特許第6959343号(P6959343)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6959343
(24)【登録日】2021年10月11日
(45)【発行日】2021年11月2日
(54)【発明の名称】硬化性保護コーティング組成物
(51)【国際特許分類】
   C09D 183/04 20060101AFI20211021BHJP
   C09D 7/61 20180101ALI20211021BHJP
   C09D 7/20 20180101ALI20211021BHJP
   B21D 22/20 20060101ALI20211021BHJP
【FI】
   C09D183/04
   C09D7/61
   C09D7/20
   B21D22/20 H
【請求項の数】14
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2019-537172(P2019-537172)
(86)(22)【出願日】2017年1月9日
(65)【公表番号】特表2020-506981(P2020-506981A)
(43)【公表日】2020年3月5日
(86)【国際出願番号】CN2017070611
(87)【国際公開番号】WO2018126471
(87)【国際公開日】20180712
【審査請求日】2020年1月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】391008825
【氏名又は名称】ヘンケル・アクチェンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト・アウフ・アクチェン
【氏名又は名称原語表記】Henkel AG & Co. KGaA
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100104592
【弁理士】
【氏名又は名称】森住 憲一
(72)【発明者】
【氏名】ジュウ・ヤクン
(72)【発明者】
【氏名】チウ・シュエティン
【審査官】 上條 のぶよ
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2015/150848(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0175794(US,A1)
【文献】 特表2008−516023(JP,A)
【文献】 特表2009−518471(JP,A)
【文献】 特表2013−519793(JP,A)
【文献】 特開2009−262402(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第101693791(CN,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0233295(US,A1)
【文献】 中国特許出願公開第103014270(CN,A)
【文献】 中国特許出願公開第1632137(CN,A)
【文献】 特開昭60−251218(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第102585568(CN,A)
【文献】 中国特許出願公開第104789068(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D 183/04
C09D 7/61
C09D 7/20
B21D 22/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オルガノシリコンポリマー、有機チタンポリマー、ケイ酸塩、シランモノマー、シランオリゴマー、シリカ、酸化チタンゾルおよびそれらの組み合わせからなる群から選択されるフィルム形成性バインダー、Alから本質的になる金属顔料、剥離剤、および溶媒を含む、硬化性保護コーティング組成物であって、前記剥離剤は80.0%超〜99.9%のAl、0.01%〜20%のSiO、0.001%〜0.5%のFe、0.01%〜1%のCaOおよび0.01%〜1%のMgOを含む酸化物混合物を含み、百分率は前記酸化混合物の重量に基づいている、硬化性保護コーティング組成物。
【請求項2】
前記オルガノシリコンポリマーは、T官能性およびD官能性シロキサン単位を含み、T官能性シロキサン単位とD官能性シロキサン単位のモル比は、20:1〜5:1、好ましくは15:1〜10:1である、請求項に記載の硬化性保護コーティング組成物。
【請求項3】
前記フィルム形成性バインダーは、組成物の全成分の総重量に基づいて、10〜40重量%、好ましくは15〜35重量%の量で存在する、請求項1または2に記載の硬化性保護コーティング組成物。
【請求項4】
前記顔料は、組成物の全成分の総重量に基づいて、5〜40重量%、好ましくは10〜30重量%の量で存在する、請求項1〜のいずれかに記載の硬化性保護コーティング組成物。
【請求項5】
前記剥離剤は、50μm未満、好ましくは30μm未満、より好ましくは10μm未満のD90値を有する、請求項1〜のいずれかに記載の硬化性保護コーティング組成物。
【請求項6】
前記剥離剤は、組成物の全成分の総重量に基づいて、0.5〜15重量%、好ましくは1〜10重量%の量で存在する、請求項1〜のいずれかに記載の硬化性保護コーティング組成物。
【請求項7】
前記溶媒は、水、アルコール、エステル、エーテル、炭化水素、およびそれらの混合物の群から選択され、好ましくはアセトン、酢酸エチル、グリコールエーテル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、キシレン、トルエン、二塩化メチレン、二塩化エチレンまたはクロロホルムなどのハロゲン化炭化水素、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、tert−ブタノール、n−アミルアルコール、イソ−アミルアルコール、tert−アミルアルコールなどのアルコール、およびそれらの混合物から選択される、請求項1〜のいずれかに記載の硬化性保護コーティング組成物。
【請求項8】
前記溶媒は、組成物の全成分の総重量に基づいて、10〜70重量%、好ましくは30〜60重量%の量で存在する、請求項1〜のいずれかに記載の硬化性保護コーティング組成物。
【請求項9】
前記顔料と前記フィルム形成性バインダーの重量比は、0.3〜2.5である、請求項1〜のいずれかに記載の硬化性保護コーティング組成物。
【請求項10】
前記硬化性保護コーティング組成物の粒状固形画分は、50μm未満、好ましくは30μm未満、より好ましくは10μm未満のD90値を有する、請求項1〜のいずれかに記載の硬化性保護コーティング組成物。
【請求項11】
a)請求項1〜10のいずれかに記載の硬化性保護コーティング組成物を鋼材の表面に塗布すること、
b)鋼材の表面上に保護コーティングを得るために、硬化性保護コーティング組成物を硬化すること、
c)コーティングされた鋼材をホットスタンピングすること、
d)保護コーティングが自己崩壊するようにコーティングされた鋼材を冷却すること、および
e)鋼材の表面から崩壊したコーティングを除去すること
を含む、鋼材のためのホットスタンピング方法。
【請求項12】
前記保護コーティングは、2〜20μm、好ましくは5〜15μm、さらに好ましくは8〜12μmの乾燥フィルム厚さを有する、請求項11に記載の鋼材のためのホットスタンピング方法。
【請求項13】
前記硬化性保護コーティング組成物を、100℃〜300℃の温度下で硬化する、請求項11に記載の鋼材のためのホットスタンピング方法。
【請求項14】
ホットスタンプされた鋼材の製造における、請求項10のいずれかに記載の硬化性保護コーティング組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬化性保護コーティング組成物およびその使用に関する。特に、本発明は、鋼材の表面を酸化物スケールから保護し、その後の溶接に容易さを提供することができる、鋼材のホットスタンピング用の硬化性保護コーティング組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の軽量化および安全性の向上に対する要求のために、高強度鋼(HSS)から自動車構造部品を製造する必要性が望まれている。所望の特性を有するHSS部品は通常、ホットスタンピング(プレスハードニングとも呼ばれる)方法によって製造される。ホットスタンピング方法では、むき出しの鋼表面が酸化および脱炭され、ホットスタンプされた部品の表面外観および機械的性質の両方に悪影響を及ぼす。硬くてもろい酸化鉄粒子は工具表面に筋を刻み主に研磨摩耗を引き起こす。酸化物層は、良からぬ塗料付着を避けるためにショットピーニングによって除去されなければならない。これらを回避するために、大部分のシートメタルブランクは、Al/Si、Al、Zn、Zn/Niなどの保護層で予備被覆されている。
【0003】
しかし、溶融アルミメッキシートは直接法にのみ適し、溶融亜鉛メッキシートは間接法にのみ適している。さらに、これらのZnおよびAl/Si被覆ブランクは、ローラーおよび工具表面に主に研磨摩耗を引き起こす傾向がある。コーティング表面上に形成された酸化物は、ホットスタンピング方法の後に鋼部品に適用されることになる、溶接またはろう付けプロセス中の溶接フィラーの濡れ性を妨げる。Al−Siコーティング中のアルミニウムとケイ素は、固溶体として主に溶接部に溶解し、Feとの金属間相として部分的に発達した。金属間相は溶融線に沿って析出し、溶接部の強度を弱めた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、上記の問題を少なくとも部分的に解決することができる、硬化性保護コーティング組成物が依然として必要とされている。特に、本発明は、鋼材上に容易に塗布することができ、ホットスタンピング方法中に鋼表面を腐食から保護することができ、冷却後に表面から自己除去ができ、鋼部品の溶接特性を向上させるための鋼の新しい表面を提供する、硬化性保護コーティング組成物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、フィルム形成性バインダー、顔料、剥離剤、および溶媒を含む、硬化性保護コーティング組成物を提供する。
【0006】
本発明は、
a)本発明による硬化性保護コーティング組成物を鋼材の表面に塗布すること、
b)鋼材の表面上に保護コーティングを得るために、硬化性保護コーティング組成物を硬化すること、
c)コーティングされた鋼材をホットスタンピングすること、
d)保護コーティングが自己崩壊するようにコーティングされた鋼材を冷却すること、および
e)鋼材の表面から崩壊したコーティングを除去すること
を含む、鋼材のホットスタンピング方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、本発明によるホットスタンピング方法のフローチャートを示す。
図2図2は、室温で110秒(a)、115秒(b)、120秒(c)、130秒(d)、および150秒(e)間冷却した後の、実施例1における保護コーティングの自己崩壊を示す。
図3図3は、実施例1(a)と比較例()により得られた溶接性能を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下の節において、本発明をより詳細に説明する。そのように記載された各態様は、そうでないことが明確に示されていない限り、任意の他の態様と組み合わせることができる。特に、好ましいまたは有利であると示された任意の特徴は、好ましいまたは有利であると示された他の任意の1つまたは複数の特徴と組み合わせることができる。
【0009】
本発明の文脈において、使用される用語は、文脈が他に指示しない限り、以下の定義に従って解釈されるべきである。
【0010】
本明細書で使用されるように、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈上明らかに指示がされない限り、単数および複数の指示物の両方を含む。
【0011】
本明細書で使用されるように「含む(comprising)」、「含む(comprises)」および「からなる(comprised of)」という用語は、「含む(including)」、「含む(includes)」または「含む(containing)」、「含む(contains)」と同義であり、包括的または制限がなく、追加の、特定されていない構成、要素またはプロセス工程を除外しない。
【0012】
数値の終点の記載は、それぞれの範囲内に包含されるすべての数および分数ならびに列挙された終点を含む。
【0013】
本明細書において引用された全ての参考文献は、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【0014】
他で定義しない限り、技術的および科学的用語を含む本発明の開示において使用される全ての用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解される意味を有する。さらなる指針によって、本発明の教示をよりよく理解するために、用語定義が含まれる。
【0015】
一態様では、本発明は、フィルム形成性バインダー、顔料、剥離剤、および溶媒を含む、硬化性保護コーティング組成物を提供する。
【0016】
本発明者らは、驚くべきことに、本発明による硬化性保護コーティング組成物により製造された保護コーティング高温下で硬化させることによって、ホットスタンピングおよび冷却後の自己崩壊中の酸化スケールを効果的に防止できることを見出した。したがって、先行技術と比較して、保護コーティングはショットブラスト方法無しにホットスタンピング方法後に鋼材から容易に除去することができ、溶接されるべき表面の汚染からの悪影響無しに、その後の抵抗点溶接法によって都合良く処理される、新しい鋼表面をもたらす。
【0017】
本明細書で使用される、用語「金属表面」は、油および錆被膜が除去されている鋼基材などの金属基材の表面を指す。この種の表面は、湿式化学方法、例えば金属表面処理の分野で当業者に公知のアルカリピックリング溶液を用いて提供されてよい。
【0018】
本発明による硬化性保護コーティング組成物に使用されるフィルム形成性バインダーは、オルガノシリコンポリマー、有機チタンポリマー、ケイ酸塩、シランモノマー、シランオリゴマー、シリカ、酸化チタンゾルおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される。そのようなバインダーは、典型的には300℃を超える温度で熱分解し始め、他の全ての固体成分を包囲するケイ酸塩および/またはチタン酸塩マトリックスを形成する。したがって、このケイ酸塩/チタン酸塩マトリックスは、成形の直前に、本発明による鋼基材の加熱中に炉内で成形される。成形プロセスの間、プレスおよび成形工具の高圧下で、ケイ酸塩/チタン酸塩の焼結層に類似し、それ故に相応して高い機械的および熱的安定性を有する、セラミックコーティングの層形成する。同時に、熱分解した保護コーティングの顔料および剥離剤のような他の固体成分は、熱間成形温度で溶融状態になる。このように、本発明による鋼基材のホットスタンピング方法においては、硬化した保護コーティングの、顔料および剥離剤が分散したセラミックケイ酸塩/チタン酸塩コーティングへの変換が起こる。
【0019】
オルガノシリコンポリマーは、本発明による硬化性保護コーティング組成物に使用される特に適切なバインダーである。シリコーン樹脂などのオルガノシリコンポリマーは、シロキサン単位から構成され、異なる脂肪族置換シランの縮合により得られ、シリコーン樹脂の構造および架橋度は、本質的にこれらのシランの種類および相対量比により決定される。したがって、シリコーン樹脂は、ポリマーネットワーク中の異なるシロキサン構造単位の比率によって特徴付けられる。1つのSi−O結合が単官能(M)シロキサン単位中に存在し、2つのSi−O結合が2官能(D)シロキサン単位中に存在し、3つのSi−O結合が3官能(T)シロキサン単位中に存在し、および4つのSi−O結合が4官能性(Q)シロキサン単位中に存在する。硬化性保護コーティング組成物において、T官能性およびD官能性シロキサン単位からなる、有機基の少ない高度に架橋されたシリコーン樹脂が好ましく、T官能性シロキサン単位とD官能性シロキサン単位のモル比は、好ましくは20:1〜5:1の間であり、特に好ましくは15:1〜10:1の間である。
【0020】
有機チタンポリマーも本発明における有用なフィルム形成性バインダーである。有機チタンポリマーは、ポリチタノキサンとも呼ばれ、Ti−O−Ti繰り返し構造およびR−O−Ti結合を含む有機−無機ハイブリッド化合物であり、ここでRは有機基を表す。
【0021】
本発明におけるフィルム形成性バインダーとして使用するのに適したシランモノマー/オリゴマーは、テトラアルコキシシラン、アルキルトリアルコキシシラン、テトラアルコキシシラン、アリールトリアルコキシシラン、ジアルキルジアルコキシシラン、ジアリールジアルコキシシラン、アリールアルキルジアルコシキシラン、アミノシラン、チオールシラン、それらのオリゴマーおよび混合物からなる群から選択できる。
【0022】
シリカも本発明において有用なフィルム形成性バインダーである。シリカは粒子の形態であり、フュームドシリカ粒子、コロイダルシリカ粒子、およびそれらの組み合わせから選択してよい。
【0023】
焼成シリカ粒子とも呼ばれるフュームドシリカ粒子は、発熱法によって製造され、化学組成SiOを有する。フュームドシリカ粒子は、典型的には、より小さい一次粒子の凝集粒子であり、液体(例えば、水性)媒体中に分散したときに、凝集粒子が一次粒子に分解されないような、比較的強い凝集力によって一つになっている。凝集フュームドシリカ粒子も、より大きな凝集粒子を形成し得、比較的弱い凝集力によって一つになっている。凝集粒子は、通常、液体(例えば、水性)媒体中に分散したときに、集合粒子に分解される。
【0024】
多くの金属酸化物粒子の表面積は、S.Brunauer、P.H.EmmetおよびI.TellerのJ.Am.Chemical Society,60,309(1938)の方法によって決定することができ、これは一般にBET法と呼ばれている。上記のように、本発明での使用に適したフュームドシリカ粒子は、約70〜約140m/g(例えば、約80〜約130m/g)のBET表面積を有する。好ましい一態様では、前記フュームドシリカ粒子は、約80〜約100m/g(例えば、約90m/g)のBET表面積を有する。
【0025】
コロイダルシリカ粒子は、一般に「湿式化学」法によって製造され、同様に化学組成SiOを有する。典型的には、コロイダルシリカは、アルカリ金属ケイ酸塩溶液(例えば、ケイ酸ナトリウム溶液)に酸を添加することによって製造され、そこで前記ケイ酸塩を重合させ、非晶質シリカの分離した粒子を形成させる。コロイダルシリカ粒子は、典型的には、分離した、実質的には内部表面積を有さない球状のシリカ粒子である。本発明での使用に適したコロイダルシリカ粒子は、110〜約150m/gのBET表面積を有する。好ましい態様において、前記コロイダルシリカ粒子は、約120〜約140m/g(例えば、約130m/g)のBET表面積を有する。
【0026】
硬化性保護コーティング組成物において、前記フィルム形成性バインダーは、組成物の全成分の総重量に基づいて、好ましくは10重量%〜50重量%、より好ましくは15重量%〜35重量%の量で存在する。
【0027】
本発明において使用されるのに適した顔料は、無機顔料、より好ましくは金属顔料である。そのような顔料は、ボーキサイト、長石、カオリン、炭酸カルシウム、二酸化チタン、雲母、石英およびそれらの組み合わせからなる群から選択することができる。好ましくは、前記金属顔料は、Al、Zn、Cu、Fe、Cr、Sn、Co、Mo、Mn、Ni、Ti、およびBiからなる群から選択される金属から本質的になるか、あるいは該金属からなる。本明細書で使用されるように、用語「から本質的になる(essentially consists of)」は、金属粒子顔料中の金属の濃度が、70質量%超、好ましくは80質量%超、より好ましくは90質量%超、特に95質量%超のことを指す。一態様では、前記金属粒子顔料はAlからなる。
【0028】
さらに、本発明による保護コーティング組成物中の金属粒子顔料が、フレークまたは球状粒子の形態で存在することは有利となる。金属粒子顔料の場合、フレークが好ましく、なぜならコーティングの湿潤フィルムの適用中に、そのようなフレークは、うろこ状の様式で重なり合って鋼表面上に整列する傾向があり、そのためホットスタンピング方法中の抗スケーリング保護が、この方法でさらに最適化され得るからである。この目的のために、本発明のコーティング組成物において、粉末またはペーストとして商業的に入手可能であるそのような金属フレークが好ましくは使用され、この使用形態において、1:50〜1:500の範囲の厚さと直径の比と、好ましくは2〜10μmの範囲にあるD50値を有する。フレーク寸法にかかわらず、前記D50値は動的光散乱測定から確認された累積粒度分布から決定され、D50値は顔料粒子の50体積%が、所定の値より低い、実験的に決定された粒度を有することを示す。
【0029】
硬化性保護コーティング組成物において、前記顔料は、組成物の全成分の総重量に基づいて、好ましくは5〜40重量%、より好ましくは10〜30重量%の量で存在する。
【0030】
本発明によれば、硬化性保護コーティング組成物中の他の成分と相溶性のある剥離剤は、ホットスタンピング温度下で加熱後にコーティングを冷却したとき、基材上のコーティングが急速に自己崩壊して剥離できるという効果に寄与する。
【0031】
本発明で使用されるのに適した剥離剤は、グラファイト、金属酸化物、非金属酸化物、およびそれらの組み合わせからなる群から選択してよい。
【0032】
剥離剤の適切な例は、300℃〜750℃の軟化点/融点を有するものであるか、または、300℃〜750℃の温度下で酸化または還元反応を起こすことができるものである。好ましくは、前記剥離剤は粒子の形態である。そのような剥離剤の粒径は限定されないが、好ましくは50μm未満、好ましくは30μm未満、さらに好ましくは10μm未満のD90値を有する。前記剥離剤は、剥離剤の上記の所望の特性が達成されるように、コーティング組成物の調製前にボールミルまたは他の従来の粉砕方法によって改質されてもよい。
【0033】
コーティング組成物中の剥離剤として使用されるのに適したグラファイトは、少なくとも99%の炭素含有量を有する。特に、前記グラファイトは粒子の形態であり、粒子は50ミクロン未満、好ましくは10ミクロン未満のD90粒子サイズを有する。
【0034】
硬化性保護コーティング組成物中の他の成分と相溶性である限り、金属/非金属酸化物の選択に制限はない。本発明において有用な金属酸化物の例は、ZnO、Bi、Al、BaO、CaO、MgO、MnO、ZrO、TiO、CeO、SrO、V、SnO、LiO、NaO、KO、PbO、CdO、ZnO、FeO、Fe、Fe、CuOおよびそれらの組み合わせである。本発明において有用な非金属酸化物の例は、SiO、B、Pおよびそれらの組み合わせである。一態様において、前記剥離剤は、Al、SiO、Fe、CaO、MgOおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される、金属酸化物および非金属酸化物からなる酸化物混合物である。他の態様において、前記剥離剤は、80.0%〜99.9%、好ましくは99%〜99.9%のAl、0.01%〜20%、好ましくは0.05〜0.2%のSiO、0.001%〜0.5%、好ましくは0.005%〜0.2%のFe、0.01%〜1%、好ましくは0.02%〜0.5%のCaO、および0.01%〜1%、好ましくは0.02%〜0.5%のMgOを含むか、それらからなる酸化物混合物であり、前記百分率は酸化物混合物の重量に基づく。
【0035】
硬化性保護コーティング組成物において、前記剥離剤は、組成物の全成分の総重量に基づいて、好ましくは0.5〜15重量%、より好ましくは2〜10重量%の量で存在する。
【0036】
本文脈において適切な溶媒は、好ましくは、水、アルコール、エステル、エーテル、炭化水素、およびそれらの混合物からなる群から選択され、23℃を超える引火点を有する溶媒の使用が好ましい。適切な溶媒の例としては、アセトン、酢酸エチル、グリコールエーテル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、キシレン、トルエン、二塩化メチレン、二塩化エチレンまたはクロロホルムなどのハロゲン化炭化水素、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、tert−ブタノール、n−アミルアルコール、イソ−アミルアルコール、tert−アミルアルコールなどのアルコール、およびそれらの混合物が含まれる。塗料の溶媒がコーティングの乾燥および硬化中にゆっくり蒸発するとき有利であるので、100℃超の沸点を有する有機溶媒が好ましい。
【0037】
さらに、粒子状顔料がフィルム形成性バインダー中に十分に組み入れられ、ゆえに均質なコーティングが達成できるように、前記コーティング組成物は、顔料とフィルム形成性バインダーの重量比が0.3〜2.5、好ましくは0.3〜2.0であるように好ましくは塗布されるべきである。硬化性保護コーティング組成物の粒子状固体画分は、50μm未満、好ましくは30μm未満、より好ましくは10μm未満のD90値を有する。
【0038】
別の態様において、本発明は、
a)本発明による硬化性保護コーティング組成物を鋼材の表面に塗布すること、
b)鋼材の表面上に保護コーティングを得るために、硬化性保護コーティング組成物を硬化すること、
c)コーティングされた鋼材をホットスタンピングすること、
d)保護コーティングが自己崩壊するようにコーティングされた鋼材を冷却すること、および
e)鋼材の表面から崩壊したコーティングを除去すること
を含む、鋼材のホットスタンピング方法にも関する。
【0039】
硬化性保護コーティング組成物の塗布は、バーコーティング、エアナイフコーティング、ロールコーティング、スプレーコーティングおよびディップコーティングなどの先行技術において公知の塗布方法を使用することによって行ってよい。平らな基材がコーティングされる場合には、前記塗布は好ましくはローラー塗布法で行われる。コイル形状の基材、例えばスチールコイルがコーティングされる場合、基材上にコーティング組成物を塗布する前に、スチールコイル上のSi系不動態化のための前処理を適用してもよい。硬化性保護コーティング組成物は、鋼が鋼製造サイトで製造された後に、鋼表面上にローラー塗布することによって塗布することができ、またはホットスタンピングサイトで鋼表面上にスプレーすることによって、または他の方法によって塗布することができる。硬化したコーティングは、貯蔵中および2つのサイト間の移動中の、鋼に対する腐食保護を提供することもできる。
【0040】
コーティング組成物は、室温でフラッシュオフすることによって、または高温で加速硬化することによって硬化させることができ、その場合、コーティングの乾燥および硬化には、好ましくは300℃までの温度を使用してよい。好ましくは、前記硬化性保護コーティング組成物は、100℃〜300℃の温度下で硬化される。例えば、IR照射、強制空気乾燥、UV照射または電子線硬化による促進された硬化も有用であり得る。コーティングは、平らな基材だけでなく、冷間および/または熱間成形段階を通過しているコイルにも適用することができ、あるいはコーティングは既に冷間成形を受けた基材に適用することができる。
【0041】
本発明によるコーティング組成物は、いわゆる「直接」または「間接」熱間成形/ホットスタンピング方法で塗布されてもよい。図1に示されるように、ホットスタンピングの間接法において、保護コーティング組成物でコートされた平らな基材は、連続的にプレスタンプされ、加熱され、次にホットスタンプされる。直接法では、コートされた平らな基材は最初に加熱され、次いでホットスタンプされる。
【0042】
本コーティング組成物は、その表面が少なくとも部分的に鋼からなる基材の表面コーティングに特に適している。前記コーティング組成物は、特に高強度鋼からなる基材の表面コーティングを意図しており、表面コーティングに続いて、熱間成形操作またはホットスタンピング方法、特に800℃〜約1000℃の間、好ましくは約880℃〜約970℃の間の温度での熱間成形を受ける、高強度鋼基材の表面コーティングに優先的に適している。これらの種類の鋼は、例えばクロム、ニッケル、およびマンガンと合金化された二相鋼、およびホウ素−マンガン−鋼である。
【0043】
加えて、必要に応じて、市販の習慣的な湿潤/分散剤、増粘剤、硬化剤、レオロジー剤、レベリング剤、消泡剤、硬度改善剤、滑剤、コーティングフィルム調整剤またはその種のものを加えることが可能である。コーティングフィルム調整剤の適切な例は、セルロースエステルおよびセルロースエーテルなどのセルロース系材料;スチレン、塩化ビニリデン、塩化ビニル、アルキルアクリレート、アルキルメタクリレート、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、ビニルエーテル、およびビニルアセテートモノマーからのホモポリマーまたはコポリマー;ポリエステルまたはコポリエステル;ポリウレタンまたはポリウレタンアクリレート;エポキシ樹脂;ポリビニルピロリドン;ポリテトラフルオロエチレン、ポリフェニル、ポリフェニレン、ポリイミドおよびポリテトラフルオロエチレンである。
【0044】
1つの特定の態様では、(メタ)アクリレート樹脂は本発明による水性コーティング組成物にさらに含まれる。
【0045】
本発明によれば、熱間成形中に十分な抗スケール自己崩壊保護をもたらすコーティング層厚さとするために、コーティングの塗布中にコーティング組成物の塗布された湿潤フィルムが、湿潤コーティングフィルムで湿潤された基材表面の平方メートルに基づいて、少なくとも3g、好ましくは6gの固形画分を有することを好ましくは確実にするべきである。しかしながら、好ましくは、湿潤コーティングフィルムで湿潤された基材表面の平方メートルに基づいて、固形画分が30g超の湿潤フィルムは塗布されるべきではない、なぜならそれらは高価であり、本発明による方法の最後に、コーティングは自己崩壊し、基材から除去されることになるからである。ホットスタンピング方法による前記保護コーティング層は、2〜20μm、好ましくは5〜15μm、さらに好ましくは8〜12μmの乾燥フィルム厚さを有する。
【0046】
本発明による1つの好ましい方法では、薄いケイ酸塩層を備えた基材表面に湿潤コーティングフィルムとして塗布されたコーティング組成物の硬化は、100℃〜300℃の範囲の最高金属基材温度(PMT)で行われる。
【0047】
本発明は、コーティング材料の形態で鋼に塗布され、その後100℃〜300℃で乾燥または熱硬化される、および例えば950℃での熱間成形操作においてコーティングされた部品をスケーリングから効果的に保護する、特別な保護層の製造に関する。
【0048】
特に湿式化学的手段によって金属表面に塗布することができ、それによって金属表面、特に鋼表面を、熱間成形の過程で発生する種類の温度で、空気中の酸素と接触することによるスケーリングから効果的に保護できるコーティング組成物が得られる。驚くべきことに、剥離剤を配合することによって、コーティング組成物は自己崩壊することができ、熱成形された基材の新しい表面を作り出すように容易に除去可能であり、従って基材の溶接性を高めることが明らかになった。
【実施例】
【0049】
以下の実施例は、当業者が本発明をよりよく理解し、実施するのを補助することを意図している。本発明の範囲は実施例によって限定されず、添付の特許請求の範囲において定義される。特記しない限り、全ての部および百分率は重量に基づく。
【0050】
材料
オルガノシリコンポリマー:D官能シロキサン単位に対するT官能シロキサン単位のモル比=12.3であり、DowcorningからDow Corning(登録商標)の商品名で市販されている。
【0051】
アルミニウムフレーク:D50<10μmであり、DICからBenda−Lutz(登録商標)の商品名で市販されている。
【0052】
(メタ)アクリレート樹脂、DSMからNeoCryl(登録商標)の商品名で市販されている。
【0053】
Al、SiO、Fe、CaO、MgO:Sinopharm Chemical Reagent Co.,LtdからHushi(登録商標)の商品名で市販されている。
【0054】
カオリンパウダー:Suzhou Hengda Kaolin companyからHengda(登録商標)の商品名で市販されている。
【0055】
グラファイト:D90<10μmであり、Qingdao Tianheda Graphite Co.,LtdからTianheda(登録商標)の商品名で市販されている。
【0056】
調製
実施例における酸化物混合物1は、99.7gのAl、0.15gのSiO、0.01gのFe、0.08gのCaOおよび0.06gのMgOを溶融炉中で混合および溶融し、次いで混合物をボールミルによって5μm未満のD90値に達するように粉砕して調製した。
【0057】
実施例における酸化物混合物2は、99.7gのAl、0.15gのSiO、および0.01gのFeを溶融炉中で混合および溶融し、次いで混合物をボールミルによって5μm未満のD90値に達するように粉砕して調製した。
【0058】
本発明による表1に示す処方を有する硬化性保護コーティング組成物は、実施例1〜5として、ペーストを得るために顔料と剥離剤をミキサー中で分散させ、次いで均質なコーティング組成物が得られるまで、前記ペーストをバインダーと溶媒中に混合することによって、調製した。
【0059】
剥離剤を添加しなかった以外は、実施例1〜5と同様にして比較例も調製した。
【0060】
ホウ素−マンガン−鋼製の基材を洗浄し、脱イオン水ですすぎ、乾燥した。各コーティング組成物を、8μmのコーティング厚さを有するドローダウンバーによって清浄な基材上に塗布した。コーティングされた基材をオーブンに移し、240℃で30秒間焼いてコーティングを硬化させ、次いでホットスタンピングのためにマッフル炉中で950℃で2分間処理した。
【0061】
保護コーティングの性能を決定するために以下の試験を用いた。
【0062】
自己崩壊試験:
硬化したコーティングを有する、ホットスタンプしたパネルを室温下で5分間さらに冷却し、各パネル上の自己崩壊パーセント面積を表1に記録した。
【0063】
抵抗スポット溶接(RSW)試験
RSWの性能はTCW−33E III溶接コントローラーによってテストした。以下のパラメーターをコーティングのRSW試験のために設定した:電流:4〜5KA、力:約4000N、総時間:0.52秒。溶接後、パネル基材上の溶接箇所周辺の飛び散りや残渣を観察し、結果を表1に示した。
【0064】
【表1】
【0065】
表1の試験結果で明らかなように、剥離剤を含まない比較例と比較して、全ての実施例は驚くべきことに、冷却後に鋼基材からの優れた急速自己崩壊を示し、従って、基材上にいかなる飛び散りや残渣を残さない、電子スポット溶接のための優れた状態を有する表面を提供し、洗浄や加工を行わずに連続して少なくとも50回溶接することができる、電極の長寿命を達成した。例えば、実施例1の硬化した保護コーティングは自己崩壊し、図2(a)から図2(e)に示すように、3分で容易に基材から剥がすことができた。加えて、溶接後、図3(a)に示すように、実施例1の保護コーティングで処理した基材上には飛び散りや残渣は観察されなかったが、図3(b)に示すように、比較例の保護コーティングで処理した基材上には顕著な残渣が観察された。
本発明の好ましい態様は、以下を包含する。
[1]フィルム形成性バインダー、顔料、剥離剤、および溶媒を含む、硬化性保護コーティング組成物。
[2]前記フィルム形成性バインダーは、オルガノシリコンポリマー、有機チタンポリマー、ケイ酸塩、シランモノマー、シランオリゴマー、シリカ、酸化チタンゾルおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される、[1]に記載の硬化性保護コーティング組成物。
[3]前記オルガノシリコンポリマーは、T官能性およびD官能性シロキサン単位を含み、T官能性シロキサン単位とD官能性シロキサン単位のモル比は、20:1〜5:1、好ましくは15:1〜10:1である、[2]に記載の硬化性保護コーティング組成物。
[4〕前記フィルム形成性バインダーは、組成物の全成分の総重量に基づいて、10〜40重量%、好ましくは15〜35重量%の量で存在する、[1]〜[3]のいずれかに記載の硬化性保護コーティング組成物。
[5]前記顔料は、ボーキサイト、長石、カオリン、炭酸カルシウム、二酸化チタン、雲母、石英およびそれらの組み合わせからなる群から選択される無機顔料である、[1]〜[4〕のいずれかに記載の硬化性保護コーティング組成物。
[6]前記顔料は、Al、Zn、Cu、Fe、Cr、Sn、Co、Mo、Mn、Ni、Ti、およびBiからなる群から選択される金属から本質的になる金属顔料である、[1]〜[5]のいずれかに記載の硬化性保護コーティング組成物。
[7]前記顔料は、組成物の全成分の総重量に基づいて、5〜40重量%、好ましくは10〜30重量%の量で存在する、[1]〜[6]のいずれかに記載の硬化性保護コーティング組成物。
[8]前記剥離剤は、グラファイト、金属酸化物、非金属酸化物、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、[1]〜[7]のいずれかに記載の硬化性保護コーティング組成物。
[9]前記剥離剤は、80.0%〜99.9%のAl、0.01%〜20%のSiO、0.001%〜0.5%のFe、0.01%〜1%のCaOおよび0.01%〜1%のMgOを含む酸化物混合物であり、百分率は前記酸化物混合物の重量に基づいている、[1]〜[8]のいずれかに記載の硬化性保護コーティング組成物。
[10]前記剥離剤は、50μm未満、好ましくは30μm未満、より好ましくは10μm未満のD90値を有する、[1]〜[9]のいずれかに記載の硬化性保護コーティング組成物。
[11]
前記剥離剤は、組成物の全成分の総重量に基づいて、0.5〜15重量%、好ましくは1〜10重量%の量で存在する、[1]〜[10]のいずれかに記載の硬化性保護コーティング組成物。
[12]前記溶媒は、水、アルコール、エステル、エーテル、炭化水素、およびそれらの混合物の群から選択され、好ましくはアセトン、酢酸エチル、グリコールエーテル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、キシレン、トルエン、二塩化メチレン、二塩化エチレンまたはクロロホルムなどのハロゲン化炭化水素、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、tert−ブタノール、n−アミルアルコール、イソ−アミルアルコール、tert−アミルアルコールなどのアルコール、およびそれらの混合物から選択される、[1]〜[11]のいずれかに記載の硬化性保護コーティング組成物。
[13]前記溶媒は、組成物の全成分の総重量に基づいて、10〜70重量%、好ましくは30〜60重量%の量で存在する、[1]〜[12]のいずれかに記載の硬化性保護コーティング組成物。
[14]前記顔料と前記フィルム形成性バインダーの重量比は、0.3〜2.5である、[1]〜[13]のいずれかに記載の硬化性保護コーティング組成物。
[15]前記硬化性保護コーティング組成物の粒状固形画分は、50μm未満、好ましくは30μm未満、より好ましくは10μm未満のD90値を有する、[1]〜[14]のいずれかに記載の硬化性保護コーティング組成物。
[16]a)[1]〜[15]のいずれかに記載の硬化性保護コーティング組成物を鋼材の表面に塗布すること、
b)鋼材の表面上に保護コーティングを得るために、硬化性保護コーティング組成物を硬化すること、
c)コーティングされた鋼材をホットスタンピングすること、
d)保護コーティングが自己崩壊するようにコーティングされた鋼材を冷却すること、および
e)鋼材の表面から崩壊したコーティングを除去すること
を含む、鋼材のためのホットスタンピング方法。
[17]前記保護コーティングは、2〜20μm、好ましくは5〜15μm、さらに好ましくは8〜12μmの乾燥フィルム厚さを有する、[16]に記載の鋼材のためのホットスタンピング方法。
[18]前記硬化性保護コーティング組成物を、100℃〜300℃の温度下で硬化する、[16]に記載の鋼材のためのホットスタンピング方法。
[19]ホットスタンプされた鋼材の製造における、[2]〜[15]のいずれかに記載の硬化性保護コーティング組成物の使用。
図1
図2
図3