特許第6948797号(P6948797)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6948797不揮発性金属をパターニングするためのチャンバ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6948797
(24)【登録日】2021年9月24日
(45)【発行日】2021年10月13日
(54)【発明の名称】不揮発性金属をパターニングするためのチャンバ
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/302 20060101AFI20210930BHJP
   H01L 21/3065 20060101ALI20210930BHJP
   H01L 21/31 20060101ALI20210930BHJP
   H05H 1/46 20060101ALI20210930BHJP
【FI】
   H01L21/302 201A
   H01L21/302 101B
   H01L21/302 104C
   H01L21/31 C
   H05H1/46 M
【請求項の数】2
【外国語出願】
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2017-16396(P2017-16396)
(22)【出願日】2017年2月1日
(65)【公開番号】特開2017-152689(P2017-152689A)
(43)【公開日】2017年8月31日
【審査請求日】2020年1月31日
(31)【優先権主張番号】15/017,444
(32)【優先日】2016年2月5日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】592010081
【氏名又は名称】ラム リサーチ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】特許業務法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】メイファ・シェン
(72)【発明者】
【氏名】シュオガン・ホワン
(72)【発明者】
【氏名】トルステン・リル
(72)【発明者】
【氏名】テオ・パナゴポウロス
【審査官】 鈴木 聡一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−343787(JP,A)
【文献】 韓国公開特許第10−2007−0055874(KR,A)
【文献】 特開2004−200345(JP,A)
【文献】 特表2012−513093(JP,A)
【文献】 特開2004−119448(JP,A)
【文献】 特開平08−264515(JP,A)
【文献】 特開2015−192150(JP,A)
【文献】 特開2010−027788(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/302
H01L 21/3065
H01L 21/312−21/32
H01L 21/461
H01L 21/47−21/475
H05H 1/00−1/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャワーヘッドおよび基板を保持するための移動可能なペデスタルを備えた処理チャンバ内で前記基板上の不揮発性金属をエッチングする方法であって、
前記移動可能なペデスタルは、上げ位置にある前記移動可能なペデスタルが、前記移動可能なペデスタルと前記シャワーヘッドとの間の上側チャンバ領域を形成し、かつ、前記移動可能なペデスタルの下方の下側チャンバ領域を形成するように、前記上げ位置または下げ位置に配置されることが可能であり、
前記方法は、
前記移動可能なペデスタルが前記下げ位置にある時に前記基板上の前記不揮発性金属をプラズマに暴露させて、前記不揮発性金属を改質し、改質済みの不揮発性金属を形成する工程と、
前記移動可能なペデスタルが前記上げ位置にある時に前記改質済みの不揮発性金属を有機蒸気に暴露させて、前記改質済みの不揮発性金属を除去する工程と、
を備え、
前記移動可能なペデスタルが前記上げ位置にある時に、前記処理チャンバ内で前記上側チャンバ領域と前記下側チャンバ領域との間に、圧力差が形成される、方法。
【請求項2】
請求項に記載の方法であって、
前記移動可能なペデスタルが前記上げ位置にある時の前記上側チャンバ領域の圧力は、前記移動可能なペデスタルが前記下げ位置にある時の前記下側チャンバ領域の圧力の少なくとも約2〜約10,000倍である、方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
半導体処理は、しばしば、不揮発性金属のエッチングを含む。しかしながら、揮発性の金属副生成物を形成するのは難しいため、不揮発性金属は、しばしば、従来のドライプラズマエッチングリアクタを用いてパターニングすることが困難である。その結果として、従来のエッチング処理は、しばしば、基板の表面上への金属の再蒸着を引き起こし、それにより、信頼性の問題および性能の問題につながる。
【発明の概要】
【0002】
本明細書では、半導体基板を処理するための装置が提供されている。一態様は、半導体基板を処理するための装置を含んでおり、その装置は:処理チャンバであって、処理ガスを装置に分配するためのシャワーヘッドと、半導体基板を保持するための移動可能なペデスタルであって、上げ位置にある移動可能なペデスタルが、移動可能なペデスタルとシャワーヘッドとの間の上側チャンバ領域を形成し、かつ、移動可能なペデスタルの下方の下側チャンバ領域を形成するように、上げ位置または下げ位置に配置されることが可能である、ペデスタルと、ペデスタルが上げ位置に移動された時に、移動可能なペデスタルの縁部と整列できるシャワーヘッドの近くの領域と、を備えた、処理チャンバと;処理ガスをシャワーヘッドに供給するためにシャワーヘッドに接続された流入口と;処理チャンバ内でプラズマを点火するためのプラズマ発生器と;装置の動作を制御するためのコントローラであって、ペデスタルを上げ位置または下げ位置に移動させるためのマシン読み取り可能な命令を備えた、コントローラと、を備え、移動可能なペデスタルが上げ位置にある時に、上側チャンバ領域と下側チャンバ領域との間に、圧力差が形成される。
【0003】
いくつかの実施形態において、移動可能なペデスタルが上げ位置にある時の移動可能なペデスタルの縁部とシャワーヘッドの近くの領域との間の距離は、約0.3mm〜約3mmの間である。シャワーヘッドの近くの領域は、シャワーヘッドと垂直な軸から約45°傾斜されてよい。いくつかの実施形態において、シャワーヘッドの近くの傾斜領域の長さは、約50mm〜約200mmの間である。
【0004】
いくつかの実施形態において、シャワーヘッドの近くの領域は、装置の側壁の一部である。ペデスタルが上げ位置にある時の上側チャンバ領域におけるシャワーヘッドと移動可能なペデスタルとの間の距離は、約1mm〜約2mmの間であってよい。
【0005】
いくつかの実施形態において、移動可能なペデスタルは、ペデスタルの縁部に隣接する隆起領域を備える。様々な実施形態において、シャワーヘッドと平行な表面と、隆起領域の上面との間の距離は、約0mm〜約1mmの間である。隆起領域は、内側縁部および外側縁部を備え、シャワーヘッドの縁部と内側縁部との間の横方向距離は、約10mmである。
【0006】
様々な実施形態において、移動可能なペデスタルの縁部は傾斜している。移動可能なペデスタルの縁部は、移動可能なペデスタルの表面と垂直であってよい。移動可能なペデスタルは、下げ位置と上げ位置との間で、約4インチ〜約6インチ(約10.16センチメートル〜約15.24センチメートル)の間の距離だけ移動できてよい。いくつかの実施形態において、移動可能なペデスタルの厚さは、約50mm〜約100mmの間であってよい。
【0007】
ペデスタルが上げ位置にある時の上側チャンバ領域と下側チャンバ領域との間の圧力差分は、約50mTorr〜約5Torrの間であってよい。いくつかの実施形態において、ペデスタルが上げ位置にある時の上側チャンバ領域の圧力は、ペデスタルが下げ位置にある時のチャンバの圧力の少なくとも約2〜約10,000倍になりえてよい。
【0008】
いくつかの実施形態において、流入口は、約1000sccmを超える流量で有機蒸気を処理チャンバに供給するための流入口を含む。流入口は、プラズマを生成するために、塩素含有処理ガスまたは酸素含有処理ガスをシャワーヘッドに供給するための流入口を含んでもよい。
【0009】
いくつかの実施形態において、コントローラは、さらに、基板上に改質された不揮発性金属を形成するために、ペデスタルが下げ位置にある時にプラズマを基板上の不揮発性金属に導入するためのマシン読み取り可能な命令と、改質された不揮発性金属をエッチングするために、ペデスタルが上げ位置にある時に有機蒸気をチャンバに導入するためのマシン読み取り可能な命令と、を備える。
【0010】
別の態様は、基板を保持するための移動可能なペデスタルを備えた処理チャンバ内で基板上の不揮発性金属をエッチングする方法を含んでおり、移動可能なペデスタルは、上げ位置にある移動可能なペデスタルが、移動可能なペデスタルとシャワーヘッドとの間の上側チャンバ領域を形成し、かつ、移動可能なペデスタルの下方の下側チャンバ領域を形成するように、上げ位置または下げ位置に配置されることが可能であり、方法は:ペデスタルが下げ位置にある時に基板上の不揮発性金属をプラズマに暴露させて、不揮発性金属を改質する工程と;ペデスタルが上げ位置にある時に改質済みの不揮発性金属を有機蒸気に暴露させて、改質済みの不揮発性金属を除去する工程と、を備え、移動可能なペデスタルが上げ位置にある時に、処理チャンバ内で上側チャンバ領域と下側チャンバ領域との間に、圧力差が形成される。
【0011】
様々な実施形態において、ペデスタルが上げ位置にある時の上側チャンバ領域の圧力は、ペデスタルが下げ位置にある時のチャンバの圧力の少なくとも約2〜約10,000倍である。
【0012】
これらの態様および他の態様について、図面を参照しつつ以下でさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】開示の実施形態に従って装置の例を示す概略図。
【0014】
図2A図1の装置例の一部を示す拡大概略図。
【0015】
図2B図2Aの一部を示す拡大概略図。
【0016】
図3A】ペデスタルが下げ位置にある状態の装置例を示す概略図。
【0017】
図3B】ペデスタルが上げ位置にある状態の装置例を示す概略図。
【0018】
図3C図3Bの一部を示す拡大概略図。
【0019】
図4A】開示の実施形態に従って実行されうる方法を実行するための工程の処理フローチャート。
【0020】
図4B】開示の実施形態に従った装置で実行されうる方法を実行するための工程の処理フローチャート。
【0021】
図4C】開示の実施形態に従った装置で実行されうる方法のサイクルの一例を示すタイミングシーケンス図。
【0022】
図4D】開示の実施形態に従った装置で実行できる方法を施されうる基板の例を示す概略図。
図4E】開示の実施形態に従った装置で実行できる方法を施されうる基板の例を示す概略図。
図4F】開示の実施形態に従った装置で実行できる方法を施されうる基板の例を示す概略図。
図4G】開示の実施形態に従った装置で実行できる方法を施されうる基板の例を示す概略図。
【0023】
図5】実験で用いられた処理チャンバの領域を示す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下の説明では、提示した実施形態の完全な理解を促すために、数多くの具体的な詳細事項が示されている。開示された実施形態は、これらの具体的な詳細事項の一部またはすべてがなくとも実施可能である。また、開示した実施形態が不必要に不明瞭となることを避けるため、周知の処理動作の詳細な説明は省略した。開示した実施形態は、具体的な実施形態に関連して説明されているが、開示した実施形態を限定する意図はないことを理解されたい。
【0025】
半導体処理は、不揮発性金属のエッチングを含んでおり、従来のドライプラズマエッチングリアクタを用いてパターニングおよびエッチングを行うことが難しい。不揮発性金属の例は、銅、コバルト、プラチナ、パラジウム、鉄、および、イリジウムを含む。かかる不揮発性金属は、特有の電気特性および磁気特性を有しうるため、磁気抵抗ランダムアクセスメモリ(MRAM)の製造など、高度なメモリおよびロジックアプリケーションに利用されうる。従来のプラズマリアクタにおいて、不揮発性金属の揮発性副生成物を形成して、これらの金属をエッチングすることは困難である。揮発性のエッチング副生成物は、基板表面上に再蒸着されることなしに処理チャンバから容易に除去されうるので、かかる物質を形成することが望ましい。従来のように、金属は、ウェット化学溶液に溶解されてもよいし、有機蒸気溶媒に溶解されてもよい。しかしながら、ウェット環境からドライ環境への移行には時間が掛かるため、スループットが低下する。さらに、ウェット技術は、サブ10nmの技術ノードで基板をエッチングするのに必ずしも適していないことがある。
【0026】
装置
本明細書では、不揮発性金属のエッチングに適した装置およびエッチング方法が提供されている。本明細書に記載の装置の例は、不揮発性金属をエッチングするために用いられてよいが、本明細書に記載の装置は、任意のタイプのウエハのエッチングまたは処理に適しうることがわかるだろう。
【0027】
様々な実施形態において、装置は、上側チャンバ領域および下側チャンバ領域を備えるよう構成されてよいデュアルゾーン圧力プラズマリアクタまたは処理チャンバを備える。図1は、処理チャンバ102を備えた装置の一例100を示す概略図である。処理チャンバ102は、処理ガスを処理領域195へ供給するためのシャワーヘッド115を備えてよい。処理チャンバ102の側壁は、シャワーヘッド115の位置またはその近くにある処理チャンバ側壁の領域180がペデスタル160の傾斜した縁部と整列するように傾斜されてよく、ペデスタル160は、処理チャンバ102内で垂直方向に、(上げ位置まで)上へ移動すると共に、(下げ位置まで)下へ移動することができる。領域180が傾斜し、図1に示されたペデスタル縁部が傾斜しているが、いくつかの実施形態において、領域180は、垂直なペデスタル縁部と垂直に整列することに注意されたい。ペデスタル160は、処理が施されうる間、ウエハまたは基板112を保持しうる。ペデスタル160の厚さは、約50mm〜約100mmの間であってよい。いくつかの実施形態において、ペデスタル160は、後述するように、その場でプラズマを生成するためのカソードとして機能する。
【0028】
シャワーヘッド115は、処理ガスをウエハ112に分配する。図1に示した実施形態において、ウエハ112は、シャワーヘッド115の下方に配置され、ペデスタル160上に図示されている。シャワーヘッド115は、任意の適切な形状を有してよく、ウエハ112へ処理ガスを分配するための任意の適切な数および配列のポートを有してよい。シャワーヘッド115は、領域145と処理領域195との間で処理チャンバ102を分離してよい。いくつかの実施形態において、シャワーヘッド115を介してウエハ112へガスを供給する前に、予め選択された圧力で領域145へガスが供給されてよい。いくつかの実施形態において、ペデスタル160は、ウエハ112をウエハ112とシャワーヘッド115との間の空間に露出させるために、上げ位置または下げ位置にあってよい。ペデスタル160が上げ位置と下げ位置との間で移動されうる距離は、チャンバのサイズによって決まりうる。本明細書で用いる「上げ」および「下げ」という用語は、ペデスタル160の表面が地面と実質的に平行である場合に、軸に沿って相対的なものである。いくつかの実施形態において、上げ位置は、ペデスタル160の表面が、チャンバ102の対向する面(シャワーヘッド115がチャンバ102に配置されうる位置など)に比較的近くなる位置である。いくつかの実施形態において、ペデスタル160が上げ位置と下げ位置との間で移動されうる距離は、約4インチ〜約6インチ(約10.16センチメートル〜約15.24センチメートル)の間であってよい。いくつかの実施形態において、ペデスタルの高さは、適切なコントローラ175によってプログラム的に調節されてよいことがわかる。
【0029】
様々な実施形態において、図2Aおよび図2Bに関して後に詳述するように、処理領域195は、ペデスタル160が上げ位置にある時に2つの領域に分割されうることに注意されたい。いくつかの実施形態において、ペデスタル160の高さを調節することは、本明細書に記載のプラズマ処理中にプラズマ密度を変化させることを可能にしうる。処理段階の最後に、ペデスタル160は、ウエハ112の別の動作、または、ペデスタル160からウエハ112を回収できるようにするための別のウエハ移送段階、を実行するために下げられてよい。いくつかの実施形態において、ペデスタル160は、ウエハ112の向きを回転させるための回転軸を備えてよい。いくつかの実施形態において、これらの調節の例の内の1または複数は、1または複数の適切なコントローラ175によってプログラム的に実行されてよいことがわかる。コントローラ175は、図3Aおよび図3Bに関して後述するコントローラのいずれかであってよい。
【0030】
いくつかの実施形態において、ペデスタル160は、ヒータ110を用いて温度制御されてよい。さらに、いくつかの実施形態において、装置100の圧力制御が、バタフライバルブ118によって提供されてもよい。図1の実施形態に示すように、バタフライバルブ118は、下流の真空ポンプ(図示せず)によって提供された真空をスロットル調整する。しかしながら、いくつかの実施形態において、装置100の圧力制御は、装置100に導入される1または複数のガスの流量を変化させることによって調節されてもよい。
【0031】
処理チャンバ102は、分配シャワーヘッド115に処理ガスまたは蒸気を供給するための反応物質供給システム101と流体連通してよい。反応物質供給システム101は、シャワーヘッド115への供給に向けてエッチングガスなどの処理ガスを混合および/または調整するための混合容器104を備える。別個の混合容器(図示せず)が、有機蒸気ガスの混合および/または調整に用いられてもよい。1または複数の混合容器入口バルブ120が、混合容器104への処理ガスの導入を制御しうる。エッチングプラズマが、シャワーヘッド115に供給されてもよいし、処理チャンバ102で生成されてもよい。
【0032】
例えば、図1の実施形態は、混合容器104に供給される液体反応物質を気化させるための気化ポイント103を備える。いくつかの実施形態において、気化ポイント103は、加熱された気化器であってよい。かかる気化器から生成された飽和反応物質蒸気は、下流の供給配管内で凝結しうる。凝結した反応物質に相性の悪いガスを暴露させると、小粒子が発生しうる。これらの小粒子は、配管を詰まらせる、バルブ動作を妨げる、基板を汚染するなどの可能性がある。これらの課題に対処するためのいくつかのアプローチは、残留した反応物質を除去するために、供給配管をパージおよび/または排気することを含む。しかしながら、供給配管をパージすることは、処理ステーションのサイクル時間を長くして、処理ステーションのスループットを低下させうる。したがって、いくつかの実施形態において、気化ポイント103の下流の供給配管が、ヒートトレースされてもよい。いくつかの例では、混合容器104がヒートトレースされてもよい。非限定的な一例において、気化ポイント103の下流の配管は、約100℃から混合容器104で約150℃まで増加してゆく温度プロファイルを有する。
【0033】
プラズマが利用されうるいくつかの実施形態において、シャワーヘッド115およびペデスタル160は、プラズマに電力供給するために、高周波(RF)電源114および整合回路網116と電気的に通信する。いくつかの実施形態において、プラズマエネルギは、処理ステーション圧力、ガス濃度、RF源電力、RF源周波数、および、プラズマ電力パルスタイミングの内の1または複数を制御することによって制御されてよい。例えば、RF電源114および整合回路網116は、所望の組成のプラズマ種を有するプラズマを形成するために、任意の適切な電力で動作されてよい。同様に、RF電源114は、任意の適切な周波数のRF電力を供給してよい。いくつかの実施形態において、RF電源114は、高周波RF電源および低周波RF電源を互いに独立して制御するよう構成されてよい。低周波RF周波数の例は、0kHzから500kHzの間の周波数を含みうるが、これに限定されない。高周波RF周波数の例は、以下を含むがこれらに限定されない:1.8MHz〜2.45GHzの間の周波数、約13.56MHzより大きい周波数、27MHzより大きい周波数、40MHzより大きい周波数、または、60MHZより大きい周波数。任意の適切なパラメータが、表面反応にプラズマエネルギを提供するために離散的または連続的に調整されてよいことがわかる。
【0034】
いくつかの実施形態において、プラズマは、1または複数のプラズマモニタ(図示せず)によってその場で監視されてよい。1つのシナリオでは、プラズマ電力が、1または複数の電圧または電流センサ(例えば、VIプローブ)によって監視されてよい。別のシナリオでは、プラズマ密度および/または処理ガス濃度が、1または複数の発光分光法センサ(OES)によって測定されてもよい。いくつかの実施形態において、1または複数のプラズマパラメータが、かかるその場プラズマモニタからの測定値に基づいてプログラム的に調整されてよい。例えば、OESセンサが、プラズマ電力のプログラム制御を提供するためにフィードバックループで用いられてよい。いくつかの実施形態において、他のモニタが、プラズマおよびその他の処理特性を監視するために用いられてもよいことがわかる。かかるモニタは、赤外線(IR)モニタ、音声モニタ、および、圧力変換器を含みうるが、これらに限定されない。
【0035】
図2Aは、ペデスタル260の表面上にウエハがない状態でペデスタル260が上げ位置にある図1の領域180の実施形態を示す拡大図である。図2Aには図示されていないが、ウエハが、シャワーヘッド215とペデスタル260の表面との間でペデスタル260上に配置されるように、シャワーヘッド215の下方のペデスタル260上に載置されうることに注意されたい。
【0036】
図2Aに示すように、ペデスタル260が上げ位置にある時、図1の処理空間195は、上側チャンバ領域240および下側チャンバ領域299に分けられてよい。上側チャンバ領域240は、ペデスタル260が上げ位置にある時、シャワーヘッド215とウエハとの間の処理チャンバの領域として規定されてよい。
【0037】
様々な実施形態において、シャワーヘッド215は、ギャップ262だけペデスタル260の表面から隔てられてよい。ギャップ262は、図2Aに示すように、シャワーヘッド215と、ペデスタル260の表面の上部の平坦領域(すなわち、250に示す隆起領域以外の領域)との間の距離として定義されてよい。ギャップ262は、約1mmの間であってよい。いくつかの実施形態において、ギャップ262は、上側チャンバ領域240のサイズを規定するように、シャワーヘッド215とペデスタル260上のウエハとの間の距離であってよい。
【0038】
ギャップ220のサイズおよび傾斜領域280の長さ224は、上側チャンバ領域240と下側領域299との間の圧力差を生み出すために調節されてよい。ペデスタルが上げ位置にある時の上側チャンバ領域と下側チャンバ領域との間の圧力差分は、約50mTorr〜約5Torrの間であってよい。これは、いくつかの実施形態において、上側チャンバ領域240内で高圧環境を形成するために用いられてよい。例えば、いくつかの実施形態において、ウエハを高圧環境に暴露することが適切でありうる。高圧環境を確立できる上側チャンバ領域240の形成は、ペデスタル260を上げ位置および下げ位置の間で移動させることによって、同じ処理チャンバ内でウエハを高圧環境および低圧環境の両方に暴露させることを可能にし、それにより、ウエハ処理効率およびスループットを改善する。ギャップ220は、チャンバの傾斜した側壁上の1点と、ペデスタル260の傾斜した縁部上の1点との間の最短距離によって規定される幅として定義されてよい。様々な実施形態において、ギャップ220は、約0.3mm〜約3mmの間であってよい。
【0039】
いくつかの実施形態において、シャワーヘッド215は、約150mmの半径を有してよい。いくつかの実施形態において、シャワーヘッド215は、Yなどの材料の薄層で被覆されてよく、接地されたアルミニウムプレートであってよい。いくつかの実施形態において、シャワーヘッドは、シャワーヘッド215が処理チャンバの上部の長さ全体にわたらず、シャワーヘッドの中心と、処理チャンバ壁が領域280で傾斜する点との間の距離210が約165mmになるように、処理チャンバの上部に取り付けられる。例えば、いくつかの実施形態において、シャワーヘッドの縁部と、処理チャンバの側壁が傾斜している縁部との間の距離は、約15mmであってよい。様々な実施形態において、ペデスタルの中心から処理チャンバの垂直側壁の縁部までの距離232は、約200mm〜約300mmの間であってよい。傾斜領域280の長さ224は、約50mm〜約200mmの間であってよい。
【0040】
いくつかの実施形態において、不活性ガス(「カーテンガス」とも呼ばれうる)が、上側チャンバ領域240から下側チャンバ領域299へのガス(有機蒸気など)の拡散または漏れを防ぐために用いられる。不活性ガスは、ギャップ220に沿って注入されてよく、シャワーヘッド215の外径上の一連の穴(図示せず)によってポンプアウトされてよい。
【0041】
図2Aに示すように、ペデスタル260は、ウエハがペデスタル上に配置された時に、隆起領域285がウエハの縁部を囲むように、ペデスタル260の縁部に隆起領域285を有してよい。隆起領域285は、250内に図示されており、図2Bは、この領域の拡大図を示している。図2Bに示すように、シャワーヘッド215は、処理チャンバの上部の位置またはその近くにあり、シャワーヘッド215の縁部は、ペデスタル260の隆起領域285の内縁から距離275にある。距離275は、約10mmであってよい。隆起領域285の幅270は、いくつかの実施形態において、約5mmであってよい。隆起領域285は、隆起領域285がシャワーヘッドの縁部から伸びる処理チャンバの上部に接触した時に、ペデスタルが、処理領域195の残り部分から遮断された上側チャンバ領域240を形成するように、処理されるウエハの厚さよりも大きい厚さを有してよい。いくつかの実施形態において、隆起領域285は、いくつかの実施形態においてギャップ278が0mmになりうるように上側チャン領域240を囲むことにより、上側チャンバ領域240を下側チャンバ領域299から完全に分離してよい。隆起領域285は、図2Aの上側チャンバ領域240と、チャンバの下側チャンバ領域299との間の圧力差を維持するのに役立ちうる。図2Bを参照すると、傾斜領域がペデスタルの縁部から逸れる角度272は、約45℃であってよい。隆起領域285の外縁と、処理チャンバの上部が傾斜する点との間の距離271は、約1mm〜約2mmの間であってよい。
【0042】
図1図2A、および、図2Bは、シャワーヘッドの位置またはその近くに処理チャンバ側壁の対応する傾斜縁部を持つ傾斜縁部を備えたペデスタルを図示しているが、いくつかの実施形態において、縁部が傾斜しなくてもよいことに注意されたい。処理チャンバのシャワーヘッドの位置またはその近くの領域に対応する垂直側壁を持つ垂直縁部を備えたペデスタルを含むチャンバの実施形態の例を、図3A図3Cに提供する。
【0043】
図3Aは、ペデスタル360aが下げ位置にあるチャンバ300aを示す。図3Aおよび図3Bに示すチャンバ300aは、2ステーションツールまたは4ステーションツールなど、マルチステーションツールの一部であってよい。いくつかの実施形態において、チャンバ300aは、シングルステーションツールであってよい。開示された実施形態は、1または複数のステーションまたはチャンバ内で実行されてよい。
【0044】
ウエハ312aが、ペデスタル360aの表面上に載置されている。チャンバ300aは、シャワーヘッド315を備える。シャワーヘッド315は、シャワーヘッド315への供給前に、混合容器304にガスを供給するための搬送ガス流入口323および蒸気加熱流入口313を備えてよい。シャワーヘッド315は、領域380に結合されてよく、領域380は、図3Bに示すようにペデスタル306bが上げ位置にある時に、上側チャンバ領域340と下側チャンバ領域399との間の圧力差を確立するために用いられてよい。図3Bにおいて、ウエハ312bは、領域380の境界内に配置されており、上側チャンバ340が形成されていることに注意されたい。
【0045】
図3Cは、領域380の拡大図である。図3Cに示すように、ペデスタル360bは、ギャップ320を残しつつ、領域380に隣接して配置される。距離324は、上側チャンバ領域340と下側チャンバ領域399との間の圧力差の確立の助けとして用いられる領域380の高さであってよい。ギャップ320の幅は、図2Aの距離220に関して上述した距離のいずれかであってよい。距離324は、図2Aの距離224に関して上述した長さのいずれかであってよい。
【0046】
図3Aおよび図3Bを参照すると、下げ位置から図3Bに示した上げ位置へのペデスタル360aの移動は、システムコントローラ375によって制御されてよい。処理チャンバ300aに出入りする処理ガスの流量の変化も、システムコントローラ375によって制御されてよい。
【0047】
システムコントローラ375は、1または複数のメモリデバイスと、1または複数のマスストレージデバイスと、1または複数のプロセッサと、を備えてよい。プロセッサは、CPUまたはコンピュータ、アナログおよび/またはデジタル入力/出力接続、ステッパモータコントローラボードなどを備えてよい。
【0048】
いくつかの実施形態において、システムコントローラ375は、処理チャンバ300aの動作すべてを制御する。システムコントローラ375は、マスストレージデバイスに格納され、メモリデバイスにロードされ、プロセッサ上で実行されるシステム制御ソフトウェアを実行する。あるいは、制御ロジックがコントローラ375にハードコードされてもよい。これらの目的で、特定用途向け集積回路、プログラム可能論理デバイス(例えば、フィールドプログラマブルゲートアレイすなわちFPGA)などが用いられてもよい。以下では、「ソフトウェア」または「コード」が利用される場合、機能的に同等のハードコードされたロジックが代わりに利用されうる。システム制御ソフトウェアは、ペデスタルの位置;タイミング;ガスの混合;ガス流量;チャンバおよび/またはステーションの圧力;チャンバおよび/またはステーションの温度;目標電力レベル;RF電力レベル;ペデスタルの温度;チャックおよび/またはサセプタの位置;ならびに、処理チャンバ300aによって実行される特定の処理の他のパラメータ、を制御するための命令を備えてよい。システム制御ソフトウェアは、任意の適切な方法で構成されてよい。例えば、様々な処理ツールの処理を実行するために用いられる処理ツール構成要素の動作を制御するために、様々な処理ツール構成要素サブルーチンまたは制御オブジェクトが書かれてよい。システム制御ソフトウェアは、任意の適切なコンピュータ読み取り可能プログラム言語でコードされてよい。
【0049】
いくつかの実施形態において、システム制御ソフトウェアは、上述の様々なパラメータを制御するための入力/出力制御(IOC)シーケンス命令を備えてよい。システムコントローラ375に関連付けられたマスストレージデバイスおよび/またはメモリデバイスに格納された他のコンピュータソフトウェアおよび/またはプログラムが、いくつかの実施形態において用いられてもよい。この目的のためのプログラムまたはプログラムセクションの例は、ウエハ位置決めプログラム、処理ガス制御プログラム、圧力制御プログラム、ヒータ制御プログラム、および、プラズマ制御プログラムを含む。
【0050】
ウエハ位置決めプログラムは、ウエハをペデスタル375上にロードすると共にウエハと処理チャンバ300aの他の部品との間の間隔を制御するために用いられる処理ツール構成要素のためのプログラムコードを備えてよい。
【0051】
処理ガス制御プログラムは、ガス組成(例えば、本明細書に記載のように、ヨウ素含有シリコン前駆体ガス、窒素含有ガス、搬送ガス、および、パージガス)および流量を制御するため、ならびに、任意選択的に、処理ステーション内の圧力を安定させるために蒸着の前に1または複数の処理ステーション内にガスを流すためのコードを備えてよい。圧力制御プログラムは、例えば、処理ステーションの排気システムのスロットルバルブ、処理ステーションへのガス流量などを調節することにより、処理ステーション内の圧力を制御するためのコードを備えてよい。
【0052】
ヒータ制御プログラムは、ウエハを加熱するために用いられる加熱ユニットへの電流を制御するためのコードを備えてよい。あるいは、ヒータ制御プログラムは、ウエハへの熱伝導ガス(ヘリウムなど)の供給を制御してもよい。
【0053】
プラズマ制御プログラムは、本明細書の実施形態に従って、1または複数の処理ステーション内の処理電極に印加されるRF電力レベルを設定するためのコードを備えてよい。
【0054】
圧力制御プログラムは、本明細書の実施形態に従って、反応チャンバ内の圧力を維持するためのコードを備えてよい。
【0055】
いくつかの実施形態において、システムコントローラ375に関連したユーザインターフェースがあってよい。ユーザインターフェースは、表示スクリーン(装置および/または処理条件のグラフィカルソフトウェアディスプレイ)と、ポインティングデバイス、キーボード、タッチスクリーン、マイクなどのユーザ入力デバイスと、を含みうる。
【0056】
いくつかの実施形態において、システムコントローラ375によって調整されるパラメータは、処理条件に関してよい。非限定的な例として、処理ガスの組成および流量、温度、圧力、プラズマ条件(RFバイアス電力レベルなど)などが挙げられる。これらのパラメータは、レシピの形態でユーザに提供されてよく、ユーザインターフェースを用いて入力されうる。
【0057】
処理を監視するための信号が、様々な処理ツールセンサから、システムコントローラ375のアナログおよび/またはデジタル入力接続によって提供されてよい。処理を制御するための信号は、処理チャンバ300aのアナログおよびデジタル出力接続で出力されてよい。監視されうる処理ツールセンサの非限定的な例は、マスフローコントローラ、圧力センサ(圧力計など)、熱電対などを含む。適切にプログラムされたフィードバックアルゴリズムおよび制御アルゴリズムが、処理条件を維持するためにこれらのセンサからのデータと共に用いられてよい。
【0058】
システムコントローラ375は、上述の蒸着処理を実施するためのプログラム命令を提供しうる。プログラム命令は、DC電力レベル、RFバイアス電力レベル、圧力、温度など、様々なプロセスパラメータを制御しうる。命令は、本明細書に記載の様々な実施形態に従って薄膜スタックのその場蒸着を動作させるためにパラメータを制御しうる。
【0059】
システムコントローラ375は、通例、1または複数のメモリデバイスと、装置が開示の実施形態に従って方法を実行するように命令を実行するよう構成された1または複数のプロセッサと、を備える。開示された実施形態に従った処理動作を制御するための命令を含むマシン読み取り可能媒体が、システムコントローラ375に接続されてよい。
【0060】
いくつかの実施例において、システムコントローラ375は、システムの一部であり、システムは、上述の例の一部であってよい。かかるシステムは、1または複数の処理ツール、1または複数のチャンバ、処理のための1または複数のプラットフォーム、および/または、特定の処理構成要素(ウエハペデスタル、ガスフローシステムなど)など、半導体処理装置を備えうる。これらのシステムは、半導体ウエハまたは基板の処理前、処理中、および、処理後に、システムの動作を制御するための電子機器と一体化されてよい。電子機器は、「コントローラ」と呼ばれてもよく、システムの様々な構成要素または副部品を制御しうる。システムコントローラ375は、処理条件および/またはシステムのタイプに応じて、処理ガスの供給、温度設定(例えば、加熱および/または冷却)、圧力設定、真空設定、電力設定、高周波(RF)発生器設定、RF整合回路設定、周波数設定、流量設定、流体供給設定、位置および動作設定、ならびに、ツールおよび他の移動ツールおよび/または特定のシステムと接続または結合されたロードロックの内外へのウエハ移動など、本明細書に開示の処理のいずれを制御するようプログラムされてもよい。
【0061】
概して、システムコントローラ375は、命令を受信する、命令を発行する、動作を制御する、洗浄動作を可能にする、エンドポイント測定を可能にすることなどを行う様々な集積回路、ロジック、メモリ、および/または、ソフトウェアを有する電子機器として定義されてよい。集積回路は、プログラム命令を格納するファームウェアの形態のチップ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)として定義されるチップ、および/または、プログラム命令(例えば、ソフトウェア)を実行する1または複数のマイクロプロセッサまたはマイクロコントローラを含みうる。プログラム命令は、様々な個々の設定(またはプログラムファイル)の形態でシステムコントローラ375に伝えられて、半導体ウエハに対するまたは半導体ウエハのための特定の処理を実行するための動作パラメータ、もしくは、システムへの動作パラメータを定義する命令であってよい。動作パラメータは、いくつかの実施形態において、ウエハの1または複数の層、材料、金属、酸化物、シリコン、二酸化シリコン、表面、回路、および/または、ダイの加工中に1または複数の処理工程を達成するために処理エンジニアによって定義されるレシピの一部であってよい。
【0062】
システムコントローラ375は、いくつかの実施例において、システムと一体化されるか、システムに接続されるか、その他の方法でシステムとネットワーク化されるか、もしくは、それらの組み合わせでシステムに結合されたコンピュータの一部であってもよいし、かかるコンピュータに接続されてもよい。例えば、システムコントローラ375は、「クラウド」内にあってもよいし、ウエハ処理のリモートアクセスを可能にできるファブホストコンピュータシステムの全部または一部であってもよい。コンピュータは、現在の処理のパラメータを変更する、現在の処理に従って処理工程を設定する、または、新たな処理を開始するために、システムへのリモートアクセスを可能にして製造動作の現在の進捗を監視する、過去の製造動作の履歴を調べる、複数の製造動作からの傾向または性能指標を調べうる。いくつかの例では、リモートコンピュータ(例えば、サーバ)が、ネットワーク(ローカルネットワークまたはインターネットを含みうる)を介してシステムに処理レシピを提供してよい。リモートコンピュータは、パラメータおよび/または設定の入力またはプログラミングを可能にするユーザインターフェースを備えてよく、パラメータおよび/または設定は、リモートコンピュータからシステムに通信される。いくつかの例において、システムコントローラ375は、データの形式で命令を受信し、命令は、1または複数の動作中に実行される処理工程の各々のためのパラメータを指定する。パラメータは、実行される処理のタイプならびにシステムコントローラ375がインターフェース接続するまたは制御するよう構成されたツールのタイプに固有であってよいことを理解されたい。したがって、上述のように、システムコントローラ375は、ネットワーク化されて共通の目的(本明細書に記載の処理および制御など)に向けて動作する1または複数の別個のコントローラを備えることなどによって分散されてよい。かかる目的のための分散コントローラの一例は、チャンバでの処理を制御するために協働するリモートに配置された(プラットフォームレベルにある、または、リモートコンピュータの一部として配置されるなど)1または複数の集積回路と通信するチャンバ上の1または複数の集積回路である。
【0063】
限定はしないが、システムの例は、プラズマエッチングチャンバまたはモジュール、蒸着チャンバまたはモジュール、スピンリンスチャンバまたはモジュール、金属メッキチャンバまたはモジュール、洗浄チャンバまたはモジュール、ベベルエッジエッチングチャンバまたはモジュール、物理蒸着(PVD)チャンバまたはモジュール、化学蒸着(CVD)チャンバまたはモジュール、ALDチャンバまたはモジュール、原子層エッチング(ALE)チャンバまたはモジュール、イオン注入チャンバまたはモジュール、トラックチャンバまたはモジュール、ならびに、半導体ウエハの加工および/または製造に関連するかまたは利用されうる任意のその他の半導体処理システムを含みうる。
【0064】
上述のように、ツールによって実行される1または複数の処理工程に応じて、システムコントローラ375は、他のツール回路またはモジュール、他のツール構成要素、クラスタツール、他のツールインターフェース、隣接するツール、近くのツール、工場の至る所に配置されるツール、メインコンピュータ、別のコントローラ、もしくは、半導体製造工場内のツール位置および/またはロードポートに向かってまたはそこからウエハのコンテナを運ぶ材料輸送に用いられるツール、の内の1または複数と通信してもよい。
【0065】
本明細書に開示された方法を実行するのに適切な装置については、2011年4月11日出願の米国特許出願第13/084,399号(現在の米国特許第8,728,956号)「PLASMA ACTIVATED CONFORMAL FILM DEPOSITION」、および、2011年4月11日出願の米国特許出願第13/084,305号「SILICON NITRIDE FILMS AND METHODS」でさらに議論および説明されており、これらの出願は、全体が本明細書に組み込まれる。
【0066】
いくつかの実施形態において、処理チャンバ300a(または、図1の装置100)は、ウエハを操作するためのより大きい装置またはツール内に実装されてよい。
【0067】
本明細書に記載の装置/処理は、例えば、半導体デバイス、ディスプレイ、LED、光起電力パネルなどの加工または製造のために、リソグラフィパターニングツールまたは処理と共に用いられてもよい。通例、必ずしもそうとは限らないが、かかるツール/処理は、共通の製造施設で一緒に利用または実行されている。薄膜のリソグラフィパターニングは、通例、以下の動作の一部または全部を含み、各動作は、複数の可能なツールで実現される:(1)スピンオンまたはスプレーオンツールを用いて、ワークピース(すなわち、ウエハ)上にフォトレジストを塗布する工程;(2)ホットプレートまたは炉またはUV硬化ツールを用いて、フォトレジストを硬化させる工程;(3)ウエハステッパなどのツールで可視光またはUVまたはX線にフォトレジストを暴露させる工程;(4)ウェットベンチなどのツールを用いて、選択的にレジストを除去することによってパターニングするためにレジストを現像する工程;(5)ドライエッチングツールまたはプラズマ支援エッチングツールを用いて、下層の膜またはワークピースにレジストパターンを転写する工程;ならびに、(6)RFプラズマまたはマイクロ波プラズマレジストストリッパなどのツールを用いて、レジストを除去する工程。
【0068】
方法
本明細書に記載の装置は、半導体基板などのウエハに様々な方法を実施するために用いられてよい。方法の一例が、開示された実施形態の応用例として本明細書に記載されている。
【0069】
上述のように、不揮発性金属は、しばしば、従来の装置でエッチングすることが困難である。しかしながら、本明細書に記載の開示された装置は、プラズマへの事前暴露で改質された改質済みの不揮発性金属をエッチングするために、不揮発性金属を含む基板が高圧領域で有機蒸気に暴露されうるように、同じ処理チャンバ内で高圧段階および低圧段階を用いて不揮発性金属を効率的にエッチングするために用いられてよい。本明細書に記載の装置の開示された実施形態で不揮発性金属のエッチング動作を実行する利点は、1または複数のチャンバまたはステーション内でエッチングを実行できること、ならびに、ウェット処理とドライ処理との間で基板を移動する必要なしに、ドライエッチング処理を実行できることを含む。
【0070】
図4Aは、開示されている装置の実施形態において実行されうる動作を実行するための処理フローチャートを示す。工程452で、基板が、処理チャンバに供給される。
【0071】
基板は、シリコンウエハ、例えば、200mmウエハ、300mmウエハ、または、450mmウエハであってよく、誘電材料、導電材料、または、半導体材料などの1または複数の材料層を上に蒸着されたウエハを含みうる。下層の非限定的な例は、誘電層および導電層を含み、例えば、酸化シリコン、窒化シリコン、炭化シリコン、金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物、および、金属層などである。様々な実施形態において、基板は、不揮発性金属を含んでよく、磁気デバイスを形成するために用いられてよい。
【0072】
処理チャンバは、任意の適切なチャンバであってよい。様々な実施形態において、本明細書に記載の開示されている方法は、単一のチャンバ内で実行されてよい。いくつかの実施形態において、処理チャンバは、図1図3Cに関して上述したチャンバのいずれであってもよい。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の方法は、2ステーションツールなど、2つのチャンバで実行されてもよい。いくつかの実施形態において、開示されている実施形態は、4ステーションツールなど、4つのチャンバで実行されてもよい。図4Aに記載の1または複数の工程が、同じツールの異なるステーションで、または、同じステーションで実行されてよい。マルチステーションツールが、同時に複数のウエハを処理してもよい。
【0073】
工程454〜460で、不活性ガスが流されてよい。様々な実施形態において、不活性ガスは、搬送ガスとして用いられる。搬送ガスの例は、アルゴン、ヘリウム、および、ネオンを含む。いくつかの実施形態において、水素含有搬送ガスが用いられてよい。いくつかの実施形態において、搬送ガスは、いくつかの工程でパージガスとして用いられる。いくつかの実施形態において、搬送ガスは分流される。不活性ガスは、処理チャンバの圧力および/または温度の制御、液体反応物質の蒸発、反応物質のより迅速な供給を助けるために、ならびに/もしくは、処理ガスを処理チャンバおよび/または処理チャンバ配管から除去するためのスイープガスとして、供給されてよい。
【0074】
工程454で、不揮発性金属を含む基板表面が改質されてよい。基板の表面の改質は、不揮発性金属が、後述のように後の処理で有機蒸気を用いたエッチングの影響を受けやすくなることを可能にする。いくつかの実施形態において、表面の改質は、異方性エッチングを実行するために基板にバイアスを掛けることを含んでよい。例えば、いくつかの実施形態において、基板は、バイアスを用いて、シャワーヘッドから基板表面へのプラズマ反応種の入射角度を変えることにより、アンダーカットを達成するようにエッチングされてよい。様々な実施形態において、アンダーカットは、基板の横方向エッチングに対する垂直エッチングの比によって測定されうる。例えば、いくつかの実施形態において、横方向エッチングに対する垂直エッチングの比は、約1から無限大の間であってよい。いくつかの実施形態において、比は、約0.5〜約50の間であってよい。
【0075】
工程454は、様々な方法を用いて実行されてよい。例えば、いくつかの実施形態において、基板表面は、反応性イオンプラズマを用いて改質されてよい。いくつかの実施形態において、基板表面は、イオンビームエッチングを用いて改質されてもよい。いくつかの実施形態において、基板表面は、非反応性プラズマ処理を用いて改質されてもよい。
【0076】
プラズマ処理は、基板の表面上の不揮発性金属を酸化または還元しうる。例えば、プラズマ処理は、金属の塩素化、金属の酸化、金属への水素暴露、または、これらの処理の任意の組みあわせを引き起こしうる。例えば、いくつかの実施形態において、工程454は、酸素、塩素、および/または、水素を流し、プラズマを点火することを含んでよい。処理時間は、基板と、基板表面上の金属のタイプとに依存しうる。処理時間は、基板表面の単分子層または多分子層を改質するために選択されてよい。処理時間は、後述するように後続の工程で用いられる有機蒸気のタイプにも依存しうる。処理時間の例は、約0.5秒〜約60秒の間を含む。工程454は、律速工程であり、工程454中に基板面上で改質された材料の量が1サイクル中にエッチングされる基板の量を決定する。1サイクルは、基板の表面上で選択された量の材料をエッチングするために実行される工程として定義されてよい。例えば、工程454〜460が、1サイクルを構成してよい。
【0077】
多くの実施形態において、基板表面は、その場で生成されたプラズマを用いて改質されてよい。後続の工程において、有機蒸気がシャワーヘッドの位置またはその近くで生成され、プラズマと有機蒸気との接触が、基板表面への望ましくない材料の再蒸着を引き起こしうるため、プラズマは、プラズマがシャワーヘッドから基板に流れるのを防ぐために、その場で生成されてよい。
【0078】
いくつかの実施形態では、チャンバが後述のように完全にパージされる場合に、遠隔プラズマが、工程454を実行する後続の反復工程で用いられてもよい。
【0079】
工程454は、低圧段階で実行されてよい。例えば、いくつかの実施形態において、工程454中のチャンバ圧は、約4mTorr〜約500mTorrの間であってよい。
【0080】
いくつかの実施形態において、チャンバは、工程456の実行後、工程458の実行前にパージされる。チャンバのパージは、パージガスまたはスイープガス(他の工程で用いられる搬送ガスであってもよいし異なるガスであってもよい)を流すことを含みうる。いくつかの実施形態において、パージは、チャンバを排気することを含みうる。パージガスの例は、アルゴン、窒素、水素、および、ヘリウムを含む。いくつかの実施形態において、パージは、処理チャンバの排気のための1または複数の排気サブ段階を含んでよい。あるいは、パージは、いくつかの実施形態において省略されてもよいことがわかる。チャンバは、約0秒〜約60秒の間(例えば、約0.01秒)など、任意の適切な持続時間にわたってパージされてよい。いくつかの実施形態において、1または複数のパージガスの流量を増やして、パージの持続時間を短くしてもよい。例えば、パージガス流量は、パージの持続時間を変えるために、様々な反応物質の熱力学的特性ならびに/もしくは処理チャンバおよび/または処理チャンバ配管の形態的特性に従って調整されてよい。非限定的な一例において、パージ段階の持続時間は、パージガス流量を変えることによって調整されてよい。これは、サイクル時間を短縮し、基板スループットを改善しうる。パージ後、改質された不揮発性金属(塩素化された不揮発性金属または酸化された不揮発性金属など)は、基板面上に残りうる。
【0081】
工程458で、改質済みの不揮発性金属は、高圧環境で有機蒸気に基板を暴露することによってエッチングされてよい。様々な実施形態において、基板は、図2B図2C、および、図3Cに示すように、上側チャンバ領域に流された有機蒸気に暴露される。圧力は、基板の改質表面をエッチングするのに十分な高さであるように選択されうる。例えば、いくつかの実施形態において、圧力は、約0.5Torr〜約50Torrの間であってよい。様々な実施形態において、上側チャンバ領域の高圧は、工程454中のチャンバ圧の約2倍〜約10,000倍の間であってよい。
【0082】
1または複数の有機蒸気が、この工程中に上側チャンバ領域に流されてよい。有機蒸気は、有機化合物の形状および立体障害の考慮、基板の改質表面との反応性、エッチングされる金属のタイプ、ならびに、工程454で実行される処理のタイプを含む要因の組みあわせに応じて選択されてよい。有機蒸気の選択は、この工程中の改質基板表面の除去の効果に影響しうる。有機蒸気の例は、化学式R−COOH(Rは、任意の有機基または水素化物)を有するカルボン酸を含む。有機蒸気の例は、ギ酸、アセチルアセトネート、酢酸、および、その他のアセチルアセトネートを含む。様々な実施形態において、有機蒸気が改質基板表面と反応すると、揮発性材料が形成され、基板表面から容易に除去されて、チャンバからパージされる。
【0083】
工程460で、チャンバは、上側チャンバ領域から余分な有機蒸気を除去するためにパージされる。チャンバは、処理チャンバへの有機蒸気の流れを止めた後にパージされる。チャンバは、工程456に関して上述したガスおよび方法のいずれかを用いてパージされてよい。チャンバは、任意の余分な有機蒸気が、任意の後続の工程でプラズマによって点火されることを防ぐためにパージされる。
【0084】
工程462において、工程454〜460が、任意選択的に繰り返されてよい。工程が繰り返されるか否かは、エッチングされる基板表面上の金属の量によって決まりうる。上述のように、工程454〜460は、1回のエッチングサイクルを構成しうる。基板の表面から所望の量の金属(不揮発性金属など)をエッチングするために、任意の適切な回数のエッチングサイクルが実行されてよい。有機蒸気暴露工程と改質工程とを分離して、有機蒸気が工程454で改質化学物質によって点火されることを防ぐために、チャンバは、上述のように工程の合間にパージされてよい。
【0085】
図4Bは、特定の開示されている装置の実施形態において実行されうる動作を実行するための処理フローチャートを示す。工程402で、基板が、処理チャンバに供給される。処理チャンバは、様々な工程を実行するために高圧領域および低圧領域を形成できる任意の適切なチャンバであってよい。適切な処理チャンバの例は、図1図2A図2B、および、図3A図3Cに関して上述したチャンバである。
【0086】
基板は、図4Aに関して上述したもののいずれであってもよい。
【0087】
様々な実施形態において、工程402中、基板は、図1および図3Aに示したように、ペデスタルが下げ位置にある状態で、処理チャンバ内のペデスタル上に配置される。
【0088】
工程404〜410で、不活性ガスが流されてよい。不活性ガスは、図4Aに関して上述したもののいずれであってもよい。不活性ガスは、様々な実施形態において、チャンバ圧を変えるために流されてよい。
【0089】
工程404で、ペデスタルが下げ位置にある状態で、不揮発性金属を含む基板表面が改質される。改質化学物質および処理条件は、図4Aの工程454に関して上述したもののいずれであってもよい。上述のように、不揮発性金属が、有機蒸気を用いたエッチングの影響を受けやすくするために、表面が改質されてよい。工程404は、低圧で実行されてよい。いくつかの実施形態において、ペデスタルは、低圧レジーム中に下げ位置に配置される。
【0090】
工程406で、基板は、図2A図2B図3B、および、図3Cに示したように、上げ位置に移動される。いくつかの実施形態において、工程404の実行後で、工程406の実行前に、チャンバは、処理チャンバから任意の余分なプラズマを除去するために任意選択的にパージされてよい。チャンバは、図4Aの工程456に関して上述した処理条件のいずれかを用いてパージされてよい。
【0091】
工程408で、ペデスタルが上げ位置にある状態で、改質済みの不揮発性金属は、高圧環境で有機蒸気に基板を暴露することによってエッチングされてよい。圧力は、ペデスタルが下げ位置にある時のチャンバの圧力の約2倍〜約10,000倍の上側チャンバ領域の高圧を得るために、ペデスタルを上げ位置に動かすことによって制御されてよい。
【0092】
工程410で、チャンバは、上側チャンバ領域から余分な有機蒸気を除去するためにパージされる。チャンバは、処理チャンバへの有機蒸気の流れを止めた後にパージされる。チャンバは、工程406に関して上述したガスおよび方法のいずれかを用いてパージされてよい。チャンバは、任意の余分な有機蒸気が、任意の後続の工程でプラズマによって点火されることを防ぐためにパージされる。様々な実施形態において、ペデスタルは、チャンバをパージする前または後に、下げ位置に移動されてよい。いくつかの実施形態において、任意の有機蒸気が下側チャンバ領域に存在することを防ぐために、ペデスタルを下げ位置に移動させる前に、チャンバをパージすることが好ましい場合がある。
【0093】
工程412において、工程404〜410が、任意選択的に繰り返されてよい。工程が繰り返されるか否かは、エッチングされる基板表面上の金属の量によって決まりうる。上述のように、工程404〜410は、1回のエッチングサイクルを構成しうる。基板の表面から所望の量の金属(不揮発性金属など)をエッチングするために、任意の適切な回数のエッチングサイクルが実行されてよい。有機蒸気暴露工程と改質工程とを分離して、有機蒸気が工程404で改質化学物質によって点火されることを防ぐために、チャンバは、上述のように工程の合間にパージされてよい。
【0094】
図4Cは、本明細書に記載の装置で実行できる方法のサイクルの一例を示すタイミングシーケンス図である。図4Cは、様々な処理パラメータについて処理例420における段階を示す。図4Cに示す処理パラメータは、改質化学物質流(改質段階234Aまたは改質段階234B中に流される処理ガスなど)、搬送ガス流、プラズマ(プラズマがオンにされるかオフにされるかなど)、および、有機蒸気流を含む。ガス流の線は、流れがオンオフされる時を示す。プラズマの線は、プラズマがオンオフされる時を示す。ペデスタル位置の線は、ペデスタルが、図2A図2B図3B、および、図3Cに関して上述したような上げ位置へ移動されるか、図1および図3Aに関して上述したような下げ位置へ移動されるか、を示す。
【0095】
2回のエッチングサイクル420Aおよび420Bが示されている。各エッチングサイクルは、様々な段階を備える。例えば、エッチングサイクル420Aは、改質段階234A、パージ段階236A、有機蒸気暴露/除去段階238A、および、パージ段階239Aを備える。同様に、エッチングサイクル420Bは、改質段階234B、パージ段階236B、有機蒸気暴露/除去段階238B、および、パージ段階239Bを備える。図に示すように、処理例420において、搬送ガスは、エッチングサイクル420Aおよび420Bの全体にわたって流されている。様々な実施形態において、搬送ガスは、パージガスとして用いられる。いくつかの実施形態において、搬送ガスは、パージガスと異なっていてもよい。いくつかの実施形態において、搬送ガスは、パージ段階(例えば、236A、239A、236B、および、239B)中にのみ流される。搬送ガスは、図4Aに関して上述したもののいずれであってもよい。
【0096】
改質段階234Aにおいて、ペデスタルは、図1および図3Aに示したような下げ位置にある。改質化学物質(基板の表面(例えば、不揮発性金属)を改質するために流されうる処理ガスなど)は、搬送ガスが流されると共にプラズマがオンされている間に流される。この段階中の有機蒸気流は、オフにされる。いくつかの実施形態において、改質段階234Aは、図4Bの工程404に対応しうる。パージ段階236Aにおいて、ペデスタルは、一例として本明細書に示した下げ位置のままであってよい。図4Cは、ペデスタルが下げ位置にあることを示しているが、いくつかの実施形態において、ペデスタルは、この段階中に上げ位置に移動されてもよいことに注意されたい。かかる実施形態において、この段階は、図4Bの工程406に対応しうる。この段階中、搬送ガスまたはパージガスは、すべての他の処理ガス流およびプラズマがオフされた状態で流されてよい。パージガスは、図4Bに関して上述したガスのいずれであってもよい。有機蒸気暴露/除去段階238Aにおいて、ペデスタルは上げ位置に移動されてよく、改質化学物質流およびプラズマはオフのままであり、搬送ガスは流れ続けてよく、有機蒸気が流されてよい。有機蒸気は、図4Aに関して上述したもののいずれであってもよい。いくつかの実施形態において、有機蒸気暴露/除去段階238Aは、図4Bの工程408に対応しうる。いくつかの実施形態において、この段階は、有機蒸気を流す前にペデスタルが上げ位置に移動される図4Bの工程406にも対応しうる。様々な実施形態において、有機蒸気は、高圧で流される。パージ段階239Aにおいて、ペデスタルは上げ位置のままであってよく、処理ガス流およびプラズマはオフにされ、搬送ガスは流れ続けてよい。これは、図4Bの工程410に対応しうる。
【0097】
図4Cは、工程404〜410が繰り返される図4Bの工程412に対応しうる第2エッチングサイクル420Bを示している。エッチングサイクル420Aと同様に、改質段階234B中、ペデスタルは下げ位置に移動され、改質化学物質流およびプラズマはオンにされ、有機蒸気流はオフにされる。搬送ガスは、流れ続けてよい。搬送ガスのみが流れるパージ段階236Bでチャンバがパージされた後、ペデスタルは、有機蒸気暴露/除去段階238Bが実行される上げ位置に移動されてよい。有機蒸気流は搬送ガスと共にオンにされ、プラズマおよび改質化学物質流はオフにされる。パージ段階239Bは、ペデスタルが上げ位置にあり、すべての処理ガス流およびプラズマがオフにされた状態で実行されるが、搬送ガスは流れ続けてよい。図4Bに関して記載したように、図4Cは、基板上に再蒸着されて除去が困難であることにより製造後のデバイスでの不純物および欠陥の原因となる有機プラズマ種の形成を避けるために、どの一段階中にも有機蒸気流およびプラズマの両方がオンになることがない実施形態を示している。
【0098】
図4D図4Gは、図4A図4Cに関して上述した方法など、装置内で実行されてよい方法を施されうる基板の例を示す概略図である。図4Dは、最下層441を含む基板例440を示しており、最下層441は、誘電材料、導電材料、または、半導電材料などの材料の1または複数の層を上に蒸着されうるシリコンウエハ(例えば、200mmウエハ、300mmウエハ、または、450mmウエハなど)であってよい。この例において、不揮発性金属層443が、最下層441上に蒸着される。不揮発性金属の例は、銅、コバルト、プラチナ、パラジウム、鉄、および、イリジウムを含む。不揮発性金属層443の一部の表面が露出されるように、パターニングされたマスク445が不揮発性金属層443上にある。
【0099】
図4Eでは、不揮発性金属層443の表面が改質され、改質領域447を形成している。改質領域447は、図4Aの工程454に関して上述したように、不揮発性金属層443の表面に、反応性イオンエッチング、イオンビームエッチング、または、非反応性プラズマ処理を施すことによって改質されてよい。例えば、いくつかの実施形態において、改質領域447は、塩素化および/または酸化された金属を含みうる。様々な実施形態において、この工程は、基板440を保持するペデスタルが下げ位置にある間に実行されてよい。
【0100】
図4Fにおいて、改質領域447は、高圧の有機蒸気に暴露されて、容易に揮発しうる領域480を形成する。様々な実施形態において、有機蒸気への暴露は、改質領域447と有機蒸気との間の反応を引き起こして、改質領域447の材料に付着した有機リガンドを含みうる化合物を不揮発性金属層443の表面上の領域480に形成する。例えば、いくつかの実施形態において、領域480は、塩素化および/または酸化された金属に付着した有機リガンドを含む。領域480も高圧に暴露されるので、領域480の材料は、不揮発性金属層443から分離して、エッチングされた不揮発性金属層449を備える図4Gに示した基板が形成されうる。様々な実施形態において、改質金属層と有機蒸気との間の反応から生成された副生成物は、チャンバからパージまたは排気されてよい。所望の厚さまで不揮発性金属層449をさらにエッチングするために、工程が繰り返されてよい。
【0101】
実験
図5は、様々な測定のために以下の実験に従って用いられる注釈を示す。実験は、ペデスタルが上げ位置の状態で実行された。実験は、チャンバ(図1図2A、および、図2Bに示したチャンバなど)で実行された。以下の実験について、Lは、シャワーヘッドと、ウエハが配置されたペデスタルの表面との間のギャップを示す。シャワーヘッド515と、ペデスタルの縁部の隆起領域との間の距離は、10mmである。ペデスタルの縁部の隆起領域の幅は、5mmである。Lは、図5に示すように、隆起領域と処理チャンバの上部との間の距離を示す。Lは、ペデスタルの隆起領域の縁部と、処理チャンバの上部が傾斜し始める縁部との間の距離を示す。ペデスタル縁部の傾斜縁部およびチャンバ側壁の角度は、45°である。L3lは、シャワーヘッド515の上部の位置またはその近くのチャンバ側壁の傾斜領域の長さを示す。L3wは、ペデスタルの傾斜縁部と、チャンバの傾斜側壁との間のギャップの距離を示す。以下の実験について、用いた処理チャンバは、226mmの半径を有し、シャワーヘッドは、150mmの半径を有し、傾斜したペデスタルの縁部は、ペデスタルの中心から165mmの距離である。
【0102】
以下の表において、Pavgは、平均圧力を示し、ΔPは、上側チャンバ領域(高圧領域)と下側チャンバ領域(低圧領域)との間の圧力の差を示す。UMM(均一性の最大値−最小値)は、均一性および不均一性の測定値であり、それにより、不均一性は、ウエハの様々な点にわたってエッチングされた量の変動として定義されてよい。より均一なエッチング(例えば、UMM=0%)が、不均一性の低下につながる。
【0103】
実験1:距離Lの切り替え
異なる距離Lについて上側チャンバ領域と下側チャンバ領域との圧力差を測定するための実験を行った。ギャップLは、1mmに設定された。3回の試行が実行された。各試行で、ペデスタルが上げ位置にある状態で、100sccmのNがチャンバに供給された。結果を以下の表1に示す。
【表1】
【0104】
表1に示すように、ペデスタルの隆起領域と処理チャンバの上部との間の0.90mmのギャップによって、上側チャンバ領域と下側チャンバ領域との間の圧力差は、より高い圧力差となった。
【0105】
実験2:距離L3Wの切り替え
異なる距離L3wについて上側チャンバ領域と下側チャンバ領域との圧力差を測定するための実験を行った。ギャップLは、1mmに設定された。Lは、0.5mmに設定された。3回の試行が実行された。各試行で、ペデスタルが上げ位置にある状態で、100sccmのNがチャンバに供給された。結果を以下の表2に示す。
【表2】
【0106】
表2に示すように、1.50mmの幅により、284mTの最大圧力差となった。これらの結果は、幅L3wが増加するにつれてウエハ圧が減少することを示唆する。ギャップLより大きいL3wについては、不均一性は10%を超えた。
【0107】
実験3:距離L3lの切り替え
異なる距離L3lについて上側チャンバ領域と下側チャンバ領域との圧力差を測定するための実験を行った。ギャップLは、2mmに設定された。Lは、1.5mmに設定された。Lは2mmに設定され、L3wは2.06mmに設定された。2回の試行が実行された。各試行で、ペデスタルが上げ位置にある状態で、100sccmのNがチャンバに供給された。結果を以下の表3に示す。
【表3】
【0108】
距離L3lが長いほど、圧力差が小さくなり(87mT対96mT)、不均一性が大きくなる。圧力差は、ペデスタルとチャンバ側壁との間のギャップに沿って、上側チャンバ領域と下側チャンバ領域との間に確立される。実験結果は、或る程度の圧力差が、ペデスタルの中心に向かう上側チャンバ領域の中心とペデスタル縁部の隆起領域との間に確立されることも示した。
【0109】
実験4:ペデスタル高さ
ペデスタルの異なる高さまたは厚さについて、上側チャンバ領域と下側チャンバ領域との圧力差を測定するための実験を行った。ギャップLは、2.5mmに設定された。Lは、2mmに設定された。2回の試行が実行された。各試行で、ペデスタルが上げ位置にある状態で、100sccmのNがチャンバに供給された。結果を以下の表4に示す。ペデスタル高さが大きいほど、圧力差が同程度であるが小さくなり、UMMが若干減少することで、より均一になった。
【表4】
【0110】
実験5:流量
異なる窒素流量について上側チャンバ領域と下側チャンバ領域との圧力差を測定するための実験を行った。ギャップLは、2.5mmに設定された。Lは、2mmに設定された。各試行で、ペデスタルが上げ位置にある状態で、100mTのポンプ圧で様々な量のNがチャンバに供給された。結果を以下の表5に示す。以下に示すように、流量が大きくなるとウエハ圧が高くなり、同様の均一性になったが、100sccmの低流量で、3回の試行の最大均一性(UMM5.6%)が生じた。
【表5】
【0111】
実験6:ポンプ圧
異なるポンプ圧について上側チャンバ領域と下側チャンバ領域との圧力差を測定するための実験を行った。ギャップLは、2.5mmに設定された。Lは、2mmに設定された。各試行で、ペデスタルが上げ位置にある状態で、様々なポンプ圧で2000sccmのNがチャンバに供給された。結果を以下の表6に示す。表に示すに、ポンプ圧の増加により、ウエハ上では、高圧力ひいては良好な均一性となった。
【表6】
【0112】
結論
理解を深めるために、先に述べた実施形態について、ある程度詳しく説明したが、添付の特許請求の範囲内でいくらかの変更および変形を行ってもよいことは明らかである。本発明の処理、システム、および、装置を実施する多くの他の方法が存在することに注意されたい。したがって、本実施形態は、例示的なものであって、限定的なものではないとみなされ、実施形態は、本明細書に示した詳細に限定されない。本開示は、例えば、以下の形態により実現してもよい。
[形態1]
半導体基板を処理するための装置であって、
処理チャンバであって、
処理ガスを前記装置に分配するためのシャワーヘッドと、
前記半導体基板を保持するための移動可能なペデスタルであって、上げ位置にある前記移動可能なペデスタルが、前記移動可能なペデスタルと前記シャワーヘッドとの間の上側チャンバ領域を形成し、かつ、前記移動可能なペデスタルの下方の下側チャンバ領域を形成するように、前記上げ位置または下げ位置に配置されることが可能である、ペデスタルと、
前記ペデスタルが前記上げ位置に移動された時に、前記移動可能なペデスタルの縁部と整列できる前記シャワーヘッドの近くの領域と、を備えた、処理チャンバと、
処理ガスを前記シャワーヘッドに供給するために前記シャワーヘッドに接続された流入口と、
前記処理チャンバ内でプラズマを点火するためのプラズマ発生器と、
前記装置の動作を制御するためのコントローラであって、前記ペデスタルを前記上げ位置または下げ位置に移動させるためのマシン読み取り可能な命令を備えた、コントローラと、
を備え、
前記移動可能なペデスタルが前記上げ位置にある時に、前記上側チャンバ領域と前記下側チャンバ領域との間に、圧力差が形成される、装置。
[形態2]
形態1に記載の装置であって、
前記移動可能なペデスタルが前記上げ位置にある時の前記移動可能なペデスタルの前記縁部と前記シャワーヘッドの近くの前記領域との間の距離は、約0.3mm〜約3mmの間である、装置。
[形態3]
形態1に記載の装置であって、
前記シャワーヘッドの近くの前記領域は、前記シャワーヘッドと垂直な軸から約45°傾斜されている、装置。
[形態4]
形態1に記載の装置であって、
前記シャワーヘッドの近くの前記領域は、前記装置の側壁の一部である、装置。
[形態5]
形態1に記載の装置であって、
前記ペデスタルが前記上げ位置にある時の前記上側チャンバ領域における前記シャワーヘッドと前記移動可能なペデスタルとの間の距離は、約1mm〜約2mmの間である、装置。
[形態6]
形態1に記載の装置であって、
前記移動可能なペデスタルは、前記ペデスタルの前記縁部に隣接する隆起領域を備える、装置。
[形態7]
形態1に記載の装置であって、
前記移動可能なペデスタルの前記縁部は傾斜されている、装置。
[形態8]
形態1に記載の装置であって、
前記移動可能なペデスタルの前記縁部は、前記移動可能なペデスタルの表面と垂直である、装置。
[形態9]
形態1から形態8までのいずれか一項に記載の装置であって、
前記ペデスタルが前記上げ位置にある時の前記上側チャンバ領域と前記下側チャンバ領域との間の前記圧力差は、約50mTorr〜約5Torrの間である、装置。
[形態10]
形態1から形態8までのいずれか一項に記載の装置であって、
前記ペデスタルが前記上げ位置にある時の前記上側チャンバ領域の圧力は、前記ペデスタルが前記下げ位置にある時の前記チャンバの圧力の少なくとも約2〜約10,000倍でありうる、装置。
[形態11]
形態1から形態8までのいずれか一項に記載の装置であって、
前記移動可能なペデスタルは、前記下げ位置と前記上げ位置との間で、約4インチ〜約6インチ(約10.16センチメートル〜約15.24センチメートル)の間の距離だけ移動できる、装置。
[形態12]
形態1から形態8までのいずれか一項に記載の装置であって、
前記流入口は、約1000sccmを超える流量で有機蒸気を前記処理チャンバに供給するための流入口を含む、装置。
[形態13]
形態1から形態8までのいずれか一項に記載の装置であって、
前記流入口は、プラズマを生成するために、塩素含有処理ガスまたは酸素含有処理ガスを前記シャワーヘッドに供給するための流入口を含む、装置。
[形態14]
形態1から形態8までのいずれか一項に記載の装置であって、
前記移動可能なペデスタルの厚さは、約50mm〜約100mmの間である、装置。
[形態15]
形態1から形態8までのいずれか一項に記載の装置であって、
前記コントローラは、さらに、
基板上に改質された不揮発性金属を形成するために、前記ペデスタルが前記下げ位置にある時に前記プラズマを前記基板上の不揮発性金属に導入するためのマシン読み取り可能な命令と、
前記改質された不揮発性金属をエッチングするために、前記ペデスタルが前記上げ位置にある時に有機蒸気を前記チャンバに導入するためのマシン読み取り可能な命令と、
を備える、装置。
[形態16]
形態6に記載の装置であって、
前記シャワーヘッドと平行な表面と、前記隆起領域の上面との間の距離は、約0mm〜約1mmの間である、装置。
[形態17]
形態6に記載の装置であって、
前記隆起領域は、内側縁部および外側縁部を備え、前記シャワーヘッドの縁部と前記内側縁部との間の横方向距離は、約10mmである、装置。
[形態18]
形態3に記載の装置であって、
前記シャワーヘッドの近くの前記傾斜領域の長さは、約50mm〜約200mmの間である、装置。
[形態19]
基板を保持するための移動可能なペデスタルを備えた処理チャンバ内で前記基板上の不揮発性金属をエッチングする方法であって、
前記移動可能なペデスタルは、上げ位置にある前記移動可能なペデスタルが、前記移動可能なペデスタルと前記シャワーヘッドとの間の上側チャンバ領域を形成し、かつ、前記移動可能なペデスタルの下方の下側チャンバ領域を形成するように、前記上げ位置または下げ位置に配置されることが可能であり、
前記方法は、
前記ペデスタルが前記下げ位置にある時に前記基板上の前記不揮発性金属をプラズマに暴露させて、前記不揮発性金属を改質する工程と、
前記ペデスタルが前記上げ位置にある時に前記改質済みの不揮発性金属を有機蒸気に暴露させて、前記改質済みの不揮発性金属を除去する工程と、
を備え、
前記移動可能なペデスタルが前記上げ位置にある時に、前記処理チャンバ内で前記上側チャンバ領域と前記下側チャンバ領域との間に、圧力差が形成される、方法。
[形態20]
形態19に記載の方法であって、
前記ペデスタルが前記上げ位置にある時の前記上側チャンバ領域の圧力は、前記ペデスタルが前記下げ位置にある時の前記チャンバの圧力の少なくとも約2〜約10,000倍である、方法。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
図4G
図5