(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
還元的にアミノ化可能な、1つまたは複数のカルボニル基を含むカルボニル化合物を還元的アミノ化する方法において、反応を、均一に溶解された触媒Kならびに助触媒としての酸の存在下に実施し、触媒Kは、ルテニウム触媒であり、二座ホスファン配位子、カルボニル配位子、ヒドリド配位子、および場合により中性配位子を含むことを特徴とする、前記方法。
【技術分野】
【0001】
本発明は、還元的にアミノ化可能な、1つまたは複数のカルボニル基を含むカルボニル化合物を還元的アミノ化して、相応の第一級アミンを形成する方法において、反応を、周期表の第8族、第9族または第10族の少なくとも1個の金属原子を含み、二座ホスファン配位子、カルボニル配位子、中性配位子およびヒドリド配位子を有する均一に溶解された錯体触媒K、ならびに助触媒としての酸の存在下に実施することを特徴とする方法に関する。
【0002】
発明の背景:
第一級アミンは、中間生成物として多様に用いられており、例えば医薬品または農薬の製造に用いられている(Amines、Aliaphtic、Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry、2012、Vol.2、647〜695ページ)。ここで、特にエナンチオピュアなキラルアミンは有益な構成要素である。
【0003】
第一級アミンは、様々な方法で製造することができ、ここで、カルボニル化合物とアンモニアと水素との還元的アミノ化は、特に原子効率のよい方法である。それというのも、水以外に他の副産物が生じないからである。
【化1】
【0004】
このために、工業的規模では多くの場合、不均一系触媒が使用されるが、不均一系触媒では、エナンチオピュアなキラルアミンが得られない。商業的には、第一級のエナンチオピュアなキラルアミンは、たいてい多段階の酵素的方法によって、相応のアミンのラセミ混合物から製造される(D.Ghislieri、N.J.Turner、Top.Catal.2014、57、284〜300;Angew.Cem.Int.Ed.2004、43、788〜824)。
【0005】
第一級アミンを製造するための直接法は、均一系触媒による還元的アミノ化であり、これは、エナンチオピュアなキラルアミンの合成に対して不斉的にも実施される(Thomas C.Nugent(Ed.)、Chiral Amine Synthesis、2010、P.225〜245、Wiley−VCH、Weinheim)。
【0006】
米国特許第6,884,887号明細書(US6,884,887)には、均一に溶解された遷移金属ホスファン錯体を使用する、カルボニル化合物とアミンと水素との還元的アミノ化が開示されている。しかし、記載されている二座ホスファン配位子を有するロジウム触媒およびイリジウム触媒を使用して第一級アミンを製造するためにアンモニアを使用する場合、このような条件下ではカルボニル化合物の不所望な水素化によって、高い反応率で、相応するアルコールの選択性は不充分である。ここに記載されているアミン:アルコールの最も高い選択性は、カルボニル化合物の完全反応では4:1であり、すなわち、記載された系において、20%の割合で不所望のアルコールが副生成物として生じる。ここでは、カルボニル配位子を有する触媒はNH
3によるアミノ化に使用されないか、もしくは助触媒としての酸は添加されない。特許請求の範囲に記載された触媒を用いる、アンモニアとの不斉アミノ化も、例によって証明されていない。この系の欠点は、比較的大量のアルコールが不所望の副生成物として形成されることである。
【0007】
米国特許出願公開第2004/0267051号明細書(US2004/0267051)には、均一に溶解された遷移金属ホスファン錯体を使用する、カルボニル化合物とアミンとの還元的アミノ化が開示されており、ここでは、水素ではなく、水素供与体、例えばギ酸アンモニウムが、移動水素化において使用される。米国特許出願公開第2004/0267051号明細書(US2004/0267051)によれば、水素を還元剤として使用する場合よりも、米国特許第6687887号明細書(US6687887)に記載されたものと同じ遷移金属触媒を使用する水素移動反応により、アミンに関して明らかに高い選択性が達成される(最大96%のカルボニル化合物の反応率ではアルコールの形成なし)。キラルなホスファン配位子を使用する場合、米国特許出願公開第2004/0267051号明細書(US2004/0267051)によれば、アミンは、さらにエナンチオ選択的に作製することができる。この方法の欠点は、高い選択性を達成するための還元剤としてきわめて安価な水素を使用できるのではなく、水素移動反応のために、明らかにより高価な還元剤を使用しなければならないことである。
【0008】
Chem.Eur.J.2014、20、245〜252では、所望のアミンへの可能な限り高い選択性を達成し、かつアルコールの形成を抑制するために、同様に、還元剤としてのギ酸アンモニウムおよびNH
3供給源とを用いて、ケトンを還元的アミノ化して第一級アミンにすることが提案されている。ここで、均一に溶解されたイリジウム−ハーフサンドイッチ錯体が触媒として使用される。安価な水素を還元剤として使用することができず、その上、生成物の副生成物としてギ酸アミドも形成され、それらが、下流の加水分解によって初めて所望のアミンに変換されることが同じく欠点である。
【0009】
従って、上述の欠点を回避することができる方法を提供するという課題が生じた。この方法は、容易に実施でき、アンモニアをアミン源として、および水素を還元剤として使用して実施され、かつ副生成物として発生する不所望のアルコールは可能な限り少量であることが望ましい。さらに、この方法によってアミンをエナンチオ選択的に作製することも可能であることが望ましい。
【0010】
発明の要旨:
驚くべきことに、上記の課題は、第一級アミンを製造するための均一系触媒による還元的アミノ化のために、特別な金属触媒を使用することによって解決できた。
【0011】
発明の詳細な説明:
a)一般的な定義
特に明記されていない場合、本発明によれば以下の一般的な定義が適用される:
「均一系触媒による」とは、本発明の範囲では、錯体触媒の触媒活性部が、少なくとも部分的に液状反応媒体中に溶解されて存在していることであると理解される。好ましい実施形態では、それぞれ液状反応媒体中の総量を基準として、本方法で使用される錯体触媒の少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、特に好ましくは99%超が、液状反応媒体中に溶解されて存在しており、最も好ましくは、錯体触媒は、液状反応媒体中に完全に溶解されて存在している(100%)。触媒の量は、一般的に、それぞれ液状反応媒体全体を基準として0.1質量ppmから5000質量ppmまでである。
【0012】
「立体異性体」は、同じ構造であるが、三次元空間において異なる原子配置の化合物である。
【0013】
「エナンチオマー」は、鏡像に対して互いに像の関係にある立体異性体である。ここで、不斉合成で得られた「エナンチオマー過剰率」(enantiomeric excess、ee)は、以下の式によって計算される:
ee[%]=(R−S)/(R+S)×100。
【0014】
RおよびSは、両方のエナンチオマーのCIP法による表記であり、不斉原子における絶対配置を表すものである。エナンチオピュアな化合物(ee=100%)は、「ホモキラルな化合物」とも呼ばれる。
【0015】
b)化学残基の定義
b1)脂肪族非環式残基
本願では、特に定義がなければ、「アルキル」という用語は、広く解釈すべきである。とりわけ、広義の「アルキル」は、1個〜30個の炭素原子を有する、脂肪族の、直鎖または分岐鎖の非環式炭化水素残基であり、これらは、場合によりさらに1個または複数個、例えば1個、2個または3個のヘテロ原子、例えばO、N、NH、Sをそれらの鎖中に含んでいてよい。さらに、広義の「アルキル」残基は、一価または多価不飽和であってよく、1つまたは複数の非累積の、例えば1つ〜5つまで、例えば1つ、2つまたは3つのC−C二重結合またはC−C三重結合、とりわけ1つ、2つまたは3つの二重結合を有していてよい。それらは、天然由来であるか、または合成由来であってよい。「アルキル」という表現は、置換されたアルキル基も含み、それらは、一般的に、1つ、2つ、3つ、4つまたは5つ、好ましくは1つ、2つまたは3つ、特に好ましくは1つの置換基を有していてよい。上述の残基は、「ヒドロカルビル」残基という上位概念にまとめることもできる。
【0016】
ここで、これらの「置換基」は、とりわけ、F、Cl、Br、ヒドロキシ(OH)、C
1〜C
30−アルコキシ、C
5〜C
30−アリールオキシ、C
5〜C
30−アルキルアリールオキシ、N、O、Sから選択される少なくとも1個のヘテロ原子、オキソを含むC
5〜C
30−ヘテロアリールオキシ、C
3〜C
30−シクロアルキル、フェニル、N、O、Sから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含むC
5〜C
30−ヘテロアリール、N、O、Sから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含むC
5〜C
30−ヘテロシクリル、ナフチル、アミノ、C
1〜C
30−アルキルアミノ、C
5〜C
30−アリールアミノ、N、O、Sから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含むC
5〜C
30−ヘテロアリールアミノ、C
1〜C
30−ジアルキルアミノ、C
5〜C
14−ジアリールアミノ、C
6〜C
20−アルキルアリールアミノ、C
1〜C
30−アシル、C
1〜C
30−アシルオキシ、NO
2、C
1〜C
30−カルボキシ、カルバモイル、カルボキサミド、シアン、スルホニル、スルホニルアミノ、スルフィニル、スルフィニルアミノ、チオール、C
1〜C
30−アルキルチオール、C
5〜C
30−アリールチオールおよびC
1〜C
30−アルキルスルホニルから選択されるものである(「置換基群1」)。
【0017】
上述の一般的な定義による、上述の本発明による「アルキル」(「ヒドロカルビル」)基の非限定的な例として、以下のものが挙げられる:
狭義の「アルキル」(ならびに狭義のアルキルから誘導された残基におけるすべてのアルキル基、例えばアルコキシ、アルキルチオ、アルコキシアルキル、アルコキシアルコキシ、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、アルキルアミノおよびジアルキルアミノ;ハロゲンアルキル、アラルキルならびにアシルまたはアルコキシカルボニル)は、特に、ヘテロ原子を含まない、1個〜4個、1個〜5個、1個〜6個、または1個〜7個、1個〜10個、1個〜20個、または1個〜30個の炭素原子を有する、飽和の、直鎖または分岐鎖の炭化水素残基、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、1−メチルエチル、n−ブチル、1−メチル−プロピル、2−メチルプロピル、1,1−ジメチルエチル、n−ペンチル、1−メチルブチル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、2,2−ジメチルプロピル、1−エチルプロピル、n−ヘキシル、1,1−ジメチルプロピル、1,2−ジメチルプロピル、1−メチルペンチル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、4−メチルペンチル、1,1−ジメチルブチル、1,2−ジメチルブチル、1,3−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、2,3−ジメチルブチル、3,3−ジメチルブチル、1−エチルブチル、2−エチルブチル、1,1,2−トリメチルプロピル、1,2,2−トリメチルプロピル、1−エチル−1−メチルプロピルおよび1−エチル−2−メチルプロピル;ならびにn−ヘプチル、ならびに1回または複数回分岐したその類似体を表す。オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、エイコシル、ヘンエイコシル、ドコシル、トリコシル、テトラコシル、ペンタコシル、ヘキサコシル、ヘプタコシル、オクタコシル、ノナコシル、スクアリル、構造異性体、とりわけ1回または複数回分岐した異性体およびその高級同族体。
【0018】
「ヘテロアルキル」は、とりわけ、上に列挙された特別なアルキル残基であって、さらに1個または複数個、例えば1個、2個または3個のヘテロ原子、例えば、O、N、NH、Sをそれらの鎖中に含んでいてよいアルキル残基の基を表す。
【0019】
「低級アルキル」は、1個〜4個、1個〜5個、1個〜6個、または1個〜7個の炭素原子を有する上述のアルキル残基を表す。
【0020】
「アルケニル」は、一価または多価、とりわけ一価不飽和の、上述のアルキル基の類似体および少なくとも1つのC−C二重結合を含む。とりわけ、その用語は、2個〜4個、2個〜6個、2個〜8個、2個〜10個、2個〜20個、または2個〜30個の炭素原子および1つの二重結合を任意の位置に有する、一価または多価、とりわけ一価不飽和の、直鎖または分岐鎖の炭化水素残基、例えば、C
2〜C
6−アルケニル、例えば、エテニル、1−プロペニル、2−プロペニル、1−メチルエテニル、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、1−メチル−1−プロペニル、2−メチル−1−プロペニル、1−メチル−2−プロペニル、2−メチル−2−プロペニル、1−ペンテニル、2−ペンテニル、3−ペンテニル、4−ペンテニル、1−メチル−1−ブテニル、2−メチル−1−ブテニル、3−メチル−1−ブテニル、1−メチル−2−ブテニル、2−メチル−2−ブテニル、3−メチル−2−ブテニル、1−メチル−3−ブテニル、2−メチル−3−ブテニル、3−メチル−3−ブテニル、1,1−ジメチル−2−プロペニル、1,2−ジメチル−1−プロペニル、1,2−ジメチル−2−プロペニル、1−エチル−1−プロペニル、1−エチル−2−プロペニル、1−ヘキセニル、2−ヘキセニル、3−ヘキセニル、4−ヘキセニル、5−ヘキセニル、1−メチル−1−ペンテニル、2−メチル−1−ペンテニル、3−メチル−1−ペンテニル、4−メチル−1−ペンテニル、1−メチル−2−ペンテニル、2−メチル−2−ペンテニル、3−メチル−2−ペンテニル、4−メチル−2−ペンテニル、1−メチル−3−ペンテニル、2−メチル−3−ペンテニル、3−メチル−3−ペンテニル、4−メチル−3−ペンテニル、1−メチル−4−ペンテニル、2−メチル−4−ペンテニル、3−メチル−4−ペンテニル、4−メチル−4−ペンテニル、1,1−ジメチル−2−ブテニル、1,1−ジメチル−3−ブテニル、1,2−ジメチル−1−ブテニル、1,2−ジメチル−2−ブテニル、1,2−ジメチル−3−ブテニル、1,3−ジメチル−1−ブテニル、1,3−ジメチル−2−ブテニル、1,3−ジメチル−3−ブテニル、2,2−ジメチル−3−ブテニル、2,3−ジメチル−1−ブテニル、2,3−ジメチル−2−ブテニル、2,3−ジメチル−3−ブテニル、3,3−ジメチル−1−ブテニル、3,3−ジメチル−2−ブテニル、1−エチル−1−ブテニル、1−エチル−2−ブテニル、1−エチル−3−ブテニル、2−エチル−1−ブテニル、2−エチル−2−ブテニル、2−エチル−3−ブテニル、1,1,2−トリメチル−2−プロペニル、1−エチル−1−メチル−2−プロペニル、1−エチル−2−メチル−1−プロペニルおよび1−エチル−2−メチル−2−プロペニルを含む。
【0021】
「アルキニル」は、一価または多価、とりわけ一価不飽和の、上述のアルキル基の類似体および少なくとも1つのC−C三重結合を含む。とりわけ、アルキニルという用語は、2個〜4個、2個〜6個、または2個〜8個の炭素原子および任意の位置に三重結合を有する一価または多価、とりわけ一価不飽和の、直鎖または分岐鎖の炭化水素残基、とりわけ、上に明示的に挙げられたアルケニル残基に類似の、C−C三重結合を有する残基;例えばC
2〜C
6−アルキニル、例えばエチニル、1−プロピニル、2−プロピニル、1−ブチニル、2−ブチニル、3−ブチニル、1−ペンチニル、2−ペンチニル、3−ペンチニル、4−ペンチニル、3−メチル−1−ブチニル、1−メチル−2−ブチニル、1−メチル−2−ブチニル、1−メチル−3−ブチニル、2−メチル−3−ブチニル、1,1−ジメチル−2−プロピニル、1−エチル−2−プロピニル、1−ヘキシニルおよびその異性体の形態を含む。
【0022】
「ハロ(ゲン)アルキル」は、1個〜4個、1個〜6個、1個〜8個、1個〜10個、または1個〜20個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖のアルキル基(前述の通り)において、これらの基中で、部分的または完全に、水素原子は前述の通りにハロゲン原子により置き換えられていてよく、例えばC
1〜C
2−ハロゲンアルキル、例えばクロロメチル、ブロモメチル、ジクロロメチル、トリクロロメチル、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、クロロフルオロメチル、ジクロロフルオロメチル、クロロジフルオロメチル、1−クロロエチル、1−ブロモエチル、1−フルオロエチル、2−フルオロエチル、2,2−ジフルオロエチル、2,2,2−トリフルオロエチル、2−クロロ−2−フルオロエチル、2−クロロ−2,2−ジフルオロエチル、2,2−ジクロロ−2−フルオロエチル、2,2,2−トリクロロエチル、ペンタフルオロエチルおよび1,1,1−トリフルオロプロパ−2−イルを含む。
【0023】
「ヒドロキシアルキル」は、とりわけ、上述のアルキル残基が1回または複数回、とりわけ1回ヒドロキシル化された類似体、例えば上述の直鎖または分岐鎖アルキル残基のモノヒドロキシル化された類似体、例えば線状ヒドロキシアルキル基、例えば第一級(末端)ヒドロキシル基を有するもの、例えばヒドロキシメチル、2−ヒドロキシエチル、3−ヒドロキシプロピル、4−ヒドロキシブチル、または非末端ヒドロキシル基を有するもの、例えば1−ヒドロキシエチル、1−ヒドロキシプロピルまたは2−ヒドロキシプロピル、1−ヒドロキシブチルまたは2−ヒドロキシブチル、または1−ヒドロキシブチル、2−ヒドロキシブチルまたは3−ヒドロキシブチルである。
【0024】
「ヒドロキシアルケニル」は、とりわけ、上述のアルケニル残基が1回または複数回、とりわけ1回ヒドロキシル化された類似体を表す。
【0025】
「アミノアルキル」および「アミノアルケニル」は、とりわけ、上述のアルキル残基もしくはアルケニル残基が1回または複数回、とりわけ1回アミノ化された類似体、または上述のヒドロキシアルキルの類似体を表し、ここで、OH基は、アミノ基で置き換えられている。
【0026】
「アルコキシ」は、とりわけ、上述のアルキル残基の酸素末端類似体を表す。非限定的な例として、以下のものが挙げられる:C
1〜C
6−アルコキシ−残基、例えばメトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、1−メチルエトキシ、ブトキシ、1−メチルプロポキシ、2−メチルプロポキシまたは1,1−ジメチルエトキシ;ならびに例えばペントキシ、1−メチルブトキシ、2−メチルブトキシ、3−メチルブトキシ、1,1−ジメチルプロポキシ、1,2−ジメチルプロポキシ、2,2−ジメチルプロポキシ、1−エチルプロポキシ、ヘキソキシ、1−メチルペントキシ、2−メチルペントキシ、3−メチルペントキシ、4−メチルペントキシ、1,1−ジメチルブトキシ、1,2−ジメチルブトキシ、1,3−ジメチルブトキシ、2,2−ジメチルブトキシ、2,3−ジメチルブトキシ、3,3−ジメチルブトキシ、1−エチルブトキシ、2−エチルブトキシ、1,1,2−トリメチルプロポキシ、1,2,2−トリメチルプロポキシ、1−エチル−1−メチルプロポキシまたは1−エチル−2−メチルプロポキシ。
【0027】
「アルコキシアルキル」は、とりわけ、上に挙げられたアルコキシ残基の少なくとも1つを置換基として有する上述のアルキル基を表す。
【0028】
「アルコキシカルボニル」は、とりわけ、カルボニル基に結合している上述のアルコキシ基を表す。
【0029】
「アルキルチオ」は、とりわけ、上述のアルコキシ残基のS末端類似体を表す。
【0030】
「ハロゲンアルコキシ」は、部分的または完全にフッ素、塩素、臭素および/またはヨウ素で、好ましくはフッ素で置換されている前述の通りの1個〜8個、とりわけ1個〜6個、特に1個〜4個の炭素原子を有するアルコキシ残基、つまり、例えばOCH
2F、OCHF
2、OCF
3、OCH
2Cl、OCHCl
2、OCCl
3、クロロフルオロメトキシ、ジクロロフルオロメトキシ、クロロジフルオロメトキシ、2−フルオロエトキシ、2−クロロエトキシ、2−ブロモエトキシ、2−ヨードエトキシ、2,2−ジフルオロエトキシ、2,2,2−トリフルオロエトキシ、2−クロロ−2−フルオロエトキシ、2−クロロ−2,2−ジフルオロエトキシ、2,2−ジクロロ−2−フルオロエトキシ、2,2,2−トリクロロエトキシ、OC
2F
5、2−フルオロプロポキシ、3−フルオロプロポキシ、2,2−ジフルオロプロポキシ、2,3−ジフルオロプロポキシ、2−クロロプロポキシ、3−クロロプロポキシ、2,3−ジクロロプロポキシ、2−ブロモプロポキシ、3−ブロモプロポキシ、3,3,3−トリフルオロプロポキシ、3,3,3−トリクロロプロポキシ、OCH
2−C
2F
5、OCF
2−C
2F
5、1−(CH
2F)−2−フロオロエトキシ、1−(CH
2Cl)−2−クロロエトキシ、1−(CH
2Br)−2−ブロモエトキシ、4−フルオロブトキシ、4−クロロブトキシ、4−ブロモブトキシまたはノナフルオロブトキシを表す。
【0031】
b2)ポリマー残基
「ポリアルキレン」残基は、とりわけ、実質的にC
2〜C
6−モノマー構成単位、とりわけC
2〜C
4−モノマー構成単位、例えばエチレン、プロピレン、n−ブチレンまたはイソブチレンまたはその混合物から構成されており、かつ2〜100まで、または3〜50まで、または4〜25まで、または5〜10までの重合度を有するものが含まれる。
【0032】
「ポリアルキレンオキシド」は、とりわけ、2〜100まで、または3〜50まで、または4〜25まで、または5〜10までの重合度を有する、同じか、または異なるC
2〜C
4−オキシアルキレン−モノマー構成単位から誘導された残基を表す。
【0033】
「ポリアルキレンイミン」は、上述のポリアルキレンオキシド残基と構造が類似している残基を表し、ここで、酸素原子は、イミン基に置き換えられている。
【0034】
b3)非環式橋かけ基
「アルキレン」は、直鎖または1回もしくは複数回分岐したアルカンジイル基、すなわち1個〜10個の炭素原子を有する炭化水素橋かけ基、例えば、−CH
2−、−(CH
2)
2−、−(CH
2)
3−、−(CH
2)
4−、−(CH
2)
2−CH(CH
3)−、−CH
2−CH(CH
3)−CH
2−、(CH
2)
4−、−(CH
2)
5−、−(CH
2)
6、−(CH
2)
7−、−CH(CH
3)−CH
2−CH
2−CH(CH
3)−もしくは−CH(CH
3)−CH
2−CH
2−CH
2−CH(CH
3)−から選択されるC
1〜C
7−アルキレン基または−CH
2−、−(CH
2)
2−、−(CH
2)
3−、−(CH
2)
4−、−(CH
2)
2−CH(CH
3)−、−CH
2−CH(CH
3)−CH
2−から選択されるC
1〜C
4アルキレン基を表すか、またはC
2〜C
6−アルキレン基、例えば−CH
2−CH(CH
3)−、−CH(CH
3)−CH
2−、−CH(CH
3)−CH(CH
3)−、−C(CH
3)
2−CH
2−、−CH
2−C(CH
3)
2−、−C(CH
3)
2−CH(CH
3)−、−CH(CH
3)−C(CH
3)
2−、−CH
2−CH(Et)−、−CH(CH
2CH
3)−CH
2−、−CH(CH
2CH
3)−CH(CH
2CH
3)−、−C(CH
2CH
3)
2−CH
2−、−CH
2−C(CH
2CH
3)
2−、−CH
2−CH(n−プロピル)−、−CH(n−プロピル)−CH
2−、−CH(n−プロピル)−CH(CH
3)−、−CH
2−CH(n−ブチル)−、−CH(n−ブチル)−CH
2−、−CH(CH
3)−CH(CH
2CH
3)−、−CH(CH
3)−CH(n−プロピル)−、−CH(CH
2CH
3)−CH(CH
3)−、−CH(CH
3)−CH(CH
2CH
3)−を表すか、または例えば−(CH
2)
2−、−CH
2−CH(CH
3)−、−CH(CH
3)−CH
2−、−CH(CH
3)−CH(CH
3)−、−C(CH
3)
2−CH
2−、−CH
2−C(CH
3)
2−、−CH
2−CH(CH
2CH
3)−、−CH(CH
2CH
3)−CH
2−から選択されるC
2〜C
4−アルキレン基を表す。
【0035】
「オキシアルキレン」残基は、上述の、2個〜10個の炭素原子を有する、直鎖または1回もしくは複数回分岐したアルキレン残基の定義に相当し、ここで、炭素鎖は、酸素−ヘテロ原子によって1回または複数回、とりわけ1回中断されている。非限定的な例として、以下のものが挙げられる:−CH
2−O−CH
2−、−(CH
2)
2−O−(CH
2)
2−、−(CH
2)
3−O−(CH
2)
3−、または−CH
2−O−(CH
2)
2−、−(CH
2)
2−O−(CH
2)
3−、−CH
2−O−(CH
2)
3。
【0036】
「アミノアルキレン」は、上述の、2個〜10個の炭素原子を有する、直鎖または1回もしくは複数回分岐したアルキレン残基の定義に相当し、ここで、炭素鎖は、窒素基(とりわけ−NH基)によって1回または複数回、とりわけ1回中断されている。非限定的な例として、以下のものが挙げられる:−CH
2−NH−CH
2−、−(CH
2)
2−NH−(CH
2)
2−、−(CH
2)
3−NH−(CH
2)
3−、または−CH
2−NH−(CH
2)
2−、−(CH
2)
2−NH−(CH
2)
3−、−CH
2−NH−(CH
2)
3。
【0037】
「アルケニレン」は、上述の、2個〜10個の炭素原子を有するアルキレン基の一価または多価、とりわけ一価不飽和の類似体、とりわけC
2〜C
7−アルケニレンまたはC
2〜C
4−アルケニレン、例えば−CH=CH−、−CH=CH−CH
2−、−CH
2−CH=CH−、−CH=CH−CH
2−CH
2−、−CH
2−CH=CH−CH
2−、−CH
2−CH
2−CH=CH−、−CH(CH
3)−CH=CH−、−CH
2−C(CH
3)=CH−を表す。置換の場合、これらは、一般的に、1つ、2つ、3つ、4つまたは5つ、好ましくは1つ、2つまたは3つ、特に好ましくは1つの上述の定義による「置換基」、とりわけアルキル、アリール、アルコキシおよびハロゲンから選択されるものを有していてよい。
【0038】
b4)環式残基
「シクロアルキル」は、炭素環式の、単環式または多環式、例えば、3個〜30個、または3個〜20個の炭素原子を有する単環式、二環式または三環式の残基、例えばC
3〜C
12−シクロアルキル、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、シクロウンデシルおよびシクロドデシルを表す;好ましいのは、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、ならびにシクロプロピル−メチル、シクロプロピル−エチル、シクロブチル−メチル、シクロブチル−エチル、シクロペンチル−メチル、シクロペンチル−エチル、シクロヘキシル−メチルまたはC
3〜C
7−シクロアルキル、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロプロピル−メチル、シクロプロピル−エチル、シクロブチル−メチル、シクロペンチル−エチル、シクロヘキシル−メチルであり、ここで、分子の残基への結合は、それぞれ好適な炭素原子を介して行われてよい。置換の場合、これらは、一般的に、1つ、2つ、3つ、4つまたは5つ、好ましくは1つ、2つまたは3つ、特に好ましくは1つの上述の定義による「置換基」、とりわけアルキル、アリール、アルコキシおよびハロゲンから選択されるものを有していてよい。
【0039】
「シクロアルコキシ」は、とりわけ、上述のシクロアルキル残基の酸素末端類似体を表す。
【0040】
「シクロアルケニル」は、上述の「シクロアルキル」残基の一価または多価不飽和類似体を表す。とりわけ、シクロアルケニルは、5個〜8個、好ましくは6個の炭素環員を有する、単環式の、一価または多価不飽和炭化水素基、例えば一価不飽和残基のシクロペンテン−1−イル、シクロペンテン−3−イル、シクロヘキセン−1−イル、シクロヘキセン−3−イルおよびシクロヘキセン−4−イルを表す。置換の場合、これらは、一般的に、1つ、2つ、3つ、4つまたは5つ、好ましくは1つ、2つまたは3つ、特に好ましくは1つの上述の定義による「置換基」、とりわけアルキル、アリール、アルコキシおよびハロゲンから選択されるものを有していてよい。
【0041】
「シクロアルキレン」は、とりわけ、上述のシクロアルキル基から誘導された橋かけ基を表し、ここで、分子の残基への結合は、それぞれ好適な炭素原子を介して行われてよい。置換の場合、これらは、一般的に、1つ、2つ、3つ、4つまたは5つ、好ましくは1つ、2つまたは3つ、特に好ましくは1つの上述の定義による「置換基」、とりわけアルキル、アリール、アルコキシおよびハロゲンから選択されるものを有していてよい。
【0042】
「シクロアルケニレン」は、とりわけ、上述のシクロアルケニル基から誘導された橋かけ基を表し、ここで、分子の残基への結合は、それぞれ好適な炭素原子を介して行われてよい。置換の場合、これらは、一般的に、1つ、2つ、3つ、4つまたは5つ、好ましくは1つ、2つまたは3つ、特に好ましくは1つの上述の定義による「置換基」、とりわけアルキル、アリール、アルコキシおよびハロゲンから選択されるものを有していてよい。
【0043】
「アリール」は、本発明によれば、5個〜20個、例えば5個〜10個、5個〜14個、または5個〜18個の環炭素原子を有する、単環式または多環式の、好ましくは単環式、二環式、三環式または四環式の、場合により置換された芳香族残基、例えばフェニル、トリル、キシリル、メシチル、ビフェニル、ナフチル、例えば1−ナフチルまたは2−ナフチル、テトラヒドロナフチル、フルオレニル、インデニル、ナフタセニル、およびフェナントレニルを表す。これらのアリール残基は、場合により1つ、2つ、3つ、4つ、5つまたは6つ、好ましくは1つ、2つまたは3つ、特に好ましくは1つの、同じか、または異なる置換基を有していてよい。多環式アリール残基の場合、環の少なくとも1つは、芳香族特性を有する;しかし、複数またはすべての環が、芳香族特性を有していてもよい。
【0044】
「アリールアルキル」または「アラルキル」は、上述のアルキル残基のアリール置換された類似体を表し、ここで、アリールは、同じく、上に示された意味を有しており、例えばフェニル−メチルまたはフェニル−エチルから選択されるフェニル−C
1〜C
4−アルキル残基である。
【0045】
「アリールオキシ」は、上述の場合により置換されたアリール残基の酸素結合された類似体を表す。
【0046】
本願に示された「アリール」を含む残基の「置換基」は、とりわけ、特に明記されない場合、ケト基、カルボキシル基、カルボキシレート基、−COO−アルキル基、−OH基、−SH基、−CN基、アミノ基、−NO
2、−SO
3H、スルホネート基、−NE
1E
2、−アルキレン−NE
1E
2、ハロゲン、アルコキシ基、トリフルオロメチル基、アルキル基、またはアルケニル基から選択されるものである(「置換基群2」)。
【0047】
「ヘテロシクリル」は、1個〜30個、または2個〜20個、または5個〜12個の環炭素原子を有する基と、O、NまたはSの群からの1個、2個、3個または4個のヘテロ原子を含む、5員環から7員環の飽和、部分不飽和または芳香族の複素環もしくはヘテロシクリル残基とを含む。窒素が環原子である場合、本発明は、窒素含有複素環式化合物のN−酸化物も含む。例えば、以下の下位群を挙げることができる;
・1個〜2個の窒素原子、および/または1個の酸素原子もしくは硫黄原子、または1個もしくは2個の酸素原子および/もしくは硫黄原子を環員として含む5員環または6員環の飽和または一価不飽和のヘテロシクリル、例えば2−テトラヒドロフラニル、3−テトラヒドロフラニル、2−テトラヒドロチエニル、3−テトラヒドロチエニル、1−ピロリジニル、2−ピロリジニル、3−ピロリジニル、3−イソキサゾリジニル、4−イソキサゾリジニル、5−イソキサゾリジニル、3−イソチアゾリジニル、4−イソチアゾリジニル、5−イソチアゾリジニル、3−ピラゾリジニル、4−ピラゾリジニル、5−ピラゾリジニル、2−オキサゾリジニル、4−オキサゾリジニル、5−オキサゾリジニル、2−チアゾリジニル、4−チアゾリジニル、5−チアゾリジニル、2−イミダゾリジニル、4−イミダゾリジニル、2−ピロリン−2−イル、2−ピロリン−3−イル、3−ピロリン−2−イル、3−ピロリン−3−イル、1−ピペリジニル、2−ピペリジニル、3−ピペリジニル、4−ピペリジニル、1,3−ジオキサン−5−イル、2−テトラヒドロピラニル、4−テトラヒドロピラニル、2−テトラヒドロチエニル、3−ヘキサヒドロピリダジニル、4−ヘキサヒドロピリダジニル、2−ヘキサヒドロピリミジニル、4−ヘキサヒドロピリミジニル、5−ヘキサヒドロピリミジニルおよび2−ピペラジニル;
・炭素原子以外に、1個、2個もしくは3個の窒素原子、または1個もしくは2個の窒素原子、および1個の硫黄原子または酸素原子を環員として含む、5員環の芳香族ヘテロシクリル(=ヘテロアリールもしくはヘタリール)、例えば2−フリル、3−フリル、2−チエニル、3−チエニル、2−ピロリル、3−ピロリル、3−ピラゾリル、4−ピラゾリル、5−ピラゾリル、2−オキサゾリル、4−オキサゾリル、5−オキサゾリル、2−チアゾリル、4−チアゾリル、5−チアゾリル、2−イミダゾリル、4−イミダゾリル、および1,3,4−トリアゾール−2−イル;
・1個、2個、3個または4個の窒素原子を環員として有する5員環の芳香族ヘテロシクリル(=ヘテロアリールもしくはヘタリール)、例えば1−ピロリル、2−ピロリルまたは3−ピロリル、1−ピラゾリル、3−ピラゾリルまたは4−ピラゾリル、1−イミダゾリル、2−イミダゾリルまたは4−イミダゾリル、1,2,3−[1H]−トリアゾール−1−イル、1,2,3−[2H]−トリアゾール−2−イル、1,2,3−[1H]−トリアゾール−4−イル、1,2,3−[1H]−トリアゾール−5−イル、1,2,3−[2H]−トリアゾール−4−イル、1,2,4−[1H]−トリアゾール−1−イル、1,2,4−[1H]−トリアゾール−3−イル、1,2,4−[1H]−トリアゾール−5−イル、1,2,4−[4H]−トリアゾール−4−イル、1,2,4−[4H]−トリアゾール−3−イル、[1H]−テトラゾール−1−イル、[1H]−テトラゾール−5−イル、[2H]−テトラゾール−2−イルおよび[2H]−テトラゾール−5−イル;
・酸素および硫黄から選択される1個のヘテロ原子、および場合により1個、2個または3個の窒素原子を環員として有する5員環の芳香族ヘテロシクリル(=ヘテロアリールもしくはヘタリール)、例えば2−フリル、3−フリル、2−チエニル、3−チエニル、3−イソキサゾリルまたは4−イソキサゾリル、3−イソチアゾリルまたは4−イソチアゾリル、2−オキサゾリル、4−オキサゾリルまたは5−オキサゾリル、2−チアゾリル、4−チアゾリルまたは5−チアゾリル、1,2,4−チアジアゾール−3−イル、1,2,4−チアジアゾール−5−イル、1,3,4−チアジアゾール−2−イル、1,2,4−オキサジアゾール−3−イル、1,2,4−オキサジアゾール−5−イルおよび1,3,4−オキサジアゾール−2−イル;
・炭素原子以外に、1個または2個、もしくは1個、2個または3個の窒素原子を環員として含む6員環のヘテロシクリル(=ヘテロアリールもしくはヘタリール)、例えば2−ピリジニル、3−ピリジニル、4−ピリジニル、3−ピリダジニル、4−ピリダジニル、2−ピリミジニル、4−ピリミジニル、5−ピリミジニル、2−ピラジニル、1,2,4−トリアジン−3−イル;1,2,4−トリアジン−5−イル、1,2,4−トリアジン−6−イルおよび1,3,5−トリアジン−2−イル。
【0048】
「ヘテロシクリル」は、とりわけ、「多環式の」、例えば二環式または三環式の環系を含み、この環系においては、上に挙げられた単環式ヘテロシクリル残基の1つが、それぞれ上述の定義による少なくとも1つのさらなる同じか、または異なる複素環、少なくとも1つのアリール環および/または少なくとも1つのシクロアルキル環またはシクロアルケニル環と縮合されている。
【0049】
「ヘテロアリール」は、とりわけ、「多環式の」、例えば二環式または三環式の環系も含み、この環系においては、上に挙げられた単環式ヘテロアリール残基の1つが、それぞれ上述の定義による少なくとも1つのさらなる同じか、または異なるヘテロアリール環、少なくとも1つのアリール環、および/または少なくとも1つのシクロアルキル環またはシクロアルケニル環と縮合されている。
【0050】
上述の「ヘテロシクリル」またはヘテロアリール基は、置換されていないか、または「置換基群1」の1つもしくは複数、例えば1つ、2つ、3つ、4つ、もしくは5つ、とりわけ1つ、2つまたは3つの置換基で置換されていてよい。
【0051】
ヘテロシクリル残基またはヘテロアリール残基の好ましい下位群は、以下を含む:チエニル、ベンゾチエニル、1−ナフトチエニル、チアントレニル、フリル、ベンゾフリル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、インドリル、イソインドリル、インダゾリル、プリニル、イソキノリニル、キノリニル、アクリジニル、ナフチリジニル、キノキサリニル、キナゾリニル、キノリニル、ピペリジニル、カルボリニル、チアゾリル、オキサゾリル、イソチアゾリル、およびイソキサゾリル。
【0052】
「ヘテロシクリルオキシ」もしくは「ヘテロアリールオキシ」は、上述のヘテロシクリル残基もしくはヘテロアリール残基の酸素結合類似体を表す。
【0053】
上述のヘテロシクリル残基の特別な下位群は、「ヘテロシクロアルキル」残基である。これらの基は、4個〜7個、好ましくは5個または6個の環原子を有する飽和脂環式基を含み、その基において、環炭素原子の1個、2個、3個または4個は、ヘテロ原子、好ましくはN、OおよびSから選択されるヘテロ原子で置き換えられており、場合により置換されていてよい。置換の場合、これらの複素脂環式基は、好ましくは1つ、2つまたは3つ、特に好ましくは1つまたは2つ、とりわけ1つの置換基を有している。これらは、好ましくは、上述の置換基群1から選択されるものである。そのような複素脂環式残基の例として、ピロリジニル、ピペリジニル、2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、オキサゾリジニル、モルホリジニル、チアゾリジニル、イソチアゾリジニル、イソキサゾリジニル、ピペラジニル、テトラヒドロチオフェニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、ジオキサニルが挙げられる。
【0054】
「ヘテロシクロアルコキシ」は、とりわけ、上に挙げられたヘテロシクリル残基の少なくとも1つを置換基として有する上述のアルコキシ基を表す。
【0055】
本発明による橋かけ基「アリーレン」、「ヘテロアリーレン」、「ヘテロアルキレン」は、上述のアリール、ヘテロアリールおよびヘテロアルキル基の二重結合類似体に相当する。
【0056】
「縮合された環系」は、環の縮合(Annellierung)により結合された(縮合された)芳香族、ヒドロ芳香族および環式の化合物であってよい。縮合された環系は、2つ、3つまたは3つ超の環からなる。結合の種類によって、縮合された環系は、オルト縮環、すなわち、それぞれの環は、それぞれの隣接環とそれぞれ辺を有するか、もしくは2個の原子を共有しているオルト縮環と、1個の炭素原子が2つ超の環に属しているペリ縮環とに区別される。好ましくは、縮合された環系とは、オルト縮合された環系である。
【0057】
b5)その他
「アシル」は、本発明の範囲では、一般的に2個〜11個、好ましくは2個〜8個の炭素原子を有するアルカノイル基またはアロイル基、例えばアセチル基、プロパノイル基、ブタノイル基、ペンタノイル基、ヘキサノイル基、ヘプタノイル基、2−エチルヘキサノイル基、2−プロピルヘプタノイル基、ベンゾイル基またはナフトイル基を表す。
【0058】
「メタロセン」は、本発明によれば、中心金属原子Me、とりわけFeが、サンドイッチにおけるように2つのシクロペンタジエニル配位子(C
5H
5、略語:Cp)の間に配置されている、有機金属化合物の基を表す。「メタロセニル」は、そのようなサンドイッチ化合物から誘導された、少なくとも1個のCp−環炭素原子を介して分子に結合している側基を表す。
【0059】
基NE
1E
2、NE
4E
5、NE
9E
10は、好ましくは、N,N−ジメチルアミノ、N,N−ジエチルアミノ、N,N−ジプロピルアミノ、N,N−ジイソプロピルアミノ、N,N−ジ−n−ブチルアミノ、N,N−ジ−t−ブチルアミノ、N,N−ジシクロヘキシルアミノまたはN,N−ジフェニルアミノを表す。
【0060】
「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素を表し、好ましくはフッ素、塩素および臭素を表す。
【0061】
「M
+」は、カチオン当量を表す、すなわち、一価カチオン、または多価カチオンの正の単一電荷に相当する成分を意味する。カチオンM
+は、もっぱら対イオンとして、負に帯電した置換基、例えばCOO−またはスルホネート基の中和に用いられ、根本的に任意に選択されてよい。したがって、好ましくは、アルカリ金属イオン、とりわけNa
+イオン、K
+イオン、Li
+イオン、またはオニウムイオン、例えばアンモニウムイオン、モノアルキルアンモニウムイオン、ジアルキルアンモニウムイオン、トリアルキルアンモニウムイオン、ホスホニウムイオン、テトラアルキルホスホニウムイオンまたはテトラアリールホスホニウムイオンが使用される。
【0062】
同じことが、アニオン当量「X
-」にも該当し、これは、もっぱら対イオンとして正に帯電した置換基、例えばアンモニウム基に用いられ、一価アニオンおよび多価アニオンの負の単一電荷に相当する成分から任意に選択されてよい。好適なアニオンは、例えばハロゲン化物イオンX
-、例えば塩化物イオンおよび臭化物イオンである。好ましいアニオンは、硫酸イオンおよびスルホン酸イオン、例えばSO
42-、トシレート、トリフルオロメタンスルホネートおよびメチルスルホネートである。
【0063】
本章に記載された定義は、特に明記されない限り、本発明の特別な態様にも適用される。
【0064】
c)本発明の特別な実施形態:
本発明は、とりわけ以下に関する:
1.1つまたは複数、例えば1つ、2つ、3つ、4つまたは5つ、とりわけ1つ、2つまたは3つ、好ましくは1つの、還元的にアミノ化可能なカルボニル基を含むカルボニル化合物を還元的アミノ化する方法において、反応を、均一に溶解された触媒Kならびに助触媒としての酸の存在下に実施し、ここで、Kは、周期表(IUPAC)の第8族、第9族または第10族、とりわけ第8族または第9族、好ましくは第8族(Fe、Ru、Os)の少なくとも1個の金属原子、二座ホスファン配位子、カルボニル配位子(CO)、ヒドリド配位子(H)、および場合により中性配位子(L
N)を含む方法。
【0065】
2.触媒Kは、ルテニウム触媒である、実施形態1に記載の方法。
【0066】
3.二座ホスファン配位子は、以下の一般式III
【化2】
[式中、
a、b、c、d、eおよびfは、互いに独立して、0または1を表し、
X
1、X
2、X
3、X
4、X
5およびX
6は、互いに独立して、アルキレン、アリーレン、O、S、−(C=O)−NE
7−メタロセニル、メタロセニル−NE
7−(C=O)−、−(C=O)−NE
7−、−NE
7−(C=O)−またはNE
8を表し、ここで、E
8は、H、アルキル残基、シクロアルキル残基、ヘテロシクリル残基、アリール残基またはヘタリール残基を表し、E
7は、Hまたはアルキル残基を表し;ここで、これらの残基およびメタロセニル基、アルキレン基またはアリーレン基は、それぞれ互いに独立して、場合により1回または複数回置換されており、とりわけ1つ、2つ、3つ、4つもしくは5つの置換基、好ましくは1つもしくは2つを有するか、または置換されておらず、かつここで、置換基は、互いに独立して、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘタリール、アルコキシ、シクロアルコキシ、ヘテロシクロアルコキシ、アリールオキシ、ヘタリールオキシ、ヒドロキシ、メルカプト、ポリアルキレンオキシド、ポリアルキレンイミン、COOH、カルボキシレート、SO
3H、スルホネート、ハロゲン、ニトロ、ホルミル、アシル、シアノ、NE
1E
2、およびNE
1E
2E
3+X
-から選択されるものであり、ここで、E
1、E
2およびE
3は、それぞれ、水素、アルキル、シクロアルキル、もしくはアリールから選択される同じか、または異なる残基を意味し、X
-は、アニオン当量を表し、
Yは、二価の炭素原子を含む橋かけ基を表し、ならびに
R
A、R
B、R
CおよびR
Dは、互いに独立して、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールもしくはヘタリールから選択される残基を表し、ここで、これらの残基は、互いに独立して、場合により1回もしくは複数回置換されており、とりわけ1つ、2つ、3つ、4つもしくは5つの置換基、好ましくは1つもしくは2つの置換基を有しているか、または置換されておらず、ここで、置換基は、互いに独立して、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘタリール、アルコキシ、シクロアルコキシ、ヘテロシクロアルコキシ、アリールオキシ、ヘタリールオキシ、ヒドロキシ、メルカプト、ポリアルキレンオキシド、ポリアルキレンイミン、COOH、カルボキシレート、SO
3H、スルホネート、ハロゲン、ニトロ、ホルミル、アシル、シアノ、NE
1E
2、およびNE
1E
2E
3+X
-から選択されるものであり、ここで、E
1、E
2およびE
3は、それぞれ、水素、アルキル、シクロアルキル、もしくはアリールから選択される同じか、もしくは異なる残基を意味し、X
-は、アニオン当量を表す;
または
R
AおよびR
Bならびに/もしくはR
CおよびR
Dは、リン原子とともに、および存在している場合、これらの基が結合している基X
1、X
2、X
5およびX
6とともに、場合によりさらにとりわけ1つ、2つもしくは3つの置換基、好ましくは1つもしくは2つの置換基を有するか、または置換されておらず、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールもしくはヘタリールと縮合されている4員環から8員環までの複素環もしくは複素二環系を表し、ここで、前記複素環もしくは複素二環系、および存在している場合、縮合された基は、互いに独立して、場合により置換されており、とりわけ1つ、2つ、3つ、4つもしくは5つの置換基、好ましくは1つもしくは2つの置換基を有するか、もしくは置換されておらず、ここで、置換基は、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘタリール、ヒドロキシ、メルカプト、ポリアルキレンオキシド、ポリアルキレンイミン、アルコキシ、ハロゲン、COOH、カルボキシレート、SO
3H、スルホネート、NE
4E
5、NE
4E
5E
6+X
-、ニトロ、アルコキシカルボニル、ホルミル、アシルおよびシアノから選択されるものであり、ここで、E
4、E
5およびE
6は、それぞれ、水素、アルキル、シクロアルキルおよびアリールから選択される同じか、もしくは異なる残基を意味し、X
-は、アニオン当量を表す;
または
残基R
AおよびR
Bの1つ、ならびに/もしくは残基R
CおよびR
Dの1つは、リン原子および存在している場合、それらが結合している基X
1、X
2、X
5およびX
6とともに、かつ橋かけ基Yの橋かけ基原子とともに、場合によりさらにとりわけ1つ、2つ、3つ、4つもしくは5つの置換基、好ましくは1つもしくは2つの置換基を有するか、もしくは置換されておらず、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールもしくはヘタリールと縮合されている5員環〜8員環の複素環を表し、ここで、複素環、および存在している場合、縮合された基は、互いに独立して、場合によりさらに置換されて、とりわけ1つ、2つ、3つ、4つもしくは5つの置換基、好ましくは1つもしくは2つの置換基を有するか、または置換されておらず、ここで、置換基は、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘタリール、ヒドロキシ、メルカプト、ポリアルキレンオキシド、ポリアルキレンイミン、アルコキシ、ハロゲン、COOH、カルボキシレート、SO
3H、スルホネート、NE
4E
5、NE
4E
5E
6+X
-、ニトロ、アルコキシカルボニル、ホルミル、アシルおよびシアノから選択されるものであり、ここで、E
4、E
5およびE
6は、それぞれ、水素、アルキル、シクロアルキルおよびアリールから選択される同じか、もしくは異なる残基を意味し、X
-は、アニオン当量を表す]
を有する実施形態1または2に記載の方法。
【0067】
上述の式IIIでは、とりわけ以下の意味が適用される:
アルキレンは、とりわけC
1〜C
10−アルキレンを表す;
アリーレンは、とりわけC
5〜C
20−アリーレンを表す;
アルキルは、とりわけC
1〜C
30−アルキルを表す;
シクロアルキルは、とりわけC
5〜C
30−シクロアルキルを表す;
メタロセニルは、とりわけフェロセニルを表す;
ヘテロシクリルは、とりわけ、1個〜30個の環炭素原子と、O、NおよびSから選択される1個〜4個の環ヘテロ原子とを有する単環式、二環式または三環式の基を表す;
ヘテロシクロアルキルは、C
1〜C
30−アルキル残基に結合している、1個〜30個の環炭素原子と、O、NおよびSから選択される1個〜4個の環ヘテロ原子とを有する単環式、二環式または三環式の基を表す;
アリールは、とりわけ、5個〜20個の環炭素原子を有する単環式、二環式、三環式または四環式の、場合により置換された芳香族残基を表す;
ヘタリールは、とりわけ1個〜30個の環炭素原子と、少なくとも1つの、5員環〜7員環の芳香族環とを有する基を表す;
アルコキシは、とりわけ、上述のC
1〜C
30−アルキル残基の酸素結合類似体を表す;
シクロアルコキシは、とりわけ、3個〜30個の炭素原子を有する、炭素環式、単環式または多環式、例えば単環式、二環式または三環式の残基の酸素末端類似体を表す;
ヘテロシクロアルコキシは、とりわけ、1個〜30個の環炭素原子と、O、NおよびSから選択される1個〜4個の環ヘテロ原子とを有する、単環式、二環式または三環式の基を有する、上に挙げられたヘテロシクリル残基の少なくとも1つを置換基として有する、上述のC
1〜C
30−アルコキシ基を表す;
アリールオキシは、とりわけ、5個〜20個の環炭素原子を有する上述のアリール残基の酸素結合類似体を表す;
ヘタリールオキシは、とりわけ、1個〜30個の環炭素原子と、少なくとも1つの5員環〜7員環の芳香族環とを有する上述のヘテロアリール残基の酸素結合類似体を表す;
ポリアルキレンオキシドは、とりわけ、2〜100の重合度を有する、同じか、または異なるC
2〜C
4−オキシアルキレン−モノマー構成単位から誘導された残基を表す;
ポリアルキレンイミンは、上述のポリアルキレンオキシド残基の、構造が類似したイミン基含有残基を表す;
アシルは、とりわけ、2個〜11個の炭素原子を有するアルカノイル基またはアロイル基を表す;ならびに
アルコキシカルボニルは、とりわけ、上述のC
1〜C
30−アルコキシ残基のカルボニル結合類似体を表す。
【0068】
4.二座ホスファン配位子は、一般式III
[式中、
X
1、X
2、X
3、X
4、X
5およびX
6は、互いに独立して、場合により置換されたC
1〜C
6−アルキレン、O、−(C=O)−NE
7−フェロセニル、フェロセニル−NE
7−(C=O)−、−(C=O)−NE
7−または−NE
7−(C=O)−を表し、ここで、E
7は、上に示された意味を有し;
Y、a、b、c、d、eおよびfは、上に示された意味を有し;
R
A、R
B、R
CおよびR
Dは、互いに独立して、C
1〜C
30−アルキル、C
4〜C
10−シクロアルキル、C
3〜C
10−ヘテロシクリル、C
5〜C
14−アリールまたはC
5〜C
30−ヘタリールから選択される残基を表し、ここで、これらの残基は、互いに独立して、場合により1回もしくは複数回置換されており、とりわけ1つ、2つ、3つ、4つまたは5つ、例えば1つもしくは2つの置換基を有し、ここで、置換基は、互いに独立して、C
1〜C
10−アルキル、C
4〜C
10−シクロアルキル、C
3〜C
10−ヘテロシクロアルキル、C
5〜C
14−アリール、C
5〜C
30−ヘタリール、C
1〜C
10−アルコキシ、C
3〜C
10−シクロアルコキシ、C
3〜C
10−ヘテロシクロアルコキシ、C
5〜C
14−アリールオキシ、C
5〜C
30−ヘタリールオキシ、ヒドロキシ、メルカプト、ポリ−C
2〜C
6−アルキレンオキシド、ポリ−C
2〜C
6−アルキレンイミン、COOH、カルボキシレート、SO
3H、スルホネート、ハロゲン、ニトロ、ホルミル、C
1〜C
10−アシル、シアノ、NE
1E
2、およびNE
1E
2E
3+X
-から選択されるものであり、ここで、E
1、E
2およびE
3は、それぞれ、水素、C
1〜C
10−アルキル、C
3〜C
10−シクロアルキル、もしくはC
5〜C
10−アリールから選択される同じか、もしくは異なる残基を意味し、X
-は、アニオン当量を表す;
または
R
AおよびR
Bならびに/もしくはR
CおよびR
Dは、リン原子とともに、および存在している場合には、それらが結合している基X
1、X
2、X
5およびX
6とともに、場合によりさらに、とりわけ1回、2回もしくは3回、C
4〜C
10−シクロアルキル、C
3〜C
10−ヘテロシクロアルキル、C
5〜C
14−アリールもしくはC
5〜C
30−ヘタリールと縮合されている、4員環〜8員環の複素環もしくは複素二環系を表し、ここで、複素環もしくは複素二環系および存在している場合には、縮合された基は、互いに独立して、場合により置換されており、とりわけそれぞれ1つ、2つ、3つもしくは4つの置換基を有していてよく、ここで、置換基は、C
1〜C
10−アルキル、C
3〜C
10−シクロアルキル、C
3〜C
10−ヘテロシクロアルキル、C
5〜C
14−アリール、C
5〜C
30−ヘタリール、ヒドロキシ、メルカプト、ポリ−C
2〜C
6−アルキレンオキシド、ポリ−C
2〜C
6−アルキレンイミン、C
1〜C
10−アルコキシ、ハロゲン、COOH、カルボキシレート、SO
3H、スルホネート、NE
4E
5、NE
4E
5E
6+X
-、ニトロ、C
1〜C
10−アルコキシカルボニル、ホルミル、C
1〜C
10−アシルおよびシアノから選択されるものであり、ここで、E
4、E
5およびE
6は、それぞれ、水素、C
1〜C
10−アルキル、C
3〜C
10−シクロアルキルおよびC
5〜C
14−アリールから選択される同じか、もしくは異なる残基を意味し、X
-は、アニオン当量を表す;
または
残基R
AおよびR
Bの1つ、ならびに/もしくは残基R
CおよびR
Dの1つは、リン原子とともに、および存在している場合には、それらが結合している基X
1、X
2、X
5およびX
6とともに、かつ橋かけ基Yの橋かけ基原子とともに、場合によりさらに、とりわけ1回、2回もしくは3回、C
3〜C
10−シクロアルキル、C
3〜C
10−ヘテロシクロアルキル、C
5〜C
14−アリールもしくはC
5〜C
30−ヘタリールと縮合されている、5員環〜8員環の複素環を表し、ここで、複素環、および存在している場合には、縮合された基は、互いに独立して、場合によりさらに置換されており、とりわけ1回、2回、3回または4回置換されており、ここで、置換基は、C
1〜C
10−アルキル、C
3〜C
10−シクロアルキル、C
3〜C
10−ヘテロシクロアルキル、C
5〜C
14−アリール、C
5〜C
30−ヘタリール、ヒドロキシ、メルカプト、ポリ−C
2〜C
6−アルキレンオキシド、ポリ−C
2〜C
6−アルキレンイミン、C
1〜C
10−アルコキシ、ハロゲン、COOH、カルボキシレート、SO
3H、スルホネート、NE
4E
5、NE
4E
5E
6+X
-、ニトロ、C
1〜C
10−アルコキシカルボニル、ホルミル、C
1〜C
10−アシルおよびシアノから選択されるものであり、ここで、E
4、E
5およびE
6は、それぞれ、水素、C
1〜C
10−アルキル、C
3〜C
10−シクロアルキルおよびC
5〜C
14−アリールから選択される同じか、もしくは異なる残基を意味し、X
-は、アニオン当量を表す]
の化合物から選択されるものである、実施形態3に記載の方法。
【0069】
5.一般式IIIの二座ホスファン配位子において、基Yは、以下
・直鎖または分岐鎖アルキレン、とりわけC
1〜C
6−アルキレン、好ましくは−CH
2−CH(CH
3)−、−CH(CH
3)−CH
2−、−CH(CH
3)−CH(CH
3)−;
・直鎖または分岐鎖アルケニレン、とりわけC
2〜C
6−アルケニレン、
・N、O、Sから選択される少なくとも1個の環ヘテロ原子、とりわけ1個または2個の同じか、または異なる、好ましくは同じ環ヘテロ原子を場合により含むシクロアルキレン、とりわけC
3〜C
30−シクロアルキレン、好ましくはC
3〜C
12−シクロアルキレン、
・N、O、Sから選択される少なくとも1個の環ヘテロ原子、とりわけ1個または2個の同じか、または異なる、好ましくは同じ環ヘテロ原子を場合により含むシクロアルケニレン、とりわけC
3〜C
30−シクロアルケニレン、好ましくはC
3〜C
12−シクロアルケニレン、
・二環式、三環式および四環式橋かけ基;
・アリーレン、とりわけ単環式、二環式または三環式のC
5〜C
14−アリーレン、好ましくはo−フェニレン、
・N、OおよびSから選択される少なくとも1個の環ヘテロ原子、とりわけ1個または2個の同じか、または異なる、好ましくは同じ環ヘテロ原子を含むヘテロアリーレン、とりわけC
5〜C
6−ヘテロアリーレン、
・N、OおよびSから選択される少なくとも1個の鎖ヘテロ原子、とりわけ1個または2個の同じか、または異なる、好ましくは同じ環ヘテロ原子を含むヘテロアルキレン、とりわけC
2〜C
6−ヘテロアルキレン、
・N、OおよびSから選択される少なくとも1個の鎖ヘテロ原子、とりわけ1個または2個の同じか、または異なる、好ましくは同じヘテロ原子を含むヘテロアルケニレン、とりわけC
2〜C
6−ヘテロアルケニレン、
・少なくとも2つの、互いに結合した芳香族、ヘテロ芳香族、炭素環式または複素環式の、4員環〜8員環の環を含む、多環式の、とりわけ二環式、三環式、四環式、五環式、または六環式の橋かけ基;ならびに
・一般式
【化3】
[式中、Meは、金属原子、とりわけFeを表し、ここで、ホスファン配位子のP原子は、メタロセンの、同じか、または2つの異なるCp環に、好ましくは2つの異なるCp環に、直接または基X
3もしくはX
4を介して、好ましくは直接結合しており、xおよびyは、互いに独立して0、1、2、3または4を表し、Z
1およびZ
2は、互いに独立して、H、場合により1回もしくは複数回置換されたアルキル、とりわけC
1〜C
6−アルキル、または場合により1回もしくは複数回置換されたアリール、とりわけC
5〜C
12−アリールを表し;かつここで、置換基は、互いに独立して、C
1〜C
10−アルキル、C
4〜C
10−シクロアルキル、C
3〜C
10−ヘテロシクロアルキル、C
5〜C
14−アリール、C
5〜C
30−ヘタリール、C
1〜C
10−アルコキシ、C
3〜C
10−シクロアルキル、C
3〜C
10−ヘテロシクロアルコキシ、C
5〜C
14−アリールオキシ、C
5〜C
30−ヘタリールオキシ、ヒドロキシ、メルカプト、ポリ−C
2〜C
6−アルキレンオキシド、ポリ−C
2〜C
6−アルキレンイミン、COOH、カルボキシレート、SO
3H、スルホネート、ハロゲン、ニトロ、ホルミル、C
1〜C
10−アシル、シアノ、NE
1E
2、およびNE
1E
2E
3+X
-から選択されるものであり、ここで、E
1、E
2およびE
3は、それぞれ、水素、C
1〜C
10−アルキル、C
3〜C
10−シクロアルキル、またはC
5〜C
10−アリールから選択される同じか、または異なる残基を意味し、X
-は、アニオン当量を表す]
の少なくとも1つのメタロセン基を含むメタロセン橋かけ基
から選択される橋かけ基を表す、実施形態1から4までのいずれか1つに記載の方法。
【0070】
6.一般式IIIの二座ホスファン配位子において、基Yは、式III.aからIII.kまで
【化4-1】
【化4-2】
[式中、
R
I、R
II、R
III、R
IV、R
V、R
VI、R
VII、R
VIII、R
IX、R
X、R
XIおよびR
XIIは、互いに独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘタリール、ヒドロキシ、メルカプト、ポリアルキレンオキシド、ポリアルキレンイミン、アルコキシ、ハロゲン、SO
3H、スルホネート、NE
9E
10、アルキレン−NE
9E
10、トリフルオロメチル、ニトロ、アルコキシカルボニル、カルボキシル、ホルミル、アシルもしくはシアノを表し、ここで、E
9およびE
10は、それぞれ、水素、アルキル、シクロアルキルおよびアリールから選択される同じか、もしくは異なる残基を意味する、
または、
それぞれ隣接する2つの残基R
I、R
II、R
III、R
IV、R
V、R
VI、R
VII、R
VIII、R
IX、R
X、R
XIおよびR
XIIは、それらが結合している炭素原子とともに、4員環〜7員環の炭素環式もしくは複素環式の、芳香族もしくは非芳香族の環を形成し、その環自体は、場合により、単環式もしくは多環式の炭素環式もしくは複素環式の、芳香族もしくは非芳香族の環と縮合されていてよく、ここで、この環系は、場合により、とりわけ1回、2回もしくは3回置換されており、ここで、置換基は、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘタリール、ヒドロキシ、メルカプト、ポリアルキレンオキシド、ポリアルキレンイミン、アルコキシ、ハロゲン、COOH、カルボキシレート、SO
3H、スルホネート、NE
4E
5、NE
4E
5E
6+X
-、ニトロ、アルコキシカルボニル、ホルミル、アシルおよびシアノから選択されるものであり、ここで、E
4、E
5およびE
6は、それぞれ、水素、アルキル、シクロアルキルおよびアリールから選択される同じか、もしくは異なる残基を意味し、X
-は、アニオン当量を表し;
ここで、基R
I、R
II、R
III、R
IV、R
V、R
VI、R
VII、R
VIII、R
IX、R
X、R
XIおよびR
XIIの隣接する2つの残基は、同じ芳香族環の炭素原子か、または例えば式(III.c)および(III.d)のR
IVおよびR
V、もしくは式(III.e)および(III.f)のR
VIおよびR
VIIもしくはR
VおよびR
VIIIのように、2つの異なる、好ましくは隣接する芳香族環の炭素原子に結合していてよく、
A
1は、結合、NH、NR
11、O、S、CR
11またはCR
11R
12を表し、ここで、R
11およびR
12は、互いに独立して、アルキル;アリールおよびHから選択されるものであり;
A
2は、NH−基、N、OまたはSを表し、
Dは、一般式
【化5】
(式中、
R
30、R
30’、R
31およびR
31’は、互いに独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、ハロゲン、トリフルオロメチル、カルボキシル、カルボキシレートまたはシアノを表し、
ここで、R
30’は、R
31’とともに、R
30’およびR
31’が結合している両方の炭素原子の間の二重結合の結合部を表すこともでき、ならびに/またはR
30およびR
31は、それらが結合している炭素原子とともに、場合によりさらに1回、2回もしくは3回、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールもしくはヘタリールと縮合されている4員環〜8員環の炭素環または複素環を表すこともでき、ここで、炭素環または複素環および存在している場合には、縮合された基は、互いに独立して、それぞれ、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘタリール、COOR
e、COO
-M
+、SO
3R
e、SO
3-M
+、NE
11E
12、アルキレン−NE
11E
12、NE
11E
12E
13+X
-、アルキレン−NE
11E
12E
13+X
-、OR
e、SR
e、(CHR
fCH
2O)
yR
e、(CH
2N(E
11))
yR
e、(CH
2CH
2N(E
11))
yR
e、ハロゲン、トリフルオロメチル、ニトロ、ホルミル、アシルまたはシアノから選択される1つ、2つ、3つまたは4つの置換基を有していてよく、ここで、
R
e、E
11、E
12およびE
13は、それぞれ、水素、アルキル、シクロアルキルもしくはアリールから選択される同じか、または異なる残基を意味し、
R
fは、水素、メチルまたはエチルを表し、
M
+は、カチオン当量を表し、
X
-は、アニオン当量を表し、ならびに
yは、1から120までの整数を表す)の二座の橋かけ基を表す]
の基から選択される多環式の橋かけ基を表す、実施形態1から5までのいずれか1つに記載の方法。
【0071】
上述の式III.aからIII.kまでにおいては、とりわけ以下の意味が適用される:
アルキレンは、とりわけC
1〜C
10−アルキレンを表す;
アリーレンは、とりわけC
5〜C
20−アリーレンを表す;
アルキルは、とりわけC
1〜C
30−アルキルを表す;
シクロアルキルは、とりわけC
5〜C
30−シクロアルキルを表す;
メタロセニルは、とりわけフェロセニルを表す;
ヘテロシクリルは、とりわけ、1個〜30個の環炭素原子と、O、NおよびSから選択される1個〜4個の環ヘテロ原子とを有する単環式、二環式、または三環式の基を表す;
ヘテロシクロアルキルは、とりわけ、C
1〜C
30−アルキル残基に結合した、1個〜30個の環炭素原子と、O、NおよびSから選択される1個〜4個の環ヘテロ原子とを有する単環式、二環式、または三環式の基を表す;
アリールは、とりわけ、5個〜20個の環炭素原子を有する、単環式、二環式、三環式または四環式の、場合により置換された芳香族残基を表す;
ヘタリールは、とりわけ、1個〜30個の環炭素原子と、少なくとも1つの5員環〜7員環の芳香族環とを有する基を表す;
アルコキシは、とりわけ、上述のC
1〜C
30−アルキル残基の酸素結合類似体を表す;
シクロアルコキシは、とりわけ、3個〜30個の炭素原子を有する炭素環式、単環式または多環式の、例えば単環式、二環式または三環式の残基の酸素末端類似体を表す;
ヘテロシクロアルコキシは、とりわけ、1個〜30個の環炭素原子と、O、NおよびSから選択される1個〜4個の環ヘテロ原子とを有する、単環式、二環式、または三環式の基を有する、上に挙げられたヘテロシクリル残基の少なくとも1つを置換基として有する、上述のC
1〜C
30−アルコキシ基を表す;
アリールオキシは、とりわけ、5個〜20個の環炭素原子を有する上述のアリール残基の酸素結合類似体を表す;
ヘタリールオキシは、とりわけ、1個〜30個の環炭素原子と、少なくとも1個の5員環〜7員環の芳香族環とを有する上述のヘテロアリール残基の酸素結合類似体を表す;
ポリアルキレンオキシドは、とりわけ、2〜100の重合度を有する、同じか、または異なるC
2〜C
4−オキシアルキレン−モノマー構成単位から誘導された残基を表す;
ポリアルキレンイミンは、とりわけ、上述のポリアルキレンオキシド残基の、構造が類似したイミン基含有残基を表す;
アシルは、とりわけ、2個〜11個の炭素原子を有するアルカノイル基またはアロイル基を表す;
アルコキシカルボニルは、上述のC
1〜C
30−アルコキシ残基のカルボニル結合類似体を表す。
【0072】
式III.aにおいて、A
1がCR
11(すなわち、−C(R
11)=))を表し、A
2がN(すなわち、−N=)を表す場合、アクリジン構造を有する橋かけ基が得られる。
【0073】
7.一般式IIIの二座ホスファン配位子において、基Yは、多環式基III.mからIII.oまで
【化6】
から選択される橋かけ基を表す、実施形態1から6までのいずれか1つに記載の方法。
【0074】
8.一般式IIIの二座ホスファン配位子において、基Yは、複素環式基V.aからV.gまで
【化7】
[式中、
残基R
IからR
VIIIまでは、互いに独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘタリール、ヒドロキシ、メルカプト、ポリアルキレンオキシド、ポリアルキレンイミン、アルコキシ、ハロゲン、SO
3H、スルホネート、NE
9E
10、アルキレン−NE
9E
10、トリフルオロメチル、ニトロ、アルコキシカルボニル、カルボキシル、ホルミル、アシルまたはシアノから選択されるものであり、ここで、E
9およびE
10は、それぞれ、水素、アルキル、シクロアルキルおよびアリールから選択される同じか、または異なる残基を意味し;ならびに
A
2は、NH、N、OまたはSを表す]
から選択される橋かけ基を表す、実施形態1から7までのいずれか1つに記載の方法。
【0075】
上述の式V.aからV.hまでにおいては、とりわけ、以下の意味が適用される:
アルキレンは、とりわけC
1〜C
10−アルキレンを表す;
アルキルは、とりわけC
1〜C
30−アルキルを表す;
シクロアルキルは、とりわけC
5〜C
30−シクロアルキルを表す;
ヘテロシクロアルキルは、とりわけ、C
1〜C
30−アルキル残基に結合した、1個〜30個の環炭素原子と、O、NおよびSから選択される1個〜4個の環ヘテロ原子とを有する単環式、二環式、または三環式の基を表す;
アリールは、とりわけ、5個〜20個の環炭素原子を有する単環式、二環式、三環式または四環式の、場合により置換された芳香族残基を表す;
ヘタリールは、とりわけ、1個〜30個の環炭素原子と、少なくとも1つの5員環〜7員環の芳香族環とを有する基を表す;
アルコキシは、とりわけ、上述のC
1〜C
30−アルキル残基の酸素結合類似体を表す;
ポリアルキレンオキシドは、とりわけ、2〜100の重合度を有する、同じか、または異なるC
2〜C
4−オキシアルキレン−モノマー構成単位から誘導された残基を表す;
ポリアルキレンイミンは、とりわけ、上述のポリアルキレンオキシド残基の、構造が類似したイミン基含有残基を表す;
アシルは、とりわけ、2個〜11個の炭素原子を有するアルカノイル基またはアロイル基を表す;ならびに
アルコキシカルボニルは、とりわけ、上述のC
1〜C
30−アルコキシ残基のカルボニル結合類似体を表す。
【0076】
9.一般式IIIの二座ホスファン配位子において、両方のホスファン末端基は、互いに独立して、式VI.aからVI.kまで
【化8】
[式中、
アリールは、場合により1回または複数回置換されたフェニルを表し、ここで、置換基は、アルキルまたはアルコキシから選択されるものであり、
Z
1およびZ
2は、互いに独立して、アルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アリールまたはヘタリールから選択されるものであり、ならびに
Q
1からQ
8までは、互いに独立して、Hまたはアルキルを表す]
の基から選択されるものである、実施形態1から8までのいずれか1つに記載の方法。
【0077】
上述の式VI.aからVI.kまでにおいて、とりわけ、以下の意味が適用される:
アルキルは、とりわけC
1〜C
30−アルキルを表す;
アルコキシは、とりわけ、上述のC
1〜C
30−アルキル残基の酸素結合類似体を表す;
アリールは、とりわけ、5個〜20個の環炭素原子を有する、単環式、二環式、三環式または四環式の、場合により置換された芳香族残基を表す;
ヘタリールは、とりわけ、1個〜30個の環炭素原子と、少なくとも1つの5員環〜7員環の芳香族環とを有する基を表す;
アルコキシアルキルは、とりわけ、上に挙げられたC
1〜C
30−アルコキシ残基の少なくとも1つを置換基として有する、上述のC
1〜C
30−アルキル基を表す。
【0078】
上述の実施形態3から9までに関しては、一般的に、式IIIの化合物において以下の好ましい意味が適用される:
(1)a、b、eおよびfは、値0を表すか、または
(2)a、b、c、d、eおよびfは、値0を表す
(3)R
A、R
B、R
CおよびR
Dは、とりわけ同じであり、場合により1回もしくは2回置換されたアリール、とりわけ場合により1回もしくは2回置換されたフェニルを表し;置換基は、好ましくはC
1〜C
4−アルキル残基である
(4)Yは、2個〜5個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖アルキレンを表し、ここで、とりわけ、橋かけ基は、1つまたは2つの不斉中心(不斉炭素原子)を有していてよい
(5)Yは、式III.eの1つの基を表し、式中、R
IからR
XIIはHを表す
(6)Yは、式III.dの1つの基を表し、式中、R
IからR
VIIIはHを表し、A
2はOを表す、
(7)Yは、式III.gの1つの基を表し、式中、R
IからR
IVまではHを表す。
【0079】
式IIIの配位子の特に好ましい実施形態は、上述の意味(1)または(2)と、(3)および意味(4)から(7)までの1つとの組み合わせを含む。
【0080】
上述の実施形態8に関しては、一般的に、式Vの化合物において以下の好ましい意味が適用される:
(1)A
2は、OまたはSを表す;
(2)R
IからR
VIIIまでは、Hを表す。
【0081】
10.酸−助触媒は、ルイス酸である、実施形態1から9までのいずれか1つに記載の方法。
【0082】
11.酸−助触媒は、[NH
4]TFA、[NH
4]Cl、[NH
4]
2[SO
4]、[NH
4]Br、Al(OTf)
3、Sc(OTf)
3、AlCl
3、AlBr
3、BR
3、BCl
3、BBr
3、BF
3、NaPF
6およびAl(NO
3)
3、とりわけ[NH
4]TFA、Al(OTf)
3、Sc(OTf)
3およびAlCl
3から選択されるものである、実施形態1から10までのいずれか1つに記載の方法。
【0083】
12.触媒Kは、以下の一般式IV
【化9】
[式中、
P−L−Pは、上に示された式(III)の二座ホスファン配位子であり;
L
Nは、アミン、ホスファン、ホスファイト、アルコール、N−複素環式カルベン、イミン、カルボニル化合物、オレフィン、アルキンまたはニトリル、とりわけホスファンおよびアミン、最も好ましくはトリアリールホスファンおよびNH
3から選択される中性配位子を表し、
ならびに
L
Aは、存在していないか、または塩化物、フッ化物、臭化物、ヨウ化物、水素化物、シアン化物、アルコキシ、アミドもしくはヒドロキシ、とりわけ塩化物または水素化物から選択されるアニオン性配位子を表す]
を有するルテニウム触媒である、実施形態1から11までのいずれか1つに記載の方法。
【0084】
13.アミノ化を、少なくとも1つの上記式IIIによるキラルな二座ホスファン配位子、とりわけ式(1)から(86)までの配位子、特に式(1)、(9)、(13)、(20)、(22)(式中、n=3)、(24)および(74)の配位子を有する触媒Kを使用することによって、エナンチオ選択的に実施する、実施形態1から12までのいずれか1つに記載の方法。
【0085】
14.アミノ化されるカルボニル化合物は、以下の一般式II
【化10】
[式中、R
1およびR
2は、同じか、または異なっており、互いに独立して、
水素、
場合により1回または複数回置換されたアルキル、とりわけC
1〜C
30−アルキル、好ましくはC
1〜C
10−アルキル残基、ここで、炭素鎖は、場合により、1つまたは複数、例えば2つ、3つ、4つまたは5つ、とりわけ1つまたは2つ、好ましくは1つのカルボニル基によって中断されており;最も好ましいのは、さらなるカルボニル基を含まないC
1〜C
10−アルキル残基であり;
場合により1回または複数回置換されたシクロアルキル、とりわけC
3〜C
30−シクロアルキル、好ましくはC
3〜C
12−シクロアルキル、ここで、炭素環式環は、場合により、1つまたは複数、例えば2つ、3つ、4つまたは5つの、とりわけ1つまたは2つ、好ましくは1つのカルボニル基によって中断されており;最も好ましいのは、さらなるカルボニル基を含まないC
3〜C
12−シクロアルキル残基であり;
N、OおよびSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含む、場合により1回または複数回置換されたヘテロシクリル、とりわけC
3〜C
30−ヘテロシクリル、好ましくはC
5〜C
12−ヘテロシクリル、ここで、複素環式環は、場合により、1つまたは複数、例えば2つ、3つ、4つまたは5つ、とりわけ1つまたは2つ、好ましくは1つのカルボニル基によって中断されており;最も好ましいのは、さらなるカルボニル基を含まないC
3〜C
12−ヘテロシクリル残基であり;
場合により1回または複数回置換された単環式、二環式または三環式のアリール、とりわけC
5〜C
14−アリール;ならびに
N、OおよびSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含む、場合により1回または複数回置換された単環式、二環式または三環式のヘタリール、とりわけC
5〜C
14−ヘテロアリール
から選択されるものであり;
ここで、場合により存在している置換基は、ハロゲン、とりわけ、F、Cl、Br、−OH、−CN、−NH
2、C
1〜C
30−アルキル、C
3〜C
30−シクロアルキル、N、OおよびSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含むC
3〜C
30−ヘテロシクリル、C
5〜C
14−アリール、N、OおよびSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含むC
5〜C
14−ヘテロアリール、−OR
7、−NHR
7または−N(R
7)
2、−C(O)R
7、−C(O)OR
7、−C(O)NHR
7または−C(O)N(R
7)
2から選択されるものであり、ここで、R
7は、C
1〜C
30−アルキルおよびC
5〜C
30−アリールから選択されるものであり;
好ましくは、置換基は、F、Cl、Br、−OH、−CN、−NH
2、C
1〜C
10−アルキル、C
3〜C
12−シクロアルキル、N、OおよびSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含むC
5〜C
12−ヘテロシクリル、C
5〜C
14−アリール、N、OおよびSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含むC
5〜C
14−ヘテロアリール、−OR
7、−NHR
7または−N(R
7)
2、−C(O)R
7、−C(O)OR
7、−C(O)NHR
7または−C(O)N(R
7)
2であり、ここで、R
7は、C
1〜C
10−アルキルおよびC
5〜C
14−アリールから選択されるものであり;
特に好ましくは、置換基は、F、Cl、Br、−OH、−CN、−NH
2、C
1〜C
4−アルキル、単環式のシクロアルキル、N、OおよびSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含む単環式のヘテロシクリル、単環式のアリール、N、OおよびSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含む単環式のヘテロアリール、−OR
7、−NHR
7または−N(R
7)
2、−C(O)R
7、−C(O)OR
7、−C(O)NHR
7または−C(O)N(R
7)
2であり、ここで、R
7は、C
1〜C
4−アルキルおよび単環式のアリールから選択されるものである]
の化合物である、実施形態1から13までのいずれか1つに記載の方法。
【0086】
15.触媒Kは、以下の化合物:
[Ru(PPh
3)
3(H)(Cl)(CO)]、[Ru(PPh
3)
3(H)
2(CO)]、[Ru(PPh
3)
3(Cl)
2]、[Ru(PPh
3)
3(Cl)
2(CO)]、[Ru(p−シメン)(Cl)
2]、[Ru(ベンゼン)Cl
2]
n、[Ru(CO)
2Cp]
n、[Ru(CO)
3(Cl)
2]、[Ru(COD)(アリル)]、[Ru(COD)(2−メチルアリル)
2]、[RuCl
3・H
2O]、[Ru(アセチルアセトネート)
3]、[Ru(DMSO)
4(Cl)
2]、Ru
3CO
12、[Ru(シクロペンタジエニル)(PPh
3)
2(Cl)]、Ru(シクロペンタジエニル)(CO)
2(Cl)]、[Ru(シクロペンタジエニル)(CO)
2H]、[Ru(シクロペンタジエニル)(CO)
2]
2、[Ru(ペンタメチルシクロペンタジエニル)(CO)
2(Cl)]、[Ru(ペンタメチルシクロペンタジエニル)(CO)
2H]、[Ru(ペンタメチルシクロペンタジエニル)(CO)
2]
2、[Ru(インデニル)(CO)
2(Cl)]、[Ru(インデニル)(CO)
2(H)]、[Ru(インデニル)(CO)
2]
2、ルテノセン、[Ru(binap)Cl
2]、[Ru(ビピリジン)
2Cl
2・2H
2O]、[Ru(COD)Cl
2]
2、[Ru(ペンタメチルシクロペンタジエニル)(COD)(Cl)]、[Ru
3(CO)
12]、[Ru(テトラフェニルヒドロキシ−シクロペンタジエニル)(CO)
2(H)]、[Ru(PPh
3)
4(H)
2]
から選択される触媒前駆体から形成される、実施形態1から14までのいずれか1つに記載の方法。
【0087】
16.触媒Kを、使用される液状反応媒体の全質量を基準として1ppm質量部〜5000ppm質量部まで、10ppm質量部〜2000ppm質量部まで、または100ppm質量部〜1000ppm質量部までの量で使用する、実施形態1から15までのいずれか1つに記載の方法。
【0088】
17.反応を、以下の反応条件:
a)20℃〜250℃まで、とりわけ50℃〜150℃までの範囲の温度、および/または
b)0.1Mpa〜30MPaまで、とりわけ1MPa〜10MPaまでの範囲の全圧、および/または
c)0.1時間〜100時間まで、とりわけ5時間〜30時間までの反応時間、および/または
d)アンモニア:使用される出発材料のモル量を基準として1.5倍〜250倍まで、とりわけ10倍〜100倍までのモル過剰量、および/または
e)使用される出発材料のモル量を基準として1.5倍〜250倍まで、とりわけ10倍〜100倍までのモル過剰量の水素
の下に実施する、実施形態1から16までのいずれか1つに記載の方法。
【0089】
d)本発明による還元的アミノ化反応のための出発材料
本発明による方法では、出発材料として、上述の一般式IIを有するカルボニル化合物が使用される。
【0090】
ここで、置換基R
1およびR
2は、互いに独立して、上に定義されたものであってよい。本発明による方法では、出発材料は、複数、例えば2つ、3つ、4つまたは5つ、とりわけ2つ、しかし、好ましくは1つのみのカルボニル単位を、アミノ化される官能基として含んでよい。R
1およびR
2が等しくなく、2つの置換基のいずれも水素ではない場合、本発明によれば、このカルボニル化合物をエナンチオ選択的にアミノ化することも可能である。
【0091】
R
1および/またはR
2は、1つまたは複数、例えば2つ、3つ、4つまたは5つ、とりわけ2つ、しかし、好ましくは1つのみのカルボキシル基またはその誘導体、例えばアミド、エステルおよびニトリルを含んでもよいため、還元的アミノ化によりアミノ酸基を得ることができる。
【0092】
式IIによる出発材料の非限定的な例として、ここで、以下のものが挙げられる:アセトフェノン、トリフルオロアセトフェノン、トリフルオロメチルアセトフェノン、ケトブタノール、インダノン、2−アルキルインダノン誘導体、2−(ベンジルオキシ)−シクロペンタノン、(1−ナフチル)−アセトン、(2−メトキシフェニル)−アセトン、(2−ナフチル)−アセトン、(3,4−ジメトキシフェニル)−アセトン、(3−ブロモフェニル)−アセトン、(3−クロロフェニル)−アセトン、(3−フルオロフェニル)−アセトン、(4−メトキシフェニル)−アセトン、(4−メチルフェニル)−アセトン、(3−ピリジニル)−アセトン、(2−ピリジニル)−アセトン、(4−ピリジニル)−アセトン、フラニルアセトン、ピロリル−アセトン、ピロリジニル−アセトン、テトラヒドロフラニル−アセトン、シクロヘキシルアセトン、テトラリノン、シクロプロピルアセトン、シクロブチルアセトン、シクロペンチルアセトン、フェニル−プロピル−ケトン、フェニル−ブチル−ケトン、フェニル−エチル−ケトン、2−ヘプタノン、2−ヘキサノン、2−ペンタノン、2−ブタノン、2−オクタノン、2−ノナノン、2−デカノン、第三級ブチル−メチル−ケトン、イソプロピル−メチルケトン、メトキシアセトン、エトキシアセトン、2−ケトプロパン酸(エステル)、3−ケトブタン酸(エステル)。
【0093】
e)錯体触媒
本発明による錯体触媒Kは、好ましくは、以下の一般式IV
【化11】
を有する、上に定義されているルテニウム触媒である。
【0094】
ここに含まれる配位子は、以下においてさらに詳しく説明され、ここで、以下の定義は、具体的なルテニウム触媒にのみ適用されるのではない。
e1)ホスファン配位子(P−L−P)(上述の一般式IIIに相当)。
【0095】
本発明により使用可能な二座ホスファン配位子の非限定的な例として、以下のものが挙げられる:
本発明による式IIIによるホスファン配位子として、ここで例示的に以下のものが挙げられるが、これらに制限されない:ジフェニルホスフィノメタン、1,2−ビス(ジメチルホスフィノ)エタン、1,2−ビス(ジイソプロピルホスフィノ)エタン、1,2−ジフェニルホスフィノエタン、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、(2,2−ジメチル−1,3−プロパンジイル)ビス(ジフェニルホスフィン)、(2,2−ジブチル−1,3−プロパンジイル)ビス(ジフェニルホスフィン)、ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン、ビス(ジフェニルホスフィノ)−9,9−ジメチルキサンテン、2,3−ビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)エタン、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン、1,1’−ビス(2−ジフェニルホスフィノエチル)フェニルホスフィン、ビス[2−(ジフェニルホスファニル)フェニル]エーテル、ビス(2−ジフェニルホスフィノエチル)フェニルホスフィン、ビス[(2−ジフェニルホスフィノ−エチル)エチル]アミン、1,3−ビス(ビス−o−メトキシフェニル−ホスフィノ)−プロパン、1,3−ビス(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)ベンゼンおよびさらにビス(ジシクロヘキシルホスフィノ−メチル)−アクリジン。
【0096】
カルボニル化合物のエナンチオ選択的アミノ化の本発明による実施形態の場合、式IIIに相当するキラルなホスファン配位子が使用される。本発明による、式IIIによるキラルなホスファン配位子として、ここで例示的に以下のものが挙げられるが、これらに制限されない:キラホス(1)、BINAP(13)、f−ビナファン(74)、ならびにすべてのさらなる、以下に図示されたホスファン配位子(1)〜(86)ならびにそれらのエナンチオマー。
【0097】
【化12-1】
【化12-2】
【化12-3】
【化12-4】
【化12-5】
【化12-6】
【0098】
e2)中性配位子L
N
本発明による、式IVによる錯体触媒は、選択的にさらに他の配位子を有していてよい。錯体触媒は、さらに中性配位子L
Nを有していてよく、ここで、これは、本発明による方法に必ずしも必要ではない。式IVによる錯体触媒が中性配位子L
Nを有している場合、これは、好ましくは、アミン、例えばC
1〜C
30−モノアルキルアミンもしくはC
1〜C
30−ジアルキルアミン、またはとりわけC
1〜C
6−モノアルキルアミンもしくはC
1〜C
6−ジアルキルアミン、ホスフィン(すなわち、ホスファン)、例えばトリアルキルホスファンもしくはトリアリールホスファン、例えばトリ−C
1〜C
30−アルキルホスファンもしくはトリ−C
5〜C
14−アリールホスファン、ホスファイト、アルコール、例えば脂肪族C
1〜C
30−モノアルコールもしくはとりわけC
1〜C
6−モノアルコール、N−複素環式カルベン、イミン、カルボニル化合物、オレフィン、例えばC
2〜C
30−モノオレフィンもしくはとりわけC
2〜C
6−モノオレフィン、アルキン、例えばC
2〜C
30−モノアルキンもしくはとりわけC
2〜C
6−モノアルキン、またはニトリル、例えばC
2〜C
30−モノアルキルニトリルもしくはとりわけC
2〜C
6−モノアルキルニトリルから選択されるが、これらに制限されない。とりわけ、これらは、挙げられたアミン、イミン、NH
3、トリアリールホスファンまたはトリアルキルホスファンから選択されるものである。
【0099】
3)アニオン性配位子L
A
錯体触媒は、さらにアニオン性配位子L
Aを有していてよく、ここで、このアニオン性配位子は、本発明による方法に必ずしも必要ではない。式IVによる錯体触媒が中性配位子L
Nを有する場合、これは、好ましくは、塩化物、フッ化物、臭化物、ヨウ化物、水素化物、シアン化物、アルコキシ、アミドまたはヒドロキシ、とりわけ塩化物および水素化物から選択されるが、これらに制限されない。
【0100】
好ましい実施形態では、本発明による式IVによる錯体触媒は、中性配位子L
Nならびにアニオン性配位子Yを有している。
【0101】
特に好ましい実施形態では、L
Nは、トリアリールホスファン、例えばトリフェニルホスファン、またはNH
3であり、L
Aは、塩化物または水素化物である。
【0102】
式IVによる均一系錯体触媒は、直接その活性形として生成することもでき、一般の前駆体から出発して、相応の配位子を添加して、反応条件下(in situ)に初めて生成することもできる。ルテニウム錯体触媒の一般の前駆体の非限定的な例は、以下のものである:
[Ru(PPh
3)
3(H)(Cl)(CO)]、[Ru(PPh
3)
3(H)
2(CO)]、[Ru(PPh
3)
3(Cl)
2]、[Ru(PPh
3)
3(Cl)
2(CO)]、[Ru(p−シメン)(Cl)
2]、[Ru(ベンゼン)Cl
2]
n、[Ru(CO)
2Cp]
n、[Ru(CO)
3(Cl)
2]、[Ru(COD)(アリル)]、[Ru(COD)(2−メチルアリル)
2]、[RuCl
3・H
2O]、[Ru(アセチルアセトネート)
3]、[Ru(DMSO)
4(Cl)
2]、Ru
3CO
12、[Ru(シクロペンタジエニル)(PPh
3)
2(Cl)]Ru(シクロペンタジエニル)(CO)
2(Cl)]、[Ru(シクロペンタジエニル)(CO)
2H]、[Ru(シクロペンタジエニル)(CO)
2]
2、[Ru(ペンタメチルシクロペンタジエニル)(CO)
2(Cl)]、[Ru(ペンタメチルシクロペンタジエニル)(CO)
2H]、[Ru(ペンタメチルシクロペンタジエニル)(CO)
2]
2、[Ru(インデニル)(CO)
2(Cl)]、[Ru(インデニル)(CO)
2(H)]、[Ru(インデニル)(CO)
2]
2、ルテノセン、[Ru(binap)Cl
2]、[Ru(ビピリジン)
2Cl
2・2H
2O]、[Ru(COD)Cl
2]
2、[Ru(ペンタメチルシクロペンタジエニル)(COD)(Cl)]、[Ru
3(CO)
12]、[Ru(テトラフェニルヒドロキシシクロペンタジエニル)(CO)
2(H)]、[Ru(PPh
3)
4(H)
2]。
【0103】
f)助触媒
本発明によれば、反応は、とりわけ助触媒としての酸の存在下に実施される。ここで、酸は、ブレンステッド酸またはルイス酸であってよい。酸性助触媒は、溶解された形で、部分的に溶解された形で、または溶解されていない形で反応混合物中に存在していてよい。ここで、助触媒として、あらゆる種類の酸性化合物、例えばHCl、H
2SO
4、H
3PO
4、HSO
3R、HBr、Hl、HF、[NH
4]TFA、[NH
4]Cl、[NH
4]
2[SO
4]、[NH
4]Br、Al(OTf)
3、Sc(OTf)
3、AlCl
3、AlBr
3、Al(OR)
3、BR
3、BCl
3、BBr
3、BF
3、Al(NO
3)
3、NaPF
6、NaBF
4、酸性イオン交換体、TiO
2(酸性)、Al
2O
3(酸性)、SiO
2、TiCl
4、TiBr
4、Til
4、Ti(OR)
4、ZrCl
4、ZrBr
4、Zrl
4、ZR(OR)
4、H
2CO
3、CO
2、HCOOH、AcOH、SO
3、SO
2、または酸性イオン性液体、例えば1,3−アルキルメチル−イミダゾリウム塩またはN−アルキルピリジニウム塩、例えば1,3−ブチル−メチル−イミダゾリウム(BMIM)塩も好適であり、ここで、対イオンは、所望の酸性度に応じて、例えばMeSO
3-、AlCl
4-、CuCl
2-、SbF
4-、SbF
6-、BF
4、PF
6-、Al
2Cl
7-、Cu
2Cl
3-、Al
3Cl
10-またはCu
3Cl
4-から選択されるものである。
【0104】
助触媒の量は、一般的に、それぞれ全体の液状反応媒体を基準として0.001質量%〜10質量%である。
【0105】
g)反応の実施
反応は、液相中で、一般的に20℃〜250℃の温度で行われる。好ましくは、本発明による方法は、100℃〜200℃の範囲、特に好ましくは110℃〜160℃の範囲の温度で実施される。
【0106】
反応は、一般的に0.1MPa(絶対圧)〜20MPa(絶対圧)の全圧で実施されてよく、全圧は、反応温度での溶媒の固有の圧力にも、アンモニアおよび水素の圧力にも相当する。好ましくは、本発明による方法は、0.1MPa(絶対圧)〜30MPa(絶対圧)の範囲の全圧で、とりわけ好ましくは1MPa〜10MPaの範囲の全圧で実施される。
【0107】
平均反応時間は、一般的に15分〜100時間、例えば1時間〜50時間まで、または5時間〜20時間である。
【0108】
アミノ化剤(アンモニア)は、アミノ化されるカルボニル基に関して、化学量論量で、不足化学量論量で、または超化学量論量で使用されてよい。好ましい実施形態では、アンモニアは、出発材料中で反応されるカルボニル基1モルあたり1.5倍〜250倍、好ましくは2倍〜100倍、とりわけ2倍〜10倍のモル過剰量で使用される。より高い過剰量のアンモニアも可能である。
【0109】
還元剤(水素)は、アミノ化されるカルボニル基に関して、化学量論量で、不足化学量論量で、または超化学量論量で使用されてよい。好ましい実施形態では、水素は、出発材料中で反応されるカルボニル基1モルあたり1.5倍〜250倍、好ましくは2倍〜100倍、とりわけ2倍〜10倍のモル過剰量で使用される。より高い過剰量の水素も可能である。
【0110】
本発明による方法は、溶媒中でも、溶媒なしでも実施することができる。溶媒として、純粋な形で、または混合物として使用することができる極性および非極性溶媒が好適である。例えば、本発明による方法では、非極性溶媒または極性溶媒のみが使用されてよい。2つ以上の極性溶媒の混合物、または2つ以上の非極性溶媒の混合物、または1つ以上の極性溶媒と1つ以上の非極性溶媒からの混合物を使用することも可能である。
【0111】
非極性溶媒として、例えば飽和および不飽和炭化水素、例えばヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレンおよびメシチレン、ならびに鎖状および環式エーテル、例えばTHF、ジエチルエーテル、1,4−ジオキサン、MTBE(tert−ブチルメチルエーテル)、ジグリムおよび1,2−ジメトキシエタンが好適である。好ましくは、トルエン、キシレンまたはメシチレンが使用される。
【0112】
極性溶媒として、例えば水、ジメチルホルムアミド、ホルムアミド、tert−アミルアルコールおよびアセトニトリルが好適である。好ましくは水が使用される。水は、反応前に添加されてもよく、反応の際に反応水として生じてもよく、反応後にさらに反応水に添加されてもよい。
【0113】
生成物および出発材料の極性に応じて、生成物および/または出発材料も、溶媒として(純粋な形で、または上記の極性もしくは非極性溶媒の少なくとも1つを含む混合物として)反応に利用することができる。
【0114】
場合により、イオン性液体(IL)、例えば上に挙げられた酸性ILが溶媒として使用されてもよい。
【0115】
液相における反応のために、アンモニア、水素、少なくとも1つの式(−C=O−)の官能基を有する出発材料が、場合により1つまたは複数の溶媒とともに、錯体触媒および助触媒とともに、好適な反応器に導入される。
【0116】
ここで、アンモニア、水素、出発材料、場合により溶媒および錯体触媒の導入は、同時または互いに別個に行われてよい。ここで、反応は、連続的に実施されるか、半バッチ法で実施されるか、バッチ法で実施されるか、溶媒として生成物に逆混合して実施されるか、またはシングルパスで逆混合せずに実施されてよい。別の実施形態では、触媒をその活性形に保つために、反応混合物にさらにCOが供給されてよい。
【0117】
本発明による方法の場合、根本的に、所定の温度および所定の圧力下での気体/液体反応に基本的に好適なあらゆる反応器が使用されてよい。気体/液体反応系および液体/液体反応系に好適な標準反応器は、例えばK.D.Henkel、「Reactor Types and Their Industrial Applications」、Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry、2005、Wiley−VCH Verlag GmbH & Co. KGaA、DOI:10.1002/14356007.b04_087、Kapitel 3.3「Reactors for gas−liquid reactions」に示されるものである。例として、撹拌槽反応器、管型反応器または気泡塔反応器が挙げられる。
【0118】
反応で生じた反応搬出物は、一般的に相応の反応生成物(すなわち、アミノ化生成物および場合により生じた副生成物)、場合により1つまたは複数の溶媒、錯体触媒、酸性助触媒、および場合により未反応の出発材料、アンモニアおよび水素ならびに生じた反応水を含む。反応搬出物からは、場合により存在している過剰量のアンモニア、場合により存在している溶媒、錯体触媒および反応水が除去される。得られた反応生成物は、さらに後処理されてよい。過剰量のアンモニア、錯体触媒、酸性助触媒、場合により1つまたは複数の溶媒、および場合により未反応の出発材料は、アミノ化反応に返送されてよい。
【0119】
アミノ化反応が溶媒なしで実施される場合、均一系錯体触媒は、反応後、生成物中に溶解している。この均一系錯体触媒は、生成物中に残留していてもよいし、または好適な方法によりこの生成物から分離することもできる。触媒を分離するための手法は、例えば、生成物とは混合しにくいが、配位子の好適な選択により触媒が生成物中におけるよりも溶解しやすい溶媒で洗い落とすことである。場合により、触媒は、多段階抽出により生成物から除去される。抽出剤としては、好ましくは、目標反応にも好適な溶媒、例えばトルエン、ベンゼン、キシレン、アルカン、例えばヘキサン、ヘプタンおよびオクタン、および非環式または環式エーテル、例えばジエチルエーテルおよびテトラヒドロフランが使用され、その溶媒は、濃縮後、抽出された触媒とともに再び反応に使用することができる。好適な吸収材料を含む触媒の除去も可能である。分離は、反応が水と混合しにくい溶媒中で実施される場合、生成物相へ水を供給することによって行われてもよい。ここで、触媒が、好ましくは溶媒中に溶解する場合、触媒は、溶媒とともに水性生成物相から分離されて、場合により再び使用することができる。これは、好適な配位子の選択により行うことができる。アミノ化生成物を蒸留により触媒から分離することも可能である。
【0120】
反応が溶媒中で実施される場合、この溶媒は、アミノ化生成物と混合可能なものであり、反応後に蒸留によって分離することができる。アミノ化生成物または出発材料と溶解度ギャップを有する溶媒を使用してもよい。そのために好適な溶媒として、例えばトルエン、ベンゼン、キシレン、アルカン、例えばヘキサン、ヘプタンおよびオクタン、および非環式または環式エーテル、例えばジエチルエーテル、テトラヒドロフランおよびジオキサンが挙げられる。触媒は、ホスファン配位子の好適な選択により、好ましくは溶媒相中、すなわち生成物を含んでいない相中に溶解する。ホスファン配位子は、触媒がアミノ化生成物中で溶解するように選択することもできる。この場合、アミノ化生成物は、蒸留により触媒から分離される。
【0121】
溶媒は、反応条件下にも出発材料および生成物と混合可能であり、冷却後に初めて、触媒の大部分を含む第二の液相を形成することができるものであってよい。この特性を示す溶媒として、例えばトルエン、ベンゼン、キシレン、アルカン、例えばヘキサン、ヘプタンおよびオクタンが挙げられる。触媒は、その場合、溶媒とともに分離されて、再び使用することができる。生成物相は、この別法において水が加えられてもよい。この生成物中に含まれている触媒の一部は、続いて好適な吸収材料、例えばポリアクリル酸およびそれらの塩、スルホン化ポリスチレンおよびそれらの塩、活性炭、モンモリロナイト、ベントナイトならびにゼオライトによって分離されてよいが、しかしまた、生成物中にそのまま残留していてもよい。
【0122】
アミノ化反応は、二相で実施されてもよい。二相の反応操作の実施形態では、非極性溶媒として特にトルエン、ベンゼン、キシレン、アルカン、例えばヘキサン、ヘプタンおよびオクタンが、遷移金属触媒上の親油性ホスファン配位子との組み合わせで好適であり、それによって、遷移金属触媒は、非極性相中で富化する。生成物ならびに反応水、および場合により未反応の出発材料が、これらの化合物が富化された第二相を形成するこの実施形態では、触媒の大部分は、簡単な相分離により生成物相から分離されて、再利用されてもよい。
【0123】
揮発性の副生成物、または未反応の出発材料、またはさらに反応で生じた、または反応後により良好な抽出のために添加された水が望ましくない場合、水は蒸留により問題なく生成物から分離することができる。
【0124】
反応で形成された水を連続的に反応混合物から除去することが有利であることもある。反応水は、直接蒸留により反応混合物から分離されるか、または共沸混合物として、好適な溶媒(共沸剤)の添加下に、および水分離器を使用して分離されるか、または水を取り除く助剤の添加により除去することができる。
【0125】
本発明は、以下の例により説明されるが、本発明は、これに制限されない。
【0126】
実験部:
一般的な説明:
ガスクロマトグラフィーによる測定を以下の通り実施する:試料を、反応後にドデカンを内部標準として加えた後、DB−1カラム(30m×0.25mm×1μm)が設けられたHewlett−Packard 6890ガスクロマトグラフで測定した。温度:初期130℃(5分)、2℃/分で160℃にして、3分維持し、その後50℃/分で300℃にして、10分維持。
【0127】
HPLC測定を以下の通り実施する:Agilent Technologiesの、UV/Vis検出器、Chiralpack IAカラム(0.46cm 直径×25cm)が設けられたHPLC機器型式1200 Infinity、流量1mL/分;溶媒 開始時、98%のn−ヘキサンおよび2%の2−プロパノール、2分後、90%のn−ヘキサンおよび10%の2−プロパノール、4分後、85%のn−ヘキサンおよび15%の2−プロパノール。
【0128】
「不活性条件」:作業は、空気もしくは酸素を排除して実施した。出発材料、溶媒および触媒の初期秤量は、超純粋アルゴンで操作されるグローブボックス内で行った。グローブボックス外の作業は、標準シュレンク技術および不活性ガスとしてのアルゴンを使用して行った。
【0129】
材料:
すべての使用されたホスファン配位子および触媒前駆体は市販のものであり、Sigma−AldrichもしくはStremから入手したものであった。
【0130】
製造例:
以下の例における反応は、不活性条件下に、Parrの特殊鋼製オートクレーブ100mL中で実施した。すべての出発化合物は市販のものであり、さらなる精製を行うことなく使用した。
【0131】
【表1】
【0132】
例1から5までは、本発明による触媒を、助触媒としての酸と組み合わせて使用して、出発化合物の完全な反応率において最大99%の第一級アミンへの選択性が得られることを示している。
【0133】
【表2】
【0134】
例6および7は、活性触媒を得るために、COが配位子として必要不可欠であることを示している、それというのは、例8のCOを含まないルテニウム供給源の使用では、生成物が得られないからである。
【0135】
【表3】
【0136】
例8から16までは、本発明による方法において、高い選択性を達成するために、酸の添加が必要不可欠であることを示している、それというのは、酸が添加されない比較例16では、アルコールが主生成物として形成されるからである。
【0137】
【表4】
【0138】
例17から29までは、本発明による方法によって、種々のカルボニル化合物を反応させて、良好な収率で相応の第一級アミンを形成できることを示している。
【0139】
【表5】
【0140】
例30から32までは、本発明による方法によって、キラルなジホスファン配位子を使用した場合に、好ましくはアミンの立体異性体が生成物として形成するように不斉ケトンの還元的アミノ化を実施できることを示している。
【0141】
【表6】
【0142】
【表7】
【0143】
例33から48までは、本発明による方法によって、キラルなジホスファン配位子を使用した場合に、好ましくはアミンの立体異性体が生成物として形成されるように不斉ケトンの還元的アミノ化を実施できることを示している。
【0144】
本願で引用された刊行物の開示は、明確に参照される。