(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記転送経路制御部は、前記マスタ基地局から受信した前記信号に設定されている前記第一識別情報と、前記システム情報を用いて生成した第一識別情報とを照合し、照合が成功した場合に前記第一識別情報に応じた前記セカンダリ基地局に前記信号を転送する、
請求項1に記載の無線通信システム。
マスタ基地局と、1以上のセカンダリ基地局と、前記マスタ基地局と前記セカンダリ基地局との間の通信を中継する中継通信装置とを有する無線通信システムにおける前記中継通信装置であって、
前記セカンダリ基地局が端末との無線通信に用いる無線アクセスネットワークを特定する第一識別情報の生成に用いられるシステム情報を、当該セカンダリ基地局に通知する宛先制御部と、
前記セカンダリ基地局が利用を許可する無線リソースを特定する第二識別情報を前記端末と無線通信する前記マスタ基地局に通知する処理と、前記マスタ基地局から受信した信号を、当該信号に設定されている前記第一識別情報又は前記第二識別情報に応じた前記セカンダリ基地局に転送する処理とを行う転送経路制御部と、
を備える中継通信装置。
マスタ基地局と、1以上のセカンダリ基地局と、前記マスタ基地局と前記セカンダリ基地局との間の通信を中継する中継通信装置とを有する無線通信システムにおける通信制御方法であって、
前記中継通信装置が、
前記セカンダリ基地局が端末との無線通信に用いる無線アクセスネットワークを特定する第一識別情報の生成に用いられるシステム情報を、当該セカンダリ基地局に通知するシステム情報通知ステップと、
前記セカンダリ基地局が、
前記中継通信装置から通知された前記システム情報に基づき前記第一識別情報を生成する第一識別情報生成ステップと、
前記第一識別情報を設定した信号を無線により前記端末に送信する第一識別情報無線送信ステップと、
利用を許可する無線リソースを特定する第二識別情報を、前記中継通信装置を介して前記マスタ基地局に通知する第二識別情報通知ステップと、
前記マスタ基地局が、
前記端末から無線により受信した前記第一識別情報の前記セカンダリ基地局の中から前記端末と通信する前記セカンダリ基地局を選択し、選択した前記セカンダリ基地局の前記第一識別情報を当該セカンダリ基地局宛ての前記信号に設定して前記中継通信装置へ送信し、選択した前記セカンダリ基地局の前記第二識別情報を前記端末宛ての前記信号に設定して前記中継通信装置へ送信する送信ステップと、
前記中継通信装置が、
前記マスタ基地局から受信した前記信号を、当該信号に設定されている前記第一識別情報又は前記第二識別情報に応じた前記セカンダリ基地局に転送する転送ステップと、
前記セカンダリ基地局が、
前記中継通信装置から転送された前記端末宛ての前記信号を無線により前記端末に送信する無線送信ステップと、
を有する通信制御方法。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を詳細に説明する。本実施形態において、無線通信システムはデュアルコネクティビティ(DC)を行い、マスタ基地局(MeNB)は、事前にセカンダリ基地局(SeNB)のIPアドレスを把握していなくても、中継通信装置を介してDCを行う対象のSeNBに制御信号及びユーザデータを転送する。
【0024】
<中継通信装置及びSeNBに関する説明>
図1は、実施形態の無線通信システム100のネットワーク構成の例を示す図である。無線通信システム100は、MeNB1とN台(Nは1以上の整数)のSeNB2の間に、中継通信装置5が介在するネットワーク構成である。同図では、N=3の場合を例に示している。n台目(nはNから1までの整数)のSeNB2を、SeNB2−nと記載する。MeNB1と中継通信装置5とは、TNLで互いの宛先が既知である。
【0025】
中継通信装置5は、DCを行うための制御信号と、分配後の下りユーザデータとをMeNB1から受信して認識し、DCを行う対象のSeNB2−1〜2−Nのいずれかに転送する装置である。中継通信装置5は、MeNB1とリンク3−1を介して接続し、リンク6−n経由でSeNB2−nと接続する。リンク3−1には、X2−IFが用いられる。同図に示す構成においてDCを行うために、MeNB1は、中継通信装置5を経由して、UD4が存在するセルのSeNB2−1〜2−Nに分配後の下りユーザデータを転送する。
図19に示すネットワーク構成と異なり、MeNB1は、SeNB2−1〜2−NのTNLの宛先情報を明示的には把握していないものとする。
【0026】
図2は、中継通信装置5の構成を示すブロック図の例であり、本実施形態と関係する機能ブロックのみを抽出して示してある。中継通信装置5は、X2−IF通信機能部501、中継通信機能部502、宛先制御部503及び転送経路制御部504を備える。中継通信装置5は、MeNB1とX2−IF通信機能部501により接続され、SeNB2と中継通信機能部502により接続される。宛先制御部503は、SeNB2との通信を確立した後、そのSeNB2が配下のUE4に対して送信する識別情報を決定する。
【0027】
中継通信装置5は、MeNB1から受信した制御信号、及び、分配後の下りユーザデータを適切なSeNB2に転送する。そのため、転送経路制御部504は、MeNB1から受信した制御信号に設定されているSeNB2の識別情報を照合し、制御信号、及び下りユーザデータの転送経路を制御する機能を有している。
【0028】
なお、
図2に示す中継通信装置5に代えて、
図3に示す構成の中継通信装置5a又は
図4に示す中継通信装置5bを用いることもできる。
図3は、中継通信装置5aの構成を示すブロック図の例であり、本実施形態と関係する機能ブロックのみを抽出して示してある。同図に示す中継通信装置5aが
図2に示す中継通信装置5と異なる点は、宛先制御部503と転送経路制御部504とが直接データを送受信する点である。転送経路制御部504は、宛先制御部503が設定した情報を受信し、保存する。
【0029】
図4は、中継通信装置5bの構成を示すブロック図の例であり、本実施形態と関係する機能ブロックのみを抽出して示してある。同図に示す中継通信装置5bが
図2に示す中継通信装置5と異なる点は、X2−IF通信機能部501と転送経路制御部504との間に、信号分離部505を備える点である。信号分離部505は、MeNB1から受信した制御信号とデータ信号を分離し、後段の転送経路制御部504に出力する。これにより、中継通信装置5bは、制御信号とデータ信号を分離し、分離後のこれら信号に対して宛先制御及び転送経路制御を行う。なお、中継通信装置5bは、
図3に示す中継通信装置5aのX2−IF通信機能部501と転送経路制御部504との間に、信号分離部505を備える構成でもよい。
【0030】
図5は、SeNB2の構成を示すブロック図の例であり、本実施形態と関係する機能ブロックのみを抽出して示してある。SeNB2は、中継通信機能部201、無線アクセス通信機能部202及びシステム情報記録部203を備える。SeNB2は、中継通信装置5と中継通信機能部201により接続され、配下のUE4と無線アクセス通信機能部202により無線で接続される。システム情報記録部203は、無線アクセス通信機能部202がUE4と通信する時に使用する無線アクセスネットワークの識別情報を記録する。無線アクセス通信機能部202は、システム情報記録部203に記録された識別情報に応じて、UE4に送信するシステム情報(例えば、RRCレイヤのSysteminformationblocktype messageまたはPHYレイヤの同期信号等)を生起する機能を有している。
【0031】
なお、
図5に示すSeNB2に代えて、
図6に示す構成のSeNB2a又は
図7に示すSeNB2bを用いることもできる。
図6は、SeNB2aの構成を示すブロック図の例であり、本実施形態と関係する機能ブロックのみを抽出して示してある。同図に示すSeNB2aが
図5に示すSeNB2と異なる点は、無線アクセス通信機能部202がシステム情報記録部203と接続されていない点である。無線アクセス通信機能部202は、中継通信機能部201を介してシステム情報記録部203とデータを送受信する。
【0032】
図7は、SeNB2bの構成を示すブロック図の例であり、本実施形態と関係する機能ブロックのみを抽出して示してある。同図に示すSeNB2bが
図5に示すSeNB2と異なる点は、中継通信機能部201がシステム情報記録部203と接続されていない点である。中継通信機能部201は、無線アクセス通信機能部202を介してシステム情報記録部203とデータを送受信する。
【0033】
図1では、中継通信装置5とSeNB2−1〜2−Nとの接続をリンク6−1〜6−Nと記載している。リンク6−1〜6−Nは、必ずしも物理的に独立している通信路である必要は無く、中継通信装置5と各SeNB2との接続関係が区別可能であればよい。リンク6−1〜6−Nの接続方式は、有線又は無線を特に問わない。リンク6−1〜6−Nは、専用回線の接続方式でもよいし、共用回線(例えば、無線周波数または光波長で多元接続)の接続方式でも構わない。
【0034】
図1に示すUE4は、DCの通信機能を有する端末装置である。UE4は、MeNB1のセルとRRC(Radio Resource Control)レイヤで接続が確立されている(RRC_CONNECTED)状態とする。UE4は、SeNB2−1〜2−Nのセルから電波の受信が可能であり、SeNB2−1〜2−Nそれぞれとの無線アクセス通信の品質を定常的に測定可能である。UE4は、MeasurementReport等のRRCメッセージを用いてMeNB1に対し、測定した品質の報告が可能である。
【0035】
<第一の実施形態>
第一の実施形態では、中継通信装置5と各SeNB2とのリンク接続が無線である。
図8は、本実施形態の中継通信装置5と複数SeNB2との接続例を示す図である。同図に示すように、中継通信装置5とSeNB2−1〜2−N(同図ではN=3)との間のリンク6−1〜6−Nは、無線通信方式の通信路である。同図に示す中継通信装置5は、
図2、3又は4に示した構成に加え、無線通信を行うための高周波回路及びアンテナ等、リンク6−1〜6−Nの中継区間で、複数SeNB2と無線通信するためのインタフェースを具備している。SeNB2−1〜2−Nは、
図5、6又は7に示したSeNB2bの構成でもよい)に加え、中継通信装置5と同様な無線通信を行うためのインタフェースを具備している。
【0036】
図9は、中継通信装置5の宛先制御部503が記憶するシステム情報テーブルの例を示す図である。システム情報テーブルは、SeNB2のSeNB番号と、当該SeNB2との間の無線の接続状況を示す通信情報と、当該SeNB2に割り当てられたシステム情報とを対応付けたデータを含む。SeNB番号は、SeNB2を個別に識別する情報である。無線の接続状況は、無線中心周波数、帯域幅番号及びアンテナ番号の情報を含む。システム情報は、各SeNB2に個別の情報である。システム情報は、SeNB2がUE4に配信する第1のシステム情報及び第2のシステム情報を含む。
【0037】
中継通信装置5の中継通信機能部502は、SeNB2−1〜2−Nとの間のリンク6−1〜6−Nの中継区間における接続状況を把握する。中継通信装置5は、中継通信機能部502に新規追加されるSeNB2と無線で通信する。そのため、中継通信機能部502は、
図9の例に示すような、無線中心周波数、帯域幅番号及びアンテナ番号等のうち少なくとも一部の通信情報をSeNB2と共有して、通信接続の合意をする。ここでは、具体的に通信接続の合意方法については指定せず、任意の方法を用いても構わない。ただし、中継通信装置5は、SeNB2と通信接続の結果を検知して、SeNB2に対して必要な制御を行えるものとする。中継通信装置5がSeNB2を制御する方法を、以下に記載する。
【0038】
中継通信装置5の宛先制御部503は、中継通信機能部502から、新規SeNB2との通信接続に関する情報(通信情報)を取得する。宛先制御部503は、取得した通信情報を利用して、新規SeNB2がUE4と無線アクセスネットワークを介して通信するときに使用するシステム情報を他のSeNB2と重複しないように設定する。宛先制御部503は、新規SeNB2のSeNB番号、通信情報、及び、システム情報を対応付けてシステム情報テーブル(
図9)に追加する。宛先制御部503は、新規SeNB2に設定したシステム情報を、中継通信機能部502を介して、新規SeNB2に配信する。
【0039】
中継通信装置5の中継通信機能部502又は宛先制御部503は、新規SeNB2との通信接続後に、そのSeNB2が帰属するネットワーク事業者の識別情報であるPLMN-IDを入手して、転送経路制御部504に保存する。また、中継通信機能部502又は宛先制御部503は、新規SeNB2に使用させるよう設定したシステム情報を、転送経路制御部504にも保存する。
【0040】
図10は、中継通信装置5が、新規接続のSeNB2に使用させるシステム情報を設定する手順の例を示すフロー図である。
中継通信装置5の中継通信機能部502は、新規接続のSeNB2との接続情報を把握する(ステップS101)。宛先制御部503は、例えば、
図9に示すように、システム情報テーブルに、無線中心周波数、帯域幅番号、またはアンテナ番号等の通信情報を保存し、さらにSeNB2に使用させるシステム情報を設定する。宛先制御部503は、SeNB2に使用させるシステム情報を、異なるSeNB2において重複しないように、中継通信機能部502が把握した接続情報に基づいて設定する(ステップS102)。
【0041】
例えば、宛先制御部503は、
図9の例に示すように、SeNB番号4のSeNB2を追加する場合、そのSeNB2と接続に使用する中心周波数f1Hzを元に、SeNB2がUE4に配信する第一のシステム情報を1と設定する。つまり中心周波数fiのとき、第一のシステム情報をiとしている。次に、宛先制御部503は、SeNB2と接続する帯域幅番号がBW1、アンテナ番号がANT2であるため、これらを元に、SeNB2がUE4に配信する第二のシステム情報を12と設定する。つまり帯域幅番号がBWj、アンテナ番号ANTkのとき、第二のシステム情報をjkとしている。このように宛先制御部503は、SeNB2同士で重複しないように第一のシステム情報及び第二のシステム情報からなるシステム情報を設定し、中継通信機能部502を介して、そのSeNB2に配信する(ステップS103)。
【0042】
上記の手順に限定せず、中継通信装置5において、異なるSeNB2に対してシステム情報が重複しないような設定または管理方法があれば、その方法を用いても構わない。また、上記では無線周波数、帯域幅及びアンテナ番号を用いてSeNB2にシステム情報を設定する方法を説明したものである。その他に、中継通信装置5がSeNB2を無線の物理回線上で一意に識別できる情報があれば、例えば通信時に用いられるタイムスロット、符号化種別、送信電力等の情報を利用しても構わない。
【0043】
[SeNB2における無線アクセスネットワークの識別情報設定方法]
図11は、新規SeNB2が中継通信装置5から、上述のシステム情報を受信した後の動作の例を示すフロー図である。SeNB2は、中継通信装置5からシステム情報を受信した後(ステップS201)、システム情報記録部203が保持する第一のシステム情報及び第二のシステム情報を、受信したシステム情報により更新する(ステップS202)。その後、システム情報記録部203は、更新した第一のシステム情報と第二のシステム情報とを用いて、UE4へ送信する、無線アクセスネットワークに関する識別情報を生成する(ステップS203)。無線アクセス通信機能部202は、UE4に向け無線を送信するときに、ステップS203において生成された識別情報を設定する(ステップS204)。
【0044】
SeNB2がUE4へ送信する無線アクセスネットワークに関する識別情報として、標準規格で規定されたeNBのPHYレイヤにおける同期信号Primary synchronization signal、及び、Secondary synchronization signalがある(参考文献1「3GPP TS 36.211 version 12.8.0 Release 12,2016年1月」のp.111-114参照)。eNBでは3種類のPrimary synchronization signalと、168種類のSecondary synchronization signalとから、最大504種類の重複しない同期信号の組み合わせを選択可能である。
【0045】
ステップS203において、SeNB2のシステム情報記録部203は、中継通信装置5から受信したシステム情報に含まれる第一のシステム情報と第二のシステム情報を用いて、Primary synchronization signalとSecondary synchronization signalとを紐付し、重複しないような同期信号の組み合わせを生成する。例えば、
図9に示すSeNB番号4のSeNB2が利用する第一のシステム情報は1のため、ステップS204において、無線アクセス通信機能部202は、1番のPrimary synchronization signalをUE4に送信する。また、第二のシステム情報は12のため、ステップS204において、無線アクセス通信機能部202は、12番のSecondary synchronization signalをUE4に送信する。
【0046】
上記処理に加え、SeNB2は無線アクセス通信機能部202を介して、UE4に対して無線アクセスネットワークに関わる他の識別情報をさらに送信する。参考文献2「3GPP TS 36.331 version 13.5.0 Release 13,2017年4月」のp.263には、RRCレイヤにおけるSysteminformationblocktype1 Messageが示されている。SystemInformationBlockType1 MessageのPLMN-IDentityListには、SeNB2が帰属する事業者を判断するための識別情報PLMN-IDが記載される。識別情報PLMN-IDは、重複しないように事業者に割り付けられている。UE4は、識別情報PLMN-IDを参照して、どの事業者のSeNB2の無線アクセスネットワーク情報を受信したかの判断が可能である。
【0047】
[UE4がSeNB2の無線アクセスネットワークに関する情報をMeNB1に向け報告する動作の説明]
UE4は、SeNB2から受信した同期信号Primary synchronization signalとSecondary synchronization signalを利用して、その組合せと紐付けされたphysical layer cell IDを計算して、そのSeNB2との無線アクセス通信品質を計測することが可能である。UE4は、参考文献2のp.148-151に示されるように、SeNB2との無線アクセス通信品質の計測結果を、RRCレイヤのMeasurementReport MessageのMeasResultsに設定してMeNB1に送信することより、MeNB1に各SeNB2との無線アクセス通信品質に関わる情報を報告する。具体的には、UE4は、MeasResultsのPLMN-IDentityListにSeNB2のPLMN-IDを記載し、MeasResultsのPhysCellIdに、physical layer cell IDを記載する。
【0048】
[中継通信装置5がMeNB1に無線アクセスネットワークの無線リソースについて報告する動作の説明]
中継通信装置5は、新規SeNB2との接続を確立した上で、上記のステップS103のように第一のシステム情報と第二のシステム情報を対象のSeNB2に送信したのち、MeNB1に対して無線アクセスネットワークのリソースを追加する旨を報告する。
【0049】
報告方法の一例として、例えば参考文献3「3GPP TS 36.423 version 13.7.0 Release 13,2017年8月」のp.27,64,107-109に示した方法がある。この方法では、中継通信装置5の転送経路制御部504は、X2 SETUP REQUEST MessageのGlobal eNB IDのIEに、追加されたSeNB2に関するPLMN-IDを設定し、PCIのIEに、そのSeNB2のphysical layer cell IDを設定して、MeNB1に報告する。
【0050】
MeNB1は、こうした中継通信装置5からの報告を元に、新規SeNB2との接続により無線アクセスネットワークのリソースが追加されたことを判断できる。MeNB1は、複数の中継通信装置5が同時に接続されても、それぞれの中継通信装置5においてどの無線リソースが存在するかの判断が可能である。
【0051】
中継通信装置5の配下からSeNB2が撤去された場合、中継通信装置5は、
図9に示した管理テーブルから、撤去されたSeNB2と、そのSeNB2に割当したシステム情報とを削除すると共に、参考文献3のp.30-31,p.66-69に記載のように、MeNB1に対して無線リソースの変更を通知することが可能である。
【0052】
[MeNB1と中継通信装置5との通信方法の説明]
図1に示すMeNB1は、UE4から複数SeNB2それぞれとの無線アクセス通信品質に関わる情報を受信後、DCを行うSeNB2を選択する。MeNB1は、この選択を、中継通信装置5から受信した無線アクセスネットワークにおける無線リソースの情報と、UE4への転送が必要な下りのユーザデータ量とに応じて行う。MeNB1は、中継通信装置5を介して、その選択したSeNB2の無線リソースを確保する。この通信手順のシーケンス例を
図12に示す。
【0053】
[中継通信装置5における制御信号の識別及び転送]
図12は、MeNB1と中継通信装置5との通信手順の例を示すシーケンス図である。UE4は、各SeNB2からの無線の受信・測定結果を、MeasurementReport MessageによりMeNB1に伝送する(ステップS301)。UE4は、このMeasurementReport Messageに、SeNB2のPLMN-ID、及び、physical layer cell IDの情報も設定する。MeNB1は、非特許文献1のp.103-104に示される通り、DCの対象となり得るSeNB2宛てのSeNB Addition Request Messageを、中継通信装置5に送信する(ステップS302)。SeNB Addition Request Messageの内容は、参考文献3のp.83、及び、参考文献2のp.571-574に示される通りである。MeNB1は、このSeNB Addition Request MessageにPLMN-ID、及び、physical layer cell IDの情報を設定する。
【0054】
中継通信装置5の転送経路制御部504は、ステップS302においてMeNB1から送信されたSeNB Addition Request Messageを受信すると、この受信したMessageを宛て先のSeNB2に転送するために経路制御処理を行う。転送経路制御部504は、MeNB1からの受信信号から、経路制御を行うための情報を抽出し、抽出した情報に基づいて受信信号をSeNB2へ転送する。
【0055】
図13は、中継通信装置5の転送経路制御部504における経路制御処理を示すフロー図である。まず、転送経路制御部504は、X2−IF通信機能部501から入力されたSeNB Addition Request Messageから、PLMN-IDと、SCG-ConfigInfoに含まれているPhysCellIdとの情報を抽出する(ステップS401)。PhysCellIdには、MeNB1が設定したphysical layer cell IDが記述されている。転送経路制御部504は、抽出したPLMN-IDと同じ情報を、自機能部に保有しているか否かを確認する。転送経路制御部504は、同じPLMN-IDの情報を保有していると判断した場合、第一のシステム情報及び第二のシステム情報を用いて、UE4と同様の方法によりPhysCellIdを計算し、抽出したPhysCellIdと一致するか否かを確認する(ステップS402)。
【0056】
転送経路制御部504は、ステップS401において抽出したPLMN-IDを保有しており、かつ、計算したPhysCellIdが抽出されたPhysCellIdと一致すると判断した場合(ステップS402:YES)、抽出した情報が一致するSeNB2が中継通信装置5の配下に存在すると判断する。転送経路制御部504は、中継通信機能部502を介して、抽出した情報(PLMN-ID及びPhysCellId)に対応するSeNB2にSeNB Addition Request Messageを転送する(
図13のステップS403、
図12のステップS303)。
【0057】
なお、転送経路制御部504は、ステップS402において抽出したPLMN-IDを保有していない、又は、計算したPhysCellIdが抽出されたPhysCellIdと一致しないと判断した場合(ステップS402:NO)、転送対象のSeNB2が配下に存在しないと判断する。この場合、転送経路制御部504は、制御失敗の応答であるSeNB Addition Request Reject Messageを生成し、MeNB1に送信する(ステップS404)。
【0058】
図12のステップS303において中継通信装置5が転送したSeNB Addition Request Messageを受信したSeNB2の無線アクセス通信機能部202は、当該Messageの受信後に、MeNB1から要求された無線リソースを提供可能か判断する。SeNB2の無線アクセス通信機能部202は、提供可能と判断した場合、中継通信機能部201を介して中継通信装置5にSeNB Addition Request Acknowledge Messageを送信し、MeNB1に許可通知を行う(ステップS304)。SeNB Addition Request Acknowledge Messageには、使用を許可する無線リソースを表す情報として、E-RAB IDが設定される。E-RAB IDは、無線アクセスベアラ(E−RAB)を特定する情報である。
【0059】
中継通信装置5の転送経路制御部504は、SeNB2からSeNB Addition Request Acknowledge Messageを受信すると、当該Messageから許可されたE-RAB IDを読み出す。転送経路制御部504は、SeNB番号と、読み出したE-RAB IDとを紐付けて記録する(ステップS305)。
【0060】
図14は、転送経路制御部504が保持する無線リソース情報の例を示す図である。同図に示すように、無線リソース情報は、SeNB番号と、当該SeNB番号のSeNB2において許可されたベアラIDとを紐付けたテーブルである。無線リソース情報のベアラIDには、E-RAB IDが設定される。
【0061】
図12に示すように、転送経路制御部504は、E-RAB IDの記録後、SeNB2から受信したSeNB Addition Request Acknowledge MessageをMeNB1に転送する(ステップS306)。MeNB1は、中継通信装置5から受信したSeNB Addition Request Acknowledge Messageの内容に応じ、配下のUE4にRRC Connection Reconfigurationを行い、SeNB2の使用可能な無線リソースをUE4に追加させる。UE4における無線リソース追加完了後、MeNB1はSeNB Reconfiguration Complete Messageを中継通信装置5に送信する(ステップS307)。
【0062】
中継通信装置5は、上記と同様に
図13に示す方法によって、SeNB Reconfiguration Complete Messageを対象SeNB2に転送する(ステップS308)。DCを行うSeNB2は、SeNB Reconfiguration Complete Messageを受信した後、DCを行うUE4との間で標準規格通りに、無線アクセス通信の区間でL1/L2 Random Accessの手順を実施する(ステップS309)。この手順が完了すると、DC対象のSeNB2は、UE4との通信ができるようになる。
【0063】
なお、DCを行うために、その他の制御信号も存在する。その他の制御信号にPLMN-ID及びSCG-ConfigInfoの情報が含まれている場合、上記と同様の手順によって、UE4に対して無線リソースの追加と変更を行うことが可能である。
【0064】
上記のステップS301〜S309の手順が実行された後、MeNB1はSN Status Transfer Messageを送信し、中継通信装置5はそれを受信する(ステップS310)。SN Status Transfer Messageには、MeNB1からSeNB2により許可されたE-RAB IDが含まれている。中継通信装置5の転送経路制御部504は、SN Status Transfer Message内のE-RAB IDを認識して、ステップS305において紐付されたSeNB2に転送する(ステップS311)。
【0065】
[中継通信装置におけるユーザデータの識別及び転送]
MeNB1は、UE4宛ての下りのユーザデータを自装置から送信するユーザデータと、SeNB2から送信するユーザデータとに分割する。MeNB1は、SeNB2から送信するユーザデータにE-RAB IDを設定し、中継通信装置5に送信する。中継通信装置5がMeNB1から下りのユーザデータを受信すると、転送経路制御部504は、そのユーザデータのヘッダに含まれたE-RAB IDを確認して、上記のSN Status Transfer Messageと同様に、DCを行う対象SeNB2にそのユーザデータを転送する(ステップS312〜S313)。SeNB2は、中継通信装置5から転送された下りのユーザデータをE-RAB IDの無線リソースを用いてUE4に送信する。一方で、MeNB1は、自装置から送信する下りのユーザデータを無線によりUE4に送信する。
【0066】
<第二の実施形態>
本発明の第二の実施形態を説明する。
図15は、本実施形態による中継通信装置5と複数SeNB2との接続例を示す図である。本実施形態の無線通信システムにおけるMeNB1、中継通信装置5、及び、SeNB2−1〜2−N(同図ではN=3)の全体ネットワーク構成は、
図1に示す無線通信システム100と同様である。ただし、中継通信装置5とSeNB2−1〜2−Nとの接続構成は、
図15に示すように、光ファイバによる1対多の接続である。この接続には、例えば、PON(Passive Optical Network;受動光ネットワーク)が用いられる。以下、第一の実施形態との差分を中心に説明する。
【0067】
図16は、同実施形態による中継通信装置5が記憶するシステム情報テーブルの例を示す図である。本実施形態の中継通信装置5は、
図9に示すシステム情報テーブルに代えて、
図16に示すシステム情報テーブルを生成し、保持する。
図16に示すシステム情報テーブルに設定されるSeNB番号、第一のシステム情報及び第二のシステム情報は、
図9に示すシステム情報テーブルと同様である。
【0068】
中継通信装置5の中継通信機能部502は、新規追加されるSeNB2と光ファイバで通信するため、
図16に示すような、光の波長、通信時に使用するタイムスロット位置などの通信情報をSeNB2と共有して、通信接続の合意をする。
図16に示すシステム情報テーブルには、SeNB2と共有したこの通信情報が設定される。本実施形態では、具体的な通信接続の合意方法については指定せず、任意の方法を用いても構わない。
【0069】
第二の実施形態においては、第一の実施形態と同様な方法で、SeNB2に使用させるシステム情報を設定する。
図10及び
図16を用いてこの設定手順を説明する。
中継通信装置5の中継通信機能部502は、SeNB2との接続情報を把握する(ステップS101)。宛先制御部503は、例えば
図16に示すように、システム情報テーブルに、波長番号、タイムスロット番号等の通信情報を保存し、さらに、SeNB2に使用させるシステム情報を設定する。宛先制御部503は、使用させるシステム情報を、異なるSeNB2において重複しないように設定する(ステップS102)。
【0070】
例えば、宛先制御部503は、
図16の例に示すように、SeNB番号3のSeNB2を追加する場合、そのSeNB2との接続に使用する波長W1を元に、SeNB2がUE4に配信する第一のシステム情報を1と設定する。次に、宛先制御部503は、SeNB2との接続に使用するタイムスロットT26を元に、SeNB2がUE4に配信する第二のシステム情報を26と設定する。このように宛先制御部503は、SeNB2同士の間で重複しないように設定した第一のシステム情報及び第二のシステム情報からなるシステム情報を設定し、中継通信機能部502を介して、そのSeNB2に配信する(ステップS103)。
【0071】
なお、上記の手順に限定せず、中継通信装置5において、異なるSeNB2に対してシステム情報が重複しないような設定または管理方法があれば、その方法を用いても構わない。また、上記では波長、タイムスロット番号を用いてSeNB2にシステム情報を設定する方法を説明したものである。その他に、中継通信装置5がSeNB2を有線の物理回線上で一意に識別できる情報があれば、例えば通信時に用いられる符号化種別、送信電力等の情報を利用しても構わない。
【0072】
[SeNB2における無線アクセスネットワークの識別情報設定方法]
SeNB2における無線アクセスネットワークの識別情報設定方法、及び、設定された識別情報がUE4、MeNB1経由で中継通信装置5に到達する一連の動作は、第二の実施形態と第一の実施形態とで同様のため、詳細な説明を省略する。
【0073】
<第三の実施形態>
本発明の第三の実施形態を説明する。
図17は、本実施形態による中継通信装置5と複数SeNB2との接続例を示す図である。本実施形態の無線通信システムにおけるMeNB1、中継通信装置5、及び、SeNB2−1〜2−N(同図ではN=3)の全体ネットワーク構成は、
図1に示す無線通信システム100と同様である。ただし、
図17に示すように、中継通信装置5とSeNB2−1〜2−Nとは、レイヤ2ネットワークにより接続されている。つまり、中継通信装置5とSeNB2−1〜2−Nとの接続は、VLANのタグによる論理回線を用いた1対多の接続とする。以下、第一の実施形態との差分を中心に説明する。
【0074】
図18は、同実施形態による中継通信装置5が記憶するシステム情報テーブルの例を示す図である。本実施形態の中継通信装置5は、
図9に示すシステム情報テーブルに代えて、
図18に示すシステム情報テーブルを生成し、保持する。
図18に示すシステム情報テーブルに設定されるSeNB番号、第一のシステム情報及び第二のシステム情報は、
図9に示すシステム情報テーブルと同様である。
【0075】
中継通信装置5の中継通信機能部502は、新規追加されるSeNB2と論理回線で通信するため、
図18に示すような、接続ポート、及びその接続ポートの下で通信するためのVLANタグなどの通信情報をSeNB2と共有して、通信接続の合意をする。
図18に示すシステム情報テーブルには、SeNB2と共有したこの通信情報が設定される。本実施形態では、具体的な通信接続の合意方法については指定せず、任意の方法を用いても構わない。
【0076】
第三の実施形態においては、第一の実施形態と同様な方法で、SeNB2に使用させるシステム情報を設定する。
図10及び
図18を用いてこの設定手順を説明する。
中継通信装置5の中継通信機能部502は、SeNB2との接続情報を把握する(ステップS101)。宛先制御部503は、例えば
図18に示すように、システム情報テーブルに接続ポート番号、VLANタグ番号等の通信情報を保存し、さらに、SeNB2に使用させるシステム情報を設定する。宛先制御部503は、使用させるシステム情報を、異なるSeNB2において重複しないように設定する(ステップS102)。
【0077】
例えば、宛先制御部503は、
図18の例に示すように、SeNB番号3のSeNB2を追加する場合、そのSeNB2との接続に使用するポートP2を元に、SeNB2がUE4に配信する第一のシステム情報を2と設定する。次に、宛先制御部503は、SeNB2との接続に使用するVLANタグ10を元に、SeNB2がUE4に配信する第二のシステム情報を10と設定する。このように宛先制御部503は、SeNB2同士の間で重複しないように設定した第一のシステム情報、及び第二のシステム情報からなるシステム情報を設定し、中継通信機能部502を介して、そのSeNB2に配信する(ステップS103)。
【0078】
なお、上記の手順に限定せず、中継通信装置5において、異なるSeNB2に対してシステム情報が重複しないような設定または管理方法があれば、その方法を用いても構わない。また、上記では接続ポート番号、VLANタグ番号を用いてSeNB2にシステム情報を設定する方法を説明したものである。その他に、中継通信装置5とSeNB2を論理回線上で一意に識別できる情報があれば、その識別子情報を利用しても構わない。
【0079】
[SeNB2における無線アクセスネットワークの識別情報設定方法]
SeNB2における無線アクセスネットワークの識別情報設定方法、及び、設定された識別情報がUE4、MeNB1経由で中継通信装置5に到達する一連の動作は、第三の実施形態と第一の実施形態とで同様であるため、詳細な説明を省略する。
【0080】
<第四の実施形態>
本発明の第四の実施形態を説明する。以下では、第四の実施形態と第一〜第三の実施形態との差分を記載する。
【0081】
[SeNB2における無線アクセスネットワークの識別情報設定方法]
本実施形態では、SeNB2が、中継通信装置5から受信したシステム情報を元に、CSG-IDを生成する方法について説明する。CSG-IDは、28ビットの識別情報であり、RRCレイヤでSYSTEMINFORMATIONBLOCKTYPE1に記載されており、SeNB2がカバレッジ内のUE4に対して送信できる。
【0082】
例えば、
図9に示すシステム情報では、SeNB番号1のSeNB2がUE4に配信する第一のシステム情報は0であり、第二のシステム情報は11である。この場合、生成するCSG-IDの左から起算する第一の桁を0とし、第二及び第三の桁を11として割当することが可能である。このようにSeNB2のシステム情報記録部203は、他のSeNB2とは異なるCSG-IDを生成し、無線アクセス通信機能部202からUE4に無線により送信する。
【0083】
[UE4がSeNB2の無線アクセスネットワークに関する情報をMeNB1に向け報告する動作の説明]
UE4は、受信したPHYレイヤの信号電力、及びRRCレイヤのSYSTEMINFORMATIONBLOCKTYPE1に記載されるCSG-IDを含め、SeNB2との無線アクセス通信品質の計測結果を、RRCレイヤのMeasurementReport MessageのMeasResultsに設定し、MeNB1に送信する。これにより、UE4は、そのSeNB2との無線アクセス通信品質に関する情報をMeNB1に報告する。
【0084】
[中継通信装置5がMeNB1に無線アクセスネットワークの無線リソースについて報告する動作の説明]
中継通信装置5は、新規SeNB2との接続が確立した上で、上述したステップS103のように第一のシステム情報と第二のシステム情報を対象のSeNB2に送信したのち、MeNB1に対して無線アクセスネットワークのリソースを追加する旨を報告する。この報告方法の一例として、例えば参考文献3のp.27,64,107-109に示した方法で、X2 SETUP REQUEST MessageによりMeNB1に報告する。すなわち、中継通信装置5の転送経路制御部504は、X2 SETUP REQUEST Messageに、追加されたSeNB2に関するPLMN-ID及びCSG-IDを設定し、MeNB1に送信する。PLMN-IDは、Global eNB IDのIEに設定される。
【0085】
MeNB1は、こうした中継通信装置5からの報告を元に、新規SeNB2との接続により無線アクセスネットワークのリソースが追加されたことを認識できる。MeNB1は、複数の中継通信装置5が同時に接続されても、それぞれの中継通信装置5においてどの無線リソースが存在するかの判断が可能である。
【0086】
なお、中継通信装置5の配下からSeNB2が撤去された場合、中継通信装置5は、
図9に示した管理テーブルから、対象SeNB2とそのSeNB2に割当したシステム情報を削除すると共に、参考文献3のp.30-31,66-69のように、MeNB1に対して無線リソースの変更を通知することが可能である。
【0087】
[MeNB1と中継通信装置5との通信方法の説明]
図1に示すMeNB1は、UE4からSeNB2−1〜2−Nそれぞれとの無線アクセス通信品質に関わる情報を受信後、中継通信装置5から受信した無線アクセスネットワークにおける無線リソースの情報と、UE4へ送信必要なユーザデータ量とに応じて、DCを行うSeNB2を選択する。MeNB1は、中継通信装置5を介して、その選択したSeNB2の無線リソースを確保する。
【0088】
SeNB2の無線リソースを確保するために、MeNB1は、
図12のステップS302で送信するSeNB Addition Request Messageに、SCG-ConfigInfoのSpareのIEとしてDC対象のSeNB2のCSG-IDを記述して、中継通信装置5に送信する。中継通信装置5は、こうしたCSG-IDを元に、配下SeNB2に必要な制御信号を転送する。
【0089】
中継通信装置5の転送経路制御部504は、
図12のステップS304においてDC対象のSeNB2からSeNB Addition Request Acknowledgement Messageの許可通知を受信した場合、該当のE-RAB番号、及びCSG-IDの情報を保持する。その後、中継通信装置5の転送経路制御部504は、Addition Request Acknowledgement MessageをMeNB1に転送する。
【0090】
MeNB1は、次にユーザデータを中継通信装置5に対して転送する。MeNB1は、その際、ユーザデータにE-RABの番号を記述する。そのため、中継通信装置5の転送経路制御部504は、そのE-RABの番号と、配下のSeNB2のCSG-IDとの紐付関係からDC対象のSeNB2を特定し、ユーザデータを転送する。
【0091】
本実施形態によれば、MeNB1と複数SeNB2との間に、IPレイヤでの接続・リンク維持が無くても、MeNB1とSeNB2とがUE4に対して下りのキャリアアグリゲーションを行うために必要な制御信号や、ユーザトラヒックを中継通信装置経由で転送することが可能となるという効果がある。具体的な手法は、中継通信装置5は、本来モバイル通信システムの制御信号、もしくはユーザトラヒックに含まれたメッセージやヘッダの情報を抽出し、複数SeNB2へ転送時の経路制御方法を提供する。
【0092】
上述した実施形態によれば、無線通信システムは、端末と無線通信するマスタ基地局と、端末と無線通信可能な1以上のセカンダリ基地局と、マスタ基地局とセカンダリ基地局との間の通信を中継する中継通信装置とを有する。中継通信装置とセカンダリ基地局とは、例えば、無線、光ファイバ、又は、論理回線により接続される。
【0093】
中継通信装置は、宛先制御部及び転送経路制御部を備える。宛先制御部は、セカンダリ基地局が端末との無線通信に用いる無線アクセスネットワークを特定する第一識別情報の生成に用いられるシステム情報を、当該セカンダリ基地局に通知する。宛先制御部は、例えば、中継通信装置とセカンダリ基地局の通信に使用される情報に基づいて、当該セカンダリ基地局のシステム情報を生成する。転送経路制御部は、セカンダリ基地局が利用を許可する無線リソースを特定する第二識別情報をマスタ基地局に通知する。また、転送経路制御部は、マスタ基地局から受信した信号を、当該信号に設定されている第一識別情報又は第二識別情報に応じたセカンダリ基地局に転送する。このとき、転送経路制御部は、マスタ基地局から受信した信号に設定されている第一識別情報と、システム情報を用いて生成した第一識別情報とを照合し、照合が成功した場合に第一識別情報に応じたセカンダリ基地局に信号を転送してもよい。
【0094】
セカンダリ基地局は、第一識別情報生成部と、第二識別情報通知処理と、無線アクセス通信機能部とを備える。第一識別情報生成部は、中継通信装置から通知されたシステム情報に基づき第一識別情報を生成する。第一識別情報生成部は、例えば、システム情報記録部203である。第二識別情報通知部は、利用を許可する無線リソースの第二識別情報を、中継通信装置を介してマスタ基地局に通知する。第二識別情報通知部は、例えば、無線アクセス通信機能部202である。無線アクセス通信機能部は、第一識別情報を設定した信号及び中継通信装置から転送された端末宛ての信号を無線により端末に送信する。端末は、各セカンダリ基地局から第一識別情報を設定した信号を無線により受信し、第一識別情報と、当該第一識別情報のセカンダリ基地局との間の無線品質の測定結果を示す情報とを無線によりマスタ基地局へ送信する。
【0095】
マスタ基地局の送信部は、端末から受信した第一識別情報のセカンダリ基地局の中から、端末と通信するセカンダリ基地局を選択する。送信部は、選択したセカンダリ基地局宛ての信号に当該セカンダリ基地局の第一識別情報を設定して中継通信装置へ送信する。また、送信部は、端末宛ての信号に、選択したセカンダリ基地局の第二識別情報を設定して中継通信装置へ送信する。
【0096】
第一識別情報には、例えば、Physical Cell ID又はCSG-IDと、PLMN-IDとを用いることができる。なお、システム情報から生成されるPrimary synchronization signal及びSecondary synchronization signalは、Physical Cell IDに変換可能であるため、これらも第一識別情報とみなすことができる。第二識別情報には、例えば、E-RAB IDを用いることができる。
【0097】
なお、MeNB1、SeNB2、2a、2b、及び、中継通信装置5、5a、5bの各機能の全て又は一部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やPLD(Programmable Logic Device)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアを用いて実現されても良い。MeNB1、SeNB2、2a、2b、及び、中継通信装置5、5a、5bは、バスで接続されたCPU(Central Processing Unit)やメモリや補助記憶装置などを備え、プログラムを実行することによって上述した機能を備える装置として機能する。プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されても良い。コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置である。プログラムは、電気通信回線を介して送信されても良い。
【0098】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。