(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
一対の変形基点部を構成する各変形基点部から前記変形基点部に沿って延びる変形延長線同士が交わる変形交点は、前記第3仮想線よりも前記前側に位置している、請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の使い捨ておむつ。
各変形基点部から前記変形基点部に沿って延びる変形延長線と、前記吸収コアの外側縁と、が交わるコア交点は、前記第1仮想線よりも後側に位置する、請求項1から請求項13のいずれか1項に記載の使い捨ておむつ。
前記一対の変形基点部の間には、前記変形基点部よりも前記幅方向の外側の領域よりも剛性が高い高剛性部が設けられている、請求項1から請求項15のいずれか1項に記載の使い捨ておむつ。
前記胴回り保持領域の前記前後方向の内端縁よりも前記前後方向の外側には、前記幅方向に伸縮する伸縮性部材が設けられている、請求項1から請求項17のいずれか1項に記載の使い捨ておむつ。
前記第1仮想線よりも前側には、前記第1仮想線から後側に延びる領域よりも剛性が高いウエスト剛性領域が設けられている、請求項1から請求項18のいずれか1項に記載の使い捨ておむつ。
前記一対の変形基点部は、一対の第1変形基点部と、前記一対の第1変形基点部よりも後側に位置する一対の第2変形基点部と、を有する、請求項1から請求項19のいずれか1項に記載の使い捨ておむつ。
前記第1変形基点部の前端縁から前記第1変形基点部に沿って延びる第1変形延長線と、前記第2変形基点部の前端縁から第2変形基点部に沿って延びる第2変形延長線は、前記吸収コアの外側縁よりも前記幅方向の外側において交わる、請求項20又は請求項21に記載の使い捨ておむつ。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(1)実施形態の概要
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
【0010】
一態様に係る使い捨ておむつは、互いに直交する前後方向及び幅方向と、前胴回り域、後胴回り域、及び前記前胴回り域及び前記後胴回り域との間に配置された股下域と、少なくとも前記股下域に配置された吸収コアと、前記後胴回り域に配置され、かつ前記前胴回り域に止着可能なファスニングテープと、前記前胴回り域及び前記後胴回り域において、前記幅方向に沿って延びる胴回り保持領域と、を有する使い捨ておむつであって、前記吸収コアには、前側に向かって前記幅方向の外側に延び、かつ前記幅方向に間隔を空けて配置された一対の変形基点部が設けられており、前記前胴回り域における前記胴回り保持領域の後端縁を通り、かつ前記幅方向に延びる第1仮想線と、前記使い捨ておむつの前記前後方向の中心を通り、前記幅方向に延びる第2仮想線と、前記第1仮想線と前記第2仮想線の前記前後方向の中心を通り、かつ前記幅方向に延びる第3仮想線と、を設定すると、前記変形基点部の少なくとも一部は、前記第1仮想線と前記第3仮想線との間の腹部領域に設けられている。
【0011】
本態様によれば、着用者が脚を動かすと、前後方向における第1仮想線と第2仮想線の間の前側領域には、幅方向の内側に向かう力及び前側に向かう力がかかり易い。このとき、前側領域のうち前側半分となる腹部領域は、脚の前側に膨らんだ部分と対向しているため、着用者が脚を上げたり、脚を閉じたりすると、前側に引き上げられる力を受けやすく、着用者が脚を閉じた際は、幅方向の内側に押圧される力も受けやすい。
【0012】
使い捨ておむつの胴回り保持領域が身体に密着しているため、腹部領域は、胴回り保持領域の後端縁を基点として変形する。このとき、腹部領域の吸収コアは、変形基点部を基点しても変形する。変形基点部は、前側に向かって幅方向の外側に延びており、脚の動きによって作用する力に対向して配置されている。よって、腹部領域の吸収コアは、脚の動きに応じて変形基点部を基点として変形する。脚の動きに応じた吸収コアの変形をコントロールすることにより、吸収コアの意図しない変形を抑制し、吸収コアによって身体を覆い続けることができる。加えて、脚の動きに応じた吸収コアの変形をコントロールすることにより、吸収コアが変形前の状態に戻りやすく、身体を覆い続けることができる。
【0013】
好ましい一態様によれば、前記変形基点部の前端縁は、前記第1仮想線と前記前後方向において離間してよい。
【0014】
本態様によれば、胴回り保持領域と前後方向に離れた位置に、吸収コアの変形基点を形成できる。胴回り保持領域における位置ずれを抑制し、使い捨ておむつの全体の位置ずれを抑制できる。また、着用者の脚の力が作用しやすい脚回り開口部の近傍に、変形基点部を設けることができ、脚の動きに応じた変形基点がより形成され易い。
【0015】
好ましい一態様によれば、前記第1仮想線と前記第3仮想線の前後方向の中心を通り、かつ前記幅方向に延びる第4仮想線を設定すると、前記変形基点部の前端縁は、前記第4仮想線よりも前側に位置してよい。
【0016】
着用者が脚を上げると、腹部領域のうち前側半分となる前腹部領域(第1仮想線と第4仮想線の間の領域)に対して特に力がかかり易い。前腹部領域に変形基点部の前端縁が位置することため、脚上げの際に吸収コアが変形基点部を基点として変形しやすい。脚上げ時の吸収コアの変形をコントロールすることにより、その後の脚の動きに応じて変形が元に戻りやすく、吸収コアによって体を覆い続け、漏れを抑制しやすい。
【0017】
好ましい一態様によれば、前記第1仮想線と前記第3仮想線の前後方向の中心を通り、かつ前記幅方向に延びる第4仮想線を設定すると、前記変形基点部の前端縁は、前記第4仮想線よりも後側に位置してよい。
【0018】
着用者が脚を閉じると、第4仮想線よりも後側の領域に対して特に力がかかり易い。第4仮想線よりも後側に変形基点部の前端縁が位置することにより、脚閉じの際に吸収コアが変形基点部を基点として変形しやすい。脚閉じ時に変形をコントロールすることにより、その後の脚の動きに応じて変形が元に戻りやすく、吸収コアによって体を覆い続け、漏れを抑制しやすい。
【0019】
好ましい一態様によれば、前記吸収コアは、前記吸収コアの前記幅方向の全域を4等分した領域のうち、前記幅方向の両側部に位置する一対の側部領域を有し、前記変形基点部の外側縁は、前記側部領域に位置してよい。
【0020】
本態様によれば、吸収コアの側部領域は、脚の近くに位置しており、脚の力を受けやすい。吸収コアの側部領域に変形基点部が位置するため、脚の動きに応じて吸収コアが変形基点部を基点に変形しやすい。また、変形基点部にかかった力は、変形基点部に沿って変形基点部の延長線上に伝達される。吸収コアの側部領域に変形基点部が位置するため、変形基点部による変形基点が吸収コアの外側縁に到達し易い。吸収コアの外側縁まで変形基点が到達することにより、変形基点による折り目が安定して形成され、吸収コアの意図した変形状態を維持し易い。
【0021】
好ましい一態様によれば、前記吸収コアは、前記吸収コアの前記幅方向の全域を4等分した領域のうち、前記幅方向の中央側に位置する一対の中央領域を有し、前記変形基点部の内側縁は、前記中央領域に位置してよい。
【0022】
本態様によれば、脚の動きによって吸収コアの外側縁にかかった力を吸収コアの幅方向の中央側まで導くことができる。吸収コアの幅方向の全体に亘って変形をコントロールでき、意図しない変形を抑制できる。
【0023】
好ましい一態様によれば、各変形基点部の前記幅方向の長さは、吸収コアの前記幅方向の全域に対する1/4以上であってよい。
【0024】
本態様によれば、吸収コアの幅方向の全体に亘って変形をコントロールでき、意図しない変形を抑制できる。
【0025】
好ましい一態様によれば、前記第2仮想線を跨いで前記前後方向に延び、かつ前記吸収コアの厚さ方向の変形を誘導する股下変形誘導部を有し、前記変形基点部は、前記股下変形誘導部の前端縁から前側に延びる誘導延長線上に配置されてよい。
【0026】
本態様によれば、変形基点部は、幅方向に延びており、股下変形誘導部から前後方向に延びる変形を分断できる。股間と対向する領域の吸収コアは、股下変形誘導部に基づいて変形し、股間から離れた腹部と対向する領域の吸収コアは、変形基点部に基づいて変形する。股間と腹部のそれぞれに応じた吸収コアの変形を実現できる。
【0027】
好ましい一態様によれば、一対の変形基点部を構成する各変形基点部から前記変形基点部に沿って延びる変形延長線同士が交わる変形交点は、前記第3仮想線よりも前記前側に位置してよい。
【0028】
本態様によれば、各変形基点部を基点とした変形は、変形延長線に沿って股下側に延び、一対の変形延長線同士の変形交点で交わる。変形延長線によって挟まれた領域は、両脚によって挟まれることにより、身体に対して膨らむように変形する。変形基点部が下腹部の凹み近傍に位置する場合、変形延長線によって挟まれた領域によって下腹部の凹みよりも下側(股間側)の膨らみを覆うことができる。変形交点が第3仮想線よりも後側に位置しないため、変形基点部を介した身体に対して膨らむ変形が股間まで到達し難く、股間に対する吸収性を確保しやすい。
【0029】
好ましい一態様によれば、前記変形基点部の前端縁は、前記第1仮想線と前記前後方向において離間しており、前記第1仮想線と前記第3仮想線の前後方向の中心を通り、かつ前記幅方向に延びる第4仮想線を設定すると、前記変形交点は、前記第4仮想線よりも前記前側に位置してよい。
【0030】
本態様によれば、腹部領域のうち前側半分となる前腹部領域(第1仮想線と第4仮想線の間の領域)には、着用者が脚を上げた際に腹側に引き上げられる力がかかりやすい。前腹部領域において変形基点部の幅方向に対する傾きが緩やかに配置されるため、脚上げの際に変形基点部に力がかかりやすく、当該変形基点部を介してより変形しやすくなる。
【0031】
好ましい一態様によれば、前記第1仮想線と前記第3仮想線の前後方向の中心を通り、かつ前記幅方向に延びる第4仮想線を設定すると、前記変形交点は、前記第4仮想線よりも前記後側に位置してよい。
【0032】
本態様によれば、第4仮想線よりも後側の領域には、着用者が脚を閉じた際に幅方向の内側に押圧される力がかかりやすい。この幅方向の内側に向かう力は、後腹部領域のみならず、後腹部領域よりも後側にも作用する。変形延長線によって挟まれた領域が、後腹部領域よりも後側にも設けられ、股間に対向する領域においても吸収コアの変形をコントロールできる。
【0033】
好ましい一態様によれば、各変形基点部から前記変形基点部に沿って延びる変形延長線と、前記吸収コアの外側縁と、が交わるコア交点は、前記第1仮想線よりも後側に位置してよい。
【0034】
本態様によれば、変形基点部を基点とした変形は、変形延長線に沿って延び、吸収コアの外側縁まで伝達しやすい。記第1仮想線よりも後側にコア交点が位置するため、変形基点部による吸収コアの変形が胴回り保持領域まで伝わり難く、胴回りを保持した状態を維持できる。
【0035】
好ましい一態様によれば、前記変形基点部の最大幅は、前記変形基点部と近接する領域における前記吸収コアの厚みよりも長くてよい。
【0036】
本態様によれば、吸収コアの厚さ方向の全域にわたって変形基点部を基点に変形しやすくなり、意図した変形をより実現しやすい。
【0037】
好ましい一態様によれば、前記一対の変形基点部の間には、前記変形基点部よりも前記幅方向の外側の領域よりも剛性が高い高剛性部が設けられてよい。
【0038】
本態様によれば、変形基点部間に高剛性部が設けられていることにより、変形基点部よりも幅方向の外側の領域と変形基点部よりも内側の領域との剛性差が生じ、変形基点部を基点として吸収コアがより変形し易くなる。また、高剛性部によって変形基点部が変形しにくく、変形基点部を基点とした変形を維持しやすい。加えて、変形基点部間の領域が幅入りし難くなり、一対の変形基点部間の領域の幅方向の長さを確保し、漏れを抑制できる。
【0039】
好ましい一態様によれば、前記一対の変形基点部は、前記幅方向において連なってよい。
【0040】
本態様によれば、両脚によって幅方向の両側から押圧された際に、一対の変形基点部同士が干渉し、変形基点部を基点とした変形を維持しやすい。また、変形基点部間の領域が幅入りし難くなり、一対の変形基点部間の領域の幅方向の長さを確保し、漏れを抑制できる。
【0041】
好ましい一態様によれば、前記胴回り保持領域の前記前後方向の内端縁よりも前記前後方向の外側には、前記幅方向に伸縮する伸縮性部材が設けられてよい。
【0042】
本態様によれば、胴回り保持領域の身体に対する密着性を高め、脚の動きによって股下域が前後方向に移動しても、胴回り保持領域の前後方向の位置ずれを抑制できる。よって、繰り返しの脚の上げ下げ動作が行われた場合であっても、吸収コア全体の位置ずれを抑制し、脚の動きに応じて変形基点部を基点に吸収コアを変形させて、身体を覆い続け易い。
【0043】
好ましい一態様によれば、前記第1仮想線よりも前側には、前記第1仮想線から後側に延びる領域よりも剛性が高いウエスト剛性領域が設けられてよい。
【0044】
本態様によれば、ウエスト剛性領域によって胴回り保持領域の変形を抑制し、胴回り保持領域によって着用者の腰回りを覆い続けることができ、腹部の膨らみを覆い続けることができる。
【0045】
好ましい一態様によれば、前記一対の変形基点部は、一対の第1変形基点部と、前記一対の第1変形基点部よりも後側に位置する一対の第2変形基点部と、を有してよい。
【0046】
本態様によれば、着用者が脚を上げたりして引き上げる力がかかると、前側に位置する第1変形基点部を基点に吸収コアが変形する。次いで、着用者が脚を閉じたりして、幅方向の内側に向かう力がかかると、第1変形基点部を基点に変形した領域が、第2変形基点部を基点に変形する。第2変形基点部によって、第1変形基点部を基点に変形した領域の変形もコントロールすることができる。
【0047】
好ましい一態様によれば、前記第1変形基点部の前記幅方向に対する第1角度は、前記第2変形基点部の前記幅方向に対する第2角度よりも小さくてよい。
【0048】
本態様によれば、前側に位置する第1変形基点部は、幅方向の内側に押圧される力よりも腹側に引き上げられる力が作用しやすい。後側に位置する第2変形基点部は、第1変形基点部よりも幅方向の内側に押圧される力が作用しやすい。作用する力に対向する角度で第1変形基点部及び第2変形基点部を配置することにより、変形基点部を基点として吸収コアがより変形し易く、吸収コアの変形をよりコントロールできる。
【0049】
好ましい一態様によれば、前記第1変形基点部から前記第1変形基点部に沿って延びる第1変形延長線と、前記第2変形基点部から第2変形基点部に沿って延びる第2変形延長線は、前記吸収コアの外側縁よりも前記幅方向の外側において交わってよい。
【0050】
本態様によれば、第1変形基点部による変形と第2変形基点部による変形とをそれぞれ吸収コアの外側縁に逃がすことができる。その結果、第1変形基点部による変形と第2変形基点部による変形とが干渉し難くなり、それぞれを基点とした変形状態を実現しやすい。
【0051】
好ましい一態様によれば、前記第1変形基点部と前記第2変形基点部は、前記前後方向において離間してよい。
【0052】
本態様によれば、第1変形基点部による変形と第2変形基点部による変形とが干渉し難くなり、それぞれが独立した基点を構成できる。
【0053】
(2)使い捨ておむつの全体概略構成
以下、図面を参照して、実施形態に係る使い捨ておむつについて説明する。なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な寸法等は、以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれ得る。
【0054】
使い捨ておむつは、テープ型の使い捨ておむつである。
図1は、本実施形態に係る使い捨ておむつ10の肌面側から見た平面図であり、
図2は、実施形態に係る吸収コアを肌面側から見た平面図である。
図1及び
図2に示す平面図は、伸長状態の使い捨ておむつを示している。
図3は、
図1に示す使い捨ておむつのA−A断面に沿った模式断面図である。なお、本発明における伸長状態とは、使い捨ておむつ10を皺が形成されない状態まで伸長させた状態である。また、本発明における自然状態とは、パッケージに収容されている使い捨ておむつ10にあっては、パッケージから使い捨ておむつ10を取り出し、20℃±2℃、相対湿度60%±5%RHの雰囲気下において24時間放置した状態である。
【0055】
使い捨ておむつ10は、互いに直交する前後方向L及び幅方向Wを有する。前後方向Lは、身体前側と身体後側とに延びる方向によって規定される。言い換えると、前後方向Lは、展開された使い捨ておむつ10において前後に延びる方向である。また、使い捨ておむつ10は、前後方向Lと幅方向Wの両方の直交する厚さ方向Tを有する。厚さ方向Tは、着用者側に向かう肌面側T1と、肌面側と反対側の非肌面側T2と、に延びる。
【0056】
使い捨ておむつ10は、前胴回り域S1と、後胴回り域S2と、股下域S3と、を有する。前胴回り域S1は、着用者の前胴回り(腹部)に対向する領域である。後胴回り域S2は、着用者の後胴回り(背部)に対向する領域であり、装着時に身体(臀部)が載せられる領域を含む。股下域S3は、着用者の股下に位置し、前胴回り域S1と後胴回り域S2との間に配置された領域である。股下域S3は、着用者の脚回りに配置される脚回り開口部65が設けられた領域である。脚回り開口部65は、使い捨ておむつの外側縁から幅方向の内側に凹む部分である。
【0057】
使い捨ておむつ10は、吸収材料を含む吸収コア31を含む。吸収コア31は、少なくとも股下域S3に配置されてよく、前胴回り域S1にも配置されていてよいし、後胴回り域S2にも配置されていてよい。吸収コア31は、粉砕パルプもしくは高吸収性ポリマー(SAP)、又はこれらの混合物等の吸収材料を含む。吸収コア31は、コアラップ32によって覆われてよい。吸収コア31とコアラップ32によって吸収体30が構成されてよい。コアラップ32は、テッシュによって構成され、吸収コア31の肌面側T1と吸収コアの非肌面側T2に配置されてよい。
【0058】
図1及び
図3に示すように、吸収コア31を含む吸収体30の肌面側T1には、表面シート21及びサイドシート22が設けられてよい。表面シート21は、吸収体30の幅方向Wの中心を跨いで配置されてよい。サイドシート22は、表面シート21の外側部を覆うように配置されてよい。表面シート21及びサイドシート22は、例えば不織布や開孔プラスチックフィルムのような透液性シートによって構成されていてよい。サイドシート22の内側部は、折り返されて重なってよい。重なったサイドシート22間には、前後方向Lに伸縮する防漏伸縮部43が設けられてよい。防漏伸縮部43は、前後方向Lに伸縮する糸ゴムによって構成されてよい。サイドシート22と防漏伸縮部43は、着用時に肌面側T1に起立する防漏ギャザーを構成する。
【0059】
吸収体30の非肌面側T2には、裏面シート23及び外装シート24が設けられてよい。外装シート24は、裏面シート23の非肌面側T2に設けられてよい。裏面シート23の幅方向Wの長さは、外装シート24の幅方向Wの長さよりも短く、裏面シート23の前後方向Lの長さは、外装シート24の前後方向Lの長さよりも短い。裏面シート23は、液不透過性のフィルムによって構成されてよい。外装シート24は、液透過性の不織布によって構成されてよい。
【0060】
後胴回り域S2には、ファスニングテープ91が設けられている。ファスニングテープ91は、後胴回り域S2に配置され、かつ前胴回り域S1に止着可能に構成されている。ファスニングテープ91は、ベース部92と係止部93を有する。ベース部92は、厚さ方向Tにおいて外装シート24及びサイドシート22の間に配置され、幅方向Wにおいて外装シート24及びサイドシート22から外側に延出している。係止部93は、ベース部92上に配置されており、ターゲット部95に係合してよい。ターゲット部95は、前胴回り域S1において幅方向Wに間隔を空けて配置されており、ファスニングテープ91がそれぞれ止着するように構成されている。また、変形例において、使い捨ておむつがターゲット部を備えてなく、前胴回り域の外装シートに係止部93が止着するように構成されていてもよい。
【0061】
使い捨ておむつは、胴回り保持領域60を有する。胴回り保持領域60は、着用された状態で着用者の胴回りに密着する領域であり、ファスニングテープの係止部93から幅方向Wに延びる領域である。後胴回り域S2における胴回り保持領域60は、ファスニングテープ91の係止部93から幅方向Wに延びる領域である。前胴回り域S1における胴回り保持領域60と、後胴回り域における胴回り保持領域60と、は、使い捨ておむつの前後方向の中心を通り、幅方向Wに延びる前後中心線(後述する第2仮想線)10LCに対して線対称となる。すなわち、前胴回り域S1における胴回り保持領域60の後端縁と前後中心線10LCとの距離は、後胴回り域S2における胴回り保持領域60の前端縁と前後中心線10LCとの距離と一致する。
図1において、胴回り保持領域に斜線を付して示す。
【0062】
使い捨ておむつ10は、吸収コア31よりも幅方向Wの外側において前後方向に伸縮する脚回り伸縮部42を有してよい。脚回り伸縮部42は、サイドシート22と裏面シート23の間、及びサイドシート22と外装シート24の間に設けられてよい。脚回り伸縮部42は、前後方向Lに伸縮する帯状の伸縮シートによって構成されている。脚回り伸縮部42の収縮によって、着用時に使い捨ておむつ10の脚回り開口部が脚回りにフィットする。
【0063】
使い捨ておむつ10は、使い捨ておむつの後端縁に沿って幅方向Wに延びる腰回り伸縮部45を有してよい。腰回り伸縮部45は、本発明の伸縮性部材を構成する。腰回り伸縮部45は、裏面シート23と外装シート24の間、表面シート21と外装シート24の間、及びサイドシート22と外装シート24の間に設けられてよい。腰回り伸縮部45の後端縁は、使い捨ておむつの後端縁よりも前側に位置し、腰回り伸縮部45の前端縁は、吸収コア31の後端縁よりも前側に位置してよい。腰回り伸縮部45は、吸収コア31よりも幅方向Wの外側に延出してよい。腰回り伸縮部45は、幅方向Wに伸縮する帯状の伸縮シートによって構成されている。
【0064】
使い捨ておむつ10は、股下域の吸収コア31に重なる領域に設けられた一対の股下伸縮部41を有してよい。股下伸縮部41は、本発明の股下変形誘導部85を構成してよい。股下伸縮部41は、吸収コア31よりも非肌面側T2に配置されている。股下伸縮部41は、裏面シート23と外装シート24の間に設けられてよい。股下伸縮部41は、前後方向Lに延び、かつ幅方向Wに間隔を空けて配置されている。股下伸縮部41は、吸収コア31の幅方向Wの中心に配置されてなく、吸収コア31の幅方向Wの中心に対する両側にそれぞれ2本ずつ配置されている。股下伸縮部41は、前後方向Lに沿って配置された糸ゴムによって構成されている。なお、他の形態において、股下伸縮部41は、前後方向に伸縮する帯状の伸縮シートによって構成されてよいし、1本の糸ゴムによって構成されていてもよいし、3本以上の糸ゴムによって構成されてもよい。
【0065】
股下伸縮部41は、前後中心線10LCを跨がってよい。股下伸縮部41の収縮によって、前後中心線10LCを身体側に引き上げることができる。特に、使用前に使い捨ておむつの肌面側どうしが向き合うように二つに折り畳まれた形態にあっては、折り畳みによる折り癖を引き上げることができる。なお、他の形態において、股下伸縮部41は、前後中心線10LCを跨がってなく、前後中心線10LCよりも前側のみに配置されていてもよいし、前後中心線10LCよりも後側のみに配置されていてもよい。
【0066】
股下伸縮部41の少なくとも一部は、後述する幅狭部35において吸収コア31の外側縁よりも幅方向Wの内側に位置する。股下伸縮部41の少なくとも一部は、前後方向において幅狭部35の範囲内に配置されている。股下伸縮部41の後端縁は、幅狭部35の後端縁よりも前側に配置されている。また、股下伸縮部41の前端縁は、幅狭部35の前端縁よりも後側に配置されてよい。
【0067】
股下域S3の吸収コア31は、股下伸縮部41の収縮によって身体側に引き上げられる。一対の股下伸縮部41が幅方向Wの中心の両外側に位置しており、股下伸縮部41の収縮によって股下伸縮部41と重なる部位が引き上げられ、左右の股下伸縮部41によって挟まれた領域は、身体に沿うような平坦な形状を維持しつつ引き上げられる。一対の股下伸縮部41は、吸収コア31の外側縁31Eよりも幅方向Wの内側に位置し、一対の股下伸縮部41間に位置する領域は、一対の股下伸縮部41よりも幅方向Wの外側の領域に対して身体側に引き上げられる。よって、吸収コアの幅方向Wの中心が側部を基点として凸状に変形し、身体の股間に対するフィット性を確保できる。
【0068】
また、本発明における脚回り伸縮部42、防漏伸縮部43、腰回り伸縮部45及び股下伸縮部41を含む伸縮部は、糸ゴムや伸縮性シートなどの弾性部材が伸縮可能な状態で配置された部分であり、伸縮しない状態で弾性部材が配置された部分を含まない。すなわち、伸縮部は、伸縮部を構成する弾性部材の有効長部分である。なお、他の形態において、股下伸縮部41は、前後中心線10LCを跨がってなく、前後中心線10LCよりも前側のみに配置されていてもよいし、前後中心線10LCよりも後側のみに配置されていてもよい。
【0069】
ここで、本発明における外側部とは、幅方向Wにおける外側の縁を含む幅方向Wに一定の範囲を占める部分であり、外側縁とは、幅方向Wにおける外側の縁である。また、内側部とは、幅方向Wにおける内側の縁を含む幅方向Wに一定の範囲を占める部分であり、内側縁とは、幅方向Wにおける内側の縁である。また、外端縁は、前後方向における外縁であり、内端縁は、前後方向における内縁である。また、本発明において重なっている状態とは、平面視にて一方の部材と他方の部材が重なっている状態であり、一方の部材の肌面側又は非肌面側に他方の部材が配置されている状態である。重なっている状態では、一方の部材と他方の部材が互いに接している状態のみならず、一方の部材と他方の部材の間に他の部材が介在している構成も含む。
【0070】
使い捨ておむつ10は、前側領域R10及び腹部領域R20を有する。前側領域R10及び腹部領域R20は、胴回り保持領域60と前後中心線10LCとの間に設けられている。前胴回り域における胴回り保持領域60の後端縁を通り、かつ幅方向Wに延びる第1仮想線VL1と、使い捨ておむつの前後方向の中心を通り、幅方向Wに延びる第2仮想線VL2と、第1仮想線VL1と第2仮想線VL2の前後方向Lの中心を通り、かつ幅方向Wに延びる第3仮想線VL3と、第1仮想線VL1と第3仮想線VL3の前後方向Lの中心を通り、かつ幅方向Wに延びる第4仮想線と、を設定すると、前側領域R10は、第1仮想線VL1と第2仮想線VL2の間の領域である。なお、第2仮想線VL2は、前後中心線10LCと一致する。腹部領域R20は、第1仮想線VL1と第3仮想線VL3の間の領域である。腹部領域R20は、前側領域R10のうち前側半分の領域である。腹部領域R20は、前腹部領域R21と後腹部領域R22を有する。前腹部領域R21は、腹部領域R20のうち前側半分の領域であり、第1仮想線VL1と第4仮想線VL4の間の領域である。後腹部領域R22は、腹部領域R20のうち後側半分の領域であり、第3仮想線VL3と第4仮想線VL4の間の領域である。本発明に係る使い捨ておむつは、着用者が脚を動かした際に、前側領域R10における吸収コアの変形をコントロールできるように構成されている。着用時の変形態様については、後述にて詳細に説明する。
【0071】
(3)吸収コアの構成
次いで、吸収コア31の構成について詳細に説明する。
図2に示すように、吸収コア31は、吸収コアの幅方向Wの全域を4等分した領域を有する。4等分した領域は、幅方向Wの両側部に位置する一対の側部領域31Sと、一対の中央領域31Cと、を有する。一対の中央領域31Cは、吸収コアの幅方向Wの中心を挟んで両側に配置されている。一対の側部領域31Sは、中央領域31Cの幅方向Wの両側に配置されている。
【0072】
吸収コア31は、吸収コア31の最大幅31Mよりも幅方向Wの長さが短い幅狭部35と、幅狭部35の前後方向の外側に配置された幅広部と、を有する。幅狭部35は、前後に配置された幅広部の間に配置されている。幅狭部35の幅方向Wの長さは、前後方向Lの外側に向かって長くなっている。吸収コア31の平面視の形状は、砂時計形状である。なお、吸収コア31のみならず、コアラップを含んだ吸収体の形状が、砂時計形状であってもよい。
【0073】
吸収コア31は、周囲の領域よりも吸収材料の坪量が低い低坪量部33を有してよい。低坪量部33は、本発明の股下変形誘導部85を構成してよい。低坪量部33は、前後方向Lに沿って設けられている。低坪量部33は、前後方向Lに延びていればよく、前後方向Lに対して平行であってもよいし、前後方向Lに対して90度未満の角度で傾斜してもよい。
【0074】
低坪量部33は、周囲の吸収コア31よりも吸収材料の坪量が低い部分であり、周囲の吸収コア31よりも厚さが薄く、かつ剛性が低い。よって、低坪量部33は、装着状態で変形基点となり易い。吸収コア31には、着用状態で前後方向に延びる変形基点が形成され易い。低坪量部33は、吸収材料の坪量が実質的に零の部分(設計上の坪量が0であるが、周囲の吸収材料が混入した部分を含む)であってもよいし、周囲よりも少ない坪量の吸収材料が配置された部分であってもよい。低坪量部33は、幅方向Wに一定の長さを有するスリットであってもよいし、幅方向Wの長さが実施的に零である切り込みであってもよい。各低坪量部33の幅方向Wの長さは、2mm以上10mm以下であってよく、より好適には、吸収コア31の厚さ以上、8mm以下でよい。低坪量部33の幅方向Wの長さが吸収コア31の厚さ以上であることにより、低坪量部33を基点に吸収コア31が厚さ方向に変形し易くなる。また、低坪量部33の幅方向Wの長さが8mm以下であることにより、低坪量部33の幅方向Wの長さが長いことによる吸収性能に対する不安感を抑制できる低坪量部33の前後方向Lの長さは、30mm以上180mm以下であってよい。
【0075】
低坪量部33は、幅方向Wに間隔を空けて一対で配置されている。低坪量部33は、中央領域31Cに設けられている。低坪量部33は、使い捨ておむつの幅方向の中心を通り、かつ前後方向に延びる幅中心線10WCの両側に、幅方向Wに間隔を空けて配置されてよい。低坪量部33の前後方向の中心は、前後中心線10LCよりも後側に配置されてよい。低坪量部33の前端縁33Fは、股下伸縮部41の前端縁よりも前側に位置してよく、低坪量部33の後端縁33Rは、股下伸縮部41の後端縁と一致又は後端縁よりも前側に位置してよい。低坪量部33の外側縁は、股下伸縮部41を構成する糸ゴムのうち幅方向Wの外側に位置する糸ゴムと幅方向Wにおいて一致していてよく、低坪量部33の内側縁は、股下伸縮部41を構成する糸ゴムのうち幅方向Wの内側に位置する糸ゴムと幅方向Wにおいて一致していてよい。
【0076】
股下伸縮部41と重なる領域に低坪量部33が配置されていてもよい。吸収コア31は、着用時に前後方向に延びる低坪量部を基点に変形する。よって、股下伸縮部41の収縮によって吸収コア31が身体側に凸状により変形し易くなり、着用者の股間に吸収コア31を適切に収めることができる。吸収コア31の変形基点となる低坪量部33は、周囲の領域よりも坪量が低く、体液を吸収した後も厚さを抑えることができ、変形状態を維持できる。
【0077】
本明細書における「吸収コアの坪量」の測定は、以下の測定方法によって行われるものとする。使い捨ておむつ10がパッケージなどに封入されている場合には、パッケージから取り出し、その状態にて20℃±2℃、相対湿度60%±5%RHの雰囲気下において12時間放置したサンプルを用いる。包装シート等によって包装された使い捨ておむつにおいては包装シートを開封し、折り畳まれた使い捨ておむつを展開する。次いで、坪量を測定する部分を使い捨ておむつから切り出し、切り出した部分から表面シート等、吸収コア以外の部分を取り除く。そして、吸収コアの坪量を測定する部分の面積及び重量を測定する。重量と面積とに基づいて坪量を算出する。
【0078】
吸収コア31には、一対の変形基点部80が設けられてよい。変形基点部80は、前側に向かって幅方向Wの外側に延び、かつ幅方向Wに間隔を空けて一対で配置されている。一対の変形基点部80は、幅中心線10WCに対して線対称であってよい。変形基点部80は、吸収コア31の変形基点となればよく、吸収コアを厚さ方向に圧縮したエンボス部、吸収材料の坪量が周囲よりも低い低坪量部、吸収材料が配置されていないスリット、及び吸収コアを厚さ方向に切断した切断部の少なくともいずれかによって構成されてよい。変形基点部80は、変形基点の縁となる基点縁80Gを有する。基点縁は、吸収コア31の厚さの折れ線が形成される縁である。本実施の形態の基点縁80Gは、変形基点部80において幅方向Wに延びる縁である。
【0079】
(4)使い捨ておむつの着用時の変形態様
次いで、
図4から
図8に基づいて、使い捨ておむつ10の着用時の変形態様について説明する。
図4は、使い捨ておむつを着用した着用者が脚を下げた状態を模式的に示した図である。
図5は、使い捨ておむつを着用した着用者が脚を上げた状態を模式的に示した図である。
図6は、使い捨ておむつを着用した着用者が脚を上げ、かつ脚を閉じた状態を模式的に示した図である。
図7は、着用者が脚を下げた状態における使い捨ておむつの前後方向に沿った模式断面図である。
図8は、着用者が脚を上げた状態における使い捨ておむつの前後方向に沿った模式断面図である。
図7及び
図8は、説明の便宜上、使い捨ておむつ全体のライン、変形基点部80及びファスニングテープのみを示しており、その他の部材については省略している。また、
図7及び
図8に示すBLは、着用者の身体のラインを示している。
【0080】
本発明の使い捨ておむつは、前側領域R10における吸収コア31の変形を、変形基点部80によってコントロールするように構成されている。
図7及び
図8に示すように、着用者の腹側には、一般的に、腹部の下端に幅方向Wに延びる凹みが形成される。この腹部の下端の凹みは、幅方向Wの中央から幅方向Wの外側に向かって上方に湾曲しており、特に乳幼児においてはっきりと形成され易い。使い捨ておむつによって着用者の腹部の膨らみを覆うことができるように、ファスニングテープは、一般的に、着用者の膨らみと対向する位置に止着される。
【0081】
着用状態では、前胴回り域S1と後胴回り域S2の脚回り開口部65が着用者の脚を囲むように配置されている。
図4に示すように、着用者が脚を下げた状態では、一般的に、着用者の脚は、吸収コア31の外側縁と離間しており、吸収コア31には、幅方向Wの内側に向かう力がかかっていないか、幅方向Wの内側に向かう力が僅かにかかった状態である。また、
図7に示すように、着用者が脚を下げた状態では、腹部の膨らみ及び腹部の下端の凹みに沿って使い捨ておむつが配置されている。
図7に示す状態では、前側領域R10には、脚によって腹側に引き上げる力がかかっていないか、腹側に引き上げる力が僅かにかかった状態である。
【0082】
次いで、着用者が脚を動かすと、前側領域R10には、幅方向Wの内側に向かう力及び前側に向かう力がかかり易い。このとき、前側領域R10のうち前側半分となる腹部領域R20は、脚の前側に膨らんだ部分と対向しているため、着用者が脚を上げたり、脚を閉じたりすると、前側に引き上げられる力を受けやすく、着用者が脚を閉じた際は、幅方向Wの内側に押圧される力も受けやすい。
【0083】
このとき、使い捨ておむつの胴回り保持領域60は、身体に密着しているため、前側領域R10は、胴回り保持領域60の後端縁を基点として変形する。このとき、前側領域R10内の腹部領域R20の少なくとも一部に変形基点部80が設けられており、腹部領域R20の吸収コアは、変形基点部80を基点に変形する。変形基点部80は、前側に向かって幅方向Wの外側に延びており、脚の動きによって作用する力に対向して配置されている。よって、腹部領域R20の吸収コア31は、変形基点部80を基点として変形する。脚の動きに応じた吸収コアの変形をコントロールすることにより、吸収コアの意図しない変形を抑制し、吸収コアによって覆うことができるとともに、元の状態に吸収コアが戻りやすく、身体を覆い続けることができる。
【0084】
変形基点部80は、基点縁80Gが前側に向かって幅方向Wの外側に延びていればよい。本実施の形態のように、2以上の変形基点部80を有する形態にあっては、それぞれの変形基点部80の基点縁80Gが、前側に向かって幅方向Wの外側に延びていればよい。また、変形基点部が幅方向に連続しない形態にあっては、基点部を繋いだ延長線が基点縁を構成する。また、基点縁80Gは、本実施の形態のように直線状であってもよいし、曲線状であってもよい。
【0085】
変形基点部80は、少なくとも一部が腹部領域R20に設けられていればよく、腹部領域R20内のみに設けられていてもよいし、腹部領域R20から前側に延出していてもよいし、腹部領域R20から後側に延出していてもよい。
【0086】
変形基点部80の前端縁80Fは、第1仮想線VL1と前後方向Lにおいて離間してよい。すなわち、変形基点部80は、第1仮想線VL1よりも後側のみに設けられ、胴回り保持領域60に重ならないように設けられてよい。この構成によれば、胴回り保持領域60と前後方向Lに離れた位置に、吸収コア31の変形基点を形成できる。胴回り保持領域60の位置ずれを抑制し、使い捨ておむつの全体の位置ずれを抑制できる。また、着用者の股間の近傍に変形基点部80を設けることができ、脚の動きに応じた変形基点がより形成され易い。
【0087】
変形基点部80の前端縁80Fは、第4仮想線VL4よりも前側に位置してよい。本実施の形態の前腹部領域R21には、変形基点部80としての第1変形基点部81が配置されており、第1変形基点部81の前端縁81Fが配置されている。
図4及び
図7に示す脚を下げた状態から、着用者が脚を上げると、
図5及び
図8に示すように、脚によって前側領域R10が引き上げられ、特に、腹部領域R20のうち前側半分となる前腹部領域R21に対して特に力がかかり易い。前腹部領域R21に変形基点部80の前端縁80Fが位置することにより、脚上げの際に吸収コアが変形基点部80を基点として変形しやすい。脚上げ時の吸収コアの変形をコントロールすることにより、その後の脚の動きに応じて変形が元に戻りやすく、吸収コア31によって体を覆い続け、漏れを抑制しやすい。
【0088】
変形基点部80の前端縁80Fは、第4仮想線VL4よりも後側に位置してよい。本実施の形態の後腹部領域R22には、変形基点部80としての第2変形基点部82が配置されており、第2変形基点部82の前端縁82Fが配置されている。着用者が脚を閉じると、腹部領域R20のうち後側半分となる後腹部領域R22に対して特に力がかかり易い。後腹部領域に変形基点部の前端縁が位置することにより、脚閉じの際に吸収コアが変形基点部80を基点として変形しやすい。脚閉じ時に変形をコントロールすることにより、その後の脚の動きに応じて変形が元に戻りやすく、吸収コアによって体を覆い続け、漏れを抑制しやすい。
【0089】
変形基点部80の後端縁80Rが、第2仮想線VL2よりも前側であってよく、より好適には、第3仮想線VL3よりも前側であってよい。第2仮想線VL2及びその前後方向Lにおける近傍の領域は、排泄口からの排泄物が導かれ易く、排泄口に対向して配置することが好ましい。変形基点部80の後端縁80Rが第3仮想線VL3よりも前側に位置することにより、排泄口に対向して吸収コアを対向して配置し、吸収性能を確保できる。
【0090】
変形基点部80は、第1変形基点部81と第2変形基点部82を有してよい。
図5及び
図7に示すように、着用者が脚を上げたりして引き上げる力がかかると、前側に位置する第1変形基点部81を基点に吸収コア31が変形する。
図6に示すように、着用者が脚を閉じる等して幅方向Wの内側に向かう力がかかると、第1変形基点部81を基点に変形した領域が、第2変形基点部82を基点に変形する。具体的には、第1変形基点部81を基点に変形した状態で股下域側から更に前側に押圧されると、第1変形基点部81は、既に変形基点となっているため、前側に移動せず、第1変形基点部81よりも後側の領域が、着用者から離れる方向に膨らむ(
図8参照)。このとき、第1変形基点部81よりも後側に第2変形基点部82があるため、着用者から離れる方向に膨らんだ領域内に更に第2変形基点部82による変形基点が形成される。着用者から離れる方向に膨らんだ領域の変形もコントロールできる。
図8に示すように、第2変形基点部82を基点として変形することにより、第2変形基点部82は、第1変形基点部81側から第2変形基点部82側に向かって着用者側に膨らむ変形と、第2仮想線側から第2変形基点部82側に向かって着用者側に膨らむ変形と、の頂点となる。第2変形基点部82を前後方向Lに挟んだ両側の領域で、第2変形基点部82を頂点とした変形を支えることができ、その変形状態を維持し易くなる。その結果、第2変形基点部82によって、第1変形基点部81を基点に変形した領域の変形もコントロールすることができる。
【0091】
図2に示すように、第1変形基点部81の幅方向Wに対する第1角度αは、第2変形基点部82の幅方向Wに対する第2角度βよりも小さくてよい。第1変形基点部81は、幅方向Wの内側に押圧される力よりも腹側に引き上げられる力が作用しやすく、第2変形基点部82は、第1変形基点部81よりも幅方向Wの内側に押圧される力が作用しやすい。作用する力に対向する角度で第1変形基点部81及び第2変形基点部82を配置することにより、変形基点部を基点として吸収コアがより変形し易く、吸収コアの変形をよりコントロールできる。
【0092】
第1変形基点部81と第2変形基点部82は、前後方向Lにおいて離間してよい。この構成によれば、第1変形基点部81による変形と第2変形基点部82による変形とが干渉し難くなり、それぞれが独立した基点を構成できる。
【0093】
平面視にて、第1変形基点部81から第1変形基点部81に沿って延びる第1変形延長線EL1と、第2変形基点部82から第2変形基点部82に沿って延びる第2変形延長線EL2は、吸収コアの外側縁31Eよりも幅方向Wの外側において交わってよい。すなわち、第1変形延長線EL1と第2変形延長線EL2とは、吸収コア31の外側縁31Eよりも幅方向Wの内側で交わらない。
図2に示すように、第1変形延長線EL1及び第2変形延長線EL2は、基点縁80Gに沿って延びる線である。第1変形基点部81による変形と第2変形基点部82による変形とをそれぞれ吸収コアの外側縁31Eに逃がすことができる。第1変形基点部81による変形と第2変形基点部82による変形とが干渉し難くなり、それぞれを基点とした変形状態を実現しやすくなる。
【0094】
変形基点部80の外側縁80Eは、側部領域に位置してよい。本実施の形態の第1変形基点部81の外側縁81Eは、側部領域31Sに位置しており、第2変形基点部82の外側縁82Eは、中央領域31Cに位置している。側部領域31Sは、脚の近くに位置しており、脚の力を受けやすい。吸収コアの側部領域に変形基点部が位置するため、脚の動きに応じて吸収コアが変形基点部を基点に変形しやすい。また、変形基点部にかかった力は、変形基点部に沿って変形基点部の延長線上に伝達される。変形基点部による変形基点が吸収コアの外側縁に到達し易い。吸収コアの外側縁まで変形基点が到達することにより、変形基点が安定し、吸収コアの意図した変形状態を維持しやすい。
【0095】
変形基点部80の外側縁80Eは、吸収コアの外側縁に到達していてもよいし、吸収コアの外側縁と離間していてもよい。好適には、変形基点部の外側縁は、吸収コアの外側縁と離間していてよい。脚の力が変形基点部にダイレクトに伝わることを抑制し、吸収コアが変形基点部を基点として変形しすぎることを抑制できる。
【0096】
変形基点部80の内側縁80Iは、中央領域31Cに位置してよい。本実施の形態の第1変形基点部81の内側縁81I及び第2変形基点部82の内側縁82Iは、中央領域31Cに位置している。この構成によれば、脚の動きによって吸収コア31の外側縁31Eにかかった力を吸収コア31の幅方向Wの中央側まで導くことができる。吸収コア31の幅方向Wの全体に亘って変形をコントロールでき、意図しない変形を抑制できる。
【0097】
各変形基点部の幅方向Wの長さは、吸収コア31の幅方向Wの全域に対する1/4以上であってよい。各変形基点部の幅方向Wの長さは、一対の変形基点部を構成する各変形基点部の幅方向Wの長さであり、例えば、一対の第1変形基点部81を構成する各第1変形基点部81の幅方向Wの長さである。よって、一対の変形基点部の幅方向Wの長さは、吸収コア31の幅方向Wの全域に対する1/2以上となる。この構成によれば、吸収コア31の幅方向Wの全域の半分以上において変形基点部が配置されるため、吸収コア31の全体に亘って変形をコントロールでき、意図しない変形を抑制できる。
【0098】
使い捨ておむつは、第2仮想線VL2を跨いで前後方向Lに延び、かつ吸収コアの厚さ方向の変形を誘導する股下変形誘導部85を有してよい。着用者が脚を閉じると、股下変形誘導部85を介して吸収コアが前後方向Lに沿う基点に基づいて変形し、着用者の股間に収まるように吸収コアの幅をコンパクトに配置しやすい。股下変形誘導部85は、吸収材料の坪量が低い低坪量部、吸収コア等を厚さ方向に圧縮したエンボス部、及び吸収コアと厚さ方向に重なって配置された弾性部材のうち、少なくともいずれかによって構成される。
図3等に示すように、本実施の形態の股下変形誘導部85は、吸収コア31に形成された低坪量部33と吸収コアよりも非肌面側T2に配置された股下伸縮部41によって構成されている。
【0099】
変形基点部80は、股下変形誘導部85の前端縁から前側に延びる誘導延長線EL3上に配置されてよい。変形基点部80は、幅方向Wに延びており、股下変形誘導部85から前後方向Lに延びる変形を分断できる。股間と対向する領域の吸収コアは、股下変形誘導部に基づいて変形し、股間から離れた腹部と対向する領域の吸収コアは、変形基点部に基づいて変形する。股間と腹部のそれぞれに応じた吸収コアの変形を実現できる。
【0100】
一対の変形基点部を構成する各変形基点部から変形基点部に沿って延びる変形延長線同士の変形交点P1は、第3仮想線VL3よりも前側に位置してよい。各変形基点部から変形基点部に沿って延びる変形延長線は、変形基点部から後側に向かって幅方向Wの内側に延びている。変形交点P1は、一対の変形基点部における変形延長線同士が交わる交点であり、変形基点部よりも後側に位置する。変形交点P1は、一対の変形基点部が幅中心線10WCに対して線対称である場合には、幅中心線10WC上に位置する。本実施の形態においては、本実施の形態においては、第1変形延長線EL1同士の変形交点P11は、第3仮想線VL3よりも前側に位置しており、第2変形延長線EL2同士の変形交点P12は、第3仮想線VL3よりも後側に位置している。
【0101】
各変形基点部を基点とした変形は、変形延長線に沿って股下側に延び、変形交点P1で交わる。変形延長線によって挟まれた領域は、両脚によって挟まれることにより、身体に対して膨らむように変形する。
図8に示すように、第1変形基点部81が下腹部の凹み近傍に位置する場合、変形延長線によって挟まれた領域によって下腹部の凹みよりも下側(股間側)の膨らみを覆うことができる。また、変形交点P1が第3仮想線VL3よりも後側に位置しないため、変形基点部80を基点とした身体に対して膨らむ変形が股間まで到達し難く、股間に対する吸収性を確保しやすい。
【0102】
変形交点P1は、第4仮想線VL4よりも前側に位置してよい。本実施の形態においては、第1変形基点部81の変形交点P11は、第4仮想線VL4よりも前側に位置し、第1変形基点部81の前端縁81Fは、第1仮想線VL1と離間している。よって、第1変形基点部81の幅方向Wに対する傾きは、緩やかになる。前腹部領域R21には、着用者が脚を上げた際に腹側に引き上げられる力がかかりやすい。前腹部領域R21において第1変形基点部81の幅方向Wに対する角度が緩やかであるため、脚上げの際に第1変形基点部81に力がかかりやすく、当該変形基点部を介してより変形しやすくなる。
【0103】
変形交点P1は、第4仮想線よりも後側に位置してよい。本実施の形態においては、第2変形基点部82の変形交点P12は、第4仮想線VL4よりも後側に位置している。後腹部領域には、着用者が脚を閉じた際に幅方向Wの内側に押圧される力がかかりやすい。この幅方向Wの内側に向かう力は、後腹部領域のみならず、後腹部領域よりも後側にも作用する。変形延長線によって挟まれた領域が、後腹部領域よりも後側にも設けられ、股間に対向する領域においても吸収コアの変形をコントロールできる。
【0104】
各変形基点部から変形基点部に沿って延びる変形延長線と、吸収コアの外側縁と、が交わるコア交点P2は、第1仮想線VL1よりも後側に位置してよい。すなわち、コア交点P2は、第1仮想線VL1と離間していてよい。本実施の形態においては、第1変形延長線EL1と吸収コアの外側縁31Eとが交わる第1コア交点P21と、第2変形延長線EL2と吸収コアの外側縁31Eとが交わる第2コア交点P22と、は、第1仮想線VL1よりも後側に位置している。
【0105】
変形基点部80を基点とした変形は、変形延長線に沿って延び、吸収コア31の外側縁31Eまで伝達しやすい。第1仮想線VL1よりも後側にコア交点が位置するため、変形基点部80による吸収コア31の変形が胴回り保持領域60まで伝わり難く、胴回りを保持した状態を維持できる。
【0106】
変形基点部80の最大幅TMは、変形基点部80と近接する領域における吸収コア31の厚みよりも長い。ここで、変形基点部80の幅は、変形基点部80が延びる方向と直交する方向の長さであり、
図2において、変形基点部80の最大幅TMを示す。変形基点部80の最大幅TMが吸収コア31の厚みよりも厚いため、吸収コア31が厚さ方向Tの全域にわたって変形基点部80を基点に変形しやすくなり、意図した変形をより実現しやすくなる。なお、変形基点部80の幅方向Wの長さが変化する構成にあっては、変形基点部80の幅が吸収コア31の厚みよりも長い部分が、変形基点部80の半分以上を占めていることが好ましい。変形基点部80の半分以上の部分において、吸収コア31の厚さ方向Tの全域が変形し易くなる。
【0107】
胴回り保持領域60の前後方向Lの内端縁よりも前後方向Lの外側には、幅方向Wに伸縮する伸縮性部材が設けられてよい。胴回り保持領域60の前後方向Lの内端縁は、前胴回り域S1における胴回り保持領域60の後端縁と、後胴回り域S2における胴回り保持領域60の前端縁と、を含む。本実施の形態では、後胴回り域S2の胴回り保持領域60の前端縁よりも後側に、伸縮性部材としての腰回り伸縮部45が配置されている。なお、伸縮性部材としての腰回り伸縮部45は、胴回り保持領域60の前後方向Lの内端縁よりも前後方向Lの外側の領域に少なくとも配置されていればよく、胴回り保持領域60の前後方向Lの内端縁を跨がって、胴回り保持領域60の前後方向Lの内端縁よりも前後方向Lの内側にも配置されていてもよい。
【0108】
胴回り保持領域60の身体に対する密着性を腰回り伸縮部45によって高め、脚の動きによって股下域S3が前後方向Lに移動しても、胴回り保持領域60の前後方向Lの位置ずれを抑制できる。よって、繰り返しの脚の上げ下げ動作が行われた場合であっても、吸収コア全体の位置ずれを抑制し、脚の動きに応じて変形基点部を基点に吸収コアを変形させて、身体を覆い続け易い。
【0109】
第1仮想線VL1よりも前側には、第1仮想線VL1から後側に延びる領域よりも剛性が高いウエスト剛性領域が設けられてよい。第1仮想線VL1から後側に延びる領域は、第1仮想線VL1と隣接し、第1仮想線VL1から後側に延びる領域である。本実施の形態では、ウエスト剛性領域は、ターゲット部95が配置された領域であり、ウエスト剛性領域の剛性は、第1仮想線VL1と第1変形基点部81の前端縁までの領域の剛性よりも高い。なお、ウエスト剛性領域は、ターゲット部95等の資材が配置された領域であってもよいし、吸収コア31のエンボス部が設けられた領域であってもよい。ウエスト剛性領域によって胴回り保持領域の変形を抑制し、胴回り保持領域によって着用者の腰回りを覆い続けることができ、腹部の膨らみを覆い続けることができる。
【0110】
本明細書における「曲げ剛性」は、ガーレー剛軟度によって測定された値であってもよい。ガーレー剛軟度の測定は、(株)安田精機製作所製のNo311のガーレー式柔軟度試験機を用いて、JIS−L1096に準拠して測定することが可能である。ガーレー剛軟度の測定のサンプルの幅方向Wの長さは、30mm、前後方向Lの長さは、25mmとすることができる。
【0111】
次いで、
図9に基づいて変形例に係る吸収コアについて説明する。
図9は、変形例に係る吸収コアを模式的に示している。なお、以下の変形例の説明において、上述の実施形態と同様の構成については、同符号を用いて説明を省略する。
【0112】
図9(a)は、変形例1に係る吸収コア31Aの平面図である。変形例1に係る吸収コア31Aは、一対の変形基点部80Aと、一対の変形基点部80Aの間に設けられた高剛性部87と、を有する。高剛性部87は、周囲の領域よりも曲げ剛性が高い領域である。高剛性部87は、周囲の領域よりも目付が高い部分であってもよいし、吸収コア31が厚さ方向に圧縮された部分であってもよい。変形例1に係る変形基点部80A及び高剛性部87は、吸収コア31を圧縮したエンボス部によって構成されている。
【0113】
高剛性部87の剛性は、変形基点部80Aよりも幅方向Wの外側の領域の剛性よりも高い。変形基点部80A間に高剛性部87が設けられていることにより、変形基点部80Aよりも幅方向Wの外側の領域と変形基点部80Aよりも内側の領域との剛性差が生じ、変形基点部80Aを基点として吸収コアがより変形し易くなる。また、高剛性部によって変形基点部80Aが変形しにくく、変形基点部80Aを基点とした変形を維持しやすい。加えて、変形基点部80A間の領域が幅入りし難くなり、一対の変形基点部80A間の領域の幅方向Wの長さを確保し、漏れを抑制できる。
【0114】
高剛性部87は、変形基点部80Aと幅方向Wに離間していてもよいし、変形基点部80Aと幅方向Wにおいて隣接していてもよい。高剛性部と変形基点部80Aが隣接する構成にあっては、変形基点部80Aよりも幅方向Wの外側の領域が、変形基点部80A間の領域に対してより変形し易くなり、剛性差によって吸収コアがより変形し易くなる。また、高剛性部と変形基点部80Aの両方が、同じ構成(エンボス部又は高剛性部)によって形成された形態にあっては、高剛性部と変形基点部80Aが一体化していてもよい。高剛性部と変形基点部80Aが一体化した構成においては、変形基点部80Aは、基点縁80Gから吸収コア31の厚さ分まで基点縁に沿った線に対する垂直方向の内側に延びる領域を含んでいる。
【0115】
図9(b)は、変形例2に係る吸収コア31Bの平面図である。変形例2に係る変形基点部80Bは、幅方向Wにおいて連なっている。すなわち、一対の変形基点部80Bを構成する各変形基点部80Bの内側縁同士が連通している。この構成によれば、両脚によって幅方向Wの両側から押圧された際に、一対の変形基点部80B同士が干渉し、変形基点部80Bを基点とした変形を維持しやすい。また、変形基点部80B間の領域が幅入りし難くなり、一対の変形基点部80B間の領域の幅方向Wの長さを確保し、漏れを抑制できる。
【0116】
なお、上述の実施形態のように、第1変形基点部81と第2変形基点部82を有する形態にあっては、第1変形基点部81が幅方向Wにおいて連なり、第2変形基点部82が幅方向Wにおいて連なっていないことが好ましい。第2変形基点部82は、股間側に位置し、脚閉じの際に幅方向Wの内側に向かう力が比較的強くかかる。そのため、第2変形基点部82同士が連なっていると、幅方向Wの内側に向かう脚の動きに対して第2変形基点部82による変形基点が突っ張り、違和感が生じるおそれがある。第2変形基点部82同士が幅方向Wにおいて離間しているため、第2変形基点部82の間の領域が柔軟に変形することにより、脚閉じの際の脚の動きを阻害せずに、違和感を抑制できる。
【0117】
以上、上述の実施形態を用いて本発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本発明は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。したがって、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。