(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
支持体の他方の面から照射するレーザー光の重なり幅がビームサイズ幅長さの50%以下の長さで重なるようにして、レーザー光を支持体の他方の面から複数回照射する、請求項1〜3のいずれかに記載のフレキシブル基板の製造方法。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置や有機EL表示装置等の表示装置は、テレビのような大型ディスプレイから、携帯電話、パソコン、スマートフォンなどの小型ディスプレイに至るまで、各種のディスプレイ用途に使用されている。表示装置の代表的なものとして有機EL表示装置があるが、例えば、この有機EL表示装置では、支持体であるガラス基板上に薄膜トランジスタ(以下、TFT)を形成し、電極、発光層、電極を順次形成し、最後に別途ガラス基板や多層蓮膜等で気密封止して作られる。
【0003】
ここで、支持体であるガラス基板を従来のガラス基板から樹脂基材へと置き換えることにより、薄型・軽量・フレキシブル化が実現でき、表示装置の用途を更に広げることができる。しかしながら、樹脂は一般にガラスと比較して寸法安定性、透明性、耐熱性、耐湿性、ガスバリア性等に劣るため、現時点では研究段階にあり種々の検討がなされている。
【0004】
例えば、特許文献1は、フレキシブルディスプレイ用プラスチック基板として有用なポリイミド、及びその前駆体に係る発明に関し、シクロヘキシルフェニルテトラカルボン酸等のような脂環式構造を含んだテトラカルボン酸類を用いて、各種ジアミンと反応させたポリイミドが透明性に優れることを報告している。この他にも、支持基材にフレキシブルな樹脂を用いて軽量化を図る試みがなされており、例えば、下記の非特許文献1及び2では、透明性の高いポリイミドを支持基材に適用した有機EL表示装置が提案されている。
【0005】
このように、ポリイミド等の樹脂フィルムがフレキシブルディスプレイ用プラスチック基板に有用であることは知られているが、表示装置の製造工程は、既にガラス基板を用いて行なわれており、その生産設備の大半はガラス基板を使用することを前提に設計されている。したがって、既存の生産設備を有効活用しながら、表示装置を生産することを可能とすることが望ましい。
【0006】
その検討の具体例のーつとして、ガラス基板上に樹脂フィルムを積層した状態で所定の表示装置の製造工程を完了させ、その後にガラス基板を取り除くことで、樹脂基材上に表示部を備えた表示装置の製造方法が知られている(特許文献2、非特許文献3、非特許文献4参照)。そして、これらの場合、樹脂基材上に形成された表示部(ディスプレイ部)に損傷を与えずに樹脂基材とガラスとを分離することが必要となる。例えば、非特許文献3では、ガラス基板上に塗布して固着した樹脂基材に対し、所定の表示部を形成した後、EPLaR(Electronics on Plastic by Lasor Release)プロセスと呼ばれる方法によりガラス側からレーザーを照射して、表示部を備えた樹脂基材をガラスから強制分離する。
【0007】
しかしながら、樹脂基材を支持基板から剥離により除去する場合、剥離する際に樹脂基材に応力がかかり表示装置に不具合が発生し、樹脂基材が面方向に延伸されることで面内方向のリタデーションが大きくなるといった樹脂基材の特性を変化させることになる。
【0008】
そこで、特許文献3では、応力緩和層を設けることで樹脂基材を支持基板から剥離するようにしているが、応力緩和層を別途設ける必要があり、また、応力緩和層が非透明な場合、樹脂基材との剥離が可能な応力緩和層を選定する必要がある。
【0009】
また、特許文献4では、透明プラスチックはUVレーザー光を吸収しないため、アモルファスシリコンのような吸収/剥離層を予めフィルムの下に設ける必要があることを開示している。
【0010】
一方、特許文献5では応力緩和層を設ける場合もレーザーでの剥離について記載されているが、樹脂層や支持体の透過率について記載がない。
【0011】
また、特許文献6ではアルコキシシラン化合物を含む樹脂組成物とすることで、パーティクルを発生させずにレーザー剥離可能と記載されているが、こちらにも樹脂層や支持体の透過率について記載がない。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0025】
本発明におけるフレキシブル基板の製造方法では、樹脂層が支持体上に積層された状態で、樹脂層上に機能層を形成し、その後、レーザー光を使って樹脂層と支持体とを分離して、樹脂層上に機能層を備えたフレキシブル基板を得ることを特徴とする。詳しくは、以下で説明するとおりである。なお、下記では、好適な例として、支持体がガラス、樹脂層がボリイミド、で形成される場合を説明するが、ガラス以外の支持体、ポリイミド以外の樹脂で形成してもよい。
【0026】
具体的には、先ず、フレキシブル基板の製造工程で台座となる支持体を準備する。この支持体については、樹脂層や機能層を形成する製造過程での熱履歴や雰囲気等に耐え得るような化学的強度や機械的強度を備えたものであれば特に制限されず、無機材料や金属、耐熱有機フィルム等が挙げられる。具体的には、ガラスや樹脂フィルム、銅箔等の金属箔が例示されるが、好適には、ガラス基板を用いるのがよい。ガラス基板は、例えば、フレキシブル基板の製造において一般的に使用されるものを利用することができる。但し、本発明で製造するフレキシブル基板では、機能層の支持基材は樹脂層である。つまり、ここで言うガラス基板は、樹脂層上に機能層を形成する際に台座の投割をするものであって、フレキシブル基板の製造過程で樹脂層の取り扱い性や寸法安定性等を担保することはあっても、最終的には除去されてフレキシブル基板を構成するものではない。なお、支持体は処理工程中の樹脂層の剥離を防ぐために、例えば、ポリイミドと親和性のある官能基の付与、または表面粗度を高くする表面処理などを行なってもよい。
【0027】
<支持体>
上記のとおり、支持体としてはガラス基板が好ましく用いられる。ガラス基板としては、例えば、ソーダライムガラス、無アルカリガラス、リン酸系ガラス、石英などが挙げられる。ここで、樹脂溶液を硬化させるための加熱処理時に支持体が膨張すると均一な樹脂層が得られない場合も考えられることから、支持体の熱膨張係数は10ppm/℃以下、好ましくは5ppm/℃以下であるのがよく、このような観点からガラス基板としては無アルカリガラスがより好ましく用いられる。なお、支持体の表面は接着性を向上させる等の目的で、例えば−OH、−NH、−Siなどのポリイミドと親和性のある官能基をガラスの表面に導入するような化学的な表面処理、又は、薬液によるエッチングでガラス表面に凹凸面を形成するような物理的な表面処理が施されていてもよい。
【0028】
前記支持体はレーザー光が透過する必要がある。そのため使用するレーザー光の波長の透過率が高いものが適する。詳しくは、使用するレーザー光の波長の透過率が30%以上であることが好ましい。具体的に、本発明ではエキシマレーザーが出力する308nmの波長での光透過率が30%以上の支持体を用いるものとする。ただし、本発明で使用できるレーザーの種類はエキシマレーザー以外のレーザーも使用することができる。
【0029】
<樹脂層>
樹脂層については、機能層を形成する製造過程での熱履歴や雰囲気等に耐え得るような化学的強度や機械的強度を備えたものであれば特に制限されず、耐熱有機フィルム等が挙げられる。好適には、ポリイミドを用いるのがよい。
【0030】
樹脂層を形成するにあたっては、例えばポリイミド、又は、ポリイミド前駆体等の樹脂が溶剤中に溶解又は分散された樹脂溶液を支持体上に塗布後、乾燥又は硬化することによって得られるが、詳しくは、原料としてのジアミンとテトラカルボン酸二無水物及び/又はトリカルボン酸無水物(以下、併せて「酸無水物」ともいう。)から得られるポリアミック酸を用いるか、或いは、ポリイミドの樹脂溶液を用いることができる。上記ジアミンとテトラカルボン酸二無水物及び/又はトリカルボン酸無水物は、それぞれ単一種からなってもよく、複数種からなってもよい。
【0031】
一般に、ポリイミドは、原料である酸無水物とジアミンとを重合して得られ、下記一般式(1)で表すことができる。なお、ポリアミック酸は、ポリイミドの前駆体であり、一般式(2)で表すことができ、これを加熱処理等に付すことによりポリイミドとすることができる。したがって、ポリイミドの説明からポリアミック酸が理解できるので、ポリイミドの説明で代表する。
【化3】
式中、Ar
1は酸無水物残基である4価の有機基を表し、Ar
2はジアミン残基である2価の有機基であり、耐熱性の観点から、Ar
1、Ar
2の少なくとも一方は、芳香族残基であるのが望ましい。
【0032】
本発明において用いられるポリイミドは、特に制限しないが第1の例として、含フッ素ポリイミドが挙げられる。ここで、含フッ素ポリイミドとは、ポリイミド構造中にフッ素原子を有するものを指し、ポリイミド原料である酸無水物、及びジアミンの少なくとも一方の成分において、フッ素を有するものである。このような含フッ素ポリイミドとしては、例えば、上記一般式(1)で表されるもののうち、式中のAr
1が4価の有機基であり、Ar
2が下記一般式(3)又は(4)で表される2価の有機基で表されるものが例示される。
【化4】
【0033】
上記一般式(3)又は一般式(4)におけるR
1〜R
8は、互いに独立に水素原子、フッ素原子、炭素数1〜5までのアルキル基若しくはアルコキシ基、又はフッ素置換炭化水素基であり、一般式(3)にあっては、R
1〜R
4のうち少なくとも一つはフッ素原子又はフッ素置換炭化水素基であり、また、一般式(4)にあっては、R
1〜R
8のうち少なくとも一つはフッ素原子又はフッ素置換炭化水素基である。これらR
1〜R
8の好適な具体的としては、−H、−CH
3、−OCH
3、−F、−CF
3などが挙げられるが、式(3)又は式(4)において少なくとも一つの置換基が、−F又は−CF
3の何れかであるのが好ましい。
【0034】
含フッ素ポリイミドである場合の一般式(1)中のAr
1の具体例としては、例えば以下のような4価の酸無水物残基が挙げられる。
【化5】
【0035】
上記のような含フッ素ポリイミドには透明性に優れたものが含まれるので、透明性のポリイミドフィルムが望まれる用途には好適である。例えば、液晶表示装置や有機EL表示装置等の表示装置をはじめ、それらで使用されて透明性が要求されるフレキシブル基板の樹脂層として好適である。その透明性をより優れたものとすることを考慮すれば、一般式(1)におけるAr
2を与える具体的なジアミン残基の好ましい例は以下に示される。
【0037】
また、このような含フッ素ポリイミドにおいて、次に挙げる一般式(5)、(6)又は(7)で表される構造単位のいずれかを80モル%以上の割合で有する場合には、透明性が優れる他、熱膨張性が低く寸法安定性に優れることからより好ましい。すなわち、下記の(5)、(6)又は(7)で表される構造単位を有するポリイミドであれば、440nmから780nmの波長領域での光線透過率が70%以上、好適には80%以上を示すことから、表示装置等のように透明性が要求される積層部材におけるポリイミド層を形成するものとしてより有利である。また、300℃以上のガラス転移温度を有するようになると共に、熱膨張係数は80ppm/K以下、好適には50ppm/K以下にすることができる。そのため、このようなポリイミドを使用することで、プロセス中に温度変化を受けても両者の熱膨張係数が近いため、反ったり皺が寄ったりすることを防止できる。
【0039】
上記のような含フッ素ポリイミドはレーザー光を吸収して支持体から剥離する際の剥離性が優れ、支持体の再利用が望まれる用途には好適である。例えば、液晶表示装置や有機EL表示装置等を製造するために支持体にガラス基板を使用する場合、ガラス基板表面に樹脂成分を含む残渣が残らず、支持体をリサイクルして使うことができる。
【0040】
前記樹脂層はレーザー光を吸収して支持体から剥離する。もし、レーザー等の光が機能層に到達すると機能層が動作しない等、悪影響を及ぼす可能性がある。そのためレーザー光の遮光性も必要となる。したがって、レーザー光に近い波長の透過率は30%以下であり、20%以下が好ましい。詳しくは、支持体上に形成する樹脂層は、355nmの波長での光透過率が30%以下であり、好ましくは20%以下である。355nmの光透過率がこの範囲以下であれば355nmの波長を有するYAGレーザーによっても剥離することができる。
【0041】
すなわち、本発明における樹脂層では、可視光領域の透過率を高く、低波長領域の透過率を低く調整するために、前記ポリイミドの分子構造中のフッ素原子濃度を制御する必要がある。好ましくは、前記ポリイミドの分子構造中にフッ素を5wt%〜40wt%含むのがよく、前記ポリイミドの分子構造中にフッ素を15wt%〜30wt%含むことがさらに好ましい。なお、このフッ素濃度は、前記ポリイミドを構成する上記一般式(1)で表される繰り返し単位に含まれる、フッ素原子の重量濃度である。
【0042】
上記第1の例を含めて、ポリイミドは、脂環構造のジアミンもしくは酸無水物から生じる単位を含んでもよく、その例としてはCBDA(シクロブタン−1,2:3,4−テトラカルボン酸二無水物)、CHDA(1,2,4,5-シクロヘキサンカルボン酸二無水物)などが挙げられる。
【0043】
また、可視光領域の透過率を高く、低波長領域の光を吸収するためには前記ポリイミドの分子構造中の芳香環濃度を制御する必要がある。好ましくは、前記ポリイミドの分子構造中に芳香環を5wt%〜63wt%含むのがよく、前記ポリイミドの分子構造中に芳香環を35wt%〜50wt%含むことがさらに好ましい。なお、この芳香環濃度は、前記ポリイミドを構成する上記一般式(1)で表される繰り返し単位に含まれる、ベンゼン環の重量濃度である。
【0044】
ポリイミドフィルムがある程度剛直で、脆くも柔らかくもなり過ぎず、屈曲可能にさせても初期の状態を保つ柔軟なフィルムにするためには、前記ポリイミド分子構造中のイミド基濃度を制御する必要がある。そのため、本発明における樹脂層は、好ましくは、前記ポリイミドの分子構造中にイミド基を5wt%〜40wt%含むのがよく、前記ポリイミドの分子構造中にイミド基を15wt%〜30wt%含むことがさらに好ましい。なお、イミド基濃度は、前記ポリイミドを構成する上記一般式(1)で表される繰り返し単位に含まれる、イミド基[(O=C)−N−(C=O)]の重量濃度である。
【0045】
また、ポリイミドフィルムがある程度剛直で、脆くも柔らかくもなり過ぎず、屈曲可能にさせても初期の状態を保つ柔軟なフィルムにするためには、共重合体の繰り返し単位1つの1モル当たりの平均分子量(Fw)を制御する必要がある。好ましくは、前記共重合体の繰り返し単位1つの1モル当たりの平均分子量を450g/mol〜900g/mol含むのがよく、前記共重合体の繰り返し単位1つの1モル当たりの平均分子量を500g/mol〜800g/mol含むことがさらに好ましい。
【0046】
上記第1の例を含めて、ポリイミドは、ポリアミック酸をイミド化して得ることができる。ここで、ポリアミック酸の樹脂溶液は、原料であるジアミンとテトラカルボン酸二無水物及び/又はトリカルボン酸無水物とを実質的に等モル使用し、有機溶媒中で反応させることによって得るのがよい。具体的には、窒素気流下にN,N−ジメチルアセトアミドなどの有機極性溶媒にジアミンを溶解させた後、テトラカルボン酸二無水物及び/又はトリカルボン酸無水物を加えて、室温で5時間程度反応させることにより得ることができる。塗工時の膜厚均一化と得られるポリイミドフィルムの機械強度の観点から、得られたポリアミック酸の重量平均分子量は1万から30万が好ましい。なお、得られるポリイミド層の好ましい分子量範囲もこのポリアミック酸と同じ分子量範囲である。
【0047】
本発明では、支持体の上にポリイミド層を設けるわけであるが、その方法としては、ポリイミド層の形成を、ポリイミド又はポリイミド前駆体(以下、「ポリアミド酸」ともいう。)の樹脂溶液を塗布(流延)することによって行なう。
【0048】
塗布(流延)の方法は、特に限定されず、所定の厚み精度が得られるのであれば、公知の方法、例えば、スピンコーター、スプレーコーター、バーコーター、ロールコーター、ナイフコーター、スリットダイコーターや、インクジェット印刷、スクリーン印刷、スリット状ノズルから押し出す方法が適用できる。また、樹脂溶液の塗布面となる支持体の表面に対して適宜表面処理を施した後に、塗布を行ってもよい。
【0049】
樹脂溶液を塗布して得られた塗布層がイミド結合を有する高分子の前駆体であるポリイミド前駆体である場合、加熱処理工程としては、500℃以下、好ましくは400℃以下で熱処理してイミド化し、ポリイミドに変換する。熱処理時間は通常1分〜5時間、好ましくは2分〜90分で適宜選択され、段階的に温度を上げて熱処理しても構わない。また、イミド化のための熱処理は大気中であっても窒素中であっても構わない。一方、前記塗布層がポリイミドの樹脂溶液の場合の加熱処理工程では、120〜300℃の温度範囲において、1分〜2時間、好ましくは1〜60分で適宜選択され、ポリイミド樹脂溶液中の溶剤を完全に除去する。
【0050】
<機能層>
ここで、機能層とは、液晶表示装置や有機EL表示装置、電子ペーパー、タッチパネル等の表示装置、照明装置、検出装置、又はその構成部品を構成する層や各種機能性材料層を構成するものであって、具体的には、電極層、発光層、ガスバリア層、接着層、粘着層、薄膜トランジスタ、配線層、透明導電層等の1種又は2種以上を組み合わせたようなものを意味する。
機能層を設けたポリイミドフィルムは、例えば、有機EL照明装置で用いたり、ITO等が積層された導電性フィルム、水分や酸素等の浸透を防止するガスバリアフィルム、フレキシブル回路基板の構成部品などの各種機能を有した機能性材料であるフレキシブル基板として用いられる。
【0051】
<フレキシブル基板>
機能層を設けたポリイミドフィルムをフレキシブル基板というが、これは人手で曲げられる程度の屈曲性を有する電子機器用素子または電子機器用部材である。フレキシブル基板が電子機器に搭載される形態は、曲率が使用時に変化する屈曲用途でもよく、曲率が変化しない固定曲面でもよく、また平面でもよい。
【0052】
<レーザー光>
レーザーとしては各種気体レーザー、固体レーザー(半導体レーザー)等が挙げられ、エキシマレーザー、Nd−YAGレーザー、Arレーザー、CO
2レーザー、He−Neレーザー等を用いることができる。これらのレーザーは、波長に応じて、UV領域用レーザー(410nm以下)、緑、可視光領域対レーザー(500〜700nm)、近赤外領域の大レーザー(700〜2000nm)、赤外線領域対レーザー(2000nm以上)などに大別できる。
【0053】
本発明においては、UVレーザーとして410nm以下の波長領域のレーザー光を使用し、詳しくは、300nm〜410nmの波長領域におけるいずれかの波長を有するレーザー光を支持体の他方の面から照射する。なかでも、好ましくは360nm以下の波長のNd−YAGレーザーの第3高調波(355nm)を挙げることができ、更に好ましくは310nm以下の波長のXe−Clエキシマレーザー(308nm)が挙げられる。
【0054】
本発明でのレーザー照射は樹脂層を形成した面とは反対側の支持体の裏面全面を照射することが好ましい。支持体全面を照射する方法としては、レーザーノズルを固定してステージをXY方向に移動しながら照射してもよく、レーザーノズルをXY方向に移動しながら照射してもよい。レーザーのノズル形状は任意に選定することができ、例えば、点レーザー、ラインレーザーが有る。本発明においては、できるだけ照射幅の広いラインレーザーでの照射が好ましい。
【0055】
好適には、本発明でのレーザー照射はノズルを移動させながらパルスで照射する。レーザー強度はその照射範囲内で分布があり、一般的には中心部分の強度が強く、周辺部分の強度は低い。したがって、レーザー照射する際は、レーザー強度ができるだけ均一なもの、もしくは、そのレーザー照射域の一部をオーバーラップさせながら照射する。そのオーバーラップは少ない方が、照射速度が速くなり好ましい。
【0056】
また、レーザー照射域の一部をオーバーラップさせながら照射する場合、オーバーラップする箇所には強いエネルギーがかかるため、支持体を介して樹脂層を変質させる恐れがある。そのため、レーザー光の重なり幅がビームサイズ幅長さの50%以下の長さで重なるようにし、好ましくは30%以下の長さで重なるようにして、レーザー光を支持体の他方の面から複数回照射するのがよい。
【0057】
レーザーの照射エネルギーが強いと樹脂層を変質させる恐れがあり、弱いと支持体から樹脂層が剥がれないことが考えられる。そのため支持体の他方の面に当たるレーザー光の照射エネルギーは10mJ
/cm2以上500mJ
/cm2以下であるのがよく、好ましくは80mJ
/cm2以上300mJ
/cm2以下にするのがよい。ここで、支持体の他方の面に当たるレーザー光の照射エネルギーは、エネルギー密度(mJ/cm
2)とビームの重なりを考慮したエネルギーの和となる。
【0058】
なお、本発明においては、剥離作業を容易にするために、樹脂溶液を支持体に塗布する前に離型剤や犠牲層を支持体に塗布しておいてもよい。係る離型剤としては、植物油系、アルキッド系、シリコーン系、フッ素系、芳香族高分子系、アルコキシシラン系等が挙げられ、また、犠牲層としては、金属膜、酸化物膜、アモルファスシリコン膜等が挙げられるが、本発明では上述したように、これらの離型剤の塗布や犠牲層の形成を特に必要とするものではない。
【0059】
ところで、先に述べたように、その一例として、本発明におけるフレキシブル基板は、TFT基板として好適に使用することができる。すなわち、基材となる樹脂層の上に無機膜およびTFTを備えたTFT基板を得ることができる。
【0060】
ここで、基材となる樹脂層を利用したTFT基板は少なくとも以下の工程を経て製造することができる。
(1)樹脂溶液を支持体上に塗布する工程
(2)塗布された樹脂溶液から溶剤を除去する工程
(3)樹脂溶液中のポリイミド前駆体をイミド化してポリイミド樹脂膜(樹脂層)を得る工程、又はポリイミド樹脂溶液中の溶剤を除去して樹脂層を得る工程
(4)ポリイミド樹脂膜上に無機膜(機能層)を形成する工程
(5)更にTFT(機能層)を形成する工程。
【0061】
ここでの無機膜としては、ポリイミド樹脂膜に、水蒸気や酸素などのガスの透過を抑制するためにガスバリア層を形成することが好ましい。好ましいガスバリア層としては、例えば、ケイ素、アルミニウム、マグネシウム、亜鉛、ジルコニウム、チタン、イットリウム、およびタンタルからなる群から選ばれる1種または2種以上の金属を主成分とする金属酸化物、ケイ素、アルミニウム、ホウ素の金属窒化物またはこれらの混合物を挙げることができる。中でも、ガスバリア性、透明性、表面平滑性、屈曲性、膜応力、コスト等の点からケイ素の酸化物、窒化物、または酸窒化物を主成分とすることが好ましい。これら無機のガスバリア層は、例えばスパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法等の気相中より材料を堆積させて膜を形成する気相堆積法により作製することができる。中でも、特に優れたガスバリア性が得られるという観点から、スパッタリング法が好ましい。また、無機ガスバリア層の膜厚は10〜300nmであることが好ましく、30〜200nmであることがさらに好ましい。
【0062】
TFTを形成するための半導体層としては、アモルファスシリコン半導体、多結晶シリコン半導体、IGZOに代表される酸化物半導体、ペンタセンやポリチオフェンに代表される有機物半導体が挙げられる。例えば、本発明のポリイミド樹脂膜を基材として、ガスバリア膜、ゲート電極、ゲート絶縁膜、IGZO半導体層、エッチングストッパ膜、ソース・ドレイン電極を公知の方法によって順次形成してボトムゲート型TFTを作製する。上記の工程を経てポリイミド樹脂膜を利用したTFT基板を製造することができる。このようなTFT基板は、液晶デバイスや有機EL素子の駆動基板として用いることができる。
【0063】
一方で、ポリイミド樹脂膜のうち、可視光領域で高透過率を有するものは、カラーフィルタ基材に好適に使用することができる。すなわち、本発明のポリイミド樹脂膜(樹脂層)上にブラックマトリックスおよび着色画素を備えたカラーフィルタを得ることができる。
【0064】
ポリイミド樹脂膜を利用したカラーフィルタは少なくとも以下の工程を経て製造することができる。
(1)樹脂溶液を支持体上に塗布する工程
(2)塗布された樹脂溶液から溶剤を除去する工程
(3)樹脂溶液中のポリイミド前駆体をイミド化してポリイミド樹脂膜(樹脂層)を得る工程、又はポリイミド樹脂溶液中の溶剤を除去して樹脂層を得る工程
(4)ポリイミド樹脂膜上にブラックマトリックスおよび着色画素を形成する工程。
【0065】
その製造方法の一例について説明する。
【0066】
ガラス基板等の支持体上に樹脂溶液を塗布する。次に、前記の乾燥方法によって塗布された樹脂溶液から溶剤を除去する。更に、前記の熱イミド化によって樹脂溶液中のポリイミド前駆体をイミド化して、又はポリイミド樹脂溶液中の溶剤を除去してポリイミド樹脂膜を得る。そして、このポリイミド樹脂膜の上に、前記のガスバリア層を形成することが好ましい。
【0067】
上記の工程を経てポリイミド樹脂膜を利用したカラーフィルタを製造することができる。なお、着色画素の形成手段やパターンニングの順序は特に制限されずに公知の方法を用いることができる。
【0068】
更には、上記のようにして得られたポリイミド樹脂膜は、その表面に透明導電層を形成することができ、タッチパネル基材として好適に用いることができる。透明導電層としては、公知の金属膜、金属酸化物膜等を適用できるが、中でも透明性、導電性および機械特性の観点から、金属酸化物膜を適用することが好ましい。前記金属酸化物膜としては、例えば、不純物としてスズ、テルル、カドミウム、モリブテン、タングステン、フッ素、亜鉛、ゲルマニウム等を添加した酸化インジウム、酸化カドミウムおよび酸化スズ、不純物としてアルミニウムを添加した酸化亜鉛、酸化チタン等の金属酸化物膜が挙げられる。中でも酸化スズまたは酸化亜鉛を2〜15質量%含有した酸化インジウムの薄膜は、透明性および導電性が優れているため好ましく用いられる。
【0069】
上記透明導電層の成膜方法は、目的の薄膜を形成できる方法であれば、いかなる方法でもよいが、例えば、スパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法等の気相中より材料を堆積させて膜を形成する気相堆積法などが適している。中でも、特に優れた導電性・透明性が得られるという観点から、スパッタリング法を用いて成膜することが好ましい。また、透明導電層の膜厚は5〜500nmであることが好ましく、10〜300nmであることがさらに好ましい。
【0070】
更にまた、本発明においては、支持体上に形成したポリイミド樹脂膜は、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、電子ペーパーといった表示デバイス、カラーフィルタ、タッチパネル、太陽電池、CMOSなどの受光デバイス等の基材として使用することができる。特にこれらの表示デバイスや受光デバイスを、折り曲げ可能なフレキシブルデバイスとして活用する上で、本発明のフレキシブル基板が好ましく用いられる。
【0071】
先に述べたように、フレキシブルデバイスの製造工程の一例としては、支持体上に形成したポリイミド樹脂膜の上に、表示デバイスや受光デバイスに必要な回路を形成し(すなわち機能層を形成し)、ポリイミド樹脂膜を支持体から剥離すればよい。
【0072】
例えば、フレキシブル有機ELディスプレイを例に挙げると、支持体上に形成したポリイミド樹脂膜の上に、まず無機ガスバリア層を製膜する。その上にアモルファスシリコン、低温ポリシリコン、酸化物半導体等からなるTFTを形成する。次に電極を形成し、さらに正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層などの有機層を積層する。その上にもう一方の電極を形成し、さらにガスバリア層を製膜して封止を行う。その後、支持体の裏面からレーザー光を照射して、ポリイミド樹脂膜を支持体から剥離すればよい。
【0073】
また、これらの表示デバイスや受光デバイスは、フレキシブル基板を利用したカラーフィルタを備えたものとすることもできる。例えば、本発明のフレキシブル基板を利用したカラーフィルタに発光デバイスを貼り合わせることにより、フルカラー表示のフレキシブル表示デバイスを得ることができる。特に、白色発光機能を備えた発光デバイス、例えば白色発光型の有機EL素子と、本発明のフレキシブル基板を利用したカラーフィルタを組み合わせることが好ましい。
【実施例】
【0074】
以下、試験例に基づいて本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の内容に限定されるものではない。
【0075】
試験例中の略語及び各種物性の測定方法とその条件について以下に示す。
【0076】
TFMB:2,2‘-ビス(トリフルオロメチル)-4,4’-ジアミノビフェニル
6FDA:2,2‘−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物
PMDA:ピロメリット酸二無水物
AAPBZI:5−アミノ−2−(4−アミノフェニル)ベンゾイミダゾール
4,4‘-DDS:4,4‘−スルホニルジアニリン
DMAc:N,N−ジメチルアセトアミド
NMP:N−メチル−2−ピロリドン
CBDA:シクロブタン−1,2, 3,4−テトラカルボン酸二無水物
BPDA:3,3‘,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物
【0077】
<透過率>
透過率は、分光光度計(島津製作所製UV−3600 Plus)にて、300〜800nm各波長の透過率を測定した。308nm、355nmの各々の波長の透過率と、440nm〜780nmの波長領域での透過率の最低値とを表2及び表3に示す。
【0078】
<線膨張係数:CTE>
3mm×15mmのサイズのポリイミドフィルムを、熱機械分析(TMA)装置にて5.0gの荷重を加えながら一定の昇温速度(10℃/min)で30℃から280℃の温度範囲で昇温・降温させて引張り試験を行い、250℃から100℃への温度変化に対するポリイミドフィルムの伸び量の変化から熱膨張係数(ppm/K)を測定した。
【0079】
[合成例1]
(ポリイミド前駆体溶液1)
窒素気流下で、300mlのセパラブルフラスコにTFMB8.9334gを溶媒70gのDMAcに溶解させた。次いで、この溶液にPMDA6.0666gを加え、固形分が15wt%になるように85gのDMAcを加えて、室温で6時間攪拌して重合反応を行った。反応後、粘稠な無色透明のポリイミド前駆体溶液を得た。なお、表1に原料モノマーの構成を示す(以下の合成例についても同様)。
【0080】
[合成例2]
(ポリイミド前駆体溶液2)
窒素気流下で、300mlのセパラブルフラスコにTFMB8.4914gを溶媒70gのDMAcに溶解させた。次いで、この溶液に6FDA1.4680gを加え撹拌し、続けてPMDA5.0406gを加え、固形分が15wt%になるように85gのDMAcを加えて、室温で6時間攪拌して重合反応を行った。反応後、粘稠な無色透明のポリイミド前駆体溶液を得た。
【0081】
[合成例3]
(ポリイミド前駆体溶液3)
窒素気流下で、300mlのセパラブルフラスコにTFMB7.6520gを溶媒70gのDMAcに溶解させた。次いで、この溶液に6FDA4.2333gを加え撹拌し、続けてPMDA3.1147gを加え、固形分が15wt%になるように85gのDMAcを加えて、室温で6時間攪拌して重合反応を行った。反応後、粘稠な無色透明のポリイミド前駆体溶液を得た。
【0082】
[合成例4]
(ポリイミド前駆体溶液4)
窒素気流下で、300mlのセパラブルフラスコにTFMB6.2943gを溶媒70gのDMAcに溶解させた。次いで、この溶液に6FDA8.7057gを加え撹拌し、固形分が15wt%になるように85gのDMAcを加えて、室温で6時間攪拌して重合反応を行った。反応後、粘稠な無色透明のポリイミド前駆体溶液を得た。
【0083】
[合成例5]
(ポリイミド前駆体溶液5)
窒素気流下で、300mlのセパラブルフラスコにTFMB9.3064gを溶媒70gのDMAcに溶解させた。次いで、この溶液にCBDA5.6936gを加え、固形分が15wt%になるように85gのDMAcを加えて、室温で24時間攪拌して重合反応を行った。反応後、粘稠な無色透明のポリイミド前駆体溶液を得た。
【0084】
[合成例6〜8]
(ポリイミド前駆体溶液6〜8)
窒素気流下で、300mlのセパラブルフラスコに、表1に示す原料モノマー(ジアミン)を溶媒70gのNMPに溶解させた。次いで、この溶液に、表1に示す原料モノマー(酸無水物)を加え、固形分が15wt%になるように85gのNMPを加えて、室温で24時間攪拌して重合反応を行った。反応後、粘稠な無色透明のポリイミド前駆体溶液を得た。表1に原料モノマーの構成を示す。
【0085】
[合成例9]
(ポリイミド前駆体溶液9)
表1に示す原料モノマーを使用し、室温で24時間攪拌して重合反応を行った後、ナノシリカ(平均粒径70〜100nm)を8wt%となるように添加し、均一に分散させた他は、合成例1と同じ方法で、粘稠な無色透明のポリイミド前駆体溶液を得た。
【0086】
【表1】
【0087】
以下の試験例及び比較試験例において、支持体にはガラスを用い、用いたガラス基板の種類、厚み、308nmの波長の透過率を表2及び表3に示す。なお、ガラス基板の種類は次のとおりであり、サイズはいずれも100mm×100mmである。
イーグルXG:コーニング社製無アルカリガラス(支持体A)
AN100:旭硝子社製無アルカリガラス(支持体B)
青板ガラス:藤原製作所社製アルカリガラス(支持体C)
【0088】
[試験例1〜10、比較試験例1〜4]
合成例1〜4で得られたポリイミド前駆体溶液を、それぞれ表2及び表3に示すガラス基板(支持体)上にアプリケーターを用いて熱処理後の膜厚が8〜13μmとなるように塗布し、大気中で(試験例10のみ窒素雰囲気中で)30分をかけて90℃から360℃まで昇温させ、各種ポリイミドフィルム(樹脂層)を得た。得られたポリイミドフィルムの厚み、線膨張係数、355nmの波長の透過率、及び440nm〜780nmの波長領域での透過率の最低値と、ガラス基板の308nmの波長の透過率とを表2及び表3に示す。
【0089】
[比較試験例5〜7]
合成例5で得られたポリイミド前駆体溶液を使用し、窒素雰囲気中で30分をかけて90℃から300℃まで昇温させた他は、試験例1と同じ方法で、表3に示すガラス基板(支持体)上にポリイミドフィルム(樹脂層)を形成した。得られたポリイミドフィルムの各物性を、表3に示す。
【0090】
[試験例11〜14]
合成例6〜9で得られたポリイミド前駆体溶液を、粘度が4000cPになるようにNMPで希釈し、これを表2に示すガラス基板(支持体)上にスピンコーターで熱処理後の膜厚が8〜13μmとなるように塗布し、100℃で15min乾燥してから、窒素雰囲気中で120分以上をかけて90℃から300℃まで昇温させ、各種ポリイミドフィルム(樹脂層)を得た。得られたポリイミドフィルムの各物性を、表2に示す。
【0091】
<レーザーリフトオフ(LLO)方法>
上記で得られたポリイミドフィルムとガラス基板との積層体に産業用エキシマレーザー、LightMachinery社製IPEX―840で波長308nm、(パルス幅50ns、ビームサイズ14mm×1.2mm)、移動速度6mm/sのレーザー光をガラス側から照射した。そのときのレーザー光のエネルギー量を表2及び3に示した。また、レーザー光のエネルギー強度分布、及びレーザー光の重なり幅については
図1に示したとおりであり、具体的には積層体のガラス側の面に対して全面に均一なエネルギー分布となるようにレーザー光の重なり幅を2mmとし5往復かけてガラス基板の裏面に対してレーザー光を複数回照射した。そして、レーザー光を照射した後のガラス基板からのポリイミドフィルム(樹脂層)の剥離状態を剥離性として、以下の4段階で評価した。結果を表2及び3に示す。
【0092】
<剥離性>
◎:支持体から樹脂層が完全に分離される
○:支持体と樹脂層が接するが、低荷重の力で容易に分離できる
△:樹脂層が分解する(1)、または、部分的に剥離する(2)
×:支持体と樹脂層の分離が不可
【0093】
【表2】
【0094】
【表3】
【0095】
本発明に係る支持体及び樹脂層を使用した試験例1〜14では、所定のレーザー光の照射によりこれらの剥離を良好に行うことができたが、比較試験例1〜7では支持体から樹脂層をうまく剥離することができなかった。また、試験例1〜14で剥離した樹脂層(ポリイミドフィルム)のレーザー分離による影響を調べるために、レーザーを使わずに支持体(ガラス)からカッターで物理的に剥離して得られたポリイミドフィルムとの全光線透過率及びヘイズ値を比較したところ、それらは同等の数値を示した。したがって、試験例1〜14によれば、レーザー分離により樹脂層の光学特性や表面性状に影響を与えることはなく、樹脂層上に機能層を形成する機能層形成工程を含めることで、樹脂層を基材として機能層を備えたフレキシブル基板を得ることができるようになる。