特許第6958511号(P6958511)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6958511オルガノポリシロキサン化合物およびその製造方法並びにそれを含有する帯電防止剤および硬化性組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6958511
(24)【登録日】2021年10月11日
(45)【発行日】2021年11月2日
(54)【発明の名称】オルガノポリシロキサン化合物およびその製造方法並びにそれを含有する帯電防止剤および硬化性組成物
(51)【国際特許分類】
   C08F 30/08 20060101AFI20211021BHJP
   C08G 77/22 20060101ALI20211021BHJP
   C08F 290/06 20060101ALI20211021BHJP
   C07F 7/08 20060101ALI20211021BHJP
   C07F 9/54 20060101ALI20211021BHJP
   C07F 19/00 20060101ALI20211021BHJP
   C07C 311/48 20060101ALI20211021BHJP
   C09K 3/16 20060101ALI20211021BHJP
   C09D 201/00 20060101ALI20211021BHJP
   C09D 183/07 20060101ALI20211021BHJP
   C09D 183/08 20060101ALI20211021BHJP
   C09D 7/65 20180101ALI20211021BHJP
【FI】
   C08F30/08
   C08G77/22
   C08F290/06
   C07F7/08 XCSP
   C07F9/54
   C07F19/00
   C07C311/48
   C09K3/16 107Z
   C09K3/16 107B
   C09K3/16 105D
   C09K3/16 103Z
   C09K3/16 106F
   C09K3/16 106Z
   C09D201/00
   C09D183/07
   C09D183/08
   C09D7/65
【請求項の数】12
【全頁数】30
(21)【出願番号】特願2018-153577(P2018-153577)
(22)【出願日】2018年8月17日
(65)【公開番号】特開2020-26510(P2020-26510A)
(43)【公開日】2020年2月20日
【審査請求日】2020年7月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002060
【氏名又は名称】信越化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002240
【氏名又は名称】特許業務法人英明国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山田 哲郎
(72)【発明者】
【氏名】峯村 正彦
【審査官】 久保田 葵
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−256421(JP,A)
【文献】 特開2000−282014(JP,A)
【文献】 特開2014−227361(JP,A)
【文献】 特開平6−128379(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08C19/00−19/44
C08F6/00−246/00、301/00
C08G77/00−77/62
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平均構造式(1)で表されることを特徴とするオルガノポリシロキサン化合物。
【化1】
〔式中、Zは、単結合、またはオルガノポリシロキサン構造を含む2〜20価の基を表し、
1は、互いに独立して、単結合、または非置換もしくは置換の炭素原子数1〜20のアルキレン基を表し、
2およびR3は、互いに独立して、非置換もしくは置換の炭素原子数1〜10のアルキル基、または炭素原子数6〜10のアリール基を表し、
Yは、互いに独立して、(メタ)アクリルオキシ基および(メタ)アクリルアミド基から選ばれる1種であり、
pは、1〜10、qは、1〜10、かつ、p+qは、前記Zの価数に対応して2〜20を満たす数を表すが、前記Zが単結合の場合、pおよびqはともに1であり、
-は、1価のアニオンを表し、前記アニオンが、含フッ素アニオンまたはハロゲン化物イオンであり、
+は、下記式(3)で表される1価のカチオン性基を表す。
【化2】
(式中、7〜R9は、互いに独立して、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基または炭素原子数7〜20のアラルキル基を表し、R7とR8は、互いに結合してリン原子とともに、置換基を有してもよいホスホラン環、置換基を有してもよいホスホリナン環または置換基を有してもよいホスホリン環を形成してもよく、*は、結合手を表す。ただし、R7とR8が互いに結合してホスホリン環を形成する場合は、R9は存在しない。)〕
【請求項2】
前記7〜R9が、互いに独立して、炭素原子数1〜20のアルキル基である請求項1記載のオルガノポリシロキサン化合物。
【請求項3】
前記アルキル基が、直鎖状のアルキル基である請求項2記載のルガノポリシロキサン化合物。
【請求項4】
前記A-が、トリフルオロメタンスルホン酸アニオン、ノナフルオロブタンスルホン酸アニオン、ビス(フルオロスルホニル)イミドアニオン、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオン、テトラフルオロボレートアニオン、ヘキサフルオロホスフェートアニオン、塩化物イオン、臭化物イオンまたはヨウ化物イオンである請求項1〜3のいずれか1項記載のオルガノポリシロキサン化合物。
【請求項5】
平均構造式(5)で表される請求項1〜4のいずれか1項記載のオルガノポリシロキサン化合物。
【化3】
(式中、R1、R2、R3、Y、A-およびQ+は、前記と同じ意味を表し、R14およびR15は、互いに独立して、非置換もしくは置換の炭素原子数1〜20のアルキル基、または炭素原子数6〜10のアリール基を表し、mは、0以上の数を表す。)
【請求項6】
平均構造式(6)
【化4】
(式中、R1、R2、R3、Y、p、qおよびZは、前記と同じ意味を表し、OHは、シラノール性水酸基を表す。)
で表される、重合性反応基およびシラノール性水酸基を有するオルガノポリシロキサン化合物と、式(7)
【化5】
(式中、R1、R2、R3、A-およびQ+は、前記と同じ意味を表し、Xは、炭素原子数1〜10のアルコキシ基、ハロゲン原子およびヒドロキシル基から選ばれる脱離基を表す。)
で表される、前記シラノール性水酸基と反応し得る官能基およびイオン性基を有する化合物とを、反応させることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載のオルガノポリシロキサン化合物の製造方法。
【請求項7】
平均構造式(8)
【化6】
(式中、R1、R2、R3、R14、R15、Yおよびmは、前記と同じ意味を表す。)
で表される、重合性反応基およびシラノール性水酸基を有するオルガノポリシロキサン化合物と、式(7)
【化7】
(式中、R1、R2、R3、A-および+は、前記と同じ意味を表す。Xは、炭素原子数1〜10のアルコキシ基、ハロゲン原子およびヒドロキシル基から選ばれる脱離基を表す。
で表される、前記シラノール性水酸基と反応し得る官能基およびイオン性基を有する化合物とを、反応させることを特徴とする請求項5記載のオルガノポリシロキサン化合物の製造方法。
【請求項8】
請求項1〜5のいずれか1項記載のオルガノポリシロキサン化合物を含有する帯電防止剤。
【請求項9】
請求項1〜5のいずれか1項記載のオルガノポリシロキサン化合物を含有する硬化性組成物。
【請求項10】
請求項9記載の硬化性組成物からなるコーティング剤。
【請求項11】
請求項9記載の硬化性組成物を硬化させてなる硬化物品。
【請求項12】
請求項10記載のコーティング剤を用いてなる被覆層を有する硬化物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オルガノポリシロキサン化合物およびその製造方法並びにそれを含有する帯電防止剤および硬化性組成物に関し、さらに詳述すると、分子中にオルガノポリシロキサン構造と重合性反応基およびイオン性基とを有するオルガノポリシロキサン化合物およびその製造方法、並びに当該オルガノポリシロキサン化合物を含む帯電防止剤および硬化性組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カチオンがトリアルコキシシリルアルキル基を有するアンモニウム又はホスホニウムであり、アニオンがパーフルオロアルキルスルホニルイミドであるオニウム塩は、フッ素樹脂用の低分子型帯電防止剤として利用できることが報告されている(特許文献1参照)。
しかし、本発明者らが、上記オニウム塩の1種である1−(3−トリメトキシシリルプロピル)−1,1,1−トリブチルホスホニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドを電子線硬化型アクリル樹脂の帯電防止剤として用いたところ、実用的な帯電防止性能を付与できないことがわかった。
【0003】
また、特許文献2では、帯電防止性能を向上できる化合物として、アルコキシシリル基を有するオニウム塩と、ジアルコキシシランを共重合することで得られるシロキサン系共重合体が開示されている。
しかし、本発明者らが、上記シロキサン系共重合体を電子線硬化型アクリル樹脂の帯電防止剤として用いたところ、初期の帯電防止性能には優れているものの、その分子内に電子線硬化型アクリル樹脂と反応し得る重合性反応基を有していないため、耐久性、特に耐水性が不十分であり、水との接触によってその帯電防止性能が経時で低下することがわかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−248165号公報
【特許文献2】国際公開第2015/163022号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、電子線硬化型樹脂に対して高い帯電防止性を付与でき、かつその帯電防止性能の耐久性に優れるオルガノポリシロキサン化合物およびその製造方法、並びに当該オルガノポリシロキサン化合物を含有する帯電防止剤および硬化性組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討を行った結果、分子中にオルガノポリシロキサン構造と、重合性反応基およびイオン性基とを有する、所定のオルガノポリシロキサン化合物およびその製造方法を見出すとともに、当該オルガノポリシロキサン化合物が、電子線硬化型樹脂に対して高い帯電防止性を付与できるだけでなく、帯電防止性能の耐久性にも優れていることを見出し、本発明を完成した。
【0007】
すなわち、本発明は、
1. 平均構造式(1)で表されることを特徴とするオルガノポリシロキサン化合物、
【化1】
〔式中、Zは、単結合、またはオルガノポリシロキサン構造を含む2〜20価の基を表し、R1は、互いに独立して、単結合、または非置換もしくは置換の炭素原子数1〜20のアルキレン基を表し、R2およびR3は、互いに独立して、非置換もしくは置換の炭素原子数1〜10のアルキル基、または炭素原子数6〜10のアリール基を表し、Yは、互いに独立して、重合性反応基を含有する一価炭化水素基を表し、pは、1〜10、qは、1〜10、かつ、p+qは、前記Zの価数に対応して2〜20を満たす数を表すが、前記Zが単結合の場合、pおよびqはともに1であり、A-は、1価のアニオンを表し、Q+は、下記式(2)〜(4)のいずれかで表される1価のカチオン性基を表す。
【化2】
(式中、R4〜R10は、互いに独立して、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基または炭素原子数7〜20のアラルキル基を表し、R11〜R13は、互いに独立して、水素原子、炭素原子数1〜20のアルキル基または炭素原子数6〜20のアリール基を表すが、R4とR5は、互いに結合して窒素原子とともに、置換基を有してもよいピロリジン環、置換基を有してもよいピペリジン環または置換基を有してもよいピリジン環を形成してもよく、R7とR8は、互いに結合してリン原子とともに、置換基を有してもよいホスホラン環、置換基を有してもよいホスホリナン環または置換基を有してもよいホスホリン環を形成してもよく、*は、結合手を表す。ただし、R4とR5が互いに結合してピリジン環を形成する場合は、R6は存在せず、R7とR8が互いに結合してホスホリン環を形成する場合は、R9は存在しない。)〕
2. 前記Yの重合性反応基が、(メタ)アクリルオキシ基および(メタ)アクリルアミド基から選ばれる1種である1のオルガノポリシロキサン化合物、
3. 前記A-が、含フッ素アニオンまたはハロゲン化物イオンである1または2のオルガノポリシロキサン化合物、
4. 前記A-が、トリフルオロメタンスルホン酸アニオン、ノナフルオロブタンスルホン酸アニオン、ビス(フルオロスルホニル)イミドアニオン、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオン、テトラフルオロボレートアニオン、ヘキサフルオロホスフェートアニオン、塩化物イオン、臭化物イオンまたはヨウ化物イオンである1〜3のいずれかのオルガノポリシロキサン化合物、
5. 平均構造式(5)で表される1〜4のいずれかのオルガノポリシロキサン化合物、
【化3】
(式中、R1、R2、R3、Y、A-およびQ+は、前記と同じ意味を表し、R14およびR15は、互いに独立して、非置換もしくは置換の炭素原子数1〜20のアルキル基、または炭素原子数6〜10のアリール基を表し、mは、0以上の数を表す。)
6. 平均構造式(6)
【化4】
(式中、R1、R2、R3、Y、p、qおよびZは、前記と同じ意味を表し、OHは、シラノール性水酸基を表す。)
で表される、重合性反応基およびシラノール性水酸基を有するオルガノポリシロキサン化合物と、式(7)
【化5】
(式中、R1、R2、R3、A-およびQ+は、前記と同じ意味を表し、Xは、炭素原子数1〜10のアルコキシ基、ハロゲン原子およびヒドロキシル基から選ばれる脱離基を表す。)
で表される、前記シラノール性水酸基と反応し得る官能基およびイオン性基を有する化合物とを、反応させることを特徴とする1〜5のいずれかのオルガノポリシロキサン化合物の製造方法。
7. 平均構造式(8)
【化6】
(式中、R1、R2、R3、R14、R15、Yおよびmは、前記と同じ意味を表す。)
で表される、重合性反応基およびシラノール性水酸基を有するオルガノポリシロキサン化合物と、式(7)
【化7】
(式中、R1、R2、R3、A-、Q+およびXは、前記と同じ意味を表す。)
で表される、前記シラノール性水酸基と反応し得る官能基およびイオン性基を有する化合物とを、反応させることを特徴とする5のオルガノポリシロキサン化合物の製造方法、
8. 1〜5のいずれかのオルガノポリシロキサン化合物を含有する帯電防止剤、
9. 1〜5のいずれかのオルガノポリシロキサン化合物を含有する硬化性組成物、
10. 9の硬化性組成物からなるコーティング剤、
11. 9の硬化性組成物を硬化させてなる硬化物品、
12. 10のコーティング剤を用いてなる被覆層を有する硬化物品
を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明のオルガノポリシロキサン化合物は、分子中にオルガノポリシロキサン構造と重合性反応基およびイオン性基とを有しているため、従来の帯電防止剤に比べ、高い帯電防止性を付与でき、かつその帯電防止性能の耐久性に優れるという特性を有している。
このような特性を有する本発明のオルガノポリシロキサン化合物を含む組成物は、帯電防止剤、硬化性組成物、コーティング剤として好適に用いることができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明について具体的に説明する。
本発明に係るオルガノポリシロキサン化合物は、平均構造式(1)で表される(以下、オルガノポリシロキサン化合物(1)という)。
【0010】
【化8】
【0011】
式(1)中、R1は、互いに独立して、単結合、または非置換もしくは置換の炭素原子数1〜20のアルキレン基を表すが、好ましくは炭素原子数1〜10のアルキレン基、より好ましくは炭素原子数1〜3のアルキレン基である。
炭素原子数1〜20のアルキレン基は、直鎖状、環状、分枝状のいずれでもよく、その具体例としては、メチレン、エチレン、トリメチレン、プロピレン、n−ブチレン、イソブチレン、n−ペンチレン、n−ヘキシレン、ヘプタメチレン、オクタメチレン、ノナメチレン、デカメチレン、ウンデカメチレン、ドデカメチレン、トリデカメチレン、テトラデカメチレン、ペンタデカメチレン、ヘキサデカメチレン、へプタデカメチレン、オクタデカメチレン、ノナデカメチレン、エイコサデシレン基等が挙げられる。
これらの中でも、直鎖状のアルキレン基が好ましく、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、オクタメチレン基がより好ましく、メチレン基、トリメチレン基がより一層好ましい。
なお、上記アルキレン基の水素原子の一部または全部は、炭素原子数1〜10のアルキル基、F,Cl,Br等のハロゲン原子、シアノ基等で置換されていてもよい。
【0012】
2およびR3は、互いに独立して、非置換もしくは置換の炭素原子数1〜10のアルキル基、または炭素原子数6〜10のアリール基を表すが、帯電防止性およびその耐久性の観点から、好ましくは炭素原子数1〜8のアルキル基、より好ましくは炭素原子数1〜3のアルキル基である。
炭素原子数1〜10のアルキル基は、直鎖状、環状、分枝状のいずれでもよく、その具体例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシル基等が挙げられるが、直鎖のアルキル基が好ましく、メチル、n−プロピル、n−ヘキシル、n−オクチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
炭素原子数6〜10のアリール基としては、フェニル、ナフチル基等が挙げられるが、フェニル基が好ましい。
【0013】
なお、上述したアルキル基およびアリール基の水素原子の一部または全部は、炭素原子数1〜10のアルキル基、F,Cl,Br等のハロゲン原子、シアノ基等で置換されていてもよく、そのような基の具体例としては、3−クロロプロピル、3,3,3−トリフルオロプロピル、2−シアノエチル、トリル、キシリル基等が挙げられるが、帯電防止性およびその耐久性の観点から、3,3,3−トリフルオロプロピル基が好ましい。
【0014】
Yは、互いに独立して、重合性反応基を含有する一価炭化水素基を表す。
重合性反応基の具体例としては、(メタ)アクリルオキシ基、(メタ)アクリルアミド基、スチリル基、ビニル基、アルケニル基、エポキシ基、マレイミド基等が挙げられるが、これらの中でも、帯電防止性およびその耐久性の観点から、(メタ)アクリルオキシ基、(メタ)アクリルアミド基、スチリル基、ビニル基が好ましく、(メタ)アクリルオキシ基、(メタ)アクリルアミド基がより好ましい。
【0015】
-は、一価のアニオンを表すが、ハロゲン化物イオン、含フッ素アニオンが好ましい。
ハロゲン化物イオンの具体例としては、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオンが挙げられるが、帯電防止性およびその耐久性の観点から、塩化物イオンが好ましい。
含フッ素アニオンの具体例としては、トリフルオロメタンスルホン酸アニオン、ノナフルオロブタンスルホン酸アニオン、ビス(フルオロスルホニル)イミドアニオン、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオン、テトラフルオロボレートアニオン、ヘキサフルオロホスフェートアニオン等が挙げられるが、帯電防止性およびその耐久性の観点から、ビス(フルオロスルホニル)イミドアニオン、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオンが好ましく、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオンがより好ましい。
【0016】
一方、Q+は、下記式(2)〜(4)のいずれかで表される1価のカチオン性基を表す。
【0017】
【化9】
(式中、*は、結合手を表す。)
【0018】
式(2)で表されるアンモニウム基(以下、アンモニウム基(2)という。)において、R4〜R6は、互いに独立して、炭素原子数1〜20、好ましくは炭素原子数1〜12のアルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基または炭素原子数7〜20のアラルキル基を表す。
炭素原子数1〜20のアルキル基は、直鎖状、環状、分枝状のいずれでもよく、その具体例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシル、ウンデシル、ドデシル、イコシル基等が挙げられるが、帯電防止性およびその耐久性の観点から、直鎖状のアルキル基が好ましく、n−ブチル、n−ヘキシル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシル、ウンデシル、ドデシル、イコシル基がより好ましく、n−ブチル基、n−オクチル基がより一層好ましく、n−オクチル基がさらに好ましい。
炭素原子数6〜20のアリール基の具体例としては、フェニル、ナフチル基等が挙げられる。
炭素原子数7〜20のアラルキル基の具体例としては、ベンジル基等が挙げられる。
【0019】
また、アンモニウム基(2)において、R4とR5は互いに結合し、下記式(2a)で表される置換基を有してもよいピロリジン環、下記式(2b)で表される置換基を有してもよいピペリジン環または下記式(2c)で表される置換基を有してもよいピリジン環を形成してもよい。ただし、R4とR5が末端で互いに結合してピリジン環を形成する場合は、下記式(2c)に示されるように、R6は存在しない。
【0020】
【化10】
(式中、*は、結合手を表す。)
【0021】
式(2a)、(2b)および(2c)において、Ra、RbおよびRcは、それぞれ炭素原子数1〜20、好ましくは炭素原子数1〜6のアルキル基を表し、これらの具体例としては、上記R4〜R6で例示した基と同様のものが挙げられる。
mは0〜8、好ましくは0〜4の整数、nは0〜10、好ましくは0〜5の整数、oは0〜5の整数である。
【0022】
式(3)で表されるホスホニウム基(以下、ホスホニウム基(3)という。)において、R7〜R9は、互いに独立して、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基または炭素原子数7〜20のアラルキル基である。これらアルキル基、アリール基、アラルキル基の具体例および好適例としては、上記R4〜R6で例示した基と同様のものが挙げられる。
【0023】
また、ホスホニウム基(3)においても、R7とR8は互いに結合し、下記式(3a)で表される置換基を有していてもよいホスホラン環、下記式(3b)で表される置換基を有していてもよいホスホリナン環または下記式(3c)で表される置換基を有していてもよいホスホリン環を形成してもよい。ただし、R7とR8が互いに結合してホスホリン環を形成する場合は、下記式(3c)に示されるように、R9は存在しない。
【0024】
【化11】
(式中、*は、結合手を表す。)
【0025】
式(3a)、(3b)および(3c)において、Rd、ReおよびRfは、それぞれ炭素原子数1〜20、好ましくは炭素原子数1〜6のアルキル基を表し、これらの具体例としては、上記R4〜R6で例示した基と同様のものが挙げられる。
pは0〜8、好ましくは0〜4の整数、qは0〜10、好ましくは0〜5の整数、rは0〜5の整数である。
【0026】
式(4)で表されるイミダゾリウム基(以下、イミダゾリウム基(4)という。)において、R10は炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基または炭素原子数7〜20のアラルキル基を表し、R11〜R13は、互いに独立して、水素原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基または炭素原子数7〜20のアラルキル基を表す。これらアルキル基、アリール基、アラルキル基の具体例および好適例としては、上記R4〜R6で例示した基と同様のものが挙げられる。
【0027】
また、式(1)中、Zは、単結合またはオルガノポリシロキサン構造を含む2〜20価の基を表す。
Zのオルガノポリシロキサン構造を含む基は特に限定されるものではなく、その中に直鎖状構造、分岐状構造、または架橋構造を有していてもよい。
より具体的には、D単位(R22SiO2/2単位)、T単位(R2SiO3/2単位)およびQ単位(SiO4/2単位)からなるオルガノポリシロキサン構造が挙げられる(式中、R2は、上記と同じ意味を表す)。
これらの単位は、それぞれ単独(D単位のみ、T単位のみ、またはQ単位のみ)であってもよく、複数単位の組み合わせからなるものであってもよいが、帯電防止性およびその耐久性の観点から、D単位を含むオルガノポリシロキサン構造が好ましく、D単位単独のオルガノポリシロキサン構造がより好ましい。
【0028】
式(1)におけるpは、Yの重合性反応基を含有する一価炭化水素基の数を表し、qは、イオン性基の数を表す。
一分子あたりのpの平均は1〜10であるが、1〜5が好ましく、1〜2がより好ましく、1がより一層好ましい。pが1未満であると重合性反応基が不足することにより、耐久性に劣る。一方、pが10を超えると、反応点が多くなり過ぎるため、化合物の保存安定性が悪化したり、帯電防止性が悪化したりする。
また、一分子あたりのqの平均は1〜10であるが、1〜5が好ましく、1〜2がより好ましく、1がより一層好ましい。qが1未満であるとイオン性基が不足することにより帯電防止性に劣る。一方、qが10を超えると、イオン性基が多くなり過ぎるため、化合物の保存安定性が悪化したり、本発明のオルガノポリシロキサン化合物を含有する硬化物の物理特性が悪化したりすることがある。
【0029】
本発明において、pとqの合計値は、Zで表されるオルガノポリシロキサン構造を含む基の価数に対応する。一分子あたりのZの価数の平均は上述のとおり2〜20であるが、2〜10が好ましく、2〜4がより好ましく、2がより一層好ましい。Zの価数が2未満であると重合性反応基およびイオン性基が不足することにより、帯電防止性およびその耐久性に劣る。一方、Zの価数が20を超えると、重合性反応基およびイオン性基が多くなり過ぎるため、化合物の保存安定性が悪化したり、帯電防止性が悪化したりする。
なお、Zが単結合の場合、Zの両側のSiとOが直接結合する態様となるため、p,qはともに1となる。
【0030】
本発明のオルガノポリシロキサン化合物としては、平均構造式が下記式(5)で表される、Zとして単結合またはD単位単独のオルガノポリシロキサン構造を有するものが好ましく、このような化合物を用いることで、さらに良好な帯電防止性およびその耐久性が発揮される。
【0031】
【化12】
(式中、R1、R2、R3、Y、A-およびQ+は、上記と同じ意味を表す。)
【0032】
式(5)において、R14およびR15は、互いに独立して、非置換もしくは置換の炭素原子数1〜20のアルキル基、または炭素原子数6〜10のアリール基を表し、これらアルキル基、アリール基の具体例としては、上記R2〜R6で例示した基と同様のものが挙げられる。
中でも、アルキル基としては、帯電防止性およびその耐久性の観点から、直鎖状のアルキル基が好ましく、炭素原子数1〜3のアルキル基がより好ましく、メチル基がより一層好ましい。また、アリール基としては、フェニル基が好ましい。
mは、0以上の数を表すが、帯電防止性およびその耐久性の観点から、0〜1,000が好ましく、3〜100がより好ましく、6〜50がより一層好ましい。
【0033】
本発明のオルガノポリシロキサン化合物の重量平均分子量は、特に限定されるものではないが、当該化合物を含む硬化性組成物を硬化させて得られる硬化物に、十分な帯電防止性およびその耐久性を付与することを考慮すると、重量平均分子量500〜10万が好ましく、700〜1万がより好ましく、1,000〜5,000がより一層好ましい。本発明における重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)によるポリスチレン換算値である。
【0034】
なお、本発明のオルガノポリシロキサン化合物は、溶剤を含んだ状態で用いてもよい。
溶剤としては、オルガノポリシロキサン化合物(1)の溶解能を有していれば特に限定されるものではないが、溶解性および揮発性等の観点から、トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤;テトラヒドロフラン等のエーテル系溶剤、アセトニトリル等のニトリル系溶剤が好ましく、中でも、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトニトリルがより好ましい。
溶剤の添加量は、オルガノポリシロキサン化合物(1)100質量部に対して、100〜20,000質量部が好ましく、200〜10,000質量部がより好ましい。
【0035】
上記オルガノポリシロキサン化合物(1)は、下記平均構造式(6)で表される、重合性反応基およびシラノール性水酸基を有するオルガノポリシロキサン化合物(以下、シラノール性水酸基含有オルガノポリシロキサン化合物(6)という)と、式(7)で表される、シラノール性水酸基と反応し得る官能基およびイオン性基を有する化合物(以下、イオン性化合物(7)という)とを反応させて得ることができる。
より具体的には、シラノール性水酸基含有オルガノポリシロキサン化合物(6)のシラノール性水酸基と、イオン性化合物(7)の脱離基との間で、脱アルコール反応、脱ハロゲン化水素反応および脱水反応のいずれかの反応形態によりシロキサン結合を形成する反応を行う。
【0036】
【化13】

(式中、R1、R2、R3、Y、p、q、Z、A-およびQ+は、上記と同じ意味を表す。OHは、シラノール性水酸基を表し、Xは、炭素原子数1〜10のアルコキシ基、ハロゲン原子およびヒドロキシル基(−OH基)から選ばれる脱離基を表す。)
【0037】
Xの炭素原子数1〜10のアルコキシ基において、その中のアルキル基は、直鎖状、環状、分枝状のいずれでもよく、その具体例としては、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、t−ブトキシ、n−ペントキシ、n−ヘキシルオキシ、n−へプチルオキシ、n−オクチルオキシ、n−ノニルオキシ、n−デシルオキシ基等が挙げられるが、反応性の観点から、炭素原子数1〜3のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基がより好ましく、メトキシ基がより一層好ましい。
ハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられるが、反応性の観点から、塩素原子が好ましい。
【0038】
上記シラノール性水酸基含有オルガノポリシロキサン化合物(6)の具体例としては、下記構造式で表されるもの等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0039】
【化14】
【0040】
【化15】
【0041】
【化16】
【0042】
【化17】
【0043】
一方、イオン性化合物(7)の具体例としては、トリブチル{(クロロジメチルシリル)メチル}アンモニウム クロリド、トリブチル{(クロロジメチルシリル)メチル}アンモニウム ビス(フルオロスルホニル)イミド、トリブチル{(クロロジメチルシリル)メチル}アンモニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリヘキシル{(クロロジメチルシリル)メチル}アンモニウムクロリド、トリヘキシル{(クロロジメチルシリル)メチル}アンモニウム ビス(フルオロスルホニル)イミド、トリヘキシル{(クロロジメチルシリル)メチル}アンモニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリオクチル{(クロロジメチルシリル)メチル}アンモニウム クロリド、トリオクチル{(クロロジメチルシリル)メチル}アンモニウム ビス(フルオロスルホニル)イミド、トリオクチル{(クロロジメチルシリル)メチル}アンモニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリデシル{(クロロジメチルシリル)メチル}アンモニウム クロリド、トリデシル{(クロロジメチルシリル)メチル}アンモニウム ビス(フルオロスルホニル)イミド、トリデシル{(クロロジメチルシリル)メチル}アンモニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリドデシル{(クロロジメチルシリル)メチル}アンモニウム クロリド、トリドデシル{(クロロジメチルシリル)メチル}アンモニウム ビス(フルオロスルホニル)イミド、トリドデシル{(クロロジメチルシリル)メチル}アンモニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−{(クロロジメチルシリル)メチル}−1−メチルピロリジニウム クロリド、1−{(クロロジメチルシリル)メチル}−1−メチルピロリジニウム ビス(フルオロスルホニル)イミド、1−{(クロロジメチルシリル)メチル}−1−メチルピロリジニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−{(クロロジメチルシリル)メチル}−1−メチルピペリジニウム クロリド、1−{(クロロジメチルシリル)メチル}−1−メチルピペリジニウム ビス(フルオロスルホニル)イミド、1−{(クロロジメチルシリル)メチル}−1−メチルピペリジニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−{(クロロジメチルシリル)メチル}ピリジニウム クロリド、1−{(クロロジメチルシリル)メチル}ピリジニウム ビス(フルオロスルホニル)イミド、1−{(クロロジメチルシリル)メチル}ピリジニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−{(クロロジメチルシリル)メチル}−2−メチルピリジニウム クロリド、1−{(クロロジメチルシリル)メチル}−2−メチルピリジニウム ビス(フルオロスルホニル)イミド、1−{(クロロジメチルシリル)メチル}−2−メチルピリジニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−{(クロロジメチルシリル)メチル}−3−メチルピリジニウム クロリド、1−{(クロロジメチルシリル)メチル}−3−メチルピリジニウム ビス(フルオロスルホニル)イミド、1−{(クロロジメチルシリル)メチル}−3−メチルピリジニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−{(クロロジメチルシリル)メチル}−4−メチルピリジニウム クロリド、1−{(クロロジメチルシリル)メチル}−4−メチルピリジニウム ビス(フルオロスルホニル)イミド、1−{(クロロジメチルシリル)メチル}−4−メチルピリジニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリブチル{(クロロジメチルシリル)メチル}ホスホニウム クロリド、トリブチル{(クロロジメチルシリル)メチル}ホスホニウム ビス(フルオロスルホニル)イミド、トリブチル{(クロロジメチルシリル)メチル}ホスホニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリヘキシル{(クロロジメチルシリル)メチル}ホスホニウム クロリド、トリヘキシル{(クロロジメチルシリル)メチル}ホスホニウム ビス(フルオロスルホニル)イミド、トリヘキシル{(クロロジメチルシリル)メチル}ホスホニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリオクチル{(クロロジメチルシリル)メチル}ホスホニウム クロリド、トリオクチル{(クロロジメチルシリル)メチル}ホスホニウム ビス(フルオロスルホニル)イミド、トリオクチル{(クロロジメチルシリル)メチル}ホスホニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、3−{(クロロジメチルシリル)メチル}−1−メチルイミダゾリウム クロリド、3−{(クロロジメチルシリル)メチル}−1−メチルイミダゾリウム ビス(フルオロスルホニル)イミド、3−{(クロロジメチルシリル)メチル}−1−メチルイミダゾリウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、3−{(クロロジメチルシリル)メチル}−1−エチルイミダゾリウム クロリド、3−{(クロロジメチルシリル)メチル}−1−エチルイミダゾリウム ビス(フルオロスルホニル)イミド、3−{(クロロジメチルシリル)メチル}−1−エチルイミダゾリウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、3−{(クロロジメチルシリル)メチル}−1−オクチルイミダゾリウム クロリド、3−{(クロロジメチルシリル)メチル}−1−オクチルイミダゾリウム ビス(フルオロスルホニル)イミド、3−{(クロロジメチルシリル)メチル}−1−オクチルイミダゾリウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、3−{(クロロジメチルシリル)メチル}−1,2−ジメチルイミダゾリウム クロリド、3−{(クロロジメチルシリル)メチル}−1,2−ジメチルイミダゾリウム ビス(フルオロスルホニル)イミド、3−{(クロロジメチルシリル)メチル}−1,2−ジメチルイミダゾリウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリブチル{3−(クロロジメチルシリル)プロピル}ホスホニウム クロリド、トリブチル{3−(クロロジメチルシリル)プロピル}ホスホニウム ビス(フルオロスルホニル)イミド、トリブチル{3−(クロロジメチルシリル)プロピル}ホスホニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリオクチル{3−(クロロジメチルシリル)プロピル}ホスホニウム クロリド、トリオクチル{3−(クロロジメチルシリル)プロピル}ホスホニウム ビス(フルオロスルホニル)イミド、トリオクチル{3−(クロロジメチルシリル)プロピル}ホスホニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリブチル{8−(クロロジメチルシリル)オクチル}ホスホニウム クロリド、トリブチル{8−(クロロジメチルシリル)オクチル}ホスホニウム ビス(フルオロスルホニル)イミド、トリブチル{8−(クロロジメチルシリル)オクチル}ホスホニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリオクチル{8−(クロロジメチルシリル)オクチル}ホスホニウム クロリド、トリオクチル{8−(クロロジメチルシリル)オクチル}ホスホニウム ビス(フルオロスルホニル)イミド、トリオクチル{8−(クロロジメチルシリル)オクチル}ホスホニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリブチル{(メトキシジメチルシリル)メチル}ホスホニウム クロリド、トリブチル{(メトキシジメチルシリル)メチル}ホスホニウム ビス(フルオロスルホニル)イミド、トリブチル{(メトキシジメチルシリル)メチル}ホスホニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリオクチル{(メトキシジメチルシリル)メチル}ホスホニウム クロリド、トリオクチル{(メトキシジメチルシリル)メチル}ホスホニウム ビス(フルオロスルホニル)イミド、トリオクチル{(メトキシジメチルシリル)メチル}ホスホニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリブチル{(エトキシジメチルシリル)メチル}ホスホニウム クロリド、トリブチル{(エトキシジメチルシリル)メチル}ホスホニウム ビス(フルオロスルホニル)イミド、トリブチル{(エトキシジメチルシリル)メチル}ホスホニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリオクチル{(エトキシジメチルシリル)メチル}ホスホニウム クロリド、トリオクチル{(エトキシジメチルシリル)メチル}ホスホニウム ビス(フルオロスルホニル)イミド、トリオクチル{(エトキシジメチルシリル)メチル}ホスホニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリブチル{(ジメチルシラノール)メチル}ホスホニウム クロリド、トリブチル{(ジメチルシラノール)メチル}ホスホニウム ビス(フルオロスルホニル)イミド、トリブチル{(ジメチルシラノール)メチル}ホスホニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリオクチル{(ジメチルシラノール)メチル}ホスホニウム クロリド、トリオクチル{(ジメチルシラノール)メチル}ホスホニウム ビス(フルオロスルホニル)イミド、トリオクチル{(ジメチルシラノール)メチル}ホスホニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0044】
これらの中でも、上記シラノール性水酸基含有オルガノポリシロキサン化合物(6)との反応性と、得られるオルガノポリシロキサン化合物の帯電防止性およびその耐久性の観点から、トリブチル{(クロロジメチルシリル)メチル}アンモニウム クロリド、トリブチル{(クロロジメチルシリル)メチル}アンモニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリオクチル{(クロロジメチルシリル)メチル}アンモニウム クロリド、トリオクチル{(クロロジメチルシリル)メチル}アンモニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリブチル{(クロロジメチルシリル)メチル}ホスホニウム クロリド、トリブチル{(クロロジメチルシリル)メチル}ホスホニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリオクチル{(クロロジメチルシリル)メチル}ホスホニウム クロリド、トリオクチル{(クロロジメチルシリル)メチル}ホスホニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリブチル{3−(クロロジメチルシリル)プロピル}ホスホニウム クロリド、トリブチル{3−(クロロジメチルシリル)プロピル}ホスホニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリオクチル{3−(クロロジメチルシリル)プロピル}ホスホニウム クロリド、トリオクチル{3−(クロロジメチルシリル)プロピル}ホスホニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリブチル{8−(クロロジメチルシリル)オクチル}ホスホニウム クロリド、トリブチル{8−(クロロジメチルシリル)オクチル}ホスホニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリオクチル{8−(クロロジメチルシリル)オクチル}ホスホニウム クロリド、トリオクチル{8−(クロロジメチルシリル)オクチル}ホスホニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドが好ましく、トリブチル{(クロロジメチルシリル)メチル}アンモニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリオクチル{(クロロジメチルシリル)メチル}アンモニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリブチル{(クロロジメチルシリル)メチル}ホスホニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリオクチル{(クロロジメチルシリル)メチル}ホスホニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドがより好ましく、トリブチル{(クロロジメチルシリル)メチル}ホスホニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリオクチル{(クロロジメチルシリル)メチル}ホスホニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドがより一層好ましい。
【0045】
また、本発明では、上記シラノール性水酸基含有オルガノポリシロキサン化合物(6)について、Zは、得られるオルガノポリシロキサン化合物の帯電防止性およびその耐久性の観点から、D単位単独のオルガノポリシロキサン構造がより好ましい。
【0046】
したがって、上記シラノール性水酸基含有オルガノポリシロキサン化合物(6)としては、平均構造式が下記式(8)で表されるもの(以下、シラノール性水酸基含有オルガノポリシロキサン化合物(8)という)が好ましく、このような化合物を用いることで、得られるオルガノポリシロキサン化合物はさらに良好な帯電防止性およびその耐久性が発揮される。
【0047】
【化18】
(式中、R1、R2、R3、R14、R15、Yおよびmは、上記と同じ意味を表す。)
【0048】
上記シラノール性水酸基含有オルガノポリシロキサン化合物(6)または(8)のシラノール性水酸基と、上記イオン性化合物(7)の脱離基とのシロキサン結合形成反応は、従来公知の一般的な方法で行うことができる。
より具体的には、塩基性化合物の存在下、シラノール性水酸基含有オルガノポリシロキサン化合物(6)または(8)と、イオン性化合物(7)とを脱アルコール反応、脱ハロゲン化水素反応および脱水反応のいずれかの反応形態によりシロキサン結合を形成する反応を行う。
【0049】
上記塩基性化合物としては、通常、上記のシロキサン結合形成反応に用いられている各種の塩基性化合物を使用できる。
具体的には、水素化ナトリウム、水素化リチウム、水素化カリウム、水素化セシウム等のアルカリ金属水素化物;水素化カルシウム等のアルカリ土類金属水素化物;水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム等のアルカリ金属水酸化物およびその水溶液、水酸化バリウム、水酸化カルシウム等のアルカリ土類金属水酸化物およびその水溶液;カリウムt−ブトキシド、ナトリウムt−ブトキシド等のアルカリ金属およびアルカリ土類アルコキシド;炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム等のアルカリ金属およびアルカリ土類金属炭酸塩;炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属およびアルカリ土類炭酸水素塩;トリエチルアミン、トリブチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、テトラメチルエチレンジアミン、ピリジン、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン等の3級アミンなどが挙げられる。
これらの中でも、反応効率の観点から、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、テトラメチルエチレンジアミン、ピリジン、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン等の3級アミンが好ましく、トリエチルアミン、トリブチルアミンがより好ましい。
【0050】
塩基性化合物の使用量は特に限定されるものではないが、シロキサン結合形成反応を十分進行させて原料の残存を防止するとともに、塩基性化合物の過剰な残存を防止して得られるオルガノポリシロキサン化合物の保存安定性や諸特性を高めることを考慮すると、式(6)で表される化合物のシラノール性水酸基1molに対し、塩基性化合物0.5〜10molが好ましく、0.8〜5molがより好ましく、0.9〜2molがより一層好ましい。
【0051】
上記シロキサン結合形成反応では、用いる原料を溶解し、かつ用いる原料と反応しない溶媒を用いることができる。
その具体例としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、シクロヘキサン等の炭化水素系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒;ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ピロリドン、N−メチルピロリドン等のアミド系溶媒;ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル系溶媒;アセトニトリル等のニトリル系溶媒などが挙げられ、これらは単独で用いても、2種以上組み合わせて用いてもよい。
これらの中でも、反応効率の観点から、トルエン、キシレン、ジメチルホルムアミド、シクロペンチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、アセトニトリルが好ましく、アセトニトリルがより好ましい。
【0052】
シロキサン結合形成時の反応温度は、特に限定されるものではないが、反応速度を適切にすることを考慮すると、0〜100℃が好ましく、25〜80℃が好ましく、40〜70℃がより一層好ましい。
反応時間は特に制限されないが、通常10分〜24時間である。
【0053】
シラノール性水酸基含有オルガノポリシロキサン化合物(6)または(8)のシラノール性水酸基と、イオン性化合物(7)の脱離基との反応割合は、シロキサン結合形成反応時の副生物を抑制するとともに、得られるオルガノポリシロキサン化合物の保存安定性や特性を高めることを考慮すると、上記シラノール性水酸基1molに対し、上記脱離基0.8〜1.2molとなる割合が好ましく、0.9〜1.1molとなる割合がより好ましい。
【0054】
本発明の帯電防止剤は、上述した本発明のオルガノポリシロキサン化合物(1)を少なくとも1種含有するものである。
上述したオルガノポリシロキサン化合物(1)は、それ単独で帯電防止剤として使用することもできるが、安定化剤等の添加剤、溶媒等のその他の成分を混合した形態として使用することもできる。
その他の成分を配合する場合、帯電防止剤中のオルガノポリシロキサン化合物(1)の含有量は特に限定されず、例えば、90質量%以上、70質量%以上、50質量%以上、30質量%以上、10質量%以上、5質量%以上、1質量%以上等から適宜設定できる。
【0055】
溶媒としては、オルガノポリシロキサン化合物(1)と反応せず、かつオルガノポリシロキサン化合物(1)の溶解能を有していれば特に限定されるものではないが、オルガノポリシロキサン化合物(1)との非反応性、溶解性および揮発性等の観点から、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル等のエステル系溶剤;ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル系溶剤;アセトニトリル等が挙げられる。中でも、トルエン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、ジブチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、アセトニトリルが好ましく、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトニトリルがより好ましい。
【0056】
本発明の硬化性組成物は、オルガノポリシロキサン化合物(1)を含む。
本発明のオルガノポリシロキサン化合物(1)は、当該オルガノポリシロキサン化合物の構造に由来し、従来の帯電防止剤に比べ、これを含有する硬化性組成物を用いて得られる硬化物の帯電防止性およびその耐久性を向上させる。
本発明の硬化性組成物において、オルガノポリシロキサン化合物(1)の含有量は、特に限定されるものではないが、硬化性組成物中に、0.1〜10質量%程度が好ましく、0.5〜5質量%がより好ましい。なお、オルガノポリシロキサン化合物が溶剤を含む場合、上記含有量は、溶剤を除いた不揮発分を意味する。
【0057】
本発明の硬化性組成物は、重合性モノマーとしてエチレン性不飽和二重結合を有する化合物を含むものが好ましい。
上記エチレン性不飽和二重結合を有する化合物としては、特に限定されるものではなく、その具体例としては、N−ビニルピロリドン;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルフォリンテトラヒドロフルフリールアクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、エチルカルビトール(メタ)アクリレート、リン酸(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性リン酸(メタ)アクリレート、フェノキシ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性フェノキシ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性フェノキシ(メタ)アクリレート、ノニルフェノール(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ノニルフェノール(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性ノニルフェノール(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシプロピレングリコール(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロゲンフタレート、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルハイドロゲンフタレート、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルヘキサヒドロハイドロゲンフタレート、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルテトラヒドロハイドロゲンフタレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、ヘキサフルオロプロピル(メタ)アクリレート、オクタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、オクタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、アダマンチルモノ(メタ)アクリレート等のモノ(メタ)アクリレート;ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ビス[(メタ)アクリロキシメチル]−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン等のジ(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス2―ヒドロキシエチルイソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等のトリ(メタ)アクリレート;ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の4官能以上の(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0058】
本発明の硬化性組成物には、光重合開始剤等の硬化触媒を配合してもよい。さらに、使用目的に応じて、接着性改良剤、無機および有機の紫外線吸収剤、光安定化剤、保存安定性改良剤、可塑剤、充填剤、顔料、溶剤等の各種添加剤を添加してもよい。
【0059】
以上説明した本発明の硬化性組成物を、固体基材の表面に塗布し、硬化させて被覆層を形成することで、硬化物品である被覆固体基材が得られる。
塗布方法としては特に限定されず、その具体例としては、スプレーコート、スピンコート、ディップコート、ローラーコート、刷毛塗り、バーコート、フローコート等の公知の方法から適宜選択して用いることができる。
固体基材としても特に限定されず、その具体例としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート類およびポリカーボネートブレンド、ポリ(メタクリル酸メチル)等のアクリル系樹脂、ポリ(エチレンテレフタレート),ポリ(ブチレンテレフタレート),不飽和ポリエステル樹脂等のポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリスチレンとポリフェニレンエーテルとのブレンド、セルロースアセテートブチレート、ポリエチレン樹脂などの有機ポリマー基材、鋼板等の金属基材、塗料塗布面、ガラス、セラミック、コンクリート、スレート板、テキスタイル、木材、石材、瓦、(中空)シリカ,チタニア,ジルコニア,アルミナ等の無機フィラー、ガラス繊維をはじめとしたガラスクロス,ガラステープ,ガラスマット,ガラスペーパー等のガラス繊維製品などが挙げられ、基材の材質および形状については特に限定されるものではない。
【実施例】
【0060】
以下、実施例および比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
なお、下記において、各生成物の粘度は、オストワルド粘度計による25℃における測定値であり、各生成物中に含まれるシラノール性水酸基の含有量(質量%)は、各生成物にグリニャール試薬(メチルマグネシウムヨージド)を作用させた際のメタンガス発生量より定量した。また、各生成物のシリコーン平均組成は、日本電子(株)製300MHz−NMR測定装置を用いて、1H−NMRおよび29Si−NMRにおける検出スペクトルの積分値から算出した。
また、下記におけるシリコーン平均組成中のTFSI-はビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオンを表す。
【0061】
[1]オルガノポリシロキサン化合物の合成
[実施例1−1]オルガノポリシロキサン化合物1の合成
撹拌機、還流冷却器、滴下ロートおよび温度計を備えた200mLセパラブルフラスコに、下記式(9)で表されるシラノール性水酸基含有オルガノポリシロキサン化合物4.8g、トルエン45g、3,5−ジt−ブチル−4−ヒドロキシトルエン0.03gおよびトリエチルアミン3.2gを仕込み、40℃に加熱した。その中に、イオン性化合物としてトリブチル{(クロロジメチルシリル)メチル}ホスホニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドの50質量%トルエン溶液35.2gを滴下投入し、50℃にて2時間加熱撹拌した。シラノール性水酸基の含有量測定により、原料のシラノール性水酸基含有オルガノポリシロキサン化合物由来のシラノール性水酸基が完全に消費され0質量%となったことを確認し、反応終了とした。反応終了後の混合物を、10質量%芒硝水30gを用いて2回水洗および分液操作を行った後、減圧留去(80℃、5mmHg)を1時間実施し、濾過することで、対応するオルガノポリシロキサン化合物1を17g得た。
得られたオルガノポリシロキサン化合物1は、無色透明液体であり、粘度90mm2/s、下記式(10)で表されるシリコーン平均組成であった。
【0062】
【化19】
【0063】
【化20】
【0064】
[実施例1−2]オルガノポリシロキサン化合物2の合成
撹拌機、還流冷却器、滴下ロートおよび温度計を備えた200mLセパラブルフラスコに、下記式(11)で表されるシラノール性水酸基含有オルガノポリシロキサン化合物21g、トルエン10g、アセトニトリル40g、3,5−ジt−ブチル−4−ヒドロキシトルエン0.03gおよびトリエチルアミン5.8gを仕込み、40℃に加熱した。その中に、イオン性化合物としてトリブチル{(クロロジメチルシリル)メチル}ホスホニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドの50質量%トルエン溶液64.8gを滴下投入し、50℃にて2時間加熱撹拌した。シラノール性水酸基の含有量測定により、原料のシラノール性水酸基含有オルガノポリシロキサン化合物由来のシラノール性水酸基が完全に消費され0質量%となったことを確認し、反応終了とした。反応終了後の混合物を、10質量%芒硝水100gを用いて2回水洗および分液操作を行った後、減圧留去(80℃、5mmHg)を1時間実施し、濾過することで、対応するオルガノポリシロキサン化合物2を49g得た。
得られたオルガノポリシロキサン化合物2は、無色透明液体であり、粘度88mm2/s、下記式(12)で表されるシリコーン平均組成であった。
【0065】
【化21】
【0066】
【化22】
【0067】
[実施例1−3]オルガノポリシロキサン化合物3の合成
撹拌機、還流冷却器、滴下ロートおよび温度計を備えた200mLセパラブルフラスコに、下記式(13)で表されるシラノール性水酸基含有オルガノポリシロキサン化合物33.2g、トルエン10g、アセトニトリル40g、3,5−ジt−ブチル−4−ヒドロキシトルエン0.04gおよびトリエチルアミン5.8gを仕込み、40℃に加熱した。その中に、イオン性化合物としてトリブチル{(クロロジメチルシリル)メチル}ホスホニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドの50質量%トルエン溶液64.8gを滴下投入し、50℃にて2時間加熱撹拌した。シラノール性水酸基の含有量測定により、原料のシラノール性水酸基含有オルガノポリシロキサン化合物由来のシラノール性水酸基が完全に消費され0質量%となったことを確認し、反応終了とした。反応終了後の混合物を、10質量%芒硝水100gを用いて2回水洗および分液操作を行った後、減圧留去(80℃、5mmHg)を1時間実施し、濾過することで、対応するオルガノポリシロキサン化合物3を60g得た。
得られたオルガノポリシロキサン化合物3は、無色透明液体であり、粘度71mm2/s、下記式(14)で表されるシリコーン平均組成であった。
【0068】
【化23】
【0069】
【化24】
【0070】
[実施例1−4]オルガノポリシロキサン化合物4の合成
撹拌機、還流冷却器、滴下ロートおよび温度計を備えた200mLセパラブルフラスコに、下記式(15)で表されるシラノール性水酸基含有オルガノポリシロキサン化合物45.4g、トルエン6.5g、アセトニトリル50g、3,5−ジt−ブチル−4−ヒドロキシトルエン0.05gおよびトリエチルアミン3.8gを仕込み、40℃に加熱した。その中に、イオン性化合物としてトリブチル{(クロロジメチルシリル)メチル}ホスホニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドの50質量%トルエン溶液42.1gを滴下投入し、50℃にて2時間加熱撹拌した。シラノール性水酸基の含有量測定により、原料のシラノール性水酸基含有オルガノポリシロキサン化合物由来のシラノール性水酸基が完全に消費され0質量%となったことを確認し、反応終了とした。反応終了後の混合物を、10質量%芒硝水100gを用いて2回水洗および分液操作を行った後、減圧留去(80℃、5mmHg)を1時間実施し、濾過することで、対応するオルガノポリシロキサン化合物4を58g得た。
得られたオルガノポリシロキサン化合物4は、無色透明液体であり、粘度81mm2/s、下記式(16)で表されるシリコーン平均組成であった。
【0071】
【化25】
【0072】
【化26】
【0073】
[実施例1−5]オルガノポリシロキサン化合物5の合成
イオン性化合物であるトリブチル{(クロロジメチルシリル)メチル}ホスホニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドの50質量%トルエン溶液を、トリブチル{(クロロジメチルシリル)メチル}ホスホニウム クロリドの72質量%アセトニトリル溶液26.4gに変更した以外は、実施例1−3と同様の手順で合成し、対応するオルガノポリシロキサン化合物5を45g得た。
得られたオルガノポリシロキサン化合物5は、無色透明液体であり、粘度52mm2/s、下記式(17)で表されるシリコーン平均組成であった。
【0074】
【化27】
【0075】
[実施例1−6]オルガノポリシロキサン化合物6の合成
イオン性化合物であるトリブチル{(クロロジメチルシリル)メチル}ホスホニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドの50質量%トルエン溶液を、トリオクチル{(クロロジメチルシリル)メチル}ホスホニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドの50質量%トルエン溶液83.3gに変更した以外は、実施例1−3と同様の手順で合成し、対応するオルガノポリシロキサン化合物6を70g得た。
得られたオルガノポリシロキサン化合物6は、無色透明液体であり、粘度68mm2/s、下記式(18)で表されるシリコーン平均組成であった。
【0076】
【化28】
【0077】
[実施例1−7]オルガノポリシロキサン化合物7の合成
イオン性化合物であるトリブチル{(クロロジメチルシリル)メチル}ホスホニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドの50質量%トルエン溶液を、トリオクチル{(クロロジメチルシリル)メチル}ホスホニウム クロリドの80質量%アセトニトリル溶液35.3gに変更した以外は、実施例1−3と同様の手順で合成し、対応するオルガノポリシロキサン化合物7を55g得た。
得られたオルガノポリシロキサン化合物7は、無色透明液体であり、粘度170mm2/s、下記式(19)で表されるシリコーン平均組成であった。
【0078】
【化29】
【0079】
[実施例1−8]オルガノポリシロキサン化合物8の合成
式(13)で表されるシラノール性水酸基含有オルガノポリシロキサン化合物を、下記式(20)で表されるシラノール性水酸基含有オルガノポリシロキサン化合物60.3gに変更した以外は、実施例1−3と同様の手順で合成し、対応するオルガノポリシロキサン化合物8を79g得た。
得られたオルガノポリシロキサン化合物8は、無色微濁液体であり、粘度65mm2/s、下記式(21)で表されるシリコーン平均組成であった。
【0080】
【化30】
【0081】
【化31】
【0082】
[実施例1−9]オルガノポリシロキサン化合物9の合成
式(13)で表されるシラノール性水酸基含有オルガノポリシロキサン化合物を、下記式(22)で表されるシラノール性水酸基含有オルガノポリシロキサン化合物46.7gに変更した以外は、実施例1−3と同様の手順で合成し、対応するオルガノポリシロキサン化合物9を69g得た。
得られたオルガノポリシロキサン化合物9は、無色微濁液体であり、粘度72mm2/s、下記式(23)で表されるシリコーン平均組成であった。
【0083】
【化32】
【0084】
【化33】
【0085】
[実施例1−10]オルガノポリシロキサン化合物10の合成
撹拌機、還流冷却器、滴下ロートおよび温度計を備えた200mLセパラブルフラスコに、下記式(24)で表されるシラノール性水酸基含有オルガノポリシロキサン化合物34.0g、トルエン10g、アセトニトリル40g、3,5−ジt−ブチル−4−ヒドロキシトルエン0.04gおよびトリエチルアミン5.8gを仕込み、40℃に加熱した。その中に、イオン性化合物としてトリオクチル{(クロロジメチルシリル)メチル}ホスホニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドの50質量%トルエン溶液83.3gを滴下投入し、50℃にて2時間加熱撹拌した。シラノール性水酸基の含有量測定により、原料のシラノール性水酸基含有オルガノポリシロキサン化合物由来のシラノール性水酸基が完全に消費され0質量%となったことを確認し、反応終了とした。反応終了後の混合物を、10質量%芒硝水100gを用いて2回水洗および分液操作を行った後、減圧留去(80℃、5mmHg)を1時間実施し、濾過することで、対応するオルガノポリシロキサン化合物10を72g得た。
得られたオルガノポリシロキサン化合物10は、無色透明液体であり、粘度70mm2/s、下記式(25)で表されるシリコーン平均組成であった。
【0086】
【化34】
【0087】
【化35】
【0088】
[実施例1−11]オルガノポリシロキサン化合物11の合成
式(24)で表されるシラノール性水酸基含有オルガノポリシロキサン化合物を、下記式(26)で表されるシラノール性水酸基含有オルガノポリシロキサン化合物33.2gに変更した以外は、実施例1−10と同様の手順で合成し、対応するオルガノポリシロキサン化合物11を68g得た。
得られたオルガノポリシロキサン化合物11は、無色透明液体であり、粘度88mm2/s、下記式(27)で表されるシリコーン平均組成であった。
【0089】
【化36】
【0090】
【化37】
【0091】
[実施例1−12]オルガノポリシロキサン化合物12の合成
式(24)で表されるシラノール性水酸基含有オルガノポリシロキサン化合物を、下記式(28)で表されるシラノール性水酸基含有オルガノポリシロキサン化合物33.9gに変更した以外は、実施例1−10と同様の手順で合成し、対応するオルガノポリシロキサン化合物12を71g得た。
得られたオルガノポリシロキサン化合物12は、無色透明液体であり、粘度85mm2/s、下記式(29)で表されるシリコーン平均組成であった。
【0092】
【化38】
【0093】
【化39】
【0094】
[実施例1−13]オルガノポリシロキサン化合物13の合成
式(24)で表されるシラノール性水酸基含有オルガノポリシロキサン化合物を、下記式(30)で表されるシラノール性水酸基含有オルガノポリシロキサン化合物69.6gに変更した以外は、実施例1−10と同様の手順で合成し、対応するオルガノポリシロキサン化合物13を95g得た。
得られたオルガノポリシロキサン化合物13は、無色透明液体であり、粘度435mm2/s、下記式(31)で表されるシリコーン平均組成であった。
【0095】
【化40】
【0096】
【化41】
【0097】
[実施例1−14]オルガノポリシロキサン化合物14の合成
式(24)で表されるシラノール性水酸基含有オルガノポリシロキサン化合物を、下記式(32)で表されるシラノール性水酸基含有オルガノポリシロキサン化合物65.3gに変更した以外は、実施例1−10と同様の手順で合成し、対応するオルガノポリシロキサン化合物14を90g得た。
得られたオルガノポリシロキサン化合物14は、無色透明液体であり、粘度710mm2/s、下記式(33)で表されるシリコーン平均組成であった。
【0098】
【化42】
【0099】
【化43】
【0100】
[比較例1−1]オルガノポリシロキサン化合物15の合成
撹拌機、還流冷却器、滴下ロートおよび温度計を備えた500mLセパラブルフラスコに、ジメトキシジメチルシラン51.6g(0.4モル)、イソプロピルアルコール40gおよび1−(3−トリメトキシシリルプロピル)−1,1,1−トリブチルホスホニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド30.8g(0.05モル)を仕込んだ。その中に、0.1規定塩酸8.5gを室温で滴下投入し、25℃にて16時間撹拌した。反応終了後の混合物について、減圧留去(80℃、5mmHg)による濃縮を3時間実施し、得られた濃縮残渣をn−ヘキサン80gで2回分液洗浄し、さらに減圧留去(80℃、5mmHg)による濃縮を1時間実施して、対応するオルガノポリシロキサン化合物15を35g得た。
得られたオルガノポリシロキサン化合物15は、無色透明液体であり、粘度70mm2/sであった。
【0101】
[比較例1−2]オルガノポリシロキサン化合物16の合成
撹拌機、還流冷却器、滴下ロートおよび温度計を備えた500mLセパラブルフラスコに、ジメチルジメトキシシラン130.3g(1.1モル)、メチルトリメトキシシラン42.2g(0.31モル)、イソプロピルアルコール135gおよび1−(3−トリメトキシシリルプロピル)−1,1,1−トリブチルホスホニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド100g(0.15モル)を仕込んだ。その中に、0.1規定塩酸30.0gを室温で滴下投入し、25℃にて16時間撹拌した。反応終了後の混合物について、減圧留去(80℃、5mmHg)による濃縮を3時間実施し、得られた濃縮残渣をn−ヘキサン270gで2回分液洗浄し、さらに減圧留去(80℃、5mmHg)による濃縮を1時間実施して、対応するオルガノポリシロキサン化合物16を120g得た。
得られたオルガノポリシロキサン化合物16は、無色微濁液体であり、粘度980mm2/sであった。
【0102】
[2]硬化性組成物およびその硬化物品の調製
硬化性組成物およびその硬化物品を調製する際に用いる各成分について説明する。
[エチレン性不飽和二重結合を有する化合物]
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
[硬化触媒(光重合開始剤)]
・2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン
[溶剤]
・メチルエチルケトン
[帯電防止剤]
・オルガノポリシロキサン化合物:上記実施例1−1〜1−14、比較例1−1,1−2で得られたオルガノポリシロキサン化合物
【0103】
[実施例2−1]
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート5.0g、メチルエチルケトン5.0g、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン0.25gおよび上記実施例1−1で得られたオルガノポリシロキサン化合物1 0.10gを混合し、均一溶解させ、硬化性組成物を得た。
続いて、得られた硬化性組成物を、厚さ100μmのポリエチレンテレフタラートフィルムの片面に、バーコーターを用いて乾燥膜厚が約5μmとなるよう塗布した後、窒素雰囲気下、塗膜側に高圧水銀UVランプ(120W/cm2)の紫外線を積算光量約600mJ/cm2の条件で照射して塗膜を硬化させ、硬化物品として電子線硬化型樹脂でコーティングされた被覆層を有する試験片を作製した。
【0104】
[実施例2−2〜2−14および比較例2−1,2−2]
オルガノポリシロキサン化合物1を、実施例1−2〜1−14および比較例1−1〜1−2で得られたオルガノポリシロキサン化合物2〜16にそれぞれ変更した以外は、実施例2−1と同様にして硬化性組成物およびその硬化物品を作製した。
【0105】
[比較例2−3]
オルガノポリシロキサン化合物1を、メチルトリオクチルアンモニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド0.10gに変更した以外は、実施例2−1と同様にして硬化性組成物およびその硬化物品を作製した。
【0106】
[比較例2−4]
オルガノポリシロキサン化合物1を用いなかった以外は、実施例2−1と同様にして硬化性組成物およびその硬化物品を作製した。
【0107】
上記の手順で作製した各硬化物品について、以下に示す方法により評価を行った。
[帯電防止性]
(株)三菱ケミカルアナリテック製ハイレスターUP(MCP−HT450)を用いて、25±3℃、湿度45±5%、印加電圧500Vの条件下における試験片のコーティング面の表面抵抗率(Ω/□)を測定した。結果を下記表1,2に示す。
[耐久性]
作製した各硬化物品を、25±3℃の条件下でイオン交換水に5時間浸漬した後、水滴を拭き取り、上記と同様の手順で表面抵抗率(Ω/□)を測定した。結果を下記表1,2に示す。
【0108】
【表1】
【0109】
【表2】
【0110】
表1,2に示されるように、実施例1−1〜1−14で得られたオルガノポリシロキサン化合物は、比較例1−1,1−2で得られたオルガノポリシロキサン化合物およびメチルトリオクチルアンモニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドに比べ、特に電子線硬化型樹脂に対して高い帯電防止性を付与でき、かつ帯電防止性の耐久性に優れることがわかる。