(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、氷結晶観察又は被検体物観察による方法では、評価結果を数値化して定量的に比較することが困難であった。また、凍結置換法、近赤外分光法及び電子顕微鏡を用いた観察では、「被検体物の調製に時間がかかる」、「被検体物の調製・観察に熟練を要する」、「専用の設備が必要で高価」等の問題があった。
【0005】
一方、ドリップ量の測定による方法においては、被検体物の種類又は解凍方法による誤差が大きく、官能評価又は観察評価と測定結果を整合させることが困難であった。
【0006】
そこで本発明は、数値化が可能であり、官能評価の結果と整合させることが容易な、冷凍野菜の解凍後の品質を評価する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、冷凍野菜の解凍後の品質を評価する方法において、解凍後の野菜のヤング率を用いることで、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち本発明は、以下の[1]〜[8]を提供する。
[1]冷凍野菜の解凍後の品質を評価するための方法であって、解凍後の野菜の破断応力及び破断歪を算出する工程と、破断応力及び破断歪からヤング率を算出する工程と、ヤング率に基づいて解凍後の野菜の品質を評価する工程と、を備える、方法。
[2]解凍後の野菜のドリップ量及び冷凍野菜の重量に基づきドリップ率を算出する工程を更に備え、評価はヤング率及びドリップ率に基づいて行われる、[1]に記載の方法。
[3]冷凍野菜の解凍後の品質を評価するための品質評価基準値を決定する方法であって、解凍後の野菜の破断応力及び破断歪を算出する工程と、破断応力及び破断歪からヤング率を算出する工程と、解凍後の野菜の官能評価を行う工程と、ヤング率と官能評価の結果から第1の品質評価基準値を決定する工程と、を備える、方法。
[4]第1の品質評価基準値は、a)官能評価が良好となるヤング率の下限値;及び/又はb)官能評価が良好となるヤング率の上限値;である、[3]に記載の方法。
[5]解凍後の野菜の観察評価を行う工程を更に備え、第1の品質評価基準値は、
a)官能評価及び観察評価が良好となるヤング率の下限値;及び/又はb)官能評価及び観察評価が良好となるヤング率の上限値;である、[3]に記載の方法。
[6]解凍後の野菜のドリップ量及び冷凍野菜の重量に基づきドリップ率を算出する工程と、ドリップ率と官能評価の結果から第2の品質評価基準値を決定する工程と、を更に備える、[3]〜[5]のいずれかに記載の方法。
[7]第2の品質評価基準値は、c)官能評価が良好となるドリップ率の上限値;及び/又はd)官能評価が良好となるドリップ率の下限値;である、[6]に記載の方法。
[8]解凍後の野菜の観察評価を行う工程を更に備え、第2の品質評価基準値は、c)前記官能評価及び前記観察評価が良好となる前記ドリップ率の上限値;及び/又は
d)前記官能評価及び前記観察評価が良好となる前記ドリップ率の下限値;
である、[6]に記載の方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、数値化が可能であり、官能評価の結果と整合させることが容易な、冷凍野菜の解凍後の品質を評価する方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0012】
本発明の一実施形態に係る、冷凍野菜の解凍後の品質を評価するための方法は、解凍後の野菜の破断応力及び破断歪を算出する工程と、破断応力及び破断歪からヤング率を算出する工程と、ヤング率に基づいて解凍後の野菜の品質を評価する工程と、を備える。
【0013】
冷凍野菜を調製するための野菜には、通常生で食される生野菜及び加熱調理して食されるものの両方が含まれる。野菜は、好ましくは、芋類、根菜類、茎菜類、りん茎菜類、豆類といった、葉菜類以外の野菜である。葉菜類以外の野菜は特に限定されるものではないが、例えば、ジャガイモ、キクイモ、サツマイモ、サトイモ、ミズイモ、やつがしら、いちょういも、ながいも、自然薯、だいじょ、銀杏、栗、椎、とち、はす、ひし、アーティチョーク、えだまめ、さやえんどう、スナップえんどう、グリーンピース、かぼちゃ、くわい、ゴボウ、たけのこ、たまねぎ、つくし、唐辛子、スイートコーン、なばな、ニンジン、にんにく、茎にんにく、ビート、ふきのとう、ふじまめ、ブロッコリー、ホースラディッシュ、ゆりね、らっかせい、らっきょう、エシャロット及びワサビ等を挙げることができる。
【0014】
本実施形態の評価においては、まず、上述した野菜を冷凍して冷凍野菜とする。野菜は、加熱されていない生野菜の状態で冷凍されてよい。生野菜は、必要に応じて、皮を剥かれた状態、又は適当な寸法に切断された状態で冷凍されてもよい。生野菜の含水率は、好ましくは5〜90質量%であり、より好ましくは20〜90質量%であり、更に好ましくは50〜90質量%である。
【0015】
野菜は、加熱処理をされてから冷凍されてもよい。加熱処理は、例えば、生野菜を過熱水蒸気に接触させる処理であってよい。生野菜を過熱水蒸気に接触させるための方法は、特に限定されるものではないが、例えば、開放系で過熱水蒸気を野菜に吹き付ける方法、密閉系で過熱水蒸気の雰囲気(過熱水蒸気の満たされた空間)に野菜を置く方法等の種々の方法を挙げることができる。その他、市販の過熱水蒸気処理装置(ヘルシオ(登録商標)、シャープ(株)製)等を用いて、野菜を過熱水蒸気に接触させることもできる。
【0016】
過熱水蒸気の温度(過熱水蒸気処理の処理温度)は、野菜を過熱水蒸気と接触させる時間(過熱水蒸気処理の処理時間)又は野菜の種類に合わせて適宜調整すればよい。処理温度は、110〜200℃、120〜200℃、130〜180℃、又は140〜180℃であってよい。処理温度は、野菜を過熱水蒸気に接触させている間一定であってよく、変動してもよい。
【0017】
野菜を過熱水蒸気に接触させる時間(過熱水蒸気処理の処理時間)は、野菜を過熱水蒸気と接触させる温度(過熱水蒸気処理の処理温度)又は野菜の種類に合わせて適宜調整すればよい。処理時間は、加熱効果を十分に得る観点から、1分以上、5分以上、10分以上、又は20分以上であってよい。処理時間は、食感の劣化を抑制する観点から、120分以下、90分以下、60分以下、又は40分以下であってよい。野菜を過熱水蒸気に接触させる時間は、例えば、過熱水蒸気の処理温度が200℃の場合、好ましくは6〜10分であり、過熱水蒸気の処理温度が170℃の場合、好ましくは10〜20分であり、過熱水蒸気の処理温度が140℃の場合、好ましくは20〜30分である。
【0018】
冷凍野菜を調製する際の冷凍条件は、例えば、−30〜−35℃で1〜24時間という条件で急速に凍結させてもよく(急速凍結)、−3〜−5℃で24〜168時間という条件で緩やかに凍結させてもよい(緩慢凍結)。
【0019】
上述した冷凍野菜は、通常、調理の前に解凍される。本実施形態における評価方法は、調理のために解凍された野菜について品質の評価を行う方法である。冷凍野菜を解凍する際の解凍条件は、例えば、室温で行ってもよく、4〜10℃の冷蔵条件において行ってもよく、電子レンジを用いることによって行うこともできる。電子レンジを用いる場合、調理のために通常用いられる出力(ワット数)で加熱してよい。本明細書において、解凍された状態とは、解凍後の野菜の中心温度が4℃以上である状態をいう。
【0020】
本実施形態に係る評価方法に係る、解凍後の野菜について破断応力及び破断歪を求める工程において、破断応力は、下記の式(1)により求めることができ、例えば、レオメーターにより測定されることができる。本明細書において破断応力は、複数の試料における測定値の平均値(平均破断応力)であってもよい。
破断応力(Pa)=荷重の最大値(N)/荷重が与えられている面積(m
2)・・・(1)
【0021】
破断歪は、下記の式(2)により求めることができ、例えば、レオメーターにより測定することができる。本明細書において破断歪は、複数の試料における測定値の平均値(平均破断歪)であってもよい。
破断歪=破断変形した厚さ(mm)/試料の厚さ(mm)・・・(2)
【0022】
破断応力又は破断歪の測定において、測定対象とする解凍後の野菜の温度は、室温(20〜30℃程度)であってよいし、喫食されるときの温度を想定して設定された温度であってもよい。例えば、解凍後の野菜を冷蔵された状態で喫食することが想定される場合は、破断応力又は破断歪の測定温度は1〜10℃程度であってよく、加熱調理して喫食することが想定される場合は、測定温度は調理後の温度である30〜60℃程度であってもよい。解凍後の品質を比較する対象となっている野菜についての破断応力又は破断歪の測定温度は、好ましくは、品質を比較する野菜それぞれの間で同程度の温度とする。
【0023】
破断応力及び破断歪からヤング率を算出する工程において、ヤング率は、下記の式(3)により求めることができる。本明細書においてヤング率は、平均破断応力及び平均破断歪から求めた平均ヤング率としてもよい。
ヤング率(Pa)=破断応力/破断歪・・・(3)
【0024】
ヤング率に基づいて、解凍後の野菜の品質を評価する工程において、解凍後の野菜の品質が良好であると評価する方法は、一実施形態において、所定の値のヤング率を基準値として、その値に基づいて評価することができる。解凍後の野菜の品質が良好であるといえるヤング率の基準値は、後述する方法によって決定されることができる。
【0025】
冷凍野菜の解凍後の品質を評価するための方法は、他の実施形態において、解凍後の野菜のドリップ量及び冷凍野菜の重量に基づきドリップ率を算出する工程を更に備え、評価はヤング率及びドリップ率に基づいて行われてもよい。
【0026】
ドリップ量は、冷凍野菜を解凍した後に生じたドリップ(水分)の量を意味する。ドリップ率は、下記の式(4)により求めることができる。
ドリップ率(%)=ドリップ量(g)/冷凍野菜の重量(g)×100・・・(4)
【0027】
この場合、ヤング率及びドリップ率に基づいて、解凍後の野菜の品質を評価することができる。解凍後の野菜の品質が良好であると評価する方法は、例えば、上述したヤング率が所定値以上の値であり、かつ、ドリップ率が所定値以下の値であるときに、解凍後の野菜の品質が良好であるとすることができる。解凍後の野菜の品質が良好であるといえるヤング率及びドリップ率の範囲は、後述する方法によって決定される評価基準により変動してもよい。
【0028】
本発明の一実施形態に係る、冷凍野菜の解凍後の品質を評価するための品質評価基準値を決定する方法は、解凍後の野菜の破断応力及び破断歪を算出する工程と、破断応力及び破断歪からヤング率を算出する工程と、解凍後の野菜の官能評価を行う工程と、ヤング率と官能評価の結果から第1の品質評価基準値を決定する工程と、を備える。解凍後の野菜の破断応力及び破断歪を算出する工程と、破断応力及び破断歪からヤング率を算出する工程は、上述した式(1)、式(2)、及び式(3)に基づいて行われることができる。
【0029】
第1の品質評価基準値は、一実施形態において、a)官能評価が良好となるヤング率の下限値;及び/又はb)官能評価が良好となるヤング率の上限値;と決定してよい。この場合、第1の品質評価基準値は、以下の方法で行われることができる。まず、解凍後の野菜である試料を準備し、官能評価を行う。本実施形態において行われる官能評価は、例えば、訓練されたパネラーが解凍後の野菜について、硬さ、弾力性といった評価項目を評価し、点数を付与することによって行うことができる。そして、官能評価が良好であるといえる点数の基準を設定する。解凍後の野菜の品質が良好であるといえる点数の基準は、例えば10段階で評価した場合の5点以上であってよい。
【0030】
次に、官能評価によって品質が良好であると判断された試料についてヤング率を比較し、官能評価が良好であると判断された試料のヤング率の下限値及び/又は上限値を決定する。ヤング率の下限値のみを第1の評価基準値と決定する場合、ヤング率の下限値以上の範囲を、冷凍野菜の解凍後の品質が良好である範囲と決定することができる。ヤング率の下限値及び上限値を第1の評価基準値と決定する場合、ヤング率の下限値と上限値との間の範囲を、冷凍野菜の解凍後の品質が良好である範囲と決定することができる。第1の品質評価基準値に基づき決定されたヤング率の範囲を満たす場合に、冷凍野菜の解凍後の品質が良好であるとすることができる。
【0031】
ヤング率と官能評価の結果から第1の品質評価基準値を決定する工程においては、初めに冷凍前の野菜におけるヤング率に対する、解凍後の野菜におけるヤング率の比(解凍後の野菜におけるヤング率/冷凍前の野菜におけるヤング率×100)を相対ヤング率として算出してもよい。この場合、解凍後の野菜の品質が良好であるといえる相対ヤング率の範囲を決定した上で、この相対ヤング率の値に対応するヤング率を、官能評価が良好であると判断された試料のヤング率の下限値及び/又は上限値と決定することができる。解凍後の野菜の品質が良好であるといえる相対ヤング率の範囲は、評価対象とする冷凍前の野菜の種類、又は冷凍前の野菜の状態によって変動してもよく、生の野菜を冷凍した場合と、加熱処理をした野菜を冷凍した場合とで、解凍後の野菜の品質が良好であるといえる相対ヤング率の範囲を異なるものとしてもよい。例えば、冷凍前の野菜が生のニンジンである場合、解凍後のニンジンの品質が良好であるといえる相対ヤング率の範囲は、一実施形態において4〜99.9%とすることができ、また、冷凍前の野菜が加熱処理をしたニンジンである場合、解凍後のニンジンの品質が良好であるといえる相対ヤング率の範囲は、一実施形態において5〜99.9%とすることができる。
【0032】
冷凍野菜の解凍後の品質を評価するための品質評価基準値を決定する方法は、他の実施形態において、解凍後の野菜の観察評価を行う工程を更に備えてもよい。この場合、第1の品質評価基準値は、a)官能評価及び観察評価が良好となるヤング率の下限値;及び/又はb)官能評価及び観察評価が良好となる前記ヤング率の上限値;と決定してもよい。
【0033】
観察評価は、一実施形態において、マイクロスコープ又は電子顕微鏡を用いて冷凍前の野菜及び解凍後の野菜の状態を観察し、状態を目視により比較することによって行われてよい。観察評価においては、観察面の状態が滑らかで、空隙の面積が所定面積以下である場合に、冷凍野菜の解凍後の品質が良好であると決定することができる。
【0034】
本実施形態においては、官能評価及び観察評価における結果がどちらも良好であると判断された試料のヤング率を比較し、ヤング率の下限値及び/又は上限値が決定されてよく、この下限値及び/又は上限値を第1の評価基準値とすることができる。解凍後の野菜の観察評価を行う工程を更に備えることにより、冷凍野菜の解凍後の品質を評価するための品質評価基準値をより正確に決定することができる。
【0035】
冷凍野菜の解凍後の品質を評価するための品質評価基準値を決定する方法は、解凍後の野菜のドリップ量及び冷凍野菜の重量に基づきドリップ率を算出する工程と、ドリップ率と官能評価の結果から第2の品質評価基準値を決定する工程と、を更に備えてもよい。解凍後の野菜のドリップ量及び解凍前の冷凍野菜の重量に基づきドリップ率を算出する工程は、上述した式(4)に基づいて行われることができる。
【0036】
第2の品質評価基準値は、一実施形態において、c)官能評価が良好となるドリップ率の上限値;及び/又はd)官能評価が良好となるドリップ率の下限値;と決定してよい。この場合、第1の品質評価基準値は、以下の方法で行われることができる。まず、解凍後の野菜である試料を複数準備し、官能評価を行う。官能評価は、上述した第1の品質評価基準値を決定する工程と同様の方法であってよい。
【0037】
次に、官能評価によって品質が良好であると判断された試料についてドリップ率を比較し、ドリップ率の上限値及び/又は下限値を決定する。ドリップ率の上限値のみを決定する場合、ドリップ率の上限値以下の範囲を、冷凍野菜の解凍後の品質が良好である範囲と決定することができる。ドリップ率の上限値及び下限値を決定する場合、ドリップ率の上限値と下限値との間の範囲を、冷凍野菜の解凍後の品質が良好である範囲と決定することができる。
【0038】
ドリップ率の範囲は、評価対象とする冷凍前の野菜の種類、又は冷凍前の野菜の状態によって変動してもよく、生の野菜を冷凍した場合と、加熱処理をした野菜を冷凍した場合とで、解凍後の野菜の品質が良好であるといえるドリップ率の範囲を異なるものとしてもよい。例えば、冷凍前の野菜が生のニンジンである場合、解凍後のニンジンの品質が良好であるといえるドリップ率の範囲は、一実施形態において0.1〜9%とすることができ、また、冷凍前の野菜が加熱処理をしたニンジンである場合、解凍後のニンジンの品質が良好であるといえる相対ヤング率の範囲は、一実施形態において0.1〜8%とすることができる。
【0039】
本実施形態においては、第1の品質評価基準値及び第2の品質評価基準値の両方の基準値に基づき、品質評価基準値が決定される。すなわち、第1の品質評価基準値に基づき決定されたヤング率の範囲と、第2の品質評価基準値に基づき決定されたドリップ率の範囲との両方を満たす場合に、冷凍野菜の解凍後の品質が良好であるとすることができる。これにより、冷凍野菜の解凍後の品質を評価するための品質評価基準値をより正確に決定することができる。
【0040】
第2の品質評価基準値を決定する工程においては、解凍後の野菜の官能評価結果及び観察評価結果との比較により、第1の品質評価基準値が決定されてもよい。観察評価は、上述した第1の品質評価基準値を決定する工程と同様の方法により行われてよい。
【実施例】
【0041】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0042】
[実施例1]
厚み1cmのイチョウ状に成形した生のニンジン145g(14〜15切れ)を、−35℃、24時間で急速凍結させて冷凍ニンジンを調製した。この冷凍ニンジンを約4℃に設定された冷蔵庫内で24時間静置して解凍し、評価用の試料とした。
【0043】
[実施例2]
実施例1において、−5℃、168時間で緩慢凍結させて冷凍ニンジンを調製した以外は、実施例1と同様の方法により評価用の試料を得た。
【0044】
[実施例3]
実施例1において、冷凍ニンジンを、電子レンジ(ER−K38、(株)東芝製)により500Wで約2分間解凍した以外は、実施例1と同様の方法により評価用の試料を得た。
【0045】
[実施例4]
実施例2において、冷凍ニンジンを電子レンジにより500Wで約2分間解凍した以外は、実施例2と同様の方法により評価用の試料を得た。
【0046】
[実施例5]
厚み1cmのイチョウ状に成形した生のニンジン145g(14〜15切れ)を、過熱水蒸気処理装置(ヘルシオAX−X2、シャープ(株)製)を用いて、120℃で10分間過熱水蒸気に接触させた。この加熱後のニンジンを、24時間で急速凍結させて冷凍ニンジンを調製した。冷凍ニンジンを電子レンジにより500Wで約2分間解凍し、評価用の試料とした。
【0047】
[実施例6]
実施例5において、−5℃、168時間で緩慢凍結させて冷凍ニンジンを調製した以外は、実施例5と同様の方法により評価用の試料を得た。
【0048】
[比較例1]
実施例1において、冷凍していない生のニンジンを評価用の試料とした。
【0049】
[比較例2]
実施例5において、冷凍していない加熱後のニンジンを評価用の試料とした。
【0050】
<ヤング率の算出>
実施例1〜6及び比較例1〜2の試料について、レオメーター(RHEONER II CREEPMETERRE2−3305B、(株)山電製)を用いて荷重の最大値及び荷重が与えられている面積を測定し、これらの値に基づき破断応力を算出した。なお、測定は5回行われ、破断応力の平均値を求めた。また、解凍後の試料について、上記のレオメーターを用いて破断変形した厚さ及び試料の厚さを測定し、これらの値に基づき破断歪を算出した。なお、測定は5回行われ、破断歪の平均値を求めた。破断応力破断歪を求めるための測定においては、測定対象である試料の温度を25℃として測定した。次に、破断応力及び破断歪の平均値に基づき、試料のヤング率を算出した。結果を表1に示す。
【0051】
<官能評価>
実施例1〜6及び比較例1〜2の試料について、五味(甘、酸、塩、苦、うま味)の識別テストで適合とされた5人のパネラーにより官能評価を行った。評価項目としては、「硬さ」及び「弾力性」に基づいた総合評価を求めた。評価点については、満点を10点とし、点数が高いほど、品質が良好であるということができる。評価点の平均値を表1に示す。
【0052】
<観察評価>
実施例3〜6の試料について、電子顕微鏡(VHX−2000、(株)キーエンス製)を用いて解凍後の状態を観察した。結果を
図1に示す。
図1において、(a)は実施例3、(b)は実施例4、(c)は実施例5、(d)は実施例6の評価結果に対応する。
【0053】
<ドリップ率の測定>
実施例1〜6の試料について、解凍時に発生したドリップを採取し、その重量を測定してドリップ量とした。次に、解凍前の試料の重量及びドリップ量から、ドリップ率(%)を求めた。結果を表2に示す。
【0054】
【表1】
【0055】
【表2】