(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施の形態の一例であり、本発明はその要旨を超えない限り、以下の記載内容に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」という表現を用いる場合、その前後の数値または物性値を含む表現として用いるものとする。
【0014】
[メカニズム]
本発明のオリゴフェノール化合物の混合物(以下、「本発明のオリゴフェノール」と呼称することがある)を原料として得られる樹脂が硬化重合時の応力緩和に優れる理由は以下のように考えられる。
すなわち、以下に示す式(1)で表されるオリゴフェノール化合物は、側鎖に長鎖のアルキル基R
1を有しており、該当部分が硬化重合時に柔軟な部位として作用することで、特に高温での弾性率を大きく下げることができたと考えられる。さらに、長鎖アルキル基R
1がフェノール部位ではなくメチレン架橋部位に置換することで、硬化重合時において長鎖アルキル基R
1同士が立体的に近接し相互作用しやすくなり、前記柔軟な部位をより大きくすることで、応力緩和効果を高めることができたものと考えられる。
【0015】
[オリゴフェノール]
<構造>
本発明のオリゴフェノールは、下記式(1)で表される化合物群から構成されるオリゴフェノール化合物の混合物であって、水酸基価から計算されるnの平均値が0.015以上1.5以下の範囲内であることを特徴とする。
【0017】
(上記式(1)において、nは0以上の整数を表し、R
1は炭素数6以上13以下のアルキル基を表し、R
2は水素原子もしくは炭素数1〜4のアルキル基もしくはアルケニル基を表す。)
【0018】
上記式(1)中、R
1は炭素数6〜13のアルキル基を表す。R
1の炭素数が上記下限値以上であることで、本発明のオリゴフェノールを樹脂原料として用いた場合、得られた樹脂が柔軟性などの優れた特性を発現しやすい点で好ましく、上記上限値以下であることで、本発明のオリゴフェノールを樹脂原料として用いた場合、得られた樹脂が機械強度や耐熱性などの面で優れた特性を発現しやすい点で好ましい。また、R
1の炭素数が上記下限値および上限値の範囲内であることで、本発明のオリゴフェノールが低融点性を発現しやすくなり特定の顕色剤としても好適に用いることができるようになる。
【0019】
R
1の炭素数6〜13のアルキル基としては、好ましくは直鎖状又は分岐状のアルキル基、一部環状構造を有するアルキル基などが挙げられるが、なかでも原料が入手しやすく本発明のオリゴフェノールが入手容易となる点、および本発明のオリゴフェノールを樹脂原料として用いた場合、得られた樹脂が柔軟性などの優れた特性をより発現しやすい点で、直鎖状又は分岐状アルキル基であることが好ましく、直鎖状アルキル基であることがさらに好ましい。
【0020】
R
1の直鎖状アルキル基の具体例としては、n−ヘキシル基、n−へプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基などが挙げられるが、n−へプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基などの炭素数7〜12の直鎖状アルキル基が好ましく、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基の炭素数8〜11の直鎖状アルキル基がより好ましく、n−ウンデシル基が特に好ましい。
【0021】
R
1の分岐状アルキル基の具体例としては、
メチルペンチル基、メチルヘキシル基、メチルへプチル基、メチルオクチル基、メチルノニル基、メチルデシル基、メチルウンデシル基、メチルドデシル基;
ジメチルブチル基、ジメチルペンチル基、ジメチルヘキシル基、ジメチルへプチル基、ジメチルオクチル基、ジメチルノニル基、ジメチルデシル基、ジメチルウンデシル基;
トリメチルヘキシル基、トリメチルへプチル基、トリメチルオクチル基、トリメチルノニル基、トリメチルデシル基;
エチルブチル基、エチルペンチル基、エチルヘキシル基、エチルへプチル基、エチルオクチル基、エチルノニル基、エチルデシル基、エチルウンデシル基;
プロピルヘキシル基、プロピルへプチル基、プロピルオクチル基、プロピルノニル基、プロピルデシル基;
ブチルヘキシル基、ブチルへプチル基、ブチルオクチル基、ブチルノニル基;
などが挙げられる。
【0022】
これらのうち、エチルブチル基、エチルペンチル基、エチルヘキシル基、エチルへプチル基、エチルオクチル基等の炭素数6〜10の分岐アルキル基が好ましく、エチルペンチル基、エチルヘキシル基がより好ましく、エチルペンチル基が特に好ましい。
【0023】
なお、上記分岐状アルキル基の例において、分岐の位置は任意である。
【0024】
R
1の一部環状構造を有するアルキル基の具体例としては、
シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基、シクロウンデシル基、シクロドデシル基;
シクロヘキシルメチル基、シクロヘプチルメチル基、シクロオクチルメチル基、シクロノニルメチル基、シクロデシルメチル基、シクロウンデシルメチル基、シクロドデシルメチル基;
シクロヘキシルエチル基、シクロヘプチルエチル基、シクロオクチルエチル基、シクロノニルエチル基、シクロデシルエチル基、シクロウンデシルエチル基;
シクロヘキシルプロピル基、シクロヘプチルプロピル基、シクロオクチルプロピル基、シクロノニルプロピル基、シクロデシルプロピル基;
メチルシクロヘキシル基、メチルシクロヘプチル基、メチルシクロオクチル基、メチルシクロノニル基、メチルシクロデシル基、メチルシクロウンデシル基、メチルシクロドデシル基;
ジメチルシクロヘキシル基、ジメチルシクロヘプチル基、ジメチルシクロオクチル基、ジメチルシクロノニル基、ジメチルシクロデシル基、ジメチルシクロウンデシル基;
エチルシクロヘキシル基、エチルシクロヘプチル基、エチルシクロオクチル基、エチルシクロノニル基、エチルシクロデシル基、エチルシクロウンデシル基;
プロピルシクロヘキシル基、プロピルシクロヘプチル基、プロピルシクロオクチル基、プロピルシクロノニル基、プロピルシクロデシル基;
ヘキシルシクロヘキシル基、ヘキシルシクロヘプチル基;
メチルシクロヘキシルメチル基、メチルシクロヘプチルメチル基、メチルシクロオクチルメチル基、メチルシクロノニルメチル基、メチルシクロデシルメチル基、メチルシクロウンデシルメチル基;
メチルシクロヘキシルエチル基、メチルシクロヘプチルエチル基、メチルシクロオクチルエチル基、メチルシクロノニルエチル基、メチルシクロデシルエチル基;
メチルシクロヘキシルプロピル基、メチルシクロヘプチルプロピル基、メチルシクロオクチルプロピル基、メチルシクロノニルプロピル基;
ジメチルシクロヘキシルメチル基、ジメチルシクロヘプチルメチル基、ジメチルシクロオクチルメチル基、ジメチルシクロノニルメチル基、ジメチルシクロデシルメチル基;
ジメチルシクロヘキシルエチル基、ジメチルシクロヘプチルエチル基、ジメチルシクロオクチルエチル基、ジメチルシクロノニルエチル基;
ジメチルシクロヘキシルプロピル基、ジメチルシクロヘプチルプロピル基、ジメチルシクロオクチルプロピル基、ジメチルシクロノニルプロピル基;
などが挙げられる。
【0025】
これらのうち、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘプチルメチル基、シクロヘキシルエチル基、シクロヘプチルエチル基、メチルシクロヘキシルメチル基、メチルシクロヘプチルメチル基等の炭素数6〜7の一部環状構造を有するアルキル基が好ましく、シクロヘキシル基を含む基であることがより好ましく、シクロヘキシル基であることが特に好ましい。
【0026】
なお、上記一部環状構造を有するアルキル基において、置換基の置換位置は任意である。
【0027】
前記式(1)中、R
2は水素原子もしくは炭素数1〜4のアルキル基もしくはアルケニル基を表す。
炭素数1〜4のアルキル基もしくはアルケニル基の具体例としては、
メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基の直鎖状アルキル基;
イソプロピル基、1−メチルプロピル基、2−メチルプロピル基、t−ブチル基の分岐状アルキル基;
エテニル基、1−プロペニル基、アリル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、イソプロペニル基などの直鎖または分岐状アルケニル基;
などが挙げられる。
【0028】
これらのうち、本発明のオリゴフェノールを樹脂原料として用いた場合、得られた樹脂が耐熱性などの優れた特性をより発現しやすい点で、R
2は水素原子もしくはメチル基、エチル基、プロピル基、アリル基、イソプロピル基などの炭素数1〜3の基であることが好ましく、水素原子もしくはメチル基、エチル基、プロピル基、アリル基などの直鎖状の基であることがより好ましく、水素原子もしくはメチル基であることが特に好ましく、水素原子であることが最も好ましい。
【0029】
前記式(1)におけるR
1を有するメチレン基およびR
2のフェノール構造に対する置換位置は特に規定されないが、それぞれフェノール構造に対しオルトもしくはパラ位(即ち、フェノール部位のベンゼン環の水酸基に対してオルト位またはパラ位)に置換していることが、本発明のオリゴフェノールを入手容易となる点で好ましい。
【0030】
前記式(1)中、nは0以上の整数を表す。その上限値は本発明のオリゴフェノールにおけるnの平均値が後述の範囲内であれば特に規定されないが、溶融粘度が低下し本発明のオリゴフェノールの取り扱いが容易となる点で、10以下であることが好ましく、7以下であることがさらに好ましく、5以下であることが特に好ましく、3以下であることが最も好ましい。
【0031】
本発明のオリゴフェノールは、水酸基価から計算されるnの平均値が0.015以上1.5以下の範囲内であることを特徴とする。nの平均値は0.020以上であることが好ましく、0.030以上であることがより好ましく、0.050以上であることがさらに好ましく、0.10以上であることが特に好ましい。nの平均値が上記下限値以上であることで、このオリゴフェノールを重合させて樹脂としたときに機械強度などの優れた特性を得やすい傾向にある。一方、nの平均値は1.2以下であることが好ましく、1.0以下であることがより好ましく、0.75以下であることがさらに好ましく、0.7以下であることが特に好ましく、0.6以下であることがとりわけ好ましい。nの平均値が上記上限値以下であることで本発明のオリゴフェノールを溶融させた場合に低粘性となりやすいなど、取り扱い性に優れる傾向にある。
【0032】
本発明のオリゴフェノールのnの平均値は、例えば、後述の本発明のオリゴフェノールの製造において、原料として用いるフェノール類/アルデヒド類の比を調整することによって制御することができる。すなわち、アルデヒド類に対しフェノール類を増加させることで、得られる本発明のオリゴフェノールのnの平均値を低下させることができる傾向にある。また、後述の析出工程において、オリゴフェノール化合物の一部を取り出したり、nの平均値が異なるオリゴフェノール化合物を任意の割合で混合したりすることによっても、混合物としてのnの平均値を調整することができる。
【0033】
本発明のオリゴフェノールのnの平均値は、以下の方法によって計算される。
すなわち、JIS K0070:1992に記載の方法により水酸基価を求め、前記水酸基価を本発明のオリゴフェノールにおける1モル水酸基あたりの質量グラムへと変換した後に、以下の式(A)を解くことにてnの平均値を計算することができる。なお、各成分の分子量は、原子量表(2015)に記載の各原子の原子量の平均値(有効数字5桁)を使って計算できる。
n=(2c−a)/(b−a−c) 式(A)
a:下記式(2)に記載のビスフェノール化合物の分子量
b:下記式(3)に記載のトリスフェノール化合物の分子量
c:水酸基価を本発明のオリゴフェノールにおける1モル水酸基あたりの質量グラムに変換したもの
【0035】
(上記式(2),(3)において、R
1,R
2は前記式(1)におけるR
1,R
2と同義である。)
【0036】
<含水率>
本発明のオリゴフェノールは水を含んでいても良い。その含水率は、通常0.001質量%以上であり、0.01質量%以上であることが好ましく、0.1質量%以上であることが特に好ましい。一方、通常10質量%以下であり、5質量%以下であることが好ましく、1.5質量%以下であることが特に好ましい。含水率が上記下限値以上であることで、本発明のオリゴフェノールを樹脂原料として用いる場合に、静電気発生を抑止するなど取り扱い面で安全に扱える傾向にあり、好ましい。一方、含水率が上記上限値以下であることで、本発明のオリゴフェノールを樹脂原料として用いる場合に、水蒸気発生に由来する樹脂原料の発泡や突沸などを抑止するなど取り扱い面で安全に扱える傾向にあり、好ましい。
【0037】
<含溶媒率>
本発明のオリゴフェノールは有機溶媒を含んでいても良い。その含溶媒率は、通常25質量%以下であり、20質量%以下であることが好ましく、15質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることがさらに好ましく、5質量%以下であることが特に好ましく、とりわけ1質量%以下であることが好ましい。含溶媒率が上記上限値以下であることで、本発明のオリゴフェノールを樹脂原料として用いる場合に、有機溶媒の揮発による中毒や発火リスクを抑止するなど取り扱い面で安全に扱える傾向にあり、好ましい。なお、含溶媒率の下限は特に規定されないが、本発明のオリゴフェノールが入手容易となる点においては、0.0001質量%以上であることが好ましく、0.0005質量%以上であることがより好ましい。
【0038】
<例示>
以下に、式(1)で表されるオリゴフェノール化合物の構造を、R
1とR
2の組み合わせによって例示する。なお、本発明に係るオリゴフェノール化合物は、以下の例示物に何ら制限されるものではない。
【0040】
なかでも、本発明に係るオリゴフェノール化合物としては、化合物(P−3)、化合物(P−4)、化合物(P−5)、化合物(P−6)、化合物(P−7)、化合物(P−11)、化合物(P−14)、化合物(P−15)が好ましく、化合物(P−6)が特に好ましい。このようなオリゴフェノール化合物の混合物は、樹脂原料や顕色剤の原料として特に好適に用いることができる。
【0041】
[オリゴフェノールの製造]
本発明のオリゴフェノールは、公知の方法、例えば対応するアルデヒド、アセタール、チオアセタール、トリオキサンなどのアルデヒド類をフェノール類と酸触媒下で縮合するなどして容易に製造することができる。一例として、例えば下記式(4)で表されるアルデヒド化合物と、下記式(5)で表されるフェノール化合物を反応させる方法が挙げられる。
【0043】
(式(4)中、R
1は前記式(1)におけるR
1と同義である。)
【0045】
(式(5)中、R
2は前記式(1)におけるR
2と同義である。)
【0046】
<アルデヒド類>
本発明のオリゴフェノールの製造に用いるアルデヒド類は、アルデヒド化合物、およびそれに対応するアセタール化合物、チオアセタール化合物、トリオキサン化合物などからなる群より選ばれる少なくとも1種を表すが、なかでも、副生物の生成量が少なく、さらには主の副生物が水であることより精製工程が簡略化でき廃棄物も少ないという点より、アルデヒド化合物であることが好ましい。
【0047】
上記アルデヒド化合物の具体例としては、直鎖状アルキルアルデヒド、分岐状アルキルアルデヒド、一部環状構造を有するアルキルアルデヒド等が挙げられる。これらのうち、本発明のオリゴフェノールを樹脂原料として用いた場合に、得られた樹脂の機械強度などの特性を発現しやすい点で直鎖状アルキルアルデヒドもしくは分岐状アルキルアルデヒドであることが好ましく、直鎖状アルキルアルデヒドであることが特に好ましい。
【0048】
直鎖状アルキルアルデヒドの具体例としては、n−ヘプタナール、n−オクタナール、n−ノナナール、n−デカナール、n−ウンデカナール、n−ドデカナール、n−トリデカナール、n−テトラデカナールが挙げられるが、n−ノナナール、n−デカナール、n−ウンデカナール、n−ドデカナールなどの炭素数8〜12の直鎖状アルキルアルデヒドが好ましく、n−ドデカナールが特に好ましい。
【0049】
分岐状アルキルアルデヒドの具体例としては、
メチルペンチルアルデヒド、メチルヘキシルアルデヒド、メチルへプチルアルデヒド、メチルオクチルアルデヒド、メチルノニルアルデヒド、メチルデシルアルデヒド、メチルウンデシルアルデヒド、メチルドデシルアルデヒド;
ジメチルペンチルアルデヒド、ジメチルヘキシルアルデヒド、ジメチルへプチルアルデヒド、ジメチルオクチルアルデヒド、ジメチルノニルアルデヒド、ジメチルデシルアルデヒド;
トリメチルヘキシルアルデヒド、トリメチルへプチルアルデヒド、トリメチルオクチルアルデヒド、トリメチルノニルアルデヒド、トリメチルデシルアルデヒド;
エチルブチルアルデヒド、エチルペンチルアルデヒド、エチルヘキシルアルデヒド、エチルへプチルアルデヒド、エチルオクチルアルデヒド、エチルノニルアルデヒド、エチルデシルアルデヒド、エチルウンデシルアルデヒド;
プロピルヘキシルアルデヒド、プロピルへプチルアルデヒド、プロピルオクチルアルデヒド、プロピルノニルアルデヒド、プロピルデシルアルデヒド;
ブチルヘキシルアルデヒド、ブチルへプチルアルデヒド、ブチルオクチルアルデヒド、ブチルノニルアルデヒド;
などが挙げられる。
【0050】
これらのうち、エチルブチルアルデヒド、エチルペンチルアルデヒド、エチルヘキシルアルデヒド、エチルへプチルアルデヒド、エチルオクチルアルデヒドなどの炭素数7〜11の分岐状アルキルアルデヒドが好ましく、エチルペンチルアルデヒド、エチルヘキシルアルデヒドがより好ましく、エチルペンチルアルデヒドが特に好ましい。
【0051】
なお、上記分岐状アルキルアルデヒドの例において、分岐の位置は任意である。
【0052】
一部環状構造を有するアルキルアルデヒドの具体例としては、
ホルミルシクロヘキサン、ホルミルシクロヘプタン、ホルミルシクロオクタン、ホルミルシクロノナン、ホルミルシクロデカン、ホルミルシクロウンデカン、ホルミルシクロドデカン;
ホルミルメチルシクロヘキサン、ホルミルメチルシクロヘプタン、ホルミルメチルシクロオクタン、ホルミルメチルシクロノナン、ホルミルメチルシクロデカン、ホルミルメチルシクロウンデカン、ホルミルメチルシクロドデカン;
ホルミルジメチルシクロヘキサン、ホルミルジメチルシクロヘプタン、ホルミルジメチルシクロオクタン、ホルミルジメチルシクロノナン、ホルミルジメチルシクロデカン、ホルミルジメチルシクロウンデカン;
ホルミルエチルシクロヘキサン、ホルミルエチルシクロヘプタン、ホルミルエチルシクロオクタン、ホルミルエチルシクロノナン、ホルミルエチルシクロデカン、ホルミルエチルシクロウンデカン、;
ホルミルジエチルシクロヘキサン、ホルミルジエチルシクロヘプタン、ホルミルジエチルシクロオクタン、ホルミルジエチルシクロノナン;
ホルミルプロピルシクロヘキサン、ホルミルプロピルシクロヘプタン、ホルミルプロピルシクロオクタン、ホルミルプロピルシクロノナン、ホルミルプロピルシクロデカン;
などが挙げられる。
【0053】
これらのうち、ホルミルシクロヘキサン、ホルミルシクロヘプタン、ホルミルメチルシクロヘキサン、ホルミルメチルシクロヘプタン、ホルミルエチルシクロヘキサン、ホルミルエチルシクロヘプタン、ホルミルジメチルシクロヘキサン、ホルミルジメチルシクロヘプタン等の炭素数7〜8の一部環状構造を有するアルキルアルデヒドが好ましく、シクロヘキシル基を含むアルデヒドがより好ましく、ホルミルシクロヘキサンが特に好ましい。
【0054】
なお、上記一部環状構造を有するアルキルアルデヒドの例において、ホルミル基の置換位置は任意である。
【0055】
<フェノール類>
本発明のオリゴフェノールの製造に用いる前記式(5)で表されるフェノール類の具体例としては、フェノール;メチルフェノール、エチルフェノール、n−プロピルフェノール、n−ブチルフェノールの直鎖状アルキル基を含むフェノール;イソプロピルフェノール、(1−メチルプロピル)フェノール、(2−メチルプロピル)フェノール、t−ブチルフェノールの分岐状アルキル基を含むフェノノール;エテニルフェノール、(1−プロペニル)フェノール、アリルフェノール、(1−ブテニル)フェノール、(2−ブテニル)フェノール、(3−ブテニル)フェノール、イソプロペニルフェノールなどの直鎖または分岐状アルケニル基を含むフェノール;などが挙げられる。
【0056】
これらのうち、本発明のオリゴフェノールを樹脂原料として用いた場合、得られた樹脂が耐熱性などの優れた特性をより発現しやすい点で、フェノールもしくはメチルフェノール、エチルフェノール、n−プロピルフェノール、アリルフェノール、イソプロピルフェノールなどの炭素数1〜3の基を含むフェノールであることが好ましく、フェノールもしくはメチルフェノール、エチルフェノール、n−プロピルフェノール、アリルフェノールなどの直鎖状の基を含むフェノールであることがより好ましく、フェノールもしくはメチルフェノールであることが特に好ましく、フェノールであることが最も好ましい。
【0057】
なお、上記置換基を有するフェノールの例において、置換基の位置は任意である。
【0058】
<フェノール類/アルデヒド類の比>
本発明のオリゴフェノールを製造する際のアルデヒド類とフェノール類の比は、本発明のオリゴフェノールが生成する条件であれば特に規定されないが、アルデヒド類に対するフェノール類の割合が、通常1モル倍以上であり、2モル倍以上であることが好ましく、3モル倍以上であることが特に好ましい。フェノール類の量が上記下限値以上であることで、本発明のオリゴフェノールを効率良く製造できる傾向にあり、好ましい。一方、アルデヒド類に対するフェノール類の割合は、通常20モル倍以下、好ましくは15モル倍以下、特に好ましくは10モル倍以下である。フェノール類の量が上記上限値以下であることで、本発明のオリゴフェノールの製造の際、未反応のフェノール類を分離する工程の負荷が低減する傾向にあり、好ましい。
【0059】
なお、このフェノール類/アルデヒド類の比によって、本発明のオリゴフェノールにおけるnの平均値を容易に制御することができる。例えば、アルデヒド類に対しフェノール類を増加させることで、得られる本発明のオリゴフェノールのnの平均値は低下する傾向にあるため、この傾向を利用して、フェノール類/アルデヒド類の比によってnの平均値を制御することができる。
【0060】
<酸触媒>
本発明のオリゴフェノールを製造するのに用いられる酸触媒としては、リン酸、シュウ酸、塩酸、硫酸などの無機酸触媒;酢酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸などの有機酸触媒;固体酸、カチオン交換樹脂などの不均一系酸触媒などが挙げられる。これらの酸触媒の種類および量は、本発明のオリゴフェノールを製造する際の取り扱いの容易さや、製造時の反応選択性、コストなど種々の点を勘案して選択される。なお、これら酸触媒は、単独で用いても良いし、二種以上を混合して用いても良い。
【0061】
<第三成分>
本発明のオリゴフェノールを製造する際には、反応時間を短縮するなどの目的で反応系が第三成分を含んでいても良い。この第三成分としては、具体的には、テトラエチルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムハイドロサルフェート、テトラブチルアンモニウムクロリドなどの四級アンモニウム塩;メタンチオール、エタンチオール、ブタンチオール、オクタンチオール、ドデカンチオール、メルカプト酢酸、3−メルカプトプロピオン酸、2−メルカプトエタノール、2−アミノエタンチオール、チオ乳酸エチル、チオ酪酸、ペンタエリスリトールテトラキス(メルカプト酢酸)、1,4−ブタンジオールビス(チオグリコール酸)、2−エチルヘキシル(チオグリコール酸)などの含硫黄化合物などが挙げられる。これらのうち、含硫黄化合物を第三成分として用いることが本発明のオリゴフェノールの製造が容易となる点で好ましい。一方、これら第三成分を含まないことが、本発明のオリゴフェノールと第三成分との分離が不要となり本発明のオリゴフェノールの精製工程を簡略化できる点で好ましい。なお、これら第三成分は、樹脂などに担持させた状態で用いても良い。
【0062】
本発明のオリゴフェノールを製造する際に用いる第三成分の量は、本発明のオリゴフェノールを効率良く製造できれば特に規定されないが、反応に供するアルデヒド類に対する第三成分の量は、通常0.001モル倍以上であり、好ましくは0.005モル倍以上であり、特に好ましくは0.01モル倍以上である。第三成分の量が上記下限値以上であることで、本発明のオリゴフェノールを効率良く製造できる傾向にあり、好ましい。また、反応に供するアルデヒド類に対する第三成分の量は、通常1モル倍以下であり、好ましくは0.5モル倍以下であり、特に好ましくは0.2モル倍以下である。第三成分の量が上記上限値以下であることで、本発明のオリゴフェノールの製造の際、反応後に第三成分を分離する工程の負荷が低減する傾向にあり、好ましい。なお、これら第三成分は、単独で用いても良いし、二種以上を混合して用いても良い。
【0063】
<溶媒>
本発明のオリゴフェノールを製造する際は、溶媒を用いても良い。溶媒の具体例としては、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、石油エーテルなどの炭素数5〜18の直鎖状炭化水素溶媒;イソオクタンなどの炭素数5〜18の分岐鎖状炭化水素溶媒;シクロヘキサン、シクロオクタン、メチルシクロヘキサンなどの炭素数5〜18の環状炭化水素溶媒;水;エタノール、n−ブタノールなどの直鎖状アルコール溶媒;イソプロパノール、2−ブタノール、イソブタノールなどの分岐鎖状アルコール溶媒;アセトニトリルなどのニトリル溶媒;ジブチルエーテルなどのエーテル溶媒;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル溶媒;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどの含窒素溶媒;ジメチルスルホキシド、スルホランなどの含硫黄溶媒;塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタンなどの含塩素溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素溶媒などが挙げられる。なお、これらの溶媒を用いることが、反応時における原料の固化抑止や内部発熱による予期せぬ副反応を抑止するなど、反応の操作性を向上できる点で好ましい。反応溶媒としては、溶媒と原料との予期せぬ副反応を防止し、本発明のオリゴフェノール製造時の副生物の除去が容易となる点で、水または炭化水素溶媒の少なくとも一種を含む溶媒を用いることが好ましい。一方、これらの溶媒を用いないことが、本発明のオリゴフェノールと溶媒との分離が不要となり本発明のオリゴフェノールの精製工程を簡略化できる点で好ましい。
【0064】
本発明のオリゴフェノールを製造する際に用いる溶媒の量は、本発明のオリゴフェノールを効率良く製造できれば特に規定されないが、反応に供するアルデヒド類に対する溶媒の量は、通常0.1質量倍以上であり、好ましくは0.2質量倍以上であり、特に好ましくは0.5質量倍以上である。溶媒の量が上記下限値以上であることで、本発明のオリゴフェノール製造時に溶媒の効果をより効率的に発揮できる傾向にあり、好ましい。また、反応に供するアルデヒド類に対する溶媒の量は、通常20質量倍以下であり、好ましくは10質量倍以下であり、特に好ましくは5質量倍以下である。溶媒の量が上記上限値以下であることで、本発明のオリゴフェノールを効率良く製造できる傾向にあり、好ましい。
【0065】
<反応温度>
本発明のオリゴフェノールを製造する際の反応温度は通常0℃以上であり、好ましくは15℃以上であり、特に好ましくは30℃以上である。反応温度が上記下限値以上であることで反応混合物の固化を防止しやすくなる傾向にあり、好ましい。一方、反応温度は通常150℃以下、好ましくは120℃以下、特に好ましくは90℃以下である。反応温度が上記上限値以下であることで本発明のオリゴフェノールを効率的に製造できる傾向にあり、好ましい。
【0066】
<酸触媒の除去工程>
本発明のオリゴフェノールを製造する工程は、反応後、用いた酸触媒を除去する工程を含んでいることが好ましい。酸触媒の除去工程の具体例としては、塩基による中和工程、溶媒に溶解させることによる除去工程、ろ過による除去工程などが挙げられる。これらのうち、酸触媒に無機酸触媒や有機酸触媒を用いる場合は塩基による中和工程を含むことが、不均一系酸触媒を用いる場合はろ過による除去工程を含むことが、それぞれ効率良く酸触媒を除去することができる傾向にあり、好ましい。なお、これら酸触媒除去工程は単独でも、二種以上を組み合わせて用いても良い。
【0067】
また、これら除去工程を実施する場合は、反応を経て得られた本発明のオリゴフェノールを含む反応混合物を溶媒に溶解もしくは懸濁させた状態で実施することが好ましい。その具体例としては、本発明のオリゴフェノールを製造する際に用いることができる溶媒が挙げられる。なお、これらの溶媒のうち、炭化水素溶媒のうち少なくとも一つから選ばれる溶媒を用いることが本発明のオリゴフェノールの精製処理が容易となり、かつ製造時のコストを低減できる点で好ましく、芳香族炭化水素溶媒を含む溶媒を用いることが特に好ましい。なお、これら溶媒は、単独で用いても良いし、二種以上を混合して用いても良い。また、本発明のオリゴフェノールの反応工程に溶媒を用いる場合、その溶媒をそのまま上記除去工程の溶媒として用いても良い。
【0068】
塩基による中和工程に用いられる塩基の具体例としては、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸セシウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、リン酸一水素ナトリウム、リン酸一水素カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水素化ナトリウム、ナトリウムアミド等のアルカリ金属原子もしくはアルカリ土類金属原子を有する無機塩基;クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、コハク酸ナトリウム、コハク酸カリウム、コハク酸カルシウム、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、カリウム−tert−ブトキシド等のアルカリ金属原子もしくはアルカリ土類金属原子を有する有機塩基;ピリジン、アニリン、トリエチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、モルホリン、1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン、ジアザビシクロウンデセンなどの含窒素化合物等が挙げられる。これらのうち、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸セシウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、リン酸一水素ナトリウム、リン酸一水素カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水素化ナトリウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、コハク酸ナトリウム、コハク酸カリウム等のアルカリ金属原子もしくはアルカリ土類金属原子を有する塩基を用いることが中和塩の除去が容易となる点で好ましい。また、これら塩基は単独でも、二種以上を組み合わせて用いても良い。
【0069】
中和工程では、反応混合物の酸性度を調整する目的で第二成分を添加しても良い。その具体例としては、酢酸、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸などの有機酸;リン酸、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、塩化アンモニウム、クエン酸一ナトリウムなどの酸素以外のヘテロ原子を含む酸などが挙げられる。第二成分の種類および量は、反応工程に用いられる酸触媒および中和工程に用いられる塩基の種類および量、および中和後の反応混合物の酸性度の目標値に応じて種々選択される。
【0070】
中和工程後の反応混合物は弱酸性ないしは弱塩基性であることが本発明のオリゴフェノールの安定性が向上する傾向にあり、好ましい。なお、反応混合物が弱酸性ないしは弱塩基性であるとは、混合物中に水を加えて水とそれ以外の成分の質量比を1:3に調整した際に、水層のpHが通常2以上、好ましくは3以上、特に好ましくは4以上で、通常11以下であり、好ましくは10以下であり、特に好ましくは9以下であることを言う。水層のpHが上記範囲内であることで、本発明のオリゴフェノールの安定性が向上する傾向にあり、好ましい。
【0071】
溶媒に溶解させることによる酸触媒除去工程に用いられる溶媒の具体例としては、水;メタノール、エタノール、プロパノール、ジメチルスルホキシド、ジエチルエーテル、N−メチルピロリドンなどの有機溶媒等が挙げられる。これらのうち、水を用いることが精製工程を簡略化できる点で好ましい。
【0072】
溶媒に溶解させることによる酸触媒除去工程では、除去効率を上げるために第二成分を添加しても良い。その具体例としては、メタンスルホン酸ナトリウムなどの有機塩;塩化ナトリウム、硫酸ナトリウムなどの無機塩などが挙げられる。第二成分の種類および量は、酸触媒の除去効率に応じて種々選択される。
【0073】
ろ過による酸触媒除去工程で用いられるろ過剤としては、活性炭、シリカゲル、活性白土、珪藻土などの粉状、破砕状もしくは球状等のろ過剤;ろ紙、ろ布、糸巻きフィルタ等の繊維状もしくは布状等に成形されたろ過剤等が挙げられる。これらろ過剤は、使用する酸触媒の性状や、酸触媒の再利用の可能性の有無等を踏まえて、種々選択される。
【0074】
なお、これらの除去工程は、未反応の原料、副生物、反応時もしくは酸触媒の除去工程で用いた第二、第三成分等の本発明のオリゴフェノールおよび酸触媒以外の成分の一部もしくは全部を除去する工程を兼ねていても良い。
【0075】
<濃縮工程>
本発明のオリゴフェノールの製造方法は、前記反応工程もしくは前記酸除去工程、好ましくは両工程を経て得られた本発明のオリゴフェノールを含む反応混合物から、溶媒や未反応の原料などの低沸点成分を濃縮により除去する工程(以下、濃縮工程と呼称する場合がある)を含むことが好ましい。本工程を実施することで、本発明のオリゴフェノールを樹脂原料とした場合、その取り扱い性が向上する傾向にある。濃縮工程は通常加熱減圧条件で実施する。加熱温度は40℃以上であることが好ましく、60℃以上であることがさらに好ましく、80℃以上で実施することが特に好ましい。また、通常200℃以下であり、180℃以下であることが好ましく、160℃以下であることが特に好ましい。加熱温度が上記温度の範囲内であることで、効率良く濃縮工程を実施でき、かつ本発明のオリゴフェノールの分解を抑制できる傾向にある。なお、本濃縮工程における加熱温度とは、加熱に用いる熱媒の温度を指す。減圧度は通常760Torr未満であり、200Torr以下であることが好ましく、100Torr以下であることがさらに好ましく、50Torr以下であることが特に好ましい。減圧度が上記上限値以下であることで、効率良く濃縮工程を実施できる傾向にある。一方、減圧度の下限値は特に規定されないが、広く一般的に使用されている減圧機器を使用できる観点から通常0.1Torr以上であり、好ましくは1Torr以上であり、さらに好ましくは10Torr以上であり、特に好ましくは20Torr以上である。
【0076】
<粗精製工程>
本発明のオリゴフェノールを製造する際、通常、前述のアルデヒド類とフェノール類との反応、その後の酸触媒の除去工程、或いは酸触媒の除去工程及び濃縮工程を経て得られる反応混合物は、本発明のオリゴフェノールを主成分とする混合物となる。本発明のオリゴフェノールを製造する工程では、後述の析出工程に先立ち、この本発明のオリゴフェノールを主成分とする反応混合物から本発明のオリゴフェノール以外の成分を粗取りする粗精製工程を含むことが好ましい。
この粗精製工程は、好ましくは、反応混合物から抽出溶媒で本発明のオリゴフェノールを抽出した後、本発明のオリゴフェノールを含む抽剤層を水で洗浄し、その後、この抽剤層から減圧下で抽出溶媒を除去することにより行われる。
【0077】
この抽出に用いる抽出溶媒としては、本発明のオリゴフェノールの良溶媒であればよく、特に制限はないが、その具体例としては、本発明のオリゴフェノールを製造する際に用いることができる溶媒のうち、水を除いたもの等が挙げられる。これらのうち、エーテル溶媒、ケトン溶媒、エステル溶媒、含塩素溶媒、芳香族炭化水素溶媒から選ばれる溶媒のいずれかを少なくとも含むことが、本発明のオリゴフェノールの抽出が容易となる点で好ましく、エーテル溶媒、ケトン溶媒、エステル溶媒、含塩素溶媒、芳香族炭化水素溶媒のいずれかから選ばれる溶媒を少なくとも含むことがさらに好ましく、芳香族炭化水素溶媒から選ばれる溶媒を少なくとも含むことが特に好ましく、その中でもトルエンもしくはキシレンを含むことが好ましく、トルエンを含むことが最も好ましい。
これらの抽出は、単独で用いても良いし、二種以上を混合して用いても良い。
【0078】
抽出溶媒は、反応混合物に対して0.1質量倍以上用いることが好ましく、0.5質量倍以上用いることがさらに好ましく、1質量倍以上用いることが特に好ましい。抽出溶媒の量が上記下限値以上であることで、効率良く本発明のオリゴフェノールを抽出できる傾向にある。また、抽出溶媒は、反応混合物に対して20質量倍以下用いることが好ましく、10質量倍以下用いることがさらに好ましく、5質量倍以下用いることが特に好ましい。抽出溶媒の量が上記上限値以下であることで、本発明のオリゴフェノールの製造効率が向上する傾向にある。
【0079】
また、抽出により得られる本発明のオリゴフェノールを含む抽剤層の水洗の際に用いる水の量は、抽剤層の全量に対して通常0.1質量倍以上であり、0.5質量倍以上であることが好ましく、1質量倍以上であることが特に好ましい。水量が上記下限値以上であることで粗精製工程における精製効率が向上する傾向にある。また、この水量は、抽剤層の全量に対して通常10質量倍以下であり、5質量倍以下であることが好ましく、3質量倍以下であることが特に好ましい。水量が上記上限値以下であることで、本発明のオリゴフェノールの製造効率が向上する傾向にある。
【0080】
抽剤層の水洗回数は、通常1〜20回程度であり、2〜10回であることが好ましく、3〜6回であることが特に好ましい。水洗回数が上記下限値以上であることで、粗精製工程における精製効率が向上する傾向にあり、上記上限値以下であることで、本発明のオリゴフェノールの製造効率が向上する傾向にある。
【0081】
上記水洗後に抽出溶媒を除去する際は、通常40〜200℃の温度で、760〜1Torrの減圧下に実施される。なお、前述の温度は使用する熱媒の温度を表す。
【0082】
なお、本粗精製工程は、前述の酸触媒の除去工程や濃縮工程を兼ねて実施しても良い。
【0083】
<析出工程>
本発明のオリゴフェノールの製造方法は、本発明のオリゴフェノールを含む反応混合物、好ましくは前記酸除去工程や前記濃縮工程、更には前記粗精製工程などの精製工程を経た本発明のオリゴフェノールの粗精製品(以下、「本発明の粗精製品」と呼称する場合がある。)から、本発明のオリゴフェノールの一部もしくは、副生物などの本発明の粗精製品に含まれる本発明のオリゴフェノール以外成分を析出させて取り出す工程(以下、「析出工程」と呼称する場合がある)を含んでいても良い。本析出工程を経ることで、本発明のオリゴフェノールのnの平均値を制御することが容易となったり、副生物などの本発明のオリゴフェノール以外の成分を減らしやすくなったりする傾向がある。例えば、本析出工程で用いる溶媒の種類や析出条件等を変更することでも、本発明のオリゴフェノールのnの平均値を制御することができる。
【0084】
本析出工程は通常、本発明の粗精製品を溶媒に溶解させて溶液とした後に、本発明のオリゴフェノールの一部もしくは副生物などの本発明の粗精製品に含まれる本発明のオリゴフェノール以外の成分を析出させることで行われる。前記晶析溶媒の具体例としては、本発明のオリゴフェノールを製造する際に用いることができる溶媒の具体例が挙げられる。これら溶媒は、単独で用いても良いし、二種以上混合して用いても良い。なお、これらのうち、水もしくは炭化水素溶媒を含む溶媒を用いることが、本発明のオリゴフェノールの精製効率が向上し、製造が容易となる点で好ましく、炭化水素溶媒を含むことが特に好ましく、中でも前述の炭素数5〜18の直鎖状炭化水素溶媒、炭素数5〜18の分岐鎖状炭化水素溶媒等の飽和鎖状炭化水素溶媒を含むことが好ましい。
【0085】
前記溶媒の融点は通常30℃以下であるが、本発明のオリゴフェノールの製造が容易となる点では15℃以下であることが好ましく、5℃以下であることがさらに好ましく、−10℃以下であることが特に好ましい。なお、融点の下限値は、該溶媒の沸点が後述の範囲内であれば特に規定されない。ここで、溶媒の融点とは、溶媒を二種以上混合して用いる場合は、混合後の溶媒の融点を表す。
【0086】
また、前記溶媒の沸点は通常40℃以上、好ましくは50℃以上、さらに好ましくは60℃以上である。一方、通常150℃以下であり、好ましくは135℃以下であり、さらに好ましくは120℃以下である。沸点が上記下限値以上であることで本発明のオリゴフェノールの精製効率が向上する傾向にあり、上記上限値以下であることで、本発明のオリゴフェノールから溶媒を効率良く除去し、本発明のオリゴフェノールの製造が容易となる傾向にあるため、好ましい。ここで、溶媒の沸点とは、溶媒を二種以上混合して用いる場合、混合後の溶媒の沸点を表す。
【0087】
本発明の粗精製品と、上述の晶析溶媒との混合比は、効率良く目的の成分を析出させることができれば特に規定されないが、通常本発明の粗精製品に対して全晶析溶媒の質量比が好ましくは0.2倍以上であり、さらに好ましくは0.5倍以上であり、特に好ましくは1倍以上である。一方、好ましくは100倍以下であり、さらに好ましくは50倍以下であり、特に好ましくは10倍以下である。全晶析溶媒の質量比が上記下限値以上であることで、本発明のオリゴフェノールを優先的に析出させやすくなる傾向にあり、一方上記上限値以下であることで本発明のオリゴフェノールの製造効率が向上する傾向にあり、好ましい。
【0088】
本発明の粗精製品と、晶析溶媒を混合する際、晶析溶媒として二種類以上の溶媒を用いる場合、各溶媒それぞれ別々に添加しても、予め混合した状態で本発明の粗精製品と混合しても良い。なお、本発明のオリゴフェノールの製造効率を向上させる観点から、各溶媒は予め混合しておくことが好ましい。
【0089】
本発明の粗精製品と晶析溶媒を混合する際の温度は通常0℃以上、好ましくは20℃以上、特に好ましくは40℃以上であり、通常晶析溶媒の沸点以下、好ましくは(晶析溶媒の沸点−5)℃以下、さらに好ましくは(晶析溶媒の沸点−10)℃以下、特に好ましくは(晶析溶媒の沸点−20)℃以下である。混合時の温度が上記下限値以上であることで本発明の粗精製品の溶媒溶解性を向上させ、効率良く溶解させることが可能となり、好ましい。一方、混合時の温度が上記上限値以下であることで、溶媒の沸騰や揮発を抑止し本発明の粗精製品を効率良く溶解させることが可能となり、好ましい。ここで、晶析溶媒として前述の溶媒を二種以上混合して用いる場合、上記の溶媒の沸点は、混合後の溶媒の沸点を表す。
【0090】
本発明の粗精製品を晶析溶媒に溶解させた溶液から本発明のオリゴフェノールもしくは副生物などの本発明の粗精製品に含まれる本発明のオリゴフェノール以外の成分を析出させる工程では、冷却により析出させる、貧溶媒を加える、溶媒を蒸発させるなどの、一般に溶液からの結晶化に用いられる種々の方法を適用することができる。これらのうち、冷却により析出させる工程を含むことが、本発明のオリゴフェノールの製造が容易となる点で好ましい。本発明のオリゴフェノールもしくは副生物などの本発明の粗精製品に含まれる本発明のオリゴフェノール以外の成分を析出させる際の温度は、本発明のオリゴフェノールの特性を損なわない限り特に制限はなく、適宜設定することが可能であるが、通常−20℃以上、好ましくは−10℃以上、さらに好ましくは0℃以上である。一方、通常上記の混合温度より低く、70℃以下であり、65℃以下であることが好ましく、より好ましくは60℃以下であり、特に好ましくは55℃以下であり、さらに好ましくは50℃以下である。析出させる際の温度が上記範囲内であることで、本発明のオリゴフェノールの製造効率が向上する傾向にあり、好ましい。
【0091】
本発明の粗精製品を晶析溶媒に溶解させた溶液から本発明のオリゴフェノールを析出させる工程では、析出効率を向上させるために本発明のオリゴフェノールの種晶を添加しても良い。種晶の量は、本発明のオリゴフェノールの製造効率を向上させる点から、本発明のオリゴフェノールを含む本発明の粗精製品に対して質量比で通常0.0001〜10%であり、0.0005〜5%であることが好ましく、0.001〜1%であることが特に好ましい。
【0092】
上記析出工程で本発明のオリゴフェノールもしくは副生物などの本発明の粗精製品に含まれる本発明のオリゴフェノール以外の成分を析出させた後は、ろ過、遠心分離、デカンテーション等により固液分離することで、用いた晶析溶媒から本発明のオリゴフェノールもしくは副生物などの本発明の粗精製品に含まれる本発明のオリゴフェノール以外の成分を回収する。副生物などの本発明の粗精製品に含まれる本発明のオリゴフェノール以外の成分を析出させて固液分離した後は、分離液に含まれる本発明のオリゴフェノールを前述の濃縮工程や析出工程等により分離回収する。
【0093】
上記析出工程の回数は本発明のオリゴフェノールの精製度合いに応じて種々選択されるが、精製処理を簡略化できる点から、通常3回以下であることが好ましく、2回以下であることがより好ましく、1回であることが特に好ましい。
【0094】
<洗浄工程>
上記析出工程で得られた本発明のオリゴフェノールを、さらに表面洗浄の目的で溶媒を用いて洗浄しても良い。この洗浄工程に使用される溶媒の具体例は、前記晶析溶媒として例示した溶媒が挙げられる。本洗浄処理の温度は、通常−20℃以上、好ましくは−10℃以上、特に好ましくは0℃以上であり、通常70℃以下、好ましくは60℃以下、特に好ましくは50℃以下である。洗浄温度が上記範囲内であることで、洗浄用の溶媒に本発明のオリゴフェノールを過剰に溶解させることを抑制できる傾向にあり、好ましい。
【0095】
<乾燥工程>
上記析出工程又は析出工程と洗浄工程を経て得られた本発明のオリゴフェノールを、さらに加熱、減圧、風乾などにより脱溶媒処理を行い、実質的に溶媒を含まない本発明のオリゴフェノールとして得ても良い。この乾燥工程における脱溶媒処理の際の温度は、脱溶媒処理を円滑に進行させるために通常20℃以上であり、40℃以上であることが好ましい。なお、乾燥温度の上限は通常本発明のオリゴフェノールの融点以下であり、100℃以下であることが好ましく、75℃以下であることがさらに好ましく、72℃以下であることが特に好ましい。
【0096】
<用途>
本発明のオリゴフェノールは、光学材料、記録材料、絶縁材料、透明材料、電子材料、接着材料、耐熱材料など種々の用途に用いることができる。ここで、該用途に用いる本発明のオリゴフェノールの使用形態としては、重合させずに用いても、重合させてなる樹脂として用いても良い。重合させずに用いる例としては、pH調整剤、界面活性剤、顕色剤、合成中間体などが挙げられる。一方、重合させてなる樹脂の例としては、ポリエーテル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂など種々の熱可塑性樹脂や、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂など種々の熱硬化性樹脂向け樹脂組成物および該組成物を重合させてなる樹脂が挙げられる。
ここで、本発明のオリゴフェノールは、オリゴフェノール混合物を重合させてなる樹脂として用いることが好ましい。これらの中でも、本発明のオリゴフェノールに由来する特性を発揮しやすい点で、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂向け樹脂組成物および該組成物を重合させてなる樹脂として用いることが好ましく、ポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂向けであることがさらに好ましく、エポキシ樹脂向けであることが特に好ましい。
【0097】
以下、本発明のオリゴフェノールを用いた本発明のエポキシ樹脂組成物およびそれを重合硬化させてなる本発明のエポキシ樹脂硬化物について記述する。
【0098】
[エポキシ樹脂組成物]
本発明のエポキシ樹脂組成物は、本発明のオリゴフェノールを含有することを特徴とする。本発明のエポキシ樹脂組成物は、本発明のオリゴフェノールを含有することにより、硬化重合時に応力緩和に優れた樹脂となるという優れた特長を有する。本発明のエポキシ樹脂組成物は、接着剤、塗料、土木建築用材料などのほか、特に電気・電子材料などに好適である。
【0099】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、主に本発明のオリゴフェノールの他、(A)エポキシ樹脂を含有することを特徴とする。また、本発明のオリゴフェノールにより発現される効果を大幅に妨げない範囲で、これら成分のほかに、(B)本発明のオリゴフェノール以外のフェノール樹脂(以下、「他のフェノール樹脂」と呼称する場合がある。)、(C)硬化促進剤、(D)充填剤、(E)その他の添加剤および(F)溶媒などを含んでいても良い。
【0100】
<(A)エポキシ樹脂>
本発明のエポキシ樹脂組成物に含まれる(A)エポキシ樹脂としては、分子内に2個以上のエポキシ基を有するものが好ましい。具体的には、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂等の各種エポキシ樹脂などを用いることができる。その他に、例えば「プラスチック機能性高分子材料辞典」(第1版、産業調査会、2004年)448−465頁、「総説エポキシ樹脂 第1巻〜第4巻」(第1版、エポキシ樹脂技術協会、2003年)、または、「総説エポキシ樹脂 最近の進捗I」(第1版、エポキシ樹脂技術協会、2009年)などに記載されているエポキシ樹脂を用いてもよい。なお、これらは1種のみでも、2種以上を任意の組み合わせと比率で用いても良い。
【0101】
<(B)他のフェノール樹脂>
本発明のエポキシ樹脂組成物には、本発明のオリゴフェノールにより発現される効果を大幅に妨げない範囲で、(B)他のフェノール樹脂を含んでいても良い。その具体例としては、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ビスフェノールAD、ハイドロキノン、レゾルシン、メチルレゾルシン、ビフェノール、テトラメチルビフェノール、ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシジフェニルエーテル、チオジフェノール類、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、フェノールアラルキル樹脂、トリスフェノールメタン樹脂、ビフェニルアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂、テルペンフェノール樹脂、ジシクロペンタジエンフェノール樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂、ナフトールノボラック樹脂、臭素化ビスフェノールA、臭素化フェノールノボラック樹脂などの多価フェノール類;フェノール類とベンズアルデヒド、ヒドロキシベンズアルデヒド、クロトンアルデヒド、グリオキザールなどのアルデヒド類との縮合反応で得られる多価フェノール樹脂類;キシレン樹脂とフェノール類との縮合反応で得られる多価フェノール樹脂類;重質油やピッチ類とフェノール類とホルムアルデヒド類との共縮合樹脂等のフェノール樹脂類等などが挙げられる。これらのうち、フェノールノボラック樹脂、フェノールアラルキル樹脂、トリスフェノールメタン樹脂、ビフェニルアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂、フェノール・ベンズアルデヒド・キシリレンジメトキサイド重縮合物、フェノール・ベンズアルデヒド・4,4’−ジメトキシビフェニル重縮合物などが好ましい。これら他のフェノール樹脂は、1種でも、2種以上を組み合わせて用いても良い。
【0102】
(B)他のフェノール樹脂を含む場合、本発明のエポキシ樹脂組成物における(B)他のフェノール樹脂と本発明のオリゴフェノールの総量(以下、「フェノールの総量」と称す場合がある。)に対する本発明のオリゴフェノールの質量比は、通常1質量%以上、好ましくは5質量%以上、特に好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは20質量%以上である。一方通常99質量%以下、好ましくは97質量%以下、特に好ましくは90質量%以下、さらに好ましくは90質量%以下である。本発明のオリゴフェノールの質量比が上記下限値以上であることで、本発明のオリゴフェノールの効果を発揮しやすい傾向にある。一方上記上限値以下であることで、(B)他のフェノール樹脂の効果を発揮しやすい傾向にある。
【0103】
<エポキシ基と水酸基のモル比>
本発明のエポキシ樹脂組成物における(A)エポキシ樹脂とフェノールの総量(本発明のオリゴフェノールと(B)他のフェノール樹脂の合計)の比率は、それぞれに含まれるエポキシ基と水酸基のモル比で規定される。すなわち、(A)エポキシ樹脂に含まれるエポキシ基の総量に対するフェノールの総量に含まれる水酸基の総量(以下、「総水酸基/総エポキシ基」と称す場合がある。)が、通常0.2モル倍以上であり、好ましくは0.5モル倍以上であり、特に好ましくは0.8モル倍以上であり、さらに好ましくは0.9モル倍以上である。一方通常2モル倍以下であり、好ましくは1.5モル倍以下であり、特に好ましくは1.2モル倍以下であり、さらに好ましくは1.1モル倍以下である。総水酸基/総エポキシ基のモル比率が上記範囲内であることで、硬化重合時に成形性や強度に優れた樹脂硬化物を形成できる傾向にある。なお、総水酸基/総エポキシ基は、それぞれJIS K7236:2009およびJIS K0070:1992にて規定されるエポキシ当量、および水酸基価から求めることができる。
【0104】
<(C)硬化促進剤>
本発明のエポキシ樹脂組成物は、硬化重合時の反応性を制御する目的で(C)硬化促進剤を含有していても良い。その具体例としては、イミダゾール系硬化促進剤、3級アミン系硬化促進剤、有機ホスフィン系硬化促進剤、ホスホニウム塩系硬化促進剤、テトラフェニルボロン塩系硬化促進剤、金属系硬化促進剤、有機酸ジヒドラジド、ハロゲン化ホウ素アミン錯体などが挙げられる。
【0105】
イミダゾール系硬化促進剤の具体例としては、2−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾリウムトリメリテイト、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−ウンデシルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−エチル−4’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加物、2−フェニルイミダゾールイソシアヌル−a]ベンズイミダゾール、1−ドデシル−2−メチル−3−ベンジルイミダゾリウムク酸付加物、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5ヒドロキシメチルイミダゾール、2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ[1,2ロライド、2−メチルイミダゾリン、2−フェニルイミダゾリン等のイミダゾール化合物及びイミダゾール化合物とエポキシ樹脂とのアダクト体が挙げられる。
【0106】
3級アミン系硬化促進剤の具体例としては、としては、トリエチルアミン、トリブチルアミンなどのトリアルキルアミン、4−ジメチルアミノピリジン、ベンジルジメチルアミン、2,4,6,−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)−ウンデセンなどの3級アミン化合物及びこれらの3級アミン化合物とエポキシ樹脂とのアダクト体が挙げられる。
【0107】
本発明のエポキシ樹脂組成物に含まれる上記イミダゾール系硬化促進剤および上記アミン系硬化促進剤の含有量は、本発明のエポキシ樹脂組成物を短時間で十分に硬化させやすい点では多いことが好ましい。一方、本発明のエポキシ樹脂組成物の保存安定性、熱膨張率の低さ、硬化させた硬化物への硬化促進剤の影響が出難い点では少ないことが好ましい。具体的には、本発明のエポキシ樹脂組成物に含まれる(A)エポキシ樹脂の総量に対して、0.1質量%以上となるように用いることが好ましく、0.2質量%以上となるように用いることが更に好ましく、また、一方で、20質量%以下となるように用いることが好ましく、10質量%以下となるように用いることが更に好ましい。
【0108】
有機ホスフィン系硬化促進剤、ホスホニウム塩系硬化促進剤、テトラフェニルボロン塩系硬化促進剤としては、トリフェニルホスフィン、ジフェニル(p−トリル)ホスフィン、トリス(アルキルフェニル)ホスフィン、トリス(アルコキシフェニル)ホスフィン、トリス(アルキル・アルコキシフェニル)ホスフィン、トリス(ジアルキルフェニル)ホスフィン、トリス(トリアルキルフェニル)ホスフィン、トリス(テトラアルキルフェニル)ホスフィン、トリス(ジアルコキシフェニル)ホスフィン、トリス(トリアルコキシフェニル)ホスフィン、トリス(テトラアルコキシフェニル)ホスフィン、トリアルキルホスフィン、ジアルキルアリールホスフィン、アルキルジアリールホスフィン等の有機ホスフィン類;これらの有機ホスフィン類と有機ボロン類との錯体;これらの有機ホスフィン類に無水マレイン酸、1,4−ベンゾキノン、2,5−トルキノン、1,4−ナフトキノン、2,3−ジメチルベンゾキノン、2,6−ジメチルベンゾキノン、2,3−ジメトキシ−5−メチル−1,4−ベンゾキノン、2,3−ジメトキシ−1,4−ベンゾキノン、フェニル−1,4−ベンゾキノン等のキノン化合物、ジアゾフェニルメタンなどの化合物が付加された化合物等が挙げられる。本発明のエポキシ樹脂組成物において、これらの硬化促進剤は、本発明のエポキシ樹脂組成物に含まれる(A)エポキシ樹脂の総量に対して、これらの硬化促進剤の含有量が0.001質量%以上となるように用いることが好ましく、0.005質量%以上となるように用いることが更に好ましく、また、一方で、20質量%以下となるように用いることが好ましく、10質量%以下となるように用いることが更に好ましく、5質量%以下となるように用いることが特に好ましい。
【0109】
金属系硬化促進剤としては、コバルト、銅、亜鉛、鉄、ニッケル、マンガン、スズ等の金属の有機金属錯体又は有機金属塩などが挙げられる。有機金属錯体の具体例としては、コバルト(II)アセチルアセトナート、コバルト(III)アセチルアセトナート等の有機コバルト錯体、銅(II)アセチルアセトナート等の有機銅錯体、亜鉛(II)アセチルアセトナート等の有機亜鉛錯体、鉄(III)アセチルアセトナート等の有機鉄錯体、ニッケル(II)アセチルアセトナート等の有機ニッケル錯体、マンガン(II)アセチルアセトナート等の有機マンガン錯体などが挙げられる。有機金属塩としては、オクチル酸亜鉛、オクチル酸錫、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、ステアリン酸スズ、ステアリン酸亜鉛などが挙げられる。これらのうち、溶剤溶解性、本発明のエポキシ樹脂組成物の硬化性の観点から、コバルト(II)アセチルアセトナート、コバルト(III)アセチルアセトナート、亜鉛(II)アセチルアセトナート、ナフテン酸亜鉛、鉄(III)アセチルアセトナートが好ましく、コバルト(III)アセチルアセトナート、ナフテン酸亜鉛が特に好ましい。
【0110】
本発明のエポキシ樹脂組成物に含まれる金属系硬化促進剤の含有量は、低粗度の絶縁層表面にピール強度に優れる導体層を形成しやすい点では多いことが好ましい。一方、本発明のエポキシ樹脂組成物が保存安定性や絶縁性に優れる点では少ないことが好ましい。そこで、これら金属系硬化促進剤の含有量は、本発明のエポキシ樹脂組成物に含まれる(A)エポキシ樹脂の総量に対して、金属系硬化促進剤由来の金属が500質量ppm以下となるような量であることが好ましく、200質量ppm以下となるような量であることが更に好ましく、また、一方で、20質量ppm以上となるような量であることが好ましく、30質量ppm以上となるような量であることが更に好ましい。
【0111】
本発明のエポキシ樹脂組成物には、その他、例えば「総説エポキシ樹脂 第1巻」(第1版、エポキシ樹脂技術協会、2003年)の119−209頁、または、「総説エポキシ樹脂 最近の進捗I」(第1版、エポキシ樹脂技術協会、2009年)の43−84頁に記載されている硬化促進剤を用いてもよい。
【0112】
<(D)充填剤>
本発明のエポキシ樹脂組成物に(D)充填剤が含まれていると、本発明のエポキシ樹脂組成物を硬化させることにより、低線膨張率、高熱伝導性、難燃性、導電性など、(D)充填剤が有する物性を硬化物に付与することができる。(D)充填剤の種類は、所望の物性などに応じて選択すれば良い。例えば、安価に絶縁性の組成物を得たい場合は、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、シリカなどの絶縁性充填剤を用いることが好ましく、これらの内、特に高熱伝導率な組成物を得たい場合は、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ホウ素などが好ましい。導電性の組成物を得たい場合は、アルミニウム、銀、銅、炭素、炭化ケイ素などの電気伝導性充填剤を用いることが好ましく、これらの内、特に加工性に優れる組成物を得たい場合は、銀が好ましい。
【0113】
(D)充填剤の形状及び粒径については、本発明のエポキシ樹脂組成物の優れた物性が大幅に妨げられることなく、(D)充填剤含有による所望の効果が発現されれば特に限定されない。但し、(D)充填剤の形状については、加工性に優れる組成物を得たい場合は球状などの表面積が小さい充填剤が、充填剤が有する熱伝導率などの機能が発現しやすい点では繊維状などの表面積が大きい充填剤が、両者のバランスを取りやすい点では扁平状などの表面積が両者の中間の充填剤が各々好ましい。
【0114】
(D)充填剤の粒径は、本発明のエポキシ樹脂組成物を硬化させてなる硬化物中に空隙が生じ難い点では小さいことが好ましいが、充填剤が凝集せず分散しやすい点では大きいことが好ましい。そこで、具体的には、(D)充填剤の粒径は0.05μm以上であることが好ましく、0.1μm以上であることが更に好ましく、0.5μm以上であることが特に好ましく、また、一方、1000μm以下であることが好ましく、200μm以下であることが更に好ましく、100μm以下であることが特に好ましい。ここで、(D)充填剤の粒径は、レーザー回折散乱法や沈降法などの方法により測定することができる。
【0115】
本発明のエポキシ樹脂組成物が(D)充填剤を含む場合の(D)充填剤の含有量は、(D)充填剤を用いたことによる効果が発揮されやすい点では多いことが好ましいが、本発明のエポキシ樹脂組成物が加工性に優れたものとなりやすい点では少ないことが好ましい。そこで、具体的には、本発明のエポキシ樹脂組成物中の(D)充填剤の含有量は、10質量%以上であることが好ましく、20質量%以上であることが好ましく、また、一方、95質量%以下であることが好ましく、90質量%以下であることが更に好ましい。(D)充填剤は、1種のみで用いても、2種以上を任意の組み合わせおよび比率で用いても良い。2種以上の(D)充填剤を用いた場合におけるその含有量は、合計量が上記の好ましい範囲であることが好ましい。
【0116】
<(E)その他の添加剤>
本発明のエポキシ樹脂組成物に含まれていても良い(E)その他の添加剤としては、例えば、シランカップリング剤やチタネートカップリング剤等のカップリング剤;離型剤;紫外線防止剤;酸化防止剤;可塑剤;フラックス;難燃剤;着色剤;分散剤;乳化剤;低弾性化剤;希釈剤;消泡剤;イオントラップ剤等が挙げられ、必要に応じて適宜に含むことができる。ただし、本発明のエポキシ樹脂組成物は上記で挙げた成分以外のものを配合することを何ら妨げるものではない。
【0117】
これらのうち、シランカップリング剤としては、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシシラン;γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン等のアミノシラン;3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプトシラン;p−スチリルトリメトキシシラン、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリス(8−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のビニルシラン;エポキシ系、アミノ系、ビニル系の高分子タイプのシラン等が挙げられる。
【0118】
チタネートカップリング剤としては、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリ(N−アミノエチル・アミノエチル)チタネート、ジイソプロピルビス(ジオクチルホスフェート)チタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジトリデシル)ホスファイトチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート等が挙げられる。
【0119】
本発明のエポキシ樹脂組成物がカップリング剤を含む場合のカップリング剤の含有量は、カップリング剤配合による接着効果を得やすい点では多いことが好ましいが、カップリング剤がブリードアウトし難い点では少ないことが好ましい。そこで、具体的には、本発明のエポキシ樹脂組成物中の全固形分に対するカップリング剤の含有量は、0.1質量%以上、2.0質量%以下であることが好ましい。カップリング剤は、1種のみで用いても、2種以上を任意の組み合わせおよび比率で用いても良い。2種以上のカップリング剤を用いた場合におけるその含有量は、合計量が上記の好ましい範囲であることが好ましい。なお、本発明のエポキシ樹脂組成物中の全固形分とは、本発明のエポキシ樹脂組成物に含まれる後述の(F)溶媒以外の成分の合計をさす。
【0120】
本発明のエポキシ樹脂組成物に含まれていても良い離型剤の例としては、カルナバワックス等の天然ワックス;ポリエチレンワックス等の合成ワックス;ステアリン酸やステアリン酸亜鉛等の高級脂肪酸類及びその金属塩類;パラフィン等の炭化水素系離型剤などが挙げられる。これらは、1種のみで用いても2種以上を任意の組み合わせ及び配合比率で組み合わせて用いてもよい。
【0121】
本発明のエポキシ樹脂組成物が離型剤を含む場合、離型剤の含量は、エポキシ樹脂組成物中の(A)エポキシ樹脂の総量に対して、好ましくは0.1〜5質量%、より好ましくは0.5〜3.0質量%である。離型剤の含有量が上記範囲内であると、エポキシ樹脂組成物の硬化特性を維持しつつ、良好な離型性を発現することができるために好ましい。
【0122】
本発明のエポキシ樹脂組成物に含まれていても良い難燃剤の例としては、臭素化エポキシ樹脂、臭素化フェノール樹脂等のハロゲン系難燃剤、三酸化アンチモン等のアンチモン化合物、赤燐、リン酸エステル類、ホスフィン類等のリン系難燃剤、メラミン誘導体等の窒素系難燃剤及び水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の無機系難燃剤などが挙げられる。
【0123】
<(F)溶媒>
本発明のエポキシ樹脂組成物は、加工時の粘度調整および硬化させるときの取り扱い性向上などのために、(F)溶媒を含有していても良い。(F)溶媒の例としては、本発明のオリゴフェノールを製造するときに用いることができる溶媒が挙げられ、その具体例としては、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル等のエステル類;エチレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類;メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類;ヘキサン、シクロヘキサン等のアルカン類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類などが挙げられる。溶媒残留により硬化物中にボイドが形成され難い点では、本発明のエポキシ樹脂組成物は(F)溶媒を用いないまたは(F)溶媒含有量が少ないことが好ましいが、エポキシ樹脂組成物の高粘度化に伴うクラックが発生し難い点では(F)溶媒を用い、その量が多いことが好ましい。これらの溶媒は、1種のみで用いても、2種以上を任意の組み合わせおよび比率で用いても良い。
【0124】
[エポキシ樹脂硬化物]
本発明のエポキシ樹脂組成物を硬化させることにより、本発明のエポキシ樹脂硬化物を得ることができる。本発明のエポキシ樹脂硬化物は、本発明のオリゴフェノールを含む本発明のエポキシ樹脂組成物を硬化させてなるため、高温時の応力緩和性に優れる。硬化方法や条件については、本発明のエポキシ樹脂組成物を硬化させることができれば特に規定されない。但し、成形が容易であることから熱硬化が好ましい。
【0125】
[用途]
本発明のエポキシ樹脂組成物およびそれ硬化させてなるエポキシ樹脂硬化物は、高温時の応力緩和性に優れ、接着剤、塗料、土木建築用材料、電気・電子分野における絶縁材料などの様々な分野の材料として適用可能である。特に、電気・電子分野における絶縁注型、積層材料、封止材料等として有用である。
本発明のエポキシ樹脂組成物およびその硬化物の用途の一例としては、多層プリント配線基板、フィルム状接着剤、液状接着剤、半導体封止材料、アンダーフィル材料、3D−LSI用インターチップフィル、絶縁シート、プリプレグ、放熱基板等が挙げられる。
【実施例】
【0126】
以下に本発明の実施例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
なお、実施例における各種分析、評価方法は以下の通りである。また、各化合物の記号は前記式(1)で表されるオリゴフェノール化合物の前述した例示の表1に従ったものである。
【0127】
[オリゴフェノールの分析]
<揮発分>
サンプル10gを50ml試験管に入れ、質量を測定した後、該試験管を窒素雰囲気下、120℃にて2時間加熱した。得られた残渣の質量を測定し、揮発分を質量比で求めた。2回実施し、平均値を揮発分量とした。
【0128】
<水酸基価・nの平均値>
JIS K0070:1992に準じて測定し、上記揮発分分析にて得られた揮発分を除いた固形分あたりの値に換算した後、オリゴフェノール中における水酸基1モルあたりの質量グラムで表した。nの平均値は、前述の計算式(A)に従い求めた。
【0129】
[エポキシ樹脂硬化物の評価]
<エポキシ樹脂硬化フィルムの強度>
エポキシ樹脂組成物の硬化フィルムをガラス板から問題なくはがしとり、0.5mm厚のフィルムを得ることができるものを十分な強度を有する(○)とし、フィルムが脆く、ガラス板からはがす際に、フィルムが破れてしまうものを強度不十分(×)とした。
【0130】
<貯蔵弾性率・Tg>
エポキシ樹脂硬化板を熱機械分析装置(セイコーインスツルメント社製EXSTAR6100)により、3点曲げモードにて以下の測定方法で分析を行い、40℃および250℃での貯蔵弾性率(E’)を測定した。また、tanδのピークトップをガラス転移温度(Tg)とした。
(測定方法)
温度掃引:5℃/分昇温、30℃から250℃
周波数:1Hz
【0131】
[実施例1]
<化合物(P−6)(nの平均値=0.020)の製造>
フェノール(220g、2.3mol)を40℃に加温して融解させた後、35%濃塩酸(2.9g、0.028mol)を加えた。そこへ、n−ドデカナール(86g、0.47mol)およびトルエン(51g)の混合液を内温45℃以下で4時間かけて滴下した。滴下後、40℃で1時間熟成した後、炭酸水素ナトリウム水溶液で反応を停止させた。反応混合物からフェノールを160℃、20Torrで減圧留去した後、残渣(181g)をトルエン(340g)で抽出し、水(215g)で3回洗浄した。減圧下(20Torr)、90℃で溶媒を留去して粗精製品(170g)を得た。得られた粗精製品にトルエン(430g)およびヘプタン(430g)を加え、60℃に加温して溶解させた。10℃/時間で内温15℃まで降温したのち1時間熟成させた。得られたスラリーをろ過し、60℃で24時間乾燥させることで、化合物(P−6)(94g)の白色固体を得た。このものは、揮発分0.4%、水酸基価から計算されるnの平均値は0.020であった。
【0132】
<エポキシ樹脂硬化フィルムの製造>
エポキシ樹脂(三菱ケミカル社製テトラメチルビフェノール型エポキシ樹脂 商品名YX4000 エポキシ当量:186g/当量)2.0gと上記で得られた化合物(P−6)(nの平均値=0.020)とを、エポキシ基:水酸基が1:1モル比となるように混合し、さらに硬化促進剤としてトリフェニルホスフィン(東京化成工業株式会社製)10mgを添加した。その後、100℃まで加温して均一になるまで撹拌した。得られたエポキシ樹脂組成物を0.5mmシリコーンスペーサ付きの離型処理済み青板ガラスで挟み込んだ。これを175℃で6時間加熱して硬化フィルムを得た。得られた硬化フィルムを室温まで冷却した後、ガラス板からはがし、強度を評価した。
【0133】
[実施例2]
<化合物(P−6)(nの平均値=0.544)の製造>
実施例1と同様に反応、濃縮、抽出、洗浄、溶媒留去を行って得られた粗精製品に、イソプロパノール(77g)およびヘプタン(430g)を加え、60℃に加温して溶解させた。10℃/時間で内温15℃まで降温したのち1時間熟成させた。得られたスラリーをろ過し、ろ液を130℃、20Torrで濃縮することで、化合物(P−6)(94g)の淡黄色ペーストを得た。このものは、揮発分0.5%、水酸基価から計算されるnの平均値は0.544であった。
【0134】
<エポキシ樹脂硬化フィルムの製造>
化合物(P−6)(nの平均値=0.020)の代りに化合物(P−6)(nの平均値=0.544)を用いた他は、実施例1と同様にして硬化フィルムを得、その強度を評価した。
【0135】
[比較例1]
<化合物(P−6)(nの平均値=0.002)の製造>
実施例2のろ過工程で得られたで得られた粉体を、15℃にて、イソプロパノール(15g)およびヘプタン(86g)の混合液でふりかけ洗浄した。得られた固体を70℃で24時間減圧乾燥することで、化合物(P−6)の白色固体(60.2g)を得た。このものは、揮発分0.9%、水酸基価から計算されるnの平均値は0.002であった。
【0136】
<エポキシ樹脂硬化フィルムの製造>
化合物(P−6)(nの平均値=0.020)の代りに化合物(P−6)(nの平均値=0.002)を用いた他は、実施例1と同様にして硬化フィルムを得、その強度を評価した。
【0137】
[比較例2]
<化合物(P−6)(nの平均値=0.012)の製造>
実施例1で得られた化合物(P−6)(nの平均値=0.020)の粉体と比較例2で得られた化合物(P−6)(nの平均値=0.002)の粉体を混合することで、nの平均値=0.012となる化合物(P−6)の粉体を調製した。
【0138】
<エポキシ樹脂硬化フィルムの製造>
化合物(P−6)(nの平均値=0.020)の代りに化合物(P−6)(nの平均値=0.012)を用いた他は、実施例1と同様にして硬化フィルムを得、その強度を評価した。
【0139】
実施例1,2および比較例1,2の結果を以下の表2に示す。
【0140】
【表2】
【0141】
表2より明らかなように、実施例1および実施例2で得られた化合物(P−6)を用いて得られた硬化フィルムは十分な強度を示し、0.5mm厚フィルムとして取得できた。一方、比較例1および比較例2で得られた化合物(P−6)を用いて得られた硬化フィルムは脆く、フィルムとして取得することができなかった。このことから、本発明のオリゴフェノールがエポキシ樹脂の硬化剤として好適な硬化能を示すことが明らかである。実施例1および2で硬化フィルムが十分な強度を示した理由は、重合時に硬化物が十分なネットワークを形成したためと考えられる。
【0142】
[実施例3,4、比較例3,4]
<使用原料>
以下のエポキシ樹脂および硬化剤を用いた。
(エポキシ樹脂)
EOCN:オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(日本化薬社製 商品名 EOCN−1020−65(エポキシ当量:199g/当量))
YX4000:テトラメチルビフェノール型エポキシ樹脂(三菱ケミカル社製 商品名 YX4000(エポキシ当量:186g/当量))
(硬化剤)
P−6(0.544):実施例2で得られた化合物(P−6)(nの平均値=0.544)
PSM6200:フェノ−ルノボラック樹脂(群栄化学社製 商品名 PSM6200(水酸基当量:103g/当量))
【0143】
<エポキシ樹脂硬化板の製造>
表3に示すエポキシ樹脂(20g)と硬化剤をエポキシ基:水酸基が1:1モル比となるように混合し、さらに硬化促進剤としてトリフェニルホスフィン(東京化成工業株式会社製)20mgを添加した。その後、100℃まで加温して均一になるまで撹拌してエポキシ樹脂組成物を得た。
一方の面に離型PETフィルムを積層したガラス板を2枚用意し、これらのガラス板を離型PETフィルム側を内面にし、ガラス板間隔を5mmに調整して注型板を作成した。
この注型板に、エポキシ樹脂組成物を注型し、120℃で2時間、その後175℃で6時間加熱して硬化させることで硬化物を得た。得られた硬化物を縦5cm、横1cm、厚さ4mmに切削してエポキシ樹脂硬化板を得、測定に供した。
【0144】
実施例3,4および比較例3,4の結果を以下の表3に示す。
【0145】
【表3】
【0146】
表3より、本発明のオリゴフェノールを硬化剤として用いて得られた実施例3,4のエポキシ樹脂硬化板は、通常のフェノール樹脂を硬化剤として用いて得られた比較例3,4の硬化板と比べ、TgおよびE’が低下しており、応力緩和性に優れた硬化物であることが明白である。特に実施例3,4の250℃におけるE’は、比較例3,4に比べ2桁以上低いことから、特に高温域における応力緩和性に優れることが明らかである。
このことから、本発明のオリゴフェノールによれば、多層回路基板などの電気・電子材料などにおいて、硬化重合時に樹脂が収縮することによる応力発生を原因とした基板のクラックや反りが改善されること、よって、本発明のオリゴフェノールは、該用途を含め幅広い用途に好適であることが分かる。