(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
媒体は、それぞれのディスプレイで特に高い透過率および短縮された応答時間で区別され、これらは物理的特性の独自の組み合わせで引起され、特に媒体の誘電的特性、特に媒体の(ε
⊥/ε
av.)の高い比および媒体の誘電比(ε
⊥/Δε)の個々の高い値で引起される。これにより、本発明のディスプレイにおいて優れた媒体の性能がもたらされる。
【0003】
誘電的に正の液晶を使用するIPSおよびFFSディスプレイは当該技術分野でよく知られており、例えばデスクトップ・モニターおよびTVセットなど、また携帯用途向けの種々のタイプのディスプレイで広く採用されてきた。
【0004】
しかしながら、最近では、誘電的に負の液晶を使用するIPSおよび特にFFSディスプレイが広く採用されている。誘電的に負の液晶を使用するFFSディスプレイは、UB−FFS(Ultra Bright FFS(ウルトラ・ブライトFFS))と呼ばれることもある。そのようなディスプレイは、米国特許出願公開第2013/0207038号公報(特許文献1)に開示されている。これらのディスプレイは、誘電的に正の液晶を有するこれまでに使用されてきたIPSおよびFFSディスプレイと比較して、透過率が著しく増加していることを特徴とする。しかしながら、誘電的に負の液晶を使用するこれらのディスプレイには、誘電的に正の液晶を使用する個々のディスプレイよりも高い動作電圧を必要とする極めて不利な点がある。UB−FFSで使用する液晶媒体は−0.5以下、好ましくは−1.5以下の誘電異方性を有する。
【0005】
HB−FFS(High Brightness FFS(ハイ・ブライトネスFFS))は0.5以上、好ましくは1.5以上の誘電異方性を有する。それぞれメソゲン化合物で誘電的に負の液晶化合物および誘電的に正の液晶化合物の両者を含むHB−FFSに使用される液晶媒体は、例えば、米国特許出願公開第2013/0207038号公報(特許文献1)に開示されている。これらの媒体はε
⊥およびε
av.の値が既にかなり大きいとの特徴を有するが、それらの比(ε
⊥/Δε)は比較的小さい。
【0006】
本願によれば、しかしながら、ホモジニアス配向で誘電的に正の液晶媒体によるIPSまたはFFS効果が好ましい。
【0007】
この効果を電気光学的ディスプレイ素子中で工業的に応用するには、多数の要求を満足するLC相が必要となる。ここで特に重要なものは、水分、空気、および熱、赤外線、可視および紫外線領域の放射、直流(DC)および交流(AC)電界などの物理的影響に対する化学的耐性である。
【0008】
更に、工業的に使用できるLC相は、適切な温度範囲内での液晶中間相および低粘度を有することが要求される。
【0009】
液晶中間相を有する現在までに開示された一連の化合物には、単一の化合物で、これら全ての要求を満たすものは含まれていない。従って、LC相として使用できる物質を得るには、一般に、2〜25種類、好ましくは3〜18種類の化合物の混合物を調製する。
【0010】
マトリックス液晶ディスプレイ(MLCディスプレイ:Matrix Liquid−Crystal Display)は既知である。個々のピクセルをそれぞれスイッチングするために使用できる非線形素子は、例えば、アクティブ素子(即ち、トランジスター)である。なお、一般に薄膜トランジスター(TFT:Thin−Film Transistor)を使用する場合に用語「アクティブ・マトリクス」を使用し、TFTは一般に基板としてのガラス板上に配置される。
【0011】
2つの技術に区別される:例えばCdSeなどの化合物半導体またはZnOなどの金属酸化物を含むTFTと、多結晶シリコン、とりわけアモルファス・シリコンに基づくTFTとである。
【0012】
ディスプレイの一方のガラス板の内側にTFTマトリクスを施す一方で、他のガラス板はその内側に透明対向電極を保持する。ピクセル電極の大きさと比較して、TFTは非常に小さく、事実上、画像に対する悪影響はない。また、この技術は、フルカラー対応のディスプレイにも拡張でき、フルカラー・ディスプレイにおいては、フィルター素子がスイッチ可能なピクセルの各々に対向するように、赤、緑および青フィルターのモザイクが配置されている。
【0013】
これまで最も使用されてきたTFTディスプレイは、通常、透過で交差偏光子により動作し、バックライトで照らされる。テレビ用途には、ECB(またはVAN)セルまたはFFSセルが使用される一方で、モニターには通常IPSセルまたはTN(Twisted Nematic(ツイスト・ネマチック))セルを使用に、ノートブック、ラップトップおよび携帯用途には、通常、TN、VAまたはFFSセルを使用する。
【0014】
MLCディスプレイとの用語は、本明細書において、集積非線形素子を有する任意のマトリクスディスプレイ、即ち、アクティブ・マトリクスに加えて、バリスターまたはダイオード(MIM、即ち、metal−insulator−metal:金属−絶縁体−金属)などのパッシブ素子を備えるディスプレイも包含する。
【0015】
このタイプのMLCディスプレイは、テレビ用途、モニターおよびノートブック、または、例えば自動車製造または航空機内での高密度情報ディスプレイに特に適している。コントラストの角度依存性および応答時間に関する問題に加えて、MLCディスプレイにおいては、また、液晶混合物の比抵抗が十分に高くないことに起因する問題もある[TOGASHI、S.、SEKIGUCHI、K.、TANABE,H.、YAMAMOTO、E.、SORIMACHI、K.、TAJIMA、E.、WATANABE、H.、SHIMIZU、H.、Proc.Eurodisplay、第84巻、1984年9月、A210〜288、「Matrix LCD Controlled by Double Stage Diode Rings」、第141ff頁、パリ(非特許文献1);STROMER、M.、Proc.Eurodisplay、第84巻、1984年9月、「Design of Thin Film Transistors for Matrix Addressing of Television Liquid Crystal Displays」、第145ff頁、パリ(非特許文献2)]。抵抗の低下に伴い、MLCディスプレイのコントラストが劣化する。液晶混合物の比抵抗は、ディスプレイの内部表面との相互作用のために、一般に、MLCディスプレイの寿命にわたって低下するので、ディスプレイが長期の動作期間で許容される抵抗値を有するためには高い(初期)抵抗が非常に重要である。
【0016】
IPSディスプレイ(例えば、Yeo、S.D.、論文15.3:「An LC Display for the TV Application」SID 2004 International Symposium、Digest of Technical Papers、XXXV、Book II、第758および759頁(非特許文献3))および長く知られてきたTNディスプレイに加えて、より最近で特にテレビ用途向けで現在最も重要な液晶ディスプレイの3つのタイプの1つとして、ECB効果を使用するディスプレイが、所謂VAN(Vertically Aligned Nematic(垂直配向ネマチック))ディスプレイとして確立されてきた。
【0017】
ここで、最も重要な設計を述べることができる:MVA(Multi−Domain Vertical Alignment(マルチドメイン垂直配向)、例えば:Yoshide、H.ら、論文3.1:「MVA LCD for Notebook or Mobile PCs(以下省略)」SID 2004 International Symposium、Digest of Technical Papers、XXXV、Book I、第6〜9頁(非特許文献4)およびLiu、C.T.ら、論文15.1:「A 46−inch TFT−LCD HDTV Technology(以下省略)」、SID 2004 International Symposium、Digest of Technical Papers、XXXV、Book II、第750〜753頁(非特許文献5))、PVA(Patterned Vertical Alignment(パターン化垂直配向)、例えば:Kim、Sang Soo、論文15.4:「Super PVA Sets New State−of−the−Art for LCD−TV」、SID 2004 International Symposium、Digest of Technical Papers、XXXV、Book II、第760〜763頁(非特許文献6))、ASV(Advanced Super View(先進スーパーヴュー)、例えば:Shigeta、MitzuhiroおよびFukuoka、Hirofumi、論文15.2:「Development of High Quality LCDTV」、SID 2004 International Symposium、Digest of Technical Papers、XXXV、Book II、第754〜757頁(非特許文献7))。VA効果のより最近のものは、所謂PAVA(Photo−Alignment VA(光配向VA))およびPSVA(Polymer−Stabilized VA(ポリマー安定化VA))である。
【0018】
一般的な形で、例えば、2004年6月のSoukにおけるSIDセミナーにおいて、セミナーM−6:「Recent Advances in LCD Technology」、セミナー講義ノート、M−6/1〜M−6/26(非特許文献8)およびMiller、Ian、SIDセミナー 2004、セミナーM−7:「LCD−Television」、セミナー講義ノート、M−7/1〜M−7/32(非特許文献9)において技術が比較されている。オーバードライブによるアドレス方法、例えば:Kim、Hyeon Kyeongら、論文9.1:「A57−in.Wide UXGA TFT−LCD for HDTV Application」、SID 2004 International Symposium、Digest of Technical Papers、XXXV、Book I、第106〜109頁(非特許文献10)によって、近年のECBディスプレイの応答時間は既に著しく改良されてきたが、ビデオに対応できる応答時間を達成することは、特に中間調(灰色遮光)のスイッチングにおいて、依然として未だに満足いくほどには解決されていない問題である。
【0019】
ASVディスプレイなどのECBディスプレイは負の誘電異方性(Δε)を有する液晶媒体を使用する一方で、TNおよび今日までの全ての従来のIPSディスプレイは正の誘電異方性を有する液晶媒体を使用する。しかしながら、現在のところ、誘電的に負の液晶媒体を用いるIPSおよびFFSディスプレイに対する需要が増加している。
【0020】
このタイプの液晶ディスプレイにおいて、液晶は電圧を印加すると光学的特性が可逆的に変化する誘電体として使用される。
【0021】
一般にディスプレイ中において、即ち、これらの既述の効果によるディスプレイ中においても、動作電圧は可能な限り低くなければならないため、全てが同一の符号の誘電異方性を有し可能な限り高い値の誘電異方性を有する液晶化合物から一般に主に成る液晶媒体が使用される。一般に、相対的に最も少量の中性化合物が用いられ、媒体と反対の符号の誘電異方性を有する化合物は可能な限り用いない。よって、例えばECBまたはUB−FFSディスプレイ向けの負の誘電異方性の液晶媒体の場合、負の誘電異方性を有する化合物が主に用いられる。用いられる個々の液晶媒体は、一般に、負の誘電異方性を有する液晶化合物より主に、および更に通常、実質的に成る。
【0022】
本願によって使用される媒体において、一般に液晶ディスプレイは可能な限り低いアドレス電圧を有するように意図されるため、著しい量の誘電的に正の液晶化合物と、一般に非常に少量のみの誘電的に負の化合物とが典型的には用いられ、または更に誘電的に負の化合物は一切用いない。同時に、場合によっては、少量の誘電的に中性の化合物を有益に使用できる。
【0023】
米国特許出願公開第2013/0207038号公報(特許文献1)にはHB−FFSディスプレイ用の液晶媒体が開示されており、誘電的に負の液晶を追加的に取込むことで正の誘電異方性を有する液晶を使用するFFSディスプレイの性能を改良することが提案されている。しかしながら、この方法では、追加された化合物が得られる媒体の全体としての誘電異方性の値を負とする寄与を埋め合わす必要が生じる。このためには誘電的に正の材料の濃度を増加する必要があるが、これでは混合物中の希釈剤としての誘電的に中性の化合物を使用できる量が少なくなってしまうか、または別法として、より強力な正の誘電異方性の化合物を使用しなければならない。これらの方法はいずれも、ディスプレイ中の液晶の応答時間が長くなるという重大な欠点を有する。
【0024】
IPSおよびFFSディスプレイ用の正の誘電異方性を有する液晶媒体は、既に開示されてきた。以下に例を幾つか与える。
【0025】
0.7までの誘電比(ε
⊥/Δε)を有する正の誘電異方性の液晶媒体が、中国特許出願公開第104232105号公報(特許文献2)に開示されている。
【0026】
かなり高い値のε
‖を有するが、誘電比(ε
⊥/Δε)は約0.5のみである正の誘電異方性の液晶媒体が、国際特許出願公開第2014/192390号公報(特許文献3)に開示されている。
【0027】
正の誘電異方性の液晶媒体が国際特許出願公開第2015/007131号公報(特許文献4)に開示されており、それらの幾つかは約0.7および僅かに高い0.88までの誘電比(ε
⊥/Δε)を有する。
【0028】
明らかに、ディスプレイの意図される用途にとって、液晶混合物のネマチック相範囲は十分広くなければならない。
【0029】
また、ディスプレイ中の液晶媒体の応答時間は改良、即ち、短縮されなければならない。このことは、テレビおよびマルチメディアの用途向けのディスプレイにおいて、特に重要である。応答時間を改良するために、液晶媒体の回転粘度(γ
1)を最適化すること、即ち、可能な限り低い回転粘度を有する媒体を達成することが過去に繰り返し提案されてきた。しかしながら、ここで達成された結果は多くに用途にとっては不適切で、従って、更なる最適化手法を見出すことが望まれていると見受けられる。
【0030】
外部からの負荷、特にUV曝露および熱に対する媒体の適切な安定性が、非常に特に重要である。例えば、携帯電話など特に携帯機器中のディスプレイ用途の場合、このことは極めて重要なことがある。
【0031】
MLCディスプレイの比較的劣った透過性および比較的長い応答時間に加え、これまでに開示されたMLCディスプレイは更なる不具合を有する。例えば、MLCディスプレイの比較的低いコントラスト、比較的高い視野角依存性、およびこれらのディスプレイ中で中間調(灰色遮光)を再生することが特に斜めの視野角から見る時に困難なこと、ならびにMLCディスプレイの不適切なVHRおよび不適切な寿命である。MLCディスプレイのエネルギー効率を改良し、個々のMLCディスプレイの高速移動画像に対応する能力を改良するには、ディスプレイの透過性および応答時間の望ましい改良が必要である。
【0032】
よって、非常に高い比抵抗を有すると同時に、広い動作温度範囲、短い応答時間および低い閾電圧を有しており、これらのおかげで各種の中間調(灰色遮光)を生じさせることができ、特に、良好および安定なVHRを有するMLCディスプレイが引き続き強く要求されている。
【発明を実施するための形態】
【0049】
本発明の好ましい実施形態において好ましくは、液晶媒体は以下の成分を含む。
【0050】
a)ダイレクターに直交する高い誘電定数およびダイレクターに平行な高い誘電定数の両者を有し、好ましくは式Iの化合物から成る群より選択される1種類以上の化合物を、好ましくは1%〜60%の範囲内、より好ましくは5%〜40%の範囲内、特に好ましくは8%〜35%の範囲内の濃度で含む。
【0053】
【化3】
nは、0または1を表し、
R
11およびR
12は、それぞれ互いに独立に、好ましくは1〜7個のC原子を有するアルキル、アルコキシ、フッ素化アルキルもしくはフッ素化アルコキシ、または2〜7個のC原子を有するアルケニル、アルケニルオキシ、アルコキシアルキルもしくはフッ素化アルケニルで、好ましくは、アルキル、アルコキシ、アルケニルまたはアルケニルオキシ、最も好ましくは、アルキル、アルコキシまたはアルケニルオキシを表し、あるいは、R
11はR
1を表し、R
12はX
1を表し、
R
1は、好ましくは1〜7個のC原子を有するアルキル、アルコキシ、フッ素化アルキルもしくはフッ素化アルコキシ、または2〜7個のC原子を有するアルケニル、アルケニルオキシ、アルコキシアルキルもしくはフッ素化アルケニルで、好ましくは、アルキルまたはアルケニルを表し、
X
1は、F、Cl、好ましくは1〜4個のC原子を有するフッ素化アルキル、フッ素化アルケニル、フッ素化アルコキシまたはフッ素化アルケニルオキシで、好ましくは、F、Cl、CF
3またはOCF
3、特に、式I−1およびI−2では好ましくはF、式I−4では好ましくはOCF
3を表す。
【0054】
b)式IIおよびIIIの化合物から成る群より選択される1種類以上の誘電的に正の化合物で、それぞれ好ましくは、3より大きい誘電異方性を有する化合物を含む。
【0055】
【化4】
式中、
R
2は、1〜7個のC原子を有するアルキル、アルコキシ、フッ素化アルキルもしくはフッ素化アルコキシ、または2〜7個のC原子を有するアルケニル、アルケニルオキシ、アルコキシアルキルもしくはフッ素化アルケニルで、好ましくは、アルキルまたはアルケニルを表し、
【0057】
【化6】
L
21およびL
22は、それぞれ互いに独立に、HまたはFを表し、好ましくは、L
21はFを表し、
X
2は、ハロゲン、1〜3個のC原子を有するハロゲン化されたアルキルもしくはアルコキシ、または2個または3個のC原子を有するハロゲン化されたアルケニルまたはアルケニルオキシで、好ましくは、F、Cl、−OCF
3、−O−CH
2CF
3、−O−CH=CH
2、−O−CH=CF
2または−CF
3、非常に好ましくは、F、Cl、−O−CH=CF
2または−OCF
3を表し、および
mは、0、1または3で、好ましくは1または2、特に好ましくは1を表す。
【0058】
R
3は、1〜7個のC原子を有するアルキル、アルコキシ、フッ素化アルキルもしくはフッ素化アルコキシ、または2〜7個のC原子を有するアルケニル、アルケニルオキシ、アルコキシアルキルもしくはフッ素化アルケニルで、好ましくは、アルキルまたはアルケニルを表し、
【0060】
【化8】
L
31およびL
32は、それぞれ互いに独立に、HまたはFを表し、好ましくは、L
31はFを表し、
X
3は、ハロゲン、1〜3個のC原子を有するハロゲン化されたアルキルもしくはアルコキシ、または2個または3個のC原子を有するハロゲン化されたアルケニルまたはアルケニルオキシで、好ましくは、F、Cl、−OCF
3、−OCHF
2、−O−CH
2CF
3、−O−CH=CF
2、−O−CH=CH
2または−CF
3、非常に好ましくは、F、Cl、−O−CH=CF
2、−OCHF
2または−OCF
3を表し、
Z
3は、−CH
2CH
2−、−CF
2CF
2−、−COO−、トランス−CH=CH−、トランス−CF=CF−、−CH
2O−または単結合で、好ましくは、−CH
2CH
2−、−COO−、トランス−CH=CH−または単結合、非常に好ましくは、−COO−、トランス−CH=CH−または単結合を表し、および
nは、0、1、2または3で、好ましくは、1、2または3、特に好ましくは1を表す。
【0061】
c)式IVおよびVの化合物から成る群より選択される1種類以上に誘電的に中性の化合物を含んでよい。
【0062】
【化9】
式中、
R
41およびR
42は、互いに独立に、式IIにおいてR
2に対して上で示される意味を有し、好ましくは、R
41がアルキルを表し、R
42がアルキルもしくはアルコキシを表すか、またはR
41がアルケニルを表し、R
42がアルキルを表し、
【0064】
【化11】
Z
41およびZ
42は、互いに独立に、およびZ
41が2回出現する場合、これらも互いに独立に、−CH
2CH
2−、−COO−、トランス−CH=CH−、トランス−CF=CF−、−CH
2O−、−CF
2O−、−C≡C−または単結合を表し、好ましくは、それらの1つ以上は単結合を表し、および
pは、0、1または2で、好ましくは0または1を表す。
【0065】
R
51およびR
52は、互いに独立に、R
21およびR
22に与えられる意味の1つを有し、好ましくは、
1〜7個のC原子を有するアルキル、好ましくはn−アルキル、特に好ましくは1〜5個のC原子を有するn−アルキル、または
1〜7個のC原子を有するアルコキシ、好ましくはn−アルコキシ、特に好ましくは2〜5個のC原子を有するn−アルコキシ、または
2〜7個のC原子を有し、好ましくは2〜4個のC原子を有するアルコキシアルキル、アルケニルもしくはアルケニルオキシ、好ましくはアルケニルオキシを表し、
【0069】
【化15】
Z
51〜Z
53は、それぞれ互いに独立に、−CH
2−CH
2−、−CH
2−O−、−CH=CH−、−C≡C−、−COO−または単結合で、好ましくは、−CH
2−CH
2−、−CH
2−O−または単結合、特に好ましくは単結合を表し、
iおよびjは、それぞれ互いに独立に、0または1を表し、および
(i+j)は、好ましくは、0、1または2、より好ましくは0または1、最も好ましくは1を表す。
【0070】
d)以上の化合物に代えるか追加して、式VI〜IXの化合物から成る群より選択される1種類以上に誘電的に負の化合物も含んでよい。
【0071】
【化16】
式中、
R
61は、
1〜7個のC原子を有する無置換のアルキル基で、好ましくは直鎖状のアルキル基、より好ましくはn−アルキル基、最も好ましくはプロピルまたはペンチル、
2〜7個のC原子を有する無置換のアルケニル基で、好ましくは直鎖状のアルケニル基、特に好ましくは2〜5個のC原子を有するもの、
1〜6個のC原子を有する無置換のアルコキシ基、または
2〜6個のC原子を有する無置換のアルケニルオキシ基を表し、
R
62は、1〜7個のC原子を有する無置換のアルキル基、1〜6個のC原子を有する無置換のアルコキシ基または2〜6個のC原子を有する無置換のアルケニルオキシ基を表し、および
lは、0または1を表す。
【0072】
R
71は、
1〜7個のC原子を有する無置換のアルキル基で、好ましくは直鎖状のアルキル基、より好ましくはn−アルキル基、最も好ましくはプロピルもしくはペンチル、または
2〜7個のC原子を有する無置換のアルケニル基で、好ましくは直鎖状のアルケニル基、特に好ましくは2〜5個のC原子を有するものを表し、
R
72は、1〜7個のC原子を有し、好ましくは2〜5個のC原子を有する無置換のアルキル基、1〜6個のC原子を有し、好ましくは、1個、2個、3個もしくは4個のC原子を有する無置換のアルコキシ基、または2〜6個のC原子を有し、好ましくは、2個、3個もしくは4個のC原子を有する無置換のアルケニルオキシ基を表し、および
【0073】
【化17】
R
81は、
1〜7個のC原子を有する無置換のアルキル基で、好ましくは直鎖状のアルキル基、より好ましくはn−アルキル基、最も好ましくはプロピルもしくはペンチル、または
2〜7個のC原子を有する無置換のアルケニル基で、好ましくは直鎖状のアルケニル基、特に好ましくは2〜5個のC原子を有するものを表し、
R
82は、1〜7個のC原子を有し、好ましくは2〜5個のC原子を有する無置換のアルキル基、1〜6個のC原子を有し、好ましくは、1個、2個、3個もしくは4個のC原子を有する無置換のアルコキシ基、または2〜6個のC原子を有し、好ましくは、2個、3個もしくは4個のC原子を有する無置換のアルケニルオキシ基を表し、
【0074】
【化18】
Z
8は、−(C=O)−O−、−CH
2−O−、−CF
2−O−または−CH
2−CH
2−、好ましくは、−(C=O)−O−または−CH
2−O−を表し、および
oは、0または1を表す。
【0075】
R
91およびR
92は、互いに独立に、上でR
72に与えられる意味を有し、
R
91は、好ましくは、2〜5個のC原子を有し、このましくは3〜5個のC原子を有するアルキル基を表し、
R
92は、好ましくは、2〜5個のC原子を有するアルキルもしくはアルコキシ基で、より好ましくは2〜4個のC原子を有するアルコキシ基、または2〜4個のC原子を有するアルケニルオキシ基を表し、
【0076】
【化19】
pおよびqは、それぞれ互いに独立に、0または1を表し、および
(p+q)は、好ましくは、0または1を表し、あるいは
【0077】
【化20】
好ましくは、p=q=1である。
【0078】
本願による液晶媒体は、好ましくは、ネマチック相を有する。
【0079】
好ましくは、式Iの化合物は、式I−1〜I−4の化合物から成る群より選択される。
【0080】
【化21】
式中、
R
11およびR
12は、それぞれ互いに独立に、好ましくは1〜7個のC原子を有するアルキル、アルコキシ、フッ素化アルキルもしくはフッ素化アルコキシ、または2〜7個のC原子を有するアルケニル、アルケニルオキシ、アルコキシアルキルもしくはフッ素化アルケニルで、好ましくは、アルキル、アルコキシ、アルケニルもしくはアルケニルオキシ、最も好ましくはアルコキシもしくはアルケニルオキシを表し、
R
1は、好ましくは1〜7個のC原子を有するアルキル、アルコキシ、フッ素化アルキルもしくはフッ素化アルコキシ、または2〜7個のC原子を有するアルケニル、アルケニルオキシ、アルコキシアルキルもしくはフッ素化アルケニルで、好ましくは、アルキルまたはアルケニルを表し、および
X
1は、F、Cl、CN、NCS、好ましくは1〜4個のC原子を有するフッ素化アルキル、フッ素化アルケニル、フッ素化アルコキシまたはフッ素化アルケニルオキシで、好ましくは、F、Cl、CF
3またはOCF
3、特に、式I−1およびI−2では好ましくはF、式I−4では好ましくはOCF
3を表す。
【0081】
式I−3の化合物は国際特許出願公開第02/055463号公報に従って調製し、2個のアルコキシ基を含有する式I−3の化合物(R
11がR
1−Oで、R
12がR
2−Oである。)は、好ましくは以下のスキーム(スキーム1)で、ジベンゾフラン基礎化合物より出発して調製する。
【0083】
【化23】
1個のアルコキシ基(R
1−O)および1個のアルキル基(R
2)を含有する式I−3の化合物(R
11がR
1−Oで、R
12がR
2である。)は、好ましくは以下のスキーム(スキーム2)で、ジベンゾフラン基礎化合物より出発して調製する。
【0084】
【化24】
2個のアルキル基を含有する式I−3の化合物(R
11がR
1で、R
12がR
2である。)は、好ましくは以下のスキーム(スキーム3)で、ジベンゾフラン基礎化合物より出発して調製する。
【0085】
【化25】
式I−4の化合物は、好ましくは、例えば以下のスキームで調製する。
【0086】
【化26】
本発明は、更に、本発明による液晶混合物および液晶媒体をIPSおよびFFSディスプレイ中で使用すること、特に、応答時間および/または透過性を改良するために、液晶媒体を含有するSG−FFSディスプレイ中で使用することに関する。
【0087】
本発明は、更に、本発明による液晶媒体を含有する液晶ディスプレイ、特にIPSまたはFFSディスプレイ、特に好ましくはFFSまたはSG−FFSディスプレイに関する。
【0088】
本発明は、更に、2枚の基板(ただし、少なくとも一方の基板は光に対して透明であり、少なくとも一方の基板は電極層を有する。)と、基板間に配置され、重合された成分および低分子量成分を含む液晶媒体層(ただし、重合された成分は、1種類以上の重合性化合物を液晶セルの基板間で液晶媒体中で、好ましくは電圧を印加しながら重合することで得ることができ、ただし、低分子量成分は、上および下に記載される通りの本発明による液晶混合物である。)とから成る液晶セルを含むIPSまたはFFSタイプの液晶ディスプレイに関する。
【0089】
本発明によるディスプイは、好ましくは、アクティブ・マトリクス(Active Matrix LCD、略して、AMD)、好ましくは薄膜トランジスタ(Thin−Film Transistor:TFT)でアドレスされる。しかしながら、本発明による液晶は、他の既知のアドレス方法を有するディスプレイでも有利な態様で使用できる。
【0090】
本発明は、更に、式Iの1種類以上の化合物、好ましくは式I−1〜I−4の化合物から成る群より選択される1種類以上の化合物を、1種類以上の低分子量液晶化合物または液晶混合物と、および任意成分として、更なる液晶化合物および/または添加剤と混合することで、本発明による液晶媒体を調製する方法に関する。
【0091】
上および下で、以下の意味を適用する。
【0092】
他に明らかに示さない限り、用語「FFS」は、FFSおよびSG−FFSディスプレイを表すために使用する。
【0093】
用語「メソゲン基」は当業者に既知で文献に記載されており、その引力および斥力的相互作用の異方性によって、低分子量または高分子物質中で液晶(LC:liquid−crystalline)相の発生に本質的に寄与する基を表す。メソゲン基を含有する化合物(メソゲン化合物)は、それ自身では必ずしもLC相を有する必要はない。また、他の化合物と混合後および/または重合後のみに、メソゲン化合物が液晶相挙動を示すことも可能である。典型的なメソゲン基は、例えば、剛直な棒状または円盤状の形状のユニットである。メソゲンまたは液晶化合物に関して使用される用語および定義の概説は、Pure Appl.Chem.73巻(5号)、888頁(2001年)およびC.Tschierske、G.Pelzl、S.Diele、Angew.Chem.2004年、116巻、6340〜6368頁において与えられている。
【0094】
用語「スペーサー基」または略して「スペーサー」は、上および下では「Sp」とも呼ばれ、当業者に既知で文献に記載されており、例えば、Pure Appl.Chem.、73巻(5号)、888頁(2001年)およびC.Tschierske、G.Pelzl、S.Diele、Angew.Chem.2004年、116巻、6340〜6368頁を参照。他に示さない限り、上および下で用語「スペーサー基」または「スペーサー」は、重合性メソゲン化合物中でメソゲン基および重合性基(1個または複数)を連結している屈曲性の基を表す。
【0095】
本発明の目的において、用語「液晶媒体」は、液晶混合物および1種類以上の重合性化合物(例えば、反応性メソゲンなど)を含む媒体を表すことを意図する。用語「液晶混合物」(または「ホスト混合物」)は、非重合性の低分子量化合物、好ましくは、2種類以上の液晶化合物および任意に更なる添加剤(例えば、キラルドーパントまたは安定剤など)のみから成る液晶混合物を表すことを意図する。
【0096】
特に室温でネマチック相を有する液晶混合物または液晶媒体が、特に好ましい。
【0097】
本発明の好ましい実施形態において、液晶媒体は、式II−1およびII−2の化合物から成る群より選択され、および/または式III−1およびIII−2の化合物から成る群より選択され、3より大きい誘電異方性を有する1種類以上の誘電的に正の化合物を含む。
【0098】
【化27】
式中、パラメーターは式IIにおいて上で示されるそれぞれの意味を有し、および
L
23およびL
24は、互いに独立に、HまたはFを表し、好ましくは、L
23がFを表し、および
【0099】
【化28】
式II−1およびII−2の場合、X
2は、好ましくはFまたはOCF
3を表し、特に好ましくはFであり、および
式II−2の場合、
【0101】
【化30】
式中、パラメーターは、式IIIにおいて与えられる意味を有する。
【0102】
本発明による媒体は、式III−1および/またはIII−2の化合物に代えてか加えて、式III−3の1種類以上の化合物を含んでよい。
【0103】
【化31】
式中、パラメーターは上で示されるそれぞれの意味を有し、パラメーターL
31およびL
32は、互いにおよび他のパラメーターとは独立に、HまたはFを表す。
【0104】
液晶媒体は、好ましくは、L
21およびL
22および/またはL
23およびL
24の両者がFを表す式II−1およびII−2の化合物から成る群より選択される化合物を含む。
【0105】
好ましい実施形態において、液晶媒体は、L
21、L
22、L
23およびL
24の全てがFを表す式II−1およびII−2の化合物から成る群より選択される化合物を含む。
【0106】
液晶媒体は、好ましくは、式II−1の1種類以上の化合物を含む。式II−1の化合物は、好ましくは式II−1a〜II−1eの化合物から成る群より選択され、好ましくは式II−1aおよび/またはII−1bおよび/またはII−1dの1種類以上の化合物であり、好ましくは式II−1aおよび/またはII−1dまたはII−1bおよび/またはII−1d、最も好ましくは式II−1dの化合物である。
【0107】
【化32】
式中、パラメーターは上で示されるそれぞれの意味を有し、および
L
25およびL
26は、互いにおよび他のパラメーターとは独立に、HまたはFを表し、
好ましくは、
式II−1aおよびII−1b中において、L
21およびL
22の両者がFを表し、
式II−1cおよびII−1d中において、L
21およびL
22の両者がFを表し、および/またはL
23およびL
24の両者がFを表し、および
式II−1e中において、L
21、L
22およびL
25がFを表す。
【0108】
液晶媒体は、好ましくは式II−2a〜II−2kの化合物から成る群より選択される式II−2の1種類以上の化合物を好ましくは含み、好ましくは式II−2aおよび/またはII−2hおよび/またはII−2jの1種類以上の化合物を含む。
【0110】
【化34】
式中、パラメーターは上で示されるそれぞれの意味を有し、および
L
25〜L
28は、互いに独立に、HまたはFを表し、好ましくは、L
27およびL
28の両者がHを表し、特に好ましくは、L
26がHを表す。
【0111】
液晶媒体は、好ましくは、L
21およびL
22の両者がFを表し、および/またはL
23およびL
24の両者がFを表す式II−2a〜II−2kの化合物から成る群より選択される化合物を含む。
【0112】
好ましい実施形態において、液晶媒体は、L
21、L
22、L
23およびL
24の全てがFを表す式II−2a〜II−2kの化合物から成る群より選択される化合物を含む。
【0113】
式II−2の特に好ましい化合物は以下の式の化合物で、特に好ましくは式II−2a−1および/またはII−2h−1および/またはII−2k−2の化合物である。
【0115】
【化36】
式中、R
2およびX
2は上で示される意味を有し、およびX
2は好ましくはFを表す。
【0116】
液晶媒体は、好ましくは、式III−1の1種類以上の化合物を含む。式III−1の化合物は、好ましくは、式III−1a〜III−1jの化合物から成る群、好ましくは式III−1c、III−1f、III−1gおよびIII−1jの化合物から成る群より選択される。
【0118】
【化38】
式中、パラメーターは上で与えられる意味を有し、好ましくは式中、パラメーターは上で示されるそれぞれの意味を有し、
パラメーターL
33およびL
34は、互いにおよび他のパラメーターとは独立に、HまたはFを表し、
パラメーターL
35およびL
36は、互いにおよび他のパラメーターとは独立に、HまたはFを表す。
【0119】
液晶媒体は、好ましくは、式III−1cの1種類以上の化合物を含み、該化合物は、好ましくは、式III−1c−1〜III−1c−5の化合物から成る群、好ましくは式III−1c−1および/またはIII−1c−2の化合物から成る群、最も好ましくは式III−1c−1の化合物から成る群より選択される。
【0120】
【化39】
式中、R
3は、上で示される意味を有する。
【0121】
液晶媒体は、好ましくは、式III−1fの1種類以上の化合物を含み、該化合物は、好ましくは、式III−1f−1〜III−1f−6の化合物から成る群、好ましくは式III−1f−1および/またはIII−1f−2および/またはIII−1f−3および/またはIII−1f−6の化合物から成る群、より好ましくは式III−1f−3および/またはIII−1f−6の化合物から成る群、より好ましくは式III−1f−6の化合物から成る群より選択される。
【0122】
【化40】
式中、R
3は、上で示される意味を有する。
【0123】
液晶媒体は、好ましくは、式III−1gの1種類以上の化合物を含み、該化合物は、好ましくは、式III−1g−1〜III−1g−5の化合物から成る群、好ましくは式III−1g−3の化合物から成る群より選択される。
【0124】
【化41】
式中、R
3は、上で示される意味を有する。
【0125】
液晶媒体は、好ましくは、式III−1hの1種類以上の化合物を含み、該化合物は、好ましくは、式III−1h−1〜III−1h−3の化合物から成る群、好ましくは式III−1h−3の化合物から成る群より選択される。
【0126】
【化42】
式中、パラメーターは上で与えられる意味を有し、X
3は好ましくはFを表す。
【0127】
液晶媒体は、好ましくは、式III−1iの1種類以上の化合物を含み、該化合物は、好ましくは、式III−1i−1およびIII−1i−2の化合物から成る群、好ましくは式III−1i−2の化合物から成る群より選択される。
【0128】
【化43】
式中、パラメーターは上で与えられる意味を有し、X
3は好ましくはFを表す。
【0129】
液晶媒体は、好ましくは、式III−1jの1種類以上の化合物を含み、該化合物は、好ましくは、式III−1j−1およびIII−1j−2の化合物から成る群、好ましくは式III−1j−1の化合物から成る群より選択される。
【0130】
【化44】
式中、パラメーターは上で与えられる意味を有する。
【0131】
液晶媒体は、好ましくは、式III−2の1種類以上の化合物を含む。式III−2の化合物は、好ましくは、式III−2aおよびIII−2bの化合物から成る群より選択され、好ましくは式III−2bの化合物である。
【0132】
【化45】
式中、パラメーターは上で示されるそれぞれの意味を有し、および
パラメーターL
31〜L
34は、互いにおよび他のパラメーターとは独立に、HまたはFを表す。
【0133】
液晶媒体は、好ましくは、式III−2aの1種類以上の化合物を含み、該化合物は、好ましくは、式III−2a−1〜III−2a−6の化合物から成る群より選択される。
【0134】
【化46】
式中、R
3は、上で示される意味を有する。
【0135】
液晶媒体は、好ましくは、式III−2bの1種類以上の化合物を含み、該化合物は、好ましくは、式III−2b−1〜III−2b−4の化合物から成る群、好ましくは式III−2b−4の化合物から成る群より選択される。
【0136】
【化47】
式中、R
3は、上で示される意味を有する。
【0137】
式III−1および/またはIII−2の化合物に代えるか加えて、本発明による媒体は、式III−3の1種類以上の化合物を含んでもよい。
【0138】
【化48】
式中、パラメーターは、式IIIにおいて上で示されるそれぞれの意味を有する。
【0139】
これらの化合物は、好ましくは、式III−3aおよびIII−3bの化合物から成る群より選択される。
【0140】
【化49】
式中、R
3は、上で示される意味を有する。
【0141】
本発明による液晶媒体は、好ましくは、式VI、VII、VIIIおよびIXの化合物から成る群より好ましくは選択され、−1.5〜3の範囲内の誘電異方性を有する誘電的に中性の1種類以上の化合物を含む。
【0142】
本願においては、全ての元素がそれらそれぞれの同位体を包含する。特に、化合物中の1個以上のHをDで置き換えてよく、これも実施形態によって特に好ましい。対応する化合物を対応して高度に重水素化することで、例えば、当該化合物の検出および認識が可能となる。これは、特に式Iの化合物の場合、場合により非常に有用である。
【0143】
本願において、
アルキルは、特に好ましくは、直鎖状のアルキル、特に、CH
3−、C
2H
5−、n−C
3H
7−、n−C
4H
9−またはn−C
5H
11−を表し、および
アルケニルは、特に好ましくは、CH
2=CH−、E−CH
3−CH=CH−、CH
2=CH−CH
2−CH
2−、E−CH
3−CH=CH−CH
2−CH
2−またはE−(n−C
3H
7)−CH=CH−を表す。
【0144】
本発明の好ましい実施形態において、本発明による媒体は、それぞれの場合に、式VI−1およびVI−2の化合物から成る群より選択される式VIの1種類以上の化合物、好ましくは、式VI−1それぞれの1種類以上の化合物および式VI−2それぞれの1種類以上の化合物を含む。
【0145】
【化50】
式中、パラメーターは、式VIにおいて上で与えられるそれぞれの意味を有し、好ましくは、特に、
式VI−1において、
R
61およびR
62は、それぞれ互いに独立に、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシまたはペントキシ、好ましくは、エトキシ、ブトキシまたはペントキシ、より好ましくはエトキシまたはブトキシ、最も好ましくはブトキシを表し、
式VI−2において、
R
61は、好ましくは、ビニル基、1−E−プロペニル、ブタ−4−エン−1−イル、ペンタ−1−エン−1−イルまたはペンタ−3−エン−1−イルおよびn−プロピルまたはn−ペンチルを表し、および
R
62は、1〜7個のC原子、好ましくは2〜5個のC原子を有する無置換のアルキル基、好ましくは、1〜6個のC原子、特に好ましくは2〜4個のC原子を有する無置換のアルコキシ基、最も好ましくはエトキシ基を表す。
【0146】
本発明の好ましい実施形態において、本発明による媒体は、それぞれの場合に、式VII−1〜VII−3の化合物から成る群より選択される式VIIの1種類以上の化合物、好ましくは、式VII−1それぞれの1種類以上の化合物および式VII−2それぞれの1種類以上の化合物を含む。
【0147】
【化51】
式中、パラメーターは、式VIIにおいて上で与えられるそれぞれの意味を有し、好ましくは、
R
71は、ビニル基、1−E−プロペニル、ブタ−4−エン−1−イル、ペンタ−1−エン−1−イルまたはペンタ−3−エン−1−イル、n−プロピルまたはn−ペンチルを表し、および
R
72は、1〜7個のC原子、好ましくは2〜5個のC原子を有する無置換のアルキル基、好ましくは、1〜6個のC原子、特に好ましくは2〜4個のC原子を有する無置換のアルコキシ基、最も好ましくはエトキシ基を表す。
【0148】
本発明の好ましい実施形態において、本発明による媒体は、それぞれの場合に、以下の式の化合物から成る群より選択される式VI−1の1種類以上の化合物を含む。
【0149】
【化52】
本発明の好ましい実施形態において、本発明による媒体は、それぞれの場合に、以下の式の化合物から成る群より選択される式VI−2の1種類以上の化合物を含む。
【0150】
【化53】
本発明の好ましい実施形態において、本発明による媒体は、それぞれの場合に、以下の式の化合物から成る群より選択される式VII−1の1種類以上の化合物を含む。
【0151】
【化54】
本発明の好ましい実施形態において、本発明による媒体は、それぞれの場合に、以下の式の化合物から成る群より選択される式VII−2の1種類以上の化合物を含む。
【0152】
【化55】
式Iまたはその好ましいサブ式の化合物に加えて、本発明による媒体は、好ましくは、式VIおよびVIIの化合物から成る群より選択される誘電的に負の1種類以上の化合物を、好ましくは、5%以上〜90%以下、好ましくは10%以上〜80%以下、特に好ましくは20%以上〜70%以下の範囲内の総濃度で含む。
【0153】
本発明の好ましい実施形態において、本発明による媒体は、それぞれの場合に、式VIII−1〜VIII−3の化合物から成る群より選択される式VIIIの1種類以上の化合物、好ましくは、式VIII−1それぞれの1種類以上の化合物および/または式VIII−3それぞれの1種類以上の化合物を含む。
【0154】
【化56】
式中、パラメーターは、式VIIIにおいて上で与えられるそれぞれの意味を有し、好ましくは、
R
81は、ビニル基、1−E−プロペニル、ブタ−4−エン−1−イル、ペンタ−1−エン−1−イルまたはペンタ−3−エン−1−イル、エチル、n−プロピルまたはn−ペンチルを表し、アルキル、好ましくは、エチル、n−プロピルまたはn−ペンチルを表し、および
R
82は、1〜7個のC原子、好ましくは1〜5個のC原子を有する無置換のアルキル基、または1〜6個のC原子を有する無置換のアルコキシ基を表す。
【0155】
式VIII−1およびVIII−2において、R
82は、好ましくは、2個または4個のC原子を有するアルコキシ、最も好ましくはエトキシを表し、
式VIII−3において、R
82は、好ましくは、アルキル、好ましくはメチル、エチルまたはn−プロピル、最も好ましくはメチルを表す。
【0156】
更に好ましい実施形態において、媒体は、式IVの1種類以上の化物を含む。
【0157】
【化57】
式中、
R
41は、1〜7個のC原子を有する無置換のアルキル基または2〜7個のC原子を有する無置換のアルケニル基を表し、好ましくはn−アルキル基、特に好ましくは2個、3個、4個または5個のC原子を有するn−アルキル基を表し、および
R
42は、1〜7個のC原子を有する無置換のアルキル基、2〜7個のC原子を有する無置換のアルケニル基または1〜6個のC原子を有する無置換のアルコキシ基を表し、両者は好ましくは2〜5個のC原子を有し、好ましくは2個、3個または4個のC原子を有する無置換のアルケニル基、より好ましくはビニル基または1−プロピル基、特にはビニル基を表す。
【0158】
特に好ましい実施形態において、媒体は、式IV−1〜IV−4の化合物から成る群より選択される式IVの1種類以上の化合物、好ましく式IV−1の1種類以上の化合物を含む。
【0159】
【化58】
式中、
alkylおよびalkyl’は、1〜7個のC原子を有し、好ましくは2〜5個のC原子を有するアルキル基を表し、
alkenylおよびalkenyl’は、互いに独立に、2〜5個のC原子を有し、好ましくは2〜4個のC原子を有し、特に好ましくは2個のC原子を有するアルケニル基を表し、
alkenyl’は、好ましくは、2〜5個のC原子を有し、好ましくは2〜4個のC原子を有し、特に好ましくは2個または3個のC原子を有するアルケニル基を表し、および
alkoxyは、1〜5個のC原子を有し、好ましくは2〜4個のC原子を有するアルコキシ基を表す。
【0160】
特に好ましい実施形態において、本発明による媒体は、式IV−1の1種類以上の化合物および/または式IV−2の1種類以上の化合物を含む。
【0161】
更に好ましい実施形態において、媒体は、式Vの1種類以上の化合物を含む。
【0162】
本発明による媒体は、好ましくは、以下に示す総濃度で以下の化合物を含む:
・式Iの化合物から成る群より選択される1種類以上の化合物を1〜60重量%、および
・好ましくは式II−1およびII−2の化合物から成る群より選択される式IIの1種類以上の化合物を5〜60重量%、および/または
・式IIIの1種類以上の化合物を5〜25重量%、および/または
・式IVの1種類以上の化合物を5〜45重量%、および/または
・式Vの1種類以上の化合物を5〜25重量%、および/または
・式VIの1種類以上の化合物を5〜25重量%、および/または
・式VIIの1種類以上の化合物を5〜20重量%、および/または
・好ましくは式VIII−1およびVIII−2の化合物から成る群より選択される式VIIIの1種類以上の化合物を5〜30重量%、および/または
・式IXの1種類以上の化合物を0〜60重量%、
ただし、媒体中に存在する式I〜IXの全ての化合物の総含有量は、好ましくは95重量%以上、より好ましくは100重量%である。
【0163】
媒体における全ての化合物の総含有量が好ましくは95重量%以上、より好ましくは100重量%であるとの条件は、本願による媒体の全てに当てはまる。
【0164】
更に好ましい実施形態において、本発明による媒体は、式Iおよびそれの好ましいサブ式の化合物に加え、および式VIおよび/またはVIIおよび/またはVIIIおよび/またはIXの化合物に加え、好ましくは、式IVおよびVの化合物から成る群より選択される誘電的に中性の1種類以上の化合物を、好ましくは、5重量%以上〜90重量%以下、好ましくは10重量%以上〜80重量%以下、特に好ましくは20重量%以上〜70重量%以下の範囲内の総濃度で含む。
【0165】
本発明による媒体は、特に好ましい実施形態において、
・式IIの1種類以上の化合物を、5重量%以上〜50重量%以下の範囲内、好ましくは10重量%以上〜40重量%以下の範囲内の総濃度で、および/または
・式VII−1の1種類以上の化合物を、5重量%以上〜30重量%以下の範囲内の総濃度で、および/または
・式VII−2の1種類以上の化合物を、3重量%以上〜30重量%以下の範囲内の総濃度で
を含む。
【0166】
好ましくは、本発明による媒体における式Iの化合物の濃度は、1重量%以上〜60重量%以下、より好ましくは5重量%以上〜40重量%以下、最も好ましくは8重量%以上〜35重量%以下の範囲内である。
【0167】
本発明の好ましい実施形態において、媒体における式IIの化合物の濃度は、3重量%以上〜60重量%以下、より好ましくは5重量%以上〜55重量%以下、より好ましくは10重量%以上〜50重量%以下、最も好ましくは15重量%以上〜45重量%以下の範囲内である。
【0168】
本発明の好ましい実施形態において、媒体における式VIIの化合物の濃度は、2重量%以上〜50重量%以下、より好ましくは5重量%以上〜40重量%以下、より好ましくは10重量%以上〜35重量%以下、最も好ましくは15重量%以上〜30重量%以下の範囲内である。
【0169】
本発明の好ましい実施形態において、媒体における式VII−1の化合物の濃度は、1重量%以上〜40重量%以下、より好ましくは2重量%以上〜35重量%以下、あるいは15重量%以上〜25重量%以下の範囲内である。
【0170】
本発明の好ましい実施形態において、媒体における式VII−2の化合物の濃度は、存在しているのであれば、1重量%以上〜40重量%以下、より好ましくは5重量%以上〜35重量%以下、最も好ましくは10重量%以上〜30重量%以下の範囲内である。
【0171】
本発明は、本発明による液晶媒体を含有する電気光学的ディスプレイまたは電気光学的部品にも関する。VA、ECB、IPSまたはFFS効果に基づき、好ましくは、VA、IPSまたはFFS効果に基づく電気光学的ディスプレイで、特に、アクティブ・マトリクス・アドレス装置でアドレスされるものが好ましい。
【0172】
よって同様に、本発明は、電気光学的ディスプレイまたは電気光学的部品における本発明による液晶媒体の使用に関し、更に
式Iの1種類以上の化合物を、式IIの1種類以上の化合物、好ましくは式II−1および/またはII−2の1種類以上の化合物と、および/または式VIIの1種類以上の化合物、好ましくは式VII−1および/またはVII−2の1種類以上の化合物と混合し、特に好ましくは、式II−1、II−2、VII−1およびVII−2の2つ以上、好ましくは3つ以上の異なる式で非常に好ましくは、これら4つ全ての1種類以上の化合物と、好ましくは式IVおよびVの化合物から成る群より選択される1種類以上の更なる化合物、より好ましくは式IVおよび式Vの両方の1種類以上の化合物と混合することを特徴とする本発明による液晶媒体を調製する方法に関する。
【0173】
更に好ましい実施形態において、媒体は、式IV−2およびIV−3の化合物から成る群より選択される式IVの1種類以上の化合物を含む。
【0174】
【化59】
式中、
alkylおよびalkyl’は、互いに独立に、1〜7個のC原子を有し、好ましくは2〜5個のC原子を有するアルキルを表し、
alkoxyは、1〜5個のC原子を有し、好ましくは2〜4個のC原子を有するアルコキシを表す。
【0175】
更に好ましい実施形態において、媒体は、式V−1およびV−2好ましくは式V−1の化合物から成る群より選択される式Vの1種類以上の化合物を含む。
【0176】
【化60】
式中、パラメーターは、式Vにおいて上で与えられる意味を有し、好ましくは、
R
51は、1〜7個のC原子を有するアルキルまたは2〜7個のC原子を有するアルケニルを表し、
R
52は、1〜7個のC原子を有するアルキル、2〜7個のC原子を有するアルケニルまたは1〜6個のC原子を有するアルコキシ、好ましくはアルキルまたはアルケニル、特に好ましくはアルキルを表す。
【0177】
更に好ましい実施形態において、媒体は、式V−1aおよびV−1bの化合物から成る群より選択される式V−1の1種類以上の化合物を含む。
【0178】
【化61】
式中、
alkylおよびalkyl’は、互いに独立に、1〜7個のC原子を有し、好ましくは2〜5個のC原子を有するアルキルを表し、
alkenylは、2〜7個のC原子を有し、好ましくは2〜5個のC原子を有するアルケニルを表す。
【0179】
加えて、本発明は、式IIの1種類以上の化合物を含み、式VII−1ならびにVII−2の化合物から成る群より選択される1種類以上の化合物および/または式IVの1種類以上の化合物および/または式Vの1種類以上の化合物を含んでもよい液晶媒体の波長分散性を低減する方法であって、式Iの1種類以上の化合物を媒体において使用することを特徴とする方法に関する。
【0180】
式I〜Vの化合物に加え、他の構成成分も、例えば、混合物全体の45重量%まで、しかし好ましくは35重量%まで、特に10重量%までの量で存在してよい。
【0181】
本発明による媒体は誘電的に正の成分も含んでよく、それらの総濃度は、媒体全体に基づき、好ましくは20重量%以下、より好ましくは10重量%以下である。
【0182】
好ましい実施形態において、本発明による液晶媒体は、混合物全体に基づき総量で
・1重量%以上〜20重量%以下、好ましくは2重量%以上〜15重量%以下、特に好ましくは3重量%以上〜12重量%以下の式Iの化合物と
・20重量%以上〜50重量%以下、好ましくは25重量%以上〜45重量%以下、特に好ましくは30重量%以上〜40重量%以下の式IIおよび/またはIIIの化合物と、および
・0重量%以上〜35重量%以下、好ましくは2重量%以上〜30重量%以下、特に好ましくは3重量%以上〜25重量%以下の式IVおよび/またはVの化合物と、および
・5重量%以上〜50重量%以下、10重量%以上〜45重量%以下、好ましくは15重量%以上〜40重量%以下の式VIおよび/またはVIIおよび/またはVIIIおよび/またはIXの化合物と
を含む。
【0183】
本発明による液晶媒体は、1種類以上のキラル化合物を含んでよい。
【0184】
本発明の特に好ましい実施形態は、以下の1つ以上の条件を満たす。ただし、頭字語(略称)は表A〜Cに説明されており、表Dに化合物が例示されている。
【0185】
好ましくは、本発明による媒体は、以下の1つ以上の条件を満たす。
【0186】
i)液晶媒体は、0.060以上、特に好ましく0.070以上の複屈折を有する。
【0187】
ii)液晶媒体は、0.200以下、特に好ましくは0.180以下の複屈折を有する。
【0188】
iii)液晶媒体は、0.090以上〜0.120以下の範囲内の複屈折を有する。
【0189】
iv)液晶媒体は、式I−1の1種類以上の特に好ましい化合物を含む。
【0190】
v)混合物全体における式IIの化合物の総濃度は25重量%以上、好ましくは30重量%以上で、好ましくは25重量%以上〜49重量%以下の範囲内、特に好ましくは29重量%以上〜47重量%以下の範囲内、非常に特に好ましくは37重量%以上〜44重量%以下の範囲内である。
【0191】
vi)液晶媒体は、以下の式:CC−n−Vおよび/またはCC−n−Vmおよび/またはCC−V−Vおよび/またはCC−V−Vnおよび/またはCC−nV−Vnの化合物から成る群より選択される式IVの1種類以上の化合物、特に好ましくはCC−3−Vの化合物を、好ましくは60重量%以下まで、特に好ましくは50重量%以下までの濃度で含み、CC−3−V1を好ましくは15重量%以下までの濃度で、および/またはCC−4−Vを好ましくは24重量%以下まで、特に好ましくは30重量%以下までの濃度で追加して含んでよい。
【0192】
vii)媒体は、式CC−n−V、好ましくはCC−3−Vの化合物を、好ましくは1重量%以上〜60重量%以下の濃度で、より好ましくは3重量%以上〜35重量%以下の濃度で含む。
【0193】
viii)混合物全体における式CC−3−Vの化合物の総濃度は、好ましくは、15重量%以下、好ましくは10重量%以下、または20重量%以上、好ましくは25重量%以上である。
【0194】
ix)混合物全体における式Y−nO−Omの化合物の総濃度は、2重量%以上〜30重量%以下、好ましくは5重量%以上〜15重量%以下である。
【0195】
x)混合物全体における式CY−n−Omの化合物の総濃度は、5重量%以上〜60重量%以下、好ましくは15重量%以上〜45重量%以下である。
【0196】
xi)混合物全体における式CCY−n−Omおよび/またはCCY−n−m、好ましくはCCY−n−Omの化合物の総濃度は、5重量%以上〜40重量%以下、好ましくは1重量%以上〜25重量%以下である。
【0197】
xii)混合物全体における式CLY−n−Omの化合物の総濃度は、5重量%以上〜40重量%以下、好ましくは10重量%以上〜30重量%以下である。
【0198】
xiii)液晶媒体は、式IV、好ましくは式IV−1および/またはIV−2の1種類以上の化合物を、好ましくは1重量%以上、特に2重量%以上、非常に特に好ましくは3重量%以上〜50重量%以下、好ましくは35重量%以下の総濃度で含む。
【0199】
xiv)液晶媒体は、式V、好ましくは式V−1および/またはV−2の1種類以上の化合物を、好ましくは1重量%以上、特に2重量%以上、非常に特に好ましくは15重量%以上〜35重量%以下、好ましくは〜30重量%以下の総濃度で含む。
【0200】
xv)混合物全体における式CCP−V−n、好ましくはCCP−V−1の化合物の総濃度は、好ましくは5重量%以上〜30重量%以下、好ましくは15重量%以上〜25重量%以下である。
【0201】
xvi)混合物全体における式CCP−V2−n、好ましくはCCP−V2−1の化合物の総濃度は、好ましくは1重量%以上〜15重量%以下、好ましくは2重量%以上〜10重量%以下である。
【0202】
本発明は、更に、VA、ECB、IPS、FFSまたはUB−FFS効果に基づくアクティブ・マトリクス・アドレスを有する電気光学的ディスプレイであって、本発明による液晶媒体を誘電体として含有することを特徴とする電気光学的ディスプレイに関する。
【0203】
液晶混合物は、好ましくは、少なくとも70℃の温度幅を有するネマチック相範囲を有する。
【0204】
回転粘度γ
1は、好ましくは350mPa・秒以下、好ましくは250mPa・秒以下、特に150mPa・秒以下である。
【0205】
本発明による混合物は、例えばSG−FFSなどの誘電的に正の液晶媒体を使用する全てのIPSおよびFFS−TFT用途に適している。
【0206】
本発明による液晶媒体は、好ましくは実質的に完全に、4〜15種類、特に5〜12種類、特に好ましくは10種類以下の化合物から成る。これらは、好ましくは、式I、II、III、IV、V、VI、VII、VIIIおよびIXの化合物から成る群より選択される。
【0207】
本発明による液晶媒体は、18種類より多くの化合物も含んでよい。この場合、媒体は、好ましくは、18〜25種類の化合物を含む。
【0208】
好ましい実施形態において、本発明による液晶媒体は、シアノ基を含まない化合物を大部分が含み、好ましくは本質的に成り、最も好ましくは実質的に完全に成る。
【0209】
好ましい実施形態において、本発明による液晶媒体は、式I、II、III、IVおよびVならびにVI〜IXの化合物から成る群より選択され、好ましくは式I−1、I−2、I−3、I−4、II−1、II−2、III−1、III−2、IV、V、VII−1、VII−2、VIIIおよびIXの化合物から成る群より選択される化合物を含み、媒体は該式の化合物から好ましくは大部分が成り、特に好ましくは本質的に成り、非常に特に好ましくは実質的に完全に成る。
【0210】
本発明による液晶媒体は、それぞれの場合で、好ましくは少なくとも−10℃以下〜70℃以上、特に好ましくは−20℃以下〜80℃以上、非常に特に好ましくは−30℃以下〜85℃以上、最も好ましくは−40℃以下〜90℃以上のネマチック相を有する。
【0211】
本明細書において、表現「ネマチック相を有する」は、一方で、対応する温度における低温においてスメクチック相および結晶化が確認されず、他方で、ネマチック相から加熱しても依然として透明化が起きないことを意味する。低温における検討は対応する温度において流動粘度計中で行なわれ、電気光学的な用途に対応する層厚を有する試験用セル中において少なくとも100時間保存して確認する。対応する試験用セル中において−20℃の温度における保存安定性が1000時間以上の場合、媒体はこの温度において安定であるとする。−30℃および−40℃の温度において、対応する時間は、それぞれ500時間および250時間である。高温においては、毛細管中で従来法によって透明点を測定する。
【0212】
好ましい実施形態にいて、本発明による液晶媒体は、適度に低い範囲の光学異方性の値で特徴付けられる。複屈折値は、好ましくは0.075以上〜0.130以下の範囲内、特に好ましくは0.085以上〜0.120以下の範囲内、非常に特に好ましくは0.090以上〜0.115以下の範囲内である。
【0213】
この実施形態において、本発明による液晶媒体は、正の誘電異方性および誘電異方性Δεの比較的高い絶対値を有し、Δεは、0.5以上、好ましくは1.0以上、より好ましくは2.0以上〜20以下、より好ましくは15以下で、より好ましくは3.0以上〜10以下、特に好ましくは4.0以上〜9.0以下、非常に特に好ましくは4.5以上〜8.0以下の範囲内である。
【0214】
本発明による液晶媒体は、好ましくは、1.0V以上〜2.5V以下、好ましくは1.2V以上〜2.2V以下、特に好ましくは1.3V以上〜2.0V以下の範囲内の比較的低い値の閾電圧(V
0)を有する。
【0215】
更に好ましい実施形態において、本発明による液晶媒体は、好ましくは、比較的高い値の平均誘電定数(ε
av.≡(ε
‖+2ε
⊥)/3)を有し、ε
av.は、好ましくは、8.0以上〜25.0以下、好ましくは8.5以上〜20.0以下、更により好ましくは9.0以上〜19.07以下、特に好ましくは10.0以上〜18.0以下、非常に特に好ましくは11.0以上〜16.5以下の範囲内である。
【0216】
加えて、本発明による液晶媒体は、液晶セル中において、高い値のVHRを有する。
【0217】
20℃でセル中に新たに充填したセルにおいて、これらの媒体のVHR値は95%より大きいか等しく、好ましくは97%より大きいか等しく、特に好ましくは98%より大きいか等しく、非常に特に好ましくは99%より大きいか等しく、100℃においてセル中でオーブン内5分後では、VHRは90%より大きいか等しく、好ましくは93%より大きいか等しく、特に好ましくは96%より大きいか等しく、非常に特に好ましくは98%より大きいか等しい。
【0218】
ここで一般に、アドレス電圧または閾電圧が低い液晶媒体はアドレス電圧または閾電圧が高い液晶媒体より低いVHRを有し、その逆も同様である。
【0219】
また、本発明による媒体によれば、個々の物理的特性のこれらの好ましい値は、好ましくはそれぞれの場合で、それぞれの組み合わせで維持される。
【0220】
本願において、用語「化合物」は「化合物(1種類または多種類)」とも記載し、特に他に明記しない限り、1種類の化合物および多種類の化合物の両者を意味する。
【0221】
好ましい実施形態において、本発明による液晶媒体は、
・1種類以上の式Iの化合物、および
・1種類以上の式IIで、好ましくは式PUQU−n−F、CDUQU−n−F、APUQU−n−FおよびPGUQU−n−Fの化合物、および/または、
・1種類以上の式IIIで、好ましくは式CCP−n−OT、CGG−n−FおよびCGG−n−ODの化合物、および/または、
・1種類以上の式IVおよび/またはVで、好ましくは式CC−n−V、CCP−n−m、CCP−V−n、CCP−V2−nおよびCGP−n−nの化合物、および/または、
・1種類以上の式VIで、好ましくは、式Y−3−O1、Y−4O−O4、CY−3−O2、CY−3−O4、CY−5−O2およびCY−5−O4の化合物から成る群より選択される式Y−n−Om、Y−nO−Omおよび/またはCY−n−Omの化合物、および/または、
・任意成分として好ましくは必須成分として、1種類以上の式VII−1で、好ましくは式CCY−n−mおよびCCY−n−Omの化合物から成る群より選択され、好ましくは式CCY−n−Omで、好ましくは式CCY−3−O2、CCY−2−O2、CCY−3−O1、CCY−3−O3、CCY−4−O2、CCY−3−O2およびCCY−5−O2の化合物から成る群より選択される化合物、および/または、
・任意成分として好ましくは必須成分として、1種類以上の式VII−2で、好ましくは式CLY−n−Omで、好ましくは式CLY−2−O4、CLY−3−O2およびCLY−3−O3の化合物から成る群より選択される化合物、および/または、
・1種類以上の式VIIIで、好ましくは式CZY−n−OnおよびCCOY−n−mの化合物、および/または、
・1種類以上の式IXで、好ましくは式PYP−n−mの化合物、および/または、
・任意成分として好ましくは必須成分として、1種類以上の式IVで、好ましくは式CC−n−V、CC−n−VmおよびCC−nV−Vmの化合物から成る群より選択され、好ましくは式CC−3−V、CC−3−V1、CC−4−V、CC−5−VおよびCC−V−Vで、特に好ましくは式CC−3−V、CC−3−V1、CC−4−VおよびCC−V−Vの化合物から成る群より選択される化合物で、非常に特に好ましくは化合物CC−3−V、ならびに任意成分として追加的に、化合物(1種類または多種類)CC−4−Vおよび/またはCC−3−V1および/またはCC−V−V、および/または、
・任意成分として好ましくは必須成分として、1種類以上の式Vで、好ましくは式CCP−V−1および/またはCCP−V2−1の化合物
を含む。
【0222】
本発明の具体的な好ましい実施形態において、本発明による媒体は、式IXの1種類以上の化合物を含む。
【0223】
式IXの化合物は、特にp=q=1で、環A9が1,4−フェニレンの場合、液晶混合物中で安定剤としても非常に適している。特に、式IXの化合物は、UV曝露に対する混合物のVHRを安定化する。
【0224】
好ましい実施形態において、本発明による液晶媒体は、式IX−1〜IX−4、非常に特に好ましくは式IX−1〜IX−3の化合物から成る群より選択される式IXの1種類以上の化合物を含む。
【0225】
【化62】
式中、パラメーターは、式IXで与えられる意味を有する。
【0226】
更に好ましい実施形態において、媒体は、式IX−3、好ましくは式IX−3−aの1種類以上の化合物を含む。
【0227】
【化63】
式中、
alkylおよびalkyl’は、互いに独立に、1〜7個のC原子を有し、好ましくは2〜5個のC原子を有するアルキルを表す。
【0228】
本願による液晶媒体中で式IXの化合物を使用する場合、式IXの化合物は、好ましくは20重量%以下、より好ましくは10重量%以下、最も好ましくは5重量%以の濃度で存在し、式IXの個々の同属化合物はそれぞれ好ましくは10重量%以下、より好ましくは5重量%以下の濃度で存在する。
【0229】
本発明においては個々の場合で他に示さない限り、組成物の構成成分の特定に関連して以下の定義を適用する。
【0230】
・「含む」:組成物中の対象となる構成成分の濃度は、好ましくは5重量%以上、特に好ましくは10重量%以上、非常に特に好ましくは20重量%以上である。
【0231】
・「大部分が成る」:組成物中の対象となる構成成分の濃度は、好ましくは50重量%以上、特に好ましくは55重量%以上、非常に特に好ましくは60重量%以上である。
【0232】
・「本質的に成る」:組成物中の対象となる構成成分の濃度は、好ましくは80重量%以上、特に好ましくは90重量%以上、非常に特に好ましくは95重量%以上である。
【0233】
・「実質的に完全に成る」:組成物中の対象となる構成成分の濃度は、好ましくは98重量%以上、特に好ましくは99重量%以上、非常に特に好ましくは100.0重量%である。
【0234】
以上の定義は、組成物の成分および化合物であり得る構成成分を有する組成物としての媒体と、また分の構成成分および化合物を有する成分との両者に適用する。媒体全体に対する個々の化合物の濃度に関する限り、用語「含む」は、対象となる化合物の濃度が、好ましくは1重量%以上、特に好ましくは2重量%以上、非常に特に好ましくは4重量%以上であることを意味する。
【0235】
本発明において、「≦」は未満または等しいこと、好ましくは未満を意味し、「≧」はより大きいか等しいこと、好ましくは大きいことを意味する。
【0237】
【化64】
は、トランス−1,4−シクロヘキシレンを表し、および
【0238】
【化65】
は、1,4−フェニレンを表す。
【0239】
本発明において、表現「誘電的に正の化合物」はΔε>1.5である化合物を意味し、表現「誘電的に中性の化合物」は−1.5≦Δε≦1.5である化合物を意味し、表現「誘電的に負の化合物」はΔε<−1.5である化合物を意味する。本明細書においては、液晶ホストに10重量%の化合物を溶解し、それぞれの場合で、セル厚20μm、ホメオトロピック表面配向およびホモジニアス表面配向を有する少なくとも1個の試験用セル中で1kHzにおいて得られた混合物の容量を決定することで、化合物の誘電異方性を決定する。測定電圧は典型的には0.5V〜1.0Vであるが、検討されるそれぞれの液晶混合物の容量閾値よりも常に低くくする。
【0240】
誘電的に正および誘電的に中性の化合物に使用されるホスト混合物はZLI−4792で、誘電的に負の化合物に使用されるホスト混合物はZLI−2857であり、両者ともドイツ国メルク社製である。検討されるそれぞれの化合物の値は、検討される化合物を添加した後のホスト混合物の誘電定数の変化から得られ、用いられる化合物を100%に外挿する。検討される化合物を10%の量でホスト混合物中に溶解する。この目的にとって物質の溶解度が低すぎる場合は、所望の温度で検討が行えるまで段階的に濃度を半分にする。
【0241】
必要に応じて、本発明による液晶媒体は、例えば、安定剤および/または多色性、例えば二色性色素および/またはキラルドーパントなどの更なる添加剤も、通常の量で含んでよい。これらの用いられる添加剤の量は、混合物全体の量に基づいて好ましくは総量で、0重量%以上〜10重量%以下、特に好ましくは0.1重量%以上〜6重量%以下である。用いられる個々の化合物の濃度は、好ましくは0.1重量%以上〜3重量%以下である。これらおよび同様の添加剤の濃度は、液晶媒体中の液晶化合物の濃度および濃度範囲を特定する際には一般に考慮しない。
【0242】
好ましい実施形態において、本発明による液晶媒体はポリマー前駆体を含み、ポリマー前駆体は、1種類以上の反応性化合物、好ましくは反応性メソゲンと、必要に応じて例えば重合開始剤および/または重合減速剤などの更なる添加剤を、通常の量で含む。これらの用いられる添加剤の量は、混合物全体の量に基づいて好ましくは総量で、0重量%以上〜10重量%以下、特に好ましくは0.1重量%以上〜2重量%以下である。これらおよび同様の添加剤の濃度は、液晶媒体中の液晶化合物の濃度および濃度範囲を特定する際には一般に考慮しない。
【0243】
組成物は多種類の化合物、好ましくは3種類以上〜30種類以下、特に好ましくは6種類以上〜20種類以下、非常に特に好ましくは10種類以上〜16種類以下の化合物から成り、これらの化合物は従来法で混合される。一般に、より少量で使用される成分の所望の量を、混合物の主な構成成分を構成する成分に溶解する。これは昇温することで、効果的に行える。選択された温度が主な構成成分の透明点より上の場合、溶解操作の完了を観察することは特に簡単である。しかしながら、例えばプレ混合物を使用するか所謂「マルチ・ボトル・システム」からの他の従来法でも液晶混合物を調製することが可能である。
【0244】
本発明による混合物は、65℃以上の透明点を有する非常に広いネマチック相範囲、非常に好ましい値の容量閾値および比較的高い値の保持率と、同時に−30℃および−40℃における非常に良好な低温安定性を示す。更に、本発明による混合物は、低い回転粘度γ
1で区別される。
【0245】
VA、IPS、FFSまたはPALCディスプレイにおいて使用するための本発明による媒体は、例えば、H、N、O、ClまたはFが対応する同位体に置き換えられた化合物も含んでよいことは当業者に言うまでもない。
【0246】
本発明による液晶ディスプレイの構造は、例えば、欧州特許出願公開第0 240 379号公報に記載される通りの通常の構成に対応する。
【0247】
適切な添加剤で、本発明による液晶相を、今日までに開示された任意のタイプのディスプレイ、例えば、IPSおよびFFS LCDディスプレイにおいて用いることができるよう改変できる。
【0248】
下の表Eに、本発明による混合物に添加することが可能なドーパントを示す。混合物が1種類以上のドーパントを含む場合、ドーパントは0.01重量%〜4重量%、好ましくは0.1重量%〜1.0重量%の量で用いる。
【0249】
好ましくは0.01重量%〜6重量%、特には0.1重量%〜3重量%の量で本発明による混合物に添加できる安定剤を下の表Fに示す。
【0250】
本発明の目的において、他に明らかに特記しない限り全ての濃度は重量%で示され、他に明らかに示さない限り対応する混合物全体または全体に対する混合物成分に関する。この文意において、用語「混合物」は液晶媒体を記載する。
【0251】
他に明らかに示さない限り、融点T(C,N)、スメクチック(S)からネマチック(N)相への転移T(S,N)および透明点T(N,I)などの本願で示される全ての温度の値は摂氏度(℃)で示され、対応して全ての温度差は差異度(°または度)で示される。
【0252】
本発明において他に明らかに示さない限り、用語「閾電圧」は、フレデリクス閾値としても既知の容量閾値(V
0)に関する。
【0253】
それぞれの場合で他に明らかに示さない限り、全ての物理的特性は、「Merck Liquid Crystals、Physical Properties of Liquid Crystals」、1997年11月刊、ドイツ国メルク社に従って決定され、20℃の温度が適用され、Δnは、436nm、589nmおよび633nmで決定され、Δεは1kHzで決定される。
【0254】
電気光学的特性、例えば閾電圧(V
0)(容量的測定)は、スイッチ挙動と同様に、メルク・ジャパンで製造された試験用セル中で決定される。測定用セルはソーダ石灰ガラス基板を有し、ポリイミド配向層(SE−1211および希釈剤
**26(混合比1:1)いずれも日本国日産化学社製)を有するECBまたはVA構成で構築されており、配向層は互いに直交してラビングされており、液晶がホメオトロピック配向となる効果を生じる。透過の表面積は実質的に正方形のITO電極で、1cm
2である。
【0255】
他に示さない限り、使用する液晶混合物にキラルドーパントを添加しないが、このタイプのドーピングが必要な用途においても、本発明で使用する液晶混合物は適している。
【0256】
回転粘度は回転永久磁石法を使用して決定し、流動粘度は改良ウベローデ粘度計中で決定する。液晶混合物ZLI−2293、ZLI−4792およびMLC−6608は全てドイツ国メルク社の製品で、20℃で決定した回転粘度の値は、それぞれ161mPa・s、133mPa・sおよび186mPa・sで、流動粘度(ν)は、それぞれ21mm
2・s
−1、14mm
2・s
−1および27mm
2・s
−1である。
【0257】
実用的目的のために、材料の分散性は、従来、次の通り特徴付けられ、他に明言しない限り本願を通じて、これを使用する。複屈折の値は20℃の温度で幾つかの固定波長において、プリズムの材料と接触する側にホメオトロピック配向表面を有する改良アッベ屈折計を使用して決定する。複屈折の値は、特定の値の波長436nm(低圧水銀ランプのそれぞれ選択されたスペクトル線)、589nm(ナトリウムD線)および633nm(ヘリウムネオンレーザー)で、観察者の目の損傷を防止するために減衰器/拡散器を組み合わせて使用し決定する。以下の表で、Δnは589nmで与えられ、Δ(Δn)は、Δ(Δn)=Δn(436nm)−Δn(633nm)で与えられる。
【0258】
他に明らかに示さない限り、以下の記号を使用する:
V
0 20℃における容量閾電圧[V]
n
e 20℃および589nmにおける異常屈折率
n
0 20℃および589nmにおける通常屈折率
Δn 20℃および589nmにおける光学的異方性
λ 波長λ[nm]
Δn(λ) 20℃および波長λで測定された光学的異方性
Δ(Δn) 以下の通り定義される光学的異方性の変化:
Δn(20℃、436nm)−Δn(20℃、633nm)
Δ(Δn
*) 以下の通り定義される「光学的異方性の比変化」:
Δ(Δn)/Δn(20℃、589nm)
ε
⊥ 20℃および1kHzにおけるダイレクターに垂直な誘電率
ε
‖ 20℃および1kHzにおけるダイレクターに平行な誘電率
Δε 20℃および1kHzにおける誘電異方性
T(N,I)またはcl.p. 透明点[℃]
ν 20℃で測定される流動粘度(mm
2・s
−1)
γ
1 20℃で測定される回転粘度(mPa・s)
K
11 20℃における「スプレイ(splay)」変形に対する弾性定数[pN]
K
22 20℃における「ツイスト(twist)」変形に対する弾性定数[pN]
K
33 20℃における「ベンド(bend)」変形に対する弾性定数[pN]
LTS 試験用セルにおいて決定される相の低温安定性(ネマチック相)
VHR 電圧保持率(Voltage Holding Ratio)
ΔVHR VHRの低下
S
rel VHRの比安定性。
【0259】
以下の例は、本発明を制限することなく説明する。しかしながら、以下の例は当業者に、好ましく用いられる化合物、それらそれぞれの濃度およびそれらの互いの組合せと共に好ましい混合の考え方を示す。加えて、以下の例は、実現可能な特性および特性の組合せを例示する。
【0260】
本発明および特に以下の例において液晶化合物の構造は頭文字で示され、化学式への変換は下の表A〜Cに従って行う。全ての基C
nH
2n+1、C
mH
2m+1およびC
lH
2l+1またはCnH2n、CmH2mおよびC
lH
2lは、それぞれの場合で炭素数n、mおよびlの直鎖状のアルキル基またはアルケニル基である。好ましくは、n、mおよびlは、それぞれ互いに独立に、1、2、3、4、5、6または7である。表Aは化合物の核構造の環構造要素のためのコードを示し、表Bには結合基が列記されており、表Cには、分子の左側または右側の末端基のためのコードの意味が列記されている。頭文字は、任意に存在する結合基と共に環構造要素のコードと、それに続く第1のハイフンおよび左側の末端基のコード、第2のハイフンおよび右側の末端基のコードから成る。表Dには、それらのそれぞれの略号と共に化合物の構造説明例が示されている。
【0264】
【表4】
式中、nおよびmはそれぞれ整数を表し、3つの点「...」は、この表からの他の略号のためのスペースである。
【0265】
式Iの化合物に加えて、本発明による混合物は、好ましくは、以下に述べる1種類以上の化合物を含む。
【0266】
以下の略号を使用する:
(n、mおよびlは、それぞれ互いに独立に、整数、好ましくは1〜6であり、lは0の場合もあり、好ましくは0または2の場合もある。ほとんどの場合、lは0または2である。)
【0285】
【表23】
表Eに、本発明による混合物で好ましく用いるキラルドーパントを示す。
【0287】
【表25】
本発明の好ましい実施形態において、本発明による媒体は、表Eの化合物から成る群より選択される1種類以上の化合物を含む。
表Fに、式Iの化合物に加えて、本発明による混合物で好ましく用いることができる安定剤を示す。表Fにおいて、パラメーターnは1〜12の範囲内の整数を表す。特に、以下に示すフェノール誘導体は抗酸化剤として作用するため、追加の安定剤として用いることができる。
【0291】
【表29】
本発明の好ましい実施形態において、本発明による媒体は、表Fの化合物から成る群より選択される1種類以上の化合物、特に以下の2つの式の化合物から成る群より選択される1種類以上の化合物を含む。
【実施例】
【0293】
下の例は、本発明を一切制限することなく本発明を説明する。しかしながら、物理的特性は、当業者に、実現可能な特性およびそれらを改変できる範囲を明確にする。よって、特に、好ましくは達成できる各種特性の組み合わせが、当業者のために十分規定される。
【0294】
<化合物例>
ダイレクターに直交する高い誘電定数(ε
⊥)および高い平均誘電定数(ε
av.)を有する典型的な化合物を、以下の化合物例に例示する。
【0295】
<化合物例1.1および1.2>
式1−1の化合物の例である。
【0296】
【化66】
この化合物(CK−3−F)は85℃の融点、−8.4のΔεおよび13.4のε
av.を有する。
【0297】
【化67】
この化合物(CK−5−F)はK74℃N(63.7℃)Iの相順序、−7.8のΔεおよび12.2のε
av.を有する。
【0298】
<化合物例2>
式1−2の化合物の例である。
【0299】
【化68】
この化合物(YG−2O−F)は69℃の融点、僅か+1.0のΔεおよび既に13.4のε
av.を有する。
【0300】
<化合物例3および4>
式1−3の化合物の例である。
【0301】
【化69】
この化合物(B−2O−O5)は57℃の融点、−13.7のΔεおよび17.9ものε
av.を有する。
【0302】
【化70】
この化合物(B−4O−O5)は、同様の好ましい特性を有する。
【0303】
<化合物例5>
式1−4の化合物の例である。
【0304】
【化71】
この化合物(B−5O−OT)は64℃の融点、僅か−3.7のΔεおよび18.6ものε
av.を有する。
<混合物例>
以下に典型的な混合物を開示する。
【0305】
<例1>
以下の混合物(M−1)を調製し検討する。
【0306】
【表31】
この混合物、即ち混合物M−1は2.2の誘電比(ε
⊥/Δε)を有し、FFSディスプレイ中での非常に良好な透過性で特徴付けられ、非常に短い応答時間を示す。
<例2>
以下の混合物(M−2)を調製し検討する。
【0307】
【表32】
この混合物、即ち混合物M−2は1.7の誘電比(ε
⊥/Δε)を有し、FFSディスプレイ中での良好な透過性で特徴付けられ、短い応答時間を示す。
<例3>
以下の混合物(M−3)を調製し検討する。
【0308】
【表33】
この混合物、即ち混合物M−3は1.7の誘電比(ε
⊥/Δε)を有し、FFSディスプレイ中での良好な透過性で特徴付けられ、短い応答時間を示す。
<例4>
以下の混合物(M−4)を調製し検討する。
【0309】
【表34】
この混合物、即ち混合物M−4は1.5の誘電比(ε
⊥/Δε)を有し、FFSディスプレイ中での良好な透過性で特徴付けられ、短い応答時間を示す。
<例5>
以下の混合物(M−5)を調製し検討する。
【0310】
【表35】
この混合物、即ち混合物M−5は1.8の誘電比(ε
⊥/Δε)を有し、FFSディスプレイ中での良好な透過性で特徴付けられ、短い応答時間を示す。
<例6>
以下の混合物(M−6)を調製し検討する。
【0311】
【表36】
この混合物、即ち混合物M−6は1.3の誘電比(ε
⊥/Δε)を有し、FFSディスプレイ中での良好な透過性で特徴付けられ、短い応答時間を示す。
<例7>
以下の混合物(M−7)を調製し検討する。
【0312】
【表37】
この混合物、即ち混合物M−7は1.5の誘電比(ε
⊥/Δε)を有し、FFSディスプレイ中での良好な透過性で特徴付けられ、短い応答時間を示す。
<例8>
以下の混合物(M−8)を調製し検討する。
【0313】
【表38】
この混合物、即ち混合物M−8は2.1の誘電比(ε
⊥/Δε)を有し、FFSディスプレイ中での非常に良好な透過性で特徴付けられ、非常に短い応答時間を示す。
<例9>
以下の混合物(M−9)を調製し検討する。
【0314】
【表39】
この混合物、即ち混合物M−9は2.0の誘電比(ε
⊥/Δε)を有し、FFSディスプレイ中での良好な透過性で特徴付けられ、非常に短い応答時間を示す。
<例10>
以下の混合物(M−10)を調製し検討する。
【0315】
【表40】
この混合物、即ち混合物M−10は1.5の誘電比(ε
⊥/Δε)を有し、FFSディスプレイ中での良好な透過性で特徴付けられ、短い応答時間を示す。