(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る構成を
図1から
図10に示す実施の形態に基づいて詳細に説明する。
【0014】
(画像形成装置)
図1は、本発明に係る画像形成装置の一実施形態である画像形成装置の全体構成を説明する概略構成図である。
図1を参照して、この画像形成装置の内部構成の概要及び動作について説明する。
【0015】
図1に示す画像形成装置は、画像形成部1と、転写部2と、記録媒体供給部3と、定着部4、記録媒体排出部5とから主に構成されている。
【0016】
画像形成部1には、作像ユニットとしての4つのプロセスユニット6Y,6M,6C,6Bkが装着されている。各プロセスユニット6Y,6M,6C,6Bkは、カラー画像の色分解成分に対応するイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(Bk)の異なる色のトナーを収容している以外は同様の構成となっている。
【0017】
具体的に、各プロセスユニット6Y,6M,6C,6Bkは、潜像を担持する潜像担持体としての感光体7と、感光体7の表面を帯電させる帯電手段としての帯電ローラ8と、感光体7上の潜像を現像する現像手段としての現像装置9と、感光体7の表面をクリーニングする潜像担持体クリーニング手段としての感光体クリーニング装置10などで構成されている。各感光体7に対向した位置には、それぞれ、感光体7の表面に潜像を形成する潜像形成手段としての露光装置11が設けられている。本実施形態では、露光装置11としてLEDユニットを用いているが、レーザダイオードと回転多面鏡、fθレンズ等を備えた光走査装置を用いてもよい。
【0018】
転写部2には、感光体7上の画像(トナー像)が転写される中間転写体としての無端状の中間転写ベルト12と、感光体7上の画像を中間転写ベルト12に一次転写する一次転写手段としての複数の一次転写ローラ13と、中間転写ベルト12に転写された画像を記録媒体に二次転写する二次転写手段としての二次転写ローラ14と、中間転写ベルト12の表面(外周面)をクリーニングする中間転写体クリーニング手段としてのベルトクリーニング装置17が配置されている。
【0019】
中間転写ベルト12は、駆動ローラ15と従動ローラ16によって張架されており、駆動ローラ15が回転することで周回走行(回転)する。各一次転写ローラ13は、中間転写ベルト12を介して各感光体7に接触するように配置されている。これらの一次転写ローラ13が中間転写ベルト12を介して各感光体7に接触する箇所では、各感光体7上の画像が中間転写ベルト12に転写される一次転写ニップが形成される。一方、二次転写ローラ14は、中間転写ベルト12を介して駆動ローラ15に接触するように配置されている。この二次転写ローラ14が中間転写ベルト12を介して駆動ローラ15に接触する箇所では、中間転写ベルト12上の画像が記録媒体に転写される二次転写ニップが形成される。
【0020】
記録媒体供給部3には、記録媒体としての用紙Pを収容する記録媒体収容部としての給紙カセット18と、給紙カセット18から用紙Pを給送する記録媒体給送手段としての給紙ローラ19と、給紙ローラ19によって給送された用紙Pを所定のタイミングで上記二次転写ニップへ搬送する記録媒体搬送手段としてのタイミングローラ20が配置されている。なお、記録媒体としては、用紙以外に、OHPシートやOHPフィルム等であってもよい。また、用紙には、普通紙のほか、厚紙、はがき、封筒、薄紙、塗工紙(コート紙やアート紙等)、トレーシングペーパ等が含まれる。
【0021】
定着部4には、用紙Pに画像を定着する定着装置21が配置されている。定着装置21は、ヒータ等の加熱源によって加熱される定着部材としての定着ローラ22と、定着ローラ22に対して所定の圧力で接触して定着ニップを形成する加圧部材としての加圧ローラ23等で構成される。
【0022】
記録媒体排出部5には、定着装置21から送り出された用紙Pを装置外に排出する記録媒体排出手段としての排紙ローラ24と、排紙ローラ24によって排出された用紙Pを載置する記録媒体載置部としての排紙トレイ25とが配置されている。
【0023】
また、画像形成装置には、上述の各構成要素に加え、画像形成に用いられる粉体であるトナー(現像剤)を収容する粉体収容容器としての複数のトナーカートリッジ26が装着されている。各トナーカートリッジ26は、対応する現像装置9内のトナーと同じ色のトナーが収容されており、現像装置9内のトナーが所定量を下回ると、トナーカートリッジ26からトナーが補給される。さらに、プリンタには、トナーカートリッジ26とは別の粉体収容容器として、廃トナー収容容器27が装着されている。この廃トナー収容容器27には、ベルトクリーニング装置17あるいは感光体クリーニング装置10によって回収された廃トナーが収容される。
【0024】
続いて、
図1を参照して、本実施形態に係る画像形成装置の基本的動作について説明する。作像動作が開始されると、各感光体7が回転駆動され、帯電ローラ8によって各感光体7の表面が所定の極性に一様に帯電される。次いで、読取装置又はコンピュータ等からの画像情報に基づき、露光装置11が各感光体7の帯電面にレーザ光を照射し、潜像(静電潜像)を形成する。このとき、各感光体7上に形成される潜像は所望のフルカラー画像をイエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの色情報に分解した単色の画像情報に基づく潜像である。そして、感光体7上に形成された潜像に対して、各現像装置9からトナーが供給されることにより、潜像はトナー像(可視画像)として現像される。
【0025】
各感光体7上のトナー像は、周回走行する中間転写ベルト12上に順次重ね合せて転写される。詳しくは、感光体7上の画像が一次転写ニップの位置に達すると、一次転写ローラ13に所定の電圧が印加されて形成された転写電界によって感光体7上のトナー像が中間転写ベルト12上に順次転写される。かくして中間転写ベルト12はその表面にフルカラーのトナー像を担持することになる。なお、中間転写ベルト12に転写しきれなかった各感光体7上のトナーは、感光体クリーニング装置10によって除去される。
【0026】
また、作像動作が開始されると、給紙ローラ19が回転して、給紙カセット18から用紙Pが給送される。給送された用紙Pは、タイミングローラ20によって搬送が一旦停止される。その後、所定のタイミングでタイミングローラ20の回転駆動が開始され、中間転写ベルト12上のトナー像が二次転写ニップに達するタイミングに合わせて、用紙Pが二次転写ニップへ搬送される。
【0027】
用紙Pが二次転写ニップに搬送された際、二次転写ローラ14には所定の電圧が印加されており、これにより、二次転写ニップに転写電界が形成されている。そして、この二次転写ニップに形成された転写電界によって、中間転写ベルト12上のトナー像が用紙Pに一括して転写される。また、このとき、中間転写ベルト12上に残ったトナーはベルトクリーニング装置17によって除去される。
【0028】
その後、用紙Pは定着装置21へと搬送され、定着ローラ22と加圧ローラ23によってトナー像が加熱されつつ加圧されて用紙Pに定着される。そして、用紙Pは排紙ローラ24によって装置外に排出され、排紙トレイ25上に載置される。
【0029】
以上の説明は、フルカラー画像を形成するときの画像形成動作であるが、4つのプロセスユニット6Y,6M,6C,6Bkのいずれか1つを使用して単色画像を形成したり、2つ又は3つのプロセスユニットを使用して、2色又は3色の画像を形成したりすることも可能である。
【0030】
また、
図1に示すように、本実施形態に係る画像形成装置は、装置本体(画像形成装置本体)100の上部を開閉するためのカバー部材101を備える。カバー部材101は、装置本体100に設けられた回動軸103を中心に上下に回動可能となっている。
【0031】
図2は、カバー部材101を上方に回動させて開いた状態、
図3は、カバー部材101に加えて、容器保持部材102も上方に回動させた状態を示す。
図2に示すように、カバー部材101を開いた状態にすると、装置本体100の上部が開放されるため、その開放された箇所を通して各トナーカートリッジ26を容器保持部材102から上方へ取り外し可能な状態となる。
【0032】
さらに、
図3に示すように、容器保持部材102を水平状に配置された基本姿勢から上方へ回動させると、容器保持部材102と一緒に各トナーカートリッジ26がプロセスユニット6Y,6M,6C,6Bkの上方から退避(離間)した退避位置に配置される。また、容器保持部材102の下面には露光装置11が取り付けられており、容器保持部材102の回動に伴って、各露光装置11もプロセスユニット6Y,6M,6C,6Bkの上方から退避する。このように、容器保持部材102を、上方へ回動させた退避姿勢にすることで、プロセスユニット6Y,6M,6C,6Bkをトナーカートリッジ26や露光装置11と干渉せずに装置本体100の上部に形成された開放箇所から取り外すことが可能となる。すなわち、プロセスユニット6Y,6M,6C,6Bkは、プロセスカートリッジとして構成される。
【0033】
(トナーカートリッジ及び現像装置)
次いで、トナーカートリッジ26及び現像装置9について説明する。なお、トナーカートリッジ26及び現像装置9に関する下記の説明で、トナーカートリッジ26又は現像装置9に対する上下方向は、これらが装置本体100に装着された状態での上下方向をいう。特に、トナーカートリッジ26に関して、「装置本体に装着された状態」とは、容器保持部材102が水平状に配置された基本姿勢でトナーカートリッジ26が装着された状態のことを意味する。
【0034】
図4は、トナーカートリッジ26及び現像装置9の概略断面図である。
図4に示すように、トナーカートリッジ26は、現像剤としてのトナーを収容する現像剤収容部(粉体収容部)51が内部に形成された容器本体50を具備する。容器本体50には、現像剤収容部51内のトナーを外部へ排出するための開口部である排出口52と、現像剤収容部51内のトナーを排出口52へ搬送する搬送部材としての搬送スクリュー53と、現像剤収容部51内の現像剤を撹拌する撹拌部材としてのアジテータ54等が設けられている。
【0035】
搬送スクリュー53は、回転軸530の外周に、螺旋状の羽根531を設けて構成されている。一方、アジテータ54は、搬送スクリュー53の回転軸530と平行に配置された回転軸540に、PETフィルム等の可撓性を有する材料から成る平面状の羽根541を設けて構成されている。
図4に示す実施形態のように、現像剤収容部51の底面501を、羽根541の回転軌道に沿った円弧状に形成することで、羽根541によって移動されずに現像剤収容部51内に残ってしまうトナー量を減らすことができる。
【0036】
また、トナーカートリッジ26が装着される容器保持部材102の底部111には、貫通孔116が形成されている。この貫通孔116は、トナーカートリッジ26の下部に設けられた排出口52と、現像装置9の上部に設けられた補給口39とを連通するように接続するものである。すなわち、
図4に示すように、トナーカートリッジ26を容器保持部材102に装着し、現像装置9の上方に配置することで、トナーカートリッジ26の排出口52が貫通孔116を介して現像装置9の補給口39と連通するように接続される。この状態で、トナーカートリッジ26から現像装置9へトナーを補給可能となる。
【0037】
現像装置9は、トナーを収容する粉体収容容器としての現像容器40と、トナー(現像剤)を担持する現像剤担持体としての現像ローラ41と、現像ローラ41にトナー(現像剤)を供給する現像剤供給部材としての供給ローラ42と、現像ローラ41上に担持されたトナー量(現像剤量)を規制する規制部材としての現像ブレード43と、トナーを搬送する搬送部材としての2つの搬送スクリュー44,45と、2つの導光部材46,47とを有する。
【0038】
現像容器40内のトナーが収容される空間(粉体収容部)は、連通口49a,49bを有する隔壁48によって、上側収容部である第1の領域E1と、下側収容部である第2の領域E2とに区画されている。連通口49a,49bは、隔壁48の両端部(
図4の紙面に直交する方向の手前側と奥側)にそれぞれ設けられており、これらの連通口49a,49bを介して第1の領域E1と第2の領域E2とが互いに連通している。
【0039】
第1の領域E1には、2つの導光部材46,47、及び一方の搬送スクリュー44が配置され、第2の領域E2には、現像ローラ41、供給ローラ42、現像ブレード43、及び他方の搬送スクリュー45が配置されている。2つの搬送スクリュー44,45は、それぞれ回転軸440,450の外周に螺旋状の羽根441,451が設けられたものであり、第1の領域E1及び第2の領域E2を搬送路として互いに反対方向にトナーを搬送するように構成されている。
【0040】
各搬送スクリュー44,45によって互いに反対方向に搬送されるトナーは、各領域E1,E2の搬送方向下流端まで搬送されると、隔壁48の両端部に形成された各連通口49a,49bを通って、他方の領域内(領域E1から領域E2、又は領域E2から領域E1)に送り込まれる。このため、トナーは第1の領域E1と第2の領域E2との間で循環するように搬送される。これにより、トナーカートリッジ26から補給された新しいトナーと現像容器40内のトナーとが混ざり合うので、トナーの状態(トナー中の新しいトナーの割合)が均一となり、色ムラや地汚れ等の不具合の発生が防止される。
【0041】
現像ローラ41は、例えば、金属製の芯金と、その芯金の外周に配置された導電性ゴムで構成される。導電性ゴムとしては、例えば、導電性ウレタンゴムやシリコーンゴム等を使用可能である。現像ローラ41は、
図4において反時計回りの方向に回転し、表面に保持した現像剤を現像ブレード43及び感光体7との対向位置へと搬送する。
【0042】
供給ローラ42には、一般に、スポンジローラなどが用いられる。スポンジローラとしては、金属製の芯金の外周に、カーボンを混合して半導電化させた発泡ポリウレタンを付着したものが適当である。供給ローラ42は、現像ローラ41に対して当接しており、両ローラが当接して形成されるニップ部は、通常約1mm〜3mm程度に設定される。
【0043】
上記現像ブレード43は、例えば、厚さ0.1mm程度のSUSなどの金属板で構成される。現像ブレード43は、その先端側で現像ローラ41の表面に当接している。現像ブレード43による現像ローラ41上のトナー量の制御は、現像特性を安定させ良好な画質を得るために非常に重要なパラメータである。そのため、通常の製品においては現像ローラ41に対する現像ブレード43の当接圧は20〜60N/m程度、ニップ部の位置は現像ブレード43の先端から0.5±0.5mm程度に厳しく管理されている。また、これらのパラメータは、使用するトナー、現像ローラ41、供給ローラ42などの特性に合わせて適宜決定される。
【0044】
現像装置9における現像動作について説明する。作像動作開始の指示があり、現像ローラ41と供給ローラ42の回転が開始されると、供給ローラ42によって現像ローラ41の表面にトナーが供給される。本実施形態では、供給ローラ42が現像ローラ41に対してカウンター方向(
図4において反時計回り)に回転することで、現像容器40内のトナーを現像ローラ41の表層まで効率よく供給できるようにしている。さらに、現像ローラ41と供給ローラ42の回転数比を1に設定することで、良好なトナー供給機能を確保することが可能である。
【0045】
現像ローラ41上に担持されたトナーは、現像ローラ41と現像ブレード43とのニップ部を通過することにより、トナー層の厚さが規制されると同時に摩擦荷電させられる。そして、現像ローラ41上のトナーが感光体7との対向位置(現像領域)に搬送されると、トナーが感光体7上の静電潜像へ静電的に転移してトナー像が形成される。
【0046】
次に、現像装置9へのトナー補給動作について説明する。現像装置9へのトナーの補給は、現像容器40内のトナー量が所定の基準値以下となった場合に行われる。具体的に、トナー量が基準値以下であるか否かは、第1の領域E1に配置された2つの導光部材46,47の先端部間で光が透過するか否かに基づいて判定される。現像容器40内のトナー量が基準値以上である場合、各導光部材46,47の先端部間にトナーが介在し、一方の導光部材から他方の導光部材に光が透過しない。一方、トナー量が基準値以下となると、各導光部材46,47の先端部間にトナーが介在しなくなるため、一方の導光部材から他方の導光部材に光が透過するようになる。この光の透過を検知することで、トナーを補給すべきタイミングを把握する。
【0047】
トナーを補給すべきタイミングであると判定された場合は、トナーカートリッジ26内の搬送スクリュー53が回転を開始し、トナーが排出口52へ向かって搬送される。そして、トナーは排出口52から貫通孔116及び補給口39を介して現像容器40内に補給される。また、トナー補給時にアジテータ54が回転することで、トナーカートリッジ26内のトナーが撹拌されると共に、搬送スクリュー53の回転領域にトナーが移送される。その後、現像容器40内のトナー量が、トナー補給によって所定の基準値よりも多くなると、搬送スクリュー53とアジテータ54の回転駆動が停止してトナー補給動作を終了する。
【0048】
(現像装置)
以下、本実施形態に係る現像装置の要部について説明する。本実施形態に係る現像装置は、現像剤(トナー)を担持する現像剤担持体(現像ローラ41)と、現像剤担持体の所定範囲に対向する位置に設けられて、現像剤担持体に担持される現像剤量を規制する規制部材(現像ブレード43)と、現像剤担持体の端部側の所定範囲に対向する位置に設けられて、現像剤担持体の長手方向端部からの現像剤漏れを防止する端部シール部材(端部シール部材55)と、現像剤担持体の端部において、現像剤担持体の周方向に被覆される端部摩擦低減部材(端部摩擦低減部材57)と、を有し、端部摩擦低減部材は、該端部摩擦低減部材の幅方向の全域において、該端部摩擦低減部材の貼付け終了部(貼付け終了部59)を含む所定範囲が、貼付け開始部(貼付け開始部58)を含む所定範囲上に貼付けられた重複部(重複部60)を有するとともに、貼付け開始部は、貼付け終了部よりも、現像剤担持体の回転方向において下流側にあるものである。なお、括弧内は実施形態での符号、適用例を示す。
【0049】
図5は現像装置9の長手方向である現像ローラ41の幅方向の端部での断面図である。なお、
図5では、現像装置9の現像容器40内の各部の図示は省略している。現像装置9には、現像ローラ41の長手方向端部からのトナー漏れを防ぐための端部シール部材55が取り付けられている。また、現像ローラ41の長手方向の全域には入口シール56が設けられている。端部シール部材55と入口シール56により、現像装置9の下側収容部(第2の領域E2)からのトナー漏れを防止する構成となっている。
【0050】
現像ローラ41の長手方向端部からのトナー漏れについては、端部シール部材55によるシール圧が高いほどシール性が向上する一方で、過剰なシール圧を与えてしまうと、現像ローラ41と端部シール部材55との摩擦による現像ローラ41の端部の摩耗が生じたり、摩擦による発熱によりトナーが溶融し、現像ローラ41と現像ブレード43、端部シール部材55の摺動箇所で固着することで、現像ローラ41と現像ブレード43のニップ部に隙間ができ、トナー漏れが発生したりしてしまう。
【0051】
このため、端部シール部材55を2層構成として、現像ローラ41と摺動する側の層(第1層55aとする)については、摺動性の良い、例えば、フェルト材などの材料とし、下側収容部側の層(第2層55bとする)については、シール圧を調整するのに適した、例えば、スポンジ材などの材料とすることが好ましい。
【0052】
しかしながら、近年、省エネ化の要求の高まりに応じて、トナーの溶融温度を低く設定するようになってきており、端部シール部材55による摺動性の確保のみでは、対策として不十分となってきている。
【0053】
そこで、本実施形態に係る現像装置9では、現像ローラ41の端部側の表層に超高分子ポリエチレン等の摩擦係数が小さく、かつ耐摩耗性に優れた端部摩擦低減部材57を設け、現像ローラ41の端部の摩耗および、現像ローラ41と現像ブレード43、端部シール部材55のニップ部での摩擦熱によるトナー固着を防止している。
【0054】
(端部摩擦低減部材)
以下、現像ローラ41に設けられる端部摩擦低減部材57の詳細について説明する。
図6は、現像装置9の端部の正面図であって、現像ローラ41、現像ブレード43、端部シール部材55、および端部摩擦低減部材57の説明図である。
図6(A),(B)は、端部摩擦低減部材57の貼付け開始端である貼付け開始部58、および貼付け終了端である貼付け終了部59の形態が異なる例を示している。
【0055】
端部摩擦低減部材57は、現像ローラ41の胴部の両端部において、現像ローラ41の周方向に被覆されて、現像ブレード43および端部シール部材55との摩擦を低減する部材である。なお、符号41aは現像ローラ41の回転軸を示し、矢印は現像ローラ41の回転方向を示している。ここで、端部摩擦低減部材57は、その幅方向において、現像ローラ41の端部側の端部に加え、中央側の端部が端部シール部材55の領域内(すなわちトナーの少ない領域)に配置されることが好ましい。
【0056】
端部摩擦低減部材57の材料が、現像ローラ41の表層にコーティングすることが困難な場合、端部摩擦低減部材57は両面テープ等を介して現像ローラ41の表層に貼付される。端部摩擦低減部材57の材料としては、例えば、超高分子量ポリエチレンテープを用いることができる。このとき、両面テープ等と現像ローラ41の接着面に、トナーが侵入してしまうことで、現像ローラ41の表層から端部摩擦低減部材57が剥がれてしまうおそれがある。このため、トナーの少ない領域である端部シール部材55の形成範囲内に端部摩擦低減部材57の現像ローラ41の中央側の端部を配置することが好ましい。
【0057】
また、端部摩擦低減部材57は、その幅方向において、現像ローラ41の端部側が現像ブレード43の端部よりも外側に配置される。これは、現像ローラ41での端部の摩耗およびトナー固着は、現像ローラ41と現像ブレード43、端部シール部材55が摺動する領域(領域Aで示す)で顕著に発生するため、この領域Aを確実に被覆するため、現像ブレード43の形成範囲外に配置することが好ましい。
【0058】
また、本実施形態の端部摩擦低減部材57は、
図6および
図7に示すように、端部摩擦低減部材57の幅方向の全域において、端部摩擦低減部材57の貼付け終了部59を含む所定範囲が、貼付け開始部58を含む所定範囲上に貼付けられた重複部60を有するとともに、貼付け開始部58は、貼付け終了部59よりも、現像ローラ41の回転方向において下流側にあるものである。
【0059】
図6(A)は、端部摩擦低減部材57の貼付け開始部58および貼付け終了部59の形状を、現像ローラ41の周方向において、端部摩擦低減部材57の幅方向の端部側から中央側に亘って同じ位置に設定してストレート形状としている。端部摩擦低減部材57の一部を重複させて、重ね合わせたときの重複部60は矩形形状となる。
【0060】
また、
図6(B)は、端部摩擦低減部材57の貼付け開始部58の形状を、現像ローラ41の長手方向で端部側を中央側より周方向で長い設定として傾斜した形状とし、貼付け終了部59の形状を、現像ローラ41の長手方向で端部側を中央側より長い設定として傾斜した形状としている。端部摩擦低減部材57の一部を重複させて、重ね合わせたときの重複部60は、図示される台形形状または三角形状となる。
【0061】
このとき現像ローラ41の回転方向は、
図6の矢印に示す方向である。現像ローラ41の回転方向と、端部摩擦低減部材57の貼付け開始部58および貼付け終了部59の位置について、
図7を参照して説明する。
【0062】
図7は、現像ローラ41の回転方向と、端部摩擦低減部材57の貼付け開始部58および貼付け終了部59と、の位置関係についての説明図である。
【0063】
図7に示すように、貼付け開始部58が貼付け終了部59よりも、現像ローラ41の回転方向において下流側となるように、貼付け開始部58上に貼付け終了部59および重複部60を配置する。これにより、現像ローラ41の現像ブレード43の当接位置において、現像ローラ41と端部摩擦低減部材57との間に現像ブレード43が潜り込むことを防止して、現像ブレード43の潜り込みによる端部摩擦低減部材57の剥がれを防止することができる。なお、現像ローラ41の回転方向に対して、貼付け開始部58と貼付け終了部59との位置関係が逆の場合、貼付け終了部59から現像ブレード43の潜り込みが生じる可能性がある。
【0064】
例えば、
図6(A)に示すような端部摩擦低減部材57の形状として、重複部60を形成することで、現像ブレード43の潜り込みによる剥離を防止することができる。また、
図6(A)の例では、貼付け開始部58の長手方向中央側は重複部60となっており、現像剤から近い中央側の貼付け開始部58のエッジからの現像剤の侵入を抑制することができる形状となっている。
【0065】
また、例えば、
図6(B)に示すような端部摩擦低減部材57の形状として、重複部60を形成することで、現像ブレード43の潜り込みによる剥離を防止することができる。また、
図6(B)の例では、貼付け開始部58の長手方向中央側は重複部60となっており、現像剤から近い中央側の貼付け開始部58のエッジからの現像剤の侵入を抑制することができる形状となっているとともに、重複部60を台形形状としているので、現像ローラ41が回転した際に、現像ブレード43が端部摩擦低減部材57を通過する際は、(1)一重部(重複部60以外の領域をいう)、(2)一重部+重複部60、(3)重複部60、(4)一重部+重複部60、(5)一重部のように、段差が段階的に変化することとなるので、端部からの現像剤吹き出しに対しても有利な構成となっている。
【0066】
なお、貼付け開始部58および貼付け終了部59の形状は、重ね合わせたときの重複部60が端部摩擦低減部材57の幅方向に亘り形成されるものであれば、
図6(A),(B)に示す形状に限られるものではない。例えば、貼付け開始部58および貼付け終了部59の一方または双方が、
図6(A)のようなストレート形状でなくても、山形の形状や波打った形状等であっても良い。また、
図6(B)のように貼付け開始部58および貼付け終了部59が共に傾斜した形状でなくとも、いずれか一方が傾斜した形状、他方がストレート形状等の他の形状であっても良い。また、
図6(B)とは逆方向に傾斜した形状であってもよい。
【0067】
また、いずれの形状についても、現像ローラ41へ端部摩擦低減部材57を貼付する際には、R加工や面取り加工等を施す必要が生じる可能性もあるが、これらの加工を施したとしても上述の効果を維持することが可能である。
【0068】
次いで、本実施形態に係る現像装置9との対比のために、重複部60を設けずに貼付した端部摩擦低減部材57の例について、
図8および
図9を参照して説明する。
【0069】
図8(A)は、端部摩擦低減部材57の貼付け開始部58および貼付け終了部59の形状を、現像ローラ41の周方向において、端部摩擦低減部材57の幅方向の端部側から中央側に亘って同じ位置に設定してストレート形状としているが、端部摩擦低減部材57は重ね合わせず重複部60は形成されない。このため、現像ローラ41の周方向において隙間部61を有している。
【0070】
また、
図8(B)は、端部摩擦低減部材57の貼付け開始部58の形状を、現像ローラ41の長手方向で端部側を中央側より周方向で長い設定として傾斜した形状とし、貼付け終了部59の形状を、現像ローラ41の長手方向で中央側を端部側より長い設定として貼付け開始部58とは逆に傾斜した形状としているが、端部摩擦低減部材57は重ね合わせず重複部60は形成されない。このため、現像ローラ41の周方向において隙間部61を有する設定となっている。
【0071】
図8(A),(B)のいずれの形状についても、貼付け開始部58と貼付け終了部59が二重になっておらず、隙間部61が形成されているため、現像ブレード43の潜り込みによる剥離が生じる可能性がある。また、貼付け開始部58と貼付け終了部59のエッジがそれぞれ現像剤と接してしまうリスクが存在するため、現像剤の侵入による接着力の低下が重複部60を有する本実施形態に係る構成(
図6、
図7)より生じやすく、より剥離が生じやすい。
【0072】
また、
図8(C)は、端部摩擦低減部材57の貼付け開始部58の形状を、現像ローラ41の長手方向で端部側を中央側より周方向で長い設定として傾斜した形状とし、貼付け終了部59の形状を、現像ローラ41の周方向において、端部側から中央側に亘って同じ位置に設定してストレート形状としている。貼付け終了部59のストレート形状が貼付け開始部58の傾斜した形状の途中にくることで、端部側に重複部60を形成しているため、現像ブレード43の潜り込みによる剥離を一部防止することができるが、中央側には隙間部61を有しており、現像ブレード43の潜り込みが生じる可能性がある。また、本実施形態に係る構成(
図6、
図7)と比較して、貼付け開始部58が貼付け終了部59で覆われない部分があるため、現像剤と貼付け開始部58のエッジが部分的に接することとなり、貼付け開始部58のエッジから現像剤が侵入しやすい形状となっている。
【0073】
以上説明したように、本実施形態に係る現像装置9では、現像ローラ41の端部に端部摩擦低減部材57を貼付する際に、端部摩擦低減部材57の全幅で二重になる重複部60を形成するとともに、貼付け開始部58が貼付け終了部59よりも、現像ローラ41の回転方向において下流側となるようにしている。端部摩擦低減部材57を二重に重ねない場合、貼付け開始部58と貼付け終了部59に現像剤が入り込み、徐々に現像剤が周方向及び幅方向へ侵入していき剥離する傾向があるが、貼付け終了部59を端部摩擦低減部材57の全幅に対して、既に貼り付けられている貼付け開始部58上に重ねて貼付けを終えることで、現像ローラ41の端部と端部摩擦低減部材57の接着層との界面への現像剤侵入を防止でき、剥離しにくくすることができる。
【0074】
よって、現像ローラ41の走行距離が増えても、端部摩擦低減部材57の剥離を防止することができ、現像ローラ41の両端における摩擦熱の発生を抑制する機能を長期にわたり維持することができる。
【0075】
尚、上述の実施形態は本発明の好適な実施の例ではあるがこれに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。
【0076】
例えば、上記実施形態では、本発明に係る画像形成装置の一例として、
図1に示すカラーレーザープリンタを例に説明したが、これに限らず、モノクロプリンタ、複写機、ファクシミリ、画像形成部に原稿読取部などを備えた複合機(MFP)なども本発明を適用できる画像形成装置であることは言うまでもない。
【実施例】
【0077】
ここまで説明した端部摩擦低減部材57の形状毎に、画像形成装置で印刷動作を実行し、現像ローラ41の走行距離による剥がれ程度について検証を行った。
図6(A)に示した形状の端部摩擦低減部材57とした現像ローラ41を実施例1、
図6(B)に示した形状の端部摩擦低減部材57とした現像ローラ41を実施例2、
図8(B)に示した形状の端部摩擦低減部材57とした現像ローラ41を比較例1、
図8(C)に示した形状の端部摩擦低減部材57とした現像ローラ41を比較例2、とする。
【0078】
本実施例では、
図9に示すように、現像ローラ41の走行距離による剥がれ程度に応じて剥がれランク(1〜5)を設けて、端部摩擦低減部材57の形状毎の耐久による剥がれランクを検証した。
図10は、端部摩擦低減部材57の形状毎の現像ローラ41の走行距離による剥がれランクの検証結果を示すグラフである。
【0079】
一般に、端部摩擦低減部材57は、現像ローラ41と端部摩擦低減部材57の中央側の接着界面から現像剤が侵入し、周方向に現像剤が侵入し続け、徐々に幅方向にも進展していくことにより、現像ローラ41から剥がれる。
【0080】
いずれも端部摩擦低減部材57として、材質を超高分子量ポリエチレンテープ(株式会社槌屋製:3050W−SP)、厚み0.05mmのものを用いた。また、その他の条件として実験環境は温度29℃、相対湿度60%とし、剥離に対して影響を及ぼすと考えられる影響に対して、ユニットの公差上限以上の設定として、端部摩擦低減部材57が剥離し易い条件を以下のように設定した。現像ブレード43の現像ローラ41に対する規制圧は50N/m、端部シール部材55の現像ローラ41に対するシール圧は1.5N/cm
2とし、現像剤が端部摩擦低減部材57の中央側に近いほど、現像剤に接するリスクが大きくなるため、端部摩擦低減部材57の中央側と端部シール部材55の中央側の距離を0.5mmとなるよう設定した。
【0081】
検証の結果、
図10に示されるように、実施例1では走行距離12kmまでランク4、実施例2では走行距離12kmまでランク2となり、双方ともにランク2以上であり、現像剤は接着界面に侵入するものの、12km時点まで端部摩擦低減部材57の剥離は生じていない。
【0082】
一方、比較例1では走行距離2.2km、比較例2では走行距離4.6kmで端部摩擦低減部材57が現像ローラ41から完全に剥離してしまった。なお、比較例2の形状にて、実験環境を温度23℃、相対湿度50%とし、他の設定はユニットの公差中心条件として、現像ブレード43の現像ローラ41に対する規制圧を35N/m、端部シール部材55の現像ローラ41に対するシール圧を1.2N/cm
2とし、端部摩擦低減部材57の中央側と端部シール部材55の中央側の距離を1.5mmとなるよう設定した場合は11.2kmで剥離した。
【0083】
本実施例により、端部摩擦低減部材57を全幅で二重に重ね合わせることにより、端部摩擦低減部材57が剥がれにくくなり、現像ローラ41の両端における摩擦熱の発生を抑制する機能を長期にわたり維持することが可能となることを確認した。