(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
接着された後に前記金属箔と前記絶縁層の間に形成された前記接着剤の厚みは、10μm以上250μm以下の均一な厚みである請求項1または請求項2に記載のプリント基板の製造方法。
前記貫通孔を形成する工程において、前記レーザー光は、発振波長が250nm以上2000nm以下であり、パワーが5W以上60W以下であり、周波数が100kHz以上3000kHz以下のパルス光であり、パルス幅が10ピコ秒以上100ナノ秒以下であり、走査速度が100mm/秒以上3000mm/秒以下である請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のプリント基板の製造方法。
前記貫通孔を形成する工程において、前記レーザー光のスポット径は5μm以上30μm以下である請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のプリント基板の製造方法。
前記貫通孔を形成する工程において、前記貫通孔の形状は一方向に長い長孔であり、前記貫通孔を形成した後における前記貫通孔の短手方向の幅は10μm以上50μm以下である請求項1から請求項7のいずれか一項に記載のプリント基板の製造方法。
前記貫通孔を形成する工程において、前記貫通孔の形状は少なくとも1対の平行したライン形状を有し、さらに櫛歯形状である請求項1から請求項7のいずれか一項に記載のプリント基板の製造方法。
前記2つの配線部の間において、前記接着剤層の高さは、前記配線部の厚さの1/2の位置までの高さ以上、前記配線部の高さ以下である請求項12に記載のプリント基板。
前記2つの配線部の間において、前記絶縁層の高さは、前記配線部の厚さの1/2の位置までの高さ以上、前記配線部の高さ以下である請求項14に記載のプリント基板。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態に係るプリント基板、光源装置および半導体装置、ならびにそれらの製造方法について説明する。なお、以下の説明において参照する図面は、本発明の実施形態を概略的に示したものであるため、各部材のスケールや間隔、位置関係などが誇張、または、部材の一部の図示が省略されている場合がある。また、平面図とその断面図において、各部材のスケールや間隔が一致しない場合もある。また、以下の説明では、同一の名称および符号については原則として同一または同質の部材を示しており、詳細な説明を適宜省略することとする。
【0013】
<第1実施形態>
第1実施形態に係るプリント基板およびその製造方法について、
図1〜
図10を参照して説明する。
図1は、第1実施形態に係るプリント基板の製造方法の手順を示すフローチャートである。
図2は、第1実施形態に係るプリント基板を示す平面図である。
図3は、第1実施形態に係るプリント基板の製造方法により貫通孔が形成された金属箔を示す平面図である。
図4は、第1実施形態に係るプリント基板の製造方法における貫通孔形成工程を示す断面図であり、
図3のIV−IV線における断面を示す。
図5は、第1実施形態に係るプリント基板の製造方法により絶縁層に接着された金属箔を示す平面図である。
図6は、第1実施形態に係るプリント基板の製造方法におけるプレス前の各部材の配置を示す断面図である。
図7は、第1実施形態に係るプリント基板の製造方法におけるプレス後の各部材の配置を示す断面図であり、
図5のVII−VII線における断面を示す。
図8は、第1実施形態に係るプリント基板の製造方法によりエッチングマスクが形成された金属箔を示す平面図である。
図9は、第1実施形態に係るプリント基板の製造方法により配線パターンが形成されたプリント基板を示す平面図である。
図10は、第1実施形態に係るプリント基板の製造方法により配線パターンが形成されたプリント基板を示す断面図であり、
図9のX−X線における断面を示す。なお、
図8は平面図であるが、便宜的に、エッチングマスクにハッチングを施して示している。
【0014】
[プリント基板の構成]
第1実施形態に係る製造方法で製造されるプリント基板10は、
図2、
図9および
図10に示すように、絶縁層1と、絶縁層1上の接着剤2と、接着剤2上に形成された配線パターン3と、を備えている。
配線パターン3は、配線部として、電子部品が実装される電極パッド4、外部接続用の端子5、これらを接続するリード線6などを有することが好ましい。
プリント基板10の詳細な構成については、その製造方法とともに説明する。
【0015】
以下では、
図2の平面図において、左下隅に配置された複数(6個)の電極パッド4が形成されるエリアを拡大して製造工程を説明する。電極パッド4a,4bは、例えば搭載される電子部品の隣り合う2つの端子に対向して配置される。この場合、電極パッド4aは、発光素子の一方の外部端子であるp側パッド電極が接合される電極パッドである。また、電極パッド4bは、発光素子の他方の外部端子であるn側パッド電極が接合される電極パッドである。
【0016】
[プリント基板の製造方法]
第1実施形態に係るプリント基板の製造方法は、準備工程S11と、貫通孔形成工程S12と、接着工程S13と、エッチングマスク形成工程S14と、エッチング工程S15と、エッチングマスク除去工程S16とが含まれている。
準備工程S11は、プリント基板10の材料として、絶縁層1となる絶縁材と、金属箔7と、を準備する工程である。
【0017】
絶縁層1は、プリント基板10において、表面に配線パターンを形成することができるベースとなる。絶縁層1を構成する絶縁材は、光源材料に用いるプリント基板の場合、熱による変色が小さいものが好ましく、さらに白色など反射率の高い材料が好ましい。絶縁層1の厚さは、15μm以上300μm以下であり、好ましくは60μm以上150μmである。
【0018】
絶縁層1に用いられる絶縁材の種類は、紙フェノール基板、紙エポキシ基板、ガラスコンポジット基板、ガラスエポキシ基板、フレキシブル基板、またはセラミック基板など一般的な材料でよい。ここで、紙フェノール基板は、紙基材を油脂を含んだフェノール樹脂で固めて作った基板である。紙エポキシ基板は、紙基材をエポキシ樹脂で固めて作った基板である。ガラスコンポジット基板は、切り揃えたガラス繊維を重ねて、エポキシ樹脂を含浸させた基板である。ガラスエポキシ基板は、ガラスファイバで織った布をエポキシ樹脂で固めて、強度と絶縁性、難燃性を持たせた基板である。フレキシブル基板は、プラスチックフィルムを基材として折り曲げが可能な基板である。セラミック基板はアルミナや窒化アルミニウム、炭化珪素などの無機物を加熱処理し焼き固めた焼結体の基板である。
【0019】
絶縁層1に用いられる絶縁材は、次の樹脂により構成された材料でもよい。例えば絶縁材として、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂、エポキシ変性シリコーン樹脂および芳香族ポリエステル樹脂(液晶ポリマー)からなる群から選択される1または2以上の樹脂であってもよい。
【0020】
なお、絶縁層1は、高強度、高靭性機能を持たせるために、ガラス繊維、セラミックス繊維、カーボン繊維およびアラミド繊維からなる群から選択される1または2以上の強化材を含有するのが好ましい。
また、絶縁層1は、放熱機能を持たせるために、熱伝導性の高い無機フィラーを含有させるのが好ましい。無機フィラーはシリカ、アルミナ、窒化アルミ、窒化ボロン、炭化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、水酸化アルミニウムからなる群から選択される1または2以上の無機フィラーである。
また、絶縁層1の金属箔7を接着する側の面とは反対側の面には、放熱性の高い放熱板を貼付けてもよい。
【0021】
金属箔7は、絶縁層1の表面に接着する配線パターンを形成する。金属箔7の厚さT7(
図4参照)は、2μm以上120μm以下であり、好ましくは2〜35μmである。金属箔7を構成する金属は、Cu,Ag,Au,Ni、FeおよびAlから選択される金属、またはこれらの金属を主成分として含む合金である。金属箔7を構成する金属としては、好ましくは、熱伝導性の優れるCu、Ag、Au、より好ましくは電解Cuまたは圧延Cuを用いる。また、薄層金属箔を用いる場合、キャリア金属箔やキャリア樹脂と一体化された上記金属箔を用いることもできる。
【0022】
貫通孔形成工程S12は、レーザー光またはパンチングにより金属箔7に貫通孔8を形成する工程である。この工程では、配線パターン3においてp電極パッドとn電極パッドとの間のように狭ピッチ化が必要な配線部となる所定エリアに微小な貫通孔8が形成される。貫通孔8の形状は、特に限定されず、例えば、円、楕円、長孔、矩形、櫛歯状(
図28)等である。
図3に示す貫通孔8は、一方向に長い長孔であり、例えば、電極パッド4aと電極パッド4bとの間のエリアに対応する貫通孔である。この貫通孔8を形成した後における貫通孔8の短手方向の幅W1は10μm以上50μm以下である。なお、貫通孔8は、製造工程中に一時的に形成されるものである。貫通孔8は、後記するエッチングにより金属箔7から削り取られたエリアとつながって一体となる。そのため、完成後のプリント基板10において、例えば電極パッド4aと電極パッド4bのピッチが幅W1となる。
【0023】
貫通孔形成工程S12では、レーザー加工機を使用してレーザー光により貫通孔を形成することや、パンチングマシーンを使用してパンチングで貫通孔を形成することができる。以下では、一例として、レーザー加工機を使用するものとして説明する。この工程では、レーザー加工機のステージに載置した金属箔7にレーザー光を照射して金属箔7を加工する。加工の際には、レーザー光により貫通した金属箔とステージとの接触部で融着が起こらないようにレーザー条件を調整することが好ましい。また、金属箔7の融着が発生しないように、金属箔7とステージとの間に不織布のような緩衝材を設置してもよい。
【0024】
レーザー加工条件は、金属箔7に適切に貫通孔8を形成できるものであれば、特に限定されないが、以下に示すものが好ましい。
レーザー光20の発振波長は、金属箔7の加工部における好ましくない熱的損傷の発生を抑制する観点からは、250nm以上2000nm以下であることが好ましく、250nm以上550nm以下であることがより好ましい。例えば、レーザー光20の発振波長は、355nmである。
【0025】
レーザー光20の出力(レーザーパワー)は、加工速度を高速化する観点からは、5W以上60W以下であることが好ましい。レーザー光20はパルス光であり、レーザー光20のパルス幅は、加工品質を向上させる観点からは、10ピコ秒以上100ナノ秒以下であることが好ましい。レーザー光20の繰り返し周波数は、加工品質を向上させる観点からは、100kHz以上3000kHz以下であることが好ましく、1MHz以上3MHz以下であることがより好ましい。
【0026】
レーザー光20のスポット径W2(
図4参照)は、レーザー加工の狭ピッチ化の観点からは、5μm以上30μm以下であることが好ましい。
レーザー光20の走査速度は、特に限定されないが、加工速度を高速化する観点からは100mm/秒以上3000mm/秒以下であることが好ましい。
【0027】
レーザー光による加工方法は、例えば、レーザー光を直線に沿って走査することで、金属箔7を切断して貫通孔8を形成してもよいこと等、特に限定されない。
また、
図4に示すように、特定の領域を取り囲むようにレーザー光を走査することで金属箔7の特定の領域をくり抜いて、任意の大きさおよび形状の貫通孔8を形成してもよい。レーザー光の照射は形成しようとする貫通孔8に対して1回だけでなく複数回走査させてもよい。レーザー光の集光点は金属箔7の厚みに応じて、加工中に金属箔7の表面から金属箔7の内部方向に変更して加工してもよい。
図4に示す例では、レンズ21により集光されたレーザー光の集光点は金属箔7の内部に位置している。
なお、金属箔7には、パンチングまたはレーザー加工によって、プリント基板10の位置決めやハンドリングのためのアライメント穴を設けておいてもよい。
【0028】
接着工程S13は、接着剤2を介在させて、貫通孔8が形成された金属箔7と、絶縁層1となる絶縁材とをプレスで接着する工程である。
接着剤2の種類および形態は、貼り合わせる金属箔7や絶縁層1の種類などに応じて適宜選択される。接着剤2としては、一般的にはシート状の接着剤が多用される。接着剤2の厚みは金属箔7の厚みによって決定する。接着後の接着剤2の厚みが、10μm以上250μm以下で均一な厚みになるように、接着剤2の厚みやプレスの圧力が調整される。
【0029】
接着剤2を構成する樹脂としては、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂等が挙げられるが、金属との接着力に富むエポキシ樹脂が特に好ましい。
接着剤2は、絶縁接着剤であってもよい。絶縁接着剤は、例えば、酸化アルミニウム、窒化硼素、酸化珪素、酸化マグネシウム、窒化アルミニウム等の電気絶縁性であって、しかも熱伝導性の高い無機充填剤あるいは水酸化アルミニウムなど難燃性を持つ無機充填剤を含有することが好ましい。
電極パッド4に発光素子を載置する場合、接着剤2に、反射率の高い材料を用いるようにしてもよい。これにより、発光効率を高めた光源装置を製造することが可能である。
【0030】
接着剤2は、高熱伝導接着剤であってもよい。高熱伝導接着剤としては、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂、または、各種エンジニアリングプラスチック等が挙げられる。これらの中で、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂、シリコーン樹脂は電気性が高く、耐熱性が優れているので好ましい。これにより、電極パッド4に発光素子を載置する場合、発光素子の放熱効率を高めた光源装置を製造することが可能である。
【0031】
接着方法としては特に限定されない。
図6に示すように、例えば、接着剤2は、絶縁層1や金属箔7とは別に準備されてもよい。プレスにより金属箔7を絶縁層1に接着するには、真空熱プレス装置、真空ラミネート装置や熱ロールラミネート装置を用いることができる。プレス条件やキュア条件は、使用する接着剤2や接着方法により異なるが、接着された後に金属箔7と絶縁層1の間に形成された接着剤2の厚みT2(
図7参照)は、10μm以上250μm以下の均一な厚みになるように調整される。金属箔7と接着された後の接着剤2では、金属箔7に対面する位置において接着剤2の高さが、貫通孔8以外では金属箔7の接着面と同じ高さである。
【0032】
金属箔7と絶縁層1とを接着する前に既に貫通孔8が形成されているため、プレス時の圧力により、貫通孔8へ接着剤2が押し出されて貫通孔8に入り込んだ構造が形成される。つまり、プレス後に、貫通孔8には接着剤2が入り込んで貫通孔8の側壁に沿って所定高さまで到達した状態となっている。このとき、貫通孔8では、金属箔7の厚さの1/2以上の高さまで接着剤2がせり上がった状態になるようプレス条件を調整する。
【0033】
接着工程S13では、金属箔7と絶縁層1とを接着した後、周辺に流れ出た接着剤を切断することでプリント基板10の定寸になるよう調整する。
なお、レーザー加工により発生した金属箔7の加工屑が金属箔7のレーザー照射面に付着して完成後のプリント基板の品質に悪影響を与える場合も考えられる。このような場合には、金属箔7と接着剤2とを接着する際には、金属箔7のレーザー照射面が接着剤2と接触する向きに接着することが好ましい。また、必要に応じて、金属箔7の表面に流れ出た樹脂やレーザー加工屑による堆積物を、セラミックロールやブラシなどにより研磨して整面化してもよい。
【0034】
プリント基板10は、従来のめっきのためのシード層が存在しないため、後記する配線パターン3を形成するときに、シード層のエッチングによる側壁のサイドエッチングの問題を考慮しなくてもよい。そのため、アスペクト比率の高い配線パターンを形成することができる。また、プリント基板10は、配線を構成する金属箔7が、絶縁層1との接着面側における表面粗さとして、Rz=5μm以上の粗化度の大きいものが使用できる。そのため、アンカー効果による絶縁層1と金属箔7との密着強度の確保が容易である。
【0035】
エッチングマスク形成工程S14、エッチング工程S15、およびエッチングマスク除去工程S16は、配線パターン3を形成するための一連の工程である。これらの工程(以下、総称して配線パターン形成工程)は、金属箔7のうち、配線パターン3を形成するために所定のエリアをエッチングする工程である。
配線パターン3を形成するために、金属箔7から
図2の電極パッド4aと電極パッド4bとの間のエリアのような微小なエリアについては、前記した貫通孔形成工程S12によって既に除去されている。よって、この配線パターン形成工程では、このような微小エリア以外のエリアであって、広く削る必要のある大面積のエリアをエッチングして配線パターンを形成する。ここで、エッチングは、従来のプリント基板の製造方法において、配線パターンを形成するためのエッチングと同様の手法で行うことができる。
【0036】
エッチングマスク形成工程S14は、エッチングを施して除去する領域である金属箔除去領域が露出するように、他の領域の金属箔をマスクする工程である。このエッチングマスク形成工程S14では、金属箔7の所定エリアおよび貫通孔8をマスクで覆い、
図8に示すように、電極パッドとして残す領域にエッチングマスク22a,22bを施す。また、エッチングマスク形成工程S14では、配線パターンとして残す領域にエッチングマスク22c,22dを施すと共に、端子5として残す領域にもエッチングマスクを施す。
エッチングマスク形成工程S14は、プリント基板の製造ラインにおいて、配線パターンを形成するためのエッチングマスクとして、例えばシート状で感光層を有するドライフィルムフォトレジスト(Dry Film photo Resist(DFR))を使用することができる。DFRは、露光および現像して、エッチングマスクとして用いる。
【0037】
エッチング工程S15は、エッチングマスクの形成後に、金属箔7をエッチングする工程である。金属箔7として用いられている金属の種類に応じたエッチング液で、マスクから露出した金属箔7を除去することで、配線パターンを形成することができる。なお、エッチングにより削り取られたエリアは、金属箔7の貫通孔8とつながって一体となる。
【0038】
エッチングマスク除去工程S16は、エッチング後に、エッチングマスクを除去する工程である。エッチングマスクとしてDFRを用いる場合、エッチングマスクとして用いた後に、一般的にはアルカリ溶液で剥離される。剥離に用いるアルカリ溶液としては、例えば、カリウム、ナトリウム、カルシウム水酸化物の水溶液や、これらアルカリ金属の炭酸塩の水溶液を挙げることができる。
【0039】
なお、配線パターン形成工程では、配線パターンはこれに限定されず、目的に応じて形成することができる。例えば、発光素子のほか、保護素子の搭載を考慮した回路が構成できるように配線パターンを形成してもよい。以上の工程を行うことにより、プリント基板10を製造することができる。
【0040】
図10において、電極パッド4aの側面14に隣接するエリアは、前記配線パターン形成工程により、エッチングされた箇所の一例である。プリント基板10は、
図10の側面14より下方に示すように、エッチングされた箇所においては、金属箔7の接着面と同じ高さで接着剤2が露出した形状となる。この電極パッド4aの側面14は、絶縁層1の上面11に対する傾斜角度Bが95°以上である。図示した例では、傾斜角度Bが約120°である。傾斜角度Bが95°を超えるのは、通常のエッチング工程によりサイドエッチングが起きるためである。
【0041】
一方、プリント基板10は、電極パッド4a,4bの向かい合う側面12,13は、金属箔7の貫通孔8に対応しており、レーザー光またはパンチングにより形成されたものであるから、略垂直である。また、貫通孔8では、金属箔7の厚さの1/2以上の高さまで接着剤2がせり上がった状態になっているため、エッチングマスクが接着剤2の表面ならびに電極パッド4a,4bの向かい合う側面12,13に密着し、エッチング工程S15において側面12,13のサイドエッチングが防止される。したがって、本実施形態において、電極パッド4a,4bの向かい合う側面12,13は、それぞれ、絶縁層1の上面11に対する傾斜角度Aが85°以上95°以下である。このように、側面が垂直に近い電極パッドを形成することができると、電極パッド間距離をより近づけることが可能となり、プリント基板の高密度化が可能となる。
【0042】
また、電極パッド4a,4bの間において、接着剤2の高さH2は、電極パッド4a,4bの高さH1と同等である。ここで、同等とは、金属箔7の厚さT7の1/2以上の高さH2まで接着剤2が入り込んだ形状となっていることを意味する。例えば、絶縁層1の下面を基準にしたときに、電極パッド4の上面の高さ(金属箔7の上面の高さ)をH1とし、金属箔7の厚さT7の1/2の位置までの高さをH0とする。また、電極パッド4aと電極パッド4bとの間のエリア(貫通孔8に相当するエリア)に配設された接着剤2の上面の位置までの高さをH2とする。このとき、H0≦H2≦H1の関係がある。
【0043】
このように電極パッド4a,4bの間において、接着剤2の高さH2は、電極パッド4a,4bの高さH1と同等で段差が小さく、あるいは段差が無いため、発光素子などを半田実装する際に、半田がブリッジすることを防止することができる。
【0044】
次に、プリント基板の製造方法の変形例について、
図11〜
図14を参照して説明する。
図11は、第1実施形態に係るプリント基板の製造方法におけるプレス前の各部材の配置の第1変形例を示す断面図である。
図12は、第1実施形態に係るプリント基板の製造方法におけるプレス前の各部材の配置の第2変形例を示す断面図である。
図13は、第1実施形態に係るプリント基板の製造方法におけるプレス前の各部材の配置の第3変形例を示す断面図である。
図14は、第1実施形態に係るプリント基板の製造方法の変形例により放熱板が接着されたプリント基板を示す断面図である。
【0045】
第1変形例に係るプリント基板の製造方法は、前記した接着工程S13において、予め接着剤2が絶縁層1に形成されていることとしたものである。その他の工程については、前記した第1実施形態に係るプリント基板の製造方法と同様に行われる。このように接着剤2が絶縁層1に予め形成されていることで、接着剤2と絶縁層1との間に空気層が介在するのを防ぐことができる。
【0046】
第2変形例に係るプリント基板の製造方法は、前記した接着工程S13において、予め接着剤2が金属箔7に形成されていることとしたものである。そのために、貫通孔形成工程S12では、接着剤2が形成された金属箔7に貫通孔8を形成する。その他の工程については、前記した第1実施形態に係るプリント基板の製造方法と同様に行われる。このように接着剤2が金属箔7に予め形成されていることで、金属箔7と接着剤2との間に空気層が介在するのを防ぐことができる。
【0047】
第3変形例に係るプリント基板の製造方法は、前記した接着工程S13において、予め接着剤2が絶縁層1および金属箔7の双方に形成されていることとしたものである。その他の工程については、前記した第1実施形態に係るプリント基板の製造方法と同様に行われる。このようにすることで、接着剤2と絶縁層1との間、および、金属箔7と接着剤2との間に空気層が介在するのを防ぐことができる。
【0048】
第4変形例に係るプリント基板の製造方法は、前記した接着工程S13の後に、絶縁層1に接着剤2Bを介して放熱板9を接着することとしたものである。これにより、プリント基板は、金属箔7と放熱板9で絶縁層1をサンドイッチした構造となる。その他の工程については、前記した第1実施形態に係るプリント基板の製造方法と同様に行われる。
【0049】
放熱板9を構成する材料は金属箔7と同じ金属やセラミックスでもよい。放熱板9を構成する金属としては、Cu、W、Al、NiおよびMoから選択される金属、またはこれらの金属を主成分として含む合金で、セラミックスはアルミナ、窒化アルミニウム、炭化珪素などが選択される。放熱板9は、金属、セラミックスともに熱伝導性の高い材料が好ましい。接着剤2Bとしては、金属箔7と絶縁層1に使用した接着剤2と同じものでもよい。接着剤2Bは、放熱性を良くするために高熱伝導性の接着シートが好ましい。このように構成することで、プリント基板10の機械的強度を高めることができる。また、熱の発生量が多い電子部品をプリント基板に実装するような場合、放熱効率を高めることができる。放熱板9の代わりにフィンをヒートシンクとして接着してもよい。
【0050】
第5変形例に係るプリント基板の製造方法は、配線パターン3を形成した後に、金属箔7の全面または一部に、めっきによる表面処理を行うこととしたものである。めっきの種類は、限定されず、金属箔7を構成する材料や回路仕様、用途によって選定することができる。主なものとしては、電解直金めっき、電解ニッケル/金めっき、無電解ニッケル/金めっき、無電解ニッケル/パラジウム/金めっき、ソフト金めっき、錫めっき、半田めっきなどがある。これにより、金属箔7で形成された電極パッド4や端子5において、半田など接合部材の濡れ性を向上させることができる。また、金属箔7の酸化を防止したり、腐蝕を防止したりすることができる。ここでの「/」は積層の順番を示している。
【0051】
第6変形例に係るプリント基板の製造方法は、配線パターン3を形成した後に、はんだ付け不要な部分をソルダレジストで覆うこととしたものである。ソルダレジストは、フィルム状、液状のものが使用でき、回路仕様や用途によって最適な形成方法を選定する。これにより、はんだ不要部分へのはんだ付着を防止することができ、また、回路間の電気絶縁性が長期間維持できる。なお、ソルダレジストを形成した後に、はんだ付け必要な部分に、めっき、防錆処理等による表面処理を行うこととしてもよい。
【0052】
<第2実施形態>
第2実施形態に係るプリント基板およびその製造方法について、
図15〜
図21を参照して説明する。
図15は、第2実施形態に係るプリント基板の製造方法の手順を示すフローチャートである。
図16は、第2実施形態に係るプリント基板を示す平面図である。
図17は、第2実施形態に係るプリント基板の製造方法により絶縁層に接着された金属箔を示す平面図である。
図18は、第2実施形態に係るプリント基板の製造方法におけるプレス前の各部材の配置を示す断面図である。
図19は、第2実施形態に係るプリント基板の製造方法におけるプレス後の各部材の配置を示す断面図であり、
図17のXIX−XIX線における断面を示す。
図20は、第2実施形態に係るプリント基板の製造方法により配線パターンが形成されたプリント基板を示す平面図である。
図21は、第2実施形態に係るプリント基板の製造方法により配線パターンが形成されたプリント基板を示す断面図であり、
図20のXXI−XXI線における断面を示す。
【0053】
[プリント基板の構成]
第2実施形態に係る製造方法で製造されるプリント基板10Bは、
図16、
図20および
図21に示すように、絶縁層51と、絶縁層51上に形成された配線パターン3と、を備えている。プリント基板10Bの詳細な構成については、その製造方法とともに説明する。以下では、
図16の平面図において、左下隅に配置された複数(6個)の電極パッド4が形成されるエリアを拡大して製造工程を説明する。
【0054】
[プリント基板の製造方法]
第2実施形態に係るプリント基板の製造方法は、準備工程S21と、貫通孔形成工程S12と、接着工程S23と、エッチングマスク形成工程S14と、エッチング工程S15と、エッチングマスク除去工程S16とが含まれている。
【0055】
準備工程S21は、プリント基板10Bの材料として、絶縁層51となる未硬化の絶縁材と、金属箔7と、を準備する工程である。
【0056】
絶縁層51は、プリント基板10Bにおいて、表面に配線パターンを形成することができるベースとなる。絶縁層51を構成する絶縁材は、絶縁層1を構成する絶縁材と同様であるが、金属箔と絶縁層を接着する接着剤の代わりになるように、未硬化の状態で金属箔7に接着される絶縁材料を使用する。未硬化状態の絶縁層51Bは、反射率が高く、高熱伝導のものが好ましい。未硬化状態の絶縁層51Bとして、プリプレグを用いることができる。プリプレグは、ガラス繊維布に熱硬化性樹脂を含浸させた材料で作られている。通常の絶縁層と異なるのは熱硬化性樹脂が完全には硬化していないBステージと呼ばれる状態である点である。Bステージは、熱硬化性樹脂が半硬化状態のもので、温度を上げると一旦溶けるが、その後、高温を加え樹脂の硬化反応を行い完全に硬化する特性を有する。
【0057】
接着工程S23は、貫通孔8が形成された金属箔7と、絶縁層51となる未硬化状態の絶縁材とをプレスで接着する工程である。この工程では、例えば真空熱プレスを用いて、金属箔7と絶縁層51とを接着する。まず、
図18に示すように、未硬化の絶縁層51Bの上に金属箔7を配置した状態の基板材料を真空熱プレスに入れて、例えば2〜4MPa程度の圧力で圧縮し、120度程度まで加熱し、溶融状態になった絶縁層51Bが金属箔7と密着する。その後、温度を170度程度まで上げ、60分程度放置すると、熱硬化性樹脂が完全に硬化して絶縁層51となる。
【0058】
金属箔7が絶縁層51に接着される前に既に貫通孔8が形成されているため、プレス時の圧力により、貫通孔8へ、溶融状態になった絶縁層51Bが押し出されて貫通孔8に入り込んだ構造が形成される。つまり、
図19に示すように、プレス後、貫通孔8には、硬化した絶縁層51が入り込んで貫通孔8の側壁に沿って所定高さまで到達した状態となっている。このとき、貫通孔8では、金属箔7の厚さの1/2以上の高さまで絶縁層51がせり上がった状態になるようプレス条件を調整する。また、金属箔7の貫通孔8から絶縁層51の溶融物が真空熱プレスの熱板に付着することを防止するためにテフロン(登録商標)シートなどの離型性フィルムを設置してプレスしてもよい。
【0059】
エッチングマスク形成工程S14、エッチング工程S15、およびエッチングマスク除去工程S16では、金属箔7から
図16の電極パッド4aと電極パッド4bとの間のエリアのような微小なエリア以外の所定エリアをエッチングして配線パターン3を形成する。
図21において、電極パッド4aの側面14に隣接するエリアは、前記配線パターン形成工程により、エッチングされた箇所の一例である。プリント基板10Bは、
図21の側面14より下方に示すように、エッチングされた箇所においては、金属箔7の接着面と同じ高さで絶縁層51が露出した形状となる。この電極パッド4aの側面14は、絶縁層51の下面52に対する傾斜角度Bが95°以上である。
【0060】
一方、プリント基板10Bは、電極パッド4a,4bの向かい合う側面12,13は、金属箔7の貫通孔8に対応しており、レーザー光またはパンチングにより形成されたものであるから、略垂直である。また、貫通孔8では、金属箔7の厚さの1/2以上の高さまで絶縁層51がせり上がった状態になっているため、エッチングマスクが絶縁層51の表面ならびに電極パッド4a,4bの向かい合う側面12,13に密着し、エッチング工程S15において側面12,13のサイドエッチングが防止される。したがって、本実施形態において、電極パッド4a,4bの向かい合う側面12,13は、それぞれ、絶縁層51の下面52に対する傾斜角度Aが85°以上95°以下である。このように、側面が垂直に近い電極パッドを形成することができると、電極パッド間距離をより近づけることが可能となり、プリント基板の高密度化が可能となる。
【0061】
また、電極パッド4a,4bの間において、絶縁層51の高さh2は、電極パッド4a,4bの高さh1と同等である。ここで、同等とは、金属箔7の厚さT7の1/2以上の高さh2まで絶縁層51が入り込んだ形状となっていることを意味する。例えば、絶縁層51の下面52を基準にしたときに、電極パッド4の上面の高さ(金属箔7の上面の高さ)をh1とし、金属箔7の厚さT7の1/2の位置までの高さをh0とする。また、電極パッド4aと電極パッド4bとの間のエリア(貫通孔8に相当するエリア)に配設された絶縁層51の上面の位置までの高さをh2とする。このとき、h0≦h2≦h1の関係がある。このように電極パッド4a,4bの間において、絶縁層51の高さh2は、電極パッド4a,4bの高さh1と同等で段差が小さく、あるいは段差が無いため、発光素子などを半田実装する際に、半田がブリッジすることを防止することができる。
【0062】
次に、プリント基板の製造方法の変形例について、
図22〜
図25を参照して説明する。
図22は、第2実施形態に係るプリント基板の製造方法の変形例により放熱板が接着されたプリント基板を示す断面図である。
図23は、第2実施形態に係るプリント基板の製造方法の変形例におけるプレス前の各部材の配置を示す断面図である。
図24は、第2実施形態に係るプリント基板の製造方法の変形例におけるプレス後の各部材の配置を示す断面図である。
図25は、第2実施形態に係るプリント基板の製造方法の変形例により放熱板が接着されたプリント基板を示す断面図である。
【0063】
第7変形例に係るプリント基板の製造方法は、前記した接着工程S23の後に、絶縁層51に接着剤2Bを介して放熱板9を接着することとしたものである。これにより、プリント基板は、金属箔7と放熱板9で絶縁層51をサンドイッチした構造となる。その他の工程については、前記した第2実施形態に係るプリント基板の製造方法と同様に行われる。このように構成することで、プリント基板10Bの機械的強度を高めると共に、放熱効率を高めることができる。
【0064】
第8変形例に係るプリント基板の製造方法は、前記した接着工程S23において、絶縁層51となる未硬化状態の絶縁材と、絶縁層1となる絶縁材と、をプレスで接着することとしたものである。この工程では、例えば真空熱プレスを用いて、金属箔7と絶縁層51と絶縁層1とを接着する。この場合、まず、
図23に示すように、下から、絶縁層51となる未硬化状態の絶縁材、未硬化の絶縁層51B、および金属箔7をこの順番に配置した状態の基板材料を真空熱プレスに入れる。そして、例えば2〜4MPa程度の圧力で圧縮し、120度程度まで加熱し、溶融状態になった絶縁層51Bが金属箔7および絶縁層1と密着する。その後、温度を170度程度まで上げ、60分程度放置すると、熱硬化性樹脂が完全に硬化して、
図24に示すように絶縁層51となる。その他の工程については、前記した第2実施形態に係るプリント基板の製造方法と同様に行われる。このように構成することで、プリント基板10Bの機械的強度を高めることができる。さらに、
図25に示すように絶縁層1に接着剤2Bを介して放熱板9を接着することとしてもよい。
なお、第2実施形態に係るプリント基板の製造方法においても、配線パターン3を形成した後に、金属箔7の全面または一部にめっきによる表面処理を行ったり、はんだ付け不要な部分をソルダレジストで覆ったりしてもよい。
【0065】
<第3実施形態>
次に、第3実施形態に係る光源装置およびその製造方法について、
図26および
図27を参照して説明する。
図26は、第3実施形態に係る光源装置を示す平面図である。
図27は、第3実施形態に係る光源装置を示す断面図であり、
図26のXXVII−XXVII線における断面を示す。
【0066】
[光源装置の構成]
光源装置100は、例えば第1実施形態に係るプリント基板10に発光素子30を実装することで構成される。また、発光素子30は、封止部材40で封止される。光源装置100の詳細な構成については、その製造方法とともに説明する。
【0067】
[光源装置の製造方法]
光源装置の製造方法は、例えば、プリント基板準備工程と、発光素子実装工程と、封止工程と、が含まれている。
プリント基板準備工程は、例えば、前記した第1実施形態に係るプリント基板の製造方法によって、プリント基板10を準備する工程である。
【0068】
発光素子実装工程は、プリント基板10に、発光素子30を実装する工程である。
発光素子30は、平面視形状が略矩形であり、基板31と、半導体積層体32と、n側パッド電極33と、p側パッド電極34とを備えている。
発光素子30は、基板31の一方の主面上に、例えば、窒化物半導体を用いた、n型半導体層と活性層とp型半導体層とを積層した半導体積層体32を備えるLEDチップである。
【0069】
本実施形態では、発光素子30は、半導体積層体32の一方の面側に隣り合う外部端子としてn側パッド電極33およびp側パッド電極34が設けられている。n側パッド電極33およびp側パッド電極34は、接合部材35を用いて、プリント基板10の各素子領域の電極パッド4a,4bに接合されている。接合部材35は、半田や異方導電性接着剤などの導電性を有する部材である。
【0070】
なお、発光素子30の実装形態は、フリップチップ実装のほか、発光素子30をダイボンド樹脂を用いてフェイスアップ型で実装し、導電性のワイヤを用いて電極パッド4a,4bと電気的に接続するようにしてもよい。
【0071】
封止工程は、発光素子30を覆うように、封止部材40を形成する工程である。プリント基板10上に実装された発光素子30は、封止部材40によって封止される。封止部材40は、透光性を有する樹脂を用いることができる。また、封止部材40に、発光素子30からの光の一部または全部を吸収して、異なる波長の光に変換する蛍光体の粒子などを含有させるようにしてもよい。封止部材40は、金型を用いた成形法や、各種の塗布法などによって形成することができる。また、封止部材40は、樹脂のポッティング等によりレンズを形成してもよい。また、板状の封止部材40を、発光素子30の上面に貼付するようにしてもよい。
【0072】
以上の工程を行うことで、第3実施形態に係る光源装置100を製造することができる。なお、封止部材は設けないようにしてもよく、封止部材に代えて、発光素子30の一部を覆う部材を設けるようにしてもよい。また、プリント基板10に代えてプリント基板10Bに発光素子30を実装するようにしてもよい。さらに、光源装置は、1または複数の発光素子30をパッケージ化した発光装置をプリント基板10,10Bに実装して構成してもよい。
【0073】
<第4実施形態>
次に、第4実施形態に係る半導体装置およびその製造方法について、
図28〜
図30を参照して説明する。
図28は、金属箔に形成された貫通孔の一例を示す平面図である。
図29は、第4実施形態に係る半導体装置のプリント基板を示す平面図である。
図30は、第4実施形態に係る半導体装置の断面図であり、
図29のXXX−XXX線における断面に相当する。なお、
図29は平面図であるが、便宜的に、上面に配置された接着剤2bよりも高い位置に配置された接着剤2aにハッチングを施して示している。
【0074】
[半導体装置の構成]
半導体装置100aは、例えば第1実施形態に係るプリント基板の製造方法で製造されたプリント基板に半導体素子30aを実装することで構成される。半導体装置100aの詳細な構成については、その製造方法とともに説明する。ここで、半導体素子は、トランジスタや、IC(integrated circuit)、LSI(large-scale integrated circuit)、VLSI(very large scale integration)、ULSI(ultra large-scale integration)などにも使用することができる。また、例えばLSIは、メモリやCPU(Central Processing Unit)として機能するものであっても構わない。
【0075】
[半導体装置の製造方法]
半導体装置の製造方法は、例えば、プリント基板準備工程と、半導体素子実装工程と、封止工程と、が含まれている。
プリント基板準備工程は、例えば、前記した第1実施形態に係るプリント基板の製造方法によって、プリント基板10Cを準備する工程である。
【0076】
プリント基板10Cは、半導体素子30aを実装するために用いられる基板である。ここでは、半導体素子30aは、平面視形状が略矩形であり、例えば、QFN(Quad Flat Non-leaded package)であるものとする。この半導体素子30aは、底面の4辺に端子として、複数のパッド電極34aを備えている。よって、この場合、プリント基板10Cは、半導体素子30aの複数のパッド電極34aがマウントする配線部である複数のマウントパッド4dを備えている。
【0077】
プリント基板10Cを製造する場合、複数のマウントパッド4dを形成できるように、貫通孔形成工程S12において、
図28に示すように、金属箔7aに櫛歯状の貫通孔8aを形成しておく。なお、
図28には、使用する金属箔の一部のエリアを拡大して示している。以下では、この一部のエリアで製造工程を簡単に説明する。
【0078】
接着工程S13では、接着剤2を介在させて、貫通孔8aが形成された金属箔7aと、絶縁層1となる絶縁材とをプレスで接着する。これにより、完成品のプリント基板10Cでは、
図30に示すように、複数のマウントパッド4dの間に接着剤2aがせり上がった状態となる。
【0079】
エッチングマスク形成工程S14では、金属箔7aの所定エリアおよび貫通孔8aをマスクで覆う。このとき、複数のマウントパッド4dとして残す領域、および貫通孔8aにエッチングマスクを施す。続いて、エッチング工程S15において、金属箔7aをエッチングすることで、複数のマウントパッド4dに分離される。
【0080】
これにより、完成品のプリント基板10Cでは、
図30に示すように、エッチングマスクで保護されていたエリアでは、マウントパッド4dの外周部がレーザーやパンチングで形成されているためマウントパッド4dの側面が略垂直となる。また、エッチングされたエリアでは、マウントパッド4dの側面の傾斜が大きくなる。また、エッチングマスクで保護されていたエリアにおける接着剤2aの高さは、エッチングにより金属箔が除去されたエリアにおける接着剤2bの高さよりも高くなる。このため、マウントパッド4dはセミアディティブ工法、サブトラクティブ工法などを用いた場合に比べ、狭隣接、狭ピッチで形成することができる。
【0081】
エッチング後に、エッチングマスクを除去することで、所定の配線パターンが形成される。以上の工程を行うことにより、プリント基板10Cを製造することができる。
なお、完成品において隣接するマウントパッド4dのピッチである幅W1aが、10μm以上50μm以下となるように櫛歯状の貫通孔8aを形成しておくことが好ましい。
【0082】
また、プリント基板10Cには、必要に応じて、内層配線60を有する多層基板やビルドアップ基板を用いることもできる。さらに貫通孔8aを用いて形成したマウントパッド4dは、基板の両面に形成することも可能である。
【0083】
半導体素子実装工程は、プリント基板10に、半導体素子30aを実装する工程である。
半導体素子30aは、例えばSi、Ga−As等からなる基板にn型半導体層と活性層とp型半導体層とを積層し配線層を形成したものである。また、半導体素子30aは、例えば薄膜金属によって形成された複数のパッド電極34aを備え、接合部材35aを用いて、プリント基板10Cの複数のマウントパッド4dに接合されている。
【0084】
以上の工程を行うことで、第4実施形態に係る半導体装置100aを製造することができる。なお、半導体素子をフリップチップ実装する代わりに、半導体素子をダイボンド樹脂を用いてフェイスアップ型で実装し、導電性のワイヤを用いてマウントパッド4dと電気的に接続するようにしてもよい。また、半導体素子を、信頼性向上のため封止部材で覆う封止工程を行うこともできる。封止工程で用いられる封止部材は、既に説明したものと同じものを使用することができる。なお、半導体素子のパッケージの種類は、QFNに限らず、他のQFP(Quad Flat Package)や、PGA(Pin Grid Array)、BGA(Ball Grid Array)等であっても構わない。
【0085】
以上、本開示に係るプリント基板、光源装置および半導体装置、ならびにそれらの製造方法について、発明を実施するための形態により具体的に説明したが、本発明の趣旨はこれらの記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて広く解釈されなければならない。また、これらの記載に基づいて種々変更、改変などしたものも本発明の趣旨に含まれることはいうまでもない。