(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第4の工程に引き続き、前記トレンチ内において前記第4の工程で除去された前記絶縁膜の一部が含まれていた領域に有機絶縁材料を埋め込んでから前記第5の工程を実行し、
前記第5の工程に引き続き、前記有機絶縁材料を除去してから前記第6の工程を実行することを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施例について詳細に説明する。
【0020】
図1(a)は、本発明に係る半導体装置100の一部を素子形成面の上方から眺めた上面図である。
図1(b)は、
図1(a)におけるX−X線に沿った断面図である。尚、
図1(a)及び
図1(b)では、互いに隣接するMOS(Metal Oxide Semiconductor)型のトランジスタTR1及びTR2と、STI構造の素子分離領域ISAとの構成を表す。
【0021】
図1(b)に示すように、トランジスタTR1は、例えばSi(シリコン)からなる半導体基板10上に形成されており、凸状の形態を有する第1導電型(例えばp型)のウェル11に形成されている。
【0022】
ウェル11の上面部には、
図1(b)に示すようにトランジスタTR1のドレインとしての第2導電型(例えばn型)の高濃度拡散層12dと、トランジスタTR1のソースとしての第2導電型の高濃度拡散層12sと、が互いに離間して形成されている。ウェル11の上面部における高濃度拡散層12dと12sとの間には、第2導電型の低濃度拡散層としてのLDD(Lightly Doped Drain)層13d及び13sが、互いに離間して形成されている。
【0023】
ウェル11の上面部におけるLDD層13d及び13s間の領域の表面には、ゲート酸化膜14を介してポリシリコン等からなるゲート電極15が形成されている。ゲート電極15の側壁は、絶縁膜等からなるサイドウォール16で覆われている。
【0024】
このように、ウェル11における凸部の領域、つまり
図1(b)に示す第1の素子領域E1に、ドレイン(12d、13d)、ソース(12s、13s)、ゲート酸化膜14、ゲート電極15を有するトランジスタTR1が形成されている。
【0025】
また、トランジスタTR2は、上記した半導体基板10上に形成されており、凸状の形態を有する第2導電型(例えばn型)のウェル21に形成されている。
【0026】
ウェル21の上面部には、
図1(b)に示すようにトランジスタTR2のドレインとしての第1導電型の高濃度拡散層22dと、トランジスタTR2のソースとしての第1導電型の高濃度拡散層22sと、が互いに離間して形成されている。ウェル21の上面部における高濃度拡散層22dと22sとの間には、第1導電型のLDD層23d及び23sが、互いに離間して形成されている。
【0027】
ウェル21の上面部におけるLDD層23d及び23s間の領域の表面には、ゲート酸化膜24を介してポリシリコン等からなるゲート電極25が形成されている。ゲート電極25の側壁は、絶縁膜等からなるサイドウォール26で覆われている。
【0028】
このように、ウェル21における凸部の領域、つまり
図1(b)に示す第2の素子領域E2に、ドレイン(22d、23d)、ソース(22s、23s)、ゲート酸化膜24、ゲート電極25を有する第2のトランジスタTR2が形成されている。
【0029】
素子分離領域ISAは、素子領域E1及びE2に隣接しており、当該素子領域E1及びE2と素子分離領域ISAとの境界部に形成されたトレンチ30を含む。トレンチ30の底部上には酸化膜31が形成されている。酸化膜31は、トレンチ30の底部から自身の上面までの膜厚が、ウェル11又は21の凸部の高さに相当する厚さを有する。酸化膜31の上面にはゲート電極35が形成されている。ゲート電極35の側壁は、絶縁膜等からなるサイドウォール36で覆われている。
【0030】
尚、素子分離領域ISAに形成されているゲート電極35は、素子同士を接続する為の配線、或いはコンデンサの電極等の用途に用いる予備の電極である。
【0031】
すなわち、素子分離領域ISAは、
素子領域E1及びE2同士を電気的に分離させると共に、素子同士を接続する為の配線、或いはコンデンサの電極等を備える。
【0032】
尚、酸化膜31の側壁は、
図1(b)に示すように、ウェル11及び12のいずれの側壁とも距離的に離れている。
【0033】
上記したウェル(11、21)、高濃度拡散層(12d、12s、22d、22s)、ゲート電極(15、25、35)、サイドウォール(16、26、36)及び酸化膜31各々の表面は、
図1(b)に示すように、マスク酸化膜41で覆われている。マスク酸化膜41上には、半導体装置100に形成されている各素子を保護する絶縁層51が形成されている。
【0034】
高濃度拡散層12d、12s、22d及び22sの各々は、
図1(b)に示すように絶縁層51を貫通するコンタクト65を介して、絶縁層51の上面に形成されているメタル配線層70と結合されている。また、ゲート電極15及び25の各々は、絶縁層51を貫通するコンタクト65を介して、絶縁層51の上面に形成されているメタル配線層70と結合されている(図示せず)。更に、ゲート電極35も、絶縁層51を貫通するコンタクト65を介して、絶縁層51の上面に形成されているメタル配線層70と結合されている(図示せず)。
【0035】
尚、コンタクト65は、コンタクトホールの側面と底面とに形成されたバリアメタル61と、コンタクトホールを充填する金属プラグ60と、を含む。
【0036】
図1(b)に示すように、コンタクト65は、絶縁層51の上面に形成されているメタル配線層70と結合されている。尚、メタル配線層70は、上層バリアメタル71と、例えばAl(アルミ)−Cu(銅)等の合金からなる導電部材72と、例えばTi(チタン)又はTiN(窒化チタン)等からなる下層バリアメタル73と、による積層構造を有する。下層バリアメタル73はコンタクト65と結合されている。
【0037】
以下に、
図1に示される半導体装置100の製造方法について、
図2及び
図3に示す製造フローに沿って説明する。
【0038】
半導体装置100を製造するにあたり、
図4に示すように、第1導電型のウェル11及び第2導電型のウェル21が形成されている半導体基板10の主面に、酸化膜301及び窒化膜302が積層されたウェハを用意する。尚、酸化膜301は、例えばウェル11及び21のシリコンの上面部を熱酸化して得られたシリコン熱酸化膜であり、窒化膜302は、例えばCVD(chemical vapor deposition)法により形成された窒化シリコンである。
【0039】
先ず、
図4に示すウェハに対してトレンチエッチング工程S1を実行する。
【0040】
トレンチエッチング工程S1では、素子分離領域ISA以外の窒化膜302の上面にフォトレジストを形成する。そして、例えばCl
2(塩素)及びO
2(酸素)、或いはHBr(臭化水素)及びO
2の混合ガスを用いたドライエッチングによって、素子分離領域ISAに
図5に示すようなトレンチ300を形成する。
【0041】
ここで、ウェル11の凸状の領域が第1の素子領域E1、ウェル21の凸状の領域が第2の素子領域E2となる。更に、これら素子領域E1及びE2に隣接している領域が素子分離領域ISAとなる。
【0042】
次に、
図5に示すウェハに対してトレンチ酸化膜形成工程S2を実行する。
【0043】
トレンチ酸化膜形成工程S2では、先ず、トレンチ300によって形成されたウェル11及び21各々の側壁、つまりトレンチ300による内壁に熱酸化膜を形成する。そして、CVD法によってトレンチ300内及び窒化膜302上面に、例えばSiO
2(酸化シリコン)等からなる酸化膜をCVD法により形成する。その後、窒化膜302の上面に形成された酸化膜を、CMP(chemical mechanical polishing)による研磨で除去することで、
図6に示すような酸化膜303を形成する。
【0044】
次に、
図6に示すウェハに対してSTI形成工程S3を実行する。
【0045】
STI形成工程S3では、先ず、HF(フッ化水素酸)を用いたウェットエッチングにより、トレンチ300内の酸化膜303の上部を除去して、酸化膜303の高さを調整する。次に、リン酸溶液を用いたウェットエッチングによって、ウェハの上面に露出する窒化膜302を除去することにより、
図7に示すように、トレンチ300内に酸化膜303が埋設されたSTIを形成する。
【0046】
次に、
図7に示すウェハに対してポリシリコン形成工程S4を実行する。
【0047】
ポリシリコン形成工程S4では、先ず、HF(フッ化水素酸)を用いたウェットエッチングにより、半導体基板10の主面の酸化膜301を除去し、露出した半導体基板10の主面を熱酸化することでゲート酸化膜140を形成する。そして、熱CVD法により、
図8に示すように、ゲート酸化膜140及び酸化膜303各々の上面にポリシリコン膜304を形成する。
【0048】
次に、
図8に示すウェハに対してゲート電極エッチング工程S5を実行する。
【0049】
ゲート電極エッチング工程S5では、ポリシリコン膜304の上面におけるゲート電極の形成予定領域にフォトレジストを形成する。そして、ドライエッチングによって、
図9に示すように、ウェル11上にゲート電極15、ウェル21上にゲート電極25、酸化膜303上にゲート電極35を形成する。
【0050】
次に、
図9に示すウェハに対して第1LDD形成工程S6を実行する。
【0051】
第1LDD形成工程S6では、
図10に示すように、ウェル21の素子形成領域、酸化膜303の上面及びゲート電極35をレジスト305で被覆する。そして、イオン注入装置により、ウェハ表面の全域に第2導電型の不純物としての例えばP
+(リン)或いはAs
+(ヒ素)を注入する。これにより、
図10に示すように、ウェル11の上面部において、レジスト305及びゲート電極15で覆われていない領域に、第2導電型の低濃度拡散層としてのLDD層306を形成する。
【0052】
次に、
図10に示すウェハからレジスト305を除去したウェハに対して第2LDD形成工程S7を実行する。
【0053】
第2LDD形成工程S7では、
図11に示すように、ウェル11の素子形成領域をレジスト307で被覆し、イオン注入装置により、ウェハ表面の全域に第1導電型の不純物としての例えばB
+(ボロン)を注入する。これにより、
図11に示すように、ウェル21の上面部において、レジスト307及びゲート電極25で覆われていない領域に、第1導電型の低濃度拡散層としてのLDD層308を形成する。
【0054】
次に、
図11に示すウェハからレジスト307を除去したウェハに対して絶縁膜形成工程S8を実行する。
【0055】
絶縁膜形成工程S8では、例えばSiH
2Cl
2(ジクロロシラン)及びNH
3(アンモニア)を含む混合ガスを用いたCVD法により、
図12に示すように、ウェハ表面の全域に窒化シリコンを含む絶縁膜309を形成する。
【0056】
次に、
図12に示すウェハに対してサイドウォールエッチング工程S9を実行する。
【0057】
サイドウォールエッチング工程S9では、当該ウェハに対して異方性ドライエッチによる全面エッチバックを行う。これにより、
図13に示すように、ゲート電極15の側壁にサイドウォール16、ゲート電極25の側壁にサイドウォール26、ゲート電極35の側壁にサイドウォール36が夫々形成される。
【0058】
次に、
図13に示すウェハに対してトレンチ内酸化膜除去工程S10を実行する。
【0059】
トレンチ内酸化膜除去工程S10では、
図13に示すウェハに対して、例えばC
4F
8(オクタフルオロシクロブタン)、Ar(アルゴン)及びO
2(酸素)からなる混合ガスを用いた異方性ドライエッチングを施す。この異方性ドライエッチングにより、ゲート電極35及びサイドウォール36をマスクとして、トレンチ300に埋設されている酸化膜303のうちで、ウェル11及び21、並びにLDD層306及び308に接している部分を除去する。更に、この異方性ドライエッチングにより、酸化膜140のうちで、ゲート電極15、25、サイドウォール16及び26によってマスクされていない部分が除去される。
【0060】
これにより、
図14に示すように、トレンチ300に埋設された酸化膜303のうちで、上記した異方性ドライエッチングによって除去された部分が
図14に示すように新たなトレンチ30となり、残された部分が酸化膜31となる。この際、酸化膜31の側壁と、ウェル11及び21各々の側壁とが、トレンチ30を介して互いに距離的に隔てられている。
【0061】
次に、
図14に示すウェハに対してマスク酸化膜形成工程S11を実行する。
【0062】
マスク酸化膜形成工程S11では、CVD法に基づき、
図15に示すように、ウェハの表面全体に例えばSiO
2等からなる膜厚100〜200オングストロームのマスク酸化膜41を形成する。尚、マスク酸化膜41は、後述する有機絶縁膜に含まれるカーボンによる汚染から素子を保護する。
【0063】
次に、
図15に示すウェハに対してトレンチ埋設工程S12を実行する。
【0064】
トレンチ埋設工程S12では、先ず、コータ等の塗布装置を用いて、カーボンを含む有機絶縁物をウェハの全面に塗布する。次に、ドライエッチングによるエッチバックによって、ウェハ表面に堆積した有機絶縁物のうちで、トレンチ30に堆積した有機絶縁物以外の有機絶縁物を除去する。これにより、
図16に示すように、トレンチ30内に有機絶縁材料からなる有機絶縁膜311が形成される。トレンチ30内に形成された有機絶縁膜311により、以下の第1高濃度拡散層形成工程S13及び第2高濃度拡散層形成工程S14で不純物の注入処理が行われた際に、トレンチ30の側壁及び底面への不純物の注入が阻止される。
【0065】
次に、
図16に示すウェハに対して第1高濃度拡散層形成工程S13を実行する。
【0066】
第1高濃度拡散層形成工程S13では、
図17に示すように、ウェル21の素子形成領域をレジスト312で被覆し、イオン注入装置により、ウェハ表面の全域に第2導電型の不純物としての例えばP
+(リン)或いはAs
+(ヒ素)を注入する。これにより、ウェル11に形成されているLDD層306の形成領域中において、
図17に示すように、サイドウォール16でマスクされていない部分に高濃度不純物が注入され、その部分が高濃度拡散層12d及び12sとなる。一方、LDD層306の形成領域中において、サイドウォール16でマスクされている部分には不純物の注入がなされないので、その部分は低濃度拡散層としてのLDD層13d及び13sとなる。
【0067】
次に、
図17に示すウェハからレジスト312を除去したウェハに対して第2高濃度拡散層形成工程S14を実行する。
【0068】
第2高濃度拡散層形成工程S14では、
図18に示すように、ウェル11の素子形成領域をレジスト313で被覆し、イオン注入装置により、ウェハ表面の全域に第1導電型の不純物としての例えばB
+(ボロン)を注入する。これにより、ウェル21に形成されているLDD層308の形成領域中において、
図18に示すように、サイドウォール26でマスクされていない部分に高濃度不純物が注入され、その部分が高濃度拡散層22d及び22sとなる。一方、LDD層308の形成領域中において、サイドウォール26でマスクされている部分には不純物の注入がなされないので、その部分は低濃度拡散層としてのLDD層23d及び23sとなる。
【0069】
次に、
図18に示すウェハからレジスト313を除去したウェハに対して有機絶縁膜除去工程S15を実行する。
【0070】
有機絶縁膜除去工程S15では、このウェハの表面をO
2プラズマでアッシングすることにより、トレンチ30内に埋設されている有機絶縁膜311を
図19に示すように除去する。
【0071】
次に、
図19に示すウェハに対してアニール工程S16を実行する。
【0072】
アニール工程S16では、例えばランプアニール等によりウェハに例えば1000度程度の熱を加える。これにより、不純物の注入によって損傷した高濃度拡散層12d、12s、22d及び22s、LDD層13d、13s、23d及び23s各々の回復、及び不純物の活性化を図る。
【0073】
次に、当該アニール工程S16が施されたウェハに対して絶縁層形成工程S17を実行する。
【0074】
絶縁層形成工程S17では、CVD法に基づき、NSG(None-doped Silicate Glass)膜等のノンドープのプラズマ酸化膜からなる絶縁層51を、
図20に示すようにトレンチ30内を含むウェハの表面全体に形成する。
【0075】
次に、
図20に示すウェハに対してコンタクトホール形成工程S18を実行する。
【0076】
コンタクトホール形成工程S18では、絶縁層51の上面において
図1に示すコンタクト65の領域以外の領域を覆うレジストをマスクとして絶縁層51にドライエッチングを施す。これにより、ゲート電極15、25、35、高濃度拡散層12d、12s、22d及び22sを露出させるコンタクトホール314を
図21に示すように形成する。
【0077】
次に、
図21に示すウェハに対してコンタクトプラグ形成工程S19を実行する。
【0078】
コンタクトプラグ形成工程S19では、先ず、
図21に示すウェハの表面の全域に例えばTi(チタン)、TiN(窒化チタン)等のバリアメタルを形成する。これにより、各コンタクトホール314による絶縁層51の内壁とコンタクトホール314により露出したゲート電極15、25、35、高濃度拡散層12d、12s、22d及び22sに、バリアメタル61が形成される。次に、このウェハの表面の全域に例えば高融点金属であるタングステンを形成する。これにより、コンタクトホール314にタングステンが形成され、各コンタクトホール314内に、バリアメタル61と金属プラグ60との積層膜が形成される。その後、CMPによる研磨、或いはエッチバックにより、絶縁層51の上面に形成されているタングステン及びチタンを除去する。これにより、
図22に示すようにコンタクトホール314内にコンタクトプラグが形成される。
【0079】
次に、
図22に示すウェハに対して配線層形成工程S20を実行する。
【0080】
配線層形成工程S20では、スパッタリングにより、
図23に示すように絶縁層51の上面に、例えばTi(チタン)又はTiN(窒化チタン)等からなる下層バリアメタル73、例えばAl−Cu(アルミ、銅)等の合金からなる導電部材72及び上層バリアメタル層71を積層する。
【0081】
次に、
図23に示すウェハに対して配線層エッチング工程S21を実行する。
【0082】
配線層エッチング工程S21では、バリアメタル層71の上面においてメタル配線に相当する領域をレジストでマスクして、上層バリアメタル層71、導電部材72及び下層バリアメタル73をエッチングする。これにより、
図24に示すように、絶縁層51の上面に、上層バリアメタル層71、導電部材72及び下層バリアメタル73の積層構造を有するメタル配線層70が形成される。
【0083】
このように、
図2及び
図3に示す一連の工程(S1〜S21)をウェハに施すことにより、
図1(a)及び
図1(b)に示す半導体装置100を製造する。
【0084】
かかる製造方法によると、アニール工程S16の実行時には、
図19に示すように、素子分離領域ISAに形成されている絶縁膜31の側壁と、ウェル11及び21各々の側壁との間は、トレンチ30によって空間的に隔てられている。
【0085】
よって、アニール工程S16において、互いに熱膨張係数が異なる絶縁膜31と、ウェル11及び12とに高熱が加えられても、ウェル11及び21各々の側壁には、絶縁膜31の側壁からの応力が掛からない。したがって、ウェル11及び12の結晶欠陥を防ぐことができるので、歩留まりを向上させることが可能となる。
【0086】
尚、上記実施例では、サイドウォール(16、26、36)の形成(
図13、S9)後、トレンチ30を形成(
図14、S10)してから、高濃度拡散層を形成(
図17、
図18、S13、S14)する。
【0087】
しかしながら、上記したサイドウォール(16、26、36)の形成後、高濃度拡散層を形成してからトレンチ30の形成を行うようにしても良い。
【0088】
図25は、かかる点に鑑みて為された、半導体装置100の製造方法の他の一例を表す製造フロー図である。尚、この他の一例では、
図3に示す工程S10〜S15に代えて以下に説明する工程S101〜S105を実行するものであり、その他の工程S1〜S9、S16〜S21については、前述したものと同一である。
【0089】
よって、以下に
図25に示す工程S101〜S105を抜粋して半導体装置100の製造方法の他の一例について説明する。
【0090】
すなわち、
図2に示すサイドウォールエッチング工程S9の実行後、
図13に示すウェハに対して第1マスク酸化膜形成工程S101を実行する。
【0091】
第1マスク酸化膜形成工程S101では、CVD法に基づき、
図26に示すように、ウェハの表面全体に例えばSiO
2等からなるマスク酸化膜401を形成する。尚、マスク酸化膜401は、後述する高濃度拡散層形成工程での不純物注入に伴う結晶欠陥を防止する。
【0092】
次に、
図26に示すウェハに対して第1高濃度拡散層形成工程S102を実行する。
【0093】
第1高濃度拡散層形成工程S102では、
図27に示すように、ウェル21の素子形成領域をレジスト402で被覆し、イオン注入装置により、ウェハ表面の全域に第2導電型の不純物として例えばP
+(リン)或いはAs
+(ヒ素)を注入する。これにより、ウェル11に形成されているLDD層306の形成領域中において、
図27に示すようにサイドウォール16でマスクされていない部分に高濃度不純物が注入され、その部分が高濃度拡散層12d及び12sとなる。一方、LDD層306の形成領域中において、サイドウォール16でマスクされている部分には不純物の注入がなされないので、その部分は低濃度拡散層としてのLDD層13d及び13sとなる。
【0094】
次に、
図27に示すウェハからレジスト402を除去したウェハに対して第2高濃度拡散層形成工程S103を実行する。
【0095】
第2高濃度拡散層形成工程S103では、
図28に示すように、ウェル11の素子形成領域をレジスト403で被覆し、イオン注入装置により、ウェハ表面の全域に第1導電型の不純物として例えばB
+(ボロン)を注入する。これにより、ウェル21に形成されているLDD層308の形成領域中において、
図28に示すように、サイドウォール26でマスクされていない部分に高濃度不純物が注入され、その部分が高濃度拡散層22d及び22sとなる。一方、LDD層308の形成領域中において、サイドウォール26でマスクされている部分には不純物の注入がなされないので、その部分は低濃度拡散層としてのLDD層23d及び23sとなる。
【0096】
次に、
図28に示すウェハからレジスト403を除去したウェハに対してトレンチ内酸化膜除去工程S104を実行する。
【0097】
トレンチ内酸化膜除去工程S104では、このウェハに対して、例えばC
4F
8(オクタフルオロシクロブタン)、Ar(アルゴン)及びO
2(酸素)からなる混合ガスを用いたドライエッチングを施す。この異方性ドライエッチングにより、ゲート電極35及びサイドウォール36をマスクとして、トレンチ300に埋設されている酸化膜303のうちで、ウェル11及び21、並びにLDD層306及び308に接している部分を除去する。更に、当該異方性ドライエッチングにより、マスク酸化膜401と共に、酸化膜140の一部、つまりゲート電極15、25、サイドウォール16及び26によってマスクされていない部分が除去される。
【0098】
これにより、
図29に示すように、トレンチ300に埋設されている酸化膜303のうちで、上記した異方性ドライエッチングによって除去された部分が、
図29に示すように新たなトレンチ30となり、残された部分が酸化膜31となる。この際、酸化膜31の側壁と、ウェル11及び21各々の側壁とが、トレンチ30を介して互いに距離的に隔てられている。
【0099】
次に、
図29に示すウェハに対して第2マスク酸化膜形成工程S105を実行する。
【0100】
第2マスク酸化膜形成工程S105では、CVD法に基づき、
図30に示すように、ウェハの表面全体に例えばSiO
2等からなる膜厚100〜200オングストロームのマスク酸化膜41を形成する。
【0101】
そして、第2マスク酸化膜形成工程S105の実行後、
図3と同様に、前述したアニール工程S16、絶縁層形成工程S17、コンタクトホール形成工程S18、コンタクトプラグ形成工程S19、及び配線層形成工程S20を順次実行する。
【0102】
よって、
図25に示す製造方法でも、
図3に示す製造方法と同様に、アニール工程S16の実行時には、
図30に示すように、絶縁膜31の側壁とウェル11及び21各々の側壁との間はトレンチ30によって空間的に隔てられている。
【0103】
したがって、アニール工程S16において、互いに熱膨張係数が異なる絶縁膜31と、ウェル11及び12とに高熱が加えられても、ウェル11及び21各々の側壁には、絶縁膜31の側壁からの応力が掛からない。これにより、ウェル11及び12の結晶欠陥を防ぐことができるので、歩留まりを向上させることが可能となる。
【0104】
更に、
図25に示す製造方法では、トレンチ300に埋め込んだ酸化膜303を除去するトレンチ内酸化膜除去工程S104を、高濃度拡散層を形成する第1及び第2高濃度拡散層形成工程S102及びS103の後に実行している。
【0105】
これにより、
図3に示す製造方法で必要となる有機絶縁膜の311の埋設及び除去処理(S12、S15)が不要となり、且つ高濃度拡散層形成工程(S102、S103)までは、従来の製造方法を採用することが可能となる。よって、従来の製造方法から
図25に示す製造方法への変更に費やされる時間を短縮することが可能となる。
【0106】
尚、上記実施例では、例えば酸化シリコンからなる酸化膜303をトレンチ300に充填しているが、酸化シリコン以外の絶縁材料からなる絶縁膜をトレンチ300に充填するようにしても良い。
【0107】
要するに、本発明に係る半導体装置の製造方法としては、以下の第1〜第6の工程を実行するものであれば良い。
【0108】
すなわち、第1の工程(S1)では、半導体の素子領域(11、21)の境界にトレンチ(300)を形成する。第2の工程(S2)では、トレンチ内に絶縁膜(303)を充填する。第3の工程(S4、S5)では、素子領域の上面に第1のゲート電極(15、25)を形成すると共に絶縁膜の上面に第2のゲート電極(35)を形成する。第4の工程(S10)では、絶縁膜の上面に形成された第2のゲート電極(35)をマスクとして、トレンチに充填されている絶縁膜のうちで素子領域に接する部分を除去する。第5の工程(S13、S14)では、素子領域に不純物を注入して拡散層(12d、12s、22s、22d)を形成する。第6の工程(S16)では、素子領域に熱処理を施すことにより拡散層に含まれる不純物を活性化させる。
【0109】
また、上記第4の工程(S10)に代えて、素子領域に不純物を注入して拡散層(12d、12s、22s、22d)を形成する第4の工程(S102、S103)を実行し、上記第5の工程(S13、S14)に代えて、トレンチに充填されている絶縁膜のうちで素子領域に接する部分(30)を除去する第5の工程(S104)を実行する。