(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0006】
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態に係る撮像装置の構成を示すブロック図である。撮像装置1は、撮影光学系2、撮像素子3、および制御部4を備える。撮像装置1は、例えばカメラである。撮影光学系(結像光学系)2は、撮像素子3上に被写体像を結像する。撮像素子3は、撮影光学系2により結像する被写体像を撮像して画像信号を生成する。撮像素子3は、例えばCMOSイメージセンサである。制御部4は、撮像素子3の動作を制御するための制御信号を撮像素子3に出力する。また、制御部4は、撮像素子3から出力された画像信号に対して各種の画像処理を施し、画像データを生成する画像生成部として機能する。なお、撮影光学系2は、撮像装置1から着脱可能にしてもよい。
【0007】
図2は、第1の実施の形態に係る撮像素子の断面構造を示す図である。
図2に示す撮像素子3は、裏面照射型の撮像素子である。撮像素子3は、第1基板111と、第2基板112と、第3基板113と、第4基板114とを備える。第1基板111、第2基板112、第3基板113、および第4基板114は、それぞれ半導体基板等により構成される。第1基板111は第2基板112に積層され、第2基板112は第3基板113に積層され、第3基板113は第4基板114に積層される。第2基板112および第3基板113は、シリコン貫通電極等の複数の貫通電極110を有する。第1基板111、第2基板112、第3基板113、および第4基板114の各々に設けられる回路は、接続部109および貫通電極110により電気的に接続される。接続部109は、例えばバンプや電極等であり、貫通電極110は、例えばシリコン貫通電極である。
【0008】
白抜き矢印で示す入射光Lは、Z軸プラス方向へ向かって入射する。また、座標軸に示すように、Z軸に直交する紙面右方向をX軸プラス方向、Z軸およびX軸に直交する紙面手前方向をY軸プラス方向とする。撮像素子3は、入射光Lが入射する方向に、第1基板111と第2基板112と第3基板113と第4基板114とが積層されている。第1基板111は、2次元状に配置される複数の画素10を含んで構成される。画素10は、
図2に示すX軸方向およびY軸方向に複数配置されている。画素10の構成例については、
図3を参照して詳細を後述する。
【0009】
撮像素子3は、さらに、マイクロレンズ層101、カラーフィルタ層102、パッシベーション層103を有する。これらのパッシベーション層103、カラーフィルタ層102及びマイクロレンズ層101は、第1基板111に順次積層されている。マイクロレンズ層101は、複数のマイクロレンズMLを有する。マイクロレンズMLは、入射した光を後述する光電変換部12に集光する。カラーフィルタ層102は、複数のカラーフィルタFを有する。パッシベーション層103は、窒化膜や酸化膜で構成される。
【0010】
図3は、第1の実施の形態に係る撮像素子の画素の構成を示す回路図である。画素10は、フォトダイオード(PD)等の光電変換部12および読み出し部20を有する。光電変換部12は、入射した光を電荷に変換し、光電変換された電荷を蓄積する機能を有する。読み出し部20は、転送部13と、排出部14と、フローティングディフュージョン(FD)15と、増幅部16と、電流源17とを有する。
【0011】
転送部13は、信号Vtxにより制御され、光電変換部12で光電変換された電荷をフローティングディフュージョン15に転送する。すなわち、転送部13は、光電変換部12およびフローティングディフュージョン15の間に電荷転送路を形成する。フローティングディフュージョン15は電荷を保持(蓄積)する。増幅部16は、フローティングディフュージョン15に保持された電荷による信号を増幅し、信号線18に出力する。
図3に示す例では、増幅部16は、ドレイン端子、ゲート端子およびソース端子がそれぞれ、電源VDD、フローティングディフュージョン15および電流源17に接続されるトランジスタM3により構成される。増幅部16は、電流源17を負荷電流源としてソースフォロワ回路の一部として機能する。
【0012】
排出部(リセット部)14は、信号Vrstにより制御され、フローティングディフュージョン15の電荷を排出し、フローティングディフュージョン15の電位をリセット電位(基準電位)にリセットする。転送部13および排出部14は、例えば、それぞれトランジスタM1、トランジスタM2により構成される。読み出し部20は、転送部13により光電変換部12からフローティングディフュージョン15に転送された電荷に応じた信号を、信号線18に読み出す。信号線18に読み出された信号(画素信号)は、直接または増幅回路等により増幅されてAD変換部200(
図4参照)に入力される。
【0013】
図4は、第1の実施の形態に係る撮像素子のAD変換部および信号生成部の構成を示す回路図である。撮像素子3は、画素10から出力されるアナログ信号を所定のビット数のデジタル信号に変換する逐次比較型のアナログ/デジタル変換部(AD変換部)200と、信号生成部210とを含んで構成される。AD変換部200は、比較部40、記憶部50、および容量部100を含んで構成され、例えば画素10毎に設けられる。なお、制御部60をAD変換部200に含めてもよい。信号生成部210は、画素10毎に設けられるAD変換部200に共通に接続される。信号生成部210は、一定の電圧となる基準信号Vrefを生成して各AD変換部200に供給する。
【0014】
容量部100は、第1容量71と、第2容量72と、第3容量73と、第4容量74と、第5容量75と、第1スイッチSW81と、第2スイッチSW82と、第3スイッチSW83と、第4スイッチSW84とを有する。本実施の形態のAD変換部200では、説明の便宜上、第1容量71から第5容量75までしか図示していない。容量部100には、AD変換の分解能に応じて、デジタル信号のビット数に対応する複数の容量が設けられる。
図4に示す例では、AD変換部200は、分解能が4ビットのAD変換器となり、画素10からの信号を4ビットのデジタル信号に変換する。
【0015】
第1基板111には、画素10(不図示)と、比較部40と、第1容量71と、第5容量75と、第1スイッチSW81と、信号生成部210とが設けられる。比較部40は、画素10毎に設けられ、コンパレータ回路等により構成される。比較部40は、第1入力部41と第2入力部42と出力部43とを有する。第1入力部41には、画素10からの信号が信号Vinとして入力される。第2入力部42には、容量部100により生成される信号Vcomが入力される。比較部40は、信号Vinと信号Vcomとを比較し、比較結果となる出力信号Voutを出力部43から出力する。出力部43から出力された信号Voutは、信号線130を介して制御部60に入力される。
【0016】
第2基板112には、第2容量72と、第3容量73と、第2スイッチSW82と、第3スイッチSW83とが設けられる。第3基板113には、第4容量74および第4スイッチSW84が設けられる。第1容量71〜第5容量75は、それぞれMOS容量やMIM(Metal−Insulator−Metal)容量等の素子により構成される。第1スイッチSW81〜第4スイッチSW84は、それぞれMOSトランジスタ等の素子により構成される。
【0017】
第4基板114には、記憶部50および制御部60が設けられる。記憶部50は、画素10毎に設けられ、デジタル信号のビット数に対応して複数のレジスタ(例えばフリップフロップ回路)等により構成される。制御部60は、比較部40による比較結果に基づいて、画素10から出力される信号に対応するデジタル信号を記憶部50に記憶させる。
【0018】
容量部100は、信号生成部210から信号線131を介して入力される信号Vrefに基づいて、信号Vcomを生成して比較部40に出力する。信号Vcomは、比較部40により信号Vinとの比較に用いられる基準信号(比較信号)となる。第1容量71〜第4容量74は、順に2進数の重みづけ(バイナリウェイト)がされた容量値を有する。例えば、第1容量71〜第4容量74は、それぞれ1C、2C、4C、8Cの容量値を有する。また、第5容量75は、1Cの容量値を有する。
【0019】
第1容量71〜第4容量74の一方の端子(電極)は、比較部40の第2入力部42に接続され、第1容量71〜第4容量74の他方の端子(電極)は、それぞれスイッチSW81〜スイッチSW84に接続される。スイッチSW81〜スイッチSW84はそれぞれ、第1容量71〜第4容量74をGND線と信号線131とに択一的に接続する。これにより、第1容量71〜第4容量74の他方の端子は、それぞれGND線及び信号線131のいずれか一方に接続される。
【0020】
制御部60は、記憶部50を介してスイッチSW81〜スイッチSW84に制御信号を出力して、スイッチSW81〜スイッチSW84の接続状態を切り替えることにより、第1容量71〜第4容量74の電気的な接続先を切り替える。制御部60は、比較部40と信号生成部210との間に接続される容量の容量値を制御することにより、比較部40に入力される信号Vcomの信号レベルを変化させる。AD変換部200は、信号Vcomを順次変化させて二分探索を複数回行い、画素10から出力される信号に対応するデジタル信号を生成する。なお、AD変換部200の動作例については、
図5を参照して詳細を後述する。
【0021】
本実施の形態では、AD変換部200に用いられる第1容量71〜第4容量74を、複数の基板に分けて配置する。このため、チップ面積を増大させることなく、複数の容量を配置することができる。この結果、チップ面積を増大させることなく、AD変換のビット数(分解能)を向上させることができる。また、第1容量71〜第4容量74のうちの最小の容量値となる第1容量71を、第2容量71等よりも比較部40に近い位置に配置する。第1容量71は、下位のビットのデジタル信号を決定するための容量となる。第1容量71〜第4容量74のうちの最大の容量値となる第4容量74は、比較部40に遠い位置に配置する。換言すれば、小さい容量値を有する容量は、大きい容量値を有する容量よりも比較部40に近い位置に配置する。第1容量71〜第4容量74のうちの最小の容量値となる第1容量71を、比較部40に近い位置に設けることで、第1容量71に対する寄生容量の影響を低減することができる。これにより、高精度なAD変換を実現することができる。
【0022】
図5は、第1の実施の形態に係るAD変換部の動作例を説明するための図である。
図5において、縦軸は信号の電圧レベルを示し、横軸は時刻を示す。
図5は、1ビット目(MSB)から4ビット目(LSB)までの4ビットのAD変換を行う例を示している。
【0023】
画素10から出力された信号が比較部40の第1入力部41に入力された後、時刻t1までの期間において、制御部60は、スイッチSW84に入力される制御信号をハイレベル、スイッチSW81〜スイッチSW83にそれぞれ入力される制御信号をローレベルにする。スイッチSW84にハイレベルが入力されることにより、第4容量74は、信号線131に接続される。スイッチSW81〜スイッチSW83にローレベルが入力されることにより、第1容量71〜第3容量73は、それぞれGND線に接続される。これにより、信号Vcomの電圧は、第1容量71〜第5容量75の容量値の和に対する第4容量74の容量値の比に信号Vrefの電圧Vrefを乗じた1/2Vrefとなる。
図5に示す例では、信号Vinの電圧は1/2Vrefよりも小さいため、比較部40は、比較結果としてローレベルの出力信号Voutを制御部60に出力する。制御部60は、比較部40による比較結果に基づいて、1ビット目(MSB)として“0”を記憶部50に記憶させる。
【0024】
時刻t2において、制御部60は、比較結果に基づいて、スイッチSW84に入力される制御信号をローレベルにする。また、制御部60は、スイッチSW83に入力される制御信号をハイレベル、スイッチSW81およびスイッチSW82にそれぞれ入力される制御信号をローレベルにする。第4容量74はGND線に接続され、第3容量73は信号線131に接続され、第1容量71および第2容量72はGND線に接続される。これにより、信号Vcomの電圧は1/4Vrefとなる。信号Vinの電圧は1/4Vrefよりも大きいため、比較部40は、比較結果としてハイレベルの出力信号Voutを制御部60に出力する。制御部60は、比較部40による比較結果に基づいて、2ビット目として“1”を記憶部50に記憶させる。
【0025】
時刻t3において、制御部60は、比較結果に基づいて、スイッチSW84に入力される制御信号をローレベル、スイッチSW83に入力される制御信号をハイレベルとする。また、制御部60は、スイッチSW82に入力される制御信号をハイレベル、スイッチSW81に入力される制御信号をローレベルにする。第4容量74はGND線に接続され、第3容量73および第2容量72は信号線131に接続され、第1容量71はGND線に接続される。これにより、信号Vcomの電圧は(1/4+1/8)Vrefとなる。信号Vinの電圧は(1/4+1/8)Vrefよりも小さいため、比較部40は、比較結果としてローレベルの出力信号Voutを制御部60に出力する。制御部60は、比較部40による比較結果に基づいて、3ビット目として“0”を記憶部50に記憶させる。
【0026】
時刻t4において、制御部60は、比較結果に基づいて、スイッチSW84に入力される制御信号をローレベル、スイッチSW83に入力される制御信号をハイレベル、スイッチSW82に入力される制御信号をローレベルとする。また、制御部60は、スイッチSW81に入力される制御信号をハイレベルにする。第4容量74はGND線に接続され、第3容量73は信号線131に接続され、第2容量72はGND線に接続され、第1容量71は信号線131に接続される。これにより、信号Vcomの電圧は(1/4+1/16)Vrefとなる。信号Vinの電圧は(1/4+1/16)Vrefよりも小さいため、比較部40は、比較結果としてローレベルの出力信号Voutを制御部60に出力する。制御部60は、比較部40による比較結果に基づいて、4ビット目(LSB)として“0”を記憶部50に記憶させる。
【0027】
以上の逐次比較処理により、AD変換部200は、画素10から出力される信号を信号値が“0100”のデジタル信号に変換する。AD変換部200の記憶部50に記憶されるAD変換結果となるデジタル信号は、後段の信号処理部170(不図示)に出力される。信号処理部170では、AD変換部200から出力される信号に対して、信号量をAD変換ゲインに合わせて補正する処理等の信号処理を行い、画像信号として撮像装置1の制御部4に出力する。
【0028】
図4に示す第1容量71〜第4容量74が接続される信号線132は、第1基板111と第2基板112と第3基板113とを通る信号線となり、
図2に示す貫通電極110やバンプ等の接続部109を用いた信号線となる。このため、信号線132には、配線の寄生容量や層間の接合容量等により寄生容量が付加される。下位ビットを判定するために用いる第1容量71は、第2容量72〜第4容量74と比較して小さい容量値となり、寄生容量の影響を大きく受ける。そこで、本実施の形態では、第1容量71を、比較部40と同じ第1基板111に配置する。また、第1容量71〜第4容量74のうち最も大きな容量値となる第4容量74は、寄生容量による影響が比較的少ないことが考えられる。そこで、第4容量74を、第1基板111の比較部40から遠い第3基板113に配置する。これにより、寄生容量による容量値のずれの影響を低減させて、AD変換の変換誤差を低減させることができる。このように、第1容量71〜第4容量74を複数の基板に分けて配置する場合に、寄生容量の影響による容量値のずれを低減させ、AD変換の精度を向上させることができる。
【0029】
上述した実施の形態によれば、次の作用効果が得られる。
(1)撮像素子3は、入射した光を光電変換して電荷を生成する光電変換部12と、光電変換部12で生成された電荷による信号と比較するための基準信号(信号Vcom)が入力される入力部42を有する比較部40と、入力部42に接続される第1容量(例えば、第1容量71)を有する第1回路層(第1基板111)と、第1回路層に積層され、入力部42に接続される第2容量(例えば、第2容量72)を有する第2回路層(第2基板112)と、を備える。本実施の形態では、第1容量71〜第4容量74を複数の基板に分けて配置する。このため、チップ面積を増大させることなく、画素10からの信号を処理するための複数の容量を配置することができる。また、第1容量71〜第4容量74を複数の基板に分けて配置することで、画素10が有する開口率が低下することを防ぐことができる。
【0030】
(2)撮像素子3は、入射した光を光電変換して電荷を生成する光電変換部12と、光電変換部12で生成された電荷による信号と基準信号(信号Vcom)との比較に基づく信号を出力する比較部40と、比較部40に接続される第1容量(例えば、第1容量71)を有する第1回路層(第1基板111)と、第1回路層に積層され、比較部40に接続される第2容量(例えば、第2容量72)を有する第2回路層(第2基板112)と、を備える。このようにしたので、チップ面積を増大させることなく、画素10からの信号を処理するための複数の容量を配置することができる。また、画素10が有する開口率が低下することを防ぐことができる。
【0031】
(3)比較部40から出力される信号に基づいてデジタル信号を記憶する記憶部50を備える。比較部40と第1容量と第2容量と記憶部50とは、光電変換部12で生成された電荷による信号をデジタル信号に変換するAD変換部200を構成する。このようにしたので、チップ面積を増大させることなく複数の容量を配置し、AD変換の分解能を向上させることができる。
【0032】
(4)第1容量は、第2容量よりも容量値が小さい容量である。本実施の形態では、第1容量71〜第4容量74のうち最も小さい容量値となる第1容量71を、比較部40に近い位置に配置する。このため、寄生容量の影響による容量値のずれを低減し、微分非直線性(DNL)が発生してAD変換の精度が劣化することを防ぐことができる。この結果、高精度なAD変換を実現することができる。
【0033】
(第2の実施の形態)
図6を参照して、第2の実施の形態に係る撮像素子3を説明する。なお、図中、第1の実施の形態と同一もしくは相当部分には、同一の参照番号を付し、第1の実施の形態に係る撮像素子3との相違点を主に説明する。
図6は、第2の実施の形態に係るAD変換部および信号生成部の構成を示す回路図である。第2の実施の形態に係る撮像素子3は、第1容量調整部220と、第2容量調整部230と、第3容量調整部240とを備える。
【0034】
第1容量調整部220〜第3容量調整部240は、それぞれ第2容量72〜第4容量74に付加される寄生容量の影響を補正する回路である。第1容量調整部220は、容量211と容量212とスイッチSW213とスイッチSW214とを有する。第1容量調整部220の容量212は、第2容量72に対して並列に接続される。容量211は、容量212に対して直列に接続される。スイッチSW214は、制御部60から出力される制御信号により制御され、容量212の電気的な接続先を切り替える。また、スイッチSW213は、制御部60から出力される制御信号により制御され、第2容量72と容量211との間の電気的な接続状態を切り替える。
【0035】
制御部60から制御信号を供給してスイッチ213及びスイッチ214をオンすることにより、第2容量72には、直列に接続された容量211と容量212とを合成した容量が付加される。第1容量71〜第4容量74を複数の基板に分けて配置する場合は、基板間の容量値のばらつきが生じる。そこで、信号線132に形成される寄生容量に応じてスイッチ213及びスイッチ214の導通状態を制御し、第2容量72に付加される容量を調整することにより、寄生容量の影響による容量値のばらつきを低減することができる。また、基板間の容量値のばらつきを低減することができる。
【0036】
また、本実施の形態では、容量212は容量211を介して第2容量72に接続されるため、第2容量72に付加する容量値を微調整することができる。第2容量調整部230および第3容量調整部240は、第1容量調整部220と同様の構成および機能を有するため、説明を省略する。なお、第1容量調整部220〜第3容量調整部240が有する各々の容量およびスイッチの数は任意の数としてよい。また、容量211およびスイッチ213を設けないようにしてもよい。この場合、スイッチ214をオンすることにより、第2容量72に容量212を直接接続することができ、容量211を介して接続する場合と比較して大きな容量を付加することができる。
【0037】
上述した実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様の作用効果に加えて、次の作用効果が得られる。
(5)第2回路層(第2基板112)は、第2容量に並列に接続される第3容量(容量212)を有する容量調整部を有する。本実施の形態では、第2容量72〜第4容量74に対応して第1容量調整部220〜第3容量調整部240が配置される。このため、第2容量72〜第4容量74に付加される容量を調整することができ、寄生容量の影響による容量値のばらつきを低減することができる。また、基板間の容量値のばらつきを低減することができる。この結果、高精度なAD変換を実現することができる。
(6)容量調整部は、第3容量(容量212)に直列に接続される第4容量(容量211)を有する。本実施の形態では、直列に接続された容量211と容量212とを合成した容量を、第2容量72に付加する。このため、第2容量72に容量212の容量値を付加する場合と比較して小さな容量を付加することができる。
【0038】
(第3の実施の形態)
図7を参照して、第3の実施の形態に係る撮像素子3を説明する。なお、図中、第1の実施の形態と同一もしくは相当部分には、同一の参照番号を付し、第1の実施の形態に係る撮像素子3との相違点を主に説明する。
図7は、第3の実施の形態に係るPGA部の構成を示す回路図である。第3の実施の形態に係る撮像素子3は、画素10から出力される信号を所定のゲイン(増幅率)で増幅するプログラマブルゲインアンプ(PGA)部300を含んで構成される。PGA部300は、例えば画素10毎に設けられ、増幅部(比較部)310と、入力容量Ciと、リセット用SWと、ゲイン設定用スイッチSW1〜SW4と、帰還容量Cf1〜Cf4とを含んで構成される。なお、PGA部300が有する帰還容量およびゲイン設定用スイッチの数は任意の数としてよい。PGA部300には、複数のゲイン設定値に応じて、複数の帰還容量およびゲイン設定用スイッチが設けられる。
【0039】
第1基板111には、画素10(不図示)と、増幅部310と、入力容量Ciと、リセット用SWと、ゲイン設定用スイッチSW1と、帰還容量Cf1とが設けられる。入力容量Ciの一方の端子には、画素10から信号Vinが入力される。増幅部310は、非反転入力端子311に入力される信号と反転入力端子312に入力される信号との差を増幅した信号を出力端子313から出力する。増幅部310の非反転入力端子311には、一定の電圧となる基準信号Vrefが入力される。リセット用SWは、制御信号rstによりオンオフ制御される。リセット用SWがオンすると、増幅部310の反転入力端子312と出力端子313とが電気的に接続され、反転入力端子312に入力される信号の電圧が基準信号Vrefの電圧にリセットされる。
【0040】
第2基板112には、ゲイン設定用スイッチSW2〜SW4と、帰還容量Cf2〜Cf4とが設けられる。帰還容量Cf1〜Cf4は、例えば、それぞれ1C、4C、8C、16Cの容量値を有する。また、入力容量Ciは、例えば16Cの容量値を有する。
【0041】
ゲイン設定用スイッチSW1〜SW4は、それぞれ制御信号sw1〜sw4によりオンオフ制御される。ゲイン設定用スイッチSW1〜SW4をオンオフ制御することにより、増幅部310の反転入力端子312と出力端子313との間に電気的に接続される容量を変更して、PGA部300のゲインを変更することができる。PGA部300のゲインは、入力容量Ciの容量値Ciと制御信号sw1〜sw4により選択される帰還容量Cf1〜Cf4による容量値Cfとの比(−Ci/Cf)となる。また、PGA部300の出力信号Voutは、例えば次式(1)で表すことができる。
Vout=(−Ci/Cf)×ΔVin+Vref ・・・(1)
PGA部300から出力される信号Voutは、例えばAD変換部200(不図示)に入力される。
【0042】
本実施の形態では、PGA部300に用いられる帰還容量Cf1〜Cf4を、複数の基板に分けて配置する。このため、チップ面積を増大させることなく、複数の容量を配置することができる。この結果、PGA部300のゲインを変更可能な範囲を大きくすることができる。また、PGA部300のゲインを大きくするためには、容量値Ciを大きくする、または、容量値Cfを小さくする方法があるが、チップ面積の増加を避けるためには容量値Cfを小さくする方法が一般的に用いられる。しかし、容量値Cfを小さくすると寄生容量の影響を大きく受けるため、指定したゲインからの誤差が大きくなる。そこで、帰還容量Cf1〜Cf4のうちの最小の容量値となる帰還容量Cf1を、増幅部310に近い位置に配置する。これにより、帰還容量Cf1に対する寄生容量の影響を低減することができる。これにより、PGA部300のゲインの誤差を低減し、高精度な信号増幅を実現することができる。
【0043】
上述した実施の形態によれば、次の作用効果が得られる。
(1)光電変換部12で生成された電荷による信号が入力され、第1容量(例えば、帰還容量Cf1)と第2容量(例えば、帰還容量Cf2)とに直列に接続される第5容量(入力容量Ci)を備え、比較部(増幅部310)と第1容量と第2容量と第5容量とは、光電変換部12で生成された電荷による信号を増幅する増幅部(PGA部300)を構成する。このようにしたので、チップ面積を増大させることなく、複数の容量を配置することができ、ゲインを変更可能な範囲を大きくすることができる。また、本実施の形態では、帰還容量Cf1〜Cf4のうちの最小の容量値となる帰還容量Cf1を、増幅部310に近い位置に配置する。このため、帰還容量Cf1に対する寄生容量の影響を低減することができ、PGA部300のゲインの誤差を低減することができる。
【0044】
次のような変形も本実施形態の範囲内であり、変形例の一つ、もしくは複数を上述の実施形態と組み合わせることも可能である。
【0045】
(変形例1)
図8は、変形例1に係るAD変換部および信号生成部の構成を示す回路図である。
図8に示す例では、AD変換部200の容量部100は、第1の実施の形態に対して、第6容量76〜第9容量79と、第6スイッチSW86〜第9スイッチSW89とを更に有する。また、容量部100は、下位ビット用の容量(第6容量76〜第9容量79)と上位ビット用の容量(第1容量71〜第4容量74)との間に設けられるスプリット容量80を有する。
図8に示す例では、スプリット容量80の容量値は(16/15)Cとなる。AD変換部200は、分解能が8ビットのAD変換器となる。
【0046】
容量部100に、スプリット容量80を配置することにより、第1容量71〜第4容量74および第6容量76〜第9容量79の容量値に順にバイナリウェイトの重みづけをする場合と比較して、容量値の総和を小さくすることができる。例えば、第6容量76〜第9容量79の各々の容量値を小さくすることができる。この結果、撮像素子3の回路面積を小さくすることができる。
図8に示すようなAD変換部200は、Two−Step−C−Array型のAD変換部等と呼ばれる。また、
図8に示すような容量部100は、split−capacitor−DAC等と呼ばれる。
【0047】
本変形例では、下位ビット側の容量(第6容量76〜第9容量79)のうちの最小の容量値となる第6容量76を、比較部40と同じ第1基板111に配置する。また、上位ビット側の容量(第1容量71〜第4容量74)のうちの最小の容量値となる第1容量71を、比較部40と同じ第1基板111に配置する。さらに、スプリット容量80を、比較部40と同じ第1基板111に配置する。これにより、寄生容量による容量値のずれの影響を低減させて、AD変換の変換誤差を低減させることができる。
【0048】
(変形例2)
上述した実施の形態および変形例では、本発明を逐次比較型のAD変換部やTwo−Step−C−Array型のAD変換部に適用する例について説明した。しかし、巡回型のAD変換部に適用してもよい。
【0049】
(変形例3)
上述した第1の実施の形態では、第1基板111が画素10と比較部40と第1容量71と第5容量75とを有し、第2基板112が第2容量72および第3容量73を有し、第3基板113が第4容量74を有し、第4基板114が制御部60および記憶部50を有し、4つの基板が積層される例について説明した。しかし、基板の数は4つに限定されない。例えば、撮像素子3は、第1基板111が画素10と比較部40と第1容量71と第5容量75とを有し、第2基板112が第2容量72を有し、第3基板113が第3容量73を有し、第4基板114が第4容量74を有し、第5基板115が制御部60および記憶部50を有する5つの基板が積層されていてもよい。撮像素子3は、第1基板111が画素10と比較部40と第1容量71を有し、第2基板112が第5容量75を有し、第3基板113が第2容量72を有し、第4基板114が第3容量73を有し、第5基板115が第4容量74を有し、第6基板116が制御部60および記憶部50を有する6つの基板が積層されていてもよい。画素10と比較部40とは異なる基板に設けられてもよい。また、比較部40と第1容量71とは異なる基板に設けられてもよい。例えば、第1基板111に比較部40を配置し、第2基板112に第1容量71を配置し、第3基板113に第2容量72〜第4容量74を配置してもよい。また、第1容量71と第2容量72とが同じ基板に設けられてもよい。この場合、第1容量71は、第2容量72よりも比較部40に近い位置に設けられる。光電変換部12と比較部40と第1容量71とが同じ基板(例えば第1基板111)に設けられてもよい。また、光電変換部12と比較部40と第1容量71と第2容量72とが同じ基板に設けられてもよい。
【0050】
(変形例4)
第1容量71〜第9容量79を1つの容量として説明した。第1容量71〜第9容量79はそれぞれ複数の容量から構成されていてもよい。この場合、複数の容量の合成容量が第1容量71〜第9容量79のそれぞれの容量となる。また、第1容量71〜第9容量79それぞれを同じ容量値を有する複数の容量から構成してもよい。例えば、第1容量71は容量値1/2Cを有し、並列に接続される2つの容量から構成される。並列に接続される2つの容量の合成容量がCとなり、2つの容量の合成容量Cが第1容量71の容量となる。同様に、第2容量72は容量値1/2Cを有し、並列に接続される4つの容量から構成される。並列に接続される4つの容量の合成容量が2Cとなり、4つの容量の合成容量2Cが第2容量72の容量となる。第3容量73〜第9容量79も同様である。
なお、容量の容量値、数、接続は上記に限定されない。例えば、第1容量71は、容量値が3Cを有し、直列に接続される3つの容量から構成されてもよい。第2容量72は、容量値が4Cを有し、直列に接続される2つの容量から構成されてもよい。
【0051】
(変形例5)
上述した実施の形態では、撮像素子3は、裏面照射型の構成とする例について説明した。しかし、撮像素子3を、光が入射する入射面側に配線層を設ける表面照射型の構成としてもよい。
【0052】
(変形例6)
上述した実施の形態では、光電変換部12としてフォトダイオードを用いる例について説明した。しかし、光電変換部12として光電変換膜を用いるようにしてもよい。
【0053】
(変形例7)
上述の実施の形態で説明した撮像素子3は、カメラ、スマートフォン、タブレット、PCに内臓のカメラ、車載カメラ等に適用されてもよい。
【0054】
次の優先権基礎出願の開示内容は引用文としてここに組み込まれる。
日本国特許出願2016年第101276号(2016年5月20日出願)