特許第6948860号(P6948860)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6948860
(24)【登録日】2021年9月24日
(45)【発行日】2021年10月13日
(54)【発明の名称】基板保持装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/677 20060101AFI20210930BHJP
   B65G 49/06 20060101ALI20210930BHJP
   B65G 49/07 20060101ALI20210930BHJP
   B25J 15/06 20060101ALI20210930BHJP
【FI】
   H01L21/68 C
   B65G49/06 A
   B65G49/07 H
   B25J15/06 Z
【請求項の数】8
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2017-137924(P2017-137924)
(22)【出願日】2017年7月14日
(65)【公開番号】特開2019-21725(P2019-21725A)
(43)【公開日】2019年2月7日
【審査請求日】2020年7月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100146710
【弁理士】
【氏名又は名称】鐘ヶ江 幸男
(74)【代理人】
【識別番号】100117411
【弁理士】
【氏名又は名称】串田 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100186613
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 誠
(72)【発明者】
【氏名】富田 正輝
(72)【発明者】
【氏名】山川 純逸
【審査官】 中田 剛史
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2016/052632(WO,A1)
【文献】 特開2005−191464(JP,A)
【文献】 特開平09−199456(JP,A)
【文献】 特開2003−017452(JP,A)
【文献】 特開2002−319613(JP,A)
【文献】 特開2008−060277(JP,A)
【文献】 特開2013−254959(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/677
B65G 49/06
B65G 49/07
B25J 15/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の表面又は裏面を吸引して保持することが可能な吸引部と、
前記基板の側面に接触して、前記基板を押すことが可能であり、吸引された前記基板を位置決め可能な位置決定部と、
前記位置決定部を前記基板の側面に接触させることが可能な駆動部とを有し、
前記駆動部によって、前記位置決定部が前記基板の側面に接触させられることにより、前記位置決定部は前記基板を位置決めし、
前記駆動部の第1の部分が前記基板と接触可能であり、
前記吸引部によって、前記基板の表面又は裏面を吸引するときに、前記第1の部分が前記基板と接触して、前記基板が前記駆動部に力を加えて、前記駆動部を移動させることが可能であり、
前記駆動部が移動することにより、前記駆動部の第2の部分が前記位置決定部を前記基板の側面に接触させて、前記基板を押すことが可能であることを特徴とする基板保持装置。
【請求項2】
前記駆動部は棒形状であり、前記第1の部分が、前記棒形状の一方の端部であり、前記第2の部分が、前記棒形状の他方の端部であり、
前記位置決定部は、前記第2の部分と接触可能な第1の部品と、前記基板の側面に接触可能な第2の部品とを有し、
前記駆動部の前記第1の部分が前記基板と接触して、前記駆動部が移動すると、前記駆動部の前記第2の部分が、前記位置決定部の前記第1の部品を移動させ、
前記位置決定部の前記第1の部品が移動すると、前記位置決定部の前記第2の部品が移動して、前記基板の側面に接触することを特徴とする請求項記載の基板保持装置。
【請求項3】
前記駆動部の第2の部分は、弾性体を介して、前記駆動部に取り付けられていることを特徴とする請求項1または2記載の基板保持装置。
【請求項4】
前記吸引部は、前記基板の表面又は裏面に気体を噴出することにより、噴出する前記気体を受ける前記基板の表面又は裏面を吸引するベルヌーイ吸引部であることを特徴とする、請求項1ないしのいずれか1項に記載の基板保持装置。
【請求項5】
前記基板は矩形状であることを特徴とする、請求項1ないしのいずれか1項に記載の基板保持装置。
【請求項6】
前記基板の位置を測定する測定センサを有することを特徴とする、請求項1ないしのいずれか1項に記載の基板保持装置。
【請求項7】
保持可能な前記基板が四角形であり、前記位置決定部が前記基板と接触するときの接触部が前記四角形の辺上にあり、
前記接触部は、前記四角形の頂点から、前記接触部がある前記辺の長さの1/4以内にあることを特徴とする、請求項1ないしのいずれか1項に記載の基板保持装置。
【請求項8】
めっき装置であって、
前記基板を搬送する搬送装置と、
前記基板を保持するための基板ホルダに前記基板を着脱する基板着脱装置と、
前記基板着脱装置において前記基板を保持した前記基板ホルダを受け入れて、前記基板にめっき処理を施すめっき処理部と、を備え、
前記搬送装置は、請求項1ないしのいずれか1項に記載の基板保持装置を有し、前記基板着脱装置へ、または、前記基板着脱装置から前記基板を搬送することを特徴とするめっき装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェハなどの基板を保持する基板保持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ウェハなどの基板を処理する基板処理装置には、基板を保持して搬送等を行う基板保持装置が備えられている。特許第4425801号には、めっき処理装置における基板保持装置を有する基板搬送ロボットが開示されている。基板搬送ロボットが有する基板保持装置には、2種類のハンドが示されている。そのうちの1つである裏面吸着型真空ハンド(上段下ハンド)は、基板仮置台に置かれた基板を前洗浄ユニットへ搬送するハンドである。上段下ハンドは、フェースダウンの薄型真空引きタイプであり、基板の裏面を吸着して保持する。
【0003】
上段下ハンドは、位置決め機構を有しない。基板保持装置が基板を保持する場合、基板の表面側を保持したい場合がある。この時、基板の表面を損傷しないために、できるだけ、弱い力で基板を吸引することが望ましい。弱い力で基板を吸引する場合、特許第4425801号のように、位置決め機構を有しないと、基板の保持精度が低下するという問題が生じる。なお、弱い力で基板を吸引しない場合でも、基板保持装置が位置決め機構を有することにより、後続する工程において、位置決め機構を簡略化することができるという利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4425801号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の一形態は、このような問題点を解消すべくなされたもので、その目的は、基板の保持精度が低下することを改善した基板保持装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、第1の形態では、基板の表面又は裏面を吸引して保持することが可能な吸引部と、前記基板の側面に接触して、前記基板を押すことが可能であり、吸引された前記基板を位置決め可能な位置決定部と、前記位置決定部を前記基板の側面に接触させることが可能な駆動部とを有し、前記駆動部によって、前記位置決定部が前記基板の側面に接触させられることにより、前記位置決定部は前記基板を位置決めすることを特徴とする基板保持装置という構成を採っている。
【0007】
本実施形態では、駆動部によって、位置決定部が基板の側面に接触させられることにより、位置決定部は基板を位置決めするため、基板の保持精度が低下することを改善できる。例えば、基板めっき装置向けの基板搬送装置において、弱い力で基板を吸引する場合に、位置決めの精度を、基板搬送装置の基板保持装置側で管理することが好ましい。基板保持装置における位置決めの精度が低下すると、後続する工程において、位置決め機構が複雑化するからである。
【0008】
例えば、基板ホルダに基板を搭載するためのフィキシングステーションへ四角基板を搬送する基板搬送装置に本実施形態を適用すると、フィキシングステーションへ四角基板を載置するときの位置決め精度を高めることができる。また、めっき装置以外でも、吸引力が弱い搬送装置等を用いて処理を行う半導体製造装置においても、基板の移載にあたって
同様の利点が生じる。
【0009】
第2の形態では、前記駆動部の第1の部分が前記基板と接触可能であり、前記吸引部によって、前記基板の表面又は裏面を吸引するときに、前記第1の部分が前記基板と接触して、前記駆動部に力が加わって、前記駆動部が移動可能であり、前記駆動部が移動することにより、前記駆動部の第2の部分が前記位置決定部を前記基板の側面に接触させて、前記基板を押すことが可能であることを特徴とする第1の形態の基板保持装置という構成を採っている。
第3の形態では、前記駆動部は棒形状であり、前記第1の部分が、前記棒形状の一方の端部であり、前記第2の部分が、前記棒形状の他方の端部であり、前記位置決定部は、前記第2の部分と接触可能な第1の部品と、前記基板の側面に接触可能な第2の部品とを有し、前記駆動部の前記第1の部分が前記基板と接触して、前記駆動部が移動すると、前記駆動部の前記第2の部分が、前記位置決定部の前記第1の部品を移動させ、前記位置決定部の前記第1の部品が移動すると、前記位置決定部の前記第2の部品が移動して、前記基板の側面に接触することを特徴とする第2の形態の基板保持装置という構成を採っている。棒形状としてピンを採用することができ、位置決定部として、レバー形状を採用することができる。この場合、ピンによって、レバーを操作する。
【0010】
第4の形態では、前記駆動部の第2の部分は、弾性体を介して、前記駆動部に取り付けられていることを特徴とする第1の形態の基板保持装置という構成を採っている。
【0011】
第5の形態では、前記駆動部は、前記基板が所定の位置にあることを検知して、検知したことを示す信号を出力可能な位置センサと、前記信号を受信すると、前記位置決定部を前記基板の側面に接触させることが可能な動作部とを有することを特徴とする第1の形態の基板保持装置という構成を採っている。
【0012】
第6の形態では、前記動作部は、磁気力または気体の圧力により動作することを特徴とする第5の形態の基板保持装置という構成を採っている。
【0013】
第7の形態では、前記吸引部は、前記基板の表面又は裏面に気体を噴出することにより、噴出する前記気体を受ける前記基板の表面又は裏面を吸引するベルヌーイ吸引部であることを特徴とする、第1ないし第6のいずれかの形態の基板保持装置という構成を採っている。
【0014】
第8の形態では、前記基板は矩形状であることを特徴とする、第1ないし第7のいずれかの形態の基板保持装置という構成を採っている。
【0015】
第9の形態では、前記基板の位置を測定する測定センサを有することを特徴とする、第1ないし第8のいずれかの形態の基板保持装置という構成を採っている。
【0016】
第10の形態では、保持可能な前記基板が四角形であり、前記位置決定部が前記基板と接触するときの接触部が前記四角形の辺上にあり、前記接触部は、前記四角形の頂点から、前記接触部がある前記辺の長さの1/4以内にあることを特徴とする、第1ないし第9のいずれかの形態の基板保持装置。
【0017】
第11の形態では、めっき装置であって、前記基板を搬送する搬送装置と、前記基板を保持するための基板ホルダに前記基板を着脱する基板着脱装置と、前記基板着脱装置において前記基板を保持した前記基板ホルダを受け入れて、前記基板にめっき処理を施すめっき処理部と、を備え、前記搬送装置は、第1ないし第10のいずれかの形態の基板保持装置を有し、前記基板着脱装置へ、または、前記基板着脱装置から前記基板を搬送すること
を特徴とするめっき装置という構成を採っている。
【0018】
第12の形態では、基板の表面又は裏面を吸引して保持することが可能な基板保持装置の制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムを格納した記憶媒体であって、吸引部によって、基板の表面又は裏面を吸引して保持させること、前記基板の側面に接触して、前記基板を押すことが可能であり、吸引された前記基板を位置決め可能な位置決定部を、前記基板の側面に接触させることを駆動部によって行うこと、をコンピュータに実行させるためのプログラムを格納した記憶媒体という構成を採っている。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態に係る基板保持装置が使用されるめっき装置の全体配置図である。
図2】基板搬送装置の平面図である。
図3】基板搬送装置の正面図である。
図4】ロボットハンド156の平面図と正面図である。
図5】ロボットハンド156の底面図である。
図6】ロボットハンド156を上から見た斜視図である。
図7】ロボットハンド156を下から見た斜視図である。
図8】位置決定機構54の斜視図である。
図9】位置決定機構54の斜視図である。
図10】位置決定機構54の位置決め動作についての説明図である。
図11】位置決定機構54の位置決め動作についての説明図である。
図12】位置決定機構54の位置決め動作についての説明図である。
図13】位置決定機構54の別の実施形態についての説明図である。
図14】一実施形態に係る基板ホルダの概略正面図である。
図15】基板ホルダの概略側面図である。
図16】基板着脱装置の斜視図である。
図17】旋回装置の第2姿勢における斜視図である。
図18】基板取り付け時の基板着脱装置の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の各実施形態において、同一または相当する部材には同一符号を付して重複した説明を省略する。また、本明細書において「前面」、「背面」、「フロント」、「バック」、「上」、「下」、「左」、「右」等の表現を用いるが、これらは、説明の都合上、例示の図面の紙面上における位置、方向を示すものであり、装置使用時等の実際の配置では異なる場合がある。
【0021】
図1は、本発明の一実施形態に係る基板保持装置が使用されるめっき装置の全体配置図である。図1に示すように、このめっき装置100は、基板を保持するための基板ホルダ1に基板を基板保持装置によってロードし、又は基板ホルダ1から基板を基板保持装置によってアンロードするロード/アンロード部110と、基板を処理する処理部120と、洗浄部50aとに大きく分けられる。処理部120は、後述する基板脱着機構において基板を保持した基板ホルダを受け入れて、基板にめっき処理を施す。処理部120は、さらに、基板の前処理及び後処理を行う前処理・後処理部120Aと、基板にめっき処理を行うめっき処理部120Bとを含む。なお、このめっき装置100で処理する基板は、角形基板、円形基板を含む。また、角形基板は、矩形等の多角形のガラス基板、液晶基板、プリント基板、その他の多角形のめっき対象物を含む。円形基板は、半導体ウェハ、ガラス基板、その他の円形のめっき対象物を含む。
【0022】
ロード/アンロード部110は、2台のカセットテーブル25と、基板ホルダに基板を
着脱する基板脱着機構29とを有する。カセットテーブル25は、半導体ウェハ、ガラス基板、液晶基板、プリント基板等の基板を収納したカセット25aを搭載する。基板脱着機構29は、基板を基板ホルダ1(図14以降で後述)に着脱するように構成される。また、基板脱着機構29の近傍(例えば下方)には基板ホルダ1を収容するためのストッカ30が設けられる。これらのユニット25,29,30の中央には、これらのユニット間で基板を搬送する搬送用ロボットからなる基板搬送装置27が配置されている。基板搬送装置27は、本実施形態に係わる基板保持装置を有し、基板脱着機構29へ、または、基板脱着機構29から基板を搬送する。基板搬送装置27は、走行機構28により走行可能に構成される。
【0023】
洗浄部50aは、めっき処理後の基板を洗浄して乾燥させる洗浄装置50を有する。基板搬送装置27は、めっき処理後の基板を洗浄装置50に搬送し、洗浄された基板を洗浄装置50から取り出すように構成される。
【0024】
前処理・後処理部120Aは、プリウェット槽32と、プリソーク槽33と、プリリンス槽34と、ブロー槽35と、リンス槽36と、を有する。プリウェット槽32では、基板が純水に浸漬される。プリソーク槽33では、基板の表面に形成したシード層等の導電層の表面の酸化膜がエッチング除去される。プリリンス槽34では、プリソーク後の基板が基板ホルダと共に洗浄液(純水等)で洗浄される。ブロー槽35では、洗浄後の基板の液切りが行われる。リンス槽36では、めっき後の基板が基板ホルダと共に洗浄液で洗浄される。プリウェット槽32、プリソーク槽33、プリリンス槽34、ブロー槽35、リンス槽36は、この順に配置されている。なお、このめっき装置100の前処理・後処理部120Aの構成は一例であり、めっき装置100の前処理・後処理部120Aの構成は限定されず、他の構成を採用することが可能である。
【0025】
めっき処理部120Bは、オーバーフロー槽38を備えた複数のめっき槽39を有する。各めっき槽39は、内部に一つの基板を収納し、内部に保持しためっき液中に基板を浸漬させて基板表面に銅めっき等のめっきを行う。ここで、めっき液の種類は、特に限られることはなく、用途に応じて様々なめっき液が用いられる。
【0026】
めっき装置100は、これらの各機器の側方に位置して、これらの各機器の間で基板ホルダを基板とともに搬送する、例えばリニアモータ方式を採用した基板ホルダ搬送装置37を有する。この基板ホルダ搬送装置37は、基板脱着機構29、プリウェット槽32、プリソーク槽33、プリリンス槽34、ブロー槽35、リンス槽36、及びめっき槽39との間で基板ホルダを搬送するように構成される。
【0027】
以上のように構成されるめっき装置100を含むめっき処理システムは、上述した各部を制御するように構成されたコントローラ175を有する。コントローラ175は、所定のプログラムを格納したメモリ175Bと、メモリ175Bのプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)175Aと、CPU175Aがプログラムを実行することで実現される制御部175Cとを有する。制御部175Cは、例えば、基板搬送装置27の搬送制御、基板脱着機構29における基板の基板ホルダへの着脱制御、基板ホルダ搬送装置37の搬送制御、各めっき槽39におけるめっき電流及びめっき時間の制御、並びに、各めっき槽39に配置されるアノードマスク(図示せず)の開口径及びレギュレーションプレート(図示せず)の開口径の制御等を行うことができる。また、コントローラ175は、めっき装置100及びその他の関連装置を統括制御する図示しない上位コントローラと通信可能に構成され、上位コントローラが有するデータベースとの間でデータのやり取りをすることができる。ここで、メモリ175Bを構成する記憶媒体は、各種の設定データ、めっき処理プログラム、後述する基板搬送装置27の搬送制御プログラム等の各種のプログラムを格納している。記憶媒体としては、コンピュー
タで読み取り可能なROMやRAMなどのメモリや、ハードディスク、CD−ROM、DVD−ROMやフレキシブルディスクなどのディスク状記憶媒体などの公知のものが使用され得る。
【0028】
図2図3は、ロード・アンロード部110内に配置されている基板搬送装置27を示す。この基板搬送装置27は、ロボット本体150の上方に配置した伸縮自在一対のロボットアーム152,154と、この各ロボットアーム152,154の先端に取付けたロボットハンド156,158とを有している。そして、この一方のロボットハンド156として、ドライ仕様で薄型の吸着タイプのもの(本実施形態のドライハンド)が使用される。他方のロボットハンド158として、ウエット仕様で厚型の落し込みタイプのもの(ウエットハンド)が使用されている。
【0029】
この基板搬送装置27は、前述のように、カセットテーブル25、基板脱着機構29、ストッカ30、及び洗浄装置50との間で基板Sを搬送するようになっており、ドライな基板とウエットな基板が混在しているため、このようなドライ仕様のロボットハンド156とウエット仕様のロボットハンド158が採用されている。つまり、カセットテーブル25から基板脱着機構29への搬送、及び洗浄装置50からカセットテーブル25への搬送は、基板が完全乾燥状態であるため、ドライ仕様のロボットハンド156(基板保持装置)を使用する。基板脱着機構29から洗浄装置50への搬送は、基板がウエット状態であるため、ウエット仕様のロボットハンド158を使用する。
【0030】
ロボットハンド156の詳細について、以下説明する。図4(a)は、ロボットハンド156の平面図である。図4(b)は、ロボットハンド156の正面図である。図5は、ロボットハンド156の底面図である。図6は、ロボットハンド156を、実際の設置状態において上から見た斜視図である。図7は、ロボットハンド156を、実際の設置状態において下から見た斜視図である。
【0031】
ロボットハンド156は、ベース56と、基板Sの表面又は裏面を吸引して保持することが可能なベルヌーイ吸着パッド52(吸引部)と、位置決定機構54とを有する。ベルヌーイ吸着パッド52と位置決定機構54は、ベース56に固定されている。ベース56は、ロボットアーム152への取付部を含む基部122と、基板Sを保持する先端部124とを有する。基部122および先端部124は、本実施形態では、基板Sが矩形であるため、外形が矩形である。基部122および先端部124の外径は、基板Sの形状に合わせて選択することが好ましい。基部122および先端部124は、軽量化のための開口部126を有する。
【0032】
本実施形態のベルヌーイ吸着パッド52は、ディスク状であり、ベース56を貫通して6個のベルヌーイ吸着パッド52が、ベース56の先端部124に取り付けられている。ベルヌーイ吸着パッド52が設置されている領域に基板Sが配置される。ベルヌーイ吸着パッド52は、基板Sの表面又は裏面に気体を噴出することにより、噴出する気体を受ける基板Sの表面又は裏面を吸引する。ベルヌーイ吸着パッド52は、ベルヌーイチャックとも呼ばれ、「流体の圧力は,流体の速度が大きくなるにつれて減少する。」という流体力学におけるベルヌーイ効果を利用して、基板Sを吸引する。
【0033】
図2,3に示すように、ロボットハンド156の下側、すなわち、ベルヌーイ吸着パッド52の下側に基板Sが配置され、ベルヌーイ吸着パッド52から基板Sに気体を噴出することにより、噴出する気体を受ける基板Sを吸引する。図2において、基板Sの上側には、ベルヌーイ吸着パッド52から高速の気流が噴出している。一方、基板Sの下側には、静止もしくは低速の大気があり、基板Sの下側には、大気圧が印可されている。大気圧の方が、基板Sの上側における圧力よりも大きいため、基板Sは、ベルヌーイ吸着パッド
52の方に吸引される。
【0034】
位置決定機構54は、基板Sの外周に8個取り付けられる。基板Sの4辺の各々に対して2個ずつ配置される。位置決定機構54及びベルヌーイ吸着パッド52の個数は、基板Sのサイズ、必要な吸着力、その他の条件から決定される。なお、位置決定機構54は、基板Sの対角線上の両端のコーナーに各2個ずつ、合計4個あれば、基板Sの位置決めが可能である。すなわち、図4(a)に示すコーナー部60と、これと基板Sの対角線上の反対側のコーナー部62に、各2個ずつ、合計4個の位置決定機構(54a、54b、54c、54d)があれば、基板Sの位置決めが可能である。
【0035】
なお、4個の位置決定機構(54a、54b、54c、54d)が基板Sと接触するときの接触部が、基板Sの外形である四角形の辺上にあり、接触部は、四角形の頂点から、接触部がある辺の長さの1/4以内にあることが好ましい。図5によりこれを説明する。基板Sの長辺の長さがL1、長辺の長さの1/4がL2、基板Sの短辺の長さがL3、長辺の長さの1/4がL4であるときは、コーナー部60から、L2,L4の範囲内に位置決定機構54の接触部があることが好ましい。
【0036】
接触部は、本実施形態では、後述する図8に示すレバー64の幅128にわたる領域が基板Sと接触する部分である。接触部は、本実施形態では、線状もしくは面状であるが、接触部は、線状もしくは面状に限られない。幅128にわたる領域が基板Sに向かって、例えば山形に突き出した1個以上の凸部を有する場合、接触部は、点状になる。
【0037】
次に、図8,9により位置決定機構54の詳細を説明する。図8(a)は、位置決定機構54を上から見た斜視図であり、図6に対応する。図8(b)は、位置決定機構54を下から見た斜視図であり、図7に対応する。図9は、位置決定機構54がベース56に取り付けられたときに、位置決定機構54を下から見た斜視図である。
【0038】
位置決定機構54は、基板Sの側面に接触して、基板Sを押すことが可能であり、吸引された基板Sを位置決め可能なレバー64(位置決定部)と、レバー64を基板Sの側面に接触させることが可能なピン66(駆動部)とを有する。ピン66によって、レバー64が基板Sの側面82に接触させられることにより、レバー64は基板Sを位置決めする。ピン66は、図9に示すように、ベース56を貫通している。
【0039】
位置決定機構54は、ベース56への取付部70を有する。取付部70は、ねじ等により、ベース56の上面に取り付けられる。レバー64は、回転軸72の周りに回転可能である。回転軸72の軸方向は、基板Sの表面と平行である。回転軸72の軸方向は、基板Sの表面と平行でなくてもよい。回転軸72の軸方向は、レバー64を基板Sの側面に接触させることが可能なように、レバー64を回転させることができればよい。
【0040】
回転軸72は、ベアリング74を介して、取付部70に取り付けられている。レバー64と取付部70との間には、トーションバネ76が設けられており、トーションバネ76により、レバー64は、レバー64を基板Sの側面から離すように付勢されている。
【0041】
次に、上記のように構成された位置決定機構54を用いて、基板Sの位置決めを行う位置決定機構54の位置決め動作について、図10,11により説明する。図10、11は、位置決定機構54の位置決め動作についての説明図である。図10は、基板Sがベルヌーイ吸着パッド52によって吸引されて、上昇中の時の位置決定機構54の状態を示す。図11は、基板Sの位置決めが完了した時の位置決定機構54の状態を示す。
【0042】
本実施形態では、ピン66の一方の端部にある第1の部分78が基板Sと接触可能であ
る。ベルヌーイ吸着パッド52によって、基板Sの表面又は裏面を吸引するときに、第1の部分78が基板Sと接触して、ピン66に力が加わって、ピン66が移動可能である。ピン66が上方に移動することにより、ピン66の他方の端部にある第2の部分80がレバー64を回転軸72の周りに回転させて、レバー64を基板Sの側面82に接触させて、基板Sを押すことが可能である。
【0043】
本実施形態では、レバー64は、基板Sを水平方向に押すことはできるが、垂直方向(重力方向)に基板Sを保持することはできない。この理由は、レバー64が基板Sを水平方向に押す力が弱く、レバー64と側面82との間の摩擦力が弱く、垂直方向(重力方向)に基板Sを保持することができないからである。
【0044】
なお、レバー64が基板Sを水平方向に押す力を強くする、もしくはレバー64の先端部を基板Sの方へ曲がっているカギ型等に形成して、基板Sに先端部が係合する等により、レバー64が基板Sを保持することとしてもよい。
【0045】
本実施形態では、ピン66は棒形状であり、第1の部分78が、棒形状の一方の端部であり、第2の部分80が、棒形状の他方の端部である。レバー64は、第2の部分80と接触可能な第1の部品84と、基板Sの側面に接触可能な第2の部品86とを有する。ピン66の第1の部分78が基板Sと接触して、ピン66が上方に移動すると、ピン66の第2の部分80が、レバー64の第1の部品84を回転軸72の周りに回転移動させる。レバー64の第1の部品84が回転軸72の周りに回転移動すると、レバー64の第2の部品86が回転移動して、基板Sの側面に接触する。棒形状として、細長いピンを採用することができ、レバー64として、概略L字形のレバーを採用することができる。
【0046】
位置決定機構54の位置決め動作は、以下のように行われる。あらかじめ基板Sが、所定の搬送開始位置に置かれていて、置かれている基板Sをベース56に吸着する場合について説明する。(1)基板Sを吸着する前は、トーションバネ76により、レバー64の第2の部品86が、基板Sの外側に退避している。(2)ベルヌーイ吸着パッド52が起動して、基板Sを吸い上げ始めると、基板Sが上昇中のときは、基板Sがピン66に接触するまで、レバー64は動かない。(3)基板Sがピン66に接触すると、基板Sに働いている吸着力がピン66に伝わり、基板Sがピン66を押しながら上昇する。このとき、ピン66の第2の部分80がレバー64の第1の部品84を押す。第1の部品84が押されるため、レバー64が回転し、レバー64の第2の部品86が、基板Sの側面82を、基板Sの内側に向かって押す。8個の位置決定機構54が、基板Sの4辺の側面82を、基板Sの内側に向かって押すため、基板Sが所定の位置に置かれる。
【0047】
基板Sが、上昇して、ベース56の下面に配置されたストッパ88に接触すると、基板Sの上昇は停止する。ストッパ88は、図4,5に示すように、ベース56の下面に、ベース56の各辺に3個ずつ配置されている。ストッパ88の、ベース56からの高さ90は、ベルヌーイ吸着パッド52の、ベース56からの高さ92よりも大きく設定されている。このため、基板Sがベルヌーイ吸着パッド52に接触することはなく、ベルヌーイ吸着パッド52が気体を噴出しているときは、基板Sを吸着する力が続いている。そして、基板Sを吸着する力が続く限り、レバー64は基板Sの横ズレを防止することができる。この結果、基板Sを所定の位置に保持したまま、基板Sを搬送することが可能である。ストッパ88を設けている理由は、ストッパ88が無いと、ベルヌーイ吸着パッド52と基板Sが接触して、ベルヌーイ吸着パッド52が気体を噴出できなくなり、基板Sを吸着する力を失うためである。
【0048】
搬送終了後に、所定の搬送終了位置に基板Sが設置された時に、基板Sをロボットハンド156から解放するときは、ベルヌーイ吸着パッド52が気体の噴出を停止する。気体
の噴出が停止すると、基板Sを吸着する力が消滅し、基板Sがピン66を上方に押す力も消滅する。ロボットハンド156を上昇させると、基板Sは吸着されることはなく、ロボットハンド156から自然に離れる。レバー64は、トーションバネ76の力により、基板Sの側面82から離れる。ピン66は、レバー64のトーションバネ76の力もしくは自重によって、下方に押される。なお、トーションバネ76を設けることなく、第1の部品84を重くして、第2の部品86を軽く設定することにより、トーションバネ76がある場合と同様の動作をレバー64に行わせることが可能である。
【0049】
次に、ピン66の第2の部分80の詳細構造について説明する。第2の部分80は、図11、12に示すように、第1の部分78の上部である円筒部94内に配置されている。図12は、取付部70を図示していない。円筒部94の内側に、第2の部分80のボール受容部96が配置されている。ボール受容部96の上部には、ボール98が取り付けられている。ボール受容部96は、バネ102(弾性体)を介して、ピン66の円筒部94内に取り付けられている。
【0050】
ボール受容部96はバネ102を介して、円筒部94に取り付けられているため、ボール受容部96は、ボール98に下向きの力が加わると、円筒部94が下方に移動しないときは、円筒部94に対して、相対的に下方に移動する。「円筒部94が移動しないとき」とは、ピン66の下端が基板Sに当たっていて、かつ基板Sが下方に移動できないために、ピン66が下方に移動できないときである。「円筒部94が下方に移動しないとき」が起こりうるために、バネ102を設けた。これについて次に説明する。
【0051】
ボール受容部96が、バネ102(弾性体)を介して、ピン66の円筒部94内に取り付けられている理由を図12により説明する。バネ102を設けた理由は、基板Sの大きさが、基板Sの大きさとしては許容範囲内であるが、大きい時に、確実に保持するためである。基板Sが大きい時に、バネ102が縮んで、ボール受容部96が下方に移動して、ピン66の長さが短くなることにより、基板Sとベース56との距離が、大きい基板でも、小さい基板でも同じになる。位置決定機構54においては、図11に示すように、基板Sがストッパ88に当たるときに、ベルヌーイ吸着パッド52の保持力が最大になるように、ベルヌーイ吸着パッド52の保持力が設定されている。ベルヌーイ吸着パッド52の保持力は、ベルヌーイ吸着パッド52と基板Sとの距離に依存するためである。
【0052】
図12に示すように、基板Sの大きさが、基板Sの大きさとしては許容範囲内であるが、大きい時、レバー64の第2の部品86は、外側に開いた状態になる。図12では、大きい基板を基板SLとして示し、それよりも小さい標準の大きさの基板を基板Sとして示す。基板SLは、標準の大きさの基板Sよりも長さ104だけ大きいとする。図12では、基板SLを吸着していて、ストッパ88と基板SLが接触し、バネ102は縮んでいるとする。基板Sは、大きさを比較するために、参考として図12に示してある。
【0053】
基板SLを吸着していて、ストッパ88と基板SLが接触しているとき、第2の部品86は、図11の状態の時よりも外側に開いた状態にあり、従って、第1の部品84は、図11の状態の時よりも下方にある。図12では、ピン66の第2の部分80は、図11の状態の時よりも下方に押されている。
【0054】
仮に、ピン66がバネを有しない、すなわち、図11に示す長さを固定的に有するとすると、基板SLとベルヌーイ吸着パッド52との距離は、図11に示す高さ90の場合よりも長くなり、ベルヌーイ吸着パッド52の保持力は最大ではなくなる。本実施形態では、ボール受容部96は、バネ102を介して、ピン66の円筒部94内に取り付けられているため、バネ102は縮むことができる。すなわち、ピン66の長さは短くなることができる。従って、基板SLは、ストッパ88に当たる位置まで、上昇することができる。
図12は、バネ102が縮んで、基板SLがストッパ88に当たる位置まで、上昇した状態を示す。
【0055】
これまで説明してきた本実施形態によれば、基板の搬送時に基板の位置補正を行う場合、基板を吸着する力を利用し、電気や圧縮空気を使用しない。そのため、ロボットハンド156を、低コストかつ省スペースで実現できる。また、本実施形態では、少なくとも対向する2辺に位置する位置決定機構が基板をほぼ均等な力で押すことができるため、基板の大きさが異なっても、基板の中心を同じ位置に位置決めすることが可能となる。
【0056】
これまでの実施形態では、駆動部は、ベルヌーイ吸着パッド52の吸着力を利用しているが、本発明はこれに限られない。基板保持装置の別の実施形態として、基板Sが所定の位置にあることを検知して、検知したことを示す信号を出力可能な位置センサと、出力された信号を受信すると、レバー64を基板Sの側面82に接触させることが可能な動作部とを有するものとすることもできる。この形態では、動作部は、磁気力または気体の圧力により動作させることができる。
【0057】
図13により、この実施形態について説明する。ベース56に位置センサ106を取り付ける。位置センサ106としては、種々の方式が利用可能である。例えば、光源(図示せず)から光108を基板Sに照射して、受光素子(図示せず)で反射光112を受光する三角測距方式がある。基板Sが所定の位置にあることを位置センサ106が検知すると、検知したことを示す信号を位置センサ106は出力する。動作部114は、信号を受信すると、レバー64の第2の部品86を基板Sの側面82に接触させる。動作部114は、例えば磁気力を利用したソレノイドを有する。ソレノイドで駆動したピン116を第2の部品86に押し当てて、第2の部品86を基板Sの側面82に接触させる。
【0058】
なお、図10〜13の実施形態において、ロボットハンド156に、基板Sの位置を測定する別箇独立の測定センサを設けることとしてもよい。この場合、基板Sを正しい位置で把持できたかを、測定センサと位置決定機構54により、ダブルチェックできる。
【0059】
これまで説明してきたロボットハンド156が用いられる基板脱着機構29について説明する。カセットテーブル25でロボットハンド156が基板Sを保持し、保持した状態で基板搬送装置27がカセットテーブル25から基板脱着機構29へ基板Sを搬送する。基板脱着機構29において、基板Sが基板ホルダ1に装着される。その後、基板Sはめっきされ、めっき後、基板脱着機構29で、基板Sが基板ホルダ1から外されて、ロボットハンド156に保持される。保持した状態で基板搬送装置27が、基板脱着機構29からカセットテーブル25へ基板Sを搬送する。
【0060】
最初に基板ホルダ1について説明する。図14は、一実施形態に係る基板ホルダの概略正面図である。図15は、基板ホルダの概略側面図である。基板ホルダ1は、フロントプレート300とバックプレート400とを備えている。これらのフロントプレート300とバックプレート400との間に基板Sが保持される。本実施例では、基板ホルダ1は、基板Sの片面を露出した状態で基板Sを保持する。基板Sは、半導体ウェハ、ガラス基板、液晶基板、プリント基板、その他の被めっき物であり得る。基板Sは、円形、角形等の形状である。なお、以下の説明では、角形の基板を例に挙げて説明するが、基板ホルダ1の開口部の形状を変更すれば、円形その他の形状の基板を保持することが可能である。
【0061】
フロントプレート300は、フロントプレート本体310と、アーム部330とを備えている。アーム部330は、基板ホルダ搬送装置37に把持される把持部分であり、基板脱着機構29及びめっき槽39に配置される際に支持される部分である。基板ホルダ1は、めっき装置100の設置面に対して垂直に立てた状態で搬送され、垂直に立てた状態で
めっき槽39内に配置される。
【0062】
フロントプレート本体310は、概ね矩形状であり、配線バッファ部311とフェース部312とを有し、前面301と背面302とを有する。フロントプレート本体310は、取付部320によって2箇所でアーム部330に取り付けられている。フロントプレート本体310には、開口部303が設けられており、開口部303から基板Sの被めっき面が露出される。本実施形態では、開口部303は、矩形状の基板Sに対応して矩形状に形成されている。なお、基板Sが円形の半導体ウェハ等である場合には、開口部303の形状も円形に形成される。
【0063】
バックプレート本体410の前面は、基板Sの載置面であり、フロントプレート本体310の背面302に取り付けられる。バックプレート本体410の前面には、基板Sを保持(固定)するためのクリップ部420が、基板Sの各辺に対応して合計8個設けられている。
【0064】
次に、基板着脱装置について説明する。図16は、基板着脱装置の斜視図である。基板着脱装置1000は、図1の基板脱着機構29に含まれる。基板着脱装置1000は、図16〜17に示すように、ホルダステーション1100と、旋回装置1200と、サポート装置1300とを備えている。ホルダステーション1100及びサポート装置1300は、設置面に固定されたベース1400上に固定されている。旋回装置1200は、構成材(レール)1500に取り付けられており、構成材1500に沿ってホルダステーション1100に対して接近および離間するように直線方向に往復移動可能である。構成材1500は、ベース1400の一側面に対して取り付けられており、ベース1400と略同一の高さを有する。旋回装置1200は、ホルダステーション1100の第1側に配置されており、サポート装置1300は、ホルダステーション1100の第2側に配置されている。基板着脱装置1000では、ホルダステーション1100で基板ホルダ1を懸架し、及びサポート装置1300で基板ホルダ1を後方側から支持及び固定した状態で、旋回装置1200で基板ホルダ1のバックプレート400を着脱し、旋回装置1200によって取り外されたバックプレート400に対して基板Sが着脱される。なお、サポート装置1300によって基板ホルダ1を支持しない場合には、サポート装置1300を省略可能である。
【0065】
以下の説明では、ホルダステーション1100及びサポート装置1300の旋回装置1200側を第1側又は前方側と称し、ホルダステーション1100及びサポート装置1300の反対側を第2側又は後方側と称する場合がある。また、旋回装置1200のホルダステーション1100側を第1側又は前方側と称し、旋回装置1200の反対側を第2側又は後方側と称する場合がある。旋回装置1200は、第1姿勢と、第2姿勢をとることができる。第1姿勢は、基板着脱装置1000の設置面に対して略垂直な姿勢である。第2姿勢が設置面に対して略水平な姿勢である。基板ホルダのバックプレート400を略水平にした状態で基板を受け入れ、略垂直な第1姿勢でバックプレート400とフロントプレート300を互いに固定する。
【0066】
図17は、旋回装置の第2姿勢における斜視図である。旋回装置1200は、図17に示すように、本体1232と、旋回機構1240と、支持板部1210と、を備えている。旋回装置を図17の第2姿勢にするときは、旋回装置1200を図16の位置から旋回位置に後退させる。旋回位置は、旋回装置1200の支持板部1210の旋回時に、支持板部1210がホルダステーション1100と干渉しないように、ホルダステーション1100から十分離れた旋回装置1200の位置である。
【0067】
そして、旋回装置1200の支持板部1210を第1姿勢(直立姿勢)から第2姿勢(
水平姿勢)に旋回させる。旋回装置1200の電動モータ1242を駆動させ、支持板部1210を直立姿勢から水平姿勢に旋回させる。また、旋回装置1200をさらに旋回位置から基板受け渡し位置まで移動させる。なお、基板受け渡し位置は、ロボットハンド156から旋回装置1200が基板Sを受け取るのに適した位置であり、旋回位置から所定の距離だけ前進した位置である。
【0068】
第2姿勢のときに、カセットテーブル25からロボットハンド156が搬送してきた基板Sが基板ホルダ1に装着される。その後、第1姿勢になって、ホルダステーション1100にあるフロントプレート300と組み立てられる。その後、基板Sはめっきされ、めっき後、ホルダステーション1100において、フロントプレート300とバックプレート400は分離される。その後、第1姿勢から第2姿勢になり、第2姿勢のときに、基板Sが基板ホルダ1から外されて、ロボットハンド156に保持されて、カセットテーブル25に搬送される。図18に、基板取り付け時の基板着脱装置の側面図を示す。
【0069】
本発明の一実施形態の記憶媒体は、基板Sの表面又は裏面を吸引して保持することが可能なロボットハンド156の制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムを格納した記憶媒体であって、ベルヌーイ吸着パッド52によって、基板Sの表面又は裏面を吸引して保持させること、基板Sの側面に接触して、基板Sを押すことが可能であり、吸引された基板Sを位置決め可能なレバー64を、基板Sの側面に接触させることをピン66によって行うこと、をコンピュータに実行させるためのプログラムを格納している。
【0070】
以上、本発明の実施形態の例について説明してきたが、上記した発明の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明には、その均等物が含まれることはもちろんである。また、上述した課題の少なくとも一部を解決できる範囲、または、効果の少なくとも一部を奏する範囲において、特許請求の範囲および明細書に記載された各構成要素の任意の組み合わせ、または、省略が可能である。
以上説明したように、本発明は以下の形態を有する。
形態1
基板の表面又は裏面を吸引して保持することが可能な吸引部と、
前記基板の側面に接触して、前記基板を押すことが可能であり、吸引された前記基板を位置決め可能な位置決定部と、
前記位置決定部を前記基板の側面に接触させることが可能な駆動部とを有し、
前記駆動部によって、前記位置決定部が前記基板の側面に接触させられることにより、前記位置決定部は前記基板を位置決めすることを特徴とする基板保持装置。
形態2
前記駆動部の第1の部分が前記基板と接触可能であり、
前記吸引部によって、前記基板の表面又は裏面を吸引するときに、前記第1の部分が前記基板と接触して、前記駆動部に力が加わって、前記駆動部が移動可能であり、
前記駆動部が移動することにより、前記駆動部の第2の部分が前記位置決定部を前記基板の側面に接触させて、前記基板を押すことが可能であることを特徴とする形態1記載の基板保持装置。
形態3
前記駆動部は棒形状であり、前記第1の部分が、前記棒形状の一方の端部であり、前記第2の部分が、前記棒形状の他方の端部であり、
前記位置決定部は、前記第2の部分と接触可能な第1の部品と、前記基板の側面に接触可能な第2の部品とを有し、
前記駆動部の前記第1の部分が前記基板と接触して、前記駆動部が移動すると、前記駆動部の前記第2の部分が、前記位置決定部の前記第1の部品を移動させ、
前記位置決定部の前記第1の部品が移動すると、前記位置決定部の前記第2の部品が移動して、前記基板の側面に接触することを特徴とする形態2記載の基板保持装置。
形態4
前記駆動部の第2の部分は、弾性体を介して、前記駆動部に取り付けられていることを特徴とする形態1記載の基板保持装置。
形態5
前記駆動部は、前記基板が所定の位置にあることを検知して、検知したことを示す信号を出力可能な位置センサと、
前記信号を受信すると、前記位置決定部を前記基板の側面に接触させることが可能な動作部とを有することを特徴とする形態1記載の基板保持装置。
形態6
前記動作部は、磁気力または気体の圧力により動作することを特徴とする形態5記載の基板保持装置。
形態7
前記吸引部は、前記基板の表面又は裏面に気体を噴出することにより、噴出する前記気体を受ける前記基板の表面又は裏面を吸引するベルヌーイ吸引部であることを特徴とする、形態1ないし6のいずれか1項に記載の基板保持装置。
形態8
前記基板は矩形状であることを特徴とする、形態1ないし7のいずれか1項に記載の基板保持装置。
形態9
前記基板の位置を測定する測定センサを有することを特徴とする、形態1ないし8のいずれか1項に記載の基板保持装置。
形態10
保持可能な前記基板が四角形であり、前記位置決定部が前記基板と接触するときの接触部が前記四角形の辺上にあり、
前記接触部は、前記四角形の頂点から、前記接触部がある前記辺の長さの1/4以内にあることを特徴とする、形態1ないし9のいずれか1項に記載の基板保持装置。
形態11
めっき装置であって、
前記基板を搬送する搬送装置と、
前記基板を保持するための基板ホルダに前記基板を着脱する基板着脱装置と、
前記基板着脱装置において前記基板を保持した前記基板ホルダを受け入れて、前記基板にめっき処理を施すめっき処理部と、を備え、
前記搬送装置は、形態1ないし10のいずれか1項に記載の基板保持装置を有し、前記基板着脱装置へ、または、前記基板着脱装置から前記基板を搬送することを特徴とするめっき装置。
形態12
基板の表面又は裏面を吸引して保持することが可能な基板保持装置の制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムを格納した記憶媒体であって、
吸引部によって、基板の表面又は裏面を吸引して保持させること、
前記基板の側面に接触して、前記基板を押すことが可能であり、吸引された前記基板を位置決め可能な位置決定部を、前記基板の側面に接触させることを駆動部によって行うこ
と、をコンピュータに実行させるためのプログラムを格納した記憶媒体。
【符号の説明】
【0071】
27…基板搬送装置
29…基板脱着機構
37…基板ホルダ搬送装置
52…ベルヌーイ吸着パッド
54…位置決定機構
64…レバー
66…ピン
68…側面
76…トーションバネ
78…第1の部分
80…第2の部分
82…側面
84…第1の部品
86…第2の部品
88…ストッパ
94…円筒部
96…ボール受容部
98…ボール
102…バネ
106…位置センサ
110…ロード・アンロード部
114…動作部
116…ピン
156…ロボットハンド
1000…基板着脱装置
1100…ホルダステーション
1200…旋回装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18