(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の技術は、人間を検査対象とするものであり、人間を除く動物を検査対象とする場合には、そのまま適用することができない。例えば動物では、種族毎や品種によっても尿中に含まれる成分割合が異なることが考えられる。すなわち、尿中の成分割合は、例えば、種族が犬なのか猫なのかによって異なり、かつ種族が犬であっても品種がラブラドールなのかチワワなのかによっても異なる。そのため、正確に動物の尿検査を行うためには、動物の種類毎に検査紙を作成することが好ましいが、コストがかかりすぎる問題がある。
【0006】
本開示は、上記事実を考慮して成されたもので、動物の種類毎に検査紙を作成することなく、動物の尿検査を行うことが可能な動物用尿検査装置、動物用尿検査システム、及び動物用尿検査プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本開示の動物用尿検査装置は、動物の種類情報、及び動物の尿に浸された尿検査紙を撮影した撮影画像の各々を取得する取得部と、取得部によって取得された種類情報及び撮影画像を用いて動物の疾患を判定した判定結果を表示する表示部と、を備える。
【0008】
また、本開示の動物用尿検査装置は、動物の種類情報を取得する取得部と、動物の尿に浸された尿検査紙を撮影する撮影部と、取得部によって取得した種類情報、及び撮影部が尿検査紙を撮影した撮影画像の各々を用いて動物の疾患を判定する判定部と、判定部の判定結果を表示する表示部と、を備える。
【0009】
なお、本開示の動物用尿検査装置は、動物の種類情報が、少なくとも犬または猫を表す情報を適用してもよい。
【0010】
また、本開示の動物用尿検査装置は、種類情報を操作入力するための操作入力部を更に備え、取得部が、操作入力部によって入力された種類情報を取得してもよい。
【0011】
また、本開示の動物用尿検査装置は、表示部が、種類情報から定まる動物の大きさと、撮影画像中の尿検査紙の色の変化速度とに基づいて判定される疾患の可能性を判定結果として表示してもよい。
【0012】
また、本開示の動物用尿検査装置は、尿検査紙が、予め定めた測定項目にそれぞれ反応して色が変化する複数の反応領域を有し、かつ反応領域の色が変化するまでの時間が測定項目毎に異なり、表示部は、測定項目毎に予め定めた判定時間における各反応領域の画像を撮影画像から抽出して1つに合成した検査結果画像を更に表示してもよい。
【0013】
また、本開示の動物用尿検査装置は、表示部が、検査結果画像のそれぞれの反応領域における各測定項目毎の判定時間を更に表示してもよい。
【0014】
さらに、本開示の動物用尿検査装置は、尿検査紙が、動物の尿を受ける尿受け部に設けられ、かつ尿受け部には、動物が放尿した場合に、尿検査紙より速く色が変化する変化領域を有するものを適用してもよい。
【0015】
一方、上記目的を達成するために、本開示の動物用尿検査システムは、動物の種類情報を取得する取得部と、動物の尿に浸された尿検査紙を撮影する撮影部と、取得部によって取得した種類情報、及び撮影部によって尿検査紙が撮影された撮影画像を送信する送信部と、送信部の送信に対して外部から送信される動物の疾患の判定結果を受信して表示する表示部と、を含む端末装置と、送信部によって送信された種類情報及び撮影画像に基づいて、動物の疾患を判定する判定部と、判定部の判定結果を返信する返信部と、を含む情報処理装置と、を備える。
【0016】
また、上記目的を達成するために、本開示の動物用尿検査システムは、動物の尿に含まれる予め定めた物質に反応する反応領域を複数有し、それぞれ異なる物質に反応する尿検査紙と、動物の種類情報を取得する取得部と、動物の尿に浸された尿検査紙を撮影する撮影部と、取得部によって取得した種類情報、及び撮影部によって尿検査紙が撮影された撮影画像を送信する送信部と、送信部の送信に対して外部から送信される動物の疾患の判定結果を受信して表示する表示部と、を含む端末装置と、送信部によって送信された種類情報及び撮影画像に基づいて、動物の疾患を判定する判定部と、判定部の判定結果を返信する返信部と、を含む情報処理装置と、を備える。
【0017】
また、尿検査紙は、動物の尿を受ける尿受け部に設けられ、かつ尿受け部には、動物が放尿した場合に、尿検査紙より速く色が変化する変化領域を有し、送信部が、撮影部の撮影画像に基づいて、変化領域の色の変化を検出した時点を起点として、予め定めた時間経過するまでの前記撮影部の撮影画像を送信してもよい。
【0018】
また、上記目的を達成するために、本開示の動物用尿検査プログラムは、コンピュータを、上記の動物用尿検査装置の各部として機能させる。
【発明の効果】
【0019】
本開示によれば、動物の種類毎に検査紙を作成することなく、動物の尿検査を行うことが可能な動物用尿検査装置、動物用尿検査システム、及び動物用尿検査プログラムを提供できる、という効果が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して本開示の技術の実施形態を詳細に説明する。なお、本実施形態は本発明を限定するものではない。
【0023】
本実施形態では、スマートフォンや、タブレット端末、携帯可能なノート型PC(パーソナルコンピュータ)等の携帯端末を動物用尿検査装置の一例として適用した例を説明する。
図1は、本実施形態に係る携帯端末10の構成を示すブロック図である。なお、本実施形態において、動物とは、獣医師が取り扱う動物を指すものとする。
【0024】
図1に示すように、本実施形態に係る携帯端末10は、制御部12、記憶部14、撮影部16、通信部18、操作入力部としての操作部20、及び表示部22を含んで構成されている。
【0025】
制御部12は、CPU(Central Processing Unit)12A、ROM(Read Only Memory)12B、RAM(Random Access Memory)12C、及び入出力インタフェース(I/O)12Dを備えており、これら各部がバス12Eを介して各々接続されている。
【0026】
I/O12Dには、記憶部14、撮影部16、通信部18、操作部20、及び表示部22を含む各機能部が接続されている。これらの各機能部は、I/O12Dを介して、CPU12Aと相互に通信可能とされる。
【0027】
制御部12は、携帯端末10の全体的な動作を制御するメイン制御部の一部として構成されてもよい。
【0028】
記憶部14としては、例えば、SSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリ等が用いられる。記憶部14には、本実施形態に係る動物用尿検査処理を実行するための尿検査アプリケーション・プログラム(以下では、尿検査アプリと称す場合がある。)や、動物用尿検査を行うための各種データが記憶される。なお、この尿検査アプリは、例えば、Webサイトからダウンロードすることで取得され、尿検査アプリは、ROM12Bに記憶されていてもよい。
【0029】
撮影部16は、動物用尿検査紙を撮影して読み取るCCD(Charge Coupled Device)撮像素子等の撮像素子によって撮影が行われる。なお、動物用尿検査紙は、動物の尿内に含まれる予め定めた物質に反応する反応領域を複数有し、それぞれ異なる物質に反応する。
【0030】
通信部18は、携帯電話通信網やネットワーク等の通信回線に接続され、通信回線を介して外部の機器と通信を行う。
【0031】
操作部20には、電源ボタンや各種の操作ボタン等が設けられる。表示部22には、例えば、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)や有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等が用いられる。表示部22は、所有者が携帯端末10の操作を行うためのタッチパネルを表示面と一体的に有している。
【0032】
続いて、上述の尿検査アプリを実行することで機能する携帯端末10の制御部12の機能について説明する。
図2は、本実施形態に係る携帯端末10の制御部12の機能を示す機能ブロック図である。
【0033】
制御部12は、
図2に示すように、画像情報定量化部24、情報処理部26、動物種情報判定部28、尿検査基準値設定部30、及び検査結果判定部32の各機能を有する。なお、画像情報定量化部24及び動物種情報判定部28は取得部に対応し、検査結果判定部32は判定部に対応する。
【0034】
画像情報定量化部24は、撮影部16の撮影によって得られる撮影画像を表す信号を赤(R)、緑(G)、青(B)の3色の画像情報に定量化する処理を行う。なお、本実施形態では、撮影画像として動画像を撮影部16から取得する。
【0035】
情報処理部26は、画像情報定量化部24から得られる各色の画像情報から尿検査紙の尿によって反応する反応領域を抽出する処理を行う。
【0036】
一方、動物種情報判定部28は、操作部20を利用者が操作することによって入力された動物の種類情報から、尿検査を行う対象の動物の種類を判定する。動物の種類情報としては、例えば、少なくとも犬または猫を表す種族の情報を適用してもよい。また、犬または猫の中でも犬種または猫種を表す品種を表す情報としてもよい。また、動物の種類情報は、犬や猫などの種族に加えて、各種族における品種(例えば、犬の場合には柴犬やプードルなどの犬種)を含めた広義の意味の種類情報としてもよい。さらに、犬または猫に限るものではなく、獣医師が取り扱う犬猫以外の他の動物の種族及び品種の少なくとも一方を適用してもよい。
【0037】
尿検査基準値設定部30は、動物種情報判定部28によって判定された動物の種類に対応した基準値を読み出す。すなわち、尿検査を行うための基準値を動物の種類毎に予め記憶しておき、動物の種類に対応する基準値を読み出す。基準値としては、例えば、測定項目毎の判定時間や、測定項目毎の正常または異常を判定するための判定閾値などが挙げられる。すなわち、判定時間は、測定項目毎にそれぞれ異なり、例えば、白血球とウロビリノーゲンとで適正な判定時間が異なり、かつ動物の種類によっても適正な判定時間が異なる。また、各測定項目の正常または異常を判定するための閾値も動物の種類によって異なる。
【0038】
検査結果判定部32は、情報処理部26によって抽出された反応領域の色変化を尿検査基準値設定部30によって設定された基準値と比べることにより、尿検査の各測定項目に対する良否を判定して、動物の疾患を判定する。具体的には、基準値が動物の種類によって設定されるので、検査結果判定部32が、種類情報から定まる動物の大きさと、撮影画像中の尿検査紙の色の変化速度と、から測定項目毎の良否を判定して動物の疾患を判定する。そして、検査結果判定部32は、判定した検査結果を表示部22に表示する。
【0039】
次に、本実施形態に係る携帯端末10を用いた動物の尿検査の手順について具体的に説明する。
図3は、本実施形態に係る携帯端末10を用いた動物の尿検査の手順の一例を示す図である。
【0040】
例えば、
図3に示すような尿検査を行うための尿検査紙40を用いる。
図3の例では、尿検査紙40は、尿中に含まれる10種類の物質に対してそれぞれ反応する反応領域42を有する。各反応領域42は、測定項目毎に色が変化するまでの時間がそれぞれ異なる。なお、尿検査紙40の測定項目としては10種類に限るものではない。測定項目の一例としては、白血球、ウロビリノーゲン、潜血、ビリルビン、ケトン体、ブドウ糖、クレアチニン、アルブミン、蛋白質、pH、比重、亜硝酸塩などが挙げられる。
【0041】
まず、携帯端末10の操作部20を利用者が操作して、尿検査アプリを立ち上げ、動物の種類情報を入力する。例えば、尿検査アプリを立ち上げることにより、表示部22に動物の種類を入力する入力画面を表示し、操作部20を操作して動物の種類を入力する。これにより、動物種情報判定部28が尿検査を行う対象の動物の種類を判定し、尿検査基準値設定部30が、動物の種類に対応した基準値を読み出す。
【0042】
また、検査対象の動物の尿に浸した尿検査紙40を携帯端末10の撮影部16によって撮影開始して動画像を撮影する。撮影部16による撮影は、例えば、尿検査紙40の反応領域42の色変化がなくなるまで行う。
【0043】
続いて、画像情報定量化部24が、撮影部16の撮影によって得られる動画の撮影画像を定量化することによってRGB各色の撮影情報を生成し、情報処理部26が、定量化された撮影情報から反応領域42を抽出する処理を行う。例えば、
図3には、ある測定項目に対応する反応領域42の時間経過に対する各色の画素値の変化の一例が示されている。そして、検査結果判定部32が、時間経過に対する反応領域42の画素値と、尿検査基準値設定部30によって読み出された動物の種類に対応した基準値(判定時間や判定閾値など)と、に基づいて、尿検査の各測定項目に対する良否を判定し、動物の疾患を判定する。例えば、
図3では、亜硝酸塩及び潜血の測定項目から膀胱炎が疑われ、pHの測定項目から尿結石が疑われる検査結果の一例を示す。また、尿比重、UPCの測定項目が正常で腎不全の疑いは、また、白血球及び蛋白質の測定項目が正常で薬副作用による関節炎の疑いがない例を示す。
【0044】
そして、検査結果判定部32が、判定した検査結果を表示部22に表示する。表示部22に検査結果を表示する際には、病院の予約に関する情報や、ボタン等を表示してもよい。なお、検査結果を表示する際には、尿検査紙40の測定項目毎に予め定めた判定時間における各反応領域42の画像を撮影画像から抽出して1つに合成した検査結果画像を更に表示してもよい。
【0045】
続いて、上述のように構成された本実施形態に係る携帯端末10の制御部12で行われる具体的な処理について説明する。
図4は、本実施形態に係る携帯端末10の制御部12で行われる処理の流れの一例を示すフローチャートである。なお、
図4の処理は、例えば、操作部20を操作して、尿検査アプリの立ち上げた指示された場合に開始する。
【0046】
まず、ステップ100では、CPU12Aが、予め定めたペット情報入力画面を表示部22に表示してステップ102へ移行する。ペット情報入力画面は、例えば、検査対象の動物の種類を入力、或いは選択する画面を表示する。
【0047】
ステップ102では、CPU12Aが、ペット情報の入力が完了したか否かを判定する。該判定は、例えば、ペット情報の入力が完了して、操作部20を利用者が操作して撮影開始が指示されたか否かを判定する。該判定が肯定されるまで待機してステップ104へ移行する。
【0048】
ステップ104では、CPU12Aが、撮影部16による撮影を開始してステップ106へ移行する。
【0049】
ステップ106では、CPU12Aが、撮影完了か否かを判定する。該判定は、操作部20を操作して撮影完了を指示したか否かを判定してもよいし、撮影時間を予め定めておき、予め定めた時間経過したか否かを判定してもよい。該判定が肯定されるまで待機してステップ108へ移行する。
【0050】
ステップ108では、CPU12Aが、撮影画像から検査領域を抽出してステップ110へ移行する。すなわち、画像情報定量化部24が、撮影部16の撮影によって得られる動画の撮影画像を定量化することによってRGB各色の撮影情報を生成し、情報処理部26が、定量化された撮影情報から反応領域42の画像を抽出する処理を行う。
【0051】
ステップ110では、CPU12Aが、尿検査の基準値を動物の種類に応じた値に設定してステップ112へ移行する。すなわち、動物種情報判定部28が、ペット情報入力画面で入力されたペット情報に基づいて、尿検査を行う対象の動物の種類を判定し、尿検査基準値設定部30が、動物の種類に対応した基準値を読み出す。
【0052】
ステップ112では、CPU12Aが、動物の種類に応じた基準値と、抽出した検査領域とを比較して各測定項目の良否を判定し、動物の疾患を判定してステップ114へ移行する。すなわち、検査結果判定部32が、検査領域としての反応領域42の時間経過に対する画素値の変化と、尿検査基準値設定部30によって読み出された動物の種類に対応した基準値(判定時間や判定閾値など)と、に基づいて、尿検査の各測定項目に対する良否を判定し、動物の疾患を判定する。
【0053】
ステップ114では、CPU12Aが、検査結果を表示部22に表示して一連の処理を終了する。
【0054】
このように、本実施形態に係る携帯端末10を用いた動物の尿検査では、検査の基準値を動物の種類に応じた基準値を用いて検査を行うので、動物の種類毎に検査紙を作成することなく、動物の尿検査を行うことが可能となる。
【0055】
なお、上記の実施形態では、動物用尿検査装置として携帯端末10を一例として説明したが、パーソナルコンピュータ等のコンピュータを適用してもよい。この場合には、デジタルカメラ等の撮影装置によって尿検査紙40を撮影した撮影画像をコンピュータに取り込んで上記の処理を行えばよい。
【0056】
(第2実施形態)
上記の実施形態では、携帯端末10だけで、動物の尿検査を行う例を説明したが、第2実施形態では、携帯端末10を含むサーバネットワークシステムを用いて、動物の尿検査を行う例を説明する。
図5は、本実施形態に係る動物用尿検査システムの概略構成を示すブロック図である。
【0057】
本実施形態に係る動物用尿検査システム50は、
図5に示すように、携帯端末10、無線基地局52、コンピュータ56、及びサーバ54がネットワーク等の通信回線58に接続されている。そして、無線基地局に無線接続された携帯端末10、コンピュータ56、及びサーバ54の各々は、通信回線58を介して各種データの送受信を相互に行うことが可能とされている。
【0058】
本実施形態に係る動物用尿検査システム50では、上記の実施形態と同様に、携帯端末10を用いて、動物の種類情報を入力し、かつ動物の尿に浸された尿検査紙40の撮影を行って、動物の種類情報と撮影画像とをサーバ54に送信する。そして、サーバ54側で、動物の種類情報と撮影画像とを用いて、尿検査結果の判定を行って、検査結果を携帯端末10に返信する。すなわち、上記の実施形態における制御部12の機能をサーバ54側で行って、携帯端末10の処理負荷を低減したものである。なお、以下では、携帯端末10から動物の種類情報と尿検査紙40の撮影画像をサーバ54に送信する例を説明するが。これに限るものではない。例えば、デジタルカメラなどの撮影装置によって尿検査紙40を撮影し、撮影した撮影画像と動物の種類情報とをコンピュータ56を用いてサーバ54に送信し、サーバ54から検査結果をコンピュータ56が受信して表示する形態としてもよい。
【0059】
携帯端末10は、上記の実施形態と同一構成であるため説明を省略し、コンピュータ56及びサーバ54の構成について説明する。
図6は、本実施形態に係るサーバ54及びコンピュータ56の電気系の要部構成を示すブロック図である。なお、サーバ54及びコンピュータ56は基本的には一般的なコンピュータの構成とされているので、サーバ54を代表して説明する。
【0060】
本実施の形態に係るサーバ54は、
図6に示すように、CPU54A、ROM54B、RAM54C、HDD54D、キーボード54E、ディスプレイ54F、及び通信回線インタフェース(I/F)部54Gを備えている。CPU54Aは、サーバ54の全体の動作を司る。ROM54Bは、各種制御プログラムや各種パラメータ等が予め記憶される。RAM54Cは、CPU54Aによる各種プログラムの実行時のワークエリア等として用いられる。HDD54Dは、各種のデータやアプリケーション・プログラム等が記憶される。キーボード54Eは各種の情報を入力するために用いられる。ディスプレイ54Fは、各種の情報を表示するために用いられる。通信回線インタフェース部54Gは、通信回線58に接続され、当該通信回線58に接続された他の装置と各種データの送受信を行う。以上のサーバ54の各部はシステムバス54Hにより電気的に相互に接続されている。なお、本実施形態に係るサーバ54では、HDD54Dを備える例を説明するが、これに限らず、フラッシュメモリ等の他の不揮発性の記憶部を備えてもよい。
【0061】
以上の構成により、本実施形態に係るサーバ54は、CPU54Aにより、ROM54B、RAM54C、及びHDD54Dに対するアクセス、キーボード54Eを介した各種データの取得、ディスプレイ54Fに対する各種情報の表示を各々実行する。また、サーバ54は、CPU54Aにより、通信回線インタフェース部54Gを介した通信データの送受信の制御を実行する。
【0062】
続いて、上述のように構成された本実施形態に係る動物用尿検査システム50の携帯端末10及びサーバ54で行われる具体的な処理について説明する。
【0063】
まず、携帯端末10で行われる処理の一例について説明する。
図7は、本実施形態に係る動物用尿検査システム50の携帯端末10で行われる処理の流れの一例を示すフローチャートである。なお、
図7の処理は、例えば、操作部20を操作して、尿検査アプリの立ち上げた指示された場合に開始する。また、上記の実施形態と同一処理について同一符号を付して説明する。
【0064】
まず、ステップ100では、CPU12Aが、予め定めたペット情報入力画面を表示部22に表示してステップ102へ移行する。ペット情報入力画面は、例えば、検査対象の動物の種類を入力、或いは選択する画面を表示する。
【0065】
ステップ102では、CPU12Aが、ペット情報の入力が完了したか否かを判定する。該判定は、例えば、ペット情報の入力が完了して、操作部20を利用者が操作して撮影開始が指示されたか否かを判定する。該判定が肯定されるまで待機してステップ104へ移行する。
【0066】
ステップ104では、CPU12Aが、撮影部16による撮影を開始してステップ106へ移行する。
【0067】
ステップ106では、CPU12Aが、撮影完了か否かを判定する。該判定は、操作部20を操作して撮影完了を指示したか否かを判定してもよいし、撮影時間を予め定めておき、予め定めた時間経過したか否かを判定してもよい。該判定が肯定されるまで待機してステップ107へ移行する。
【0068】
ステップ107では、CPU12Aが、撮影画像及びペット情報をサーバ54へ送信してステップ109へ移行する。なお、ステップ107の処理は、送信部に対応する。
【0069】
ステップ109では、CPU12Aが、検査結果をサーバ54から受信したか否かを判定する。該判定が肯定されるまで待機してステップ114へ移行する。
【0070】
ステップ114では、CPU12Aが、検査結果を表示部22に表示して一連の処理を終了する。
【0071】
続いて、本実施形態に係る動物用尿検査システム50のサーバ54で行われる処理の一例について説明する。
図8は、本実施形態に係る動物用尿検査システム50のサーバ54で行われる処理の流れの一例を示すフローチャートである。なお、
図8の処理は、携帯端末10からの尿検査要求を受信した場合に開始する。
【0072】
ステップ200では、CPU54Aが、尿検査紙40が撮影された撮影画像、及びペット情報を携帯端末10から受信してステップ202へ移行する。
【0073】
ステップ202では、CPU54Aが、撮影画像から検査領域を抽出してステップ204へ移行する。すなわち、上述の画像情報定量化部24及び情報処理部26の機能と同様に、CPU54Aが、撮影部16の撮影によって得られる動画の撮影画像を定量化することによってRGB各色の撮影情報を生成する。そして、定量化された撮影情報から反応領域42の画像を抽出する処理を行う。
【0074】
ステップ204では、CPU54Aが、尿検査の基準値を動物の種類に応じた値に設定してステップ206へ移行する。すなわち、上述の動物種情報判定部28及び尿検査基準値設定部30の機能と同様に、CPU54Aが、携帯端末10から受信したペット情報に基づいて、尿検査を行う対象の動物の種類を判定し、動物の種類に対応した基準値を読み出す。
【0075】
ステップ206では、CPU54Aが、動物の種類に応じた基準値と、抽出した検査領域とを比較して検査結果を判定してステップ208へ移行する。すなわち、上述の検査結果判定部32の機能と同様に、CPU54Aが、検査領域としての反応領域42の時間経過に対する画素値の変化と、動物の種類に対応した基準値(判定時間や判定閾値など)と、に基づいて、尿検査の各測定項目に対する良否を判定し、動物の疾患を判定する。
【0076】
ステップ208では、CPU54Aが、検査結果を携帯端末10に返信して一連の処理を終了する。これにより、上述のステップ109の判定が肯定される。なお、ステップ208の処理は、返信部に対応する。
【0077】
このように、動物の種類情報の入力と、尿検査紙40の撮影を携帯端末10を用いて行って、尿検査の処理をサーバ54で行うようにすることで、携帯端末10に記憶するアプリの容量を削減することができる。また、携帯端末10の処理負荷も低減できる。
【0078】
なお、上記の各実施形態では、利用者が携帯端末10を操作することにより、尿検査紙40の撮影を開始する例を説明したが、これに限るものではない。例えば、
図9に示すように、尿受け部としての尿受けシート62に、上述の尿検査紙40の反応領域42と、尿受けシート62に動物が放尿した瞬間に色が変化し、反応領域42よりも速く色が変化する変化領域64とを設ける。また、尿受けシート62の上方に撮影装置60を設けて常時撮影して撮影結果を利用者のコンピュータ56に送信し、コンピュータ56が撮影装置60の撮影画像から変化領域64及び反応領域42の色変化を監視する。そして、コンピュータ56を送信部として機能させて、変化領域64の色が変化した時点を起点として、予め定めた時間経過するまでの撮影装置60の撮影画像を第2実施形態におけるサーバ54に送信して尿検査を行う形態としてもよい。この場合、検査結果は、利用者の携帯端末10に返信する形態としてもよいし、利用者のコンピュータ56に対して電子メール等により返信してもよい。或いは、利用者が変化領域64の色の変化を観察して、利用者の操作により携帯端末10やデジタルカメラ等の撮影装置で撮影する形態としてもよい。
【0079】
ここで、尿検査紙40の他のバリエーションについて説明する。まず、第1変形例の尿検査紙について説明する。
図10は、尿検査紙の第1変形例を示す図である。
【0080】
第1変形例の尿検査紙41は、上記の実施形態に対して、2次元バーコード44が更に設けられている。
【0081】
例えば、動物病院において、受付時などのタイミングで入力した動物の種類情報を表す2次元バーコード44を尿検査紙41に印刷する。これにより、動物病人で利用者が尿検査紙41を購入し、利用者が動物の尿に浸された尿検査紙41を撮影することにより、動物の種類情報も同時に取得することが可能となる。
【0082】
或いは、尿検査を行うサイトのURL(Uniform Resource Locator)を表す2次元バーコード44を尿検査紙41に印刷してもよい。上記の各実施形態では、尿検査アプリを起動して尿検査を行う例を説明したが、尿検査紙41に印刷された2次元バーコード44を携帯端末10の撮影部16で撮影することにより、尿検査を行うインターネット上のサイトへ接続する形態としてもよい。
【0083】
続いて、第2変形例の尿検査紙について説明する。
図11は、尿検査紙の第2変形例を示す図である。
【0084】
第2変形例の尿検査紙43は、上記の各実施形態の尿検査紙40に対して、照明などの環境光の色補正用の補正パッチ46が設けられている。
【0085】
撮影画像から色の変化を検出して尿検査を行うため、環境光によって検査結果が左右される虞があるため、環境光の色補正用の補正パッチ46をさらに設ける。例えば、
図11に示すように、白色の白補正パッチ46W、黒色の黒補正パッチ46K、赤色の赤補正パッチ46R、緑色の緑補正パッチ46G、及び青色の青補正パッチ46Bを更に設け、撮影画像中の各補正パッチ46から色補正を行う形態としてもよい。補正パッチ46は、5色に限るものではなく、何れか1色でもよいし、2色以上でもよいし、上記5色以外の他の色の補正パッチでもよい。また、上述の2次元バーコード44及び補正パッチ46を共に設ける形態としてもよい。
【0086】
なお、上記の実施形態では、動画の撮影画像から尿検査紙40の反応領域42変化を検出する例を説明したが、動画の撮影画像に限るものではなく、予め定めた時間間隔で撮影した静止画の撮影画像を適用してもよい。静止画の撮影画像にすることで、処理負荷が低減可能であると共に、データ容量の削減が可能となる。
【0087】
また、上記の各実施形態において、検査結果を表示する際には、尿検査紙40の測定項目毎に予め定めた判定時間における各反応領域42の画像を撮影画像からそれぞれ抽出して1つに合成した検査結果画像を更に表示してもよい。例えば、検査結果の表示例としては、
図12に示すように、尿検査結果判定と共に、判定時間における各反応領域42の画像を合成した検査結果画像を表示してもよい。なお、
図12中の各測定項目毎の判定時間(判定したタイミング)は省略してもよい。
【0088】
また、上記の実施形態で説明したフローチャートで示す各処理はあくまでも一例である。従って、主旨を逸脱しない範囲内において不要なステップを削除したり、新たなステップを追加したり、処理順序を入れ替えたりしてもよいことは言うまでもない。
【0089】
また、上記各実施形態では、CPU12A、54Aが実行する各種プログラムは、予め記憶(インストール)されている態様を説明したが、これに限定されない。プログラムは、CD−ROM(Compact Disk Read Only Memory)、DVD−ROM(Digital Versatile Disk Read Only Memory)、及びUSB(Universal Serial Bus)メモリ等の記録媒体に記録された形態で提供されてもよい。また、プログラムは、ネットワークを介して外部装置からダウンロードされる形態としてもよい。
【0090】
その他、上記の実施形態で説明した携帯端末10やサーバ54等の構成、動作等は一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において状況に応じて変更可能であることは言うまでもない。