特許第6956592号(P6956592)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6956592シリコン酸化膜を形成する方法および装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6956592
(24)【登録日】2021年10月7日
(45)【発行日】2021年11月2日
(54)【発明の名称】シリコン酸化膜を形成する方法および装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/316 20060101AFI20211021BHJP
   H01L 21/31 20060101ALI20211021BHJP
   C23C 16/24 20060101ALI20211021BHJP
   C23C 16/42 20060101ALI20211021BHJP
   C23C 16/455 20060101ALI20211021BHJP
   C23C 16/56 20060101ALI20211021BHJP
   H01L 27/11582 20170101ALI20211021BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20211021BHJP
   H01L 29/788 20060101ALI20211021BHJP
   H01L 29/792 20060101ALI20211021BHJP
   H01L 27/11568 20170101ALI20211021BHJP
【FI】
   H01L21/316 S
   H01L21/31 B
   H01L21/316 X
   C23C16/24
   C23C16/42
   C23C16/455
   C23C16/56
   H01L27/11582
   H01L29/78 371
   H01L27/11568
【請求項の数】17
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2017-210435(P2017-210435)
(22)【出願日】2017年10月31日
(65)【公開番号】特開2019-83271(P2019-83271A)
(43)【公開日】2019年5月30日
【審査請求日】2020年6月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099944
【弁理士】
【氏名又は名称】高山 宏志
(72)【発明者】
【氏名】高 京碩
(72)【発明者】
【氏名】島 裕巳
(72)【発明者】
【氏名】木鎌 英司
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 啓介
(72)【発明者】
【氏名】菱屋 晋吾
【審査官】 佐藤 靖史
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第09305849(US,B1)
【文献】 特開2002−353214(JP,A)
【文献】 特開2017−085165(JP,A)
【文献】 特開2014−187393(JP,A)
【文献】 特開2006−351689(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2017/0062456(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/316
H01L 21/31
C23C 16/24
C23C 16/42
C23C 16/455
C23C 16/56
H01L 27/11582
H01L 21/336
H01L 27/11568
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコン酸化膜とシリコン窒化膜が露出した被処理面にシリコン酸化膜を形成する方法であって、
シリコン酸化膜とシリコン窒化膜が露出した被処理面を有する被処理体を減圧下の処理容器内に配置された状態とする第1工程と、
前記シリコン酸化膜と前記シリコン窒化膜が露出した被処理面に犠牲膜となるスペーサポリシリコン膜を成膜する第2工程と、
次いで、前記被処理体に熱エネルギーと酸素ラジカルおよび水素ラジカルを供給し、これらにより前記スペーサポリシリコン膜のSi−Si結合をSi−O結合で置換する置換反応を生じさせ、前記スペーサポリシリコン膜をシリコン酸化膜に置換する第3工程と
を有する、方法。
【請求項2】
前記第3工程は、前記被処理体を800〜900℃の範囲の温度に加熱しつつ、酸素ガスおよび水素ガスを供給することにより、酸素ラジカルおよび水素ラジカルを生成し、前記酸素ラジカルおよび前記水素ラジカルにより、前記スペーサポリシリコン膜を前記シリコン酸化膜に置換する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第2工程は、前記処理容器内にシリコン原料ガスを供給してCVDにより前記スペーサポリシリコン膜を成膜する、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第2工程は、前記シリコン原料ガスとして塩素含有シラン系ガス、シラン系ガス、またはアミノシラン系ガスを用いて行われる、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第3工程の後、置換により形成された前記シリコン酸化膜の上に、膜厚調整用シリコン酸化膜を成膜する第4工程をさらに有する、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記第4工程は、シリコン原料ガスと酸化種とを交互に供給するALDにより前記膜厚調整用シリコン酸化膜を成膜する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第4工程は、前記被処理体を700〜750℃に加熱しつつ、酸素ガスおよび水素ガスを供給することにより生成された酸素ラジカルおよび水素ラジカルを酸化種として用いる、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記第4工程は、酸化種としてオゾンガスを用いる、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記第4工程は、シリコン原料ガスとして、塩素含有シラン系ガスを用いる、請求項6から請求項8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
シリコン酸化膜とシリコン窒化膜が露出した被処理面は、前記被処理体としての3D−NAND型不揮発性半導体装置を形成する半導体ウエハにおいて、前記シリコン酸化膜と犠牲膜としての前記シリコン窒化膜の積層膜に積層方向に形成されたメモリホールに露出する前記積層膜の表面であり、前記被処理面に形成されるシリコン酸化膜は、ブロッキングオキサイド膜である、請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
シリコン酸化膜とシリコン窒化膜が露出した被処理面にシリコン酸化膜を形成する装置であって、
前記シリコン酸化膜とシリコン窒化膜が露出した被処理面を有する被処理体を収容する処理容器と、
前記処理容器内に所定のガスを供給するガス供給部と、
前記処理容器内を加熱する加熱機構と、
前記処理容器内を排気して減圧状態とする排気機構と、
前記ガス供給部、前記加熱機構、および前記排気機構を制御する制御部と
を具備し、
前記制御部は、
前記被処理体が前記処理容器内に配置された状態で、前記処理容器内を所定の減圧下に保持し、
前記シリコン酸化膜と前記シリコン窒化膜が露出した被処理面にシリコン原料ガスを用いて犠牲膜となるスペーサポリシリコン膜を成膜し、
次いで、前記被処理体に熱エネルギーと酸素ラジカルおよび水素ラジカルを供給し、これらにより前記スペーサポリシリコン膜のSi−Si結合をSi−O結合で置換する置換反応を生じさせ、前記スペーサポリシリコン膜をシリコン酸化膜に置換するように、前記ガス供給部、前記加熱機構、および前記排気機構を制御する、装置。
【請求項12】
前記制御部は、前記スペーサポリシリコン膜をシリコン酸化膜に置換する際に、前記被処理体を800〜900℃の範囲の温度に加熱しつつ、酸素ガスおよび水素ガスを供給することにより、酸素ラジカルおよび水素ラジカルを生成し、前記酸素ラジカルおよび前記水素ラジカルにより、前記スペーサポリシリコン膜が前記シリコン酸化膜に置換するように制御する、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記制御部は、前記スペーサポリシリコン膜を成膜する際に、前記シリコン原料ガスとして塩素含有シラン系ガス、シラン系ガス、またはアミノシラン系ガスを供給してCVDにより成膜するように制御する、請求項11または請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記制御部は、前記スペーサポリシリコン膜をシリコン酸化膜に置換した後、シリコン原料ガスと、酸化種と交互に供給するALDにより膜厚調整用シリコン酸化膜を成膜するように制御する、請求項11から請求項13のいずれか1項に記載の装置。
【請求項15】
前記制御部は、前記膜厚調整用シリコン酸化膜を成膜する際に、前記被処理体を700〜750℃に加熱しつつ、酸素ガスおよび水素ガスを供給することにより酸素ラジカルおよび水素ラジカルを生成させ、前記酸化種として用いるように制御する、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記ガス供給部は、前記膜厚調整用シリコン酸化膜を成膜する際に、前記酸化種としてオゾンガスを供給する、請求項14に記載の装置。
【請求項17】
コンピュータ上で動作し、シリコン酸化膜とシリコン窒化膜が露出した被処理面にシリコン酸化膜を形成する装置を制御するためのプログラムが記憶された記憶媒体であって、前記プログラムは、実行時に、請求項1から請求項10のいずれかの方法が行われるように、コンピュータに前記装置を制御させる、記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリコン酸化膜およびシリコン窒化膜が露出した被処理面上へシリコン酸化膜を形成する方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、3D−NAND型不揮発性半導体装置の製造過程においては、シリコン酸化膜(SiO膜)とシリコン窒化膜(SiN膜)を多層積層した積層膜を形成し、積層方向にメモリホール(チャネルホール)を形成し、メモリホール内にSiO膜、SiN膜、SiO膜をCVDやALD等により順に形成し、さらにポリシリコン膜を形成した後、メモリホールの中央部をSiO膜で埋めることによりチャネル部を形成する。その後、積層膜の積層方向にトレンチを形成した後、そのトレンチを介してSiN膜をウエットエッチングにより除去し、SiN膜を除去した後のスペースにTiN膜を介してゲート電極となるタングステン膜を埋め込み、トレンチ内をSiO膜等で埋め込む(例えば特許文献1の段落0199〜0210、図17参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017−117977号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近時、半導体素子のデザインルールがますます微細化されており、メモリホールが形成されたSiO膜とSiN膜の積層膜の表面に、CVDやALDによりSiO膜を形成する場合、薄く均一な膜を形成することが求められている。
【0005】
しかし、SiO膜とSiN膜の積層膜の表面にCVDやALDによりSiO膜を形成する場合には、積層膜中のSiO膜の表面にサブオキサイド(グロウンオキサイド)が形成され、SiN膜よりもインキュベーションタイムが長くなるため、積層膜の表面に形成されるSiO膜は、積層膜のSiO膜部分で薄く、SiN膜部分で厚くなり、SiO膜を薄く均一な膜厚で形成することは困難である。
【0006】
したがって、本発明は、シリコン酸化膜およびシリコン窒化膜が露出した被処理面上へ、薄くかつ均一な膜厚のシリコン酸化膜を形成することができる技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の第1の観点は、シリコン酸化膜とシリコン窒化膜が露出した被処理面にシリコン酸化膜を形成する方法であって、シリコン酸化膜とシリコン窒化膜が露出した被処理面を有する被処理体を減圧下の処理容器内に配置された状態とする第1工程と、前記シリコン酸化膜と前記シリコン窒化膜が露出した被処理面に犠牲膜となるスペーサポリシリコン膜を成膜する第2工程と、次いで、前記被処理体に熱エネルギーと酸素ラジカルおよび水素ラジカルを供給し、これらにより前記スペーサポリシリコン膜のSi−Si結合をSi−O結合で置換する置換反応を生じさせ、前記スペーサポリシリコン膜をシリコン酸化膜に置換する第3工程とを有する、方法を提供する。
【0008】
前記第3工程は、前記被処理体を800〜900℃の範囲の温度に加熱しつつ、酸素ガスおよび水素ガスを供給することにより、酸素ラジカルおよび水素ラジカルを生成し、前記酸素ラジカルおよび前記水素ラジカルにより、前記スペーサポリシリコン膜を前記シリコン酸化膜に置換するものであってよい。
【0009】
前記第2工程は、前記処理容器内にシリコン原料ガスを供給してCVDにより前記スペーサポリシリコン膜を成膜することにより行うことができる。前記第2工程は、前記シリコン原料ガスとして塩素含有シラン系ガス、シラン系ガス、またはアミノシラン系ガスを用いて行うことができる。
【0010】
前記第3工程の後、置換により形成された前記シリコン酸化膜の上に、膜厚調整用シリコン酸化膜を成膜する第4工程をさらに有してもよい。前記第4工程は、シリコン原料ガスと酸化種とを交互に供給するALDにより前記膜厚調整用シリコン酸化膜を成膜してよい。この場合に、前記被処理体を700〜750℃に加熱しつつ、酸素ガスおよび水素ガスを供給することにより生成された酸素ラジカルおよび水素ラジカルを酸化種として用いることができる。また、酸化種としてオゾンガスを用いることもできる。前記第4工程において、シリコン原料ガスとして塩素含有シラン系ガスを用いることができる。
【0011】
シリコン酸化膜とシリコン窒化膜が露出した被処理面は、前記被処理体としての3D−NAND型不揮発性半導体装置を形成する半導体ウエハにおいて、前記シリコン酸化膜と犠牲膜としての前記シリコン窒化膜の積層膜に積層方向に形成されたメモリホールに露出する前記積層膜の表面であり、前記被処理面に形成されるシリコン酸化膜は、ブロッキングオキサイド膜とすることができる。
【0012】
本発明の第2の観点は、シリコン酸化膜とシリコン窒化膜が露出した被処理面にシリコン酸化膜を形成する装置であって、前記シリコン酸化膜とシリコン窒化膜が露出した被処理面を有する被処理体を収容する処理容器と、前記処理容器内に所定のガスを供給するガス供給部と、前記処理容器内を加熱する加熱機構と、前記処理容器内を排気して減圧状態とする排気機構と、前記ガス供給部、前記加熱機構、および前記排気機構を制御する制御部とを具備し、前記制御部は、前記被処理体が前記処理容器内に配置された状態で、前記処理容器内を所定の減圧下に保持し、前記シリコン酸化膜と前記シリコン窒化膜が露出した被処理面にシリコン原料ガス用いて犠牲膜となるスペーサポリシリコン膜を成膜し、次いで、前記被処理体に熱エネルギーと酸素ラジカルおよび水素ラジカルを供給し、これらにより前記スペーサポリシリコン膜のSi−Si結合をSi−O結合で置換する置換反応を生じさせ、前記スペーサポリシリコン膜をシリコン酸化膜に置換するように、前記ガス供給部、前記加熱機構、および前記排気機構を制御する装置を提供する。
【0013】
本発明の第3の観点は、コンピュータ上で動作し、シリコン酸化膜とシリコン窒化膜が露出した被処理面にシリコン酸化膜を形成する装置を制御するためのプログラムが記憶された記憶媒体であって、前記プログラムは、実行時に、上記第1の観点の方法が行われるように、コンピュータに前記装置を制御させる記憶媒体を提供する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、シリコン酸化膜とシリコン窒化膜が露出した被処理面に最初にスペーサポリシリコン膜を成膜し、それをシリコン酸化膜に置換するので、サブオキサイド(グロウンオキサイド)の生成が抑制され、薄くかつ均一な膜厚のシリコン酸化膜を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態に係るシリコン酸化膜を形成する方法が適用される3D−NAND型不揮発性半導体装置の製造工程を示す工程断面図である。
図2】本発明の一実施形態に係るシリコン酸化膜を形成する方法が適用される3D−NAND型不揮発性半導体装置の製造工程を示す工程断面図である。
図3】本発明の一実施形態に係るシリコン酸化膜を形成する方法を示すフローチャートである。
図4】本発明の一実施形態に係るシリコン酸化膜を形成する方法を示す工程断面図である。
図5】本発明の一実施形態に係るシリコン酸化膜を形成する方法の温度フローチャートの例を示す図である。
図6】SiO膜とSiN膜の表面に、ALDによりブロッキングオキサイド膜となるSiO膜を直接形成した場合の状態を示す断面図である。
図7】本発明に係るシリコン酸化膜を形成する方法を行うことができる処理装置の第1の例を示す縦断面図である。
図8】本発明に係るシリコン酸化膜を形成する方法を行うことができる処理装置の第1の例を示す水平断面図である。
図9図7の装置の内管に形成される排気口の形状例を示す図である。
図10】本発明に係るシリコン酸化膜を形成する方法を行うことができる処理装置の第2の例を示す縦断面図である。
図11】本発明に係るシリコン酸化膜を形成する方法を行うことができる処理装置の第2の例を示す水平断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
【0017】
<シリコン酸化膜の形成方法の適用例>
まず、本発明の一実施形態に係るシリコン酸化膜を形成する方法の適用例について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るシリコン酸化膜を形成する方法が適用される3D−NAND型不揮発性半導体装置の製造工程を示す工程断面図である。
【0018】
図1(a)は、半導体基板(シリコン基板)10上に絶縁膜であるSiO膜12および犠牲膜であるSiN膜14を多層積層して積層体を形成した後、積層方向に半導体基板10まで貫通するメモリホール20が形成された状態の被処理体である半導体ウエハWを示す。
【0019】
この状態で、メモリホール20に露出するSiO膜12およびSiN膜14の被処理面に、本実施形態のシリコン酸化膜であるブロッキングオキサイド膜21を形成する(図1(b))。
【0020】
ブロッキングオキサイド膜21の形成に引き続き、SiN膜からなる電荷蓄積22、SiO膜からなるトンネル酸化膜23、ポリシリコンからなるチャネルボディ24を形成し、メモリホール20の中央に残存したホール部分にコア絶縁膜25を埋め込み、メモリ部30を形成する(図1(c))。
【0021】
次いで、積層方向にトレンチ40を形成し、トレンチ40を介して犠牲膜であるSiN膜をエッチング除去し(図2(a))、次いでSiN膜をエッチング除去したスペースに、ブロッキングAl膜およびバリア膜となるTiN膜(いずれも図示せず)を形成した後、ゲート電極となるタングステン膜41を埋め込み(図2(b))、トレンチ40内にシリコン酸化膜42を埋め込む(図2(c))。
【0022】
<ブロッキングオキサイド膜の形成方法>
次に、上記3D−NAND型不揮発性半導体装置の製造工程において実施される、本発明の一実施形態に係るシリコン酸化膜(ブロッキングオキサイド膜)を形成する方法について説明する。ブロッキングオキサイド膜は、犠牲膜であるSiN膜14をウエットエッチングにより除去する際に、SiN膜からなる電荷蓄積22がエッチングされることを防止するためのものである。
【0023】
図3は、本発明の一実施形態に係るシリコン酸化膜(ブロッキングオキサイド膜)を形成する方法を示すフローチャート、図4はその際の工程断面図である。
【0024】
最初に、図1(a)の構造を有するウエハWを処理容器内に配置する(ステップ1)。処理容器内は減圧状態とされる。
【0025】
次に、メモリホール20のSiO膜12とSiN膜14の露出面にスペーサポリシリコン膜(犠牲膜)43を成膜する(ステップ2、図4(a))。
【0026】
スペーサポリシリコン膜43の成膜は、CVDにより行うことが好ましい。CVDによる成膜は、処理容器内にウエハWを配置し、ウエハWを所定温度に加熱しつつ処理容器内を真空状態にし、処理容器内にSi原料ガスを供給することにより行われる。Si原料ガスに加えて、りん(P)やボロン(B)等のドープガスを供給してもよい。
【0027】
Si原料としては、ジクロロシラン(DCS;SiHCl)、モノクロロシラン(MCS;SiClH)、トリクロロシラン(TCS;SiHCl)、シリコンテトラクロライド(STC;SiCl)、ヘキサクロロジシラン(HCD;SiCl)等の塩素含有シラン系化合物、モノシラン(SiH)、ジシラン(Si)等のシラン系化合物、トリスジメチルアミノシラン(TDMAS)、ブチルアミノシラン(BAS)、ビスターシャリブチルアミノシラン(BTBAS)、ジメチルアミノシラン(DMAS)、ビスジメチルアミノシラン(BDMAS)、ジイソプロピルアミノシラン(DIPAS)等のアミノシラン系化合物を用いることができる。これらの中ではHCD、DCS、TDMASが好ましい。
【0028】
このときの温度は、例えばHCDの場合は、600〜760℃、例えば680℃が好ましい。DCSの場合は、600〜760℃、例えば600℃が好ましい。TDMASの場合は、600〜760℃、例えば630℃が好ましい。また、圧力は0.5〜10Torr(66.7〜1333Pa)が好ましい。
【0029】
このスペーサポリシリコン膜43の膜厚は、次工程の置換反応が十分行える程度の薄い膜である必要があり、1〜4nm程度の厚さであることが好ましい。
【0030】
次に、スペーサポリシリコン膜を熱エネルギーならびに酸素ラジカル(O)および水素ラジカル(H)によりSiO膜に置換する(ステップ3)。このとき、熱エネルギー、およびO、Hにより、以下の(1)式に示す置換反応が生じ、ポリシリコン膜がSiO膜に置換されると考えられる。
2Si+2H+O→SiO+SiH・・・(1)
すなわち、熱エネルギーとOおよびHを利用して、Si−Siの結合をSi−Oで置換する。具体的には、好ましくは、処理容器内の圧力を0.5〜10Torr(66.7〜1333Pa)にし、ウエハWを800〜900℃という高温に加熱して熱エネルギーを与えつつ、OガスおよびHガスを供給することにより、低圧ラジカル酸化(LPRO)の原理でOおよびHを生成させ、図4(b)に示すように、スペーサポリシリコン膜43に供給することにより、熱エネルギーとラジカルによってスペーサポリシリコン膜43中で上記(1)式が生じ、スペーサポリシリコン膜43の一部がSiOに置換されて置換SiO膜44が形成されるとともに、SiHガスが生成される。以上の反応が継続し、最終的には、図4(c)のように、スペーサポリシリコン膜43の全体が置換SiO膜44となる(置換SiO膜44の形成)。このとき、置換SiO膜44は、スペーサポリシリコン膜43よりも多少増膜する。例えば厚さ3nmのスペーサポリシリコン膜43は、厚さ5nm程度の置換SiO膜44となる。
【0031】
実際に、厚さ3nmのスペーサポリシリコン膜を成膜し、上記手法にて置換処理を行った後、SIMSにより元素分析を行った結果、ポリシリコン膜がほぼ完全にSiO膜に置換されていることが確認された。
【0032】
次に、膜厚調整用SiO膜45を成膜する(ステップ4、図4(d))。膜厚調整用SiO膜45は、ブロッキングオキサイド膜21の膜厚を調整するためのものであり、ALDで成膜することが好ましい。すなわち、スペーサポリシリコン膜43は、完全にSiO膜に置換させる観点および膜厚調整を可能にする観点から薄く形成し、スペーサポリシリコン膜43を置換反応により置換SiO膜44とした後、不足している膜厚を膜厚調整用SiO膜45で補って所定厚さのブロッキングオキサイド膜21を形成する。
【0033】
ALDにより膜厚調整用SiO膜45を成膜する際には、処理容器内に、Si原料ガスと、酸化種を含む酸化剤とを、パージを挟んで交互に供給し、Si原料の吸着と酸化処理を繰り返す。パージは処理容器内にArガスのような希ガスやNガス等の不活性ガスを供給することにより、従前の工程の残留ガスを処理容器から排出する工程である。
【0034】
この際のALDによる成膜は、以下の2種類の手法を用いることができる。第1の手法としては、低圧ラジカル酸化(LPRO)を用いるものであり、第2の手法としては、酸化剤としてオゾン(O)ガスを用いるものである。
【0035】
第1の手法は、OガスおよびHガスを700〜750℃の高温でラジカル化して酸素ラジカル(O)および水素ラジカル(H)を生成しこれらを酸化剤として用いるものである。このとき、Oガス流量/(Oガス+Hガス流量)が50〜90%が好ましい。第1の手法では、膜質が良好なSiO膜を形成することができ、良好なウエットエッチング耐性を得ることができる。
【0036】
第2の手法は、酸化剤としてOガスを用いて600〜650℃でSiO膜を形成するものであり、水素を用いないので膜中水素が少ないSiO膜を得ることができ、ウエットエッチング耐性は第1の手法によるSiO膜よりは劣るものの、ドライエッチング耐性が高く、その後の工程にドライエッチングを含む場合は有利である。
【0037】
上記第1の手法および第2の手法とも、圧力は1〜10Torr(133〜1333Pa)が好ましく、膜厚は20nm以下が好ましい。また、Si原料としては、塩素含有シラン系化合物、シラン系化合物、アミノシラン系化合物を用いることができ、これらの中では塩素含有シラン系化合物が好ましい。塩素含有シラン系化合物としては、DCS、MCS、TCS、STC、HCDを用いることができる。これらの中では、HCDが好ましい。
【0038】
なお、置換SiO膜44の厚さがブロッキングオキサイド膜21として十分な厚さの場合には、置換SiO膜44のみでブロッキングオキサイド膜21を形成することができ、膜厚調整用SiO膜45は不要である。
【0039】
以上のステップ1〜4によりブロッキングオキサイド膜21が形成されるが、この際のステップ2〜4の温度フローチャートの例を図5に示す。図5(a)はステップ4で第1の手法をとった場合、図5(b)はステップ4で第2の手法をとった場合を示す。ステップ2〜4は温度変化があるが、in−situで行うことが好ましい。
【0040】
図6に示す従来技術のように、SiO膜12とSiN膜14の表面に、ALDによりブロッキングオキサイド膜となるSiO膜50を直接形成した場合には、SiO膜12にサブオキサイド(グロウンオキサイド)51が形成されるため、SiO膜12のインキュベーションタイムがSiN膜14よりも長くなるため、形成されるSiO膜50の膜厚は、SiO膜12部分で薄く、SiN膜14部分で厚くなり、SiO膜50を薄く均一な膜厚で形成することは困難である。
【0041】
これに対して、本実施形態では、最初に、SiO膜12とSiN膜14の表面にスペーサポリシリコン膜43を成膜するので、グロウンオキサイドが生成されることなく、薄く均一な膜形成を行うことができる。そして、このスペーサポリシリコン膜43を高温でOおよびHによるラジカル処理を行って、ポリシリコン(Si)からSiOへの置換反応を生じさせるので、薄く均一な膜厚を保ったまま置換SiO膜44を形成することができる。この置換SiO膜44および必要に応じてALD等で形成される膜厚調整用SiO膜45により形成されたブロッキングオキサイド膜21は、所望の薄い膜厚で均一に形成することができる。
【0042】
また、膜厚調整用SiO膜45を用いることにより、スペーサポリシリコン膜43を極力薄く形成して確実にSiO膜に置換した上で、所望の膜厚のブロッキングオキサイド膜21を形成することができる。
【0043】
<処理装置>
次に、上記実施形態に係るシリコン酸化膜(ブロッキングオキサイド膜)を形成する方法を実施するための処理装置について説明する。
【0044】
[処理装置の第1の例]
まず、ステップ4を上記第1の手法により行うことができる処理装置の第1の例について説明する。図7は処理装置の第1の例を示す縦断面図、図8はその水平断面図である。
【0045】
本例の処理装置100はホットウォールタイプの成膜装置である加熱炉として構成されており、外管101aおよび内管101bからなる二重管構造の反応管として構成された有天井をなす処理容器101を有している。この処理容器101の全体は、例えば石英により形成されている。処理容器101の内管101bの中には、50〜150枚のウエハWが多段に載置された石英製のウエハボート105が配置される。処理容器101の外側には、下面側が開口する概略円筒型の本体部102が設けられており、本体部102の内壁面には、周方向に亘ってヒーターを有する加熱機構152が設けられている。本体部102はベースプレート112に支持されている。
【0046】
処理容器101の外管101aの下端開口部には、例えばステンレススチールにより円筒体状に成形されたマニホールド103がOリング等のシール部材(図示せず)を介して連結されている。
【0047】
上記マニホールド103は処理容器101の外管101aを支持しており、このマニホールド103の下方から、ウエハボート105が、処理容器101の内管101b内に挿入される。マニホールド103の底部は蓋部109により閉止されるようになっている。
【0048】
ウエハボート105は、石英製の保温筒107に載置されており、保温筒107には蓋部109を貫通して回転軸110が取り付けられており、回転軸110はモータ等の回転駆動機構113により回転可能となっている。これにより、回転駆動機構113により、保温筒107を介してウエハボート105を回転可能となっている。なお、保温筒107を上記蓋部109側へ固定して設け、ウエハボート105を回転させることなくウエハWの処理を行うようにしてもよい。
【0049】
処理装置100は、各種ガスを供給するガス供給機構120を有している。ガス供給機構120は、HCDガスを供給するHCDガス供給源121、Oガスを供給するOガス供給源122、Hガスを供給するHガス供給源123、不活性ガスであるNガスを供給するNガス供給源125を有している。HCDガスの代わりに、DCSガス、TDMASガスを用いてもよい。
【0050】
HCDガス供給源121には、配管126が接続され、配管126には、マニホールド103および処理容器101の内管101bの側壁を貫通して内管101b内で上方向へ屈曲されて垂直に延びる石英製のガス分散ノズル127が接続されている。Oガス供給源122には、配管128が接続され、配管128には、マニホールド103および内管101bの側壁を貫通して内管101b内で上方向へ屈曲されて垂直に延びる石英製のガス分散ノズル129が接続されている。Hガス供給源123には、配管130が接続され、配管130には、マニホールド103および内管101bの側壁を貫通して内管101b内で上方向へ屈曲されて垂直に延びる石英製のガス分散ノズル131が接続されている。Nガス供給源125には、配管134が接続され、配管134には、マニホールド103および内管101bの側壁を貫通して処理容器101内に至る直線状をなす石英製のガスノズル135が接続されている。
【0051】
配管126には、開閉バルブ126aおよびその上流側にマスフローコントローラのような流量制御器126bが設けられている。また、配管128、130、134にも同様に、それぞれ開閉バルブ128a、130a、134a、および流量制御器128b、130b、134bが設けられている。
【0052】
ガス分散ノズル127、129、および131の垂直部分には、ウエハボート105のウエハ支持範囲に対応する上下方向の長さに亘って、各ウエハWに対応して複数のガス吐出孔127a、129a、および131aが所定の間隔で形成されている(図7ではガス吐出孔131aのみ図示)。これにより、各ガス吐出孔127a、129a、および131aから水平方向に処理容器101に向けて略均一にガスを吐出することができる。
【0053】
処理容器101の内管101bの、ガス分散ノズル127、129、131の配置位置に対向する部分には、処理容器101内を真空排気するための排気口147が設けられている。図9(a)に示すように、この排気口147はウエハボート105に対応して上下に細長く形成されている。一方、処理容器101の外管101aには、排気口147近傍部分に排気ポート111が形成されており、排気ポート111には、処理容器101を排気するための排気管149が接続されている。排気管149には、処理容器101内の圧力を制御する圧力制御バルブ150および真空ポンプ等を含む排気装置151が接続されており、排気装置151により排気管149を介して処理容器101内が排気される。なお、図9(a)の長孔形状の排気口147の代わりに、図9(b)のようなスリット形状の排気口147a、図9(c)のような孔形状の排気口147bを設けてもよい。
【0054】
この処理容器101およびその内部のウエハWは、上述した本体部102の内側の加熱機構152に給電されることにより、所定温度に加熱される。
【0055】
処理装置100は制御部160を有している。制御部160は、処理装置100の各構成部、例えばバルブ類、流量制御器であるマスフローコントローラ、昇降機構等の駆動機構、加熱機構152等を制御する。制御部160は、CPUを有する主制御部と、入力装置、出力装置、表示装置、および記憶装置を有している。記憶装置には、処理装置100で実行される処理を制御するためのプログラム、すなわち処理レシピが格納された記憶媒体がセットされ、主制御部は、記憶媒体に記憶されている所定の処理レシピを呼び出し、その処理レシピに基づいて処理装置100に所定の処理を行わせるように制御する。
【0056】
次に、上記第1の例の処理装置100を用いた、SiO膜(ブロッキングオキサイド膜)を形成する方法について説明する。
【0057】
成膜に際しては、制御部160において記憶媒体に記憶された処理レシピに基づいて以下のように行われる。
【0058】
最初に、大気雰囲気において、図1(a)に示す構造を有するウエハWを複数枚、例えば50〜150枚ウエハボート105に搭載し、そのウエハボート105を処理装置100内の処理容器101内に下方から挿入することにより、複数のウエハWを処理容器101の内管101b内に収容する。そして、蓋部109でマニホールド103の下端開口部を閉じることにより処理容器101内の空間を密閉空間とする。
【0059】
次いで、処理容器101内を排気装置151により排気して圧力を1〜10Torr(133〜1333Pa)の範囲の所定の圧力に制御しつつ、Nガス供給源125から処理容器101内に不活性ガスであるNガスを供給し、所定の減圧状態のNガス雰囲気として、加熱機構152によりウエハWの温度を600〜760℃の範囲の所定の温度、例えば680℃に昇温する。
【0060】
ウエハWの温度が所定の温度に達した時点で、Nガスの供給を継続したまま、HCDガス供給源121から配管126、ガス分散ノズル127を介して、ガス吐出孔127aからHCDガスをウエハWの表面に沿って供給して、CVDによりウエハWのSiO膜およびSiN膜の表面にスペーサポリシリコン膜を形成する。
【0061】
次に、処理容器101内にNガスを供給して処理容器101内をパージし、加熱機構152によりウエハ温度を800〜900℃の範囲の所定温度まで上昇させた後、Oガス供給源122およびHガス供給源123から、それぞれ配管128、ガス分散ノズル129、および配管130、ガス分散ノズル131を介してOガスおよびHガスをウエハWに供給し、800〜900℃の高温によりLPROの原理でOおよびHを生成し、熱エネルギーとこれらラジカルにより、スペーサポリシリコン膜をSiO膜(置換SiO膜)に置換する。
【0062】
次に、処理容器101内をNガスでパージし、処理容器内101内にNガスを供給したままの状態で、ウエハ温度を700〜750℃の範囲の所定温度に制御し、HCDガス供給源121から配管126、分散ノズル127を介して、ガス吐出孔127aからHCDガスをウエハWの表面に沿って供給してウエハWの表面に吸着させ、次いでHCDガスの供給を停止してNガスにより処理容器101内をパージした後、Oガス供給源122およびHガス供給源123から、それぞれ配管128、ガス分散ノズル129、および配管130、ガス分散ノズル131を介してOガスおよびHガスをウエハWに供給し、OおよびHを生成させて、吸着したSiを低圧ラジカル酸化(LPRO)させ、次いでOガスおよびHガスを停止してNガスにより処理容器101内をパージする、といった動作を所定回数繰り返して、ALDにより置換SiO膜の上に、膜厚調整用SiO膜を所定の厚さで形成する。これにより、置換SiO膜と膜厚調整用SiO膜とからなるブロッキングオキサイド膜が形成される。
【0063】
以上の処理が終了後、処理容器101内をNガスによりパージし、次いで、処理容器101内を大気圧に戻して、ウエハボート105を下方へ搬出する。
【0064】
本例の処理装置によれば、上記ステップ2〜4までをin−situで行うことができるので、良質なブロッキングオキサイド膜を生産性良く形成することができる。また、膜厚調整用SiO膜は成膜温度が700〜750℃と高いので、高品質でウエットエッチング耐性の高い膜とすることができる。
【0065】
[処理装置の第2の例]
次に、ステップ4を上記第2の手法により行うことができる処理装置の第2の例について説明する。図10は処理装置の第2の例を示す縦断面図、図11はその水平断面図である。
【0066】
本例の処理装置100′は、基本構成は第1の例の処理装置100と同様に構成されているが、第1の例の処理装置100のガス供給機構120とは異なる構成のガス供給機構120′を有している。ガス供給機構120′は、ガス供給機構120の構成を全て有する他、Oガス供給源171、Oガス供給源171に接続される配管172、配管172に接続され、マニホールド103および内管101bの側壁を貫通して処理容器101内で上方向へ屈曲されて垂直に延びる石英製のガス分散ノズル173とをさらに有する。ガス分散ノズル173の垂直部分には、ウエハボート105のウエハ支持範囲に対応する上下方向の長さに亘って、各ウエハWに対応して複数のガス吐出孔173aが所定の間隔で形成されている。配管172には、開閉バルブ172aおよびその上流側にマスフローコントローラのような流量制御器172bが設けられている。他の構成は処理装置100と同じであるから説明を省略する。
【0067】
次に、上記第2の例の処理装置100′を用いた、SiO膜(ブロッキングオキサイド膜)を形成する方法について説明する。
【0068】
本例においては、置換SiO膜の形成までは、処理装置100と全く同様に行われる。
【0069】
膜厚調整用SiO膜の形成においては、処理容器101内をNガスでパージし、処理容器101内にNガスを供給したままの状態で、ウエハ温度を600〜650℃の範囲の所定温度に制御し、HCDガス供給源121から配管126、分散ノズル127を介して、ガス吐出孔127aからHCDガスをウエハWの表面に沿って供給してウエハWの表面に吸着させ、次いでHCDガスの供給を停止してNガスにより処理容器101内をパージした後、Oガス供給源171から配管172およびガス分散ノズル173を介してOガスをウエハWに供給し、吸着したSiを酸化させ、次いでOガスを停止してNガスにより処理容器101内をパージする、といった動作を所定回数繰り返して、ALDにより置換SiO膜の上に、膜厚調整用SiO膜を所定の厚さで形成する。これにより、置換SiO膜と膜厚調整用SiO膜とからなるブロッキングオキサイド膜が形成される。
【0070】
以上の処理が終了後、処理容器101内をNガスによりパージし、次いで、処理容器101内を大気圧に戻して、ウエハボート105を下方へ搬出する。
【0071】
本例の処理装置によれば、上記ステップ2〜4までをin−situで行うことができるので、良質なブロッキングオキサイド膜を生産性良く形成することができる。また、膜厚調整用SiO膜は、第1の例の場合よりも成膜温度が低いのでウエットエッチング耐性は第1の例の処理装置の場合よりも劣るが、膜中のHの量を第1の例よりも少なくできるので、ドライエッチング耐性を高くすることができる。
【0072】
<他の適用>
以上、本発明の実施の形態について説明したが、この発明は、上記の実施形態に限定されることはなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変形可能である。
【0073】
例えば、上記実施の形態では、3D−NAND型不揮発性半導体装置を形成する際に、SiO膜とSiN膜の積層膜に形成されたメモリホールのSiO膜とSiN膜の露出面にブロッキングオキサイド膜を形成する場合に本発明を適用した例を示したが、これに限らず、SiO膜とSiN膜の表面に均一にSiO膜を形成する場合であれば適用可能である。
【0074】
また、上記実施の形態では、膜厚調整用SiO膜をALDにより形成した例を示したが、ALDに限らずCVD等の他の方法で形成してもよい。
【0075】
さらに、上記実施の形態では、処理装置として縦型のバッチ式装置を適用した例について示したが、これに限らず、横型のバッチ式装置、枚葉装置、回転テーブルの上に複数枚の被処理体を載せて処理を行うセミバッチ式装置を用いることもできる。
【符号の説明】
【0076】
10;半導体基板
12;SiO
14;SiN膜
21;ブロッキングオキサイド膜
43;スペーサポリシリコン膜(犠牲膜)
44;置換SiO
45;膜厚調整用SiO
100,100′;処理装置
101;処理容器
101a;外管
101b;内管
102;本体部
120,120′;ガス供給機構
147,147a,147b;排気口
151;排気装置
152;加熱機構
160;制御部
W;半導体ウエハ(被処理体)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11