(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の複数の感度値を計算することは、前記複数のレシピパラメータの前記第1の値、前記複数のレシピパラメータの前記第2の値、前記第1の複数の測定値、及び前記第2の複数の測定値に基づいて、最小二乗適合分析を実施することを含む、請求項1に記載の方法。
前記第1の複数の感度値を計算するため、前記処理装置は更に、前記複数のレシピパラメータの前記第1の値、前記複数のレシピパラメータの前記第2の値、前記第1の複数の測定値、及び前記第2の複数の測定値に基づいて最小二乗適合分析を実施する、請求項8に記載のシステム。
前記第1の複数の感度値を計算するため、前記処理装置は更に、前記複数のレシピパラメータの前記第1の値、前記複数のレシピパラメータの前記第2の値、前記第1の複数の測定値、及び前記第2の複数の測定値に基づいて最小二乗適合分析を実施する、請求項15に記載の非一過性のマシン可読記憶媒体。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示の実施形態は、実験計画法(DOE)のデータを分析する、ウエハのポイントバイポイント分析のための方法、システム及びソフトウェアの改良をもたらす。1つの例示的な図解では、DOEのレシピパラメータ値が分析され、対応する感度値が1点ずつ表示されている。ウエハの測定位置に付随する感度値は、2次元又は3次元の輪郭マップで表示されうる。
【0012】
DOEなどのウエハ感度分析技術は、半導体産業で使用されうる。様々な実施形態で、DOE技術は、レシピパラメータの変化を考慮して、ウエハ感度を検出するために使用される。DOEは、変動がある情報の収集作業を設計したものである。DOE分析は、DOE(DOEデータ)の実行から生まれるデータの分析である。一実施形態では、DOEデータはレシピパラメータ、レシピパラメータ値、及びウエハ測定値を含む。一実施形態では、5つのレシピパラメータが変動しうるウエハ感度DOE分析では、5つのレシピパラメータの各々が各実験の所定の値に従って変動する複数の実験を行うことによって、DOEは実施されうる。各実験のウエハは次いで、様々な位置で測定され、対応するレシピパラメータに関連付けられうる。感度値は、レシピパラメータの変動を、各実験の各測定位置での測定値の変動と比較することによって計算されうる。次に、特定のレシピパラメータに対するウエハの平均感度を決定するため、感度値は平均される。まれに、感度値は、ウエハを横断する半径方向の平均感度値に対応するように計算されることがある。
【0013】
ウエハの1つの平均感度値、或いは半径方向の幾つかの感度値を使用することは、両手法とも固有の貴重な感度情報を取り除くため、問題である。例えば、レシピパラメータと正の依存関係を有するウエハの一方の面上では、ウエハは非常に高い感度を有することがありうる。しかし、レシピパラメータと負の依存関係を有するウエハのもう一方の面上では、同じウエハが同等の感度を有することがありうる。このような場合には、平均値及び半径方向の平均化された感度出力値は、誤ってゼロの感度値を示すことがありうる。
【0014】
ウエハを横断して1点ずつ感度分析を実施する方法及びシステムの実施形態を説明する。ウエハ上の測定位置に対して1点ずつ感度分析を実施し、その感度分析を輪郭マップとして表示することによって、ウエハ感度は完全に視覚化され、高い精度で分析可能になる。
【0015】
図1は本発明の一実施形態による、ウエハ製造システムの例示的なアーキテクチャを示す。一実施形態では、ウエハ製造システム100は製造装置110、計測装置120、計算装置130、及びネットワーク140を含みうる。製造装置110は、一又は複数の処理チャンバを含む半導体ウエハ製造装置であってもよい。例えば、製造装置110は、イオン注入装置、エッチングリアクタ、フォトリソグラフィ装置、(例えば、化学気相堆積(CVD)、物理的気相堆積(PVD)、イオンアシスト堆積(IAD)などを実施するための)堆積装置、或いは他の製造装置であってもよい。
【0016】
一実施形態では、製造装置110は、ネットワーク140を介して、計測装置120及び計算装置130に接続されている。ネットワーク140は、ローカルエリアネットワーク(LAN)であってもよく、また、ルータ、ゲートウェイ、サーバー、データストアなどを付加的に含みうる機器自動化層であってもよい。製造装置110は、半導体製造装置通信スタンダード/包括的製造装置モデル(SECS/GEM)インターフェースを介して、イーサネットインターフェースを介して、及び/又は他のインターフェースを介して、機器自動化層(例えば、ネットワーク140)に接続されうる。一実施形態では、機器自動化層により、処理データ(例えば、処理実行中に製造装置110によって収集されたデータ)はデータストア140に記憶されうる。
【0017】
他の実施形態では、製造装置110は、計測装置120、データストア140及び/又は計算装置130に直接接続されうる。一実施形態では、製造装置110は、レシピパラメータ112及びチャンバパラメータ114を含みうる。
【0018】
一実施形態では、レシピパラメータ112は、半導体ウエハの製造に付随するすべてのパラメータを含みうる。例えば、レシピパラメータ112には、チャンバ ヒータ温度、堆積圧力、パルス時間、ヒータ間隔、高周波(RF)電力、及び流量が含まれるが、これらに限定されないことは確かである。加えて、レシピパラメータ112は各パラメータに付随する値を含んでもよく、その値は、ウエハ製造プロセス全体で所定のパラメータがどのように使用されるかに影響を及ぼす。例えば、レシピパラメータとして流量を有するDOEでは、流量は75sccmの値を有しうる。流量値は、どれだけの量の酸素、シラン、アンモニア、又は他の種類の気体がチャンバに入るかに影響する。他の実施例では、温度レシピパラメータは800°Cの値を有しうる。
【0019】
一実施形態では、チャンバパラメータ114は、製造装置110の特定のチャンバ内での半導体ウエハの製造に付随するインシトゥ(現場)パラメータを含みうる。一実施例として、チャンバパラメータ114には、チャンバの様々な物理的測定値が含まれるが、これらに限定されない。チャンバパラメータ114は、チャンバ内部のウエハの位置も追加的に含みうる。
【0020】
一実施形態では、製造装置110は、製造装置110に半導体ウエハを製造させるレシピパラメータ112に付随する処理レシピを実行するようにプログラムされている。一実施形態では、製造装置110は、処理レシピを読み込み、記憶し、実行するプログラム可能な制御装置を含む。プログラム可能な制御装置は、製造装置110の温度設定、ガス及び/又は真空設定、時間設定、エネルギー設定などのレシピパラメータ112を制御しうる。プログラム可能な制御装置は、メインメモリ(例えば、読み出し専用メモリ(ROM)、フラッシュメモリ、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)など)、及び/又は二次メモリ(例えば、ディスクドライブなどのストレージ装置)を含みうる。メインメモリ及び/又は二次メモリは、様々な種類の製造プロセスを実施するための命令を記憶しうる。
【0021】
プログラム可能な制御装置はまた、命令を実行するため(例えば、バスを介して)メインメモリ及び/又は二次メモリに接続される処理装置を含みうる。処理装置は、マイクロプロセッサ、中央処理装置などの汎用処理装置であってもよい。処理装置は、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、ネットワークプロセッサ等の一又は複数の特殊用途処理装置であってもよい。一実施形態では、プログラム可能な制御装置はプログラム可能な論理制御装置(PLC)である。
【0022】
ウエハ製造システム100は更に、ネットワーク140に接続された一又は複数の計測装置120を含みうる。代替的な実施形態では、ウエハ製造システム100はより多くの又はより少ない構成要素を含みうる。例えば、ウエハ製造システム100は、ネットワーク140に接続されていない手動操作式(例えば、オフライン)の製造装置110及び計測装置120を含みうる。
【0023】
一実施形態では、計測装置120は、ウエハボウ(wafer bow)、抵抗、ラップ(wrap)、平坦性、及び厚みの測定などの、ウエハ測定を実施して、測定値116を得ることができる。計測装置120は試験に使用できるが、環境パラメータ、並びに音響特性、振動、及び温度に関するデータの監視など、他の用途も有する。計測装置120は幾つかの実施形態では、保持、接合、分離、はんだ付けなどの他の作業を付加的に実施することができる。計測装置の例には、オーバーレイ計測装置、光学式限界寸法(CD)計測装置、膜厚計測装置、注入及びアニール計測装置、シート抵抗マッピング計測装置などが含まれる。
【0024】
一実施形態では、計測装置120は、処理レシピを読み込み、記憶し、実行するプログラム可能な制御装置を含む。プログラム可能な制御装置は、測定操作を制御して、測定値116を得ることができる。プログラム可能な制御装置は、メインメモリ(例えば、読み出し専用メモリ(ROM)、フラッシュメモリ、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)など)、及び/又は二次メモリ(例えば、ディスクドライブなどのストレージ装置)を含みうる。メインメモリ及び/又は二次メモリは、本書に記載のように、ポイントバイポイントDOE分析を実施するための命令を記憶しうる。
【0025】
プログラム可能な制御装置はまた、命令を実行するため(例えば、バスを介して)メインメモリ及び/又は二次メモリに接続される処理装置を含みうる。処理装置は、マイクロプロセッサ、中央処理装置などの汎用処理装置であってもよい。処理装置は、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、ネットワークプロセッサ等の一又は複数の特殊用途処理装置であってもよい。一実施形態では、プログラム可能な制御装置はプログラム可能な論理制御装置(PLC)である。
【0026】
ウエハ製造システム100は更に、レシピパラメータ112、チャンバパラメータ114、測定値116、感度値118、有意差値(significance values)119及び/又は他の情報を記録するためのデータストアを含む。加えて、ウエハ製造システム100は、ネットワーク140に接続された一又は複数の計算装置(例えば、計算装置130)を含みうる。
【0027】
一実施形態では、計算装置130は感度モジュール200を含む。計算装置130の感度モジュール200は、レシピパラメータ112と測定値116に対して最小二乗適合分析を実施し、レシピパラメータ112と測定値116に基づいて感度値118を決定する。一実施形態では、最小二乗適合分析は、過剰決定系(すなわち、未知数よりも多くの方程式が存在する方程式の組)の近似解に対する回帰分析のアプローチである。一実施形態では、「最小二乗」は、一つ一つの方程式の結果から生ずる誤差の二乗和を最小化する総合的な解を意味する。別の実施形態では、計算装置130の感度モジュール200は、感度値118に基づいて有意差値119(例えば、以下で詳述するt値)を計算してもよい。
【0028】
感度モジュール200は、複数のDOEに対応する処理レシピに基づいてレシピパラメータ112を決定してもよい。レシピパラメータ112は、DOEによるウエハの処理に使用された様々なレシピの順列に付随するレシピパラメータ112を含みうる。レシピパラメータ112の各組は、種々の処理レシピ(例えば、レシピパラメータ112の異なる組)に対応してもよく、レシピ識別子(ID)に付随しうる。
【0029】
感度モジュール200は追加的に、様々なレシピ順列に付随する測定値116を取得する。測定値の各組は、特定の処理レシピを用いて処理されたウエハの測定装置120による測定に基づいて取得されてもよい。データストア140は、ウエハが特定のレシピを用いて処理されたことを示す情報を記憶してもよく、この情報は、当該ウエハの測定値116を、当該ウエハの処理に用いられる処理レシピのレシピパラメータ112に関連付けるのに使用されうる。
【0030】
計算装置130の感度モジュール200は、最小二乗適合分析に基づいて感度値を決定しうる。一実施形態では、線形回帰ベータ係数(これ以降、ベータ係数と表記)、最小二乗適合分析の出力は、感度情報をベータ係数として捕捉する。一実施形態では、パラメータの有意差を評価するため、各パラメータに対してt値が計算される。t値は、ウエハが特定の入力因子に対して感度が高いことを空間的に示すために使用され、また、特定のレシピパラメータに対する感度値に付随する誤差の量を示しうる。一実施形態では、t値は、評価したパラメータの想定値からのかい離とその標準誤差との比率である。
【0031】
一実施形態では、計算装置130はユーザーインターフェース208を含む。例示的な一実施形態では、計算装置130のユーザーインターフェース208は、データストア140に記憶された感度値118を表示するために使用可能である。一実施形態では、ユーザーインターフェース208は、感度値118を(
図6に関連して説明した)2次元(2D)輪郭マップの形態で表示する。別の実施形態では、ユーザーインターフェース208は、感度値118を(
図7に関連して説明した)3次元(3D)輪郭マップの形態で表示する。様々な実施形態で、ユーザーインターフェース208により、ユーザーは感度値118を2D又は3Dの形態で表示するか否か決定することができる。他の実施形態では、輪郭マップに加えて、例えば棒グラフなどの他の表示形態も使用されうる。また、ユーザーインターフェース208により、ユーザーは、表示すべき感度値118に付随するレシピパラメータ112を選択することができる。
【0032】
一実施形態では、計算装置130は、データストア140から複数の処理レシピに付随するレシピパラメータ112の組を読み出してもよい。計算装置130は、複数の処理レシピを用いて処理されたウエハの複数組の測定値116を追加的に読み出してもよい。計算装置130は次いで、測定値116の各組とレシピパラメータ112の組の1つを相互に関連付けてもよい。関連付けは、測定したウエハの各々にどの処理レシピが使用されたかを特定する記憶情報に基づいて実施されうる。感度モジュール200は次いで、レシピパラメータの各々に対してポイントバイポイント(各位置の)感度値を決定するため、レシピパラメータ112及び測定値116のポイントバイポイント分析を実施しうる。
【0033】
例示的な一図解では、製造装置110は、レシピパラメータ112及びチャンバパラメータ114を含むレシピを用いてウエハを製造する。ウエハは次いで、測定のため計測装置120に搬送される。一実施形態では、計測装置120はウエハの49個の位置(点)の厚みを測定する。別の実施形態では、121個の位置が測定されるか、別の数の位置が測定される。製造及び測定のプロセスは、特定のDOEの制約条件に応じて、様々なレシピ112及びチャンバパラメータ114で繰り返される。レシピパラメータの各々について、ポイントごとの感度を決定するため、このデータはすべて、感度モジュール200によって分析される。
【0034】
図2Aは、本発明の一実施形態による、ウエハ分析システム200の例示的なブロック図である。一実施形態では、ウエハ分析システム200は、計算装置130及びデータストア230を含む。一実施形態では、計算装置130は感度モジュール200を含む。様々な実施形態では、感度モジュール200は、DOEアナライザ202、レシピアナライザ204、及びユーザーインターフェース208を含む様々なサブシステムを含む。モジュールの装置は論理的に分離されてもよく、他の実施形態では、これらのモジュール又はその他の構成要素は、更なる構成要素に結合すること、或いは分離することができる。
【0035】
一実施形態では、データストア230は、レシピパラメータ112、チャンバパラメータ114、及び測定値116を記憶する。別の実施形態では、データストア230は追加的に感度値118を記憶する。オプションにより、レシピパラメータ112、チャンバパラメータ114、測定値116、及び感度値118はすべて、製造装置110に付随する別々のデータストアに記憶させることができる。一実施形態では、データストア230は、ルックアップテーブル、リレーショナルデータベース、フラットファイルの集合、或いは情報を記憶するための他のデータ構造を含みうる。
【0036】
データストア230は、例えば、フラッシュメモリ、磁気ディスク又は光ディスク、又はテープドライバ、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、消去可能なプログラマブルメモリ(例えば、EPROM及びEEPROM)、フラッシュメモリ、或いは他の任意の種類の記憶媒体を含むことができる、一又は複数の大容量記憶装置を含みうる。
【0037】
一実施形態では、感度モジュール200はデータストア230を保持するか、データストア230にアクセスする。感度モジュール200は、DOE分析を開始することができる。DOE分析の一環として、感度モジュール200は、製造装置110、計測装置120、データストア230、及び/又はコンピュータアプリケーションプログラムからデータを受信しうる。データストア230からの入力を用いて、製造装置110及び/又は計測装置、感度モジュール200の様々なモジュールは、ポイントバイポイントDOE分析を実施することができる。
【0038】
一実施形態では、DOEアナライザ202及びレシピアナライザ204は、データストア230内に配置されたレシピパラメータ112及び測定値116を用いて、ポイントバイポイントDOE分析を実施するために使用される。一実施形態では、DOEアナライザ202は、レシピパラメータ112及び付随する測定値116を受信する。レシピパラメータ112及び測定値116は、製造装置及び/又は計測装置から直接受信されうる。代替的に、レシピパラメータ112及び測定値116はデータストア230から読み出されてもよい。幾つかの実施形態では、チャンバパラメータ114はまた、読み出され、DOEデータのポイントバイポイント分析を実施するために使用される。
【0039】
一実施形態では、DOEアナライザ202はパラメータ112、114、及び/又は測定値116を受信し、DOE情報に関してポイントバイポイントDOE分析を実施する。DOE分析は、DOEが完了すると、及び/又はユーザー入力に応答して、自動的に実施されうる。一実施形態では、ポイントバイポイントDOE分析は、特定のDOEによるウエハ上の各測定位置250でのレシピパラメータ112及び測定値116に、最小二乗適合分析を適用することによって実施される。実施形態では、最小二乗適合分析は、ウエハ上の位置ごとの各測定値に対して別々に実施される。最小二乗適合分析の出力は、ウエハ上の位置ごとの別々の最小二乗適合モデルである。
【0040】
最小二乗適合分析の目的は、データセットに最も適合するモデル関数のパラメータを調整することからなる。単純なデータセットはn個の点(データペア)(x
i,y
i),i=1,...,nからなり、ここでx
iは独立変数で、y
iは観測によってその値が検出される従属変数である。モデル関数はf(x,β)という形式を有してもよく、ここで調整可能なパラメータmはベクトルβ内に保持される。目標は、データに「最もよく」適合するモデルのパラメータ値を探し出すことである。最小二乗法は、残差(residual)の二乗和S
が最小値になるときに、最適値を見つけ出す。残差は、従属変数の実際の値とモデルによって予測された値との間の差分によって定義される。
r
i=y
i-f(x
i,β)
モデルの一例は、2次元の直線のモデルである。切片をβ
0、傾きβ
1で表すと、モデル関数はf(x
i,β)=β
0+β
1xで与えられる。
【0041】
最小二乗適合分析は、位置250に付随する各測定値116に対して実施されるため、最小二乗適合モデルは各測定位置250に対して個別に決定される。他の実施形態では、最小二乗分析の代わりに、回帰分析の他の様々なアプローチが使用されてもよい。
【0042】
一実施形態では、個々のウエハ位置250に対して最小二乗適合モデルが作成されると、DOEアナライザ202はその最小二乗適合モデルに基づいて、位置250に対して感度値118を計算する。一実施形態では、感度値はベータ係数の形態をとる。例えば、単一入力モデルは、y=β
0+β
1xで表されうる。この公式は、β
0が切片で、β
1が傾きである直線の方程式とみなすことができる。一実施形態では、ベータ係数となっている方程式の傾斜は感度を表し、これはxの変化がyの値にどれだけの変化を及ぼすかを示している。したがって、レシピパラメータのベータ係数は、レシピパラメータが製造されたウエハ又はプロセスの特定の測定可能な特性(例えば、膜厚、エッチング速度など)にどれだけ影響を及ぼすかを示している。この方程式は、多くの入力xに対応するように一般化されうる。一般的に、(行列表記で)Y=β.Xとなる。
【0043】
一実施形態では、有意差値119は、ベータ係数に基づいて、感度値118の有意差を表す。一実施形態では、t値(t統計量とも称される)は、評価したパラメータの想定値からのかい離とその標準誤差との比率の形式による有意差値である。一実施形態では、t値は、
をある統計モデル(例えば、上述の最小二乗適合分析)のパラメータβの推定量とすることによって計算される。このパラメータ(形状の量)に対するt値は次のようになる。
ここでβ
0は無作為ではない既知の定数で、
は推定量
の標準誤差である。一実施形態では、t値はβに対する信号対ノイズの数値で、これが大きくなればなるほどベータ係数の信頼度は高くなりうる。一実施形態では、t値の閾値は‘2’になりうる。様々な実施形態では、閾値未満のt値は、ベータ値に付随する大きな誤差があり、信頼に値しないことを示唆している。他の実施形態では、閾値未満のt値は、実験が不良であったこと、或いは、出力(例えば、膜厚)に有意な効果を及ぼさない入力(例えば、レシピパラメータ)であったことを示唆していることがありうる。他の実施形態では、他の様々な形態の信号ノイズ比(有意差値119)、例えば、zスコアなどが使用されうる。
【0044】
一実施形態では、各レシピパラメータ112に対して、別々の感度値118が決定される。例えば、ウエハは、任意の数のレシピパラメータ112の各々に対して、別々の感度値118を有しうる。実施例では、ウエハの膜厚は、ガス流量に対する第1の感度、チャンバ圧に対する第2の感度、温度に対する第3の感度、及び処理時間に対する第4の感度を有しうる。ウエハ上の各位置250に対して、別々の感度が計算されうる。例えば、ウエハ上の第1の位置は、ガス流量に対して、ウエハ上の第2の位置とは異なる感度を有しうる。その結果、ウエハ上の各位置250は複数の感度値118を有し、任意の数のレシピパラメータ112に対してそれぞれ1つを有する。
【0045】
一実施形態では、DOEアナライザ202は、最も高い感度を有するレシピパラメータ112を決定することができる。例えば、DOEアナライザ202は、感度に基づいて(例えば、ベータ係数に基づいて)レシピパラメータを順位付けしてもよい。一実施形態では、DOEアナライザ202は、感度の閾値を超える(例えば、閾値よりも大きいと計算されたベータ係数に対して)レシピパラメータ112を決定してもよい。複数のDOE試験を実施し、計算された感度値(例えば、直線回帰ベータ係数)を比較することによって、DOEアナライザは、対応する感度値118に従って、レシピパラメータ112の順位付けリストを編集する。加えて、レシピパラメータに付随する有意差を決定するため、感度値118に基づいて有意差値119が計算されうる。有意差(例えば、t値)に従って、レシピパラメータ112を順位付けする第2のリストが作成されうる。代替的に、第1のリストにレシピパラメータのt値が追加されてもよい。第2のリストが順位付けされたt値で編集されると、閾値を超えるt値に付随する任意のレシピパラメータ112はフラグ付きでユーザーに提示されうる。閾値は、ユーザーインターフェース208を介してユーザーによって提供されてもよく、デフォルト値に設定されてもよい。一実施形態では、閾値はt値の2に対応している。代替的に、他の閾値(例えば、t値の1.5、2.5などに対応する)も使用されうる。一実施形態では、感度閾値を超える感度値と、有意差閾値を超える有意差値とを共に有するレシピパラメータはフラグ付きでユーザーに提示される。感度閾値を超える感度値及び有意差閾値を超える有意差値を有するレシピパラメータは、レシピの作成結果を制御するために調整されうるこれらのレシピパラメータであってもよい。
【0046】
例示的な一実施例では、感度モジュール200のユーザーインターフェース208は、DOEアナライザ202によって決定された感度値118を表示するために使用可能である。一実施形態では、ユーザーインターフェース208は、感度値118を(
図6に関連して説明した)2次元(2D)輪郭マップの形態で表示する。別の実施形態では、ユーザーインターフェース208は、感度値118を(
図7に関連して説明した)3次元(3D)輪郭マップの形態で表示する。ユーザーインターフェース208はまた、レシピパラメータの有意差値119を表示しうる。例えば、ユーザーインターフェース208は、一又は複数のレシピパラメータの有意差値119を示す、2D又は3Dの輪郭マップを表示してもよい。様々な実施形態では、ユーザーインターフェース208により、ユーザーは感度値118及び/又は有意差値119を、2D又は3Dの形態で表示するか否かを決定することができる。他の実施形態では、輪郭マップに加えて、例えば棒グラフなどの他の表示形態も使用されうる。また、ユーザーインターフェース208により、ユーザーは、表示すべき感度値118及び/又は有意差値119に付随するレシピパラメータ112を選択することができる。
【0047】
幾つかの実施形態では、レシピ作成操作の実施は有用となりうる。例えば、ターゲットのウエハ膜厚プロファイル及び事前に計算された感度値118に基づいて、ウエハレシピを決定できることは、状況によっては有用である。一実施形態では、レシピアナライザ204はこのような操作を実施する。レシピアナライザ204は、所望のウエハ厚に基づいたターゲットプロファイルを入力として受信する。ターゲットプロファイルは、ウエハ全体の平均ターゲット厚、ターゲット標準偏差、又はその他のターゲット値を含みうる。DOEアナライザ202によって決定される最小二乗適合モデル(例えば、各レシピパラメータと各ウエハ位置に対するモデル)の組への入力としてターゲットプロファイルを用いることによって、レシピアナライザ204は、組み合わされるとターゲットプロファイルの作成を可能にする特定のレシピパラメータ112を出力することができる。一実施形態では、レシピアナライザ204は、決定されたレシピパラメータ112を新しい処理レシピとして記憶する、及び/又は、決定されたレシピパラメータ112をウエハ製造のため製造装置110へ受け渡す。
【0048】
一実施例では、関数f(x,β)は、方程式f(x
i,β)=β
0+β
1xによって表される。この実施例では、所望のターゲットはxを探し出すため計算されてもよく、ここでxは最小二乗適合モデルから計算されたベータ係数を表す。これは行列表記で次のように書き直すことができる。
ここでyは関数f(x,β)を表す。そのため、この場合、上記の方程式を次のように再構成することによって、xについて解いてもよい。
或いは、行列表記では次のようになる。
一実施例では、測定は3つの位置で行われ、3つの方程式(各位置で1つ)が得られる。xについて3つの方程式を解くと、各位置で同じターゲット値(例えば、膜厚)が得られる。これを行列表記すると次のようになる。
これを一般化すると次のようになる。
ここで、‘n’はDOEへの入力数で、‘m’は測定される位置の数である。
【0049】
解がプロセスに対して意味をなさないx値を返す場合には(例えば、xが圧力の読取値であった場合には、解は−20Tを返すことがある)、xの値を制限する位置の追加が有効である。一実施形態では、この方程式の組を解くため、制限的な方法による線形プログラミングが使用されうる。代替的に、問題が非線形で、xの値が既知の動作ウインドウに対して制約されている場合には、検索アルゴリズムのアプローチが使用されうる。
【0050】
追加の実施形態では、同じ製造装置の異なるチャンバ間で、及び/又は異なる製造装置のチャンバ間で、チャンバマッチング操作を実施することが有用となることがある。例えば、異なるチャンバで製造されたウエハ間でより良い均一性を得るためには、レシピパラメータを修正できることが、状況によっては有用である。一実施形態では、レシピアナライザ204はこのような操作を実施する。レシピアナライザ204は、ソースチャンバで実行される処理レシピに付随する第1のレシピパラメータ112と第1の感度値118、並びに、ターゲットチャンバで実施される処理レシピに付随する第2のレシピパラメータ112と第2の感度値118を、入力として受信する。このような感度値118は、DOEアナライザ202によってソースチャンバ上及びターゲットチャンバ上で実施される、ポイントバイポイントDOE分析の結果になりうる。別の実施形態では、レシピアナライザ204は有意差値119を受信してもよい。
【0051】
ターゲットチャンバとソースチャンバによって生成されるウエハが共に同じ厚みプロファイルを有するように、ターゲットチャンバのレシピパラメータ112に対してどのような修正を行いうるかを決定するため、レシピアナライザ204は、ソースチャンバの感度値118及び/又は有意差値119を、ターゲットチャンバのそれらと比較する。一実施形態では、ターゲットチャンバによって生成されるウエハが、ソースチャンバによって生成されるウエハよりも良く適合するように、レシピアナライザ204は、ターゲットチャンバの処理レシピのレシピパラメータ112を修正する。
【0052】
一実施例では、ソースチャンバとターゲットチャンバは各位置で同様の感度値を有すると仮定されている。また、ベースラインとして所望のターゲットを用いて、独自のDOE又は感度調査が実施されたと仮定されている。各位置でのターゲットチャンバの出力とソースチャンバの出力との間の差分を最小化するため、レシピアナライザ204はターゲットチャンバの位置読取値を取得し、ソースチャンバの感度値を使用して、ターゲットチャンバのレシピオフセットを推定する。
【0053】
一実施形態では、レシピマッチングに関して上記で概略を示したのと同じ計算を用いて、チャンバマッチングを実施してもよい。上述のように、所望の出力を実現しうる入力の組が返された。この実施例では、(ターゲットチャンバ上の各位置での出力として)出力が提供され、この出力をもたらす入力が決定される。現在の基本のレシピパラメータ112と、レシピアナライザ202によって返される入力又はレシピパラメータ112との間の差分に基づいて、オフセットが計算される。このオフセットは、ターゲットチャンバを用いて処理されたウエハが、ソースチャンバによって処理されたウエハに適合するには、ターゲットチャンバレシピパラメータどれだけ変化させればよいかを決定する。一実施例では、各位置でターゲットとソースの膜厚の差分を最小化するため、オフセットが計算される。
【0054】
一実施形態では、ユーザーインターフェース208は、ユーザーとの相互作用に応答して実行されるDOEアナライザ202及びレシピアナライザ204に付随する操作のための手段を提供する。一実施形態では、DOEアナライザ202及びレシピアナライザ204は、その出力を、自動的に実装される製造装置110に送信する。他の実施形態では、DOEアナライザ202及びレシピアナライザ204は、その出力を、ユーザーによって参照され、解釈され、実行されるユーザーインターフェース208に送信する。一実施形態では、出力はレシピ及び/又はチャンバパラメータである。
【0055】
様々な実施形態では、ユーザーインターフェース208により、ユーザーは異なるレシピとチャンバパラメータを選択し、ウエハを横断して対応する感度を参照することができる。ユーザーインターフェース208は更に、ユーザー入力を受信して、DOE分析を開始することができる。加えて、ユーザーインターフェース208は、グラフィカル出力(例えば、輪郭マップ。
図6及び
図7を参照)を提供し、ユーザーがそのグラフィカル出力とやりとりできるようにする。一実施形態では、ユーザーインターフェース208により、ユーザーは回転、ズームイン、ハイライトに加えて、感度値の分析に有用な他の様々な操作を実施することができる。
【0056】
図2Bは、本発明の一実施形態による、例示的なウエハ及び付随するデータポイントのブロック図である。上述のように、一実施形態では、計測装置は、ウエハ240を横断する様々な位置250でウエハ240の厚みを測定する。様々な実施形態では、計測装置は49個の位置250で、100個又は200個の位置250で、或いは他の数の位置250で、測定しうる。測定値が記録される位置250の数に最小値や最大値はない。一実施形態では、ウエハ膜厚が記録された各位置250に基づいて、各レシピパラメータ112に対して、感度値118及び/又は有意差値119が決定される。他の実施形態では、感度値118及び/又は有意差値119は、位置250の一部に対してのみ決定される。更に他の実施形態では、感度値118及び/又は有意差値119は、対応する厚みの測定値を有する位置250に対して計算される。
【0057】
図3は、本発明の一実施形態による、製造プロセスに関するウエハのDOEデータをポイントバイポイント分析するための方法を示すフロー図である。方法300は、ハードウェア(例えば、電気回路、専用ロジック、プログラマブルロジック、マイクロコードなど)、ソフトウェア(例えば、処理装置上で実行される命令)、又はこれらの組み合わせを備える処理ロジックによって実施されうる。一実施形態では、計算装置130上で動作する感度モジュール200のDOEアナライザ202は方法300を実施する。
【0058】
図3を参照すると、ブロック301で、処理ロジックは、第1の処理レシピに付随するレシピパラメータ112を受信する。レシピパラメータ112は、実施される特定のDOEに応じて、及び/又はDOEが実行される処理に応じて、変化する。例えば、2つのレシピパラメータ112として温度と圧力を試験するように設計されたDOEでは、各レシピパラメータ112は、特定のレシピに対して付随する値を有してもよい。この実施例では、温度は5個の値を有し、圧力は10個(各ユニットで1個ずつ)の値を有する。一実施形態では、レシピアナライザ204は、製造装置110からレシピパラメータ112及び付随する値を受信しうる。
【0059】
ブロック303では、処理ロジックは、ブロック301で受信したレシピパラメータ112の第1の組及び付随する値を用いて製造された第1のウエハのウエハ測定値116を受信する。一実施形態では、ウエハ測定値116は、ウエハ上の複数の位置250での厚みの測定値である。例えば、ブロック301の処理レシピに付随するウエハに関しては、処理ロジックは、各々が異なる位置250に対応する、49個の測定値114を受信してもよい。一実施形態では、レシピアナライザ204は、計測装置120の測定値116を受信しうる。
【0060】
ブロック305では、処理ロジックは、第2の処理レシピに付随するレシピパラメータ112を受信する。例えば、上述のDOEでは、第2のレシピは、温度が15個の値を有し、圧力が20個(各ユニットで1個ずつ)の値を有することを指示してもよい。一実施形態では、レシピアナライザ204は、製造装置110からレシピパラメータ112及び付随する値を受信しうる。
【0061】
ブロック307では、処理ロジックは、ブロック305で受信したレシピパラメータ112の第2の組及び付随する値を用いて製造された第2のウエハのウエハ測定値116を受信する。例えば、ブロック305の処理レシピに付随する第2のウエハに関しては、処理ロジックは、各々が異なる位置250に対応する、49個の測定値114を受信してもよい。一実施形態では、レシピアナライザ204は、計測装置120の測定値116を受信しうる。
【0062】
ブロック309では、処理ロジックは、第1のレシピパラメータ値を第1の測定値に、また、第2のレシピパラメータ値を第2の測定値に関連付ける。
【0063】
ブロック311では、処理ロジックは、感度値118の第1の組及び/又は有意差値119を計算し、各感度値はウエハ上の位置250に付随している。一実施形態では、感度値118は特定のレシピパラメータ112に対して固有の値となる。本実施例では、測定値116が49個の位置250に対して決定されたウエハ240は、温度について49個の感度値118及び/又は有意差値119を有し、また、圧力について49個の感度値118及び/又は有意差値119を有し、各々はウエハ上の位置250に対応する。別の言い方をするならば、2つの感度値118及び/又は有意差値119は、一方が温度に、もう一方が圧力に関するが、例示的な実施形態では、ウエハ240上の49個の位置の各々に付随している。
【0064】
一実施形態では、感度値118は、計算装置130のDOEアナライザ202の処理ロジックによって計算される。一実施形態では、処理ロジックは、ウエハ240上の各測定位置250でのレシピパラメータ112及び測定値116に最小二乗適合分析を適用することによって、感度値118を決定する。最小二乗適合分析は、(位置250に付随する)各測定値116に対して実施されるため、最小二乗適合モデルは、各測定位置250に対して個別に決定されうる。ブロック311で処理ロジックによって作られた最小二乗モデルは、ウエハ上の位置250に対して特有である。したがって、モデルはウエハ240上の各位置250に対して決定される。各モデルは、モデルへの入力に関する感度情報(例えば、モデルに影響を及ぼすレシピパラメータに関する)を含む。
【0065】
一実施形態では、ウエハ上の位置250に対して最小二乗適合モデルが作成されると、DOEアナライザ202は、これらの位置に付随する最小二乗適合モデルに基づいて、ウエハ上の位置250で各レシピパラメータ112に対する感度値118を計算する。一実施形態では、ベータ係数、最小二乗適合分析の出力は、感度情報を捕捉する。一実施形態では、有意差値119(例えば、t値)は、特定のパラメータの有意差を評価する。t値は、特定の入力因子に対して最も感度が高いウエハ上の位置を空間的に示すために使用される。一実施形態では、t値は、評価したパラメータの想定値からのかい離とその標準誤差との比率である。他の実施形態では、他の様々な形態の信号ノイズ比(有意差値)、例えば、zスコアなどが使用されうる。
【0066】
ブロック313では、処理ロジックは、ブロック311で決定された感度値118及び/又は有意差値119のグラフィカル表現をグラフィカルインターフェース上に表示する。一実施形態では、グラフィカルインターフェースは、計算装置130のユーザーインターフェース208である。一実施形態では、ユーザーインターフェース208は、感度値118及び/又は有意差値119を(
図6に関連して説明した)2次元(2D)輪郭マップの形態で表示する。別の実施形態では、ユーザーインターフェース208は、感度値118及び/又は有意差値119を(
図7に関連して説明した)3次元(3D)輪郭マップの形態で表示する。様々な実施形態では、ユーザーインターフェース208により、ユーザーは感度値118及び/又は有意差値119を、2D又は3Dの形態で表示するか否かを決定することができる。他の実施形態では、輪郭マップに加えて、例えば棒グラフなどの他の表示形態も使用されうる。また、ユーザーインターフェース208により、ユーザーは、表示すべき感度値118及び/又は有意差値119に付随するレシピパラメータ112を選択することができる。
【0067】
図4は、本発明の一実施形態による、ターゲットプロファイルに付随するウエハレシピを決定するための方法400を示すフロー図である。方法400は、ハードウェア(例えば、電気回路、専用ロジック、プログラマブルロジック、マイクロコードなど)、ソフトウェア(例えば、処理装置上で実施される命令)、又はこれらの組み合わせを備える処理ロジックによって実施されうる。方法400は、ターゲットプロファイルに付随するウエハレシピの決定に特にフォーカスした、ポイントバイポイントDOE分析を実施することができる。一実施形態では、方法400で実施される操作は、方法300の操作の後に実施されてもよい。一実施形態では、計算装置130の感度モジュール200のレシピアナライザ204は、方法400を実施しうる。
【0068】
幾つかの実施形態では、レシピ作成操作の実施は有用となりうる。例えば、ターゲットのウエハ膜厚プロファイル及び事前に計算された感度値118に基づいて、ウエハレシピを決定できることは、状況によっては有用である。
【0069】
図4を参照すると、ブロック401で、処理ロジックは入力として所望のウエハのターゲットプロファイルを受信する。一実施形態では、ターゲットプロファイルは、ウエハの所望の厚みプロファイルに基づいている。別の実施形態では、ターゲットプロファイルは、エッチング速度、シート抵抗、及び膜組成など、他の因子に基づいていてもよい。例えば、本開示の処理ロジックは、エッチング速度の均一性を高めるため、レシピパラメータに対するターゲット値を見出すために使用されてもよい。別の実施例では、処理ロジックは、ウエハ全体にわたってターゲットとなる「シート抵抗」を提供する入力(レシピパラメータ)を探し出すために使用されてもよい。更なる実施例では、処理ロジックは、ウエハ全体にわたってTiとAlの比率が一貫性を有するように保証する入力(レシピパラメータ)を探し出すために使用されてもよい。
【0070】
ブロック403及び405では、処理ロジックは、過去の感度値118及び/又は有意差値119を考慮してターゲットプロファイルを分析し、使用されたときに当該のターゲットプロファイルに適合する、或いはほぼ適合するウエハレシピを決定する。例えば、方法300で、決定された最小二乗適合モデルへの入力としてターゲットプロファイルを用いることによって、処理ロジックはブロック405で、結合されたときに当該のターゲットプロファイルが製造されるようにする特定のレシピパラメータ112を出力することができる。一実施形態では、レシピアナライザは、決定されたレシピパラメータ112を、ウエハ製造用の製造装置110に受け渡す。例えば、ウエハ全体にわたって均一に分布する膜厚を提供するターゲットプロファイルを取得する。処理ロジックは、(例えば、方法300で)事前に決定された感度モデルへの入力としてターゲットプロファイルを使用し、所望のターゲットプロファイルをもたらす特定のレシピを決定する。
【0071】
図5は、本発明の一実施形態による、ソースチャンバパラメータに付随するターゲットチャンバパラメータを決定するための方法500を示すフロー図である。方法500は、ハードウェア(例えば、電気回路、専用ロジック、プログラマブルロジック、マイクロコードなど)、ソフトウェア(例えば、処理装置上で実施される命令)、又はこれらの組み合わせを備える処理ロジックによって実施されうる。方法500は、チャンバマッチングに特にフォーカスしたポイントバイポイントDOE分析を実施することができる。一実施形態では、方法300で実施された操作の後に、方法500で実施された操作が続く。一実施形態では、感度モジュール200のレシピアナライザ204は方法500を実施しうる。
【0072】
様々な実施形態では、チャンバマッチング操作を実施することが有用となりうる。例えば、異なる製造装置で製造されたウエハ全体にわたってより良好なプロファイル均一性を得るためには、レシピパラメータ112を修正できることが、状況によっては有用である。
図5を参照すると、ブロック501で、処理ロジックは感度値118及び/又は有意差値119の第2の組を受信する。一実施形態では、感度値118及び/又は有意差値119の第2の組は、方法300のブロック311で決定された。一実施形態では、感度値118及び/又は有意差値119の第1の組はソースチャンバに対応し、また、感度値118及び/又は有意差値119の第2の組はターゲットチャンバに対応する。
【0073】
ブロック502では、処理ロジックは、感度値118及び/又は有意差値119の第1及び第2の組、並びに、チャンバパラメータの第1及び第2の組を分析する。一実施形態では、ターゲットチャンバとソースチャンバによって生成されるウエハが共に同様の厚みプロファイルを有するように、ターゲットチャンバのレシピパラメータ112に対してどのような修正を行いうるかを決定するため、レシピアナライザ204は、ソースチャンバの感度値118及び/又は有意差値119を、ターゲットチャンバのそれらと比較する。一実施形態では、処理ロジックは、ソースチャンバによるウエハ生成とターゲットチャンバによるウエハ生成との間で、より良いウエハ均一性を実現するため、ターゲットチャンバによって用いられるレシピパラメータ112への修正が可能であることを判断しうる。
【0074】
ブロック503では、ターゲットチャンバに付随するレシピパラメータ112は、ブロック502での分析に基づいて修正される。一実施形態では、感度モジュール200の処理ロジックは、ネットワーク140を介して、修正したレシピパラメータ112を製造装置110へ送信する。他の実施形態では、パラメータレシピ112は、データストア230の計算装置130に局所的に記憶される。
【0075】
図6は、本発明の実施形態による、2次元(2D)輪郭マップ600の例示的な概略表現である。一実施形態では、本開示のシステム及び方法によって決定された感度値118及び/又は有意差値119は、
図6に示したように、2次元輪郭マップで提示されている。一実施形態では、2D輪郭マップは、これが示すウエハの表示の上に重ねられている。一実施形態では、感度モジュール200の処理ロジックは、1つのレシピパラメータ112に基づいて、2D輪郭マップをレンダリングし、表示する。ユーザーは、感度値118及び/又は有意差値119の2D輪郭マップに、どのレシピパラメータを表現するかを選択することができる。他の実施形態では、2つ以上のレシピパラメータ112を1つの2D輪郭マップに表現することができる。例えば、第1のレシピパラメータに対する感度値118及び/又は有意差値119は、第1の線種を有する輪郭線を用いて表示され、第2のレシピパラメータに対する感度値118及び/又は有意差値119は、第2の線種を有する輪郭線を用いて表示されうる。
【0076】
2D輪郭マップでは、レシピパラメータに対する特定の感度を表現する線が描かれる。この線は(例えば、既に示したようなベータ係数の形態による)感度の数値表現を含みうる。別の実施形態では、この線はレシピパラメータの有意差(例えば、t値)の数値表現を含みうる。一実施形態では、感度値118及び/又は有意差値119の範囲の間の対比を表示するため、2D輪郭マップは付加的に様々な色と形状を使用する。例えば、感度及び/又は有意差のレベルの変化を示すため、2D輪郭マップは赤から緑、青にいたる様々な色を使用してもよい。一実施形態では、最も高い感度又は有意差の領域は、様々な形状の赤で表現されてもよく、最も低い感度の領域は、様々な形状の青で表現されてもよい。他の実施形態では、感度値118及び/又は有意差値119は、2D輪郭マップ上に直接表示される。様々な実施形態では、感度値118及び/又は有意差値119は、2D輪郭マップ上の相関する位置250で重ねられる。一実施形態では、様々な感度値をより見やすくするため、2D輪郭マップは回転や傾斜させることができる。更に、2D輪郭マップには図解されたキーが提供されることもある。キーは様々な感度値118及び/又は有意差値119、並びに対応する色表現を表示することができる。
【0077】
図7は、本発明の一実施形態による、3次元(3D)輪郭マップの例示的な概略表現である。一実施形態では、本開示のシステム及び方法によって決定された感度値118及び/又は有意差値119は、
図7に示したように、3次元輪郭マップで表示される。一実施形態では、3D輪郭マップは、これが示すウエハの表示の上に重ねられている。一実施形態では、感度モジュール200の処理ロジックは、1つのレシピパラメータ112に基づいて、3D輪郭マップをレンダリングし、表示する。他の実施形態では、2つ以上のレシピパラメータ112を1つの3D輪郭マップに表現することができる。
【0078】
一実施形態では、3D輪郭マップは、レシピパラメータ(例えば、温度、圧力など)に対するウエハパラメータ(例えば、膜厚)の感度を示す。一実施形態では、輪郭の高さは感度値に基づいており、その高さは感度に直接相関する。別の実施形態では、輪郭の高さは有意差値119(例えば、t値)に基づいている。例示された実施例では、ウエハの中心は、ウエハのその他の部分よりも、特定のレシピパラメータに対する感度が高い。加えて、ウエハの外周は、ウエハのその他の大部分よりも、当該レシピパラメータに対する感度が高い。既に述べたように、従来のシステムは、特定のレシピパラメータに対して、ウエハ全体で平均された1つの平均感度を含む。ウエハ全体にわたって平均化することによって、情報は失われることがある。例えば、ウエハ全体にわたって平均化された1つの感度は、ウエハの設計及び製造時には考慮することが望ましい特有の変形を正確に表現していない。最終製品ではこのような変形について知っていることは有用である。加えて、特定の変形についてわかれば、ウエハの設計及び製造の精度を大幅に改善することができる。その一方で、本書に記載の実施形態は、ウエハ全体でのレシピパラメータに対する感度を1点ずつ分析する。
【0079】
一実施形態では、感度値118及び/又は有意差値119の範囲の間の対比を表示するため、3D輪郭マップは様々な色と形状を使用する。他の実施形態では、感度値118及び/又は有意差値119は、3D輪郭マップ上に直接表示される。様々な実施形態では、感度値118及び/又は有意差値119は、3D輪郭マップ上の相関する位置250で重ねられる。一実施形態では、様々な感度値をより見やすくするため、3D輪郭マップは回転や傾斜させることができる。更に、3D輪郭マップには図解されたキーが提供されることもある。キーは様々な感度値118、並びに対応する色表現を表示することができる。
【0080】
図8は、本書に記載の方法のうちの任意の一又は複数をマシンに実施させるための命令のセットが内部で実行されうるコンピュータシステム800という、例示的な形態のマシンの概略図を示している。代替的な実施形態では、当該マシンがLAN、イントラネット、エクストラネット、又はインターネット中の他のマシンに(例えば、ネットワークで)接続されうる。マシンは、クライアント−サーバーネットワーク環境においてはサーバー又はクライアントマシンの役割で、或いは、ピアツーピア(又は分散)ネットワーク環境においてはピアマシンとして、作動しうる。このマシンは、パーソナルコンピュータ(PC)、タブレットPC、セットトップボックス(STB)、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、携帯電話、ウェブアプライアンス、サーバー、ネットワークルータ、スイッチ又はブリッジ、或いは、そのマシンによって行われる動作を特定する(連続した又は別様な)命令セットを実行可能な任意のマシンであってもよい。更に、単一のマシンを示したが、「マシン」という語はまた、本明細書に記載される一又は複数の任意の方法を実施するために、命令セット(又は複数の命令セット)を独立して、又は連帯して実行するマシンの任意の集合体を含むと理解すべきである。
【0081】
例示のコンピュータシステム800には、バス830を介して互いに通信し合う、処理装置(プロセッサ)802、メインメモリ804(例えば、読み出し専用メモリ(ROM)、フラッシュメモリ、同期DRAM(SDRAM)などのダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、ダブルデータレート(DDR SDRAM)、又はDRAM(RDRAM)など)、スタティックメモリ806(例えば、フラッシュメモリ、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)など)、及びデータストレージ装置818が含まれる。
【0082】
プロセッサ802は、マイクロプロセッサ、中央処理装置などの一又は複数の汎用処理装置を表している。より具体的には、プロセッサ802は、複合命令セット演算(CISC)マイクロプロセッサ、縮小命令セット演算(RISC)マイクロプロセッサ、超長命令語(VLIW)マイクロプロセッサ、他の命令セットを実装するプロセッサ、又は、命令セットの組み合わせを実装するプロセッサであってもよい。プロセッサ802はまた、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、ネットワークプロセッサなどの、一又は複数の特殊用途処理装置であってもよい。プロセッサ802は、本書に記載の動作及びステップを実行するための命令822を実施するように構成される。
【0083】
コンピュータシステム800は、ネットワークインターフェース装置808を更に含みうる。コンピュータシステム800は、ビデオディスプレイ装置810(例えば、液晶ディスプレイ(LCD)または陰極線管(CRT))、英数字入力装置812(例えば、キーボード)、カーソル制御装置814(例えば、マウス)、及び信号生成装置816(例えば、スピーカー)もまた含みうる。
【0084】
データストレージ装置818は、本書に記載の一又は複数の任意の方法又は機能を具現化する一又は複数の命令セット822が記憶される、コンピュータ可読記憶媒体824を含み、
図8に示した感度モジュール200を含みうる。命令822はまた、完全に又は少なくとも部分的に、コンピュータシステム800によって実行される間、メインメモリ804内、及び/またはプロセッサ802内に存在しても良い。メインメモリ804とプロセッサ802もまた、コンピュータ可読記憶媒体を構成している。この命令822は更に、ネットワークインターフェース装置808を介して、ネットワーク140上で送信又は受信されうる。
【0085】
一実施形態では、命令822は、ポイントバイポイントDOE分析を統合するための命令、及び/又は、ポイントバイポイントDOE分析のための命令を含む感度モジュール200をコールする方法を含むソフトウェアライブラリを含む。例示的な実施形態では、コンピュータ可読記憶媒体824(コンピュータ可読記憶媒体)を単一の媒体として示したが、「コンピュータ可読記憶媒体」という用語は、一又は複数の命令セットを記憶する単一の媒体、又は複数の媒体(例えば、集中データベース、又は分散データベース、及び/又は付随するキャッシュ及びサーバー)を含むと理解すべきである。「コンピュータ可読記憶媒体」という用語は、マシンによって実行される命令セットを記憶する、符号化する、又は伝達することができ、マシンに、本発明の一又は複数の方法を実施させる任意の媒体を含むとも理解すべきである。「コンピュータ可読記憶媒体」という用語は従って、限定するものではないが、固体メモリ、光媒体、及び磁気媒体を含むと理解すべきである。
【0086】
前述の記載では多くの詳細事項が述べられている。しかしながら、そのような具体的な詳細事項なしに本発明が実施されうることは、本開示の利益を享受する当業者には明らかであろう。場合によっては、本発明を不明瞭にすることを避けるため、周知の構造及び装置については、詳示せず、ブロック図で示している。
【0087】
詳細な記載のうちのある部分は、コンピュータメモリ内のデータビット上の動作のアルゴリズム及び記号表現の観点から表されている。これらのアルゴリズム的記述と表現は、本発明の内容を他の当業者に最も効果的に伝えるために、データ処理分野の当業者によって使用される手段である。アルゴリズムは、本書において、また一般的に、所望の結果をもたらす、一連の自己無撞着ステップと見なされている。これらステップは、物理量の物理的な操作を要求するステップである。必ずというわけではないが、通常これらの物理量は、記憶される、転送される、組み合わせられる、比較される、又はその他の方法で操作されうる電気信号又は磁気信号の形態をとる。一般的に使用するため、これらの信号は、ビット、値、要素、記号、文字、用語、数字などで表されると便利であることが証明されている。
【0088】
しかしながら、これらの用語、及び類似の用語はすべて、適切な物理量に付随しており、これらの物理量に適用された単なる便宜上のラべルであることに留意すべきである。下記の説明から明らかなように、特に別段の指示のない限り、本明細書全体において、「受信する」、「関連付ける」、「計算する」、「提供する」、「実施する」、「分析する」、「修正する」などの用語を用いた記述、説明は、コンピュータシステムのレジスタ及びメモリ内の物理量(例えば、電気量)として表されるデータを操作して、コンピュータシステムのメモリ又はレジスタ、又は他の同様な情報ストレージ、送信装置又は表示装置内の物理量として同様に表される他のデータに変換するコンピュータシステム、又は同様の電子計算装置の動作及び処理を表すと理解されている。
【0089】
本発明はまた、本書に記載の操作を実施するための装置にも関する。この装置は、意図した目的のために特別に構築されうるか、又は、コンピュータに記憶されているコンピュータプログラムによって選択的に作動するか若しくは再構成される、汎用コンピュータを備えうる。このようなコンピュータプログラムは、コンピュータ可読記憶媒体、例えば限定するものではないが、フロッピーディスク、光ディスク、CD−ROM、及び光磁気ディスクを含む任意の種類のディスク、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、EPROM、EEPROM、磁気又は光カード、または電子命令を記憶するのに適した任意の種類の媒体に記憶されうる。
【0090】
上記の説明は、例示であり、限定するものではないことを意図していることを理解されたい。上記の説明を読んで理解するならば、他の多くの実施形態は当業者にとって明らかであろう。したがって、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲に関連して、当該特許請求が権利付与される均等物の全範囲と共に、定められるべきである。