(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面に基づいて本発明を詳細に説明する。なお、以下の説明では、必要に応じて特定の方向や位置を示す用語(例えば、「上」、「下」、及びそれらの用語を含む別の用語)を用いるが、それらの用語の使用は図面を参照した発明の理解を容易にするためであって、それらの用語の意味によって本発明の技術的範囲が制限されるものではない。また、複数の図面に表れる同一符号の部分は同一もしくは同等の部分又は部材を示す。また、各部材は、硬化の前後において、また、切断の前後等において、状態や形状等が異なる場合であっても同じ名称を用いるものとする。
【0010】
さらに以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するための発光モジュールを例示するものであって、本発明を以下に限定するものではない。また、以下に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、特定的な記載がない限り、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、例示することを意図したものである。また、一の実施の形態、実施例において説明する内容は、他の実施の形態、実施例にも適用可能である。また、図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため、誇張していることがある。
【0011】
(発光モジュール)
本実施形態の発光モジュールの構成を
図1A、
図1Bに示す。
図1Aは、本実施形態にかかる発光モジュール100の模式平面図である。
図1Bは、本実施形態にかかる発光モジュール100を示す一部拡大模式断面図である。
図1Cは、実施形態にかかる導光板10の第1主面11の光学機能部111と、第2主面12の位置決め部121の一例を示す一部拡大模式平面図と一部拡大模式断面図である。
【0012】
発光モジュール100は、導光板10と、複数の導光板10に接合された複数の発光素子30とを備える。複数の発光素子30は導光板10の第2主面12上にマトリクス状に配置されている。発光モジュール100の導光板10は、発光面となる第1主面11と、第1主面11と反対側の第2主面12と、を備える。第2主面12には、接合部材20によって発光素子30が接合されている。
図1Bに示す例では、導光板10は第2主面12に位置決め部121として凹部を備えており、さらに凹部の内部には波長変換部材60を備えている。
【0013】
尚、位置決め部(凹部)121及び波長変換部材60は省略してもよい。例えば、
図1Dに示す発光モジュール100Aは、導光板10Aの第2主面12Aは凹部を備えておらず平坦な面である。そのため波長変換部材60の側面は被覆部材40Aで被覆されている。また、
図1Eに示す発光モジュール100Bは、導光板10Aは
図1Dに示す例と同様に凹部を備えておらず、第2主面12Aは平坦であり、さらに、波長変換部材を備えていない。そのため、発光素子30と導光板10Aの間には接合部材20のみが存在する。
【0014】
このような発光モジュールは、以下の工程を備える製造方法により得ることができる。
発光モジュールの製造方法は、
(1)半導体積層体と電極とを備える発光素子を準備する工程
(2)発光面となる第1主面と、第1主面と反対側の第2主面と、を備える導光板を準備する工程
(3)導光板の第2主面上に、複数の接合部材を配置する工程
(4)複数の接合部材の上面の高さを揃える工程
(5)各接合部材上に、電極を上にして発光素子を載置する工程
(6)電極を含む発光素子を被覆する被覆部材を配置する工程
(7)電極が露出するまで被覆部材を除去する工程
(8)複数の発光素子を電気的に接続する導電部材を形成する工程
を備える。
【0015】
本開示に係る発光モジュールは、導光板上に発光素子を接合しているため、薄型化が可能となる。また、導光板上に発光素子を搭載し、接着するため、基板上に発光素子を実装したものと導光板とを組み合わせる場合と比べ、発光素子と導光板と位置ずれが発生しづらい。これにより、良好な光学特性を備える発光モジュールとすることができる。さらに、接合部材の高さを揃えることで、発光素子の高さバラつきを低減することができる。そのため、導光板に反りがある場合等においても、被覆部材の除去により電極を露出させる工程において確実に電極を露出させることができる。
【0016】
本実施形態にかかる発光モジュール100の製造方法の各工程について、以下に詳述する。
図2A〜
図2Kに本実施形態の発光モジュールの製造方法の一例を示す。
【0017】
(1)半導体積層体と電極とを備える発光素子を準備する工程
発光素子30は、発光モジュール100の光源である。発光素子30は、複数が1つの導光板10に接合される。発光モジュール100の大きさや目的とする光学特性に応じて、必要な発光素子を準備する。発光素子は、半導体成長等の工程を経るなど、製造工程の一部又は全部を経ることで準備することができ、あるいは、購入等により準備してもよい。
【0018】
(2)発光面となる第1主面と、第1主面と反対側の第2主面と、を備える導光板を準備する工程
図2Aに示すように、導光板10を準備する。導光板10は、発光素子30からの光を面状に広げる部材であり、光取り出し面である第1主面11と、その反対側に位置する第2主面12とを備えた略板状の部材である。
【0019】
導光板10は、
図2Aに示すように、第1主面11に円錐状に凹んだ光学機能部111を備えてもよい。さらに、導光板10は第2主面12に開口が略四角形の凹部(位置決め部)121を備えてもよい。
【0020】
拡散部材や波長変換部材を備える場合は、
図2Bに示すように、導光板10の第2主面12の凹部121内に、拡散部材60を配置する工程を備える。拡散部材60は、発光素子からの光を拡散させる部材である。拡散部材60は、例えば、光拡散物質と樹脂材料との混合材料である。拡散部材60は、さらに、発光素子からの光を吸収して異なる波長の光に変換する蛍光体を含む波長変換部材であってもよい。
【0021】
拡散部材60の配置方法としては、例えば、液状の拡散部材の材料をポッティング、印刷、スプレー等で第2主面12上、又は第2主面12に設けた凹部121内に配置する方法が挙げられる。この場合、凹部121内に入らなかった余分の拡散部材の材料がある場合は、凹部121外の拡散部材の材料を第2主面12上から除去してもよい。
図2Bに示す例では、第2主面12上に配置した拡散部材の材料を、スキージ80を用いて凹部121内に配置している。そして、液状の拡散部材の材料を硬化させることで、
図2Bに示すように、位置決め部121内のそれぞれに、拡散部材60形成する。
【0022】
また、あらかじめ板状等に成形された拡散部材60の成形品を準備し、位置決め部121に載置する方法を用いてもよい。拡散部材60の成形品の形成方法は、例えば、大面積の板状又はシート状の拡散部材を、切断、パンチング等によって個片化する方法が挙げられる。あるいは、金型等を用いて射出成形、トランスファモールド法、圧縮成形などの方法によって小片の拡散部材60の成形品を形成することができる。拡散部材60の成形品は、接着剤等を用いて位置決め部(凹部)121内、又は、導光板10の第2主面12上に接着することができる。
【0023】
(3)導光板の前記第2主面上に、複数の接合部材を配置する工程
次に、
図2Cに示すように、それぞれの拡散部材60の上に液状の接合部材20をそれぞれ塗布する。接合部材20は、ポッティング、転写、印刷等の方法で塗布することができる。
図2Cでは、ディスペンスノズル81を用いてポッティングすることで接合部材20を塗布する場合を例示しており、塗布された接合部材20の上面21は、凸曲面状となっている。
【0024】
(4)複数の接合部材の上面の高さを揃える工程
次に、
図2Dに示すように、複数の接合部材の上面の高さを揃える。ここでは、砥石等の研削部材82を用いて接合部材を研削している。これにより、
図2Eに示すように、接合部材20の上面21の高さを揃えている。尚、ここでの「高さ」とは、接合部材20の厚みを指すものではなく、上面21の位置を指す。また、接合部材20を押圧することで、その上面の高さを揃えてもよい。
【0025】
(5)各接合部材上に、電極を上にして発光素子を載置する工程
次に、
図2Fに示すように、それぞれの接合部材20の上面21に発光素子30を載置する。この時、電極32(電極形成面312)を上に発光素子30を載置する。つまり、主発光面311を接合部材20の上面21と対向するように載置する。その後、接合部材を硬化させ、発光素子30と導光板10とを接合する。
【0026】
複数の発光素子30は、導光板10の平面視において、二次元に配列される。好ましくは、複数の発光素子30は、
図1Aに示すように、直交する二方向、つまり、x方向(横方向)およびy方向(縦方向)に沿って二次元的に配列される。複数の光学機能部111に対応するように配置される複数の発光素子30のx方向の配列ピッチとy方向の配列ピッチは、同じであってもよいし、異なっていてもよい。また、配列の二方向は、直交していなくてもよい。また、x方向またはy方向の配列ピッチは等間隔に限られず、不等間隔であってもよい。例えば、導光板10の中央から周辺に向かって間隔が広くなるように発光素子30が配列されていてもよい。なお、発光素子30間のピッチとは、発光素子30の光軸間の距離である。発光素子30間のピッチは、例えば、0.05mm〜20mm程度とすることができ、1mm〜10mm程度が好ましい。
【0027】
(6)電極を含む発光素子を被覆する被覆部材を配置する工程
次に、
図2Gに示すように、導光板10の第2主面12と複数の発光素子30とを被覆する被覆部材40を形成する。被覆部材40は、例えばトランスファモールド、ポッティング、印刷、スプレー等の方法で形成することができる。この時、発光素子30の電極32の上面を完全に被覆するように被覆部材40を厚く形成する。
【0028】
(7)電極が露出するまで被覆部材を除去する工程
次に、
図2Hに示すように、被覆部材40の一部を研削し、発光素子30の電極32を露出させる。研削の方法としては、砥石等の研削部材を用いて被覆部材40を面状に研削している。接合部材20を研削して高さを揃えているために、複数の発光素子30のそれぞれの電極32が露出される。
【0029】
(8)複数の発光素子を電気的に接続する導電部材を形成する工程
次に、
図2Iに示すように、発光素子30の電極32と被覆部材40上の略全面に、導電部材50となる金属膜を形成する。金属膜としては、例えば、導光板10側からCu/Ni/Auの順に積層させた積層構造とすることができる。金属膜の形成方法としては、スパッタ、メッキ等が挙げられ、スパッタで形成することが好ましい。
【0030】
次に、
図2Jに示すように、金属膜にレーザ光を照射し、照射した部分の金属膜を除去するレーザアブレーションによってパターニングし、導電部材50を形成する。
【0031】
次に、
図2Kに示すように、この導電部材50と別途準備した配線基板70の配線層72とを接着シートを間に介して圧着して接合する。この時、配線層72の一部(例えばビア)内に充填された導電性材料を加圧と加熱によって一部溶解させることで、導電部材50と配線層72とを電気的に接続する。
このようにして、本実施形態の発光モジュール100を得ることができる。
【0032】
複数の発光素子30は、それぞれが独立で駆動するように配線されてもよい。また、導光板10を複数の範囲に分割し、1つの範囲内に実装された複数の発光素子30を1つのグループとし、1つのグループ内の複数の発光素子30同士を直列又は並列に電気的に接続することで同じ回路に接続し、このような発光素子グループを複数備えるようにしてもよい。このようなグループ分けを行うことで、ローカルディミング可能な発光モジュールとすることができる。
【0033】
本実施形態の発光モジュール100は、1つが1つの液晶ディスプレイ装置のバックライトとして用いられてもよい。また、複数の発光モジュール100が並べられて1つの液晶ディスプレイ装置のバックライトとして用いられてもよい。小さい発光モジュール100を複数作り、それぞれ検査等を行うことで、大きく実装される発光素子30の数が多い発光モジュール100を作成する場合と比べて、歩留まりを向上させることができる。
【0034】
1つの発光モジュール100は1つの配線基板70に接合されてもよい。また、複数の発光モジュール100が、1つの配線基板70に接合されてもよい。これにより、外部との電気的な接続端子(例えばコネクタ)を集約できる(つまり、発光モジュール1つごとに用意する必要がない)ため、液晶ディスプレイ装置の構造を簡易にすることができる。
【0035】
また、この複数の発光モジュール100が接合された1つの配線基板70を複数並べて一つの液晶ディスプレイ装置のバックライトとしてもよい。この時、例えば、複数の配線基板70をフレーム等に載置し、それぞれコネクタ等を用いて外部の電源と接続することができる。
【0036】
発光モジュールを構成する各部材について、以下に詳述する。
【0037】
(発光素子)
発光素子30は、公知の半導体発光素子を利用することができる。本実施形態においては、発光素子30として発光ダイオードを例示する。発光素子は、主に発光を取り出す主発光面311と、主発光面311と反対側の電極形成面312に一対の電極32を有する。一対の電極32は後述する配線基板70と対向して配置され、任意に導電部材50等を介して、適宜配線基板70の配線層72と電気的に接続される。
【0038】
発光素子30は、例えば、サファイア等の透光性基板と、透光性基板の上に積層された半導体層とを備えた半導体積層体を備える。半導体積層体31は、発光層と、発光層を挟むn型半導体層およびp型半導体層とを含み、n型半導体層およびp型半導体層にn側電極およびp側電極がそれぞれ電気的に接続される。発光素子30は、例えば透光性基板を備える主発光面311が導光板と対向して配置され、主発光面311と反対側の電極形成面312に一対の電極32を有する。
【0039】
発光素子30、任意の波長の光を出射する素子を選択することができる。例えば、青色、緑色の光を出射する素子としては、窒化物系半導体(In
xAl
yGa
1−x−yN、0≦X、0≦Y、X+Y≦1)またはGaPを用いた発光素子を用いることができる。また、赤色の光を出射する素子としては、GaAlAs、AlInGaPなどの半導体を含む発光素子を用いることができる。さらに、これら以外の材料からなる半導体発光素子を用いることもできる。半導体層の材料およびその混晶度によって発光波長を種々選択することができる。用いる発光素子の組成、発光色、大きさ、個数などは、目的に応じて適宜選択すればよい。発光モジュール100が波長変換部材を備える場合、発光素子30は、波長変換部材を効率良く励起できる短波長の光を出射することが可能な窒化物半導体(In
xAl
yGa
1−x−yN、0≦X、0≦Y、X+Y≦1)を備えることが好ましい。
【0040】
発光素子30の大きさは、例えば、平面視において縦および横の寸法は1000μm以下が好ましく、より好ましくは縦および横の寸法が500μm以下であり、さらに好ましくは、縦および横の寸法が200μm以下である。このような発光素子を用いると、液晶ディスプレイ装置のローカルディミングを行った際に、高精細な映像を実現することができる。
【0041】
(導光板)
導光板10は、発光素子からの光が入射され、面状の発光を行う透光性の板状部材である。導光板10は、発光面となる第1主面11と、第1主面11と反対側の第2主面12と、を備える。
【0042】
導光板10の大きさは、例えば、一辺が1cm〜200cm程度とすることができ、3cm〜30cm程度が好ましい。厚みは0.1mm〜5mm程度とすることができ、0.5mm〜3mmが好ましい。尚、ここでの「厚み」とは、例えば、第1主面11や第2主面12に凹部や凸部等がある場合は、それらがないものと仮定した場合の厚みを指すものとする。
導光板1の平面形状は例えば、略矩形や略円形等とすることができる。
【0043】
導光板10の材料としては、アクリル、ポリカーボネート、環状ポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステル等の熱可塑性樹脂、エポキシ、シリコーン等の熱硬化性樹脂等の樹脂材料やガラスなどの光学的に透明な材料を用いることができる。特に、熱可塑性の樹脂材料は、射出成型によって効率よく製造することができるため、好ましい。なかでも、透明性が高く、安価なポリカーボネートが好ましい。導光板10に発光素子30を接合した後に配線基板を貼りつける本実施形態の発光装置の製造方法においては、半田リフローのような高温がかかる工程を省略できるため、ポリカーボネートのような熱可塑性であり耐熱性の低い材料であっても用いることができる。
【0044】
導光板10は、例えば、射出成型やトランスファモールド、熱転写等で成形することができる。導光板10が光学機能部111や位置決め部121を備えている場合には、これらも一括して金型で形成することができる。これにより、光学機能部111と位置決め部121の成形位置ずれを低減することができる。
【0045】
導光板10は単層で形成されていてもよく、複数の透光性の層が積層されて形成されていてもよい。複数の透光性の層が積層されている場合には、任意の層間に屈折率の異なる層、例えば空気の層等を設けてもよい。これにより、光をより拡散させやすくなり、輝度ムラを低減した発光モジュールとすることができる。このような構成は、例えば、任意の複数の透光性の層の間にスペーサを設けて離間させ、空気の層を設けることで実現することができる。
【0046】
(光学機能部)
導光板10は、第1主面11側に光学機能部111を備えていてもよい。光学機能部111は、例えば、光を導光板10の面内で広げる機能を有することができる。例えば、導光板10の材料と屈折率の異なる材料が設けられている。具体的には、光学機能部111は、第1主面11側に設けられた円錐や四角錐、六角錐等の多角錐形等の凹みであって、導光板10と屈折率の異なる材料(例えば空気)と凹みの傾斜面との界面で照射された光を発光素子30の側方方向に反射するものを用いることができる。また、光学機能部は円錐台や、四角錐台等の多角錐台とすることができる。
図1Fに示す発光モジュール100Cでは、導光板10Bは、円錐台の光学機能部111Aを備えており、このような光学機能部111Aは断面視において台形となる。錐台形の光学機能部111Aの場合、また例えば、傾斜面を有する凹部に光反射性の材料(例えば金属等の反射膜や白色の樹脂)等を設けたものであってもよい。光学機能部111の傾斜面は、断面視において直線でもよく、曲線でもよい。
光学機能部111は、後述するように、それぞれの発光素子30に対応する、つまり、第2主面12側に配置された発光素子30と反対側の位置に設けられることが好ましい。特に、発光素子30の光軸と、光学機能部111の光軸とが略一致することが好ましい。
【0047】
光学機能部111の大きさは、適宜設定することができる。
図1Bに示す光学機能部111は、第1主面11において円形の開口部を備える円錐状の凹部であり、開口の直径は波長変換部材60よりも大きい例を示している。
【0048】
(位置決め部(凹部))
導光板10は、第2主面12側に、位置決め部121を備えていてもよい。位置決め部121は、発光素子30を配置する位置の目標とする部分であり、例えば、
図1B等に示すような凹部や、凸部、溝等とすることができる。
位置決め部121の平面視における大きさは、例えば、0.05mm〜10mmとすることができ、0.1mm〜1mmが好ましい。深さは0.05mm〜4mmとすることができ、0.1mm〜1mmが好ましい。光学機能部111と位置決め部121の間の距離は、光学機能部111と位置決め部121が離間している範囲で適宜設定できる。
【0049】
位置決め部121の平面視形状は、例えば、略矩形、略円形とすることができ、位置決め部の配列ピッチ等によって選択可能である。位置決め部の配列ピッチ(最も近接した2つの位置決め部の間の距離)が略均等である場合には、略円形または略正方形が好ましい。なかでも、略円形とすることで、発光素子30からの光を良好に広げることができる。
【0050】
(拡散部材)
導光板の第2主面側に配置される拡散部材は、発光素子30からの光を拡散させる光拡散物質を含有する部材である。また、拡散部材は、発光素子30からの光の波長を異なる波長の光に変換する蛍光体を含有する波長変換部材であってもよい。さらに、蛍光体を含有する蛍光体含有層と、蛍光体を含有しない蛍光体非含有層とを積層させた拡散部材としてもよい。あるいは、蛍光体を含有する蛍光体含有層と、波長を変換しない光拡散物質を含有する拡散層とを積層させた拡散部材としてもよい。
【0051】
拡散部材や波長変換部材は、発光素子30と導光板10との間に設けられ、導光板10の第2主面12側に配置されている。拡散部や波長変換部材は、それに照射された発光素子30からの光を拡散し、均等化する。拡散部材(波長変換部材)は、
図1Bに示すように、導光板10の位置決め部(凹部)121内に配置することができる。あるいは、
図1Dに示すように、平坦な導光板10の第2主面12上に配置され、第2主面12突出するように設けられていてもよい。
【0052】
拡散部材60の大きさや形状は、例えば、位置決め部として凹部を備える場合は、その凹部と同等程度とすることができる。また、拡散部材60の高さは、位置決め部として凹部を備える場合は、その深さと同程度とすることが好ましい。
【0053】
なお、導光板10には、光学機能部111以外の部分に光拡散、反射等をさせる加工を有していてもよい。例えば、光学機能部111から離間した部分に微細な凹凸を設ける、または粗面としてもよい。これにより、さらに光を拡散させ、輝度ムラを低減するようにすることができる。
【0054】
拡散部材60は、導光板10の材料よりも高い屈折率を有する材料が好ましい。例えば、母材の材料として、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、これらを混合した樹脂、または、ガラスなどの透光性材料を用いることができる。拡散部材60の耐光性および成形容易性の観点からは、拡散部材60の母材としてシリコーン樹脂を選択すると有益である。
【0055】
光拡散物質としては、例えばSiO
2、TiO
2、Al
2O
3、ZnO等の微粒子が挙げられる。
【0056】
拡散部材60は、波長変換物質として粒子状の蛍光体を含むことができる。蛍光体としては、例えば、YAG系蛍光体、βサイアロン蛍光体またはKSF系蛍光体等のフッ化物系蛍光体などが挙げられる。1つの拡散部材60に、1種類又は複数種類の蛍光体を含むことができる。複数種類の蛍光体は、混合させて用いてもよく、あるいは積層させて用いてもよい。例えば、青色系の光を出射する発光素子30を用い、蛍光体として緑色系の発光をするβサイアロン蛍光体と赤色系の発光をするKSF系蛍光体等のフッ化物系蛍光体とを含むことができる。このような2種類の蛍光体を用いることで、発光モジュールの色再現範囲を広げることができる。また、蛍光体は量子ドットであってもよい。
【0057】
拡散部材60が蛍光体を含む場合、その内部において蛍光体はどのように配置されていてもよい。例えば、略均一に分布していてもよく、一部に偏在してもよい。
【0058】
(接合部材)
接合部材20は、発光素子30から出射される光を導光板10に伝播させる役割を有する。接合部材20は、発光素子30と導光板10とを、直接又は間接的に接合する部材である。間接的に接合する、とは、導光板10に配置された拡散部材又は波長変換部材60と、発光素子30とが接合部材20によって接合されることを指す。
【0059】
接合部材20は、透光性であり、発光素子30から出射される光の60%以上を透過し、好ましくは90%以上を透過する。そのため、接合部材20は、拡散部材等を含むことは可能であり、拡散部材等を含まない透光性の樹脂材料のみで構成されてもよい。
【0060】
接合部材20は、発光素子30の側面(主発光面311と電極形成面312をつなぐ面)を被覆していてもよい。これにより、発光素子30の側面方向に出射された光を接合部材20内に効率的に取り出し、発光モジュール100の発光効率を高めることができる。
【0061】
接合部材20の材料としては、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂等の透光性の熱硬化性の樹脂材料等を用いることができる。
【0062】
(被覆部材)
被覆部材40は、複数の発光素子30の側面と導光板10の第2主面12と接合部材20の側面とを被覆している。これにより、発光素子30と導光板10を補強することができる。また、被覆部材40は、光反射性部材であることが好ましい。被覆部材40を光反射性部材とすることで、発光素子30からの発光を導光板10に効率よく取り入れることができる。なお、
図1Dに示すように、拡散部材(波長変換部材)60が導光板10の第2主面上に設けられ、その拡散部材60の側面等の面が導光板10から露出している場合には、その露出した部分も被覆部材40で被覆することが好ましい。
【0063】
光反射性部材の被覆部材40は、発光素子30から出射される光に対して60%以上の反射率を有し、好ましくは90%以上の反射率を有する。光反射性部材の被覆部材40の材料は、白色の顔料等を含有させた樹脂材料であることが好ましい。特に、酸化チタンを含有させたシリコーン樹脂が好ましい。これにより、導光板10の一面を被覆するために比較的大量に用いられる材料として酸化チタンのような安価な原材料を多く用いることで、発光モジュール100を安価にすることができる。
【0064】
(導電部材)
発光モジュール100には、複数の発光素子30の電極32と電気的に接続される導電部材50が設けられていてもよい。導電部材50は、被覆部材40の下面と電極32の下面とを被覆するように配置される。導電部材50を設けることにより、例えば複数の発光素子30同士を電気的に接続することができ、液晶ディスプレイ装置ローカルディミング等に必要な回路を容易に形成することができる。
【0065】
(配線基板)
発光モジュール100は、
図2Kに示すように、配線基板70を有していてもよい。配線基板70は、絶縁性の基材71と、複数の発光素子30と電気的に接続される配線層72等を備える基板である。配線基板70を備えることで、ローカルディミング等に必要な複雑な配線を容易に形成することができる。この配線基板70は、発光素子30を導光板10に実装し、任意に被覆部材40及び導電部材50を形成した後に、別途準備した配線基板70の配線層72と、導電部材50とを、接合することで形成することができる。また、発光素子30と接続する導電部材50を設ける際、導電部材50を発光素子30の電極32の平面形状よりも大きい形状とすることで、この配線基板70と発光素子30との電気的な接合を容易に行うことができる。
【0066】
配線基板70は、例えば、絶縁性の基材71に設けられた複数のビアホール内に充填された導電性部材と、基材71の両面側において導電性部材と電気的に接続された配線層72と、を備える。
【0067】
配線基板70の基材71の材料としては、どのようなものであってもよい。例えば、セラミックスおよび樹脂を用いることができる。低コストおよび成形容易性の点から、樹脂を基材71の材料として選択してもよい。樹脂としては、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、BTレジン、ポリフタルアミド(PPA)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、不飽和ポリエステル、ガラスエポキシ等の複合材料等を挙げることができる。また、リジッド基板であってもよく、フレキシブル基板であってもよい。
【0068】
配線層72は、例えば、基材71上に設けられた導電箔(導体層)であり、複数の発光素子30と電気的に接続される。配線層72の材料は、高い熱伝導性を有していることが好ましい。このような材料として、例えば銅などの導電材料が挙げられる。また、配線層72は、メッキや導電性ペーストの塗布、印刷などで形成することができ、配線層72の厚みは、例えば、5〜50μm程度である。
【0069】
配線基板70は、どのような方法で導光板10等と接合されていてもよい。例えば、シート状の接着シートを、導光板10の反対側に設けられた被覆部材40の表面と、配線基板70の表面との間に配置し、圧着することで、接合することができる。また、配線基板70の配線層72と発光素子30との電気的接続はどのような方法で行われてもよい。例えば、ビアホール内に埋め込んだ金属である導電性部材を加圧と加熱により溶かして導電部材50と接合することができる。
【0070】
なお、配線基板70は、積層構造を有していてもよい。例えば、配線基板70として、表面に絶縁層が設けられた金属板を用いてもよい。また、配線基板70は複数のTFT(Thin−Film Transistor)を有するTFT基板であってもよい。