(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、本発明の各実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚さと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0008】
(第1実施形態)
図1(a)及び
図1(b)は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図1(a)に示すように、実施形態に係る半導体装置110は、第1導電部51、半導体部10s及び第1絶縁部31を含む。半導体部10sは、炭化珪素を含む。
【0009】
半導体部10sは、第1〜第4半導体領域11〜14を含む。
【0010】
第1半導体領域11及び第2半導体領域12は、第1導電形である。第3半導体領域13及び第4半導体領域14は、第2導電形である。
【0011】
例えば、第1導電形はn形であり、第2導電形はp形である。第1導電形がp形であり、第2導電形がn形でも良い。以下の例では、第1導電形はn形であり、第2導電形はp形である。
【0012】
n形の不純物は、例えば、N、P及びAsよりなる群から選択された少なくともいずれかを含む。p形の不純物は、例えば、B、Al及びGaよりなる群から選択された少なくともいずれかを含む。
【0013】
第1半導体領域11は、第1部分領域11a及び第2部分領域11bを含む。第1部分領域11aは、第1方向において第1導電部51から離れる。
【0014】
第1方向をZ軸方向とする。Z軸方向に対して垂直な1つの方向をX軸方向とする。Z軸方向及びX軸方向に対して垂直な方向をY軸方向とする。
【0015】
第1部分領域11aから第2部分領域11bへの方向は、第1方向(Z軸方向)と交差する。
【0016】
第1導電部51の一部から第2半導体領域12への方向は、第2方向に沿う。第2方向は、第1方向(Z軸方向)と交差する。第2方向は、例えば、X軸方向である。
【0017】
第3半導体領域13は、第1方向(Z軸方向)において、第2部分領域11bと第2半導体領域12との間に設けられる。
【0018】
第4半導体領域14は、第1方向(Z軸方向)において、第1導電部51と第1部分領域11aとの間に設けられる。
【0019】
第4半導体領域14から第2部分領域11bへの方向は、第2方向(例えば、X軸方向)に沿う。
【0020】
第1絶縁部31は、第1〜第3部分p1〜p3を含む。第1部分p1の少なくとも一部は、第1方向(Z軸方向)において、第1導電部51と第4半導体領域14との間に位置する。第2部分p2は、第2方向(X軸方向)において第1導電部51の上記の一部と第2半導体領域12との間、及び、第2方向において第1導電部51と第3半導体領域13との間に位置する。第3部分p3は、第1部分p1と第2部分p2との間に設けられる。
【0021】
例えば、第1部分領域11aの上に、第4半導体領域14が設けられる。第4半導体領域14の上に、第1絶縁部31の第1部分p1が位置する。第1部分p1の上に、第1導電部51が位置する。第4半導体領域14の横に、第2部分領域11bが設けられる。この例では、第2部分領域11bの一部は、第1部分領域11aの横に位置する。第2部分領域11bの上に、第3半導体領域13が設けられる。第3半導体領域13の上に第2半導体領域12が設けられる。
【0022】
図1(a)に示すように、この例では、第1電極61、第2電極62及び第2絶縁部32がさらに設けられる。
【0023】
第1電極61は、第2半導体領域12と電気的に接続される。例えば、第2半導体領域12は、第1方向(Z軸方向)において、第1電極61の少なくとも一部と、第3半導体領域13との間に位置する。
【0024】
第1電極61は、第1導電部51の上方に延びている。第2絶縁部32は、第1方向(Z軸方向)において、第1電極61の別の一部と、第1導電部51と、の間に位置する。第2絶縁部32は、第1導電部51と第1電極61とを電気的に絶縁する。
【0025】
第2電極62は、第1半導体領域11の下方に設けられる。例えば、第1部分領域11aは、第1方向(Z軸方向)において、第4半導体領域14と第2電極62との間に位置する。第2部分領域11bは、第1方向において、第3半導体領域13と第2電極62との間に位置する。
【0026】
半導体装置110は、例えば、トランジスタである。第1導電部51は、例えば、ゲート電極として機能する。第1電極61は、例えば、ソース電極として機能する。第2電極62は、例えば、ドレイン電極として機能する。第1絶縁部31は、例えば、ゲート絶縁膜として機能する。第2絶縁部32は、例えば、層間絶縁膜として機能する。
【0027】
第1半導体領域11は、例えば、ドリフト領域として機能する。第2半導体領域12及び第3半導体領域13を含む領域は、例えば、チャネル領域として機能する。第2半導体領域12は、第1電極61とのコンタクト領域として機能する。半導体装置110は、例えば、トレンチ型トランジスタである。
【0028】
この例では、半導体部10sは、半導体層10Lをさらに含む。半導体層10Lは、第1半導体領域11と第2電極62との間に位置する。半導体層10Lは、第1導電形または第2導電形である。半導体層10Lが第1導電形である場合、半導体装置110は、MOS型トランジスタとして機能する。半導体層10Lが第2導電形である場合、半導体装置110は、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)として機能する。
【0029】
第1導電部51は、第2方向(X軸方向)において、第1半導体領域11と重なる。例えば、第1絶縁部31の第2部分p2の一部は、第2方向(X軸方向)において、第1導電部51と第2部分領域11bとの間に位置する。例えば、第1導電部51の下端は、第3半導体領域13の下端よりも下に位置する。
【0030】
例えば、第4半導体領域14における第2導電形の不純物濃度は、第3半導体領域13における第2導電形の不純物濃度よりも高い。例えば、第4半導体領域14における第2導電形の不純物濃度は、5×10
17cm
−3以上1×10
20cm
−3以下である。例えば、第3半導体領域13における第2導電形の不純物濃度は、1×10
16cm
−3以上1×10
18cm
−3以下である。例えば、第2半導体領域12における第1導電形の不純物濃度は、第1半導体領域11における第1導電形の不純物濃度よりも高い。
【0031】
第1絶縁部31において、第1部分p1は、例えば、底部である。第2部分p2は、側部である。第3部分p3は、第1部分p1と第2部分p2と
の間のコーナー部である。
【0032】
実施形態において、第4半導体領域14(例えばp形領域)を、第1導電部51(例えば、ゲート)の下方に設けることで、第1導電部51(例えば、ゲート)の下方において、電界集中が緩和される。これにより、耐圧が向上できる。例えば、第1絶縁部31の第1部分p1(底部)における劣化が抑制される。
【0033】
実施形態において、第1半導体領域11の第2部分領域11bの一部は、第1方向(Z軸方向)において、第2部分p2と重なる。例えば、第4半導体領域14のX軸方向の端(第4半導体領域14と第2部分領域11bとの間の境界B1)は、第1絶縁部31の側部(第2部分p2)の外面よりも、内側に後退している。
【0034】
第4半導体領域14のX軸方向における幅が大きい第1参考例がある。第1参考例においては、第4半導体領域14と第2部分領域11bとの間の境界B1のX軸方向に沿う位置は、第1絶縁部31の側部(第2部分p2)の外面のX軸方向に沿う位置と一致する。この場合、第2部分領域11bは、第1方向(Z軸方向)において、第2部分p2と重ならない。このような第1参考例においては、チャネルを流れるキャリアは、第4半導体領域14と接するようになる。この場合、所望の特性が得難くなる。例えば、オン抵抗が高くなる場合がある。
【0035】
これに対して、実施形態においては、第1半導体領域11の第2部分領域11bの一部は、第1方向(Z軸方向)において、第2部分p2と重なる。これにより、電流経路における悪影響が抑制される。例えば、所望の特性が得易くなる。例えば、オン抵抗を低く維持しつつ、耐圧を向上できる。
【0036】
図1(a)に示すように、第1絶縁部31の第3部分p3(コーナー部)において、内側の面の曲率は、外側の面の曲率よりも小さい。これにより、コーナー部における電界集中が緩和される。
【0037】
このように実施形態においては、底部(第1部分p1)における電界集中を第4半導体領域14により緩和する。第4半導体領域14のX軸方向の端(例えば境界B1)が第1絶縁部31の側部(第2部分p2)の外面よりも、内側に後退していることで、電流経路における悪影響が抑制される。第3部分p3(コーナー部)における適正な曲率により、コーナー部における電界集中を緩和する。これにより、耐圧が向上できる。
【0038】
図1(a)に示すように、半導体部10sは、第5〜第8半導体領域15〜18をさらに含んでも良い。そして、第1半導体領域11は、第3部分領域11cをさらに含んでも良い。第1絶縁部31は、第4部分p4及び第5部分p5をさらに含んでも良い。
【0039】
第4半導体領域14は、第2方向(X軸方向)において、第3部分領域11cと第2部分領域11bとの間に位置する。
【0040】
第6半導体領域16は、第1導電形である。第1導電部51は、第2方向(X軸方向)において、第6半導体領域16と第2半導体領域12との間に位置する。
【0041】
第7半導体領域17は、第2導電形である。第1導電部51は、第2方向(X軸方向)において、第7半導体領域17と第3半導体領域13との間に位置する。第7半導体領域17は、第1方向(Z軸方向)において、第3部分領域11cと第6半導体領域16との間に位置する。
【0042】
第8半導体領域18は、第2導電形である。第6半導体領域16は、第2方向において、第1導電部51と第8半導体領域18と、の間に位置する。第1電極61は、第8半導体領域18と電気的に接続される。
【0043】
第5半導体領域15は第2導電形である。第2半導体領域12は、第2方向(X軸方向)において、第1導電部51の上記の一部と、第5半導体領域15と、の間に位置する。第1電極61は、第5半導体領域15と電気的に接続される。
【0044】
第1絶縁部31の第4部分p4は、第2方向(X軸方向)において第1導電部51と第6半導体領域16との間、及び、第2方向において第1導電部51と第7半導体領域17との間に位置する。第5部分p5は、第1部分p1と第4部分p4との間に設けられる。第4部分p4は、複数の側部の別の1つである。第5部分p5は、第1部分p1と第4部分p4と
の間のコーナー部である。
【0045】
例えば、第1半導体領域11の第3部分領域11cの一部は、第1方向(Z軸方向)において、第4部分p4と重なる。例えば、第4半導体領域14のX軸方向の別の端(第4半導体領域14と第3部分領域11cとの間の境界B2)は、第1絶縁部31の側部(第4部分p4)の外面よりも、内側に後退している。これにより、電流経路における悪影響が抑制される。
【0046】
例えば、
図1(a)に示すように、第1絶縁部31の第5部分p5(コーナー部)において、内側の面における曲率は、外側の面における曲率よりも小さい。これにより、コーナー部における電界集中が緩和される。
【0047】
以下、コーナー部の曲率(または曲率半径)について説明する。曲率は、曲率半径の逆数である。
【0048】
図1(b)に示すように、第1絶縁部31の第3部分p3は、第1面F1及び第2面F2を有する。第1面F1は、第1導電部51に対向する。第2面F2は、半導体部10s(例えば第1半導体領域11)に対向する。第1面F1は、例えば、内側の面である。第2面F2は、例えば、外側の面である。
【0049】
第1面F1は、第1曲率半径R1を有する。第1曲率半径R1は、第1方向及び第2方向を含む断面(X−Z平面に沿う断面)における第1面F1の曲率半径である。第2面F2は、第2曲率半径R2を有する。第2曲率半径R2は、上記の断面における第2面F2の曲率半径である。実施形態においては、第1曲率半径R1は、第2曲率半径R2よりも大きい。これにより、コーナー部(第3部分p3)における電界集中が緩和される。
【0050】
第1絶縁部31の第5部分p5(別のコーナー部)は、第3面F3及び第4面F4を有する。第3面F3は、第1導電部51に対向する。第4面F4は、半導体部10s(例えば第1半導体領域11)に対向する。上記の断面における第3面F3の第3曲率半径R3は、上記の断面における第4面F4の第4曲率半径R4よりも大きい。これにより、コーナー部(第5部分p5)における電界集中が緩和される。
【0051】
例えば、第1曲率半径R1は、第2曲率半径R2の4倍以上10倍以下である。第1曲率半径R1が第2曲率半径R2の4倍以上であることにより、例えば、第1絶縁部31のコーナー部での電界が緩和される。第1曲率半径R1が第2曲率半径R2の10倍以下であることにより、例えば、第1絶縁部31のコーナー部において安定した形状が得やすくなる。
【0052】
以下、第1絶縁部31の例について説明する。
【0053】
図2は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
第1導電部51は、第2方向(X軸方向)における2つの端(端51a及び端51b)を有する。これらの2つの端(端51a及び端51b)の中点51cを通り、第1方向(Z軸方向)に沿う直線を直線L51とする。この直線L51は、第1部分p1の1つの位置P31(第2位置)を通過する。この位置P31(第2位置)における第1部分p1の第1方向(Z軸方向)に沿う長さを第1長さt1とする。
【0054】
第1部分p1と第3部分p3とを含む領域において、第1絶縁部31の厚さ(第1方向に沿う長さ)が連続的に変化する場合がある。このような場合に、第1方向に沿う長さ(厚さ)が第1長さt1の1.1倍以下である部分を、便宜的に第1部分p1と見なすことができる。第1方向に沿う長さ(厚さ)が第1長さt1の1.1倍を超える部分を、便宜的に第3部分p3と見なすことができる。第1長さt1の1.1倍以下の長さを有する部分を、便宜的に第1部分p1と見なしたときにおいても、第1長さt1を第1部分p1の厚さとして用いる。
【0055】
一方、第1絶縁部31のうちで第3半導体領域13と対向する部分においては、第1絶縁部31の厚さ(第2方向(X軸方向)に沿う長さ)は、実質的に一定である。第1絶縁部31のうちで第3半導体領域13と対向する部分の第2方向(X軸方向)に沿う長さ(厚さ)を、第2長さt2とする。第2長さt2は、第2部分p2の第2方向(
X軸方向)に沿う長さ(厚さ)に対応する。
【0056】
第2部分p2と第3部分p3とを含む領域において、第1絶縁部31の厚さ(第2方向に沿う長さ)が連続的に変化する場合がある。このような場合に、第2方向に沿う長さ(厚さ)が第2長さt2の1.1倍以下である部分を、便宜的に第2部分p2と見なすことができる。第2方向に沿う長さ(厚さ)が第2長さt2の1.1倍を超える部分を、便宜的に第3部分p3と見なすことができる。第2長さt2の1.1倍以下の長さを有する部分を、便宜的に第2部分p2と見なしたときにおいても、第2長さt2を第2部分p2の厚さとして用いる。
【0057】
第3部分p3の第1方向(Z軸方向)に沿う長さtz3は、第1部分p1の第1方向に沿う長さ(第1長さt1)よりも長い。長さtz3は、第1長さt1の1.1倍を超える。第3部分p3の第2方向(X軸方向)に沿う長さtx3は、第2部分p2の第2方向に沿う長さ(第2長さt2)よりも長い。長さtx3は、第2長さt2の1.1倍を超える。
【0058】
第1絶縁部31の第1部分p1は、第1端部e1を有する。第1端部e1は、第3部分p3と連続する。第1端部e1の第1方向(Z軸方向)に沿う長さは、第1長さt1(上記の位置P31(第2位置)における第1部分p1の第1方向(Z軸方向)に沿う長さ)の1.1倍である。第1部分p1は、別の端部ea1を有する。別の端部ea1は、第5部分p5と連続する。別の端部ea1の第1方向(Z軸方向)に沿う長さは、第1長さt1の1.1倍である。
【0059】
第1絶縁部31の第2部分p2は、第2端部e2を有する。第2端部e2は、第3部分p3と連続する。第2端部e2の第2方向(X軸方向)に沿う長さは、第2長さt2の1.1倍である。第4部分p4は、端部ea2を有する。端部ea2は、第5部分p5と連続する。端部ea2の第2方向(X軸方向)に沿う長さは、第2長さt2の1.1倍である。
【0060】
このように、第1〜第5部分p1〜p5が定義された場合においても、第3部分p3において、第1曲率半径R1は、第2曲率半径R2よりも大きい(
図1(b)参照)。
図1(b)に示すように、第5部分p5において、第3曲率半径R3は、第4曲率半径R4よりも大きい(
図1(b)参照)。
【0061】
既に説明したように、実施形態においては、第1半導体領域11の第2部分領域11bの一部は、第1方向(Z軸方向)において、第2部分p2と重なる。第1半導体領域11の第3部分領域11cの一部は、第1方向(Z軸方向)において、第4部分p4と重なる。
図2に示す例においては、第4半導体領域14の一部は、第1方向(Z軸方向)において、第2部分p2と重なる。第4半導体領域14の別の一部は、第1方向において、第4部分p4と重なる。このような場合、第4半導体領域14と第2部分領域11bとの間の境界B1は、第1方向において、第2部分p2と重なる。第4半導体領域14と第3部分領域11cとの間の境界B2は、第1方向において、第4部分p4と重なる。
【0062】
境界B1
及び境界B2に関する情報は、例えば、SCM(Scanning Capacitance Microscopy)などにより得られる。境界B1
及び境界B2に関する情報は、例えば、SMM(Scanning Microwave Microsco
py)などにより得られる。
【0063】
これらの境界の例について説明する。
上記のように、第1導電部51は、第2方向(X軸方向)における2つの端(端51a及び端51b)を有する(
図2参照)。これらの2つの端の中点51cを通り第1方向(Z軸方向)に沿う直線L51は、第4半導体領域14の位置P14(第1位置)を通過する。
【0064】
第4半導体領域14及び第2部分領域11bを含む領域における第2導電形の不純物濃度は、第4半導体領域14から第2部分領域11bへの方向に沿って低下する。第4半導体領域14及び第2部分領域11bとの間の境界B1における第2導電形の不純物濃度は、例えば、上記の位置P14(第1位置)における第2導電形の不純物濃度の1/100である。すなわち、第4半導体領域14の中心の位置(位置P14)における第2導電形の不純物濃度の1/100になる位置を、境界B1としても良い。位置P14は、例えば、第4半導体領域14におけるX軸方向における実質的な中央である。位置P14は、例えば、第4半導体領域14におけるZ軸方向における実質的な中央である。
【0065】
第4半導体領域14及び第3部分領域11cを含む領域における第2導電形の不純物濃度は、第4半導体領域14から第3部分領域11cへの方向に沿って低下する。境界B2における第2導電形の不純物濃度は、例えば、上記の位置P14(第1位置)における第2導電形の不純物濃度の1/100でも良い。
【0066】
以下、半導体装置の特性の例について説明する。以下では、
図3に例示するモデル構造を有する半導体装置についてのシミュレーション結果の例について説明する。
【0067】
図3は、第1実施形態に係る別の半導体装置を例示する模式的断面図である。
図3に示すように、半導体装置110aは、第1導電部51、第1電極61、第2電極62、半導体部10s、第1絶縁部31及び第2絶縁部32に加えて、導電領域65a及び65bを含む。この場合も、半導体部10sは、炭化珪素を含む。半導体部10sは、上記の第1〜第8半導体領域11〜18に加えて第9半導体領域19及び半導体領域19aをさらに含む。
【0068】
例えば、導電領域65a及び導電領域65bは、第1電極61と電気的に接続される。例えば、導電領域65a及び導電領域65bは、第1電極61と連続しても良い。例えば、導電領域65a及び導電領域65bは、第2半導体領域12と電気的に接続される。第2方向(X軸方向)において、導電領域65a及び導電領域65bの間に、第1導電部51が位置する。X軸方向において、導電領域65aと第1導電部51との間に、第2半導体領域12及び第3半導体領域13が位置する。X軸方向において、導電領域65bと第1導電部51との間に、第6半導体領域16及び第7半導体領域17が位置する。X軸方向において、第2半導体領域12と導電領域65aとの間に、第5半導体領域15が位置する。X軸方向において、第6半導体領域16と導電領域65bとの間に、第8半導体領域18が位置する。
【0069】
第9半導体領域19及び半導体領域19aは、第2導電形である。導電領域65aは、第9半導体領域19と電気的に接続される。導電領域65bは、半導体領域19aと電気的に接続される。
【0070】
第2部分領域11bは、第2方向(X軸方向)において、第4半導体領域14と第9半導体領域19との間に位置する。第3部分領域11cは、第2方向(X軸方向)において、第4半導体領域14と半導体領域19aとの間に位置する。第1方向(Z軸方向)において、第9半導体領域19は、導電領域65aと、第1半導体領域11との間に位置する。第1方向において、半導体領域19aは、導電領域65bと、第1半導体領域11との間に位置する。第9半導体領域19は、例えば、第3半導体領域13と連続する。半導体領域19aは、例えば、第7半導体領域17と連続する。例えば、第9半導体領域19における第2導電形の不純物濃度は、第3半導体領域13における第2導電形の不純物濃度よりも高くても良い。例えば、半導体領域19aにおける第2導電形の不純物濃度は、第9半導体領域19における第2導電形の不純物濃度と実質的に同じである。
【0071】
このような半導体装置110aにおいて、第1絶縁部31のコーナー部の曲率を変更したときの特性のシミュレーション結果について説明する。このシミュレーションでは、第2曲率半径R2(
図1(b)参照)は、0.04μmと一定とされる。第1曲率半径R1(
図1(b)参照)が、0.1μm〜0.37μmの範囲で変更される。シミュレーションのモデルにおいて、第4半導体領域14における、実効的な第2導電形の不純物濃度(第2導電形の不純物濃度と第1導電形の不純物濃度との差)は、5.0×10
18cm
−3である。第4半導体領域14と第2部分領域11bとの間の境界B1のX軸方向に沿う位置と、第2部分p2の外側の面のX軸方向に沿う位置と、の差(X軸方向に沿う長さ)は、0.12μmである。第1部分p1の厚さ(第1長さt1)は、0.08μmである。第2部分p2の厚さ(第2長さt2)は、0.08μmである。第1絶縁部31の比誘電率は、3.9である。
【0072】
図4は、半導体装置の特性を例示するグラフ図である。
図4の横軸は、第1曲率半径R1(μm)である。
図4の左の縦軸は、耐圧V1(V)である。耐圧V1は、ソース(第1電極61)及びゲート(第1導電部51)の電位を0ボルト(V)とし、ドレイン(第2電極62)に加える電圧を変化させたときに、ソース−ドレイン間に流れる電流が1μAを超えるときの、電圧である。耐圧V1は、オフ時の耐圧に対応する。
図4の右の縦軸は、最大電界強度E1(MV/cm)である。最大電界強度E1は、ドレイン電極(第2電極62)に加える電圧が1200Vのときに第1絶縁部31に加わる電界の最大値である。
【0073】
図4に示すように、第1曲率半径R1が大きくなると、最大電界強度E1が低くなる。最大電界強度E1が第3部分p3に生じる。第1曲率半径R1を第2曲率半径R2よりも大きくすることで、コーナー部(第3部分p3)における電界集中が抑制される。その結果、最大電界強度E1が低くなる。一方、耐圧V1は実質的に変化しない。第4半導体領域14を設け、第1曲率半径R1を第2曲率半径R2よりも大きくすることで、耐圧V1を高く維持しつつ、最大電界強度E1を低くすることができる。
【0074】
図5は、半導体装置の特性を例示するグラフ図である。
図5の横軸は、第1部分p1の厚さ(第1長さt1(μm))である。
図5の左の縦軸は、耐圧V1(V)である。
図5の右の縦軸は、最大電界強度E1(MV/cm)である。
図5に示す例では、第2部分p2の厚さ(第2長さt2)は、0.08μmで一定である。第
2曲率半径R
2は、0.04μmで一定である。第
1曲率半径R
1は、0.37μmで一定である。
【0075】
図5に示すように、第1長さt1が0.25μm以
下において、耐圧V1は実質的に一定である。第1長さt1が0.30μm以上の範囲において、第1長さt1が長くなると、耐圧V1が低下する。
【0076】
一方、第1長さt1が0.25μmを超える範囲において、第1長さt1が長くなると、最大電界強度E1は上昇する傾向がある。第1長さt1が0.25μm以下の範囲において、第1長さt1が長くなると、最大電界強度E1が低下する。
【0077】
一般に、第1絶縁部31の底部(第1部分p1)を厚くすることで、耐圧V1が上昇し、最大電界強度E1を抑制できると考えられている。実施形態においては、第4半導体領域14を設けることで、底部における電界集中が抑制できる。このため、第1絶縁部31の底部(第1部分p1)が薄くても、高い耐圧V1が得られ、低い最大電界強度E1が得られる。
【0078】
実施形態において、例えば、第1部分p1の第1方向(Z軸方向)に沿う長さ(第1長さt1)は、0.25μm以下である。例えば、第1部分p1の第1方向に沿う長さ(第1長さt1)は、第2部分p2の第2方向(X軸方向)に沿う長さ(第2長さt2)の3倍以下である。例えば、第1長さt1は、第2長さt2以下でも良い。高い耐圧V1が得られる。低い最大電界強度E1が得られる。
【0079】
以下、第4半導体領域14と第2部分領域11bとの間の境界B1と、特性と、の関係に関するシミュレーション結果の例について、説明する。シミュレーションにおいては、既に説明した
図3、及び、以下の
図6のモデルが採用される。
【0080】
図6は、半導体装置を例示する模式的断面図である。
図6は、シミュレーションのモデルにおけるパラメータを示している。シミュレーションモデルにおいて、パラメータは、以下とされる。
【0081】
トレンチの幅(第2部分p2と第3半導体領域13との間の境界と、第4部分p4と第7半導体領域17との間の境界と、の間のX軸方向に沿う距離)は、0.8μmである。第2部分p2の厚さ(第2長さt2であり、第2部分p2と第3半導体領域13との間の境界と、第2部分p2と第1導電部51との間の境界と、の間のX軸方向に沿う距離)は、0.08μmである。第4部分p4の厚さ(第4部分p4と第7半導体領域17との間の境界と、第4部分p4と第1導電部51との間の境界と、の間のX軸方向に沿う距離)は、0.08μmである。第1端部e1と、上記の別の端部ea1と、の間のX軸方向の沿う距離は、0.3μmである。
【0082】
第3部分p3の第1面F1(内側面)に対して垂直な方向に沿った第3部分p3の厚さは、第1面F1の中の位置に依存して変化する。第3部分p3の第1面F1は、点pm1(位置)を有する。点pm1において、第1面F1に対して垂直な方向に沿った第3部分p3の厚さは、最大となる。
【0083】
第5部分p5の第3面F3(内側面)に対して垂直な方向に沿った第5部分p5の厚さは、第3面F3の中の位置に依存して変化する。第5部分p5の第3面F3は、点pm2(位置)を有する。点pm2において、第3面F3に対して垂直な方向に沿った第5部分p5の厚さは、最大となる。点pm1と点pm2との間のX軸方向に沿う距離は、0.5μmである。
【0084】
図6に示すように、第2部分p2と第3半導体領域13との境界のX軸方向(第2方向)の位置を、基準位置x0とする。第2部分p2と第1導電部51との境界のX軸方向の位置を、位置x1とする。点pm1のX軸方向の位置を、位置x2とする。第1端部e1のX軸方向の位置を位置x3とする。位置x1は、−0.08μmである。位置x2は、−0.15μmである。位置x
3は、−0.25μmである。
【0085】
このようなモデルにおいて、第4半導体領域14と第2部分領域11bとの間の境界B1のX軸方向の位置を変えたときの特性がシミュレーションにより導出される。
【0086】
図7は、半導体装置の特性を例示するグラフ図である。
図7の横軸は、基準位置x0に対する境界B1の相対距離pX(μm)である。相対距離pXが0のときは、境界B1は基準位置x0に位置する。相対距離pXが正のときは、境界B1が基準位置x0よりも外側(トレンチに重ならない)である状態に対応する。相対距離pXが負のときは、境界B1が基準位置x0よりも内側(トレンチに重なる)である状態に対応する。
図7には、上記の基準位置x0、位置x1〜x3が示されている。
図7の縦軸は、オン抵抗RonAである。
【0087】
図7に示すように、相対距離pXが正で大きくなると、オン抵抗RonAが高くなる。相対距離pXが負のときに、相対距離pXの絶対値が大きくなると、オン抵抗RonAは低くなる。
【0088】
実施形態において、相対距離pXは負であることが好ましい。これにより、低いオン抵抗RonAが得られる。
【0089】
図8は、半導体装置の特性を例示するグラフ図である。
図8の横軸は、相対距離pX(μm)である。
図4の左の縦軸は、耐圧V1(V)である。
図8の右の縦軸は、最大電界強度E1(MV/cm)である。
【0090】
図8に示すように、相対距離pXが正で大きくなると、耐圧V1が高くなる。相対距離pXが負のときに、相対距離pXの絶対値が大きくなると、耐圧V1は低くなる。
【0091】
一方、最大電界強度E1は、相対距離pXが約−0.05μmのときに極小となる。この位置は、第1位置x1または第2位置x2の近傍に相当する。
【0092】
相対距離pXが負のときに、相対距離pXの絶対値は、位置x3を大きく超えないこ
とが好ましい。これにより、高い耐圧V1と、低い最大電界強度E1と、が得られる。
【0093】
図7及び
図8から、相対距離pXは負であることが好ましい。これにより、低いオン抵抗RonAが得られる。相対距離pXが負であり相対距離pXの絶対値は、位置x3に対応する値以下であることが好ましい。高い耐圧V1と、低い最大電界強度E1と、が得られる。さらに、相対距離pXが負であり相対距離pXの絶対値は、位置x3に対応する値よりも小さいことが好ましい。さらに、相対距離pXが負であり相対距離pXの絶対値は、位置x2に対応する値以下であることが好ましい。
【0094】
図9〜
図11は、第1実施形態に係る別の半導体装置を例示する模式的断面図である。
図9〜
図11に示すように、本実施形態に係る別の半導体装置111〜113においても、第1導電部51、半導体部10s及び第1絶縁部31が設けられる。この例においても、第1電極61、第2電極62及び第2絶縁部32が設けられている。半導体装置111〜113においても、第1曲率半径R1は、第2曲率半径R2よりも大きい。第2部分領域11bの一部は、第1方向(Z軸方向)において、第2部分p2と重なる。
【0095】
図9に示すように、半導体装置111においては、第2部分領域11bの一部は、第1方向(Z軸方向)において、第1導電部51と重なる。第4半導体領域14は、第1方向(Z軸方向)において、第1部分p1の第1端部e1と重なる。半導体装置111においては、例えば、境界B1のX軸方向に沿う位置は、第1部分p1の第1端部e1のX軸方向に沿う位置と、第2部分p2と第1導電部51との間の界面のX軸方向に沿う位置と、の間にある。半導体装置111におけるこれ以外の構成は、例えば、半導体装置110の構成と同様である。半導体装置111においても、電界集中が緩和される。高い耐圧V1が得られる。最大電界強度E1を抑制できる。
【0096】
図10に示すように、半導体装置112においては、第2部分領域11bは、第1方向(Z軸方向)において、第1部分p1の第1端部e1と重なる。第1端部e1のX軸方向に沿う位置は、境界B1のX軸方向に沿う位置と、第2部分p2と第1導電部51との間の界面のX軸方向に沿う位置と、の間にある。半導体装置112におけるこれ以外の構成は、例えば、半導体装置110の構成と同様である。半導体装置112においても、電界集中が緩和される。高い耐圧V1が得られる。最大電界強度E1を抑制できる。
【0097】
図11に示すように、半導体装置113においては、境界B1のX軸方向に沿う位置は、位置P31(第2位置)のX軸方向に沿う位置と、第1端部e1のX軸方向に沿う位置と、の間にある。半導体装置113におけるこれ以外の構成は、例えば、半導体装置110の構成と同様である。
【0098】
半導体装置113においても、電界集中が緩和される。低いオン抵抗RonAが得られる。
【0099】
図12は、第1実施形態に係る別の半導体装置を例示する模式的断面図である。
図12に示すように、実施形態に係る別の半導体装置120においては、第1導電部51、半導体部10s、第1絶縁部31、第1電極61、第2電極62及び第2絶縁部32に加えて、第2導電部52及び第3絶縁部33が設けられる。この例では、第4絶縁部34がさらに設けられている。
【0100】
第2半導体領域12は、第2方向(X軸方向)において、第1導電部51と第2導電部52との間に位置する。第5半導体領域15は、第2方向(X軸方向)において、第2半導体領域12と第2導電部52との間に位置する。第3半導体領域13は、第2方向(X軸方向)において、第1導電部51と第2導電部52との間に位置する。
【0101】
第3絶縁部33は、半導体部10sと第2導電部52との間に設けられる。第1電極61は、第2導電部52の上方に延びている。第4絶縁部34は、第1方向(Z軸方向)において、第2導電部52と第1電極61との間に設けられる。
【0102】
半導体部10sは、第2導電形の第9半導体領域19をさらに含む。第9半導体領域19は、第1方向(Z軸方向)において、第2導電部52から離れる。第2部分領域11bは、第2方向(X軸方向)において、第4半導体領域14と第9半導体領域19との間に位置する。
【0103】
第2導電部52は、第1導電部51と電気的に接続されても良い。半導体装置120では、複数のゲート電極(トレンチ型のゲート電極)が設けられる。半導体装置120においても、電界集中が緩和される。高い耐圧V1が得られる。最大電界強度E1を抑制できる。
【0104】
(第2実施形態)
本実施形態は、半導体装置110の製造方法に係る。以下では、半導体装置110の製造方法の例について説明する。
【0105】
図13(a)〜
図13(f)は、第2実施形態に係る半導体装置の製造方法を例示する模式的断面図である。
図13(a)に示すように、半導体部材10Mを準備する。半導体部材10Mは、炭化珪素を含む。半導体部材10Mは、第1半導体膜11f、第2半導体膜12f、第3半導体膜13f、第5半導体領域15及び第8半導体領域18を含む。第1半導体膜11f及び第2半導体膜12fは、第1導電形である。第3半導体膜13fは、第2導電形である。例えば、半導体層10Lの上に第1半導体膜11fが設けられる。第1半導体膜11fの上に第3半導体膜13fが設けられる。第3半導体膜13fの上に、第2半導体膜12f、第5半導体領域15及び第8半導体領域18が設けられる。第2半導体膜12fは、X軸方向において、第5半導体領域15と第8半導体領域18との間に位置する。第5半導体領域15は、第8半導体領域18と連続しても良い。
【0106】
図13(b)に示すように、半導体部材10Mに孔H1(例えばトレンチ)を形成する。孔H1は、第2半導体膜12fの一部、第3半導体膜13fの一部、及び、第1半導体膜11fの一部を除去することで形成される。孔H1の底部は、第1半導体膜11fに到達する。孔H1の底部は、第1半導体膜11fと第3半導体膜13fの境界よりも下に位置する。第2半導体膜12fから第2半導体領域12及び第6半導体領域16が形成される。第3半導体膜13fから、第3半導体領域13及び第7半導体領域17が形成される。
【0107】
図13(c)に示すように、第1絶縁膜31Fを形成する。第1絶縁膜31Fは、孔H1の側面、孔H1の底面、及び、半導体部材10Mの上面に形成される。第1絶縁膜31Fは、例えば、酸化シリコンを含む。
【0108】
図13(d)に示すように、第1絶縁膜31Fのうちの、孔H1の底面に設けられた部分の厚さを減少させる。この厚さの減少は、例えば、異方性エッチング(例えば、C
4F
8などを用いたドライエッチング(RIE)など)によりを行われる。第1絶縁膜31Fのうちの、半導体部材10Mの上に設けられた部分の厚さが減少されても良い。第1絶縁膜31Fのうちの、孔H1の底面に設けられた部分、及び、第1絶縁膜31Fのうちの、半導体部材10Mの上に設けられた部分が除去されても良い。第1絶縁膜31Fのうちの、孔H1の側面に設けられた部分が残る。
【0109】
図13(d)に示すように、第1半導体膜11fは、孔H1の底面に位置する部分を有する。第1半導体膜11fのうちの、孔H1の底面に位置する部分に、第2導電形の不純物を導入する。例えば、イオンインプランテーションが行われる。これにより、第4半導体領域14が形成される。第1半導体膜11fから、第1〜第3部分領域11a〜11cが形成される。第1半導体領域11が得られる。
【0110】
図13(e)に示すように、第2絶縁膜31Gを形成する。第2絶縁膜31Gは、例えば、酸化シリコンなどを含む。
【0111】
図13(f)に示すように、等方性エッチング(例えば、HFを用いたウエットエッチングなど)により、第2絶縁膜31Gの一部を除去する。第2絶縁膜31Gの残った部分、及び、残った第1絶縁膜31Fが、第1絶縁部31となる。第1絶縁部31の底部のコーナー部において、内側の面の曲率半径は、
外側の面の曲率半径よりも大きくなる。以上により、半導体部10sが形成される。
【0112】
この後、孔H1の残った空間に導電材料を埋めることで、第1導電部51が形成される。この後、第2絶縁部32、第1電極61及び第2電極62を形成する。これにより、半導体装置110が得られる。
【0113】
上記の製造方法によれば、第2部分領域11bの一部は、第1方向(Z軸方向)において第2部分p2と重なる(
図1(b)参照)。第1曲率半径R1は、第2曲率半径R2よりも大きくなる。耐圧を向上できる半導体装置の製造方法を提供できる。
【0114】
実施形態において、第1導電部51及び第2導電部52の少なくともいずれかは、例えば、ポリシリコンを含む。第1電極61、第2電極62、導電領域65a及び導電領域65bの少なくともいずれかは、アルミニウムなどの金属を含む。第1〜第4絶縁部31〜34の少なくともいずれかは、金属化合物(酸化シリコン、窒化シリコンまたは酸化アルミニウムなど)を含む。実施形態において、上記は例であり、材料は種々の変形が可能である。
【0115】
実施形態において、不純物濃度に関する情報は、例えば、SIMS(Secondary Ion Mass Spectrometry)などにより得られる。上記において、不純物濃度は、例えば、キャリア濃度でも良い。
【0116】
本願明細書において、「電気的に接続される状態」は、複数の導電体が物理的に接してこれら複数の導電体の間に電流が流れる状態を含む。「電気的に接続される状態」は、複数の導電体の間に、別の導電体が挿入されて、これらの複数の導電体の間に電流が流れる状態を含む。
【0117】
実施形態によれば、オン抵抗を低減できる半導体装置を提供することができる。
【0118】
本願明細書において、「垂直」及び「平行」は、厳密な垂直及び厳密な平行だけではなく、例えば製造工程におけるばらつきなどを含むものであり、実質的に垂直及び実質的に平行であれば良い。
【0119】
以上、具体例を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。例えば、半導体装置に含まれる、導電部、導電領域、半導体領域、絶縁部、及び電極などの各要素の具体的な構成に関しては、当業者が公知の範囲から適宜選択することにより本発明を同様に実施し、同様の効果を得ることができる限り、本発明の範囲に包含される。
【0120】
また、各具体例のいずれか2つ以上の要素を技術的に可能な範囲で組み合わせたものも、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に含まれる。
【0121】
その他、本発明の実施の形態として上述した半導体装置を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての半導体装置も、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
【0122】
その他、本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。
【0123】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。