特許第6958039号(P6958039)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6958039レジスト膜形成方法および積層体の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6958039
(24)【登録日】2021年10月11日
(45)【発行日】2021年11月2日
(54)【発明の名称】レジスト膜形成方法および積層体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/38 20060101AFI20211021BHJP
   G03F 7/039 20060101ALI20211021BHJP
【FI】
   G03F7/38 501
   G03F7/039 501
【請求項の数】9
【全頁数】48
(21)【出願番号】特願2017-133146(P2017-133146)
(22)【出願日】2017年7月6日
(65)【公開番号】特開2019-15859(P2019-15859A)
(43)【公開日】2019年1月31日
【審査請求日】2020年5月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000229117
【氏名又は名称】日本ゼオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100150360
【弁理士】
【氏名又は名称】寺嶋 勇太
(74)【代理人】
【識別番号】100136858
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 浩
(72)【発明者】
【氏名】星野 学
【審査官】 塚田 剛士
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭61−170735(JP,A)
【文献】 特開昭57−118243(JP,A)
【文献】 特開平02−115852(JP,A)
【文献】 国際公開第99/062964(WO,A1)
【文献】 特開2016−012104(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/00 − 7/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
重合体と溶剤とを含むポジ型レジスト組成物を用いてレジスト膜を形成するレジスト膜形成方法であって、
前記ポジ型レジスト組成物を被加工物上に塗布する塗布工程と、
前記塗布されたポジ型レジスト組成物を加熱するプリベーク工程と、
を含み、
前記重合体は、
下記一般式(I):
【化1】
(式(I)中、Rは、塩素原子、フッ素原子またはフッ素原子で置換されたアルキル基であり、Rは、ペンタフルオロアルキル基であり、RおよびRは、水素原子、フッ素原子、非置換のアルキル基またはフッ素原子で置換されたアルキル基であり、互いに同一でも異なっていてもよい。)
で表される単量体単位(A)と、
下記一般式(II):
【化2】
(式(II)中、R、R、RおよびRは、水素原子、フッ素原子、非置換のアルキル基またはフッ素原子で置換されたアルキル基であり、互いに同一でも異なっていてもよく、Rは、水素原子、非置換のアルキル基またはフッ素原子で置換されたアルキル基であり、pおよびqは、0以上5以下の整数であり、p+q=5である。)
で表される単量体単位(B)とを有し、
前記プリベーク工程における加熱を、下記式(1)を満たす温度T(℃)および時間t(分間)で行う、レジスト膜形成方法。
(−8/15)×T+262/3<t<(−8/15)×T+326/3・・・(1)
【請求項2】
前記時間が1分間以上30分間以下である、請求項1に記載のレジスト膜形成方法。
【請求項3】
前記Rが塩素原子である、請求項1または2に記載のレジスト膜形成方法。
【請求項4】
記RおよびRが、水素原子または非置換のアルキル基であり、互いに同一でも異なっていてもよい、請求項3に記載のレジスト膜形成方法。
【請求項5】
前記pが1以上5以下の整数であり、RおよびR〜Rが水素原子または非置換のアルキル基である、請求項1〜4の何れかに記載のレジスト膜形成方法。
【請求項6】
前記単量体単位(B)におけるフッ素原子の数が0または1である、請求項5に記載のレジスト膜形成方法。
【請求項7】
前記Rが2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル基である、請求項1〜6の何れかに記載のレジスト膜形成方法。
【請求項8】
前記単量体単位(B)が、α−メチルスチレンに由来する構造単位または4−フルオロ−α−メチルスチレンに由来する構造単位である、請求項1〜の何れかに記載のレジスト膜形成方法。
【請求項9】
基板と、該基板上に形成された遮光層と、該遮光層上に形成されたレジスト膜とを備える積層体を製造する積層体の製造方法であって、前記レジスト膜を請求項1〜の何れかに記載のレジスト膜形成方法により形成する、積層体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レジスト膜形成方法および積層体の製造方法に関し、特には、ポジ型レジスト組成物を用いたレジスト膜形成方法、および該レジスト膜形成方法を用いた積層体の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体製造等の分野において、電子線などの電離放射線や紫外線などの短波長の光(以下、電離放射線と短波長の光とを合わせて「電離放射線等」と称することがある。)の照射により主鎖が切断されて現像液に対する溶解性が増大する重合体が、主鎖切断型のポジ型レジストとして使用されている。
【0003】
そして、例えば特許文献1には、高感度な主鎖切断型のポジ型レジストとして、α−メチルスチレン単位とα−クロロアクリル酸メチル単位とを含有するα−メチルスチレン・α−クロロアクリル酸メチル共重合体よりなるポジ型レジストが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特公平8−3636号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、レジスト組成物を用いたレジスト膜の形成プロセスでは、レジスト組成物を被加工物に塗布した後、塗布したレジスト組成物を加熱するプリベークを経てレジスト膜を形成した際に、レジスト膜と被加工物との密着性が十分に得られなかったり、レジスト膜における重合体の分子量が低下したりすることがある。ここで、レジスト膜と被加工物との密着性が十分に得られないと、レジスト膜が剥離することがあり、また、重合体の分子量が低下すると、パターンを所望の形状に形成できないことがある。そのため、レジスト膜の形成では、プリベーク工程を経て形成されたレジスト膜と被加工物との密着性を十分に得ることが求められ、さらに、プリベーク工程前後のレジスト膜における重合体の分子量の変化を抑制することが求められている。
【0006】
しかし、特許文献1に記載のα−メチルスチレン・α−クロロアクリル酸メチル共重合体よりなるポジ型レジストを用いたレジスト膜形成方法では、プリベーク工程を経て形成されたレジスト膜と被加工物との密着性が十分に得られなかったり、プリベーク工程前後のレジスト膜における重合体の分子量の変化を十分に抑制することができないことがあった。
【0007】
そこで、本発明は、プリベーク工程を経て形成されたレジスト膜と被加工物との密着性を向上させることができると共に、プリベーク工程前後のレジスト膜における重合体の分子量の変化を低減することができるレジスト膜形成方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、プリベーク工程を経て形成されたレジスト膜と遮光層との密着性が高く、レジスト膜における重合体の分子量の低減が抑制された積層体の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討を行った。そして、本発明者は、所定の単量体単位を有する所定の重合体を主鎖切断型のポジ型レジストとして用いたレジスト膜形成方法において、所定条件でポジ型レジスト組成物を加熱するプリベーク工程を行うと、プリベーク工程を経て形成されたレジスト膜と被加工物との密着性を向上させることができると共に、プリベーク工程前後のレジスト膜における重合体の分子量の変化を十分に抑制することができることを見出し、本発明を完成させた。
【0009】
即ち、この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明のレジスト膜形成方法は、重合体と溶剤とを含むポジ型レジスト組成物を用いてレジスト膜を形成するレジスト膜形成方法であって、
前記ポジ型レジスト組成物を被加工物上に塗布する塗布工程と、
前記塗布されたポジ型レジスト組成物を加熱するプリベーク工程と、
を含み、
前記重合体は、
下記一般式(I):
【化1】
(式(I)中、Rは、塩素原子、フッ素原子またはフッ素原子で置換されたアルキル基であり、Rは、非置換のアルキル基またはフッ素原子で置換されたアルキル基であり、RおよびRは、水素原子、フッ素原子、非置換のアルキル基またはフッ素原子で置換されたアルキル基であり、互いに同一でも異なっていてもよい。)
で表される単量体単位(A)と、
下記一般式(II):
【化2】
(式(II)中、R、R、RおよびRは、水素原子、フッ素原子、非置換のアルキル基またはフッ素原子で置換されたアルキル基であり、互いに同一でも異なっていてもよく、Rは、水素原子、非置換のアルキル基またはフッ素原子で置換されたアルキル基であり、pおよびqは、0以上5以下の整数であり、p+q=5である。)
で表される単量体単位(B)とを有し、
前記単量体単位(A)および前記単量体単位(B)の少なくとも一方がフッ素原子を一つ以上有し、
前記プリベーク工程における加熱を、下記式(1)を満たす温度T(℃)および時間t(分間)で行う、ことを特徴とする。
(−8/15)×T+262/3<t<(−8/15)×T+326/3・・・(1)
所定の単量体単位を有する所定の重合体を主鎖切断型のポジ型レジストとして用いて、所定条件でプリベーク工程を行うと、プリベーク工程を経て形成されたレジスト膜と被加工物との密着性を向上させることができると共に、プリベーク工程前後のレジスト膜における重合体の分子量の変化を十分に抑制することができる。
なお、本発明において、式(II)中のpが2以上の場合には、複数あるRは互いに同一でも異なっていてもよく、また、式(II)中のqが2以上の場合には、複数あるRは互いに同一でも異なっていてもよい。
【0010】
ここで、本発明のレジスト膜形成方法は、前記時間が1分間以上30分間以下であることが好ましい。プリベーク工程における加熱において、前記時間が1分間以上30分間以下であれば、プリベーク工程を経て形成されたレジスト膜と被加工物との密着性をより確実に向上させることができると共に、プリベーク工程前後のレジスト膜における重合体の分子量の変化をより確実に低減することができる。
【0011】
また、本発明のレジスト膜形成方法は、前記Rが塩素原子であることが好ましい。単量体単位(A)のRが塩素原子であれば、電離放射線等を照射した際の重合体の主鎖の切断性を向上させることができる。従って、良好なポジ型レジスト膜が得られる。また、単量体単位(A)のRが塩素原子の重合体は調製し易い。
【0012】
更に、本発明のレジスト膜形成方法は、前記Rがフッ素原子で置換されたアルキル基であり、前記RおよびRが、水素原子または非置換のアルキル基であることが好ましい。単量体単位(A)のRがフッ素原子で置換されたアルキル基であり、RおよびRが水素原子または非置換のアルキル基であれば、電離放射線等を照射した際の重合体の主鎖の切断性を向上させることができる。従って、良好なポジ型レジスト膜が得られる。なお、RおよびRは、互いに同一でも異なっていてもよい。
【0013】
更にまた、本発明のレジスト膜形成方法は、前記pが1以上5以下の整数であり、RおよびR〜Rが水素原子または非置換のアルキル基であり、前記単量体単位(A)がフッ素原子を一つ以上有することが好ましい。単量体単位(B)のpが1以上5以下の整数であり、RおよびR〜Rが水素原子または非置換のアルキル基であり、単量体単位(A)がフッ素原子を一つ以上有していれば、重合体が調製し易く、また、電離放射線等を照射した際の重合体の主鎖の切断性を向上させることができ、良好なポジ型レジスト膜が得られる。
【0014】
更にまた、本発明のレジスト膜形成方法は、単量体単位(B)におけるフッ素の数が0または1であることが好ましい。単量体単位(B)におけるフッ素の数が0または1であれば、良好なポジ型レジスト膜が得られる。
【0015】
更にまた、本発明のレジスト膜形成方法は、前記Rがペンタフルオロアルキル基であることが好ましい。単量体単位(A)のRがペンタフルオロアルキル基であれば、感度を十分に向上させつつ、明瞭性が向上したパターン形成が可能である。
【0016】
更にまた、本発明のレジスト膜形成方法は、前記Rが2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル基であることが好ましい。単量体単位(A)のRが2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル基であれば、感度を十分に向上させつつ、明瞭性がより一層向上したパターン形成が可能である。
【0017】
更にまた、本発明のレジスト膜形成方法は、前記単量体単位(B)が、α−メチルスチレンに由来する構造単位または4−フルオロ−α−メチルスチレンに由来する構造単位であることが好ましい。単量体単位(B)がα−メチルスチレンに由来する構造単位であれば、重合体の調製の容易性を向上させることができると共に、良好なポジ型レジスト膜を得ることができる。単量体単位(B)が4−フルオロ−α−メチルスチレンに由来する構造単位であれば、倒れの発生を抑制したパターン形成が可能である。
【0018】
また、この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、基板と、該基板上に形成された遮光層と、該遮光層上に形成されたレジスト膜とを備える積層体の製造方法であって、前記レジスト膜が上述したレジスト膜形成方法の何れかにより形成されることを特徴とする。上述したレジスト膜形成方法の何れかによりレジスト膜を形成すれば、プリベーク工程を経て形成されたレジスト膜と遮光層との密着性が高く、レジスト膜における重合体の分子量の低減が抑制された積層体を得ることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明のレジスト膜形成方法によれば、プリベーク工程を経て形成されたレジスト膜と被加工物との密着性を向上させることができると共に、プリベーク工程前後のレジスト膜における重合体の分子量の変化を低減することができる。
また、本発明の積層体の製造方法によれば、プリベーク工程を経て形成されたレジスト膜と遮光層との密着性を向上させることができると共に、レジスト膜における重合体の分子量の低減を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】実施例および比較例のレジスト膜形成方法におけるプリベーク工程での温度T(℃)と時間t(分間)との関係を示すグラフである(実施例1〜25および比較例1〜27)。
図2】比較例のレジスト膜形成方法におけるプリベーク工程での温度T(℃)と時間t(分間)との関係を示すグラフである(比較例28〜42)。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
ここで、本発明のレジスト膜形成方法は、例えば、ビルドアップ基板などのプリント基板の製造プロセスにおいてレジストパターンを形成する際に用いられるレジスト膜を形成することができる。そして、本発明の積層体の製造方法は、例えば、ビルドアップ基板などのプリント基板の製造プロセスにおいてレジストパターンを形成する際に用いられる積層体を製造することができる。
なお、本発明のレジスト膜形成方法における重合体は、電子線やEUV(Extreme ultraviolet)レーザーなどの電離放射線や紫外線などの短波長の光の照射により重合体の主鎖が切断されて低分子量化する、主鎖切断型のポジ型レジストとして良好に使用することができる。
【0022】
(レジスト膜形成方法)
本発明のレジスト膜形成方法は、所定の重合体と溶剤とを含むポジ型レジスト組成物を用いてレジスト膜を形成するレジスト膜形成方法であって、前記ポジ型レジスト組成物を被加工物上に塗布する塗布工程と、前記塗布されたポジ型レジスト組成物を下記式(1)を満たす(図1のグラフにおける直線Aと直線Bとの間の領域内にある)温度T(℃)および時間t(分間)で加熱するプリベーク工程と、を含む。
(−8/15)×T+262/3<t<(−8/15)×T+326/3・・・(1)
但し、t>0
【0023】
<重合体>
重合体は、
下記の一般式(I):
【化3】
(式(I)中、Rは、塩素原子、フッ素原子またはフッ素原子で置換されたアルキル基であり、Rは、非置換のアルキル基またはフッ素原子で置換されたアルキル基であり、RおよびRは、水素原子、フッ素原子、非置換のアルキル基またはフッ素原子で置換されたアルキル基であり、RおよびRは互いに同一でも異なっていてもよい。)で表される単量体単位(A)と、
下記の一般式(II):
【化4】
(式(II)中、R、R、RおよびRは、水素原子、フッ素原子、非置換のアルキル基またはフッ素原子で置換されたアルキル基であり、互いに同一でも異なっていてもよく、Rは、水素原子、非置換のアルキル基またはフッ素原子で置換されたアルキル基であり、pおよびqは、0以上5以下の整数であり、p+q=5である。)で表される単量体単位(B)とを有する。
また、前記重合体は、単量体単位(A)および単量体単位(B)の少なくとも一方がフッ素原子を一つ以上有する。即ち、前記重合体は、単量体単位(A)がフッ素原子を一つ以上有し、単量体単位(B)がフッ素原子を有していなくてもよいし、単量体単位(B)がフッ素原子を一つ以上有し、単量体単位(A)がフッ素原子を有していなくてもよいし、単量体単位(A)および単量体単位(B)のそれぞれがフッ素原子を一つ以上有していてもよい。
なお、前記重合体は、単量体単位(A)および単量体単位(B)以外の任意の単量体単位を含んでいてもよいが、重合体を構成する全単量体単位中で単量体単位(A)および単量体単位(B)が占める割合は、合計で90mol%以上であることが好ましく、実質的に100mol%であることがより好ましく、100mol%(即ち、重合体は単量体単位(A)および単量体単位(B)のみを含む)であることがさらに好ましい。
【0024】
そして、前記重合体は、所定の単量体単位(A)および単量体単位(B)を含んでいるので、電離放射線等(例えば、電子線、KrFレーザー、ArFレーザー、EUV(Extreme Ultraviolet)レーザーなど)が照射されると、重合体の主鎖が切断されて低分子量化する。また、前記重合体は、単量体単位(A)および単量体単位(B)の少なくとも一方がフッ素原子を一つ以上有しているので、レジストとして使用した際に、プリベーク時に耐熱性が高く、分解することが抑止されて、被加工物との密着性を向上させることができ、また、レジストパターンの倒れの発生を十分に抑制することができる。
なお、単量体単位(A)および単量体単位(B)の少なくとも一方にフッ素原子を含有させることでレジストパターンの倒れの発生を抑制することができる理由は、明らかではないが、重合体の撥液性が向上するため、レジストパターンの形成過程において現像液やリンス液を除去する際にパターン間で引っ張り合いが起こるのを抑制することができるからであると推察される。
【0025】
<<単量体単位(A)>>
ここで、単量体単位(A)は、下記の一般式(III):
【化5】
(式(III)中、R〜Rは、式(I)と同様である。)で表される単量体(a)に由来する構造単位である。
【0026】
そして、重合体を構成する全単量体単位中の単量体単位(A)の割合は、特に限定されることなく、例えば30mol%以上70mol%以下とすることができる。
【0027】
ここで、式(I)および式(III)中のR〜Rを構成し得る、フッ素原子で置換されたアルキル基としては、特に限定されることなく、アルキル基中の水素原子の一部または全部をフッ素原子で置換した構造を有する基が挙げられる。
また、式(I)および式(III)中のR〜Rを構成し得る非置換のアルキル基としては、特に限定されることなく、非置換の炭素数1以上10以下のアルキル基が挙げられる。中でも、R〜Rを構成し得る非置換のアルキル基としては、メチル基またはエチル基が好ましい。
【0028】
そして、電離放射線等を照射した際の重合体の主鎖の切断性を向上させる観点からは、式(I)および式(III)中のRは、塩素原子、フッ素原子またはフッ素原子で置換された炭素数1以上5以下のアルキル基であることが好ましく、塩素原子、フッ素原子またはパーフルオロメチル基であることがより好ましく、塩素原子またはフッ素原子であることが更に好ましく、塩素原子であることが特に好ましい。なお、式(III)中のRが塩素原子である単量体(a)は、重合性に優れており、式(I)中のRが塩素原子である単量体単位(A)を有する重合体は、調製が容易であるという点においても優れている。
【0029】
また、電離放射線等を照射した際の重合体の主鎖の切断性を向上させる観点からは、式(I)および式(III)中のRは、フッ素原子で置換されたアルキル基であることが好ましく、フッ素原子で置換された炭素数1以上10以下のアルキル基であることがより好ましい。
フッ素原子で置換された炭素数1以上10以下のアルキル基としては、例えば、2,2,2−トリフルオロエチル基、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル基(フッ素原子の数が5、炭素数が3、下記構造式X)等のペンタフルオロアルキル基、2−(パーフルオロブチル)エチル基、2−(パーフルオロヘキシル)エチル基、1H,1H,3H−テトラフルオロプロピル基、1H,1H,5H−オクタフルオロペンチル基、1H,1H,7H−ドデカフルオロヘプチル基、1H−1−(トリフルオロメチル)トリフルオロエチル基、1H,1H,3H−ヘキサフルオロブチル基、1,2,2,2−テトラフルオロ−1−(トリフルオロメチル)エチル基、などが挙げられる。
これらの中でも、ペンタフルオロアルキル基が好ましく、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル基(フッ素原子の数が5、炭素数が3、下記構造式X)が特に好ましい。
【化6】
【0030】
更に、電離放射線等を照射した際の重合体の主鎖の切断性を向上させる観点からは、式(I)および式(III)中のRおよびRは、それぞれ、水素原子または非置換のアルキル基であることが好ましく、水素原子または非置換の炭素数1以上5以下のアルキル基であることがより好ましく、水素原子であることが更に好ましい。
【0031】
そして、上述した式(I)で表される単量体単位(A)を形成し得る、上述した式(I)で表される単量体(a)としては、特に限定されることなく、例えば、α−クロロアクリル酸2,2,2−トリフルオロエチル、α−クロロアクリル酸2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル、α−クロロアクリル酸2−(パーフルオロブチル)エチル、α−クロロアクリル酸2−(パーフルオロヘキシル)エチル、α−クロロアクリル酸1H,1H,3H−テトラフルオロプロピル、α−クロロアクリル酸1H,1H,5H−オクタフルオロペンチル、α−クロロアクリル酸1H,1H,7H−ドデカフルオロヘプチル、α−クロロアクリル酸1H−1−(トリフルオロメチル)トリフルオロエチル、α−クロロアクリル酸1H,1H,3H−ヘキサフルオロブチル、α−クロロアクリル酸1,2,2,2−テトラフルオロ−1−(トリフルオロメチル)エチルなどのα−クロロアクリル酸フルオロアルキルエステル;α−フルオロアクリル酸メチル、α−フルオロアクリル酸エチルなどのα−フルオロアクリル酸アルキルエステル;α−トリフルオロメチルアクリル酸メチル、α−トリフルオロメチルアクリル酸エチルなどのα−フルオロアルキルアクリル酸アルキルエステル;α−フルオロアクリル酸2,2,2−トリフルオロエチル、α−フルオロアクリル酸2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル、α−フルオロアクリル酸2−(パーフルオロブチル)エチル、α−フルオロアクリル酸2−(パーフルオロヘキシル)エチル、α−フルオロアクリル酸1H,1H,3H−テトラフルオロプロピル、α−フルオロアクリル酸1H,1H,5H−オクタフルオロペンチル、α−フルオロアクリル酸1H,1H,7H−ドデカフルオロヘプチル、α−フルオロアクリル酸1H−1−(トリフルオロメチル)トリフルオロエチル、α−フルオロアクリル酸1H,1H,3H−ヘキサフルオロブチル、α−フルオロアクリル酸1,2,2,2−テトラフルオロ−1−(トリフルオロメチル)エチルなどのα−フルオロアクリル酸フルオロアルキルエステル;が挙げられる。
【0032】
なお、電離放射線等を照射した際の重合体の主鎖の切断性を更に向上させる観点からは、単量体単位(A)は、α−クロロアクリル酸フルオロアルキルエステルに由来する構造単位であることが好ましく、α−クロロアクリル酸2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルであることが特に好ましい。即ち、式(I)および式(III)中のR〜Rは、Rが塩素原子であり、Rがフッ素原子で置換されたアルキル基であり、RおよびRが水素原子であることが特に好ましい。
【0033】
<<単量体単位(B)>>
また、単量体単位(B)は、下記の一般式(IV):
【化7】
(式(IV)中、R〜R、並びに、pおよびqは、式(II)と同様である。)で表される単量体(b)に由来する構造単位である。
そして、重合体を構成する全単量体単位中の単量体単位(B)の割合は、特に限定されることなく、例えば30mol%以上70mol%以下とすることができる。
【0034】
ここで、式(II)および式(IV)中のR〜Rを構成し得る、フッ素原子で置換されたアルキル基としては、特に限定されることなく、アルキル基中の水素原子の一部または全部をフッ素原子で置換した構造を有する基が挙げられる。
また、式(II)および式(IV)中のR〜Rを構成し得る非置換のアルキル基としては、特に限定されることなく、非置換の炭素数1以上5以下のアルキル基が挙げられる。中でも、R〜Rを構成し得る非置換のアルキル基としては、メチル基またはエチル基が好ましい。
【0035】
そして、重合体の調製の容易性および電離放射線等を照射した際の重合体の主鎖の切断性を向上させる観点からは、式(II)および式(IV)中のRは、水素原子または非置換のアルキル基であることが好ましく、非置換の炭素数1以上5以下のアルキル基であることがより好ましく、メチル基であることが更に好ましい。
【0036】
式(II)および式(IV)中に複数存在するRは、全て、水素原子または非置換のアルキル基であってもよく、水素原子または非置換の炭素数1以上5以下のアルキル基であってもよく、水素原子であってもよい。これにより、重合体の調製の容易性および電離放射線等を照射した際の重合体の主鎖の切断性を向上させることができる。
式(II)および式(IV)中のpが5であり、qが0であり、5つあるRの全てが水素原子または非置換のアルキル基であってもよく、5つあるRの全てが水素原子または非置換の炭素数1以上5以下のアルキル基であってもよく、5つあるRの全てが水素原子であってもよい。これにより、重合体の調製の容易性および電離放射線等を照射した際の重合体の主鎖の切断性を向上させることができる。
【0037】
一方、重合体をレジストパターンの形成に使用した際にレジストパターンの倒れの発生を更に抑制する観点からは、式(II)および式(IV)中に複数存在するRおよび/またはRは、フッ素原子またはフッ素原子で置換されたアルキル基を含むことが好ましく、フッ素原子またはフッ素原子で置換された炭素数1以上5以下のアルキル基を含むことがより好ましく、Rおよび/またはRにおけるフッ素原子の数が1であることが特に好ましい。
【0038】
更に、重合体の調製の容易性および電離放射線等を照射した際の重合体の主鎖の切断性を向上させる観点からは、式(II)および式(IV)中のRおよびRは、それぞれ、水素原子または非置換のアルキル基であることが好ましく、水素原子または非置換の炭素数1以上5以下のアルキル基であることがより好ましく、水素原子であることが更に好ましい。
【0039】
そして、上述した式(II)で表される単量体単位(B)を形成し得る、上述した式(IV)で表される単量体(b)としては、特に限定されることなく、例えば、以下の(b−1)〜(b−11)等のα−メチルスチレンおよびその誘導体が挙げられる。
また、単量体単位(B)におけるフッ素原子の数は、0または1であることが好ましい。
【化8】
【0040】
なお、重合体の調製の容易性および電離放射線等を照射した際の重合体の主鎖の切断性を向上させる観点からは、単量体単位(B)は、フッ素原子を含有しない(即ち、単量体単位(A)のみがフッ素原子を含有する)ことが好ましく、α−メチルスチレンに由来する構造単位であることがより好ましい。即ち、式(II)および式(IV)中のR〜R、並びに、pおよびqは、p=5、q=0であり、Rがメチル基であり、5つあるRが全て水素原子であり、RおよびRが水素原子であることが特に好ましい。
【0041】
一方、重合体をレジストパターンの形成に使用した際にレジストパターンの倒れの発生を更に抑制する観点からは、単量体単位(B)は、フッ素原子を含有することが好ましく、フッ素原子を1個含有することがより好ましく、フルオロ−α−メチルスチレンに由来する構造単位であることが特に好ましく、4−フルオロ−α−メチルスチレンに由来する構造単位であること、即ち、式(II)および式(IV)中のR〜R、並びに、pおよびqは、p=5、q=0であり、Rがメチル基であり、5つあるRのうちパラ位のみがフッ素であり、残りの4つ全てが水素原子であり、RおよびRが水素原子であることが、最も好ましい。
【0042】
<<重合体の性状>>
以下、本発明のレジスト膜形成方法に用いられる重合体の性状、即ち、プリベーク工程における加熱前の「重量平均分子量(Mw)」、「数平均分子量(Mn)」および「分子量分布(Mw/Mn)」について説明する。
なお、本発明において、「重量平均分子量(Mw)」および「数平均分子量(Mn)」は、ゲル浸透クロマトグラフィーを用いて測定することができる。そして、本発明において、「分子量分布(Mw/Mn)」とは、数平均分子量(Mn)に対する重量平均分子量(Mw)の比を指す。
【0043】
[重量平均分子量]
そして、上述した単量体単位(A)および単量体単位(B)を有する重合体の重量平均分子量(Mw)は、例えば、20000以上150000以下とすることができる。さらに、重合体の重量平均分子量(Mw)は、100000未満であることが好ましく、60000未満であることがより好ましく、30000以上であることが好ましい。重合体の重量平均分子量(Mw)が上記上限値以下(未満)であれば、ポジ型レジストとして使用した際に、比較的低い照射量で現像液に対する溶解性を増大させることができるので、ポジ型レジストとして使用した際の感度を適度に向上させることができる。また、重合体の重量平均分子量(Mw)が上記下限値以上であれば、過剰に低い照射量でレジスト膜の現像液に対する溶解性を高まることを抑制することができ、γ値が過度に低下することを抑制することができる。
【0044】
[数平均分子量]
また、上述した重合体の数平均分子量(Mn)は、例えば10000以上100000以下とすることができる。さらに、重合体の数平均分子量(Mn)は、80000未満であることが好ましく、50000未満であることがより好ましい。重合体の数平均分子量(Mn)が上記上限値以下(未満)であれば、かかる重合体を含有するポジ型レジスト組成物を用いて形成したレジストをポジ型レジストとして使用した際の感度を更に高めることができる。
【0045】
[分子量分布]
そして、上述した重合体の分子量分布(Mw/Mn)は、例えば2.50以下とすることができる。さらに、重合体の分子量分布(Mw/Mn)は、1.20以上であることが好ましく、1.30以上であることがより好ましく、1.35以上であることが特に好ましく、2.40以下であることが好ましく、1.75以下であることがより好ましく、1.60以下であることがさらに好ましく、1.55以下であることがさらにより好ましい。重合体の分子量分布(Mw/Mn)が上記下限値以上であれば、重合体の製造容易性を高めることができる。重合体の分子量分布(Mw/Mn)が上記上限値以下であれば、ポジ型レジストとして使用した際のγ値を高めることができ、得られるレジストパターンの明瞭性を高めることができる。
【0046】
<<重合体の調製方法>>
そして、上述した単量体単位(A)および単量体単位(B)を有する重合体は、例えば、単量体(a)と単量体(b)とを含む単量体組成物を重合させた後、任意に得られた重合物を精製することにより調製することができる。
なお、重合体の組成、分子量分布、重量平均分子量および数平均分子量は、重合条件および精製条件を変更することにより調整することができる。具体的には、例えば、重合体の組成は、重合に使用する単量体組成物中の各単量体の含有割合を変更することにより調整することができる。また、重量平均分子量および数平均分子量は、重合温度を高くすれば、小さくすることができる。更に、重量平均分子量および数平均分子量は、重合時間を短くすれば、小さくすることができる。
【0047】
[単量体組成物の重合]
ここで、本発明の重合体の調製に用いる単量体組成物としては、単量体(a)および単量体(b)を含む単量体成分と、任意の溶媒と、重合開始剤と、任意に添加される添加剤との混合物を用いることができる。そして、単量体組成物の重合は、既知の方法を用いて行うことができる。中でも、溶媒としては、シクロペンタノンなどを用いることが好ましく、重合開始剤としては、アゾビスイソブチロニトリルなどのラジカル重合開始剤を用いることが好ましい。
【0048】
また、単量体組成物を重合して得られた重合物は、特に限定されることなく、重合物を含む溶液にテトラヒドロフラン等の良溶媒を添加した後、良溶媒を添加した溶液をメタノール等の貧溶媒中に滴下して重合物を凝固させることにより回収することができる。
【0049】
<<重合物の精製>>
なお、得られた重合物を精製する場合に用いる精製方法としては、特に限定されることなく、再沈殿法やカラムクロマトグラフィー法などの既知の精製方法が挙げられる。中でも、精製方法としては、再沈殿法を用いることが好ましい。
なお、重合物の精製は、複数回繰り返して実施してもよい。
【0050】
そして、再沈殿法による重合物の精製は、例えば、得られた重合物をテトラヒドロフラン等の良溶媒に溶解した後、得られた溶液を、テトラヒドロフラン等の良溶媒とメタノール等の貧溶媒との混合溶媒に滴下し、重合物の一部を析出させることにより行うことが好ましい。このように、良溶媒と貧溶媒との混合溶媒中に重合物の溶液を滴下して重合物の精製を行えば、良溶媒および貧溶媒の種類や混合比率を変更することにより、得られる重合体の分子量分布、重量平均分子量および数平均分子量を容易に調整することができる。具体的には、例えば、混合溶媒中の良溶媒の割合を高めるほど、混合溶媒中で析出する重合体の分子量を大きくすることができる。
【0051】
なお、再沈殿法により重合物を精製する場合、前記重合体としては、良溶媒と貧溶媒との混合溶媒中で析出した重合物を用いてもよいし、混合溶媒中で析出しなかった重合物(即ち、混合溶媒中に溶解している重合物)を用いてもよい。ここで、混合溶媒中で析出しなかった重合物は、濃縮乾固などの既知の手法を用いて混合溶媒中から回収することができる。
【0052】
<溶剤>
なお、溶剤としては、上述した重合体を溶解可能な溶剤であれば既知の溶剤を用いることができる。中でも、適度な粘度のポジ型レジスト組成物を得てポジ型レジスト組成物の塗工性を向上させる観点からは、溶剤としては、アニソール、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)、酢酸n−ヘキシル、酢酸アミル、これらの混合物などを用いることが好ましい。
【0053】
<ポジ型レジスト組成物>
ポジ型レジスト組成物は、上述した重合体と、上述した溶剤とを含み、任意に、レジスト組成物に配合され得る既知の添加剤を更に含有する。そして、ポジ型レジスト組成物は、上述した重合体をポジ型レジストとして含有しているので、レジストパターンの形成に使用した際にレジストパターンの倒れの発生を十分に抑制することができる。また、後述の条件でプリベークすれば、密着性を向上させることができ、重合体の分子量低下を抑制することができる。
前記ポジレジスト組成物の固形分濃度としては、1質量%以上が好ましく、2質量%以上がより好ましく、20質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましい。
【0054】
<塗布工程>
塗布工程では、レジストパターンを利用して加工される基板などの被加工物の上に、上述したポジ型レジスト組成物を塗布する。塗布方法は特に限定されることなく、既知の塗布方法にて行うことができる。
なお、ポジ型レジスト組成物が塗布される被加工物としては、基板であってもよく、また、基板上に遮光層が形成された「マスクブランクス」であってもよい。
【0055】
<プリベーク工程>
プリベーク工程では、塗布したポジ型レジスト組成物を加熱(プリベーク)してレジスト膜を形成する。
ここで、加熱(プリベーク)は、下記式(1)を満たす温度T(℃)および時間t(分間)で行う。ここで、温度T(℃)および時間t(分間)が下記式(1)を満たすとは、「図1のグラフにおいて、温度T(℃)および時間t(分間)が直線Aと直線Bとの間に存在すること」を意味する。これにより、レジスト膜と被加工物との密着性を向上させることができると共に、プリベーク工程前後のレジスト膜における重合体の分子量の変化を低減することができる。
(−8/15)T+262/3<t<(−8/15)T+326/3・・・(1)
【0056】
さらに、温度T(℃)および時間t(分間)は、下記式(2)を満たすことが好ましく、下記式(3)を満たすことが好ましく、下記式(4)を満たすことがより好ましい。
(−7/10)T+115≦t・・・(2)
t≦(−1/2)T+90・・・(3)
t≦(−1/2)T+100・・・(4)
【0057】
上記式(2)及び上記式(4)を満たす(図1のグラフにおいて、温度T(℃)および時間t(分間)が直線Cと直線Eとの間に存在する)温度T(℃)および時間t(分間)でプリベーク(加熱)を行うと、レジスト膜と被加工物との密着性を確実に向上させることができると共に、プリベーク工程前後のレジスト膜における重合体の分子量の変化を確実に低減することができる。
【0058】
上記式(2)及び上記式(3)を満たす(図1のグラフにおいて、温度T(℃)および時間t(分間)が直線Cと直線Dとの間に存在する)温度T(℃)および時間t(分間)でプリベーク(加熱)を行うと、レジスト膜と被加工物との密着性をより確実に向上させることができると共に、プリベーク工程前後のレジスト膜における重合体の分子量の変化をより確実に低減することができる。
【0059】
なお、図1及び2における直線A〜Eは、それぞれ、下記式を示す。
直線A:t=(−8/15)T+262/3
直線B:t=(−8/15)T+326/3
直線C:t=(−7/10)T+115
直線D:t=(−1/2)T+90
直線E:t=(−1/2)T+100
【0060】
さらに、温度T(℃)は、プリベーク工程を経て形成されたレジスト膜と被加工物との密着性の観点から、110℃以上であることが好ましく、120℃以上であることがより好ましく、130℃以上であることがさらにより好ましく、また、プリベーク工程前後のレジスト膜における重合体の分子量の変化の低減の観点から、170℃以下であることが好ましく、160℃以下であることがより好ましい。時間t(分間)は、プリベーク工程を経て形成されたレジスト膜と被加工物との密着性の観点から、1分間以上であることが好ましく、3分間以上であることがより好ましく、5分間以上であることがさらにより好ましく、プリベーク工程前後のレジスト膜における重合体の分子量の変化の低減の観点から、30分間以下であることが好ましく、10分間以下であることがより好ましい。
【0061】
以下、プリベーク工程における加熱後の重合体の性状、即ち、重合体の「重量平均分子量(Mw)」、「数平均分子量(Mn)」および「分子量分布(Mw/Mn)」について説明する。
【0062】
[重量平均分子量]
そして、本発明のレジスト膜形成方法により形成されたレジスト膜(即ち、プリベーク工程を経て形成したレジスト膜)における重合体の重量平均分子量(Mw)は、例えば、45900以上59000以下とすることができる。さらに、プリベーク工程を経て形成したレジスト膜における重合体の重量平均分子量(Mw)は、52000以下であることが好ましく、46500以上であることが好ましい。プリベーク工程を経て形成したレジスト膜における重合体の重量平均分子量(Mw)が上記上限値以下(未満)であれば、レジスト膜の感度を向上させることができる。また、プリベーク工程を経て形成したレジスト膜における重合体の重量平均分子量(Mw)が上記下限値以上であれば、現像液への溶解を防止することができる。
【0063】
[数平均分子量]
また、本発明のレジスト膜形成方法により形成されたレジスト膜(即ち、プリベーク工程を経て形成したレジスト膜)における重合体の数平均分子量(Mn)は、例えば、34400以上43500以下とすることができる。さらに、プリベーク工程を経て形成したレジスト膜における重合体の数平均分子量(Mn)は、41600以下であることが好ましく、36500以上であることがより好ましい。プリベーク工程を経て形成したレジスト膜における重合体の数平均分子量(Mn)が上記上限値以下(未満)であれば、レジスト膜の感度を向上させることができる。また、プリベーク工程を経て形成したレジスト膜における重合体の数平均分子量(Mn)が上記下限値以上であれば、現像液への溶解を防止することができる。
【0064】
[分子量分布]
そして、本発明のレジスト膜形成方法により形成されたレジスト膜(即ち、プリベーク工程を経て形成したレジスト膜)における重合体の分子量分布(Mw/Mn)は、例えば、1.50以下とすることができる。さらに、プリベーク工程を経て形成したレジスト膜における重合体の分子量分布(Mw/Mn)は、1.28以上であることが好ましく、1.30以上であることがより好ましく、1.45以下であることが好ましく、1.40以下であることがより好ましい。プリベーク工程を経て形成したレジスト膜における重合体の分子量分布(Mw/Mn)が上記下限値以上であれば、プリベーク時間を短くすることができる。重合体の分子量分布(Mw/Mn)が上記上限値以下であれば、パターニング時に明瞭なパターンを得ることができる。
【0065】
プリベーク工程における加熱による重合体の重量平均分子量の維持率(プリベーク工程における加熱後の重合体の重量平均分子量/プリベーク工程における加熱前の重合体の重量平均分子量)は、95%以上であることが好ましく、96%以上であることがより好ましく、97%以上であることが特に好ましい。
【0066】
<レジストパターン形成方法>
レジストパターン形成方法は、(1)上述したレジスト膜形成方法を用いてレジスト膜を形成する工程と、(2)レジスト膜を露光する工程と、(3)露光されたレジスト膜を現像する工程と、を含むことが好ましい。
【0067】
<<露光工程>>
上記工程(2)では、レジスト膜に対して電離放射線や光を照射して所望のパターンを描画する。なお、電離放射線や光の照射には、電子線描画装置やレーザー描画装置などの既知の描画装置を用いることができる。
【0068】
<<現像工程>>
上記工程(3)では、パターンを描写したレジスト膜を現像液と接触させてレジスト膜を現像し、被加工物上にレジストパターンを形成する。ここで、レジスト膜と現像液とを接触させる方法は、特に限定されることなく、現像液中へのレジスト膜の浸漬やレジスト膜への現像液の塗布等の既知の手法を用いることができる。そして、任意に、現像したレジスト膜をリンス液でリンスする。
特に、現像液およびリンス液としては、例えば、CFCFHCFHCFCF、CFCFCHCl、CClFCFCHClF、CFCFCFCFOCH、およびC18を含むフルオロカーボン等のフッ素系溶剤;メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール(イソプロピルアルコール)等のアルコール;酢酸アミル、酢酸ヘキシルなどのアルキル基を有する酢酸エステル;フッ素系溶剤とアルコールとの混合物;フッ素系溶剤とアルキル基を有する酢酸エステルとの混合物;アルコールとアルキル基を有する酢酸エステルとの混合物;フッ素系溶剤とアルコールとアルキル基を有する酢酸エステルとの混合物;などを用いることができる。現像液およびリンス液の組合せは、上述した重合体よりなるレジストの溶解性などを考慮し、例えば、レジスト溶解性のより高い溶剤を現像液とし、レジスト溶解性のより低い溶剤をリンス液とすることができる。また、現像液の選定にあたり、上記工程(2)を実施する前のレジスト膜を溶解しない現像液を選択することが好ましい。さらに、リンス液の選定にあたり、現像液と混ざり易いリンス液を選択し、現像液との置換が容易となるようにすることが好ましい。
【0069】
(積層体の製造方法)
本発明の積層体の製造方法は、基板と、該基板上に形成された遮光層と、該遮光層上に形成されたレジスト膜とを備える積層体を製造する積層体の製造方法であって、前記レジスト膜を本発明のレジスト膜形成方法により形成する。
【0070】
<基板>
基板としては、通常、透明基板を用いる。基板の材質としては、例えば、石英、ガラスなどの透明材料が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、透明性および耐候性の観点から、石英が好ましい。
基板は、200nm以上300nm以下の波長の光を90%〜95%透過する程度の透明性を有することが好ましい。
基板の厚みは、0.5mm以上であることが好ましく、1.0mm以上であることがより好ましく、20mm以下であることが好ましく、15mm以下であることがより好ましい。
【0071】
<遮光層>
遮光層としては、任意の遮光層を用いることができる。中でも、遮光層としては、金属層を備える単層構造または多層構造の遮光層を用いることが好ましい。なお、遮光層を構成し得る金属層以外の層の材質としては、ポリプロピレン、環状ポリオレフィン、ポリ塩化ビニルなどが挙げられる。
金属層の材質としては、例えば、クロム、シリコン、酸化鉄、モリブデンシリサイドなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、遮光性の観点から、クロムが好ましい。
遮光層の厚みは、5nm以上であることが好ましく、10nm以上であることがより好ましく、200nm以下であることが好ましく、100nm以下であることがより好ましい。
【0072】
<レジスト膜>
レジスト膜は、本発明のレジスト膜形成方法により形成される。これにより、レジスト膜と遮光層との密着性を向上させることができると共に、レジスト膜における重合体の分子量の低減を抑制することができる。
レジスト膜の厚みは、20nm以上であることが好ましく、30nm以上であることがより好ましく、200nm以下であることが好ましく、100nm以下であることがより好ましい。
【実施例】
【0073】
以下、本発明について実施例に基づき具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、以下の説明において、量を表す「%」および「部」は、特に断らない限り、質量基準である。
また、図1及び2において、「丸印」は、後述する(ii)「プリベーク工程を経て形成したレジスト膜における重合体の重量平均分子量の維持率」および(iii)「プリベーク工程を経て形成したレジスト膜と被加工物との密着性」のいずれも良好であることを示し、「ばつ印」は、(ii)「プリベーク工程を経て形成したレジスト膜における重合体の重量平均分子量の維持率」および(iii)「プリベーク工程を経て形成したレジスト膜と被加工物との密着性」のいずれかが良好でないことを示し、「丸印」への矢印に付された「下線なし数値」は実施例番号を示し、「ばつ印」への矢印に付された「下線あり数値」は比較例番号を示す。
そして、実施例1〜25および比較例1〜42において、(i)「重量平均分子量、数平均分子量および分子量分布」、(ii)「プリベーク工程を経て形成したレジスト膜における重合体の重量平均分子量の維持率」および(iii)「プリベーク工程を経て形成したレジスト膜と被加工物との密着性」を、それぞれ下記の方法で測定および評価した。
【0074】
<重量平均分子量、数平均分子量および分子量分布>
測定対象の重合体についてゲル浸透クロマトグラフィーを用いて重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)を測定し、分子量分布(Mw/Mn)を算出した。
具体的には、ゲル浸透クロマトグラフ(東ソー製、HLC−8220)を使用し、展開溶媒としてテトラヒドロフランを用いて、測定対象の重合体の重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)を標準ポリスチレン換算値として求めた。そして、分子量分布(Mw/Mn)を算出した。
【0075】
<プリベーク工程を経て形成したレジスト膜における重合体の重量平均分子量の維持率>
ポジ型レジスト組成物の調製に用いた重合体の重量平均分子量を100%としたときのプリベーク工程を経て形成したレジスト膜における重合体の重量平均分子量の割合(%)を算出し、以下の基準に従って、プリベーク工程を経て形成したレジスト膜における重合体の重量平均分子量の維持率を評価した。
A:ポジ型レジスト組成物の調製に用いた重合体の重量平均分子量を100%としたときのプリベーク工程を経て形成したレジスト膜における重合体の重量平均分子量の割合が95.7%以上(維持率大で良好)
B:ポジ型レジスト組成物の調製に用いた重合体の重量平均分子量を100%としたときのプリベーク工程を経て形成したレジスト膜における重合体の重量平均分子量の割合が95.7%未満(維持率小)
【0076】
<プリベーク工程を経て形成したレジスト膜と被加工物との密着性>
形成したレジストパターンの剥がれの有無を観察して、以下の基準に従って、レジスト膜と被加工物との密着性を評価した。
A:レジストパターンの剥がれ無し(密着性良好)
B:レジストパターンの剥がれ有り
【0077】
(実施例1)
<重合体(F3)の調製>
単量体(a)としてのα−クロロアクリル酸2,2,2−トリフルオロエチル3.0gおよび単量体(b)としてのα−メチルスチレン4.40gと、溶媒としてのシクロペンタノン1.85gと、重合開始剤としてのアゾビスイソブチロニトリル0.006975gとを含む単量体組成物をガラス容器に入れ、ガラス容器を密閉および窒素置換して、窒素雰囲気下、78℃の恒温槽内で6.0時間撹拌した。その後、室温に戻し、ガラス容器内を大気解放した後、得られた溶液にテトラヒドロフラン(THF)10gを加えた。そして、THFを加えた溶液をメタノール300g中に滴下し、重合物を析出させた。その後、析出した重合物を含む溶液をキリヤマ漏斗によりろ過し、白色の凝固物(重合体)を得た。次いで、得られた重合物を100gのTHFに溶解させ、得られた溶液をTHF150gとメタノール(MeOH)850gとの混合溶媒に滴下し、白色の凝固物(α−メチルスチレン単位およびα−クロロアクリル酸2,2,2−トリフルオロエチル単位を含有する重合体)を析出させた。その後、析出した重合体を含む溶液をキリヤマ漏斗によりろ過し、白色の重合体を得た。なお、得られた重合体は、α−メチルスチレン単位とα−クロロアクリル酸2,2,2−トリフルオロエチル単位とを50mol%ずつ含んでいた。
そして、得られた重合体について、重量平均分子量、数平均分子量および分子量分布を測定した。測定した重量平均分子量および分子量分布を下記に示す。
【0078】
<ポジ型レジスト組成物の調製>
得られた重合体を溶剤としてのプロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)に溶解させ、重合体の濃度が2.5質量%であるレジスト溶液(ポジ型レジスト組成物)を調製した。
【0079】
<レジストパターンの形成>
スピンコーター(ミカサ製、MS−A150)を使用し、ポジ型レジスト組成物を、直径4インチのマスクブランクス(石英基板(厚み:1.0mm)上にクロム層(厚み:10nm)が形成されたもの)上に塗布した。次いで、塗布したポジ型レジスト組成物を温度150℃のホットプレートで10分間加熱して(プリベーク工程)、マスクブランクス上に厚さ50nmのレジスト膜を形成した。そして、得られたレジスト膜における重合体についてゲル浸透クロマトグラフィーを用いて重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)を測定し、分子量分布(Mw/Mn)を算出した。また、電子線描画装置(エリオニクス社製、ELS−S50)を用いてレジスト膜を最適露光量(Eop)で露光して、パターンを描画した。その後、レジスト用現像液として、フッ素系溶剤(三井・デュポンフロロケミカル社製、バートレル(CFCFHCFHCFCF))を用いて温度23℃で1分間の現像処理を行った後、リンス液としてのフッ素系溶剤(三井・デュポンフロロケミカル社製、バートレル(CFCFHCFHCFCF))で10秒間リンスして、レジストパターンを形成した。そして、プリベーク工程を経て形成したレジスト膜とマスクブランクスとの密着性を評価した。なお、最適露光量(Eop)は、適宜設定した。また、レジストパターンのライン(未露光領域)とスペース(露光領域)は、それぞれ20nmとした。
【0080】
<測定評価結果>
測定した重量平均分子量および分子量分布、重量平均分子量の維持率の評価結果、並びに、密着性の評価結果を下記および表1に示す。
(i)調製した重合体の重量平均分子量および分子量分布
重量平均分子量:60062、分子量分布:1.349
(ii)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜における重合体の重量平均分子量および分子量分布
重量平均分子量:58471、分子量分布:1.366
(iii)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜における重合体の重量平均分子量の維持率
維持率:97.4%、維持率評価結果:A(維持率大で良好)
(iv)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜と被加工物との密着性
密着性評価結果:A(密着性良好)
【0081】
(実施例2)
実施例1において、150℃で10分間加熱するプリベーク工程を行う代わりに、160℃で3分間加熱するプリベーク工程を行ったこと以外は、実施例1と同様に、「重合体(F3)の調製」、「ポジ型レジスト組成物の調製」、「レジストパターンの形成」を行い、同様の測定乃至評価を行った。結果を下記および表1に示す。
(i)調製した重合体の重量平均分子量および分子量分布
重量平均分子量:60062、分子量分布:1.349
(ii)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜における重合体の重量平均分子量および分子量分布
重量平均分子量:58576、分子量分布:1.359
(iii)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜における重合体の重量平均分子量の維持率
維持率:97.5%、維持率評価結果:A(維持率大で良好)
(iv)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜と被加工物との密着性
密着性評価結果:A(密着性良好)
【0082】
(実施例3)
実施例1において、150℃で10分間加熱するプリベーク工程を行う代わりに、160℃で5分間加熱するプリベーク工程を行ったこと以外は、実施例1と同様に、「重合体(F3)の調製」、「ポジ型レジスト組成物の調製」、「レジストパターンの形成」を行い、同様の測定乃至評価を行った。結果を下記および表1に示す。
(i)調製した重合体の重量平均分子量および分子量分布
重量平均分子量:60062、分子量分布:1.349
(ii)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜における重合体の重量平均分子量および分子量分布
重量平均分子量:58463、分子量分布:1.358
(iii)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜における重合体の重量平均分子量の維持率
維持率:97.3%、維持率評価結果:A(維持率大で良好)
(iv)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜と被加工物との密着性
密着性評価結果:A(密着性良好)
【0083】
(実施例4)
実施例1において、150℃で10分間加熱するプリベーク工程を行う代わりに、170℃で3分間加熱するプリベーク工程を行ったこと以外は、実施例1と同様に、「重合体(F3)の調製」、「ポジ型レジスト組成物の調製」、「レジストパターンの形成」を行い、同様の測定乃至評価を行った。結果を下記および表1に示す。
(i)調製した重合体の重量平均分子量および分子量分布
重量平均分子量:60062、分子量分布:1.349
(ii)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜における重合体の重量平均分子量および分子量分布
重量平均分子量:58506、分子量分布:1.421
(iii)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜における重合体の重量平均分子量の維持率
維持率:97.4%、維持率評価結果:A(維持率大で良好)
(iv)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜と被加工物との密着性
密着性評価結果:A(密着性良好)
【0084】
(比較例1)
実施例1において、150℃で10分間加熱するプリベーク工程を行う代わりに、190℃で10分間加熱するプリベーク工程を行ったこと以外は、実施例1と同様に、「重合体(F3)の調製」、「ポジ型レジスト組成物の調製」、「レジストパターンの形成」を行い、同様の測定乃至評価を行った。結果を下記および表1に示す。
(i)調製した重合体の重量平均分子量および分子量分布
重量平均分子量:60062、分子量分布:1.349
(ii)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜における重合体の重量平均分子量および分子量分布
重量平均分子量:48748、分子量分布:1.488
(iii)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜における重合体の重量平均分子量の維持率
維持率:81.2%、維持率評価結果:B(維持率小)
(iv)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜と被加工物との密着性
密着性評価結果:A(密着性良好)
【0085】
(比較例2)
実施例1において、150℃で10分間加熱するプリベーク工程を行う代わりに、140℃で1分間加熱するプリベーク工程を行ったこと以外は、実施例1と同様に、「重合体(F3)の調製」、「ポジ型レジスト組成物の調製」、「レジストパターンの形成」を行い、同様の測定乃至評価を行った。結果を下記および表1に示す。
(i)調製した重合体の重量平均分子量および分子量分布
重量平均分子量:60062、分子量分布:1.349
(ii)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜における重合体の重量平均分子量および分子量分布
重量平均分子量:61437、分子量分布:1.365
(iii)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜における重合体の重量平均分子量の維持率
維持率:102.3%、維持率評価結果:A(維持率大で良好)
(iv)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜と被加工物との密着性
密着性評価結果:B(密着性低)
【0086】
(比較例3)
実施例1において、150℃で10分間加熱するプリベーク工程を行う代わりに、140℃で3分間加熱するプリベーク工程を行ったこと以外は、実施例1と同様に、「重合体(F3)の調製」、「ポジ型レジスト組成物の調製」、「レジストパターンの形成」を行い、同様の測定乃至評価を行った。結果を下記および表1に示す。
(i)調製した重合体の重量平均分子量および分子量分布
重量平均分子量:60062、分子量分布:1.349
(ii)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜における重合体の重量平均分子量および分子量分布
重量平均分子量:59508、分子量分布:1.335
(iii)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜における重合体の重量平均分子量の維持率
維持率:99.1%、維持率評価結果:A(維持率大で良好)
(iv)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜と被加工物との密着性
密着性評価結果:B(密着性低)
【0087】
(比較例4)
実施例1において、150℃で10分間加熱するプリベーク工程を行う代わりに、140℃で5分間加熱するプリベーク工程を行ったこと以外は、実施例1と同様に、「重合体(F3)の調製」、「ポジ型レジスト組成物の調製」、「レジストパターンの形成」を行い、同様の測定乃至評価を行った。結果を下記および表1に示す。
(i)調製した重合体の重量平均分子量および分子量分布
重量平均分子量:60062、分子量分布:1.349
(ii)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜における重合体の重量平均分子量および分子量分布
重量平均分子量:59673、分子量分布:1.343
(iii)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜における重合体の重量平均分子量の維持率
維持率:99.4%、維持率評価結果:A(維持率大で良好)
(iv)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜と被加工物との密着性
密着性評価結果:B(密着性低)
【0088】
(比較例5)
実施例1において、150℃で10分間加熱するプリベーク工程を行う代わりに、140℃で10分間加熱するプリベーク工程を行ったこと以外は、実施例1と同様に、「重合体(F3)の調製」、「ポジ型レジスト組成物の調製」、「レジストパターンの形成」を行い、同様の測定乃至評価を行った。結果を下記および表1に示す。
(i)調製した重合体の重量平均分子量および分子量分布
重量平均分子量:60062、分子量分布:1.349
(ii)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜における重合体の重量平均分子量および分子量分布
重量平均分子量:59066、分子量分布:1.346
(iii)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜における重合体の重量平均分子量の維持率
維持率:98.3%、維持率評価結果:A(維持率大で良好)
(iv)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜と被加工物との密着性
密着性評価結果:B(密着性低)
【0089】
(比較例6)
実施例1において、150℃で10分間加熱するプリベーク工程を行う代わりに、150℃で1分間加熱するプリベーク工程を行ったこと以外は、実施例1と同様に、「重合体(F3)の調製」、「ポジ型レジスト組成物の調製」、「レジストパターンの形成」を行い、同様の測定乃至評価を行った。結果を下記および表1に示す。
(i)調製した重合体の重量平均分子量および分子量分布
重量平均分子量:60062、分子量分布:1.349
(ii)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜における重合体の重量平均分子量および分子量分布
重量平均分子量:58041、分子量分布:1.369
(iii)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜における重合体の重量平均分子量の維持率
維持率:96.6%、維持率評価結果:A(維持率大で良好)
(iv)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜と被加工物との密着性
密着性評価結果:B(密着性低)
【0090】
(比較例7)
実施例1において、150℃で10分間加熱するプリベーク工程を行う代わりに、150℃で3分間加熱するプリベーク工程を行ったこと以外は、実施例1と同様に、「重合体(F3)の調製」、「ポジ型レジスト組成物の調製」、「レジストパターンの形成」を行い、同様の測定乃至評価を行った。結果を下記および表1に示す。
(i)調製した重合体の重量平均分子量および分子量分布
重量平均分子量:60062、分子量分布:1.349
(ii)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜における重合体の重量平均分子量および分子量分布
重量平均分子量:58557、分子量分布:1.329
(iii)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜における重合体の重量平均分子量の維持率
維持率:97.5%、維持率評価結果:A(維持率大で良好)
(iv)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜と被加工物との密着性
密着性評価結果:B(密着性低)
【0091】
(比較例8)
実施例1において、150℃で10分間加熱するプリベーク工程を行う代わりに、150℃で5分間加熱するプリベーク工程を行ったこと以外は、実施例1と同様に、「重合体(F3)の調製」、「ポジ型レジスト組成物の調製」、「レジストパターンの形成」を行い、同様の測定乃至評価を行った。結果を下記および表1に示す。
(i)調製した重合体の重量平均分子量および分子量分布
重量平均分子量:60062、分子量分布:1.349
(ii)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜における重合体の重量平均分子量および分子量分布
重量平均分子量:59629、分子量分布:1.344
(iii)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜における重合体の重量平均分子量の維持率
維持率:99.3%、維持率評価結果:A(維持率大で良好)
(iv)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜と被加工物との密着性
密着性評価結果:B(密着性低)
【0092】
(比較例9)
実施例1において、150℃で10分間加熱するプリベーク工程を行う代わりに、160℃で1分間加熱するプリベーク工程を行ったこと以外は、実施例1と同様に、「重合体(F3)の調製」、「ポジ型レジスト組成物の調製」、「レジストパターンの形成」を行い、同様の測定乃至評価を行った。結果を下記および表1に示す。
(i)調製した重合体の重量平均分子量および分子量分布
重量平均分子量:60062、分子量分布:1.349
(ii)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜における重合体の重量平均分子量および分子量分布
重量平均分子量:58600、分子量分布:1.340
(iii)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜における重合体の重量平均分子量の維持率
維持率:97.6%、維持率評価結果:A(維持率大で良好)
(iv)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜と被加工物との密着性
密着性評価結果:B(密着性低)
【0093】
(実施例5)
<重合体(F5)の調製>
単量体(a)としてのα−クロロアクリル酸2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル(ACAPFP)3.0gおよび単量体(b)としてのα−メチルスチレン(AMS)3.4764gと、重合開始剤としてのアゾビスイソブチロニトリル0.0055gと、溶媒としてのシクロペンタノン1.6205gを含む単量体組成物をガラス容器に入れ、ガラス容器を密閉および窒素置換して、窒素雰囲気下、78℃の恒温槽内で6時間撹拌した。その後、室温に戻し、ガラス容器内を大気解放した後、得られた溶液にテトラヒドロフラン(THF)10gを加えた。そして、THFを加えた溶液を、メタノール300g中に滴下し、重合物を析出させた。その後、析出した重合物を含む溶液をキリヤマ漏斗によりろ過し、白色の凝固物(重合体)を得た。次いで、得られた重合体(crude)を100gのTHFに溶解させ、得られた溶液をTHF100gとメタノール(MeOH)900gとの混合溶媒に滴下し、白色の凝固物(α−メチルスチレン単位およびα−クロロアクリル酸2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル単位を含有する重合体)を析出させた。その後、析出した重合体を含む溶液をキリヤマ漏斗によりろ過し、白色の重合体を得た。なお、得られた重合体は、α−クロロアクリル酸2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル単位を50mol%、α−メチルスチレン単位を50mol%含んでいた。
そして、得られた重合体について、重量平均分子量、数平均分子量および分子量分布を測定した。測定した重量平均分子量および分子量分布を下記に示す。
【0094】
<ポジ型レジスト組成物の調製>
得られた重合体を溶剤としての酢酸n−ヘキシルに溶解させ、重合体の濃度が4質量%であるレジスト溶液(ポジ型レジスト組成物)を調製した。
【0095】
<レジストパターンの形成>
スピンコーター(ミカサ製、MS−A150)を使用し、ポジ型レジスト組成物を、直径4インチのマスクブランクス(石英基板(厚み:1.0mm)上にクロム層(厚み:10nm)が形成されたもの)上に塗布した。次いで、塗布したポジ型レジスト組成物を温度150℃のホットプレートで10分間加熱して(プリベーク工程)、マスクブランクス上に厚さ50nmのレジスト膜を形成した。そして、得られたレジスト膜における重合体についてゲル浸透クロマトグラフィーを用いて重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)を測定し、分子量分布(Mw/Mn)を算出した。また、電子線描画装置(エリオニクス社製、ELS−S50)を用いてレジスト膜を最適露光量(Eop)で露光して、パターンを描画した。その後、レジスト用現像液として、フッ素系溶剤(三井・デュポンフロロケミカル株式会社製、バートレルXF(登録商標)、CFCFHCFHCFCF)を用いて温度23℃で1分間の現像処理を行った後、リンス液としてのフッ素系溶剤(三井・デュポンフロロケミカル社製、バートレル(CFCFHCFHCFCF))で10秒間リンスして、レジストパターンを形成した。そして、プリベーク工程を経て形成したレジスト膜とマスクブランクスとの密着性を評価した。なお、最適露光量(Eop)は、適宜設定した。また、レジストパターンのライン(未露光領域)とスペース(露光領域)は、それぞれ20nmとした。
【0096】
<測定評価結果>
測定した重量平均分子量および分子量分布、重量平均分子量の維持率の評価結果、並びに、密着性の評価結果を下記および表2に示す。
(i)調製した重合体の重量平均分子量および分子量分布
重量平均分子量:51522、分子量分布:1.403
(ii)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜における重合体の重量平均分子量および分子量分布
重量平均分子量:50473、分子量分布:1.416
(iii)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜における重合体の重量平均分子量の維持率
維持率:98.0%、維持率評価結果:A(維持率大で良好)
(iv)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜と被加工物との密着性
密着性評価結果:A(密着性良好)
【0097】
(実施例6)
実施例5において、150℃で10分間加熱するプリベーク工程を行う代わりに、160℃で3分間加熱するプリベーク工程を行ったこと以外は、実施例5と同様に、「重合体(F5)の調製」、「ポジ型レジスト組成物の調製」、「レジストパターンの形成」を行い、同様の測定乃至評価を行った。結果を下記および表2に示す。
(i)調製した重合体の重量平均分子量および分子量分布
重量平均分子量:51522、分子量分布:1.403
(ii)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜における重合体の重量平均分子量および分子量分布
重量平均分子量:50876、分子量分布:1.414
(iii)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜における重合体の重量平均分子量の維持率
維持率:98.7%、維持率評価結果:A(維持率大で良好)
(iv)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜と被加工物との密着性
密着性評価結果:A(密着性良好)
【0098】
(実施例7)
実施例5において、150℃で10分間加熱するプリベーク工程を行う代わりに、160℃で5分間加熱するプリベーク工程を行ったこと以外は、実施例5と同様に、「重合体(F5)の調製」、「ポジ型レジスト組成物の調製」、「レジストパターンの形成」を行い、同様の測定乃至評価を行った。結果を下記および表2に示す。
(i)調製した重合体の重量平均分子量および分子量分布
重量平均分子量:51522、分子量分布:1.403
(ii)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜における重合体の重量平均分子量および分子量分布
重量平均分子量:50787、分子量分布:1.417
(iii)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜における重合体の重量平均分子量の維持率
維持率:98.6%、維持率評価結果:A(維持率大で良好)
(iv)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜と被加工物との密着性
密着性評価結果:A(密着性良好)
【0099】
(実施例8)
実施例5において、150℃で10分間加熱するプリベーク工程を行う代わりに、160℃で10分間加熱するプリベーク工程を行ったこと以外は、実施例5と同様に、「重合体(F5)の調製」、「ポジ型レジスト組成物の調製」、「レジストパターンの形成」を行い、同様の測定乃至評価を行った。結果を下記および表2に示す。
(i)調製した重合体の重量平均分子量および分子量分布
重量平均分子量:51522、分子量分布:1.403
(ii)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜における重合体の重量平均分子量および分子量分布
重量平均分子量:50146、分子量分布:1.422
(iii)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜における重合体の重量平均分子量の維持率
維持率:97.3%、維持率評価結果:A(維持率大で良好)
(iv)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜と被加工物との密着性
密着性評価結果:A(密着性良好)
【0100】
(実施例9)
実施例5において、150℃で10分間加熱するプリベーク工程を行う代わりに、170℃で3分間加熱するプリベーク工程を行ったこと以外は、実施例5と同様に、「重合体(F5)の調製」、「ポジ型レジスト組成物の調製」、「レジストパターンの形成」を行い、同様の測定乃至評価を行った。結果を下記および表2に示す。
(i)調製した重合体の重量平均分子量および分子量分布
重量平均分子量:51522、分子量分布:1.403
(ii)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜における重合体の重量平均分子量および分子量分布
重量平均分子量:50791、分子量分布:1.415
(iii)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜における重合体の重量平均分子量の維持率
維持率:98.6%、維持率評価結果:A(維持率大で良好)
(iv)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜と被加工物との密着性
密着性評価結果:A(密着性良好)
【0101】
(実施例10)
実施例5において、150℃で10分間加熱するプリベーク工程を行う代わりに、170℃で5分間加熱するプリベーク工程を行ったこと以外は、実施例5と同様に、「重合体(F5)の調製」、「ポジ型レジスト組成物の調製」、「レジストパターンの形成」を行い、同様の測定乃至評価を行った。結果を下記および表2に示す。
(i)調製した重合体の重量平均分子量および分子量分布
重量平均分子量:51522、分子量分布:1.403
(ii)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜における重合体の重量平均分子量および分子量分布
重量平均分子量:49488、分子量分布:1.437
(iii)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜における重合体の重量平均分子量の維持率
維持率:96.1%、維持率評価結果:A(維持率大で良好)
(iv)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜と被加工物との密着性
密着性評価結果:A(密着性良好)
【0102】
(比較例10)
実施例5において、150℃で10分間加熱するプリベーク工程を行う代わりに、190℃で10分間加熱するプリベーク工程を行ったこと以外は、実施例5と同様に、「重合体(F5)の調製」、「ポジ型レジスト組成物の調製」、「レジストパターンの形成」を行い、同様の測定乃至評価を行った。結果を下記および表2に示す。
(i)調製した重合体の重量平均分子量および分子量分布
重量平均分子量:51522、分子量分布:1.403
(ii)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜における重合体の重量平均分子量および分子量分布
重量平均分子量:43858、分子量分布:1.482
(iii)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜における重合体の重量平均分子量の維持率
維持率:85.1%、維持率評価結果:B(維持率小)
(iv)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜と被加工物との密着性
密着性評価結果:A(密着性良好)
【0103】
(比較例11)
実施例5において、150℃で10分間加熱するプリベーク工程を行う代わりに、140℃で1分間加熱するプリベーク工程を行ったこと以外は、実施例5と同様に、「重合体(F5)の調製」、「ポジ型レジスト組成物の調製」、「レジストパターンの形成」を行い、同様の測定乃至評価を行った。結果を下記および表2に示す。
(i)調製した重合体の重量平均分子量および分子量分布
重量平均分子量:51522、分子量分布:1.403
(ii)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜における重合体の重量平均分子量および分子量分布
重量平均分子量:50412、分子量分布:1.400
(iii)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜における重合体の重量平均分子量の維持率
維持率:97.8%、維持率評価結果:A(維持率大で良好)
(iv)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜と被加工物との密着性
密着性評価結果:B(密着性低)
【0104】
(比較例12)
実施例5において、150℃で10分間加熱するプリベーク工程を行う代わりに、140℃で3分間加熱するプリベーク工程を行ったこと以外は、実施例5と同様に、「重合体(F5)の調製」、「ポジ型レジスト組成物の調製」、「レジストパターンの形成」を行い、同様の測定乃至評価を行った。結果を下記および表2に示す。
(i)調製した重合体の重量平均分子量および分子量分布
重量平均分子量:51522、分子量分布:1.403
(ii)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜における重合体の重量平均分子量および分子量分布
重量平均分子量:51156、分子量分布:1.404
(iii)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜における重合体の重量平均分子量の維持率
維持率:99.3%、維持率評価結果:A(維持率大で良好)
(iv)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜と被加工物との密着性
密着性評価結果:B(密着性低)
【0105】
(比較例13)
実施例5において、150℃で10分間加熱するプリベーク工程を行う代わりに、140℃で5分間加熱するプリベーク工程を行ったこと以外は、実施例5と同様に、「重合体(F5)の調製」、「ポジ型レジスト組成物の調製」、「レジストパターンの形成」を行い、同様の測定乃至評価を行った。結果を下記および表2に示す。
(i)調製した重合体の重量平均分子量および分子量分布
重量平均分子量:51522、分子量分布:1.403
(ii)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜における重合体の重量平均分子量および分子量分布
重量平均分子量:50972、分子量分布:1.407
(iii)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜における重合体の重量平均分子量の維持率
維持率:98.9%、維持率評価結果:A(維持率大で良好)
(iv)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜と被加工物との密着性
密着性評価結果:B(密着性低)
【0106】
(比較例14)
実施例5において、150℃で10分間加熱するプリベーク工程を行う代わりに、140℃で10分間加熱するプリベーク工程を行ったこと以外は、実施例5と同様に、「重合体(F5)の調製」、「ポジ型レジスト組成物の調製」、「レジストパターンの形成」を行い、同様の測定乃至評価を行った。結果を下記および表2に示す。
(i)調製した重合体の重量平均分子量および分子量分布
重量平均分子量:51522、分子量分布:1.403
(ii)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜における重合体の重量平均分子量および分子量分布
重量平均分子量:50032、分子量分布:1.405
(iii)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜における重合体の重量平均分子量の維持率
維持率:97.1%、維持率評価結果:A(維持率大で良好)
(iv)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜と被加工物との密着性
密着性評価結果:B(密着性低)
【0107】
(比較例15)
実施例5において、150℃で10分間加熱するプリベーク工程を行う代わりに、150℃で1分間加熱するプリベーク工程を行ったこと以外は、実施例5と同様に、「重合体(F5)の調製」、「ポジ型レジスト組成物の調製」、「レジストパターンの形成」を行い、同様の測定乃至評価を行った。結果を下記および表2に示す。
(i)調製した重合体の重量平均分子量および分子量分布
重量平均分子量:51522、分子量分布:1.403
(ii)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜における重合体の重量平均分子量および分子量分布
重量平均分子量:51211、分子量分布:1.402
(iii)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜における重合体の重量平均分子量の維持率
維持率:99.4%、維持率評価結果:A(維持率大で良好)
(iv)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜と被加工物との密着性
密着性評価結果:B(密着性低)
【0108】
(比較例16)
実施例5において、150℃で10分間加熱するプリベーク工程を行う代わりに、150℃で3分間加熱するプリベーク工程を行ったこと以外は、実施例5と同様に、「重合体(F5)の調製」、「ポジ型レジスト組成物の調製」、「レジストパターンの形成」を行い、同様の測定乃至評価を行った。結果を下記および表2に示す。
(i)調製した重合体の重量平均分子量および分子量分布
重量平均分子量:51522、分子量分布:1.403
(ii)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜における重合体の重量平均分子量および分子量分布
重量平均分子量:51321、分子量分布:1.412
(iii)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜における重合体の重量平均分子量の維持率
維持率:99.6%、維持率評価結果:A(維持率大で良好)
(iv)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜と被加工物との密着性
密着性評価結果:B(密着性低)
【0109】
(比較例17)
実施例5において、150℃で10分間加熱するプリベーク工程を行う代わりに、150℃で5分間加熱するプリベーク工程を行ったこと以外は、実施例5と同様に、「重合体(F5)の調製」、「ポジ型レジスト組成物の調製」、「レジストパターンの形成」を行い、同様の測定乃至評価を行った。結果を下記および表2に示す。
(i)調製した重合体の重量平均分子量および分子量分布
重量平均分子量:51522、分子量分布:1.403
(ii)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜における重合体の重量平均分子量および分子量分布
重量平均分子量:51194、分子量分布:1.436
(iii)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜における重合体の重量平均分子量の維持率
維持率:99.4%、維持率評価結果:A(維持率大で良好)
(iv)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜と被加工物との密着性
密着性評価結果:B(密着性低)
【0110】
(比較例18)
実施例5において、150℃で10分間加熱するプリベーク工程を行う代わりに、160℃で1分間加熱するプリベーク工程を行ったこと以外は、実施例5と同様に、「重合体(F5)の調製」、「ポジ型レジスト組成物の調製」、「レジストパターンの形成」を行い、同様の測定乃至評価を行った。結果を下記および表2に示す。
(i)調製した重合体の重量平均分子量および分子量分布
重量平均分子量:51522、分子量分布:1.403
(ii)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜における重合体の重量平均分子量および分子量分布
重量平均分子量:50975、分子量分布:1.413
(iii)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜における重合体の重量平均分子量の維持率
維持率:98.9%、維持率評価結果:A(維持率大で良好)
(iv)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜と被加工物との密着性
密着性評価結果:B(密着性低)
【0111】
(実施例11)
<重合体(F6)の調製>
単量体(a)としてのα−クロロアクリル酸2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル(ACAPFP)3.0gおよび単量体(b)としての4−フルオロ−α−メチルスチレン(4FAMS)3.23483gと、重合開始剤としてのアゾビスイソブチロニトリル0.00521gとを含む単量体組成物をガラス容器に入れ、ガラス容器を密閉および窒素置換して、窒素雰囲気下、78℃の恒温槽内で6時間撹拌した。その後、室温に戻し、ガラス容器内を大気解放した後、得られた溶液にテトラヒドロフラン(THF)10gを加えた。そして、THFを加えた溶液を、メタノール300g中に滴下し、重合物を析出させた。その後、析出した重合物を含む溶液をキリヤマ漏斗によりろ過し、白色の凝固物(重合体)を得た。次いで、得られた重合体(crude)を100gのTHFに溶解させ、得られた溶液をTHF50gとメタノール(MeOH)950gとの混合溶媒に滴下し、白色の凝固物(4−フルオロ−α−メチルスチレン単位およびα−クロロアクリル酸2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル単位を含有する重合体)を析出させた。その後、析出した重合体を含む溶液をキリヤマ漏斗によりろ過し、白色の重合体を得た。なお、得られた重合体は、α−クロロアクリル酸2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル単位を50mol%、4−フルオロ−α−メチルスチレン単位を50mol%含んでいた。
そして、得られた重合体について、重量平均分子量、数平均分子量および分子量分布を測定した。測定した重量平均分子量および分子量分布を下記に示す。
【0112】
<ポジ型レジスト組成物の調製>
得られた重合体を溶剤としての酢酸n−ヘキシルに溶解させ、重合体の濃度が4質量%であるレジスト溶液(ポジ型レジスト組成物)を調製した。
【0113】
<レジストパターンの形成>
スピンコーター(ミカサ製、MS−A150)を使用し、ポジ型レジスト組成物を、直径4インチのマスクブランクス(石英基板(厚み:1.0mm)上にクロム層(厚み:10nm)が形成されたもの)上に塗布した。次いで、塗布したポジ型レジスト組成物を温度150℃のホットプレートで10分間加熱して(プリベーク工程)、マスクブランクス上に厚さ50nmのレジスト膜を形成した。そして、得られたレジスト膜における重合体についてゲル浸透クロマトグラフィーを用いて重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)を測定し、分子量分布(Mw/Mn)を算出した。また、電子線描画装置(エリオニクス社製、ELS−S50)を用いてレジスト膜を最適露光量(Eop)で露光して、パターンを描画した。その後、レジスト用現像液として、フッ素系溶剤(三井・デュポンフロロケミカル株式会社製、バートレルXF(登録商標)、CFCFHCFHCFCF)を用いて温度23℃で1分間の現像処理を行った後、リンス液としてのフッ素系溶剤(三井・デュポンフロロケミカル社製、バートレル(CFCFHCFHCFCF))で10秒間リンスして、レジストパターンを形成した。そして、プリベーク工程を経て形成したレジスト膜とマスクブランクスとの密着性を評価した。なお、最適露光量(Eop)は、適宜設定した。また、レジストパターンのライン(未露光領域)とスペース(露光領域)は、それぞれ20nmとした。
【0114】
<測定評価結果>
測定した重量平均分子量および分子量分布、重量平均分子量の維持率の評価結果、並びに、密着性の評価結果を下記および表3に示す。
(i)調製した重合体の重量平均分子量および分子量分布
重量平均分子量:47311、分子量分布:1.284
(ii)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜における重合体の重量平均分子量および分子量分布
重量平均分子量:48317、分子量分布:1.289
(iii)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜における重合体の重量平均分子量の維持率
維持率:102.1%、維持率評価結果:A(維持率大で良好)
(iv)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜と被加工物との密着性
密着性評価結果:A(密着性良好)
【0115】
(実施例12)
実施例11において、150℃で10分間加熱するプリベーク工程を行う代わりに、160℃で3分間加熱するプリベーク工程を行ったこと以外は、実施例11と同様に、「重合体(F6)の調製」、「ポジ型レジスト組成物の調製」、「レジストパターンの形成」を行い、同様の測定乃至評価を行った。結果を下記および表3に示す。
(i)調製した重合体の重量平均分子量および分子量分布
重量平均分子量:47311、分子量分布:1.284
(ii)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜における重合体の重量平均分子量および分子量分布
重量平均分子量:48294、分子量分布:1.288
(iii)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜における重合体の重量平均分子量の維持率
維持率:102.1%、維持率評価結果:A(維持率大で良好)
(iv)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜と被加工物との密着性
密着性評価結果:A(密着性良好)
【0116】
(実施例13)
実施例11において、150℃で10分間加熱するプリベーク工程を行う代わりに、160℃で5分間加熱するプリベーク工程を行ったこと以外は、実施例11と同様に、「重合体(F6)の調製」、「ポジ型レジスト組成物の調製」、「レジストパターンの形成」を行い、同様の測定乃至評価を行った。結果を下記および表3に示す。
(i)調製した重合体の重量平均分子量および分子量分布
重量平均分子量:47311、分子量分布:1.284
(ii)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜における重合体の重量平均分子量および分子量分布
重量平均分子量:47739、分子量分布:1.292
(iii)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜における重合体の重量平均分子量の維持率
維持率:100.9%、維持率評価結果:A(維持率大で良好)
(iv)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜と被加工物との密着性
密着性評価結果:A(密着性良好)
【0117】
(実施例14)
実施例11において、150℃で10分間加熱するプリベーク工程を行う代わりに、160℃で10分間加熱するプリベーク工程を行ったこと以外は、実施例11と同様に、「重合体(F6)の調製」、「ポジ型レジスト組成物の調製」、「レジストパターンの形成」を行い、同様の測定乃至評価を行った。結果を下記および表3に示す。
(i)調製した重合体の重量平均分子量および分子量分布
重量平均分子量:47311、分子量分布:1.284
(ii)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜における重合体の重量平均分子量および分子量分布
重量平均分子量:47127、分子量分布:1.299
(iii)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜における重合体の重量平均分子量の維持率
維持率:99.6%、維持率評価結果:A(維持率大で良好)
(iv)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜と被加工物との密着性
密着性評価結果:A(密着性良好)
【0118】
(実施例15)
実施例11において、150℃で10分間加熱するプリベーク工程を行う代わりに、170℃で1分間加熱するプリベーク工程を行ったこと以外は、実施例11と同様に、「重合体(F6)の調製」、「ポジ型レジスト組成物の調製」、「レジストパターンの形成」を行い、同様の測定乃至評価を行った。結果を下記および表3に示す。
(i)調製した重合体の重量平均分子量および分子量分布
重量平均分子量:47311、分子量分布:1.284
(ii)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜における重合体の重量平均分子量および分子量分布
重量平均分子量:47174、分子量分布:1.284
(iii)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜における重合体の重量平均分子量の維持率
維持率:99.7%、維持率評価結果:A(維持率大で良好)
(iv)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜と被加工物との密着性
密着性評価結果:A(密着性良好)
【0119】
(実施例16)
実施例11において、150℃で10分間加熱するプリベーク工程を行う代わりに、170℃で3分間加熱するプリベーク工程を行ったこと以外は、実施例11と同様に、「重合体(F6)の調製」、「ポジ型レジスト組成物の調製」、「レジストパターンの形成」を行い、同様の測定乃至評価を行った。結果を下記および表3に示す。
(i)調製した重合体の重量平均分子量および分子量分布
重量平均分子量:47311、分子量分布:1.284
(ii)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜における重合体の重量平均分子量および分子量分布
重量平均分子量:48079、分子量分布:1.293
(iii)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜における重合体の重量平均分子量の維持率
維持率:101.6%、維持率評価結果:A(維持率大で良好)
(iv)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜と被加工物との密着性
密着性評価結果:A(密着性良好)
【0120】
(実施例17)
実施例11において、150℃で10分間加熱するプリベーク工程を行う代わりに、170℃で5分間加熱するプリベーク工程を行ったこと以外は、実施例11と同様に、「重合体(F6)の調製」、「ポジ型レジスト組成物の調製」、「レジストパターンの形成」を行い、同様の測定乃至評価を行った。結果を下記および表3に示す。
(i)調製した重合体の重量平均分子量および分子量分布
重量平均分子量:47311、分子量分布:1.284
(ii)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜における重合体の重量平均分子量および分子量分布
重量平均分子量:47218、分子量分布:1.302
(iii)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜における重合体の重量平均分子量の維持率
維持率:99.8%、維持率評価結果:A(維持率大で良好)
(iv)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜と被加工物との密着性
密着性評価結果:A(密着性良好)
【0121】
(実施例18)
実施例11において、150℃で10分間加熱するプリベーク工程を行う代わりに、170℃で10分間加熱するプリベーク工程を行ったこと以外は、実施例11と同様に、「重合体(F6)の調製」、「ポジ型レジスト組成物の調製」、「レジストパターンの形成」を行い、同様の測定乃至評価を行った。結果を下記および表3に示す。
(i)調製した重合体の重量平均分子量および分子量分布
重量平均分子量:47311、分子量分布:1.284
(ii)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜における重合体の重量平均分子量および分子量分布
重量平均分子量:46546、分子量分布:1.310
(iii)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜における重合体の重量平均分子量の維持率
維持率:98.4%、維持率評価結果:A(維持率大で良好)
(iv)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜と被加工物との密着性
密着性評価結果:A(密着性良好)
【0122】
(実施例19)
実施例11において、150℃で10分間加熱するプリベーク工程を行う代わりに、180℃で1分間加熱するプリベーク工程を行ったこと以外は、実施例11と同様に、「重合体(F6)の調製」、「ポジ型レジスト組成物の調製」、「レジストパターンの形成」を行い、同様の測定乃至評価を行った。結果を下記および表3に示す。
(i)調製した重合体の重量平均分子量および分子量分布
重量平均分子量:47311、分子量分布:1.284
(ii)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜における重合体の重量平均分子量および分子量分布
重量平均分子量:48008、分子量分布:1.291
(iii)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜における重合体の重量平均分子量の維持率
維持率:101.5%、維持率評価結果:A(維持率大で良好)
(iv)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜と被加工物との密着性
密着性評価結果:A(密着性良好)
【0123】
(実施例20)
実施例11において、150℃で10分間加熱するプリベーク工程を行う代わりに、180℃で3分間加熱するプリベーク工程を行ったこと以外は、実施例11と同様に、「重合体(F6)の調製」、「ポジ型レジスト組成物の調製」、「レジストパターンの形成」を行い、同様の測定乃至評価を行った。結果を下記および表3に示す。
(i)調製した重合体の重量平均分子量および分子量分布
重量平均分子量:47311、分子量分布:1.284
(ii)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜における重合体の重量平均分子量および分子量分布
重量平均分子量:47597、分子量分布:1.301
(iii)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜における重合体の重量平均分子量の維持率
維持率:100.6%、維持率評価結果:A(維持率大で良好)
(iv)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜と被加工物との密着性
密着性評価結果:A(密着性良好)
【0124】
(実施例21)
実施例11において、150℃で10分間加熱するプリベーク工程を行う代わりに、180℃で5分間加熱するプリベーク工程を行ったこと以外は、実施例11と同様に、「重合体(F6)の調製」、「ポジ型レジスト組成物の調製」、「レジストパターンの形成」を行い、同様の測定乃至評価を行った。結果を下記および表3に示す。
(i)調製した重合体の重量平均分子量および分子量分布
重量平均分子量:47311、分子量分布:1.284
(ii)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜における重合体の重量平均分子量および分子量分布
重量平均分子量:46227、分子量分布:1.318
(iii)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜における重合体の重量平均分子量の維持率
維持率:97.7%、維持率評価結果:A(維持率大で良好)
(iv)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜と被加工物との密着性
密着性評価結果:A(密着性良好)
【0125】
(実施例22)
実施例11において、150℃で10分間加熱するプリベーク工程を行う代わりに、180℃で10分間加熱するプリベーク工程を行ったこと以外は、実施例11と同様に、「重合体(F6)の調製」、「ポジ型レジスト組成物の調製」、「レジストパターンの形成」を行い、同様の測定乃至評価を行った。結果を下記および表3に示す。
(i)調製した重合体の重量平均分子量および分子量分布
重量平均分子量:47311、分子量分布:1.284
(ii)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜における重合体の重量平均分子量および分子量分布
重量平均分子量:46266、分子量分布:1.314
(iii)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜における重合体の重量平均分子量の維持率
維持率:97.8%、維持率評価結果:A(維持率大で良好)
(iv)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜と被加工物との密着性
密着性評価結果:A(密着性良好)
【0126】
(実施例23)
実施例11において、150℃で10分間加熱するプリベーク工程を行う代わりに、190℃で1分間加熱するプリベーク工程を行ったこと以外は、実施例11と同様に、「重合体(F6)の調製」、「ポジ型レジスト組成物の調製」、「レジストパターンの形成」を行い、同様の測定乃至評価を行った。結果を下記および表3に示す。
(i)調製した重合体の重量平均分子量および分子量分布
重量平均分子量:47311、分子量分布:1.284
(ii)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜における重合体の重量平均分子量および分子量分布
重量平均分子量:47934、分子量分布:1.299
(iii)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜における重合体の重量平均分子量の維持率
維持率:101.3%、維持率評価結果:A(維持率大で良好)
(iv)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜と被加工物との密着性
密着性評価結果:A(密着性良好)
【0127】
(実施例24)
実施例11において、150℃で10分間加熱するプリベーク工程を行う代わりに、190℃で3分間加熱するプリベーク工程を行ったこと以外は、実施例11と同様に、「重合体(F6)の調製」、「ポジ型レジスト組成物の調製」、「レジストパターンの形成」を行い、同様の測定乃至評価を行った。結果を下記および表3に示す。
(i)調製した重合体の重量平均分子量および分子量分布
重量平均分子量:47311、分子量分布:1.284
(ii)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜における重合体の重量平均分子量および分子量分布
重量平均分子量:47165、分子量分布:1.306
(iii)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜における重合体の重量平均分子量の維持率
維持率:99.7%、維持率評価結果:A(維持率大で良好)
(iv)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜と被加工物との密着性
密着性評価結果:A(密着性良好)
【0128】
(実施例25)
実施例11において、150℃で10分間加熱するプリベーク工程を行う代わりに、190℃で5分間加熱するプリベーク工程を行ったこと以外は、実施例11と同様に、「重合体(F6)の調製」、「ポジ型レジスト組成物の調製」、「レジストパターンの形成」を行い、同様の測定乃至評価を行った。結果を下記および表3に示す。
(i)調製した重合体の重量平均分子量および分子量分布
重量平均分子量:47311、分子量分布:1.284
(ii)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜における重合体の重量平均分子量および分子量分布
重量平均分子量:45937、分子量分布:1.318
(iii)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜における重合体の重量平均分子量の維持率
維持率:97.1%、維持率評価結果:A(維持率大で良好)
(iv)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜と被加工物との密着性
密着性評価結果:A(密着性良好)
【0129】
(比較例19)
実施例11において、150℃で10分間加熱するプリベーク工程を行う代わりに、190℃で10分間加熱するプリベーク工程を行ったこと以外は、実施例11と同様に、「重合体(F6)の調製」、「ポジ型レジスト組成物の調製」、「レジストパターンの形成」を行い、同様の測定乃至評価を行った。結果を下記および表3に示す。
(i)調製した重合体の重量平均分子量および分子量分布
重量平均分子量:47311、分子量分布:1.284
(ii)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜における重合体の重量平均分子量および分子量分布
重量平均分子量:45219、分子量分布:1.323
(iii)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜における重合体の重量平均分子量の維持率
維持率:95.6%、維持率評価結果:B(維持率小)
(iv)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜と被加工物との密着性
密着性評価結果:A(密着性良好)
【0130】
(比較例20)
実施例11において、150℃で10分間加熱するプリベーク工程を行う代わりに、140℃で1分間加熱するプリベーク工程を行ったこと以外は、実施例11と同様に、「重合体(F6)の調製」、「ポジ型レジスト組成物の調製」、「レジストパターンの形成」を行い、同様の測定乃至評価を行った。結果を下記および表3に示す。
(i)調製した重合体の重量平均分子量および分子量分布
重量平均分子量:47311、分子量分布:1.284
(ii)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜における重合体の重量平均分子量および分子量分布
重量平均分子量:47547、分子量分布:1.285
(iii)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜における重合体の重量平均分子量の維持率
維持率:100.5%、維持率評価結果:A(維持率大で良好)
(iv)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜と被加工物との密着性
密着性評価結果:B(密着性低)
【0131】
(比較例21)
実施例11において、150℃で10分間加熱するプリベーク工程を行う代わりに、140℃で3分間加熱するプリベーク工程を行ったこと以外は、実施例11と同様に、「重合体(F6)の調製」、「ポジ型レジスト組成物の調製」、「レジストパターンの形成」を行い、同様の測定乃至評価を行った。結果を下記および表3に示す。
(i)調製した重合体の重量平均分子量および分子量分布
重量平均分子量:47311、分子量分布:1.284
(ii)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜における重合体の重量平均分子量および分子量分布
重量平均分子量:48438、分子量分布:1.283
(iii)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜における重合体の重量平均分子量の維持率
維持率:102.4%、維持率評価結果:A(維持率大で良好)
(iv)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜と被加工物との密着性
密着性評価結果:B(密着性低)
【0132】
(比較例22)
実施例11において、150℃で10分間加熱するプリベーク工程を行う代わりに、140℃で5分間加熱するプリベーク工程を行ったこと以外は、実施例11と同様に、「重合体(F6)の調製」、「ポジ型レジスト組成物の調製」、「レジストパターンの形成」を行い、同様の測定乃至評価を行った。結果を下記および表3に示す。
(i)調製した重合体の重量平均分子量および分子量分布
重量平均分子量:47311、分子量分布:1.284
(ii)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜における重合体の重量平均分子量および分子量分布
重量平均分子量:48091、分子量分布:1.285
(iii)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜における重合体の重量平均分子量の維持率
維持率:101.6%、維持率評価結果:A(維持率大で良好)
(iv)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜と被加工物との密着性
密着性評価結果:B(密着性低)
【0133】
(比較例23)
実施例11において、150℃で10分間加熱するプリベーク工程を行う代わりに、140℃で10分間加熱するプリベーク工程を行ったこと以外は、実施例11と同様に、「重合体(F6)の調製」、「ポジ型レジスト組成物の調製」、「レジストパターンの形成」を行い、同様の測定乃至評価を行った。結果を下記および表3に示す。
(i)調製した重合体の重量平均分子量および分子量分布
重量平均分子量:47311、分子量分布:1.284
(ii)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜における重合体の重量平均分子量および分子量分布
重量平均分子量:47664、分子量分布:1.285
(iii)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜における重合体の重量平均分子量の維持率
維持率:100.7%、維持率評価結果:A(維持率大で良好)
(iv)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜と被加工物との密着性
密着性評価結果:B(密着性低)
【0134】
(比較例24)
実施例11において、150℃で10分間加熱するプリベーク工程を行う代わりに、150℃で1分間加熱するプリベーク工程を行ったこと以外は、実施例11と同様に、「重合体(F6)の調製」、「ポジ型レジスト組成物の調製」、「レジストパターンの形成」を行い、同様の測定乃至評価を行った。結果を下記および表3に示す。
(i)調製した重合体の重量平均分子量および分子量分布
重量平均分子量:47311、分子量分布:1.284
(ii)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜における重合体の重量平均分子量および分子量分布
重量平均分子量:48254、分子量分布:1.288
(iii)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜における重合体の重量平均分子量の維持率
維持率:102.0%、維持率評価結果:A(維持率大で良好)
(iv)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜と被加工物との密着性
密着性評価結果:B(密着性低)
【0135】
(比較例25)
実施例11において、150℃で10分間加熱するプリベーク工程を行う代わりに、150℃で3分間加熱するプリベーク工程を行ったこと以外は、実施例11と同様に、「重合体(F6)の調製」、「ポジ型レジスト組成物の調製」、「レジストパターンの形成」を行い、同様の測定乃至評価を行った。結果を下記および表3に示す。
(i)調製した重合体の重量平均分子量および分子量分布
重量平均分子量:47311、分子量分布:1.284
(ii)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜における重合体の重量平均分子量および分子量分布
重量平均分子量:48710、分子量分布:1.285
(iii)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜における重合体の重量平均分子量の維持率
維持率:103.0%、維持率評価結果:A(維持率大で良好)
(iv)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜と被加工物との密着性
密着性評価結果:B(密着性低)
【0136】
(比較例26)
実施例11において、150℃で10分間加熱するプリベーク工程を行う代わりに、150℃で5分間加熱するプリベーク工程を行ったこと以外は、実施例11と同様に、「重合体(F6)の調製」、「ポジ型レジスト組成物の調製」、「レジストパターンの形成」を行い、同様の測定乃至評価を行った。結果を下記および表3に示す。
(i)調製した重合体の重量平均分子量および分子量分布
重量平均分子量:47311、分子量分布:1.284
(ii)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜における重合体の重量平均分子量および分子量分布
重量平均分子量:48174、分子量分布:1.288
(iii)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜における重合体の重量平均分子量の維持率
維持率:101.8%、維持率評価結果:A(維持率大で良好)
(iv)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜と被加工物との密着性
密着性評価結果:B(密着性低)
【0137】
(比較例27)
実施例11において、150℃で10分間加熱するプリベーク工程を行う代わりに、160℃で1分間加熱するプリベーク工程を行ったこと以外は、実施例11と同様に、「重合体(F6)の調製」、「ポジ型レジスト組成物の調製」、「レジストパターンの形成」を行い、同様の測定乃至評価を行った。結果を下記および表3に示す。
(i)調製した重合体の重量平均分子量および分子量分布
重量平均分子量:47311、分子量分布:1.284
(ii)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜における重合体の重量平均分子量および分子量分布
重量平均分子量:48018、分子量分布:1.282
(iii)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜における重合体の重量平均分子量の維持率
維持率:101.5%、維持率評価結果:A(維持率大で良好)
(iv)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜と被加工物との密着性
密着性評価結果:B(密着性低)
【0138】
(比較例28)
<重合体(F0)の調製>
単量体としてのα−クロロアクリル酸メチル3.0gおよびα−メチルスチレン6.88gと、溶媒としてのシクロペンタノン2.47gと、重合開始剤としてのアゾビスイソブチロニトリル0.01091gとを含む単量体組成物をガラス容器に入れ、ガラス容器を密閉および窒素置換して、窒素雰囲気下、78℃の恒温槽内で6.5時間撹拌した。その後、室温に戻し、ガラス容器内を大気解放した後、得られた溶液にテトラヒドロフラン(THF)30gを加えた。そして、THFを加えた溶液をメタノール300g中に滴下し、重合物を析出させた。その後、析出した重合物を含む溶液をキリヤマ漏斗によりろ過し、白色の凝固物(重合体)を得た。なお、得られた重合体は、α−メチルスチレン単位とα−クロロアクリル酸メチル単位とを50mol%ずつ含んでいた。
そして、得られた重合体について、重量平均分子量、数平均分子量および分子量分布を測定した。測定した重量平均分子量および分子量分布を下記に示す。
【0139】
<ポジ型レジスト組成物の調製>
得られた重合体を溶剤としてのアニソールに溶解させ、重合体の濃度が2.5質量%であるレジスト溶液(ポジ型レジスト組成物)を調製した。
【0140】
<レジストパターンの形成>
スピンコーター(ミカサ製、MS−A150)を使用し、ポジ型レジスト組成物を、直径4インチのマスクブランクス(石英基板(厚み:1.0mm)上にクロム層(厚み:10nm)が形成されたもの)上に塗布した。次いで、塗布したポジ型レジスト組成物を温度150℃のホットプレートで10分間加熱して(プリベーク工程)、マスクブランクス上に厚さ50nmのレジスト膜を形成した。そして、得られたレジスト膜における重合体についてゲル浸透クロマトグラフィーを用いて重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)を測定し、分子量分布(Mw/Mn)を算出した。また、電子線描画装置(エリオニクス社製、ELS−S50)を用いてレジスト膜を最適露光量(Eop)で露光して、パターンを描画した。その後、レジスト用現像液として、フッ素系溶剤(三井・デュポンフロロケミカル社製、バートレル(CFCFHCFHCFCF))を用いて温度23℃で1分間の現像処理を行った後、リンス液としてのフッ素系溶剤(三井・デュポンフロロケミカル社製、バートレル(CFCFHCFHCFCF))で10秒間リンスして、レジストパターンを形成した。そして、プリベーク工程を経て形成したレジスト膜とマスクブランクスとの密着性を評価した。なお、最適露光量(Eop)は、適宜設定した。また、レジストパターンのライン(未露光領域)とスペース(露光領域)は、それぞれ20nmとした。
【0141】
<測定評価結果>
測定した重量平均分子量および分子量分布、重量平均分子量の維持率の評価結果、並びに、密着性の評価結果を下記および表4に示す。
(i)調製した重合体の重量平均分子量および分子量分布
重量平均分子量:54734、分子量分布:1.842
(ii)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜における重合体の重量平均分子量および分子量分布
重量平均分子量:52766、分子量分布:1.882
(iii)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜における重合体の重量平均分子量の維持率
維持率:96.4%、維持率評価結果:A(維持率大で良好)
(iv)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜と被加工物との密着性
密着性評価結果:B(密着性低)
【0142】
(比較例29)
比較例28において、150℃で10分間加熱するプリベーク工程を行う代わりに、160℃で3分間加熱するプリベーク工程を行ったこと以外は、比較例28と同様に、「重合体(F0)の調製」、「ポジ型レジスト組成物の調製」、「レジストパターンの形成」を行い、同様の測定乃至評価を行った。結果を下記および表4に示す。
(i)調製した重合体の重量平均分子量および分子量分布
重量平均分子量:54734、分子量分布:1.842
(ii)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜における重合体の重量平均分子量および分子量分布
重量平均分子量:49993、分子量分布:1.940
(iii)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜における重合体の重量平均分子量の維持率
維持率:91.3%、維持率評価結果:B(維持率小)
(iv)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜と被加工物との密着性
密着性評価結果:B(密着性低)
【0143】
(比較例30)
比較例28において、150℃で10分間加熱するプリベーク工程を行う代わりに、160℃で5分間加熱するプリベーク工程を行ったこと以外は、比較例28と同様に、「重合体(F0)の調製」、「ポジ型レジスト組成物の調製」、「レジストパターンの形成」を行い、同様の測定乃至評価を行った。結果を下記および表4に示す。
(i)調製した重合体の重量平均分子量および分子量分布
重量平均分子量:54734、分子量分布:1.842
(ii)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜における重合体の重量平均分子量および分子量分布
重量平均分子量:50057、分子量分布:1.927
(iii)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜における重合体の重量平均分子量の維持率
維持率:91.5%、維持率評価結果:B(維持率小)
(iv)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜と被加工物との密着性
密着性評価結果:B(密着性低)
【0144】
(比較例31)
比較例28において、150℃で10分間加熱するプリベーク工程を行う代わりに、160℃で10分間加熱するプリベーク工程を行ったこと以外は、比較例28と同様に、「重合体(F0)の調製」、「ポジ型レジスト組成物の調製」、「レジストパターンの形成」を行い、同様の測定乃至評価を行った。結果を下記および表4に示す。
(i)調製した重合体の重量平均分子量および分子量分布
重量平均分子量:54734、分子量分布:1.842
(ii)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜における重合体の重量平均分子量および分子量分布
重量平均分子量:50172、分子量分布:1.925
(iii)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜における重合体の重量平均分子量の維持率
維持率:91.7%、維持率評価結果:B(維持率小)
(iv)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜と被加工物との密着性
密着性評価結果:B(密着性低)
【0145】
(比較例32)
比較例28において、150℃で10分間加熱するプリベーク工程を行う代わりに、170℃で1分間加熱するプリベーク工程を行ったこと以外は、比較例28と同様に、「重合体(F0)の調製」、「ポジ型レジスト組成物の調製」、「レジストパターンの形成」を行い、同様の測定乃至評価を行った。結果を下記および表4に示す。
(i)調製した重合体の重量平均分子量および分子量分布
重量平均分子量:54734、分子量分布:1.842
(ii)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜における重合体の重量平均分子量および分子量分布
重量平均分子量:50504、分子量分布:1.921
(iii)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜における重合体の重量平均分子量の維持率
維持率:92.3%、維持率評価結果:B(維持率小)
(iv)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜と被加工物との密着性
密着性評価結果:B(密着性低)
【0146】
(比較例33)
比較例28において、150℃で10分間加熱するプリベーク工程を行う代わりに、170℃で3分間加熱するプリベーク工程を行ったこと以外は、比較例28と同様に、「重合体(F0)の調製」、「ポジ型レジスト組成物の調製」、「レジストパターンの形成」を行い、同様の測定乃至評価を行った。結果を下記および表4に示す。
(i)調製した重合体の重量平均分子量および分子量分布
重量平均分子量:54734、分子量分布:1.842
(ii)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜における重合体の重量平均分子量および分子量分布
重量平均分子量:47222、分子量分布:1.967
(iii)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜における重合体の重量平均分子量の維持率
維持率:86.3%、維持率評価結果:B(維持率小)
(iv)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜と被加工物との密着性
密着性評価結果:B(密着性低)
【0147】
(比較例34)
比較例28において、150℃で10分間加熱するプリベーク工程を行う代わりに、170℃で5分間加熱するプリベーク工程を行ったこと以外は、比較例28と同様に、「重合体(F0)の調製」、「ポジ型レジスト組成物の調製」、「レジストパターンの形成」を行い、同様の測定乃至評価を行った。結果を下記および表4に示す。
(i)調製した重合体の重量平均分子量および分子量分布
重量平均分子量:54734、分子量分布:1.842
(ii)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜における重合体の重量平均分子量および分子量分布
重量平均分子量:47487、分子量分布:1.966
(iii)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜における重合体の重量平均分子量の維持率
維持率:86.8%、維持率評価結果:B(維持率小)
(iv)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜と被加工物との密着性
密着性評価結果:A(密着性良好)
【0148】
(比較例35)
比較例28において、150℃で10分間加熱するプリベーク工程を行う代わりに、170℃で10分間加熱するプリベーク工程を行ったこと以外は、比較例28と同様に、「重合体(F0)の調製」、「ポジ型レジスト組成物の調製」、「レジストパターンの形成」を行い、同様の測定乃至評価を行った。結果を下記および表4に示す。
(i)調製した重合体の重量平均分子量および分子量分布
重量平均分子量:54734、分子量分布:1.842
(ii)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜における重合体の重量平均分子量および分子量分布
重量平均分子量:47751、分子量分布:1.950
(iii)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜における重合体の重量平均分子量の維持率
維持率:87.2%、維持率評価結果:B(維持率小)
(iv)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜と被加工物との密着性
密着性評価結果:A(密着性良好)
【0149】
(比較例36)
比較例28において、150℃で10分間加熱するプリベーク工程を行う代わりに、180℃で1分間加熱するプリベーク工程を行ったこと以外は、比較例28と同様に、「重合体(F0)の調製」、「ポジ型レジスト組成物の調製」、「レジストパターンの形成」を行い、同様の測定乃至評価を行った。結果を下記および表4に示す。
(i)調製した重合体の重量平均分子量および分子量分布
重量平均分子量:54734、分子量分布:1.842
(ii)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜における重合体の重量平均分子量および分子量分布
重量平均分子量:51181、分子量分布:1.908
(iii)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜における重合体の重量平均分子量の維持率
維持率:93.5%、維持率評価結果:B(維持率小)
(iv)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜と被加工物との密着性
密着性評価結果:B(密着性低)
【0150】
(比較例37)
比較例28において、150℃で10分間加熱するプリベーク工程を行う代わりに、180℃で3分間加熱するプリベーク工程を行ったこと以外は、比較例28と同様に、「重合体(F0)の調製」、「ポジ型レジスト組成物の調製」、「レジストパターンの形成」を行い、同様の測定乃至評価を行った。結果を下記および表4に示す。
(i)調製した重合体の重量平均分子量および分子量分布
重量平均分子量:54734、分子量分布:1.842
(ii)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜における重合体の重量平均分子量および分子量分布
重量平均分子量:45553、分子量分布:1.967
(iii)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜における重合体の重量平均分子量の維持率
維持率:83.2%、維持率評価結果:B(維持率小)
(iv)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜と被加工物との密着性
密着性評価結果:A(密着性良好)
【0151】
(比較例38)
比較例28において、150℃で10分間加熱するプリベーク工程を行う代わりに、180℃で5分間加熱するプリベーク工程を行ったこと以外は、比較例28と同様に、「重合体(F0)の調製」、「ポジ型レジスト組成物の調製」、「レジストパターンの形成」を行い、同様の測定乃至評価を行った。結果を下記および表4に示す。
(i)調製した重合体の重量平均分子量および分子量分布
重量平均分子量:54734、分子量分布:1.842
(ii)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜における重合体の重量平均分子量および分子量分布
重量平均分子量:43595、分子量分布:1.983
(iii)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜における重合体の重量平均分子量の維持率
維持率:79.6%、維持率評価結果:B(維持率小)
(iv)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜と被加工物との密着性
密着性評価結果:A(密着性良好)
【0152】
(比較例39)
比較例28において、150℃で10分間加熱するプリベーク工程を行う代わりに、180℃で10分間加熱するプリベーク工程を行ったこと以外は、比較例28と同様に、「重合体(F0)の調製」、「ポジ型レジスト組成物の調製」、「レジストパターンの形成」を行い、同様の測定乃至評価を行った。結果を下記および表4に示す。
(i)調製した重合体の重量平均分子量および分子量分布
重量平均分子量:54734、分子量分布:1.842
(ii)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜における重合体の重量平均分子量および分子量分布
重量平均分子量:43321、分子量分布:1.990
(iii)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜における重合体の重量平均分子量の維持率
維持率:79.1%、維持率評価結果:B(維持率小)
(iv)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜と被加工物との密着性
密着性評価結果:A(密着性良好)
【0153】
(比較例40)
比較例28において、150℃で10分間加熱するプリベーク工程を行う代わりに、190℃で1分間加熱するプリベーク工程を行ったこと以外は、比較例28と同様に、「重合体(F0)の調製」、「ポジ型レジスト組成物の調製」、「レジストパターンの形成」を行い、同様の測定乃至評価を行った。結果を下記および表4に示す。
(i)調製した重合体の重量平均分子量および分子量分布
重量平均分子量:54734、分子量分布:1.842
(ii)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜における重合体の重量平均分子量および分子量分布
重量平均分子量:47852、分子量分布:1.969
(iii)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜における重合体の重量平均分子量の維持率
維持率:87.4%、維持率評価結果:B(維持率小)
(iv)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜と被加工物との密着性
密着性評価結果:B(密着性低)
【0154】
(比較例41)
比較例28において、150℃で10分間加熱するプリベーク工程を行う代わりに、190℃で3分間加熱するプリベーク工程を行ったこと以外は、比較例28と同様に、「重合体(F0)の調製」、「ポジ型レジスト組成物の調製」、「レジストパターンの形成」を行い、同様の測定乃至評価を行った。結果を下記および表4に示す。
(i)調製した重合体の重量平均分子量および分子量分布
重量平均分子量:54734、分子量分布:1.842
(ii)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜における重合体の重量平均分子量および分子量分布
重量平均分子量:46544、分子量分布:1.958
(iii)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜における重合体の重量平均分子量の維持率
維持率:85.0%、維持率評価結果:B(維持率小)
(iv)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜と被加工物との密着性
密着性評価結果:A(密着性良好)
【0155】
(比較例42)
比較例28において、150℃で10分間加熱するプリベーク工程を行う代わりに、190℃で5分間加熱するプリベーク工程を行ったこと以外は、比較例28と同様に、「重合体(F0)の調製」、「ポジ型レジスト組成物の調製」、「レジストパターンの形成」を行い、同様の測定乃至評価を行った。結果を下記および表4に示す。
(i)調製した重合体の重量平均分子量および分子量分布
重量平均分子量:54734、分子量分布:1.842
(ii)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜における重合体の重量平均分子量および分子量分布
重量平均分子量:44424、分子量分布:1.972
(iii)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜における重合体の重量平均分子量の維持率
維持率:81.2%、維持率評価結果:B(維持率小)
(iv)プリベーク工程を経て形成したレジスト膜と被加工物との密着性
密着性評価結果:A(密着性良好)
【0156】
【表1】
【0157】
【表2】
【0158】
【表3】
【0159】
【表4】
【0160】
表1〜3及び図1より、下記式(1)を満たす温度T(℃)および時間t(分間)でプリベーク(加熱)を行った(図1のグラフにおける直線Aと直線Bとの間に存在する)実施例1〜25のレジスト膜形成方法は、下記式(1)を満たさない(図1のグラフにおける直線Aと直線Bとの間に存在しない)比較例1〜27のレジスト膜形成方法と比較して、レジスト膜と被加工物(マスクブランクス)との密着性を向上させることができると共に、プリベーク工程前後のレジスト膜における重合体の分子量の変化を低減することができることが分かる。
(−8/15)×T+262/3<t<(−8/15)×T+326/3・・・(1)
【0161】
表4及び図2より、所定の単量体単位を有する所定の重合体を含むポジ型レジスト組成物を用いていないと、上記式(1)を満たす温度T(℃)および時間t(分間)でプリベーク(加熱)を行った(図2のグラフにおける直線Aと直線Bとの間に存在する)としても、(i)レジスト膜と被加工物(マスクブランクス)との密着性を向上させること、並びに、(ii)プリベーク工程前後のレジスト膜における重合体の分子量の変化を低減すること、の両立を図ることができないことが分かる(比較例28〜42)。
【産業上の利用可能性】
【0162】
本発明のレジスト膜形成方法によれば、プリベーク工程を経て形成されたレジスト膜と被加工物との密着性を向上させることができると共に、プリベーク工程前後のレジスト膜における重合体の分子量の変化を低減することができる。
また、本発明の積層体の製造方法によれば、プリベーク工程を経て形成されたレジスト膜と遮光層との密着性を向上させることができると共に、レジスト膜における重合体の分子量の低減を抑制することができる。
図1
図2