(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2の保持部は、前記支持基板の保持面が真空チャンバの内部に位置し、当該保持面と反対側の面が前記真空チャンバから露出するように設けられていることを特徴とする、請求項2又は3に記載の基板処理装置。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。本実施形態では、基板の処理として、被処理基板と支持基板を接合する接合処理、及び紫外線硬化材料である接着剤に対する紫外線処理について説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0021】
<1.基板処理システムの構成>
先ず、本実施形態に係る基板処理装置を備えた基板処理システムの構成について、
図1〜
図3を参照して説明する。
図1は、基板処理システムの構成の概略を示す平面図である。
図2は、基板処理システムの内部構成の概略を示す側面図である。
図3は、被処理基板と支持基板の側面図である。なお、以下においては、位置関係を明確にするために、互いに直交するX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向を規定し、Z軸正方向を鉛直上向き方向とする。
【0022】
以下では、
図3に示すように、被処理基板Wの板面のうち、接着剤Gを介して支持基板Sと接合される側の板面を「接合面Wj」といい、接合面Wjとは反対側の板面を「非接合面Wn」という。また、支持基板Sの板面のうち、接着剤Gを介して被処理基板Wと接合される側の板面を「接合面Sj」といい、接合面Sjとは反対側の板面を「非接合面Sn」という。そして、被処理基板Wと支持基板Sが接着剤Gを介して接合され、重合基板Tが作製される。
【0023】
被処理基板Wは、例えばシリコンウェハや化合物半導体ウェハなどの半導体基板に複数の電子回路(デバイス)が形成された基板であり、電子回路が形成される側の板面を接合面Wjとしている。かかる被処理基板Wは、支持基板Sとの接合後、非接合面Wnが研磨処理されることによって薄化される。なお、被処理基板Wには、ガラス基板が用いられてもよい。
【0024】
支持基板Sは、被処理基板Wと略同径の基板であり、被処理基板Wを支持する。支持基板Sには、例えばガラス基板などが用いられる。なお、支持基板Sは、紫外線を透過する材料からなるものであれば特に限定されず、例えば石英板やサファイヤ板、アクリル板などを用いてもよい、
【0025】
接着剤Gには、被処理基板Wと支持基板Sを接着して接合する。なお、接着剤Gには、紫外線によって硬化する材料、例えば紫外線硬化樹脂が用いられる。
【0026】
基板処理システム1は、
図1及び
図2に示すように例えば外部との間で複数の被処理基板W、複数の支持基板S、複数の重合基板Tをそれぞれ収容可能なカセットCw、Cs、Ctが搬入出される搬入出ステーション2と、被処理基板W、支持基板S、重合基板Tに対して所定の処理を施す各種処理装置を備えた処理ステーション3とを一体に接続した構成を有している。
【0027】
搬入出ステーション2には、カセット載置台10が設けられている。カセット載置台10には、複数、例えば4つのカセット載置板11が設けられている。カセット載置板11は、Y軸方向(
図1中の上下方向)に一列に並べて配置されている。これらのカセット載置板11には、基板処理システム1の外部に対してカセットCw、Cs、Ctを搬入出する際に、カセットCw、Cs、Ctを載置することができる。このように搬入出ステーション2は、複数の被処理基板W、複数の支持基板S、複数の重合基板Tを保有可能に構成されている。
【0028】
なお、カセット載置板11の個数は、本実施形態に限定されず、任意に決定することができる。また、カセットの1つを不具合基板の回収用として用いてもよい。すなわち、種々の要因で被処理基板Wと支持基板Sとの接合に不具合が生じた基板を、他の正常な重合基板Tと分離することができるカセットである。
【0029】
搬入出ステーション2には、カセット載置台10に隣接して第1の基板搬送領域20が設けられている。第1の基板搬送領域20には、Y軸方向に延伸する搬送路21上を移動自在な第1の基板搬送装置22が設けられている。第1の基板搬送装置22は、鉛直方向及び鉛直軸周り(θ方向)にも移動自在であり、各カセット載置板11上のカセットCw、Cs、Ctと、後述する処理ステーション3の第3の処理ブロックG3のトランジション装置50、51との間で被処理基板W、支持基板S、重合基板Tを搬送できる。
【0030】
処理ステーション3には、各種処理装置を備えた複数例えば3つの処理ブロックG1、G2、G3が設けられている。例えば処理ステーション3の正面側(
図1中のY軸負方向側)には、第1の処理ブロックG1が設けられ、処理ステーション3の背面側(
図1中のY軸正方向側)には、第2の処理ブロックG2が設けられている。また、処理ステーション3の搬入出ステーション2側(
図1中のX軸負方向側)には、第3の処理ブロックG3が設けられている。
【0031】
例えば第1の処理ブロックG1には、被処理基板Wと支持基板Sに対して接合処理及び紫外線処理を行う基板処理装置30〜33が、搬入出ステーション2側からこの順でX軸方向に並べて配置されている。なお、基板処理装置30〜33の装置数や配置は任意に設定することができる。また、基板処理装置30〜33の構成については後述する。
【0032】
例えば第2の処理ブロックG2には、被処理基板Wに接着剤Gを塗布する塗布装置40〜43が、搬入出ステーション2側からこの順でX軸方向に並べて配置されている。なお、塗布装置40〜43の装置数や配置は任意に設定することができる。
【0033】
上記塗布装置40〜43には、公知のスピン塗布装置が用いられる。すなわち、塗布装置40〜43は、被処理基板Wを保持して回転させるスピンチャックと、スピンチャックに保持された被処理基板W上に接着剤Gを供給する接着剤ノズルを有している。
【0034】
例えば第3の処理ブロックG3には、被処理基板W、支持基板S、重合基板Tのトランジション装置50、51が下からこの順で2段に設けられている。なお、第3の処理ブロックG3には他に、接合前の被処理基板W、支持基板Sの識別番号を読み取って、被処理基板W、支持基板Sを識別する基板識別装置(図示せず)や、被処理基板W、支持基板S、重合基板Tのバッファ装置(図示せず)が設けられていてもよい。
【0035】
図1に示すように第1の処理ブロックG1〜第3の処理ブロックG3に囲まれた領域には、第2の基板搬送領域60が形成されている。第2の基板搬送領域60には、例えば第2の基板搬送装置61が配置されている。
【0036】
第2の基板搬送装置61は、例えば鉛直方向、水平方向(X軸方向、Y軸方向)及び鉛直軸周りに移動自在な搬送アームを有している。第2の基板搬送装置61は、第2の基板搬送領域60内を移動し、周囲の第1の処理ブロックG1、第2の処理ブロックG2及び第3の処理ブロックG3内の所定の装置に被処理基板W、支持基板S、重合基板Tを搬送できる。
【0037】
以上の基板処理システム1には、
図1に示すように制御部70が設けられている。制御部70は、例えばコンピュータであり、プログラム格納部(図示せず)を有している。プログラム格納部には、基板処理システム1における被処理基板W、支持基板S、重合基板Tの処理を制御するプログラムが格納されている。また、プログラム格納部には、上述の各種処理装置や搬送装置などの駆動系の動作を制御して、基板処理システム1における後述の接合処理を実現させるためのプログラムも格納されている。なお、前記プログラムは、例えばコンピュータ読み取り可能なハードディスク(HD)、フレキシブルディスク(FD)、コンパクトディスク(CD)、マグネットオプティカルデスク(MO)、メモリーカードなどのコンピュータに読み取り可能な記憶媒体Hに記録されていたものであって、その記憶媒体Hから制御部70にインストールされたものであってもよい。
【0038】
<2.基板処理装置の構成>
次に、上述した基板処理装置30〜33の構成について説明する。なお、以下においては基板処理装置30の構成について説明し、基板処理装置31〜33の構成は基板処理装置30の構成と同様であるので説明を省略する。
【0039】
図4に示すように基板処理装置30は、内部を密閉可能な真空チャンバ100を有している。真空チャンバ100には、例えば真空ポンプを備えた減圧機構(図示せず)が設けられ、当該減圧機構によって、真空チャンバ100の内部は所定の真空度の真空雰囲気に維持される。なお、真空チャンバ100には、真空チャンバ100内へ例えば窒素ガスなどの不活性ガスを供給するガス供給機構(図示せず)が設けられていてもよい。
【0040】
真空チャンバ100の第2の基板搬送領域60側の側面には、被処理基板W、支持基板S、重合基板Tの搬入出口(図示せず)が形成され、当該搬入出口には開閉シャッタ(図示せず)が設けられている。そして、真空チャンバ100の内部には、被処理基板W、支持基板S、重合基板Tが収容される。
【0041】
真空チャンバ100の内部には、被処理基板Wを下面で保持する第1の保持部200と、支持基板Sを上面で保持する第2の保持部300とを有している。第2の保持部300は、第1の保持部200の下方に設けられ、第1の保持部200と対向するように配置されている。すなわち、第1の保持部200に保持された被処理基板Wと第2の保持部300に保持された支持基板Sは対向して配置される。
【0042】
第1の保持部200には、公知の静電チャックが用いられる。被処理基板Wと支持基板Sの接合処理を適切に行うためには、これら被処理基板Wと支持基板Sが所定の位置に保持されている必要がある。このため、第1の保持部200には、真空雰囲気下でも被処理基板Wを適切に保持することができる静電チャックが用いられる。
【0043】
また、第1の保持部200は、昇降機構(図示せず)によって鉛直方向に昇降自在に構成されている。なお、真空チャンバ100を上部チャンバと下部チャンバに分割して、上部チャンバを鉛直方向に昇降自在に構成し、第1の保持部200はこの上部チャンバに連動して昇降自在に構成されていてもよい。
【0044】
第2の保持部300には、静電チャックが用いられる。この第2の保持部300に静電チャックが用いられる理由も、上述した第1の保持部200に静電チャックが用いられる理由と同様である。なお、第2の保持部300の構成については後述する。
【0045】
また、第2の保持部300は、その下部(底面)が真空チャンバ100から露出するように設けられている。後述するように第2の保持部300の下方には紫外線照射部400が設けられ、この紫外線照射部400から照射される紫外線は第2の保持部300の内部を透過する。第2の保持部300が完全に真空チャンバ100の内部に設けられていると、真空チャンバ100の底面の一部を紫外線が透過する材料で形成する必要がある。この点、本実施形態では、第2の保持部300を真空チャンバ100から露出させているので、真空チャンバ100の底面を紫外線透過材料で形成する必要がない。したがって、装置構成を簡略化することができ、装置にかかるコストを抑えることができる。
【0046】
真空チャンバ100の外部には、接着剤Gに対して紫外線を照射する紫外線照射部400が設けられている。紫外線照射部400から照射される紫外線の波長は特に限定されるものではないが、例えば365nmである。
【0047】
紫外線照射部400には、公知の紫外線照射装置が用いられる。すなわち、紫外線照射部400は、例えば基板上に複数のLED(発光ダイオード)を配置した構成を有している。かかる場合、LEDは紫外線照射時の発熱量が大きく、またアウトガスも発生するため、紫外線照射部400は真空チャンバ100の外部に配置される。
【0048】
なお、基板処理装置30には、上記の構成の他に、接合前に被処理基板W又は支持基板Sの水平方向の向きを調節する位置調節部(図示せず)や、接合前に被処理基板W又は支持基板Sを反転させる反転部(図示せず)などが設けられる。
【0049】
また、基板処理装置30〜33における各部の動作は、上述した制御部70によって制御される。
【0050】
<3.第2の保持部の構成及びその製造方法>
次に、上述した第2の保持部300の構成、及びその製造方法について説明する。
図5は、第2の保持部300の一部を拡大した説明図である。
【0051】
図5に示すように、第2の保持部300は、平板状の基体310を有している。基体310には、例えば石英ガラスなどが用いられる。なお、基体310は、紫外線を透過する材料からなるものであれば特に限定されず、例えば他の透明体を用いてもよい。
【0052】
基体310の内部には、支持基板Sを静電吸着するための電極320が設けられている。電極320には、例えばITO(酸化インジウムスズ)が用いられる。なお、電極320は、紫外線を透過する材料からなるものであれば特に限定されず、例えば他の透明電極を用いてもよい。
【0053】
電極320は、側面視において所定の間隔、例えば0.2μmで配置され、また平面視において櫛歯状に配置されている。ここで、第2の保持部300には、絶縁体である支持基板Sを静電吸着するため、いわゆるグラジエントタイプの静電チャックが用いられる。かかる場合、第2の保持部300では、電極320に印加された電荷に対して支持基板Sが静電誘導あるいは誘電分極により帯電して吸着する。そして、上述したように電極320を細く且つ間隔を狭くすることで大きな不平等電界を形成し、グラジエント力によって絶縁体である支持基板Sを吸着することができる。
【0054】
基体310の内部には、電極320の上方において、紫外線の透過方向を拡散する拡散層330が形成されている。拡散層330は凹凸を有し、この凹凸により紫外線を乱反射させて拡散することができる。また、拡散層330は、平面視において基体310の全面に形成されている。
【0055】
ここで、拡散層330の作用効果について説明する。
図6は、第2の保持部300を透過した紫外線の透過率の分布を示し、(a)は拡散層330を形成しない場合の紫外線透過率の分布を示し、(b)は拡散層330を形成した場合の紫外線透過率の分布を示す。
【0056】
図6(a)を参照すると、電極320が設けられた部分では紫外線透過率が40%と低く、電極320が設けられていない部分では紫外線透過率が90%と高い。これは、電極320が紫外線を吸収しやすく、基体310に比べて紫外線を透過しにくいためである。すなわち、電極320と基体310では、紫外線透過率が異なる。したがって、拡散層330を形成しない場合、紫外線透過率の分布(水平方向分布)が不均一になり、接着剤Gに照射される紫外線には、電極320のパターンに起因する投影ムラが生じる。このため、接着剤Gに対する紫外線処理を均一に行うことができない。そして紫外線処理において、このように接着剤Gにおける紫外線照射強度にムラが生じると、接着剤Gの硬化に時間差が生じ、これが硬化ムラとなる。硬化ムラが発生すると、重合基板Tの接合状態(接合強度や厚み)が不均一になる場合がある。
【0057】
一方、
図6(b)を参照すると、拡散層330を透過した紫外線の透過率は、水平方向に均一になる。これは、電極320又は基体310を透過した紫外線が、拡散層330によって拡散し、水平方向に均一に分布するためである。したがって、拡散層330を形成した場合、電極320の有無に関わらず、紫外線透過率の分布を均一にすることができ、接着剤Gに対する紫外線処理を均一に行うことができる。
【0058】
次に、以上の構成を有する第2の保持部300の製造方法について説明する。
図7は、かかる第2の保持部300の製造方法における主な工程を示す説明図である。
【0059】
先ず、
図7(a)に示すように平板状の第1の基体311の表面311aに凹凸を形成する。凹凸は例えばサンドブラストによって、表面311aの全面に形成される。そして、この凹凸が形成された表面311aが拡散層330となる。なお、表面311aの凹凸の形成方法は本実施形態に限定されない。例えば表面311aに、凹凸を備える樹脂系のシートを貼り付けてもよい。
【0060】
次に、
図7(b)に示すように第1の基体311の表面311aに、電極320を設ける。電極320は例えばグラビア印刷によって、所定のパターン(ラインアンドスペース)で設けられる。なお、電極320の配設方法は本実施形態に限定されない。例えばフォトリソグラフィー処理を行って、表面311aに電極320を設けてもよい。
【0061】
次に、
図7(c)に示すように第1の基体311の表面311aと、平板状の第2の基体312の表面312aが対向するように、第1の基体311と第2の基体312を配置する。そして、第1の基体311の表面311aと第2の基体312の表面312aの間に充填剤313を充填し、第1の基体311と第2の基体312を貼り合せる。なお、充填剤313には、例えば有機系の接着剤が用いられる。
【0062】
次に、
図7(d)に示すように第1の基体311の裏面311bを切削し研磨して、第1の基体311を薄化する。なお、第1の基体311、第2の基体312及び充填剤313が、基体310を構成する。こうして第2の保持部300が作製される。
【0063】
<4.基板処理システムの動作>
次に、以上のように構成された基板処理システム1を用いて行われる被処理基板Wと支持基板Sの基板処理方法について説明する。
【0064】
先ず、複数枚の被処理基板Wを収容したカセットCw、複数枚の支持基板Sを収容したカセットCs、及び空のカセットCtが、搬入出ステーション2の所定のカセット載置板11に載置される。その後、第1の基板搬送装置22によりカセットCs内の支持基板Sが取り出され、処理ステーション3の第3の処理ブロックG3のトランジション装置50に搬送される。このとき、支持基板Sは、その接合面Sjが上方を向いた状態で搬送される。
【0065】
次に、支持基板Sは、第2の基板搬送装置61によって塗布装置40に搬送される。塗布装置40に搬入された支持基板Sは、第2の基板搬送装置61からスピンチャックに受け渡され吸着保持される。このとき、支持基板Sの非接合面Snが吸着保持される。そして、スピンチャックによって支持基板Sを回転させながら、接着剤ノズルから支持基板Sの接合面Sjに接着剤Gを供給する。供給された接着剤Gは遠心力により支持基板Sの接合面Sjの全面に拡散されて、当該支持基板Sの接合面Sjに接着剤Gが塗布される。
【0066】
次に、支持基板Sは、第2の基板搬送装置61によって基板処理装置30に搬送される。基板処理装置30では、位置調節部によって支持基板Sのノッチ部の位置を調節して、当該支持基板Sの水平方向の向きが調節される。そして支持基板Sは、第2の保持部300に保持される。第2の保持部300では、支持基板Sの接合面Sjが上方を向いた状態、すなわち接着剤Gが上方を向いた状態で支持基板Sが保持される。
【0067】
支持基板Sに上述した処理が行われている間、当該支持基板Sに続いて被処理基板Wの処理が行われる。被処理基板Wは、第2の基板搬送装置61によって基板処理装置30に搬送される。このとき、被処理基板Wは、その接合面Wjが上方を向いた状態で搬送される。
【0068】
基板処理装置30では、位置調節部によって被処理基板Wのノッチ部の位置を調節して、当該被処理基板Wの水平方向の向きが調節された後、反転部によって被処理基板Wの表裏面が反転される。そして被処理基板Wは、第1の保持部200に保持される。第1の保持部200では、被処理基板Wの接合面Wjが下方を向いた状態で被処理基板Wが保持される。
【0069】
その後、基板処理装置30では、第1の保持部200に保持された被処理基板Wと第2の保持部300に保持された支持基板Sの水平方向の相対位置を調節すると共に、真空チャンバ100を密閉する。続いて、減圧機構によって真空チャンバ100の内部の雰囲気を吸引し、真空チャンバ100の内部を所定の真空度、例えば100Pa以下まで減圧する。このように真空チャンバ100の内部が真空雰囲気に維持されても、第1の保持部200は被処理基板Wを静電吸着して保持することができ、また第2の保持部300も支持基板Sを静電吸着して保持することができる。
【0070】
そして、この真空雰囲気下において、第1の保持部200を下降させ、被処理基板Wと支持基板Sを押圧して接合する。この際、真空チャンバ100の内部は真空雰囲気に維持されているため、被処理基板Wと支持基板Sを当接させても、当該被処理基板Wと支持基板Sとの間におけるボイドの発生を抑制することができる。
【0071】
また、この接合処理において、第1の保持部200を下降させて、被処理基板Wが支持基板S上の接着剤Gに当接すると、紫外線照射部400から接着剤Gに向けて、例えば365nm波長の紫外線を照射する。紫外線は、第2の保持部300と支持基板Sを透過して接着剤Gに照射され、当該接着剤Gの接着剤が硬化する。こうして、接着剤Gの接着性が向上する。すなわち、第1の保持部200による被処理基板Wの押圧と、接着剤Gの紫外線硬化によって、被処理基板Wと支持基板Sが接合される。
【0072】
紫外線処理において、紫外線が第2の保持部300を透過する際、上述したように拡散層330によって紫外線の分布を均一にすることができる。したがって、接着剤Gに対する紫外線処理を均一に行うことができる。
【0073】
次に、被処理基板Wと支持基板Sが接合された重合基板Tは、第2の基板搬送装置61によってトランジション装置51に搬送され、その後搬入出ステーション2の第1の基板搬送装置22によって所定のカセット載置板11のカセットCtに搬送される。こうして、一連の被処理基板Wと支持基板Sの基板処理が終了する。
【0074】
以上の実施形態によれば、一の基板処理装置30で、被処理基板Wと支持基板Sに対して、接合処理と紫外線処理を行うことができ、一連の基板処理のスループットを向上させることができる。
【0075】
また、第2の保持部300の内部には拡散層330が形成されているので、当該第2の保持部300を透過する紫外線の透過方向を拡散することができる。このため、電極320の有無に関わらず、紫外線の分布を均一にすることができ、接着剤Gに対する紫外線処理を均一に行うことができる。
【0076】
<5.他の実施形態>
次に、本発明の他の実施形態について説明する。
【0077】
以上の実施形態の第2の保持部300では、拡散層330は1層形成されていたが、2層形成されていてもよい。
図8に示すように拡散層330のさらに上方おいて、基体310の裏面に拡散層331が形成される。
【0078】
この拡散層331を備える第2の保持部300を製造する際には、
図5に示した第2の保持部300に対して、基体310の裏面(第1の基体311の裏面311b)に凹凸を形成すればよい。すなわち、上述した
図7(a)〜(d)の工程を行った後、例えば第1の基体311の裏面311bに対してサンドブラストを行い、凹凸を形成する。そして、拡散層331が形成される。なお、裏面311bの凹凸の形成方法は本実施形態に限定されず、例えば裏面311bに、凹凸を備える樹脂系のシートを貼り付けてもよい。
【0079】
かかる場合、紫外線処理において、紫外線照射部400から照射される紫外線が第2の保持部300の内部を透過する際、紫外線は拡散層330、331において拡散される。したがって、紫外線の分布をより均一にすることができ、接着剤Gに対する紫外線処理をさらに均一に行うことができる。
【0080】
なお、第2の保持部300における拡散層330、331は、3層以上形成されていてもよい。
【0081】
以上の実施の形態の第2の保持部300では、拡散層330は電極320に隣接して設けられていたが、
図9に示すように拡散層330は、電極320から離間して設けられていてもよい。かかる場合、電極320と拡散層330との間のスペース320aには、電極320を透過した紫外線(
図9中の直線矢印)に加えて、電極320、320間を透過した紫外線の一部(
図9中の斜め矢印)なども進入する。そうすると、拡散層330を電極320から離間して配置することで、拡散層330を透過する前の紫外線の透過率を水平方向に均すことができる。その結果、拡散層330を透過した紫外線の透過率が高くなり、水平方向により均一にすることができる。
【0082】
以上の実施形態の基板処理装置30では、被処理基板Wを保持する第1の保持部200を上側に配置し、支持基板Sを保持する第2の保持部300を下側に配置したが、これら第1の保持部200と第2の保持部300の上下配置を反対にしてもよい。かかる場合、紫外線照射部400は、第2の保持部300の上方に配置される。そして、上記実施形態における被処理基板Wと支持基板Sに対する処理を反対にすることで、一連の基板処理を行うことができる。
【0083】
以上の実施形態では、支持基板Sの接合面Sjに接着剤Gを塗布していたが、被処理基板Wの接合面Wjに接着剤Gを塗布してもよいし、あるいは被処理基板Wの接合面Wjと支持基板Sの接合面Sjの両方に接着剤Gを塗付してもよい。
【0084】
なお、以上の実施形態では、紫外線硬化材料として接着剤Gを用いる場合について説明したが、本発明は他の用途に用いられる紫外線硬化材料に対しても適用できる。例えばテンプレート(モールド)を用いて基板上に所定のレジストパターンを形成する、いわゆるインプリント処理において、基板上に塗布されるレジストが紫外線硬化材料の場合があるが、かかる場合に本発明を適用することも可能である。
【0085】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。