【実施例】
【0119】
試験例1 本発明のポルフィリン系化合物の合成例
(1)比較例1,2及び実施例1,2のポルフィリン系化合物
下記に示すように、本実施例では、比較例1として化合物1、比較例2として化合物2、実施例1として化合物3、実施例2として化合物4のポルフィリン系化合物を使用した。
【0120】
比較例1及び比較例2の化合物はChemical Science 2015, 6, 6199-6206)の追補(Supplementary Information)に記載の合成法に従って製造した。
【0121】
【化33】
【0122】
(2)実施例1のポルフィリンダイマーの合成
【0123】
【化34】
【0124】
化合物5及び化合物6をChemical Science 2015, 6, 6199-6206)のSupplementary Informationに記載の合成法に従って製造し、20 mLシュレンクフラスコ中で化合物5 (14 mg, 8.2 μmol), 化合物6 (85 mg, 50 μmol)のトリエチルアミン (6 mL)溶液を凍結脱気し, そこへPd(PPh
3)
4 (1.3 mg, 1.1 μmol), CuI (0.7 mg, 3.7 μmol)を加えて再び凍結脱気した後, 50℃で18時間加熱攪拌した. この溶液をトルエンで希釈し, 水で洗浄して得た有機層をシリカゲルクロマトグラフィー(トルエン)で精製した後, 排除体積クロマトグラフィー(トルエン/ピリジン= 20/1, v/v)で精製し, 実施例1のポルフィリン系化合物である化合物3 を暗緑色固体として得た。
収量: 24 mg (7.4 μmol)
収率: 90%
1H NMR (300 MHz, CDCl
3): δ 10.38 (d, J = 4.2 Hz, 4H; porphyrin-β), 9.78 (d, J = 4.5 Hz, 4H; porphyrin-β), 9.23 (d, J = 4.2 Hz, 4H; porphyrin-β), 9.07 (d, J = 4.5 Hz, 4H; porphyrin-β), 7.47 (s, 8H; meso-Ar), 4.4-4.1 (m, 24H; ArOCH
2-), 2.2-0.8 (m, 270H);
13C NMR (75 MHz, CDCl
3): δ152.8, 152.7, 151.2, 150.4, 150.3, 137.1, 131.3, 123.3, 114.0, 72.0, 67.7, 39.5, 39.2, 37.7, 37.4, 36.5, 29.9, 29.7, 28.1, 27.9, 24.9, 24.7, 22.8, 22.71, 22.66, 22.55, 19.8, 19.7, 19.1. MALDI-TOF MS (dithranol): m/z calc for C
208H
318N
8O
12Si
2Zn
2: 3304.26; found 3304.76 [M]
+【0125】
(3)実施例2のポルフィリンダイマーの合成
【化35】
【0126】
50 mLナスフラスコ中で化合物5 (19 mg, 12 μmol)のトリエチルアミン(5 mL)溶液を攪拌しながら, Pd(PPh
3)
2Cl
2(1.3 mg, 1.9μmol), CuI (1.1 mg, 5.8 μmol), I
2 (45 mg, 0.18 mmol)を加え, 室温・大気雰囲気下で13時間攪拌した. この溶液をトルエンで希釈し, 飽和Na
2S
2O
3水溶液と飽和食塩水で洗浄して得た有機層をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(トルエン)で精製した後, 排除体積クロマトグラフィー(トルエン/ピリジン= 5/1, v/v)で精製し, 実施例2のポルフィリン系化合物である化合物4 を暗緑色固体として得た。
収量 10 mg (3.1 μmol)
収率 54%
1H NMR (300 MHz, CDCl
3): δ 9.97 (d, J = 4.5 Hz, 4H; porphyrin-β), 9.77 (d, J = 4.5 Hz, 4H; porphyrin-β), 9.15 (d, J = 4.5 Hz, 4H; porphyrin-β), 9.06 (d, J = 4.5 Hz, 4H; porphyrin-β), 7.44 (s, 8H; meso-Ar), 4.4-4.1 (m, 24H; ArOCH
2-), 2.2-0.8 (m, 270H);
13C NMR (75 MHz, CDCl
3): δ153.2, 152.5, 151.0, 150.5, 150.1, 137.7, 137.0, 133.4, 133.0, 131.4, 131.0, 123.3, 114.1, 102.6, 100.1, 99.0, 87.7, 82.6, 71.9, 67.6, 39.5, 39.2, 37.7, 37.5, 37.4, 36.4, 29.9, 28.1, 27.9, 24.9, 24.7, 22.8, 22.72, 22.69, 22.6, 19.8, 19.6, 19.1, 11.9. MALDI-TOF MS (dithranol): m/zcalc for C
210H
318N
8O
12Si
2Zn
2: 3328.26; found 3328.67 [M]
+【0127】
試験例2 示差走査熱量(DSC)測定
サンプル2-7 mgをアルミ製パンに精秤し, 毎分10 ℃で昇温しながら, 電気冷却機付きDSC-60Plus(株式会社島津製作所製)を使用して、比較例1,2及び実施例1,2の化合物について熱量分析を行った。結果を
図1に示す。
比較例1,2の化合物のガラス転移温度はそれぞれ−6℃及び19℃であり、室温(25℃)では粘稠性の液体であったが、実施例1,2のガラス転移温度はそれぞれ31℃及び59℃であり、室温では非晶質ガラスの状態であった。
【0128】
試験例3 微小角入射X線散乱測定
シリコンウエハー(Si(100), 三菱マテリアルトレーディング株式会社)に、スピンコーター(MS-A100, ミカサ株式会社製)で0.5 mM の実施例2のポルフィリン化合物の溶液をスピンコートし、薄膜を作製した(500 rpmで30秒, 1000 rpmで60秒)。この基板試料にSPring-8のビームラインBL45XUを使用して入射角0.11度、波長0.1 nmのX線照射を行い, X線散乱測定を行った。得た二次元散乱パターンから, 散乱ベクトル(q)14 nm
-1付近に非晶質由来のブロードなピークを観察した。結果を
図2に示す。
図2のグラフ中に矢印で示すように、実施例2のポルフィリン化合物の溶液では、非晶質に由来するブロードな散乱ピークが観察された。
【0129】
試験例4 近赤外発光測定
石英基板(15 × 35 mm, 厚さ1 mm, 仙台石英製) にスピンコーターで(MS-A100, ミカサ製)0.5 mM のポルフィリン溶液をスピンコートした(500 rpmで30秒, 1000 rpmで60秒)。 近赤外の発光はモジュール型蛍光分光光度計 Fluorolog-3(堀場製作所製)に, 液体窒素冷却式の浜松フォトニクス近赤外光電子倍増管を付けたものを使用した。励起及び発光のバンド幅は10 nmで測定を行った。 結果を
図3に示す。
近赤外波長領域における発光スペクトルの励起波長依存性から, 実施例2のポルフィリンガラスを励起すると近赤外発光を得ることができることがわかった。 またガラスマトリクスとしてポリメチルメタクリレート(PMMA)中にポルフィリンを低濃度分散(少なくとも10重量%以下)すると近赤外発光が観察されなくなったことから, 近赤外発光がポルフィリンガラスのエキシマー形成に由来する現象であることが明らかとなった。
【0130】
試験例5 水中での微粒子化とその近赤外発光特性
実施例2の化合物4のポルフィリンを、バチルアルコール(CH
3(CH
2)
17OCH
2CH(OH)CH
2OH)を界面活性剤として含む水に粒径33 nm程度の粒子として分散した。
この微粒子の粒径を動的光散乱により決定した。結果を
図4に示す。
【0131】
試験例6 近赤外発光測定
試験例5で作成した薄膜に、試験例4に記載した分光光度計を使用して、水中での実施例2の化合物4のポルフィリンの近赤外発光特性を確認した。結果を
図5に示す。
図5の吸収及び発光スペクトルから、水中で分散した微粒子でも石英基板上の分光特性をほぼ維持していることが分かった。また、バイアル管中のポルフィリン微粒子の試料を670 nmで励起し、1000-1600 nmで観察すると、近赤外発光像として画像化可能であった(
図6)。