(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6951163
(24)【登録日】2021年9月28日
(45)【発行日】2021年10月20日
(54)【発明の名称】階調超解像装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06T 5/00 20060101AFI20211011BHJP
G06T 3/00 20060101ALI20211011BHJP
【FI】
G06T5/00 740
G06T3/00 750
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-173761(P2017-173761)
(22)【出願日】2017年9月11日
(65)【公開番号】特開2019-49865(P2019-49865A)
(43)【公開日】2019年3月28日
【審査請求日】2020年7月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004352
【氏名又は名称】日本放送協会
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100161148
【弁理士】
【氏名又は名称】福尾 誠
(72)【発明者】
【氏名】松尾 康孝
(72)【発明者】
【氏名】境田 慎一
【審査官】
千葉 久博
(56)【参考文献】
【文献】
特開2015−203952(JP,A)
【文献】
特開2015−132930(JP,A)
【文献】
特開2013−171457(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2009/0175552(US,A1)
【文献】
松尾康孝,“4K・8Kテレビと超解像技術”,映像情報メディア学会誌,日本,一般社団法人映像情報メディア学会,2015年07月01日,第69巻, 第6号,p.548-552
【文献】
Yasutaka Matsuo, 外1名,"Super-Resolution Method by Registration of Multi-scale Components Considering Color Sampling Pattern and Frequency Spectrum Power of UHDTV Camera",2016 IEEE International Symposium on Multimedia (ISM),IEEE,2016年,p.521-524
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 5/00
G06T 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原画像の階調を拡大した階調超解像画像を生成する階調超解像装置であって、
前記原画像の各画素の階調値を整数倍して階調拡大画像を生成する階調拡大部と、
前記階調拡大画像に対して周波数分解処理を行って複数の低周波成分画像及び複数の高周波成分画像からなる周波数分解画像を生成する周波数分解部と、
前記複数の低周波成分画像間において、ブロック領域ごとに、相似するオブジェクトの位置関係を示す位置合わせ情報を生成する位置合わせ部と、
前記周波数分解画像のパワーを解析し、前記ブロック領域がグラデーション領域又はエッジ領域であるか否かを判定し、グラデーション領域又はエッジ領域と判定したブロック領域に対する前記位置合わせ情報を破棄する領域判定部と、
前記領域判定部にて破棄されなかった位置合わせ情報に従って、前記高周波成分画像に割り付けを行う割付部と、
前記低周波成分画像、及び前記割り付け後の高周波成分画像を周波数再構成処理して階調超解像画像を生成する周波数再構成部と、
を備えることを特徴とする階調超解像装置。
【請求項2】
前記領域判定部は、前記グラデーション領域と判定したブロック領域について、ブロックサイズが閾値以下である場合に該ブロック領域に対する前記位置合わせ情報を破棄すること特徴とする、請求項1に記載の階調超解像装置。
【請求項3】
前記領域判定部は、前記エッジ領域と判定したブロック領域について、ブロックサイズが閾値以上である場合に該ブロック領域に対する前記位置合わせ情報を破棄すること特徴とする、請求項1又は2に記載の階調超解像装置。
【請求項4】
前記領域判定部は、全周波数帯域のパワーの合計値に対する低周波帯域のパワーの比が閾値以上であるブロック領域を前記グラデーション領域と判定すること特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の階調超解像装置。
【請求項5】
前記領域判定部は、全周波数帯域のパワーの合計値に対する低周波帯域及び高周波帯域のパワーの比がいずれも閾値以上であるブロック領域を前記エッジ領域と判定すること特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の階調超解像装置。
【請求項6】
コンピュータを、請求項1から5のいずれか一項に記載の階調超解像装置として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原画像の階調を拡大した階調超解像画像を生成する階調超解像装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、画像の輝度値がなだらかに変化するグラデーション領域において、画像の階調数が不足している場合には、疑似輪郭が生じやすくなる。この対策として、画像を階調方向に階調超解像処理して、元の画像よりも階調数の多い画像を生成することが考えられる。例えば、隣接する画素値は連続するという仮定のもと、ガウシアンフィルタなどにより中間階調値を生成することができる(例えば、特許文献1参照)。また、同じ被写体についてデジタルカメラにより露光量を変えて複数回の撮影を行い、それらを合成することにより、階調超解像画像(ハイダイナミックレンジ画像)を生成することができる(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−003370号公報
【特許文献2】特開2009−010556号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、周波数分解された分解画像間における位置合わせにより階調超解像処理を行う際に、グラデーション領域やエッジ領域では位置合わせ精度が低くなりやすいという課題がある。
【0005】
かかる事情に鑑みてなされた本発明の目的は、グラデーション領域又はエッジ領域における位置合わせ精度を向上させ、高画質な階調超解像を生成することが可能な階調超解像装置及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明に係る階調超解像装置は、原画像の階調を拡大した階調超解像画像を生成する階調超解像装置であって、前記原画像の各画素の階調値を整数倍して階調拡大画像を生成する階調拡大部と、前記階調拡大画像に対して周波数分解処理を行って複数の低周波成分画像及び複数の高周波成分画像からなる周波数分解画像を生成する周波数分解部と、前記複数の低周波成分画像間において、ブロック領域ごとに、相似するオブジェクトの位置関係を示す位置合わせ情報を生成する位置合わせ部と、前記周波数分解画像のパワーを解析し、前記ブロック領域がグラデーション領域又はエッジ領域であるか否かを判定し、グラデーション領域又はエッジ領域と判定したブロック領域に対する前記位置合わせ情報を破棄する領域判定部と、前記領域判定部にて破棄されなかった位置合わせ情報に従って、前記高周波成分画像に割り付けを行う割付部と、前記低周波成分画像、及び前記割り付け後の高周波成分画像を周波数再構成処理して階調超解像画像を生成する周波数再構成部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
さらに、本発明に係る階調超解像装置において、前記領域判定部は、前記グラデーション領域と判定したブロック領域について、ブロックサイズが閾値以下である場合に該ブロック領域に対する前記位置合わせ情報を破棄すること特徴とする。
【0008】
さらに、本発明に係る階調超解像装置において、前記領域判定部は、前記エッジ領域と判定したブロック領域について、ブロックサイズが閾値以上である場合に該ブロック領域に対する前記位置合わせ情報を破棄すること特徴とする。
【0009】
さらに、本発明に係る階調超解像装置において、前記領域判定部は、全周波数帯域のパワーの合計値に対する低周波帯域のパワーの比が閾値以上であるブロック領域を前記グラデーション領域と判定すること特徴とする。
【0010】
さらに、本発明に係る階調超解像装置において、前記領域判定部は、全周波数帯域のパワーの合計値に対する低周波帯域及び高周波帯域のパワーの比がいずれも閾値以上であるブロック領域を前記エッジ領域と判定すること特徴とする。
【0011】
また、上記課題を解決するため、本発明に係るプログラムは、コンピュータを、上記階調超解像装置として機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、グラデーション領域又はエッジ領域における位置合わせ精度を向上させ、高画質な階調超解像を生成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態に係る階調超解像装置の構成例を示すブロック図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る階調超解像装置において生成される周波数分解画像の一例を示す図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る階調超解像装置における位置合わせ処理の概要を示す図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る階調超解像装置における領域判定処理の概要を示す図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る階調超解像装置における割り付け処理の概要を示す図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る階調超解像装置における周波数再構成処理の概要を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0015】
図1に、本発明の一実施形態に係る階調超解像装置の構成例を示す。
図1に示す階調超解像装置1は、階調拡大部10と、周波数分解部11と、位置合わせ部12と、領域判定部13と、割付部14と、周波数再構成部15とを備える。
【0016】
階調超解像装置1は、原画像を入力して階調超解像処理を行い、原画像の階調が拡大された階調超解像画像を生成する。
【0017】
階調拡大部10は、原画像を入力して、原画像の各画素の階調値を、階調超解像装置1から出力する階調超解像画像の階調数に応じてL倍して階調超解像画像を生成し、周波数分解部11及び周波数再構成部15に出力する。原画像の階調数をa、階調超解像画像の階調数をbとすると、L=2
(b−a)である。例えば、8ビット階調を12ビット階調に超解像する場合には、階調値を16倍する。
【0018】
周波数分解部11は、階調拡大部10により生成された階調拡大画像に対して複数階層の周波数分解(多重解像度分解)処理を行って周波数分解画像を生成する。周波数分解画像は、複数の低周波帯域成分の画像(低周波成分画像)LL
n、及び複数の高周波帯域成分の画像(高周波成分画像)LH
n,HL
n,HH
nからなる。ここで、nは階層数である。周波数分解部11は、低周波成分画像を位置合わせ部12及び周波数再構成部15に出力し、全周波数帯域の周波数分解画像を領域判定部13に出力し、高周波成分画像を割付部14に出力する。周波数分解部11は、周波数分解処理として、例えばウェーブレットパケット分解処理を行う。
【0019】
図2に、周波数分解部11により生成される周波数分解画像の一例を示す。ここでは、2階ウェーブレットパケット分解処理により生成される周波数分解画像を示している。斜線が施されていない領域が1階低周波成分画像であり、1方向に斜線が施されている領域が1階高周波成分画像(2階低周波成分画像ともいう)であり、2方向に斜線が施されている領域が2階高周波成分画像である。ウェーブレットパケット分解では、空間方向に均等に周波数分解を行う。すなわち、低周波帯域のみならず高周波帯域についても周波数分解を行う。四分木分割構造となるようにウェーブレットパケット分解処理を行うことにより、後述する領域判定を容易に行うことが可能となる。
【0020】
位置合わせ部12は、周波数分解部11により生成された周波数分解画像のうちの低周波成分画像間において、ブロック領域ごとに、相似するオブジェクトの位置関係を示す位置合わせ情報を生成し、領域判定部13に出力する。
【0021】
図3に、位置合わせ部12における位置合わせ処理の概要を示す。位置合わせ部12は、周波数分解画像のi階低周波成分画像LL
iを基準フレームとし、j階(i<j)低周波成分画像LL
jを参照フレームとする。
図3に示す例では、i=1、j=2である。そして、基準フレームを複数サイズ(例えば、4×4画素、6×6画素、及び8×8画素)のブロック領域に分割し、任意のブロックから参照フレームへブロックマッチングを行い、探索範囲内で類似度(相関性)の最も高いブロックの位置関係を示す位置合わせ情報を生成する。ブロックマッチングは、絶対値誤差和(SAD;Sum of Absolute Difference)、二乗誤差和(SSD;Sum of Squared Difference)などの評価関数を用いて、既知の手法により行われる。また、ブロックマッチングは、例えば式(1)に示すパラボラフィッティング関数を用いた補間処理により、小数画素精度で行う。なお、SAD又はSSDの評価関数値が閾値を超えた場合は、位置合わせ情報として採用しないようにしてもよい。
【0023】
ここで、探索位置における画素位置をxとしたとき、SSD(x)は、画素位置におけるSSD値を表し、より具体的には、SSD(0)は中心位置(SSD値を最小とする位置)におけるSSD値、SSD(−1)は中心位置から−x方向又は−y方向の隣接画素の位置におけるSSD値、SSD(1)は中心位置から+x方向又は+y方向の隣接画素の位置におけるSSD値を表す。式(1)から、水平又は垂直方向の小数画素精度の画素位置(小数画素位置)をそれぞれ算出することができる。
【0024】
領域判定部13は、周波数分解部11により生成された周波数分解画像のパワーを解析し、階調拡大画像についてブロック領域ごと又は位相位置(画素位置)ごとに、グラデーション領域又はエッジ領域であるか否かの判定を行う。そして、グラデーション領域と判定されたブロック領域(グラデーション領域と判定された画素を有するブロック領域も含む)、又はエッジ領域と判定されたブロック領域(エッジ領域と判定された画素を有するブロック領域も含む)に対する位置合わせ情報は、確度が低いおそれがあるために破棄する。このようにして確度が低いおそれがある位置合わせ情報を破棄し、残りの位置合わせ情報を位置合わせ選別情報として、割付部14に出力する。
【0025】
図4に、領域判定部13による領域判定処理の概要を示す。ここでは、
図2と同様に2階ウェーブレットパケット分解処理をした場合について、水平周波数に対するパワーを示している。領域判定では、基準フレーム上の任意のブロック領域又は位相位置において、全周波数帯域のパワーの合計値に対する低周波帯域(
図4では1階水平低周波帯域)のパワーの比が閾値(例えば、0.9)以上という第1の条件を満たす場合には、当該ブロック領域をグラデーション領域と判定する。そして、グラデーション領域と判定されたブロック領域については、特にブロックサイズが閾値以下(例えば、4×4画素)である場合に、該ブロック領域に対する位置合わせ情報を破棄するのが好適である。
【0026】
また、基準フレーム上の任意のブロック領域又は位相位置において、全周波数帯域のパワーの合計値に対する低周波帯域(
図4では1階水平低周波帯域)のパワーの比が閾値(例えば、0.8)以上かつ高周波帯域(
図4では2階水平高周波帯域)のパワーの比が閾値(例えば、0.03)以上という第2の条件を満たす場合には、当該ブロック領域をエッジ領域と判定する。そして、エッジ領域と判定されたブロック領域については、特にブロックサイズが閾値以上(例えば、8×8画素)である場合に、該ブロック領域に対する位置合わせ情報を破棄するのが好適である。
【0027】
図4では水平方向についてのみ示しているが、領域判定部14は、同様に垂直方向、及び対角方向についても領域判定を行うのが好適である。この場合には、方向に応じて判定結果が異なることもある点を考慮し、例えば、水平方向、垂直方向、及び対角方向のすべての判定結果がグラデーション領域であった場合に、最終的にグラデーション領域と判定し、水平方向、垂直方向、及び対角方向の判定結果のいずれかの判定結果がエッジ領域であった場合に、最終的にエッジ領域と判定してもよい。また、上記判定において、第1の条件と第2の条件の双方を満たす場合には、エッジ領域と判定してもよい。領域判定部14は、以上の処理をすべてのブロック領域において行って一部の位置合わせ情報を破棄し、残った位置合わせ情報を位置合わせ選別情報として出力する。
【0028】
割付部14は、領域判定部13により生成された位置合わせ選別情報に従って、周波数分解部11により生成された周波数分解画像のうちの高周波成分画像LH
i,HL
i,HH
iに割り付けを行い、割付後の高周波成分画像LH
i’,HL
i’,HH
i’を周波数再構成部15に出力する。
【0029】
図5に、割付部14による割り付け処理の概要を示す。
図5に示すように、位置合わせ選別情報に従って、参照フレームLL
jの高周波成分画像LH
j,HL
j,HH
jを、基準フレームLL
iの高周波成分画像LH
i,HL
i,HH
iに割り付ける。
図5に示す例では、i=1、j=2である。ここで、高周波成分画像LH
j,HL
j,HH
jを割り付ける際には、参照フレームLL
j内の同じ位相位置の位置合わせ情報に従うこととする。これは、基準フレームLL
i内のブロックPが参照フレームLL
j内のブロックQに類似していれば、高周波成分画像LH
i,HL
i,HH
i内における、ブロックPと同じ位相位置のブロックは、高周波成分LH
j,HL
j,HH
j内における、ブロックQと同じ位相位置のブロックとそれぞれ類似する可能性が高いためである。
【0030】
また、位置合わせ部12において、類似するブロックの位置関係を小数画素精度で求めた場合には、割付部14は、小数画素位置を通常の画素位置に合わせるために、割り付け後の高周波成分画像LH
i’,HL
i’,HH
i’に対して、光学系の解像度劣化過程を模擬した点広がり関数(Point spread function;PSF)を用いた補間を行う。式(2)に、点広がり関数を示す。ここで、wはガウス関数の半値幅(分散値)である。
【0032】
割付部14は、割り付けを全て終えた後、水平、垂直、対角高周波成分として候補が複数存在する場合には、それらの値を平均するか、最大事後確率(Maximum a posteriori;MAP)再構成を行い、未知の値を推定する。MAP再構成の詳細については、例えば、E. Levitan and G. Herman: “A maximum a posteriori probability expectation maximization algorithm for image reconstruction in emission tomography”, IEEE Transactions on Medical Imaging, vol. 6, no. 3, pp. 185-192, Sep. 1987.を参照されたい。また、その他の方法として、ML法や、割り付けられた画素の距離に応じた重み付けにより、高周波成分画像を推定してもよい。
【0033】
周波数再構成部15は、周波数分解部11により生成された低周波成分画像を低周波成分とし、割付部14により割り付けられた割付後の高周波成分画像を高周波成分として、n階周波数再構成し、階調超解像画像を生成し、外部に出力する。
【0034】
図6に、周波数再構成部15による周波数再構成処理の概要を示す。
図6に示す例では、低周波成分画像LL
1を低周波成分とし、割付後の水平高周波成分画像LH
1’、垂直高周波成分画像HL
1’、対角高周波成分画像HH
1’を高周波成分として複数階層の周波数再構成処理を行うことにより、階調超解像画像が生成される。なお、周波数分解部11が周波数分解処理としてウェーブレットパケット分解処理を行った場合には、周波数再構成部15は、同じウェーブレットを用いてウェーブレットパケット再構成処理を行う。
【0035】
なお、上述した階調超解像装置1として機能させるためにコンピュータを好適に用いることができ、そのようなコンピュータは、階調超解像装置1の各機能を実現する処理内容を記述したプログラムを該コンピュータの記憶部に格納しておき、該コンピュータのCPUによってこのプログラムを読み出して実行させることで実現することができる。なお、このプログラムは、コンピュータ読取り可能な記録媒体に記録可能である。
【0036】
上述したように、本発明では、周波数分解画像のパワーを解析することにより、ブロック領域がグラデーション領域又はエッジ領域であるか否かを判定し、グラデーション領域又はエッジ領域と判定したブロック領域に対する位置合わせ情報は確度が低いおそれがあるため破棄する。これにより、確度が高い位置合わせ情報(位置合わせ選定情報)のみを用いて位置合わせすることができ、階調超解像画像を生成することが可能となる。
【0037】
特に、グラデーション領域における位置合わせでは、小さなブロックを用いて位置合わせを行う場合にはオブジェクトの特徴をつかみづらいため、位置合わせ精度が低くなりやすい。また、エッジ領域における位置合わせでは、大きなブロックを用いて位置合わせを行う場合には、位置合わせ精度が低くなりやすい。そのため、グラデーション領域と判定したブロック領域については、ブロックサイズが閾値以下である場合に該ブロック領域に対する前記位置合わせ情報を破棄し、エッジ領域と判定したブロック領域については、ブロックサイズが閾値以上である場合に該ブロック領域に対する位置合わせ情報を破棄することで、位置合わせ情報の数を必要以上に減らすことなく、階調超解像画像を生成することが可能となる。
【0038】
上述の実施形態は代表的な例として説明したが、本発明の趣旨及び範囲内で、多くの変更及び置換ができることは当業者に明らかである。したがって、本発明は、上述の実施形態によって制限するものと解するべきではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。例えば、実施形態の構成図に記載の複数の構成ブロックを1つに組み合わせたり、あるいは1つの構成ブロックを分割したりすることが可能である。
【0039】
また、プログラムは、コンピュータ読取り可能媒体に記録されていてもよい。コンピュータ読取り可能媒体を用いれば、コンピュータにインストールすることが可能である。ここで、プログラムが記録されたコンピュータ読取り可能媒体は、非一過性の記録媒体であってもよい。非一過性の記録媒体は、特に限定されるものではないが、例えば、CD−ROMやDVD−ROMなどの記録媒体であってもよい。
【符号の説明】
【0040】
1 階調超解像装置
10 階調拡大部
11 周波数分解部
12 位置合わせ部
13 領域判定部
14 割付部
15 周波数再構成部