(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第3工程は、前記被処理体を800〜900℃の範囲の温度に加熱しつつ、酸素ガスおよび水素ガスを供給することにより、酸素ラジカルおよび水素ラジカルを生成し、前記酸素ラジカルおよび前記水素ラジカルにより、前記スペーサポリシリコン膜を前記シリコン酸化膜に置換する、請求項1に記載の方法。
前記第3工程の後、置換により形成された前記シリコン酸化膜の上に、膜厚調整用シリコン酸化膜を成膜する第4工程をさらに有する、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の方法。
前記第4工程は、前記被処理体を700〜750℃に加熱しつつ、酸素ガスおよび水素ガスを供給することにより生成された酸素ラジカルおよび水素ラジカルを酸化種として用いる、請求項6に記載の方法。
シリコン酸化膜とシリコン窒化膜が露出した被処理面は、前記被処理体としての3D−NAND型不揮発性半導体装置を形成する半導体ウエハにおいて、前記シリコン酸化膜と犠牲膜としての前記シリコン窒化膜の積層膜に積層方向に形成されたメモリホールに露出する前記積層膜の表面であり、前記被処理面に形成されるシリコン酸化膜は、ブロッキングオキサイド膜である、請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の方法。
前記制御部は、前記スペーサポリシリコン膜をシリコン酸化膜に置換する際に、前記被処理体を800〜900℃の範囲の温度に加熱しつつ、酸素ガスおよび水素ガスを供給することにより、酸素ラジカルおよび水素ラジカルを生成し、前記酸素ラジカルおよび前記水素ラジカルにより、前記スペーサポリシリコン膜が前記シリコン酸化膜に置換するように制御する、請求項11に記載の装置。
前記制御部は、前記スペーサポリシリコン膜を成膜する際に、前記シリコン原料ガスとして塩素含有シラン系ガス、シラン系ガス、またはアミノシラン系ガスを供給してCVDにより成膜するように制御する、請求項11または請求項12に記載の装置。
前記制御部は、前記膜厚調整用シリコン酸化膜を成膜する際に、前記被処理体を700〜750℃に加熱しつつ、酸素ガスおよび水素ガスを供給することにより酸素ラジカルおよび水素ラジカルを生成させ、前記酸化種として用いるように制御する、請求項14に記載の装置。
コンピュータ上で動作し、シリコン酸化膜とシリコン窒化膜が露出した被処理面にシリコン酸化膜を形成する装置を制御するためのプログラムが記憶された記憶媒体であって、前記プログラムは、実行時に、請求項1から請求項10のいずれかの方法が行われるように、コンピュータに前記装置を制御させる、記憶媒体。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
【0017】
<シリコン酸化膜の形成方法の適用例>
まず、本発明の一実施形態に係るシリコン酸化膜を形成する方法の適用例について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るシリコン酸化膜を形成する方法が適用される3D−NAND型不揮発性半導体装置の製造工程を示す工程断面図である。
【0018】
図1(a)は、半導体基板(シリコン基板)10上に絶縁膜であるSiO
2膜12および犠牲膜であるSiN膜14を多層積層して積層体を形成した後、積層方向に半導体基板10まで貫通するメモリホール20が形成された状態の被処理体である半導体ウエハWを示す。
【0019】
この状態で、メモリホール20に露出するSiO
2膜12およびSiN膜14の被処理面に、本実施形態のシリコン酸化膜であるブロッキングオキサイド膜21を形成する(
図1(b))。
【0020】
ブロッキングオキサイド膜21の形成に引き続き、SiN膜からなる電荷蓄積22、SiO
2膜からなるトンネル酸化膜23、ポリシリコンからなるチャネルボディ24を形成し、メモリホール20の中央に残存したホール部分にコア絶縁膜25を埋め込み、メモリ部30を形成する(
図1(c))。
【0021】
次いで、積層方向にトレンチ40を形成し、トレンチ40を介して犠牲膜であるSiN膜をエッチング除去し(
図2(a))、次いでSiN膜をエッチング除去したスペースに、ブロッキングAl
2O
3膜およびバリア膜となるTiN膜(いずれも図示せず)を形成した後、ゲート電極となるタングステン膜41を埋め込み(
図2(b))、トレンチ40内にシリコン酸化膜42を埋め込む(
図2(c))。
【0022】
<ブロッキングオキサイド膜の形成方法>
次に、上記3D−NAND型不揮発性半導体装置の製造工程において実施される、本発明の一実施形態に係るシリコン酸化膜(ブロッキングオキサイド膜)を形成する方法について説明する。ブロッキングオキサイド膜は、犠牲膜であるSiN膜14をウエットエッチングにより除去する際に、SiN膜からなる電荷蓄積22がエッチングされることを防止するためのものである。
【0023】
図3は、本発明の一実施形態に係るシリコン酸化膜(ブロッキングオキサイド膜)を形成する方法を示すフローチャート、
図4はその際の工程断面図である。
【0024】
最初に、
図1(a)の構造を有するウエハWを処理容器内に配置する(ステップ1)。処理容器内は減圧状態とされる。
【0025】
次に、メモリホール20のSiO
2膜12とSiN膜14の露出面にスペーサポリシリコン膜(犠牲膜)43を成膜する(ステップ2、
図4(a))。
【0026】
スペーサポリシリコン膜43の成膜は、CVDにより行うことが好ましい。CVDによる成膜は、処理容器内にウエハWを配置し、ウエハWを所定温度に加熱しつつ処理容器内を真空状態にし、処理容器内にSi原料ガスを供給することにより行われる。Si原料ガスに加えて、りん(P)やボロン(B)等のドープガスを供給してもよい。
【0027】
Si原料としては、ジクロロシラン(DCS;SiH
2Cl
2)、モノクロロシラン(MCS;SiClH
3)、トリクロロシラン(TCS;SiHCl
3)、シリコンテトラクロライド(STC;SiCl
4)、ヘキサクロロジシラン(HCD;Si
2Cl
6)等の塩素含有シラン系化合物、モノシラン(SiH
4)、ジシラン(Si
2H
6)等のシラン系化合物、トリスジメチルアミノシラン(TDMAS)、ブチルアミノシラン(BAS)、ビスターシャリブチルアミノシラン(BTBAS)、ジメチルアミノシラン(DMAS)、ビスジメチルアミノシラン(BDMAS)、ジイソプロピルアミノシラン(DIPAS)等のアミノシラン系化合物を用いることができる。これらの中ではHCD、DCS、TDMASが好ましい。
【0028】
このときの温度は、例えばHCDの場合は、600〜760℃、例えば680℃が好ましい。DCSの場合は、600〜760℃、例えば600℃が好ましい。TDMASの場合は、600〜760℃、例えば630℃が好ましい。また、圧力は0.5〜10Torr(66.7〜1333Pa)が好ましい。
【0029】
このスペーサポリシリコン膜43の膜厚は、次工程の置換反応が十分行える程度の薄い膜である必要があり、1〜4nm程度の厚さであることが好ましい。
【0030】
次に、スペーサポリシリコン膜を熱エネルギーならびに酸素ラジカル(O
*)および水素ラジカル(H
*)によりSiO
2膜に置換する(ステップ3)。このとき、熱エネルギー、およびO
*、H
*により、以下の(1)式に示す置換反応が生じ、ポリシリコン膜がSiO
2膜に置換されると考えられる。
2Si+2H
2+O
2→SiO
2+SiH
4・・・(1)
すなわち、熱エネルギーとO
*およびH
*を利用して、Si−Siの結合をSi−Oで置換する。具体的には、好ましくは、処理容器内の圧力を0.5〜10Torr(66.7〜1333Pa)にし、ウエハWを800〜900℃という高温に加熱して熱エネルギーを与えつつ、O
2ガスおよびH
2ガスを供給することにより、低圧ラジカル酸化(LPRO)の原理でO
*およびH
*を生成させ、
図4(b)に示すように、スペーサポリシリコン膜43に供給することにより、熱エネルギーとラジカルによってスペーサポリシリコン膜43中で上記(1)式が生じ、スペーサポリシリコン膜43の一部がSiO
2に置換されて置換SiO
2膜44が形成されるとともに、SiH
4ガスが生成される。以上の反応が継続し、最終的には、
図4(c)のように、スペーサポリシリコン膜43の全体が置換SiO
2膜44となる(置換SiO
2膜44の形成)。このとき、置換SiO
2膜44は、スペーサポリシリコン膜43よりも多少増膜する。例えば厚さ3nmのスペーサポリシリコン膜43は、厚さ5nm程度の置換SiO
2膜44となる。
【0031】
実際に、厚さ3nmのスペーサポリシリコン膜を成膜し、上記手法にて置換処理を行った後、SIMSにより元素分析を行った結果、ポリシリコン膜がほぼ完全にSiO
2膜に置換されていることが確認された。
【0032】
次に、膜厚調整用SiO
2膜45を成膜する(ステップ4、
図4(d))。膜厚調整用SiO
2膜45は、ブロッキングオキサイド膜21の膜厚を調整するためのものであり、ALDで成膜することが好ましい。すなわち、スペーサポリシリコン膜43は、完全にSiO
2膜に置換させる観点および膜厚調整を可能にする観点から薄く形成し、スペーサポリシリコン膜43を置換反応により置換SiO
2膜44とした後、不足している膜厚を膜厚調整用SiO
2膜45で補って所定厚さのブロッキングオキサイド膜21を形成する。
【0033】
ALDにより膜厚調整用SiO
2膜45を成膜する際には、処理容器内に、Si原料ガスと、酸化種を含む酸化剤とを、パージを挟んで交互に供給し、Si原料の吸着と酸化処理を繰り返す。パージは処理容器内にArガスのような希ガスやN
2ガス等の不活性ガスを供給することにより、従前の工程の残留ガスを処理容器から排出する工程である。
【0034】
この際のALDによる成膜は、以下の2種類の手法を用いることができる。第1の手法としては、低圧ラジカル酸化(LPRO)を用いるものであり、第2の手法としては、酸化剤としてオゾン(O
3)ガスを用いるものである。
【0035】
第1の手法は、O
2ガスおよびH
2ガスを700〜750℃の高温でラジカル化して酸素ラジカル(O
*)および水素ラジカル(H
*)を生成しこれらを酸化剤として用いるものである。このとき、O
2ガス流量/(O
2ガス+H
2ガス流量)が50〜90%が好ましい。第1の手法では、膜質が良好なSiO
2膜を形成することができ、良好なウエットエッチング耐性を得ることができる。
【0036】
第2の手法は、酸化剤としてO
3ガスを用いて600〜650℃でSiO
2膜を形成するものであり、水素を用いないので膜中水素が少ないSiO
2膜を得ることができ、ウエットエッチング耐性は第1の手法によるSiO
2膜よりは劣るものの、ドライエッチング耐性が高く、その後の工程にドライエッチングを含む場合は有利である。
【0037】
上記第1の手法および第2の手法とも、圧力は1〜10Torr(133〜1333Pa)が好ましく、膜厚は20nm以下が好ましい。また、Si原料としては、塩素含有シラン系化合物、シラン系化合物、アミノシラン系化合物を用いることができ、これらの中では塩素含有シラン系化合物が好ましい。塩素含有シラン系化合物としては、DCS、MCS、TCS、STC、HCDを用いることができる。これらの中では、HCDが好ましい。
【0038】
なお、置換SiO
2膜44の厚さがブロッキングオキサイド膜21として十分な厚さの場合には、置換SiO
2膜44のみでブロッキングオキサイド膜21を形成することができ、膜厚調整用SiO
2膜45は不要である。
【0039】
以上のステップ1〜4によりブロッキングオキサイド膜21が形成されるが、この際のステップ2〜4の温度フローチャートの例を
図5に示す。
図5(a)はステップ4で第1の手法をとった場合、
図5(b)はステップ4で第2の手法をとった場合を示す。ステップ2〜4は温度変化があるが、in−situで行うことが好ましい。
【0040】
図6に示す従来技術のように、SiO
2膜12とSiN膜14の表面に、ALDによりブロッキングオキサイド膜となるSiO
2膜50を直接形成した場合には、SiO
2膜12にサブオキサイド(グロウンオキサイド)51が形成されるため、SiO
2膜12のインキュベーションタイムがSiN膜14よりも長くなるため、形成されるSiO
2膜50の膜厚は、SiO
2膜12部分で薄く、SiN膜14部分で厚くなり、SiO
2膜50を薄く均一な膜厚で形成することは困難である。
【0041】
これに対して、本実施形態では、最初に、SiO
2膜12とSiN膜14の表面にスペーサポリシリコン膜43を成膜するので、グロウンオキサイドが生成されることなく、薄く均一な膜形成を行うことができる。そして、このスペーサポリシリコン膜43を高温でO
*およびH
*によるラジカル処理を行って、ポリシリコン(Si)からSiO
2への置換反応を生じさせるので、薄く均一な膜厚を保ったまま置換SiO
2膜44を形成することができる。この置換SiO
2膜44および必要に応じてALD等で形成される膜厚調整用SiO
2膜45により形成されたブロッキングオキサイド膜21は、所望の薄い膜厚で均一に形成することができる。
【0042】
また、膜厚調整用SiO
2膜45を用いることにより、スペーサポリシリコン膜43を極力薄く形成して確実にSiO
2膜に置換した上で、所望の膜厚のブロッキングオキサイド膜21を形成することができる。
【0043】
<処理装置>
次に、上記実施形態に係るシリコン酸化膜(ブロッキングオキサイド膜)を形成する方法を実施するための処理装置について説明する。
【0044】
[処理装置の第1の例]
まず、ステップ4を上記第1の手法により行うことができる処理装置の第1の例について説明する。
図7は処理装置の第1の例を示す縦断面図、
図8はその水平断面図である。
【0045】
本例の処理装置100はホットウォールタイプの成膜装置である加熱炉として構成されており、外管101aおよび内管101bからなる二重管構造の反応管として構成された有天井をなす処理容器101を有している。この処理容器101の全体は、例えば石英により形成されている。処理容器101の内管101bの中には、50〜150枚のウエハWが多段に載置された石英製のウエハボート105が配置される。処理容器101の外側には、下面側が開口する概略円筒型の本体部102が設けられており、本体部102の内壁面には、周方向に亘ってヒーターを有する加熱機構152が設けられている。本体部102はベースプレート112に支持されている。
【0046】
処理容器101の外管101aの下端開口部には、例えばステンレススチールにより円筒体状に成形されたマニホールド103がOリング等のシール部材(図示せず)を介して連結されている。
【0047】
上記マニホールド103は処理容器101の外管101aを支持しており、このマニホールド103の下方から、ウエハボート105が、処理容器101の内管101b内に挿入される。マニホールド103の底部は蓋部109により閉止されるようになっている。
【0048】
ウエハボート105は、石英製の保温筒107に載置されており、保温筒107には蓋部109を貫通して回転軸110が取り付けられており、回転軸110はモータ等の回転駆動機構113により回転可能となっている。これにより、回転駆動機構113により、保温筒107を介してウエハボート105を回転可能となっている。なお、保温筒107を上記蓋部109側へ固定して設け、ウエハボート105を回転させることなくウエハWの処理を行うようにしてもよい。
【0049】
処理装置100は、各種ガスを供給するガス供給機構120を有している。ガス供給機構120は、HCDガスを供給するHCDガス供給源121、O
2ガスを供給するO
2ガス供給源122、H
2ガスを供給するH
2ガス供給源123、不活性ガスであるN
2ガスを供給するN
2ガス供給源125を有している。HCDガスの代わりに、DCSガス、TDMASガスを用いてもよい。
【0050】
HCDガス供給源121には、配管126が接続され、配管126には、マニホールド103および処理容器101の内管101bの側壁を貫通して内管101b内で上方向へ屈曲されて垂直に延びる石英製のガス分散ノズル127が接続されている。O
2ガス供給源122には、配管128が接続され、配管128には、マニホールド103および内管101bの側壁を貫通して内管101b内で上方向へ屈曲されて垂直に延びる石英製のガス分散ノズル129が接続されている。H
2ガス供給源123には、配管130が接続され、配管130には、マニホールド103および内管101bの側壁を貫通して内管101b内で上方向へ屈曲されて垂直に延びる石英製のガス分散ノズル131が接続されている。N
2ガス供給源125には、配管134が接続され、配管134には、マニホールド103および内管101bの側壁を貫通して処理容器101内に至る直線状をなす石英製のガスノズル135が接続されている。
【0051】
配管126には、開閉バルブ126aおよびその上流側にマスフローコントローラのような流量制御器126bが設けられている。また、配管128、130、134にも同様に、それぞれ開閉バルブ128a、130a、134a、および流量制御器128b、130b、134bが設けられている。
【0052】
ガス分散ノズル127、129、および131の垂直部分には、ウエハボート105のウエハ支持範囲に対応する上下方向の長さに亘って、各ウエハWに対応して複数のガス吐出孔127a、129a、および131aが所定の間隔で形成されている(
図7ではガス吐出孔131aのみ図示)。これにより、各ガス吐出孔127a、129a、および131aから水平方向に処理容器101に向けて略均一にガスを吐出することができる。
【0053】
処理容器101の内管101bの、ガス分散ノズル127、129、131の配置位置に対向する部分には、処理容器101内を真空排気するための排気口147が設けられている。
図9(a)に示すように、この排気口147はウエハボート105に対応して上下に細長く形成されている。一方、処理容器101の外管101aには、排気口147近傍部分に排気ポート111が形成されており、排気ポート111には、処理容器101を排気するための排気管149が接続されている。排気管149には、処理容器101内の圧力を制御する圧力制御バルブ150および真空ポンプ等を含む排気装置151が接続されており、排気装置151により排気管149を介して処理容器101内が排気される。なお、
図9(a)の長孔形状の排気口147の代わりに、
図9(b)のようなスリット形状の排気口147a、
図9(c)のような孔形状の排気口147bを設けてもよい。
【0054】
この処理容器101およびその内部のウエハWは、上述した本体部102の内側の加熱機構152に給電されることにより、所定温度に加熱される。
【0055】
処理装置100は制御部160を有している。制御部160は、処理装置100の各構成部、例えばバルブ類、流量制御器であるマスフローコントローラ、昇降機構等の駆動機構、加熱機構152等を制御する。制御部160は、CPUを有する主制御部と、入力装置、出力装置、表示装置、および記憶装置を有している。記憶装置には、処理装置100で実行される処理を制御するためのプログラム、すなわち処理レシピが格納された記憶媒体がセットされ、主制御部は、記憶媒体に記憶されている所定の処理レシピを呼び出し、その処理レシピに基づいて処理装置100に所定の処理を行わせるように制御する。
【0056】
次に、上記第1の例の処理装置100を用いた、SiO
2膜(ブロッキングオキサイド膜)を形成する方法について説明する。
【0057】
成膜に際しては、制御部160において記憶媒体に記憶された処理レシピに基づいて以下のように行われる。
【0058】
最初に、大気雰囲気において、
図1(a)に示す構造を有するウエハWを複数枚、例えば50〜150枚ウエハボート105に搭載し、そのウエハボート105を処理装置100内の処理容器101内に下方から挿入することにより、複数のウエハWを処理容器101の内管101b内に収容する。そして、蓋部109でマニホールド103の下端開口部を閉じることにより処理容器101内の空間を密閉空間とする。
【0059】
次いで、処理容器101内を排気装置151により排気して圧力を1〜10Torr(133〜1333Pa)の範囲の所定の圧力に制御しつつ、N
2ガス供給源125から処理容器101内に不活性ガスであるN
2ガスを供給し、所定の減圧状態のN
2ガス雰囲気として、加熱機構152によりウエハWの温度を600〜760℃の範囲の所定の温度、例えば680℃に昇温する。
【0060】
ウエハWの温度が所定の温度に達した時点で、N
2ガスの供給を継続したまま、HCDガス供給源121から配管126、ガス分散ノズル127を介して、ガス吐出孔127aからHCDガスをウエハWの表面に沿って供給して、CVDによりウエハWのSiO
2膜およびSiN膜の表面にスペーサポリシリコン膜を形成する。
【0061】
次に、処理容器101内にN
2ガスを供給して処理容器101内をパージし、加熱機構152によりウエハ温度を800〜900℃の範囲の所定温度まで上昇させた後、O
2ガス供給源122およびH
2ガス供給源123から、それぞれ配管128、ガス分散ノズル129、および配管130、ガス分散ノズル131を介してO
2ガスおよびH
2ガスをウエハWに供給し、800〜900℃の高温によりLPROの原理でO
*およびH
*を生成し、熱エネルギーとこれらラジカルにより、スペーサポリシリコン膜をSiO
2膜(置換SiO
2膜)に置換する。
【0062】
次に、処理容器101内をN
2ガスでパージし、処理容器内101内にN
2ガスを供給したままの状態で、ウエハ温度を700〜750℃の範囲の所定温度に制御し、HCDガス供給源121から配管126、分散ノズル127を介して、ガス吐出孔127aからHCDガスをウエハWの表面に沿って供給してウエハWの表面に吸着させ、次いでHCDガスの供給を停止してN
2ガスにより処理容器101内をパージした後、O
2ガス供給源122およびH
2ガス供給源123から、それぞれ配管128、ガス分散ノズル129、および配管130、ガス分散ノズル131を介してO
2ガスおよびH
2ガスをウエハWに供給し、O
*およびH
*を生成させて、吸着したSiを低圧ラジカル酸化(LPRO)させ、次いでO
2ガスおよびH
2ガスを停止してN
2ガスにより処理容器101内をパージする、といった動作を所定回数繰り返して、ALDにより置換SiO
2膜の上に、膜厚調整用SiO
2膜を所定の厚さで形成する。これにより、置換SiO
2膜と膜厚調整用SiO
2膜とからなるブロッキングオキサイド膜が形成される。
【0063】
以上の処理が終了後、処理容器101内をN
2ガスによりパージし、次いで、処理容器101内を大気圧に戻して、ウエハボート105を下方へ搬出する。
【0064】
本例の処理装置によれば、上記ステップ2〜4までをin−situで行うことができるので、良質なブロッキングオキサイド膜を生産性良く形成することができる。また、膜厚調整用SiO
2膜は成膜温度が700〜750℃と高いので、高品質でウエットエッチング耐性の高い膜とすることができる。
【0065】
[処理装置の第2の例]
次に、ステップ4を上記第2の手法により行うことができる処理装置の第2の例について説明する。
図10は処理装置の第2の例を示す縦断面図、
図11はその水平断面図である。
【0066】
本例の処理装置100′は、基本構成は第1の例の処理装置100と同様に構成されているが、第1の例の処理装置100のガス供給機構120とは異なる構成のガス供給機構120′を有している。ガス供給機構120′は、ガス供給機構120の構成を全て有する他、O
3ガス供給源171、O
3ガス供給源171に接続される配管172、配管172に接続され、マニホールド103および内管101bの側壁を貫通して処理容器101内で上方向へ屈曲されて垂直に延びる石英製のガス分散ノズル173とをさらに有する。ガス分散ノズル173の垂直部分には、ウエハボート105のウエハ支持範囲に対応する上下方向の長さに亘って、各ウエハWに対応して複数のガス吐出孔173aが所定の間隔で形成されている。配管172には、開閉バルブ172aおよびその上流側にマスフローコントローラのような流量制御器172bが設けられている。他の構成は処理装置100と同じであるから説明を省略する。
【0067】
次に、上記第2の例の処理装置100′を用いた、SiO
2膜(ブロッキングオキサイド膜)を形成する方法について説明する。
【0068】
本例においては、置換SiO
2膜の形成までは、処理装置100と全く同様に行われる。
【0069】
膜厚調整用SiO
2膜の形成においては、処理容器101内をN
2ガスでパージし、処理容器101内にN
2ガスを供給したままの状態で、ウエハ温度を600〜650℃の範囲の所定温度に制御し、HCDガス供給源121から配管126、分散ノズル127を介して、ガス吐出孔127aからHCDガスをウエハWの表面に沿って供給してウエハWの表面に吸着させ、次いでHCDガスの供給を停止してN
2ガスにより処理容器101内をパージした後、O
3ガス供給源171から配管172およびガス分散ノズル173を介してO
3ガスをウエハWに供給し、吸着したSiを酸化させ、次いでO
3ガスを停止してN
2ガスにより処理容器101内をパージする、といった動作を所定回数繰り返して、ALDにより置換SiO
2膜の上に、膜厚調整用SiO
2膜を所定の厚さで形成する。これにより、置換SiO
2膜と膜厚調整用SiO
2膜とからなるブロッキングオキサイド膜が形成される。
【0070】
以上の処理が終了後、処理容器101内をN
2ガスによりパージし、次いで、処理容器101内を大気圧に戻して、ウエハボート105を下方へ搬出する。
【0071】
本例の処理装置によれば、上記ステップ2〜4までをin−situで行うことができるので、良質なブロッキングオキサイド膜を生産性良く形成することができる。また、膜厚調整用SiO
2膜は、第1の例の場合よりも成膜温度が低いのでウエットエッチング耐性は第1の例の処理装置の場合よりも劣るが、膜中のHの量を第1の例よりも少なくできるので、ドライエッチング耐性を高くすることができる。
【0072】
<他の適用>
以上、本発明の実施の形態について説明したが、この発明は、上記の実施形態に限定されることはなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変形可能である。
【0073】
例えば、上記実施の形態では、3D−NAND型不揮発性半導体装置を形成する際に、SiO
2膜とSiN膜の積層膜に形成されたメモリホールのSiO
2膜とSiN膜の露出面にブロッキングオキサイド膜を形成する場合に本発明を適用した例を示したが、これに限らず、SiO
2膜とSiN膜の表面に均一にSiO
2膜を形成する場合であれば適用可能である。
【0074】
また、上記実施の形態では、膜厚調整用SiO
2膜をALDにより形成した例を示したが、ALDに限らずCVD等の他の方法で形成してもよい。
【0075】
さらに、上記実施の形態では、処理装置として縦型のバッチ式装置を適用した例について示したが、これに限らず、横型のバッチ式装置、枚葉装置、回転テーブルの上に複数枚の被処理体を載せて処理を行うセミバッチ式装置を用いることもできる。