(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
空間光変調器からの像情報をレンズによりフーリエ変換されてなる信号光と参照光を干渉せしめ、生じた干渉縞をホログラムとして記録媒体に所定の順序で記録するホログラム記録装置において、
該記録媒体上に記録される各ページデータのホログラムが、隣接する該ページデータのホログラムとの間で、それぞれの該ホログラムにおける前記像情報の空間周波数成分を多く含む領域について光軸周りの回転角度が互いに異なるように調整する像情報角度調整手段を備えてなることを特徴とするホログラム記録装置。
記録機能と再生機能を備えたホログラム記録装置であって、前記像情報角度調整手段は、記録時に前記空間光変調器を光軸周りに回転させる光変調器載設板と、再生時に再生像読取用のイメージセンサーを光軸周りに回転させるイメージセンサー載設板と、該載設板の各々を回転駆動する載設板回転駆動手段を備えていることを特徴とする請求項1に記載のホログラム記録装置。
前記像情報角度調整手段は、光軸上に配され、かつ前記空間光変調器からの像情報の空間周波数成分を多く含む領域について光軸周りの回転角度を調整可能なダブプリズム、および該ダブプリズムを光軸周りに回転駆動するプリズム回転駆動手段を備えていることを特徴とする請求項1または2に記載のホログラム記録装置。
空間光変調器からの像情報をレンズによりフーリエ変換されてなる信号光と参照光を干渉せしめ、生じた干渉縞をホログラムとして記録媒体に所定の順序で記録するホログラム記録方法において、
該記録媒体上に記録される各ページデータのホログラムが、隣接する該ページデータのホログラムとの間で、それぞれの該像情報の空間周波数成分を多く含む領域について光軸周りの回転角度が互いに異なるように調整することを特徴とするホログラム記録方法。
【背景技術】
【0002】
近年、大容量かつ高速な情報記録を可能としたホログラム記録媒体が注目されている。
ホログラム記録装置においては、記録したい情報を担持した信号光と、記録用参照光を干渉させ、生じた干渉縞を記録媒体に屈折率変化として記録・保持する。
図2に示すように、信号光は、空間光変調器(SLM)109に表示されたページデータと称される2次元
データ画像により空間的に変調され、フーリエ変換レンズ(以下、単にレンズということがある)110を通じてホログラム記録媒体111に照射される。
記録時に信号光に担持されるデータは、空間光変調器(SLM)109により、
図3(A
)に示すような二次元バーコードで変調された光のパターンとなる。このように空間光変調器(SLM)109で変調された信号光は、そのまま記録媒体111に照射するのではな
く、フーリエ変換レンズ110によって、そのレンズ110の焦点面付近に集光し、記録媒体111上に照射することで記録密度を向上させる手法が一般に知られている。
【0003】
その際、光がレンズ110を通過することにより、
図3(B)に示すように焦点面ではフーリエ変換像となる。すなわち、光軸(図中座標の中心位置の点において紙面手前側から奥行き側に延びる)付近にはページデータの空間周波数の低い成分が集まり、光軸から離れるにしたがってページデータの空間周波数の高い成分が分布した光の像が形成される。
【0004】
特に、空間光変調器(SLM)109に表示されたページデータは縦横に並ぶ画素の集合
で構成されるため、フーリエ変換像は縦方向および横方向の周波数成分をもった
図4に示すような十字をなす形状のものとなる。記録密度を向上させるため、この像をそのまま記録媒体に照射させずに、データの再生に必要な低周波数成分(ナイキスト周波数)のみを記録できるよう開口(空間フィルタ)130を焦点面に設けることが一般的である。
【0005】
図2では、例として円形状の開口130を示しているが、四角形の形状が用いられることも多い。その直径あるいは一辺の長さは、レンズ110の焦点距離と波長の積をSLMの
画素ピッチで割った値(ナイキスト開口)で定義され、実際にはその1.2〜2倍程度のサイズ径のものが使用される。また、この開口130は、再生時には隣接位置に記録されたホログラムの再生光をカットする役割も果たす。
なお、
図3(C)は、この開口(白い破線円に対応する)130を通過した光によるフーリエ変換像を示すものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、記録媒体111の記録容量を増加させるためには、ページデータを記録媒体
111に最密記録して高密度記録とすることが有効である。このため、従来より、開口の形状が円形の場合には
図5に示すような形状に、開口の形状が四角形の場合には
図6に示すような形状に、各々、ページデータが最密に配置されるように記録することで高密度記録を達成可能としている。また、各ホログラムの周辺部が重なるような形状に配置することにより、さらに高密度にデータを記録することも可能である。
【0008】
しかしながら、データ記録時に装置の振動や精度ずれ等が原因で、記録媒体111上において記録されるホログラム(ページデータ)の位置ずれが発生すると、隣接位置に記録されたホログラムとの重なりが生じたり、重なり合う面積が大きくなり過ぎ、再生時に隣接するホログラムの再生像が混入することでクロストーク量が増大し、再生データのSN比が低下し、ビット誤り率が増大してしまう。
【0009】
本発明はこのような事情に鑑みなされたものであり、記録された隣接するホログラム間で重なりが生じた場合であっても、クロストークノイズの増大を防ぎ、再生データのSN比の低下およびビット誤り率の増大を阻止し得るホログラム記録装
置およびホログラム記録方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のホログラム記録装置は、
空間光変調器からの像情報をレンズによりフーリエ変換されてなる信号光と参照光を干渉せしめ、生じた干渉縞をホログラムとして記録媒体に所定の順序で記録するホログラム記録装置において、該記録媒体上に記録される各ページデータのホログラムが、隣接する該ページデータのホログラムとの間で、それぞれの該ホログラムにおける前記像情報の空間周波数成分を多く含む領域について光軸周りの回転角度が互いに異なるように調整する像情報角度調整手段を備えたことを特徴とするものである。
ここで、「ホログラム記録装置」とは、データ情報を記録する機能のみを有するもののみならず、ホログラムに記録されたデータ情報を読み出して再生する機能を併せ有するものも含めて称するものとする。
また、「空間周波数成分を多く含む領域」とは、各ページデータのフーリエ変換像において、ページデータを構成する画素配列と同一方向の空間周波数成分(直流成分を含む)のみを有する領域を示す。例えば、画素が縦横に配列されたページデータの場合には、垂直周波数成分のみを有する領域と水平周波数成分のみを有する領域が組み合わされて、十字型形状の領域をなす。
なお、各ページデータのフーリエ変換像のずれは、各ページデータのフーリエ変換像のサイズ(最大外径)に比して大幅に小さいずれ(例えば1/4以下)であることを想定したものとされる。
【0011】
また、記録機能と再生機能を備えたホログラム記録装置であって、前記像情報角度調整手段は、記録時に前記空間光変調器を光軸周りに回転させる光変調器載設板と、再生時に再生像読取用のイメージセンサーを光軸周りに回転させるイメージセンサー載設板と、該載設板の各々を回転駆動する載設板回転駆動手段を備えていることが好ましい。
また、前記像情報角度調整手段は、光軸上に配され、かつ前記空間光変調器からの像情報の空間周波数成分を多く含む領域について光軸周りの回転角度を調整可能なダブプリズム、および該ダブプリズムを光軸周りに回転駆動するプリズム回転駆動手段を備えていることが好ましい。
【0013】
また、本発明のホログラム記録方法は、
空間光変調器からの像情報をレンズによりフーリエ変換されてなる信号光と参照光を干渉せしめ、生じた干渉縞をホログラムとして記録媒体に所定の順序で記録するホログラム記録方法において、
該記録媒体上に記録される各ページデータのホログラムが、隣接する該ページデータのホログラ
ムとの間で
、それぞれの該像情報の空間周波数成分を多く含む領域について光軸周りの回転角度
が互いに異なるように調整することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明のホログラム記録装
置およびホログラム記録方法によれば、記録媒体上に記録される各ページデータのホログラムが、隣接する該ページデータのホログラ
ムとの間で、それぞれのホログラムにおける像情報の空間周波数成分を多く含む領域について光軸周りの回転角度を調整する像情報角度調整手段を用い、それぞれの該像情報の空間周波数成分を多く含む領域
について光軸周りの回転角度が互いに異なるように調整しているので、クロストークノイズの増大を防ぎ、再生データのSN比の低下およびビット誤り率の増大を阻止することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態に係るホログラム記録装置、ホログラム記録媒体およびホログラム記録方法について、図面を参照しながら説明する。
【0017】
<実施形
態>
図1は、この実施形態に係るホログラム記録媒体の一部における記録状態の一例を示すものである。円形に記録された7つのページデータホログラム(A)〜(G)を最密状態に配列したもの(通常は、このようなパターンで、記録媒体全体にホログラムが配列されている)であり、これら7つのページデータホログラム(A)〜(G)は、各ページデータに対応する像情報の空間周波数成分を多く含む領域の回転角度(各ホログラム(A)〜(G)中に示される十字形状の輝線の基準位置からの回転角度:以下、同じ)が互いに異なるように設定されている。
【0018】
すなわち、最密状態の中央に位置するホログラム(A)を基準とし、(A)の像情報の周波数分布の角度を0度に設定している。
これに対し、像情報の空間周波数分布の回転角度は、ホログラム(B)では39度、ホログラム(C)では65度、ホログラム(D)では13度、ホログラム(E)では52度、ホログラム(F)では26度、ホログラム(G)では78度に設定している。このように、6つのページデータホログラム(B)〜(G)は、上記角度が略13度の倍数とされており、隣接するホログラム同士は、像情報の空間周波数分布の回転角度が少なくとも13度は異なる状態とされている。
【0019】
フーリエ変換されたページデータの空間周波数の成分は、
図4に示すように、縦方向および横方向の成分を強く有する一方で、斜め方向の成分をあまり多くは含まない状態となっている。
これにより、
図2に示すように、空間光変調器(SLM(振幅変調器):以下単にSLMと称する)109からの信号光を90度回転させて記録すると、元々の信号光成分と同じ
ような周波数分布の形状となる。
【0020】
したがって、円形フィルタを用いる本実施形態のホログラム記録媒体においては、中央のホログラム(A)が周囲のどの方向にずれても周波数分布が所定回転角度以上に亘り分散するように、7つのホログラム(A)〜(G)を一つの集合とし、90度÷7=約13度となるので、上述したように隣接するホログラム同士は、像情報の空間周波数分布の回転角度が少なくとも13度以上は異なる状態となるように設定している。
【0021】
ホログラム(A)に0.36 mmの記録位置ずれが生じた
図1でシミュレーションを行った結
果、SN比は13.3dBとなった。ここで、波長を405 nm、SLM109の画素ピッチを8 μm
、イメージセンサーの画素ピッチを5.5 μmとした。また、SN比は、
と定義した。μ
1およびμ
0はビット1(ページデータ中の輝点)と0(ページデータ中の暗点)の平均輝度、σ
1およびσ
0はビット1と0の標準偏差である。隣接するホログラム間で、像情報の空間周波数分布の回転角度を変えない従来技術の場合、SN比は12.9 dBと
なるので、本実施形態の手法を用いることにより約0.4 dBの改善を図ることができる。すなわち、記録時の位置ずれマージンを拡大できる、あるいは、ホログラムの集合をより密に記録することができるので、さらなる高密度記録が可能である。
【0022】
なお、
図1に示す実施形態のものでは、円形の開口(開口フィルタ(以下同じ):
図2を参照)130をフィルタとして用いているため、最密記録状態は、
図5に示すようにハニカム類似パターンとされるが、矩形(正方形)の開口を用いる場合には、
図6に示すように9つのホログラムを一つの集合として正方形状とし、それぞれのホログラムについて、像情報の空間周波数分布の回転角度が、隣接ホログラム間で互いに異なるように設定すればよい。すなわち、
図7(A)〜(I)に示すように、像情報の空間周波数分布の回転角度が、90度÷9=10度となることから、隣接するページデータホログラム同士は、像情報の空間周波数分布の回転角度が10度以上は異なる状態となるように設定される。
これにより、ホログラムの記録位置ずれが生じていても、クロストークノイズの増大を防ぎ、再生データのSN比の低下およびビット誤り率の増大を阻止することが可能となる。
【0023】
次に、本実施形態に係るホログラム記録装置(ホログラム記録再生装置)について、
図12を用いて説明する。
図12に示すように、記録時において、レーザ光源101から出射されたコヒーレントなレーザ光束は、図示されないシャッタを通過し、発散レンズ102、空間フィルタ103およびコリメートレンズ104からなるビームエキスパンダにより光束径を拡大され、半波長板105を通過し、ミラー106により直角に偏向され、偏光ビームスプリッタ(PBS:以下単にPBSと称する)107により2系の光束に分岐される。
【0024】
PBS107から図中左方に向かう光束(信号搬送用光:p偏光)は、PBS108、半波長板143およびターレット144を透過してSLM109に照射され、該SLM109により空間的に変調されて、白、黒2値の画素が2次元配列されたデジタル画像からなるページデータ情報を担持した信号光とされる。
また、SLM109から出射(反射)され、ターレット144および半波長板143を透過した信号光は、入射した状態とは偏光状態が変化してs偏光とされており、PBS108において図中下方に反射され、レンズ(FTL)110によって光学的にフーリエ変換され、レンズ110の焦点面付近に配された開口130を介して、開口130に近接するホログラム記録媒体111に照射される。
したがって、ホログラム記録媒体111には、フーリエ変換されたページデータ情報が
信号光として照射されることになる。
【0025】
一方、PBS107から図中下方に向かう光束(s偏光)は、参照光(記録時参照光)とされ、ミラー115により直角に偏向されるが、半波長板114を通過しても偏光状態は変わらずs偏光状態のままとなるように偏光軸の方向が調整されているためPBS116により反射され、PBS116から図中下方に向かうことになる。この光束はガルバノメータミラー117により角度制御され、リレーレンズ118を介して記録媒体111中の信号光が照射される場所へ、信号光とは別角度で照射され、これにより、記録媒体111の記録材料中に干渉縞模様の光の強弱に応じた屈折率変化が誘起され、これがホログラム情報として保持される。
【0026】
また、ホログラム記録媒体111へのホログラム記録は、ホログラム記録媒体111を周方向に回転させる回転制御、およびホログラム記録媒体111を径方向に移動させるキャリッジ制御を行いつつ、順次、
図5あるいは
図6に示すように、ページデータホログラムを記録していくことによりなされる。これらの制御はホログラム記録媒体移動手段(回転を示す矢印(回転移動手段を表す)と直線状の矢印(キャリッジ移動手段を表す)で表される)、およびこのホログラム記録媒体移動手段に駆動制御信号を送出する制御部151により行われる。
【0027】
また、本実施形態装置においては、角度多重記録を行っても良い。その場合には、ページデータを上記SLM109に表示させ、逐次、上記SLM109へのページデータの表示を更新しつつ、この更新毎に、参照光のホログラム記録媒体111への入射角度をガルバノメータミラー117によって少しずつ変化させることにより、互いに異なるページデータをホログラム記録媒体111中の同一位置へ多重記録することが可能となり、高密度な情報格納が可能となる。
【0028】
なお、上記制御部は、記録時において、レーザ光源101の駆動制御、およびガルバノメータミラー117の角度制御を行うとともに、上記SLM109に対してページデータを送出し、表示させるように指示する。
【0029】
ところで、本実施形態のホログラム記録装置においては、SLM109が中心軸を一致させたターレット141上に載設され、同様に半波長板143が中心軸を一致させたターレット144上に載設され、さらに、これら2つのターレット141、144が同軸に配設されている。このターレット141およびターレット144は回転制御手段142からの指示によって、SLM109および半波長板143の光軸周りの回転角度を調整し得るようになっており、これによりホログラム記録媒体111上に記録される、ページデータホログラムの像情報の周波数分布の回転角度を調整することができる。なお、ターレット144は、PBS108からSLM109へ、およびSLM109からPBS108へ、それぞれ向かう光のいずれをも透過し得るように、ガラスやポリカーボネート等の透明度の高い平板としたり、半波長板143の周囲のみを保持するリング体とすることが肝要である。
【0030】
像情報をα度回転させたホログラムを記録媒体に照射する際には、半波長板143がα/2度、SLM109がα度回転するように制御を行う。入射光の偏光角に対して半波長板143の光学軸がθ度傾いていると、透過した光の偏光角は2θ度傾く。よって、PBS108を透過したP偏光(すなわち偏光角0度)は、半波長板143を透過することでα度回転し、偏光角α度でSLM109に入射する。SLM109自体もα度傾いているため、SLM109で変調された画素では、偏光角がさらに90度回転し、偏光角は(90+α)度で反射される。反射された信号光は、再度半波長板143を透過するが、半波長板143の光学軸は信号光に対して(α/2−(90+α))度傾いているため、半波
長板143を透過した光の偏光角は、
となる。つまりS偏光となり、PBS108によって反射され、α度回転した像情報が重畳された信号光がホログラム記録媒体111に照射される。
【0031】
なお、以下に、
図12に示すホログラム記録装置が有する再生機能について簡単に説明する。
図12に示すように、ホログラム記録媒体111に記録されたページデータ情報を再生する場合には、PBS107とミラー115との間の光軸上に配された半波長板114において、参照光の振動方向が90度変更され、s偏光からp偏光に変換される。この参照光は、ミラー115で反射された後PBS116に到達するが、半波長板114によってp偏光とされているので、このPBS116を直進することになる。次に、ミラー120によって、図中下方向に反射された、p偏光の再生用参照光は、角度制御を行うガルバノメータミラー122およびリレーレンズ123を介して、記録媒体111中の信号光が照射された場所へ、その裏面側において記録用参照光の入射方向とは対向するような方向から照射される。
【0032】
p偏光の再生用参照光の照射により、記録媒体111からはp偏光の再生光(回折光)が出力され、開口130およびレンズ110を順に通過するように信号光の光路を逆行してPBS108に至り、これを直進してイメージセンサー113に入射する。この際に、ページデータに係る再生光はレンズ110によりフーリエ変換されて、SLM109から出力された
図3(A)に示すような画像状態に変換される。これによりホログラム再生像はイメージセンサー113により撮像され、後段の図示されない演算処理手段(制御部151に内蔵されるようにしてもよい)において画像情報が再生される。
【0033】
上述した実施形態に関し、ページデータの像情報を回転させる像情報角度調整手段としては、記録時において、前述したように、SLM109および半波長板143をそれぞれ載設し、SLM109と半波長板143を光軸を中心としてそれぞれ回転させるターレット141とターレット144、およびこのターレット141とターレット144を回転駆動する回転駆動手段142が機能するように構成されており、再生時において、前述したように、イメージセンサー113を載設し、イメージセンサー113を光軸を中心として回転させるターレット141、およびこのターレット141を回転駆動する回転駆動手段142が機能するように構成されている。
【0034】
図8に示すように、像情報角度調整手段を構成するターレット141A上にSLM109Aが載設され、このSLM109Aに表示された画像情報(ページデータ)はレンズ110によりフーリエ変換されて、ホログラム記録媒体111上の所定位置に照射される。別方向からこの所定位置に参照光が照射されることにより、この所定位置において、フーリエ変換された画像情報がホログラム記録される。
1回のホログラム記録がなされると、所定のフォーマット(例えば、
図5や
図6に示すホログラムの配列フォーマット)にしたがい、制御部151からホログラム記録媒体111の移動手段に対して所定の制御信号が送出され、ホログラム記録媒体111が2次元的に移動せしめられる。この移動がなされる毎に前述したように、フーリエ変換された画像情報がホログラム記録される。
【0035】
そして、このホログラム記録をなす毎に、SLM109Aを光軸中心に回転させて、所定角度だけ回転したフーリエ変換画像をホログラム記録する。例えば、開口130が円形の場合には、SLM109Aを約13度ずつ、同一方向に回転させ、回転させる度にホロ
グラム記録を行うが、その順番は、例えば
図1に示す例では、ホログラム(A)、ホログラム(D)、ホログラム(F)、ホログラム(B)、ホログラム(E)、ホログラム(C)、ホログラム(G)の順となる。
【0036】
勿論、この順番に替えて、例えば、ホログラム(B)、ホログラム(C)、ホログラム(D)、ホログラム(A)、ホログラム(G)、ホログラム(F)、ホログラム(E)というように、記録位置間の移動距離の和が最小となるようにホログラム記録位置を移動させ、その度にSLM109Aを光軸を中心として逐次、左右いずれかの方向に回転させて像情報の空間周波数分布の回転角度(十字形状の輝線の回転角度)を調整してもよい。
【0037】
なお、ホログラム記録位置の移動期間に同期して、SLM109Aを回転させるようにすれば、ホログラム記録時間の短縮化、効率化を図ることができる。
また、記録情報を再生する際には、記録時のSLM109Aと同様に、ホログラムの再生毎にイメージセンサーを、定められた角度(記録時に対応する角度)だけ回転することにより所望のホログラム撮像処理を行うことができる。
【0038】
ホログラムの像情報の空間周波数分布を回転させる像情報角度調整手段としては、上述したものに限られず、種々の態様のものを採用し得る。
例えば、
図9に示すように、SLM109Bの後段にダブプリズム(像回転プリズム)170を設け、SLM109Bから出力された画像情報(ページデータ)を、図示しないフーリエ変換レンズを通過する前に、光軸上に配されたダブプリズム(像回転プリズム)170により回転させる。
【0039】
このダブプリズム170は、光軸を中心として回転させると、このダブプリズム170を通過する画像情報はその回転角度の2倍の角度だけ回転する。
図9においては、このダブプリズム170を通過した画像情報を担持した光が、ミラー171により直角に反射される様子が示されており、SLM109Aにおいて表示された画像情報に対し、ダブプリズム170からは光軸を中心として回転された画像情報172が出力されることが示されている。なお、この後、回転された画像情報を担持した信号光は、図示されないレンズにおいてフーリエ変換され、ホログラム記録媒体111に照射される。同様に、再生時には、ホログラム記録媒体111からの再生光を、ダブプリズム170を通過させることで回転させ、イメージセンサー113に入射させるか、あるいは、回転した再生像に合わせてイメージセンサー113を回転させることにより再生像を取得する。
なお、このダブプリズム170の光軸周りの回転においても、
図8および
図12に類似したようなターレット(回転ステージ)141や制御部151からの制御信号に応じてターレット(回転ステージ)141を回転駆動する回転駆動手段142を設けることが好ましい。
【0040】
以下、像情報角度調整手段としての、上記ダブプリズム170を実際に組み込んだ態様に係るホログラム記録装置の実施形態1に関する2つの変更態様について説明する。ここで
図13は第1の変更態様に係るものであり、
図14は第2の変更態様に係るものである。
【0041】
まず、第1の変更態様について、
図13を用いて説明する。
すなわち、第1の変更態様においては、記録時の像情報角度調整手段として、
図13に示すように、PBS208とレンズ210の間に、ダブプリズム170とプリズム回転手段(ターレット144に類似した手段:図示せず)を備えたプリズム手段270を用いている。これにより、プリズム手段270を透過した像情報を、ダブプリズム170がプリズム回転手段により光軸周りに回転せしめられた角度θ
2の倍の角度である2θ
2に相当する角度だけ回転させることができる。
【0042】
なお、再生時の像情報角度調整手段としてダブプリズム170が機能する。すなわち、光が記録時の光路を逆に進んでダブプリズム170を逆に進行することにより、像の情報が記録時において回転した角度量だけ戻されることになり、PBS208を透過してイメージセンサー213に照射される。
【0043】
また、第2の変更態様では、
図14に示すように、記録時において、PBS308を透過して図中左方に向かう光が入射する像情報角度調整手段309を用いている。
SLM109とダブプリズム170は各々、回転駆動手段342による回転駆動制御により、図示されないターレット等を用いて回転されるようになっており、上述した実施形態1の場合と同様に、ダブプリズム170からは、α度だけ回転された像情報を担持した光が、S偏光の状態で出力されるようになっているので、この光は、PBS308で反射されレンズ310方向に向かう。
【0044】
なお、記録時における像情報角度調整手段309としては、図示するような、SLM109およびダブプリズム170のみの構成とするとSLM109からの像情報が反転した状態で出力されることになるので、最終的に得られた再生像を画像処理により反転させるように構成するか、SLM109から出力された像情報を、
図9に示すようなミラー171等によって反転しておくことが好ましい。
【0045】
また、ホログラム記録の再生時においては、ホログラム記録媒体311から出力された再生光はP偏光とされているのでPBS308を透過しイメージセンサー313に照射されるが、この再生光に重畳された再生像の回転角度に整合させるために、イメージセンサー313を回転させて、回転した像情報を取得するターレット345を備えている。すなわちこのターレット345が再生時の像情報角度調整手段として機能する。
【0046】
上記実施形態およびその変更態様においては、隣接するホログラムの像情報の空間周波数分布の回転角度(十字形状の腕が伸びる方向)が互いに異なる値となるように構成されている。
これに対して、以下に説明する
参考形態のものは、ディスク状のホログラム記録媒体111の各トラックに配列された各ホログラム(円形の開口の場合)100Bが、トラックの長手方向に対して像情報の空間周波数分布を傾ける(十字形状をトラック方向に対して傾ける)ように構成されている。
【0047】
<
参考形態>
参考形態は、
図10(B)に示すように、ディスク状のホログラム記録媒体111に対し、円形の開口130を通過した画像情報によるホログラムを、各トラックに沿って配列した状態を示すものである。一方、
図10(A)は、
参考形態と比較するための比較例を示すものである。
【0048】
図10(A)に示すように、ディスク状のホログラム記録媒体111において、次のホログラム200Cを記録する際に、この記録媒体111であるディスクを周方向に所定回転させ、1つのトラックの全周に亘って、この操作を繰り返す。その後、記録するトラックを順次移動し、全周にわたるホログラム200Cの記録を順次繰り返す。記録するトラックの順番は、外周から内周に向かって順に行ってもよい(トラック1→トラック2→トラック3)し、逆に、内周から外周に向かって順に行ってもよい(トラック3→トラック2→トラック1)。
【0049】
しかし、
図10(A)に示す従来手法においては、像情報の空間周波数分布の十字形状の腕の延びる方向をトラックの延びる方向と同一となるようにして記録されていくため、
記録されたホログラム200Cと、その隣接位置に記録されたホログラム200Cの像情報の空間周波数分布はほぼ同一方向を向くように配置され(空間周波数成分を多く含む部分を表す十字形状の回転角度が略同じである(ディスク回転による角度ずれは無視する))、同一トラック内で隣接するホログラム同士のみならず、隣接するトラック間で対向するホログラム同士の間でも像情報の空間周波数成分を多く含む領域の重なり合いが生じる虞がある。例えば、このようにホログラム200Cを記録していく際に、
図11に示すように隣接トラックのホログラム200Cの方向に0.36 mmの位置ずれが生じて記録された
場合(隣接するトラックのホログラム同士が重なり合った場合)にはSN比が12.7 dBとな
り、ホログラム200Cに位置ずれがない場合のSN比である14.5 dBに対し、1.8db程度低下した。
【0050】
一方、本
参考形態による手法を導入し、各ホログラムの像情報の空間周波数分布を同一の角度だけ回転させてホログラム100Bを記録する場合には、像情報の空間周波数分布は、上述した実施形
態のように隣接するホログラム100同士間で互いに回転角度を変更していくのではなく、隣接するホログラム100B同士であっても、像情報の空間周波数分布の回転角度は変更されていない。しかし、本
参考形態においては、隣接するホログラム100B同士が、振動などの影響で互いに重なりあう状態となったとしても、像情報の空間周波数分布を多く含む領域を表す十字形状は、互いに重なりにくいような角度に調整されている。なお、
図10(B)に示す例では各ホログラムにおいて、この十字形状がディスクトラック方向に対して各々45度傾くように調整されている。
【0051】
記録前に信号光成分を45度回転させ、ホログラム100Bが隣接トラックのホログラム100Bに0.36 mm近づくような位置ずれを生じた場合には、SN比は13.0 dBとなり、上述した従来手法に比べて0.3 dB程度のSN比の改善を図ることができた。したがって、本
参考形態を適用することで、位置ずれマージンの拡大、あるいは高密度記録を実現することが可能である。
【0052】
なお、
図10(B)に示す例では、トラック1〜トラック3全体のホログラム100Bが隣接トラック間で半ピッチずらした最密状態となるように配されているが、隣接するトラック間で、半ピッチずれるような配置としない場合に、本
参考形態を適用してもよい。
【0053】
また、像情報角度調整手段としては、上述した実施形
態で説明したように、
図8あるいは
図9に示す手法を採用し得るが、本
参考形態においては、ホログラム記録処理中に像情報の空間周波数分布を高速に回転させる必要がないので、手動により像情報の空間周波数分布の角度調整が可能である。この場合には、自動ステージ等が不要となるため装置の構成をシンプルなものとすることができる。
【0054】
なお、本発明のホログラム記録装
置およびホログラム記録方法としては、上記実施形態のものに限られるものではなく、その他の種々の態様の変更が可能である。
例えば、上記実施形態においては、ホログラム記録装置の光学系として、
図12に示すものを用いているが、これに限られるものではなく、光学系において種々の他の態様の光学系に適用が可能である。例えば、
図12に示す実施形態装置においては、位相共役タイプとされているが、これに替えて、記録時と再生時のいずれにおいても、記録媒体の同一側に参照光が入射されるようなタイプに構成してもよい。
【0055】
また、上記各実施形態のホログラム記録装置は、記録機能の他に再生機能も有しているものであるが、本発明を記録機能のみを有するホログラム記録装置に適用してもかまわない。
また、上述した実施形態のものにおいては、各ホログラムを最密状態となるように配置
しているが、この配置は任意のパターンとすることが可能であり、例えば、開口が円形状で、記録されたホログラム形状が円形状である場合に、この各ホログラムを、
図6に示す正方形状の各ホログラムと入れ替えるようなパターンとしても良い。
逆に、例えば開口が正方形状で、記録されたホログラム形状が正方形状である場合に、この各ホログラムを、
図5に示す円形状の各ホログラムと入れ替えるようにしても良い。
【0058】
なお、上述したように、上記各実施形態のホログラム記録装置において、角度多重の記録、さらには角度多重の再生の機能を有するように構成しても良いが、本発明のホログラム記録装置においては、必ずしも、このような角度多重の機能を構成とすることは必要とされない。
また、本発明のホログラム記録媒体としては、ディスク形状に限られるものではなく、矩形状や他の多角形状とすることが可能である。