(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、1,3−ジメチル−イミダゾリジノン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、及びシクロペンタノンからなる群から選ばれる少なくとも1種の有機溶媒を含有する請求項1〜8のいずれか1項に記載の液晶配向剤。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の液晶配向剤は、下記式(1)で表される構造を有する新規なジアミン(本発明では、特定ジアミンともいう。)から得られる重合体(以下、特定重合体とも言う)を含有する液晶配向剤である。
【0011】
<特定ジアミン>
【化5】
本発明の重合体は、上記式(1)の構造を有するジアミン(式中、Bocはターシャリーブチルオキシカルボニルを表す)から得られる重合体である。
上記式(1)の構造は、N(Boc)
2に対して、2,3-位、2,4-位、2,5-位、2,6-位、3,4-位、3,5-位、好ましくは3,5-位で他の構造と結合する。
上記式(1)の構造のN(Boc)
2は、熱脱離性基である。この熱脱離性基は、焼成される通常の温度(150℃〜300℃)にて、分解し、水素原子に置き換わる。
【0012】
上記式(1)の構造を有するジアミンは、例えば、下記式(DA)で表すことが出来る。
【化6】
上記式(DA)の構造では、N(Boc)
2に対して、2,3-位、2,4-位、2,5-位、2,6-位、3,4-位、3,5-位、好ましくは3,5-位でNH
2と結合する。
【0013】
<特定ジアミンの合成方法>
以下に、前述したジアミンを得る方法について説明する。
本発明の特定ジアミンを合成する方法は特に限定されない。例えば、下記で示すように、3,5−ジニトロアニリンをターシャリーブチルオキシカルボニル化剤と反応させることによって、3,5−ジニトロアニリンにおけるアニリンの水素がターシャリーブチルオキシカルボニルで置換された化合物1を合成する方法を挙げることができる。
【化7】
【0014】
上記の反応では、3,5−ジニトロアニリン1モルに対して、ターシャリーブチルオキシカルボニル化剤である二炭酸ジ−tert−ブチル(Boc
2O)を、好ましくは2〜5モル、より好ましくは2.3〜3.0モル使用する。
ターシャリーブチルオキシカルボニル化剤としては、N−tert−ブトキシカルボニルイミダゾール、炭酸tert−ブチルフェニル、カルバジン酸tert−ブチル、クロロギ酸tert−ブチル、二炭酸ジ−tert−ブチル等が挙げられ、特に好ましいのは二炭酸ジ−tert−ブチルである。
【0015】
上記反応において塩基の存在は、必ずしも必要ではないが、塩基を用いる場合、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、燐酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、炭酸セシウムなどの無機塩基;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、トリブチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン、イミダゾール、キノリン、コリジンなどのアミン類;水素化ナトリウム、水素化カリウム、tert−ブトキシナトリウム、tert−ブトキシカリウムなどの塩基;等を使用できる。中でも、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン(DMAP)が好ましい。
塩基の使用量は、3,5−ジニトロアニリンに対して、0.01〜5.0当量部、好ましくは0.01〜0.10当量部である。
【0016】
3,5−ジニトロアニリンを、ターシャリーブチルオキシカルボニル化剤と反応させる際の溶媒は、各原料と反応しない溶媒であれば使用することができる。
例えば、非プロトン性極性有機溶媒(DMF(ジメチルホルムアミド)、DMSO(ジメチルスルホオキシド)、DMAc(ジメチルアセテート)、NMP(N−メチルピロリドン)など);エーテル類(Et
2O(ジエチルエーテル)、i−Pr
2O(イソプロピルエーテル)、TBME(ターシャリーブチルメチルエーテル)、CPME(シクロペンチルメチルエーテル)、THF(テトラヒドロフラン)、ジオキサンなど);脂肪族炭化水素類(ペンタン、へキサン、ヘプタン、石油エーテルなど);芳香族炭化水素類(ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ニトロベンゼン、テトラリンなど);ハロゲン系炭化水素類(クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、ジクロロエタンなど);低級脂肪酸エステル類(酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル等);ニトリル類(アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル等);等が使用できる。これらの溶媒は、反応の起こり易さなどを考慮して適宜選択することができる。また、1種単独で又は2種以上混合して用いることができる。必要に応じて、適当な脱水剤や乾燥剤を用いて溶媒を乾燥し、非水溶媒として用いることもできる。
溶媒としては、酢酸エチル等のエステル溶媒が好ましく、酢酸エチルが特に好ましい。
【0017】
溶媒の使用量は特に限定されないが、3,5−ジニトロアニリン1質量部に対し、0.1〜100質量部の溶媒を用いることが好ましい。より好ましくは、0.5〜30質量部であり、さらに好ましくは1〜10質量部である。
【0018】
反応温度は特に限定されないが、−100℃から使用する溶媒の沸点までの範囲、好ましくは、−50〜150℃の範囲である。
反応時間は、通常0.05〜200時間、好ましくは0.5〜100時間である。
反応終了後は、水を加えて分液することで、化合物1を含む溶液が得られる。
【0019】
次いで、本発明では、上記で得られた化合物1を還元することにより、ジアミンDA−1が得られる。
【化8】
【0020】
還元の方法としては、触媒の存在下における水素添加反応、プロトンの共存下に行う還元反応、蟻酸を水素源とする還元、ヒドラジンを水素源とする還元反応などが挙げられるが、これらの還元反応を複数組み合わせてもよい。化合物1の構造と反応性を考慮すると、還元の方法としては、触媒の存在下における水素添加反応が好ましい。
【0021】
水素添加反応に用いられる触媒は、市販品として入手できる活性炭担持金属が好ましく、例えば、パラジウム−活性炭、白金−活性炭、ロジウム−活性炭などが挙げられる。また、水酸化パラジウム、酸化白金、ラネーニッケルなども使用でき、必ずしも、活性炭担持型の金属触媒でなくてもよい。一般的に広く使用されているパラジウム−活性炭が、反応後に廃棄物が発生しない、副反応が起こりにくい等の良好な結果が得られることから好ましい。
触媒の使用量は特に限定されないが、反応性の点から、化合物1の1モルに対して、0.0001〜0.1モル、好ましくは0.001〜0.01モルである。
【0022】
水素添加反応をより効果的に進行させるため、さらに、活性炭の共存下で、反応を実施することもある。この時、使用する活性炭の量は特に限定されないが、化合物1の100質量%に対して、1〜20質量%が好ましく、5〜10質量%がより好ましい。
【0023】
更なる反応促進のために、加圧水素下で反応を実施する場合もある。この場合、ベンゼン核の還元を避けるため、20気圧までの加圧範囲で行う。好ましくは10気圧までの範囲で反応を実施する。
【0024】
溶媒は、各原料と反応しない溶媒であれば、制限なく使用することができる。
例えば、非プロトン性極性有機溶媒(DMF、DMSO、DMAc、NMPなど);エーテル類(Et
2O、i−Pr
2O、TBME、CPME、THF、ジオキサンなど);脂肪族炭化水素類(ペンタン、へキサン、ヘプタン、石油エーテルなど);芳香族炭化水素類(ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ニトロベンゼン、テトラリンなど);ハロゲン系炭化水素類(クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、ジクロロエタンなど);低級脂肪酸エステル類(酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル等);ニトリル類(アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル等);などが使用できる。なかでも、THF、ジオキサン、酢酸エチルが好ましい。
これらの溶媒は、反応の起こり易さなどを考慮して、適宜選択できる。また、1種単独で又は2種以上混合して用いることができる。必要に応じて、適当な脱水剤や乾燥剤を用いて溶媒を乾燥し、非水溶媒として用いることもできる。
【0025】
溶媒の使用量(反応濃度)は特に限定されないが、化合物1の1質量部に対し、0.1〜100質量部である。好ましくは0.5〜30質量部であり、さらに好ましくは1〜10質量部である。
【0026】
反応温度は特に限定されないが、−100℃から使用する溶媒の沸点までの範囲、好ましくは、−50〜150℃である。反応時間は、通常0.05〜350時間、好ましくは0.5〜100時間である。
【0027】
<重合体>
本発明の重合体は、上記ジアミンを用いて得られる重合体である。具体例としては、ポリアミック酸、ポリアミック酸エステル、ポリイミド、ポリウレア、ポリアミドなどが挙げられる。本発明の重合体は、液晶配向剤としての観点から、下記式(6)で表される構造単位を有するポリイミド前駆体、及びそのイミド化物であるポリイミドからなる群から選ばれる少なくとも1種がより好ましい。
【化9】
上記式(6)において、X
1はテトラカルボン酸誘導体に由来する4価の有機基であり、Y
1は式(1)の構造を有するジアミンに由来する2価の有機基であり、2つのR
4はそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基である。2つのR
4は、加熱によるイミド化のしやすさの点から、それぞれ独立して水素原子、メチル基又はエチル基が好ましい。
本発明において、ポリイミド前駆体とは、ポリアミック酸及び/又はポリアミック酸エステルを表す。ポリアミック酸は、ジアミン成分とテトラカルボン酸誘導体との反応などによって得られる。ポリアミック酸エステルは、ジアミン成分とテトラカルボン酸ジエステルジクロリドを塩基存在下で反応させるか、またはテトラカルボン酸ジエステルとジアミンを適当な縮合剤、塩基の存在下にて反応させることなどによって得られる。
本発明に用いるポリイミドとしては、前記のポリイミド前駆体を閉環させて得られるポリイミドが挙げられる。このポリイミドにおいては、アミド酸基の閉環率(イミド化率ともいう)は必ずしも100%である必要はなく、用途や目的に応じて任意に調整できる。
ポリイミド前駆体をイミド化させる方法としては、ポリイミド前駆体の溶液をそのまま加熱する熱イミド化、又はポリイミド前駆体の溶液に触媒を添加する触媒イミド化が挙げられる。
【0028】
<テトラカルボン酸誘導体>
X
1はテトラカルボン酸誘導体に由来する4価の有機基であり、その構造は特に限定されるものではない。また、ポリイミド前駆体中のX
1は、重合体の溶媒への溶解性や液晶配向剤の塗布性、液晶配向膜とした場合における液晶の配向性、電圧保持率、蓄積電荷など、必要とされる特性の程度に応じて適宜選択され、同一重合体中に1種類であってもよく、2種類以上が混在していても良い。
X
1の具体例を示すならば、国際公開公報2015/119168の13〜14頁に掲載される、式(X−1)〜(X−46)の構造などが挙げられる。
【0029】
以下に、好ましいX
1の構造を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【化10】
【0030】
【化11】
上記の構造のうち、(A−1)、(A−2)はラビング耐性の更なる向上という観点から特に好ましい。(A−4)は蓄積電荷の緩和速度の更なる向上という観点から特に好ましい。(A−15)〜(A−17)は、液晶配向性と蓄積電荷の緩和速度の更なる向上という観点から特に好ましい。
【0031】
式(6)において、Y
1の具体例としては前記式(DA)のジアミンから2つのアミノ基を除いた構造を挙げることができる。
式(6)で表される構造単位の含有量は、重合体の全構造単位に対して、10〜100モル%であることが好ましく、より好ましくは20〜80モル%であり、特に好ましくは30〜60モル%である。
【0032】
<重合体(その他の構造単位)>
式(6)で表される構造単位を有するポリイミド前駆体は、下記式(7)で表される構造単位をさらに有していても良い。
【化12】
式(7)において、X
2はテトラカルボン酸誘導体に由来する4価の有機基であり、Y
2は式(1)の構造を主鎖方向に有さないジアミンに由来する2価の有機基であり、2つのR
4は、前記式(6)の定義と同じであり、2つのR
5は水素原子又はそれぞれ独立して炭素数1〜4のアルキル基を表す。また、2つあるR
5の少なくとも一方は水素原子であることが好ましい。
【0033】
X
2の具体例としては、好ましい例も含めて式(6)のX
1で例示したものと同じ構造を挙げることができる。また、ポリイミド前駆体中のY
2は式(1)の構造を主鎖方向に有さないジアミンに由来する二価の有機基であり、その構造は特に限定されない。また、Y
2は重合体の溶媒への溶解性や液晶配向剤の塗布性、液晶配向膜とした場合における液晶の配向性、電圧保持率、蓄積電荷など、必要とされる特性の程度に応じて適宜選択され、同一重合体中に1種類であってもよく、2種類以上が混在していても良い。
【0034】
Y
2の具体例を示すならば、国際公開公報2015/119168の4頁に掲載される式(2)の構造、及び、8〜13頁に掲載される、式(Y−1)〜(Y−97)、(Y−101)〜(Y−119)の構造;国際公開公報2013/008906の6頁に掲載される、式(2)からアミノ基を2つ除いた二価の有機基;国際公開公報2015/122413の8頁に掲載される式(1)からアミノ基を2つ除いた二価の有機基;国際公開公報2015/060360の8頁に掲載される式(3)の構造;日本特開2012−173514の8頁に記載される式(1)からアミノ基を2つ除いた二価の有機基;国際公開公報2010−050523の9頁に掲載される式(A)〜(F)からアミノ基を2つ除いた二価の有機基、などが挙げられる。
【0035】
以下に、好ましいY
2の構造を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【化13】
【0039】
上記の構造のうち、(B−28)、(B−29)は、ラビング耐性の更なる向上という観点から特に好ましい。(B−1)〜(B−3)は、液晶配向性の更なる向上という観点から特に好ましい。(B−14)〜(B−18)及び(B−27)は、蓄積電荷の緩和速度の更なる向上という観点から特に好ましい。(B−26)は、電圧保持率の更なる向上という観点から好ましい。
【0040】
式(6)で表される構造単位を有するポリイミド前駆体が、式(7)で表される構造単位をさらに有する場合、式(6)で表される構造単位の含有量は、式(6)と式(7)の合計に対して、10〜100モル%であることが好ましく、より好ましくは20〜80モル%であり、特に好ましくは30〜60モル%である。
【0041】
本発明に用いるポリイミド前駆体の分子量は、重量平均分子量で2,000〜500,000が好ましく、より好ましくは5,000〜300,000であり、さらに好ましくは、10,000〜100,000である。
【0042】
<液晶配向剤>
本発明の液晶配向剤は、式(1)で表される構造を有するジアミンから得られる重合体(特定重合体)を含有するものであるが、異なる構造の特定重合体を2種以上含有していてもよい。また、特定重合体に加えて、その他の重合体、即ち式(1)で表される2価の基を有さない重合体を含有していてもよい。その他の重合体の種類としては、ポリアミック酸、ポリイミド、ポリアミック酸エステル、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレア、ポリオルガノシロキサン、セルロース誘導体、ポリアセタール、ポリスチレン又はその誘導体、ポリ(スチレン−フェニルマレイミド)誘導体、ポリ(メタ)アクリレートなどを挙げることができる。本発明の液晶配向剤がその他の重合体を含有する場合、全重合体成分に対する特定重合体の割合は5質量%以上であることが好ましく、その一例として5〜95質量%が挙げられる。
【0043】
液晶配向剤は、液晶配向膜を作製するために用いられるものであり、均一な薄膜を形成させるという観点から、塗布液の形態をとる。本発明の液晶配向剤においても前記した重合体成分と、有機溶媒とを含有する塗布液であることが好ましい。その際、液晶配向剤中の重合体の濃度は、形成させようとする塗膜の厚みの設定によって適宜変更することができる。均一で欠陥のない塗膜を形成させるという点から、1質量%以上が好ましく、溶液の保存安定性の点からは、10質量%以下が好ましい。特に好ましい重合体の濃度は、2〜8質量%である。
【0044】
液晶配向剤に含有される有機溶媒は、重合体成分が均一に溶解するものであれば特に限定されない。その具体例を挙げるならば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、1,3−ジメチル−イミダゾリジノン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノンなどを挙げることができる。なかでも、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、又はγ−ブチロラクトンを用いることが好ましい。
【0045】
また、液晶配向剤に含有される有機溶媒は、上記のような溶媒に加えて液晶配向剤を塗布する際の塗布性や塗膜の表面平滑性を向上させる溶媒を併用した混合溶媒を使用することが好ましい。併用する有機溶媒の具体例を下記に挙げるが、これらの例に限定されるものではない。
例えば、エタノール、イソプロピルアルコール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、2−メチル−1−ブタノール、イソペンチルアルコール、tert−ペンチルアルコール、3−メチル−2−ブタノール、ネオペンチルアルコール、1−ヘキサノール、2−メチル−1−ペンタノール、2−メチル−2−ペンタノール、2−エチル−1−ブタノール、1−ヘプタノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール、1−オクタノール、2−オクタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、シクロヘキサノール、1−メチルシクロヘキサノール、2−メチルシクロヘキサノール、3−メチルシクロヘキサノール、1,2−エタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジヘキシルエーテル、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、1,2−ブトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、2−ペンタノン、3−ペンタノン、2−ヘキサノン、2−ヘプタノン、4−ヘプタノン、3−エトキシブチルアセタート、1−メチルペンチルアセタート、2−エチルブチルアセタート、2−エチルヘキシルアセタート、エチレングリコールモノアセタート、エチレングリコールジアセタート、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、2−(メトキシメトキシ)エタノール、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノイソアミルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、2−(ヘキシルオキシ)エタノール、フルフリルアルコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノブチルエーテル、1−(ブトキシエトキシ)プロパノール、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセタート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセタート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセタート、エチレングリコールモノアセタート、エチレングリコールジアセタート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセタート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセタート、2−(2−エトキシエトキシ)エチルアセタート、ジエチレングリコールアセタート、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、乳酸メチル、乳酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸プロピレングリコールモノエチルエーテル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸メチルエチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸、3−メトキシプロピオン酸、3−メトキシプロピオン酸プロピル、3−メトキシプロピオン酸ブチル、乳酸メチルエステル、乳酸エチルエステル、乳酸n−プロピルエステル、乳酸n−ブチルエステル、乳酸イソアミルエステル、下記式[D−1]〜[D−3]で表される溶媒などを挙げることができる。
【化17】
式[D−1]中、D
1は炭素数1〜3のアルキル基を示し、式[D−2]中、D
2は炭素数1〜3のアルキル基を示し、式[D−3]中、D
3は炭素数1〜4のアルキル基を示す。
【0046】
なかでも、1−ヘキサノール、シクロヘキサノール、1,2−エタンジオール、1,2−プロパンジオール、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、エチレングリコールモノブチルエーテル又はジプロピレングリコールジメチルエーテルを用いることが好ましい。
【0047】
このような溶媒の種類及び含有量は、液晶配向剤の塗布装置、塗布条件、塗布環境などに応じて適宜選択される。
【0048】
本発明の液晶配向剤は、重合体成分及び有機溶媒以外の成分を追加的に含有しても良い。このような追加成分としては、液晶配向膜と基板との密着性や液晶配向膜とシール材との密着性を高めるための密着助剤、液晶配向膜の強度を高めるための架橋剤、液晶配向膜の誘電率や電気抵抗を調整するための誘電体や導電物質などが挙げられる。これら追加成分の具体例としては、液晶配向剤に関する公知の文献に種々開示されているとおりであるが、その一例を示すなら、国際公開公報2015/060357号の53頁[0105]〜55頁[0116]に開示されている成分などが挙げられる。
【0049】
<液晶配向膜>
本発明の液晶配向膜は、前記液晶配向剤から得られるものである。液晶配向剤から液晶配向膜を得る方法の一例を挙げるなら、塗布液形態の液晶配向剤を基板に塗布し、乾燥し、焼成して得られた膜に対してラビング処理法又は光配向処理法で配向処理を施す方法が挙げられる。
【0050】
液晶配向剤を塗布する基板としては、透明性の高い基板であれば特に限定されず、ガラス基板、窒化珪素基板とともに、アクリル基板やポリカーボネート基板などのプラスチック基板等を用いることもできる。その際、液晶を駆動させるためのITO電極などが形成された基板を用いると、プロセスの簡素化の点から好ましい。また、反射型の液晶表示素子では、片側の基板のみにならば、シリコンウエハーなどの不透明な物でも使用でき、この場合の電極にはアルミニウムなどの光を反射する材料も使用できる。
液晶配向剤の塗布方法は、特に限定されないが、工業的には、スクリーン印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷、インクジェット法などが一般的である。その他の塗布方法としては、ディップ法、ロールコータ法、スリットコータ法、スピンナー法、スプレー法などがあり、目的に応じてこれらを用いてもよい。
【0051】
液晶配向剤を基板上に塗布した後は、ホットプレート、熱循環型オーブン、IR(赤外線)型オーブンなどの加熱手段により、溶媒を蒸発させ、焼成する。液晶配向剤を塗布した後の乾燥、焼成工程は、任意の温度と時間を選択することができる。通常は、含有される溶媒を十分に除去するために、50〜120℃で1〜10分焼成し、その後、150〜300℃で、5〜120分焼成する条件が挙げられる。
焼成後の液晶配向膜の厚みは、特に限定されないが、薄すぎると液晶表示素子の信頼性が低下する場合があるので、5〜300nmが好ましく、10〜200nmがより好ましい。
本発明の液晶配向膜は、TN(ツイストネマチック)方式、IPS(インプレーンスイッチング)方式、FFS方式などの横電界方式の液晶表示素子の液晶配向膜として好適であり、特に、TN方式の液晶表示素子の液晶配向膜として有用である。
【0052】
<液晶表示素子>
本発明の液晶表示素子は、上記液晶配向剤から得られる液晶配向膜付きの基板を得た後、既知の方法で液晶セルを作製し、該液晶セルを使用して素子としたものである。
液晶セルの作製方法の一例として、パッシブマトリクス構造の液晶表示素子を例にとり説明する。なお、画像表示を構成する各画素部分にTFTなどのスイッチング素子が設けられたアクティブマトリクス構造の液晶表示素子であってもよい。
【0053】
具体的には、透明なガラス製の基板を準備し、一方の基板の上にコモン電極を、他方の基板の上にセグメント電極を設ける。これらの電極は、例えばITO電極とすることができ、所望の画像表示ができるようパターニングされている。次いで、各基板の上に、コモン電極とセグメント電極を被覆するようにして絶縁膜を設ける。絶縁膜は、例えば、ゾル−ゲル法によって形成されたSiO
2−TiO
2からなる膜とすることができる。次に、前記のような条件で、各基板の上に液晶配向膜を形成する。
【0054】
次いで、液晶配向膜を形成した2枚の基板のうちの一方の基板上の所定の場所に例えば紫外線硬化性のシール材を配置し、さらに液晶配向膜面上の所定の数カ所に液晶を配置した後、液晶配向膜が対向するように他方の基板を貼り合わせて圧着することにより液晶を液晶配向膜前面に押し広げた後、基板の全面に紫外線を照射してシール材を硬化することで液晶セルを得る。
【0055】
または、基板の上に液晶配向膜を形成した後の工程として、一方の基板上の所定の場所にシール材を配置する際に、外部から液晶を充填可能な開口部を設けておき、液晶を配置しないで基板を貼り合わせた後、シール材に設けた開口部を通じて液晶セル内に液晶材料を注入し、次いで、この開口部を接着剤で封止して液晶セルを得る。液晶材料の注入には、真空注入法でもよいし、大気中で毛細管現象を利用した方法でもよい。
【0056】
上記のいずれの方法においても、液晶セル内に液晶材料が充填される空間を確保する為に、一方の基板上に柱状の突起を設けるか、一方の基板上にスペーサーを散布するか、シール材にスペーサーを混入するか、又はこれらを組み合わせるなどの手段を取ることが好ましい。
上記の液晶材料としては、ネマチック液晶及びスメクチック液晶を挙げることができ、その中でもネマチック液晶が好ましく、ポジ型液晶材料やネガ型液晶材料のいずれを用いてもよい。次に、偏光板の設置を行う。具体的には、2枚の基板の液晶層とは反対側の面に一対の偏光板を貼り付けることが好ましい。
【0057】
なお、本発明の液晶配向膜及び液晶表示素子は、上記の記載に限定されるものでは無く、その他の公知の手法で作成されたものであっても良い。液晶配向剤から液晶表示素子を得るまでの工程は、例えば日本特開2015-135393の17頁[0074]〜19頁[0081]などの他、数多くの文献でも開示されている。
【実施例】
【0058】
以下に実施例を挙げ、本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
以下においては化合物の略号、及び特性評価の方法は、次のとおりである。Boc:tert−ブトキシカルボニル基、Boc
2O:二炭酸ジ−tert−ブチル、NMP:N−メチル−2−ピロリドン、GBL:γ−ブチロラクトン、BCS:ブチルセロソルブ、CA−1:ピロメリット酸二無水物、CA−2:1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、CA−3:1,3−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、DA−1:下記式(DA−1)参照、DA−2:1,5−ビス(4−アミノフェノキシ)ペンタン、DA−3:p−フェニレンジアミン、DA−4:1,2−ビス(4−アミノフェノキシ)エタン、DA−5:1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)プロパン、DA−6:4−(2−メチルアミノエチル)アニリン、DA−7:1,3−ビス(4−アミノフェネチル)ウレア、DA−8:下記式(DA−8)参照。
【化18】
【0059】
(モノマー合成例1)
DA−1の合成
【化19】
【0060】
窒素雰囲気下、4口フラスコに酢酸エチル(314g)、3,5−ジニトロアニリン(25.5g、0.139mol)、及びN,N−ジメチル−4−アミノピリジン(0.861g、7.05mmol)を加え、50℃に加温した後に二炭酸ジ-tert−ブチル(68.2g、0.313mol)を滴下した。2時間反応させた後に反応混合物を濃縮し、内容物重量が85.4gとなったところで終了とした。その後2−プロパノールを142g入れ15時間室温で撹拌した後に、0℃に冷却した。析出した結晶をろ過し、2−プロパノール39.5gでケーキ洗浄を1回行った後に乾燥して薄黄色固体の化合物1を得た(42.1g、0.110mol、収率79.0%)。
【0061】
【化20】
窒素雰囲気下、4口フラスコにテトラヒドロフラン(169g)、化合物1(22.8g、59.5mmol)、及び5%パラジウムカーボン粉末54%含水品(2.07g)を加えた後に水素雰囲気に置換し、室温で72時間攪拌した。その後パラジウムカーボンをろ過して得られたろ液を減圧留去して粗物を得た。粗物へエタノール91.3gを加え一旦65℃に加温してから濃縮を行い、内容物重量が63.6gとなったところで終了とした。室温に冷却後、ヘキサンを131g添加し1時間懸濁撹拌した後にろ過し、26.5gのヘキサンでケーキ洗浄を1回行った後乾燥させ、薄赤色固体のDA−1を得た(17.8g、55.2mmol、収率92.7%)。
【0062】
化合物(DA−1)の構造は、
1H−NMR分析により以下のスペクトルデータを得て確認した。
1H−NMR(CDCl
3):δ=5.93(s,1H),5.90(s,2H),3.56(br,4H),1.42(s,18H).
【0063】
<ポリアミック酸溶液の分子量測定>
ポリアミック酸溶液の分子量は、常温ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)装置(GPC−101)(昭和電工社製)、カラム(KD−803,KD−805)(Shodex社製)を用いて、以下のようにして測定した。
カラム温度:50℃
溶離液:N,N’−ジメチルホルムアミド(添加剤として、臭化リチウム−水和物(LiBr・H
2O)が30mmol/L(リットル)、リン酸・無水結晶(o−リン酸)が30mmol/L、テトラヒドロフラン(THF)が10ml/L)
流速:1.0ml/分
検量線作成用標準サンプル:TSK 標準ポリエチレンオキサイド(分子量;約900,000、150,000、100,000、及び30,000)(東ソー社製)及びポリエチレングリコール(分子量;約12,000、4,000、及び1,000)(ポリマーラボラトリー社製)。
【0064】
<ポリアミック酸溶液の粘度測定>
ポリアミック酸溶液の25℃における粘度をE型粘度計(東機産業社製)で測定した。
【0065】
[合成例1]
撹拌装置付き及び窒素導入管付きの50ml四つ口フラスコに、DA−1(0.84g,2.60mmol)、及びDA−2(2.979g,10.40mmol)を入れ、NMP42.6gを加え、窒素を送りながら撹拌し溶解させた。これらのジアミン溶液を撹拌しながらCA−1を(2.54g,11.64mmol)添加し、更にNMP4.7gを加え、窒素雰囲気下、オイルバスを使用して50℃で12時間撹拌することで、樹脂固形分濃度12質量%のポリアミック酸溶液を得た。ポリアミック酸溶液の粘度は105mPa・sであった。このポリアミック酸の分子量はMn=11230、Mw=24392であった。
【0066】
[合成例2]
撹拌装置付き及び窒素導入管付きの100ml四つ口フラスコに、DA−2(6.87g,23.99mmol)を入れ、NMP56.1gを加え、窒素を送りながら撹拌し溶解させた。これらのジアミン溶液を撹拌しながらCA−1を(5.03g,23.06mmol)添加し、更にNMP31.2gを加え、窒素雰囲気下、室温で12時間撹拌することで、樹脂固形分濃度12質量%のポリアミック酸溶液を得た。ポリアミック酸溶液の粘度は114mPa・sであった。このポリアミック酸の分子量はMn=12760、Mw=35902であった。
【0067】
[合成例3]
撹拌装置付き及び窒素導入管付きの100ml四つ口フラスコに、DA−1(1.81g,5.60mmol)、DA−3(0.91g,8.40mmol)、DA−4(2.05g,8.40mmol)、DA−5(1.45g,5.60mmol)を入れ、NMP71.5gを加え、窒素を送りながら撹拌し溶解させた。これらのジアミン溶液を撹拌しながらCA−3を(6.09g,27.16mmol)添加し、更にNMP17.9gを加え、窒素雰囲気下、室温で12時間撹拌することで、樹脂固形分濃度12質量%のポリアミック酸溶液を得た。ポリアミック酸溶液の粘度は260mPa・sであった。このポリアミック酸の分子量はMn=11162、Mw=26075であった。
【0068】
[合成例4]
撹拌装置付き及び窒素導入管付きの100ml四つ口フラスコに、DA−1(0.94g,2.90mmol)、DA−3(0.94g,8.70mmol)、DA−4(2.13g,8.70mmol)、DA−5(2.25g,8.70mmol)を入れ、NMP72.5gを加え、窒素を送りながら撹拌し溶解させた。これらのジアミン溶液を撹拌しながらCA−3を(6.18g,27.55mmol)添加し、更にNMP18.1gを加え、窒素雰囲気下、室温で12時間撹拌することで、樹脂固形分濃度12質量%のポリアミック酸溶液を得た。ポリアミック酸溶液の粘度は373mPa・sであった。このポリアミック酸の分子量はMn=12835、Mw=27302であった。
【0069】
[合成例5]
撹拌装置付き及び窒素導入管付きの100ml四つ口フラスコに、DA−8(2.15g,5.40mmol)、DA−3(0.88g,8.10mmol)、DA−4(1.98g,8.10mmol)、DA−5(1.40g,5.40mmol)を入れ、NMP71.3gを加え、窒素を送りながら撹拌し溶解させた。これらのジアミン溶液を撹拌しながらCA−3を(5.81g,25.92mmol)添加し、更にNMP17.8gを加え、窒素雰囲気下、室温で12時間撹拌することで、樹脂固形分濃度12質量%のポリアミック酸溶液を得た。ポリアミック酸溶液の粘度は397mPa・sであった。このポリアミック酸の分子量はMn=13723、Mw=27622であった。
【0070】
[合成例6]
撹拌装置付き及び窒素導入管付きの100ml四つ口フラスコに、DA−6(2.10g,14.00mmol)、DA−7(6.27g,21.00mmol)を入れ、NMP59.6gを加え、窒素を送りながら撹拌し溶解させた。これらのジアミン溶液を撹拌しながらCA−2を(6.66g,33.95mmol)添加し、更にNMP25.6gを加え、窒素雰囲気下、室温で12時間撹拌することで、樹脂固形分濃度15質量%のポリアミック酸溶液を得た。ポリアミック酸溶液の粘度は1220mPa・sであった。このポリアミック酸の分子量はMn=13305、Mw=41543であった。
【0071】
[実施例1]
合成例1で得られたポリアミック酸溶液17.56gに対して、NMPを4.90g、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシランが1.0重量%入ったNMP溶液を2.40g、及びBCS10.00g加え、濃度が6質量%の液晶配向剤(AL−1)を得た。この液晶配向剤(AL−1)に、濁りや析出物の発生などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
【0072】
[実施例2]
合成例3で得られたポリアミック酸溶液6.62gに対して、NMPを1.99g、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシランが1.0重量%入ったNMP溶液を0.88g、及びBCS3.67g加え、濃度が6質量%の液晶配向剤(AL−2)を得た。この液晶配向剤(AL−2)に、濁りや析出物の発生などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
【0073】
[実施例3]
合成例4で得られたポリアミック酸溶液6.71gに対して、NMPを2.15g、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシランが1.0重量%入ったNMP溶液を0.88g、及びBCS3.66g加え、濃度が6質量%の液晶配向剤(AL−3)を得た。この液晶配向剤(AL−3)に、濁りや析出物の発生などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
【0074】
[実施例4]
合成例3で得られたポリアミック酸溶液5.03gに対して、合成例6で得られたポリアミック酸溶液2.68gとNMPを0.93g、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシランが1.0重量%入ったGBL溶液を0.88g、GBLを3.92g、及びBCS3.2g加え、濃度が6質量%の液晶配向剤(AL−4)を得た。この液晶配向剤(AL−4)に、濁りや析出物の発生などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
【0075】
[実施例5]
合成例4で得られたポリアミック酸溶液5.01gに対して、合成例6で得られたポリアミック酸溶液2.67gとNMPを1.00g、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシランが1.0重量%入ったGBL溶液を0.88g、GBLを3.92g、及びBCS3.2g加え、濃度が6質量%の液晶配向剤(AL−5)を得た。この液晶配向剤(AL−5)に、濁りや析出物の発生などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
【0076】
[比較例1]
合成例2で得られたポリアミック酸溶液20.07gに対して、NMPを7.23g、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシランが1.0重量%入ったNMP溶液を2.40g、及びBCS10.00g加え、濃度が6質量%の液晶配向剤(AL−1b)を得た。この液晶配向剤(AL−1b)に、濁りや析出物の発生などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
【0077】
[比較例2]
合成例5で得られたポリアミック酸溶液6.58gに対して、NMPを2.04g、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシランが1.0重量%入ったNMP溶液を0.88g、及びBCS3.67g加え、濃度が6質量%の液晶配向剤(AL−2b)を得た。この液晶配向剤(AL−2b)に、濁りや析出物の発生などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
【0078】
[比較例3]
合成例5で得られたポリアミック酸溶液5.01gに対して、合成例6で得られたポリアミック酸溶液2.67gとNMPを0.95g、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシランが1.0重量%入ったGBL溶液を0.88g、GBLを3.92g、及びBCS3.20g加え、濃度が6質量%の液晶配向剤(AL−3b)を得た。この液晶配向剤(AL−3b)に、濁りや析出物の発生などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
【0079】
<シール密着性評価サンプルの作製>
実施例1で得られた液晶配向剤(AL−1)と比較例1で得られた液晶配向剤(AL−1b)のそれぞれを、孔径1.0μmのフィルターで濾過した後、透明電極付きガラス基板上にスピンコートし、80℃のホットプレート上で2分間乾燥後、230℃で20分間焼成して膜厚100nmの塗膜を得た。このようにして得られた2枚の基板を用意し、一方の基板の液晶配向膜面上に直径4μmビーズスペーサーを散布した後、シール剤(協立化学社製XN−1500T)を滴下した。次いで、他方の基板の液晶配向膜面を内側にし、基板の重なり幅が1cmになるように、貼り合わせを行った。その際、貼り合わせ後のシール剤の直径が約3mmとなるようにシール剤滴下量を調整した。貼り合わせた2枚の基板をクリップにて固定した後、120℃で1時間熱硬化させて、接着性評価用のサンプルを作製した。
実施例2〜5で得られた液晶配向剤(AL−2〜AL−5)と比較例2及び3で得られた液晶配向剤(AL−2b、3b)のそれぞれを、孔径1.0μmのフィルターで濾過した後、透明電極付きガラス基板上にスピンコートし、80℃のホットプレート上で2分間乾燥後、230℃で20分間焼成して膜厚100nmの塗膜を得た。この塗膜面に偏光板を介して254nmの紫外線を150mJ/cm
2照射し、液晶配向膜付き基板を得た。このようにして得られた2枚の基板を用意し、一方の基板の液晶配向膜面上に直径4μmビーズスペーサーを散布した後、シール剤(協立化学社製XN−1500T)を滴下した。次いで、他方の基板の液晶配向膜面を内側にし、基板の重なり幅が1cmになるように、貼り合わせを行った。その際、貼り合わせ後のシール剤の直径が約3mmとなるようにシール剤滴下量を調整した。貼り合わせた2枚の基板をクリップにて固定した後、120℃で1時間熱硬化させて、接着性評価用のサンプルを作製した。
【0080】
<シール密着性の測定>
作製したサンプルを島津製作所社製の卓上形精密万能試験機AGS−X 500Nにて、上下基板の端の部分を固定した後、基板中央部の上部から押し込みを行い、剥離する際の圧力(N)を測定した。そして、計測したシール剤の直径より見積もった面積(mm
2)で圧力(N)を規格化した値を用いて接着力の評価を実施した。
液晶配向剤AL−1、AL−1bに関して実施したシール密着性の結果を表1に示す。
【表1】
【0081】
液晶配向剤AL−2、AL−3、AL−2bに関して実施したシール密着性の結果を表2に示す。
【表2】
【0082】
液晶配向剤AL−4、AL−5、AL−3bに関して実施したシール密着性の結果を表3に示す。
【表3】
【0083】
<液晶セルの作製>
実施例1で得られた液晶配向剤(AL−1)と比較例1で得られた液晶配向剤(AL−1b)のそれぞれを、孔径1.0μmのフィルターで濾過した後、透明電極付きガラス基板上にスピンコートし、80℃のホットプレート上で2分間乾燥後、230℃で20分間焼成して膜厚100nmの塗膜を得た。このイミド化重合体膜をレーヨン布でラビング処理(ロール径120mm、回転数1000rpm、移動速度20mm/sec、押し込み量0.4mm)した後、純水中にて1分間超音波照射を行い、80℃で10分間乾燥した。液晶配向膜付き基板を2枚用意し、一方の基板の液晶配向膜面に直径4μmのスペーサーを設置した後、2枚の基板のラビング方向が逆平行になるように組み合わせ、液晶注入口を残して周囲をシールし、セルギャップが4μmの空セルを作製した。このセルに液晶(MLC−2041、メルク社製)を常温で真空注入し、注入口を封止してアンチパラレル液晶セルとした。
実施例2〜5で得られた液晶配向剤(AL−2〜AL−5)と比較例2及び3で得られた液晶配向剤(AL−2b、AL−3b)のそれぞれを、孔径1.0μmのフィルターで濾過した後、透明電極付きガラス基板上にスピンコートし、80℃のホットプレート上で2分間乾燥後、230℃で20分間焼成して膜厚100nmの塗膜を得た。この塗膜面に偏光板を介して254nmの紫外線を150mJ/cm
2照射し、液晶配向膜付き基板を得た。このような液晶配向膜付き基板を2枚用意し、一方の基板の液晶配向膜面に直径4μmのスペーサーを設置した後、2枚の基板のラビング方向が逆平行になるように組み合わせ、液晶注入口を残して周囲をシールし、セルギャップが4μmの空セルを作製した。このセルに液晶(MLC−2041、メルク社製)を常温で真空注入し、注入口を封止してアンチパラレル液晶セルとした。
【0084】
<液晶配向性>
上記で得られた液晶セルの配向状態を偏光顕微鏡にて観察し、配向欠陥がないものを「良好」、配向欠陥があるものは「不良」とした。
液晶配向剤AL−1〜AL−5、AL−1b〜3bに関して実施した配向性評価の結果を表4に示す。
【表4】