ12を通過する。この場合、前述したように、光量の減衰が生じる。ただし、正透過では光学フィルム100の照明に必要な光量を、クロスニコル透過より確保し易い。そのため、光量の減衰の影響が小さい。液晶フィルタ12の構成によっては、液晶フィルタ12に印加する電圧を調整することで、直線偏光フィルム12aを通過する光量を調整可能である。その結果、液晶フィルタ12を使用した欠陥検査装置3Fにおいて、欠陥検査に要する光量を得るために、光源11からの光量の増加量を低減可能であり、光源11の選択の幅が広がるとともに、省エネに資する。
【0136】
欠陥検査装置3Fは、欠陥検査装置3Aの代わりに
図1に示した欠陥検査システム1に適用できる。よって、欠陥検査装置3Fを利用した欠陥検査方法を含む光学フィルム100の製造方法は、第1実施形態と同様の作用効果を有する。
【0137】
第6実施形態では、光照射部10Cが、光源11と、偏光分離素子13と、光路合成部14と、第1ミラー15A、第2ミラー15Bと、直線偏光フィルム16と、液晶フィルタ12とを有する場合を説明した。しかしながら、光照射部10Cは、光源11と、偏光分離素子13と、光路合成部14と、第1ミラー15A、第2ミラー15Bと、液晶フィルタ12とを有していればよい。すなわち、光照射部10Cは、直線偏光フィルム16を有さなくてもよい。光照射部10Cが直線偏光フィルム16を有する実施形態では、直線偏光フィルム16を通過した光の偏光方向の精度が向上する。そのため、より正確なクロスニコル状態で検査を実施できる。
【0138】
(第7実施形態)
図10は、第7実施形態に係る欠陥検査装置3Gの模式図である。欠陥検査装置3Gは、光照射部10Cが撮像部20Aとともに、反射検査光学系を構成するように、光学フィルム100からみて撮像部20Aと同じ側に配置されている点で、第6実施形態と相違する。この相違点以外は、第6実施形態と同様であるため、欠陥検査装置3G及び欠陥検査装置3Gを用いた欠陥検査方法の作用効果も第6実施形態と同様である。
図10においても、光の光路の一例を一点鎖線で模式的に示している。
【0139】
欠陥検査装置3Gの構成は、第4実施形態の欠陥検査装置3Dにおいて光照射部10Aを光照射部10Cに代えた構成に相当する。したがって、欠陥検査装置3G及び欠陥検査装置3Gを用いた欠陥検査方法は、第4実施形態で説明した反射検査光学系が有する作用効果と同様の作用効果も有する。
【0140】
第7実施形態においても、第6実施形態の場合と同様に、光照射部10Cは、直線偏光フィルム16を有さなくてもよい。光照射部10Cが直線偏光フィルム16を有する場合の作用効果は第6実施形態の場合と同様である。
【0141】
第6及び7実施形態において、偏光分離素子13によって分離された2つの偏光光の偏光方向精度を向上させるため、偏光分離素子13から液晶フィルタ12の間、好ましくは第1ミラー15Aから液晶フィルタ12の間に第1偏光光と平行ニコルの状態にある直線偏光フィルムをさらに設置してもよい。
【0142】
(第8実施形態)
図11は、第8実施形態に係る欠陥検査装置3Hの模式図である。欠陥検査装置3Hは、光照射部10Cの代わりに光照射部10Dを備える点で、第6実施形態の欠陥検査装置3Fと相違する。
図11においても、光の光路の一例を一点鎖線で模式的に示している。
【0143】
光照射部10Dは、光源11と、光路合成部14と、直線偏光フィルム16と、光源17と、液晶フィルタ12Aとを有する。光源11、光路合成部14及び直線偏光フィルム16の構成は、第6実施形態と同様である。更に、光源11、直線偏光フィルム16及び光路合成部14の配置関係は、光源11と直線偏光フィルム16の間に偏光分離素子13が配置されていない点以外は、第6実施形態の場合と同様である。
【0144】
光源17は、光路合成部14の側方(Y方向に沿った側方)に配置されている。光源17と光路合成部14との間には液晶フィルタ12Aが配置されている。液晶フィルタ12Aは、ON/OFFの切り替えによって、第1偏向光を通す場合と、光を遮断する場合とを切り替えるシャッターとして機能する。液晶フィルタ12Aは、光源17及び液晶フィルタ12Aは、液晶フィルタ12Aから出力される第1偏光光が、光路合成部14に入射した際に、直線偏光フィルム16を通過して光路合成部14に入射した第2偏光光の光路と合成されるように、配置されている。
【0145】
例えば、液晶フィルタ12Aは、
図11に示したように、液晶セル12bと、液晶セル12bの一方の面に設けられた直線偏光フィルム12aと、液晶セル12bの他方の面(直線偏光フィルム12aが設けられる面とは反対の面)に直線偏光フィルム12cとを有する。直線偏光フィルム12aの偏光軸PA2と直線偏光フィルム12cの偏光軸PA5とは直交している。液晶フィルタ12Aは、直線偏光フィルム12cが光源17に面し、かつ、偏光軸PA2が偏光軸PA1と平行ニコル状態になるように配置されている。このような液晶フィルタ12Aの構成及び配置では、液晶フィルタ12AがOFF状態において、光源17からの光(無偏光光)のうち第1偏光光が液晶フィルタ12Aを選択的に通過し、液晶フィルタ12AがON状態において、光源17からの光が遮断される。
【0146】
光照射部10Dは、光源11及び光源17からそれぞれ光を出力した状態で、液晶フィルタ12AをON/OFF制御することで、光照射部10Cと同様の機能を有する。したがって、欠陥検査装置3H及び欠陥検査装置3Hを用いた光学フィルム100の欠陥検査方法は、第6実施形態の場合と同様の作用効果を有する。
【0147】
欠陥検査装置3Hにおいては、光源17をOFF状態、すなわち、光源17からの光の出力を停止することによってもクロスニコル透過検査光学系を実現可能である。
【0148】
欠陥検査装置3Hでは、透過検査光学系を採用しているが、第7実施形態のように、光照射部10Dを、撮像部20Aと同じ側に配置して反射検査光学系を採用してもよい。
【0149】
(第9実施形態)
第1〜第8実施形態では、直線偏光特性を有する光学フィルムを検査対象とした欠陥検査装置を説明した。しかしながら、光学フィルムは、直線偏光特性を有しなくてもよい。第9実施形態として、直線偏光特性を有しない光学フィルムが検査対象である場合の欠陥検査装置を説明する。
図12は、第9実施形態に係る欠陥検査装置3Iの模式図である。
【0150】
欠陥検査装置3Iは、直線偏光特性を有さない光学フィルム100Aの欠陥を検査する装置である。光学フィルム100Aの例としては、
図2に示した保護フィルム102及び保護フィルム103、位相差フィルムなどである。
【0151】
欠陥検査装置3Iは、直線偏光フィルム(第1直線偏光フィルム)40を備える点で第1実施形態の欠陥検査装置3Aと相違する。この相違点を中心にして欠陥検査装置3Iを説明する。
【0152】
直線偏光フィルム40は、直線偏光特性を有するフィルムであり、偏光軸PA4を有する。直線偏光フィルム40は、光学フィルム100Aと撮像部20Aの間に、液晶フィルタ12の直線偏光フィルム12aとクロスニコルを形成するように、配置されている。
図12では、Y方向が偏光軸PA4の方向に一致するように、直線偏光フィルム40は配置されている。
【0153】
欠陥検査装置3Iを利用して光学フィルム100Aの欠陥を検査する方法を説明する。欠陥検査を実施する際には、光照射部10Aから所定の偏光状態の検査光Lを光学フィルム100Aの検査領域に照射する(検査光照射工程)。検査光照射工程で光学フィルム100Aに検査光Lを照射した際に、撮像部20A(より具体的にはカメラ21)で検査領域を撮像する(撮像工程)。
【0154】
検査光照射工程では、第1実施形態の場合と同様に、液晶フィルタ12をON/OFF制御することにより、検査光Lの所定の偏光状態を切り替える。撮像工程では、検査光Lの所定の偏光状態の切り替えに同期して、撮像部20Aで、光学フィルム100Aの検査領域を撮像する。
【0155】
光学フィルム100Aは直線偏光特性を有しないので、第1偏光光及び第2偏光光はどちらも光学フィルム100Aを透過する。光学フィルム100Aと撮像部20Aとの間に直線偏光フィルム40が配置されており、第1偏光光は直線偏光フィルム40を通過し、第2偏光光は直線偏光フィルム40で遮断される。
【0156】
したがって、欠陥検査装置3Iにおいても、正透過検査光学系とクロスニコル透過検査光学系とが統合されており、それらの検査光学系の切り替えは、液晶フィルタ12のON/OFF制御で実施される。よって、欠陥検査装置3I及び欠陥検査装置3Iを用いた欠陥検査方法は、第1実施形態の場合と同様の作用効果を有する。
【0157】
欠陥検査装置3Iは、
図1において搬送部2で搬送される検査対象を光学フィルム100Aとした場合に、
図1の欠陥検査システム1の欠陥検査装置3Aの代わりに適用できる。欠陥検査装置3I及び欠陥検査装置3Iを利用した欠陥検査方法を含む光学フィルムの製造方法は、第1実施形態の場合と同様の作用効果を有する。
【0158】
欠陥検査装置3I及び欠陥検査装置3Iを利用した光学フィルム100Aの欠陥検査方法は、光学フィルム100A自体を製造する場合に適用してもよいし、例えば、光学フィルム100を製造する過程において、フィルム本体101に貼合するまでに搬送されている保護フィルム102及び保護フィルム103の欠陥検査に使用されてもよい。
【0159】
欠陥検査装置3Iを欠陥検査装置3Aの変形例として説明した。しかしながら、第2実施形態、第4〜第8実施形態として説明した欠陥検査装置の構成においても第9実施形態で説明したように、直線偏光フィルム40を更に備えることで、直線偏光特性を有さない光学フィルム100Aの欠陥検査を実施可能である。具体的には、第4〜第7実施形態で説明したように、光照射部が液晶フィルタ12を有する場合は、直線偏光特性を有さない光学フィルム100Aと撮像部との間に直線偏光フィルム40を、第9実施形態で説明したように、液晶フィルタ12の直線偏光フィルム12aとクロスニコルを形成するように配置すればよい。第8実施形態で説明したように、光照射部が、直線偏光フィルム16及び液晶フィルタ12Aを備える場合は、直線偏光特性を有さない光学フィルム100Aと撮像部との間に直線偏光フィルム40を、直線偏光フィルム16とクロスニコルを形成するように配置すればよい。なお、第6〜第8実施形態の欠陥検査装置が、光学フィルム100Aの欠陥検査を実施するために、直線偏光フィルム40を備える場合、直線偏光フィルム40が第1直線偏光フィルムに対応し、直線偏光フィルム16が第2直線偏光フィルムに対応する。
【0160】
第2実施形態で説明したように、撮像部が液晶フィルタ12を有する場合は、光学フィルムと光照射部との間に、直線偏光フィルム40を、第9実施形態で説明したように、液晶フィルタ12の直線偏光フィルム12aとクロスニコルを形成するように配置すればよい。
【0161】
第3実施形態で説明したように、光照射部及び撮像部がともに液晶フィルタを有する場合は、光照射部及び撮像部それぞれの液晶フィルタのON/OFF制御の組み合わせで、光学フィルム100Aの欠陥検査が可能である。
【0162】
偏光特性を有しないフィルムとして光学フィルムを例示したが、偏光特性を有しないフィルムの例は、電池用セパレータフィルム等でもよい。
【0163】
以上、本発明の種々の実施形態を説明した。しかしながら、本発明は上述した種々の実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
【0164】
例示した種々の実施形態では、一つの制御装置が、液晶フィルタ及びカメラを制御していたが、液晶フィルタ及びカメラに対して別々の制御装置が設けられてもよい。上記種々の実施形態では、欠陥検査装置が制御装置を備える形態を主に説明したが、欠陥検査装置とは別の構成要素であってもよい。例えば欠陥検査システムの構成要素であってもよいし、欠陥検査装置のユーザが適宜準備する装置であってもよい。
【0165】
フィルタ部は、通すべき光の偏光方向を切り替え可能に構成されていれば、液晶フィルタに限定されない。
【0166】
検査対象が直線偏光特性を有するフィルムである場合、フィルタ部を通過した光が有する所定の偏光方向と、フィルムの偏光軸とは平行ニコル状態又はクロスニコル状態になるように、フィルムと液晶フィルタとが配置されている形態を説明した。しかしながら、検査対象によっては、フィルタ部を通過した光が有する所定の偏光方向と、フィルムの偏光軸とはハーフクロスニコル状態になるようにフィルタ部とフィルムとが配置されてもよい。或いは、フィルタ部が液晶フィルタである場合、フィルタ部を通過した光が有する所定の偏光方向と、フィルムの偏光軸とがハーフクロスニコル状態となるように、液晶フィルタに印加する電圧を調整して検査を実施してもよい。検査対象が直線偏光特性を有しないフィルムである場合、フィルタ部と対をなす直線偏光フィルムとの配置関係が、前述したようにハーフクロスニコル状態であってもよい。検査対象が直線偏光特性を有しないフィルムである場合であり且つフィルタ部が液晶フィルタである場合、フィルタ部を通過した光が有する所定の偏光方向と、フィルタ部と対をなす直線偏光フィルムの偏光軸との関係がハーフクロスニコル状態となるように液晶フィルタに印加する電圧を調整して検査を実施してもよい。
【0167】
これまで例示した種々の実施形態は適宜互いに組み合わされてもよい。例えば、一つの実施形態で説明した光照射部を他の実施形態の光照射部と置き換えてもよいし、一つの実施形態で説明した撮像部を他の実施形態の撮像部と置き換えてもよい。