特許第6955812号(P6955812)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6955812圧縮機ホイール及びその圧縮機ホイールの使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6955812
(24)【登録日】2021年10月6日
(45)【発行日】2021年10月27日
(54)【発明の名称】圧縮機ホイール及びその圧縮機ホイールの使用
(51)【国際特許分類】
   F04D 29/28 20060101AFI20211018BHJP
   F04D 29/62 20060101ALI20211018BHJP
【FI】
   F04D29/28 D
   F04D29/62 C
【請求項の数】8
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-567108(P2017-567108)
(86)(22)【出願日】2016年6月23日
(65)【公表番号】特表2018-518630(P2018-518630A)
(43)【公表日】2018年7月12日
(86)【国際出願番号】EP2016064553
(87)【国際公開番号】WO2016207288
(87)【国際公開日】20161229
【審査請求日】2019年6月24日
(31)【優先権主張番号】15173688.1
(32)【優先日】2015年6月24日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエイエスエフ・ソシエタス・エウロパエア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【弁理士】
【氏名又は名称】江藤 聡明
(72)【発明者】
【氏名】ヘンネンベルガー,フロリアン
(72)【発明者】
【氏名】グレーセル,ゲオルク
(72)【発明者】
【氏名】ボールマン,ゲルハルト
(72)【発明者】
【氏名】ホーファー,ダニエル
【審査官】 大瀬 円
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2006/0140767(US,A1)
【文献】 国際公開第2004/016952(WO,A1)
【文献】 特開平02−175972(JP,A)
【文献】 特開2004−324578(JP,A)
【文献】 特開平07−049099(JP,A)
【文献】 特開2014−238083(JP,A)
【文献】 実開昭63−052990(JP,U)
【文献】 独国特許出願公開第02519546(DE,A1)
【文献】 特開平10−196592(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 29/28
F04D 29/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホイール前側(6)、ホイール後側(11)及びホイールハブ(3)を有し、ポリマー材料で構成される高速圧縮機用の圧縮機ホイールであって、前記ホイール前側(6)は、前記ホイール前側(6)の外周(15)を半径方向に通過して延伸する平面と前記ホイール前側(6)の表面との間の距離が前記外周(15)から前記ホイールハブ(3)に向けて増加する湾曲を有し、前記ホイール前側(6)上に案内翼(7)が配列され、前記ホイールハブ(3)は径方向最内側部が前記ホイール後側(11)で前記案内翼から最も離れるように前記外周よりも軸方向に突出し、また前記ホイールハブ(3)の径方向最内側部から前記外周(15)に向けて補強リブ(13)が伸長し、前記ホイール後側(11)の前記外周(15)を半径方向に通過して延伸する平面と前記補強リブ(13)の後縁(19)との間の距離は、前記ホイール後側(11)の前記外周(15)から前記ホイールハブ(3)に向けて増加し、前記ホイールハブ(3)は、同心環(23)によって前記ホイール後側(11)上で囲繞され、また前記補強リブ(13)は、前記ホイールハブ(3)と前記同心環(23)との間で及び前記同心環(23)から前記外周(15)に向けて伸長し、前記同心環のホイール後側での突出端及び前記ホイールハブの径方向最内側部のホイール後側での突出端は、この順に前記案内翼から離れて前記軸方向に突出し、前記補強リブの後縁は、前記外周と前記ホイール後側における前記同心環の突出端と前記ホイール後側における前記ホイールハブの径方向最内側部の突出端とを連結し、前記外周(15)に向けて伸長する前記補強リブ(13)は、s形状に伸長する圧縮機ホイール。
【請求項2】
前記補強リブ(13)は、湾曲された後縁(19)を有する請求項1に記載の圧縮機ホイール。
【請求項3】
前記ホイールハブ(3)と前記同心環(23)との間の補強リブ(25)の数は、前記同心環(23)から前記外周(15)に向けて伸長する補強リブ(13)の数より小さい請求項1又は2に記載の圧縮機ホイール。
【請求項4】
前記ホイールハブ(3)と前記同心環(23)との間の前記補強リブ(25)は、径方向に配向される請求項1乃至3のいずれか一項に記載の圧縮機ホイール。
【請求項5】
全ての前記補強リブ(13,25)は、径方向に伸長する請求項1乃至4のいずれか一項に記載の圧縮機ホイール。
【請求項6】
前記ポリマー材料は、ポリアリールエーテルケトン類、ポリスルホン類、ポリフェニレンスルホン類、ポリエーテルイミド類、ポリアミド類、ポリエーテルスルホン類、ポリフェニレンサルファイド類、ポリフッ化ビニリデン、エポキシ樹脂及びポリエステル類から選択される請求項1乃至のいずれか一項に記載の圧縮機ホイール。
【請求項7】
前記ポリマー材料が繊維強化される請求項1乃至のいずれか一項に記載の圧縮機ホイール。
【請求項8】
排気ターボチャージャ、エンジン用電動圧縮機、掃除機、ブロワ、圧縮機、ファン又は蒸気抽出フード内の圧縮機ホイールである請求項1乃至のいずれか一項に記載の圧縮機ホイール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホイール前側、ホイール後側及びホイールハブを有し、ポリマー材料で構成される高速圧縮機用の圧縮機ホイールから始まり、ホイール前側は、外周からホイールハブに向けて、ホイール前側の外周を半径方向に通過して延伸する平面(以下、本明細書において、「…外周に通じる放射状延伸面」という場合には、「…外周を半径方向に通過して延伸する平面」のことをいうものとする。)とホイール前側の表面との間の距離が増加する湾曲を有し、ホイール前側上に案内翼が配列される。
【背景技術】
【0002】
圧縮機ホイールは、例えば、内燃機関の電動圧縮機に、又は家電、例えばバッグレス掃除機に用いられる。特に、内燃機関の圧縮機用として、圧縮機ホイールは、一般に、発生する高温及び高速回転のために金属で製造される。しかしながら、これらは、プラスチックと比較して大きな比重を有し、従ってまた、比較的大きな質量を有する。しかしながら、これは、圧縮機ホイールに作用する大きな力、及び、これに伴う、圧縮機ホイールに対する大きな要求駆動トルクに繋がる。
【0003】
モータ又はエンジンの所要始動パワーを低減するため故に、個々の構成要素の質量の低減が要求される。金属材料の代用としてのプラスチックの使用は、この目的に適切とみられる。しかしながら、特に、高速圧縮機ホイールの場合には、高性能プラスチックでさえ、金属材料の耐久性を達成することはできない。この理由は、250000rpmまでの高速回転では、遠心力のせいで部品全体に極めて大きな曲げ応力が生じるためである。
【0004】
内燃機関の出力の底上げ及び低燃費のための付加的な装置として電動圧縮機がますます使用されていることから、低質量の圧縮機ホイールに対する要求が増大している。この文脈では、電動圧縮機がエンジンと共に継続的に回転しないという事実のせいで高耐久性の圧縮機ホイールの使用が必要とされる。
【0005】
バッグレス掃除機の分野からは、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)の圧縮機ホイールが使用可能であることが既に知られている。この種の圧縮機ホイールは、例えば、Konstruktion & Engineering, ke04/2005, page 86に記載されている。Motortechnische Zeitschrift, September 2009, Volume 70, Issue 9,pages652 to 656は、更に、PEEKから圧縮機ホイールを製造する方法を明らかにしている。しかしながら、それはまた、発生熱のため、エンジンを構築する比較的高圧縮のターボチャージャの近くでは使用することができないと述べている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
例えば自動車の内燃機関用の圧縮機ホイールは、WO-A2004/016952に開示される。この圧縮機ホイールは、プラスチック材料から圧縮機ホイールを製造可能とするために、後側上にリブを備える。WO-A2004/016952に示される排気ターボチャージャの形状に起因して、後側上で下方に突出する部品のない圧縮機ホイールが必要である。しかしながら、それは、特に高速回転において、生じ得るハウジングとの圧縮機ホイールの衝突によって、動作中に要求しない変形の結果に終わる筋書きを示している。
【0007】
それ故に、本発明の目的は、低質量で、且つ、特に、ターボ圧縮機で生じる高速回転及び高温において高い耐久性で使用可能な圧縮機ホイールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、ホイール前側、ホイール後側及びホイールハブを有し、ポリマー材料で構成される高速圧縮機用の圧縮機ホイールによって達成され、ホイール前側は、外周からホイールハブに向けて、ホイール前側の外周に通じる放射状延伸面とホイール前側の表面との間の距離が増加する湾曲を有し、ホイール前側上に案内翼が配列され、ホイールハブはホイール後側上で軸方向に突出し、またホイールハブから外周に向けて補強リブが伸長し、ホイール後側の外周に通じる放射状延伸面と補強リブの後縁との間の距離は、ホイール後側の外周からホイールハブに向けて増加する。
【0009】
ホイール後側の補強リブは、圧縮機ホイールの全ての部分が実質的に同等の壁厚で具現化可能であるという有利を有する。それは、特に、それ故に、特にプラスチックで製造される場合に、空洞の形成や収縮による寸法不精度につながる、ハブに向かう方向への壁厚が大きな圧縮機ホイールの具現化の回避を可能とする。この収縮や関連する寸法不精度は、不均一な動作や、それ故の圧縮機ホイール作動中のダメージにつながる可能性がある。ポリマー中の空洞は、ポリマーが力を均一に吸収することができないことから、不安定性につながる。
【0010】
本発明の文脈では、「ホイール後側上で軸方向に突出する」は、案内翼が配列されていない圧縮機ホイールの側がホイール後側であって、ホイールハブの軸方向端部が案内翼から離れる側に向いているように見えることを意味する。この目的のために、ホイールハブの下端、圧縮機ホイールの最大円周及びホイールハブの上端は、互いに軸方向に続いている。
【0011】
ホイールハブはホイール後側上で軸方向に突出し、またホイールハブから外周に向けて補強リブが伸長し、ホイール後側の外周に通じる放射状延伸面と補強リブの後縁との間の距離がホイール後側の外周からホイールハブに向けて増加するといったような形状を通じて、選択されるプラスチックに依存して、200℃までの高温でさえ、圧縮機ホイールの安定的で恒久的な作動を許容する安定性が驚くほど達成される。特に、高速回転によって発生する曲げ応力が吸収され得、また圧縮機ホイールはダメージを受けない。高速回転における、この小さな変形は、少量の漏れ流量のみの発生と、それ故の圧縮効率の僅かな低減といった付加的で肯定的な効果を有する。
【0012】
リブの形状は、圧縮機ホイールの個々の部位の壁厚が100%未満で異ならないという付加的な有利を有する。これは、材料の過度の収縮及びそれ故の圧縮機ホイールの望まない変形が発生することなく、高分子系材料から圧縮機ホイールを製造することを可能とする。更に、ポリマー材料の冷却中に空洞の生じない、薄い壁厚を可能とする。従って、製造に関連する弱点がなく、且つ圧縮機ホイールの寸法誤差がほんの少しである安定的な圧縮機ホイールが得られる。
【0013】
補強リブは、直線状の又は湾曲した後縁を有することができる。もし後縁が湾曲しているなら、外側からハブに向けて凹むように伸長する。特に、もし外周に通じる放射状延伸面を後縁が交差しない湾曲ならば、ここではそれが好ましい。反対に、外周からハブに向けて直線状、即ち湾曲を伴わない後縁とすることもできる。しかしながら、湾曲を伴う後縁形状が好ましい。この場合、湾曲は、円弧、楕円、放物線、双曲線形状とすることができる。
【0014】
本発明の1つの実施の形態では、ホイールハブは、ホイール後側上で同心環によって囲繞され、また補強リブは、ホイールハブと同心環との間及び同心環から外周に向けて伸長する。ホイールハブの周りで延伸するホイールハブと同心の環は、圧縮機ホイールの付加的な補強を可能とする。ここで、同心環は、最大で、ホイール後側上のホイールハブと同じ程度に軸方向に離れるように突出してもよい。もしホイール後側上の同心環外周から同心環まで及び同心環からホイールハブまで伸長する補強リブと同じ高さで終わるように同心環が突出するならば、特にそれが好ましい。もし同心環とホイールハブとの間の補強リブが圧縮機ホイールの軸と垂直に径方向に伸びる後縁を有するなら、ここではそれが好ましい。
【0015】
特に、ホイールハブの小径及びそれに相応してホイールハブの小外周の場合、もしホイールハブと同心環との間の補強リブの数が同心環から外周に向けて伸長する補強リブの数より小さいならば、それが好ましい。ここで、少数の補強リブは、全てのリブが外周からホイールハブまで伸長している場合よりもリブ間の間隔を大きくできるという結果故に、より簡易な製造のために特に要求される。
【0016】
更に、同心環は、付加的な同心環のない構造と比較してリブの総数を増やすことを可能とし、更に、それ故に安定性の一層の改善を可能とする。これは、特に、高速回転圧縮機ホイール、即ち50000min-1までの回転速度での動作する圧縮機ホイールに対し、圧縮機ホイールの周縁での振動発生を低減し、更に動作中の圧縮機ホイールを囲むハウジングと圧縮機ホイールとの衝突を防止するために要求される。
【0017】
ホイールハブと同心環との間で少数の補強リブを得られる場合には、ホイールハブと同心環との間の補強リブの数が同心環と圧縮機ホイールの外周との間の補強リブの数の半分とすると、それは特に好ましい。この場合、ホイールハブと同心環との間の補強リブは、外周から同心環まで伸長する第2補強リブの夫々の延長部を形成する。
【0018】
補強リブは、直線状に又は湾曲して形成することができ、また径方向と相対的に0〜45°までの範囲内の角度で配置することができる。このリブは、好ましくは0〜30°までの範囲内、特に好ましくは0〜15°の範囲内の角度で配置される。
【0019】
同心環が得られる場合には、ホイールハブと同心環との間の補強リブが径方向に配置されると、それが好ましい。この場合、同心環と外周との間の補強リブは、0°と異なる角度で伸長することができる。更に、補強リブは直線状又は湾曲することができる。
【0020】
しかしながら、全ての補強リブが径方向に伸長し、更に、この場合も、補強リブが直線状又は湾曲され得るならば、それは特に好ましい。
【0021】
補強リブが湾曲形状である場合には、例えば、外周に向けて伸長する補強リブに対し、湾曲させたりs形状としたりすることができる。しかしながら、補強リブが直線形状であることは、製造上の理由から好ましい。
【0022】
金属、セラミックス又はポリマーは、圧縮機ホイール用の材料として使用することができる。それらの低重量のために、プラスチックは、材料として好適に使用されるべきである。特に、圧縮機ホイールが自動車用のエンジンのターボ圧縮機に使用されるとき、材料は、好ましくは200℃までの温度で十分に温度安定であるべきである。それにも関わらず、圧縮機ホイール用の材料として、用途に関わりなく同等のポリマーが好適に使用される。この文脈では、温度安定熱可塑性物質及び温度安定熱硬化性物質の双方を使用することができる。
【0023】
圧縮機ホイールの製造に使用される適合するポリマー材料は、好ましくは、ポリアリルエーテルケトン類(PAEK)、ポリスルホン類(PSU)、ポリフェニレンスルホン類(PPSU)、ポリエーテルイミド類(PEI)、ポリアミド類(PA)、ポリエーテルスルホン類(PESU)、ポリフェニレンサルファイド類(PPS)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、エポキシ樹脂(EP)及びポリエステル類から選択される。
【0024】
適合するポリアリルエーテルケトン類は、例えば、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリアクリルエーテルケトンエーテルケトンケトン(PEKEKK)、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)又はポリエーテルエーテルケトンケトン(PEEKK)である。
【0025】
ポリマーとしてポリアミドが使用されるならば、ポリアミドは、PA46、PA6、PA66、PA6/6T、PA610、PA11及びPA12から好適に選択される。
【0026】
この文脈では、ポリアリルエーテルケトン類又はポリエーテルスルホン類がポリマーとして特に好ましい。
【0027】
ポリマー材料製の圧縮機ホイールとして十分な安定性を得るために、ポリマー材料が強化されるならば、それが好ましい。ここでは、パウダー状及びファイバー状の双方のフィラーが使用可能である。ファイバー状のフィラーの場合、特に、中繊維又は短繊維が使用される。この文脈では、1.7〜10mmまでの範囲の長さを有するファイバーが中繊維を指し、0.01〜1.7mmまでの範囲の長さを有するファイバーが短繊維を指す。短繊維又は中繊維の何れが使用されるかに関わらず、ファイバー径は5〜20μmまでの範囲であることが好ましい。グラスファイバーが使用される場合、ファイバー径は10〜20μmまでの範囲であることが好ましく、また、カーボンファイバーが使用される場合、ファイバー径は5〜10μmまでの範囲であることが好ましい。
【0028】
パウダー状のフィラーは、0.5〜50μmまでの範囲の平均径を有すことが好ましい。適合するパウダー状のフィラーは、例えば、タルク、黒鉛、炭酸カルシウム、フッ化カルシウム、酸化亜鉛、ワラストナイト、酸化マグネシウム又はカオリンである。
【0029】
適合するファイバー状のフィラーは、グラスファイバー類、カーボンファイバー類、鉱物ファイバー類又はアラミドファイバー類である。この文脈では、カーボンファイバー類又はグラスファイバー類が特に好適である。ここでは、好ましくは、カーボンファイバー類は5〜10μmまでの範囲の直径を有し、粉砕カーボンファイバー類が使用される場合には50〜500μmまでの範囲の長さを有し、切断カーボンファイバー類が使用される場合には1〜5mmまでの範囲の長さを有する。この文脈ではまた、例えば一部が50〜250μmまでの範囲の長さで、一部が3〜5mmまでの範囲の長さであるといったように、異なるファイバー長さの混合物を任意の要求混合比で使用することも可能である。
【0030】
グラスファイバー類が使用される場合、これらは、10〜14μmまでの範囲の直径を有し、粉砕グラスファイバー類が使用される場合には50〜250μmまでの範囲の長さを有し、切断グラスファイバー類が使用される場合には3〜5mmまでの範囲の長さを有する。ここでもまた、例えば一部が50〜250μmまでの範囲の長さで、一部が3〜5mmまでの範囲の長さであるといったように、異なるファイバー長さの混合物を任意の要求混合比で使用することが可能である。
【0031】
ポリマーの特性を調整するために、ファイバー状又はパウダー状のフィラーに加えて更なる添加物を加えることが可能である。一般的に、使用される添加物は、例えば、硬化剤、架橋剤、可塑剤、触媒、靭性調整剤、接着促進剤、充填材、離型剤、他のポリマーとのブレンド、安定剤又はこれらの要素の2以上の混合物である。付加的に又は選択的に、当業者によって周知のコモノマーもまた、ポリマーの特性を調整するために使用することができる。
【0032】
本発明に係る圧縮機ホイールは、例えば、排気ターボチャージャ、エンジン用電動圧縮機、掃除機、ブロワ、圧縮機、ファン又は蒸気抽出フード内の圧縮機ホイールとして適合する。
【0033】
本発明の実施の形態が図面で表示されると共に、以下の記述によってより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1図1は本発明に係る圧縮機ホイールの側面図を示す。
図2図2は本発明に係る圧縮機ホイールの断面図を示す。
図3図3はホイールハブ及びホイールボディの説明図を示す。
図4図4はホイール後側上の補強リブの種々の形状を示す。
図5図5はホイール後側上の補強リブの種々の形状を示す。
図6図6はホイール後側上の補強リブの種々の形状を示す。
図7図7はホイール後側上の補強リブの種々の形状を示す。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明に係る圧縮機ホイールが、図1に側面図として示される。
【0036】
圧縮機ホイール1は、ホイールハブ3及びホイールボディ5を備える。案内翼7は、ホイール後側6上のホイールボディ5上に配列される。この案内翼7は、圧縮機ホイールの作動中、圧縮されたガスが、最大径を有する側部から圧縮機ホイール1の上端9の方向に運ばれるように形成されている。この目的のために、圧縮機ホイール1は、一般的に分速数千回転の回転速度で通常に回転する。従って、例えば、自動車エンジンの電動圧縮機として使用する場合、例えば100000rpmまでの回転速度に達する。ここでは、案内翼7の輪郭と形状は、当業者によって周知のように、対応する圧縮機ホイール用として一般的に通例的な形状に相当する。図1から理解されるように、案内翼7は、湾曲したs形状の輪郭を有し、最大周の領域では軸方向に、上端9の領域では他方の端部で径方向に向くように向きを変える。
【0037】
本発明によれば、補強リブ13は、案内翼と反対向きにホイール後側11上に配列される。この補強リブ13は、外周15からホイールハブ3に向けて伸長する。図1から理解されるように、ホイールハブ3はホイール後側11上で軸方向に突出し、また補強リブ13はホイールハブ3の下端17まで伸長する。ここに示す実施の形態では、補強リブは湾曲した後縁19を有する。この場合、その輪郭は、外周15の領域での最小の勾配とホイールハブ3の領域での最大の勾配を有して凹んでいる。
【0038】
ここに示すように、補強リブ13の後縁の凹んだ輪郭とは別に、例えば直線状の輪郭も可能である。この湾曲した輪郭は、円弧、放物線、楕円又は双胸腺形状とすることができる。図1に示すような円弧形状の輪郭が好ましい。
【0039】
図2では、図1に示される圧縮機ホイールの断面が示される。
【0040】
ここで見られるように、ホイールボディ5は、外周15から上端17への方向で湾曲する。空洞や、圧縮機ホイール1がポリマー材料で製造される場合の収縮による歪みにつながり得る大きな壁厚を回避するために、ホイールボディは、実質的に一定の厚みを有する湾曲した壁形状である。ホイールの十分な安定性を得るために、補強リブ13が設けられる。
【0041】
図2に示す実施の形態では、ホイールハブは、ホイール前側の領域におけるよりもホイール後側11の領域においてより小さな内径21を有する。この場合、ホイールハブの内径は、急な拡大を伴って増大する。
【0042】
補強リブ13に加えて、この圧縮機ホイール1は、ホイールハブ3を囲繞する同心環23を有する。そして、補強リブ13は、まず外周15から同心環23まで、また、そこからホイールハブ3上まで伸長する。この場合、外周15から同心環23までの補強リブ13の数は、同心環23とホイールハブ3との間の補強リブの数より大きくすることができる。
【0043】
急な拡大を有するホイールハブ3の形状とは別に、図2に示すように、一定の直径を有するホイールハブ3の設計もまた可能である。これは、例示される図3から理解される。ここで、より一層簡素であるために、図3は、ホイールハブ3及びホイールボディ5のみを示す。ホイール後側上におけるこのホイールハブの突出長さはIRRで示される。ここではまた、ホイールボディ5は、外周15からホイールハブ3の上端9まで凹んだ湾曲を伴って延伸する。
【0044】
図4〜7では、ホイール後側11上の補強リブ13の種々の可能な輪郭を示す。
【0045】
図4は、図1及び2にも示されるような補強リブ13の輪郭を示す。ここで、補強リブ13は、径方向に直線的に伸長する。ここに示される変形では、ホイールハブ3は、同心環23によって囲繞される。この場合、補強リブ13は、外周15から同心環23まで伸長する。個々の第2補強リブ13が、更に同心環23からホイールハブ3まで伸長する。同心環23とホイールハブ3との間の補強リブ13の数の低減によって、全ての補強リブ13がホイールハブ3まで伸長している場合よりも、個々の補強リブ13間の距離を大きくすることができる。これは、特に圧縮機ホイール1の製造で有益である。
【0046】
図5は、同心環23とホイールハブ3との間の補強リブ25が径方向に直線状に伸長し且つ外周15から同心環23までの補強リブが湾曲している状態の補強リブの配列を示す。ここに示す実施の形態では、補強リブは僅かなS形状を有する。
【0047】
図6に示す形状では、補強リブ13が円弧形状に伸長し、図7に示す実施の形態では、それらが、同様に、s形状に伸長する。
【0048】
図6及び7に示す補強リブ13の形状と共に、同心環23を付加的に備えることも可能である。
【0049】
図1におけるリブの径方向への経路の代替として、径方向に対してある角度を有する補強リブの実施の形態も可能である。これはまた、接続線と径方向との間で規定される角度とその正反対との間に接続線を描くことによってここに決定される角度を伴う湾曲輪郭とすることも可能である。
【0050】
ここに示す形状に加えて、補強リブは、例えば波状又はジグザグ形状のような想定される他の輪郭もまた可能であり、その場合でも、実質的に径方向への経路又は径方向に対して角度を有する経路が可能である。
【符号の説明】
【0051】
1 圧縮機ホイール
3 ラジアルハブ
5 ホイールボディ
7 案内翼
9 上端
11 ホイール後側
13 補強リブ
15 外周
17 下端
19 後縁
21 ホイール後側の領域におけるホイールハブの内径
23 同心環
25 同心環23とホイールハブ3との間の補強リブ
RR ホイール後側上におけるホイールハブの突出長さ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7