(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
板厚2.8mmでの、ISO13837:2008 convention Aで規定された紫外線透過率(TUV400)が1.0%以下である、請求項1または2に記載の紫外線吸収性ガラス。
板厚2.8mmでの、ISO9050:2003で規定された前記紫外線透過率(TUV380)が0.5%以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の紫外線吸収性ガラス。
板厚2.8mmでの、JIS R 3106:1998で規定されたエネルギー透過率(TE)が28%以下である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の紫外線吸収性ガラス。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態に係る紫外線吸収性ガラスを詳細に説明する。
本明細書を通じて、TEはJIS−R3106:1998により求めたエネルギー透過率を、TUV400はISO13837:2008 convention Aにより求めた紫外線透過率を、TUV380はISO 9050:2003により求めた紫外線透過率を、それぞれ意味する。また、TVAは標準A光源2度視野を用いて求めた可視光透過率を、λDは標準C光源2度視野を用いて求めた主波長を、Peは標準C光源2度視野を用いて求めた刺激純度を、それぞれ意味する。
【0010】
本発明の一実施形態に係る紫外線吸収性ガラスは、酸化物基準の質量%表示で、
SiO
2 62〜75%、
Na
2O 10〜20%、
CaO 5〜15%、
MgO 0〜6%、
Al
2O
3 0〜5%、
K
2O 0〜5%、
FeO 0.13〜0.9%、
Fe
2O
3に換算した全鉄 1.2%〜2.8%、
TiO
2 1.3〜5%、
CeO
2 0〜0.4%、
CoO 0.01〜0.05%、
Se 0〜0.007%、
Cr
2O
3 0〜0.08%、
NiO 0〜0.2%、
を含有し、
FeOの含有量とTiO
2の含有量との積(FeO×TiO
2)が1.1〜4.5であり、
板厚2.8mmでの、標準A光源に基づく可視光透過率(TVA)が8〜25%であり、
板厚2.8mmでの、ISO13837:2008 convention Aで規定された紫外線透過率(TUV400)が2.0%以下である。
なお、上記した数値範囲を示す「〜」とは、その前後に記載された数値を下限値及び上限値として含む意味で使用され、特段の定めがない限り、以下本明細書において「〜」は、同様の意味をもって使用される。
【0011】
本発明において、上記成分とする理由を以下に述べる。なお、特に明記がない限り、各成分の含有量を表す「%」は酸化物基準の質量%を意味するものとする。
【0012】
SiO
2は、ネットワークを構築する成分であり、必須成分である。SiO
2は、含有量が62%以上であれば耐候性が良くなり、75%以下であれば粘度が高くなりすぎず、溶融性がよい。SiO
2の含有量は、65%以上が好ましく、67%以上がより好ましい。また、SiO
2の含有量は、72%以下が好ましく、70%以下がより好ましい。
【0013】
Na
2Oは、原料の溶融を促進する成分であり、必須成分である。Na
2Oは、含有量が10%以上であれば原料の溶融を促進させ、20%以下であれば耐候性が悪くならない。Na
2Oの含有量は、11%以上が好ましく、12%以上がより好ましい。また、Na
2Oの含有量は、18%以下が好ましく、16%以下がより好ましい。
【0014】
CaOは、原料の溶融を促進し耐候性を改善する成分であり、必須成分である。CaOは、含有量が5%以上であれば原料の溶融を促進し耐候性を改善させ、15%以下であれば失透を抑制する。CaOの含有量は、6%以上が好ましく、7%以上がより好ましい。また、CaOの含有量は、13%以下が好ましく、11%以下がより好ましい。
【0015】
MgOは、原料の溶融を促進し耐候性を改善する成分であり、選択成分である。MgOは、含有量が6%以下であれば失透を抑制する。MgOの含有量は、5%以下が好ましく、4.6%以下がより好ましい。MgOを含有する場合、MgOの含有量は1%以上が好ましく、2%以上がより好ましく、3%以上がさらに好ましい。
【0016】
Al
2O
3は、耐候性を改善する成分であり、選択成分である。Al
2O
3は、含有量が5%以下であれば粘度が高くなりすぎず、溶融に都合が良い。4%以下が好ましく、3%以下がより好ましい。Al
2O
3を含有する場合、Al
2O
3の含有量は0.5%以上が好ましく、1%以上がより好ましい。
【0017】
K
2Oは、原料の溶融を促進する成分であり、選択成分である。K
2Oは、含有量が5%以下であれば揮発による溶融窯の耐火物へのダメージを抑制する。4%以下が好ましく、3%以下がより好ましい。K
2Oを含有する場合、K
2Oの含有量は0.1%以上が好ましく、0.3%以上がより好ましい。
【0018】
二価鉄の酸化物であるFeOは、熱エネルギーを吸収する成分であり、必須成分である。FeOは、含有量が0.13%以上であれば充分に低いTEが得られる。一方、含有量が0.9%以下であれば溶融時の熱効率が悪化せず、加熱源から遠い溶融炉の底部において素地が滞留することを抑制する。FeOの含有量は、0.20%以上が好ましく、0.25%以上がより好ましく、0.30%以上がさらに好ましく、0.35%以上が特に好ましく、0.40%以上が最も好ましい。また、FeOの含有量は、0.7%以下が好ましく、0.6%以下がより好ましく、0.55%以下がさらに好ましく、0.5%以下が特に好ましい。
【0019】
Fe
2O
3に換算した全鉄の含有量(すなわち、上記したFeOおよび後述する三価鉄の酸化物であるFe
2O
3を含む全鉄の含有量。以下、t−Fe
2O
3ともいう)は、1.2%以上であればTVA、TUV380、およびTUV400を低くできる。t−Fe
2O
3は、2.8%以下であればTVAが低くなりすぎない。すなわち、TVAが適切な範囲となる。また、t−Fe
2O
3が2.8%以下であれば溶融時の熱効率が悪化せず、加熱源から遠い溶融炉の底部において素地が滞留することを抑制するため、溶解性がよい。t−Fe
2O
3は1.5%以上が好ましく、1.7%以上がより好ましく、1.9%以上がさらに好ましく、2.0%以上が特に好ましい。また、t−Fe
2O
3は2.6%以下が好ましく、2.4%未満がより好ましく、2.3%以下がさらに好ましく、2.2%以下が特に好ましく、2.1%以下が最も好ましい。
【0020】
TiO
2は、紫外線透過率(TUV380およびTUV400)を低くする成分であり、必須成分である。また、TiO
2は溶融時の素地の粘性を下げる効果があり、素地の滞留を起こり難くする働きがある。TiO
2の含有量が1.3%以上であれば、紫外線透過率を低くすることができる。TiO
2の含有量は、1.8%以上が好ましく、2%以上がより好ましく、2.2%以上がさらに好ましく、2.4%以上が特に好ましい。また、TiO
2の含有量が5%以下であれば、可視光透過率が低くなりすぎない。TiO
2の含有量は、4.5%以下が好ましく、4.1%以下がより好ましく、3.8%以下がさらに好ましく、3.5%以下が特に好ましい。
【0021】
CeO
2は、紫外線透過率(TUV380およびTUV400)を低くする成分であり、選択成分である。CeO
2は、原料コストが高い。CeO
2の含有量が0.4%以下であれば、原料コストを低くすることができる。CeO
2の含有量は、0.3%以下が好ましく、0.2%以下がより好ましく、0.1%以下がさらに好ましく、実質的に含まないことが特に好ましい。ここで、実質的に含まないとは、不可避的不純物を除き含有させないことを意味し、具体的にはCeO
2の含有量が0.01%以下であることを意味する。CeO
2を含有する場合、紫外線透過率を低くするために、CeO
2の含有量は、0.03%以上が好ましく、0.05%以上がより好ましく、0.1%以上がさらに好ましい。
【0022】
CoOは、ガラスに青みを帯びさせる成分であり、必須成分である。CoOは、含有量が0.01%以上であればガラスの色調が黄色みを帯びるのを抑制し、0.05%以下であればガラスの色調が青みを帯びすぎるのを抑制する。CoOの含有量は、0.012%以上が好ましく、0.015%以上がより好ましく、0.02%以上がさらに好ましく、0.025%以上が特に好ましい。また、CoOの含有量は、0.045%以下が好ましく、0.04%以下がより好ましく、0.035%以下がさらに好ましく、0.030%以下が特に好ましい。
【0023】
Seは、ガラスの色を調整する成分であり、選択成分である。Seは、含有量が0.007%以下であれば黄色みを帯びるのを抑制する。また赤みを帯びる影響が少ない。Seの含有量は、0.005%以下が好ましく、0.004%以下がより好ましく、0.003%以下がさらに好ましく、0.002%以下が特に好ましく、0.0015%以下が最も好ましい。Seを含有させる場合、Seの含有量は、0.0003%以上が好ましく、0.0005%以上がより好ましく、0.001%以上がさらに好ましい。
【0024】
Cr
2O
3は、可視光透過率を低減させる成分であり、また、ガラスに緑みを帯びさせる成分でもあり、選択成分である。Cr
2O
3は、含有量が0.08%以下であれば可視光透過率が低くなりすぎることを抑制する。Cr
2O
3の含有量は、0.03%以下が好ましく、0.025%以下がより好ましく、0.02%以下がさらに好ましく、0.015%以下が特に好ましい。Cr
2O
3を含有させる場合、Cr
2O
3の含有量は、0.001%以上が好ましく、0.005%以上がより好ましく、0.01%以上がさらに好ましい。
【0025】
NiOは、ガラスに茶色みを帯びさせる成分であり、選択成分である。NiOの含有量が0.2%以下であれば、茶色みが強くなりすぎない。NiOの含有量は、0.1%以下が好ましく、0.05%以下がより好ましく、0.02%以下がさらに好ましく、0.01%以下が特に好ましい。NiOを含有させる場合は、NiOの含有量は、0.003%以上が好ましく、0.005%以上がより好ましい。
【0026】
本発明の紫外線吸収性ガラスは、FeOの含有量とTiO
2の含有量との積(以下、FeO×TiO
2ともいう)が1.1〜4.5である。FeOとTiO
2が共存することにより、FeOにより得られる紫外線吸収性能とTiO
2により得られる紫外線吸収性能との足し合わせを超えた、FeOとTiO
2との相互作用による紫外線吸収性能が得られる。FeO×TiO
2が1.1以上であれば、FeOとTiO
2との相互作用による紫外線吸収性能が大きく、紫外線透過率(TUV380およびTUV400)を低くすることができ、また、TVAを低くすることができ、さらに、TEを低くすることができる。FeO×TiO
2は、1.3以上が好ましく、1.5以上がより好ましく、1.8以上がさらに好ましく、2以上が特に好ましい。また、FeO×TiO
2が4.5以下であれば、TVAが低くなりすぎない。FeO×TiO
2は、4以下が好ましく、3.5以下がより好ましく、3以下がさらに好ましい。
【0027】
三価鉄の酸化物であるFe
2O
3は、紫外線を吸収する成分である。また、ガラスに黄色みを帯びさせる成分でもある。Fe
2O
3は、1〜2.2%が好ましい。Fe
2O
3が1%以上であれば、紫外線透過率(TUV380およびTUV400)を低くすることができる。Fe
2O
3含有量は、1.2%以上がより好ましく、1.4%以上がさらに好ましく、1.5%以上が特に好ましい。また、Fe
2O
3が2.2%以下であれば、TVAが低くなりすぎない。Fe
2O
3の含有量は、2.0%以下がより好ましく、1.9%以下がさらに好ましく、1.8%以下が特に好ましい。
【0028】
本発明の紫外線吸収性ガラスは、t−Fe
2O
3をTiO
2の含有量で除した値(以下、t−Fe
2O
3/TiO
2ともいう)が0.5〜1.0であることが好ましい。t−Fe
2O
3/TiO
2が0.5以上であれば、TVAが低くなりすぎずに紫外線透過率(TUV380およびTUV400)を低くすることができる。t−Fe
2O
3/TiO
2は、0.6以上がより好ましく、0.7以上がさらに好ましい。また、t−Fe
2O
3/TiO
2が1.0以下であれば、TVAが大きくなりすぎずに紫外線透過率(TUV380およびTUV400)を低くすることができる。t−Fe
2O
3/TiO
2は、0.9以下がより好ましく、0.8以下がさらに好ましい。
【0029】
本発明の紫外線吸収性ガラスは、Fe
2O
3に換算した全鉄中のFe
2O
3に換算した2価の鉄の質量割合(以下、Fe−redoxともいう)が10〜40%であることが好ましい。Fe−redoxが10%以上であれば、TEを低くできる。Fe−redoxは、15%以上が好ましく、20%以上がより好ましい。また、Fe−redoxが40%以下であれば、TVAが低くなりすぎない。Fe−redoxは、35%以下が好ましく、30%以下がより好ましく、25%以下がさらに好ましい。
【0030】
本発明の紫外線吸収性ガラスは、CoOの含有量、Seの含有量、およびCr
2O
3の含有量の合量(以下、CoO+Se+Cr
2O
3ともいう)が0.1%未満であることが好ましい。CoO+Se+Cr
2O
3が0.1%未満であれば、TVAが低くなりすぎない。CoO+Se+Cr
2O
3は0.07%以下が好ましく、0.05%以下がより好ましい。
【0031】
また、本発明の紫外線吸収性ガラスは、下記式(1)で表される値をAとしたとき、Aは−2.0以下が好ましい。
−3.58×(Fe
2O
3)−0.606×(TiO
2) (1)
ここで、括弧で囲まれた成分の表示は、紫外線吸収性ガラスに含まれるその成分の質量%表示の含有量を表す。(Fe
2O
3)は、三価鉄の酸化物の含有量である。
Fe
2O
3とTiO
2は紫外線を吸収する成分である。Aが−2.0以下であれば、紫外線透過率を低くすることができる。Aは、−4.0以下がより好ましく、−5.0以下がさらに好ましく、−6.0以下が特に好ましく、−7.0以下が最も好ましい。
【0032】
なお、実生産においては、芒硝などの清澄剤が用いられるため、その痕跡として、通常0.05〜0.5%、好ましくは0.05〜0.4%のSO
3をガラス中に含有してよい。
【0033】
本発明の紫外線吸収性ガラスは、上記以外にB、Ba、Sr、Li、Zn、Pb、P、Zr、Bi、Snの各酸化物を含有してもよい。これらの酸化物の含有量は各々、0〜1質量%であってよい。これらの成分は、合量で1%以下が好ましく、0.7%以下がより好ましく、0.4%以下がさらに好ましく、0.2%以下が特に好ましい。
【0034】
また、本発明の紫外線吸収性ガラスは、Sb若しくはAsの酸化物、ClまたはFを含有してもよい。これらは溶融補助剤、清澄剤から意図的に混入し得る。あるいは原料やカレット中の不純物として含有し得る。これらの含有量はそれぞれ0〜0.1質量%であってよい。
【0035】
また、本発明の紫外線吸収性ガラスは、Mn、Cu、Mo、Nd、Erの各酸化物を含有してもよい。これらの酸化物の含有量はそれぞれ0〜0.1質量%であってよい。
【0036】
なお、本発明の紫外線吸収性ガラスは、V、Wの各酸化物は実質的に含まないことが好ましい。ここで実質的に含まないとは不可避的不純物を除き含有させないことを意味し、具体的にはこれらの酸化物の含有量がそれぞれ0.01%以下であることを意味し、0.005%以下が好ましく、0.003%以下がより好ましく、0.001%以下がさらに好ましく、0.0001%以下が特に好ましい。
【0037】
本発明の紫外線吸収性ガラスは、上記組成のガラスであって、以下のような光学特性を有する。
本発明の紫外線吸収性ガラスは、板厚2.8mmでの、TUV400が2.0%以下である。TUV400は400nm以下の波長範囲で測定される紫外線透過率であり、380nm以下の波長範囲で測定されるTUV380よりも長波長域までの紫外線吸収性能を評価できる。TUV400が2.0%以下であれば、例えば車内の人の日焼けや物品の変色を防ぐことができる。TUV400は、1.5%以下が好ましく、1.2%以下がより好ましく、1.0%以下がさらに好ましく、0.5%以下が特に好ましい。
また、板厚2.8mmでの、TVAは8%〜25%である。TVAが8%以上であれば、車内から外部を視認しやすい。TVAは10%以上が好ましく、12%以上がより好ましく、16%以上がさらに好ましい。また、TVAが25%以下であれば、車内のプライバシーを保護できる。TVAは24%以下が好ましく、20%以下がより好ましい。
また、上記光学特性に加えて、板厚2.8mmでの、TUV380は0.5%以下が好ましい。TUV380が0.5%以下であれば、例えば車内の人の日焼けや物品の変色を防ぐことができる。TUV380は、0.4%以下がより好ましく、0.3%以下がさらに好ましく、0.2%以下が特に好ましく、0.1%以下が最も好ましい。
また、上記光学特性に加えて、板厚2.8mmでの、TEは、5〜28%が好ましい。TEが5〜28%であれば、車内の気温が上昇しにくい。TEは、7%以上がより好ましく、10%以上がさらに好ましい。また、TEは、24%以下がより好ましく、20%以下がさらに好ましく、18%以下が特に好ましく、16%以下が最も好ましい。
また、上記光学特性に加えて、板厚2.8mmでの、λDは485〜580nmが好ましい。λDは、490nm以上であってもよく、500nm以上であってもよい。また、λDは、570nm以下であってもよく、560nm以下であってもよい。
また、上記光学特性に加えて、板厚2.8mmでの、Peが41%以下であることが好ましい。Peは、35%以下がより好ましく、30%以下がさらに好ましく、25%以下が特に好ましい。
【0038】
また、本発明の紫外線吸収性ガラスは、粘度が10
2ポアズとなる温度T2が1440℃以下であればガラスの製造がしやすいという効果がある。T2は1435℃以下が好ましく、1410℃以下がより好ましく、1400℃以下であれば特に好ましい。
【0039】
本発明の紫外線吸収性ガラスの製造法は、特に限定されないが、例えば、次のようにして製造できる。調合した原料を連続的に溶融炉に供給し、約1500℃に加熱してガラス化する。次いで、この溶融ガラスを清澄した後、フロート法等により所定の厚さのガラス板に成形する。次いで、このガラス板を所定の形状に切断することにより、本発明の紫外線吸収性ガラスが製造される。その後、必要に応じて、切断したガラスを物理強化等の強化処理を施し、または合わせガラスに加工し、または複層ガラスに加工することができる。
【実施例】
【0040】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの例に限定されない。
原料としてケイ砂、長石、苦灰石、ソーダ灰、芒硝、高炉スラグ、酸化第二鉄、酸化チタン、酸化セリウム、酸化コバルト、亜セレン酸ソーダ、酸化クロム、酸化ニッケルを用いて原料バッチを調合した。母成分として、SiO
2:62〜70、Al
2O
3:1.8、CaO:8.4、MgO:4.6、Na
2O:13.3、K
2O:0.7およびSO
3:0.2(単位:質量%)からなるソーダライムシリケートガラスを使用した。母成分と、光学成分として加えるFeO、Fe
2O
3、TiO
2、CeO
2、CoO、Se、Cr
2O
3およびNiOの合計が100質量%になるようにSiO
2含有量を調整して目標組成とした。バッチを白金―ロジウム製のルツボに入れて、電気炉中で溶融(O
2濃度0.5%程度の雰囲気)し、カーボン板上に流し出した後、別の電気炉内で徐冷した。得られたガラスブロックを切断し、一部を研磨して蛍光X線分析装置(リガク社製走査型蛍光X線分析装置ZSX100e)により組成を分析した。別の一部の表面を研磨して鏡面状に、かつ厚み2.8mmになるように仕上げて、分光光度計により分光透過率を測定した。FeOについては波長1000nmの赤外線透過率から計算により求めた。Fe
2O
3については蛍光X線分析による全酸化鉄含有量と上記FeO含有量を基に算出した。
また、上述した手順にしたがって式(1)で表される値Aを求めた。
また、分光透過率を基に可視光透過率(TVA)、エネルギー透過率(TE)、紫外線透過率(TUV380およびTUV400)、主波長(λD)、刺激純度(Pe)を算出した。
以下、表1〜表4に得られたガラス中の吸収成分の含有量と光学特性を示す。
【0041】
【表1】
【0042】
【表2】
【0043】
【表3】
【0044】
【表4】
【0045】
例1〜33、例40〜41は実施例、例34〜39は比較例である。例34は特許文献1(国際公開第2015/088026号)に記載されている実施例、例35〜37は特許文献2(国際公開第2016/088374号)に記載されている実施例、例38は特許文献3(米国特許出願公開第2004/0038799号明細書)に記載されている実施例から引用し、反射率を8%として、板厚2.8mmの光学特性を求めた。
なお、特許文献2のTUV380は、ISO9050:1990で定められたものであるが、本明細書のTUV380と同じものとして比較した。また、特許文献3の紫外線透過率はParry Moon Air Mass=2により測定されたものであるが、本明細書のTUV380と同じものとして比較した。
ガラス組成に関する要件を全て満たす例1〜33、例40〜41のガラスは、いずれも板厚2.8mmでの光学特性に関する要件を満たしていた。また、いずれもCeO
2の含有量が0.4%以下であるため、原料コストが低い。さらに、t−Fe
2O
3が2.8%以下であるため、溶解性がよい。
例34および例39のガラスは、FeO×TiO
2が1.1未満であるため、TUV400を満たさなかった。
例35〜36のガラスは、光学特性に関する要件は満たしていたが、CeO
2の含有量が0.4%超であるため、原料コストが高い。
例37のガラスは、光学特性に関する要件は満たしていたが、t−Fe
2O
3が2.8%超であるため、溶解性が悪い。
例38のガラスは、t−Fe
2O
3が1.2%未満であるため、紫外線透過率が高い。
【0046】
本発明を詳細に、また特定の実施態様を参照して説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱することなく、様々な修正や変更を加えることができることは、当業者にとって明らかである。