特許第6948767号(P6948767)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6948767多層セラミック製造技術を使用した発光阻止
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6948767
(24)【登録日】2021年9月24日
(45)【発行日】2021年10月13日
(54)【発明の名称】多層セラミック製造技術を使用した発光阻止
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/683 20060101AFI20210930BHJP
   H01L 21/3065 20060101ALI20210930BHJP
   H02N 13/00 20060101ALI20210930BHJP
【FI】
   H01L21/68 R
   H01L21/302 101G
   H02N13/00 D
【請求項の数】18
【外国語出願】
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-99274(P2016-99274)
(22)【出願日】2016年5月18日
(65)【公開番号】特開2016-225616(P2016-225616A)
(43)【公開日】2016年12月28日
【審査請求日】2019年5月8日
(31)【優先権主張番号】14/726,199
(32)【優先日】2015年5月29日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】592010081
【氏名又は名称】ラム リサーチ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】特許業務法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キース・ローレンス・コメンダント
【審査官】 三浦 みちる
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−012795(JP,A)
【文献】 特開2005−268654(JP,A)
【文献】 特表2003−524885(JP,A)
【文献】 特開2014−027220(JP,A)
【文献】 特開平03−108737(JP,A)
【文献】 特開2014−160790(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/683
H01L 21/3065
H02N 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマ処理チャンバ内で使用するための静電チャックであって、
ガス入口が通るベースと、
前記ベースの上方にあって、前記静電チャックの上面を構成し、プラズマ処理のためにウエハの下に配置するためのウエハセラミックであって、複数のセラミック層を備え、各セラミック層は、1つ以上の切り欠きを含み、前記切り欠きは、前記ガス入口と直接的に又は間接的に流体を連通させる複数の曲がり角を有する流路を形成し、前記流路内の任意の位置において、前記セラミック層内の見通し線であってガス粒子が通り得る最長の直線である見通し線は、任意の方向に4mm未満である、静電チャック。
【請求項2】
請求項1に記載の静電チャックであって、
前記セラミック層の数は、少なくとも3層である、静電チャック。
【請求項3】
請求項2に記載の静電チャックであって、
前記セラミック層の数は、少なくとも10層である、静電チャック。
【請求項4】
請求項3に記載の静電チャックであって、
前記セラミック層の数は、少なくとも14層である、静電チャック。
【請求項5】
請求項1に記載の静電チャックであって、
前記セラミック層内の表面への見通し線は、任意の方向に2mm未満である、静電チャック。
【請求項6】
請求項5に記載の静電チャックであって、
前記セラミック層内の表面への見通し線は、任意の方向に1mm未満である、静電チャック。
【請求項7】
請求項6記載に記載の静電チャックであって、
前記セラミック層内の表面への見通し線は、任意の方向に0.5mm未満である、静電チャック。
【請求項8】
請求項1に記載の静電チャックであって、
前記セラミック層の各層のための前記切り欠きは、半円形通路及び孔からなる群より選択され、1つの層内の各孔は、隣接する層内の半円形通路の端と位置を揃えられ、それによって、孔と円形層とで交互するガス経路を形成している、静電チャック。
【請求項9】
請求項1に記載の静電チャックであって、更に、
前記ガス入口から前記流路への道筋を構成するプラグ開口部と、
前記プラグ開口部内の多孔性セラミックプラグと、
を備える静電チャック。
【請求項10】
請求項1に記載の静電チャックであって、
前記1つ以上の切り欠きの少なくとも1つは、前記切り欠きの少なくとも一部分について、前記セラミック層を部分的にのみ通る層の堀削穴である、静電チャック。
【請求項11】
請求項1に記載の静電チャックを形成する方法であって、
前記ガス入口が通る前記ベースを提供し、
前記複数のセラミック層を提供し、
前記複数のセラミック層の各層内に前記切り欠きを形成し、
前記複数のセラミック層を、前記複数のセラミック層が前記ウエハセラミックを形成するように貼り合わせること、
を備える方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法であって、
前記複数のセラミック層は、共焼結によって貼り合される、方法。
【請求項13】
請求項11に記載の方法であって、
前記複数のセラミック層は、ガラスフリットによる接合によって貼り合される、方法。
【請求項14】
請求項11に記載の方法であって、
前記複数のセラミック層は、接着剤によって貼り合される、方法。
【請求項15】
プラズマ処理チャンバ内の静電チャックのためのインサートであって、
複数のセラミック層と、各セラミック層は、1つ以上の切り欠きを含み、前記切り欠きは、ガス入口と直接的に又は間接的に流体を連通させる複数の曲がり角を有する流路を形成し、前記流路内の任意の位置において、前記セラミック層内の見通し線であってガス粒子が通り得る最長の直線である見通し線は、任意の方向に4mm未満であり、
上部の前記セラミック層内の切り欠きは、前記インサートへの上部開口部を形成し、
下部の前記セラミック層内の切り欠きは、前記インサートへの下部開口部を形成し、
前記インサートは、前記下部開口部の下方における前記静電チャック内の前記ガス入口から前記下部開口部を通り、次いで前記流路を経て、次いで前記上部開口部を通る流体経路を提供するために、前記静電チャック内のインサート開口部にしっかりと収まるようにサイズ決定されて構成されている、インサート。
【請求項16】
請求項15に記載のインサートであって、
前記インサートは、前記上部開口部又は前記下部開口部がコーティングで塞がれることがないように、1つ以上の側面が電気絶縁材料でコーティングされる、インサート。
【請求項17】
請求項15に記載のインサートを前記静電チャック内に設置する方法であって、
その上面に前記インサート開口部が位置付けられた静電チャックを提供し、
前記下部開口部が前記静電チャックの前記ガス入口と位置が揃うように、前記インサートを前記インサート開口部に挿入すること、
を備える方法。
【請求項18】
請求項17に記載の方法であって、更に、
前記インサートを接合材料によって前記インサート開口部に接合することを備える方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本発明は、処理動作中又は洗浄動作中に、ウエハの裏側への供給を行う静電チャック(「ESC」)の穴内における発光を阻止することに関する。
【0002】
半導体材料処理の設備では、エッチング及び堆積などの動作のために、プラズマ処理チャンバがよく使用される。通常は、半導体ウエハがESCに載せられ、処理中はそこに保持される。ESCは、ウエハの把持側へガスを通してウエハの冷却若しくは加熱を促すための、又はESC表面のプラズマ洗浄中にESC内の穴特徴をパージするための、穴を有していてよい。
【0003】
ESCの穴内に低圧ガスが存在している場合及び電圧勾配が存在している場合は、或る種のグロー放電又はアーク放電が発生するかもしれず、これは、プロセスに対して有害である恐れがある。米国特許第6,033,585号は、分散ガスのための遠回り経路を提供することによって、ESC内のガス分散穴内における発光を回避することを論じており、このような遠回り経路では、発光が阻止される。米国特許第8,503,151号は、アーク放電及び発光を阻止するために誘電体アレスタインサートを使用することを論じている。
【0004】
静電チャック内のガス穴に施されるものとして、米国特許第6,108,189号は、静電チャック内の穴の内側を誘電体材料でコーティングすることによってアーク放電及び発光の問題に対処することを主張している。しかしながら、これは、穴内におけるガス分子の経路長を短くするものではない。また、この特許は、ウエハに面している静電チャック内の穴の開口部に誘電体層を使用することも論じている。誘電体による仕上げ層を通る1本の通路を使用することの問題は、設計次第では、この仕上げ層が、その中を通る1本の通路によって発光が引き起こされるのに十分な厚みを有するかもしれないことである。
【0005】
第6,108,189号特許は、誘電体材料の多孔性プラグを静電チャックの仕上げ層内で使用し、静電チャック内の穴を通るガスに蛇行経路をたどらせるという、別の解決策を説明している。このような構成の多くは、しかしながら、発光を招く可能性がある隙間を残すことがある。また、このような多孔性プラグは、製造及び位置合わせが困難で且つ複雑である恐れがある。
【0006】
静電チャック内における発光を阻止するための、より優れたシステム及び方法であって、効果的であり、粒子が加速されるかもしれない長い広がりの空間が排除され、尚且つ静電チャックの現設計に照らして製造が容易である、システム及び方法が必要とされている。
【発明の概要】
【0007】
本明細書では、発明力のある幾つかの実施形態が説明される。一実施形態では、プラズマ処理チャンバ内で使用するための静電チャックは、ガス入口が通るベースを含んでいてよい。ベースの上方には、プラズマ処理のためにウエハの下に配置するためのウエハセラミックがあってよく、これは、この例では静電チャックの上面を構成している。このウエハセラミックは、複数のセラミック層を含んでいてよく、各セラミック層は、各層を部分的に又は全体的に貫通する1つ以上の切り欠きを含んでいてよく、これらの切り欠きは、ガス入口と直接的に又は間接的に流体を連通させる迷路(入り組んだ経路)を形成する。迷路内の任意の位置において、ウエハセラミック層内の表面への見通し線は、任意の方向に約4mm未満であってよい。
【0008】
別の一実施形態では、上述された静電チャックは、更に、ガス開口部から迷路への通り道を構成しえるプラグ開口部と、このプラグ開口部内の多孔性セラミックプラグとを含んでいてよい。
【0009】
別の一実施形態では、静電チャックは、ガス入口が通るベースを提供する工程と、複数のセラミック層を提供する工程と、各セラミック層内に切り欠きを形成する工程と、セラミック層がウエハセラミックを形成するように、例えば共焼結、ガラスフリットによる接合、接着剤の使用、又はその他の手段によってセラミック層を貼り合わせる工程とを含む工程によって形成されてよい。
【0010】
本明細書で説明される別の一実施形態は、プラズマ処理チャンバ内の静電チャックのためのインサートである。このインサートは、複数のセラミック層を含んでいてよく、各セラミック層は、1つ以上の切り欠き(切り抜き)を含み、これらの切り欠きは、ガス入口と直接的に又は間接的に流体を連通させる迷路を形成する。迷路内の任意の位置において、ウエハセラミック層内の表面への見通し線は、任意の方向に約4mm未満であってよい。上部セラミック層内の切り欠きは、インサートへの上部開口部を形成してよく、下部セラミック層内の切り欠きは、インサートへの下部開口部を形成してよい。また、インサートは、下部開口部の下方における静電チャック内のガス入口から下部開口部を通り、次いで迷路を経て、次いで上部開口部を通る流体経路を提供するために、静電チャック内のインサート開口部にしっかりと収まるようにサイズ決定されて構成されてよい。一実施形態では、上記インサートは、上部開口部又は下部開口部がコーティングで塞がれることがないように、1つ以上の側面が電気絶縁材料でコーティングされてよい。
【0011】
本明細書で説明される別の一実施形態は、請求項15に記載のインサートを静電チャック内に設置する方法である。この方法は、その上面にインサート開口部が位置付けられる静電チャックを提供し、下部開口部が静電チャックのガス入口と位置が揃うように、インサートをインサート開口部に挿入することを含んでよい。一例では、インサートは、接合材料によってインサート開口部に接合されてよい。
【0012】
本発明のこれらの及びその他の特徴が、以下で、以下の図面と関連させて詳細な説明のなかで更に詳しく説明される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
開示された発明は、限定的なものではなく例示的なものとして添付の図面に示されており、図中、類似の参照符号は、同様の要素を指すものとする。
【0014】
図1】静電チャックの一部を示す概略断面図である。
【0015】
図2】ウエハセラミック内における例示としての迷路状の通路一式を示す斜視図である。
【0016】
図3A】例としての迷路状の通路一式を示す上面図である。
図3B】軸A−Aに沿う断面図である。
【0017】
図4】例としての迷路状の通路一式の層1〜5を示す上面図である。
【0018】
図5A】インサート内における例としての迷路状の通路一式を示す上面図である。
図5B】軸A−Aに沿う断面図である。
【0019】
図6】ウエハセラミックの2つの層内における例示としての迷路状の通路一式を示す斜視図であり、図中、幾つかの切り欠きは、層内の一部にのみ彫り込まれている。
【発明を実施するための形態】
【0020】
添付の図面に例示される幾つかの実施形態を参照にして、発明が説明される。以下の詳細な説明では、本発明の完全な理解を与えるために、具体的詳細が明記されている。しかしながら、本発明は、これらの詳細の一部又は全部を伴うことなく実施されてもよく、開示内容は、この技術分野内で一般的に得られる知識にしたがってなされるだろう変更形態もその範囲に含む。本開示内容を不必要に不明瞭にしないように、周知のプロセス工程及び/又は構造は詳細に説明されていない。
【0021】
本明細書で説明されるのは、静電チャック内における発光を阻止するための装置及び方法である。静電チャックの一部の概略断面図である図1には、一実施形態が示されている。静電チャックは、開放チャンバ領域100を含むプラズマ処理チャンバの一部であってよく、この領域内では、プラズマが形成されてよい。静電チャックは、ベース板101を含んでいてよい。ベース板は、接着剤105によってウエハセラミック104に接続されてよい。接着剤は、一実施形態では、シリコーンをベースにしたものであってよい。ウエハセラミックは、一実施形態では、厚さが1〜6mmであってよく、又はより好ましくは、厚さが3〜5mmであってよい。ウエハセラミックの上には、処理のためにウエハ102が載せられてよい。
【0022】
ウエハがチャックの上に載置されたときに、ウエハセラミックとウエハとの間には、狭い隙間103があってよい。一例では、隙間は、幅が約1〜13ミクロン程度であってよく、ただし、設計によって、隙間の幅が異なっていてよい。ウエハの裏側がガスによって冷却されるときは、この隙間は、周囲のチャンバ領域100よりも高い圧力に維持されてよい。ウエハを押し下げる静電力は、この場合、隙間内におけるこのガス圧力に起因する上向きの力と釣り合ってよく又はその上向きの力を上回ってよく、それによって、ウエハをチャックの上に維持するとともに処理時に平坦に維持し、ウエハの温度制御を促している。
【0023】
先行技術による一部の設計では、ウエハの裏側の下の隙間103にヘリウムなどのガスを送るために、細い(約0.5mm)管が使用された。しかしながら、このような管は、長さが増すにつれて、分子及びイオンが電圧勾配によって加速されて発光又はアーク放電を引き起こす長い経路を提供する。隙間は、部分的に拡張されて多孔性プラグを詰められてよいが、このようなプラグは、プラグの位置を揃えること及びプラグの周囲に不要な通路がないように保証することを含む静電チャック上層の組み立てが難しいゆえに、最適ではないだろう。
【0024】
新規の設計の一実施形態では、薄いセラミック層を積み重ねることによって、ウエハセラミック104が形成されてよい。この例では、5つの層があり、ただし、3層、10層、14層、又は15層以上のように、層数は、5層より多くても又は少なくてもよい。これらの層は、一実施形態では、共焼結されて1つのセラミック片を形成してよい、又は例えば接合材料としてのガラスフリットによって貼り合わせる若しくは接着剤を使用するなどのそれ以外のやり方で貼り合されてよい若しくは接合されてよい。これらの薄い層は、切り欠き107を有していてよい。一実施形態では、これらの切り欠きは、セラミックを蓄積した最終的な結果として、ガスを伝える中空の通路特徴が形成され、ただし、発光の発生を抑制又は阻止するだろう迷宮状になるように、各層内で互い違いに配置されてよい。切り欠きは、層全体を貫通して開けられた特徴であってよい、又は層の一部のみに開けられた特徴であってよい。迷路状の通路は、好ましくは、粒子が発光を引き起こすまで加速されるかもしれない1本の真直ぐな経路ではなく、様々な曲がり角によって粒子を通路壁に衝突させてそれによって発光を防ぎえることを特徴とすることが望ましい。ウエハセラミックは、その全域にわたり、ウエハの裏側に至るこのような迷路状の道筋体系を任意の数だけ有していてよい。図1は、このような道筋体系を1つのみ示しているが、同じチャック上のその他の道筋体系も、同様な構成であってよい。切り欠き107は、レーザ切断、研削、掘削、又は層の積層造形などの、多くのやり方で形成されてよい。
【0025】
一実施形態では、迷路状の通路は、最終的にはヘリウムなどのガス源に接続される下からの管106による供給を受けてよい。随意として、この管は、その内部にその他の発光阻止手段を有していてよい。チャックのバルク内に深く通路が入るにつれて、発光が高い可能性で生じえるという問題が少なくなる。例えば、チャックを通ってウエハセラミックに至る経路は、多孔性プラグ108のための切り欠きを1つ以上有していてよい。一実施形態では、プラグは、多孔性の焼結アルミナで形成されてよい。プラグ108がどのように切り欠き内に設置されるかに応じて、多孔性プラグの周囲に通路110があってよい、又は多孔性プラグの上方に幾らかの体積109があってよい。一部の実施形態では、これらの通路及び空間は、別の材料で満たされてよく、或いは、別の実施形態では、体積109が最小限に抑えられるように、プラグは、ベース板101の上方へ持ち上げられてよい。一部の実施形態では、多孔性プラグ108は、その側面を、アルミナ若しくはその他の何らかのセラミック、又はポリマなどの絶縁性材料でコーティングされてよく、好ましくは、その上面及び側面は、コーティングされないままである。これは、アーク放電を生じるかもしれないプラグの領域を絶縁する役割を果たすことができる。
【0026】
図2は、ウエハセラミック内における例示としての迷路状の通路一式を示す斜視図である。ここでは、中空の通路があたかも中身が詰まっているように描かれているが、これらの通路は、ウエハセラミック内では固体材料に取り囲まれた中空の通路である。この特定の例では、通路は、6つの層201〜206内にそれぞれ形成される。各層は、湾曲した経路を形成する。好ましくは、これらの各湾曲経路内で任意の粒子が通りえる最長の直線は、約0.5mm未満であり、ただし、2mm、4mm、又は6mmなどの、より長い経路が使用されてもよい。この例では、ガス粒子は、層206を通ってウエハセラミックに入り、上へ移動して層205内の通路に至り、次いで、一連の各層204、203、202を通り、最後は層201に入ってそこからウエハの下方のガス隙間へ出てよい。
【0027】
図3Aは、別の例としての迷路状の通路一式の上面図であり、図3Bは、軸A−Aに沿う断面図である。この例では、通路は、5層を通る半円形パターンを形成する。ガスは、下方の入口穴301から層5に入り、次いで、迷路状の経路をたどって層内を進み、出口穴302を通って層1から出てよい。これらの各層は、図4に更に詳細に描かれている。この例では、層2及び層4が、半円形通路を含む一方で、層1、層3、及び層5は、層内を上向きに通り抜けることを可能にする穴を含む。
【0028】
別の一実施形態では、静電チャックの上部にウエハセラミック内の開口部によって形成される迷宮状のガス経路の代わりに、静電チャック内の開口部に入れられるインサートとして使用される別個のピース内に迷路状の経路が形成されてよく、その一例は、図5A(上面図)及び図5B(A−Aで切り取った断面図)に示されている。このようなインサートは、例えば、多孔性プラグに代わって類似の役割を果たしえる。これは、別々の層を共焼結する、又はガラスフリット若しくは接着剤によって接合するなどの、上述された層状のウエハセラミックと同様なプロセスによって作成されてよい。各層は、迷路の経路を画定するための、(層全体を貫通して又は層の一部のみに開けられた)切り欠きを有していてよい。一実施形態では、通路を内包するのに十分な固体材料を含む各通路部分が、より大きいセラミック片から切り出されてよい、又は複数の層が、その最終的な大きさで作成されて接合されてよい。一実施形態では、このようなインサートは、電気絶縁材料501でコーティングされてよい。このコーティングは、一実施形態では、下部開口部501及び上部開口部503をそれぞれ塞ぐことがないように、インサートの上部及び底部を除外してインサートの側面に施されてよい。
【0029】
切り欠き片は、一実施形態では、コアドリルを使用して、又はセラミック製造の分野の当業者に知られるその他のセラミック製造技術を使用して作成されてよい。切り欠き片は、次いで、ガスを運ぶことになるセラミック内又はベース板内の嵌め合い穴特徴内に接合されてよい。
【0030】
別の一実施形態では、インサートの各層は、所要の正味サイズに近いサイズに製造されてよい。各層は、焼成又はそれ以外のやり方で接合されてよく、次いで、インサートを所要のサイズに縮小するために最終的な研磨がなされてよい。
【0031】
図6に示された一実施形態では、各層を完全に貫通するのではなく層の一部のみに開けられた切り欠きを使用して、迷路状のパターンが形成されてよい。例えば、1つの層は、互いにつながるように一方の側に掘り抜かれた孔601及び通路602を包含していてよい。この例では、ガスは、孔601に入り、通路602を及び通路603を通って移動し、孔604から出てよい。別の一例では、層の一方の側が、一方向への通路を包含していてよい一方で、層のもう一方の側は、別の一方向への通路を包含していてよく、この場合、これらの2本の通路は、どこかの地点で合流して両者の接続部を形成している。
【0032】
幾つかの好ましい実施形態の観点から、発明の説明がなされているが、本発明の範囲に含まれるものとして、代替形態、置換形態、及び代わりとなる様々な等価形態がある。本明細書で開示される方法及び装置を実現するには、多くの代替のやり方がある。したがって、以下の添付の特許請求の範囲は、本発明の真の趣旨及び範囲に含まれるものとして、このようなあらゆる代替形態、置換形態、及び代わりとなる様々な等価形態を含むと解釈されることを意図している。
適用例1:プラズマ処理チャンバ内で使用するための静電チャックであって、
ガス入口が通るベースと、
前記ベースの上方にあって、前記静電チャックの上面を構成し、プラズマ処理のためにウエハの下に配置するためのウエハセラミックであって、複数のセラミック層を備え、各セラミック層は、1つ以上の切り欠きを含み、前記切り欠きは、前記ガス入口と直接的に又は間接的に流体を連通させる迷路を形成し、前記迷路内の任意の位置において、前記ウエハセラミック層内の表面への見通し線は、任意の方向に約4mm未満である、静電チャック。
適用例2:適用例1に記載の静電チャックであって、
前記層の数は、少なくとも3層である、静電チャック。
適用例3:適用例2に記載の静電チャックであって、
前記層の数は、少なくとも10層である、静電チャック。
適用例4:適用例3に記載の静電チャックであって、
前記層の数は、少なくとも14層である、静電チャック。
適用例5:適用例1に記載の静電チャックであって、
前記ウエハセラミック層内の表面への見通し線は、任意の方向に約2mm未満である、静電チャック。
適用例6:適用例5に記載の静電チャックであって、
前記ウエハセラミック層内の表面への見通し線は、任意の方向に約1mm未満である、静電チャック。
適用例7:適用例6記載に記載の静電チャックであって、
前記ウエハセラミック層内の表面への見通し線は、任意の方向に約0.5mm未満である、静電チャック。
適用例8:適用例1に記載の静電チャックであって、
前記セラミック層の各層のための前記切り欠きは、半円形通路及び孔からなる群より選択され、1つの層内の各孔は、隣接する層内の半円形通路の端と位置を揃えられ、それによって、孔と円形層とで交互するガス経路を形成している、静電チャック。
適用例9:適用例1に記載の静電チャックであって、更に、
前記ガス開口部から前記迷路への道筋を構成するプラグ開口部と、
前記プラグ開口部内の多孔性セラミックプラグと、
を備える静電チャック。
適用例10:適用例1に記載の静電チャックであって、
前記1つ以上の切り欠きの少なくとも1つは、前記切り欠きの少なくとも一部分について、前記層を部分的にのみ通る層の堀削穴である、静電チャック。
適用例11:適用例1に記載の静電チャックを形成する方法であって、
前記ガス入口が通る前記ベースを提供し、
前記複数のセラミック層を提供し、
前記複数のセラミック層の各層内に前記切り欠きを形成し、
前記複数のセラミック層を、前記複数のセラミック層が前記ウエハセラミックを形成するように貼り合わせること、
を備える方法。
適用例12:適用例11に記載の方法であって、
前記複数のセラミック層は、共焼結によって貼り合される、方法。
適用例13:適用例11に記載の方法であって、
前記複数のセラミック層は、ガラスフリットによる接合によって貼り合される、方法。
適用例14:適用例11に記載の方法であって、
前記複数のセラミック層は、接着剤によって貼り合される、方法。
適用例15:プラズマ処理チャンバ内の静電チャックのためのインサートであって、
複数のセラミック層と、各セラミック層は、1つ以上の切り欠きを含み、前記切り欠きは、前記ガス入口と直接的に又は間接的に流体を連通させる迷路を形成し、前記迷路内の任意の位置において、前記ウエハセラミック層内の表面への見通し線は、任意の方向に約4mm未満であり、
上部の前記セラミック層内の切り欠きは、前記インサートへの上部開口部を形成し、
下部の前記セラミック層内の切り欠きは、前記インサートへの下部開口部を形成し、
前記インサートは、前記下部開口部の下方における前記静電チャック内のガス入口から前記下部開口部を通り、次いで前記迷路を経て、次いで前記上部開口部を通る流体経路を提供するために、前記静電チャック内のインサート開口部にしっかりと収まるようにサイズ決定されて構成されている、インサート。
適用例16:適用例15に記載のインサートであって、
前記インサートは、前記上部開口部又は前記下部開口部がコーティングで塞がれることがないように、1つ以上の側面が電気絶縁材料でコーティングされる、インサート。
適用例17:適用例15に記載のインサートを前記静電チャック内に設置する方法であって、
その上面に前記インサート開口部が位置付けられた静電チャックを提供し、
前記下部開口部が前記静電チャックの前記ガス入口と位置が揃うように、前記インサートを前記インサート開口部に挿入すること、
を備える方法。
適用例18:適用例17に記載の方法であって、更に、
前記インサートを接合材料によって前記インサート開口部に接合することを備える方法。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
図6