(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6954928
(24)【登録日】2021年10月4日
(45)【発行日】2021年10月27日
(54)【発明の名称】ブリュースター角における二重波長シフトによる非接触温度測定
(51)【国際特許分類】
H01L 21/26 20060101AFI20211018BHJP
H01L 21/265 20060101ALI20211018BHJP
G01K 11/125 20210101ALI20211018BHJP
【FI】
H01L21/26 T
H01L21/26 Q
H01L21/26 J
H01L21/265 602B
G01K11/125
【請求項の数】15
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2018-560944(P2018-560944)
(86)(22)【出願日】2017年5月24日
(65)【公表番号】特表2019-521511(P2019-521511A)
(43)【公表日】2019年7月25日
(86)【国際出願番号】US2017034306
(87)【国際公開番号】WO2017205528
(87)【国際公開日】20171130
【審査請求日】2020年4月21日
(31)【優先権主張番号】62/341,069
(32)【優先日】2016年5月24日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】モフィット, セオドア
(72)【発明者】
【氏名】アプルヴァ, ナマン
【審査官】
桑原 清
(56)【参考文献】
【文献】
特開2014−182106(JP,A)
【文献】
特開2007−040981(JP,A)
【文献】
特開2009−088332(JP,A)
【文献】
特開2016−031290(JP,A)
【文献】
特開2014−157115(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/26
H01L 21/265
G01K 11/125
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部空間を画定するハウジング及び窓と、
前記窓の下の、前記内部空間に配置された2つ以上の光源であって、前記2つ以上の光源の第1の光源が第1の波長を有し、前記2つ以上の光源の第2の光源が第2の波長を有する、2つ以上の光源と、
前記2つ以上の光源の反対側に配置され、かつ前記2つ以上の光源からの2つ以上の光線の複数のフレームを捕捉するように構成されたカメラと、
前記2つ以上の光線の光路内に配置された偏光子
を含む、温度モニタリングシステム。
【請求項2】
前記偏光子と前記窓との間に位置付けられ、かつ前記光路内に配置されたコリメータと、
前記コリメータと前記窓との間の前記光路内に配置され、かつ前記光線がブリュースター角に等しい入射角を生成するように、前記コリメータによって方向付けられた光を基板の底面に向けて反射するように構成された第1のミラーと、
前記第1のミラーの反対側に配置され、かつ前記2つ以上の光線を前記カメラに方向付けるように構成された第2のミラーと
を更に含む、請求項1に記載の温度モニタリングシステム。
【請求項3】
前記コリメータと前記第1のミラーとの間の前記光路内に配置され、かつ前記第1のミラーの領域に前記2つ以上の光線を集束するように構成された集束レンズを更に含む、請求項2に記載の温度モニタリングシステム。
【請求項4】
前記第2のミラーと前記カメラとの間に配置され、かつ前記2つ以上の光線を前記カメラに方向付けるように構成された、もう1つのコリメータ
を更に含む、請求項2に記載の温度モニタリングシステム。
【請求項5】
前記2つ以上の光線と前記基板との前記入射角が変更されうるように、前記第1のミラーが移動可能である、請求項2に記載の温度モニタリングシステム。
【請求項6】
前記基板から反射された前記2つ以上の光線を受け取り、前記2つ以上の光線を前記カメラに方向付けることができるように、前記第2のミラーが移動可能である、請求項2に記載の温度モニタリングシステム。
【請求項7】
前記2つ以上の光源の各々が、光を物体に方向付け、前記光が、複数の入射角を含む、請求項1に記載の温度モニタリングシステム。
【請求項8】
前記カメラが、基板の温度を決定するために、前記カメラによって捕捉された前記2つ以上の光線の波長を使用するように構成されるコントローラに結合される、請求項1に記載の温度モニタリングシステム。
【請求項9】
内部空間を画定するチャンバ本体と、
前記内部空間内に配置され、かつ処理中に基板を支持するように構成された基板支持体と、
前記チャンバ本体に結合され、かつ放射熱を前記基板の上面に方向付けるように構成された放射加熱装置と、
前記放射加熱装置の反対側の、前記内部空間内に配置された温度モニタリングシステムと
を含み、前記温度モニタリングシステムが、
内部空間を画定するハウジング及び窓と、
前記窓の下の、前記内部空間内に配置された2つ以上の光源であって、光線が基板とのブリュースター角に等しい入射角を生成するように、前記基板の底面に光を方向付けるよう各々が構成された、2つ以上の光源と、
前記2つ以上の光源の反対側に配置され、かつ前記2つ以上の光源からの2つ以上の光線の複数のフレームを捕捉するように構成されたカメラと、
前記2つ以上の光線の光路内に配置された偏光子と
を含む、熱処理チャンバ。
【請求項10】
前記偏光子と前記窓との間に位置付けられ、かつ前記光路内に配置されたコリメータと、
前記コリメータと前記窓との間の前記光路内に配置され、かつ前記光線がブリュースター角に等しい入射角を生成するように、前記コリメータによって方向付けられた光を前記基板の底面に向けて反射するように構成された第1のミラーと、
前記第1のミラーの反対側に配置され、かつ前記2つ以上の光線を前記カメラに方向付けるように構成された第2のミラーと
を更に含む、請求項9に記載の熱処理チャンバ。
【請求項11】
前記コリメータと前記第1のミラーとの間の前記光路内に配置され、かつ前記第1のミラーの領域に前記2つ以上の光線を集束するように構成された集束レンズを更に含む、請求項10に記載の熱処理チャンバ。
【請求項12】
前記第2のミラーと前記カメラとの間に配置され、かつ前記2つ以上の光線を前記カメラに方向付けるように構成された、もう1つのコリメータ
を更に含む、請求項10に記載の熱処理チャンバ。
【請求項13】
前記2つ以上の光線と前記基板との前記入射角が変更されうるように、前記第1のミラーが移動可能である、請求項10に記載の熱処理チャンバ。
【請求項14】
前記第2のミラーが、前記基板から反射された前記2つ以上の光線を受け取り、前記2つ以上の光線を前記カメラに方向付けることができるように、前記第2のミラーが移動可能である、請求項10に記載の熱処理チャンバ。
【請求項15】
基板の温度をモニタリングする方法であって、
2つ以上の光源から前記基板の底面に2つ以上の光線を供給することであって、前記2つ以上の光線がブリュースター角で前記基板の底面に接触する、供給することと、
前記基板の前記底面から反射された前記2つ以上の光線を、前記光線の複数のフレームを捕捉するように構成されたカメラに捕捉することと、
コントローラが、前記2つ以上の光線の波長に基づいて、前記基板の温度を決定することができるように、前記光線の前記複数のフレームを前記コントローラと通信することと、
前記決定された温度に基づいて、前記基板のプロセスパラメータを調整することと
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に記載の実施形態は、一般に処理チャンバに関し、より詳細には、処理中の基板の温度をモニタリングするための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
急速熱処理(Rapid Thermal Processing:RTP)は、とりわけ、アニーリング、ドーパント活性化、酸化、及び窒化を含むいくつかの種類の熱処理に適用される用語である。上述のプロセスは、約1000℃を上回る比較的高い温度で実行されうる。これは、前駆体ガス又はエッチングガスの存在下で化学気相堆積をエッチングすることに更に適用することができる。RTPは、典型的には、ランプヘッドに適合し、処理される基板に方向付けられる高輝度白熱ランプのアレイに依存する。
【0003】
500℃未満、更には250℃未満の温度からほぼ室温までで実行されるRTPの需要が生じている。RTPチャンバは、より低い温度でのその使用にいくつかの欠点を有することがある。従来のRTPチャンバは、処理中に基板の温度を検出するために高温計を使用する。一般に、高温計は、例えば約500℃又は800℃を上回る高温を測定するために使用される。チャンバ部分が比較的暖かく、放射球からの光漏れがあるRTPチャンバの構成では、高温計は、約450℃未満の基板温度を測定する際には比較的効果がない。これは、基板がより低い温度で部分的に透明でありえ、チャンバが光密でないからである。したがって、高温計は、基板ではなく周囲のチャンバ構成要素の温度を測定しうる。
【0004】
したがって、処理中に基板の温度をモニタリングするための改良された方法及び装置が必要とされる。
【発明の概要】
【0005】
本明細書で開示される実施形態は、基板モニタリングシステムを有する熱処理チャンバに関する。1つの実施形態では、温度モニタリングシステムが本明細書で開示される。温度モニタリングシステムは、内部空間を画定するハウジング及び窓を含む。温度モニタリングシステムは、2つ以上の光源、カメラ、及び偏光子を更に含む。2つ以上の光源は、窓の下の内部空間に配置される。2つ以上の光源の第1の光源は、第1の波長を有する。2つ以上の光源の第2の光源は、第2の波長を有する。カメラは、2つ以上の光源の反対側に配置される。カメラは、2つ以上の光源からの2つ以上の光線の複数のフレームを捕捉する。偏光子は、2つ以上の光線の光路内に配置される。
【0006】
別の実施形態では、熱処理チャンバが本明細書で開示される。熱処理システムは、チャンバ本体と、基板支持体と、放射加熱装置と、温度モニタリングシステムとを含む。チャンバ本体は、内部空間を画定する。基板支持部は、処理中に基板を支持するために内部空間に配置される。放射加熱装置は、チャンバ本体に結合される。放射加熱装置は、放射熱を基板の上面に方向付ける。温度モニタリングシステムは、放射加熱装置の反対側の内部空間に配置される。温度モニタリングシステムは、内部空間を画定するハウジング及び窓を含む。温度モニタリングシステムは、2つ以上の光源、カメラ、及び偏光子を更に含む。2つ以上の光源は、窓の下の内部空間に配置される。2つ以上の光源の各々は、光線が基板とのブリュースター角に等しい入射角を生成するように、基板の底面に光を方向付ける。カメラは、2つ以上の光源の反対側に配置され、2つ以上の光源からの2つ以上の光線の複数のフレームを捕捉する。偏光子は、2つ以上の光線の光路内に配置される。
【0007】
別の実施形態では、基板の温度をモニタリングするための方法が、本明細書で開示される。2つ以上の光源から基板の底面に2つ以上の光線が供給される。2つ以上の光線は、ブリュースター角で基板の底面に接触する。基板の底面から反射された2つ以上の光線は、カメラによって捕捉される。カメラは、光線の複数のフレームを捕捉する。カメラは、光線の複数のフレームをコントローラと通信する。コントローラは、2つ以上の光線の波長に基づいて、基板の温度を決定することができる。基板のプロセスパラメータは、決定された温度に基づいて調整される。
【0008】
本開示の上述の特徴を詳細に理解できるように、上記で簡単に要約されている本開示のより詳細な説明が、実施形態を参照することによって得られ、実施形態の一部は付随する図面に示されている。しかし、本開示は他の等しく有効な実施形態も許容しうることから、付随する図面はこの開示の典型的な実施形態のみを示しており、したがって、本開示の範囲を限定すると見なすべきではないことに、留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1A】1つの実施形態による温度モニタリング装置を示す。
【
図1B】1つの実施形態による温度モニタリング装置を示す。
【
図2】1つの実施形態による、
図1Aの温度モニタリングシステムを備えた熱処理チャンバの断面図である。
【
図3A】1つの実施形態による、基板の温度をモニタリングする方法を示す。
【
図3B】1つの実施形態による、基板の温度をモニタリングする方法を示す。
【
図4】1つの実施形態による、
図1Aの温度モニタリングシステムを備えた熱処理チャンバの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
明確にするために、適用可能である場合には、図に共通する同一の要素を示すのに同一の参照番号を使用した。更に、1つの実施形態の要素は、本明細書に記載された他の実施形態で利用するために有利に適合されうる。「上に(above)」、「下に(below)」、「隣接した(adjacent)」などの方向的文言は、絶対的な方向を指すのではなく、図に示された配向から明らかな、記載されている装置の基礎に対するものである。
【0011】
図1Aは、1つの実施形態による温度モニタリングシステム100を示す。温度モニタリングシステム100は、処理中に基板の温度を測定する。温度モニタリングシステム100は、内部空間126を画定するハウジング122及び透明な窓124を含む。温度モニタリングシステム100は、2つ以上の光源102及びカメラを更に含む。1つの実施形態では、2つ以上の光源102の各々が広帯域光源である。1つの実施形態では、2つ以上の光源の各々が、約400nmから2000nmの間の波長を提供する。
図1に示す実施形態では、図の混乱を避けるために、単一の光源102だけが示される。各光源102は、光線116を基板の表面に供給する。例えば、
図1に示す構成において、各光源102は、光線116を基板(図示せず)の底面に供給する。1つの実施形態では、基板は、内部空間126の外側に位置付けられる。カメラ114は、基板から反射する光線116の結果である反射した光線118を受け取る。1つの実施形態では、カメラ114は、毎秒250フレーム以上を捕捉可能なカメラといった、高速カメラでありうる。別の実施形態では、カメラ114は、ラインカメラであってもよい。
【0012】
温度モニタリングシステム100は、偏光子104を更に含みうる。1つの実施形態では、偏光子104は、各光源102の上に積み重ねられる。別の実施形態では、偏光子104は、各光源102の下に積み重ねられる。偏光子104は、2つ以上の光源102から光線116を受け取り、特定の偏光のみが偏光子104を通過するように光線をフィルタリングする。1つの実施形態では、偏光子104は、P偏光が、S偏光を透過し反射することだけを可能にする。
【0013】
偏光された光は、基板の底部に方向付けられる。例えば、偏光された光は、光の円錐が基板の底から反射するように、基板の底部に方向付けられる。光の円錐は、複数の光線を含んでもよく、各光線は基板の底部に異なる角度で接触している。例えば、光の円錐は、複数の角度で基板から反射する複数の光線を含んでもよく、複数の角度は、ブリュースター角を包含する。様々な角度は、基板の温度が変化するとブリュースター角がシフトするので、ブリュースター角を連続的に含むための全体の角度範囲をもたらす。反射された光線118は、基板の底面から反射し、カメラ114に方向付けられる。
【0014】
図1Bは、1つの実施形態による温度モニタリングシステム150を示す。温度モニタリングシステム150は、温度モニタリングシステム100と実質的に類似している。温度モニタリングシステム150は、第1のコリメーティングレンズ106、集束レンズ108、第1のミラー110、及び第2のコリメーティングレンズ112を更に備える。1つの実施形態では、偏光子104、第1のコリメーティングレンズ106、集束レンズ108、及び第1のミラー110は、2つ以上の光源102の上に積み重ねられる。別の実施形態では、偏光子104、第1のコリメーティングレンズ106、集束レンズ108、及びミラー110は、2つ以上の光源102の下に積み重ねられる。
【0015】
偏光された光は、第1のコリメーティングレンズ106に方向付けられる。第1のコリメーティングレンズ106は、偏光された光を狭め、光線を位置合わせする。偏光された光は、その後、集束レンズ108に進む。集束レンズ108は、コリメーティングレンズ106から光線116を受け取り、第1のミラー110上の対象領域(area of interest)に光線116を集束させる。第1のミラー110は、集束レンズ108から集束された光線116を受け取り、その光を基板上の対象領域に反射する。第1のミラー110は、光線116が直接的である基板上の位置を変更するように調整(例えば、傾斜、隆起など)されうる。
【0016】
第1のミラー110は、入射光線を90°よりも大きな角度で反射するように配向されてもよく、反射された光は、典型的には第1のミラー110が基板と集束レンズ108との間に位置するように配置された基板の位置を照明する。ある配向で、第1のミラー110から基板に反射された光は、基板にブリュースター角に対応する方向で到達する。
【0017】
反射された光線118は、基板から反射し、第2のミラー111に向かって進む。第2のミラー111は、反射された光線118を第2のコリメーティングレンズ112に方向付ける。第2のミラー111は、第2のミラー111が反射光線118を受け取り、反射光線118をコリメーティングレンズ112に方向付けるような位置にあるように、調整(例えば、傾斜、隆起など)されうる。第2のコリメーティングレンズ112は、反射光線118を受け取り、反射光線118をカメラ114に方向付ける。第2のコリメーティングレンズ112は、偏光された光を狭め、カメラ114によって捕捉されたときに反射光線118を位置合わせしうる。1つの実施形態では、カメラ114は、高速カメラであってもよい。
【0018】
図2は、1つの実施形態による、温度モニタリングシステム100を備えた熱処理チャンバ200の断面図である。チャンバ200は、本明細書に記載の方法を実施するために使用されうる。例示的な熱処理チャンバ200は、カリフォルニア州サンタクララのApplied Materials,Inc.から入手可能なRADIANCE(登録商標)チャンバである。また、温度モニタリングシステム100を収納するために、他の製造業者からの他のシステム又はプラットフォームが使用されてもよい。
【0019】
チャンバ200は、チャンバ本体202を含む。チャンバ本体202は、チャンバ200の内部空間204を画定する。チャンバ200は、内部空間204に配置された基板支持体206を含む。基板支持体206は、開口部248を介して、その周囲に装填された基板201を支持する。1つの実施形態では、基板支持体206は、基板201の角に接触する傾斜棚208を有するエッジリングでありうる。基板201は、基板201の上面210が透明な石英窓214によって画定されたプロセス領域212に面するように配向される。ライフピン216は、基板201をチャンバ200内に持ち込む基板ハンドラと基板支持体206上との間で基板201が渡されるときに、基板201の裏側を支持するように上げ下げされうる。
【0020】
1つの実施形態では、基板支持体206は、チャンバ200の外側に位置付けられた回転可能なフランジ226に磁気結合される回転可能なシリンダ225上に位置付けられる。モーター(図示せず)は、フランジ226を回転させ、従って、基板201をその中心228周囲で回転させるが、その中心228は、概して対称的なチャンバの中心線でもある。
【0021】
チャンバ200は、基板支持体206の上の、窓214の反対側に位置付けられた放射加熱装置218を更に含む。放射加熱装置218は、基板201を加熱するために基板支持体206に向かって放射エネルギーを方向付ける。放射加熱装置218は、密集配置で配置された反射チューブ222内に位置付けられた複数のランプ220を含む。1つの実施形態では、放射加熱装置218は、多数(例えば、409個)の高輝度タングステンハロゲンランプ220を有する。別の実施形態では、他の放射加熱装置が代用されてもよい。一般に、これらは、放射源の温度を迅速に上昇させるための抵抗加熱を含む。
【0022】
チャンバ200は、基板201の下のチャンバ200内に配置された温度モニタリングシステム100を更に含む。温度モニタリングシステム100は、基板が熱処理されるときに基板101の温度を測定する。基板101の温度は、光源からの光線を基板201の底面203に照射することによって測定される。光線は、基板201の底面から反射し、カメラによって捕捉される。カメラは、基板201の底面からの反射光の波長を捕捉する。カメラは、コントローラ290と通信している。コントローラ290は、受け取った光の測定波長を基板201の温度に変換する。
【0023】
500℃未満、更には250℃未満の温度からほぼ室温までで実行されるRTPの需要が生じている。従来のRTPチャンバは、より低い温度でのその使用にいくつかの欠点を有することがある。従来のRTPチャンバは、処理中に基板の温度を検出するために高温計を使用する。一般に、高温計は、例えば約500℃又は800℃を上回る高温を測定するために使用される。チャンバ部分が比較的暖かく、放射球からの光漏れがあるRTPチャンバの構成では、高温計は、約450℃未満の基板温度を測定する際には比較的効果がない。これは、基板がより低い温度で部分的に透明でありえ、チャンバが光密でないからである。したがって、高温計は、基板ではなく周囲のチャンバ構成要素の温度を測定しうる。温度モニタリングシステム100は、高温計が測定できない温度での処理中に、基板201の温度を測定する方法を提供する。
【0024】
コントローラ290は、
図3A及び
図3Bに関連して以下に開示される方法のような、処理チャンバ200のすべての態様を操作しうる。例えば、コントローラ290は、温度モニタリングシステム100からデータを受信することによって、基板201の温度を測定しうる。
【0025】
コントローラ290は、基板処理の制御を容易にするように処理システムの様々な構成要素に連結された、電源、クロック、キャッシュ、入力/出力(I/O)回路、及びライナ等の、メモリ294及び大容量ストレージデバイス、入力制御ユニット、並びにディスプレイユニット(図示せず)と共に動作可能なプログラム可能中央処理装置(CPU)292を含む。
【0026】
上述のチャンバ200の制御を容易にするために、CPU292は、様々なチャンバ及びサブプロセッサを制御するように、プラグラム可能な論理制御装置(PLC)のような工業用の設定で使用することができる任意の形態の汎用コンピュータプロセッサの1つであってもよい。メモリ294は、CPU292に結合され、メモリ294は、非一時的であり、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、フロッピーディスクドライブ、ハードディスク、又は他の形態のデジタルストレージ、ローカル若しくは遠隔などの2つ以上の容易に利用可能なメモリであってもよい。サポート回路296は、従来の方法でプロセッサをサポートするためにCPU292に結合される。荷電種の生成、加熱、及び他のプロセスは、一般的に、通常はソフトウェアルーチンとしてメモリ294に記憶される。ソフトウェアルーチンはまた、CPU292によって制御されるハードウェアから遠隔に位置する第2のCPU(図示せず)によって記憶され及び/又は実行されてもよい。
【0027】
メモリ294は、CPU292によって実行されるとチャンバ200の動作を容易にする命令を含むコンピュータ可読記憶媒体の形態である。メモリ294内の命令は、本開示の方法を実施するプログラムのようなプログラム製品の形態である。プログラムコードは、多数の異なるプログラミング言語のうちの任意の1つに準拠しうる。1つの例では、本開示は、コンピュータシステムと共に使用するためのコンピュータ可読記憶媒体に記憶されたプログラム製品として実施されうる。プログラム製品のプログラムは、実施形態(本明細書に記載の方法を含む)の機能を定義する。例示的なコンピュータ可読記憶媒体は、以下を含むが、これらに限定されない。(i)情報が永続的に記憶される書込み不能な記憶媒体(例えば、CD−ROMドライブ、フラッシュメモリ、ROMチップ、又は任意の種類の固体不揮発性半導体メモリによって読み出し可能なCD−ROMディスクなどのコンピュータ内の読出し専用メモリデバイス)、及び(ii)変更可能な情報が記憶される書き込み可能な記憶媒体(例えば、ディスケットドライブ若しくはハードディスクドライブ内のフロッピーディスク又は任意の種類の固体ランダムアクセス半導体メモリ)。このようなコンピュータ可読記憶媒体は、本明細書に記載の方法の機能を指示するコンピュータ可読命令を担持する場合、本開示の実施形態である。
【0028】
図3Aは、1つの実施形態による、基板の温度を測定する方法300を示す。例えば、方法300は、
図1A及び
図2に関連して上述した処理チャンバ200内の温度モニタリングシステム100を用いて実行されうる。
【0029】
方法300は、ブロック302で開始する。ブロック302において、2つ以上の光線が、光源102によって基板の底面に供給される。2つ以上の光線の各々は、LEDのような広帯域光源によって供給されてもよい。別の実施形態では、光線の各々は、400nm〜2000nmの範囲の波長を有する光源によって供給されてもよい。各光線は、偏光子(例えば、偏光子104)を介して設定される。1つの例では、偏光子は、P偏光がS偏光を透過し、S偏光を反射できるようにする。2つ以上の光線は、基板の底面に接触する。2つ以上の光線の各々は、基板の底部に接触し、基板の底部から反射する光の円錐を形成する。光の円錐は、基板の底部に複数の角度で接触する複数の光線を含む。複数の角度は、ブリュースター角を含む角度の範囲を含む。ブリュースター角(又は偏光角)は、特定の偏光を有する光が、反射のない透明な誘電体表面を完全に透過する入射角である。
【0030】
ブロック304において、カメラは、基板の底面から反射された2つ以上の光線の複数のフレームを捕捉する。2つ以上の光線は、基板の底面から反射し、カメラに方向付けられる。
【0031】
ブロック306において、カメラは、複数のフレームをコントローラに伝達する。コントローラは、反射された2つ以上の光線の観測された波長に基づいて、基板の温度を決定する。ブロック308において、コントローラは、測定された基板の温度に応答して、処理パラメータを調整するためにチャンバと通信しうる。1つの実施形態では、方法300は、基板処理全体を通して継続しうる。別の実施形態では、方法300は、特定の時間フレームの間など、基板処理全体を通して選択的に実行されてもよい。
【0032】
図3Bは、1つの実施形態による、基板の温度を測定する方法350を示す。例えば、方法250は、
図1B及び
図2に関連して上述した処理チャンバ200内の温度モニタリングシステム150を用いて実行されうる。
【0033】
方法350は、ブロック352で開始する。ブロック352において、2つ以上の光線が、光源によって基板の底面に供給される。2つ以上の光線は、LEDなどの2つ以上の広帯域光源によって供給されてもよい。光線は、偏光子を通して送られ、特定の偏光のみが偏光子を通過することができる。1つの例では、偏光子は、P偏光を透過させ、S偏光を反射する。光は、その後、コリメータに進む。コリメータは、偏光を狭め、光線を位置合わせする。コリメータは、光線を集束レンズに方向付ける。集束レンズは、光線がミラーから反射して基板の底面に接触するように、光線をミラーの所与の領域に集束させる。ミラーは、光線がブリュースター角で基板の底面に接触するように調整されうる。ブリュースター角(又は偏光角)は、特定の偏光を有する光が、反射のない透明な誘電体表面を完全に透過する入射角である。ミラーは、光線がミラーから基板の底面に向かって反射し、各光線のブリュースター角を達成するように調整されうる。
【0034】
ブロック354において、カメラは、基板の底面から反射された2つ以上の光線の複数のフレームを捕捉する。2つ以上の光線は、基板の底面から反射し、第2のミラーに方向付けられる。第2のミラーは、2つ以上の反射光線を受け取り、2つ以上の光線をコリメーティングレンズに方向付けるように位置付けられる。コリメーティングレンズは、2つ以上の光線がカメラに方向付けられるように、2つ以上の光線を位置合わせする。カメラは、2つ以上の反射光線の複数のフレームを捕捉する。
【0035】
ブロック356において、カメラは、複数のフレームをコントローラに伝達する。コントローラは、反射された2つ以上の光線の観測された波長に基づいて、基板の温度を決定する。ブロック358において、コントローラは、基板の測定温度に応じて処理パラメータを調整するためにチャンバと通信しうる。1つの実施形態では、方法350は、基板処理全体を通して継続しうる。別の実施形態では、方法350は、特定の時間フレームの間など、基板処理全体を通して選択的に実行されてもよい。
【0036】
図4は、1つの実施形態による、温度モニタリングシステム100を備えた熱処理チャンバ400の断面図である。熱処理チャンバ400には、また同様に温度モニタリングシステム150が備えられうる。チャンバ400は、本明細書に記載の方法を実施するために使用されうる。例示的な熱処理チャンバ400は、カリフォルニア州サンタクララのApplied Materials,Inc.から入手可能なVULCAN(登録商標)チャンバである。また、温度モニタリングシステム100を収納するために、他の製造業者からの他のシステム又はプラットフォームが使用されてもよい。
【0037】
チャンバ400は、チャンバ本体402を含む。チャンバ本体402は、チャンバ400の内部空間404を画定する。チャンバ400は、内部空間404に配置された基板支持体406を含む。基板支持体406は、その周囲で基板401を支持する。1つの実施形態では、基板支持体406は、基板401の角に接触する傾斜棚208を有するエッジリングでありうる。基板401は、基板401の上面410が透明な石英窓414によって画定されたプロセス領域412に面するように配向される。開口部448を介して、基板401をチャンバ400内に持ち込む基板ハンドラと基板支持体406上との間で基板401が渡されるとき、基板401の前側を支持するように、ライフピン416は上げ下げされうる。
【0038】
1つの実施形態では、基板支持体406は、チャンバ400の外側に位置付けられた回転可能なフランジ426に磁気結合される回転可能なシリンダ425上に位置付けられる。モーター(図示せず)は、フランジ426を回転させ、従って、基板401をその中心428周囲で回転させるが、その中心428は、概して対称的なチャンバの中心線でもある。
【0039】
チャンバ400は、基板支持体406の下の、窓414の反対側に位置付けられた放射加熱装置418を更に含む。放射加熱装置418は、基板401を加熱するために基板支持体406に向かって放射エネルギーを方向付ける。放射加熱装置418は、密集配置で配置された反射チューブ422内に位置付けられた複数のランプ420を含む。1つの実施形態では、放射加熱装置418は、多数(例えば、409個)の高輝度タングステンハロゲンランプ420を有する。別の実施形態では、他の放射加熱装置が代用されてもよい。一般に、これらは、放射源の温度を迅速に上昇させるための抵抗加熱を含む。
【0040】
チャンバ400は、基板201の上の、チャンバ400内に配置された温度モニタリングシステム100を更に含む。温度モニタリングシステム100は、基板が熱処理されるときに基板401の温度を測定する。基板401の温度は、光源からの光線を基板401の底面403に方向付けることによって測定される。光線は、基板401の底面から反射し、カメラによって捕捉される。カメラは、基板401の底面からの反射光の波長を捕捉する。カメラは、コントローラ490と通信している。コントローラ490は、受け取った光の測定波長を、温度とブリュースター角との間の所定の関係に基づいて基板401の温度に変換する。
【0041】
温度モニタリングシステム100、150は、従来の高温計では不可能であったRTP処理中の基板の温度モニタリングを可能にする。基板の温度をモニタリングすることにより、温度モニタリングシステムは、基板の均一性及び処理を向上させる。
【0042】
これまでの記述は、特定の実施形態を対象としているが、その基本的な範囲から逸脱しなければ他の実施形態及び更なる実施形態が考案されてもよく、その範囲は、下記の特許請求の範囲によって定められる。