(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述のようなワークの種類ごとの補正量を準備しておき、測定の都度参照する場合、ユーザが複数の補正量から該当する補正量を探すことに時間が掛かるという問題がある。
また、ユーザが、異なる種類のワークの補正量を誤って選択し、画像測定機にプリセットしてしまうと、その後の測定において適切な補正が行われないという問題がある。
さらに、同形状のワークでも同種でない(例えば材質が異なる)ことがあり、形状の類似性から材質が異なるワークの補正量を誤って選択する可能性がある。このような場合、ワークを照射した際の反射する光も異なるため、エッジ部分の誤検出が発生し、寸法測定の精度低下を招くという問題がある。
【0007】
本発明の目的は、予め準備しておいた複数の補正量から、適切な補正量を簡単に選択できる測定方法、測定装置の補正量設定方法および測定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の測定方法は、測定装置を用いてワークの測定を行う測定方法であって、前記ワークの補正量と前記ワークの設計値とのセットを前記ワークの種類ごとに記憶しておき、前記測定装置で前記ワークを測定し、得られた測定値に近似する前記設計値を含む前記セットを検出し、検出された前記セットを表示してユーザに選択させ、選択された前記セットに含まれる前記補正量を用いて前記測定値を補正することを特徴とする。
【0009】
本発明において、ワークの種類ごとの補正量は、測定に用いる測定装置でワークを測定して得られるワークの測定値と、この測定装置とは別の測定手段を用いて高精度に測定したワークの真値との差分に基づいて計算したものが望ましい。
本発明において、測定値と設計値との近似の判定は、測定値および設計値の一方を基準として近似範囲を設定し、他方の値が同範囲に入るか否かを判定すること等により行うことができる。
本発明において、ワークの種類ごとの補正量を含むセットの記憶、ワークの測定値の計算、測定値に近似するセットの検出および表示、選択した補正量による測定値の補正は、それぞれ測定装置の制御装置において実行されることが望ましい。
【0010】
本発明では、予めワークの種類ごとに補正量を準備しておき、ワークの測定を行う際にその種類に応じた補正量を随時参照することができ、適切な補正量を用いることで測定を高精度化することができる。
ワークの種類ごとの補正量のいずれかを選択する際には、測定対象のワークの測定を行うことで、その測定値に基づいてそのワークに対応した補正量を含むセットの候補が検出されて表示され、ユーザはその表示からいずれかを選択することができる。
このため、多くの補正量のなかから現在測定中のワークに対応した補正量をユーザが探す際のような煩雑さを解消でき、かつ、選択を誤る可能性も低減でき、適切な補正量を簡単に選択することができる。
【0011】
本発明の測定方法において、前記セットを表示してユーザに選択させる際に、前記セットの情報を表示するとともに、前記セットと測定対象の前記ワークとの適合度を表示することが好ましい。
【0012】
本発明では、セットの選択の際に、ユーザは適合度を認識することで、選択をいっそう容易かつ確実に行うことができる。
本発明において、セットと測定対象のワークとの適合度としては、例えばセットに対応するワークと、現在測定中のワークとの形状、寸法、その他の属性について、相互の関連性についての確率を示す評価関数を設定してもよく、あるいは、予めセットを準備する際に他のワークとの関連について適合度情報を併せて設定する等してもよい。
【0013】
本発明の測定方法において、選択された前記補正量をプリセットし、前記補正量を選択した前記ワークと同種だが別の前記ワークに対し、繰り返し前記測定値の測定およびプリセットした前記補正量による補正を行うことが好ましい。
【0014】
本発明では、先に選択した補正量を、後続の同じ種類のワークの測定に繰り返し利用することができ、測定を効率化することができる。
【0015】
本発明の測定装置の補正量設定方法は、ワークの補正量が前記ワークの種類ごとに記憶され、前記ワークを測定した際の測定値を前記ワークに対応した前記補正量で補正する測定装置の補正量設定方法であって、前記測定装置に前記補正量を前記ワークの設計値とセットで前記ワークの種類ごとに記憶しておき、前記測定装置で前記ワークを測定し、得られた前記測定値に近似する前記設計値を含む前記セットを検出し、検出された前記セットを表示してユーザに選択させ、選択された前記セットに含まれる前記補正量を前記測定値の補正用に設定することを特徴とする。
【0016】
本発明によれば、前述した本発明の測定方法で述べた通り、適切な補正量を簡単に選択することができる。
【0017】
本発明の測定装置は、ユーザが操作可能な入出力装置と、ワークを測定して測定値を検出する測定部と、前記測定値に基づいて現在測定中の前記ワークと推定されるワーク候補を検出するワーク候補検出部と、前記ワーク候補を前記入出力装置に表示していずれかをユーザに選択させるワーク選択部と、前記ワークに対応する補正量が記憶された補正量テーブルと、前記補正量テーブルに記憶された前記補正量のうち前記ワーク選択部で選択された前記ワークに対応する前記補正量を用いて前記測定値を補正する補正演算部と、を有することを特徴とする。
【0018】
本発明では、測定部によりワークの測定値が得られるとともに、補正量テーブルに記憶された補正量を参照して補正演算部で測定値を補正することができる。
補正演算部で用いる補正量は、ワーク選択部でユーザが選択することができる。また、ユーザの選択にあたっては、補正量テーブルに記憶された補正量が多数であっても、ワーク候補検出部により絞り込みを行うことができる。
すなわち、ワーク候補検出部では、測定値に基づいて現在測定中のワークと推定されるワーク候補が検出され、このワーク候補がワーク選択部により入出力装置で表示され、ユーザはその表示からいずれかを選択することができる。
このため、多くの補正量のなかから現在測定中のワークに対応した補正量を探す際のような煩雑さを解消でき、かつ、選択を誤る可能性も低減でき、適切な補正量を簡単に選択することができる。
【0019】
本発明の測定装置において、前記測定値と前記ワーク候補の設計値との適合度を計算する適合度計算部を有し、前記ワーク選択部は、前記ワーク候補の情報を前記適合度とともに表示してユーザに選択させることが好ましい。
【0020】
本発明では、ワーク候補のいずれかの選択の際に、ユーザは適合度を認識することで、選択をいっそう容易かつ確実に行うことができる。
【0021】
本発明の測定装置において、前記補正量を記憶する補正量プリセットを有し、前記ワーク選択部は、ユーザが前記ワーク候補のいずれかを選択した際に、選択された前記ワークに対応する前記補正量を前記補正量テーブルから読み出して前記補正量プリセットに記憶し、前記補正演算部は、前記補正量プリセットに記憶された前記補正量で前記測定値を補正することが好ましい。
【0022】
本発明では、先に選択した補正量を、後続の同じ種類のワークの測定に繰り返し利用することができ、測定を効率化することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、予め準備しておいた複数の補正量から、適切な補正量を簡単に選択できる測定方法、測定装置の補正量設定方法および測定装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1において、画像測定装置1は、測定対象物であるワーク9の画像を撮影して寸法を測定するものであり、画像測定機2、制御装置3および入出力装置4を備えている。
【0026】
画像測定機2は、ワーク9を固定しつつ照明し、ワーク9を撮影して画像データとして制御装置3に出力するものであり、照明ないし撮影には既存の画像測定機における各構成が利用できる。
制御装置3は、画像測定機2で得られた画像データを処理して寸法測定を行うものであり、後述する本発明に基づく補正付き測定動作を行うための構成を備えている。
【0027】
入出力装置4は、制御装置3による測定結果などの表示を行うとともに、制御装置3および画像測定機2に対する操作を受け付ける。表示には既存の画像表示パネルなどが利用でき、操作入力にはキーボードおよびポインティングデバイスなどが利用できる。
制御装置3および入出力装置4は、既存のパーソナルコンピュータシステムなどを用いて構成することができる。
【0028】
制御装置3は、前述した画像データを処理して寸法測定を行うために、画像検出部31、寸法測定部32、補正演算部33および補正量プリセット34を備えている。
このうち、画像検出部31、寸法測定部32および補正演算部33は、制御装置3として用いるコンピュータシステム上で所定の動作プログラムを実行することで実現される。
また、補正量プリセット34は、制御装置3として利用されるコンピュータシステムのメモリ領域の一部に割り当てられる。
【0029】
画像検出部31は、画像測定機2からの画像データを処理してワーク9の画像を検出する。
寸法測定部32は、画像検出部31で検出されたワーク9の画像において、指定された箇所の長さや幅、間隔などを測定し、測定値Mとして出力する。
補正演算部33は、寸法測定部32から出力された測定値Mに対し、補正量プリセット34に記憶されている補正量Cを参照して補正演算を行い、ワーク9の指定箇所の寸法を示す正確な演算値Oとして出力する。
【0030】
補正量プリセット34には、正確な補正演算結果が得られるように、ワーク9に応じた補正量Cが設定される。
補正量プリセット34に設定する補正量Cを適切なものとするために、本実施形態では本発明に基づく独自の構成が採用されている。
【0031】
制御装置3は、本発明に基づいて補正量Cの設定を行うための構成として、補正量計算部41、補正量テーブル42、製品データベース43、ワーク候補検出部44、適合度計算部45およびワーク選択部46を備えている。
このうち、補正量計算部41、ワーク候補検出部44、適合度計算部45およびワーク選択部46は、制御装置3として用いるコンピュータシステム上で所定の動作プログラムを実行することで実現される。
また、補正量テーブル42および製品データベース43は、制御装置3として利用されるコンピュータシステムのメモリ領域の一部に割り当てられる。
なお、製品データベース43は、制御装置3の外部のサーバなどに配置され、制御装置3から随時参照可能な状態で設置されてもよい。
【0032】
補正量計算部41は、本実施形態の画像測定装置1における校正動作(詳細は後述)で起動され、ワーク9の種類ごとに、補正量C(補正量プリセット34に設定されて補正演算に用いられる値)を計算し、ワーク9の種類ごとの設計値Dとセットにして補正量テーブル42に記憶させる。
補正量Cの計算する際には、例えば、予めワーク9の種類ごとのマスターワークを、画像測定装置1とは別の他の測定機8で測定して真値Tを取得しておき、同じマスターワークに対して画像測定機2ないし寸法測定部32で測定値Mを取得し、得られた真値Tと測定値Mとの差分をとって補正量Cとすることができる。
【0033】
補正量テーブル42は、補正量計算部41で計算されたワーク9の種類ごとの補正量Cを、ワーク9の種類ごとの設計値Dとセットにして記憶している。
ワーク9の設計値Dは、いずれかの補正量Cを選択する際の検索キーとして利用される。例えば、現在測定中のワーク9で得られた測定値Mに近似する設計値Dを検索し、捕捉された設計値Dとセットにされた補正量Cを選択することで、当該ワーク9の補正量Cとして用いることができる(詳細は後述する測定動作参照)。
【0034】
製品データベース43は、ワーク9を含む製品の情報を記憶しており、ワーク9の種類を指定することで、同ワーク9の種別ごとの設計値Dが得られる。
製品データベース43から得られる設計値Dは、前述した補正量計算部41に参照されるほか、後述する測定動作の際にワーク候補検出部44で参照される。
【0035】
ワーク候補検出部44は、本実施形態の画像測定装置1における測定動作(詳細は後述)で起動され、寸法測定部32で得られた現在のワーク9の測定値Mについて製品データベース43を検索し、測定値Mに近似する設計値Dを有する種類のワーク9を全て、現在測定中のワークとして推定されるワーク候補として検出する。
近似した設計値Dとしては、例えば測定値Mの±1%の範囲内などとすることができる。
ワーク候補の選択は、例えば、測定値Mと設計値Dとの差分が小さいもの上位3件など、足切りまたは絞り込みを行うようにしてもよい。
【0036】
適合度計算部45は、ワーク候補検出部44で検出されたワーク候補に対して、ワーク9に対する適合度Fを計算する。
適合度Fとしては、現在測定中のワーク9と、選択されたワーク候補の製品の種別、現在の測定値Mの対象部位など、ワーク9の種別を特定できる属性を任意に組み合わせて利用できる。例えば、ワーク9の画像の輪郭パターンのマッチングや、製品データベース43に記録された情報の相関などを判定し、現在測定中のワーク9に該当しないものを除外し、該当するものについて各属性値の差分をとる等とすることができる。
【0037】
ワーク選択部46は、ワーク候補検出部44で検出されたワーク候補を、適合度計算部45で計算された適合度Fとともに、入出力装置4にリスト表示させる。そして、入出力装置4に対する操作により、現在測定中のワーク9に該当するもの、およびそのワーク9に対応する補正量Cについて、ユーザに選択させる。
ワーク選択部46は、ユーザの操作に基づいて、ワーク候補のいずれかのワーク9を選択し、そのワーク9の補正量Cを補正量テーブル42から取り出して補正量プリセット34に設定する動作を行う。
【0038】
図2には、ワーク選択部46によって入出力装置4に表示されるワーク候補リストの一例が示されている。
図2において、表示窓50にはワーク候補リスト欄51が形成されている。ワーク候補リスト欄51には、縦方向に複数のワーク候補52が列記され、入出力装置4のポインタ等を用いて画面上でいずれかのワーク候補を選択できる。
図2では、3番目のワーク候補が太枠で表示され、現在選択状態とされている。
【0039】
ワーク候補52の各々には、ワーク候補リスト欄51の横方向に表示された通り、ワーク9を特定する記号である「ラベル」、このワーク9の「設計値」、補正量テーブル42に記憶されたこのワーク9の補正量である「補正値」、このワーク9が登録された「日付」、このワーク9に関する「コメント」が記録される。
表示窓50には、ワーク候補リスト欄51の右側に、ワーク9を示すワーク画像53が表示され、ユーザの識別に利用できるようになっている。
【0040】
表示窓50の下部には、複数のコマンドボタン54が配置されている。コマンドボタン54は、コマンドボタン表示チェックボックス55にチェックを入れることで表示され、チェックを消すことで表示が消去される。
コマンドボタン54としては、ワーク候補52を追加する「追加」ボタン、削除する「削除」ボタン、編集する「編集」ボタン、現在選択中のワーク候補52を確定する「確定」ボタン、および表示窓50での操作を取り消して表示窓50を閉じる「取消」ボタンが配置されている。
このうち、「確定」ボタンを押すと、選択されたワーク候補52に代表されるが種類や材質が異なるワーク9を選択するための詳細選択リストが表示される。
【0041】
図3には、ワーク選択部46によって入出力装置4に表示されるワーク候補詳細選択リストの一例が示されている。
図3において、表示窓60にはワーク候補リスト欄61が形成されている。ワーク候補リスト欄61には、縦方向に複数のワーク候補62が列記され、入出力装置4のポインタ等を用いて画面上でいずれかのワーク候補を選択できる。
【0042】
ワーク候補62の各々には、左側から順に、ワーク画像63、適合度表示64、プロパティ表示ボタン65が配置されている。
ワーク画像63は、
図2のワーク候補52で表示されていたワーク画像53と同様であり、材質の相違などに応じて画像が若干異なることがある。
適合度表示64には、適合度計算部45で計算されたワーク候補ごとの適合度Fが表示される。ユーザは、適合度表示64に表示される適合度Fに基づいて判定を容易に行うことができる。
プロパティ表示ボタン65は、これを操作することで、ワーク候補62の詳細データなどを別窓で表示させることができる。適合度Fだけで判定することが難しい場合、詳細データを検討することで、適切なワーク候補62を選択することができる。
【0043】
本実施形態の画像測定装置1においては、予め校正動作を行うことで、ワーク9ごとの補正量Cを設定しておくことができる。そして、実際にワーク9の測定を行う測定動作においては、先ず基本測定動作を行ってワーク9の1つを用いて補正量Cを設定し、続いて同じ補正量Cを用いて複数のワーク9に対して継続測定動作を繰り返し行う。
【0044】
図4には、画像測定装置1における校正動作の手順が示されている。
校正動作では、校正対象であるワークnとして、ワーク9の特定の種別のもののマスターワークを用い、このワークnを画像測定装置1とは別の測定機8により測定し、ワークnの真値Tnを取得しておく(処理S1)。
次に、同じワークnを画像測定装置1に装着し(処理S2)、制御装置3にワークnの測定を実行させる。
制御装置3は、画像測定機2および画像検出部31ないし寸法測定部32により、ワークnの測定値Mnを測定する(処理S3)。続いて、補正量計算部41により、得られた真値Tnと測定値Mnとの差分から、ワークnの補正量Cnを計算する(処理S4)。得られた補正量Cnは、製品データベース43から得られるワークnの設計値Dnとセットにして、補正量テーブル42に記憶される(処理S5)。
制御装置3は、校正対象のワークnが他にあるか否かを確認し(処理S6)、あれば処理S1〜S5を繰り返し、なければ校正動作を終了する。
【0045】
図5には、校正動作における真値Tnないし補正量Cnの関係が示されている。
図5において、先ずワークaの校正を行う場合、処理S1(
図4の校正動作、以下同)により真値Taが得られ、処理S2〜S3により測定値Maが得られ、処理S4により補正量Caが得られる。そして、処理S5により、ワークaに関する補正量Caが、設計値Daとセットにして記憶される(校正動作C1)。
同様に、ワークbについて、真値Tbないし測定値Mbが得られ、補正量Cbが設計値Dbとセットにして記憶される(校正動作C2)。
さらに、ワークcについて、真値Tcないし測定値Mcが得られ、補正量Ccが設計値Dcとセットにして記憶される(校正動作C3)。
【0046】
本実施形態の画像測定装置1においては、以上に説明した校正動作により、補正量テーブル42にワークn(
図5のワークa,b,cなど)の個々に対応した補正量Cn(
図5の補正量Ca,Cb,Ccなど)が準備される。
そして、実際の測定動作にあたっては、
図6に示す動作を行う。
すなわち、先ず基本測定動作(
図6の左側)を行って補正量テーブル42に準備しておいたワークnの補正量Cnの1つを選択して補正量プリセット34に設定し(この設定のことをプリセットと称す)、同じ補正量Cnを用いて複数の同じワークnに対して継続測定動作(
図6の右側)を繰り返す。
【0047】
図6の左側には、画像測定装置1における基本測定動作の手順が示されている。
基本測定動作では、測定対象であるワークn(補正量Cnが未定)の任意の1つを画像測定装置1に装着し(処理S11)、制御装置3にワークnの測定を実行させる。
制御装置3は、画像測定機2および画像検出部31ないし寸法測定部32により、ワークnの測定値Mnを測定する(処理S12)。続いて、ワーク候補検出部44により、得られた測定値Mnに近い設計値Dnをもつ幾つかのワークnをワーク候補として検出し(処理S13)、適合度計算部45により、検出されたワークnの各々の適合度Fを計算する(処理S14)。さらに、ワーク選択部46により、ワーク候補とされたワークnを適合度Fとともにリスト表示し、ユーザの選択を待つ(処理S15)。
ユーザがいずれかのワークnを選択すると(処理S16)、制御装置3は、選択されたワークnの補正量Cnを補正量テーブル42から読み出し(処理S17)、補正量プリセット34に設定する。さらに、補正演算部33により、補正量プリセット34の補正量Cnを参照してワークnの測定値Mnを補正し、演算値Onとして出力する(処理S18)。
【0048】
図7には、基本測定動作M1における測定値M、設計値D、適合度F、補正量Cおよび演算値Oの具体例が示されている。
図7において、補正量Cnが未定のワークnがワークeであったとすると、処理S12(
図6左側の基本測定動作、以下同)で得られた測定値Meから、処理S13により例えば3つの設計値Da,De,Dfが近似値として検出される。
そして、処理S14により、各設計値Da,De,Dfをもつワークa,e,fに対して適合度Fa,Fe,Ffが計算され、処理S15によるリスト表示を経て、処理S16でいずれか(ワークe)が選択され、処理S17でワークeに対応する補正量Ceが読み出される。
これにより、未定だったワークnはワークeと識別され、ワークeに対応する補正量Ceを用いて、処理S18により演算値Oe(ワークeの補正済み測定値)が得られる。ここで参照される補正量Ceは、基本測定動作により設定されたワークeに対応する補正量Ceであり、この補正量Ceを引き続き用いることで、ワークeの補正を確実に行うことができる。
【0049】
以上により、補正量Cnが未定のワークに対して、これをワークnと識別のうえ対応する補正量Cnを設定することができる。
さらに、ワークnに対する補正量Cnが適切に選択されていれば、同じワークnに対しては同じ補正量Cnを用いて測定ないし補正演算を繰り返すことができる(継続測定動作)。
【0050】
図6の右側には、画像測定装置1における継続測定動作の手順が示されている。
継続測定動作では、基本測定動作で補正量Cnを設定したワークnと同じ種類の別のワークm(補正量Cmが設定済)を画像測定装置1に装着し(処理S21)、制御装置3にワークmの測定を実行させる。
制御装置3は、画像測定機2および画像検出部31ないし寸法測定部32により、ワークmの測定値を測定する(処理S22)。さらに、補正演算部33により、補正量プリセット34の補正量Cmを参照してワークmの測定値Mmを補正し、演算値Omとして出力する(処理S23)。
制御装置3は、測定するワークが他にあるか否かを確認し(処理S24)、あれば処理S21〜S23を繰り返し、なければ継続測定動作を終了する。
【0051】
図8には、基本測定動作M2におけるワークmの測定値Mm、補正量Cmおよび演算値Omの関連が示されている。
図8において、処理S21および処理S22(
図6右側の継続測定動作、以下同)で測定値が得られる。先行する基本測定動作での選択により、補正量プリセット34にはワークmに対応する補正量Cmが設定されている。
従って、処理S23により、測定値Mmと補正量Cmとから、ワークmに対応した適切な補正量Cmで補正されたワークmの演算値Omが得られる。
【0052】
本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
本実施形態の画像測定装置1では、補正量計算部41および補正量テーブル42により、予めワーク9の種類ごとに補正量Cを準備しておき、ワーク候補検出部44ないしワーク選択部46により、ワークの測定を行う際にその種類に応じた補正量Cを随時参照することができ、適切な補正量Cを用いることで測定を高精度化することができる。
【0053】
ワーク9の種類ごとの補正量Cのいずれかを選択する際には、測定対象のワーク9の測定を行って測定値Mを取得したのち、ワーク候補検出部44により、補正量テーブル42に記憶されたワーク9の設計値Dと補正量Cとのセットのいずれかをワーク候補として検出し、ワーク選択部46により、検出されたワーク候補を表示することで、ユーザがその表示からいずれか(いずれかのワークおよびそのワークに対応する補正量C)を選択することができる。
このため、多くの補正量Cのなかから現在測定中のワーク9に対応した補正量Cをユーザが探す際のような煩雑さを解消でき、かつ、選択を誤る可能性も低減でき、適切な補正量Cを簡単に選択することができる。
【0054】
本実施形態では、適合度計算部45により、ワーク候補に対して適合度Fを計算し、ワーク選択部46により、ワーク9の選択の際に適合度Fを併せて表示するようにしたので、ユーザは適合度Fを認識することで、ワークおよびその補正量Cの選択をいっそう容易かつ確実に行うことができる。
【0055】
本実施形態では、補正演算部33が、補正量プリセット34に設定した補正量Cを参照して補正演算を行うようにしたため、先に選択した補正量Cを、後続の同じ種類のワーク9の測定に繰り返し利用することができ、測定を効率化することができる。
【0056】
なお、本発明は前述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形などは本発明に含まれる。
前記実施形態では、ワーク9の種類ごとの設計値Dの情報源として製品データベース43を設けたが、製品データベース43は設計値Dだけのデータテーブルであってもよく、設計値Dを含む製品の他の情報を含むデータベースであってもよい。製品データベース43は、制御装置3に含まれるものに限らず、外部に設置されて制御装置3から参照されるものであってもよい。
【0057】
ワーク選択部46におけるワーク9の選択(補正量Cを含むセットの選択)は、
図2および
図3に示すような画面での選択に限らず、ユーザが操作可能な他の選択方法であってもよい。また、ワーク候補検出部44ないしワーク選択部46によるワーク候補の選択に限らず、ワーク9の測定値Mに対応する補正量Cを含むセット自体を検出してリスト表示するような形式であってもよい。
【0058】
適合度計算部45による適合度Fの計算は、例えばセットに対応するワークと、現在測定中のワークとの形状、寸法、その他の属性について、相互の関連性についての確率を示す評価関数を設定してもよく、あるいは、予めセットを準備する際に他のワークとの関連について適合度情報を併せて設定する等してもよい。
ワーク候補の選択にあたって適合度Fを用いることは本発明に必須ではなく、適合度Fの処理は省略してもよい。
【0059】
前記実施形態では、測定装置として画像測定装置1を用いたが、本発明は、他の測定原理による測定装置に適用してもよく、補正量Cのプリセットを用いた補正演算を行うものであれば、本発明を適用可能である。