特許第6950139号(P6950139)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6950139
(24)【登録日】2021年9月28日
(45)【発行日】2021年10月13日
(54)【発明の名称】光学デバイス
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/1333 20060101AFI20210930BHJP
   G02F 1/13 20060101ALI20210930BHJP
【FI】
   G02F1/1333
   G02F1/13 505
【請求項の数】14
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2019-543959(P2019-543959)
(86)(22)【出願日】2018年4月25日
(65)【公表番号】特表2020-510860(P2020-510860A)
(43)【公表日】2020年4月9日
(86)【国際出願番号】KR2018004783
(87)【国際公開番号】WO2018199616
(87)【国際公開日】20181101
【審査請求日】2019年8月20日
(31)【優先権主張番号】10-2017-0053016
(32)【優先日】2017年4月25日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ジョン、ビョン クン
(72)【発明者】
【氏名】パク、ムン スー
(72)【発明者】
【氏名】リー、セオン ミン
(72)【発明者】
【氏名】パク、ジ フーン
【審査官】 横井 亜矢子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−009017(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/125976(WO,A1)
【文献】 特開平01−276120(JP,A)
【文献】 特表2014−529769(JP,A)
【文献】 特開2007−004085(JP,A)
【文献】 特開2017−042914(JP,A)
【文献】 特表2013−531276(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0141656(US,A1)
【文献】 中国特許出願公開第103069333(CN,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0291030(US,A1)
【文献】 特開2007−078870(JP,A)
【文献】 特表2019−534475(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2018/0063980(US,A1)
【文献】 中国特許出願公開第107121854(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/13,1/137−1/141
G02F 1/1335,1/13363
G02F 1/133,1/1333,1/1334
G02F 1/1339−1/1341,1/1347
Japio−GPG/FX
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向配置されている2枚の外郭基板;
液晶化合物を含み、第1配向状態と第2配向状態の間をスイッチングできる能動液晶層を有する能動液晶素子フィルム;
偏光子;および
前記外郭基板と前記能動液晶素子フィルムの間、前記能動液晶素子フィルムと前記偏光子の間、前記偏光子と前記外郭基板の間および前記能動液晶素子フィルムの側面に存在する接着フィルムを含み、
前記能動液晶素子フィルムと接着フィルムとの間の摩擦係数は、0.5以上、5以下であり、
前記能動液晶素子フィルムおよび前記偏光子は前記2枚の外郭基板の間で前記接着フィルムによってカプセル化されている、光学デバイス。
【請求項2】
前記接着フィルムは、熱可塑性ポリウレタンフィルムである、請求項1に記載の光学デバイス。
【請求項3】
能動液晶層の第1配向状態の平均光軸と前記偏光子の光吸収軸がなす角度が80度〜100度または35度〜55度の範囲内となるように前記能動液晶素子フィルムと前記偏光子が配置されている、請求項1または2に記載の光学デバイス。
【請求項4】
前記能動液晶素子フィルムは、対向配置されている2枚の基材フィルムと前記2枚の基材フィルムの間に存在する能動液晶層を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項5】
前記能動液晶素子フィルムは、前記2枚の基材フィルムの間で前記2枚の基材フィルムの間隔を維持するスペーサーをさらに含む、請求項4に記載の光学デバイス。
【請求項6】
前記基材フィルムは、熱膨張係数が100ppm/K以下である、請求項4または5に記載の光学デバイス。
【請求項7】
前記基材フィルムの前記能動液晶層に向かう面上に存在する配向膜をさらに含む、請求項4から6のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項8】
前記2枚の基材フィルムの配向膜の配向方向がなす角度は−10度〜10度の範囲内、80度〜90度の範囲内または160度〜200度の範囲内である、請求項7に記載の光学デバイス。
【請求項9】
前記2枚の基材フィルムのうち前記偏光子に近い基材フィルム上に形成された前記配向膜の配向方向と前記偏光子の光吸収軸がなす角度が80度〜100度の範囲内である、請求項7または8に記載の光学デバイス。
【請求項10】
前記能動液晶素子フィルムは折り畳まれたフィルム形態である、請求項1から9のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項11】
前記接着フィルムは正面位相差が100nm以下である、請求項1から10のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項12】
前記接着フィルムは厚さ方向位相差の絶対値が200nm以下である、請求項1から11のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項13】
前記接着フィルムはヤング率が0.1〜100MPaの範囲内にある、請求項1から12のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項14】
一つ以上の開口部が形成されている車体;および前記開口部に装着された請求項1から13のいずれか一項に記載された光学デバイスを含む、自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は2017年4月25日に出願された大韓民国特許出願第10−2017−0053016号に基づいた優先権の利益を主張し、該当大韓民国特許出願の文献に開示されたすべての内容は本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本出願は、光学デバイスに関するものである。
【背景技術】
【0003】
液晶化合物を利用して透過率を可変できるように設計された光学デバイスは多様に知られている。
【0004】
例えば、ホスト物質(host material)と二色性染料ゲスト(dichroic dye guest)の混合物を適用した、いわゆるGHセル(Guest host cell)を用いた透過率可変装置が知られている。
【0005】
このような透過率可変装置はサングラスやメガネなどのアイウェア(eyewear)、建物の外壁または車両のサンルーフなどを含む多様な用途に適用されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本出願は、光学デバイスを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本出願は、透過率の調節が可能な光学デバイスであって、例えば、少なくとも透過モードと遮断モードの間をスイッチングできる光学デバイスに関するものである。
【0008】
前記透過モードは、光学デバイスが相対的に高い透過率を示す状態であり、遮断モードは、光学デバイスが相対的に低い透過率を示す状態である。
【0009】
一例示において、前記光学デバイスは、前記透過モードでの透過率が約15%以上、約20%以上、約25%以上、約30%以上、約35%以上、約40%以上、約45%以上または約50%以上であり得る。また、前記光学デバイスは、前記遮断モードでの透過率が約20%以下、約15%以下、約10%以下、約5%以下、約3%以下、約1%以下または約0.8%以下の程度であり得る。
【0010】
前記透過モードでの透過率は数値が高いほど有利であり、遮断モードでの透過率は低いほど有利であるため、それぞれの上限と下限は特に制限されない。一例示において、前記透過モードでの透過率の上限は、約100、約95%、約90%、約85%、約80%、約75%、約70%、約65%、約60%、約55%程度、約50%程度、約45%程度、約40%程度、約35%程度、約30%程度または約25%程度であり得る。前記遮断モードでの透過率の下限は、約0%、約0.5%、約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%または約10%程度であり得る。
【0011】
前記透過率は直進光の透過率であり得る。用語直進光の透過率は、所定方向に光学デバイスに入射した光対比前記入射方向と同じ方向に前記光学デバイスを透過した光(直進光)の比率であり得る。一例示において、前記透過率は、前記光学デバイスの表面法線と平行な方向に入射した光に対して測定した結果(法線光透過率)であり得る。
【0012】
本出願の光学デバイスで透過率が調節される光は、UV−A領域の紫外線、可視光または近赤外線であり得る。一般的に使われる定義によると、UV−A領域の紫外線は320nm〜380nmの範囲内の波長を有する放射線を意味するもので使用され、可視光は380nm〜780nmの範囲内の波長を有する放射線を意味するもので使用され、近赤外線は780nm〜2000nmの範囲内の波長を有する放射線を意味するもので使用される。
【0013】
本出願の光学デバイスは、少なくとも前記透過モードと遮断モードの間をスイッチングできるように設計される。必要な場合に光学デバイスは、前記透過および遮断モードの他に別のモード、例えば、前記透過および遮断モードの透過率の間の任意の透過率を示すことができる第3のモードも具現できるように設計され得る。
【0014】
このようなモード間のスイッチングは光学デバイスが能動液晶素子フィルムを含むことによって達成され得る。前記において能動液晶素子フィルムは、少なくとも2個以上の光軸の配向状態、例えば、第1および第2配向状態の間をスイッチングできる液晶素子である。前記において、光軸は液晶素子に含まれている液晶化合物が棒(rod)状の場合にはその長軸方向を意味し得、円盤(discotic)状の場合には、前記円盤の平面の法線方向を意味し得る。例えば、液晶素子がある配向状態で互いに光軸の方向が異なる複数の液晶化合物を含む場合、液晶素子の光軸は平均光軸と定義され得、この場合平均光軸は前記液晶化合物の光軸のベクトルの和を意味し得る。
【0015】
前記のような液晶素子において、配向状態はエネルギーの印加、例えば、電圧の印加によって変更することができる。例えば、前記液晶素子は電圧の印加がない状態で前記第1および第2配向状態のうちいずれか一配向状態を有し、電圧が印加されると別の配向状態にスイッチングされ得る。
【0016】
前記第1および第2配向状態のうちいずれか一配向状態で前記遮断モードが具現され、他の配向状態で前記透過モードが具現され得る。便宜上本明細書では前記第1状態で遮断モードが具現されると記述する。
【0017】
前記液晶素子フィルムは、少なくとも液晶化合物を含む液晶層を含むことができる。一例示において、前記液晶層は、いわゆるゲストホスト液晶層であって、液晶化合物と異方性染料を含む液晶層であり得る。
【0018】
前記液晶層は、いわゆるゲストホスト効果を利用した液晶層であって、前記液晶化合物(以下、液晶ホストと称し得る)の配向方向に沿って前記異方性染料が整列する液晶層であり得る。前記液晶ホストの配向方向は前述した外部エネルギーの印加の有無により調節することができる。
【0019】
液晶層に使われる液晶ホストの種類は特に制限されず、ゲストホスト効果の具現のために適用される一般的な種類の液晶化合物が用いられ得る。
【0020】
例えば、前記液晶ホストとしては、スメクチック液晶化合物、ネマチック液晶化合物またはコレステリック液晶化合物が用いられ得る。一般的にはネマチック液晶化合物が用いられ得る。前記ネマチック液晶化合物は、棒(rod)状であるか円盤(discotic)状であり得る。
【0021】
このようなネマチック液晶化合物は例えば、約40℃以上、約50℃以上、約60℃以上、約70℃以上、約80℃以上、約90℃以上、約100℃以上または約110℃以上の透明点(clearing point)を有するか、前記範囲の相転移点、すなわちネマチック相から等方相への相転移点を有するものが選択され得る。一例示において、前記透明点または相転移点は約160℃以下、約150℃以下または約140℃以下であり得る。
【0022】
前記液晶化合物は、誘電率異方性が負数または正数であり得る。前記誘電率異方性の絶対値は目的を考慮して適切に選択され得る。例えば、前記誘電率異方性は3超過または7超過であるか、−2未満または−3未満であり得る。
【0023】
液晶化合物はまた約0.01以上または約0.04以上の光学異方性(△n)を有することができる。液晶化合物の光学異方性は他の例示において、約0.3以下または約0.27以下であり得る。
【0024】
ゲストホスト液晶層の液晶ホストとして用いられ得る液晶化合物は、本技術分野の専門家等に公知とされており、それらから自由に選択され得る。
【0025】
液晶層は前記液晶ホストと共に異方性染料を含む。用語「染料」とは、可視光領域、例えば、380nm〜780nmの波長範囲内で少なくとも一部または全範囲内の光を集中的に吸収および/または変形させることができる物質を意味し得、用語「異方性染料」は前記可視光領域の少なくとも一部または全範囲において光の異方性吸収が可能な物質を意味し得る。
【0026】
異方性染料としては、例えば、液晶ホストの整列状態に沿って整列され得る特性を有するものとして知られている公知の染料を選択して使用することができる。例えば、異方性染料としては、アゾ染料またはアントラキノン染料などを使用することができ、広い波長範囲での光吸収を達成するために、液晶層は1種または2種以上の染料を含むこともできる。
【0027】
異方性染料の二色比(dichroic ratio)は目的を考慮して適切に選択され得る。例えば、前記異方性染料は二色比が5以上〜20以下であり得る。用語「二色比」とは、例えば、p型染料である場合、染料の長軸方向に平行な偏光の吸収を前記長軸方向に垂直方向に平行な偏光の吸収で割った値を意味し得る。異方性染料は可視光領域の波長範囲内、例えば、約380nm〜780nmまたは約400nm〜700nmの波長範囲内で少なくとも一部の波長またはいずれか一つの波長または全範囲で前記二色比を有することができる。
【0028】
液晶層内での異方性染料の含有量は目的を考慮して適切に選択され得る。例えば、液晶ホストと異方性染料の合計重量を基準として、前記異方性染料の含有量は0.1〜10重量%範囲内で選択され得る。異方性染料の比率は目的とする透過率と液晶ホストに対する異方性染料の溶解度などを考慮して変更することができる。
【0029】
液晶層は前記液晶ホストと異方性染料とを基本として含み、必要な場合に他の任意の添加剤を公知の形態にしたがってさらに含むことができる。添加剤の例としては、キラルドーパントまたは安定化剤などが例示され得るが、これに制限されるものではない。
【0030】
前記液晶層は、約0.5以上の異方性度Rを有することができる。前記異方性度Rは、液晶ホストの配向方向(alignment direction)に平行して偏光された光線の吸光度(E(p))および液晶ホストの配向方向に垂直に偏光された光線の吸光度(E(s))から下記の数学式により測定する。
【0031】
<異方性度数式>
異方性度R=[(E(p))−(E(s))]/[(E(p))+2*(E(s))]
【0032】
前記で使われる基準は、液晶層内に染料を含有しない他の同じ装置である。
【0033】
具体的に異方性度Rは、染料の分子が水平配向された液晶層の吸光度に対する値(E(p))および染料の分子が垂直配向された同じ液晶層の吸光度に対する値(E(s))から測定され得る。前記吸光度を、染料を全く含有しないこと以外は同じ構成を有する液晶層と比較して測定する。このような測定は、振動面が一つの場合には配向方向と平行な方向に振動(E(p))し、後続の測定では配向方向と垂直の方向に振動(E(s))する偏光された光線を利用して遂行され得る。液晶層は、測定の途中でスイッチングされるか回転されず、したがって、前記(E(p))および(E(s))の測定は偏光された入射光の振動面を回転させることによって遂行され得る。
【0034】
詳細な手続きの一例示は下記の通りである。(E(p))および(E(s))の測定のためのスペクトルは、パーキンエルマーLambda 1050 UV分光計(Perkin Elmer Lambda 1050 UV spectrometer)などのような分光計を利用して記録することができる。分光計には、測定用ビームおよび基準ビームのいずれにも250nm〜2500nmの波長範囲用のグラントムソン偏光子(Glan−Thompson polariser)が装着されている。2個の偏光子はステッピングモーター(stepping motor)により制御され、同じ方向に配向される。偏光子の偏光子方向においての変化、例えば0度〜90度の転換は測定用ビームおよび基準ビームに対して常に同期的および同じ方向に遂行される。個別偏光子の配向はヴュルツブルク大学(University of Wurzburg)のT. Karstensの1973年学位論文に記述されている方法を利用して測定することができる。
【0035】
この方法において、偏光子は配向された二色性サンプルに対して5度ずつ段階的に回転され、吸光度は例えば最大吸収領域で固定された波長で記録される。それぞれの偏光子の位置に対して新しい基準線ゼロ点(zero line)が実行される。2個の二色性スペクトル(E(p))および(E(s))の測定のために、JSR社のポリイミドAL−1054でコーティングされた逆平行‐ラビングされたテストセルは、測定用ビームおよび基準ビームのいずれにも位置する。2個のテストセルは同一の層厚に選択され得る。純粋なホスト(液晶化合物)を含有するテストセルは基準ビーム内に位置する。液晶のうち染料の溶液を含有するテストセルは測定用ビーム内に位置する。測定用ビームおよび基準ビームに対する2個のテストセルは、同一の配向方向で音波経路(ray path)内に設置される。分光計の最大に可能な精密度を保証するために、(E(p))は必ずその最大吸収波長範囲、例えば、0.5〜1.5の波長範囲内にあり得る。これは30%〜5%の透過度に相応する。これは層厚および/または染料濃度を相応するように調整することによって設定される。
【0036】
異方性度Rは、文献[参照:「Polarized Light in Optics and Spectroscopy」、D. S. Kliger et al.、Academic Press、1990]に記載されているような前記数学式により(E(p))および(E(s))に対する測定値から計算され得る。
【0037】
前記異方性度Rは、他の例示において、約0.55以上、0.6以上または0.65以上であり得る。前記異方性度Rは例えば、約0.9以下、約0.85以下、約0.8以下、約0.75以下または約0.7以下であり得る。
【0038】
このような異方性度Rは液晶層の種類、例えば、液晶化合物(ホスト)の種類、異方性染料の種類および比率、液晶層の厚さなどを制御して達成することができる。
【0039】
前記範囲内の異方性度Rを通じて、より低エネルギーを使いながらも、透過状態と遮断状態での透過率の差が大きくなってコントラスト比が高くなる光学デバイスの提供が可能となり得る。
【0040】
前記液晶層の厚さは目的、例えば、目的とする異方性度等を考慮して適切に選択され得る。一例示において、前記液晶層の厚さは、約0.01μm以上、0.05μm以上、0.1μm以上、0.5μm以上、1μm以上、1.5μm以上、2μm以上、2.5μm以上、3μm以上、3.5μm以上、4μm以上、4.5μm以上、5μm以上、5.5μm以上、6μm以上、6.5μm以上、7μm以上、7.5μm以上、8μm以上、8.5μm以上、9μm以上または9.5μm以上であり得る。このように厚さを制御することによって、透過状態での透過率と遮断状態での透過率の差が大きい光学デバイス、すなわちコントラスト比が大きいデバイスを具現することができる。前記厚さは厚いほど高いコントラスト比の具現が可能であるため特に制限されるものではないが、一般的には約30μm以下、25μm以下、20μm以下または15μm以下であり得る
【0041】
前記のような能動液晶層またはこれを含む液晶素子フィルムは、第1配向状態と前記第1配向状態とは異なる第2配向状態の間をスイッチングすることができる。前記スイッチングは、例えば、電圧のような外部エネルギーの印加を通じて調節することができる。例えば、電圧無印加状態で前記第1および第2配向状態のうちいずれか一つの状態が維持され、電圧印加によって別の配向状態にスイッチングされ得る。
【0042】
前記第1および第2配向状態は、一例示において、それぞれ水平配向、垂直配向、ツイストネマチック配向またはコレステリック配向状態の中から選択され得る。例えば、遮断モードで液晶素子または液晶層は、少なくとも水平配向、ツイストネマチック配向またはコレステリック配向であり、透過モードで液晶素子または液晶層は、垂直配向または前記遮断モードの水平配向とは異なる方向の光軸を有する水平配向状態であり得る。液晶素子は、電圧無印加状態で前記遮断モードが具現される通常遮断モード(Normally Black Mode)の素子であるか、電圧無印加状態で前記透過モードが具現される通常透過モード(Normally Transparent Mode)を具現することができる。
【0043】
液晶層の配向状態で該当液晶層の光軸がどのような方向に形成されているかを確認する方式は公知である。例えば、液晶層の光軸の方向は、光軸方向を知っている他の偏光板を利用して測定することができ、これは公知の測定機器、例えば、Jascp社のP−2000等のpolarimeterを使って測定することができる。
【0044】
液晶ホストの誘電率異方性、液晶ホストを配向させる配向膜の配向方向などを調節して前記のような通常透過または遮断モードの液晶素子を具現する方式は公知である。
【0045】
前記液晶素子フィルムは、対向配置されている2枚の基材フィルムと前記2枚の基材フィルムの間に存在する前記能動液晶層を含むことができる。
【0046】
前記液晶素子フィルムは、前記2枚の基材フィルムの間で前記2枚の基材フィルムの間隔を維持するスペーサーおよび/または対向配置された2枚の基材フィルムの間隔が維持された状態で前記基材フィルムを付着させているシーラントをさらに含むことができる。前記スペーサーおよび/またはシーラントとしては、特に制限なく公知の素材を用いることができる。
【0047】
基材フィルムとしては、例えば、ガラスなどからなる無機フィルムまたはプラスチックフィルムが用いられ得る。プラスチックフィルムとしては、TAC(triacetyl cellulose)フィルム;ノルボルネン誘導体などのCOP(cyclo olefin copolymer)フィルム;PMMA(poly(methyl methacrylate)等のアクリルフィルム;PC(polycarbonate)フィルム;PE(polyethylene)フィルム;PP(polypropylene)フィルム;PVA(polyvinyl alcohol)フィルム;DAC(diacetyl cellulose)フィルム;Pac(Polyacrylate)フィルム;PES(poly ether sulfone)フィルム;PEEK(polyetheretherketon)フィルム;PPS(polyphenylsulfone)フィルム、PEI(polyetherimide)フィルム;PEN(polyethylenemaphthatlate)フィルム;PET(polyethyleneterephtalate)フィルム;PI(polyimide)フィルム;PSF(polysulfone)フィルム;PAR(polyarylate)フィルムまたはフッ素樹脂フィルムなどが用いられ得るが、これに制限されるものではない。基材フィルムには、必要に応じて金、銀、二酸化ケイ素または一酸化ケイ素などのケイ素化合物のコーティング層や、反射防止層などのコーティング層が存在してもよい。
【0048】
基材フィルムとしては、所定の範囲の位相差を有するフィルムが用いられるか、あるいは等方性フィルムが用いられ得る。一例示において、前記基材フィルムは正面位相差が100nm以下であり得る。前記正面位相差は他の例示において、約95nm以下、約90nm以下、約85nm以下、約80nm以下、約75nm以下、約70nm以下、約65nm以下、約60nm以下、約55nm以下、約50nm以下、約45nm以下、約40nm以下、約35nm以下、約30nm以下、約25nm以下、約20nm以下、約15nm以下、約10nm以下、約5nm以下、約4nm以下、約3nm以下、約2nm以下、約1nm以下または約0.5nm以下であり得る。前記正面位相差は他の例示において、約0nm以上、約1nm以上、約2nm以上、約3nm以上、約4nm以上、約5nm以上、約6nm以上、約7nm以上、約8nm以上、約9nm以上、または約9.5nm以上であり得る。
【0049】
基材フィルムの厚さ方向位相差の絶対値は、例えば,200nm以下であり得る。前記厚さ方向位相差の絶対値は他の例示において、190nm以下、180nm以下、170nm以下、160nm以下、150nm以下、140nm以下、130nm以下、120nm以下、110nm以下,100nm以下、90nm以下、85nm以下、80nm以下、70nm以下、60nm以下、50nm以下、40nm以下、30nm以下、20nm以下、10nm以下、5nm以下、4nm以下、3nm以下、2nm以下、1nm以下または0.5nm以下であり得、0nm以上、10nm以上、20nm以上、30nm以上、40nm以上、50nm以上、60nm以上、70nm以上または75nm以上であり得る。前記厚さ方向位相差は、絶対値が前記範囲内であれば負数または正数であり得、例えば、負数であり得る。
【0050】
ただし、基材フィルムとしては、前記正面位相差が約2,000nm以上、3,000nm以上、4,000nm以上、5,000nm以上、6,000nm以上、7,000nm以上または7,500nm以上および/または厚さ方向位相差が約2,000nm以上、3,000nm以上、4,000nm以上、5,000nm以上、6,000nm以上、7,000nm以上、約8,000nm以上、約9,000nm以上または約10,000nm以上である高位相差の基材フィルムも用いられ得る。前記高位相差の基材フィルムの正面位相差または厚さ方向位相差の上限は特に制限されず、例えば、約10,000nm以下の正面位相差および/または約15,000nm以下の厚さ方向位相差を有する基材フィルムも適用され得る。
【0051】
本明細書で正面位相差Rinは下記の数式1で計算される数値であり、厚さ方向位相差Rthは下記の数式2で計算される数値であり、特に規定しない限り、前記正面および厚さ方向位相差の基準波長は約550nmである。
【0052】
[数式1]
正面位相差Rin=d×(nx−ny)
【0053】
[数式2]
厚さ方向位相差Rth=d×(nz−ny)
【0054】
数式1および2において、dは基材フィルムの厚さ、nxは基材フィルムの遅相軸方向の屈折率であり、nyは基材フィルムの進相軸方向の屈折率、nzは基材フィルムの厚さ方向の屈折率である。
【0055】
基材フィルムが光学異方性である場合に対向配置されている基材フィルムの遅相軸がなす角度は、例えば、約−10度〜10度の範囲内、−7度〜7度の範囲内、−5度〜5度の範囲内または−3度〜3度の範囲内であるか略平行であり得る。
【0056】
前記基材フィルムの遅相軸と後述する偏光子の光吸収軸がなす角度は、例えば、約−10度〜10度の範囲内、−7度〜7度の範囲内、−5度〜5度の範囲内または−3度〜3度の範囲内であるか略平行であり得るか、あるいは約80度〜100度の範囲内、約83度〜97度の範囲内、約85度〜95度の範囲内または約87度〜92度の範囲内であるか略垂直であり得る。
【0057】
前記のような位相差調節または遅相軸の配置を通じて光学的に優秀かつ均一な透過および遮断モードの具現が可能となり得る。
【0058】
基材フィルムは、熱膨張係数が100ppm/K以下であり得る。前記熱膨張係数は、他の例示において、95ppm/K以下、90ppm/K以下、85ppm/K以下、80ppm/K以下、75ppm/K以下、70ppm/K以下または65ppm/K以下や、10ppm/K以上、20ppm/K以上、30ppm/K以上、40ppm/K以上、50ppm/K以上または55ppm/K以上であり得る。基材フィルムの熱膨張係数は、例えば、ASTM D696の規定に沿って測定することができ、該当規格で提供する形態にフィルムを裁断し、単位温度当たりの長さの変化を測定して熱膨張係数を計算することができ、TMA(ThermoMechanic Analysis)等の公知の方式で測定することができる。
【0059】
基材フィルムとしては、破断伸び率が約2%以上である基材フィルムを使用することができる。前記破断伸び率は、他の例示において、約4%以上、約8%以上、約10%以上、約12%以上、約14%以上、約16%以上、約20%以上、約30%以上、約40%以上、約50%以上、約60%以上、約70%以上、約80%以上、約90%以上、95%以上,100%以上、105%以上、110%以上、115%以上、120%以上、125%以上、130%以上、135%以上、140%以上、145%以上、150%以上、155%以上、160%以上、165%以上、170%以上または175%以上であり得、1,000%以下,900%以下,800%以下,700%以下,600%以下,500%以下,400%以下,300%以下または200%以下であり得る。基材フィルムの破断伸び率はASTM D882規格に沿って測定することができ、該当規格で提供する形態にフィルムを裁断し、Stress−Strain curveを測定できる装備(力と長さを同時に測定できる)を利用して測定することができる。また、前記破断伸び率は、例えば、基材フィルムのMD(Mechanical Direction)方向またはTD(Transverse Direction)方向のうちいずれか一方向に対する数値であり得る。
【0060】
基材フィルムが前記のような熱膨張係数および/または破断伸び率を有するように選択されることによって、より優秀な耐久性の光学デバイスが提供され得る。
【0061】
前記のような基材フィルムの厚さは特に制限されず、例えば約50μm〜200μm程度の範囲内であり得る。前記基材フィルムの厚さは必要に応じて変更され得る。
【0062】
本明細書で言及する物性のうち測定温度や圧力が結果に影響を及ぼす場合、特に規定しない限り、該当物性は常温と常圧で測定したものである。
【0063】
用語常温は加温するか減温しない自然そのままの温度であって、一般的に約10℃〜30℃の範囲内のいずれか一つの温度、約23℃または約25℃程度の温度であり得る。本明細書で特に言及しない限り、温度は摂氏温度であり、その単位は℃である。
【0064】
用語常圧は特に低くするか、高くしていない自然そのままの圧力であって、一般的に大気圧のような1気圧程度の圧力を意味する。
【0065】
液晶素子フィルムで前記基材フィルムの一面、例えば、前記能動液晶層に向かう面上には導電層および/または配向膜が存在することができる。
【0066】
基材フィルムの面上に存在する導電層は、能動液晶層に電圧を印加するための構成であって、特に制限なく公知の導電層が適用され得る。導電層としては、例えば、伝導性高分子、伝導性金属、伝導性ナノワイヤーまたはITO(Indium Tin Oxide)等の金属酸化物などが適用され得る。本出願で適用され得る導電層の例は前記に制限されず、この分野で液晶素子フィルムに適用され得るものとして知られているすべての種類の導電層が用いられ得る。
【0067】
一例示において、前記基材フィルムの面上には配向膜が存在する。例えば、基材フィルムの一面にまず導電層が形成され、その上部に配向膜が形成され得る。
【0068】
配向膜は能動液晶層に含まれる液晶ホストの配向を制御するための構成であり、特に制限なく公知の配向膜を適用することができる。業界で公知とされた配向膜としては、ラビング配向膜や光配向膜などがあり、本出願で用いられ得る配向膜は前記公知の配向膜であって、これは特に制限されない。
【0069】
前述した光軸の配向を達成するために前記配向膜の配向方向が制御され得る。例えば、対向配置されている2枚の基材フィルムの各面に形成された2個の配向膜の配向方向は、互いに約−10度〜10度の範囲内の角度、−7度〜7度の範囲内の角度、−5度〜5度の範囲内の角度または−3度〜3度の範囲内の角度をなすか互いに略平行であり得る。他の例示において、前記2個の配向膜の配向方向は、約80度〜100度の範囲内の角度、約83度〜97度の範囲内の角度、約85度〜95度の範囲の角度内または約87度〜92度の範囲内の角度をなすか互いに略垂直であり得る。他の例示において、前記2個の配向膜の配向方向は、約160度〜200度の範囲内の角度、約170度〜190度の範囲内の角度、約175度〜185度の範囲内の角度または約180度の角度をなすことができる。
【0070】
このような配向方向によって能動液晶層の光軸の方向が決定されるため、前記配向方向は能動液晶層の光軸の方向を確認して確認することができる。
【0071】
前記のような構成を有する液晶素子フィルムの形態は特に制限されず、光学デバイスの適用の用途により決定され得、一般的にはフィルムまたはシートの形態である。
【0072】
一つの例示において、前記液晶素子フィルムは、折り畳まれたフィルム形態であり得る。前記折り畳まれたフィルム形態の液晶素子フィルムの断面の形状は、前記フィルムの折り畳まれた部分によって区分される第1ラインと第2ラインを含むことができる。一つの例示において、断面の観察時に前記能動液晶素子フィルムの断面の前記第1ラインの曲率(=1/曲率半径)は0〜0.01の範囲内にあり得、前記断面は、前記第1ラインの末端に折り畳み部位があり、前記折り畳み部位に連結されている第2ラインを含むことができる。すなわち、前記能動液晶素子フィルムは、前記折り畳み部位で折り畳まれた形態で光学デバイスに含まれていてもよい。前記第1ラインの曲率は他の例示において、約0.009以下、0.008以下、0.007以下、0.006以下、0.005以下、0.004以下、0.003以下、0.002以下、0.001以下、0.0009以下、0.0008以下、0.0007以下、0.0006以下、0.0005以下、0.0004以下、0.0003以下、0.0002以下、0.0001以下、0.00009以下、0.00008以下、0.00007以下、0.00006以下または0.00005以下であり得る。
【0073】
本明細書で曲率または曲率半径は、業界で公知とされた方式で測定することができ、例えば、2D Profile Laser Sensor (レーザーセンサ)、Chromatic confocal line sensor (共焦点センサ)または3D Measuring Conforcal Microscopyなどの非接触式装備を利用して測定することができる。このような装備を使って曲率または曲率半径を測定する方式は公知である。
【0074】
曲率または曲率半径と関連して例えば、曲率または曲率半径が言及される対象の表面と裏面での曲率または曲率半径が異なる場合(例えば、前記第1ラインに対応する液晶素子フィルムの表面と裏面で曲率または曲率半径が異なる場合)には、前記表面と裏面の曲率または曲率半径のうち大きい数値または小さい数値またはその算術平均数値が前記曲率または曲率半径に指定され得る。また、曲率または曲率半径が一定ではなく異なる部分が存在する場合には、最も大きい曲率または曲率半径または一番小さい曲率または曲率半径または曲率または曲率半径の平均値が基準となり得る。
【0075】
また、本明細書で曲率半径の単位はR、曲率の単位は1/Rである。前記においてRは、半径が1mmである円の曲がった程度を意味する。したがって、前記で例えば,100Rは半径が100mmである円の曲がった程度またはそのような円に対する曲率半径である。扁平な面の場合、曲率は0、曲率半径は無限大である。
【0076】
後述するように本出願の光学デバイスは、2枚の外郭基板の内部に前記能動液晶素子フィルムおよび/または偏光子を位置させた状態で、前記能動液晶素子フィルムおよび/または偏光子をカプセル化することによって光学デバイスを構成することができる。このようなカプセル化構造によって光学デバイスの耐久性や耐候性が大きく向上し、その結果、サンルーフなどの野外で使われる用途にも安定的に適用され得る。ただし、前記のようなカプセル化過程は通常オートクレーブなどの真空圧着工程が要求されるが、その過程で能動液晶素子フィルムにシワなどの欠陥(defect)が発生するなどの問題がある。また、光学デバイスが高温および/または高湿条件などに露出することになる場合、あるいは前記工程過程で液晶素子フィルムの基材フィルムとそれに圧着される接着フィルム(カプセル化剤)の熱膨張係数の差などによって液晶素子フィルムにシワなどの欠陥(defect)が形成されるようになり、このような欠陥が光学デバイスの性能に悪い影響を与える。
【0077】
本出願では前記折り畳み構造で能動液晶素子フィルムを具現する場合に前記問題点の解決が可能であることを確認した。
【0078】
図1は、前記折り畳まれたフィルム形態の能動液晶素子フィルム10の断面を模式的に示した図面である。
【0079】
図1のように前記能動液晶素子フィルム10の断面は、第1ライン101、折り畳み部位Aおよび第2ライン102が連結された形態の断面を有することができる。
【0080】
前記で第1ライン101は、活性領域(active area)、すなわち実質的に光の透過状態を調節するために光を変調する役割をする領域であり得る。このような第1ライン101は、平面の形態であって、曲率が略0である形態であるか、あるいは膨らんだ形態または凹んだ形態で湾曲した形態でもよい。
【0081】
図1のように、折り畳み部位Aを基準として液晶素子フィルム10は折り畳み構造を有し、これによって、第2ライン102が形成される。この時、第2ライン102が折り畳まれる程度は、光学デバイスで液晶素子フィルム10のシワなどの欠陥が発生しない程度に制御されれば特に制限されない。一例示において、前記折り畳まれる程度は、前記第1ライン101または前記第1ライン101の接線Tと前記第2ライン102とがなす角度が時計または反時計回り方向に0度超過、5度以上、10度以上、15度以上、20度以上、25度以上、30度以上、35度以上、40度以上、45度以上、50度以上、55度以上、60度以上、65度以上、70度以上、75度以上、80度以上または85度以上程度となるように設定され得る。前記角度は他の例示において、180度以下、170度以下、160度以下、150度以下、140度以下、130度以下、120度以下、110度以下,100度以下または95度以下の程度であり得る。前記において第2ライン102との角度が測定される接線は、前記第1ライン101を略2等分する地点Dでの接線である。また、前記接線Tに対する角度を測定する第2ラインは、図1のように、折り畳み部位Aと第2ライン102が終了する地点を連結するライン1022であり得る。また、後述するように前記第2ライン102も折り畳まれた形態である場合には、前記接線Tに対する角度を測定する第2ラインは、第1ラインと第2ラインを区分する折り畳まれた部位(図1のA)と前記第2ライン内の折り畳まれた部位を連結するラインであるか、あるいは前記と同様に第2ラインが終了する地点を連結するラインであり得る。
【0082】
また、本明細書で前記第1ラインまたは前記第1ラインの接線と前記第2ラインがなす角度は、単に能動液晶素子フィルムの折り畳まれた角度と呼称され得る。
【0083】
前記のような形態において、第1ライン101の長さL1と第2ライン102の長さL2の比率L1/L2は、約1.5〜20,000の範囲内であり得る。前記比率L1/L2は他の例示において、約2以上、約4以上、約6以上、約8以上、約10以上、約12以上、約14以上、約16以上、約18以上、約20以上、約25以上、約30以上、約35以上、約40以上、約45以上、約50以上、約55以上、約60以上、約65以上、約70以上、約75以上、約80以上、約85以上、約90以上、約95以上、約100以上、約110以上、約120以上、約130以上、約140以上、約150以上、約160以上、約170以上、約180以上、約190以上、約200以上、約250以上、約300以上、約350以上、約400以上、約450以上、約500以上、約550以上、約600以上、約650以上、約700以上、約800以上、約900以上、約1000以上、約1100以上、約1200以上、約1500以上,2000以上、2500以上,3000以上または3500以上であり得、3500以下,3000以下、2900以下、2800以下、2700以下、2600以下、2500以下、2400以下、2300以下、2200以下、2100以下,2000以下、約1,900以下、約1,800以下、約1,700以下、約1,600以下、約1,500以下、約1,400以下、約1,300以下、約1,200以下、約1,100以下、約1,000以下、約900以下、約800以下、約750以下、約700以下、約650以下、約600以下、約550以下、約500以下、約450以下、約400以下、約350以下、約300以下、約250以下、約200以下、約150以下、約100以下、約50以下、約45以下、約40以下、約35以下、約30以下、約25以下、約20以下または約15以下であり得る。
【0084】
前記のような関係において、第1ライン101と第2ライン102の絶対的な長さは特に制限されず、目的とする光学デバイスの用途などによって決定され得る。例えば、前記第1ライン101の長さが約100〜1,000mm程度となるように調節され得る。前記第1ライン101の長さは他の例示において、約150mm以上、約200mm以上または約250mm以上であり得る。前記第1ライン101の長さは他の例示において、約900mm以下、約800mm以下、約700mm以下、約600mm以下、約500mm以下、約400以下、約350以下または約300mm以下であり得る。
【0085】
また、後述するように能動液晶素子フィルムの断面で第2ラインが2個以上複数に形成される場合、前記比率L1/L2の計算で導入される第2ラインの長さは複数の第2ラインのうち任意のいずれか一つのラインの長さであるか、あるいは第2ラインの長さの合計であり得る。
【0086】
前記折り畳み構造は液晶素子フィルムの断面において両末端のすべてに形成されていてもよい。したがって、図1のように、能動液晶素子フィルムの断面で前記第1ライン101の両末端に前記折り畳み部位Aと第2ライン102が形成されていてもよい。
【0087】
前記のような構造において、第2ラインも折り畳まれている場合があるが、例えば、図2のように第2ライン102上には第2折り畳み部位AAが存在し、前記折り畳み部位AAで前記第2ライン102がさらに折り畳まれた形態の断面が具現され得る。
【0088】
この場合、さらに形成される折り畳み部位AAの形成位置などは特に制限されず、例えば、前記第1ライン101と第2ライン102の連結部に形成される折り畳まれた領域Aから前記第2ライン102上に形成される折り畳まれた領域AAまでの距離が、前述した比率L1/L2を満足するL2となり得るように前記位置が調節され得る。
【0089】
前記のような断面が観察される液晶素子フィルムの断面は、前記液晶素子フィルムを任意の側面で観察した時に観察される断面である。すなわち、液晶素子フィルムの側面のうちいずれか一つの側面で前記断面が観察されればよい。
【0090】
一例示において、前記折り畳み構造が観察される断面は、液晶素子フィルムの長軸または短軸を含んで形成される法平面上の断面であり得る。前記において長軸は、例えば、液晶素子フィルム10を上部で観察する場合、図3のように長方形の形態である場合には横および縦のうち長い方LAであり、短軸は短い方SAであり得る。
【0091】
例えば、図3のような構造の液晶素子フィルム10で点線で表示された部分を折り畳んで前記断面構造を具現することができる。
【0092】
前記液晶素子フィルムが正四角形の形態である場合には横軸および縦軸のうち任意にいずれか一つが長軸と見なされ、他の一つは短軸と見なされ得る。
【0093】
また、四角形態ではない他の形態である場合には、例えば、楕円形、円形または無定形などの場合、前記液晶素子フィルムを上部で観察する場合に折り畳まれた部分によって形成されるライン(例えば、図3で点線ライン)に垂直なラインが短軸または長軸のいずれか一つになり、そのラインにさらに垂直なラインが短軸および長軸のうち他の一つとなり得る。
【0094】
一例示において、図3に示されたように、液晶素子フィルムの4面をすべて折り畳んで前記断面を形成することができ、このような場合に前記断面は液晶素子フィルムの長軸を含む法平面と短軸を含む法平面のいずれにおいても観察され得る。
【0095】
前記のように折り畳み構造の液晶素子フィルムで前述したシーラントの位置は特に制限されないが、一般的には前記折り畳み部位(図1および2のA)または前記折り畳み部位(図1および2のA)から第1ライン101に向かう領域で前記2枚の基材フィルムを付着しているシーラントが存在し得る。
【0096】
光学デバイスは、前記能動液晶素子フィルムと共に偏光子をさらに含むことができる。前記偏光子としては、例えば、吸収型または反射型線形偏光子、すなわち一方向に形成された光吸収軸または光反射層とそれとは略垂直に形成された光透過軸を有する偏光子を使用することができる。
【0097】
前記偏光子は、前記能動液晶層の第1配向状態で前記遮断状態が具現されると仮定する場合、前記第1配向状態の平均光軸(光軸のベクトル箱)と前記偏光子の光吸収軸がなす角度が80度〜100度または85度〜95度をなすか、略垂直となるように光学デバイスに配置されているか、あるいは35度〜55度または約40度〜50度となるか略45度となるように光学デバイスに配置されていてもよい。
【0098】
配向膜の配向方向を基準とする時に、前述したように対向配置された液晶素子フィルムの2枚の基材フィルムの各面上に形成された配向膜の配向方向が、互いに約−10度〜10度の範囲内の角度、−7度〜7度の範囲内の角度、−5度〜5度の範囲内の角度または−3度〜3度の範囲内の角度をなすか互いに略平行する場合に前記2個の配向膜のうちいずれか一つの配向膜の配向方向と前記偏光子の光吸収軸がなす角度が80度〜100度または85度〜95度をなすか、略垂直となり得る。
【0099】
他の例示において、前記2個の配向膜の配向方向が約80度〜100度の範囲内の角度、約83度〜97度の範囲内の角度、約85度〜95度の範囲の角度内または約87度〜92度の範囲内の角度をなすか互いに略垂直である場合には、2枚の配向膜のうち前記偏光子により近く配置された配向膜の配向方向と前記偏光子の光吸収軸がなす角度が80度〜100度または85度〜95度をなすか、略垂直となり得る。
【0100】
例えば、図4に示したように、前記液晶素子フィルム10と前記偏光子20は互いに積層された状態で前記液晶素子フィルム10の第1配向方向の光軸(平均光軸)と前記偏光子20の光吸収軸が前記関係となるように配置され得る。
【0101】
一例示において、前記偏光子20が後述する偏光コーティング層である場合には、前記偏光コーティング層が前記液晶素子フィルムの内部に存在する構造が具現され得る。例えば図5に示したように、前記液晶素子フィルムの基材フィルム110のうちいずれか一つの基材フィルム110と能動液晶層120の間に前記偏光コーティング層201が存在する構造が具現され得る。例えば、基材フィルム110上に前述した導電層、前記偏光コーティング層201および前記配向膜が順次形成されていてもよい。
【0102】
本出願の光学デバイスで適用され得る前記偏光子の種類は特に制限されない。例えば、偏光子としては、既存のLCDなどで使われる通常の素材、例えば、PVA(poly(vinyl alcohol))偏光子などや、リオトロピック液晶(LLC:Lyotropic Liquid Cystal)や、反応性液晶(RM:Reactive Mesogen)と二色性色素(dichroic dye)を含む偏光コーティング層のように、コーティング方式で具現した偏光子を使用することができる。本明細書で前記のようにコーティング方式で具現された偏光子は偏光コーティング層と呼称され得る。前記リオトロピック液晶は特に制限なく公知の液晶を使用することができ、例えば、二色比(dichroic ratio)が30〜40程度であるリオトロピック液晶層を形成できるリオトロピック液晶を使用することができる。一方、偏光コーティング層が反応性液晶(RM:Reactive Mesogen)と二色性色素(dichroic dye)を含む場合、前記二色性色素としては線形の色素を用いるか、あるいは円盤状の色素(discotic dye)が用いられてもよい。
【0103】
業界には吸収型または反射型線形偏光子として作用できるリオトロピック液晶または反応性液晶と二色性色素の混合物が多様に知られており、本出願ではこのような種類を制限なく適用することができる。
【0104】
本出願の光学デバイスは前記のような能動液晶素子フィルムと偏光子をそれぞれ一つずつだけを含むことができる。したがって、前記光学デバイスはただ一つの前記能動液晶素子フィルムだけを含み、ただ一つの偏光子だけを含むことができる。
【0105】
光学デバイスは、対向配置されている2枚の外郭基板をさらに含むことができる。例えば、図6に示したように、前記対向配置された2枚の外郭基板30の間に前記能動液晶素子フィルム10と偏光子20が存在することができる。図6は外郭基板30の間に能動液晶素子フィルム10と偏光子20が同時に存在する場合を例示したが、前記構造は例示的であり、前記フィルム10または偏光子20のうちいずれか一つのみが存在してもよい。また、図6での偏光子20は存在せず、図5に示したような偏光コーティング層201を含む能動液晶素子フィルムのみが前記外郭基板30の間に存在してもよい。
【0106】
前記外郭基板としては、例えば、ガラスなどからなる無機フィルムまたはプラスチックフィルムが用いられ得る。プラスチックフィルムとしては、TAC(triacetyl cellulose)フィルム;ノルボルネン誘導体などのCOP(cyclo olefin copolymer)フィルム;PMMA(poly(methyl methacrylate)等のアクリルフィルム;PC(polycarbonate)フィルム;PE(polyethylene)フィルム;PP(polypropylene)フィルム;PVA(polyvinyl alcohol)フィルム;DAC(diacetyl cellulose)フィルム;Pac(Polyacrylate)フィルム;PES(poly ether sulfone)フィルム;PEEK(polyetheretherketon)フィルム;PPS(polyphenylsulfone)フィルム、PEI(polyetherimide)フィルム;PEN(polyethylenemaphthatlate)フィルム;PET(polyethyleneterephtalate)フィルム;PI(polyimide)フィルム;PSF(polysulfone)フィルム;PAR(polyarylate)フィルムまたはフッ素樹脂フィルムなどが用いられ得るが、これに制限されるものではない。外郭基板には、必要に応じて金、銀、二酸化ケイ素または一酸化ケイ素などのケイ素化合物のコーティング層や、反射防止層などのコーティング層が存在してもよい。
【0107】
外郭基板としては、所定の範囲の位相差を有するフィルムが用いられ得る。一例示において、前記外郭基板は正面位相差が100nm以下であり得る。前記正面位相差は他の例示において、約95nm以下、約90nm以下、約85nm以下、約80nm以下、約75nm以下、約70nm以下、約65nm以下、約60nm以下、約55nm以下、約50nm以下、約45nm以下、約40nm以下、約35nm以下、約30nm以下、約25nm以下、約20nm以下、約15nm以下、約10nm以下、約9nm以下、約8nm以下、約7nm以下、約6nm以下、約5nm以下、約4nm以下、約3nm以下、約2nm以下または約1nm以下であり得る。前記正面位相差は他の例示において、約0nm以上、約1nm以上、約2nm以上、約3nm以上、約4nm以上、約5nm以上、約6nm以上、約7nm以上、約8nm以上、約9nm以上、または約9.5nm以上であり得る。
外郭基板の厚さ方向位相差の絶対値は、例えば,200nm以下であり得る。前記厚さ方向位相差の絶対値は他の例示において、190nm以下、180nm以下、170nm以下、160nm以下、150nm以下、140nm以下、130nm以下、120nm以下、110nm以下,100nm以下、90nm以下、85nm以下、80nm以下、70nm以下、60nm以下、50nm以下、40nm以下、30nm以下、20nm以下、約15nm以下、約10nm以下、約9nm以下、約8nm以下、約7nm以下、約6nm以下、約5nm以下、約4nm以下、約3nm以下、約2nm以下または約1nm以下であり得、0nm以上、5nm以上、10nm以上、20nm以上、30nm以上、40nm以上、50nm以上、60nm以上、70nm以上または75nm以上であり得る。前記厚さ方向位相差は、絶対値が前記範囲内であれば負数または正数であり得、例えば、負数であり得る。
【0108】
前記外郭基板の正面位相差Rinおよび厚さ方向位相差Rthは、それぞれ前記数式1および2で厚さd、遅相軸方向屈折率nx、進相軸方向屈折率nyおよび厚さ方向の屈折率nzを外郭基板の厚さd、遅相軸方向屈折率nx、進相軸方向屈折率nyおよび厚さ方向の屈折率nzで代替して計算すること以外には同様に計算され得る。
【0109】
外郭基板が光学異方性である場合に対向配置されている外郭基板の遅相軸がなす角度は、例えば、約−10度〜10度の範囲内、−7度〜7度の範囲内、−5度〜5度の範囲内または−3度〜3度の範囲内であるか略平行であり得る。
【0110】
また、前記外郭基板の遅相軸と前述した基材フィルムが光学異方性である場合にその基材フィルムの遅相軸がなす角度は、例えば、約−10度〜10度の範囲内、−7度〜7度の範囲内、−5度〜5度の範囲内または−3度〜3度の範囲内であるか略平行であり得るか、あるいは約80度〜100度の範囲内、約83度〜97度の範囲内、約85度〜95度の範囲内または約87度〜92度の範囲内であるか略垂直であり得る。
【0111】
前記のような位相差調節または遅相軸の配置を通じて光学的に優秀かつ均一な透過および遮断モードの具現が可能となり得る。
【0112】
外郭基板としては、熱膨張係数が100ppm/K以下のものを使用することができる。前記熱膨張係数は、他の例示において、95ppm/K以下、90ppm/K以下、85ppm/K以下、80ppm/K以下、75ppm/K以下、70ppm/K以下、65ppm/K以下、60ppm/K以下、50ppm/K以下、40ppm/K以下、30ppm/K以下、20ppm/K以下または15ppm/K以下や、1ppm/K以上、2ppm/K以上、3ppm/K以上、4ppm/K以上、5ppm/K以上、6ppm/K以上、7ppm/K以上、8ppm/K以上、9ppm/K以上または10ppm/K以上であり得る。
【0113】
前記外郭基板の熱膨張係数および破断伸び率の測定方式はそれぞれ前述した基材フィルムの熱膨張係数および破断伸び率の測定方式と同じである。
【0114】
外郭基板が前記のような熱膨張係数および/または破断伸び率を有するように選択されることによって、より優秀な耐久性の光学デバイスが提供され得る。
【0115】
前記のような外郭基板の厚さは特に制限されず、例えば約0.3mm以上であり得る。前記厚さは他の例示において、約0.5mm以上、約1mm以上、約1.5mm以上または約2mm以上程度であり得、10mm以下、9mm以下、8mm以下、7mm以下、6mm以下、5mm以下、4mm以下または3mm以下の程度であってもよい。
【0116】
前記外郭基板は、扁平(flat)な基板であるか、あるいは曲面状を有する基板であり得る。例えば、前記2枚の外郭基板は同時に扁平な基板であるか、同時に曲面状を有するか、あるいはいずれか一つは扁平な基板であり、他の一つは曲面状の基板であり得る。
【0117】
また、前記で同時に曲面状を有する場合にはそれぞれの曲率または曲率半径は同じであるか異なり得る。
【0118】
前記外郭基板の曲率または曲率半径は、前述した方式で測定することができる。
【0119】
また、外郭基板と関連しては例えば、表面と裏面での曲率または曲率半径が異なる場合、それぞれ向かい合う面の曲率または曲率半径、すなわち第1外郭基板の場合、第2外郭基板と対向する面の曲率または曲率半径と第2外郭基板の場合、第1外郭基板と対向する面の曲率または曲率半径が基準となり得る。また、該当面での曲率または曲率半径が一定ではなく異なる部分が存在する場合には、最も大きい曲率または曲率半径または一番小さい曲率または曲率半径または平均曲率または平均曲率半径が基準となり得る。
【0120】
前記基板は、両者が曲率または曲率半径の差が10%以内、9%以内、8%以内、7%以内、6%以内、5%以内、4%以内、3%以内、2%以内または1%以内であり得る。前記曲率または曲率半径の差は、大きい曲率または曲率半径をCとし、小さい曲率または曲率半径をCとする時に,100×(C−C)/Cで計算される数値である。また、前記曲率または曲率半径の差の下限は特に制限されない。2枚の外郭基板の曲率または曲率半径の差は同じであり得るため、前記曲率または曲率半径の差は0%以上であるか、0%超過であり得る。
【0121】
前記のような曲率または曲率半径の制御は、本出願の光学デバイスのように能動液晶素子および/または偏光子が接着フィルムでカプセル化された構造において有用である。
【0122】
第1および第2外郭基板がすべて曲面である場合に両者の曲率は同一符号であり得る。換言すると、前記2個の外郭基板はすべて同じ方向に屈曲されていてもよい。すなわち、前記場合は、第1外郭基板の曲率中心と第2外郭基板の曲率中心がすべて第1および第2外郭基板の上部および下部のうち同じ部分に存在する場合である。
【0123】
第1および第2外郭基板のそれぞれの曲率または曲率半径の具体的な範囲は特に制限されない。一例示において、前記それぞれの基板の曲率半径は,100R以上,200R以上,300R以上,400R以上、500R以上,600R以上,700R以上,800R以上または900R以上であるか、10,000R以下、9,000R以下、8,000R以下、7,000R以下、6,000R以下、5,000R以下、4,000R以下、3,000R以下、2,000R以下、1,900R以下、1,800R以下、1,700R以下、1,600R以下、1,500R以下、1,400R以下、1,300R以下、1,200R以下、1,100R以下または1、050R以下であり得る。前記においてRは、半径が1mmである円の曲がった程度を意味する。したがって、前記で例えば,100Rは半径が100mmである円の曲がった程度またはそのような円に対する曲率半径である。もちろん基板が扁平な場合に曲率は0、曲率半径は無限大である。
【0124】
第1および第2外郭基板は前記範囲で同じであるか異なる曲率半径を有することができる。一例示において、第1および第2外郭基板の曲率がそれぞれ異なる場合に、その中で曲率が大きい基板の曲率半径が前記範囲内であり得る。
【0125】
一例示において、第1および第2外郭基板の曲率がそれぞれ異なる場合にはその中で曲率が大きい基板が光学デバイスの使用時に、より重力方向に配置される基板であり得る。
【0126】
すなわち、前記カプセル化のためには、後述するように接着フィルムを用いたオートクレーブ(Autoclave)工程が遂行され得、この過程では通常高温および高圧が適用される。ところが、このようなオートクレーブ工程後にカプセル化に適用された接着フィルムが高温で長時間保管されるなどの一部の場合には、一部に再融解などが発生して外郭基板が広がる問題が発生する可能性がある。このような現象が発生すると、カプセル化された能動液晶素子および/または偏光子に力が作用して、内部に気泡が形成され得る。
【0127】
ところが、基板間の曲率または曲率半径を上記のように制御すると、接着フィルムによる合着力が落ちても復元力と重力の和である真の力が作用して広がることを防止することができ、オートクレーブのような工程の圧力にもよく耐えることができる。
【0128】
光学デバイスは前記能動液晶素子フィルムおよび/または偏光子を前記外郭基板内でカプセル化している接着フィルムをさらに含むことができる。このような接着フィルム40は、例えば、図7に示したように、外郭基板30と能動液晶素子フィルム10の間、能動液晶素子フィルム10と偏光子20の間および/または偏光子20と外郭基板30の間に存在することができる。また、前記接着フィルム40は図面に示したように、前記能動液晶素子フィルム10および/または偏光子20の側面、好ましくはいずれの側面にも存在することができる。前記接着フィルムは、前記外郭基板30と能動液晶フィルム素子10、能動液晶フィルム素子10と偏光子20および偏光子20と外郭基板30を互いに接着させつつ、前記能動液晶フィルム素子10と偏光子20をカプセル化していることができる。
【0129】
また、図5に示したように、偏光コーティング層201が内部に形成された能動液晶素子フィルムがカプセル化される場合には、前記接着フィルムは、外郭基板と能動液晶素子フィルムの間および/または前記能動液晶素子フィルムの側面、好ましくはすべての側面に存在することができる。
【0130】
例えば、目的とする構造によって外郭基板、能動液晶素子フィルム、偏光子および/または接着フィルムを積層した後に真空状態に圧着する方式、例えばオートクレーブ方式で前記構造を具現することができる。
【0131】
前記のような構造の効率的な形成のために、必要な場合に前記能動液晶素子フィルムの前記接着フィルムと接する面の前記接着フィルムに対する摩擦係数または前記能動液晶素子フィルムと前記接着フィルム間の摩擦係数が制御され得る。例えば、前記摩擦係数は、約5以下、約4.5以下、約4以下、約3.5以下、約3以下または約2.5以下の程度で制御され得、前記摩擦係数は他の例示において、約0.5以上、約1以上または約1.5以上であり得る。このような摩擦係数の制御を通じて、オートクレーブなどの加圧工程で液晶素子フィルムにシワなどの欠陥が発生せずに効率的なカプセル化工程が進行され得る。前記において摩擦係数は動摩擦係数である。
【0132】
前記摩擦係数を制御する方式は特に制限されず、例えば、目的とする摩擦係数を有する接着フィルムと能動液晶素子フィルムの基材フィルムが選択されるか、あるいは前記基材フィルム上に適切な表面処理を遂行すればよい。この時、表面処理は物理的処理であって、例えば、サンドペーパーなどを用いた研磨を通じて基材フィルムの凹凸の形状を制御するか、あるいはフッ素系処理剤やシリコン系処理剤などのいわゆる離型剤またはスリッピング剤などとして知られている処理剤を使って基材フィルムの表面を処理して摩擦係数を制御することができる。
【0133】
前記接着フィルムでは特に制限なく公知の素材を使用することができ、例えば、公知とされた熱可塑性ポリウレタン接着フィルム、ポリアミド接着フィルム、ポリエステル接着フィルム、EVA(Ethylene Vinyl Acetate)接着フィルム、ポリエチレンまたはポリプロピレンなどのポリオレフィン接着フィルムのうち後述する物性を満足するものが選択され得る。
【0134】
接着フィルムとしては、所定の範囲の位相差を有するフィルムが用いられ得る。一例示において、前記接着フィルムは正面位相差が100nm以下であり得る。前記正面位相差は他の例示において、約95nm以下、約90nm以下、約85nm以下、約80nm以下、約75nm以下、約70nm以下、約65nm以下、約60nm以下、約55nm以下、約50nm以下、約45nm以下、約40nm以下、約35nm以下、約30nm以下、約25nm以下、約20nm以下、約15nm以下、約10nm以下、約9nm以下、約8nm以下、約7nm以下、約6nm以下、約5nm以下、約4nm以下、約3nm以下、約2nm以下または約1nm以下であり得る。前記正面位相差は他の例示において、約0nm以上、約1nm以上、約2nm以上、約3nm以上、約4nm以上、約5nm以上、約6nm以上、約7nm以上、約8nm以上、約9nm以上、または約9.5nm以上であり得る。
【0135】
接着フィルムの厚さ方向位相差の絶対値は、例えば,200nm以下であり得る。前記絶対値は他の例示において、約190nm以下、180nm以下、170nm以下、160nm以下、150nm以下、140nm以下、130nm以下、120nm以下、115nm以下,100nm以下、90nm以下、80nm以下、70nm以下、60nm以下、50nm以下、40nm以下、30nm以下、20nm以下、10nm以下または約5nm以下であることもあったりnm以上、0nm以上、1nm以上、2nm以上、3nm以上、4nm以上、5nm以上、6nm以上、7nm以上、8nm以上、9nm以上、10nm以上、20nm以上、30nm以上、40nm以上、50nm以上、60nm以上、70nm以上、80nm以上または90nm以上であり得る。前記厚さ方向位相差は前記範囲内の絶対値を有する限り負数であるか、正数であり得る。
【0136】
前記接着フィルムの正面位相差Rinおよび厚さ方向位相差Rthは、それぞれ前記数式1および2で厚さd、遅相軸方向屈折率nx、進相軸方向屈折率nyおよび厚さ方向の屈折率nzを接着フィルムの厚さd、遅相軸方向屈折率nx、進相軸方向屈折率nyおよび厚さ方向の屈折率nzで代替して計算すること以外には同様に計算され得る。
【0137】
前記で接着フィルムの厚さは前記外郭基板30と能動液晶層10の間の接着フィルムの厚さ、例えば前記両者間の間隔、能動液晶層10と偏光子20の間の接着フィルムの厚さ、例えば前記両者間の間隔および偏光子20と外郭基板30の間の接着フィルムの厚さ、例えば前記両者間の間隔であり得る。
【0138】
接着フィルムとしては、ヤング率(Young's modulus)が0.1〜100MPaの範囲内にあるものを使用することができる。前記ヤング率は、例えば、ASTM D882に規定された方式で測定することができ、該当規格で提供する形態にフィルムを裁断し、Stress−Strain curveを測定できる装備(力と長さを同時に測定できる)を利用して測定することができる。
【0139】
接着フィルムが前記のようなヤング率を有するように選択されることによって、より優秀な耐久性の光学デバイスが提供され得る。
【0140】
前記のような接着フィルムの厚さは特に制限されず、例えば約200μm〜600μm程度の範囲内であり得る。前記において接着フィルムの厚さは前記外郭基板30と能動液晶層10の間の接着フィルムの厚さ、例えば前記両者間の間隔、能動液晶層10と偏光子20の間の接着フィルムの厚さ、例えば前記両者間の間隔および偏光子20と外郭基板30の間の接着フィルムの厚さ、例えば前記両者間の間隔であり得る。
【0141】
光学デバイスはまた、バッファー層をさらに含むことができる。このようなバッファー層は、前記液晶素子フィルムの一面または両面に存在することができる。図8は、能動液晶素子フィルム10の両側にバッファー層50が存在する構造を示しているが、前記バッファー層50は液晶素子フィルム10の一側にのみ存在してもよい。
【0142】
前記のようなバッファー層は、能動液晶素子フィルムが接着フィルムによってカプセル化されている構造で層間熱膨張係数の差などによって発生する負圧を緩和し、より耐久性のあるデバイスが具現され得るようにすることができる。
【0143】
一つの例示において、前記バッファー層としては、ヤング率(Young's modulus)が1MPa以下である層を使用することができる。前記バッファー層のヤング率は他の例示において、0.9MPa以下、0.8MPa以下、0.7MPa以下、0.6MPa以下、0.6MPa以下、0.1MPa以下、0.09MPa以下、0.08MPa以下、0.07MPa以下または0.06MPa以下であり得る。前記ヤング率は他の例示において、約0.001MPa以上、0.002MPa以上、0.003MPa以上、0.004MPa以上、0.005MPa以上、0.006MPa以上、0.007MPa以上、0.008MPa以上、0.009MPa以上、0.01MPa以上、0.02MPa以上、0.03MPa以上、0.04MPa以上、または0.045MPa以上であり得る。前記においてヤング率の測定方式は前述した接着フィルムの測定方式と同じである。
【0144】
バッファー層の具体的な種類としては、特に制限なく前述したヤング率を示す透明素材を使用することができるが、例えば、アクリレート系、ウレタン系、ラバー系またはシリコン系のオリゴマーまたは高分子材料などを使用することができる。
【0145】
一例示において、前記バッファー層は、いわゆるOCA(Optical Clear Adhesive)またはOCR(Optical Clear Resin)として知られている透明接着剤または透明粘着剤を使って形成することができ、前記OCAまたはOCRとして公知とされた接着剤または粘着剤のうち目的とするヤング率を有する材料を選択して使用することができる。
【0146】
したがって、一例示において、前記バッファー層は、アクリレート系接着剤層、ウレタン系接着剤層、ラバー系接着剤層またはシリコン系接着剤層や、アクリレート系粘着剤層、ウレタン系粘着剤層、ラバー系粘着剤層またはシリコン系粘着剤層であり得る。
【0147】
バッファー層の厚さは特に制限されず、前記範囲のヤング率を示すことによってデバイスの内部で発生する負圧などを効果的に緩和できる範囲で選択され得る。
【0148】
光学デバイスは前記構成の他にも必要な任意の構成をさらに含むことができ、例えば、位相差層、光学補償層、反射防止層、ハードコーティング層などの公知の構成を適切な位置に含むことができる。
【0149】
前記のような光学素子は多様な用途で使うことができ、例えば、サングラスやAR(Argumented Reality)またはVR(Virtual Reality)用アイウェア(eyewear)等のアイウェア類、建物の外壁や車両用サンルーフなどに用いられ得る。
【0150】
一つの例示において、前記光学デバイスは、それ自体として車両用サンルーフであり得る。
【0151】
例えば、少なくとも一つ以上の開口部が形成されている車体を含む自動車において、前記開口部に装着された前記光学デバイスまたは車両用サンルーフを装着して用いられ得る。
【発明の効果】
【0152】
本出願は透過率を可変可能な光学デバイスを提供し、このような光学デバイスは、サングラスやAR(Argumented Reality)またはVR(Virtual Reality)用アイウェア(eyewear)等のアイウェア類、建物の外壁や車両用サンルーフなどの多様な用途に用いられ得る。
【図面の簡単な説明】
【0153】
図1】本出願の液晶素子フィルムの折り畳み構造を説明するための図面。
図2】本出願の液晶素子フィルムの折り畳み構造を説明するための図面。
図3】本出願の液晶素子フィルムの折り畳み構造を説明するための図面。
図4】本出願の光学デバイスを説明するための例示的な図面。
図5】本出願の光学デバイスを説明するための例示的な図面。
図6】本出願の光学デバイスを説明するための例示的な図面。
図7】本出願の光学デバイスを説明するための例示的な図面。
図8】本出願の光学デバイスを説明するための例示的な図面。
【発明を実施するための形態】
【0154】
以下、実施例および比較例を通じて本出願の範囲をより具体的に説明するが、本出願の範囲は下記の実施例によって制限されるものではない。
【0155】
本明細書で記載した物性は下記の方式で評価した結果である。
【0156】
1.位相差評価方式
基材フィルム、外郭基板および接着フィルムの位相差は、Axomatrix社のAxoscanを利用して550nm波長に対してメーカーのマニュアルに沿って測定した。
【0157】
2.引張特性の評価
基材フィルムの破断伸び率などの引張特性はASTM D882規格に沿って確認した。基材フィルムなどの測定対象を、幅が10mm、長さが30mmとなるように裁断した後、UTM(Universal Testing Machine)装備(Instron 3342)を利用して、常温(25℃)で10mm/minの引張速度で引張しながら各物性を評価した。
【0158】
3.熱膨張係数の評価
基材フィルムなどの熱膨張係数(CTE)はASTM D696規格に沿ってTMA(Thermomechanical Analysis)装備(SDTA840、Metteler toledo社)を利用して、40℃から80℃に温度を10℃/minの速度で増加させながら試片のサイズ変化を測定して数式(CTE=(dt/t)/dT、前記でtはサイズ、Tは温度)により前記区間での熱膨張係数を確認した。測定時の試片の基準長さは10mmとし、荷重は0.02Nに設定した。
【0159】
4.摩擦係数の評価
摩擦係数は、Thwing Albert instrument companyのFP−2260装備を使って規格に沿って遂行した。具体的には、接着フィルムと能動液晶素子フィルムを重なるように位置させ、装備で引っ張りながら垂直抗力対比装備で測定された力の比率を通じて摩擦力を計算し、動摩擦係数を求めた。試片の大きさは、それぞれ長さが約4cm、幅が約2cmとなるようにした。
【0160】
実施例1.
能動液晶素子フィルムとしてGH(Guest−Host)液晶素子フィルムを製作した。前記液晶素子フィルムは、一面にITO(Indium Tin Oxide)電極層と液晶配向膜が順次形成されている2枚のPET(poly(ethylene terephthalate)フィルム(熱膨張係数:約70ppm/K、破断伸び率:MD(Mechanical Direction)方向=約6%、TD(Transverse Direction)方向=約70%)を約12μm程度のセルギャップ(cell gap)が維持されるように対向配置した状態でその間に液晶ホスト(Merck社のMAT−16−969液晶)と二色性染料ゲスト(BASF社、X12)の混合物)の混合物を注入し、シーラントで縁を封じて製作した。前記PETフィルムの対向配置は、互いに配向膜が形成された面が向かい合うようにした。前記能動液晶素子フィルムの液晶層は、電圧無印加時には水平配向状態であり、電圧印加によって垂直配向状態でスイッチングされ得る。引き続き厚さが約3mm程度のガラス基板、接着フィルム、PVA(poly(vinyl alcohol))系偏光フィルム、接着フィルム、前記能動液晶素子フィルム、接着フィルムおよび厚さが、同様に約3mm程度のガラス基板を前記言及された順序で積層して積層体を製造し、約100℃の温度および2気圧程度の圧力でオートクレーブ工程を遂行し、前記能動液晶素子フィルムとPVA系偏光フィルムを外郭基板の間で接着フィルムでカプセル化して光学デバイスを製造した。前記において能動液晶素子フィルムの液晶層が水平配向状態の時にその光軸と前記PVA系偏光フィルムの光吸収軸が互いに垂直となるように配置した。前記において接着フィルムとしては、ArgoTec社のST6050の製品名のTPU(thermoplastic polyurethane)接着フィルム(厚さ:約0.40mm)を用いたのであり、そのフィルムの面上位相差(Rin、550nm基準)は約2.6nm程度であり厚さ方向位相差(Rth、550nm基準)は約4nm程度であり、熱膨張係数は約40ppm/K程度であった。また、前記能動液晶素子フィルムのPETフィルムの表面と前記TPU接着フィルム間の摩擦係数は、約6.1程度であった。
【0161】
実施例2.
PET フィルムの前記TPU接着フィルムと接触する面をサンドペーパーで研磨して前記 PET フィルムの表面と前記TPU接着フィルム間の摩擦係数が約2.3程度となるように調整したことを除いては、実施例1と同様に光学デバイスを製造した。
【0162】
試験例
前記製造された各光学デバイスを100℃で7日間維持した後、透過度特性を評価する方式で耐久性を評価した。前記耐久性評価結果、前記100℃で7日間維持の前後に下記の表1で記載する光学特性が維持されて優秀な耐久性を有することが確認された。また、下記の表1は、実施例1および2の光学デバイスの透過率およびヘイズ(基準波長:約550nm)を測定した結果である。前記透過率などは、NDH5000装備を使ってISO 13468方式で評価した。下記の表1から本出願の光学デバイスが適切な透過率可変特性を示すことを確認することができる。
【0163】
【表1】
【符号の説明】
【0164】
10:能動液晶素子フィルム
101:第1ライン
102:第2ライン
A、AA:折り畳まれた領域
D:第1ラインの二等分点
T:第1ラインの二等分点の接線
P:第1ラインの二等分点の接線に対する法線
1022:第2ラインの角度を測定するための線
20:偏光子
201:偏光コーティング層
30:外郭基板
40:接着フィルム
50:バッファー層
110:基材フィルム
120:能動液晶層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8