(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
1分子当たり少なくとも2つの官能基を有する前記化合物が、テレフタル酸ジメチルエステル、テレフタル酸ジエチルエステル、イソフタル酸ジメチルエステル、イソフタル酸ジエチルエステル、シクロヘキサンジカルボン酸ジメチルエステル、シクロヘキサンジカルボン酸ジエチルエステル、トルイレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、及び4,4'-メチレンビス(フェニルイソシアネート)から選択される、請求項8に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の一実施形態では、前記アルキレンイミン単位はC
2〜C
10-アルキレンジアミン単位、例えば1,2-プロピレンジアミン、好ましくはα,ω-C
2〜C
10-アルキレンジアミン、例えば1,2-エチレンジアミン、1,3-プロピレンジアミン、1,4-ブチレンジアミン、1,5-ペンチレンジアミン、1,6-ヘキサンジアミン(1,6-ヘキシレンジアミンとも呼ぶ)、1,8-ジアミン又は1,10-デカンジアミン、さらにより好ましくは、1,2-エチレンジアミン、1,3-プロピレンジアミン、1,4-ブチレンジアミン、及び1,6-ヘキサンジアミンである。
【0010】
本発明の別の実施形態では、前記アルキレンイミン単位はポリアルキレンイミン単位、
好ましくはポリエチレンイミン又はポリプロピレンイミン単位である。
【0011】
本発明との関連において、「ポリエチレンイミン」という用語は、単にポリエチレンイミンホモポリマーだけではなく、他のアルキレンジアミン構造要素とともにNH-CH
2-CH
2-NH構造要素を含有するポリアルキレンイミン、例えばNH-CH
2-CH
2-CH
2-NH構造要素、NH-CH
2-CH(CH
3)-NH構造要素、NH-(CH
2)
4-NH構造要素、NH-(CH
2)
6-NH構造要素又はNH-(CH
2)
8-NH構造要素も意味するが、NH-CH
2-CH
2-NH構造要素がモル占有率(molar share)に関して大部分である。好ましいポリエチレンイミンは、NH-CH
2-CH
2-NHの構造要素をモル占有率に関して大部分、例えばすべてのアルキレンイミン構造要素を基準にして60モル%以上に達して、より好ましくは少なくとも70モル%に達して含有する。特別な実施形態では、ポリエチレンイミンという用語は、NH-CH
2-CH
2-NHとは異なるアルキレンイミン構造要素を、ポリエチレンイミン単位当たり1つ有するか又は全く有さないポリアルキレンイミンを意味する。
【0012】
本発明との関連において、「ポリプロピレンイミン」という用語は、単にポリプロピレンイミンホモポリマーだけではなく、他のアルキレンジアミン構造要素とともにNH-CH
2-CH(CH
3)-NH構造要素を含有するポリアルキレンイミン、例えばNH-CH
2-CH
2-CH
2-NH構造要素、NH-CH
2-CH
2-NH構造要素、NH-(CH
2)
4-NH構造要素、NH-(CH
2)
6-NH構造要素又はNH-(CH
2)
8-NH構造要素も意味するが、NH-CH
2-CH(CH
3)-NH構造要素がモル占有率に関して大部分である。好ましいポリプロピレンイミンは、NH-CH
2-CH(CH
3)-NH構造要素をモル占有率に関して大部分、例えばすべてのアルキレンイミン構造要素を基準にして60モル%以上に達して、より好ましくは少なくとも70モル%に達して含有する。特別な実施形態では、ポリプロピレンイミンという用語は、NH-CH
2-CH(CH
3)-NHとは異なるアルキレンイミン構造要素を、ポリプロピレンイミン単位当たり1つ有するか又は全く有さないポリアルキレンイミンを意味する。
【0013】
分岐はアルキレンアミノ基、限定はされないが、例えば-CH
2-CH
2-NH
2基又は(CH
2)
3-NH
2-基であり得る。より長い分岐は、例えば-(CH
2)
3-N(CH
2CH
2CH
2NH
2)
2又は-(CH
2)
2-N(CH
2CH
2NH
2)
2基であり得る。高分岐ポリエチレンイミンは、例えば0.25〜0.95の範囲、好ましくは0.30〜0.80の範囲、特に好ましくは少なくとも0.5の分岐度を有するポリエチレンイミンデンドリマー又は関連分子である。分岐度は、例えば好ましくはD
2O中での
13C-NMR又は
15N-NMR分光法によって決定することができ、以下のように定義される:
DB=D+T/D+T+L
[式中、D(樹枝状)は第3級アミノ基の部分に相当し、L(直鎖)は第2級アミノ基の部分に相当し、T(末端)は第1級アミノ基の部分に相当する]。
【0014】
本発明との関係において、分岐ポリエチレンイミン単位は、0.25〜0.95の範囲、特に好ましくは0.30〜0.90%の範囲、さらに特に好ましくは少なくとも0.5のDBを有するポリエチレンイミン単位である。好ましいポリエチレンイミン単位は、分岐をほとんど又はまったく示さない、したがって主に直鎖又は直鎖のポリエチレンイミン単位である。
【0015】
本発明との関連において、CH
3-基は分岐と見なされない。
【0016】
本発明の一実施形態では、ポリアルキレンイミン単位は、1〜1000mg KOH/g、好ましくは10〜500mg KOH/g、最も好ましくは50〜300mg KOH/gの範囲の第1級アミン価を有する。第1級アミン価はASTM D2074-07によって決定することができる。
【0017】
本発明の一実施形態では、ポリアルキレンイミン単位は、10〜1000mg KOH/g、好ましくは50〜500mg KOH/g、最も好ましくは50〜500mg KOH/gの範囲の第2級アミン価を有する。第2級アミン価は、ASTM D2074-07によって決定することができる。
【0018】
本発明の一実施形態では、ポリアルキレンイミン単位は、1〜300mg KOH/g、好ましくは5〜200mg KOH/g、最も好ましくは10〜100mg KOH/gの範囲の第3級アミン価を有する。第3級アミン価は、ASTM D2074-07によって決定することができる。
【0019】
本発明の一実施形態では、第3級N原子のモル占有率は、
15N-NMR分光法によって決定される。第3級アミン価と
13C-NMR分光法による結果が一致しない場合は、
13C-NMR分光法によって得られた結果が優先される。
【0020】
本発明の一実施形態では、前記(ポリ)アルキレンイミン単位の平均分子量M
wは250〜100,000g/モルの範囲、好ましくは50,000g/モル以下、より好ましくは800〜25,000g/モル以下である。ポリアルキレンイミン単位の平均分子量M
wは、溶離液としての1.5重量%ギ酸水溶液及び固定相としての架橋ポリヒドロキシエチルメタクリレートによる、それぞれのポリアルキレンイミン中間体のゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって決定され得る。
【0021】
それぞれの本発明のポリマーの中で、(ポリ)アルキレンイミン単位は均一であっても異なっていてもよく、好ましくは均一である。本発明の一実施形態では、特定の本発明のポリマーのすべての(ポリ)アルキレンイミン単位は、1,2-プロピレンジアミン、好ましくはα,ω-C
2〜C
10-アルキレンジアミン、例えば1,2-エチレンジアミン、1,3-プロピレンジアミン、1,4-ブチレンジアミン、1,5-ペンチレンジアミン、1,6-ヘキサンジアミン(1,6-ヘキシレンジアミンとも呼ぶ)、1,8-ジアミン又は1,10-デカンジアミン、さらにより好ましくは1,2-エチレンジアミン、1,3-プロピレンジアミン、1,4-ブチレンジアミン、又は1,6-ヘキサンジアミンである。
【0022】
本発明の一実施形態では、特定の本発明のポリマーのすべての(ポリ)アルキレンイミン単位は、狭い分子量分布を有する、例えば1〜3の範囲の多分散度Q=M
w/M
nを有するポリエチレンイミン単位である。
【0023】
本発明の一実施形態では、特定の本発明のポリマーのすべての(ポリ)アルキレンイミン単位は、狭い分子量分布を有する、例えば1〜3の範囲、好ましくは少なくとも2の多分散度Q=M
w/M
nを有するポリプロピレンイミン単位である。
【0024】
本発明の一実施形態では、特定の本発明のポリマーのすべての(ポリ)アルキレンイミン単位は、広い分子量分布を有する、例えば3超〜15以下、好ましくは3.5〜8の範囲の多分散度Q=M
w/M
nを有するポリエチレンイミン単位である。
【0025】
前記(ポリ)アルキレンイミン単位(A)はアルコキシル化されており、前記アルコキシル化は、エトキシル化、プロポキシル化、ブトキシル化及び前述のものの少なくとも2つの組合せから選択される。エチレンオキシド、1,2-プロピレンオキシド、並びにエチレンオキシドと1,2-プロピレンオキシドとの混合物が優先される。少なくとも2つのアルキレンオキシドの混合物が適用される場合、段階的又は同時にそれらを反応させることができる。
【0026】
本発明の一実施形態では、アルコキシル化ポリアルキレンイミン単位(A)は、1単位当り少なくとも6個の窒素原子を有する。
【0027】
本発明の一実施形態では、(ポリ)アルキレンイミンは、1つのNH基当たりの2〜50モルのアルキレンオキシド、好ましくは1つのNH基当たり5〜30モルのアルキレンオキシド、さらにより好ましくは1つのNH基当たり5〜25モルのエチレンオキシドもしくは1,2-プロピレンオキシド又はそれらからの組合せでアルコキシル化されている。本発明との関連において、NH
2単位は2つのNH基として数えられる。好ましくはすべて、又はほとんどすべてのNH基はアルコキシル化されており、検出可能な量のNH基は残っていない。
【0028】
こうしたアルコキシル化(ポリ)アルキレンイミン単位の製造次第で、分子量分布は狭くも広くもなり得る。例えば多分散度Q=M
w/M
nは1〜3の範囲、好ましくは少なくとも2であり、又は3超〜20以下、例えば3.5〜15、さらにより好ましくは4〜5.5の範囲であり得る。
【0029】
本発明の一実施形態では、ポリアルコキシル化(ポリ)アルキレンイミン(A)の多分散度Qは2〜10の範囲である。
【0030】
本発明の一実施形態では、アルコキシル化(ポリ)アルキレンイミン(A)は、ポリエトキシル化ポリエチレンイミン、エトキシル化ポリプロピレンイミン、エトキシル化α,ω-ヘキサンジアミン、エトキシル化及びプロポキシル化ポリエチレンイミン、エトキシル化及びプロポキシル化ポリプロピレンイミン、並びにエトキシル化及びポリプロポキシル化α,ω-ヘキサンジアミンから選択される。
【0031】
本発明の一実施形態では、アルコキシル化ポリエチレンイミン単位(A)の平均分子量M
n(数平均)は、GPCによって決定して2,500〜1,500,000g/モルの範囲、好ましくは500,000g/モル以下である。
【0032】
本発明の一実施形態では、平均的なアルコキシル化(ポリ)アルキレンイミン(A)は、エトキシル化α,ω-ヘキサンジアミン及びエトキシル化及びポリプロポキシル化α,ω-ヘキサンジアミンから選択され、それぞれ800〜500,000g/モルの範囲の平均分子量(数平均)M
nを有する。
【0033】
本発明のポリマーは、少なくとも1種のポリシロキサン単位(B)をさらに含有し、以下、単位(B)とも呼ぶ。ポリシロキサン単位(B)は、好ましくはα,ω-ジヒドロキシポリシロキサン、例えば一般式
-[O-SiR
1R
2]
n-O-
[式中、すべてのR
1及びR
2は、異なるか又は好ましくは同一であり、C
1〜C
10-アルキル、例えばメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、n-ヘキシル、n-オクチル及びn-デシル、フェニル、ベンジル並びにC
5〜C
8-シクロアルキルから選択される]の単位に基づき、本発明のポリマーに導入される。
【0034】
さらにより好ましくは、本発明のポリマーでは、すべてのR
1及びR
2はCH
3である。
【0035】
変数nは5〜100、好ましくは少なくとも10、さらにより好ましくは10〜50から選択される。
【0036】
本発明の一実施形態では、前記ポリシロキサン単位(B)は少なくとも10個のO-Si(R
1R
2)-単位[式中、R
1及びR
2は異なる又は好ましくは同一であり、C
1〜C
10-アルキル、フェニル、ベンジル及びC
5〜C
8-シクロアルキルから選択される]を有する。
【0037】
ポリシロキサン単位(B)は、ポリアルキレンオキシド側鎖の水酸基を介して本発明のポリマーに結合される。
【0038】
本発明のポリマーは、少なくとも1つの結合(C)を介して、少なくとも2つの異なるアルコキシル化(ポリ)アルキレンイミン単位を連結させることによって形成され、各結合(C)は、4〜30個の範囲の炭素原子を有する有機スペーサーから選択される。好ましくは、本発明のポリマーは、1分子当たり平均3〜15個の範囲のアルコキシル化(ポリ)アルキレンイミン単位(A)を含有する。次に、前記(ポリ)アルキレンイミン単位は結合(C)を介して結合される。1ポリマー分子当たりの(ポリ)アルキレンイミン単位の数が4以上である実施形態では、こうした分子は星形の直鎖であり得る。
【0039】
結合(C)の例は、ジエステル結合、ジエーテル結合、例えばトリメリト酸に基づくトリエステル結合、ジウレタン結合、及び例えば(4,4'-ジイソシアナトフェニル)メタン又はヘキサメチレンジイソシアネートのシアヌル酸誘導体に基づくトリウレタン結合である。
【0040】
本発明の好ましい実施形態では、結合(C)はジエステルスペーサー及びジウレタンスペーサーから選択される。こうしたスペーサーは、容易かつ高収率で組み込まれ得る。
【0041】
ジエステル結合の例は、脂肪族ジカルボン酸ジエステルスペーサー、脂環式ジカルボン酸ジエステルスペーサー及び芳香族ジエステルジカルボン酸スペーサーであり、以下、それぞれ脂肪族ジエステルスペーサー、脂環式ジエステルスペーサー及び芳香族ジエステルスペーサーとも呼ぶ。
【0042】
好ましくは、結合(C)は、テレフタル酸ジエステル結合、イソフタル酸ジエステル結合、アジピン酸ジエステル結合、シクロヘキサンジカルボン酸ジエステル結合、並びにトルイレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、及び(4,4'-ジイソシアナトフェニル)メチレンに基づくジウレタン結合から選択される。
【0043】
シクロヘキサンジカルボン酸ジエステル結合は、cis-1,2-シクロヘキサンジカルボン酸ジエステル結合、trans-1,2-シクロヘキサンジカルボン酸ジエステル結合、cis-1,3-シクロヘキサンジカルボン酸ジエステル結合、trans-1,3-シクロヘキサンジカルボン酸ジエステル結合、cis-1,4-シクロヘキサンジカルボン酸ジエステル結合、及びtrans-1,4-シクロヘキサンジカルボン酸ジエステル結合、並びに前述のものの少なくとも2つの組合せから選択することができ、cis-1,4-シクロヘキサンジカルボン酸ジエステル結合、trans-1,4-シクロヘキサンジカルボン酸ジエステル結合、並びにcis-1,4-シクロヘキサンジカルボン酸ジエステル結合とtrans-1,4-シクロヘキサンジカルボン酸ジエステル結合との組合せが好ましい。
【0044】
本発明の一実施形態では、本発明のポリマーは、GPCによって決定して2,500〜1,500,000g/モル、好ましくは3,000〜500,000g/モル、より好ましくは5,000〜500,000g/モルの範囲の平均分子量M
wを有する。
【0045】
本発明の一実施形態では、本発明のポリマーの多分散度Q=M
w/M
nは2〜20以下、好ましくは3〜8の範囲である。
【0046】
本発明のポリマーを作る連結反応のために、1分子当たり少なくとも1個の塩素原子を有する酸塩化物又は任意の他の反応物等の塩素含有反応物を使用する実施形態、及び1分子当たり少なくとも1個の塩素原子を有する塩素含有触媒を使用する実施形態では、残留塩素含量は、本発明のポリマーを基準にして100重量ppm〜0.1重量%の範囲であり得る。
【0047】
本発明のポリマーを作る連結反応のために、1分子当たり少なくとも1個の塩素原子を有する酸塩化物又は任意の他の反応物等の塩素含有反応物、及び1分子当たり少なくとも1個の塩素原子を有する塩素含有触媒のいずれも使用しない実施形態では、残留塩素含量は、本発明のポリマーを基準にして10重量ppm以下、例えば1〜8重量ppmであり得る。
【0048】
本発明のポリマーは、特に原料油に適用する場合、優れた解乳化剤であることが見出された。それらを適用すると、解乳化のステップには多くの時間がかからず、容易に分離され得る二相混合物が供給される。したがって、本発明のさらなる態様は、特に原油用の解乳化剤としての本発明のポリマーの使用に関する。本発明の別の態様は、少なくとも1種の本発明のポリマーの使用によって原油を解乳化する方法に関する。本発明のポリマーは、例えば顔料用の優れた分散剤であり、例えばインクジェットインクを作るために、顔料調製物での顔料分散剤として使用することができることがさらに見出された。
【0049】
本発明の別の態様は、本発明のポリマーを作る方法を意味し、以下、本発明の製造方法とも呼ぶ。「作る(making)」及び「製造する(manufacturing)」という用語は、本発明との関係において互換的に使用される。
【0050】
本発明の製造方法は、2つのステップ、
(a)アルコキシル化(ポリ)アルキレンイミン(A)を用意するステップ、
(b)前記アルコキシル化(ポリ)アルキレンイミン(A)を、少なくとも1種のα,ω-ジヒドロキシポリシロキサンと反応させるステップ、及び
(c)ステップ(b)による生成物を、アルカノール基に反応性である官能基を1分子当たり少なくとも2つ有する少なくとも1種の化合物と反応させるステップ
を含む。
【0051】
アルコキシル化(ポリ)アルキレンイミンはそれ自体公知であり、それらのいくつかは商業的に入手され得る。所望により、例えば以下のステップ:
(a1)アミン又はジアミン、並びにCO
2、ブレンステッド酸及びハロゲン化アルキルから選択される開始剤を用意するステップ、
(a2)重合条件下で、1種以上のC
2〜C
10-アルキレンイミン、例えばエチレンイミン又はプロピレンイミンを添加するステップ、
(a3)前記1種以上のC
2〜C
10-アルキレンイミンを反応させるステップ、
(a4)ステップ(a3)の後に得られたポリアルキレンイミンを、エチレンオキシド、1,2-プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、及び前述のものの少なくとも2つの混合物から選択される1種以上のアルキレンオキシドと、アルコキシル化するステップ
を含む方法によって、それらを合成し得る。
【0052】
ステップ(a1)に有用なアミンの例は、脂肪族モノアミンから選択される。具体例は、メチルアミン、ジメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、1-プロピルアミン、2-プロピルアミンである。ジアミンの例は、脂肪族及び脂環式及び芳香族ジアミン、例えば1,2-ジアミノエタン、1,3-ジアミノプロパン、1,4-ジアミノブタン、1,6-ジアミノヘキサン、1,8-ジアミノオクタン、3,3-ジメチルアミノプロピルアミン、イソホロンジアミン、4,4'-ジアミノジフェニルメタン、1,4-ビス(3-アミノプロピル)ピペラジン、4,9-ジオキサドデカン-1,12-ジアミン、4,7,10-トリオキサトリデカン-1,13-ジアミン、並びにエチレンジアミンのある特定のオリゴマー、例えばジエチレントリアミン及びトリエチレンテトラミンである。メチルアミン、ジメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、プロピルアミン、1,2-ジアミノエタン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン又は3,3-ジメチルアミノプロピルアミン、特に1,2-ジアミノエタン(他の用語は、エチレンジアミン)が優先される。
【0053】
ステップ(a1)で添加される好適な開始剤は、二酸化炭素、ブレンステッド酸、限定はされないが、例えば硫酸、メタンスルホン酸、及び有機酸、例えばギ酸、酢酸、安息香酸、さらにハロゲン化アルキル、限定はされないが、例えば塩化ブチル、例えばn-クロロブタン及びtert-塩化ブチルであり、ハロゲン化アルキルという用語は、脂肪族二ハロゲン化物、例えば1,2-ジクロロエタンも包含する。
【0054】
一実施形態では、ステップ(a1)及び(a2)で、全アジリジンを基準として0〜50重量%以下、好ましくは20重量%以下の水を使用する。
【0055】
一実施形態では、ステップ(a1)及び(a2)で、全アジリジンを基準として、それぞれ0.01〜10重量%以下、好ましくは0.5〜5重量%以下の範囲のアミン又はジアミンを使用する。
【0056】
一実施形態では、ステップ(a1)及び(a2)で、全アジリジンを基準として、全部で10重量ppm〜10重量%以下、好ましくは2〜8重量%以下のCO
2、ブレンステッド酸又はハロゲン化アルキルを使用する。
【0057】
ステップ(a2)で、1種以上のC
2〜C
10-アルキレンイミン、例えばエチレンイミン又はプロピレンイミンを添加する。任意選択で添加される置換アジリジンの限定されない例は、1-(2-ヒドロキシエチル)アジリジン及び1-(2-アミノエチル)アジリジンである。
【0058】
ステップ(a2)による添加及びステップ(a3)による反応は、重合条件下で実施される。重合条件は、60〜200℃、好ましくは88〜180℃の範囲の温度を意味する。圧力は好ましくは1〜50bar、好ましくは2〜10barの範囲である。
【0059】
好ましくはステップ(a2)及び(a3)の間に、さらなる開始剤もさらなるアミンも添加されない。水も添加されない。C
2〜C
10-アルキレンイミンの残留水分は、存在したとしても本発明との関連において水の添加として数えない。
【0060】
本発明の一実施形態では、ステップ(a2)及び(a3)の持続時間は、2〜30時間の範囲、好ましくは少なくとも5時間である。残量モノマー含量は(a2)完了後で好ましくは1ppm以下である。残留コモノマー含量は、Preussmann試験によって、4-(パラ-ニトロベンジル)ピリジンで決定することができ、von Preussmannら、Arzneimittelforschung 1969、19、1059を参照されたい。時間比(a2)/(a3)は、10:1〜1:10の範囲であり得る。
【0061】
本発明の好ましい実施形態では、ポリアルキレンイミンの合成は、半連続的に稼働するタンク形反応器と組み合わせた管形反応器で実施される。
【0062】
ステップ(a4)では、ステップ(a3)から結果として生じるポリアルキレンイミンを、エチレンオキシド、1,2-プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、及び前述のものの少なくとも2つの混合物から選択される1種以上のアルキレンオキシドと反応させる。
【0063】
ステップ(a)では、こうしたポリアルキレンイミンはバルク又は溶液で用意されてもよく、バルクが好ましい。
【0064】
本発明の2ステップ方法のステップ(a4)は、ステップ(a3)で用意されたポリプロピレンイミンを、少なくとも1種のC
2〜C
4-アルキレンオキシド、例えばエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、又は前述の少なくとも2つのアルキレンオキシドの混合物と反応させることを含む。エチレンオキシド、1,2-プロピレンオキシド、並びにエチレンオキシドと1,2-プロピレンオキシドとの混合物が優先される。少なくとも2つのアルキレンオキシドの混合物が適用される場合、それらを段階的に又は同時に反応させることができる。
【0065】
本発明の2ステップ方法のステップ(a4)は、塩基の存在下で実行される。好適な塩基は、例えば水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、ナトリウム又はカリウムのアルコキシド、例えばカリウムメチレート(KOCH
3)、カリウムtert-ブトキシド、ナトリウムエトキシド及びナトリウムメチレート(NaOCH
3)、好ましくは水酸化カリウム及び水酸化ナトリウムである。触媒のさらなる例は、アルカリ金属水素化物及びアルカリ土類金属水素化物、例えば水素化ナトリウム及び水素化カルシウム、並びにアルカリ金属炭酸塩、例えば炭酸ナトリウム及び炭酸カリウムである。アルカリ金属水酸化物及びアルカリ金属アルコキシドが優先され、水酸化カリウム及び水酸化ナトリウムが特に優先される。塩基の典型的な使用量は、ポリアルキレンイミン及びC
2〜C
4-アルキレンオキシドの総量に対して、0.05〜10重量%、特に0.5〜2重量%である。
【0066】
本発明の一実施形態では、本発明の2ステップ方法のステップ(a4)は、90〜240℃、好ましくは120〜180℃の範囲の温度で、密閉した容器で実行される。
【0067】
本発明の一実施形態では、本発明の2ステップ方法のステップ(a4)は、1〜10bar、好ましくは1〜8barの範囲の圧力で実行される。
【0068】
本発明の一実施形態では、C
2〜C
4-アルキレンオキシドは、アルキレンオキシド又はC
2〜C
4-アルキレンオキシドのそれぞれの混合物の蒸気圧下で、選択された反応温度で、ポリアルキレンイミン及び任意選択で触媒に導入される。C
2〜C
4-アルキレンオキシドは純粋な形態で、又は他の選択肢として、不活性なガス、例えば希ガス又は窒素で30〜60体積%まで希釈して導入することができる。この方策は、C
2〜C
4-アルキレンオキシドの爆発的な重付加に対して追加的な安全性を与える。
【0069】
いくつかのC
2〜C
4-アルキレンオキシドが導入される場合、異なるアルキレンオキシド単位が事実上ランダムに分布するポリエーテル鎖が形成されるであろう。ポリエーテル鎖に沿った単位の分布の変化は、C
2〜C
4-アルキレンオキシドの異なる反応速度に起因して発生することができる。ポリエーテル鎖に沿った単位の分布の変化は、プログラム制御された組成のアルキレンオキシド混合物を連続的に導入することによっても、任意に実現することができる。続いて異なるC
2〜C
4-アルキレンオキシドが反応した場合、次に、アルキレンオキシド単位のブロック型分布を有するポリエーテル鎖が得られる。
【0070】
本発明の好ましい実施形態では、ステップ(a4)は2つ以上のサブステップからなることができ、その第1のサブステップは、最初にポリアルキレンイミンの初期のアルコキシル化だけを行うことにある。初期のアルコキシル化では、ポリアルキレンイミンは、NH部分の1モル当たり0.9〜1モルのアルキレンオキシドに相当する、使用するC
2〜C
4-アルキレンオキシドの総量の一部と反応する。初期のアルコキシル化は、触媒の非存在下、好ましくは水溶液で一般に行われる。
【0071】
本発明の一実施形態では、初期のアルコキシル化は70〜200℃、好ましくは80〜160℃の反応温度で実施することができる。
【0072】
本発明の一実施形態では、初期のアルコキシル化は10bar以下、好ましくは8bar以下の圧力で作用されてもよい。
【0073】
第2のサブステップ及び任意選択で続くサブステップでは、C
2〜C
4-アルキレンオキシドとの続く反応によって、さらなるアルコキシル化が次に達成される。さらなるアルコキシル化は、触媒存在下で典型的には行われる。
【0074】
第2のサブステップ及び任意の続くサブステップは、実施形態(i)としてバルクで、又は実施形態(ii)として有機溶媒中でそれぞれ行われ得る。実施形態(i)では、初期にアルコキシル化したポリエチレンイミン(A)の水溶液から水を除去することができる。こうした水の除去は、0.01〜0.5barの範囲の減圧下で80〜150℃の範囲の温度に加熱し、蒸留して水を取り除くことによって行うことができる。
【0075】
本発明の一実施形態では、続くC
2〜C
4-アルキレンオキシドとの反応は、典型的には70〜200℃、好ましくは100〜180℃の範囲の反応温度で達成される。
【0076】
本発明の一実施形態では、続くC
2〜C
4-アルキレンオキシドとの反応は、典型的には10bar以下、特に8bar以下の圧力で達成される。
【0077】
本発明の一実施形態では、続くC
2〜C
4-アルキレンオキシドとの反応の反応時間は、一般に0.5〜12時間の範囲である。
【0078】
実施形態(ii)に好適な有機溶媒の例は、非極性及び極性の非プロトン性有機溶媒である。特に好適な非極性非プロトン性溶媒の例としては、脂肪族及び芳香族炭化水素、例えばヘキサン、シクロヘキサン、トルエン及びキシレンが挙げられる。特に好適な極性非プロトン性溶媒の例は、エーテル、特に環状エーテル、例えばテトラヒドロフラン及び1,4-ジオキサン、さらにN,N-ジアルキルアミド、例えばジメチルホルムアミド及びジメチルアセトアミド、並びにN-アルキルラクタム、例えばN-メチルピロリドンである。上記の有機溶媒の少なくとも2種の混合物を使用することも可能である。好ましい有機溶媒はキシレン及びトルエンである。
【0079】
実施形態(ii)では、第1のステップで得られた溶液は、触媒及び溶媒の添加の前又は後に、アルキレンオキシドに供される前に脱水され、前記水分除去は120〜180℃の範囲の温度で、好ましくは窒素の流れにサポートされて、水を除去することによって有利に行われる。続くアルキレンオキシドとの反応は、実施形態(i)でのように達成され得る。実施形態(i)では、本発明によるアルコキシル化ポリエチレンイミン(B)は直接バルクで得られ、所望の場合は水で溶解してもよい。実施形態(ii)では、有機溶媒は典型的には水と置き換えられる。アルコキシル化ポリエチレンイミン(A)は、別法としてバルクで単離されてもよい。
【0080】
本発明の2ステップ方法のステップ(a4)の後に、本発明によるアルコキシル化ポリアルキレンイミン(A)が得られる。
【0081】
類似の方法で、ステップ(a4)は、出発原料としてC
2〜C
10-アルキレンイミンで、例えば1,2-プロピレンジアミンで、好ましくはα,ω-C
2〜C
10-アルキルエンジアミン、例えば1,2-エチレンジアミン、1,3-プロピレンジアミン、1,4-ブチレンジアミン、1,5-ペンチレンジアミン、1,6-ヘキサンジアミン(1,6-ヘキシレンジアミンとも呼ぶ)、1,8-ジアミン又は1,10-デカンジアミン、さらにより好ましくは1,2-エチレンジアミン、1,3-プロピレンジアミン、1,4-ブチレンジアミン、1,6-ヘキサンジアミンで実施され得る。
【0082】
本発明の方法のステップ(b)では、前記アルコキシル化(ポリ)アルキレンイミン(A)は、少なくとも1種のα,ω-ジヒドロキシポリシロキサンと反応する。
【0083】
本発明の一実施形態では、本発明の方法のステップ(b)は、50〜140℃、好ましくは50〜120℃の範囲の温度で実行される。
【0084】
本発明の一実施形態では、本発明の方法のステップ(b)は、溶媒、例えばエステルの存在下で実行される。例は、ジ-ブチルアジペート、例えばジ-n-ブチルアジペート、及びエチルレブリネートである。好ましい例は、酢酸エチルである。他の実施形態では、ステップ(b)はバルクで行われる。
【0085】
本発明の一実施形態では、本発明の方法のステップ(b)は、触媒、例えば第3級アミン又はチタンテトラアルコキシレートの存在下で実行される。好適な第3級アミンの例は、トリエチルアミン及びエチルジイソプロピルアミンである。好適なチタンテトラアルコキシレートの例は、Ti(O-イソC
3H
7)
4及びTi(OC
2H
5)
4である。多くの実施形態では、本発明のステップ(b)は触媒を必要としない。
【0086】
本発明の一実施形態では、ステップ(b)での、ポリシロキサン単位の水酸基と、アルコキシル化(ポリ)アルキレンイミン(A)のポリアルキレンオキシド鎖とのモル数の比は、1:100〜1:10の範囲である。
【0087】
ステップ(b)から結果として生じる生成物を後処理することは可能であるが、ワンポット反応経由でステップ(c)を継続することが好ましい。
【0088】
本発明の製造方法のステップ(c)では、ステップ(b)による生成物は、アルカノール基に反応性である官能基を1分子当たり少なくとも2つ有する少なくとも1種の化合物と反応する。
【0089】
本発明の一実施形態では、ステップ(b)によるアルカノール基生成物と、前記化合物中のアルカノール基に反応性である官能基とは、4:1〜1:5、好ましくは3:1〜1:3、さらにより好ましくは2:1〜1:2の範囲のモル比にある。過剰な官能基は、内部架橋を抑制するのに有利であり得る。
【0090】
アルカノール基に反応性である官能基の例は、カルボキシル基、カルボン酸無水物基、カルボン酸ハロゲン化物基、特にカルボン酸塩化物基、及びカルボン酸エステル基、例えばC
1〜C
10-アルキルエステル基、例えばノニルエステル基及び2-エチルヘキシル基、特にそれぞれのエチルエステル基及びメチルエステル基である。アルカノール基に反応性である官能基のさらなる例は、イソシアネート基である。最も好ましいのは、カルボン酸メチルエステル基である。
【0091】
結合(C)導入のために使用し得る好ましい化合物の例は、テレフタル酸、イソフタル酸、アジピン酸、及びシクロヘキサンジカルボン酸のジメチルエステル及びジエチルエステル、並びに以下のジイソシアネート:トルイレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、及び(4,4'-ジイソシアナトフェニル)メチレンである。
【0092】
シクロヘキサンジカルボン酸のジメチル及びジエチルエステルは、cis-1,2-シクロヘキサンジカルボン酸、trans-1,2-シクロヘキサンジカルボン酸、cis-1,3-シクロヘキサンジカルボン酸、trans-1,3-シクロヘキサンジカルボン酸、cis-1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、及びtrans-1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、並びに前述のものの少なくとも2つの組合せのそれぞれのエステルから選択することができ、cis-1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、trans-1,4-シクロヘキサンジカルボン酸並びにcis-1,4-シクロヘキサンジカルボン酸とtrans-1,4-シクロヘキサンジカルボン酸との組合せのそれぞれのエステルが好ましい。
【0093】
ジエステル結合が作られるステップ(c)の実施形態では、触媒、例えばルイス酸が適用され得る。好適なルイス酸の例は、ホウ素ハロゲン化物、例えばBF
3エーテレート、アルミニウムトリアルコキシド、限定はされないが例えば、Al(OCH
3)
3及びAl[OCH(CH
3)
2]
3、さらにチタンテトラアルコキシレート、例えばチタンテトラエトキシレート及びチタンテトライソプロポキシドである。
【0094】
ジエステル結合が作られるステップ(c)の好ましい実施形態では、組み合わせ触媒、例えば上記ルイス酸の少なくとも1種とカルボン酸のアルカリ金属塩との組合せ、例えばルイス酸と酢酸ナトリウム又は酢酸カリウムとの組合せが適用される。
【0095】
好ましい触媒の量は、ステップ(b)による生成物とアルカノール基に反応性である官能基を1分子当たり少なくとも2つ有する化合物との合計を基準として、0.01〜10重量%の範囲である。
【0096】
ジウレタン結合が作られるステップ(c)の実施形態では、触媒の使用が好ましい。好ましい触媒は、第3級アミン、例えばトリエタノールアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、1,4-ジアザ-[2,2,2]-トリシクロオクタン、及びメチル二水素化獣脂アミン、特にトリエタノールアミンである。
【0097】
ステップ(c)は、溶媒存在下で実施され得る。ジウレタン結合が形成されるステップ(c)の実施形態では、溶媒の使用が好ましい。好適な溶媒の特に好ましい例は、酢酸エチルである。溶媒中のイソシアネートの好適な濃度範囲は、1:10〜1:5である。
【0098】
ステップ(c)の他の実施形態、特にジエステル結合が作られる実施形態では、溶媒は用いられず、こうしたステップは(c)はバルクで行われる。
【0099】
本発明の製造方法のステップ(c)は、適用可能な場合、副生物の除去下で実施され得る。例えばカルボン酸ジクロリドを用いる実施形態では、形成されたHClは、塩基、例えばアミン又は水酸化ナトリウムの存在下で有利に除去される。カルボン酸ジメチル又はジエチルのエステルを使用する実施形態で形成されたメタノール又はエタノールは、例えばディーンスタークトラップでの蒸留によって除去され得る。
【0100】
本発明の一実施形態では、本発明の製造方法のステップ(c)は、20〜200℃の範囲の温度で実施される。ジエステル結合が形成されるステップ(c)の実施形態では、120〜180℃の範囲の温度が好ましい。ジウレタン結合が形成されるステップ(c)の実施形態では、20〜140℃の範囲の温度が好ましい。
【0101】
本発明の一実施形態では、本発明の製造方法のステップ(c)は、3mbar〜3barの範囲の圧力で実施される。特にジエステル結合が形成されるステップ(c)の実施形態では、アルコールの除去を促進するために常圧未満の圧力が好ましい。ジウレタン結合の形成は、好ましくは常圧で実施される。
【0102】
本発明の一実施形態では、本発明の製造方法のステップ(c)は、30分〜6時間、好ましくは1〜3時間の範囲の時間にわたって実施される。
【0103】
本発明のポリマー及び特に本発明の製造方法によって得られたポリマーは、特に原油用の解乳化剤として、及び特にインクジェットインクでの顔料分散剤として、非常に好適である。したがって本発明の別の態様は、特に原油の解乳化、特に原油に基づく油中水型エマルションの解乳化のための、解乳化剤としての本発明のポリマーの使用である。本発明の別の態様は、原油、特に原油に基づく油中水型エマルションを、少なくとも1種の本発明のポリマーを適用することによって解乳化する方法である。本発明の別の態様は、特にインクジェットインクを使用するための、少なくとも1種の本発明のポリマーを使用することによる、顔料を分散させる方法及び顔料の分散を作る方法である。
【0104】
本発明の別の態様は、革の製造のための、特に再なめしのための本発明のポリマーの使用である。本発明の別の態様は、再なめしステップで、少なくとも1種の本発明のポリマーを使用することによって革を作る方法であり、前記方法は本発明の再なめし方法とも呼ぶ。本発明のポリマーの使用によって作られた革は非常に柔らかく、良好な均染性、すなわち染料の均一な分布を示す。
【0105】
本発明による再なめし方法を実行するために、通常的に、すなわち例えばクロムなめし剤、鉱物なめし剤、ポリマーなめし剤、アルデヒド、シンタン又は樹脂なめし剤でなめした半製品を、出発原料として使用してもよい。本発明による再なめし方法を実行するために、本発明による少なくとも1種のポリマーを半製品に作用させる、すなわち、本発明による少なくとも1種のポリマーで処理は達成される。
【0106】
本発明による再なめし方法は、他の点では慣例の条件下で実行することができる。便宜上1つ以上、すなわち2〜6の処理ステップを選択し、処理ステップの間で水による洗浄を達成することができる。個々の処理ステップでの温度は、各場合5〜60℃、好ましくは20〜45℃である。便宜上1つ以上の、再なめし中に通常使用されるさらなる組成物、例えば加脂剤、ポリマーなめし剤並びにアクリレート及び/又はメタクリレート系加脂剤、植物なめし剤に基づく再なめし剤、充填剤、革染料又は乳化剤が用いられる。
【0107】
本発明による再なめし方法にとっては、10分〜12時間の持続時間が有用であることが分かり、1〜3時間が好ましい。本発明による再なめし方法は、なめしで慣習的な任意の所望の容器で、例えば樽又は回転ドラムでドラミングする(drumming)ことによって、実行することができる。
【0108】
本発明による再なめし方法の一実施形態では、他方でシェービング重量(shaved weight)に対して、合計で0.01〜10重量%の本発明によるポリマーが使用され、0.5〜5重量%が好ましい。
【0109】
本発明のポリマー及び特に本発明の製造方法によって得られたポリマーは、硬い表面の洗浄剤の添加剤として、並びにレンガ及びコンクリートのコーティング用に非常に好適である。したがって本発明の別の態様は、硬い表面の洗浄剤の添加剤としての本発明のポリマーの使用である。したがって本発明の別の態様は、コンクリート又はレンガへのコーティングとしての本発明のポリマーの使用である。好ましくは約1〜200gの本発明のポリマー又は本発明の製造方法によるポリマーが、1平方メートル当たり適用される。適用は、含浸もしくは吹付け、又はローラーブレードによって実施され得る。
【0110】
加えて、本発明のポリマー及び特に本発明の製造方法によって得られたポリマーは、不織布を含むテキスタイル製造業、化粧用途、並びに在宅ケア、工業用及び施設内の洗濯ケアを含む洗濯ケア用途に非常に好適である。
【0111】
本発明の別の態様は、テキスタイルの製造又は処理のための本発明のポリマーの使用を対象とし、本明細書では一緒にして本発明のテキスタイル処理方法と呼ぶ。本発明によるポリマーで製造又は処理され得るテキスタイルとしては、(i)天然繊維、例えば綿、亜麻、絹及び羊毛;(ii)合成繊維、例えばポリエステル、ポリアミド、ポリアクリロニトリル、ポリエチレン、ポリプロピレン及びポリウレタン;並びに(iii)無機繊維、例えばガラス繊維及び炭素繊維、が例証される。好ましくは、本発明のテキスタイル処理方法は、上述の繊維材料のいずれか又はこれらのブレンドから製造された布地に適用される。最も好ましくは、テキスタイルは綿含有布地、例えば綿又は綿-ポリエステルブレンドである。
【0112】
本発明のテキスタイル処理方法は、例えば含浸、吹付け、ソーキング、はけ塗り、すすぎ、浸漬、及び手塗り(padding)によって実施され得る。実際の処理ステップの後、任意のステップはすすぎ及び/又は熱的後処理である。前記熱的後処理は、乾燥炉中で、又は高温蒸気により達成され得る。
本発明の様々な実施形態を以下に列挙する。
[実施形態1]
1分子当たり以下の構造要素:
(A)平均で少なくとも2つのアルコキシル化(ポリ)アルキレンイミン単位であって、前記アルキレンがC2〜C10-アルキレンから選択され、前記アルコキシル化がエトキシル化、プロポキシル化、ブトキシル化及び前述のものの少なくとも2つの組合せから選択される、アルコキシル化(ポリ)アルキレンイミン単位、
(B)少なくとも1つのポリシロキサン単位、並びに
(C)少なくとも1つのポリシロキサン単位(B)を有する少なくとも2つの異なるアルコキシル化(ポリ)アルキレンイミン単位(A)を連結する少なくとも1つの結合であって、各結合(C)が4〜30個の範囲の炭素原子を有する有機スペーサーから選択される結合、
を有するポリマー。
[実施形態2]
前記アルコキシル化(ポリ)アルキレンイミン(A)が、ポリエトキシル化ポリエチレンイミン、エトキシル化ポリプロピレンイミン、エトキシル化ポリヘキサンアミン、エトキシル化及びプロポキシル化ポリエチレンイミン、エトキシル化及びプロポキシル化ポリプロピレンイミン、並びにエトキシル化及びポリプロポキシル化α,ω-ヘキサンジアミンから選択される、実施形態1に記載のポリマー。
[実施形態3]
2,500〜1,500,000g/モルの範囲の平均分子量Mwを有する、実施形態1又は2に記載のポリマー。
[実施形態4]
結合(C)がジエステルスペーサー及びジウレタンスペーサーから選択される、実施形態1〜3のいずれか一項に記載のポリマー。
[実施形態5]
ポリアルコキシル化(ポリ)アルキレンイミン(A)の多分散度Qが2〜15の範囲である、実施形態1〜4のいずれか一項に記載のポリマー。
[実施形態6]
結合(B)が、テレフタル酸ジエステル結合、イソフタル酸ジエステル結合、アジピン酸ジエステル結合、シクロヘキサンジカルボン酸ジエステル結合、並びにトルイレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、及び(4,4'-ジイソシアナトフェニル)メチレンに基づくジウレタン結合から選択される、実施形態1〜5のいずれか一項に記載のポリマー。
[実施形態7]
前記ポリシロキサン単位(B)が、少なくとも10個のO-Si(R1R2)-単位[式中、R1及びR2は異なるか又は同一であり、C1〜C10-アルキル、フェニル、ベンジル及びC5〜C8-シクロアルキルから選択される]を有する、実施形態1〜6のいずれか一項に記載のポリマー。
[実施形態8]
1分子当たり平均3〜15個の範囲のアルコキシル化(ポリ)アルキレンイミン単位(A)を含有する、実施形態1〜7のいずれか一項に記載のポリマー。
[実施形態9]
請求項1〜8のいずれか一項に記載のポリマーを作る方法であって、
(a)アルコキシル化(ポリ)アルキレンイミン(A)を用意するステップ、
(b)前記アルコキシル化(ポリ)アルキレンイミン(A)を、少なくとも1種のα,ω-ジヒドロキシポリシロキサンと反応させるステップ、及び
(c)ステップ(b)による生成物を、アルカノール基に反応性である官能基を1分子当たり少なくとも2つ有する少なくとも1種の化合物と反応させるステップ
を含む方法。
[実施形態10]
1分子当たり少なくとも2つの官能基を有する前記化合物が、テレフタル酸ジメチルエステル、テレフタル酸ジエチルエステル、イソフタル酸ジメチルエステル、イソフタル酸ジエチルエステル、シクロヘキサンジカルボン酸ジメチルエステル、シクロヘキサンジカルボン酸ジエチルエステル、トルイレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、及び4,4'-メチレンビス(フェニルイソシアネート)から選択される、実施形態9に記載の方法。
[実施形態11]
ステップ(c)が触媒の存在下で実施される、実施形態9又は10に記載の方法。
[実施形態12]
革又はテキスタイルの製造のための、実施形態1〜8のいずれか一項に記載のポリマーの使用。
[実施形態13]
コンクリート又はレンガのコーティングとしての、実施形態1〜8のいずれか一項に記載のポリマーの使用。
【実施例】
【0113】
本発明を、以下の実施例によってさらに説明する。
【0114】
概説:特に他で規定しない限り、百分率は重量%を意味する。
【0115】
I. ポリエチレンイミンの製造
I.1 重合による合成
概説:合成は連続的に稼働する、長さ18m、内径3.5mmの管形反応器で実施した。前記管形反応器は、2つの反応域を有した。第1の反応域では温度を125〜130℃に、第2の反応域では150℃に保持した。第1の反応域は管形反応器の最初の12m、第2の反応域は残りの6mであった。圧力は、反応混合物を液体に保持するのに必要な圧力より0.5bar高く保持し、それは最低1.5barを必要とした。ステップ(a1)はいわゆる混合チャンバーで実施され、その中で水、エチレンイミン、CO
2水溶液、及びエチレンジアミンを、3つの静的ミキサーを介して混合した。そのように得られた混合物を次に、管形反応器へ移した。
【0116】
以下の出発原料を使用した:
25重量%水溶液として用意したアジリジン、
2.5重量%水溶液としてのCO
2、1,2-エチレンジアミン。
【0117】
I.1.1 ポリエチレンイミン(PEI.1)の合成
平板熱交換器を備える2リットルの反応器に、88gの1,2-エチレンジアミン及び27gのCO
2(ドライアイスとして)を充填した。60重量%アジリジン水溶液を、270g/hの速度で供給した。発熱性の第1の重合を経て、温度は140℃に上昇した。温度は140℃に維持した。全体で、980gの量のアジリジン溶液を添加した。添加が完了した後、反応混合物を145℃でさらに2時間撹拌した。
【0118】
次に、周囲温度に冷却し圧力を解放することによって、反応を停止させた。水を除去して、ポリエチレンイミン(PEI.1)を得た。
【0119】
I.1.2 ポリエチレンイミン(PEI.2)の合成
2.5重量%水溶液としてのCO
2及び1,2-エチレンジアミンから、プレミックスを用意した。上述した管形反応器に、360g/hの25重量%アジリジン水溶液、並びに供給によって17g/hの2.5重量%CO
2水溶液及び6.2g/hの1,2-エチレンジアミンの添加が管形反応器に導入される結果となる方法で上記プレミックスを供給した。供給材料は、混合時に5℃の温度を有した。発熱性の第1の重合を経て、第1の反応域に入る時には温度は80〜160℃に上昇した。管形反応器の末端で、圧力を5barに調整した。管形反応器中でのアジリジン転化率は99モル%であった。
【0120】
管形反応器を通過した後、反応混合物を160℃で稼働し半連続的に稼働するタンク形反応器へ移した。そこで重合は完了した、ステップ(a3)。平均滞留時間は、撹拌されたタンク形反応器時間で2.5時間であった。タンク形反応器が満たされた時点で、周囲温度に冷却し圧力を解放することによって反応を停止した。水を除去して、ポリエチレンイミン(PEI.2)を得た。
【0121】
I.1.3 ポリエチレンイミン(PEI.3)の合成
平板熱交換器を備える2リットルの反応器に、41.8gの1,2-エチレンジアミン及び14.2gのCO
2(ドライアイスとして)を充填した。60重量%アジリジン水溶液を、250g/hの速度で供給した。発熱性の第1の重合を経て、温度は140℃に上昇した。温度を140℃に維持した。全体で、1kgの量のアジリジン溶液を添加した。添加が完了した後、反応混合物を145℃でさらに2時間撹拌した。
【0122】
次に、周囲温度に冷却し圧力を解放することによって反応を停止した。水を除去して、ポリエチレンイミン(PEI.3)を得た。
【0123】
用意したポリエチレンイミン(PEI)を、表1に要約する。
【0124】
【表1】
【0125】
すべての分子量を、溶離液としての1.5重量%ギ酸水溶液、及び固定相としての架橋ポリヒドロキシエチルメタクリレートを備えたGPCによって決定した。内部標準は、1.5重量%ギ酸水溶液中0.05重量%のtert-ブタノール溶液であった。カラムは、既知の分子量を有するプルラン(α-1,4-;α-1,6-グルカン)試料の助けを借りて較正した。表1では、アミン価は第1級アミン価である。
【0126】
II. アルコキシル化ポリエチレンイミン(A)の合成
II.1 「モノ-アルコキシレート」の合成
II.1.1 モノ-エトキシレート1の合成
2リットルのオートクレーブに、645gのポリエチレンイミン(PEI.1)及び32gの水を充填し、次に窒素でパージした。次に、オートクレーブを90℃に加熱した。595gの量のエチレンオキシドを撹拌下で10時間以内に添加し、90℃でさらに12時間反応させた。そのように得られた混合物を80℃に冷却し、揮発性成分を減圧下で除去した。1,235gの量の非常に粘性の黄色液体、「モノ-エトキシレート1」を得た。
【0127】
II.1.2 モノ-プロポキシレート2の合成
2リットルのオートクレーブに、323gのポリエチレンイミン(PEI.1)及び16gの水を充填し、次に窒素でパージした。次に、オートクレーブを90℃に加熱した。384gの量のプロピレンオキシドを撹拌下で10時間以内に添加し、90℃でさらに12時間反応させた。そのように得られた混合物を80℃に冷却し、揮発性成分を減圧下で除去した。692gの量の非常に粘性の黄色液体、「モノ-プロポキシレート2」を得た。
【0128】
II.1.3 モノ-エトキシレート3の合成
2リットルのオートクレーブに、520gのポリエチレンイミン(PEI.2)及び15.5gの水を充填し、次に窒素でパージした。次に、オートクレーブを90℃に加熱した。350gの量のエチレンオキシドを撹拌下で10時間以内に添加し、90℃でさらに12時間反応させた。そのように得られた混合物を80℃に冷却し、揮発性成分を減圧下で除去した。859gの量の非常に粘性の黄色液体、「モノ-エトキシレート3」を得た。
【0129】
II.1.4 モノ-エトキシレート4の合成
2リットルのオートクレーブに、340gのポリエチレンイミン(PEI.3)及び15.5gの水を充填し、次に窒素でパージした。次に、オートクレーブを90℃に加熱した。257gの量のエチレンオキシドを撹拌下で10時間以内に添加し、90℃でさらに12時間反応させた。そのように得られた混合物を80℃に冷却し、揮発性成分を減圧下で除去した。601gの量の非常に粘性の黄色液体、「モノ-エトキシレート4」を得た。
【0130】
II.1.5 モノ-プロポキシレート5の合成
2リットルのオートクレーブに、280gのポリエチレンイミン(PEI.3)及び12gの水を充填し、次に窒素でパージした。次に、オートクレーブを90℃に加熱した。278gの量のプロピレンオキシドを撹拌下で10時間以内に添加し、90℃でさらに12時間反応させた。そのように得られた混合物を80℃に冷却し、揮発性成分を減圧下で除去した。551gの量の非常に粘性の黄色液体、「モノ-プロポキシレート5」を得た。
【0131】
II.2 アルコキシル化
II.2.1 アルコキシル化ポリエチレンイミン(A.1)の合成
2リットルのオートクレーブに、330gのモノ-エトキシレート1及び5.6gの50重量%KOH水溶液を充填した。水を20mbarで除去した。次に、オートクレーブを窒素でパージし、続いて120℃に加熱した。12時間以内に、780gのエチレンオキシドを撹拌下で添加し、120℃でさらに12時間反応させた。そのように得られた混合物を80℃に冷却し、揮発性成分を減圧下で除去した。アルコキシル化ポリエチレンイミン(A.1)である、1,106gの量の薄茶色の固形物を得た。
【0132】
II.2.2 アルコキシル化ポリエチレンイミン(A.2)の合成
2リットルのオートクレーブに、105gのモノ-エトキシレート1及び2.0gの50重量%KOH水溶液を充填した。水を20mbarで除去した。次に、オートクレーブを窒素でパージし、続いて120℃に加熱した。12時間以内に、998gのエチレンオキシドを撹拌下で添加し、120℃でさらに12時間反応させた。そのように得られた混合物を80℃に冷却し、揮発性成分を減圧下で除去した。アルコキシル化ポリエチレンイミン(A.2)である、1,100gの量の薄茶色の固形物を得た。
【0133】
II.2.3 アルコキシル化ポリエチレンイミン(A.3)の合成
2リットルのオートクレーブに、152gのモノ-プロポキシレート2及び2.8gの50重量%KOH水溶液を充填した。水を20mbarで除去した。次に、オートクレーブを窒素でパージし、続いて120℃に加熱した。12時間以内に、963gのプロピレンオキシドを撹拌下で添加し、120℃でさらに12時間反応させた。そのように得られた混合物を80℃に冷却し、揮発性成分を減圧下で除去した。アルコキシル化ポリエチレンイミン(A.3)である、1,085gの量の薄茶色の液体を得た。
【0134】
II.2.4 アルコキシル化ポリエチレンイミン(A.4)の合成
2リットルのオートクレーブに、124gのモノ-エトキシレート1及び2.7gの50重量%KOH水溶液を充填した。水を20mbarで除去した。次に、オートクレーブを窒素でパージし、続いて120℃に加熱した。12時間以内に、530gのエチレンオキシドを撹拌下で添加し、120℃でさらに12時間反応させた。次に、12時間以内に618gのプロピレンオキシドを撹拌下で添加し、120℃でさらに12時間反応させた。そのように得られた混合物を80℃に冷却し、揮発性成分を減圧下で除去した。アルコキシル化ポリエチレンイミン(A.4)である、1,265gの量の黄色の液体を得た。
【0135】
II.2.5 アルコキシル化ポリエチレンイミン(A.5)の合成
2リットルのオートクレーブに、76gのモノ-エトキシレート1及び2.0gの50重量%KOH水溶液を充填した。水を20mbarで除去した。次に、オートクレーブを窒素でパージし、続いて120℃に加熱した。12時間以内に、605gのエチレンオキシドを撹拌下で添加し、120℃でさらに12時間反応させた。次に、12時間以内に565gのプロピレンオキシドを撹拌下で添加し、120℃でさらに12時間反応させた。そのように得られた混合物を80℃に冷却し、揮発性成分を減圧下で除去した。アルコキシル化ポリエチレンイミン(A.5)である、1,244gの量の黄色の液体を得た。
【0136】
II.2.6 アルコキシル化ポリエチレンイミン(A.6)の合成
2リットルのオートクレーブに、321gのモノ-エトキシレート5及び5.6gの50重量%KOH水溶液を充填した。水を20mbarで除去した。次に、オートクレーブを窒素でパージし、続いて120℃に加熱した。12時間以内に、830gのエチレンオキシドを撹拌下で添加し、120℃でさらに12時間反応させた。そのように得られた混合物を80℃に冷却し、揮発性成分を減圧下で除去した。アルコキシル化ポリエチレンイミン(A.6)である、1,148gの量の薄茶色の固形物を得た。
【0137】
II.2.7 アルコキシル化ポリエチレンイミン(A.7)の合成
2リットルのオートクレーブに、155gのモノ-エトキシレート5及び2.6gの50重量%KOH水溶液を充填した。水を20mbarで除去した。次に、オートクレーブを窒素でパージし、続いて120℃に加熱した。12時間以内に、1,411gのエチレンオキシドを撹拌下で添加し、120℃でさらに12時間反応させた。そのように得られた混合物を80℃に冷却し、揮発性成分を減圧下で除去した。アルコキシル化ポリエチレンイミン(A.7)である、1,565gの量の薄茶色の固形物を得た。
【0138】
II.2.8 アルコキシル化ポリエチレンイミン(A.8)の合成
2リットルのオートクレーブに、175gのモノ-プロポキシレート6及び2.9gの50重量%KOH水溶液を充填した。水を20mbarで除去した。次に、オートクレーブを窒素でパージし、続いて120℃に加熱した。12時間以内に、1,338gのプロピレンオキシドを撹拌下で添加し、120℃でさらに12時間反応させた。そのように得られた混合物を80℃に冷却し、揮発性成分を減圧下で除去した。アルコキシル化ポリエチレンイミン(A.8)である、1,512gの量の薄茶色の固形物を得た。
【0139】
II.2.9 アルコキシル化ポリエチレンイミン(A.9)の合成
2リットルのオートクレーブに、290gのモノ-エトキシレート3及び5.3gの50重量%KOH水溶液を充填した。水を20mbarで除去した。次に、オートクレーブを窒素でパージし、続いて120℃に加熱した。12時間以内に、680gのエチレンオキシドを撹拌下で添加し、120℃でさらに12時間反応させた。そのように得られた混合物を80℃に冷却し、揮発性成分を減圧下で除去した。アルコキシル化ポリエチレンイミン(A.9)である、979gの量の薄茶色の固形物を得た。
【0140】
II.2.10 アルコキシル化ポリエチレンイミン(A.10)の合成
2リットルのオートクレーブに、185gのモノ-エトキシレート3及び3.9gの50%重量KOH水溶液を充填した。水を20mbarで除去した。次に、オートクレーブを窒素でパージし、続いて120℃に加熱した。12時間以内に、878gのエチレンオキシドを撹拌下で添加し、120℃でさらに12時間反応させた。そのように得られた混合物を80℃に冷却し、揮発性成分を減圧下で除去した。アルコキシル化ポリエチレンイミン(A.10)である、1,068gの量の薄茶色の固形物を得た。
【0141】
【表2】
【0142】
III. 架橋反応
ウレタン連結のための一般的手順
撹拌機、温度計及び蒸留用凝縮器を備えた1リットルの4つ口フラスコに、表3による(A)の200gを充填し、35℃に加熱した。50gの酢酸エチル及び成分(C)(表3を参照)の適正量を、撹拌下で添加した。次に表3によるトルエンジイソシアネート(TDI)又はヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)を、(撹拌しながら)20分以内に滴下した。温度を30分以内に120℃に上げ、酢酸エチルを留去しながら混合物をさらに90分間撹拌した。次に90℃で100mlの水を添加し、反応混合物を15分間撹拌して、最終的に60℃及び10mbarでの回転蒸発によって揮発性成分を除去した。
【0143】
【表3】
【0144】
IV. 用途の実施例
IV.1 革の再なめし、革の再なめしでの使用-甲革の製造
重量%のデータは、特に断らない限り、各場合シェービング重量に対してである。
【0145】
牛の側腹部を含む市販のウエットブルー(wet-blue)(Packer、USA)2枚を1.7〜1.9mmの厚さにシェービングし、各約700gの7枚の細片に切断した。次に、米国特許第5,186,846号の実施例の表題「分散剤1」によって調製した、1.5重量%ギ酸ナトリウム及び0.5重量%NaHCO
3及び1重量%ナフタレンスルホン酸/ホルムアルデヒド凝縮液を、200重量%の液長(liquor length)で、10分間隔で、ドラム缶(50リットル)中の細片に添加した。70分後、液体を排出した。次にドラミングするために、細片を7つの別個のドラム缶に分配した。
【0146】
その後、表4に述べたように、水100%、M
n70,000g/モル、pH:5.5、固形分含有量40重量%のポリアクリル酸水溶液の2重量%、及び表4による本発明のポリマーの4重量%を添加し、混合物を30分間ドラミングした。その後、欧州特許第0459168号、実施例K1からの各スルホンなめし剤の2重量%、及び各植物なめし剤Mimosa(登録商標)の3重量%、及び40重量%着色力(strength)(固形分含有量)であって、その固形物が以下の組成:
70重量部の欧州特許第0970148号、実施例2.18からの染料、
30重量部のAcid Brown 75(鉄錯体)、Colour Index 1.7.16
を有する各染料水溶液の2重量%を、ドラム缶1〜7へ計量しながら25〜35℃で供給し、30分間ドラミングを達成した。
【0147】
次に、いくつかのステップで3.9〜4.1のpHまでギ酸により酸性化を達成した。さらに20分のドラミングの後に、次に200重量%の水で革を洗浄した。最終的に、IV.2で記述したように調製した3重量%の加脂剤を、50℃で100%の水へ計量しながら供給した。45分のドラミング時間の後に、1重量%のギ酸でpH3.7まで酸性化を達成した。そのように得られた洗浄された革を乾燥し、へらがけした(stake)。
【0148】
革(L.1)〜(L.12)は、繊維の卓越した染料浸透性と組み合わせて、優れたボディ、柔軟性、手触りを有していた。
【0149】
【表4】
【0150】
備考:
染色のボディ、銀面のしまり(grain tightness)、柔軟性、浸透性及び均染性の評価は、1(非常に良好)〜5(不良)の評価方式によって達成した。
【0151】
IV.2 加脂剤の製造
以下を2リットルの釜で混合した:
M
n=1000g/モル及びM
w=1800g/モルを有する230gのポリイソブテン
30gのn-C
18H
37O-(CH
2CH
2O)
25-OH
5gのn-C
18H
37O-(CH
2CH
2O)
80-OH
40gのオレイン酸
230gの亜硫酸酸化トリオレイン。
【0152】
混合物を撹拌しながら60℃に加熱し、470gの水及び10gのnC
16H
33O-(CH
2CH
2O)
7-OHを添加した。次に、結果として生じたエマルションをギャップホモジナイザーに通過させた。細かく分割され安定したエマルションが得られた。
【0153】
V. 本発明のコポリマーによるテキスタイルの処理
特に断らない限り、部は重量部を意味する。
【0154】
本発明のすべてのポリマーは水中で自己分散性であった。本発明のポリマーを水中で分散させるために、追加の界面活性剤は使用しなかった。
【0155】
テキスタイルはASTM法D-1776-79、天然綿に従って試験した。試験テキスタイルとして、Move Frottana Textil GmbH & Co. KG、D-02779 Grossschonauからの未処理テリータオルを使用した。本発明のポリマーの0.5重量%又は1.0重量%のいずれか(表5参照)を、手塗りし、続いて40〜50℃で3時間乾燥させることによって、テリータオルに適用した。
【0156】
比較目的のために、米国特許第4,247,596号、実施例1によるアミノ官能性シリコーンを、3.6部のn-C
15-アルキル-(EO)
15、及び2.4部のn-C
15-アルキル-(EO)
3、及び12部の水で乳化し、プレミックスを形成した。プレミックスを供給装置に配置し、Manton-Graulin Mfg. Co., Inc.(Evert, Mass.)からのホモジナイザーType15Mに210barで通過させた。追加の水48部をホモジナイザー供給装置に徐々に添加し、結果として生じた混合物を、210barでホモジナイザーに2度通過させた。エマルションは、60部の水に対して、40部のアミノポリシロキサンを含有した。本発明の化学種については、プレエマルションの調製は必要ではない。
【0157】
柔軟性及び/又はアミン様の手の評価は、ハンドパネルによって実施した。柔軟性評価については、テキスタイルを1〜10の尺度を使用してランク付けし、その尺度では、1が最も柔らかく、10が最も粗い値であった。
【0158】
【表5】