特許第6957424号(P6957424)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6957424内視鏡の制御装置、内視鏡装置、内視鏡の状態識別方法、内視鏡の状態識別プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6957424
(24)【登録日】2021年10月8日
(45)【発行日】2021年11月2日
(54)【発明の名称】内視鏡の制御装置、内視鏡装置、内視鏡の状態識別方法、内視鏡の状態識別プログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/045 20060101AFI20211021BHJP
【FI】
   A61B1/045 610
   A61B1/045 640
   A61B1/045 618
【請求項の数】6
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2018-153132(P2018-153132)
(22)【出願日】2018年8月16日
(65)【公開番号】特開2020-25800(P2020-25800A)
(43)【公開日】2020年2月20日
【審査請求日】2020年8月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002505
【氏名又は名称】特許業務法人航栄特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加賀谷 淳
【審査官】 姫島 あや乃
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−029831(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/045
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内視鏡の制御装置であって、
前記制御装置を収容する収容部には、前記内視鏡を保持するための内視鏡保持部が設けられており、
前記内視鏡の先端部が前記収容部を支える床に対向する状態にて、前記内視鏡を前記内視鏡保持部で保持した場合に、前記収容部の一部は、前記内視鏡に含まれる撮像素子の撮像範囲内に存在し、
前記収容部の一部にはマークが配置され、
前記制御装置が、
前記撮像素子から出力された撮像画像信号を取得し、前記撮像画像信号から前記マークのパターンを検出するパターン検出部と、
前記パターンが検出された場合には前記内視鏡が未使用状態にあることを認識し、前記パターンが非検出の場合には前記内視鏡が使用状態にあることを認識する状態識別部と、を備える内視鏡の制御装置。
【請求項2】
内視鏡の制御装置であって、
前記制御装置収容する収容部には、前記内視鏡を保持するための内視鏡保持部が設けられており、
前記内視鏡の先端部が前記収容部を支える床に対向する状態にて、前記内視鏡を前記内視鏡保持部で保持した場合に、前記収容部の一部は、前記内視鏡に含まれる撮像素子の撮像範囲内に存在し、
前記制御装置が、
前記撮像素子から出力された撮像画像信号を取得し、前記撮像画像信号から前記収容部の一部の構造パターンを検出するパターン検出部と
前記構造パターンが検出された場合には前記内視鏡が未使用状態にあることを認識し、前記構造パターンが非検出の場合には前記内視鏡が使用状態にあることを認識する状態識別部と、を備える内視鏡の制御装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の内視鏡の制御装置と、
前記制御装置によって制御される内視鏡と、を備える内視鏡装置。
【請求項4】
内視鏡の状態識別方法であって、
前記内視鏡の制御装置を収容する収容部に、前記内視鏡を保持するための内視鏡保持部を設け、
前記内視鏡の先端部が前記収容部を支える床に対向する状態にて、前記内視鏡を前記内視鏡保持部で保持した場合に、前記収容部の一部が、前記内視鏡に含まれる撮像素子の撮像範囲内に存在するように設定して、前記収容部の一部にマークを配置し、
前記撮像素子から出力された撮像画像信号を取得し、前記撮像画像信号から前記マークのパターンを検出するパターン検出ステップと、
前記パターンが検出された場合には前記内視鏡が未使用状態にあることを認識し、前記パターンが非検出の場合には前記内視鏡が使用状態にあることを認識する状態識別ステップと、を備える内視鏡の状態識別方法。
【請求項5】
内視鏡の状態識別方法であって、
前記内視鏡の制御装置収容する収容部に、前記内視鏡を保持するための内視鏡保持部を設け、
前記内視鏡の先端部が前記収容部を支える床に対向する状態にて、前記内視鏡を前記内視鏡保持部で保持した場合に、前記収容部の一部が、前記内視鏡に含まれる撮像素子の撮像範囲内に存在するように設定し、
前記撮像素子から出力された撮像画像信号を取得し、前記撮像画像信号から前記収容部の一部の構造パターンを検出するパターン検出ステップと、
前記構造パターンが検出された場合には前記内視鏡が未使用状態にあることを認識し、前記構造パターンが非検出の場合には前記内視鏡が使用状態にあることを認識する状態識別ステップと、を備える内視鏡の状態識別方法。
【請求項6】
内視鏡の状態識別方法を実行する内視鏡の状態識別プログラムであって、
前記内視鏡の制御装置を収容する収容部に、前記内視鏡を保持するための内視鏡保持部を設け、
前記内視鏡の先端部が前記収容部を支える床に対向する状態にて、前記内視鏡を前記内視鏡保持部で保持した場合に、前記収容部の一部が、前記内視鏡に含まれる撮像素子の撮像範囲内に存在するように設定して、前記収容部の一部にマークを配置し、
コンピュータに、
前記撮像素子から出力された撮像画像信号を取得し、前記撮像画像信号から前記マークのパターンを検出するパターン検出ステップと、
前記パターンが検出された場合には前記内視鏡が未使用状態にあることを認識し、前記パターンが非検出の場合には前記内視鏡が使用状態にあることを認識する状態識別ステップと、実行させるための内視鏡の状態識別プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡の制御装置、内視鏡装置、内視鏡の状態識別方法、内視鏡の状態識別プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
内視鏡装置には、発熱の抑制又は装置寿命の向上等の様々な目的のために、内視鏡が使用状態である場合と未使用状態である場合のどちらであるかを識別する機能を持つもの(例えば特許文献1,2参照)、又は、体腔内に内視鏡が挿入されている挿入状態と、体腔内に内視鏡が挿入されていない非挿入状態とのどちらであるかを識別する機能を持つもの(例えば、特許文献3参照)が知られている。
【0003】
特許文献1には、内視鏡が未使用状態にあることを認識すると、光源を自動的に消灯する内視鏡装置が記載されている。この内視鏡装置は、内視鏡の撮像素子によって連続して撮像される撮像画像の変化状況に基づいて、使用状態と未使用状態との識別を行っている。具体的には、この内視鏡装置は、撮像画像の変化が少ない場合に、内視鏡が未使用状態であると認識している。
【0004】
特許文献2には、器具が未使用状態であることを認識すると、器具の使用中において加熱される少なくとも1つのコンポーネントを出力削減させることで、発熱を抑制する内視鏡器具が記載されている。この内視鏡器具では、内部に設けられた位置センサ又は加速度センサによって器具の動きを検出し、その動きの有無によって、使用状態と未使用状態との識別を行っている。
【0005】
特許文献3には、内視鏡が非挿入状態であると認識すると、内視鏡のライトガイドから出射される照明光の光量を下げる内視鏡装置が記載されている。この内視鏡装置では、内視鏡の撮像素子によって撮像される撮像画像の輝度分布によって、非挿入状態と挿入状態との識別を行っている。具体的には、この内視鏡装置は、撮像画像の輝度分布の変化率が高い場合に非挿入状態であると認識している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平01−303122号公報
【特許文献2】特開2011−072781号公報
【特許文献3】特開2000−189383号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載されているように、撮像画像の変化が少ない場合に内視鏡が未使用状態であると認識する方法では、例えば、内視鏡が未使用状態にて所定の場所に載置されていて、その場所の明るさが変動したり、その場所の近傍を人が通過して撮像画像に人が写り込んだりした場合等に、内視鏡が使用状態であると誤認識される可能性がある。
【0008】
特許文献2に記載された方法では、内視鏡器具の内部に物理的なセンサを設ける必要があり、内視鏡器具の製造コストが増大する。また、既に発売済みの器具に対しては、ソフトウェアバージョンアップのような簡易的な仕組みでは対応することができない。
【0009】
特許文献3に記載された内視鏡装置では、内視鏡が非挿入状態であることは認識できても、検査開始直前又は検査終了直後等のように内視鏡が手で把持されていて使用されている使用状態の場合と、内視鏡が把持されておらず、内視鏡が所定の場所に載置されていて待機中となっている未使用状態の場合とを区別することはできない。また、撮像画像の輝度分布の変化率が高い場合に非挿入状態であると認識する方法では、内視鏡が所定の場所に載置されていて未使用状態にあり、その場所の明るさの変動が少ない場合に、内視鏡が挿入状態(使用状態)であると誤認識されてしまう可能性がある。
【0010】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、内視鏡の製造コストの増大を防ぎながら、内視鏡が使用状態と未使用状態のどちらにあるのかを識別することのできる内視鏡の制御装置、内視鏡装置、内視鏡の状態識別方法、及び内視鏡の状態識別プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の内視鏡の制御装置は、上記制御装置を収容する収容部には、上記内視鏡を保持するための内視鏡保持部が設けられており、上記内視鏡の先端部が上記収容部を支える床に対向する状態にて、上記内視鏡を上記内視鏡保持部で保持した場合に、上記収容部の一部は、上記内視鏡に含まれる撮像素子の撮像範囲内に存在し、上記収容部の一部にはマークが配置され、上記制御装置が、上記撮像素子から出力された撮像画像信号を取得し、上記撮像画像信号から上記マークのパターンを検出するパターン検出部と、上記パターンが検出された場合には上記内視鏡が未使用状態にあることを認識し、上記パターンが非検出の場合には上記内視鏡が使用状態にあることを認識する状態識別部と、を備えるものである。
また、上記制御装置を収容する収容部には、上記内視鏡を保持するための内視鏡保持部が設けられており、上記内視鏡の先端部が上記収容部を支える床に対向する状態にて、上記内視鏡を上記内視鏡保持部で保持した場合に、上記収容部の一部は、上記内視鏡に含まれる撮像素子の撮像範囲内に存在し、上記制御装置が、上記撮像素子から出力された撮像画像信号を取得し、上記撮像画像信号から上記収容部の一部の構造パターンを検出するパターン検出部と上記構造パターンが検出された場合には上記内視鏡が未使用状態にあることを認識し、上記構造パターンが非検出の場合には上記内視鏡が使用状態にあることを認識する状態識別部と、を備えるものである。
【0012】
本発明の内視鏡装置は、上記制御装置と、上記制御装置によって制御される内視鏡と、を備えるものである。
【0013】
本発明の内視鏡の状態識別方法は、上記内視鏡の制御装置を収容する収容部に、上記内視鏡を保持するための内視鏡保持部を設け、上記内視鏡の先端部が上記収容部を支える床に対向する状態にて、上記内視鏡を上記内視鏡保持部で保持した場合に、上記収容部の一部が、上記内視鏡に含まれる撮像素子の撮像範囲内に存在するように設定して、上記収容部の一部にマークを配置し、上記撮像素子から出力された撮像画像信号を取得し、上記撮像画像信号から上記マークのパターンを検出するパターン検出ステップと、上記パターンが検出された場合には上記内視鏡が未使用状態にあることを認識し、上記パターンが非検出の場合には上記内視鏡が使用状態にあることを認識する状態識別ステップと、を備えるものである。
また、上記内視鏡の制御装置を収容する収容部に、上記内視鏡を保持するための内視鏡保持部を設け、上記内視鏡の先端部が上記収容部を支える床に対向する状態にて、上記内視鏡を上記内視鏡保持部で保持した場合に、上記収容部の一部が、上記内視鏡に含まれる撮像素子の撮像範囲内に存在するように設定し、上記撮像素子から出力された撮像画像信号を取得し、上記撮像画像信号から上記収容部の一部の構造パターンを検出するパターン検出ステップと、上記構造パターンが検出された場合には上記内視鏡が未使用状態にあることを認識し、上記構造パターンが非検出の場合には上記内視鏡が使用状態にあることを認識する状態識別ステップと、を備えるものである。
【0014】
本発明の内視鏡の状態識別プログラムは、上記内視鏡の制御装置を収容する収容部に、上記内視鏡を保持するための内視鏡保持部を設け、上記内視鏡の先端部が上記収容部を支える床に対向する状態にて、上記内視鏡を上記内視鏡保持部で保持した場合に、上記収容部の一部が、上記内視鏡に含まれる撮像素子の撮像範囲内に存在するように設定して、上記収容部の一部にマークを配置し、コンピュータに、上記撮像素子から出力された撮像画像信号を取得して、上記撮像画像信号から上記マークのパターンを検出するパターン検出ステップと、上記パターンが検出された場合には上記内視鏡が未使用状態にあることを認識し、上記パターンが非検出の場合には上記内視鏡が使用状態にあることを認識する状態識別ステップと、を実行させるためのものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、内視鏡の製造コストの増大を防ぎながら、内視鏡が使用状態と未使用状態のどちらにあるのかを識別することのできる内視鏡の制御装置、内視鏡装置、内視鏡の状態識別方法、及び内視鏡の状態識別プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の内視鏡装置の一実施形態である内視鏡装置100の概略構成を示す図である。
図2図1に示す内視鏡装置100における内視鏡1の概略構成を示す模式図である。
図3図1に示す内視鏡装置100の内部構成を示す模式図である。
図4図3に示すプロセッサ装置4のシステム制御部44の機能ブロックを示す図である。
図5】内視鏡1が内視鏡保持部32に保持された状態における撮像素子23の撮像範囲の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0018】
図1は、本発明の内視鏡装置の一実施形態である内視鏡装置100の概略構成を示す図である。図2は、図1に示す内視鏡装置100における内視鏡1の概略構成を示す模式図である。
【0019】
図1に示すように、内視鏡装置100は、内視鏡1と、この内視鏡1を制御する制御装置2と、を備える。制御装置2は、プロセッサ装置4と、光源装置5と、を備える。
【0020】
プロセッサ装置4には、撮像画像等を表示する表示部7と、プロセッサ装置4に対して各種情報を入力するためのインタフェースである入力部6と、が接続されている。プロセッサ装置4は、内視鏡1、光源装置5、及び表示部7を制御する。
【0021】
図1及び図2に示すように、内視鏡1は、一方向に延びる管状部材であって体腔内に挿入される挿入部10と、挿入部10の基端部に設けられた観察モード切替操作、撮影記録操作、鉗子操作、送気送水操作、吸引操作、及び電気メス操作等を行うための操作部材が設けられた操作部11と、操作部11に隣接して設けられたアングルノブ12と、内視鏡1を光源装置5とプロセッサ装置4にそれぞれ着脱自在に接続するコネクタ部13A,13Bを含むユニバーサルコード13と、を備える。
【0022】
図2では省略されているが、操作部11及び挿入部10の内部には、細胞又はポリープ等の生体組織を採取するための採取器具である生検鉗子を挿入する鉗子孔、電気メスを格納する格納孔、送気及び送水用のチャンネル、吸引用のチャンネル等の各種のチャンネルが設けられる。
【0023】
挿入部10は、可撓性を有する軟性部10Aと、軟性部10Aの先端に設けられた湾曲部10Bと、湾曲部10Bの先端に設けられた硬質の先端部10Cとから構成される。
【0024】
湾曲部10Bは、アングルノブ12の回動操作により湾曲自在に構成されている。この湾曲部10Bは、内視鏡1が使用される被検体の部位等に応じて、任意の方向及び任意の角度に湾曲でき、先端部10Cを所望の方向に向けることができる。
【0025】
図1に示すように、制御装置2、入力部6、及び表示部7は、下部の基台33にキャスタ31が設けられたカート部3に収容される。カート部3は、制御装置2を収容する収容部を構成する。
【0026】
カート部3には、内視鏡1の操作部11を懸架して内視鏡1を保持するための内視鏡保持部32が設けられている。内視鏡保持部32に保持された状態の内視鏡1は、挿入部10が常に同じ位置で垂下する。この状態においては、内視鏡1の先端部10Cは、カート部3が設置されている内視鏡検査室の床に対向した状態となる。
【0027】
カート部3の基台33は、内視鏡保持部32に保持された内視鏡1の先端部10Cよりも床側に位置している。カート部3の基台33には、後述する内視鏡1の状態識別に用いるためのマーカMが設置されている。マーカMは、任意のマークが印字されたシール、又は、任意のマークが印字されたクリップ等によって構成されている。このマークは、挿入部10が挿入される被検体の体腔内には存在し得ないない形状とされる。
【0028】
図3は、図1に示す内視鏡装置100の内部構成を示す模式図である。
【0029】
光源装置5は、光源制御部51と、光源部52と、を備える。
【0030】
光源部52は、被写体に照射するための照明光を発生させるものである。光源部52から出射された照明光は、ユニバーサルコード13に内蔵されたライトガイド20に入射し、挿入部10の先端部10Cに設けられた照明用レンズ20aを通って被写体に照射される。
【0031】
光源部52としては、白色光を出射する白色光源、又は、白色光源とその他の色の光を出射する光源(例えば青色光を出射する青色光源)を含む複数の光源等が用いられる。先端部10Cの先端面には、光源部52から出射させる光の種類に合わせて照明用レンズ20aが複数設けられていてもよい。
【0032】
光源制御部51は、プログラムを実行して処理を行う各種のプロセッサにより構成されており、プロセッサ装置4のシステム制御部44と接続されている。光源制御部51は、システム制御部44からの指令に基づいて光源部52を制御する。
【0033】
内視鏡1の先端部10Cには、対物レンズ21及びレンズ群22を含む撮像光学系と、この撮像光学系を通して被写体を撮像する撮像素子23と、光源部52から出射された照明光を照明用レンズ20aに導くためのライトガイド20と、が設けられている。
【0034】
ライトガイド20は、先端部10Cからユニバーサルコード13のコネクタ部13Aまで延びている。ユニバーサルコード13のコネクタ部13Aが光源装置5に接続された状態で、光源装置5の光源部52から出射される照明光がライトガイド20に入射可能な状態となる。
【0035】
撮像素子23は、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサ又はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサ等が用いられる。
【0036】
撮像素子23は、複数の画素が二次元状に配置された受光面を有し、上記の撮像光学系によってこの受光面に結像された光学像を各画素において電気信号(撮像信号)に変換して出力する。撮像素子23は、例えば原色又は補色等のカラーフィルタを搭載するものが用いられる。撮像素子23の受光面の各画素から出力される撮像信号の集合を撮像画像信号という。
【0037】
なお、光源部52として、白色光源から出射される白色光を複数色のカラーフィルタによって時分割で分光して照明光を生成するものを用いる場合には、撮像素子23はカラーフィルタを搭載していないものを用いてもよい。
【0038】
ユニバーサルコード13のコネクタ部13Bの内部には内視鏡制御部26が設けられている。内視鏡制御部26は、プログラムを実行して処理を行う各種のプロセッサにより構成される。内視鏡制御部26は、コネクタ部13Bの内部の配線によってプロセッサ装置4のシステム制御部44と接続されている。内視鏡制御部26は、システム制御部44からの指令に基づいて、撮像素子23を制御する。図1に示した操作部11の操作(例えば、静止画記録のための撮影操作等)に応じた信号は、内視鏡制御部26に入力される。
【0039】
プロセッサ装置4は、信号処理部42と、表示制御部43と、システム制御部44と、を備える。
【0040】
信号処理部42は、撮像素子23から出力されて伝送されてきた撮像画像信号を受信して処理することで、撮像画像データを生成する。信号処理部42によって生成された撮像画像データは、図示省略のハードディスク又はフラッシュメモリ等の記録媒体に記録される。
【0041】
表示制御部43は、信号処理部42によって生成された撮像画像データに基づく撮像画像を表示部7に表示させる。
【0042】
システム制御部44は、プロセッサ装置4の各部を制御すると共に、内視鏡1の内視鏡制御部26と光源装置5の光源制御部51とに指令を送り、内視鏡装置100の全体を統括制御する。システム制御部44は、内視鏡制御部26を介して撮像素子23の制御を行い、光源制御部51を介して光源部52の制御を行う。
【0043】
システム制御部44は、プログラムを実行して処理を行う各種のプロセッサと、RAM(Ramdom Access Memory)と、ROM(Read Only Memory)を含む。
【0044】
本明細書における各種のプロセッサとしては、プログラムを実行して各種処理を行う汎用的なプロセッサであるCPU(Central Prosessing Unit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の製造後に回路構成を変更可能なプロセッサであるプログラマブルロジックデバイス(Programmable Logic Device:PLD)、又はASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等が含まれる。
【0045】
これら各種のプロセッサの構造は、より具体的には、半導体素子等の回路素子を組み合わせた電気回路である。
【0046】
システム制御部44は、各種のプロセッサのうちの1つで構成されてもよいし、同種又は異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGAの組み合わせ又はCPUとFPGAの組み合わせ)で構成されてもよい。
【0047】
図4は、図3に示すプロセッサ装置4のシステム制御部44の機能ブロックを示す図である。
【0048】
システム制御部44のプロセッサは、システム制御部44に内蔵されるROMに格納されたプログラム(内視鏡の状態識別プログラムを含むプログラム)を実行することにより、パターン検出部44A、状態識別部44B、及び制御部44Cとして機能する。
【0049】
パターン検出部44Aは、撮像素子23から出力された撮像画像信号を取得し、取得した撮像画像信号から予め決められたパターンを検出する。
【0050】
内視鏡装置100は、図1に示したマーカMを、内視鏡1が内視鏡保持部32に保持された状態における撮像素子23の撮像範囲内に配置して使用することを前提としている。マーカMの配置位置は、内視鏡1が内視鏡保持部32に保持された状態における撮像素子23の撮像範囲内であれば任意である。
【0051】
図5は、内視鏡1が内視鏡保持部32に保持された状態における撮像素子23の撮像範囲の一例を示す図である。図5に示すように、撮像範囲には、カート部3の一部(基台33の一部、及び基台33に立設された立設部34の一部)と、カート部3が設置されている床FLの一部と、が存在している。カート部3と床FLは撮像範囲内にある物体を構成する。
【0052】
図1及び図5には、この撮像範囲内にあるカート部3の基台33にマーカMを配置する例を示している。マーカMは、この撮像範囲にある床FL、例えば先端部10Cと対向する床FLの位置に配置するものとしてもよい。
【0053】
パターン検出部44Aは、上記のパターンとして、マーカMに印字されているマークの形状を、撮像画像信号から検出する。例えば、マーカMに印字されているマークの画像をテンプレート画像としてシステム制御部44のROMに保存しておく。そして、パターン検出部44Aは、撮像画像信号からこのテンプレート画像を用いたパターンマッチングを行うことで、上記のパターンの有無を判定する。
【0054】
状態識別部44Bは、パターン検出部44Aによって上記のパターンが検出された場合には、内視鏡1が未使用状態(使用されていない状態)にあることを認識し、パターン検出部44Aによって上記のパターンが非検出となった場合には、内視鏡1が使用状態(使用されている状態)にあることを認識する。
【0055】
内視鏡1が使用されている状態とは、内視鏡1が内視鏡保持部32から取り外されて、使用者によって動かされている状態を言う。内視鏡1が使用されていない状態とは、内視鏡1が内視鏡保持部32に懸架されて、使用者によって動かされていない状態を言う。
【0056】
制御部44Cは、状態識別部44Bによって内視鏡1が未使用状態にあると認識されている状態から、状態識別部44Bによって内視鏡1が使用状態にあると認識された状態に変化した場合には、以下の(A)〜(G)に例示される各種の制御の少なくとも1つを実行する。
【0057】
(A)光源部52から照明光の出射を開始させる。
(B)撮像素子23が撮像している動画の記録を開始する。
(C)内視鏡検査を行う際に記録すべき各種の時間をカウントするタイマを始動させる。
(D)検査室の照明を遠隔にて制御できる場合には、この照明を暗くする。
(E)コロンナビゲーションシステムが使用される検査の場合には、コロンナビゲーションシステムの磁界駆動を開始させる。
(F)検査前の最終確認のために、表示部7に被検査者の情報を表示させる。
(G)送水又は送気用のポンプを始動させる。
【0058】
制御部44Cは、例えば、操作部11に設けられたボタン操作が使用者によって行われることで、上記(A)〜(G)に示す各種制御を終了させてもよいが、状態識別部44Bによって内視鏡1が使用状態にあると認識されている状態から、状態識別部44Bによって内視鏡1が未使用状態にあると認識された状態に変化した場合に、上記(A)〜(G)に示す各種制御を終了させてもよい。
【0059】
以上のように、内視鏡装置100によれば、撮像素子23から出力される撮像画像信号から上記のパターンを検出し、このパターンの有無によって、内視鏡1が使用状態と未使用状態のどちらにあるのかを識別することができる。撮像画像信号の輝度分布等の画像特性を示すパラメータを用いて使用状態と未使用状態の識別を行うのではなく、パターンの検出によって使用状態と未使用状態の識別を行うことで、内視鏡装置100が置かれている環境に左右されることなく、使用状態と未使用状態の識別を精度よく行うことができる。
【0060】
また、内視鏡装置100によれば、市場に出荷されてしまった発売済みの内視鏡1であっても、図1及び図5に例示したマーカMをカート部3に設置し、システム制御部44のファームウェアをアップデートするだけで、その内視鏡1の使用状態と未使用状態の識別を行うことが可能になる。このため、既存の内視鏡1を用いた汎用性の高いシステム構築が可能となる。また、新たな内視鏡1を販売する場合においても、内視鏡1に特別な機構は不要となり、内視鏡1の製造コスト増大を防ぐことができる。
【0061】
また、内視鏡装置100では、マーカMがカート部3に設置されて使用される。このため、カート部3が別の場所に移動された場合であっても、マーカMの位置を変えることなく、内視鏡1の使用状態と未使用状態の識別を行うことができる。
【0062】
以上の説明では、図5に示す撮像範囲にマーカMが1つ含まれるようマーカMを設置するものとしたが、この撮像範囲にマーカMが複数存在するよう、マーカMを設置してもよい。
【0063】
例えば、撮像範囲内にある基台33と床FLとにそれぞれマーカMを設置したり、撮像範囲内にある基台33に2つのマーカMを設置したりしてもよい。この場合には、パターン検出部44Aが、撮像画像信号から、これら2つのマーカMに印字された各マークの検出を行う。そして、この2つのマークが全て検出された場合に、状態識別部44Bは、内視鏡1が未使用状態にあると認識すればよい。上記の撮像範囲内にマーカMを複数設置することで、内視鏡1が未使用状態にあることをより高い精度にて認識することができる。
【0064】
また、以上の説明では、パターン検出部44Aが、マーカMに印字されたマークを上記のパターンとして検出するものとしたが、検出対象とするパターンはこのマークに限らない。
【0065】
例えば、図5に示した撮像範囲にあるカート部3(基台33の一部と立設部34の一部)の形状を、上記のパターンとしてもよい。この構成によれば、マーカMが不要となり、マーカMの製造コスト及び配送コスト等を削減することができる。また、この構成によれば、カート部3が別の場所に移動された場合であっても、内視鏡1の使用状態と未使用状態の識別を行うことができる。
【0066】
また、図5に示した撮像範囲にあるカート部3の形状と、マーカMに印字されたマークとの両方を、上記のパターンとしてもよい。このようにすることで、内視鏡1が未使用状態にあることをより高い精度にて認識することができる。
【0067】
ここまで説明してきた内視鏡装置100は、軟性型の内視鏡1を用いるものとしたが、硬性鏡を用いる内視鏡装置にも本発明は同様に適用可能である。
【0068】
以上説明してきたように、本明細書には以下の事項が開示されている。
【0069】
(1)
内視鏡の制御装置であって、
上記内視鏡に含まれる撮像素子から出力された撮像画像信号を取得し、上記撮像画像信号から予め決められたパターンを検出するパターン検出部と、
上記パターンが検出された場合には上記内視鏡が未使用状態にあることを認識し、上記パターンが非検出の場合には上記内視鏡が使用状態にあることを認識する状態識別部と、を備える内視鏡の制御装置。
【0070】
(2)
(1)記載の内視鏡の制御装置であって、
上記パターンは、上記制御装置が収容される収容部に設けられた内視鏡を保持するための内視鏡保持部に上記内視鏡が保持された状態における上記撮像素子の撮像範囲内に存在する物体に配置されるマークの形状である内視鏡の制御装置。
【0071】
(3)
(2)記載の内視鏡の制御装置であって、
上記物体は、上記収容部の一部である内視鏡の制御装置。
【0072】
(4)
(2)又は(3)記載の内視鏡の制御装置であって、
上記物体は、上記収容部の設置されている床である内視鏡の制御装置。
【0073】
(5)
(1)記載の内視鏡の制御装置であって、
上記パターンは、上記制御装置が収容される収容部に設けられた内視鏡を保持するための内視鏡保持部に上記内視鏡が保持された状態における上記撮像素子の撮像範囲内に存在する上記収容部の形状である内視鏡の制御装置。
【0074】
(6)
(1)記載の内視鏡の制御装置であって、
上記パターンは、上記制御装置が収容される収容部に設けられた内視鏡を保持するための内視鏡保持部に上記内視鏡が保持された状態における上記撮像素子の撮像範囲内に存在する物体に配置されるマークの形状と、上記撮像範囲内に存在する上記収容部の形状である内視鏡の制御装置。
【0075】
(7)
(1)から(6)のいずれか1つに記載の内視鏡の制御装置と、
上記制御装置によって制御される内視鏡と、を備える内視鏡装置。
【0076】
(8)
内視鏡の状態識別方法であって、
上記内視鏡に含まれる撮像素子から出力された撮像画像信号を取得し、上記撮像画像信号から予め決められたパターンを検出するパターン検出ステップと、
上記パターンが検出された場合には上記内視鏡が未使用状態にあることを認識し、上記パターンが非検出の場合には上記内視鏡が使用状態にあることを認識する状態識別ステップと、を備える内視鏡の状態識別方法。
【0077】
(9)
(8)記載の内視鏡の状態識別方法であって、
上記パターンは、上記内視鏡を制御する制御装置が収容される収容部に設けられた内視鏡を保持するための内視鏡保持部に上記内視鏡が保持された状態における上記撮像素子の撮像範囲内に存在する物体に配置されるマークの形状である内視鏡の状態識別方法。
【0078】
(10)
(9)記載の内視鏡の状態識別方法であって、
上記物体は、上記収容部の一部である内視鏡の状態識別方法。
【0079】
(11)
(9)又は(10)記載の内視鏡の状態識別方法であって、
上記物体は、上記収容部の設置されている床である内視鏡の状態識別方法。
【0080】
(12)
(8)記載の内視鏡の状態識別方法であって、
上記パターンは、上記内視鏡を制御する制御装置が収容される収容部に設けられた内視鏡を保持するための内視鏡保持部に上記内視鏡が保持された状態における上記撮像素子の撮像範囲内に存在する上記収容部の形状である内視鏡の状態識別方法。
【0081】
(13)
(8)記載の内視鏡の状態識別方法であって、
上記パターンは、上記内視鏡を制御する制御装置が収容される収容部に設けられた内視鏡を保持するための内視鏡保持部に上記内視鏡が保持された状態における上記撮像素子の撮像範囲内に存在する物体に配置されるマークの形状と、上記撮像範囲内に存在する上記収容部の形状である内視鏡の状態識別方法。
【0082】
(14)
内視鏡に含まれる撮像素子から出力された撮像画像信号を取得し、上記撮像画像信号から予め決められたパターンを検出するパターン検出ステップと、
上記パターンが検出された場合には上記内視鏡が未使用状態にあることを認識し、上記パターンが非検出の場合には上記内視鏡が使用状態にあることを認識する状態識別ステップと、をコンピュータに実行させるための内視鏡の状態識別プログラム。
【符号の説明】
【0083】
100 内視鏡装置
1 内視鏡
2 制御装置
20 ライトガイド
20a 照明用レンズ
21 対物レンズ
22 レンズ群
23 撮像素子
26 内視鏡制御部
3 カート部
32 内視鏡保持部
33 基台
34 立設部
4 プロセッサ装置
42 信号処理部
43 表示制御部
44 システム制御部
44A パターン検出部
44B 状態識別部
44C 制御部
5 光源装置
51 光源制御部
52 光源部
6 入力部
7 表示部
10 挿入部
10A 軟性部
10B 湾曲部
10C 先端部
11 操作部
12 アングルノブ
13 ユニバーサルコード
13A,13B コネクタ部
M マーカ
FL 床
図1
図2
図3
図4
図5