(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記重合体を埋め込む工程は、イソシアネートの蒸気及びアミンの蒸気を前記低誘電率膜内に拡散させてイソシアネートとアミンとを重合反応させる工程であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[本発明の実施形態の概要]
半導体装置において、集積回路が形成されている層が複数積層される場合、下層側の回路と上層側の回路とを接続するための配線が埋め込まれるビア(ビアホール)と各層の集積回路の一部をなす配線が埋め込まれるトレンチ(溝部)とを層間絶縁膜に形成する必要がある。
ビア及びトレンチを形成するにあたっては、層間絶縁膜にビアを形成し、次いでトレンチを形成する手法と、トレンチを形成し、次いでビアを形成する手法とがある。本願明細書では、先にビアを形成する手法をビアファーストと呼び、先にトレンチを形成する手法をトレンチファーストと呼ぶことにする。
【0012】
図1は、本発明の実施形態の概要を極めて模式的に示した図であり、ビアファースト及びトレンチファーストの手法を示している。本発明の実施形態では、層間絶縁膜として多孔質の低誘電率膜20を用い、低誘電率膜20の孔部内にポリ尿素を埋め込む。孔部内にポリ尿素が埋め込まれた状態の表示として低誘電率膜20にドットを付している。20aで示す部位は、低誘電率膜20の下層側の層を模式的に示した部位である。
【0013】
一般的に行われているビアファーストの手法においては、ビア201を形成し、次いでトレンチ202を形成するが、本発明の実施形態では、ビア201を形成した後、トレンチア202を形成する前に、白矢印で工程の介在を示すように、ビア201内に保護用の充填物100を埋め込んでいる。ビア201とは、トレンチの底面よりも下方側の部分のホールを示すが、本明細書では便宜上ビアよりも上方側であって当該ビアの投影領域のホールの部分もビアと呼び、符号201として示すこととする。
トレンチファーストの手法においては、トレンチ202を形成し、次いでトレンチ202内に、ビア用のエッチングマスク101を形成し、このマスク101を用いて低誘電率膜20の底部をエッチングしてビア201を形成する。しかる後、トレンチ202内のマスク101をエッチングあるいはアッシングにより除去する。
【0014】
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態は、ビアファーストの手法に適用した方法である。
図2〜
図5は、下層側の回路部分に上層側の回路部分を形成する様子を段階的に示す説明図であり、11は下層側の例えば層間絶縁膜、12は層間絶縁膜11に埋め込まれた配線材料である銅配線、13はエッチング時のストッパーの機能を持つエッチングストッパー膜である。エッチングストッパー膜13は、例えばSiC(炭化ケイ素)やSiCN(炭化窒化ケイ素)などにより形成されている。
【0015】
エッチングストッパー膜13の上には、層間絶縁膜である低誘電率膜20が形成されている。低誘電率膜20は、この例ではSiOC膜が用いられ、SiOC膜は例えばDEMS(Diethoxymethylsilane)をプラズマ化してCVD法により成膜される。低誘電率膜20は多孔質であり、図面では低誘電率膜20内の孔部21を極めて模式的に示している。なお下層側の層間絶縁膜11についてもSiOC膜が用いられる。
本実施形態の方法では、基板である半導体ウエハ(以下ウエハという)の表面に、
図2(a)に示すように下層側の回路部分が形成され、この回路部分の上に低誘電率膜20が形成されている状態から処理が始まる。
【0016】
続いて
図2(b)に示すように低誘電率膜20の表面に例えば真空雰囲気にて300℃のプロセス温度でCVD(Chemical Vapor Deposition)によりシリコン酸化膜31を成膜する。シリコン酸化膜31は、例えば有機系のシリコン原料の蒸気と酸素あるいはオゾンなどの酸化ガスとの反応により生成される。シリコン酸化膜31は、後述のエッチング時においてパターンマスク(ハードマスク)の一部としての役割を果たすと共に、後述のハードマスク32のエッチング時において低誘電率膜20を保護する役割も果たす。次に同図に示すようにトレンチに対応する部位が開口する、例えばTiN(チタンナイトライド)膜からなるエッチング用のパターンマスクであるハードマスク32を公知の手法により形成する。
【0017】
しかる後、例えばCH
3Fガスを活性化(プラズマ化)したガスによりシリコン酸化膜31をエッチングし(
図2(c))、低誘電率膜20内の孔部21を次のように埋め込み材料である、尿素結合を有する重合体(ポリ尿素)により埋める(
図2(d))。
図2において、孔部21がポリ尿素で埋められた状態を便宜上「斜線」で示している。低誘電率膜20内の孔部21に埋め込まれたポリ尿素は、被保護膜である低誘電率膜20を後述のプラズマ処理におけるプラズマから保護する役割を果たす。
【0018】
ポリ尿素膜は、例えば
図6に示すようにイソシアネートとアミンとを用いて共重合により生成することができる。Rは例えばアルキル基(直鎖状アルキル基または環状アルキル基)またはアリール基であり、nは2以上の整数である。
イソシアネートとしては、例えば脂環式化合物、脂肪族化合物、芳香族化合物などを用いることができる。脂環式化合物としては、例えば
図7(a)に示すように1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン(H6XDI)を用いることができる。また脂肪族化合物としては、
図7(b)に示すように、例えばヘキサメチレンジイソシアネートを用いることができる。
アミンとしては、例えば1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン(H6XDA)を用いることができる。
【0019】
原料モノマーを気体で反応させてポリ尿素を成膜する(蒸着重合する)ためのCVD装置を
図11に示しておく。70は真空雰囲気を区画する真空容器である。71a、72aは夫々原料モノマーであるイソシアネート及びアミンを液体で収容する原料供給源であり、イソシアネートの液体及びアミンの液体は供給管71b、72bに介在する気化器71c、72cにより気化され、各蒸気がガス吐出部であるシャワーヘッド73に導入される。シャワーヘッド73は、下面に多数の吐出孔が形成されており、イソシアネートの蒸気及びアミンの蒸気を別々の吐出孔から処理雰囲気に吐出するように構成されている。基板である、表面が加工された半導体ウエハWは、加熱機構を備えた載置台74に載置される。
【0020】
ポリ尿素を低誘電率膜20の孔部21に埋め込む手法については、既述の回路部分を搭載している基板である半導体ウエハ(以下単に「ウエハ」という)Wに対してイソシアネートの蒸気とアミンの蒸気とを交互に供給する手法を採用することができる。この場合、イソシアネートの蒸気の供給を停止し、真空容器70内を窒素ガスでパージしてからアミンの蒸気を供給し、次いでアミンの蒸気の供給を停止し、真空容器70内を窒素ガスでパージしてからイソシアネートの蒸気を供給するという手法であってもよい。あるいは一方の蒸気の供給を停止した後、パージ工程を介さずに続いて他方の蒸気を供給し、他方の蒸気の供給を停止した後、パージ工程を介さずに続いて一方の蒸気を供給する手法であってもよい。またイソシアネートの蒸気とアミンの蒸気とを同時にウエハWに供給する手法であってもよい。
【0021】
イソシアネートの蒸気とアミンの蒸気とを交互に供給する既述の2つの手法のうち前段の手法(一方のガスの供給と他方のガスの供給との間にパージ工程が介在する手法)では、低誘電率膜20の表面にポリ尿素が成膜されずに孔部21内に埋め込まれる。また後段の手法(一方のガスの供給と他方のガスの供給との間にパージ工程が介在しない手法)では、ポリ尿素が孔部21に埋め込まれるが、低誘電率膜20以外のウエハWの表面(ハードマスク32の上)にもポリ尿素が成膜される。なお、この現象は後述の評価試験に記載しているが、供給サイクル数などのパラメータ値を選定した場合に起こると考えられる。
後段の手法を採用した場合には、ウエハWをポリ尿素が解重合する温度に加熱し、ハードマスク32の表面のポリ尿素を除去することによって
図2(d)に示す状態が得られる。ポリ尿素は重合と解重合との可逆的平衡反応が成り立っており、温度が高くなると解重合重合が支配的になる。従って解重合が起こると生成されたモノマーが時間の経過と共に気化する。例えば200℃、250℃、300℃の各温度では、ポリ尿素が消失するまでの時間は300℃の場合が最も短い。
従って温度と時間とを選択することにより、低誘電率膜20内だけにポリ尿素を残すことができる。
イソシアネートの蒸気及びアミンの蒸気を用いる手法においては、ウエハWの温度は室温からポリ尿素が解重合する温度よりもわずかに低い温度までの温度範囲に設定され、例えば20℃〜200℃の温度範囲にて重合反応が促進される。
【0022】
更に
図8(a)〜(d)に示すように、原料モノマーとして一官能性分子を用いてもよい。
更にまた
図9(a)、(b)に示すように、イソシアネートと二級アミンとを用いてもよく、この場合に生成される重合体に含まれる結合も尿素結合である。
そして尿素結合を備えた原料モノマーを重合させてポリ尿素膜を得るようにしてもよい。
図10はこのような例を示し、原料モノマーに対して光、例えば紫外線を照射して光エネルギーを与えることにより重合が起こってポリ尿素膜が生成される。この場合、ウエハWに原料モノマーを供給しながら光エネルギーを与えることにより行われる。
【0023】
こうして低誘電率膜20の孔部21にポリ尿素を埋め込んだ後、ビアに対応する部位が開口するSOC(Spin On Carbon)からなるビア用のパターンマスク33を形成し(
図3(e))、低誘電率膜20をエッチングし、ビア201を形成する(
図3(f))。SOCは、スピンコーティングにより塗布される、炭素を主成分とする塗布膜であり、レジストを用いてパターンマスクとして形成される。
低誘電率膜20、この例ではSiOC膜をエッチングする手法としては、C
6F
6ガスをプラズマ化して得たプラズマにより行うことができ、この場合、更に微量の酸素ガスを添加するようにしてもよい。
次にビア201内に有機物からなる保護用の充填物、この例ではポリ尿素からなる保護用の充填物34を埋め込む。充填物34(ポリ尿素)を埋め込む工程は、回路部分を搭載しているウエハに対して既述のように真空雰囲気で例えばイソシアネートの蒸気とアミンの蒸気とを交互に供給することにより行われる、これによりポリ尿素がビア201内に埋め込まれて充填物34が形成されると共にビア201以外のパターンマスク33の表面にも成膜される(
図3(g))。しかる後、既述したようにポリ尿素が解重合する温度までウエハを加熱し、ビア201以外のパターンマスク33の表面に成膜されているポリ尿素(ポリ尿素膜)を除去する(
図3(h))。
【0024】
次いでSOCからなるパターンマスク33を例えば酸素ガスをプラズマ化して得たプラズマによりアッシング(エッチング)して除去する(
図4(i))。このときSOCと共にパターンマスク33の孔部内に埋め込まれているポリ尿素も当該プラズマによりエッチングされて除去される。
更にトレンチ用のマスクである、シリコン酸化膜31及びハードマスク32を用いて低誘電率膜20をエッチングしてトレンチ202を形成する(
図4(j)。低誘電率膜20、この例ではSiOC膜をエッチングする手法としては、C
6F
6ガスをプラズマ化して得たプラズマにより行うことができ、この場合、更に微量の酸素ガスを添加するようにしてもよい。このエッチングにより低誘電率膜20と共にポリ尿素からなる充填物34もエッチングされる。なお、ポリ尿素のエッチング速度は低誘電率膜20のエッチング速度よりも遅いことから、低誘電率膜20を予定の深さまでエッチングしたときに充填物34がトレンチ202の底部から少し突出した状態になる。このため例えば酸素ガスをプラズマ化して得たプラズマによりアッシングし、突出した充填物34を除去してトレンチ202を平坦化することができる。
続いてウエハをポリ尿素が解重合する温度例えば350℃に加熱するとアミンに解重合して蒸発し、
図4(k)に示すようにポリ尿素からなる充填物34が除去される。ウエハを加熱するにあたっては、ウエハ上に既に形成されている素子部分、特に銅配線に悪影響を与えないようにするためには、400℃未満例えば390℃以下、例えば300〜350℃で加熱することが好ましい。ポリ尿素の解重合を行う時間、例えば300℃〜400℃で加熱する時間は、素子への熱的ダメージを抑えるという観点から、例えば5分以下が好ましい。
【0025】
ウエハを加熱する処理は例えば
図12に示すように、処理容器51内の載置台52にウエハを載置し、ランプハウス53内の赤外線ランプ54によりウエハを加熱することにより行うことができる。
図12中、55は透過窓、56は窒素ガスを供給する供給管、57は排気管である。処理雰囲気は例えば不活性ガスである窒素ガスを供給しながら真空雰囲気で行ってもよいし(この場合は排気管57には真空排気機構75が接続され、処理容器51は真空容器が用いられる)、常圧雰囲気で行ってもよい。
また加熱機構としては赤外線ランプ54に限らず、載置台52に設けたヒータであってもよい。
【0026】
そして充填物34を除去した後、ビア201の底部のエッチングストッパー膜13をエッチングして除去する(
図4(l))。このエッチングは、エッチングストッパー膜13が例えばSiC膜である場合には、例えばCF
4ガスをプラズマ化して得たプラズマにより行うことができる。
その後、ビア201及びトレンチ202の内面に、後述の導電路である銅が層間絶縁膜20に拡散することを防止するためのバリア層、例えばTiとTiONとの積層膜からなるバリア層35を成膜する(
図5(m))。しかる後、ビア201及びトレンチ202に銅36を埋め込み、余分な銅36、バリア層35、シリコン酸化膜31及びハードマスク32をCMP(Chemical Mechanical Polishing)により除去して銅配線36(銅と同じ符号を用いている)を形成する(
図5(n))。次いでウエハをポリ尿素が解重合する温度例えば350℃に加熱して低誘電率膜20の孔部21に埋め込まれているポリ尿素を除去し(
図5(o))、こうして上層の回路部分が形成される。
低誘電率膜20の孔部21に埋め込まれているポリ尿素を除去する工程は、この例に限られず、例えばエッチングストッパー膜13をエッチングして除去した後(
図4(l))、バリア層35を成膜する前に行ってもよい。
【0027】
第1の実施形態によれば、低誘電率膜20に対して、重合用の原料を供給して低誘電率膜20内の孔部21に尿素結合を有するポリ尿素を埋め込み、エッチング後にウエハを加熱してポリ尿素を解重合するようにしている。このため低誘電率膜20のエッチングを行う時にはポリ尿素(重合体)により保護されている。そしてビア201を形成した後、トレンチ202を形成する前に、ビア201にポリ尿素からなる充填物を埋め込んでいるため、トレンチ202を形成する時にエッチングガスからビア201の内周面が保護される。従って孔部21に重合体を埋め込んでいることと相俟って、エッチングガスから低誘電率膜が保護され、低誘電率膜におけるダメージの発生が抑えられる。
【0028】
以下に第1の実施形態の変形例について記載する
図13及び
図14に示す変形例は、ハードマスク32によりシリコン酸化膜31にトレンチに対応する開口を形成する工程の前にポリ尿素を低誘電率膜20の孔部21に埋め込む点で第1の実施形態と異なっている。即ち低誘電率膜20を形成した後、ウエハに対して既述のようにしてポリ尿素を真空蒸着する処理を行うことにより、低誘電率膜20の孔部21にポリ尿素を埋め込む(
図13(a)、(b))。その後、シリコン酸化膜31を低誘電率膜20の上に成膜し、次いでハードマスク32をシリコン酸化膜31の上に形成し(
図13(c))、更にSOCによりビア用のパターンマスク33を形成する(
図13(d))。
【0029】
次にCH
3Fガスをプラズマ化して得たプラズマによりシリコン酸化膜31をエッチングし、続いてC
6F
6ガスをプラズマ化して得たプラズマにより低誘電率膜20をエッチングし(
図14(e))、こうして形成されたビア201に対応する凹部に第1の実施形態と同様にしてポリ尿素からなる充填物34を埋め込む(
図14(f))。更に酸素ガスをプラズマ化して得たプラズマによりパターンマスク33をアッシングすると共にパターンマスク33のホール内に埋め込まれているポリ尿素をエッチングして除去する(
図14(g))。しかる後、CH
3Fガスをプラズマ化したプラズマによりシリコン酸化膜を31をエッチングして除去する。このときシリコン酸化膜31のホール内に埋め込まれているポリ尿素(充填物34の先端部)はエッチングされずに低誘電率膜20の表面から突出した状態になっている。そして更に第1の実施形態と同様にして低誘電率膜20をエッチングしてトレンチ201を形成する(
図14(h))。このとき充填物34もエッチングされ、トレンチ202の底部から少し突出した状態になるが、
図4(j)にて説明したように、少しアッシングをして充填物34の突出部分を除去することによりトレンチ202の底面が平坦になる。
第1の実施形態では、低誘電率膜20の上のシリコン酸化膜31をエッチングするときにエッチングガスに低誘電率膜20の表面が曝されるが、
図13、
図14の手法では、シリコン酸化膜31をエッチングするときには既に低誘電率膜20の孔部21内にポリ尿素が埋め込まれているので、エッチングガスによるダメージが低誘電率膜20に発生する懸念がない。
【0030】
図15に示す変形例は、第1の実施形態の
図3(h)の状態から
図3(i)の状態に移行する間のステップが第1の実施形態と異なる。
図15(a)に示す状態は
図3(h)に示す状態に対応している。この変形例では、充填物34がパターンマスク33の開口から低誘電率膜20内のビア201に埋め込まれた後、充填物34であるポリ尿素の解重合の温度よりも高い温度にウエハを加熱し、パターンマスク33の開口内のポリ尿素を除去する(
図15(b))。しかる後、ウエハの表面にパターンマスク33と同じ塗布膜であるSOCを形成し
図15(c)、その後SOC膜を除去する(
図15(d))。
図15(d)は
図3(i)の状態に対応する。
この場合には、低誘電率膜20の表面に充填物34の上面を露出させるアッシング工程において、除去対象の膜がSOCだけであることから、ポリ尿素の残渣が発生するおそれがないなどの利点が期待できる。
【0031】
また他の変形例として、ビア20に埋め込む充填物としてポリ尿素以外の材質、例えばSOCを埋め込む例が挙げられる。このような手法として、第1の実施形態の
図3(h)の状態の後、ウエハの表面にSOCを形成し、
図3(h)に示されるホール内にSOCを埋め込む例が挙げられる。この場合には、低誘電率膜20よりも上側の部分のSOCを除去した後、ビア201内の充填物がSOCとなる点を除いて第1の実施形態の
図4(i)と同じ状態となる。低誘電率膜20にトレンチ202を形成するときには、C
6F
6のガスに酸素ガスを添加しておくことにより、低誘電率膜20がエッチングされ、その後、酸素ガスをプラズマ化したプラズマにより充填物34であるSOCをアッシングすることにより、第1の実施形態の
図4(k)と同じ状態になる。
【0032】
図16に示す変形例は、低誘電率膜20の孔部21にポリ尿素を埋め込むタイミングが低誘電率膜20に充填物34を埋め込むタイミングと同時である点で第1の実施形態と異なる。
図16(a)に示す状態は
図2(b)の状態に対応している。この状態の後、
図16(b)に示すようにシリコン酸化膜31の上にビアに対応する開口が形成された、SOCからなるパターンマスク33を形成し、次いでシリコン酸化膜31及び低誘電率膜20をエッチングしてビア201を形成する。次にウエハに対して、第1の実施形態で述べたように蒸着重合によりポリ尿素を成膜する処理を行う。このときビア201から低誘電率膜20内に原料モノマーが入り込んで孔部21内にポリ尿素が埋め込まれると共に、ビア201を含むホール内にポリ尿素からなる充填物34が埋め込まれる(
図16(c))。そしてパターンマスク33及びパターンマスク33の開口内のポリ尿素を解重合により除去することで、
図16(d)の状態が得られる。その後、ハードマスク32を用いてシリコン酸化膜31及び低誘電率膜20を順次エッチングすることにより
図4(j)と同じ状態となる。
【0033】
[第2の実施形態]
本発明の第2の実施形態は、トレンチファーストの手法に適用した方法である。
図17(a)は低誘電率膜20の上に、トレンチに対応する開口が形成されたシリコン酸化膜31及びハードマスク32の積層体が形成されていると共に低誘電率膜20の孔部21内にポリ尿素が埋め込まれている状態を示している。ポリ尿素の埋め込みは、前記積層体に開口が形成された後であってもよいし、低誘電率膜20の上にシリコン酸化膜31を成膜する前の段階であってもよい。
【0034】
そして前記積層体をマスクとして低誘電率膜20をエッチングし、トレンチ202を形成する(
図17(b))。続いてウエハの表面にポリ尿素膜41を既述のようにして成膜し(
図17(c))、ポリ尿素膜41の上層部位を解重合してハードマスク32の表面を露出させる(
図17(d))。しかる後、ウエハの表面にSOC膜33(便宜上、SOCからなるパターンマスクと同じ符号を割り当てている)を形成し、続いてこのSOC膜33上にパターン加工用の反射防止膜37からなる加工用マスクを形成する(
図18(e))。
加工用マスクは、O
2(酸素)ガス、CO
2(二酸化炭素)ガス、NH
3(アンモニア)ガス、あるいはN
2(窒素)ガスとH
2(水素)ガスとの混合ガスをプラズマ化して得たプラズマにより反射防止膜37をエッチングすることにより形成することができる。
続いて既述の加工マスクを用いて、SOC膜33及びポリ尿素膜41を例えば酸素ガスをプラズマ化して得たプラズマによりアッシング(エッチング)して、ビア201に対応する部位に開口を形成する(
図18(f))。このときトレンチ202の内周面に沿ってポリ尿素膜41が形成された状態になる。
次いでエッチングガスとして既述のように例えばC
6F
6ガスをプラズマ化して得られるプラズマにより、低誘電率膜20をエッチングしてビア201を形成する(
図18(g))。次に、酸素ガスをプラズマ化して得たプラズマによりパターンマスク33をアッシングにより除去し、更にトレンチ202の内周面に沿って形成されているポリ尿素膜41を解重合により除去する(
図18(h))。
既述のようにポリ尿素が解重合する温度以上の温度にウエハを加熱し、加熱温度と加熱時間を調整することにより、ポリ尿素膜41が解重合するが、このとき低誘電率膜20においてビア201の内周面に近い部位では、孔部21からポリ尿素が抜ける。
その後の工程は第1の実施形態と同様にして行われる。
【0035】
第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様に低誘電率膜20に対して、重合用の原料を供給して低誘電率膜20内の孔部21にポリ尿素を埋め込み、エッチング後にウエハを加熱してポリ尿素を解重合するようにしている。このため低誘電率膜20のエッチングを行う時には低誘電率膜20が重合体により保護されている。即ちこの点において、第1の実施形態と同様の効果がある。そしてトレンチ202を形成した後、当該トレンチ202内におけるビア201を形成するためのマスクはポリ尿素膜41により形成されているので、トレンチ202内からマスクを除去するときには加熱によるポリ尿素膜41の解重合により行うことができる。このためトレンチ202の内壁のダメージを抑えることができる。
【0036】
以下に第2の実施形態の変形例を記載する。
図19(a)は
図17(b)と同じ状態であり、この状態のウエハの表面にポリ尿素膜41を成膜し(
図19(b))、次いで例えばSOCからなるパターンマスクを用いて、ポリ尿素膜41におけるビア201に対応する部位に開口を形成する(
図19(c))。続いてポリ尿素膜41をマスクとして低誘電率膜20にビア201を形成する(
図19(d))。しかる後、ビア201の底部のエッチングストッパー膜13を既述のようにしてエッチングする(
図20(e))。
その後、ウエハを加熱してポリ尿素膜41を解重合により除去し、更に加熱を続けて低誘電率膜20の孔部21内に埋め込まれているポリ尿素を解重合により除去する(
図20(f))。そして第1の実施形態の
図5(m)、(n)に示すようにバリアメタル35の形成、同配線36の形成を行う。
【0037】
またこの例では、ポリ尿素膜41によりビア201のエッチングのためのマスクを形成しているが、ポリ尿素膜41に代えてSOG膜によりマスクを形成してもよい。この場合、
図19(b)〜
図20(e)に記載したポリ尿素膜41がSOC膜に代わることになる。SOC膜をマスクとした場合には、酸素ガスをプラズマ化したガスによりSOC膜をアッシングすることになるが、低誘電率膜20の孔部21内にはポリ尿素が埋め込まれているので、この工程時におけるプラズマによるダメージが抑えられる。
【0038】
図21、
図22に示す変形例について説明する。この例では、低誘電率膜20の孔部21にポリ尿素を埋め込み(
図21(a)、(b))、次いで低誘電率膜20の上にシリコン酸化膜31を形成し(
図21(c))、更にトレンチに対応する開口を備えた、TiNからなるハードマスク32を形成する。その後、保護膜となるシリコン酸化膜31にもトレンチに対応する開口を形成する。しかる後、ハードマスク32及びシリコン酸化膜31の積層体をマスクとして低誘電率膜20をエッチングし、トレンチ202を形成する(
図21(d))。
更にトレンチ202にポリ尿素膜41を埋め込むようにウエハ上にポリ尿素膜41を成膜する(
図22(e))。その後、ポリ尿素膜41の上にSOC膜を積層し、レジストによりパターニングを行ってビア201に対応する開口をSOC膜に形成したパターンマスク33を用いてポリ尿素膜41をエッチングする(
図22(f))。
続いてポリ尿素膜41及びパターンマスク33を用いて低誘電率膜20をエッチングしてビア201を形成する(
図22(g))。次いで既述のようにしてをアッシングして除去し、更にポリ尿素膜41を解重合により除去する(
図22(h))。この後は、例えば第1の実施形態と同様の工程が行われる。
【0039】
図21、
図22に示す変形例では、低誘電率膜20の孔部21に対するポリ尿素の埋め込みを、低誘電率膜20の上に、トレンチ202に対応する開口部が形成された、シリコン酸化膜31及びハードマスク32の積層体が積層されている状態で行ってもよい。また前記積層体をマスクとして低誘電率膜20をエッチングしてトレンチ202を形成し、次いでポリ尿素膜41をトレンチ202に埋め込むときに、低誘電率膜20の孔部21に対するポリ尿素の埋め込みを同時に行ってもよい。トレンチ202に対するポリ尿素膜41の埋め込みと孔部21内へのポリ尿素の埋め込みとを同時に行うためには、後述の評価試験からも明らかなように、原料モノマーの真空蒸着処理を例えば2段階で行うようにすればよい。この場合、第1段階は、例えばイソシアネートの蒸気とアミンの蒸気とを、第1の実施形態で述べたように窒素ガスによるパージ工程を介して交互に供給する手法とし、第2段階は、例えばイソシアネートの蒸気とアミンの蒸気とを同時に供給する手法とすることができる。
【0040】
図23に示す変形例では、既述の
図22(g)の状態(ヒア201が形成された状態)の後、パターンマスク(SOC)33及びポリ尿素膜41に形成されている凹部にポリ尿素を埋め込む(
図23(a))。その後パターンマスク33及びパターンマスク33内のポリ尿素をエッチングにより除去し(
図23(b))、次いでポリ尿素膜41を解重合により除去する。この例では、パターンマスク33をアッシングするときにビア201の内壁がポリ尿素膜41により覆われていることから、低誘電率膜20のダメージを抑えることができる(
図23(c))。
【実施例】
【0041】
[評価試験1]
SiOCからなる多孔質の低誘電率膜を有する基板に対して、イソシアネートであるH6XDIとアミンであるH6XDAとを交互に気体の状態で3秒ずつ供給すると共にH6XDIの供給工程及びH6XDAの供給工程のうちの一方が終わってから他方が始まる前に窒素ガスによりパージする工程を12秒行い、このサイクルを100サイクル行う成膜処理を行った。この基板について、成膜処理を行う前、成膜処理を行った後、の各々の表面部についてXPS(X-ray Photoelectron Spectroscopyにより組成を調べたところ、
図24及び
図25に示す通りであった。
図24(成膜処理前)及び
図25(成膜処理後)からから分かるように成膜処理を行うことにより低誘電率膜内のC(炭素)が大幅に増加し、またN(窒素)も増加している。従って成膜処理を行うことにより、低誘電率膜の孔部内にポリ尿素が埋め込まれていることが分かる。
【0042】
[評価試験2]
SiOCからなる多孔質の低誘電率膜を有する基板に対して、H6XDIとH6XDAとを交互に気体の状態で3秒ずつ供給し、H6XDIの供給工程及びH6XDAの供給工程のうちの一方が終わってからパージする工程を介在せずに直ぐに他方を行い、このサイクルを100サイクル行う成膜処理を行った。成膜処理後の基板の表面部についてXPSにより組成を調べたところ、
図26に示す通りであった。
図26から分かるように、基板の表面から概ね50nmの深さまでポリ尿素膜が形成され、更に深い領域では
図25と同様である。このことから低誘電率膜の内の孔部にはポリ尿素が埋め込まれているが、低誘電率膜の表面にポリ尿素膜が積層されていると認識できる。
【0043】
[評価試験3]
SiOCからなる多孔質の低誘電率膜を有する基板に対して、H6XDIとH6XDAとを同時に供給して成膜処理を行った。成膜処理後の基板の表面部についてXPSにより組成を調べたところ、
図27に示す通りであった。
図27から分かるように、基板の表面から概ね25nmの深さまでポリ尿素膜が形成され、更に深い領域では
図25と概ね同じである領域が形成されている。このことから、低誘電率膜の内の孔部にはポリ尿素が埋め込まれているが、低誘電率膜の表面には、評価試験2の場合よりも薄いポリ尿素膜が積層されていると認識できる。
【0044】
[評価試験4]
評価試験1において、成膜処理後の基板を窒素ガス雰囲気下において280度で5分間加熱した。成膜処理前の基板、成膜処理後の基板について吸光度を調べた結果は
図28に示す通りである。
図28中、(1)〜(3)は、夫々埋め込み前、埋め込み後、加熱後に対応している。埋め込み後(2)においては、CH結合(矢印a)、CO結合(矢印b)、に対応するピークが見られるが、埋め込み前(1)及び加熱後(3)には、前記ピークは見られない。
従って、既述の成膜処理により低誘電率膜内の孔部にポリ尿素が埋め込まれていること、またポリ尿素の除去処理を行うことで、ポリ尿素が低誘電率膜の中に全く残っていないこと、が裏付けられている。
以上の結果から、原料ガスの供給の手法に応じて、ポリ尿素による低誘電率膜の孔部の埋め込みだけを行ったり、孔部の埋め込みに加えてポリ尿素膜を形成したりすることができることが分かる。