(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ひずみ量を測定する工程では、前記単振動に伴い周期的に変化する前記被歪体のひずみを、一周期中で位相が120°ずつずれた3測定時刻を1セットとして測定することにより、前記ひずみ量を測定する、請求項2に記載の濃度測定方法。
前記ひずみ量を測定する工程では、一周期中で位相が120°ずつずれた3測定時刻を1セットとしたひずみ量の測定を、各セットの位相をずらして複数回行い、各回の測定で得られたひずみ量を平均することで、平均されたひずみ量を算出し、
前記固形分の濃度を取得する工程では、前記平均されたひずみ量に基づき、前記混合物中における前記固形分の濃度を取得する、請求項3に記載の濃度測定方法。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<第1実施形態>
本発明の第1実施形態による濃度測定装置および濃度測定方法について説明する。
図1(a)は、第1実施形態による濃度測定装置100(以下、装置100ともいう)を例示する概略図である。
【0011】
装置100は、被歪体10と、支持部材20と、移動機構30と、ひずみセンサー40と、制御装置50と、を有する。装置100は、詳細は後述するように、スラリー(液体中に固形分が分散した混合物)1中に浸漬された被歪体10を移動機構30により移動させることで被歪体10をひずませて、被歪体10のひずみ量を測定することにより、スラリー1の固形分濃度を測定する装置である。
【0012】
スラリー1は、特に限定されないが、例えば、ニッケル粉の製造に用いられるシックナーの槽内に収容されたスラリーである。スラリー1の単位体積当たりの重量に対する、スラリー1の単位体積に含まれる固形分の重量の比率が、スラリー1中における固形分の濃度(Solid%)である。スラリー1中における固形分の濃度を、以下、スラリー濃度、または単に、濃度、ということがある。
【0013】
濃度測定において、スラリー1は、容器2内に収容されている。容器2は、特に限定されないが、例えば、後述の第2実施形態で説明するように、シックナーの槽である。
【0014】
容器2が、例えばシックナーの槽である場合、容器2の深さは、5m〜10m程度であり、重力に起因して、深さ方向に、深い側ほど高濃度となるような、スラリー1の濃度分布が生じている。深さ方向にスラリー1の濃度分布が生じている場合、濃度測定の対象とする深さである測定深さ(矢印11参照)に被歪体10を配置して濃度測定を行うことで、測定深さにおける濃度を測定することができる。
【0015】
スラリー1中で被歪体10を測定深さに配置するための移動(矢印12参照)を、深さ移動ともいう。また、深さ移動の際に、被歪体10を移動させる方向を、深さ移動方向ともいう。スラリー1中で被歪体10をひずませるための移動(矢印13参照)を、ひずみ移動ともいう。また、ひずみ移動の際に、被歪体10を移動させる方向を、ひずみ移動方向ともいう。
【0016】
被歪体10は、支持部材20に取り付けられており、支持部材20は、移動機構30に取り付けられている。移動機構30が、支持部材20を移動させることで、被歪体10を移動させることができる。本例では、深さ移動方向と、ひずみ移動方向と、を一致させている。これにより、一方向(一軸方向)に支持部材20を移動させる移動機構30を用いて、深さ移動およびひずみ移動の両方の移動を行わせることができる。つまり、深さ移動のための移動機構と、ひずみ移動のための移動機構と、を別々に設けなくてよく、深さ移動およびひずみ移動を共通の移動機構30で行うことができるため、経済的である。支持部材20は、例えば、深さ移動方向およびひずみ移動方向に延在する棒状の形状を有し、例えば金属で構成される。
【0017】
本例において、移動機構30は、具体的には、鉛直方向(上下方向)に支持部材20を移動させる。つまり、深さ移動方向およびひずみ移動方向を、鉛直方向とする。なお、移動機構30による移動方向を、鉛直成分を有する方向(水平方向以外)とすれば、深さ移動を行わせることができるため、当該移動方向は、鉛直方向に限定されない。つまり、深さ移動方向およびひずみ移動方向は、鉛直方向から傾いた斜め方向であってもよい。ただし、当該移動方向を鉛直方向とすることで、深さ移動を効率的に行うことができる。
【0018】
被歪体10は、好ましくは例えば板状の形状を有し、支持部材20に片持ち梁状に保持されている。被歪体10は、被歪体10の強度を高めるとともに、酸およびアルカリへの耐性を高める観点から、例えばステンレス鋼で構成されることが好ましい。被歪体10の厚さ、長さ等の寸法は、ひずみ移動によりスラリー1中で適切なひずみが生じるように、適宜選択されてよい。被歪体10の厚さは、例えば、0.05mm〜0.5mmであり、被歪体10の(片持ち梁状に突出し、ひずませる部分の)長さは、例えば、20mm〜100mmである。
【0019】
(静止時における)被歪体10の厚さ方向は、ひずみ移動方向と概ね平行であること、つまり、ひずみ移動に際し、被歪体10を、被歪体10の厚さ方向に移動させることが好ましい。被歪体10の厚さ方向を、ひずみ移動方向と概ね平行とすることで、ひずみ移動により被歪体10を効率的にひずませることができる。なお、ここで、ある方向と他の方向とが概ね平行であるとは、これらの方向のなす角が20°以下であることをいう。
【0020】
本例において、ひずみ移動は、具体的には、スラリー1中で被歪体10を一方向に往復移動させる(振動させる)ことで行われる。測定深さを挟んで上下に被歪体10を往復移動させることで、測定深さにおける濃度測定が行われる。
【0021】
ひずみ移動として被歪体10を往復移動させることにより、つまり、被歪体10の根元部(被歪体10が支持部材20に取り付けられている側の端部)を、往復移動させることにより、被歪体10の先端部(被歪体10が支持部材20に取り付けられている側と反対側の端部)が、周期的に上下に変形する(矢印14参照)。
【0022】
このように、被歪体10に往復移動であるひずみ移動をさせることで、被歪体10に、当該往復移動と等しい周期で周期的に変化するひずみを生じさせることができる。本例では、ひずみ移動の際の往復移動に伴い周期的に変化する被歪体10のひずみの振幅(以下、ひずみ振幅ともいう)を、ひずみ量として測定する。
【0023】
ひずみ移動として被歪体10を往復移動させることで、スラリー1の濃度に対応する量となる最大ひずみを、周期的に変化するひずみの振幅として繰り返し測定することが可能となり、濃度測定の精度向上が図られる。なお、往復移動における最大ひずみ(ひずみ振幅)を繰り返し再現性よく得るために、被歪体10に生じさせるひずみ(変形)は、弾性変形の範囲にとどめることが好ましい。
【0024】
ひずみセンサー40は、被歪体10のひずみを測定するセンサーであり、被歪体10に取り付けられている。ひずみセンサー40として、例えば、モノリシックのひずみゲージを用いることが好ましい。これにより、半導体チップ内で、ひずみゲージの温度補償をできるとともに、測定データのデジタル変換を行うことができるため、外乱の影響が低減された測定を行うことができる。
【0025】
図1(b)は、被歪体10に取り付けられたひずみセンサー40を例示する概略図である。ひずみセンサー40は、半導体チップ41と、金属接合層42と、支持金属板43と、フレキシブルプリント配線板44と、封止剤45と、配線46と、を有する。ひずみ検出回路が形成された半導体チップ41が、金属接合層42を介して、支持金属板43に保持されている。また、支持金属板43に取り付けられたフレキシブルプリント配線板44に、配線46を介して半導体チップ41が接続されている。半導体チップ41、および、フレキシブルプリント配線板44の端部を覆って、封止剤45が形成されている。支持金属板43が、被歪体10に取り付けられている。
【0026】
被歪体10に大きなひずみが繰り返し生じると、半導体チップ41と金属接合層42、若しくは金属接合層42と支持金属板43との接合が破壊されること等により、ひずみセンサー40に不具合が生じることが懸念される。このため、ひずみ移動の際の往復移動における、振幅、および、周波数(速さ)の少なくとも一方は、ひずみ量(ひずみ振幅)が所定最大値以下となるように、設定されていることが好ましい。
【0027】
ひずみ移動の際の往復移動は、測定深さを中心とする単振動とすることが好ましい。単振動とすることで、最大ひずみ(ひずみ振幅)を、より精度良く測定することができる。
図2は、ひずみ移動を単振動として行う場合の、移動機構30による支持部材20の移動量(ストローク量)の時間変化を例示するグラフである。単振動の中心位置を20mmに設定し、ひずみ移動の振幅(片振幅)を20mmに設定し、ひずみ移動の周波数を0.5Hzに設定した例を示す。ひずみ移動を単振動として行うことにより、支持部材20の移動量を、時間に対してプロットしたグラフの形状は、正弦波状となる。つまり、当該移動量は、時間に対して正弦波状に変化する。
【0028】
ひずみ移動を単振動として行うことにより、被歪体10のひずみを、時間に対して(ほぼ)正弦波状に変化するように、生じさせることができる。被歪体10のひずみを、時間に対して正弦波状に変化させることで、ひずみ量を精度よく測定することができる。ひずみ量の測定方法については、後述する。なお、このような、被歪体10の正弦波状に変化するひずみを生じさせるために、ひずみ移動の周波数は、被歪体10の固有振動数よりも大きくすることが好ましい。ただし、ひずみ移動の周波数が高すぎると、振幅が小さくなったり高次の振動モードが発生したりするので、固有振動数の2倍よりも小さくすることが好ましい。
【0029】
制御装置50は、移動機構30等の装置を、所定の動作を行うように制御する。また、制御装置50は、ひずみセンサー40により測定された被歪体10のひずみに対応するデータを受信し、ひずみ量を算出する。さらに、制御装置50は、被歪体10のひずみ量とスラリー1の濃度との対応関係を記憶した記憶部を備え、ひずみ量および当該対応関係に基づいて、スラリー1の濃度を算出する。なお、後述の第2実施形態で説明するような、濃度分布測定を行う場合、制御装置50は、複数の測定深さについて測定された濃度を記憶し、濃度分布を算出する。制御装置50は、例えばパーソナルコンピュータにより構成される。
【0030】
図3は、第1実施形態による濃度測定方法を概略的に示すフローチャートである。まず、ステップS110において、スラリー1中で被歪体10を移動させることにより被歪体10をひずませ、被歪体10のひずみ量を測定する。
【0031】
本例では、ひずみ移動として、被歪体10を単振動で往復移動させることにより、被歪体10に、時間に対して正弦波状に変化するひずみを生じさせる。そして、被歪体10のひずみ量として、ひずみ振幅を測定する。
【0032】
本例では、ひずみ量(ひずみ振幅)を、一周期中で位相が120°ずつずれた3測定時刻を1セットとして測定することにより、算出する。また、好ましくは、一周期中で位相が120°ずつずれた3測定時刻を1セットとしたひずみ量の測定を、各セットの位相をずらして複数回行い、各回の測定で得られたひずみ量を平均することで、平均されたひずみ量を算出する。以下、具体的に説明する。
【0033】
正弦波状に変化するひずみの、振幅および位相を、それぞれAおよびθとして、ひずみは、Asinθと表される。1つのセットに含まれる3つの測定時刻の1つ目におけるひずみは、位相をθ
1として、Asinθ
1と表される。θ
1から位相が120°離れた測定時刻のひずみ、および、θ
1から位相が240°離れた測定時刻のひずみを、それぞれ、2つ目および3つ目の測定点におけるひずみとして測定する。2つ目および3つ目の測定点におけるひずみは、それぞれ、Asin(θ
1+120°)およびAsin(θ
1+240°)と表される。
【0034】
任意の位相θ
1について、つまり位相θ
1が未知であっても、Asinθ
1、Asin(θ
1+120°)およびAsin(θ
1+240°)の3つの値が1セットとして得られれば、三角関数の性質を用いて、振幅Aを算出することができる。このように、一周期中で位相が120°ずつずれた3測定時刻を1セットとした測定を行うことで、ひずみ量(ひずみ振幅)が算出される。
【0035】
少なくとも1つのセットとして、位相が120°ずつずれた3つの測定時刻のひずみが得られれば、振幅Aを算出することが可能である。さらに、振幅Aの測定精度を向上させる観点より、位相をずらして測定された複数のセットから得られる振幅Aを平均することで、平均された振幅Aを算出することが好ましい。
【0036】
例えば、所定時間間隔で(例えば、ある位相θ
1から位相10°ごとに)ひずみを測定し、位相が120°ずつずれた3つの測定時刻のひずみで構成されたセットを、複数取得する。具体的には例えば、1つ目のセットであるAsinθ
1、Asin(θ
1+120°)およびAsin(θ
1+240°)、2つ目のセットであるAsin(θ
1+10°)、Asin(θ
1+130°)およびAsin(θ
1+250°)、等を取得する。そして、各セットから振幅Aを算出し、これらの振幅Aを平均することで、平均された振幅A、つまり平均されたひずみ量を取得する。
【0037】
ステップS110で被歪体10のひずみ量を測定した後、ステップS120において、当該ひずみ量に基づき、スラリー1の濃度を取得する。具体的には、制御装置50が、記憶部に記憶された対応関係に基づいて、被歪体10のひずみ量をスラリー1の濃度に対応付けることで、スラリー1の濃度を所得する。このようにして、スラリー1の濃度が測定される。
【0038】
以上説明したように、第1実施形態によれば、スラリー1中に浸漬された被歪体10を移動させることで被歪体10をひずませて、被歪体10のひずみ量を測定することにより、スラリー1の濃度を測定することができる。
【0039】
また、第1実施形態によれば、被歪体10の厚さ、長さ等の寸法、ひずみ移動における往復移動の振幅、周波数(速さ)等の条件を、適宜調整することで、様々な固形分濃度に対する濃度測定を、簡便な機構の装置により行うことができる。
【0040】
なお、従来の濃度測定装置として、超音波式濃度計、レオメータ、等がある。しかしながら、超音波式濃度計では、低濃度から高濃度までの測定を、1つの超音波式濃度計で行うことが困難である。また、レオメータは、複雑な構造であり、例えばシックナーの槽内のような環境で安定的に動作させることが困難である。
【0041】
以下に説明する試験例で確認されるように、第1実施形態による濃度測定装置100は、被歪体10をひずませるという簡便な機構でありながら、ひずみ移動の振幅および周波数の少なくとも一方を調整することで、同一の装置100(同一の被歪体10)を用いて、低濃度から高濃度までの測定を行うことが可能である。このため、後述の第2実施形態で説明するように、例えばシックナーの槽内における深さ方向の濃度分布を取得するための濃度測定装置として、好ましく用いることができる。
【0042】
<試験例>
次に、上述のような方法によりスラリー中の固形分濃度を精度よく測定できることを確認した試験例について説明する。本試験例では、中・高濃度のスラリーに対する測定試験(以下、中・高濃度試験ともいう)と、低濃度のスラリーに対する測定試験(以下、低濃度試験ともいう)と、を行った。中・高濃度試験および低濃度試験では、スラリーとして、水に赤土を分散させた分散液を用いた。
【0043】
中・高濃度試験および低濃度試験では、濃度が既知のスラリー中で、被歪体を鉛直方向に単振動で往復移動させ、被歪体に生じたひずみの振幅を測定した。そして、スラリー濃度と、被歪体のひずみ振幅と、の対応関係について調べた。
【0044】
図4(a)〜
図4(c)を参照して、中・高濃度試験について説明する。中・高濃度試験では、
図4(a)の表の左側の欄に示すように、スラリー濃度(単位はSolid%)を、22.61%から48.52%まで変化させた。また、中・高濃度試験では、厚さが0.1mmで長さが80mmの被歪体を用い、ひずみ移動として、全振幅が40mmで周波数が0.25Hzの単振動を行わせた。
【0045】
図4(a)の表の右側の欄に、中・高濃度試験の各濃度において測定されたひずみ振幅(単位はμst)を示す。なお、ノイズが少ない状況においては、ひずみ振幅として、必要に応じ、全振幅(ピークトゥピーク)を用いてもよいし、片振幅(ゼロトゥピーク)を用いてもよい。ここでは、ひずみ振幅として、全振幅を用いている。
【0046】
図4(b)および
図4(c)は、中・高濃度試験における、スラリー濃度に対するひずみ振幅を示すグラフである。スラリー濃度は、
図4(b)および
図4(c)ともに実数表示であり、ひずみ振幅は、
図4(b)では実数表示であり、
図4(c)では対数表示である。
図4(b)および
図4(c)に、指数関数による近似式、決定係数(R
2)、および、近似曲線(点線)を示す。
【0047】
図5(a)〜
図5(c)を参照して、低濃度試験について説明する。低濃度試験では、
図5(a)の表の左側の欄に示すように、スラリー濃度(単位はSolid%)を、0%(Water)から28.34%まで変化させた。また、低濃度試験では、厚さが0.1mmで長さが80mmの被歪体を用い、ひずみ移動として、全振幅が5mmで周波数が8Hzの単振動を行わせた。
【0048】
低濃度のスラリー中では、中・高濃度のスラリー中と比べて、ひずみ移動に伴う被歪体のひずみが生じにくいので、低濃度試験では、被歪体をひずみやすくするために、中・高濃度試験と比べて、周波数を高くしている。これにより、低濃度でのひずみ量(ひずみ振幅)を大きくできるため、測定誤差の低減が図られる。
図5(a)の表の右側の欄に、低濃度試験の各濃度において測定されたひずみ振幅(全振幅、単位はμst)を示す。
【0049】
図5(b)および
図5(c)は、低濃度試験における、スラリー濃度に対するひずみ振幅を示すグラフである。スラリーの濃度は、
図5(b)および
図5(c)ともに実数表示であり、ひずみの振幅は、
図5(b)では実数表示であり、
図5(c)では対数表示である。
図5(b)および
図5(c)に、指数関数による近似式、決定係数(R
2)、および、近似曲線(点線)を示す。なお、スラリー濃度0%(つまり水)での結果は、誤差が大きいため、グラフの表示から除いている。ただし、この誤差は、被歪体の寸法、ひずみ移動の条件、等を最適に調整することで、低減可能と考えられる。
【0050】
中・高濃度試験および低濃度試験ともに、スラリー濃度に対するひずみ振幅は、指数関数により精度よく近似できることがわかる。つまり、任意のスラリー濃度に対してひずみ振幅を精度よく算出することが可能であることがわかる。したがって、換言すると、任意のひずみ振幅に対してスラリー濃度を精度よく算出することが可能となる。
【0051】
このことから、具体的には以下のようにして、スラリーの濃度測定を行うことができる。まず、本試験例のような予備的な実験により、ひずみ振幅とスラリー濃度との対応関係を、予め求めておく。そして、濃度測定装置の制御装置の記憶部に、当該対応関係を記憶させておく。濃度測定では、スラリー中で被歪体を移動させることで被歪体のひずみ振幅を測定し、さらに、当該対応関係を用いて、測定されたひずみ振幅からスラリー濃度を算出する。
【0052】
<第1実施形態の変形例>
上述のように、本実施形態による濃度測定は、スラリー1の濃度に応じて被歪体10の最大ひずみの大きさが変化することに基づいており、被歪体10のひずみが生じるようスラリー1中で被歪体10を移動させることにより、行うことができる。
【0053】
このため、ひずみ移動(スラリー1中での被歪体10の移動)は、往復移動に限定されず、片道移動であってもよい。つまり、スラリー1中において被歪体10を片道移動させることで被歪体10に生じる最大ひずみの大きさと、スラリー1の濃度と、の対応関係に基づいて、スラリー1の濃度が測定されてもよい。
【0054】
また、上述の例では、ひずみ移動方向(スラリー1中で被歪体10を移動させる一方向)として、直線方向を例示し、当該直線方向の例として、鉛直方向(上下方向)を例示した。ただし、スラリー1の濃度測定を行うという観点からは、スラリー1中で被歪体10を移動させることができればよいため、ひずみ移動方向は特に限定されない。例えば、ひずみ移動方向を直線方向とする場合に、鉛直方向以外としてもよい。また、ひずみ移動方向は、直線方向に限定されず、例えば、回転運動の周方向であってもよい。
【0055】
図8(a)は、ひずみ移動として、周方向に往復移動(揺動)を行う態様の濃度測定装置100(以下、装置100ともいう)を例示する概略図であり、装置100を上方から見た状態を示す。本変形例の被歪体10は、鉛直方向(上下方向)に延在する回転軸の周りに回転運動する支持部材20に取り付けられており、移動機構30により、周方向に往復移動(揺動)される(矢印13参照)。本変形例におけるひずみ移動方向は、水平方向ということができ、被歪体10は、好ましくは、厚さ方向が水平方向となるように配置される。
【0056】
なお、
図8(a)に示す変形例において、移動機構30は、ひずみ移動を行う移動機構に加えて、深さ移動を行う移動機構を備えていてもよい。なお、濃度測定が行えればよいという観点からは、深さ移動を行う移動機構は、省略されてもよい。
【0057】
スラリー1中で被歪体10を移動させることは、上述の例のように被歪体10を移動機構30により移動させる態様で行われることに限定されず、移動する(流れる)スラリー1中に被歪体10を配置する態様で行われてもよい。つまり、スラリー1中で被歪体10を移動させることにより被歪体10をひずませる際の「移動」とは、スラリー1中で(スラリー1に対して)被歪体10を相対移動させることを意味する。
【0058】
図8(b)は、移動するスラリー1中に被歪体10を配置する態様の濃度測定装置100を例示する概略図である。本変形例では、スラリー1の流れを生成する流れ生成機構15により、所定の条件(所定の方向、流速、等)のスラリー1の流れを生成する(矢印13参照)。そして、当該流れ中に被歪体10を配置することで、スラリー1中での被歪体10の(相対)移動、つまり、ひずみ移動を行う。
【0059】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態による濃度分布測定装置および濃度分布測定方法について説明する。第2実施形態では、第1実施形態で説明した濃度測定装置および濃度測定方法を応用することで、濃度分布測定を行う一態様を例示する。
図6(a)は、第2実施形態による濃度分布測定装置200(以下、装置200ともいう)を例示する概略図である。
【0060】
装置200は、第1実施形態で説明した装置100(
図1(a)参照)と同様なものである。装置200は、シックナー210の槽211内に収容された状態のスラリー1に対して、濃度測定を行う。つまり、装置200は、シックナー210の槽211内に被歪体10を配置することで、濃度測定を行う。
【0061】
上述のように、シックナー210の槽211内では、深さ方向にスラリー1の濃度分布が生じている。装置200は、深さ移動により被歪体10を複数の測定深さに配置することができ、これにより、各測定深さにおいてスラリー1の濃度測定を行うことができる。複数の測定深さにおいてスラリー1の濃度測定を行うことで、シックナー210の槽211内の深さ方向における濃度分布を測定することができる。
【0062】
図7(a)および
図7(b)は、第2実施形態による濃度分布測定方法を概略的に示すフローチャートである。第2実施形態による濃度分布測定方法では、ステップS200(
図7(a)参照)において、濃度測定工程を、複数の測定深さについて実施することで、スラリー1中の深さ方向における濃度分布を取得する。
【0063】
第2実施形態による濃度測定工程は、ステップS210と、ステップS220と、ステップS230と、を1セットとした工程を含む(
図7(b)参照)。ステップS210では、スラリー1中の測定深さに、被歪体10を配置する。ステップS220では、当該測定深さに配置された被歪体10をスラリー1中で移動させることにより被歪体10をひずませ、被歪体10のひずみ量を測定する。ステップS230では、当該ひずみ量に基づき、スラリー1の当該測定深さにおける濃度を取得する。
【0064】
第2実施形態によるステップS200では、同一の被歪体10を、順次、複数の測定深さに配置することで、複数の測定深さについて、順次、濃度測定工程を行う。第2実施形態では、このようにして、濃度分布測定を行う。この際、被歪体10の深さ移動の順序は、特に限定されない。例えば、上方から下方に被歪体10を移動させてもよいし、また例えば、下方から上方に被歪体10を移動させてもよい。
【0065】
上述のように、本例の装置200では、ステップS200における深さ移動方向(つまり、被歪体10を複数の測定深さの間で移動させる際の移動方向)と、ステップS220におけるひずみ移動方向(つまり、被歪体10をひずませるためにスラリー1中で被歪体10を移動させる移動方向)と、を一致させている。これにより、深さ移動に用いる移動機構と、ひずみ移動に用いる移動機構と、を共通の移動機構30とすることができる。なお、必要に応じ、深さ移動に用いる移動機構と、ひずみ移動に用いる移動機構と、を別々の移動機構として設けてもよい。
【0066】
なお、シックナー210は、槽211内に、レーキ212を備える。槽211の深い位置での濃度測定を行う場合、被歪体10が、レーキ212のアーム214や掻き取り部213と干渉する懸念がある。このような場合、レーキ212の回転軸と平行な視線で見た平面視において、平面内での被歪体10の配置位置をアーム214や掻き取り部213が通過しない期間中に、被歪体10をアーム214や掻き取り部213と干渉するような深い位置まで下降させて濃度測定を行う。また、当該配置位置をアーム214や掻き取り部213が通過する期間中は、被歪体10をアーム214や掻き取り部213と干渉しないような浅い位置まで上昇させることで、被歪体10を退避させる。
【0067】
<第2実施形態の変形例>
図6(b)は、第2実施形態の変形例による装置200を例示する概略図である。本変形例の装置200は、支持部材20の深さ方向の複数の位置に、被歪体10が取り付けられた構造を有する。本変形例によるステップS200では、このような構造を用いて、複数の測定深さにそれぞれ被歪体10を配置することで、複数の測定深さについて、同時に、濃度測定工程を行う。本変形例では、このようにして、濃度分布測定を行う。
【0068】
シックナー210の槽211内では、深い側ほど高濃度となるような、スラリー1の濃度分布が生じている。また、上述の試験例で説明したように、被歪体10のひずみは、低濃度側ほど生じさせにくい。このため、本変形例では、複数の深さに配置される被歪体10において、浅い側に(上方に)配置される被歪体10、つまり、低濃度側に配置される被歪体10を、深い側に(下方に)配置される被歪体10、つまり、高濃度側に配置される被歪体10と比べて、ひずみが生じやすい形状とすること、例えば、長い形状とすること、が好ましい。
【0069】
本変形例では、複数の測定深さにそれぞれ配置された被歪体10を用いて、1回の濃度測定で(1回のひずみ移動で)複数の測定深さにおける濃度を測定することにより、濃度分布を測定することが可能である。ただし、濃度分布を深さ方向についてより高い精度で得るため、深さ移動により測定深さを変化させて、複数回の濃度測定を(複数回のひずみ移動を)行ってもよい。
【0070】
以上説明したように、第2実施形態によれば、シックナー210の槽211内での、深さ方向におけるスラリー1の濃度分布を、測定することができる。測定された濃度分布は、例えば、シックナー210の槽211に供給する水量をできるだけ増やしつつ、一方で、槽211の底部におけるスラッジ(泥漿)の濃度をできるだけ高めるような、濃度分布の制御を行う際の、指標として活用できる。
【0071】
以上、本発明の実施形態を具体的に説明した。しかしながら、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の変更、改良、組み合わせ等が可能である。
【0072】
<本発明の好ましい態様>
以下、本発明の好ましい態様について付記する。
【0073】
(付記1)
液体中に固形分が分散した混合物中で被歪体を移動させることにより前記被歪体をひずませ、前記被歪体のひずみ量を測定する工程と、
前記ひずみ量に基づき、前記混合物中における前記固形分の濃度を取得する工程と、
を有する、濃度測定方法。
【0074】
(付記2)
前記ひずみ量を測定する工程では、前記混合物中で前記被歪体を一方向に往復移動させることにより前記被歪体をひずませ、前記往復移動に伴い周期的に変化する前記被歪体のひずみの振幅を、前記ひずみ量として測定する、付記1に記載の濃度測定方法。
【0075】
(付記3)
前記往復移動は、単振動である、付記1または2に記載の濃度測定方法。
【0076】
(付記4)
前記ひずみ量を測定する工程では、前記単振動に伴い周期的に変化する前記被歪体のひずみを、一周期中で位相が120°ずつずれた3測定時刻を1セットとして測定することにより、前記ひずみ量を測定する、付記3に記載の濃度測定方法。
【0077】
(付記5)
前記ひずみ量を測定する工程では、一周期中で位相が120°ずつずれた3測定時刻を1セットとしたひずみ量の測定を、各セットの位相をずらして複数回行い、各回の測定で得られたひずみ量を平均することで、平均されたひずみ量を算出し、
前記固形分の濃度を取得する工程では、前記平均されたひずみ量に基づき、前記混合物中における前記固形分の濃度を取得する、付記4に記載の濃度測定方法。
【0078】
(付記6)
前記往復移動の振幅は、前記ひずみ量が所定最大値以下となるように、設定されている、付記2〜5のいずれか1つに記載の濃度測定方法。
【0079】
(付記7)
前記往復移動の周波数は、前記ひずみ量が所定最大値以下となるように、設定されている、付記2〜6のいずれか1つに記載の濃度測定方法。
【0080】
(付記8)
前記被歪体は、ステンレス鋼で構成されている、付記1〜7のいずれか1つに記載の濃度測定方法。
【0081】
(付記9)
前記被歪体のひずみを測定するセンサーとして、前記被歪体に取り付けられたモノリシックのひずみゲージを用いる、付記1〜8のいずれか1つに記載の濃度測定方法。
【0082】
(付記10)
前記被歪体は、板状の形状を有し、支持部材に片持ち梁状に保持され、
前記ひずみ量を測定する工程では、前記被歪体を、前記被歪体の厚さ方向に移動させることで、前記被歪体をひずませる、付記1〜9のいずれか1つに記載の濃度測定方法。
【0083】
(付記11)
液体中に固形分が分散した混合物中で被歪体を移動させることにより前記被歪体をひずませ、前記被歪体のひずみ量を測定する機能と、
前記ひずみ量に基づき、前記混合物中における前記固形分の濃度を取得する機能と、
を有する、濃度測定装置。