(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御部は、前記電気光学変調器に対するパルス変調の繰り返し周波数が一定であり、かつ該繰り返し周波数が前記レーザ光源に対するパルス変調の繰り返し周波数よりも大きくなるように、前記レーザ光源駆動部と前記電気光学変調器駆動部とを制御することを特徴とする請求項1に記載のパルスレーザ装置。
Nを2以上の整数とすると、前記電気光学変調器に対するパルス変調の繰り返し周波数が、前記レーザ光源に対するパルス変調の繰り返し周波数のN倍であることを特徴とする請求項2に記載のパルスレーザ装置。
前記レーザ光源がオン状態における、前記電気光学変調器に対するパルス変調のパルス幅が、前記レーザ光源に対するパルス変調のパルス幅よりも小さいことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載のパルスレーザ装置。
前記制御部は、前記電気光学変調器に対するパルス変調の繰り返し周波数が一定であり、かつ該繰り返し周波数が前記半導体光増幅器に対するパルス変調の繰り返し周波数よりも大きくなるように、前記半導体光増幅器駆動部と前記電気光学変調器駆動部とを制御することを特徴とする請求項6に記載のパルスレーザ装置。
Nを2以上の整数とすると、前記電気光学変調器に対するパルス変調の繰り返し周波数が、前記半導体光増幅器に対するパルス変調の繰り返し周波数のN倍であることを特徴とする請求項7に記載のパルスレーザ装置。
前記半導体光増幅器がオン状態の間における、前記電気光学変調器に対するパルス変調のパルス幅が、前記半導体光増幅器に対するパルス変調のパルス幅よりも小さいことを特徴とする請求項6〜8のいずれか一つに記載のパルスレーザ装置。
前記制御部は、前記電気光学変調器に対するパルス変調の繰り返し周波数が一定であり、かつ該繰り返し周波数が前記音響光学変調器に対するパルス変調の繰り返し周波数よりも大きくなるように、前記音響光学変調器駆動部と前記電気光学変調器駆動部とを制御することを特徴とする請求項11に記載のパルスレーザ装置。
Nを2以上の整数とすると、前記電気光学変調器に対するパルス変調の繰り返し周波数が、前記音響光学変調器に対するパルス変調の繰り返し周波数のN倍であることを特徴とする請求項12に記載のパルスレーザ装置。
前記音響光学変調器がオン状態の間における、前記電気光学変調器に対するパルス変調のパルス幅が、前記音響光学変調器に対するパルス変調のパルス幅よりも小さいことを特徴とする請求項11〜13のいずれか一つに記載のパルスレーザ装置。
前記制御部は、前記レーザ光源、前記半導体光増幅器又は前記音響光学変調器のパルス変調のパルス幅を調整し、前記電気光学変調器に入力されるレーザ光のパルス幅を3ns以下に設定することを特徴とする請求項1〜19のいずれか一つに記載のパルスレーザ装置。
前記制御部は、前記レーザ光源、前記半導体光増幅器又は前記音響光学変調器のパルス変調のパルス幅を調整することによって、前記電気光学変調器に入力されるレーザ光のパルス幅を所望のバーストパルス列が発生する期間に相当するパルス幅に設定するとともに該レーザ光の繰り返し周波数を前記所望のバーストパルス列の繰り返し周波数に設定し、かつ、
前記電気光学変調器駆動パルス信号の繰り返し周波数を、前記所望のバーストパルス列のパルス間隔に応じた繰り返し周波数に設定する
ことを特徴とする請求項1〜19のいずれか一つに記載のパルスレーザ装置。
前記電気光学変調器から出力されたパルスレーザ光を受け付けて該パルスレーザ光を増幅して出力する光増幅器をさらに備えることを特徴とする請求項1〜21のいずれか一つに記載のパルスレーザ装置。
前記電気光学変調器に対するパルス変調のデューティ比を調整するデューティ比調整部をさらに備えることを特徴とする請求項1〜22のいずれか一つに記載のパルスレーザ装置。
前記デューティ比調整部は、前記電気光学変調器に対するパルス変調の設定パルス幅に応じて、前記電気光学変調器駆動部に対する駆動周波数を変更することを特徴とする請求項23に記載のパルスレーザ装置。
前記電気光学変調器に対するパルス変調に対して設定するデューティ比又は繰り返し周波数を記憶する記憶部を備えることを特徴とする請求項23または24に記載のパルスレーザ装置。
前記電気光学変調器から出力されるレーザ光の強度をモニタするモニタ部を備え、前記デューティ比調整部は、前記モニタ部がモニタした強度が極小値となるように、前記電気光学変調器に対するパルス変調のデューティ比を設定することを特徴とする請求項23または24に記載のパルスレーザ装置。
前記デューティ比調整部は、前記電気光学変調器がオフ状態のときに前記モニタ部がモニタした強度に基づいて、前記電気光学変調器に対するパルス変調のデューティ比を設定することを特徴とする請求項26に記載のパルスレーザ装置。
前記デューティ比調整部は、前記電気光学変調器に対するパルス変調のデューティ比を10%以下とすることを特徴とする請求項23〜27のいずれか一つに記載のパルスレーザ装置。
前記デューティ比調整部は、前記電気光学変調器に対するパルス変調のデューティ比を略50%とすることを特徴とする請求項23〜27のいずれか一つに記載のパルスレーザ装置。
レーザ光源と、電気光学変調器と、を備え、前記レーザ光源は、パルス変調されたパルスレーザ光を出力し、前記電気光学変調器は、前記レーザ光源が出力したパルスレーザ光がさらにパルス変調されたパルスレーザ光を出力するパルスレーザ装置の制御方法であって、
前記レーザ光源に対するパルス変調と前記電気光学変調器に対するパルス変調とを、少なくとも前記レーザ光源がオン状態の間に前記電気光学変調器がオン状態となるようにし、
前記レーザ光源がオフ状態の間に、前記電気光学変調器が少なくとも1回オン状態となるようにし、
前記電気光学変調器に対するパルス変調のデューティ比を前記レーザ光源に対するパルス変調のデューティ比よりも高くする、
ことを特徴とするパルスレーザ装置の制御方法。
レーザ光源と、半導体光増幅器と、電気光学変調器と、を備え、前記レーザ光源はレーザ光を出力し、前記半導体光増幅器は、前記レーザ光源が出力したレーザ光がパルス変調されたパルスレーザ光を出力し、前記電気光学変調器は、前記半導体光増幅器が出力したパルスレーザ光がさらにパルス変調されたパルスレーザ光を出力するパルスレーザ装置の制御方法であって、
前記半導体光増幅器に対するパルス変調と前記電気光学変調器に対するパルス変調とを、少なくとも前記半導体光増幅器がオン状態の間に前記電気光学変調器がオン状態となるようにし、
前記半導体光増幅器がオフ状態の間に、前記電気光学変調器が少なくとも1回オン状態となるようにし、
前記電気光学変調器に対するパルス変調のデューティ比を前記半導体光増幅器に対するパルス変調のデューティ比よりも高くする
ことを特徴とするパルスレーザ装置の制御方法。
レーザ光源と、音響光学変調器と、電気光学変調器と、を備え、前記レーザ光源はレーザ光を出力し、前記音響光学変調器は、前記レーザ光源が出力したレーザ光がパルス変調されたパルスレーザ光を出力し、前記電気光学変調器は、前記音響光学変調器が出力したパルスレーザ光がさらにパルス変調されたパルスレーザ光を出力するパルスレーザ装置の制御方法であって、
前記音響光学変調器に対するパルス変調と前記電気光学変調器に対するパルス変調とを、少なくとも前記音響光学変調器がオン状態の間に前記電気光学変調器がオン状態となるようにし、
前記音響光学変調器がオフ状態の間に、前記電気光学変調器が少なくとも1回オン状態となるようにし、
前記電気光学変調器に対するパルス変調のデューティ比を前記音響光学変調器に対するパルス変調のデューティ比よりも高くする
ことを特徴とするパルスレーザ装置の制御方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
パルスレーザ装置は、「低繰り返し周波数」かつ「短パルス幅」の条件で使用されることもある。この条件とは、例えば、繰り返し周波数が10kHzで、パルス幅が100psという条件である。この場合、そのパルスレーザ光のデューティ比は、0.0001%と非常に低い値となる。
【0006】
EOMを駆動するためには、RFアンプのような駆動回路が必要となる。ここで、EOMの駆動回路の大半は、主に通信用途で使用されることから、High状態(又はオン状態)とLow状態(又はオフ状態)の割合が同程度、すなわちデューティ比が50%程度の駆動条件で最適に動作するように構成されている場合がある。このような駆動回路では、例えばデューティ比が50%の場合に出力電圧が最大の振幅となるが、デューティ比が50%から離れるに従い、出力電圧の振幅が小さくなってしまうような特性を有する。
【0007】
前記の例のようにデューティ比が非常に小さい条件では、駆動回路が、EOMの適切な駆動に必要な振幅の電圧をEOMに出力できず、EOM及びEOMによって切り出されたパルスレーザ光のオン/オフ消光比が低くなってしまう可能性がある。一方、デューティ比が非常に小さい条件でも必要な振幅の電圧をEOMに出力できる駆動回路を構成するためには、高出力にする必要があるため、駆動回路が大型化することが課題となる。
【0008】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、デューティ比が低いパルスレーザ光を好適な状態で出力することができるパルスレーザ装置、加工装置及びパルスレーザ装置の制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の一態様に係るパルスレーザ装置は、レーザ光源と、電気光学変調器と、前記レーザ光源をパルス変調で駆動するレーザ光源駆動部と、前記電気光学変調器をパルス変調で駆動する電気光学変調器駆動部と、前記レーザ光源駆動部と前記電気光学変調器駆動部とを制御する制御部と、を備え、前記レーザ光源は、前記レーザ光源駆動部によりパルス変調されたパルスレーザ光を出力し、前記電気光学変調器は、前記レーザ光源が出力したパルスレーザ光が前記電気光学変調器駆動部によりさらにパルス変調されたパルスレーザ光を出力し、前記制御部は、前記レーザ光源に対するパルス変調と前記電気光学変調器に対するパルス変調とが、少なくとも前記レーザ光源がオン状態の間に前記電気光学変調器がオン状態となるとともに、前記レーザ光源がオフ状態の間に、前記電気光学変調器が少なくとも1回オン状態となるように、前記レーザ光源駆動部と前記電気光学変調器駆動部とを制御し、前記電気光学変調器に対するパルス変調のデューティ比を前記レーザ光源に対するパルス変調のデューティ比よりも高くすることを特徴とする。
【0010】
本発明の一態様に係るパルスレーザ装置は、前記制御部は、前記電気光学変調器に対するパルス変調の繰り返し周波数が一定であり、かつ該繰り返し周波数が前記レーザ光源に対するパルス変調の繰り返し周波数よりも大きくなるように、前記レーザ光源駆動部と前記電気光学変調器駆動部とを制御することを特徴とする。
【0011】
本発明の一態様に係るパルスレーザ装置は、Nを2以上の整数とすると、前記電気光学変調器に対するパルス変調の繰り返し周波数が、前記レーザ光源に対するパルス変調の繰り返し周波数のN倍であることを特徴とする。
【0012】
本発明の一態様に係るパルスレーザ装置は、前記レーザ光源がオン状態における、前記電気光学変調器に対するパルス変調のパルス幅が、前記レーザ光源に対するパルス変調のパルス幅よりも小さいことを特徴とする。
【0013】
本発明の一態様に係るパルスレーザ装置は、前記電気光学変調器に対するパルス変調のパルス幅が一定であることを特徴とする。
【0014】
本発明の一態様に係るパルスレーザ装置は、レーザ光源と、半導体光増幅器と、電気光学変調器と、前記レーザ光源を駆動するレーザ光源駆動部と、前記半導体光増幅器をパルス変調で駆動する半導体光増幅器駆動部と、前記電気光学変調器をパルス変調で駆動する電気光学変調器駆動部と、前記レーザ光源駆動部と前記半導体光増幅器駆動部と前記電気光学変調器駆動部とを制御する制御部と、を備え、前記レーザ光源はレーザ光を出力し、前記半導体光増幅器は、前記レーザ光が前記半導体光増幅器駆動部によりパルス変調されたパルスレーザ光を出力し、前記電気光学変調器は、前記半導体光増幅器が出力したパルスレーザ光が前記電気光学変調器駆動部によりさらにパルス変調されたパルスレーザ光を出力し、前記制御部は、前記半導体光増幅器に対するパルス変調と前記電気光学変調器に対するパルス変調とが、少なくとも前記半導体光増幅器がオン状態の間に前記電気光学変調器がオン状態となるとともに、前記半導体光増幅器がオフ状態の間に、前記電気光学変調器が少なくとも1回オン状態となるように、前記半導体光増幅器駆動部と前記電気光学変調器駆動部とを制御し、前記電気光学変調器に対するパルス変調のデューティ比を前記半導体光増幅器に対するパルス変調のデューティ比よりも高くすることを特徴とする。
【0015】
本発明の一態様に係るパルスレーザ装置は、前記制御部は、前記電気光学変調器に対するパルス変調の繰り返し周波数が一定であり、かつ該繰り返し周波数が前記半導体光増幅器に対するパルス変調の繰り返し周波数よりも大きくなるように、前記半導体光増幅器駆動部と前記電気光学変調器駆動部とを制御することを特徴とする。
【0016】
本発明の一態様に係るパルスレーザ装置は、Nを2以上の整数とすると、前記電気光学変調器に対するパルス変調の繰り返し周波数が、前記半導体光増幅器に対するパルス変調の繰り返し周波数のN倍であることを特徴とする。
【0017】
本発明の一態様に係るパルスレーザ装置は、前記半導体光増幅器がオン状態の間における、前記電気光学変調器に対するパルス変調のパルス幅が、前記半導体光増幅器に対するパルス変調のパルス幅よりも小さいことを特徴とする。
【0018】
本発明の一態様に係るパルスレーザ装置は、前記電気光学変調器に対するパルス変調のパルス幅が一定であることを特徴とする。
【0019】
本発明の一態様に係るパルスレーザ装置は、レーザ光源と、音響光学変調器と、電気光学変調器と、前記レーザ光源を駆動するレーザ光源駆動部と、前記音響光学変調器をパルス変調で駆動する音響光学変調器駆動部と、前記電気光学変調器をパルス変調で駆動する電気光学変調器駆動部と、前記レーザ光源駆動部と前記音響光学変調器駆動部と前記電気光学変調器駆動部とを制御する制御部と、を備え、前記レーザ光源はレーザ光を出力し、前記音響光学変調器は、前記レーザ光が前記音響光学変調器駆動部によりパルス変調されたパルスレーザ光を出力し、前記電気光学変調器は、前記音響光学変調器が出力したパルスレーザ光が前記電気光学変調器駆動部によりさらにパルス変調されたパルスレーザ光を出力し、前記制御部は、前記音響光学変調器に対するパルス変調と前記電気光学変調器に対するパルス変調とが、少なくとも前記音響光学変調器がオン状態の間に前記電気光学変調器がオン状態となるとともに、前記音響光学変調器がオフ状態の間に、前記電気光学変調器が少なくとも1回オン状態となるように、前記音響光学変調器駆動部と前記電気光学変調器駆動部とを制御し、前記電気光学変調器に対するパルス変調のデューティ比を前記音響光学変調器に対するパルス変調のデューティ比よりも高くすることを特徴とする。
【0020】
本発明の一態様に係るパルスレーザ装置は、前記制御部は、前記電気光学変調器に対するパルス変調の繰り返し周波数が一定であり、かつ該繰り返し周波数が前記音響光学変調器に対するパルス変調の繰り返し周波数よりも大きくなるように、前記音響光学変調器駆動部と前記電気光学変調器駆動部とを制御することを特徴とする。
【0021】
本発明の一態様に係るパルスレーザ装置は、Nを2以上の整数とすると、前記電気光学変調器に対するパルス変調の繰り返し周波数が、前記音響光学変調器に対するパルス変調の繰り返し周波数のN倍であることを特徴とする。
【0022】
本発明の一態様に係るパルスレーザ装置は、前記音響光学変調器がオン状態の間における、前記電気光学変調器に対するパルス変調のパルス幅が、前記音響光学変調器に対するパルス変調のパルス幅よりも小さいことを特徴とする。
【0023】
本発明の一態様に係るパルスレーザ装置は、前記電気光学変調器に対するパルス変調のパルス幅が一定であることを特徴とする。
【0024】
本発明の一態様に係るパルスレーザ装置は、前記レーザ光源駆動部は、前記レーザ光源をパルス変調で駆動し、前記制御部は、前記レーザ光源に対するパルス変調と前記電気光学変調器に対するパルス変調とが、少なくとも前記レーザ光源がオン状態の間に前記電気光学変調器がオン状態となるように、前記レーザ光源駆動部と前記電気光学変調器駆動部とを制御することを特徴とする。
【0025】
本発明の一態様に係るパルスレーザ装置は、前記制御部は、前記レーザ光源、前記半導体光増幅器及び前記音響光学変調器のうち少なくともいずれか一つと、前記電気光学変調器と、をパルス変調するためのパルスパターン信号を生成するパルスパターン生成部と、前記パルスパターン生成部から出力されたパルスパターン信号を基に、前記電気光学変調器駆動部を駆動するための電気光学変調器駆動パルス信号を生成する電気光学変調器駆動パルス生成部と、を備えることを特徴とする。
【0026】
本発明の一態様に係るパルスレーザ装置は、前記制御部は、前記レーザ光源、前記半導体光増幅器及び前記音響光学変調器のうち少なくともいずれか一つをパルス変調するためのパルスパターン信号を生成するパルスパターン生成部と、前記電気光学変調器をパルス変調するための、前記パルスパターン信号と同期した基準クロック信号を生成する基準クロック生成部と、前記基準クロック生成部から出力された基準クロック信号を基に、前記電気光学変調器駆動部を駆動するための電気光学変調器駆動パルス信号を生成する電気光学変調器駆動パルス生成部と、を備えることを特徴とする。
【0027】
本発明の一態様に係るパルスレーザ装置は、前記電気光学変調器駆動パルス生成部は、前記パルスパターン信号を基に遅延パルス信号を生成する少なくとも一つの遅延パルス生成部と、前記少なくとも一つの遅延パルス生成部から出力された前記遅延パルス信号を基に、前記電気光学変調器駆動パルス信号を生成する駆動パルス生成部と、を備えることを特徴とする。
【0028】
本発明の一態様に係るパルスレーザ装置は、前記制御部は、前記レーザ光源、前記半導体光増幅器又は前記音響光学変調器のパルス変調のパルス幅を調整し、前記電気光学変調器に入力されるレーザ光のパルス幅を3ns以下に設定することを特徴とする。
【0029】
本発明の一態様に係るパルスレーザ装置は、前記制御部は、前記レーザ光源、前記半導体光増幅器又は前記音響光学変調器のパルス変調のパルス幅を調整することによって、前記電気光学変調器に入力されるレーザ光のパルス幅を所望のバーストパルス列が発生する期間に相当するパルス幅に設定するとともに該レーザ光の繰り返し周波数を前記所望のバーストパルス列の繰り返し周波数に設定し、かつ、前記電気光学変調器駆動パルス信号の繰り返し周波数を、前記所望のバーストパルス列のパルス間隔に応じた繰り返し周波数に設定することを特徴とする。
【0030】
本発明の一態様に係るパルスレーザ装置は、前記電気光学変調器から出力されたパルスレーザ光を受け付けて該パルスレーザ光を増幅して出力する光増幅器をさらに備えることを特徴とする。
【0031】
本発明の一態様に係るパルスレーザ装置は、前記電気光学変調器に対するパルス変調のデューティ比を調整するデューティ比調整部をさらに備えることを特徴とする。
【0032】
本発明の一態様に係るパルスレーザ装置は、前記デューティ比調整部は、前記電気光学変調器に対するパルス変調の設定パルス幅に応じて、前記電気光学変調器駆動部に対する駆動周波数を変更することを特徴とする。
【0033】
本発明の一態様に係るパルスレーザ装置は、前記電気光学変調器に対するパルス変調に対して設定するデューティ比又は繰り返し周波数を記憶する記憶部を備えることを特徴とする。
【0034】
本発明の一態様に係るパルスレーザ装置は、前記電気光学変調器から出力されるレーザ光の強度をモニタするモニタ部を備え、前記デューティ比調整部は、前記モニタ部がモニタした強度が極小値となるように、前記電気光学変調器に対するパルス変調のデューティ比を設定することを特徴とする。
【0035】
本発明の一態様に係るパルスレーザ装置は、前記デューティ比調整部は、前記電気光学変調器がオフ状態のときに前記モニタ部がモニタした強度に基づいて、前記電気光学変調器に対するパルス変調のデューティ比を設定することを特徴とする。
【0036】
本発明の一態様に係るパルスレーザ装置は、前記モニタ部がモニタしたレーザ光の強度の平均値と前記電気光学変調器がオフ状態のときにモニタした強度を基に、前記電気光学変調器から出力されるレーザ光のオン/オフ消光比を算出する消光比算出部と、前記レーザ光に必要なオン/オフ消光比の設定値を記憶する記憶部を備え、前記算出部が算出したオン/オフ消光比が前記消光比の設定値となるように、前記電気光学変調器に対するパルス変調のデューティ比を設定することを特徴とする。
【0037】
本発明の一態様に係るパルスレーザ装置は、前記デューティ比調整部は、前記電気光学変調器に対するパルス変調のデューティ比を10%以下とすることを特徴とする。
【0038】
本発明の一態様に係るパルスレーザ装置は、前記デューティ比調整部は、前記電気光学変調器に対するパルス変調のデューティ比を略50%とすることを特徴とする。
【0039】
本発明の一態様に係る加工装置は、本発明の一態様に係るパルスレーザ装置と、前記パルスレーザ装置から出力されるパルスレーザ光を加工対象に照射する加工ヘッドと、を備えることを特徴とする。
【0040】
本発明の一態様に係るパルスレーザ装置の制御方法は、レーザ光源と、電気光学変調器と、を備え、前記レーザ光源は、パルス変調されたパルスレーザ光を出力し、前記電気光学変調器は、前記レーザ光源が出力したパルスレーザ光がさらにパルス変調されたパルスレーザ光を出力するパルスレーザ装置の制御方法であって、前記レーザ光源に対するパルス変調と前記電気光学変調器に対するパルス変調とを、少なくとも前記レーザ光源がオン状態の間に前記電気光学変調器がオン状態となるようにし、前記レーザ光源がオフ状態の間に、前記電気光学変調器が少なくとも1回オン状態となるようにし、前記電気光学変調器に対するパルス変調のデューティ比を前記レーザ光源に対するパルス変調のデューティ比よりも高くする、ことを特徴とする。
【0041】
本発明の一態様に係るパルスレーザ装置の制御方法は、レーザ光源と、半導体光増幅器と、電気光学変調器と、を備え、前記レーザ光源はレーザ光を出力し、前記半導体光増幅器は、前記レーザ光源が出力したレーザ光がパルス変調されたパルスレーザ光を出力し、前記電気光学変調器は、前記半導体光増幅器が出力したパルスレーザ光がさらにパルス変調されたパルスレーザ光を出力するパルスレーザ装置の制御方法であって、前記半導体光増幅器に対するパルス変調と前記電気光学変調器に対するパルス変調とを、少なくとも前記半導体光増幅器がオン状態の間に前記電気光学変調器がオン状態となるようにし、前記半導体光増幅器がオフ状態の間に、前記電気光学変調器が少なくとも1回オン状態となるようにし、前記電気光学変調器に対するパルス変調のデューティ比を前記半導体光増幅器に対するパルス変調のデューティ比よりも高くすることを特徴とする。
【0042】
本発明の一態様に係るパルスレーザ装置の制御方法は、レーザ光源と、音響光学変調器と、電気光学変調器と、を備え、前記レーザ光源はレーザ光を出力し、前記音響光学変調器は、前記レーザ光源が出力したレーザ光がパルス変調されたパルスレーザ光を出力し、前記電気光学変調器は、前記音響光学変調器が出力したパルスレーザ光がさらにパルス変調されたパルスレーザ光を出力するパルスレーザ装置の制御方法であって、前記音響光学変調器に対するパルス変調と前記電気光学変調器に対するパルス変調とを、少なくとも前記音響光学変調器がオン状態の間に前記電気光学変調器がオン状態となるようにし、前記音響光学変調器がオフ状態の間に、前記電気光学変調器が少なくとも1回オン状態となるようにし、前記電気光学変調器に対するパルス変調のデューティ比を前記音響光学変調器に対するパルス変調のデューティ比よりも高くすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0043】
本発明によれば、デューティ比が小さいパルスレーザ光を好適に出力することができるパルスレーザ装置を実現できるという効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下に、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、各図面において、同一又は対応する要素には適宜同一の符号を付し、重複説明を省略する。
【0046】
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係るパルスレーザ装置のブロック図である。パルスレーザ装置100は、シード光源部10と、駆動部20と、制御部30と、プリアンプ40と、ブースターアンプ50と、出力部60と、を備えている。シード光源部10とプリアンプ40とブースターアンプ50とはシングルモード光ファイバで接続されている。
【0047】
シード光源部10は、シード光として、パルスレーザ光であるレーザ光L1を出力する。プリアンプ40は、光ファイバ増幅器等の光増幅器であり、レーザ光L1を受け付け、これを光増幅してレーザ光L2としてブースターアンプ50に出力する。ブースターアンプ50は、通常はプリアンプ40よりも高出力である光ファイバ増幅器等の光増幅器であり、レーザ光L2を受け付け、これを光増幅してレーザ光L3として出力部60に出力する。出力部60は、公知のレーザヘッドで構成されており、レーザ光L3を、光ファイバを介して受け付け、これをレーザ光L4として外部に出力する。レーザ光L4は所望の用途(レーザ加工等)に使用される。
【0048】
また、少なくとも、シード光源部10と、駆動部20と、制御部30とは、パルスレーザ装置であるシード光源装置1を構成している。制御部30は、駆動部20に制御信号S1を出力して駆動部20を制御する。駆動部20は、シード光源部10に駆動信号S2を出力してシード光源部10を駆動する。
【0049】
図2は、シード光源装置1のブロック図である。シード光源部10は、レーザ光源である半導体レーザダイオード(LD:Laser Diode)11と、電気光学変調器(EOM)12とを備えている。駆動部20は、レーザ光源駆動部であるLD駆動部21と、電気光学変調器駆動部であるEOM駆動部22とを備えている。これらの駆動部は公知のLD駆動回路等を用いて構成することができる。
【0050】
制御部30は、駆動部20に含まれる各駆動部の制御処理を行うためのCPU(Central Processing Unit)又はFPGA(Field Programmable Gate Array)等を含んだデジタル回路で構成されている。制御部30は、LD駆動部21に制御信号S1の一部であるLD駆動パルス信号S11を出力し、EOM駆動部22に制御信号S1の一部であるEOM駆動パルス信号S12を出力する。LD駆動パルス信号S11、EOM駆動パルス信号S12は、それぞれ、所定の繰り返し周期及び時間幅(パルス幅)でオン状態となり、その他の期間ではオフ状態となるパルス信号である。
【0051】
LD11は、例えば1.55μm波長帯に含まれる単一波長のレーザ光L01を出力するDFB(Distributed Feedback)レーザ素子である。LD駆動部21は、LD11に、駆動信号S2の一部であり、LD駆動パルス信号S11に対応した信号であるLD駆動信号S21を出力し、LD11をパルス変調で駆動する。これにより、レーザ光L01はパルス変調されたパルスレーザ光となる。EOM12は、LD11から出力されたレーザ光L01を受け付けて、レーザ光L01を強度変調してレーザ光L1として出力する。EOM駆動部22は、EOM12に、駆動信号S2の一部であり、EOM駆動パルス信号S12に対応した信号であるEOM駆動信号S22を出力し、EOM12をパルス変調で駆動する。これにより、レーザ光L1は、レーザ光L01がさらにパルス変調されたパルスレーザ光となる。
【0052】
ここで、シード光源装置1では、制御部30は、LD11に対するパルス変調とEOM12に対するパルス変調とが、少なくともLD11がオン状態の間にEOM12がオン状態となるとともに、LD11がオフ状態の間に、EOM12が少なくとも1回オン状態となるように、LD駆動部21とEOM駆動部22とを制御する制御方法を実行する。
【0053】
以下、具体的に説明する。
図3は、シード光源装置1における信号及び光出力のタイムチャートの一例である例1を示す図である。
【0054】
図3に示すように、制御部30がLD駆動部21に出力するLD駆動パルス信号S11は、図示する時間範囲では時刻t1、t2を中心として一定のパルス幅でオン状態となり、その他の期間ではオフ状態となるパルス信号である。LD駆動パルス信号S11の繰り返し周期はT1であり、繰り返し周波数はf1=1/T1で一定である。LD駆動信号S21は、LD駆動パルス信号S11に同期した信号となる。その結果、LD11から出力されるレーザ光L01(LD光出力)も、LD駆動パルス信号S11及びLD駆動信号S21に同期した光パルス列からなるパルスレーザ光となる。
【0055】
一方、制御部30がEOM駆動部22に出力するEOM駆動パルス信号S12は、一定のパルス幅でオン状態となり、その他の期間ではオフ状態となるパルス信号であるが、その繰り返し周期はT1より小さいT2である。したがって、EOM駆動パルス信号S12の繰り返し周波数はf2=1/T2で一定であり、f2はf1より大きく、
図3に示す例ではf2=6×f1である。なお、EOM駆動信号S22は、EOM駆動パルス信号S12に同期した信号となる。
【0056】
このように、例1では、EOM駆動パルス信号S12の繰り返し周波数がf2で一定にされ、かつf2がLD駆動パルス信号S11の繰り返し周波数f1の6倍に設定されることにより、LD11がオフ状態の間に、EOM12が5回オン状態となる。
【0057】
さらに、LD駆動信号S21とEOM駆動信号S22とは、少なくともLD11がオン状態の間にEOM12がオン状態となるようにタイミングが調整されている。具体的には、時刻t1、t2を中心としてLD11がオン状態の間にEOM12がオン状態となっている。その結果、EOM12から出力されるレーザ光L1(EOM光出力)は、繰り返し周波数がf1で、パルス幅がEOM駆動信号S22のパルス幅である光パルス列からなるパルスレーザ光となる。なお、
図3に示す例1では、LD11がオン状態におけるEOM駆動信号S22のパルス幅が、LD駆動信号S21のパルス幅よりも小さい。したがって、レーザ光L1は、レーザ光L01がEOM12によってEOM駆動信号S22のパルス幅に切り出されたパルスレーザ光となる。LD駆動パルス信号S11の繰り返し周波数f1及び、EOM駆動パルス信号S12のパルス幅は、ユーザーの設定等により、レーザ光L1に対する所望の値に設定される。
【0058】
このように、EOM12に対するパルス変調の繰り返し周波数f2を、LD11に対するパルス変調の繰り返し周波数f1よりも大きくすることで、LD11に対するパルス変調の繰り返し周期T1における、EOM12に対するパルス変調のデューティ比を、LD11に対するパルス変調のデューティ比よりも高くできる。ここで、EOM12に対するパルス変調のデューティ比は、(繰り返し周期T1におけるEOM12がオン状態の時間)/(繰り返し周期T1)で表される。また、LD11に対するパルス変調のデューティ比についても同様に、(繰り返し周期T1におけるLD11がオン状態の時間)/(繰り返し周期T1)で表される。
【0059】
その理由を
図3、
図4、
図5を参照してより具体的に説明する。
図4は、比較形態における信号及び光出力のタイムチャートの一例を示す図である。この比較形態では、シード光源装置1において、制御部30が、EOM12に対するパルス変調の繰り返し周波数とLD11に対するパルス変調の繰り返し周波数とを等しくし、LD11がオン状態の時のみEOM12がオン状態となるように制御している。すなわち、比較形態では、EOM駆動パルス信号S12A及びEOM駆動信号S22Aの繰り返し周期と、LD駆動パルス信号S11及びLD駆動信号S21の繰り返し周期とを同じT1とし、繰り返し周波数を同じf1=1/T1としている。これにより、レーザ光L1の繰り返し周波数を所望の周波数f1としている。
【0060】
図3のEOM駆動信号S22と
図4のEOM駆動信号S22Aとを比較すると、EOM駆動信号S22の方が、デューティ比が高いことが解る。一方、
図3と
図4とでは、レーザ光L1の繰り返し周波数はいずれもf1である。
【0061】
すなわち、シード光源装置1では、制御部30が
図3に示すタイムチャートを実現するように制御を行うことで、レーザ光L1の繰り返し周波数を所望の周波数f1にしつつ、EOM駆動信号S22のデューティ比を比較形態の場合よりも高くでき、例えば50%に近づけることができる。
【0062】
なお、
図5は、典型的なEOM駆動部の出力特性を示す図である。横軸はEOM駆動パルス信号のデューティ比であり、縦軸はEOM駆動部の出力電圧の振幅である。なお、EOM駆動部に入力されるEOM駆動パルス信号の電圧振幅はいずれのデューティ比に対しても等しくしている。
図5に示すように、出力電圧の振幅は、デューティ比が略50%の場合に最大となり、デューティ比が50%から離れていくに従い小さくなる。これは、典型的なEOM駆動回路では、入力信号をAC(Alternate Current)結合してから増幅しているためである。デューティ比が50%の場合は、AC結合後に0Vを中心に正負の方向に対して同じ絶対値の電圧となるが、デューティ比が50%から離れた場合には、AC結合後に0Vを中心に正負の方向に異なる絶対値の電圧となってしまう。この信号を増幅すると、正負の方向で絶対値が大きい方が先にEOM駆動部の最大出力電圧に到達するため、出力される電圧振幅に制限が生じてしまう。
【0063】
また、
図6A、6Bは、EOM駆動信号とEOM光出力との関係を説明する図である。
図6AのようにEOM駆動信号によるEOMへの印加電圧を最適にできれば、EOM光出力のオン/オフ消光比を最大にできる。なお、EOMへの最適な印加電圧の値は、EOMに依存する。しかしながら、デューティ比が低い駆動条件の場合、
図6BのようにEOM駆動信号の電圧振幅は小さくなるので、EOMに対して最適な印加電圧とできず、EOM光出力のオン/オフ消光比も低くなってしまう。特に「低繰り返し周波数」かつ「短パルス」のようなデューティ比が非常に低い条件の場合、EOM光出力のオン/オフ消光比の低下は顕著になる。
【0064】
これに対して、シード光源装置1では、デューティ比が低いレーザ光L1を出力する際にも、EOM12を、デューティ比がより高い状態で駆動できるので、オン/オフ消光比が好適な状態で出力することができる。
【0065】
なお、Nを2以上の整数とすると、EOM駆動信号S22の繰り返し周波数f2が、LD駆動信号S21の繰り返し周波数f1のN倍である場合に、LD駆動信号S21とEOM駆動信号S22とを、少なくともLD11がオン状態の間にEOM12がオン状態となるようにすることができる。Nは、LD11に対するパルス変調の繰り返し周期T1の間におけるEOM駆動信号S22のデューティ比が、略50%になる値に設定することがより好ましい。
【0066】
なお、制御部30による、少なくともLD11がオン状態の間にEOM12がオン状態となるとともに、LD11がオフ状態の間に、EOM12が少なくとも1回オン状態となることによってデューティ比がより高い状態でEOM12を駆動できる制御方法は、
図3に示す例1のタイムチャートのような制御には限られない。
【0067】
図7A、7B、7Cは、それぞれ、シード光源装置1における信号及び光出力のタイムチャートの例2、3、4を示す図である。
図7Aに示す例2では、例1の場合と同様に、EOM駆動パルス信号S12の繰り返し周波数はf2=1/T2である。しかし、LD駆動パルス信号S11がオフ状態の間のEOM駆動パルス信号S12のパルス幅は、LD駆動パルス信号S11がオン状態の間のEOM駆動パルス信号S12のパルス幅よりも大きい。これにより、レーザ光L1を、レーザ光L01がEOM12によってEOM駆動信号S22のパルス幅に切り出されたパルスレーザ光にできるとともに、デューティ比がさらに略50%に近い又は略50%のような高い状態でEOM12を駆動できる。
【0068】
また、
図7Bに示す例3では、LD駆動パルス信号S11がオフ状態の間のEOM駆動パルス信号S12のパルス幅は、LD駆動パルス信号S11がオン状態の間のEOM駆動パルス信号S12のパルス幅よりも大きい。さらには、LD駆動パルス信号S11がオフ状態の間のEOM駆動パルス信号S12の繰り返し周期T3はT2より大きい。すなわち、EOM駆動パルス信号S12は、パルス幅及び繰り返し周期が異なる2つのパルス変調信号が合成されたものである。これにより、レーザ光L1を、レーザ光L01がEOM12によってEOM駆動信号S22のパルス幅に切り出されたパルスレーザ光にできるとともに、デューティ比がさらに略50%に近い又は略50%のような高い状態でEOM12を駆動できる。
【0069】
また、
図7Cに示す例4では、LD駆動パルス信号S11がオフ状態の間のEOM駆動パルス信号S12のパルス幅は、LD駆動パルス信号S11がオン状態の間のEOM駆動パルス信号S12のパルス幅よりも大きく、かつLD駆動パルス信号S11がオフ状態の間にEOM駆動パルス信号S12が一回だけオン状態となる。例3と同様に、EOM駆動パルス信号S12は、パルス幅及び繰り返し周期が異なる2つのパルス変調信号が合成されたものである。これにより、レーザ光L1を、レーザ光L01がEOM12によってEOM駆動信号S22のパルス幅に切り出されたパルスレーザ光にできるとともに、デューティ比がさらに略50%に近い又は略50%のような高い状態でEOM12を駆動できる。
【0070】
以上の例1〜例4に示すように、LD駆動パルス信号S11がオフ状態の間のEOM駆動パルス信号S12のパルス幅及び繰り返し周期は特に限定されるものではない。例えば、例4のような、LD駆動パルス信号S11がオフ状態の間に一回だけオン状態となるパルス信号でもよいし、パルス幅又は繰り返し周波数が不規則なパルス信号であってもよい。
【0071】
(実施形態2)
図8は、実施形態2に係るパルスレーザ装置であるシード光源装置のブロック図である。シード光源装置1Aは、
図1に示すシード光源装置1の構成において、制御部30を制御部30Aに置き換えた構成を有する。
【0072】
制御部30Aは、汎用的なCPU又はFPGA等を含んだデジタル回路で構成されたパルスパターン生成部31Aと、アナログ回路で構成されたEOM駆動パルス生成部32Aとを備えている。
【0073】
パルスパターン生成部31Aは、LD11をパルス変調するためのパルスパターン信号として、LD駆動部21にLD駆動パルス信号S11を出力する。また、パルスパターン生成部31Aは、EOM12をパルス変調するためのパルスパターン信号として、EOM駆動パルス生成部32AにEOM駆動パルスパターン信号S31Aを出力する。
【0074】
EOM駆動パルス生成部32Aは、EOM駆動パルスパターン信号S31Aを基に、EOM駆動パルスパターン信号S31Aよりもパルス幅の小さいEOM駆動パルス信号S12を生成し、EOM駆動部22に出力する。
【0075】
ここで、シード光源装置1Aでは、シード光源装置1と同様に、EOM駆動信号S22のパルス幅をLD駆動信号S21のパルス幅よりも小さくすることで、EOM12から出力されるレーザ光L1は、LD11から出力されるレーザ光L01がEOM駆動信号S22のパルス幅に切り出されたパルスレーザ光となる。例えば、LD駆動信号S21のパルス幅が1nsの場合でも、EOM駆動信号S22のパルス幅を100psとすることで、レーザ光L01のパルス幅を100psとすることができる。また、制御部30Aは、CPU又はFPGA等を含んで構成されており、レーザ光L1の繰り返し周波数などを可変にすることが好適にできる。
【0076】
ところが、汎用的なデジタル回路の場合、出力信号の駆動周波数の上限は1GHz程度であり、1nsよりも短いパルス信号を生成するのが困難な場合がある。また、10Gbps以上でパルス信号が生成可能なトランシーバーを搭載したFPGAも存在するが、非常に高価であり、また通信用途に特化したデバイスであるため、任意のパルスパターンを生成するのが困難である。
【0077】
そこで、本実施形態2に係るシード光源装置1Aの制御部30Aでは、パルスパターン生成部31Aをデジタル回路で構成し、EOM駆動パルス生成部32Aを、1GHzより高い高周波駆動が可能なアナログ回路で構成している。そして、パルスパターン生成部31AがLD駆動部21にLD駆動パルス信号S11を出力するようにしている。一方で、EOM駆動パルス生成部32Aが、パルスパターン生成部31AからのEOM駆動パルスパターン信号S31Aを基に、パルス幅の短いEOM駆動パルス信号S12を生成し、EOM駆動部22に出力するようにしている。これにより、制御部30Aは、デジタル回路の構成が簡易でありながらも、アナログ回路で構成されたEOM駆動パルス生成部32Aにより、EOM12を、繰り返し周波数などの可変性を保ちつつ、パルス幅の短い駆動信号で駆動することができる。
【0078】
図9は、シード光源装置1Aにおける信号及び光出力のタイムチャートの一例を示す図である。
【0079】
図9に示すように、制御部30Aのパルスパターン生成部31AがLD駆動部21に出力するLD駆動パルス信号S11の繰り返し周期はT1であり、繰り返し周波数はf1=1/T1である。そして、LD11から出力されるレーザ光L01(LD光出力)は、LD駆動パルス信号S11及びLD駆動信号S21に同期した光パルス列からなるパルスレーザ光となる。ここで、
図9に示すように、LD駆動パルス信号S11、LD駆動信号S21及びレーザ光L01のパルス幅は比較的広い。
【0080】
一方、制御部30Aのパルスパターン生成部31AがEOM駆動パルス生成部32Aに出力するEOM駆動パルスパターン信号S31Aは、繰り返し周期がT2であって、パルス幅はLD駆動パルス信号S11と同程度に広い。繰り返し周波数はf2=1/T2であってf1より大きい。一方、EOM駆動パルス生成部32AがEOM駆動部22に出力するEOM駆動パルス信号S12は、EOM駆動パルスパターン信号S31Aよりもパルス幅が小さい。その結果、EOM12から出力されるレーザ光L1(EOM光出力)は、繰り返し周波数がf1で、レーザ光L01がEOM12によってEOM駆動信号S22のパルス幅に切り出されたパルスレーザ光となる。LD駆動パルス信号S11の繰り返し周波数f1及び、EOM駆動パルス信号S12のパルス幅は、ユーザーの設定等により、レーザ光L1に対する所望の値に設定される。
【0081】
なお、シード光源装置1Aでは、シード光源装置1と同様に、オン/オフ消光比が好適な状態で出力することができる。
【0082】
図10は、パルスパターン生成部31A及びEOM駆動パルス生成部32Aのブロック図である。EOM駆動パルス生成部32Aは、遅延パルス生成部32A1と、駆動パルス生成部32A2とを備えている。
【0083】
EOM駆動パルス生成部32Aでは、パルスパターン生成部31Aから入力されたEOM駆動パルスパターン信号S31Aは、不図示の分割器によって二分割される。遅延パルス生成部32A1は、分割された一方のEOM駆動パルスパターン信号S31Aを基に、遅延パルス信号S32Aを生成し、駆動パルス生成部32A2に出力する。駆動パルス生成部32A2は、分割された他方のEOM駆動パルスパターン信号S31Aと、遅延パルス信号S32Aを基に、EOM駆動パルス信号S12を生成し、出力する。
【0084】
図11は、
図10における信号のタイムチャートの一例を示す図である。遅延パルス生成部32A1は、EOM駆動パルスパターン信号S31Aから時間Δt1だけ遅延した遅延パルス信号S32Aを生成する。駆動パルス生成部32A2は、EOM駆動パルスパターン信号S31Aがオン状態かつ遅延パルス信号S32Aがオフ状態の場合にオン状態であり、その他の場合にはオフ状態である、パルス幅がΔt1のEOM駆動パルス信号S12を生成する。Δt1を適切に設定することで、EOM駆動パルス信号S12のパルス幅をEOM駆動パルスパターン信号S31Aのパルス幅より小さくできる。
【0085】
図12は、駆動パルス生成部32A2の構成の一例を示すブロック図である。駆動パルス生成部32A2は、NOTゲートとANDゲートとを組み合わせたゲート回路Gを備えている。ゲート回路Gは、遅延パルス信号S32Aの反転信号と、EOM駆動パルスパターン信号S31Aとの論理積を取ることで、EOM駆動パルス信号S12を生成する。
【0086】
図13は、遅延パルス生成部32A1の構成の一例を示すブロック図である。遅延パルス生成部32A1は、直列接続された複数の遅延ゲート回路Dと、各遅延ゲート回路Dの出力側に接続されたスイッチSW1とを備えている。遅延パルス生成部32A1では、遅延ゲート回路DがEOM駆動パルスパターン信号S31Aに対して時間的に遅延を与え、スイッチSW1が、制御部30Aに対して設定された遅延量に応じて、いずれかの遅延ゲート回路Dからの出力を選択するように制御を行うことによって、所望の遅延量の遅延パルス信号S32Aを出力する。
【0087】
図14は、EOM駆動パルス生成部の構成の別の一例であるEOM駆動パルス生成部32Bを示すブロック図である。EOM駆動パルス生成部32Bは、シード光源装置1AのEOM駆動パルス生成部32Aと置換可能なものであり、2つの遅延パルス生成部32A1、32A1と、駆動パルス生成部32A2とを備えている。
【0088】
EOM駆動パルス生成部32Bでは、パルスパターン生成部31Aから入力されたEOM駆動パルスパターン信号S31Aは、不図示の分割器によって二分割される。2つの遅延パルス生成部32A1、32A1は、分割された各EOM駆動パルスパターン信号S31Aを基に、それぞれ遅延パルス信号S32B1、S32B2を生成し、駆動パルス生成部32A2に出力する。駆動パルス生成部32A2は、遅延パルス信号S32B1、S32B2を基に、EOM駆動パルス信号S12を生成し、出力する。
【0089】
図15は、
図14における信号のタイムチャートの一例を示す図である。一方の遅延パルス生成部32A1は、EOM駆動パルスパターン信号S31Aから時間Δt2だけ遅延した遅延パルス信号S32B1を生成する。他方の遅延パルス生成部32A1は、EOM駆動パルスパターン信号S31Aから時間Δt3だけ遅延した遅延パルス信号S32B2を生成する。駆動パルス生成部32A2は、遅延パルス信号S32B1がオン状態かつ遅延パルス信号S32B2がオフ状態の場合にオン状態であり、その他の場合にはオフ状態である、パルス幅がΔt1(=Δt3−Δt2)のEOM駆動パルス信号S12を生成する。Δt2、Δt3を適切に設定することで、EOM駆動パルス信号S12のパルス幅をEOM駆動パルスパターン信号S31Aのパルス幅より小さくできる。さらに、EOM駆動パルス生成部32Bは、分割した2つのEOM駆動パルスパターン信号S31Aに対して遅延量を調整できるので、より正確なパルス幅のEOM駆動パルス信号S12を生成できる。
【0090】
図16は、パルスパターン生成部及びEOM駆動パルス生成部の構成の別の一例であるパルスパターン生成部31B及びEOM駆動パルス生成部32Cを示すブロック図である。パルスパターン生成部31B及びEOM駆動パルス生成部32Cは、シード光源装置1Aのパルスパターン生成部31A及びEOM駆動パルス生成部32Aと置換可能なものである。
図16に示すように、パルスパターン生成部31Bは、EOM駆動パルスパターン信号S31B1、S31B2を生成し、EOM駆動パルス生成部32Cに出力する。EOM駆動パルスパターン信号S31B1、S31B2は、
図15に示す遅延パルス信号S32B1、S32B2と同様の波形であり、かつ、遅延量が互いに異なるパルス信号である。EOM駆動パルス生成部32Cは、駆動パルス生成部32A2を備えており、EOM駆動パルスパターン信号S31B1、S31B2を基に、EOM駆動パルスパターン信号S31B1、S31B2よりもパルス幅の小さいEOM駆動パルス信号S12を生成し、出力する。
【0091】
パルスパターン生成部31Bがデジタル回路によって構成されている場合は、例えばEOM駆動パルスパターン信号S31B1、S31B2のそれぞれの動作クロックの位相差を調整することにより、遅延量を異ならせることができる。
【0092】
なお、
図10、14のようなEOM駆動パルス生成部32A若しくは32B、又は
図16のようなパルスパターン生成部31B及びEOM駆動パルス生成部32Cを備えたシード光源装置1Aにおいても、
図7A、7B、7Cに示すようなEOM駆動パルス信号S12を出力させて、LD11がオフ状態の間に、EOM12が少なくとも1回オン状態となるように、LD駆動部21とEOM駆動部22とを制御する制御方法を実行することができる。この場合、遅延パルス信号S32A、遅延パルス信号S32B1、S32B2又はEOM駆動パルスパターン信号S31B1、S31B2における遅延量を、LD11がオフ状態の間とオン状態の間とで変更することで、
図7A、7B、7Cに示すようなEOM駆動パルス信号S12を生成し、出力させることができる。
【0093】
また、
図7A、7B、7Cに示すようなEOM駆動パルス信号S12を出力させるために、シード光源装置1AにおけるEOM駆動パルス生成部32Aを、
図17Aに示すEOM駆動パルス生成部32AAに置き換えてもよい。EOM駆動パルス生成部32AAは、EOM駆動パルス生成部32Aにおける駆動パルス生成部32A2を駆動パルス生成部32AA2に置き換えた構成を有する。
【0094】
駆動パルス生成部32AA2は、
図17Bに示すように、不図示の分割器とゲート回路GとスイッチSW2とを備えている。
【0095】
EOM駆動パルスパターン信号S31Aは、不図示の分割器によって二分割される。分割された一方のEOM駆動パルスパターン信号S31AはスイッチSW2に入力される。ゲート回路Gは、遅延パルス信号S32Aの反転信号と、分割された他方のEOM駆動パルスパターン信号S31Aとの論理積を取ることで、論理積パルス信号S4を生成し、スイッチSW2に出力する。
【0096】
スイッチSW2は、EOM駆動パルスパターン信号S31A及び論理積パルス信号S4のいずれか一方をEOM駆動パルス信号S12として出力する。このとき、制御部において、LD11がオン状態のときは、LD駆動パルス信号よりもパルス幅の小さい論理積パルス信号S4をEOM駆動パルス信号S12として出力し、LD11がオフ状態のときはEOM駆動パルスパターン信号S31AをEOM駆動パルス信号S12として出力するようにスイッチSW2を制御する。これにより、
図7A、7B、7Cに示すようなEOM駆動パルス信号S12を出力させることができる。パルスパターン生成部31Aでは、EOM駆動パルスパターン信号S31Aのパルス幅や繰り返し周期を、LD11がオン状態のときとオフ状態のときとで変更することが可能であり、LD11がオン状態のときに所望のパルス幅を有し、かつLD11に対するパルス変調の繰り返し周期T1の間において所望のデューティ比を有するEOM駆動パルス信号S12を生成することができる。
【0097】
また、
図7A、7B、7Cに示すようなEOM駆動パルス信号S12を出力させるために、シード光源装置1Aにおけるパルスパターン生成部31A及びEOM駆動パルス生成部32Aを、
図18Aに示すパルスパターン生成部31AB及びEOM駆動パルス生成部32ABに置き換えてもよい。EOM駆動パルス生成部32ABは、EOM駆動パルス生成部32Aにおける駆動パルス生成部32A2を駆動パルス生成部32AB2に置き換えた構成を有する。
【0098】
パルスパターン生成部31ABは、パルス幅又は繰り返し周期、もしくはその両方が互いに異なるEOM駆動パルスパターン信号S31A、S31ABを出力するように構成されている。駆動パルス生成部32AB2は、
図18Bに示すように、ゲート回路GとスイッチSW3とを備えている。
【0099】
EOM駆動パルスパターン信号S31ABはスイッチSW3に入力される。ゲート回路Gは、遅延パルス信号S32Aの反転信号と、EOM駆動パルスパターン信号S31Aとの論理積を取ることで、論理積パルス信号S4を生成し、スイッチSW3に出力する。
【0100】
スイッチSW3は、EOM駆動パルスパターン信号S31AB及び論理積パルス信号S4のいずれか一方をEOM駆動パルス信号S12として出力する。このとき、制御部において、LD11がオン状態のときは、LD駆動パルス信号S11よりもパルス幅の小さい論理積パルス信号S4をEOM駆動パルス信号S12として出力し、LD11がオフ状態のときはEOM駆動パルスパターン信号S31ABをEOM駆動パルス信号S12として出力するようにスイッチSW3を制御する。これにより、
図7A、7B、7Cに示すようなEOM駆動パルス信号S12を出力させることができる。
図18A、18Bの構成では、パルスパターン生成部31ABは、パルス幅又は繰り返し周期、もしくはその両方が互いに異なるEOM駆動パルスパターン信号S31A、S31ABを出力する。このとき、EOM駆動パルスパターン信号S31Aは、LD11がオン状態のときのEOM駆動パルス信号S12が所望のパルス幅を実現できるように設定される。また、EOM駆動パルスパターン信号S31ABは、LD11に対するパルス変調の繰り返し周期T1の間においてEOM駆動パルス信号S12が所望のデューティ比を実現できるように設定される。したがって、
図17A、17Bの構成の場合のように、これらのパルス幅や繰り返し周期を、LD11のオン状態のときとオフ状態のときとで変更しなくてもよい。
【0101】
なお、
図18A、18Bに示す構成は、その変形例として、
図19A、19Bに示すように、パルスパターン生成部31ABが、パルスパターン信号として、EOM駆動パルスパターン信号S31Aに代えてLD駆動パルス信号S11を、EOM駆動パルス生成部32ABに出力するように構成してもよい。この場合、遅延パルス生成部32A1は、入力されたLD駆動パルス信号S11から、遅延パルス信号S32Aを生成し、駆動パルス生成部32AB2に出力する。ゲート回路Gは、遅延パルス信号S32Aの反転信号と、LD駆動パルス信号S11との論理積を取ることで、論理積パルス信号S4を生成し、スイッチSW3に出力する。
【0102】
スイッチSW3は、EOM駆動パルスパターン信号S31AB及び論理積パルス信号S4のいずれか一方をEOM駆動パルス信号S12として出力する。このとき、制御部において、LD11がオン状態のときは、LD駆動パルス信号S11よりもパルス幅の小さい論理積パルス信号S4をEOM駆動パルス信号S12として出力し、LD11がオフ状態のときはEOM駆動パルスパターン信号S31ABをEOM駆動パルス信号S12として出力するようにスイッチSW3を制御する。これにより、
図7A、7B、7Cに示すようなEOM駆動パルス信号S12を出力させることができる。
【0103】
なお、
図12に示す駆動パルス生成部32A2及び
図13に示す遅延パルス生成部32A1は、それぞれ構成の一例であり、例えば遅延パルス生成部は遅延ゲート回路ではなく、コンパレータによって構成しても良いし、遅延ゲート回路とコンパレータとの両方によって構成しても良い。コンパレータを使用することで、遅延パルス生成部32A1からの遅延パルス信号の立ち上り/立下り時間を急峻にすることができるため、パルスパターン生成部31AからのEOM駆動パルスパターン信号S31Aの立ち上り/立下り時間が大きい場合でも、所望のパルス幅のEOM駆動パルス信号S12を生成できる。また、駆動パルス生成部32A2は、その他の論理ゲート回路(AND、OR、NOR、XOR)やフリップフロップ回路(T−F/F、RS−F/F)によって構成することもできる。
【0104】
(実施形態3)
図20は、実施形態3に係るパルスレーザ装置であるシード光源装置のブロック図である。シード光源装置1Cは、
図8に示すシード光源装置1Aの構成において、制御部30Aを制御部30Cに置き換えた構成を有する。制御部30Cは、制御部30Aの構成に、基準クロック生成部33Cを追加した構成を有する。
【0105】
制御部30Cのパルスパターン生成部31Aは、LD11をパルス変調するためのパルスパターン信号であるLD駆動パルス信号S11を生成し、出力するとともに、基準クロック生成部33Cに同期信号S31Cを出力する。
【0106】
基準クロック生成部33Cは、同期信号S31Cを基に、EOM12をパルス変調するための基準クロック信号S32Cを生成し、EOM駆動パルス生成部32Aに出力する。基準クロック信号S32Cは、LD駆動パルス信号S11と同期した信号である。
【0107】
制御部30CのEOM駆動パルス生成部32Aは、基準クロック信号S32Cを基に、EOM駆動パルス信号S12を生成し、出力する。具体的には、EOM駆動パルス生成部32Aは、基準クロック信号S32Cを基にパルスパターン信号としてEOM駆動パルス信号S12を生成し、出力する。
【0108】
ここで、パルスパターン生成部31Aで生成したパルスパターンの時間的な揺らぎ(以下、ジッタ)が大きいと、LD11やEOM12に対する駆動パルス信号が劣化してしまうことがある。例えば、汎用的なデジタル回路では、ジッタ特性が数100psとなることがあるので、特にEOM12をパルス幅100ps程度で駆動する場合には、ジッタの影響でEOM駆動パルス信号S12に揺らぎが生じ、その結果、EOM12が出力するレーザ光L1の光パルス特性が劣化してしまうことがある。
【0109】
これに対して、制御部30Cでは、パルスパターン生成部31Aを汎用的なデジタル回路で構成し、EOM駆動パルス信号S12を直接生成しないようにしている。そして、基準クロック生成部33Cを低ジッタであるクロック源にて構成し、EOM駆動パルス信号S12を生成するようにしている。これにより、EOM12を揺らぎの少ないEOM駆動パルス信号S12を用いて駆動することができる。基準クロック生成部33Cとして、例えばPLL(Phase−Locked Loop)をベースとしたジッタクリーナを使用することで、パルスパターン生成部31Aと同期しつつ、低ジッタのパルスパターン信号(基準クロック信号S32C)を生成することができる。
【0110】
なお、基準クロック生成部33Cで生成する基準クロック信号S32Cの周波数は、可変でもよいし固定でも良い。固定する場合は、シード光源装置1Cに要求されるレーザ光L1の最大繰り返し周波数よりも大きい周波数とすれば、LD駆動パルス信号S11の繰り返し周波数を調整することで、レーザ光L1を所望の繰り返し周波数とすることができる。
【0111】
また、シード光源装置1Cにおいても、制御部30Cは、
図7A、7B、7Cに示すようなEOM駆動パルス信号S12を出力させて、LD11がオフ状態の間に、EOM12が少なくとも1回オン状態となるように、LD駆動部21とEOM駆動部22とを制御する制御方法を実行することができるように構成されていてもよい。
【0112】
(実施形態4)
図21は、実施形態4に係るパルスレーザ装置であるシード光源装置のブロック図である。シード光源装置1Dは、シード光源部10Dと、駆動部20Dと、制御部30Dとを備えている。
【0113】
シード光源部10Dは、LD11と、EOM12と、半導体光増幅器(SOA:Semiconductor Optical Amplifier)13とを備えている。駆動部20Dは、LD駆動部21と、EOM駆動部22と、半導体光増幅器駆動部であるSOA駆動部23とを備えている。SOA駆動部23は公知のSOA駆動回路を用いて構成することができる。
【0114】
制御部30Dは、駆動部20Dに含まれる各駆動部の制御処理を行うためのデジタル回路で構成されている。制御部30Dは、LD駆動部21にLD駆動パルス信号S11を出力し、EOM駆動部22にEOM駆動パルス信号S12を出力し、SOA駆動部23にSOA駆動パルス信号S13を出力する。SOA駆動パルス信号S13は、所定の繰り返し周期及びパルス幅でオン状態となり、その他の期間ではオフ状態となるパルス信号である。
【0115】
LD11は、単一波長のレーザ光L01を出力する。LD駆動部21は、LD11にLD駆動信号S21を出力し、LD11をパルス変調で駆動する。これにより、レーザ光L01はパルス変調されたパルスレーザ光となる。SOA13は、レーザ光L01を受け付けて、レーザ光L01を増幅してレーザ光L02として出力する。SOA駆動部23は、SOA駆動パルス信号S13に対応した信号であるSOA駆動信号S23を出力し、SOA13をパルス変調で駆動する。これにより、レーザ光L02はレーザ光L01がさらにパルス変調されたパルスレーザ光となる。EOM12は、レーザ光L02を受け付けて、レーザ光L02を強度変調してレーザ光L1として出力する。EOM駆動部22は、EOM12にEOM駆動信号S22を出力し、EOM12をパルス変調で駆動する。これにより、レーザ光L1はレーザ光L02がさらにパルス変調されたパルスレーザ光となる。
【0116】
ここで、シード光源装置1Dでは、制御部30Dは、LD11に対するパルス変調とSOA13に対するパルス変調とEOM12に対するパルス変調とが、少なくともLD11及びSOA13がオン状態の間にEOM12がオン状態となるとともに、LD11及びSOA13がオフ状態の間に、EOM12が少なくとも1回オン状態となるように、LD駆動部21とEOM駆動部22とSOA駆動部23とを制御する制御方法を実行する。
【0117】
図22は、シード光源装置1Dにおける信号及び光出力のタイムチャートの一例を示す図である。
【0118】
図22に示すように、LD駆動パルス信号S11は、図示する時間範囲では時刻t1、t2を中心として一定のパルス幅でオン状態となり、その他の期間ではオフ状態となるパルス信号である。LD駆動パルス信号S11の繰り返し周期はT1であり、繰り返し周波数はf1=1/T1で一定である。レーザ光L01(LD光出力)は、LD駆動パルス信号S11及びLD駆動信号S21に同期した光パルス列からなるパルスレーザ光となる。
【0119】
SOA駆動パルス信号S13は、LD駆動パルス信号S11よりもパルス幅は小さいが、繰り返し周波数が同じf1、繰り返し周期が同じT1のパルス信号である。SOA駆動信号S23は、SOA駆動パルス信号S13に同期した信号となる。その結果、SOA13から出力されるレーザ光L02(SOA光出力)は、SOA駆動パルス信号S13及びSOA駆動信号S23に同期した光パルス列からなり、レーザ光L01がSOA13によって増幅され、かつSOA駆動信号S23のパルス幅に切り出されたパルスレーザ光となる。
【0120】
一方、EOM駆動パルス信号S12の繰り返し周期はT1より小さいT2である。したがって、EOM駆動パルス信号S12の繰り返し周波数はf2=1/T2で一定あり、f2はf1より大きく、
図22に示す例ではf2=6×f1である。なお、EOM駆動信号S22は、EOM駆動パルス信号S12に同期した信号となる。
【0121】
このように、EOM駆動パルス信号S12の繰り返し周波数がf2で一定にされ、かつf2がLD駆動パルス信号S11及びSOA駆動パルス信号S13の繰り返し周波数f1の6倍に設定されることにより、LD11及びSOA13がオフ状態の間に、EOM12が5回オン状態となる。
【0122】
さらに、LD駆動信号S21とEOM駆動信号S22とSOA駆動信号S23とは、少なくともLD11及びSOA13がオン状態の間にEOM12がオン状態となるようにタイミングが調整されている。具体的には、時刻t1、t2を中心としてLD11及びSOA13がオン状態の間にEOM12がオン状態となっている。その結果、EOM12から出力されるレーザ光L1(EOM光出力)は、繰り返し周波数がf1で、パルス幅がEOM駆動信号S22のパルス幅である光パルス列からなり、レーザ光L02がEOM12によってEOM駆動信号S22のパルス幅に切り出されたパルスレーザ光となる。LD駆動パルス信号S11及びSOA駆動パルス信号S13の繰り返し周波数f1、並びにEOM駆動パルス信号S12のパルス幅は、ユーザーの設定等により、レーザ光L1に対する所望の値に設定される。
【0123】
このように、EOM12に対するパルス変調の繰り返し周波数f2を、LD11及びSOA13に対するパルス変調の繰り返し周波数f1よりも大きくすることで、EOM12に対するパルス変調のデューティ比を高くできる。すなわち、シード光源装置1Dでは、制御部30Dが
図22に示すタイムチャートを実現するように制御を行うことで、レーザ光L1の繰り返し周波数を所望の周波数f1にしつつ、SOA13に対するパルス変調の繰り返し周期T1における、EOM駆動信号S22のデューティ比を、SOA13に対するパルス変調のデューティ比よりも高くできる。なお、SOA13に対するパルス変調のデューティ比は、(繰り返し周期T1におけるSOA13がオン状態の時間)/(繰り返し周期T1)で表される。したがって、シード光源装置1Dでは、デューティ比が低いレーザ光L1を出力する際にも、EOM12を、デューティ比がより高い状態で駆動できるので、オン/オフ消光比が好適な状態で出力することができる。
【0124】
さらに、シード光源装置1Dは、SOA13を備えているので、レーザ光L1をより高いパワーで出力できる。また、シード光源装置1Dでは、SOA13がオフ状態のときにはLD11から出力されるレーザ光L01はSOA13に吸収されることによって遮断され、外部に出力されない。その結果シード光源部10Dから出力されるレーザ光L1のオン/オフ消光比を改善することができる。
【0125】
なお、
図22に示すタイムチャートの例では、LD11をパルス駆動しているが、連続発振(CW:Continuous Wave)駆動してもよい。
図23は、
図21における信号及び光出力のタイムチャートの別の一例を示す図である。
図23に示すタイムチャートの例では、制御部30Dは、LD駆動部21にLD駆動CW信号S11Dを出力する。LD駆動部21は、LD11に、CW信号であるLD駆動信号S21Dを出力する。その結果、LD11から出力されるレーザ光(LD光出力)はCWレーザ光であるレーザ光L01Dとなる。
【0126】
その後、
図22の例と同様に、SOA13から出力されるレーザ光L02は、SOA駆動パルス信号S13及びSOA駆動信号S23に同期した光パルス列からなり、レーザ光L01DがSOA13によって増幅され、かつSOA駆動信号S23のパルス幅に切り出されたパルスレーザ光となる。また、EOM12から出力されるレーザ光L1は、繰り返し周波数がf1で、パルス幅がEOM駆動信号S22のパルス幅である光パルス列からなり、レーザ光L02がEOM12によってEOM駆動信号S22のパルス幅に切り出されたパルスレーザ光となる。
【0127】
図23に示すタイムチャートの例を実現する場合には、制御部30Dは、SOA13がオン状態の間にEOM12がオン状態となるようにするとともに、EOM12に対するパルス変調の繰り返し周波数が、SOA13に対するパルス変調の繰り返し周波数よりも大きくなるように、SOA13とEOM12とを制御することで、SOA13がオフ状態の間に、EOM12が少なくとも1回オン状態となるようにする。したがって、制御部30Dから、LD11をパルス変調するための回路等の構成を削減することができるので、制御部30Dを簡易な構成とすることができる。なお、Nを2以上の整数とすると、EOM駆動信号S22の繰り返し周波数f2が、SOA駆動信号S23の繰り返し周波数f1のN倍である場合に、少なくともSOA13がオン状態の間にEOM12がオン状態となるようにすることができる。Nは、SOA13に対するパルス変調の繰り返し周期T1の間におけるEOM駆動信号S22のデューティ比が、略50%になる値に設定することがより好ましい。
【0128】
また、シード光源装置1Dにおいても、制御部30Dは、
図7A、7B、7Cに示すようなEOM駆動パルス信号S12を出力させて、SOA13、又はLD11及びSOA13がオフ状態の間に、EOM12が少なくとも1回オン状態となるように、SOA駆動部23、又はLD駆動部21及びSOA駆動部23と、EOM駆動部22とを制御する制御方法を実行することができるように構成されていてもよい。
【0129】
(実施形態5)
図24は、実施形態5に係るパルスレーザ装置であるシード光源装置のブロック図である。シード光源装置1Eは、シード光源部10Eと、駆動部20Eと、制御部30Eとを備えている。
【0130】
シード光源装置1Eは、
図21に示すシード光源装置1Dにおいて、SOA13を音響光学変調器(AOM:Acousto-Optic Modulator)14に置き換えたものである。したがって、シード光源部10Eは、LD11と、EOM12と、AOM14とを備えている。駆動部20Eは、LD駆動部21と、EOM駆動部22と、音響光学変調器駆動部であるAOM駆動部24とを備えている。AOM駆動部24は公知のAOM駆動回路を用いて構成することができる。
【0131】
制御部30Eはデジタル回路で構成されており、LD駆動部21にLD駆動パルス信号S11を出力し、EOM駆動部22にEOM駆動パルス信号S12を出力し、AOM駆動部24にAOM駆動パルス信号S14を出力する。
【0132】
AOM14は、LD11から出力された、パルス変調されたパルスレーザ光であるレーザ光L01を受け付けて、レーザ光L01を強度変調してレーザ光L03として出力する。AOM駆動部24は、AOM駆動パルス信号S14に対応した信号であるAOM駆動信号S24を出力し、AOM14をパルス変調で駆動する。これにより、レーザ光L03はレーザ光L01がさらにパルス変調されたパルスレーザ光となる。EOM12は、レーザ光L03を受け付けて、レーザ光L03を強度変調して、レーザ光L03がさらにパルス変調されたレーザ光L1として出力する。
【0133】
ここで、シード光源装置1Eでは、制御部30Eは、LD11に対するパルス変調とAOM14に対するパルス変調とEOM12に対するパルス変調とが、少なくともLD11及びAOM14がオン状態の間にEOM12がオン状態となるとともに、LD11及びAOM14がオフ状態の間に、EOM12が少なくとも1回オン状態となるように、LD駆動部21とEOM駆動部22とAOM駆動部24とを制御する制御方法を実行する。
【0134】
例えば
図22に示すタイムチャートの例と同様に、EOM12に対するパルス変調の繰り返し周波数f2を、LD11及びAOM14に対するパルス変調の繰り返し周波数f1よりも大きくすることで、AOM14に対するパルス変調の繰り返し周期T1における、EOM12に対するパルス変調のデューティ比を、AOM14に対するパルス変調のデューティ比よりも高くできる。なお、AOM14に対するパルス変調のデューティ比は、(繰り返し周期T1におけるAOM14がオン状態の時間)/(繰り返し周期T1)で表される。すなわち、シード光源装置1Eでは、制御部30Eが
図22に示す例と同様のタイムチャートを実現するように制御を行うことで、レーザ光L1の繰り返し周波数を所望の周波数f1にしつつ、EOM駆動信号S22のデューティ比を高くできる。したがって、シード光源装置1Eでは、デューティ比が低いレーザ光L1を出力する際にも、EOM12を、デューティ比がより高い状態で駆動できるので、オン/オフ消光比が好適な状態で出力することができる。
【0135】
さらに、シード光源装置1Eでは、AOM14がオフ状態のときにはLD11から出力されるレーザ光L01はAOM14によって遮断され、外部に出力されない。その結果シード光源部10Eから出力されるレーザ光L1のオン/オフ消光比を改善することができる。
【0136】
なお、シード光源装置1Eにおいても、LD11をパルス駆動しているが、CW駆動してもよい。この場合、
図23に示すタイムチャートの例を実現するために、制御部30Eは、AOM14がオン状態の間にEOM12がオン状態となるようにするとともに、EOM12に対するパルス変調の繰り返し周波数が、AOM14に対するパルス変調の繰り返し周波数よりも大きくなるように、AOM14とEOM12とを制御することで、AOM14がオフ状態の間に、EOM12が少なくとも1回オン状態となるようにする。したがって、制御部30Eから、LD11をパルス変調するための回路等の構成を削減することができるので、制御部30Eを簡易な構成とすることができる。なお、Nを2以上の整数とすると、EOM駆動信号S22の繰り返し周波数f2が、AOM駆動信号S24の繰り返し周波数f1のN倍である場合に、少なくともAOM14がオン状態の間にEOM12がオン状態となるようにすることができる。Nは、AOM14に対するパルス変調の繰り返し周期T1の間におけるEOM駆動信号S22のデューティ比が、略50%になる値に設定することがより好ましい。
【0137】
また、シード光源装置1Eにおいても、制御部30Eは、
図7A、7B、7Cに示すようなEOM駆動パルス信号S12を出力させて、AOM14、又はLD11及びAOM14がオフ状態の間に、EOM12が少なくとも1回オン状態となるように、AOM駆動部24、又はLD駆動部21及びAOM駆動部24と、EOM駆動部22とを制御する制御方法を実行することができるように構成されていてもよい。
【0138】
(バーストパルス列を出力させる制御)
パルスレーザ装置によって加工を行う場合、光パルス列をバースト状に出力することで、最適な加工を実現できる用途がある。上記実施形態1〜5に係るシード光源装置は、バーストパルス列を容易に出力することができる。この場合、制御部は、LD11、SOA13又はAOM14のパルス変調のパルス幅を調整することによって、EOM12に入力されるレーザ光のパルス幅を所望のバーストパルス列が発生する期間に相当するパルス幅に設定するとともに該レーザ光の繰り返し周波数を所望のバーストパルス列の繰り返し周波数に設定し、かつ、EOM駆動パルス信号S12の繰り返し周波数を、所望のバーストパルス列のパルス間隔に応じた繰り返し周波数に設定する。
以下、シード光源装置1を例として説明する。
【0139】
図25は、シード光源装置1において、バーストパルス列を出力させる場合の信号及び光出力のタイムチャートの一例を示す図である。制御部30がLD駆動部21に出力するLD駆動パルス信号S11Fは、図示する時間範囲では時刻t1、t2を中心として、所望のバーストパルス列が発生する期間に相当するパルス幅TBでオン状態となり、その他の期間ではオフ状態となるパルス信号である。LD駆動パルス信号S11Fの繰り返し周期はT1であり、繰り返し周波数は所望のバーストパルス列の繰り返し周波数であるf1=1/T1である。LD駆動信号S21Fは、LD駆動パルス信号S11Fに同期した信号となる。その結果、LD11から出力されるレーザ光L01F(LD光出力)も、LD駆動パルス信号S11F及びLD駆動信号S21Fに同期した光パルス列からなるパルスレーザ光となる。
【0140】
一方、制御部30がEOM駆動部22に出力するEOM駆動パルス信号S12は、その繰り返し周期がT1より小さいT2であり、繰り返し周波数f2=1/T2は所望のバーストパルス列のパルス間隔に応じた繰り返し周波数である。これにより、EOM12から出力されるレーザ光L1(EOM光出力)は、バースト周期T1にてパルス幅TBに相当する期間でパルス間隔がT2の光パルス列が出力し、その他の期間では出力がオフになるバーストパルス列となる。
【0141】
実施形態1〜5に係るシード光源装置では、LD11、SOA13又はAOM14の駆動の繰り返し周波数とEOM12の駆動の繰り返し周波数とを独立に制御できるので、バーストパルス列のバースト周期とパルス間隔を任意に設定できる。さらに、バーストパルス列の光パルスを出力しない期間においてもEOM12を駆動することができるので、EOM12のより高いデューティ比での安定した駆動を実現できる。
【0142】
(パルス幅の設定例)
図1のようなMOPA構成のパルスレーザ装置100では、シード光源装置1から出力されるシード光(レーザ光L1)のパルス幅が広い場合、シード光源装置1よりも後段のシングルモード光ファイバ内や光増幅器内にて、例えば誘導ブリルアン散乱(SBS:Stimulated Brillouin Scattering)等の非線形現象の影響が顕著になる場合がある。このような非線形現象は、パルスレーザ装置100から出力されるレーザ光L4の出力ピークパワーを制約する原因になることがある。上記実施形態に係るシード光源装置では、EOM12をパルス変調することにより、EOM12に入力されるパルスレーザ光を、より小さいパルス幅のパルスレーザ光として切り出している。しかし、EOM12がオフ状態の場合でも、EOM12に入力されるパルスレーザ光の一部がEOM12から漏れ出てしまうことがある。そのため、EOM12に入力されるパルスレーザ光のパルス幅が大きい場合には、上記の非線形現象の影響を受ける場合がある。
【0143】
このような非線形現象の影響を抑制するためには、LD11、SOA13又はAOM14のパルス変調のパルス幅を調整し、EOM12に入力されるレーザ光L01、L02又はL03のパルス幅を3ns以下に設定することが好ましい。
【0144】
図26は、
図1に示すMOPA構成のパルスレーザ装置におけるパルスレーザ光のパルス幅と、SBSが発生し始める出力ピークパワーとの関係の一例を説明する図である。
図26に示すように、パルス幅を3ns以下に設定すると、SBSが発生し始める出力ピークパワーは急激に増大するので、SBSの影響を抑制しながら出力ピークパワーを増加させることができる。
【0145】
(実施形態6)
図27は、実施形態6に係るシード光源装置のブロック図である。シード光源装置1Fは、
図8に示すシード光源装置1Aの構成において、制御部30Aを制御部30Fに置き換えた構成を有する。制御部30Fは、制御部30Aの構成にデューティ比調整部33Fを追加した構成を有する。デューティ比調整部33Fは、パルスパターン生成部31Aが出力するEOM駆動パルスパターン信号S31Aのデューティ比を調整する。これにより、EOM駆動パルス生成部32Aが出力するEOM駆動パルス信号S12のデューティ比と、EOM駆動部22が出力するEOM駆動信号S22のデューティ比とを調整し、EOM12に対するパルス変調のデューティ比を調整する。デューティ比調整部33Fは、EOM12に対するパルス変調の設定パルス幅に応じて、EOM駆動部22に対する最適な駆動周波数を導出し、パルスパターン生成部31Aが出力するEOM駆動パルスパターン信号S31Aの駆動周波数を変更することによって、デューティ比を調整することができる。
【0146】
本発明者がEOM12の特性について精査した結果、EOM12から出力されるレーザ光L1のオン/オフ消光比は、EOM12に対する駆動電圧信号(すなわち、EOM駆動信号S22)のデューティ比に依存する場合があることが確認された。
【0147】
そこで、シード光源装置1Fでは、EOM駆動パルス信号S12のデューティ比を調整するデューティ比調整部33Fを設けることにより、レーザ光L1のオン/オフ消光比を調整するようにしている。
【0148】
図28は、デューティ比とオン/オフ消光比との関係の一例を示す図である。具体的には、
図28は、EOM駆動部22を、
図5に示す出力特性を有するものとした場合に、EOM駆動信号S22のデューティ比と、EOM12が出力するレーザ光L1のオン/オフ消光比との関係を示す図である。
図5から解るように、デューティ比が10%の場合に振幅は約5Vであり、0%に近くても振幅は4V程度確保できる。したがって、EOM12の最適な駆動電圧が5V程度以下である場合には、デューティ比が10%以下でも、デューティ比が低いことによる駆動電圧の低下は問題にならない。一方、
図28の例では、デューティ比が低くなるほどオン/オフ消光比は高くなり、デューティ比が10%以下で急激に上昇し、オン/オフ消光比が15dB以上となる。なお、これらのデータ点は、デューティ比をx、オン/オフ消光比をyとすると、係数a、bを用いて、y=−a×log(x)+bで近似できる。係数a、bは、例えばEOM12の応答特性や、EOM12に入力されるレーザ光L01のデューティ比などに依存する値である。
図28の例では、a=7.663、b=8.9134である。そこで、
図28に示す例では、オン/オフ消光比をより高めるためには、デューティ比を、オン/オフ消光比が急激に高くなる10%以下に調整することが好ましい。このようなデューティ比とすることで、EOM12の応答特性が補償されることとなる。
【0149】
典型的なEOM駆動回路では、入力信号をAC結合してから増幅している。そのため、デューティ比が大きい場合は、AC結合後に0Vに対してオフ状態側への電圧の変化量が大きくなってしまい、EOM12のオフ状態時に、レーザ光L1を消光しきれない可能性がある。そこで、シード光源装置1Fでは、EOM12に対するパルス変調のデューティ比を10%以下とすることで、オン/オフ消光比を高めることができる。なお、デューティ比の最小値は、(LD11がオン状態の期間におけるEOM12がオン状態の時間)/(LD11に対するパルス変調の繰り返し周期T11)とするのが好ましい。
【0150】
なお、EOM12の駆動電圧が例えば5Vより大きい値で最適であり、より高い電圧を印加する方がオン/オフ消光比を高めることができる場合には、所望のオン/オフ消光比を実現するための高い駆動電圧を印加できるように、EOM駆動信号S22のデューティ比を10%より高くして、EOM12に対するパルス変調のデューティ比を10%より高くしてもよい。このようなデューティ比とすることで、EOM駆動部22の増幅特性が補償される。
【0151】
(実施形態7)
図29は、実施形態7に係るシード光源装置のブロック図である。シード光源装置1Gは、
図27に示すシード光源装置1Fの構成において、記憶部70を追加した構成を有する。記憶部70は、例えば公知の外部記憶装置であり、EOM12に対するパルス変調に対して設定するデューティ比または繰り返し周波数を、設定パルス幅と対応させたテーブルデータとして記憶している。デューティ比調整部33Fは、EOM12に対するパルス変調の設定パルス幅を引数として、記憶部70からデューティ比または繰り返し周波数の値を読み出し、そのデューティ比または繰り返し周波数の値に基づいて、EOM12に対するパルス変調のデューティ比を調整する。
【0152】
ここで、記憶部70が記憶しているテーブルデータは、設定パルス幅と、その設定パルス幅の場合に、所望のオン/オフ消光比を得るために最適なデューティ比または繰り返し周波数とを組み合わせデータである。これにより、シード光源装置1Gでは、設定されたパルス幅に対して所望のオン/オフ消光比を得るために最適なデューティ比または繰り返し周波数で動作することができる。
【0153】
(実施形態8)
図30は、実施形態8に係るシード光源装置のブロック図である。シード光源装置1Hは、
図28に示すシード光源装置1Fの構成において、光カプラ80を追加し、制御部30Fを制御部30Hに置き換えた構成を有する。制御部30Hは、制御部30Fに光出力モニタ部34Hを追加した構成を有する。
【0154】
光カプラ80は、EOM12から出力されたレーザ光L1の一部を分岐して、光出力モニタ部34Hに入力させる。光出力モニタ部34Hは、入力されたレーザ光L1の一部の強度に基づいて、EOM12から出力されるレーザ光L1の強度をモニタする。デューティ比調整部33Fは、モニタしたレーザ光L1の強度が極小値となるように、EOM12に対するパルス変調のデューティ比を調整する。
【0155】
特に、デューティ比調整部33Fが、EOM12がオフ状態のときに光出力モニタ部34Hがモニタした強度が極小値となるよう、EOM12に対するパルス変調のデューティ比を調整することが好ましい。これにより、レーザ光L1のオン/オフ消光比を高くすることができる。
【0156】
(実施形態9)
図31は、実施形態9に係るシード光源装置のブロック図である。シード光源装置1Iは、
図30に示すシード光源装置1Hの構成において、制御部30Hを制御部30Iに置き換え、記憶部70を追加した構成を有する。制御部30Iは、制御部30Hに消光比算出部35Iを追加した構成を有する。
【0157】
光カプラ80は、EOM12から出力されたレーザ光L1の一部を分岐して、光出力モニタ部34Hに入力させる。光出力モニタ部34Hは、入力されたレーザ光L1の一部の強度に基づいて、EOM12から出力されるレーザ光L1の強度をモニタする。消光比算出部35Iは、モニタしたレーザ光L1の強度の時間的な平均値(Paveとする)と、EOM12がオフ状態のときに光出力モニタ部80がモニタした強度(Poffとする)に基づいて、レーザ光L1のオン/オフ消光比を算出し、その算出結果を、デューティ比調整部33Fに出力する。デューティ比調整部33Fは、算出したオン/オフ消光比に基づいて、EOM12に対するパルス変調のデューティ比を調整する。ここで、消光比算出部35Iでは、下記の式にしたがってオン/オフ消光比(R)を算出する。
R=1+(T/τ)×[(Pave/Poff)−1]
なお、Tはレーザ光L1の繰り返し周期、τはレーザ光L1のパルス幅である。
【0158】
ここで、記憶部70には、使用条件等に応じてレーザ光L1に要求されるオン/オフ消光比を、例えば設定パルス幅と対応させたテーブルデータとして記憶している。デューティ比調整部33Fは、算出したオン/オフ消光比が、記憶部70から読み出した所望のオン/オフ消光比以上になるように、デューティ比または繰り返し周波数の値を調整する。
【0159】
なお、LD11などが故障してレーザ出力L1が極めて小さい値になった場合には、判定部における比較が正常に行うことが出来ない可能性がある。そのような場合には、レーザ出力L1の出力劣化を判定する出力劣化判定閾値を記憶部70に格納し、モニタしたレーザ光L1の強度が出力劣化判定閾値未満となった時には、アラーム通知を行うなどの処理を行っても良い。
【0160】
(実施形態10)
図32は、実施形態10に係る加工装置の模式図である。この加工装置1000は、パルスレーザ装置1001と、加工ヘッド1002とを備える。パルスレーザ装置1001は、
図1に示すパルスレーザ装置100と同様のシード光源装置、プリアンプ、およびブースターアンプを備え、パルスのレーザ光L5を出力する。なお、シード光源装置としては、上記実施形態のいずれのシード光源装置も使用することができる。加工ヘッド1002は、レーザ光L5を、パルスのレーザ光L6として加工対象であるワークWに照射する。なお、パルスレーザ装置1001と加工ヘッド1002とは、光ファイバで光学的に接続してもよいし、空間結合系で光学的に接続してもよい。ワークWに対する加工は、例えば穴あけ、スクライビング、精密切断、精密溶接(薄膜等)、表面処理、マーキングである。
【0161】
この加工装置1000は、デューティ比が小さいパルスレーザ光を好適に出力することができる。
【0162】
(実施形態11)
図33は、実施形態11に係る加工装置の模式図である。この加工装置1000Aは、
図32に示す加工装置1000にさらに制御部1003を追加した構成を有する。制御部1003は、パルスレーザ装置1001の動作と加工ヘッド1002の動作とを制御するものであり、たとえばパルスレーザ装置1001の動作と、加工ヘッド1002によるレーザ光L6の照射状態とを同期させて制御することができる。
【0163】
なお、上記実施形態では、単一波長のレーザ光を出力するレーザ光源として、DFBレーザ素子を用いているが、FBG等の波長選択性素子を用いてレーザ発振波長幅を狭めた外部共振器構造のファブリーペローレーザ素子、DBR(Distributed Bragg Reflector)レーザ素子やDR(Distributed Reflector)レーザ素子を用いてもよく、その他のレーザ光源を用いてもよい。また、レーザ光源として、例えばマルチモードレーザ光源のような、単一波長ではない多波長のレーザ光を出力するレーザ光源を用いてもよい。
【0164】
また、上記実施形態により本発明が限定されるものではない。上述した各構成要素を適宜組み合わせて構成したものも本発明に含まれる。例えば、実施形態2〜5に係るシード光源装置は、実施形態1に係るパルスレーザ装置のシード光源装置として適用することができる。また、実施形態2のパルスパターン生成部を有する制御部の構成や、実施形態3のパルスパターン生成部と基準クロック生成部とを有する制御部の構成を、実施形態4のSOAを備える構成や、実施形態5のAOMを備える構成に適用してもよい。この場合、パルスパターン生成部は、LD、SOA及びAOMのうち少なくともいずれか一つをパルス変調するパルスパターン信号を生成、出力するように構成する。また、実施形態3のパルスパターン生成部と基準クロック生成部とを有する制御部の構成や、実施形態4のSOAを備える構成や、実施形態5のAOMを備える構成において、
図17A、17B、18A、18B、19A、19Bのいずれか一つの構成を適用して、
図7A、7B、7Cに示すようなEOM駆動パルス信号を出力させるようにしてもよい。また、さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。よって、本発明のより広範な態様は、上記の実施形態に限定されるものではなく、様々な変更が可能である。