(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記個別接続端子用ダイオードのカソードと前記第1及び第2のダイオードのカソードとの間にアンチパラレルダイオードを設けたことを特徴とする請求項1記載の保護回路。
前記内部回路の上位電源ラインを前記第1及び第2のダイオードのカソードに接続することに代えて、前記上位電源端子と前記内部回路の電源ラインとの間に、アノードを前記上位電源端子に接続し、カソードを前記内部回路の電源ラインに接続する内部回路電源用逆接防止ダイオードを設けたことを特徴とする請求項1記載の保護回路。
前記内部回路用逆接防止回路の前記プルアップ手段をツェナーダイオードを用いて構成し、前記プルダウン手段を抵抗器を用いて構成し、前記内部回路用第1及び第2のMOSトランジスタは、各々のソースとバックゲートが相互に接続されて前記ツェナーダイオードのカソードに接続され、前記ツェナーダイオードのアノードは、前記内部回路用第1及び第2のMOSトランジスタのゲートに接続されると共に、前記抵抗器を介して前記下位電源端子に接続されてなることを特徴とする請求項4記載の保護回路。
【背景技術】
【0002】
従来、電源ラインに電源が逆接続された時に回路破壊を防止する方策としては、いわゆる逆接防止回路が用いられると共に、一般にダイオードをESD保護素子としてESD保護を図った回路を用いて、逆接続時における回路の破壊防止とESD保護を図ったものなどが良く知られている(例えば、特許文献1等参照)。
【0003】
例えば、
図11には、ダイオードを用いて、主に、ESD保護を目的として構成された従来回路の一例が示されている。
この従来回路は、上位電源(VDD)と下位電源(GND)の間にダイオードD1を接続すると共に、内部回路に接続された各端子TER1〜TER3には、上位電源側と下位電源側の端子間に、それぞれダイオードD2〜D7が逆接続状態で設けられた構成となっている。かかる構成により、静電気を上位電源側、又は、下位電源側へ逃がすことで内部回路が保護できるようになっている。
なお、
図11に示す例では、端子数が3の場合を示しているが、端子の数に応じて上位電源側と下位電源側の端子間に、それぞれダイオードを逆接続状態で設けることができる。
【0004】
図12には、ESD保護に加えて逆接続時における回路破壊防止機能を果たすよう構成された従来回路の一例が示されている。
この従来回路は、上位電源(VDD)と下位電源(GND)の間に2個のダイオードD1,D2が、カソードコモンで接続されており、電源ラインに電源が逆接続された場合に内部回路への電流の流入が阻止されるものとなっている。
【0005】
さらに、この従来回路においては、各端子TER1〜TER2と電源間、各端子間、各端子TER1〜TER2と下位電源間に、それぞれ、上述のカソードコモン接続された2個のダイオードD1,D2と同様に、2組のカソードコモン接続されたダイオードD3〜D10を接続し、各端子TER1〜TER2と上位電源間、各端子間、各端子TER1〜TER2と下位電源間が、本来の接続と逆に接続された場合にも不要な電流が流入しない構成となっている。なお、
図12に示す例では、端子数が2の場合を示しているが、端子の数に応じてダイオードを設けることが可能である。
【0006】
図12に示された回路において、下位電源に対してプラスの静電気が印加された場合、上位電源−下位電源間では、ダイオードD1が順方向となり、ダイオードD2がブレークダウンすることで内部回路が保護される。このため、ダイオードD2のブレークダウン電圧は内部回路の破壊電圧を下回るように設定される。
【0007】
逆に、下位電源に対してマイナスの静電気が印加された場合、ダイオードD2が順方向となり、ダイオードD1がブレークダウンすることで内部回路が保護される。この場合、ダイオードD1についても、そのブレークダウン電圧は、ダイオードD2同様、内部回路の破壊電圧を下回るよう設定される。
【0008】
また、上位電源に対して、プラス・マイナスの静電気が印加された場合にも、順方向電圧VF+ブレークダウン電圧VBDにより内部回路が保護される。
各端子TER1〜TER2についても、それぞれ接続されたダイオードD3〜D10により、上述と同様な保護動作が確保できるものとなっている。
【0009】
このような回路構成とすることで、内部回路は、電源電圧から逆接防止ダイオードD1のフォワード電圧VF分(約0.7V)低下した電源電圧で駆動されることとなる。
【0010】
上述のダイオードD3〜D10は、ESD保護素子として機能するため、瞬時に数Aの電流を流せるだけの電流許容量が確保されたものである必要がある。そのため、各端子毎に、通常、外部回路との接続端子であるPAD端子(概ね100μm□)に相当するだけの面積が必要となる。
【0011】
一方、内部回路が各端子TER1〜TER2を介して外部から入力する信号によって駆動される場合、内部回路は電源電圧に対して先のVF分低下した信号レベルで、しかも、ダイオードのシリーズ抵抗を介して駆動されることとなる。そのため、各端子TER1〜TER2から内部回路へ入力するオーバーシュート、アンダーシュートといったノイズによって、内部回路が誤動作することも想定される。
さらに、内部回路から出力される信号を、外部回路と接続する場合、信号レベルが合わないという問題も生ずる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について、
図1乃至
図10を参照しつつ説明する。
なお、以下に説明する部材、配置等は本発明を限定するものではなく、本発明の趣旨の範囲内で種々改変することができるものである。
最初に、第1の回路構成例について、
図1を参照しつつ説明する。
本発明の実施の形態における保護回路は、例えば、内部回路210を有し、この内部回路210が複数の個別接続端子41−1〜41−n(nは正の整数、以下同様)を介して図示されない外部回路との信号の授受が可能に構成された電子装置201に設けられる。
【0019】
この電子装置201には、電源端子(上位電源端子)45とグランド端子(下位電源端子)46とが設けられており、電源端子45には、外部から電源電圧VDDが印加されるようになっている一方、グランド端子46は内部回路210のグランド側と接続されて外部のグランドラインに接続可能となっている。
【0020】
保護回路101は、複数のダイオードを有して構成されている。
この第1の回路構成例においては、個別接続端子の数がn個の場合、(n+2)個のダイオードが必要となる。
すなわち、電源端子45に対して2個のダイオード1−1,1−2と、n個の個別接続端子41−1〜41−nに対して、それぞれ1個づつのダイオード1−3〜1−(n+2)が必要となる。
【0021】
以下、その具体的な接続について説明する。
まず、第1及び第2のダイオード(
図1においては、それぞれ「D1」、「D2」と表記)1−1,1−2は、各々のカソード同士が接続され、第1のダイオード1−1のアノードが電源端子45に、第2のダイオード1−2のアノードがグランド端子46に、それぞれ接続されている。
【0022】
また、第1及び第2のダイオード1−1,1−2のカソードは、内部回路210の図示されない電源ライン(上位電源ライン)に接続されている。すなわち、第1及び第2のダイオード1−1,1−2の相互に接続されたカソードは、内部回路210への電源電圧の供給ノードとなっている。
【0023】
次に、個別接続端子41−1〜41−nにおけるダイオード1−3〜1−(n+2)の接続について説明する。なお、
図1においては、第1、第2、及び第nの個別接続端子41−1、41−2、41−nについて、それぞれ「TER1」、「TER2」、「TERn」と表記している。
また、説明の便宜上、ダイオード1−3〜1−(n+2)を、以下、個別接続端子用ダイオード1−3〜1−(n+2)と称することとする。
【0024】
個別接続端子用ダイオード1−3〜1−(n+2)は、いずれも、そのカソードは、先の第1及び第2のダイオード1−1,1−2のカソードに接続される一方、各々のアノードは、それぞれ対応する個別接続端子41−1〜41−nに接続されている。
例えば、第1の個別接続端子用ダイオード1−3のアノードは、第1の個別接続端子41−1に、第2の個別接続端子用ダイオード1−4のアノードは、第2の個別接続端子41−2に、それぞれ接続される。
【0025】
次に、上記構成における動作について説明する。
先ず、逆接時の動作について説明する。
逆接時の動作は、基本的に従来と同様である。
すなわち、電源端子45とグランド端子46とが本来の接続と逆の接続がされた場合は、カソードコモン接続された第1及び第2のダイオード1−1,1−2により内部回路210へ電流が流入するのを阻止可能となっている。
【0026】
また、個別接続端子41−1〜41−nと電源端子45とが本来の接続と逆の接続がされた場合は、第1のダイオード1−1と、個別接続端子41−1〜41−n毎に、それぞれ設けられた個別接続端子用ダイオード1−3〜1−(n+2)とが、それぞれカソードコモン接続された構成となるため、第1及び第2のダイオード1−1,1−2同様、内部回路210へ電流が流入するのを阻止可能となっている。
【0027】
次に、ESD保護動作について説明する。
まず、グランドを基準としてプラスの静電気が電源端子45側に印加された場合、電源端子45とグランド端子46との間においては、第1のダイオード1−1が順方向に導通状態となる一方、第2のダイオード1−2はブレークダウンとなる。
【0028】
これによって、プラスの静電気は内部回路210へ何ら影響を及ぼすことは無く、内部回路210が保護される。
なお、第2のダイオード1−2は、内部回路210の破壊電圧を下回るブレークダウン電圧を有するものであることが必要である。
【0029】
上述の場合とは逆に、グランドを基準としてマイナスの静電気が電源端子45側に印加された場合、第2のダイオード1−2が順方向に導通状態となる一方、第1のダイオード1−1がブレークダウンとなる。
これによって、マイナスの静電気は内部回路210へ何ら影響を及ぼすことは無く、内部回路210が保護される。
【0030】
この場合、第1のダイオード1−1についても、先の第2のダイオード1−2の場合と同様に、内部回路210の破壊電圧を下回るブレークダウン電圧を有するものであることが必要である。
【0031】
個別接続端子41−1〜41−nにおける個別接続端子用ダイオード1−3〜1−(n+2)の動作は、それぞれ第1のダイオード1−1との組み合わせとして見ることで、上述した第1及び第2のダイオード1−1,1−2の動作と基本的に同様となる。
【0032】
すなわち、第1の個別接続端子用ダイオード1−3を例に採れば、第1のダイオード1−1と第1の個別接続端子用ダイオード1−3は、各々カソードコモン接続されており、その接続状態は、第1及び第2のダイオード1−1,1−2と同様である。
【0033】
したがって、電源端子45と個別接続端子41−1との間における、ESD保護動作については、先に述べた第1及び第2のダイオード1−1,1−2と基本的に同一である。
他の個別接続端子用ダイオード1−4〜1−(n+2)の動作についても、第1の個別接続端子用ダイオード1−3と同様に捉えることができる。
【0034】
ここで、この第1の回路構成例が、従来回路に比して構成部品が少ないにも関わらず、従来回路と同等の機能を有するものであることを、
図12に示された従来回路と対比しつつ以下に説明する。
【0035】
図12の回路において、端子TER1に対するダイオードD3の機能とダイオードD1の機能は、逆接防止という点で等価であり、ダイオードD1を残すことで、ダイオードD3を省略することが可能である。
【0036】
また、同じく端子TER1において、ダイオードD6は、ダイオードD2と同一の機能を果たすものである。したがって、ダイオードD6は省略することができる。
その結果、残されたダイオードD4とD5は、いずれも、そのカソードがダイオードD1,D2の中点に接続することができるため、結局、基本的な機能を確保しつつ、いずれか一方を残し(D5が省略可能)、TER1に対して1つのダイオードを設ける構成とすることが可能となる。
図1に示された第1の回路構成例は、上述のような観点に基づくものである。
【0037】
次に、第2の回路構成例について、
図2を参照しつつ説明する。
なお、
図1に示された構成要素と同一の構成要素については、同一の符号を付して、その詳細な説明を省略し、以下、異なる点を中心に説明する。
この第2の回路構成例は、第1の回路構成例においてアンチパラレルダイオードを付加した構成を有するものである。
【0038】
以下、具体的に説明すれば、まず、アンチパラレルダイオード2は、2つの第1及び第2のアンチパラレル用ダイオード(
図2においては、それぞれ「Dan1」、「Dan2」と表記)2−1,2−2を有して、次述するように接続されて構成されている。
【0039】
第1のアンチパラレル用ダイオード2−1のカソードと第2のアンチパラレル用ダイオード2−2のアノードが相互に接続されて、アンチパラレルダイオード2としての一方の接続点として、第1及び第2のダイオード1−1,1−2のカソード同士の接続点に接続されている。
【0040】
また、第1のアンチパラレル用ダイオード2−1のアノードと第2のアンチパラレル用ダイオード2−2のカソードが相互に接続されて、アンチパラレルダイオード2としての他方の接続点として、第1の個別接続端子用ダイオード1−3のカソードに接続されている。
【0041】
次に、かかる構成における回路動作について説明する。
この第2の回路構成例は、特に、個別接続端子41−1〜41−nと電源端子45間における逆接続に対する回路動作の安定性確保を図ったものである。
個別接続端子41−1〜41−nから内部回路210の電源ライン(図示せず)、換言すれば、内部回路電源ノードへのノイズ混入による回路誤動作の危険性を抑圧、防止すると共に、個別接続端子41−1〜41−nが誤って電源端子45と接続された場合や、電源端子45と同電位が印加された場合にあっても、内部回路210へ対する電流供給は、電源端子45からの電流供給が優先され、内部回路210の安定動作が確保可能となっている。
【0042】
具体的には、例えば、第1の個別接続端子41−1が電源端子45と同電位となった場合、アンチパラレルダイオード2があるため、内部回路210へ対する第1の個別接続端子41−1からの電流供給は遮断される一方、正常時と同様に電源端子45から内部回路210へ対する電流供給が確保され、内部回路210の安定動作が維持される。
【0043】
これに対して、
図1に示された第1の回路構成例において、例えば、上述のように第1の個別接続端子41−1が電源端子45と同電位となった場合、第1のダイオード1−1と共に第1の個別接続端子用ダイオード1−3も導通状態となるため、本来、電源端子45からのみ供給されるべき電流が、第1の個別接続端子41−1からも供給されることになるという弱点がある。
第2の回路構成例は、アンチパラレルダイオード2を設けることで第1の回路構成例の弱点を克服可能としている。
【0044】
次に、第3の回路構成例について、
図3を参照しつつ説明する。
なお、
図1、
図2に示された構成要素と同一の構成要素については、同一の符号を付して、その詳細な説明を省略し、以下、異なる点を中心に説明する。
この第3の回路構成例は、
図1に示された第1の回路構成例において、保護回路の構成要素として用いられたダイオードに代えてMOS電界効果型トランジスタ(以下、説明の便宜上「MOSトランジスタ」と称する)を用いた構成としたものである。
【0045】
最初に、具体的な回路接続について説明する。
まず、この第3の回路構成例において、保護回路101は、第1及び第2のMOSトランジスタ(
図3においては、それぞれ「MP1」、「MP2」と表記)21−1,21−2と、個別接続端子用MOSトランジスタ21−3〜21−(n+2)を有している。なお、
図3においては、個別接続端子用MOSトランジスタ21−3〜21−(n+2)の内、第1乃至第2の個別接続端子用MOSトランジスタ21−3〜21−4が表記例として、それぞれ、「MP3」、「MP4」と表記されている。
この第3の回路構成例においては、いずれのMOSトランジスタもP型MOSトランジスタが用いられている。
【0046】
以下、具体的な回路接続について説明すれば、最初に、第1及び第2のMOSトランジスタ21−1,21−2は、ソース、ゲート、及び、バックゲート同士が相互に接続されて、内部回路210の電源ノードに接続される一方、第1のMOSトランジスタ21−1のドレインは電源端子45に、第2のMOSトランジスタ21−2のドレインは、グランド端子46に、それぞれ接続されている。
【0047】
個別接続端子用MOSトランジスタ21−3〜21−(n+2)は、それぞれソース、ゲート、及びバックゲートが相互に接続されて、いずれも第1及び第2のMOSトランジスタ21−1,21−2のソース同士の接続点に接続されている。
そして、個別接続端子用MOSトランジスタ21−3〜21−(n+2)のドレインは、それぞれ対応する個別接続端子41−1〜41−nに接続されている。
【0048】
この第3の回路構成例は、構成要素としてMOSトランジスタを用いたことで、逆接防止回路としての動作は第1の回路構成例と同様であるが、ESD保護動作は、次述するように第1の回路構成例とは異なるものとなっている。
【0049】
まず、ESD保護素子としてのダイオードは、電流が増加するに伴い徐々に逆方向電圧が増加する逆特性を有している(
図14参照)。
これに対して、MOSトランジスタは、ゲート、ソース、及び、バックゲートを相互に接続してOFF状態として用いた場合、電流増加により、一旦、ブレークダウンするが、さらに電流が増えると、寄生バイポーラトランジスタの影響により電圧が低下し、その後、寄生バイポーラトランジスタがブレークダウンすると電流増加と共に電圧も増加する逆特性を有している(
図15参照)。
【0050】
このことから、MOSトランジスタを用いた第3の回路構成例の場合、ダイオードを用いた第1の回路構成例と異なり、内部回路210に不必要な電圧が加わるリスクを下げることができるものとなっている。
なお、
図3に示された回路構成例においてはP型MOSトランジスタが用いられているが、N型MOSトランジスタを用いても良いことは勿論であり、P型MOSトランジスタを用いた場合と同様の動作、機能を果たすことができる。
【0051】
次に、第4の回路構成例について、
図4を参照しつつ説明する。
なお、
図1、
図2、
図3に示された構成要素と同一の構成要素については、同一の符号を付して、その詳細な説明を省略し、以下、異なる点を中心に説明する。
この第4の回路構成例は、
図2に示された第2の回路構成例において、保護回路の構成要素として用いられたダイオードに代えてMOSトランジスタを用いた構成としたものである。
【0052】
この第4の回路構成例において、保護回路101は、第1及び第2のMOSトランジスタ21−1,21−2、個別接続端子用MOSトランジスタ21−3〜21−(n+2)、及び、アンチパラレルダイオード2を有して構成されている。
以下、具体的に説明すれば、まず、アンチパラレルダイオード2は、2つの第1及び第2のアンチパラレル用MOSトランジスタ(
図4においては、それぞれ「MPan1」、「MPan2」と表記)22−1,22−2を有して、次述するように接続されて構成されている。
【0053】
第1のアンチパラレル用MOSトランジスタ22−1のソース、ゲート、及び、バックゲートと第2のアンチパラレル用MOSトランジスタ22−2のドレインが相互に接続されて、アンチパラレルダイオードとしての一方の接続点として、第1及び第2のMOSトランジスタ21−1,21−2のソース、ゲート、及び、バックゲート同士の相互の接続点に接続されている。
【0054】
また、第1のアンチパラレル用MOSトランジスタ22−1のドレインと第2のアンチパラレル用MOSトランジスタ22−2のソース、ゲート、及び、バックゲートが相互に接続されて、アンチパラレルダイオード2としての他方の接続点として、第1の個別接続端子用MOSトランジスタ21−3のソース、ゲート、及び、バックゲートに接続されている。
【0055】
かかる構成における逆接防止回路としての動作は第2の回路構成例と同様であるので、ここでの再度の詳細な説明は省略する。また、ESD保護動作については、ダイオードと異なるMOSトランジスタ特有の逆特性に基づくものであり、先の
図3に示された第3の回路構成例で説明した通りであるので、ここでの再度の詳細な説明は省略する。
【0056】
次に、第5の回路構成例について、
図5を参照しつつ説明する。
なお、
図1乃至
図4のいずれかに示された構成要素と同一の構成要素については、同一の符号を付して、その詳細な説明を省略し、以下、異なる点を中心に説明する。
この第5の回路構成例は、
図1に示された第1の回路構成例において、内部回路電源用逆接防止ダイオードを別途設けた構成を有するものである。
【0057】
以下、具体的に説明すれば、内部回路電源用逆接防止ダイオード(
図5においては「Dinv」と表記)3は、アノードが電源端子45に接続される一方、カソードは内部回路210の電源ライン(図示せず)に接続されている。
かかる構成においては、個別接続端子41−1〜41−nを介してのノイズによる干渉から内部回路210を完全に分離することが可能となり、より確実で高レベルの安定な回路動作が確保される。
なお、他の逆接防止回路としての動作、及び、ESD保護動作については、第1の回路構成例と同一であるので、ここでの再度の詳細な説明は省略する。
【0058】
次に、第6の回路構成例について、
図6を参照しつつ説明する。
なお、
図1乃至
図5のいずれかに示された構成要素と同一の構成要素については、同一の符号を付して、その詳細な説明を省略し、以下、異なる点を中心に説明する。
この第6の回路構成例は、
図5に示された第5の回路構成例におけるダイオードをMOSトランジスタに置き換えた構成を有するものである。
また、この第6の回路構成例は、
図3に示された第3の回路構成例において、内部回路電源用逆接防止MOSトランジスタ(
図6においては「MPinv」と表記)4を別途設けた構成を有するものである。
【0059】
以下、具体的に説明すれば、P型MOSトランジスタを用いた内部回路電源用逆接防止MOSトランジスタ4は、ドレインが電源端子45に接続される一方、ゲート、ソース、及び、バックゲートは、相互に接続されると共に、内部回路210の電源ライン(図示せず)に接続されている。
【0060】
かかる構成における回路動作は、
図3に示された第3の回路構成例の回路動作に、内部回路電源用逆接防止MOSトランジスタ4による内部回路210への電源逆接続による破壊防止機能が加えられた点を除けば、第3の回路構成例と基本的に同様であるので、ここでの再度の詳細な説明は省略する。
【0061】
次に、第7の回路構成例について、
図7を参照しつつ説明する。
なお、
図1乃至
図6のいずれかに示された構成要素と同一の構成要素については、同一の符号を付して、その詳細な説明を省略し、以下、異なる点を中心に説明する。
この第7の回路構成例は、
図5に示された第5の回路構成例における内部回路電源用逆接防止ダイオード3に代えて、内部回路用逆接防止回路10を別途設けた構成を有するものである。
【0062】
内部回路用逆接防止回路10は、内部回路用第1及び第2のMOSトランジスタ(
図7においては、それぞれ「MPinv1」、「MPinv2」と表記)11−1,11−2と、プルアップ手段としてのツェナーダイオード(
図7においては「ZE1」と表記)12ー1と、プルダウン手段としての抵抗器(
図7においては「RH1」と表記)13−1とを有して構成されている。
【0063】
以下、その具体的な回路接続について説明する。
まず、P型MOSトランジスタである内部回路用第1及び第2のMOSトランジスタ11−1,11−2は、各々のソース、及び、バックゲートが共にツェナーダイオード12−1のカソードに接続される一方、各々のゲートは、共にツェナーダイオード12−1のアノードに接続されている。
ツェナーダイオード12−1のアノードは、抵抗器13−1を介してグランド端子46に接続されている。
【0064】
そして、内部回路用第1のMOSトランジスタ11−1のドレインは、電源端子45に、内部回路用第2のMOSトランジスタ11−2のドレインは、内部回路210の電源ライン(図示せず)に、それぞれ接続されている。
【0065】
かかる構成において、電源端子45と内部回路210の電源ライン(図示せず)の入出力間の電位差は、内部回路用第1及び第2のMOSトランジスタ11−1,11−2のON抵抗(導通抵抗)と、ドレイン・ソース間に流れる電流により決定されるため、内部回路210の消費電流が少ない場合、電源端子45に印加された電源電圧VDDとの電位差が非常に小さな電圧が内部回路210へ印加されることとなる。
【0066】
また、電源端子45から内部回路210の接続端である電源ライン(図示せず)に至る経路は、PNNP構造が形成されており、これは、ダイオードのカソード同士を接続した構造に等価であるため、それ自体で逆続防止機能を果たすものとなっている。
【0067】
また、抵抗器13−1のプルダウンをオン・オフする機能を別途設ければ、内部回路用第1及び第2のMOSトランジスタ11−1,11−2により内部回路210をオン・オフすることができ、スタンバイ機能を果たすスイッチとしての動作を付加することが可能となる。
【0068】
さらに、プルアップ手段としてのツェナーダイオード12−1は、内部回路用第1及び第2のMOSトランジスタ11−1,11−2のゲート・ソース間の電圧を、電源電圧VDDよりツェナー電圧分低い電圧に抑える目的で設けられている。このため、内部回路用第1及び第2のMOSトランジスタ11−1,11−2のゲート酸化膜厚を、電源電圧VDDが直接印加される他のMOSトランジスタに比して薄くすることができ、内部回路用第1及び第2のMOSトランジスタ11−1,11−2の小型化を可能としている。
【0069】
次に、第8の回路構成例について、
図8を参照しつつ説明する。
なお、
図1乃至
図7のいずれかに示された構成要素と同一の構成要素については、同一の符号を付して、その詳細な説明を省略し、以下、異なる点を中心に説明する。
【0070】
この第8の回路構成例は、
図7に示された第7の回路構成例における第1及び第2のダイオード1−1,1−2、及び、個別接続端子用ダイオード1−3〜1−(n+2)を、P型MOSトランジスタに置き換えた構成を有するものである。
なお、第1及び第2のダイオード1−1,1−2、及び、個別接続端子用ダイオード1−3〜1−(n+2)を、P型MOSトランジスタに置き換えた部分は、先に
図3に示された第3の回路構成例と同様であるので、ここでの再度の詳細な説明は省略する。
【0071】
次に、第9の回路構成例について、
図9を参照しつつ説明する。
なお、
図1乃至
図8のいずれかに示された構成要素と同一の構成要素については、同一の符号を付して、その詳細な説明を省略し、以下、異なる点を中心に説明する。
この第9の回路構成例は、
図7に示された内部回路用逆接防止回路10を、個別接続端子41−1〜41−nに適用した場合の構成例である。
【0072】
図9においては、第1の個別接続端子41−1に適用した例を示しているが、勿論、他の個別接続端子41−2〜41−nにも同様に適用できるものである。
以下、具体的な回路接続について説明する。
個別接続端子41−1に設けられた内部回路用逆接防止回路10−1は、内部回路用第3及び第4のMOSトランジスタ(
図9においては、それぞれ「MPinv3」、「MPinv4」と表記)11−3,11−4と、ツェナーダイオード(
図9においては「ZE2」と表記)12−2と、抵抗器(
図9においては「RH2」と表記)13−2とを有して構成されている。
【0073】
P型MOSトランジスタである内部回路用第3及び第4のMOSトランジスタ11−3,11−4は、各々のソース、及び、バックゲートが共にツェナーダイオード12−2のカソードに接続される一方、各々のゲートは、共にツェナーダイオード12−2のアノードに接続されている。
ツェナーダイオード12−2のアノードは、抵抗器13−2を介してグランド端子46に接続されている。
【0074】
内部回路用第3のMOSトランジスタ11−3のドレインは、個別接続端子41−1に、内部回路用第4のMOSトランジスタ11−4のドレインは、内部回路210の入力段に、それぞれ接続されている。
なお、内部回路用逆接防止回路10−1の動作は、
図7に示された第7の回路構成例において説明した内部回路用逆接防止回路10と基本的に同一であるので、ここでの再度の詳細な説明は省略する。
【0075】
次に、第10の回路構成例について、
図10を参照しつつ説明する。
なお、
図1乃至
図9のいずれかに示された構成要素と同一の構成要素については、同一の符号を付して、その詳細な説明を省略し、以下、異なる点を中心に説明する。
この第10の回路構成例は、
図7に示された第7の回路構成例において、従来技術に基づく保護強化用第1及び第2のダイオード5−1,5−2を付加した構成を有するものである。
【0076】
まず、保護強化用第1及び第2のダイオード5−1,5−2が必要となる理由について、
図7を参照しつつ説明する。
個別接続端子41−1〜41−nと、VDD・GND間に設けられたカソードコモン接続のダイオードが、チップレアウト上離れている場合、その電流経路が長くなり、ESD耐量が低下する虞がある。
【0077】
例えば、個別接続端子41−2において、個別接続端子用ダイオード1−4から第2のダイオード1−2へのチップ上の配線が長く、この配線による抵抗やインダクタ成分により、ESD印加時の電流経路の総インピーダンスが大きくなる場合がある。
【0078】
このような場合、グランド端子46に対して個別接続端子41−2へ負のESDが印加されると、グランド端子46→第2のダイオード1−2→個別接続端子用ダイオード1−4→個別接続端子41−2の順に電流が流れ込む。しかしながら、上述の配線インピーダンスの影響により、ESDエネルギーを逃がす為の十分な電流を流せなくなる。
【0079】
上述のような事態を回避するため、この第10の回路構成例においては、電流経路が長くなる端子部分、すなわち、個別接続端子41−2とグランド端子46との間に、カソードコモン接続された保護強化用第1及び第2のダイオード(
図10においては、それぞれ「Dad1」、「Dad2」と表記)5−1,5−2を設けた構成を採る(
図10参照)。
【0080】
すなわち、保護強化用第1のダイオード5−1のアノードは、個別接続端子41−2に接続される一方、保護強化用第2のダイオード5−2のアノードはグランド端子46に接続されている。