(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
非可食バイオマス資源を原料として、溶媒中で触媒の存在下に反応を行って、炭素数5の単糖及び炭素数5の単糖を構成成分として有する多糖の少なくとも一方を含む糖液を得、
該糖液中の該炭素数5の単糖及び該炭素数5の単糖を構成成分として有する多糖の少なくとも一方を脱水反応によりフルフラールに変換して該フルフラールを含む反応液を得、
該反応液を該フルフラールを含む有機層と水層とに2層分離するフルフラールの製造方法であって、
25℃、大気圧下での密度が0.90g/m3以上1.1g/m3以下の芳香族炭化水素溶媒を用いて、
該反応液を90℃を超え150℃未満で2層分離するフルフラールの製造方法であって、
該芳香族炭化水素溶媒が、テトラリン及び/又は1−メチルナフタレンである、フルフラールの製造方法。
非可食バイオマス資源を原料として、溶媒中で触媒の存在下に反応を行って、炭素数5の単糖及び炭素数5の単糖を構成成分として有する多糖の少なくとも一方を含む糖液を得、
該糖液中の該炭素数5の単糖及び該炭素数5の単糖を構成成分として有する多糖の少なくとも一方を脱水反応によりフルフラールに変換して該フルフラールを含む反応液を得、
該反応液を該フルフラールを含む有機層と水層とに2層分離し、連続的に該フルフラールを得る、フルフラールの製造方法であって、
25℃、大気圧下での密度が0.90g/m3以上1.1g/m3以下の芳香族炭化水素溶媒を用いて、
該反応液を90℃を超え150℃未満で2層分離するフルフラールの製造方法であって、
該芳香族炭化水素溶媒が、テトラリン及び/又は1−メチルナフタレンである、フルフラールの製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に本発明の実施の形態について詳細に説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
【0018】
本発明のフルフラールの製造方法は、非可食バイオマス資源を原料として、溶媒中で触媒の存在下に反応を行って、炭素数5の単糖及び炭素数5の単糖を構成成分として有する多糖の少なくとも一方(以下、これらを「C5糖類」と称す場合がある。)を含む糖液を得、該糖液中のC5糖類を脱水反応によりフルフラールに変換してフルフラールを含む反応液を得、該反応液を該フルフラールを含む有機層と水層とに2層分離するフルフラールの製造方法であって、25℃、大気圧下での密度が0.90g/cm
3以上1.1g/cm
3以下の芳香族炭化水素溶媒を用いて、該反応液を90℃を超え150℃未満で2層分離することを特徴とする。
【0019】
なお、非可食バイオマス資源からフルフラールを製造する方法は、非可食バイオマス資源からC5糖類を含む糖液を得る糖液製造工程と、この糖液中のC5糖類の脱水反応でフルフラールを得るフルフラール製造工程とがあるが、本発明において、糖液製造工程とフルフラール製造工程は一つの反応器内で行ってもよく、それぞれ別の反応器で行ってもよい。
【0020】
また、本発明では、脱水反応液からフルフラールを含む有機層と水層とを2層分離するが、ここで有機層を構成する有機溶媒は、反応溶媒として反応液中に既に含まれているものであってもよく、脱水反応後に得られた反応液に抽出溶媒として添加された有機溶媒であってもよく、脱水反応液中に含まれる有機溶媒と、脱水反応後に添加された有機溶媒との両方であってもよい。
【0021】
<非可食バイオマス資源>
本発明で用いる非可食バイオマス資源は、糖類を構成成分とする多糖類を含んでいれば特に限定されないが、具体的には、バガス、スイッチグラス、ネピアグラス、エリアンサス、ミスカンサス、ケナフ、コーンストーバー、コーンコブ、ビートパルプ、パーム空果房、稲わら、麦わら、米ぬか、樹木、木材、植物油カス、ササ、タケ、パルプ類、古紙、食品廃棄物、水産物残渣、家畜廃棄物等が挙げられる。また、砂糖の製造工程で発生する糖蜜から砂糖を回収した後に残る廃糖蜜も非可食バイオマス資源として使用可能である。この中で、原料入手性とコストの観点からバガス、コーンストーバー、コーンコブ、稲わらが好ましく、バガス、コーンコブがより好ましく、バガスが特に好ましい。非可食バイオマス資源は、可食バイオマス資源と異なり、食用用途と競合せず、また通常であれば廃棄、焼却処理されるものが多いため、安定的な供給、資源の有効利用が図れる点で好ましい。
【0022】
これらの非可食バイオマス資源はそのまま使用することもできるし、酸処理や水熱処理等の前処理を行ってから使用することもできる。また、これらの非可食バイオマス資源は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、非可食バイオマス資源は固形物の状態で反応器に供給してもよいし、水等の溶媒と混合してスラリー状態にして供給しても構わない。
【0023】
非可食バイオマス資源の重量平均径は、取り扱い性と反応効率の面から、粒の最も長い部分の長さとして、0.5mm以上が好ましく、1mm以上がより好ましく、2mm以上が特に好ましい。また、50mm以下が好ましく、25mm以下がより好ましく、10mm以下が特に好ましい。なお、非可食バイオマス資源の重量平均径は、例えば、使用篩として、目開き径10mm、目開き径4.76mm、目開き径2.0mm、目開き径1.0mm、目開き径0.5mm、目開き径0.42mm((株)飯田製作所製)を使用する篩分法により測定できる。
【0024】
<C5糖類>
本発明で用いられるC5糖類は、非可食バイオマス資源由来であって、脱水反応によりフルフラールを製造することができるものであればよく、特に限定されない。
【0025】
炭素数5の単糖類(ペントース)としては、具体的にはリボース、リキソース、キシロース、アラビノース、デオキシリボース、キシルロース、リブロース等が挙げられる。これらの単糖の中でも、自然界、植物の構成成分となっていることから豊富に存在し、原料の入手容易性と収率の観点からキシロース、アラビノースが好ましく、キシロースがより好ましい。
【0026】
上記の炭素数5の単糖類を構成成分として有する多糖類としては、具体的には、キシロビオース、アラビノビオース等の2糖類;キシロトリオース、アラビノトリオース等の3糖類、上記2糖類や3糖類を含むキシロオリゴ糖、アラビノオリゴ糖等のオリゴ糖類、キシラン、アラバン、ヘミセルロースの多糖類が挙げられる。これらの多糖類の中でも、収率の観点からキシロオリゴ糖、キシラン、ヘミセルロースが好ましく、なかでもキシロオリゴ糖が特に好ましい。ここで、キシロオリゴ糖とは、2糖類、3糖類を主成分とし、更に4〜6糖類を含むものである。
【0027】
非可食バイオマス資源から得られる糖液中には、これらの単糖類と多糖類の1種のみが含まれていてもよく、2種以上が含まれていてもよい。
また、糖液中には、C5糖類とは炭素数の異なるグルコースなどの単糖やグルカンなどの多糖が共存していてもよい。
【0028】
<糖液の製造反応>
非可食バイオマス資源から上記のC5糖類を含む糖液を製造する反応は、非可食バイオマス資源中のヘミセルロース分を加水分解反応してC5糖類を生成させる反応である。この反応は、C5糖類の生産性向上、得られるC5糖類の純度向上の観点から、反応溶媒及び触媒を用いて行われる。
【0029】
以下に、この糖液の製造反応について説明する。
【0030】
(非可食バイオマス資源の濃度)
非可食バイオマス資源からの糖液の製造反応において、反応溶媒中に含まれる非可食バイオマス資源の濃度は特に限定されないが、溶媒に対する非可食バイオマスの割合が0.1〜200重量%であることが好ましく、より好ましくは5〜40重量%であり、さらに好ましくは10〜30重量%である。溶媒に対する非可食バイオマス資源の割合が上記下限値以上であると、溶媒の分離に必要なエネルギーが低くなる傾向があり、更には、反応系の容量を低減して装置設備の建設費も低減できる傾向にある。溶媒に対する非可食バイオマス資源の割合が上記上限値以下であると、副反応を抑制でき、C5糖類、更にはフルフラールの収率が高くなる傾向があり好ましい。
【0031】
(触媒)
非可食バイオマス資源からの糖液の製造反応で用いられる触媒は、非可食バイオマス資源からC5糖類を製造可能な触媒であればよく、特に限定されないが、硫酸、燐酸、硝酸、塩酸等の無機酸、カルボン酸、スルホン酸等の有機酸、ヘテロポリ酸といった酸触媒が挙げられる。これらの中でも、安定性、腐食性、廃棄物処理、単価の観点から有機酸が好ましく、特にカルボン酸が好ましい。
【0032】
カルボン酸の具体例としては、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ドデカン酸、テトラデカン酸、レブリン酸、乳酸等の脂肪族カルボン酸;シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、アコニット酸、イタコン酸、オキサロ酢酸、フマル酸、cis−1,2−シクロペンタンジカルボン酸、trans−1,2−シクロペンタンジカルボン酸、cis−1,3−シクロペンタンジカルボン酸、trans−1,3−シクロペンタンジカルボン酸、cis−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、trans−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、cis−1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、trans−1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、cis−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、trans−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸;1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、1,3,5−シクロヘキサントリカルボン酸等の脂肪族トリカルボン酸;安息香酸、ナフタレンカルボン酸等の芳香族カルボン酸;フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメシン酸、トリメリット酸、ヘミメリット酸、メロファン酸、プレニト酸、ピロメリト酸、ベンゼンペンタカルボン酸、メリト酸等の芳香族ポリカルボン酸;フランカルボン酸、フランジカルボン酸等の複素環カルボン酸;が挙げられる。また、これらの酸の少なくとも一部を中和した塩も用いることができる。
これらの中でも非可食バイオマス資源から得られる酸である蟻酸、酢酸、乳酸、レブリン酸が好ましい。
【0033】
特にC5糖類の収率の観点から、上記のカルボン酸の中でも酸解離定数pKaが1以上5以下、特に3.0以上4.6以下であるものが好ましい。ここで酸解離定数pKaとは、解離段が1の場合の数値とする。すなわち、2個以上のカルボキシル基を有するカルボン酸の場合、2個以上のカルボキシル基のうち少なくとも1個の水素イオンが脱離する場合の酸解離定数pKaを意味する。例えば、カルボキシル基を2個有するコハク酸では、通常、pKaは解離段が1の4.19と解離段が2の5.48となるが、本明細書では解離段が1の4.19をコハク酸のpKaとする。
【0034】
上記のカルボン酸は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0035】
スルホン酸の具体例としては、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、プロパンスルホン酸、ブタンスルホン酸、ペンタンスルホン酸、ヘキサンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸等が挙げられる。また、これらの酸の少なくとも一部を中和した塩も用いることができる。
上記のスルホン酸は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0036】
ヘテロポリ酸の具体例としては、リンタングステン酸、ケイタングステン酸、リンモリブデン酸、ケイモリブデン酸、リンバナドモリブデン酸、ケイバナドモリブデン酸等が挙げられる。また、これらの酸の少なくとも一部を中和した塩も用いることができる。
上記のヘテロポリ酸は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0037】
また、上記カルボン酸、スルホン酸、ヘテロポリ酸は、2種類以上を任意の割合で混合して使用してもよい。また、触媒はプロセス内で分離してリサイクル使用することが好ましい。
【0038】
糖液製造反応において用いる触媒の量は、触媒の種類や反応条件等に基づき適宜設定することができ、特に限定されるものではないが、好ましくは溶液量に対し0.01〜50重量%であり、より好ましくは0.5〜30重量%であり、特に好ましくは1〜20重量%である。なお、ここで、「溶液」とは、後述の反応溶媒、非可食バイオマス資源及び触媒を含む反応溶液をさす。触媒量が上記下限値以上であると、反応速度が速くなりC5糖類の生産性が向上する傾向がある。触媒量が上記上限値以下であると、副反応が抑えられてC5糖類の選択率が向上する傾向があり好ましい。
【0039】
(反応溶媒)
非可食バイオマス資源からの糖液の製造反応において用いる反応溶媒は、水、或いは、水と有機溶媒との混合溶媒である。即ち、水のみで反応を行うことが可能であるが、有機溶媒を添加して反応を行うこともできる。有機溶媒を用いる場合均一混合溶媒で反応を行うことができるが、水層と有機層の2層系となる有機溶媒も用いることができる。用いる有機溶媒の量は本発明の趣旨を損ねない限り、特に限定されないが、水に対して10〜5000重量%であることが好ましく、特に10〜1000重量%であることが好ましい。
【0040】
前記有機溶媒は、特に限定されるものではないが、例えば、テトラヒドロフラン等の炭素数4〜20のエーテル類;1−プロパノール、2−プロパノール等の炭素数3〜20のアルコール類;ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ドデカン、イソドデカンなどの炭素数3〜12の飽和脂肪族炭化水素類;トルエン、キシレン、ジエチルベンゼン、トリメチルベンゼン、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン(テトラリン)、1−メチルナフタレンなどの芳香族炭化水素類、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等のラクトン類、ポリエチレングリコール等のグリコール類、ポリエチレングリコールジメチルエーテル等のグリコールエーテル類、その他、スルホラン、イソソルビド、イソソルビドジメチルエーテル、プロピレンカーボネート等が挙げられる。
【0041】
これらの中でも、水と均一混合溶媒となる水性溶媒または前述の酸触媒が溶解しにくい非極性溶媒であることが好ましい。このうち、2相系で反応を行う場合は、2層分離の有機層を構成する有機溶媒となることから、2層分離に好適な有機溶媒として、フルフラールの抽出効率および水への有機溶媒の溶解量低減の観点から、トルエン、キシレン、ジエチルベンゼン、トリメチルベンゼン、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン(テトラリン)、1−メチルナフタレン等の芳香族炭化水素溶媒が特に好ましい。その中でもフルフラール抽出効率のよい溶媒として、溶媒中でのフルフラールの無限希釈活量係数(「γ
∞FRL」と記載する。)を溶媒中での水の無限希釈活量係数(「γ
∞H2O」と記載する。)で除した値(γ
∞FRL/γ
∞H2O)が3以上の溶媒が好ましく、特に好ましくは10以上、最も好ましくは15以上である。
【0042】
上記有機溶媒は溶媒の回収、再利用を考慮すると単一溶媒のほうが好ましいが、2種類以上を用いても構わない。
【0043】
本発明において、2層分離における有機層を構成する有機溶媒となる有機溶媒としては、後述の通り、2層分離を90℃を超え、150℃未満という高温で実施することから、常温(25℃)、大気圧下(100kPa)での密度が水の密度に近似しており、90℃を超え、150℃未満において、その密度が水の密度と大きく異なるようになる、密度の温度依存性の高い、芳香族炭化水素溶媒を用いることが好ましい。
また、フルフラールを含む有機層から蒸留分離によりフルフラールを分離精製する観点から、この蒸留分離において高沸側となる沸点の高いものが好ましい。
【0044】
上記の観点から、本発明で用いる芳香族炭化水素溶媒は、常温(25℃)、大気圧下(100kPa)での密度が0.90g/cm
3以上1.10g/cm
3以下であり、特に0.95g/cm
3以上1.05g/cm
3以下と水の密度に近いものが好ましい。また、密度の温度依存性については、常温(25℃)、大気圧下(100kPa)での密度が上記範囲にあって、90℃を超え、150℃未満、大気圧下(100kPa)での密度が0.6g/cm
3以上0.99g/cm
3以下、特に0.7g/cm
3以上0.95g/cm
3以下となるような、密度の温度依存性の高いものが好ましい。
【0045】
また、本発明において用いる芳香族炭化水素溶媒の沸点については、大気圧下(100kPa)での沸点が160℃以上280℃以下、特にフルフラールの沸点(161.7℃)よりも十分に高く、165℃以上250℃以下のものが好ましい。
【0046】
本発明において、上記の密度及び沸点を満たす芳香族炭化水素溶媒として、テトラリン(常温(25℃)、大気圧下(100kPa)での密度が0.970g/cm
3で、100℃、大気圧下(100kPa)での密度が0.905g/cm
3、大気圧下(100kPa)での沸点が206〜208℃)、1−メチルナフタレン(常温(25℃)、大気圧下(100kPa)での密度が1.001g/cm
3で、100℃、大気圧下(100kPa)での密度が0.961g/cm
3、大気圧下(100kPa)での沸点が240〜243℃)、インダン(常温(25℃)、大気圧下(100kPa)での密度が0.965g/cm
3で、100℃、大気圧下(100kPa)での密度が0.894g/cm
3、大気圧下(100kPa)での沸点が177℃)、シクロヘキシルベンゼン(常温(25℃)、大気圧下(100kPa)での密度が0.939g/cm
3で、100℃、大気圧下(100kPa)での密度が0.878g/cm
3、大気圧下(100kPa)での沸点が236℃)、アニリン(常温(25℃)、大気圧下(100kPa)での密度が1.021g/cm
3で、100℃、大気圧下(100kPa)での密度が0.954g/cm
3、大気圧下(100kPa)での沸点が184℃)、アセトフェノン(常温(25℃)、大気圧下(100kPa)での密度が1.027g/cm
3で、100℃、大気圧下(100kPa)での密度が0.958g/cm
3、大気圧下(100kPa)での沸点が202℃)、m−クレゾール(常温(25℃)、大気圧下(100kPa)での密度が1.034g/cm
3で、100℃、大気圧下(100kPa)での密度が0.971g/cm
3、大気圧下(100kPa)での沸点が202℃)、ベンズアルデヒド(常温(25℃)、大気圧下(100kPa)での密度が1.046g/cm
3で、100℃、大気圧下(100kPa)での密度が0.973g/cm
3、大気圧下(100kPa)での沸点が178℃)、ベンジルアルコール(常温(25℃)、大気圧下(100kPa)での密度が1.046g/cm
3で、100℃、大気圧下(100kPa)での密度が0.981g/cm
3、大気圧下(100kPa)での沸点が205℃)、安息香酸エチル(常温(25℃)、大気圧下(100kPa)での密度が1.048g/cm
3で、100℃、大気圧下(100kPa)での密度が0.971g/cm
3、大気圧下(100kPa)での沸点が213℃)、を用いることが好ましく、特にテトラリンを用いることが好ましい。
【0047】
(反応条件)
糖液製造反応の反応温度は特に限定されないが、具体的には100℃以上であることが好ましく、より好ましくは120℃以上、さらに好ましくは160℃以上であって、250℃以下であることが好ましく、より好ましくは230℃以下である。反応温度が上記下限値以上であると、反応の進行が速くなる傾向があり、C5糖類製造の生産性が向上する。反応温度が上記上限値以下であると、C5糖類の逐次反応や分解を抑制し、C5糖類の収率を向上させる傾向があるため好ましい。
【0048】
加熱方法は特に限定されないが、熱交換器で反応液を昇温する方法、蒸気を反応液に直接導入する方法、反応後に分離した溶媒をリサイクルするなどして温度の高いプロセス内の液を用いて加熱する方法などが好ましく、熱エネルギーを効率的に用いる観点から温度の高いプロセス内の液を用いて加熱する方法が特に好ましい。
【0049】
糖液製造反応の反応時間は、原料や触媒の使用量、種類、反応温度により異なるが、具体的には0.02時間以上が好ましく、より好ましくは0.1時間以上、特に好ましくは0.2時間以上であって、5時間以下が好ましく、より好ましくは2時間以下、特に好ましくは1時間以下である。反応時間が上記下限値以上である場合には、反応の進行を促進し、C5糖類の収率が向上する傾向があり、反応時間が上記上限値以下であると、C5糖類の分解や逐次反応を抑制し、C5糖類の収率を向上させる傾向があるため好ましい。
【0050】
反応圧力は、反応温度によって好ましい範囲が変化するが、0.1〜5.0MPaGが好ましく、0.5〜3.0MPaGがより好ましく、1.0〜2.5MPaGが特に好ましい。
【0051】
(反応形式)
糖液製造反応の反応形式は特に限定されず、バッチ式でも半回分式でも連続式でもよく、これらを組み合わせた反応形式でもよい。ここでいう連続式とは、原料の非可食バイオマス資源を連続的に供給して反応させることで、得られる糖液を連続的に取り出すことを言う。また、固液接触の観点では回転式の反応器が好ましい。反応器は1器で行ってもよいし、複数系列を組み合わせてもよい。
【0052】
(固液分離)
糖液の製造反応後、反応液から非可食バイオマス資源の反応残渣を分離する固液分離方法は特に限定されないが、フィルタープレス、ベルトフィルター、スクリュープレス、ロールプレス、コンベヤードライヤー、オリバーフィルター、プレコートフィルター、ディスクフィルター、ベルトプレス、ギナ遠心分離装置、回転加圧脱水装置、多重円盤脱水装置、中空糸膜濾過装置、クロスフロー型遠心濾過脱水装置などを好ましく用いることができ、フィルタープレス、ベルトフィルター、ロールプレスがより好ましく、ロールプレスが特に好ましい。固液分離は糖液製造後に行ってもよいし、脱水反応によるフルフラール製造後に行ってもよいし、糖液やフルフラールの製造途中に行ってもよい。
【0053】
<フルフラール製造反応>
本発明で行われるフルフラール製造反応は、上記の糖液製造反応で得られた糖液中のC5糖類を、触媒の存在下で脱水反応させて、フルフラールを生成させる反応である。この脱水反応は、フルフラールの生産性向上、得られるフルフラールの純度向上の観点から、反応溶媒及び触媒を用いて行うことが好ましい。また、フルフラール製造反応は、上記の糖液製造反応と分割せずに、糖液製造反応で記載した条件でバガスから直接フルフラールを得ることもできる。
【0054】
(糖液のC5糖類濃度)
上記のようにして非可食バイオマス資源から製造され、フルフラール製造のための脱水反応に供される糖液中のC5糖類の濃度は特に限定されないが、糖液に対するC5糖類の割合で0.1〜50重量%であることが好ましく、より好ましくは1〜30重量%であり、さらに好ましくは4〜10重量%である。糖液中のC5糖類の含有量が、上記下限値以上であると、脱水反応後、フルフラールと溶媒との分離に必要なエネルギーが低くなる傾向があり、更には反応系の容量が小さくなり、建設費も低減できる傾向にある。糖液中のC5糖類濃度が上記上限値以下であると、副反応を抑制でき、フルフラールの収率が高くなる傾向があり好ましい。
【0055】
(触媒)
本発明のフルフラール製造反応で用いられる触媒は、C5糖類からフルフラールを製造可能な酸触媒であれば、特に限定されず、前述の非可食バイオマス資源からの糖液製造反応で用いられる触媒と同様のものを用いることができ、好ましい触媒についても前述の非可食バイオマス資源からの糖液の製造反応におけると同様である。
【0056】
フルフラール製造反応において用いる触媒の量は、触媒の種類や反応条件等に基づき適宜設定することができ、特に限定されるものではないが、好ましくは溶液量に対し0.01〜50重量%であり、より好ましくは0.5〜30重量%であり、特に好ましくは1〜20重量%である。なお、ここで、「溶液」とは、後述の反応溶媒、C5糖類及び触媒を含む反応溶液をさす。触媒量が前記下限値以上であると、反応速度が速くなりフルフラールの生産性が向上する傾向がある。また、フルフラールは酸性条件下において重合する性質を有するため、触媒量が前述の上限値以下であると、副反応が抑えられてフルフラールの選択率が向上する傾向があり好ましい。
【0057】
(反応溶媒)
フルフラール製造反応において用いる反応溶媒は、水、或いは水と有機溶媒との混合溶媒であることが好ましい。即ち、非可食バイオマス資源からの糖液製造反応におけると同様、水のみで反応を行うことが可能であるが、有機溶媒を添加して反応を行うこともできる。コスト優位性の観点からは、反応溶媒として水のみを用いることが好ましく、フルフラールの収率向上の観点からは、反応溶媒として水と有機溶媒とを用いることが好ましい。
【0058】
有機溶媒の添加によって均一混合溶媒で反応を行うことができるが、フルフラールの重合や分解反応を抑制し、フルフラールの収率が向上するため、水層と有機層の2層系となる有機溶媒を用いることが好ましい。用いる有機溶媒の量は本発明の趣旨を損ねない限り、特に限定されないが、水に対して10〜5000重量%であることが好ましく、特に10〜1000重量%であることが好ましい。
【0059】
用いる有機溶媒としては、特に限定されるものではないが、非可食バイオマス資源からの糖液製造反応で用いる有機溶媒として前述したものをいずれも用いることができ、好適な有機溶媒についても同様である。
フルフラールの製造反応においても、有機溶媒は溶媒の回収、再利用を考慮すると単一溶媒のほうが好ましいが、2種類以上を用いても構わない。
【0060】
(反応条件)
フルフラール製造反応の反応温度は特に限定されないが、具体的には100℃以上であることが好ましく、より好ましくは120℃以上、さらに好ましくは160℃以上であって、250℃以下であることが好ましく、より好ましくは230℃以下である。反応温度が上記下限値以上であると、反応速度が速くなる傾向があり、フルフラールの生産性が向上する。反応温度が上記上限値以下であると、フルフラールや原料糖の分解、重合を抑制し、フルフラールの収率を向上させる傾向があるため好ましい。
【0061】
フルフラール製造反応の反応時間は、糖液組成や触媒の使用量、種類、反応温度により異なるが、具体的には0.02時間以上が好ましく、より好ましくは0.1時間以上、特に好ましくは0.5時間以上であって、5時間以下が好ましく、より好ましくは2時間以下である。反応時間が上記下限値以上である場合には、反応の進行を促進し、転化率が向上することによりフルフラール収率が向上する傾向があり、反応時間が上記上限値以下であると、フルフラールが分解や重合を起こすことを抑制し、フルフラールの収率を向上させる傾向があるため好ましい。
【0062】
反応圧力は、反応温度によって好ましい範囲が変化するが、0.1〜5.0MPaGが好ましく、0.5〜3.0MPaGがより好ましく、1.0〜2.5MPaGが特に好ましい。
【0063】
(反応形式)
フルフラール製造反応の反応形式は特に限定されず、バッチ式でも半回分式でも連続式でもよく、これらを組み合わせた反応形式でもよいが、生産性向上の観点からは、半回分式反応および連続式反応が好ましい。なお、ここでいう連続式反応とは、フルフラールを得る際の原料となる上記糖液を連続的に供給して、反応させながら、得られるフルフラールを含む反応液を連続的に抜き出すことをいう。連続式反応では連続管型反応器や連続槽型反応器を用いることができる。また、反応生成物であるフルフラールを生産しながら蒸留する反応蒸留方式でも構わない。例えば、国際公開第2013/102027号に記載されているようにフルフラール製造反応器を反応蒸留形式としてフルフラールと水の混合物を連続的に抜き出す方法や国際公開第2012/115706号に記載されているように有機溶媒を用いてフルフラールを水層から連続抽出する方法などを用いることも出来る。反応蒸留方式の場合、減圧で実施しても常圧で実施してもいずれでも構わない。反応器は1器で行ってもよいし、複数系列を組み合わせてもよい。
【0064】
<2層分離>
本発明においては、上記のようにして、糖液中のC5糖類の脱水反応で得られたフルフラールを含む反応液(粗フルフラール)を、フルフラールを含む有機層と水層とに2層分離する。
この2層分離は、以下の通り、温度条件、有機層の有機酸濃度を制御すること以外は、通常のデカンタ等の2層分離器を用いて常法に従って行うことができる。
【0065】
(粗フルフラールのフルフラール濃度)
2層分離に供する粗フルフラール中のフルフラールの濃度は、特に限定されないが、通常、0.01重量%以上10重量%以下であり、好ましくは0.1重量%以上8重量%以下、より好ましくは0.5重量%以上6重量%以下であり、最も好ましくは1重量%以上5重量%以下である。粗フルフラール中のフルフラール濃度が上記下限値以上であると、フルフラールの抽出効率が向上し、フルフラールに対する溶媒量も低くなるため製造コストを低減できる。粗フルフラール中のフルフラール濃度が上記上限値以下であると、フルフラール由来の重合物を低減できるため、好ましい。
粗フルフラールのフルフラール濃度は、用いる反応溶媒量、反応温度、反応圧力、反応時間、撹拌速度、触媒の種類、触媒量、非可食バイオマス資源の濃度、非可食バイオマス資源の粒径、非可食バイオマス資源の種類等により制御することができる。
【0066】
(粗フルフラールの有機酸濃度)
粗フルフラールには、フルフラール製造触媒として用いた有機酸、更には、脱水反応で生成した酢酸、蟻酸などの有機酸が含まれている。
【0067】
本発明において、粗フルフラール中の有機酸濃度は0.1重量%以上40重量%以下であることが好ましい。また、粗フルフラール中の有機酸濃度は、0.5重量%以上30重量%以下であることがより好ましく、特に1重量%以上20重量%以下であることが好ましく、とりわけ1.5重量%以上5重量%以下であることが好ましい。
粗フルフラール中の有機酸濃度が上記下限値以上であると、触媒として十分量の有機酸を用いてフルフラール生産性を高めることができると共に、水層の密度が上昇してフルフラールの有機層への分配効率が向上し、上記上限値以下であると、有機層へのフルフラールの分配率が向上し、有機酸の分離コストが少なくなり、フルフラールの重合も抑制できる傾向にある。
従って、粗フルフラール中の有機酸濃度が上記範囲となるように制御することが好ましい。この制御を行うためには、例えば、触媒として有機酸を用いる、非可食バイオマス資源からの酢酸、蟻酸の生成条件を調整する、プロセス内で有機酸のパージ又は有機酸含有液をリサイクルすることが好ましい。
【0068】
(粗フルフラールの酢酸濃度)
粗フルフラールには、通常、糖液の製造反応及びC5糖類の脱水反応で生成した酢酸や触媒として使用された酢酸が含まれている。
【0069】
本発明において、粗フルフラール中の酢酸濃度は0.2重量%以上10重量%以下であることが好ましく、特に0.4重量%以上5重量%以下であることが好ましく、とりわけ0.6重量%以上3重量%以下であることが好ましい。
粗フルフラール中の酢酸濃度が上記下限値以上であると水層の密度が上昇してフルフラールの有機層への分配効率が向上し、上位上限値以下であると酢酸の分離コストが少なくなり、フルフラールの重合も抑制できる傾向にある。
従って、粗フルフラール中の酢酸濃度が上記範囲となるように、非可食バイオマス資源からの酢酸生成条件を調整する、触媒として酢酸を用いる、プロセス内で酢酸のパージ又は酢酸含有液をリサイクルすることが好ましい。
【0070】
(粗フルフラールの蟻酸濃度)
粗フルフラールには、通常、糖液の製造反応及びC5糖類の脱水反応で生成した蟻酸が含まれている。
本発明において、粗フルフラール中の蟻酸濃度は0.05重量%以上5重量%以下であることが好ましく、特に0.1重量%以上2重量%以下であることが好ましく、とりわけ0.15重量%以上1重量%以下であることが好ましい。
粗フルフラール中の蟻酸濃度が上記下限値以上であると水層の密度が上昇してフルフラールの有機層への分配効率が向上し、上位上限値以下であると蟻酸の分離コストが少なくなり、フルフラールの重合も抑制できる傾向にある。
従って、粗フルフラール中の蟻酸濃度が上記範囲となるように、非可食バイオマス資源からの蟻酸生成条件を調整する、触媒として蟻酸を用いる、プロセス内で蟻酸のパージ又は蟻酸含有液をリサイクルすることが好ましい。
【0071】
(抽出溶媒)
2層分離によるフルフラールの抽出に用いる芳香族炭化水素溶媒は、前述の通り、フルフラールの抽出効率、有機溶媒の水への低溶解量の観点からトルエン、キシレン、ジエチルベンゼン、1,2,4−トリメチルベンゼン、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン(テトラリン)、1−メチルナフタレン、インダン、シクロヘキシルベンゼン、シメンが好ましい。その中でもフルフラール抽出効率のよい溶媒として、溶媒中でのフルフラールの無限希釈活量係数(γ
∞FRL)を溶媒中での水の無限希釈活量係数(γ
∞H2O)で除した値(γ
∞FRL/γ
∞H2O)が3以上の溶媒が好ましく、特に好ましくは10以上、最も好ましくは15以上である。
【0072】
また、前述の通り、本発明において用いる芳香族炭化水素溶媒の中でも、常温(25℃)、大気圧下(100kPa)での密度が0.90g/cm
3以上1.10g/cm
3以下であり、特に0.95g/cm
3以上1.05g/cm
3以下で、水の密度に近似しているものが好ましい。また、90℃を超え、150℃未満、大気圧下(100kPa)での密度が0.6g/cm
3以上0.99g/cm
3以下、特に0.7g/cm
3以上0.95g/cm
3以下となるような密度の温度依存性の高いものが好ましい。
また、大気圧下(100kPa)での沸点が160℃以上280℃以下、特に165℃以上250℃以下のものが好ましく、このようなものとして、テトラリン(常温(25℃)、大気圧下(100kPa)での密度が0.970g/cm
3で、100℃、大気圧下(100kPa)での密度が0.905g/cm
3、大気圧下(100kPa)での沸点が206〜208℃)、1−メチルナフタレン(常温(25℃)、大気圧下(100kPa)での密度が1.001g/cm
3で、100℃、大気圧下(100kPa)での密度が0.961g/cm
3、大気圧下(100kPa)での沸点が240〜243℃)、インダン(常温(25℃)、大気圧下(100kPa)での密度が0.965g/cm
3で、100℃、大気圧下(100kPa)での密度が0.894g/cm
3、大気圧下(100kPa)での沸点が177℃)、シクロヘキシルベンゼン(常温(25℃)、大気圧下(100kPa)での密度が0.939g/cm
3で、100℃、大気圧下(100kPa)での密度が0.878g/cm
3、大気圧下(100kPa)での沸点が236℃)、アニリン(常温(25℃)、大気圧下(100kPa)での密度が1.021g/cm
3で、100℃、大気圧下(100kPa)での密度が0.954g/cm
3、大気圧下(100kPa)での沸点が184℃)、アセトフェノン(常温(25℃)、大気圧下(100kPa)での密度が1.027g/cm
3で、100℃、大気圧下(100kPa)での密度が0.958g/cm
3、大気圧下(100kPa)での沸点が202℃)、m−クレゾール(常温(25℃)、大気圧下(100kPa)での密度が1.034g/cm
3で、100℃、大気圧下(100kPa)での密度が0.971g/cm
3、大気圧下(100kPa)での沸点が202℃)、ベンズアルデヒド(常温(25℃)、大気圧下(100kPa)での密度が1.046g/cm
3で、100℃、大気圧下(100kPa)での密度が0.973g/cm
3、大気圧下(100kPa)での沸点が178℃)、ベンジルアルコール(常温(25℃)、大気圧下(100kPa)での密度が1.046g/cm
3で、100℃、大気圧下(100kPa)での密度が0.981g/cm
3、大気圧下(100kPa)での沸点が205℃)、安息香酸エチル(常温(25℃)、大気圧下(100kPa)での密度が1.048g/cm
3で、100℃、大気圧下(100kPa)での密度が0.971g/cm
3、大気圧下(100kPa)での沸点が213℃)、を用いることが好ましく、特にテトラリンを用いることが好ましい。
【0073】
抽出溶媒の使用量は、粗フルフラールに対して10重量%以上1000重量%以下、特に20重量%以上700重量%以下、とりわけ50重量%以上150重量%以下であることが好ましい。また、粗フルフラール中のフルフラールに対して、300重量%以上30000重量%以下、特に600重量%以上20000重量%以下、とりわけ1200重量%以上5000重量%以下であることが好ましい。
抽出溶媒の使用量が上記下限値以上であるとフルフラールの抽出効率が向上し、水層の不純物濃度が低下する傾向にあり、上記上限値以下であるとプロセス全体の溶媒使用量や溶媒ロスを低減することができ、又、設備建設費も低減できる傾向にある。
【0074】
従って、脱水反応液中に含まれる有機溶媒量が上記下限値よりも少ない場合には、2層分離に際して、有機溶媒を添加して不足量を補うことが好ましい。なお、通常、脱水反応液中の有機溶媒量が上記上限値を超えることは殆どないが、上記上限値を超える場合は、プロセス内で新たに供給する溶媒量を低減したり、溶媒回収蒸留塔から回収された溶媒の一部を系外抜出したりすればよい。
【0075】
(2層分離温度)
本発明においては、2層分離を90℃を超え、150℃未満で行うことを特徴とする。2層分離温度が90℃を超えることにより、分離された水層の温度が十分に高く、循環、再利用に好適なものとなり、フルフラールの分離効率を向上させ、水への溶媒ロスも低減できる。一方、2層分離温度が150℃未満であることにより、フルフラールの重合を抑制してフルフラールを効率的に回収することができ、また、水層への溶媒や有機不純物の混入量を低減することができる。このような観点から、2層分離温度は好ましくは95℃以上140℃以下、より好ましくは100℃以上130℃以下である。
【0076】
(分離時間)
本発明における2層分離に要する分離時間、例えば、デカンター等の2層分離器における静置時間は、分離温度や抽出溶媒量等によっても異なるが、通常5分以上、好ましくは10分以上、更に好ましくは15分以上、特に好ましくは20分以上で、通常4時間以下、好ましくは3時間以下、更に好ましくは2時間以下、特に好ましくは1時間以下である。分離時間が上記上限値よりも長いと長大なデカンターが必要となる上にフルフラールや不純物の重合反応が多くなり、好ましくない。分離時間が上記下限値よりも短いとフルフラールの分離効率が悪化し、溶媒ロスも多くなる傾向にあり、好ましくない。本発明により、短い分離時間でも効率よくフルフラールを抽出分離することが可能となる。
【0077】
<有機層中のフルフラール濃度・分配率>
本発明においては、上記のような2層分離で、フルフラール濃度0.5重量%以上5重量%以下の有機層をフルフラール分配率60%以上99%以下で得ることが好ましい。
ここで、フルフラール分配率とは、2層分離に供される粗フルフラール中に含まれる全フルフラール量のうち、有機層中に抽出されたフルフラール量の割合(百分率)である。
【実施例】
【0078】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
【0079】
なお、以下の実施例において、水分の分析はカールフィッシャー法(三菱化学製CA−21で測定)を用いて行った。粗フルフラールのフルフラール、酢酸、乳酸、有機層及び水層のフルフラール、水層の有機溶媒の分析はガスクロマトグラフィー(GC)により行い、内部標準法により算出した。尚、内部標準には1,4−ジオキサンを用いた。
【0080】
また、粗フルフラール中の蟻酸は、キャピラリー電気泳動により以下の条件で分析した。
キャピラリー電気泳動装置:大塚電子社製「CAPI−3300型」
試料を超純水もしくはイソプロパノール水溶液にて希釈し、希釈液中の蟻酸をキャピラリー電気泳動にて測定した。
【0081】
上記GC分析結果をもとに、下記計算式によりフルフラール(FRL)収率を求めた。なお、キシランは(C
5H
8O
4)
nのユニットとして、n個のキシロースが結合してなるキシラン1molを、n molとし、環単位に換算した収率を算出した。
FRL収率(%)
=(反応後のFRL量(mol)/仕込糖(キシラン)量(mol))×100
【0082】
[実施例1]
<粗フルフラールの製造>
100mLミクロオートクレーブに、バガス(重量平均径1mm〜3mm)を9.0g、反応溶媒として脱塩水を49.2g、触媒として乳酸を1.8g入れて、容器を密閉した後、内部空間を窒素で置換した。内容物を撹拌しながら170℃まで昇温し、170℃、1.0MPaGで180分、加熱撹拌して反応を行った。
反応終了後、撹拌を維持しながら室温まで放冷し、オートクレーブ中の反応液を全量回収し、これを粗フルフラールとした。
【0083】
粗フルフラール中のFRL濃度は1.2重量%であり、FRL収率は36%であった。
【0084】
この粗フルフラールについて、前述の方法で含有される有機酸の種類と濃度を求めたところ、有機酸は、蟻酸、酢酸及び乳酸であり、各有機酸の濃度は表1(実施例1)に示す通りであった。
【0085】
<粗フルフラールの2層分離>
上記の粗フルフラール2gを9mLのガラスバイアルに入れ、テトラリン2gを加えて95℃に昇温し、10分間撹拌した。溶液温度を95℃に維持した状態で15分静置した後、2層分離した。2層分離により得られた有機層及び水層の各々についてGC分析によりフルフラール濃度を測定し、フルフラール(FRL)分配率を算出した。また、水層の有機溶媒濃度もGC分析により測定した。結果を表1に示す。
【0086】
[実施例2]
実施例1において、2層分離における温度条件を100℃としたこと以外は同様にして2層分離を行い、結果を表1に示した。
【0087】
[実施例3]
実施例1において、2層分離における温度条件を120℃としたこと以外は同様にして2層分離を行い、結果を表1に示した。
【0088】
[実施例4]
実施例1において、テトラリンの代わりに1−メチルナフタレン2gを加えたこと以外は同様にして2層分離を行い、結果を表1に示した。
【0089】
[比較例1]
実施例1において、2層分離における温度条件を40℃としたこと以外は同様にして2層分離を行い、結果を表1に示した。
【0090】
[比較例2]
実施例1において、2層分離における温度条件を80℃としたこと以外は同様にして2層分離を行い、結果を表1に示した。
【0091】
[比較例3]
実施例1において、2層分離における温度条件を160℃としたこと以外は同様にして2層分離を行い、結果を表1に示した。
【0092】
[比較例4]
実施例3において、テトラリンの代わりにブチルベンゼン2gを加えたこと以外は同様にして2層分離を行い、結果を表1に示した。
【0093】
【表1】
【0094】
表1より次のことが分かる。
本発明規定の芳香族炭化水素溶媒を用いて、2層分離における温度を本発明の規定範囲内とした実施例1〜4では、有機層側に高いFRL分配率でフルフラールを抽出分離することができ、水層の有機溶媒濃度も低い。
2層分離における温度が90℃未満の比較例1(40℃)、比較例2(80℃)では水層への有機溶媒ロスが大幅に増加した。2層分離における温度が150℃を超えている比較例3(160℃)は有機層側へのフルフラール分配率が大幅に低下し、かつ水層への有機溶媒ロスも増加した。常温(25℃)、大気圧下(100kPa)での密度が0.90g/cm
3を下回り、本発明の規定溶媒以外の溶媒を使用した比較例4(ブチルベンゼン:0.86g/cm
3)も有機層側へのフルフラール分配率が大幅に低下し、かつ水層への有機溶媒ロスも増加した。
したがって、粗フルフラールを2層分離する際には、本発明のように、25℃、大気圧下での密度が0.90g/
cm
3以上1.1g/
cm
3以下の芳香族炭化水素溶媒を選択的に用いると、90℃を超え150℃未満という特定の高温度範囲において、フルフラールの抽出効率が高まることがわかる。