(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2の前駆体を導入する前に、前記処理チャンバを不活性ガスでパージすることを更に含み、前記不活性ガスが、ヘリウム、アルゴン、ネオン、クリプトン、キセノン、及び/又はラドンからなる群から選択される、請求項5に記載の方法。
【背景技術】
【0002】
[0002]酸化チタン(TiOx)は、ガス、イオン、又は生物種センシング材料としての使用を含む、様々な物理的及び化学的機能のための有用な材料の例である。したがって、TiOxは、DNA塩基配列決定(DNA sequencing)のためのリン酸センサなど、様々なバイオメトリックセンシング用途に使用されている。従来、多孔性TiOx膜は、フッ化水素(HF)酸を含む水溶液中でのチタン(Ti)シートの陽極酸化といった陽極酸化法によって、基板上に形成される。多孔性TiOx膜は、複数の微小電気機械システム(MEMS)デバイスを含むことがあり、これらは、温度、pH、光に敏感である。
【0003】
[0003]現在のMEMSデバイスは、概して、活性誘電体センシング材料が堆積されたチタン表面を有するセンサスタックを含む。誘電体層はゲート酸化物として機能し、これは、誘電体層の表面に表面ヒドロキシル(−OH)基を発生させる現象によるpHレベルの変化に応答し、酸性又は塩基性の方法で分析材料と反応し、対応する表面電荷電位を生成する。pHレベルの変化を検出する機能により、MEMSデバイスは、一例では個別のヌクレオチド取り込みイベントを検出することによってDNA配列を記録するDNA塩基配列決定を含む、様々なセンシング用途に使用可能である。ただし、pH信号に固有の信号対ノイズの不十分な比率は、センシング基板のスループットを制限し、基板性能に悪影響を及ぼす。
【0004】
[0004]誘電体層が堆積される前に、MEMSデバイスのチタン表面の表面上に形成される薄い自然酸化物層を除去すると、概して、センシング基板の信号対雑音比が改善される。例えば、湿式エッチング化学的性質及びラジカルベースのプラズマ洗浄の使用といった、自然酸化物を除去するための様々な方法が使用されている。しかしながら、これらの方法は、概して、基板の他の層に損傷を与え、基板性能に悪影響も与える不整合性と不純物を作り出す。
【0005】
[0005]加えて、pH信号からのバックグラウンドノイズは、pH感度の過剰な活性部位によって引き起こされる。しかしながら、酸化チタン(TiO)を使用してpHセンサを製造する現在の方法により、活性層中の活性部位の数は、効果的に制御することができない。
【0006】
[0006]したがって、自然酸化物層を除去し、基板のための制御された数の活性部位を有する誘電体材料を堆積するための方法が必要とされる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[0020]理解を容易にするために、可能な場合には、図に共通する同一の要素を示すのに同一の参照番号を使用した。1つの態様の要素及び特徴は、更なる記述がなくとも、他の態様に有益に組み込まれうると想定される。
【0014】
[0021]自然酸化物層を除去し、生物学的用途のためにMEMSデバイス上に制御された数の活性部位を有する誘電体層を堆積する方法が開示される。1つの態様では、方法は、自然酸化物層を揮発性にするために、基板を気相で1つ又は複数のリガンドに曝露し、次いで揮発性にされた自然酸化物層を熱脱着するか又はそうでなければエッチングすることによって、自然酸化物層を基板の表面から除去することを含む。別の態様では、方法は、制御された数の活性部位を基板の表面に提供するように選択された誘電体層を堆積することを含む。更に別の態様では、方法は、基板を1つ又は複数のリガンドに曝露することによって自然酸化物層を基板の表面から除去することと、基板の表面に制御された数の活性部位を提供するために選択された誘電体層を堆積することとの両方を含む。
【0015】
[0022]本書に記載の方法は、例として、TiOx自然酸化物層の除去及び/又はMEMSデバイス上での誘電体層の堆積に言及することになる。しかしながら、また、記載の方法は、自然酸化物を除去し、他の金属構造体又は炭素構造体といった任意の構造体上に誘電体層を堆積するのに有用であるとも考えられる。
【0016】
[0023]
図1は、上部にチタン構造体104のアレイが形成された基板100の一部の斜視側面図である。
図2は、
図1のチタン構造体104のアレイの上面図である。
図1に示されるように、チタン層102は、基板100を覆うように配置される。チタン構造体104のアレイは、チタン層102の上に形成される。チタン層102は、チタン構造体104の底面を提供する。
【0017】
[0024]基板100は、概して、チタン又は他の金属層を上部に有する任意の基板である。多孔性層は、概して、天然のポア(細孔)を内部に有する任意の層である。1つの態様では、基板100は、多孔性チタン層を上部に有している。ガスや生物種のセンシングに有用な多孔性チタンのいくつかの例は、ナノチューブ及びマイクロウェル、バイモーダルポア構造体、勾配細孔構造体、ハニカム構造体、並びに閉じたポア構造体といった、均一なポア構造体を含む。
図1に示されるように、チタン構造体104は、マイクロウェル(微細な凹部)である。
【0018】
[0025]1つの態様では、各チタン構造体104は、ヌクレオチドが基板100上に連続的に流されるときにDNA塩基配列決定(DNA sequencing)に使用されるMEMSデバイスを含む。工程中、MEMSデバイスの表面のプロトン化は、表面電荷の変化をもたらし、これは、DNA塩基配列決定の目的でpH値と相関し得る電圧の変化として検出される。
【0019】
[0026]
図3は、チタン層又は多孔性チタン層といった、自然酸化物層を基板上の構造体から除去するためのプロセスフロー300である。
図4は、基板のチタン層を覆うように誘電体層を堆積するためのプロセスフロー400である。
図5A−5Cは、プロセスフロー300及びプロセスフロー400の様々な工程などにおいて、本書で開示されるプロセスフローに従って形成されたチタン構造体104の断面図を示す。プロセスフロー300は、基板100の上に形成されたチタン構造体104から酸化チタン(TiO
x)層を除去するのに有用である。プロセスフロー400は、基板100の上に形成されたチタン構造体104を覆うように誘電体層を堆積するのに有用である。
【0020】
[0027]プロセスフロー300及びプロセスフロー400の前に、チタン構造体104のアレイが上部に形成された基板100は、概して、任意の適した方法によって形成される。1つの態様では、チタン構造体104のアレイは、基板100を覆うようにチタン薄膜などのチタン層を堆積し、フッ化水素(HF)酸溶液中でチタン層を陽極酸化して、チタン構造体104を形成することによって、形成される。
図5Aに示されるように、形成されたチタン構造体104は、自然酸化物層550を表面に含むマイクロウェルである。いくつかの態様では、形成されたチタン構造体104はまた、限定されないが、生体認証センサ554を内部に有する相補型金属酸化膜半導体(CMOS)スタック552、窒化チタン(TiN)層556及びチタン(Ti)層558を含む、様々な追加の層を含む。上記のように、自然酸化物層550は、デバイスの均一性及び性能に悪影響を及ぼす。
【0021】
[0028]理解を容易にするために、プロセスフロー300の説明は、
図1及び
図5A−5Bを参照する。プロセスフロー300は、工程310で、チタン構造体104のアレイが上部に形成された基板100を処理チャンバに位置付けることによって、開始する。処理チャンバは、概して、任意の適した堆積チャンバである。処理チャンバの例は、カリフォルニア州サンタクララのアプライドマテリアルズ社から入手可能なものなどの、原子層堆積(ALD)チャンバ又は化学気相堆積(CVD)チャンバを含む。しかしながら、他の処理チャンバが利用されてもよいと考えられる。
【0022】
[0029]工程320で、基板100は、1つ又は複数のリガンドに曝露される。理論に拘束されるものではないが、リガンドは、自然酸化物、例えば、TiO
x又はTaO
xの表面に結合し、揮発性複合体を形成し、結果的に、TiO
x又はTaO
xといった自然酸化物の損失又は除去が生じる。
図5A−5Bの態様では、1つ又は複数のリガンドは、概して、気相にあり、自然酸化物層550と反応して自然酸化物層550を揮発性にする。自然酸化物層550は、揮発性にされた後に、次いで、工程330において、基板100から除去される。例えば、揮発性にされた自然酸化物層550は、表面からエッチングされてもよく、又は加熱されて脱着することによって除去されてもよい。1つの態様では、プロセス中の基板温度は、摂氏約150度(℃)と約350℃との間から変化する。1つ又は複数のリガンドの供給に伴う処理圧力は、変化する。約200mTorrと約50Torrとの間、例えば約200mTorrと約20Torrとの間、又は約100mTorrと約10Torrとの間、又は約50mTorrと約5Torrとの間、又は約25mTorrと約3Torrとの間から変化する。
【0023】
[0030]概して、揮発性にされた自然酸化物層550の準単層から単層までが、例えば、サイクルごとに一度に除去される。よって、基板100を1つ又は複数のリガンドに曝露することは、
図5Bに示されるように、自然酸化物層550を完全に除去するために必要とされる任意の適切な回数、概して連続的に又は周期的に繰り返される。
【0024】
[0031]1つ又は複数のリガンドは、概して、任意の一級、二級又は三級アミンを含む。適したリガンドの例は、限定されないが、TEMPO(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−イル)オキシダニル、tert−ブチル ペルオキシ安息香酸、ヒドロキシルアミン(水中50%)、オキソラン(THF)中のアンモニア(0.5M)、メチルアミン(THF中2M)、2−フルオロアニリン、2−フルオロ−6−(トリフルオロメチル)アニリン、2−フルオロ−3−(トリフルオロメチル)アニリン、トリメチル(トリフルオロメチル)シラン、メチルアミン溶液(水中40%)、エチルアミン溶液、ジエチルアミン、エタノールアミン、N−エチルメチルアミン、エチレンジアミン、2−ジメチルアミノエタノール、プロピルアミン、ジプロピルアミン、ジメチルアミン溶液(40%)、及びこれらの混合物を含む。基板は、周期的に又は順次、1つ又は複数のリガンドに曝露されうる。
【0025】
[0032]1つの態様では、1つ又は複数のリガンドへの曝露中の処理チャンバの温度は、約150℃と約300℃との間、例えば、約200℃と約300℃との間である。1つ又は複数のリガンドの処理チャンバへの流量は、約5立方センチメートル毎分(sccm)と約500sccmとの間、又は約5sccmから200sccmまで、又は約5sccmから100sccmまで、又は約5sccmから50sccmまで、又は約5sccmから25sccmまでである。処理チャンバ内部の圧力は、約200mTorrと約50Torrとの間、例えば約200mTorrと約20Torrとの間、又は約100mTorrと約10Torrとの間、又は約50mTorrと約5Torrとの間、又は約25mTorrと約3Torrとの間である。
【0026】
[0033]上述のように、自然酸化物層550は、TiO
x層である。しかしながら、リガンドの化学的性質による原子層エッチングプロセスを使用した記載のインシトゥ(その場)気相洗浄プロセスはまた、タンタル酸化物(TaO
x)などの他の自然金属酸化物層を除去するのにも有用である。
【0027】
[0034]本開示はまた、プラズマ処理及び水素曝露などによって、自然酸化物層550を減少又は除去するための代替的工程を検討する。例えば、基板100は、プラズマ処理プロセスに曝露され、TiO
x層のチタン−酸素(Ti−O)結合などの自然酸化物層550の結合を弱め、プラズマ処理された酸化物層を形成されうる。1つの態様では、結合を弱めることは、自然酸化物層550を物理的に損傷させることを含み、水素ラジカルへのその後の曝露中に、結合をその後に破壊するために、より低いエネルギー、例えば1−3電子ボルト(eV)が必要となる。プラズマ処理は、自然酸化物層550のTi−O結合を物理的に損傷させ、又はそうでなければ弱め、プラズマ処理された酸化物層が、その後の減少と除去のために準備される。
【0028】
[0035]基板100は次いで、プラズマ処理された酸化物層を除去するために、水素ラジカルに曝露され又は水素ラジカルを衝突させられうる。層のTi−O結合を弱めるために、プラズマ処理された酸化物層がすでにプラズマ処理されているので、低エネルギー水素曝露は、水素ラジカルを結合の弱いTi−O分子と反応させることによって、プラズマ処理された酸化物層を除去するために使用することができる。より具体的には、水素ラジカルが、プラズマ処理された酸化物層の酸化物と反応し、酸化物の還元(減少)と、水(H
2O)と水素化チタン(titanium hydrides)などの生成物の形成をもたらす。低エネルギー水素を使用することによって、プラズマ処理された酸化物層が選択的に除去され、よって、基板100の上の他の層への損傷の可能性を低減する。プラズマ処理及び水素ラジカルへの曝露は、自然酸化物層550が減少又は除去されるまで、任意の回数、繰り返すことができる。
【0029】
[0036]1つの態様では、基板100をプラズマ処理することは、プラズマ出力13.56メガヘルツ(MHz)での低エネルギーのプラズマ処理を含む。プラズマ前駆体は、概して、限定されないが、アルゴン(Ar)及び/又はヘリウム(He)といった不活性ガスを含む未反応性ガスである。プラズマ前駆体の流量は、約10立方センチメートル毎分(sccm)と約50sccmとの間である。高周波(RF)電力は、約200watt(W)と約700Wとの間である。処理チャンバ圧力は、約5millitorr(mTorr)と60mTorrとの間である。基板100は、概して、低温、例えば、およそ室温(例えば、摂氏約20度(℃)と約25℃との間)である。
【0030】
[0037]1つの態様では、基板100を水素ラジカルに曝露し、プラズマ処理された酸化物層を除去することは、ホットワイヤ化学気相堆積(HWCVD)プロセスを含む。HWCVDプロセスは、概して、水素(H
2)ガスを、任意の適した流量で、HWCVDチャンバなどの処理チャンバに供給することと、プラズマ処理された酸化物層の少なくとも一部のその後の除去を容易にするために、H
2ガスを解離し、エネルギーの少なくとも一部を供給するのに十分な温度まで加熱することと、基板100を解離したH
2ガスに曝露して、プラズマ処理された酸化物層の少なくとも一部を除去することとを含む。1つ又は複数のフィラメントは、概して、約1200℃と約1700℃との間の温度まで加熱される。基板ヒータの温度は、概して低く、例えば、約200℃と約400℃との間である。H
2ガスの流量は、概して、約100sccmと約500sccmとの間、例えば、約400sccmである。処理チャンバ圧力は、概して、約0.1Torr(T)と約1.0Tとの間、例えば、約0.5Tである。HWCVDプロセスの期間は、概して、約50秒と約4時間との間、例えば約100秒と約200秒との間、例えば約120秒である。別の態様では、基板100を水素ラジカルに曝露し、プラズマ処理された酸化物層を除去することは、遠隔マイクロ波又は高周波(RF)プラズマ源(RPS)から処理チャンバに水素ラジカルを導入することを含む。
【0031】
[0038]自然酸化物層を減少又は除去した後で、不要な品質の低い自然酸化物の形成を防ぐために、最初の保護層が堆積されることがある。1つの態様では、最初の保護層は、ALD TiO
2又はTiNなどの高品質の誘電体である。
【0032】
[0039]
図4は、基板を覆うように誘電体層を堆積するためのプロセスフロー400である。概して、プロセスフロー400は、
図5Cに示されるように、チタン層558上などの基板100上に、ヒドロキシル(−OH)基などの制御された数の活性部位を有する誘電体層560を原子層堆積する方法を提供する。プロセスフロー400は、単独で実行されてもよく、又は、例えば工程330の後に、プロセスフロー300と組み合わせて実行されてもよい。
【0033】
[0040]理解を容易にするために、プロセスフロー300の説明は、
図1及び
図5Cを参照する。プロセスフロー400は、工程410で、構造体のアレイが上部に形成された基板を処理チャンバに位置付けることによって、開始する。1つの態様では、チタン構造体104を上部に有する基板100などの基板は、プロセスフロー300に使用された処理チャンバと同じ処理チャンバに位置付けられる又は同じ処理チャンバにとどまる。別の態様では、チタン構造体104を上部に有する基板100などの基板は、第2の処理チャンバに位置付けられる。プロセスフロー400の処理チャンバは、概して、カリフォルニア州サンタクララのアプライドマテリアルズ社から入手可能なものなどのALDチャンバである。しかしながら、他の処理チャンバが利用されてもよいと考えられる。
【0034】
[0041]工程420で、第1の前駆体が処理チャンバに導入される。工程430で、第2の前駆体が処理チャンバに導入される。工程440で、
図5Cに示されるように、水パルスが処理チャンバで実行され、チタン層558を覆うように誘電体層560を形成する。処理チャンバは、オプションで、工程420と工程430との間で、並びに、工程430と工程440との間で、ヘリウム(He)、アルゴン(Ar)、ネオン(Ne)、クリプトン(Kr)、キセノン(Xe)、及び/又はラドン(Rn)などの不活性ガスでパージされる。工程420、工程430、及び工程440は、概して、各サイクル当たり、例えば約0.3オングストロームと約0.6オングストロームとの間の誘電体層560の準単層を単層に堆積する。よって、工程420、工程430、及び工程440は、概して、誘電体層560が所望の厚さ、例えば約2ナノメートル(nm)と約10nmとの間に堆積されるまで、任意の適切な回数、繰り返される。所望の厚さは、例えば、2nm、4nm、又は6nmでありうる。
【0035】
[0042]1つの態様では、例えば、上記のプロセスフロー300によって、自然酸化物が以前に除去されているため、第1の前駆体の接着を容易にするために、基板を第1の前駆体に接触させる前に、例えば水への曝露を通して、複数の活性部位が基板上に提供される。
【0036】
[0043]1つの態様では、工程420で、第1の前駆体が、概して、処理チャンバ内にパルスされ、次いで、工程430が、第2の前駆体は、概して、処理チャンバ内にパルスされる。処理温度は、概して、150℃と約250℃との間で変化する。パルス時間は、概して、約50msecと約0.25secとの間から変化する。処理圧力は、概して、処理チャンバのための任意の適した圧力である。1つの態様では、圧力は、約30mTorrと約100mTorrとの間である。別の態様では、圧力は、約40mTorrと約200mTorrとの間である。
【0037】
[0044]別の態様では、第1の工程で、第1の前駆体は、処理チャンバ内にパルスされ、続いて水パルスが実行される。第2の工程では、第1の前駆体の1つのパルスが導入され、続いて又は同時に、第2の前駆体のパルスが導入される。第2の工程の後に、窒素ガスN
2パージが実行され、次いで水パルスが実行される。したがって、この態様では、TiSiO
x又はHfSiO
x又はHfZrSiO
x膜の誘電体層が堆積されるのであって、従来の方法でのように、表面が、TiSiO
xについてSiO
x若しくはTiO
x、又はHfSiO
xについてHfO
x若しくはSiO
x、ZrSiO
xについてZrO
x若しくはSiO
xのいずれかで終端されているのではない。
【0038】
[0045]誘電体層560を形成するために、第1の前駆体及び第2の前駆体が選択され、誘電体層560は、約50milivolt(mV)dec−1と約70mV dec−1との間の表面電位を有する活性層として機能し、従来のように堆積された誘電体層の25mV dec−1の表面電位から55mV dec−1の表面電位まで増加することになり、よって、基板のセンシング能力が高まる。誘電体層560は、概して、高濃度誘電体材料、低濃度誘電体材料、又はこれらの混合物を含む、任意の適した誘電体材料である。適した誘電体層の例は、限定されないが、Ta
2O
5、HfSiO
x、TiSiO
x、及び/又はZrSiOを含む。
【0039】
[0046]第1の前駆体の濃度及び第2の前駆体の濃度は、概して、様々なプロセスに対する基板性能を高めるように選択される。
【0040】
[0047]チタン構造体104が上部に形成された基板100の例では、チタン層558は、概して、その表面に複数のヒドロキシル基を含む。理論に拘束されるものではないが、ヒドロキシル基は、概して、親水性の高いチタン層558を水又はO
2分子に対して曝露することによって、形成される。再び
図4を参照すると、第1の前駆体は、工程420中に、チタン層558上でヒドロキシル基の第1の部分と反応し、第2の前駆体は、工程430中に、ヒドロキシル基の第2の部分と反応する。第1の前駆体若しくは第2の前駆体の曝露時間、又は処理チャンバ内の圧力の増加は、堆積された誘電体層における第1の前駆体及び第2の前駆体の成長速度及び相対比率に影響を与えると考えられる。1つの態様では、曝露時間又は圧力は、所定数の活性部位を占めるように調整される。したがって、第1の前駆体及び第2の前駆体は、活性部位として機能するヒドロキシル基の数を制御し、誘電体層の疎水性を増減して、基板の機能性を向上させるのに有用である。
【0041】
[0048]第1の前駆体は、概して、任意のケイ素含有、チタン含有、タンタル含有、又は他の金属含有前駆体である。適したチタン前駆体の例は、限定されないが、テトラキス(ジメチルアミド)チタン、チタン(IV)イソプロポキシド、チタン(IV)ブトキシド及びチタン(IV)エトキシドを含む。適したケイ素前駆体の例は、限定されないが、テトラエチルオルトケイ酸塩(TEOS)シラノールを含む。適したタンタル前駆体の例は、限定されないが、タンタル(V)エトキシド、テトラキス(ジメチルアミド)タンタル(V)(Ta(NMe
2)
5、トリス(ジエチルアミド)(エチルイミド)タンタル(V)(Ta(NEt)(NEt
2)
3、TaCl
5、TaI
5、及びTaF
5を含む。
【0042】
[0049]第2の前駆体は、概して、任意の適したハフニウム含有前駆体である。適したハフニウム前駆体の例は、限定されないが、テトラキス(ジメチルアミノ)ハフニウム、テトラキス(エチルメチルアミノ)ハフニウム、塩化ハフニウム、及びヨウ化ハフニウムを含む。
【0043】
[0050]本書で開示される方法で使用される第1の前駆体及び第2の前駆体に応じて、センシング層として機能する誘電体層は、概して、限定されないが、TiSiO
x又はHfSiO
x又はHfZrSiO
xのうちの1つ又は複数を含む。
【0044】
[0051]前述の態様は、誘電体層を堆積するために熱ALDを使用することを企図しているが、本開示はまた、誘電体層560を堆積するためにプラズマ強化ALD(PEALD)を使用することを企図している。PEALDは、良品質の膜を堆積し、また、基板温度又は他の処理温度を低下させる。1つの態様では、誘電体材料のPEALD堆積は、酸素プラズマを利用する。別の態様では、誘電体材料のPEALD堆積は、酸素と窒素とのプラズマ混合物を利用する。別の態様では、誘電体材料のPEALD堆積は、酸素とアルゴンとのプラズマ混合物を利用する。
【0045】
[0052]本書に開示される方法は、概して、自然酸化物を含まず、上部に改良された誘電体層が堆積された金属構造体を提供する。チタン構造体からTiO
xを除去するなど、金属構造体の表面から自然酸化物層を除去することによって、基板の信号対ノイズの比率は低下する。金属又はケイ素層の疎水性を増減するように選択された第1及び第2の前駆体を導入することによって、その表面上の活性部位の数は、基板によって実行される後続の機能の要件に従って制御される。例えば、本書で開示された方法に従って形成されたMEMSデバイスは、DNA塩基配列決定などのバイオセンシング用途のより良好なセンシング能を示しているが、これは、信号対ノイズの比率が低下しており、誘電体層の活性部位の数が、pH信号を検出することにより、最適なDNA塩基配列決定のために制御されるからである。
【0046】
[0053]加えて、開示された方法は、表1に示されるように、前駆体組成に関係なく、基板100にわたって実質的に均一な堆積の厚さをもたらす。更に、基板の表面にわたる誘電体層の組成における均一な一貫性もまた、表2に示されるように、達成可能である。
【0047】
[0054]
図6A−6Cは、2nmの誘電体材料、4nmの誘電体材料、及び6nmの誘電体材料それぞれの堆積についての、誘電体層の様々な組成における誘電体層の接触角度を示すグラフを図解する。接触角度は、液体による固体表面の濡れ性を示している。表面の濡れ性を制御することにより、基板性能のより良好な制御がもたらされる。例えば、バイオセンサ基板の表面の濡れ性の制御は、表面と周囲媒体との間の生物学的相互作用を高める。
図6A−6Cに示されるように、誘電体層中のハフニウムの割合又は濃度が増加するにつれて、誘電体層の疎水性は、概して、増加する。
【0048】
[0055]本書に開示の態様は、欠陥を更に減らし、結晶化度を高めるために、例えば、約300℃と約500℃との間の温度における、約30分と約4時間との間の期間での、ラジカル処理及び/又は高温アニーリングなどの追加的プロセスを更に含みうる。
【0049】
[0056]上記は本開示の態様を対象としているが、本開示の基本的な範囲を逸脱しなければ、本開示の他の態様及び更なる態様が考案されてもよく、本開示の範囲は以下の特許請求の範囲によって決定される。