【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成28年度、国立研究開発法人科学技術振興機構、研究成果展開事業「テトラゾール縮環ユニットを特徴とする新規π電子系分子の開発と有機半導体材料への応用」に係る委託業務、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【文献】
CHUNLIAN H. et al.,2,8-Dihydroxyquinoline Based Sensitive Fluoroionophore Towards Cu2+ Ion,Sensor Letters,2011年,Vol.9, No.5,p.1676-1681
【文献】
PAN L. et al.,The development of carbene-stabilized N-O radical coupling strategy in metal-free regioselective C-H,Organic Chemistry Frontiers,2015年07月20日,Vol.2,p.1313-1317
【文献】
XIAOPEI C. et al.,Base-Promoted Cross-Dehydrogenative Coupling of Quinoline N-Oxides with 1,3-Azoles,Organic Letters,2015年03月04日,Vol.17, No.6,p.1445-1448
【文献】
IRENA W. et al.,2-(2-Methoxyphenyl)pyridine 1-Oxide and its 3-Methyl Derivative,Acta Crystallographica Section C,1995年,Vol.C51, No.8,p.1590-1593
【文献】
JEAN B. R. et al.,Pd-Catalyzed Decarboxylative Cross-Coupling of 2-Carboxyazine N-Oxides with Various (Hetero)aryl Hal,Chemistry - A European Journal,2014年,Vol.20, No.13,p.3610-3615
【文献】
WENPENG M. et al.,Silver-Catalyzed 2-Pyridyl Arylation of Pyridine N-Oxides with Arylboronic Acids at Room Temperature,Synlett,2012年,Vol.23, No.1,p.145-149
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明について説明する。なお、以下「式(x)で表される化合物」を、単に「化合物(x)」という場合がある。
【0015】
1.紫外線吸収剤
下記式(1)又は(2)で表される化合物は、紫外線吸収剤に用いることができる。化合物(1)、(2)では、ヒドロキシ基が含窒素複素環と炭素数3個以内で結合されており、紫外線を吸収した場合も熱失活し、紫外線吸収能を維持しつつ蛍光を抑制できる。
特に、式(1)で表される化合物は、短波長のUV−C光(波長280nm以下)の吸収能が良好である。
【0017】
[式(1)及び(2)中、R
1及びR
2は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいC
6-10芳香族環又はC
1-10脂肪族炭化水素基を表す。X
1及びX
2は、それぞれ独立に、窒素原子、リン原子又はホウ素原子を表す。Y
1及びY
2は、それぞれ独立に、含窒素複素環を表す。n1及びn2は、それぞれ独立に、1又は2の整数を表す。m1は、0〜3の整数を表す。m2は、0〜4の整数を表す。]
【0018】
R
1及びR
2で表される芳香族環としては、芳香族炭化水素環、芳香族複素環が挙げられる。
芳香族炭化水素環としては、ベンゼン環、ナフタレン環等が挙げられ、ベンゼン環が好ましい。
芳香族複素環としては、下記式で表される芳香族複素環が挙げられ、中でも、チオフェン環、チアゾール環、ピリジン環、ピロール環、イミダゾール環、フラン環、オキサゾール環等が好ましい。式中、R
4は、水素原子、又はC
1-4アルキル基を表す。
【0023】
R
1及びR
2で表される芳香族環の炭素数は、好ましくは1〜15、より好ましくは1〜10、さらに好ましくは1〜8であり、R
1及びR
2で表される芳香族炭化水素環の炭素数は、好ましくは6〜15、より好ましくは6〜10、さらに好ましくは6〜8であり、R
1及びR
2で表される芳香族複素環の炭素数は、好ましくは1〜15、より好ましくは1〜10、さらに好ましくは1〜5である。
【0024】
R
1及びR
2で表される芳香族環が有していてもよい置換基としては、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基又はハロゲン原子が挙げられる。
【0025】
前記脂肪族炭化水素基は直鎖状又は分岐鎖状のいずれであってもよく、分岐鎖状であることが好ましい。また前記脂肪族炭化水素基は、アルキル基(飽和脂肪族炭化水素基)、或いはアルケニル基、アルキニル基等の不飽和脂肪族炭化水素基のいずれであってもよく、アルキル基であることが好ましい。前記脂肪族炭化水素基の炭素数は、好ましくは1〜10、より好ましくは1〜5である。
【0026】
前記脂肪族炭化水素基としては、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、2−メチルブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、1−n−ブチルブチル基、1−n−プロピルペンチル基、1−エチルヘキシル基、2−エチルヘキシル基、3−エチルヘキシル基、4−エチルヘキシル基、1−メチルヘプチル基、2−メチルヘプチル基、6−メチルヘプチル基、2,4,4−トリメチルペンチル基、2,5−ジメチルヘキシル基、n−ノニル基、1−n−プロピルヘキシル基、2−n−プロピルヘキシル基、1−エチルヘプチル基、2−エチルヘプチル基、1−メチルオクチル基、2−メチルオクチル基、6−メチルオクチル基、2,3,3,4−テトラメチルペンチル基、3,5,5−トリメチルヘキシル基、n−デシル基、1−n−ペンチルペンチル基、1−n−ブチルヘキシル基、2−n−ブチルヘキシル基、1−n−プロピルヘプチル基、1−エチルオクチル基、2−エチルオクチル基、1−メチルノニル基、2−メチルノニル基、3,7−ジメチルオクチル基等が挙げられる。
【0027】
前記脂環式炭化水素基は、単環でも複環でもよく、単環であることが好ましい。また、脂環式炭化水素基は、シクロアルキル基(飽和脂環式炭化水素基)、或いはシクロアルケニル基、シクロアルキニル基等の不飽和脂環式炭化水素基のいずれであってもよく、シクロアルキル基であることが好ましい。前記脂環式炭化水素基の炭素数は、好ましくは3〜10、より好ましくは3〜7である。
【0028】
前記脂環式炭化水素基としては、具体的には、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等が挙げられる。
【0029】
前記芳香族炭化水素基の炭素数は、好ましくは6〜30、より好ましくは6〜20である。前記芳香族炭化水素基としては、具体的には、フェニル基、ナフチル基が挙げられ、下記式で表される基であってもよい。
前記ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、ヨウ素原子、臭素原子が挙げられる。
【0031】
[式(R1)中、R
3は、脂肪族炭化水素基又はハロゲン原子を表し、m3は0〜4の整数を表し、m4は1〜5の整数を表す。*は結合手を表す。]
【0032】
R
3における脂肪族炭化水素基としては、R
1で表される芳香族環が有していてもよい置換基として例示した脂肪族炭化水素基と同様の基が挙げられ、分岐鎖状の基であることが好ましく、また、アルキル基であることが好ましい。当該脂肪族炭化水素基の炭素数は、好ましくは1〜10、より好ましくは1〜5である。
R
3におけるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられ、好ましくは臭素原子、ヨウ素原子である。
【0033】
m3は、好ましくは0〜1である。m4は、好ましくは1〜3である。
【0034】
R
1及びR
2で表される脂肪族炭化水素基としては、R
1及びR
2で表される芳香族環が有していてもよい置換基として例示した脂肪族炭化水素基と同様の基が挙げられ、分岐鎖状の基であることが好ましく、また、アルキル基であることが好ましい。当該脂肪族炭化水素基の炭素数は、好ましくは1〜10、より好ましくは1〜5である。
【0035】
中でも、R
1は、置換基を有していてもよい芳香族環であることが好ましく、置換基を有する芳香族環であることが好ましい。
また、R
2としては脂肪族炭化水素基が好ましい。
R
1及びR
2は、ベンゼン環上、ヒドロキシ基のパラ位に置換していることが好ましい。
【0036】
m1は、好ましくは1〜3の整数であり、より好ましくは1〜2の整数である。m2は、好ましくは1〜4の整数であり、より好ましくは1〜3の整数である。m1及びm2が1以上であると、耐熱性が向上しやすくなる。
n1及びn2は、好ましくは2である。
【0037】
X
1及びX
2としては、窒素原子が好ましい。
【0038】
Y
1及びY
2で表される含窒素複素環としては、下記式(Y1)〜(Y4)のいずれかで表される環であることが好ましく、式(Y1)又は(Y2)で表される環であることがより好ましく、式(Y1)で表される環であることがさらに好ましい。
【0040】
式(1)で表される化合物としては、下記式(1−I)で表される化合物(1−I−1)〜(1−I−25)が挙げられ、式(2)で表される化合物としては、下記式(2−I)で表される化合物(2−I−1)〜(2−I−25)が挙げられる。
なお下記式において、m10が1以上の場合、R
10の少なくとも1つは、ヒドロキシ基に対してパラ位に置換していることが好ましい。m20が1以上の場合、R
20の少なくとも1つは、ヒドロキシ基に対してパラ位に置換していることが好ましい。
【0042】
表中、(Ar1)〜(Ar17)は、それぞれ、以下の基を表す。
【0044】
式(1)で表される化合物としては、化合物(1−I−1)〜(1−I−16)、(1−I−23)が特に好ましく、式(2)で表される化合物としては、化合物(2−I−1)〜(2−I−16)、(2−I−23)が特に好ましい。
【0045】
2.製造方法
上記化合物(1)の製造方法の概要は、下記スキームで表される。すなわち、本発明の化合物(1)又は(2)は、化合物(1C)又は化合物(2C)を酸化した後(酸化工程:工程1)、得られた化合物(1B)又は(2B)に、塩基の存在下、アジド化合物を反応させ(環化工程:工程2)、得られた化合物(1A)又は(2A)を脱保護することにより製造することができる(脱保護工程:工程3)。
【0047】
[スキーム中、R
11及びR
21は、R
1及びR
2とそれぞれ同義であり、n11及びn21は、それぞれn1及びn2と同義であり、m11及びm21は、それぞれm1及びm2と同義である。P
1及びP
2は、それぞれヒドロキシ基の保護基を表す。]
【0048】
上記スキームにおいてP
1及びP
2は、ヒドロキシ基の保護基として用いることができるものであればよく、メチル基、ベンジル基、p−メトキシベンジル基、tert−ブチル基等のエーテル系保護基;メトキシメチル基等のアセタール系保護基;アセチル基、ピバロイル基、ベンゾイル基等のエステル系保護基;トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、tert−ブチルジフェニルシリル基等のシリルエーテル系保護基;メチル炭酸エステル残基、エチル炭酸エステル残基、tert−ブチル炭酸エステル残基等の炭酸エステル系保護基;メタンスルホン酸エステル残基、エタンスルホン酸エステル残基、ベンゼンスルホン酸エステル残基、p−トルエンスルホン酸エステル残基等のスルホン酸エステル系保護基;等が挙げられる。中でも、エーテル系保護基が好ましい。
【0049】
2−1.酸化工程(工程1)
上記化合物(1C)又は(2C)と、酸化剤とを反応させることにより、化合物(1B)又は(2B)を得ることができる。化合物(1C)又は(2C)としては、それぞれ、例えば、式(1C−I)で表される化合物(1C−I−1)〜(1C−I−25)又は式(2C−I)で表される化合物(2C−I−1)〜(2C−I−25)が好ましい。
【0051】
式(1C)で表される化合物としては、化合物(1C−I−1)〜(1C−I−16)、(1C−I−23)が特に好ましく、式(2C)で表される化合物としては、化合物(2C−I−1)〜(2C−I−16)、(2C−I−23)が特に好ましい。
【0052】
前記酸化剤としては、メタクロロ過安息香酸等の過カルボン酸、過酸化水素を用いることができる。前記酸化剤の量は、化合物(1C)又は(2C)1モルに対して、好ましくは0.1モル以上、10モル以下、より好ましくは0.5モル以上、5モル以下である。
酸化工程における反応溶媒としては、ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、ジクロロプロパン等のハロゲン系溶媒;メタノール、エタノール、n−プロパノール、2−プロパノール、n−ブタノール等のアルコール系溶媒;酢酸、トリフルオロ酢酸等のカルボン酸系溶媒;水;或いはこれらの混合溶媒;が挙げられ、ハロゲン系溶媒が好ましい。
【0053】
2−2.環化工程(工程2)
上記化合物(1B)又は(2B)に、塩基の存在下、アジド化合物を反応させることで、化合物(1A)又は(2A)を得ることができる。本工程に用いられる化合物(1B)又は(2B)としては、それぞれ、例えば、式(1B−I)で表される化合物(1B−I−1)〜(1B−I−25)又は式(2B−I)で表される化合物(2B−I−1)〜(2B−I−25)が好ましい。
【0055】
式(1B)で表される化合物としては、化合物(1B−I−1)〜(1B−I−16)、(1B−I−23)が特に好ましく、式(2B)で表される化合物としては、化合物(2B−I−1)〜(2B−I−16)、(2B−I−23)が特に好ましい。
【0056】
前記アジド化合物としては、ジフェニルホスホリルアジド(DPPA)、ビス(4−ニトロフェニル)ホスホリルアジド等のジアリールホスホリルアジド;トリメチルシリルアジド(TMSA)等のトリアルキルシリルアジド;等の有機アジド化合物及びナトリウムアジドなどの無機アジド化合物が好ましい。前記有機アジド化合物は、ポリマー担持されていてもよい。中でも、ジフェニルホスホリルアジド(DPPA)及びトリメチルシリルアジド等のトリアルキルシリルアジド化合物が好ましい。
【0057】
特に、アジド化合物の量は、前記化合物(1B)又は(2B)1モルに対して、好ましくは0.5モル以上、10モル以下、より好ましくは1モル以上、8モル以下、さらに好ましくは1モル以上、5モル以下である。アジド化合物の量がこの範囲にあると、収率や反応効率が良好である。
【0058】
前記アジド化合物として、トリアルキルシリルアジド化合物を用いる場合、さらに、スルホニルハライド化合物又はリン酸ハライド化合物を共存させてもよい。
前記スルホニルハライド化合物としては、メタンスルホニルクロリド、エタンスルホニルクロリド、プロパンスルホニルクロリド、イソプロパンスルホニルクロリド、ブタンスルホニルクロリド、ペンタンスルホニルクロリド、ヘキサンスルホニルクロリド;等のアルキルスルホニルクロリド化合物;ベンゼンスルホニルクロリド、2−メチルベンゼンスルホニルクロリド、3−メチルベンゼンスルホニルクロリド、4−メチルベンゼンスルホニルクロリド、2−クロロベンゼンスルホニルクロリド、3−クロロベンゼンスルホニルクロリド、4−クロロベンゼンスルホニルクロリド、2−ブロモベンゼンスルホニルクロリド、3−ブロモベンゼンスルホニルクロリド、4−ブロモベンゼンスルホニルクロリド、2−ヨードベンゼンスルホニルクロリド、3−ヨードベンゼンスルホニルクロリド、4−ヨードベンゼンスルホニルクロリド、2−フルオロベンゼンスルホニルクロリド、3−フルオロベンゼンスルホニルクロリド、4−フルオロベンゼンスルホニルクロリド、2−トリフルオロメチルベンゼンスルホニルクロリド、3−トリフルオロメチルベンゼンスルホニルクロリド、4−トリフルオロメチルベンゼンスルホニルクロリド等のアリールスルホニルクロリド化合物;塩化スルフリル;等のスルホニルクロリド化合物;ノナフルオロブタンスルホン酸フルオリド、フェニルスルホン酸フルオリド等のスルホニルフルオリド化合物;等が挙げられる。中でも、スルホニルクロリド化合物が好ましく、アリールスルホニルクロリド化合物がより好ましく、4−メチルベンゼンスルホニルクロリドがさらに好ましい。
【0059】
前記スルホニルハライド化合物の量は、前記化合物(1B)又は(2B)1モルに対して、好ましくは0.5モル以上、20モル以下、より好ましくは1モル以上、15モル以下、さらに好ましくは1モル以上、13モル以下、特に好ましくは1モル以上、10モル以下である。スルホニルハライド化合物の量がこの範囲にあると、収率や反応効率が良好である。
【0060】
前記リン酸ハライド化合物としては、ジメチルホスホリルクロリド、ジエチルホスホリルクロリド、ジプロピルホスホリルクロリド、ジイソプロピルホスホリルクロリド、ジブチルホスホリルクロリド等のジアルキルホスホリルクロリド化合物;ビス(2,2,2−トリクロロエチル)ホスホリルクロリド等のジハロゲン化アルキルホスホリルクロリド化合物;2−クロロ−2−オキソ−1,3,2−ジオキサホスホラン;ジフェニルホスホリルクロリド、ビス(2−メチルフェニル)ホスホリルクロリド、ビス(3−メチルフェニル)ホスホリルクロリド、ビス(4−メチルフェニル)ホスホリルクロリド、ビス(3,5−ジメチルフェニル)ホスホリルクロリド、ビス(2−クロロフェニル)ホスホリルクロリド、ビス(3−クロロフェニル)ホスホリルクロリド、ビス(4−クロロフェニル)ホスホリルクロリド、ビス(3,5−ジクロロフェニル)ホスホリルクロリド等のジアリールホスホリルクロリド化合物;1,2−フェニレンホスホロクロリデート;等が挙げられる。中でも、ジハロゲン化アルキルホスホリルクロリド化合物、ジアリールホスホリルクロリド化合物が好ましく、ビス(2,2,2−トリクロロエチル)ホスホリルクロリド、ジフェニルホスホリルクロリドがより好ましい。
【0061】
前記リン酸ハライド化合物の量は、前記化合物(1B)又は(2B)1モルに対して、好ましくは0.5モル以上、20モル以下、より好ましくは1モル以上、15モル以下、さらに好ましくは1モル以上、13モル以下、特に好ましくは1モル以上、10モル以下である。リン酸ハライド化合物の量がこの範囲にあると、収率や反応効率が良好である。
【0062】
アジド化合物を反応させる際に共存させる塩基としては、ピリジン;N−メチルイミダゾール、イミダゾール等のイミダゾール化合物;水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化セシウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム等のアルカリ金属塩化合物;水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム等のアルカリ土類金属塩化合物;リチウムメトキシド、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、リチウムエトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムエトキシド、リチウムイソプロポキシド、ナトリウムイソプロポキシド、カリウムイソプロポキシド、リチウムtert−ブトキシド、ナトリウムtert−ブトキシド、カリウムtert−ブトキシド、リチウムtert−アミルアルコキシド、ナトリウムtert−アミルアルコキシド、カリウムtert−アミルアルコキシド等のアルコキシアルカリ金属化合物;水素化リチウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム等の水素化金属化合物;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、トリヘキシルアミン、トリオクチルアミン、トリアリルアミン、ピリジン、2−メチルピリジン、3−メチルピリジン、4−メチルピリジン、N−メチルモルホリン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N−ジメチルアニリン、N−メチルイミダゾール、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセ−7−エンなどの3級アミン;等が挙げられる。中でも、ピリジン、イミダゾール化合物、アルカリ金属塩化合物、アミンが好ましく、より好ましくはピリジン、N−メチルイミダゾール、炭酸カリウム、トリエチルアミンであり、さらに好ましくはピリジン、炭酸カリウム、トリエチルアミンである。
【0063】
塩基の量は、前記化合物(1B)又は(2B)1モルに対して、好ましくは0.5モル以上、10モル以下、より好ましくは1モル以上、8モル以下、さらに好ましくは1モル以上、7モル以下、特に好ましくは1モル以上、5モル以下である。
【0064】
上記反応時、反応溶媒は用いないことが好ましい。反応溶媒を使用する場合、反応に影響を及ぼさない範囲で使用でき、例えば、エーテル系溶媒、芳香族系溶媒、炭化水素系溶媒、ハロゲン系溶媒、ケトン系溶媒、アミド系溶媒等を用いることができる。前記エーテル系溶媒としては、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、シクロペンチルメチルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、ジオキサンが挙げられる。前記芳香族系溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンが挙げられる。前記エステル系溶媒としては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチルが挙げられる。前記炭化水素系溶媒としては、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタンが挙げられる。前記ハロゲン系溶媒としては、ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、ジクロロプロパンが挙げられる。前記ケトン系溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンが挙げられる。前記アミド系溶媒としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、1,3−ジメチル3,4,5,6−テトラヒドロ−(1H)−ピリミジンが挙げられる。また、アセトニトリル等のニトリル系溶媒、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒、スルホラン等のスルホン系溶媒を用いることができる。
【0065】
反応温度は、好ましくは0℃以上、200℃以下、より好ましくは30℃以上、180℃以下、さらに好ましくは40℃以上、150℃以下である。反応温度は、マイクロウェーブを用いて調節しても良い。
【0066】
2−3.脱保護工程(工程3)
上記(1A)又は(2A)を脱保護することにより製造することができる(脱保護工程:工程3)。本工程に用いられる化合物(1A)又は(2A)としては、それぞれ、例えば、式(1A−I)で表される化合物(1A−I−1)〜(1A−I−25)又は式(2A−I)で表される化合物(2A−I−1)〜(2A−I−25)が好ましい。
【0068】
式(1A)で表される化合物としては、化合物(1A−I−1)〜(1A−I−16)、(1A−I−23)が特に好ましく、式(2A)で表される化合物としては、化合物(2A−I−1)〜(2A−I−16)、(2A−I−23)が特に好ましい。
【0069】
脱保護の方法は、保護基の種類に応じて適宜採用することができ、例えば、保護基としてベンジル基を用いた場合には、パラジウム炭素触媒の存在下、保護基と水素とを反応させることにより、脱保護することができる。反応溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール系溶媒;酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル等のエステル系溶媒、トルエン、キシレン等の芳香族溶媒;或いはこれらの混合溶媒;を用いることができる。
【0070】
2−4.化合物(1C)及び(2C)の製造
上記化合物(1C)又は(2C)としては、市販品を用いてもよいし、以下の方法により製造してもよい。
化合物(1C)は、例えば、化合物(1G)のヒドロキシ基を保護し(保護工程:工程4)、次いで得られた化合物(1F)をハロゲン化し(ハロゲン化工程:工程5)、さらに得られた化合物(1E)と化合物(1D)とを反応させる(付加工程1:工程6)ことにより得ることができる。
また化合物(2C)は、例えば、化合物(2G)をハロゲン化し(ハロゲン化工程:工程7)、次いで得られた化合物(2F)のヒドロキシ基を保護し(保護工程:工程8)、さらに得られた化合物(2E)と金属マグネシウムを反応させグリニャール試薬とした上で、ニッケル触媒の存在下、化合物(2D)とを反応させる(付加工程2:工程9)ことにより得ることができる。
以下、各工程について説明する。
【0072】
[式中、R
11、R
21、P
1、P
2、n11、n21、m11、m21は、上記と同義である。
X
11、X
21、X
22は、それぞれ独立に、ハロゲン原子を表す。
M
1は、ホウ素原子又はスズ原子を表す。
L
1は、それぞれ独立に、脂肪族炭化水素基、水酸基、アルコキシ基又はアリールオキシ基を表し、複数のL
1は、M
1とともに環を形成していてもよい。
k1は、2又は3の整数を表す。]
【0073】
2−4−1.保護工程(工程4、8)
保護工程は、種々の方法により行うことができ、ヒドロキシ基の保護基としてベンジル基を用いる場合は、例えば、化合物(1G)又は化合物(2F)のヒドロキシ基に、塩基の存在下、臭化ベンジルを反応させることにより行うことができる。
前記塩基としては、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩;水酸化ナトリウム等のアルカリ金属水酸化物;を用いることができる。反応溶媒としては、アセトニトリル等のニトリル系溶媒が好ましい。
【0074】
2−4−2.ハロゲン化工程(工程5、7)
ハロゲン化は、種々の方法により行うことができ、例えば、化合物(1F)又は化合物(2G)に、酸の共存下、ハロゲン化試薬と接触させることにより行うことができる。前記酸としては、酢酸等の有機酸が好ましく、ハロゲン化試薬としては、N−ブロモスクシンイミド、N−クロロスクシンイミド、N−ヨードスクシンイミド、ピリジン臭素錯体塩、臭素、塩素、よう素等が好ましい。
反応溶媒としては、ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、ジクロロプロパン等のハロゲン系溶媒、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチルなどのエステル系溶媒、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタンなどの炭化水素系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンなどの芳香族系溶媒が好ましい。
【0075】
2−4−3.付加工程1(工程6)
ハロゲン化により得られた化合物(1E)を下記式で表される化合物(1D)と反応させることにより、化合物(1C)を製造することができる。
【0077】
[式中、R
11は、R
1と同義である。M
1は、ホウ素原子又はスズ原子を表す。L
1は、それぞれ独立に、脂肪族炭化水素基、水酸基、アルコキシ基又はアリールオキシ基を表し、複数のL
1は、M
1とともに環を形成していてもよい。]
【0078】
本工程に用いられる化合物(1E)としては、例えば、下記式(1E−I)で表される化合物が好ましい。
【0080】
[式(1E−I)中、X
11、P
1は、上記と同義である。]
【0081】
X
11で表されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、ヨウ素原子、臭素原子が挙げられ、塩素原子、ヨウ素原子又は臭素原子が好ましい。
【0082】
また上記式(1D)において、L
1で表される脂肪族炭化水素基、アルコキシ基としては、それぞれ、R
1で表される芳香族環が有していてもよい脂肪族炭化水素基、R
1で表される芳香族環が有していてもよい脂肪族炭化水素基として例示したアルキル基に酸素原子が結合した基が挙げられる。L
1の脂肪族炭化水素基の炭素数は、好ましくは1〜6であり、より好ましくは1〜4である。また、L
1のアルコキシ基の炭素数は、好ましくは1〜6であり、より好ましくは1〜2である。L
1のアリールオキシ基の炭素数は、好ましくは6〜12、より好ましくは6〜10であり、L
1のアリールオキシ基としては、具体的には、フェニルオキシ基、ベンジルオキシ基、フェニレンビス(メチレンオキシ)基等が挙げられる。
k1は、M
1の種類に応じて2又は3であり、M
1がホウ素原子の場合2であり、M
1がスズ原子の場合3である。
【0083】
M
1がホウ素原子の場合、*−M
1(L
1)
k1としては、下記式で表される基等が挙げられる。またM
1がスズ原子の場合、*−M
1(L
1)
k1としては、下記式で表される基等が挙げられる。式中、R
5は、水素原子又は、炭素数1〜4のアルキル基(好ましくは水素原子)を表す。*は結合手を表す。
中でも、下記式(Om−1)、(Om−2)、(Om−5)、(Om−6)で表される基が好ましい。
【0085】
化合物(1D)としては、下記式で表される化合物が好ましい。
【0088】
化合物(1D)の量は、化合物(1E)1モルに対して、好ましくは0.5〜5モル、より好ましくは0.8〜3モルである。
【0089】
化合物(1D)と化合物(1E)とを反応させる際には、触媒を共存させてもよい。触媒としては、金属触媒が挙げられ、パラジウム系触媒、ニッケル系触媒、鉄系触媒、銅系触媒、ロジウム系触媒、ルテニウム系触媒などの遷移金属触媒が挙げられる。中でも、パラジウム系触媒が好ましい。
【0090】
前記パラジウム系触媒としては、塩化パラジウム(II)、臭化パラジウム(II)、ヨウ化パラジウム(II)、酸化パラジウム(II)、硫化パラジウム(II)、テルル化パラジウム(II)、水酸化パラジウム(II)、セレン化パラジウム(II)、パラジウムシアニド(II)、パラジウムアセテート(II)、パラジウムトリフルオロアセテート(II)、パラジウムアセチルアセトナート(II)、ジアセテートビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)、ジクロロビス(アセトニトリル)パラジウム(II)、ジクロロビス(ベンゾニトリル)パラジウム(II)、ジクロロ[1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン]パラジウム(II)、ジクロロ[1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン]パラジウム(II)、ジクロロ[1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン]パラジウム(II)、ジクロロ[1,1−ビス(ジフェニルホスフィノフェロセン)]パラジウム(II)、ジクロロ[1,1−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロロメタン付加体、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)クロロホルム付加体、ジクロロ[1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾール−2−イリデン](3−クロロピリジル)パラジウム(II)、ビス(トリ−tert−ブチルホスフィン)パラジウム(0)、ジクロロ[2,5−ノルボルナジエン]パラジウム(II)、ジクロロビス(エチレンジアミン)パラジウム(II)、ジクロロ(1,5−シクロオクタジエン)パラジウム(II)、ジクロロビス(メチルジフェニルホスフィン)パラジウム(II)が挙げられる。これらの触媒は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を混合して用いてもよい。中でも、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)又は、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)が好ましい。
【0091】
触媒と前記化合物(1E)とのモル比(触媒/化合物(1E))は、好ましくは0.0001〜0.5、より好ましくは0.001〜0.4、さらに好ましくは0.005〜0.3、よりいっそう好ましくは0.01〜0.2である。
【0092】
前記触媒には、特定の配位子を配位させてもよい。配位子としては、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリ(n−ブチル)ホスフィン、トリ(イソプロピル)ホスフィン、トリ(tert−ブチル)ホスフィン、トリ−tert−ブチルホスホニウムテトラフルオロボラート、ビス(tert−ブチル)メチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、ジフェニル(メチル)ホスフィン、トリフェニスホスフィン、トリス(o−トリル)ホスフィン、トリス(m−トリル)ホスフィン、トリス(p−トリル)ホスフィン、トリス(2−フリル)ホスフィン、トリス(2−メトキシフェニル)ホスフィン、トリス(3−メトキシフェニル)ホスフィン、トリス(4−メトキシフェニル)ホスフィン、2−ジシクロヘキシルホスフィノビフェニル、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’−メチルビフェニル、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,4’,6’−トリイソプロピル−1,1’−ビフェニル、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,6’−ジメトキシ−1,1’−ビフェニル、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’−(N,N’−ジメチルアミノ)ビフェニル、2−ジフェニルホスフィノ−2’−(N,N’−ジメチルアミノ)ビフェニル、2−(ジ−tert−ブチル)ホスフィノ−2’−(N,N’−ジメチルアミノ)ビフェニル、2−(ジ−tert−ブチル)ホスフィノビフェニル、2−(ジ−tert−ブチル)ホスフィノ−2’−メチルビフェニル、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン、1,2−ビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)エタン、1,3−ビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)プロパン、1,4−ビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)ブタン、1,2−ビスジフェニルホスフィノエチレン、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン、1,2−エチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、2,2’−ビピリジル、1,3−ジフェニルジヒドロイミダゾリリデン、1,3−ジメチルジヒドロイミダゾリリデン、ジエチルジヒドロイミダゾリリデン、1,3−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)ジヒドロイミダゾリリデン、1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)ジヒドロイミダゾリリデン、1,10−フェナントロリン、5,6−ジメチル−1,10−フェナントロリン、バトフェナントロリンが挙げられる。配位子は、一種のみを用いてもよく、二種以上を用いてもよい。
【0093】
配位子を配位させる場合、配位子と触媒とのモル比(配位子/触媒)は、好ましくは0.5〜10、より好ましくは1〜8、さらに好ましくは1〜7、よりいっそう好ましくは1〜5である。
【0094】
化合物(1E)と化合物(1D)とを反応させる際、さらに塩基を共存させてもよい。特に、上記M
1がホウ素原子であるときは、塩基を共存させることが好ましく、M
1がスズ原子であるときは、塩基を共存させなくともよい。
【0095】
塩基としては、水素化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム等のアルカリ金属塩化合物;水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム等のアルカリ土類金属塩化合物;リチウムメトキシド、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、リチウムエトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムエトキシド、リチウムイソプロポキシド、ナトリウムイソプロポキシド、カリウムイソプロポキシド、リチウムtert−ブトキシド、ナトリウムtert−ブトキシド、カリウムtert−ブトキシド、リチウムtert−アミルアルコキシド、ナトリウムtert−アミルアルコキシド、カリウムtert−アミルアルコキシド等のアルコキシアルカリ金属化合物;水素化リチウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム等の水素化金属化合物等が挙げられる。中でも、塩基としては、アルコキシアルカリ金属化合物が好ましく、リチウムtert−ブトキシド、ナトリウムtert−ブトキシド、カリウムtert−ブトキシド、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウムがより好ましい。
【0096】
塩基と化合物(1E)とのモル比(塩基/化合物(1E))は、好ましくは0.5〜10、より好ましくは0.7〜4、さらに好ましくは0.9〜3である。
【0097】
反応溶媒としては、反応に影響を及ぼさない限り特に限定されることはなく、エーテル系溶媒、芳香族系溶媒、エステル系溶媒、炭化水素系溶媒、ハロゲン系溶媒、ケトン系溶媒、アミド系溶媒等を用いることができる。前記エーテル系溶媒としては、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、シクロペンチルメチルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、ジオキサンが挙げられる。前記芳香族系溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンが挙げられる。前記エステル系溶媒としては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチルが挙げられる。前記炭化水素系溶媒としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタンが挙げられる。前記ハロゲン系溶媒としては、ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、ジクロロプロパンが挙げられる。前記ケトン系溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンが挙げられる。前記アミド系溶媒としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、1,3−ジメチル3,4,5,6−テトラヒドロ−(1H)−ピリミジンが挙げられる。また、アセトニトリル等のニトリル系溶媒、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒、スルホラン等のスルホン系溶媒を用いることができる。
これらの中でも、トルエン、キシレン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミドが特に好ましい。
【0098】
反応溶媒の量は、化合物(1E)1gに対して、好ましくは1mL以上、100mL以下、より好ましくは5mL以上、80mL以下、さらに好ましくは8mL以上、70mL以下、よりいっそう好ましくは10mL以上、60mL以下である。
【0099】
反応温度は、好ましくは0℃以上、220℃以下、より好ましくは30℃以上、200℃以下である。
反応には、マイクロウェーブを使用してもよい。
【0100】
2−4−4.付加工程2(工程9)
化合物(2E)と金属マグネシウムを反応させグリニャール試薬とした上で、ニッケル触媒の存在下、化合物(2D)と反応させることにより、化合物(2C)を得ることができる。本工程の原料に用いられる化合物(2E)としては、例えば、式(2E−I)で表される化合物(2E−I−1)〜(2E−I−25)が好ましい。
【0102】
金属マグネシウムの量は、化合物(2E)1モルに対して、好ましくは0.5モル以上、10モル以下、より好ましくは1モル以上、8モル以下、さらに好ましくは1モル以上、7モル以下、特に好ましくは1モル以上、5モル以下である。
【0103】
反応溶媒としては、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、シクロペンチルメチルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、ジオキサン等のエーテル系溶媒が好ましい。
反応系中、水を含まないことが好ましい。また、還流下で反応を行うことが好ましい。
【0104】
得られたグリニャール試薬に反応させる化合物(2D)としては、例えば、下記式で表される化合物が好ましい。なお式中X
22は、ハロゲン原子を表し、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子であることが好ましい。
【0106】
化合物(2D)の量は、化合物(2E)1モルに対して、好ましくは0.1モル以上、より好ましくは0.5モル以上であり、好ましくは10モル以下、より好ましくは7モル以下、さらに好ましくは5モル以下である。
【0107】
グリニャール試薬と化合物(2D)とを反応させる際に用いるニッケル触媒としては、ジクロロニッケル、ジクロロニッケル・6水和物、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)ニッケル、ジクロロ(1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン)ニッケル、ジクロロ(1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン)ニッケル、ジクロロ(1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン)ニッケル、ジクロロ(エチレンジアミン)ニッケル、ジクロロ(N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン)ニッケル、ジクロロ(N,N,N’,N’−テトラメチルプロパンジアミン)ニッケル、ジクロロ(N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン)ニッケル/トリフェニルホスフィン混合物、[1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾール−2−イリデン]トリフェニルホスフィンニッケル(II)ジクロリド、ビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル/トリフェニルホスフィン混合物等が挙げられる。
【0108】
ニッケル触媒の量は、化合物(2E)1モルに対して、好ましくは0.001モル以上、より好ましくは0.005モル以上、さらに好ましくは0.01モル以上であり、好ましくは0.2モル以下、より好ましくは0.1モル以下である。
【0109】
反応溶媒としては、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、シクロペンチルメチルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、ジオキサン等のエーテル系溶媒が好ましい。
反応系中、水を含まないことが好ましい。また、還流下で反応を行うことが好ましい。
【0110】
3.紫外線吸収剤含有樹脂組成物
本発明の紫外線吸収剤と、樹脂とを含有する紫外線吸収剤含有組成物(以下、単に「樹脂組成物」という場合がある)も本発明の範囲に包含される。
【0111】
前記樹脂組成物において、紫外線吸収剤の含有量は、樹脂100質量部に対して、好ましくは0.1〜30質量部、より好ましくは0.5〜20質量部、さらに好ましくは1〜15質量部である。
また前記樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド樹脂、フッ素系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、ウレタン系樹脂、セルロール系樹脂、塩化ビニル樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合合成樹脂等が挙げられる。
【0112】
前記樹脂組成物は、さらに、フェノール系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、リン系酸化防止剤等の酸化防止剤;ヒンダードアミン系ラジカル捕捉剤等のラジカル捕捉剤;等の他の添加剤を含んでいてもよい。これらの他の添加剤を含む場合、その含有量は、樹脂100質量部に対して、好ましくは0.1〜10質量部、より好ましくは1〜5質量部である。
【0113】
本発明の紫外線吸収剤は、ヒドロキシ基の置換位置が特定の位置にあることから、紫外線を吸収しても熱失活するため、特に紫外・可視領域における蛍光が抑制されている。そのため樹脂製品、各種繊維製品、塗料、電子部品材料、化粧料等に好適に用いられる。
【0114】
本願は、2015年12月2日に出願された日本国特許出願第2015−236085号に基づく優先権の利益を主張するものである。2015年12月2日に出願された日本国特許出願第2015−236085号の明細書の全内容が、本願に参考のため援用される。
【実施例】
【0115】
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。なお、以下においては、特に断りのない限り、「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」を意味する。
各物性の測定方法は、以下の通りである。
【0116】
熱重量分析測定
熱重量分析装置(島津製作所製、「TGA−50」)を用いて熱重量分析測定を行った。
【0117】
紫外可視吸収測定
得られた化合物を0.03g/Lの濃度になるようにクロロホルムに溶解し、紫外・可視分光装置(島津製作所製、「UV−2450」)及び光路長1cmのセルを用いて紫外可視吸収スペクトル測定を行った。
【0118】
実施例1
9−ヒドロキシテトラゾロ[1,5−a]キノリンの合成
【化19】
【0119】
100mLフラスコに8−ヒドロキシキノリン(726mg、5mmol)、臭化ベンジル(1.2モル当量)、炭酸カリウム(1.5モル当量)及びアセトニトリル(30mL)を入れ、還流下、12時間撹拌した。反応終了後、精製して、9−ベンジルオキシインキノリンを1.37g得た。
次いで、メタクロロ過安息香酸(mCPBA)(1.5モル当量)及び無水ジクロロメタン20mL)を入れ、室温で24時間撹拌した。反応終了後、精製して9−ベンジルオキシインキノリン−N−オキシド(白色固体)を1.12g得た(収率75%)。
ねじ口試験管に9−ベンジルオキシインキノリン−N−オキシド(1.12g)、ジフェニルホスホリルアジド(DPPA)(5モル当量)及び無水ピリジン(2モル当量)を入れ、窒素雰囲気下、120℃で24時間撹拌した。反応終了後、精製して9−ベンジルオキシテトラゾロ[1,5−a]キノリン(白色固体)を630mg得た(収率51%)。
さらに、50mLフラスコに9−ベンジルオキシテトラゾロ[1,5−a]キノリン(276mg、1mmol)、エタノール(5mL)を入れ、5%パラジウム炭素触媒(50mg)を入れ、さらに水素ガスを導入して、室温で2時間撹拌した。反応終了後、精製し、9−ヒドロキシテトラゾロ[1,5−a]キノリンを102mg得た(収率55%)。
【0120】
実施例2
6−(4−tert−ブチルフェニル)−9−ヒドロキシテトラゾロ[1,5−a]キノリンの合成
【化20】
【0121】
100mLフラスコに9−ベンジルオキシキノリン1.18g(5mmol)、臭素(1モル当量)、無水クロロホルム(10mL)を入れ、室温で17時間撹拌した。次いで、臭素(1モル当量)を追加し、室温でさらに2時間撹拌した。反応終了後、精製し、6−ブロモ−9−ベンジルオキシキノリンを1.67g得た。
6−ブロモ−9−ベンジルオキシキノリン(630mg、2mmol)、1−tert−ブチル−4−(トリブチルスタンニル)ベンゼン(1.2モル当量)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.1モル当量)及び無水トルエン(5mL)を入れ、マイクロウェーブ反応装置を用いて180℃で10分撹拌した。反応終了後、精製し、6−(4−tert−ブチルフェニル)−9−ベンジルオキシキノリンを780mg得た。
さらに、メタクロロ過安息香酸(mCPBA)(1.5モル当量)及び無水ジクロロメタン(10mL)を入れ、室温で8時間撹拌した。反応終了後、精製して6−(4−tert−ブチルフェニル)−9−ベンジルオキシキノリン−N−オキシドを595mg得た(収率72%)。
ねじ口試験管にジフェニルホスホリルアジド(DPPA)(5モル当量)及び無水ピリジン(2モル当量)を入れ、窒素雰囲気下、120℃で24時間撹拌した。反応液を精製し、6−(4−tert−ブチルフェニル)−9−ベンジルオキシテトラゾロ[1,5−a]キノリンを450mg得た(収率71%)。
さらに100mLフラスコに6−(4−tert−ブチルフェニル)−9−ベンジルオキシテトラゾロ[1,5−a]キノリン(343mg、0.84mmol)、エタノール/酢酸エチル混合溶媒(1:1)(10mL)を入れ、5%パラジウム炭素触媒(50mg)を入れ、さらに水素ガスを導入して、60℃で4時間撹拌した。反応終了後、精製して、6−(4−tert−ブチルフェニル)−9−ヒドロキシテトラゾロ[1,5−a]キノリンを146mg得た(収率55%)。
【0122】
実施例3
6−(4−フェニルフェニル)−9−ヒドロキシテトラゾロ[1,5−a]キノリンの合成
工程(1):1−フェニル−4−(トリブチルスタンニル)ベンゼンの合成
【化21】
【0123】
100mLフラスコに4−ブロモ−1−フェニルベンゼン2.33g(10mmol)を無水テトラヒドロフラン(50mL)に溶解させ、−78℃でn−ブチルリチウム(1.05モル当量)を入れ、1時間撹拌した。次いで、トリブチル錫クロリド(1.1モル当量)を入れ、1時間撹拌した。反応終了後、精製して、1−フェニル−4−(トリブチルスタンニル)ベンゼンを得た。
【0124】
工程(2):6−(4−フェニルフェニル)−9−ヒドロキシテトラゾロ[1,5−a]キノリンの合成
【化22】
【0125】
100mLフラスコに9−ベンジルオキシキノリン1.18g(5mmol)、臭素(1モル当量)、無水クロロホルム(10mL)を入れ、室温で17時間撹拌した。次いで、臭素(1モル当量)を追加し、室温でさらに2時間撹拌した。反応終了後、精製し6−ブロモ−9−ベンジルオキシキノリンを1.67g得た。
6−ブロモ−9−ベンジルオキシキノリン(787mg、2.5mmol)、1−フェニル−4−(トリブチルスタンニル)ベンゼン(1.2モル当量)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.1モル当量)及び無水トルエン(5mL)を入れ、マイクロウェーブ反応装置を用いて180℃で10分撹拌した。反応終了後、精製し、6−(4−フェニルフェニル)−9−ベンジルオキシキノリンを320mg得た。
さらに、メタクロロ過安息香酸(mCPBA)(1.5モル当量)及び無水ジクロロメタン(10mL)を入れ、室温で2日間撹拌した。反応終了後、精製して6−(4−フェニルフェニル)−9−ベンジルオキシキノリン−N−オキシドを180mg得た(収率75%)。
ねじ口試験管にジフェニルホスホリルアジド(DPPA)(5モル当量)及び無水ピリジン(2モル当量)を入れ、窒素雰囲気下、120℃で24時間撹拌した。反応液を精製し、6−(4−フェニルフェニル)−9−ベンジルオキシテトラゾロ[1,5−a]キノリンを109mg得た(収率57%)。
さらに6−(4−フェニルフェニル)−9−ベンジルオキシテトラゾロ[1,5−a]キノリン(109mg)と、テトラヒドロフラン(20mL)を100mLフラスコに入れ、5%パラジウム炭素触媒(30mg)を入れ、さらに水素ガスを導入して、60℃で6時間撹拌した。反応終了後、精製して、6−(4−フェニルフェニル)−9−ヒドロキシテトラゾロ[1,5−a]キノリンを65mg得た(収率77%)。
【0126】
実施例4〜5
4−(2−ヒドロキシフェニル)−テトラゾロ[1,5−a]ピリジンの合成(実施例4)
3−(2−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)−テトラゾロ[1,5−a]ピリジンの合成(実施例5)
工程(1):2−ブロモ−1−ベンジルオキシベンゼンの合成
【化23】
【0127】
200mLフラスコに2−ブロモ−1−ヒドロキシベンゼン2.12g(20mmol)、臭化ベンジル(1.2モル当量)、炭酸カリウム(1.5モル当量)及びアセトニトリル(120mL)を入れ、還流下、一晩撹拌した。反応終了後、精製して、2−ブロモ−1−ベンジルオキシベンゼン5.62gを得た。
【0128】
工程(2):2−ブロモ−1−ベンジルオキシ−4−tert−ブチルベンゼンの合成
【化24】
【0129】
300mLフラスコに1−ヒドロキシ−4−tert−ブチルベンゼン(10g、66.6mmol)を無水クロロホルム(150mL)に溶解させ、0℃で臭素(1モル当量)を入れ、室温で7時間撹拌した。反応終了後、精製し2−ブロモ−1−ヒドロキシ−4−tert−ブチルベンゼンを13.8g得た(収率90%)。
次いで、2−ブロモ−1−ヒドロキシ−4−tert−ブチルベンゼン(2.29g、19mmol)、臭化ベンジル(1.2モル当量)、炭酸カリウム(1.5モル当量)、アセトニトリル60mLを加え、還流下、一晩撹拌した。反応終了後、精製し2−ブロモ−1−ベンジルオキシ−4−tert−ブチルベンゼンを4.33g得た。
【0130】
工程(3):4−(2−ヒドロキシフェニル)−テトラゾロ[1,5−a]ピリジンの合成(実施例4)又は3−(2−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)−テトラゾロ[1,5−a]ピリジンの合成(実施例5)
【化25】
【0131】
50mLフラスコに、2−ブロモ−1−ベンジルオキシベンゼン又は2−ブロモ−1−ベンジルオキシ−4−tert−ブチルベンゼン(5mmol)、マグネシウム(1.2モル当量)、テトラヒドロフラン(5mL)を入れ、還流下、4時間撹拌した。次いで、2−ブロモピリジン(1モル当量)及びジクロロ(1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン)ニッケル(5mmol%)を加え、還流下、10時間撹拌した。反応終了後、精製して、2−(1−ベンジルオキシフェニル)ピリジンを950mg(収率72%)又は2−(1−ベンジルオキシ−4−tert−ブチルフェニル)ピリジンを1.35g(収率85%)得た。
次いで、メタクロロ過安息香酸(1.5モル当量)及び無水ジクロロメタン(10mL)を入れ、室温で19時間撹拌した。反応終了後、精製して、2−(1−ベンジルオキシフェニル)ピリジン−N−オキシドを790mg(収率79%)又は2−(1−ベンジルオキシ−4−tert−ブチルフェニル)ピリジンを1.87g得た。
ねじ口試験管にジフェニルホスホリルアジド(DPPA)(5モル当量)、無水ピリジン(2モル当量)を入れ、窒素雰囲気下、120℃で24時間撹拌した。反応終了後、精製して、4−(2−ベンジルオキシフェニル)−テトラゾロ[1,5−a]ピリジンを850mg(収率98%)又は3−(2−ベンジルオキシ−5−tert−ブチルフェニル)−テトラゾロ[1,5−a]ピリジンを863mg(収率57%)得た。
さらに50mLフラスコに4−(2−ベンジルオキシフェニル)−テトラゾロ[1,5−a]ピリジン(850mg)又は3−(2−ベンジルオキシ−5−tert−ブチルフェニル)−テトラゾロ[1,5−a]ピリジン(863mg)、エタノール/酢酸エチル混合溶媒(1:1)(30mL)を入れ、5%パラジウム炭素触媒(100mg)を入れ、さらに水素ガスを導入して、60℃で4時間撹拌した。反応終了後、精製して、4−(2−ヒドロキシフェニル)−テトラゾロ[1,5−a]ピリジンを530mg(収率85%)又は3−(2−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)−テトラゾロ[1,5−a]ピリジンを642mg得た(収率99%)。
【0132】
比較例1
2−(2−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾールを比較例の化合物とした。
【0133】
実施例6
6−[4−(4’−tert−ブチル)ビフェニル]−9−ヒドロキシテトラゾロ[1,5−a]キノリンの合成
100mLフラスコに9−ベンジルオキシキノリン1.18g(5mmol)、臭素(1モル当量)、無水クロロホルム(10mL)を入れ、室温で17時間撹拌した。次いで、臭素(1モル当量)を追加し、室温でさらに2時間撹拌した。反応終了後、精製し6−ブロモ−9−ベンジルオキシキノリンを1.67g得た。
6−ブロモ−9−ベンジルオキシキノリン(630mg、2.0mmol)、4−tert−ブチル−4’−(トリブチルスタンニル)ビフェニル(1.2モル当量)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.1モル当量)及び無水トルエン(5mL)を入れ、マイクロウェーブ反応装置を用いて180℃で20分撹拌した。反応終了後、精製し、6−[4−(4’−tert−ブチル)ビフェニル]−9−ベンジルオキシキノリンを983mg得た。
さらに、メタクロロ過安息香酸(mCPBA)(1.5モル当量)及び無水ジクロロメタン(10mL)を入れ、室温で12時間撹拌した。反応終了後、精製して6−[4−(4’−tert−ブチル)ビフェニル]−9−ベンジルオキシキノリン−N−オキシドを552mg得た(収率60%)。
ねじ口試験管にジフェニルホスホリルアジド(DPPA)(5モル当量)及び無水ピリジン(2モル当量)を入れ、窒素雰囲気下、120℃で24時間撹拌した。反応液を精製し、6−[4−(4’−tert−ブチル)ビフェニル]−9−ベンジルオキシテトラゾロ[1,5−a]キノリンを121mg得た(収率17%)。
さらに6−[4−(4’−tert−ブチル)ビフェニル]−9−ベンジルオキシテトラゾロ[1,5−a]キノリン(121mg)と、テトラヒドロフラン(20mL)エタノール(10mL)を100mLフラスコに入れ、10%パラジウム炭素触媒(100mg)を入れ、さらに水素ガスを導入して、60℃で2時間撹拌した。反応終了後、精製して、6−[4−(4’−tert−ブチル)ビフェニル]−9−ヒドロキシテトラゾロ[1,5−a]キノリンを91mg得た(収率92%)。
【0134】
実施例2、5、6の化合物について、それぞれ、熱重量分析測定を行ったところ、分解温度は、実施例2の化合物では207℃、実施例5の化合物では217℃であり、実施例6の化合物では205℃であり、良好な耐熱性を有することが明らかになった。