特許第6952893号(P6952893)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6952893高分子ラテックス樹脂粉体の製造装置及び製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6952893
(24)【登録日】2021年9月30日
(45)【発行日】2021年10月27日
(54)【発明の名称】高分子ラテックス樹脂粉体の製造装置及び製造方法
(51)【国際特許分類】
   B29B 9/08 20060101AFI20211018BHJP
   C08J 3/16 20060101ALI20211018BHJP
   C08F 6/22 20060101ALI20211018BHJP
【FI】
   B29B9/08
   C08J3/16
   C08F6/22
【請求項の数】6
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2020-520064(P2020-520064)
(86)(22)【出願日】2018年11月1日
(65)【公表番号】特表2021-501065(P2021-501065A)
(43)【公表日】2021年1月14日
(86)【国際出願番号】KR2018013144
(87)【国際公開番号】WO2019093712
(87)【国際公開日】20190516
【審査請求日】2020年4月7日
(31)【優先権主張番号】10-2017-0147939
(32)【優先日】2017年11月8日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2018-0128632
(32)【優先日】2018年10月26日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000040
【氏名又は名称】特許業務法人池内アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】チャン、チョン−キ
(72)【発明者】
【氏名】シン、ヒョン−チン
(72)【発明者】
【氏名】イム、イェ−フン
【審査官】 田中 則充
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−045292(JP,A)
【文献】 特開昭57−098503(JP,A)
【文献】 韓国公開特許第10−2006−0034486(KR,A)
【文献】 特開2000−239315(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/122658(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29B 7/00−11/14
B29B 13/00−15/06
C08J 3/12
C08F 6/22
C08L 21/00
C08L 51/04
B01F 7/06− 7/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高分子ラテックスと凝集剤がそれぞれ供給される第1凝集槽を含み、
第1凝集槽には、回転軸及び回転軸に装着された1つ以上のインペラを含む撹拌部及び排出ラインがそれぞれ用意され、
排出ラインは第1凝集槽の上端領域に連結され、
第1凝集槽は、撹拌部作動時に閉鎖系(closed system)で作動するように用意され、
排出ラインは、第1凝集槽に接線方向に沿って連結され、撹拌部の回転軸を基準に所定角度で傾くように第1凝集槽に連結され、
第1凝集槽から排出された高分子スラリーが流入される第2凝集槽をさらに含み、
排出ラインは、第2凝集槽のスラリーレベル(level)よりも低い高さに連結される
高分子ラテックス樹脂粉体の製造装置。
【請求項2】
第1凝集槽には、高分子ラテックス及び凝集剤がそれぞれ供給される第1及び第2供給ラインが連結され、
第1及び第2供給ラインは、第1凝集槽の下端領域にそれぞれ連結され、インペラの終端部側に高分子ラテックス及び凝集剤がそれぞれ供給されるように用意されたことを特徴とする請求項1に記載の高分子ラテックス樹脂粉体の製造装置。
【請求項3】
前記角度は45゜であることを特徴とする請求項1または2に記載の高分子ラテックス樹脂粉体の製造装置。
【請求項4】
排出ラインは、第1凝集槽と連結された第1領域及び第2凝集槽と連結された第2領域を含み、
第1領域と第2領域が所定角度で連結されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の高分子ラテックス樹脂粉体の製造装置。
【請求項5】
第1領域及び第2領域の境界部は、第1凝集槽の最上端よりも上部に位置することを特徴とする請求項4に記載の高分子ラテックス樹脂粉体の製造装置。
【請求項6】
撹拌部作動時に第1凝集槽及び排出ラインは高分子スラリーで充満された状態であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の高分子ラテックス樹脂粉体の製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高分子ラテックス樹脂粉体の製造装置及び製造方法(Apparatus and method for preparing of polymer latex)に関するものである。
【0002】
本出願は、2017年11月8日の韓国特許出願第10-2017-01479394号及び2018年10月26日の韓国特許出願第10-2018-0128632号に基づいた優先権の利益を主張し、該当韓国特許出願の文献に開示されたすべての内容は本明細書の一部として含まれる。
【背景技術】
【0003】
一般的に乳化重合工程において、高分子ラテックスを粉体に製造するための方法としてスロー凝集(Slow Coagulation)が用いられ、この方法は無機塩(salt)及び酸(acid)などの凝集剤水溶液を少量ずつ分割投入して乳化剤の安定性を崩すことで、ラテックス内の高分子を結合させる。
【0004】
スロー凝集方法は、ラピッド凝集(Rapid Coagulation)方法に比べて粒子大きさの調節が可能である。ラテックスの高分子粒子が結合することを凝集(coagulation)といい、高分子粒子が結合したことをスラリー(slurry)といっており、これらは物理的に弱く結合されている状態なので、撹拌機(例えば、インペラ)による剪断力(shear)により容易に破砕される(break-up)現象を表す。
【0005】
また、1次的に凝集したスラリーは、熟成(aging)過程を経ることになる。このように生成したスラリーは脱水及び乾燥過程を経て最終的に粉体状として得られる。
【0006】
通常、高分子ラテックス樹脂粉体の中で、平均粒径が約75μm以下の微細な粒子を「ファイン(Fine)」といい、平均粒径が約800μm以上の大きい粒子をコース(Coarse)という。前記ファインはラテックス樹脂粉体の脱水機及び乾燥機の性能を低下させ、空気中に砒酸しやすいので工程中に粉体の移送と梱包にも多くの問題点を発生させる原因となっており、コース(Coarse)は移送及び貯蔵上の問題点があって、他の高分子樹脂との相溶性が良くないという短所がある。
【0007】
図1は、従来の高分子ラテックス樹脂粉体の製造装置10を示す概念図である。
【0008】
図1に示すように、前記製造装置10は、凝集槽11と、凝集槽に高分子ラテックス、凝集剤及び水などを供給するための複数個の供給ライン12と、凝集槽11内に設けられた撹拌部20及び排出ライン13を含む。ここで前記凝集槽11は開放系(open system)で作動するように用意される。より詳しくは、凝集槽11は所定スラリーレベル(level)で維持され、凝集槽11の上部には空気層14が形成される。
【0009】
このように、開放系で撹拌部20が作動する場合、撹拌部20周辺にボルテックスV(Vortex)生成によりコース粒子が生成される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、ファインとコース粒子を減少させることができる高分子ラテックス樹脂粉体の製造装置及び製造方法を提供することを、解決しようとする課題とする。
【0011】
また、本発明は、均一な剪断力を加えることができる高分子ラテックス樹脂粉体の製造装置及び製造方法を提供することを、解決しようとする課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記課題を解決するために、本発明の一観点によれば、高分子ラテックスと凝集剤がそれぞれ供給される第1凝集槽を含み、第1凝集槽には、回転軸及び回転軸に装着された1つ以上のインペラを含む撹拌部及び排出ラインがそれぞれ用意され、第1凝集槽は、撹拌部作動時に閉鎖系(closed system)で作動するように用意された、高分子ラテックス樹脂粉体の製造装置が提供される。
【0013】
排出ラインは、第1凝集槽の上端領域に連結され、これにより、第1凝集槽は撹拌部作動時に閉鎖系(closed system)で作動するように用意される。
【0014】
また、排出ラインは、第1凝集槽に接線方向に沿って連結される。
【0015】
また、排出ラインは、撹拌部の回転軸を基準に所定角度で傾くように第1凝集槽に連結される。また、前記角度は45゜であってもよい。
【0016】
また、第1凝集槽には高分子ラテックス及び凝集剤がそれぞれ供給される第1及び第2供給ラインが連結されていてもよい。
【0017】
また、第1及び第2供給ラインは、第1凝集槽の下端領域にそれぞれ連結され、インペラの終端部側に高分子ラテックス及び凝集剤がそれぞれ供給されるように用いられる。
【0018】
また、高分子ラテックス樹脂粉体の製造装置は、第1凝集槽から排出された高分子スラリーが流入される第2凝集槽をさらに含んでいてもよい。
【0019】
このとき、排出ラインは、第2凝集槽のスラリーレベル(level)よりも低い高さで、第2凝集槽に連結されていてもよい。
【0020】
また、排出ラインは、第1凝集槽と連結された第1領域及び第2凝集槽と連結された第2領域を含んでいてもよい。
【0021】
また、第1領域及び第2領域の境界部は第1凝集槽の最上端よりも上部に位置することができる。
【0022】
また、排出ラインの第1領域と第2領域は、所定角度で連結されていてもよい。
【0023】
また、撹拌部作動時に第1凝集槽及び排出ラインはそれぞれ高分子スラリーで全部満たされた状態であることが好ましい。
【0024】
また、本発明の他の観点によれば、高分子ラテックスと凝集剤を第1凝集槽にそれぞれ供給する段階と、閉鎖系(closed system)で第1凝集槽内の高分子ラテックスと凝集剤を撹拌させる段階と、第1凝集槽内の高分子スラリーを第2凝集槽に供給する段階と、を含む高分子ラテックス樹脂粉体の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0025】
以上説明したように、本発明の少なくとも一実施形態に係る高分子ラテックス樹脂粉体の製造装置及び製造方法は次のような効果を有する。
【0026】
高分子スラリーを撹拌する際に、凝集槽が閉鎖系(closed system)で作動するように用意することで、ファインとコース粒子を減少させることができ、撹拌部を持って高分子スラリーに均一な剪断力を加えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】従来の高分子ラテックス樹脂粉体の製造装置を示す概念図である。
図2】本発明の一実施形態に係る高分子ラテックス樹脂粉体の製造装置を示す概念図である。
図3】排出ラインの連結構造を説明するための図である。
図4図3のA領域の解釈結果である。
図5】本発明がまた他の実施形態に係る高分子ラテックス樹脂粉体の製造装置を示す概念図である。
図6】剪断速度(shear rate)の分布割合を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の一実施形態による高分子ラテックス樹脂粉体の製造装置及び製造方法を添付の図面を参考して詳しく説明する。
【0029】
また、図面符号に関係なく同一であるか、対応される構成要素は同一または類似の参照番号を付与してこれに対する重複説明を省略するものとし、説明の便宜上に図示した各構成部材の大きさ及び形状は誇張または縮小され得る。
【0030】
図2は、本発明の一実施形態に係る高分子ラテックス樹脂粉体の製造装置100(以下、「製造装置」とする)を示す概念図である。
【0031】
また、図3は、排出ラインの連結構造を説明するための図であり、図4は、図3のA領域の解釈結果である。
【0032】
前記製造装置100は、第1凝集槽110と複数個の供給ライン111、112と撹拌部120及び排出ライン130を含む。
【0033】
より詳しくは、前記製造装置100は、高分子ラテックスと凝集剤がそれぞれ供給される第1凝集槽110を含む。また、前記第1凝集槽110には回転軸121及び回転軸121に装着された1つ以上のインペラ122を含む撹拌部120及び排出ライン130がそれぞれ用意される。また、第1凝集槽110は、撹拌部120が作動時に閉鎖系(closed system)で作動するように用意される。前記第1凝集槽110は、閉鎖系(closed system)で作動する凝集タンクで構成されることができる。非説明の符号Cは第1凝集槽110の中心軸を示す。
【0034】
本明細書において、第1凝集槽110が閉鎖系(closed system)で作動するということは、撹拌部120作動時に第1凝集槽110及び排出ライン130が高分子スラリーで充満された状態であることを意味する。例えば、第1凝集槽110が閉鎖系(closed system)で作動するということは、第1凝集槽110の体積の90%以上が高分子スラリーで満たされた状態を意味するものであってもよく、好ましくは、第1凝集槽110の体積の95%以上が高分子スラリーで満たされた状態を意味するものであってもよく、最も好ましくは、第1凝集槽110の体積の100%が高分子スラリーで満たされた状態を意味するものであってもよい。
【0035】
また、第1凝集槽110には、下端領域に供給部102が用いられる。より詳しくは、第1凝集槽110には、下端領域に高分子ラテックス及び凝集剤がそれぞれ供給される第1及び第2供給ライン111、112が連結されていてもよい。それぞれの供給ライン111、112は1つ以上の供給源101と連結されていてもよい。前記供給源は、例えば、ラテックスタンクを含んでいてもよい。また、第1凝集槽110には水などがさらに供給されることができる。
【0036】
一方、前記第1及び第2供給ライン111、112は第1凝集槽110の下端領域にそれぞれ連結されていてもよい。また、前記第1及び第2供給ライン111、112は、第1凝集槽110の下端領域に、回転軸121の軸方向に平行にそれぞれ連結されていてもよい。また、第1及び第2供給ライン111、112は、インペラ122(第1凝集槽の下端領域に位置したインペラ)の終端部側に高分子ラテックス及び凝集剤がそれぞれ供給されるように用いられる。
【0037】
前記排出ライン130は第1凝集槽110の上端領域に連結される。前記排出ライン130が第1凝集槽110の上端領域に連結されることで、第1凝集槽110が容易に閉鎖系(closed system)で作動することができる。
【0038】
また、前記第1凝集槽110の排出ライン130は、第1凝集槽110と連結された第1領域131及び第2凝集槽200と連結された第2領域132を含んでいてもよい。このとき、第1領域131と第2領域132は所定角度で連結されていてもよい。
【0039】
また、第1領域及び第2領域の境界部(連結部)133は、第1凝集槽110の最上端Tよりも上部に位置する。本明細書において、第1領域及び第2領域の境界部133は、第1凝集槽の中心軸C方向(y軸r方向)を基準に、第1凝集槽110の最上端Tよりも上部に位置する。このような構造において、排出ライン130の第1領域131が高分子スラリーで充満された状態である際、第1凝集槽110の体積の90%以上が高分子スラリーで満たされた状態であってもよく、好ましくは、第1凝集槽110の体積の95%以上が高分子スラリーで満たされた状態であってもよく、最も好ましくは、第1凝集槽110の100%が高分子スラリーで満たされた状態であってもよい。
【0040】
図3によれば、前記排出ライン130は、第1凝集槽110に接線方向に沿って連結される。第1凝集槽110は、円筒状シリンダ形態であってもよい。第1凝集槽110は、図2においてx軸方向と平行な断面形状が円形状であってもよい。このような構造において、第1領域131は第1凝集槽110に接線方向に沿って連結される。前記接線方向とは、第1凝集槽110の中心軸Cを基準として第1凝集槽110の接線方向に連結されることを意味する。
【0041】
また、前記排出ライン130は、撹拌部120の回転軸121または第1凝集槽の中心軸を基準に所定角度で傾くように第1凝集槽110に連結される。
【0042】
より詳しくは、第1領域131は、撹拌部120の回転軸121または第1凝集槽の中心軸を基準に所定角度で傾くように第1凝集槽110に連結される。
【0043】
また、高分子スラリーが排出ライン130を充満した状態で高分子スラリーの流動が行われるように、前記角度θは約45゜であることが好ましい。また、上述のように、所定角度で傾いた状態で排出ライン130を第1凝集槽110に連結すると、排出流動速度(outlet flow rate)を一定に維持させることができる。
【0044】
また、前記製造装置100は、第1凝集槽110から排出された高分子スラリーが流入される第2凝集槽200をさらに含んでいてもよい。
このとき、第2凝集槽200は、図1で説明の一般的な凝集槽の構造を有していてもよい。例えば、前記第2凝集槽200は、撹拌空間を提供するハウジング210と、ハウジング210内に用意された撹拌部220及び前記ハウジング210と連結された排出ライン213を含んでいてもよい。また、第2凝集槽200は、開放系(open system)で作動するように用いられる。
【0045】
一方、第1凝集槽110の排出ライン130は、第2凝集槽200のスラリーレベルL(level)よりも低い高さに連結されていてもよい。
【0046】
このような構造において、撹拌部120作動時に第1凝集槽110及び排出ライン130が高分子スラリーで充満された状態であってもよい。
【0047】
図5は、本発明がまた他の実施形態に係る高分子ラテックス樹脂粉体の製造装置を示す概念図である。
【0048】
図5に示すように、高分子ラテックス樹脂粉体の製造装置は複数個の第1凝集槽110、110’を含んでいてもよい。また、隣接する2個の第1凝集槽110、110’は、共に閉鎖系を形成するように連結されていてもよい。
【0049】
例えば、供給源101と連結された第1凝集槽110の排出ライン130は、隣接る第1凝集槽110’の供給部102’と連結される。このとき、供給源101と連結された第1凝集槽100の排出ライン130は、第1領域131が第1凝集槽110の上端領域から引出され、第2領域132が隣接する第1凝集槽110’の下端領域の供給部102’と連結される。
上記のような構造を有する製造装置100を用いた高分子ラテックス樹脂粉体の製造方法(以下、「製造方法」とする)をより詳しく説明する。
【0050】
前記製造方法は、高分子ラテックスと凝集剤を第1凝集槽110にそれぞれ供給する段階と、閉鎖系(closed system)で第1凝集槽110内の高分子ラテックスと凝集剤を撹拌させる段階、及び第1凝集槽内の高分子スラリーを第2凝集槽200に供給する段階を含む。
【0051】
また、第1凝集槽110内の高分子スラリーは、第2凝集槽200のスラリーレベルLよりも低い高さで供給することが好ましい。
【0052】
また、撹拌時に、第1凝集槽110は高分子スラリーで充満された状態であることが好ましい。
図6は、剪断速度(shear rate)の分布割合を示すグラフである。
図6に示すように、符号E1は、従来の凝集を示し、符号E2は新規の凝集を示す。ここで、「従来凝集」は図1で説明した開放系(open system)で作動する凝集槽での剪断速度の分布割合を示し、「新規凝集」は本発明に係る製造装置を用いた結果として閉鎖系(closed system)で作動する凝集槽での剪断速度の分布割合を示し、閉鎖系で作動させた場合に剪断速度の分布割合が均等に形成されることを確認することができる。
【0053】
上述した本発明の好ましい実施形態は、例示の目的のために開示されたものであって、本発明に対する通常の知識を有する当業者であれば本発明の思想と範囲内で多様な修正、変更、付加が可能であり、このような修正、変更及び付加は下記の特許請求の範囲に属するものと理解すべきである。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明の少なくとも一実施形態に係る高分子ラテックス樹脂粉体の製造装置及び製造方法によれば、高分子スラリー撹拌時に凝集槽が閉鎖系(closed system)で作動するように用意することで、ファインとコース粒子を減少させることができ、撹拌部を持って高分子スラリーに均一な剪断力を加えることができる。
【符号の説明】
【0055】
10、100 製造装置
11 凝集槽
12 複数個の供給ライン
14 空気層
13、130,213 排出ライン
20、120,220 撹拌部
101 供給源
102、102’ 供給部
110、110’ 第1凝集槽
111,112 供給ライン
121 回転軸
122 インペラ
131 第1領域
132 第2領域
133 境界部(連結部)
200 第2凝集槽
図1
図2
図3
図4
図5
図6