(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6963684
(24)【登録日】2021年10月19日
(45)【発行日】2021年11月10日
(54)【発明の名称】半導体装置の製造においてケイ素−ゲルマニウム/ケイ素積層体からケイ素およびケイ素−ゲルマニウム合金を同時に除去するためのエッチング溶液
(51)【国際特許分類】
H01L 21/308 20060101AFI20211028BHJP
【FI】
H01L21/308 B
【請求項の数】22
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2020-517940(P2020-517940)
(86)(22)【出願日】2018年9月28日
(65)【公表番号】特表2020-536377(P2020-536377A)
(43)【公表日】2020年12月10日
(86)【国際出願番号】US2018053304
(87)【国際公開番号】WO2019067836
(87)【国際公開日】20190404
【審査請求日】2020年5月26日
(31)【優先権主張番号】16/142,291
(32)【優先日】2018年9月26日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/565,704
(32)【優先日】2017年9月29日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517114182
【氏名又は名称】バーサム マテリアルズ ユーエス,リミティド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100195213
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 健治
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【弁理士】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(72)【発明者】
【氏名】コー チー クエイ
(72)【発明者】
【氏名】リー イ−チア
(72)【発明者】
【氏名】リウ ウェン タル
(72)【発明者】
【氏名】クオ チー−シェン
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー ジェイ.アダムチク
【審査官】
長谷川 直也
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2007/0072431(US,A1)
【文献】
特開2017−108122(JP,A)
【文献】
国際公開第2017/007893(WO,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2004/0242015(US,A1)
【文献】
韓国公開特許第10−2017−0034036(KR,A)
【文献】
特開2003−183652(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/308
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロ電子装置からケイ素およびケイ素−ゲルマニウムの同時の除去のために好適なエッチング溶液であって、
水、
酸化剤、
アミン化合物および多官能性有機酸を含む緩衝剤組成物、
水混和性溶媒、ならびに、
フッ化物イオン源、
を含んでなるエッチング溶液。
【請求項2】
マイクロ電子装置からケイ素およびケイ素−ゲルマニウムの同時の除去のために好適なエッチング溶液であって、
水、
アミン化合物、
酸化剤、
アンモニウム化合物および多官能性有機酸を含む緩衝剤組成物、
水混和性溶媒、ならびに、
フッ化物イオン源、
を含んでなるエッチング溶液。
【請求項3】
前記酸化剤が、過酸化水素、過ヨウ素酸、ヨウ素酸カリウム、過マンガン酸カリウム、過硫酸アンモニウム、モリブデン酸アンモニウム、硝酸第二鉄、硝酸、硝酸カリウム、アンモニア、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1記載のエッチング溶液。
【請求項4】
前記酸化剤が、過酸化水素、過ヨウ素酸、ヨウ素酸カリウム、過マンガン酸カリウム、過硫酸アンモニウム、モリブデン酸アンモニウム、硝酸第二鉄、硝酸、硝酸カリウム、アンモニア、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項2記載のエッチング溶液。
【請求項5】
前記酸化剤が、過酸化水素である、請求項4記載のエッチング溶液。
【請求項6】
前記アミン化合物が、N−メチルエタノールアミン(NMEA)、モノエタノールアミン(MEA)、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、2−(2−アミノエチルアミノ)エタノール、2−(2−アミノエトキシ)エタノール(AEE)、トリエタノールアミン、N−エチルエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、シクロヘキシルアミンジエタノール、ジイソプロパノールアミン、シクロヘキシルアミンジエタノール、およびそれらの混合物からなる群から選択されるアルカノ―ルアミン化合物である、請求項1記載のエッチング溶液。
【請求項7】
前記アミン化合物が、N−メチルエタノールアミン(NMEA)、モノエタノールアミン(MEA)、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、2−(2−アミノエチルアミノ)エタノール、2−(2−アミノエトキシ)エタノール(AEE)、トリエタノールアミン、N−エチルエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、シクロヘキシルアミンジエタノール、ジイソプロパノールアミン、シクロヘキシルアミンジエタノール、およびそれらの混合物からなる群から選択されるアルカノ―ルアミン化合物である、請求項2記載のエッチング溶液。
【請求項8】
アルカノ―ルアミンが、アミノ(エトキシ)エタノール(AEE)である、請求項7記載のエッチング溶液。
【請求項9】
前記水混和性溶媒が、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、トリプロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールプロピルエーテル、ジエチレングリコールn−ブチルエーテル、ヘキシルオキシプロピルアミン、ポリ(オキシエチレン)ジアミン、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフルフリルアルコール、グリセロール、アルコール、スルホキシド、またはそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1記載のエッチング溶液。
【請求項10】
前記水混和性溶媒が、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、トリプロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールプロピルエーテル、ジエチレングリコールn−ブチルエーテル、ヘキシルオキシプロピルアミン、ポリ(オキシエチレン)ジアミン、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフルフリルアルコール、グリセロール、アルコール、スルホキシド、またはそれらの混合物からなる群から選択される、請求項2記載のエッチング溶液。
【請求項11】
前記水混和性溶媒が、ブチルジグリセロールである、請求項2記載のエッチング溶液。
【請求項12】
前記アミン化合物が、アルカノ―ルアミンであり、そして前記多官能性有機酸が、少なくとも3つのカルボン酸基を有する多塩基酸である、請求項1記載のエッチング溶液。
【請求項13】
前記アミン化合物が、アルカノ―ルアミンであり、そして前記多官能性有機酸が、少なくとも3つのカルボン酸基を有する多塩基酸である、請求項2記載のエッチング溶液。
【請求項14】
前記多官能性有機酸が、クエン酸、2−メチルプロパン−1,2,3−トリスカルボン酸、ベンゼン−1,2,3−トリカルボン酸[ヘミメリット]、プロパン−1,2,3−トリカルボン酸[トリカルバリル]、1,cis−2,3−プロペントリカルボン酸[アコニット]、ブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸、シクロペンタンテトラ−1,2,3,4−カルボン酸、ベンゼン−1,2,4,5−テトラカルボン酸[ピロメリット]、ベンゼンペンタカルボン酸、およびベンゼンヘキサカルボン酸[メリト]、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項2記載のエッチング溶液。
【請求項15】
前記アンモニウム化合物が、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、次亜塩素酸アンモニウム、塩素酸アンモニウム、過マンガン酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、二塩基性リン酸アンモニウム、クエン酸二アンモニウム、クエン酸三アンモニウム(TAC)、スルファミン酸アンモニウム、シュウ酸アンモニウム、ギ酸アンモニウム、酒石酸アンモニウム、酒石酸水素アンモニウムおよびグリコール酸アンモニウムからなる群から選択されるアンモニウム塩である、請求項2記載のエッチング溶液。
【請求項16】
前記アンモニウム化合物が、クエン酸三アンモニウム(TAC)である、請求項15記載のエッチング溶液。
【請求項17】
ケイ素およびケイ素−ゲルマニウムを含むマイクロ電子装置からケイ素およびケイ素−ゲルマニウムを同時にエッチングするための方法であって、以下の工程、
ケイ素およびケイ素−ゲルマニウムを含む前記マイクロ電子装置を、水、酸化剤、アミン化合物と多官能性有機酸とを含む緩衝剤組成物、水混和性溶媒、およびフッ化物イオン源を含むエッチング溶液と接触させる工程、ならびに
前記マイクロ電子装置を、前記ケイ素およびケイ素−ゲルマニウムが少なくとも部分的に除去された後で、すすぐ工程、
ここでケイ素のケイ素−ゲルマニウムに対するエッチング速度が、約3:1〜1:3である、
を含んでなる方法。
【請求項18】
ケイ素およびケイ素−ゲルマニウムを含むマイクロ電子装置からケイ素およびケイ素−ゲルマニウムを同時にエッチングするための方法であって、以下の工程、
ケイ素およびケイ素−ゲルマニウムを含む前記マイクロ電子装置を、水、酸化剤、アミン、アンモニウム化合物と多官能性有機酸とを含む緩衝剤組成物、水混和性溶媒、およびフッ化物イオン源を含むエッチング溶液と接触させる工程、ならびに
前記マイクロ電子装置を、前記ケイ素およびケイ素−ゲルマニウムが少なくとも部分的に除去された後で、すすぐ工程、
ここでケイ素のケイ素−ゲルマニウムに対するエッチング速度が、約3:1〜1:3である、
を含んでなる方法。
【請求項19】
前記マイクロ電子装置を乾燥する工程を更に含む、請求項18記載の方法。
【請求項20】
ケイ素のケイ素−ゲルマニウムに対するエッチング速度が、約2:1〜1:2である、請求項18記載の方法。
【請求項21】
ケイ素のケイ素−ゲルマニウムに対するエッチング速度が、実質的に1:1である、請求項18記載の方法。
【請求項22】
前記接触させる工程が、約25℃〜約80℃の温度で行われる、請求項18記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2017年9月29日出願の米国仮特許出願第62/565,704号および2018年9月26日出願の米国特許出願第16/142,291号に対して優先権を主張し、それらの全体を参照することによって本明細書の内容とする。
【背景技術】
【0002】
本発明は、半導体装置の製造に用いられるエッチング水溶液、それを用いる方法、およびそのシステムに関する。より具体的には、本発明は、ケイ素−ゲルマニウム/ケイ素複合材半導体装置中のケイ素およびケイ素−ゲルマニウム合金を同時にエッチングするエッチング水溶液を提供する。
【0003】
超高密度集積回路の持続する小型化および速度と機能への増大する厳しい要求とともに、慣用の平坦な金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)は、ゲート酸化物の厚さの縮小およびチャンネル領域上のゲート電極の静電制御などの問題について増大する課題に直面している。フィン型電界効果トランジスタ(FinFET)は、フィン型チャンネルの3つの側面に亘るゲート電極を包むことによって平坦なゲートMOSFET設計に向上した制御を示している。
【0004】
GAA MOSFETは、FinFETと同様であるが、しかしながらゲート電極がチャンネルを完全に取り囲んでいるために、チャンネルへの更に大きな静電制御の可能性を有している。GAA MOSFETでは、チャンネル領域は本質的にナノワイヤである。ナノワイヤチャンネルは、典型的には数十ナノメートル(nm)以下の厚さ(もしくは直径)を有しており、そして制約されない長さを有している。ナノワイヤチャンネルは、GAA MOSFETのはるかに大きなソース領域とドレイン領域の間に、通常は水平に吊され、固定されている。
【0005】
GAA MOSFETは、完全に適合したCMOS技術を用いてバルクシリコン基材上に製造できる。GAA MOSFET中にチャンネル領域を形成させる典型的な製造方法は、バルク基材の上面上でチャンネル層の間に挟まれた犠牲層の積層体(エピ積層体)をエピタキシャルに成長させることを含んでいる。犠牲層およびチャンネル層は、2種の異なる材料で構成されており、それによって選択的エッチングによって犠牲層を除去することができる。
【0006】
例として、エピ積層体は、交互のケイ素(Si)およびケイ素ゲルマニウム(SiGe)層で形成されることができ、ここでSi層は犠牲層であり、そしてSiGe層はチャンネル層である。Si層は、次いで選択的エッチングによって(例えば湿式エッチングプロセス、例えばTMAHによって)除去されることができ、これはまた、犠牲層と基材を構成する材料の類似性のために、バルク基材中に不用意にトレンチを設ける。SiGe層が、次いでトレンチ上に吊るされたナノワイヤチャンネルに形成されることができる。薄膜ゲート誘電体は、次いでSiGeナノワイヤチャンネルの周りに、そして基材の陥凹したトレンチ上に配置される。金属が、次いで誘電体上に配置されて、GAA MOSFETの金属ゲート電極を形成する。
【0007】
また、ケイ素とケイ素−ゲルマニウムの両方が、例えばフィントリミングにおいて、同時にエッチングされる必要がある場合がある。同時のSi/SiGeフィントリミングの用途は、典型的には5nm技術のために用いられる。SiおよびSi/Geを含むパターンには2種類のフィンが存在する。これらのフィンは、幾つかのプロセス工程を経るために、当初のフィン幅が狭過ぎる場合には、フィンの崩壊の問題を引き起こす可能性がある。従って、より幅広いフィンが最初に生成され、そして次いでそれらは、湿式エッチングプロセスによってトリミングされて、フィンが崩壊するのを避ける。SiおよびSiGeを目的とするエッチング化学薬品についての当技術分野においては、フィンの厚さを約1nmに等しくなるように低減させる必要性があり、そしてその化学薬品は酸化物および窒化物と適合性がなければならない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
1つの態様では、本発明は、マイクロ電子装置からのケイ素およびケイ素−ゲルマニウムの同時の除去のために好適な、水、酸化剤、アミン化合物と多官能性有機酸を含む緩衝剤組成物、水混和性溶媒、およびフッ化物イオン源を含む、エッチング溶液を提供する。
【0009】
他の態様では、本発明は、ケイ素およびケイ素−ゲルマニウムを含むマイクロ電子装置(複合材半導体装置)から、ケイ素およびケイ素−ゲルマニウムを同時にエッチングする方法を提供するものであり、本方法は、以下の工程、ケイ素およびケイ素−ゲルマニウムを含むマイクロ電子装置(複合材半導体装置)を、水、酸化剤、アミン化合物と多官能性有機酸を含む緩衝剤組成物、水混和性溶媒、およびフッ化物イオン源を含む水性組成鬱(本明細書において、エッチング溶液もしくはエッチング組成物とも称される場合がある)と接触させる工程、ならびにそのマイクロ電子装置(複合材半導体装置)をケイ素およびケイ素−ゲルマニウムが少なくとも部分的に除去された後に濯ぐ工程、を含んでおり、ここで、ケイ素のケイ素−ゲルマニウムに対するエッチング速度は、約1.0である。本方法の条件、例えば時間および温度は、増加または減少させて、除去速度を調整することができる。前記の接触させる工程は、本発明のいずれかの組成物を用いることができる。「
【0010】
本発明の態様は、単独で、または互いに組み合わせて用いることができる。
【0011】
態様1: マイクロ電子装置からの、ケイ素およびケイ素−ゲルマニウムの同時の除去に好適なエッチング溶液であって、
水、
酸化剤、
アミン化合物と多官能性有機酸を含む緩衝剤組成物、
水混和性溶媒、および、
フッ化物イオン源、
を含むエッチング溶液。
【0012】
態様2: マイクロ電子装置からのケイ素およびケイ素−ゲルマニウムの同時の除去に好適なエッチング溶液であって、
水、
アミン、
酸化剤、
アンモニウム化合物と多官能性有機酸を含む緩衝剤組成物、
水混和性溶媒、および、
フッ化物イオン源、
を含むエッチング溶液。
【0013】
態様3:態様1および2のエッチング溶液であって、酸化剤は過酸化水素、過ヨウ素酸、ヨウ素酸カリウム、過マンガン酸カリウム、過硫酸アンモニウム、モリブデン酸アンモニウム、硝酸第二鉄、硝酸、硝酸カリウム、アンモニア、およびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0014】
態様4:態様3のエッチング溶液であって、酸化剤が過酸化水素である。
【0015】
態様5:前記の態様のいずれかのエッチング溶液であって、アミン化合物が、N−メチルエタノールアミン(NMEA)、モノエタノールアミン(MEA)、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、2−(2−アミノエチルアミノ)エタノール、2−(2−アミノエトキシ)エタノール(AEE)、トリエタノールアミン、N−エチルエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、シクロヘキシルアミンジエタノール、ジイソプロパノールアミン、シクロヘキシルアミンジエタノール、およびそれらの混合物からなる群から選択されるアルカノールアミン化合物である。
【0016】
態様6:態様5のエッチング組成物であって、アルカノールアミンが、アミノ(エトキシ)エタノール(AEE)である。
【0017】
態様7:前記の態様のいずれかのエッチング組成物であって、水混和性溶媒が、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、トリプロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールプロピルエーテル、ジエチレングリコールn−ブチルエーテル、ヘキシルオキシプロピルアミン、ポリ(オキシエチレン)ジアミン、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフルフリルアルコール、グリセロール、アルコール、スルホキシド、またはそれらの混合物からなる群から選択される。
【0018】
態様8:前記の態様のいずれかのエッチング溶液であって、水混和性溶媒がブチルジグリセロールである。
【0019】
態様9:前記の態様のいずれかのエッチング溶液であって、アミン化合物がアルカノールアミンであり、そして多官能性有機酸が少なくとも3つのカルボキシル酸基を有する多塩基酸である。
【0020】
態様10:態様9のエッチング溶液であって、アルカノールアミンが、ジエタノールアミン、ジおよびトリイソプロパノールアミン、2−(2−アミノエチルアミノ)エタノール、2−(2−アミノエトキシ)エタノール、トリエタノールアミン、N−エチルエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、シクロヘキシルアミンジエタノール、およびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0021】
態様11:態様10のエッチング溶液であって、多塩基酸が、クエン酸、2−メチルプロパン−1,2,3−トリスカルボン酸、ベンゼン−1,2,3−トリカルボン酸[ヘミメリット]、プロパン−1,2,3−トリカルボン酸[トリカルバリル]、1,cis−2,3−プロペントリカルボン酸[アコニット]、例えば、ブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸、シクロペンタンテトラ−1,2,3,4−カルボン酸、ベンゼン−1,2,4,5−テトラカルボン酸[ピロメリット]、ベンゼンペンタカルボン酸、およびベンゼンヘキサカルボン酸[メリト])、およびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0022】
態様12:上記の態様のいずれか1つのエッチング溶液であって、緩衝剤が、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、次亜塩素酸アンモニウム、塩素酸アンモニウム、過マンガン酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、第二リン酸アンモニウム、クエン酸二アンモニウム、クエン酸三アンモニウム(TAC)、スルファミン酸アンモニウム、アンモニウムシュウ酸塩、ギ酸アンモニウム、酒石酸アンモニウム、酒石酸水素アンモニウムおよびグリコール酸アンモニウムからなる群から選択されるアンモニウム塩を含んでいる。
【0023】
態様13:態様12のエッチング溶液であって、緩衝剤がクエン酸三アンモニウム(TAC)を含んでいる。
【0024】
態様14:ケイ素およびケイ素−ゲルマニウムを、ケイ素およびケイ素−ゲルマニウムを含むマイクロ電子装置から同時にエッチングする方法であって、その方法は以下の工程を含んでいる。
ケイ素およびケイ素−ゲルマニウムを含むマイクロ電子装置を、水、酸化剤、アミン化合物と多官能性有機酸とを含む緩衝剤組成物、水混和性溶媒、およびフッ化物イオン源を含むエッチング溶液と接触させる工程、および、
そのマイクロ電子装置を、ケイ素およびケイ素−ゲルマニウムが少なくとも部分的に除去された後に濯ぐ工程、ケイ素のケイ素−ゲルマニウムに対するエッチング速度は約3:1〜1:3である。
【0025】
態様15:ケイ素およびケイ素−ゲルマニウムを、ケイ素およびケイ素−ゲルマニウムを含むマイクロ電子装置から同時にエッチングする方法であって、その方法は以下の工程を含んでいる。
ケイ素およびケイ素−ゲルマニウムを含むマイクロ電子装置を、水、酸化剤、アミン、アンモニウム化合物と多官能性有機酸とを含む緩衝剤組成物、水混和性溶媒、およびフッ化物イオン源を含むエッチング溶液と接触させる工程、および、
そのマイクロ電子装置を、ケイ素およびケイ素−ゲルマニウムが少なくとも部分的に除去された後に濯ぐ工程、ケイ素のケイ素−ゲルマニウムに対するエッチング速度は約3:1〜1:3である。
【0026】
態様16:そのマイクロ電子装置を乾燥する工程を更に含む態様15の方法。
【0027】
態様17:ケイ素のケイ素−ゲルマニウムに対するエッチング速度が約2:1〜1:2である、態様15または16の方法。
【0028】
態様18:ケイ素のケイ素−ゲルマニウムに対するエッチング速度が実質的に1:1である、態様15〜17のいずれか1つの方法。
【0029】
態様19:前記接触工程が、約25℃〜約80℃の温度で行われる、態様15〜18のいずれか1つの方法。
【0030】
態様20:前記酸化剤が、過酸化水素、過ヨウ素酸、ヨウ素酸カリウム、過マンガン酸カリウム、過硫酸アンモニウム、モリブデン酸アンモニウム、硝酸第二鉄、硝酸、硝酸カリウム、アンモニア、およびそれらの混合物からなる群から選択される、態様15〜19のいずれか1つの方法。
【0031】
態様21:前記酸化剤が過酸化水素である態様20の方法。
【0032】
態様22:アミン化合物が、N−メチルエタノールアミン(NMEA)、モノエタノールアミン(MEA)、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、2−(2−アミノエチルアミノ)エタノール、2−(2−アミノエトキシ)エタノール(AEE)、トリエタノールアミン、N−エチルエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、シクロヘキシルアミンジエタノール、ジイソプロパノールアミン、シクロヘキシルアミンジエタノール、およびそれらの混合物からなる群から選択されるアルカノールアミン化合物である、態様15〜21のいずれか1つの方法。
【0033】
態様23:アルカノールアミンがアミノ(エトキシ)エタノール(AEE)である、態様22の方法。
【0034】
態様24:前記水混和性溶媒が、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、トリプロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールプロピルエーテル、ジエチレングリコールn−ブチルエーテル、ヘキシルオキシプロピルアミン、ポリ(オキシエチレン)ジアミン、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフルフリルアルコール、グリセロール、アルコール、スルホキシド、またはその混合物からなる群から選択される、態様15〜23のいずれか1つの方法。
【0035】
態様25:前記水混和性溶媒が、ブチルジグリセロールである、態様15〜24のいずれか1つの方法。
【0036】
態様26:前記アミン化合物がアルカノールアミンであり、そして前記多官能性有機酸が少なくとも3つのカルボン酸基を有する多塩基酸である、態様15〜25のいずれか1つの方法。
【0037】
態様27:前記アルカノールアミンが、ジエタノールアミン、ジおよびトリイソプロパノールアミン、2−(2−アミノエチルアミノ)エタノール、2−(2−アミノエトキシ)エタノール、トリエタノールアミン、N−エチルエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、シクロヘキシルアミンジエタノール、およびそれらの混合物からなる群から選択される、態様15〜26のいずれか1つの方法。
【0038】
態様28:前記多塩基酸が、クエン酸、2−メチルプロパン−1,2,3−トリスカルボン酸、ベンゼン−1,2,3−トリカルボン酸[ヘミメリット]、プロパン−1,2,3−トリカルボン酸[トリカルバリル]、1,cis−2,3−プロペントリカルボン酸[アコニット]、例えば、ブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸、シクロペンタンテトラ−1,2,3,4−カルボン酸、ベンゼン−1,2,4,5−テトラカルボン酸[ピロメリット]、ベンゼンペンタカルボン酸、およびベンゼンヘキサカルボン酸[メリット])、およびそれらの混合物からなる群から選択される、態様15〜27のいずれか1つの方法。
【0039】
態様29:前記緩衝剤が、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、次亜塩素酸アンモニウム、塩素酸アンモニウム、過マンガン酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、第二リン酸アンモニウム、クエン酸二アンモニウム、クエン酸三アンモニウム(TAC)、スルファミン酸アンモニウム、シュウ酸アンモニウム、ギ酸アンモニウム、酒石酸アンモニウム、酒石酸水素アンモニウムおよびグリコール酸アンモニウムからなる群から選択されるアンモニウム塩を含む、態様15〜28のいずれか1つの方法。
【0040】
態様30:前記緩衝剤がクエン酸三アンモニウムを含む、態様15〜29のいずれか1つの方法。
【発明を実施するための形態】
【0041】
ここで引用された刊行物、特許出願および特許を含めた全ての参照文献は、それぞれの参照文献が、個々に、そして具体的に、参照することによって本明細書に組み込まれると示され、そしてここにその全体が説明されているのと同様に、参照することによってここに組み込まれる。
【0042】
本発明を説明する文脈における(特には、添付の特許請求の範囲における文脈における)用語「a」および「an」および「the」ならびに同様の指示語の使用は、特に断りのない限り、または文脈によって明確に否定されない限り、単数と複数の両方を包含すると理解されなければならない。用語「含む(comprising)」、「有する(having)」、「含む(including)」および「含む(containing)」は、特に断りのない限り開放型の用語(すなわち、「含むが、それらには限定されない」、を意味する)として理解されなければならない。ここでの値の範囲の記載は、その範囲内に含まれるそれぞれの別個の値を個々に表すための簡略な方法として作用することが単に意図されており、そしてそれぞれの別個の値が、それがここに、個々に記載されているかのように、本明細書中に組み込まれる。ここに記載された全ての方法は、ここで特に断りのない限り、あるいは文脈によって明確に否定されない限り、いずれかの好適な順序で実施されることができる。ここに与えられる、いずれかの、そして全ての例、または例示的な文言(例えば、「例えば」)は、本発明をよりよく明らかにすることを単に意図されており、そして特に断りのない限り、本発明の範囲に限定を与えるものではない。本明細書におけるいずれも文言も、特許請求されていないずれかの要素が、本発明の実施に必須であることを示すものではないと理解されなければならない。本明細書および特許請求の範囲における用語「を含む(comprising)」の使用は、より狭い用語「から本質的になる(consisting essentially of)」および「からなる(consisting of)」を包含する。
【0043】
本発明の態様が、本発明を実施するのに本発明者らに知られているベストモードを含めて、ここに記載されている。それらの態様の変形は、前述の説明を読むことによって、当業者には明らかとなるであろう。本発明者らは、当業者がそのような変形を必要に応じて用いることを想定しており、そして本発明者らは、本発明が、ここに具体的に記載されたのとは別のやり方で実施されることを意図している。従って、本発明は、適用可能な法律が許容する限り、ここに添付された特許請求の範囲に記載された主題の全ての変更および等価物を含んでいる。更には、特に断りのない限り、または文脈によって明確に否定されない限り、上記の要素のいずれかの組み合わせが、それらの可能性のある全ての変形でもって、本発明に包含される。
【0044】
本発明は、包括的には、ケイ素およびケイ素−ゲルマニウムの、そのような材料を、その製造の間にその上に有するマイクロ電子装置からの、選択的な除去に有用な組成物に関する。
【0045】
マイクロ電子装置上の材料として堆積された、用語「ケイ素」は、ポリシリコンを含むと理解される。
【0046】
参照を簡単にするために、「マイクロ電子装置」または「半導体装置」は、マイクロ電子、集積回路、またはコンピュータ用途における使用のために製造された、半導体基材、例えばウエハ、フラットパネルディスプレイ、相変化メモリ装置、太陽電池板、ならびにソーラー基材、光電装置および微小電気機械システム(MEMS)を含む他の製品に相当する。ソーラー基材としては、限定するものではないが、シリコン、アモルファスシリコン、多結晶シリコン、単結晶シリコン、CdTe、セレン化銅インジウム、硫化銅インジウム、およびガリウム上のヒ化ガリウムが挙げられる。ソーラー基材は、ドープされていても、ドープされていなくてもよい。用語「マイクロ電子装置」は、決していずれかに限定することを意味するものではなく、そして最終的にマイクロ電子装置またはマイクロ電子組立体になるいずれかの基材を含むことが理解されなければならない。
【0047】
「複合材半導体装置」または「複合材マイクロ電子装置」は、その装置が、非電導性基材上に存在する、2つ以上の材料および/または層および/または層の部分を有することを意味している。これらの材料は、高k誘電体、および/または低k誘電体および/またはバリア材料および/またはキャッピング材料および/または金属層および/または当業者に知られた他のものを含むことができる。
【0048】
ここで規定したように、「低k誘電体材料」は、層状マイクロ電子装置において誘電体材料として用いられるいずれかの材料に相当し、この材料は、約3.5未満の誘電率を有している。好ましくは、低k誘電体材料としては、低極性材料、例えばケイ素含有有機ポリマー、ケイ素含有ハイブリッド有機/無機材料、有機ケイ酸塩ガラス(OSG)、TEOS、フッ化ケイ酸塩ガラス(FSG)、二酸化ケイ素、および炭素ドープ酸化物(CDO)ガラスが挙げられる。低k材料は、様々な密度および様々な空隙率を有することができることが理解されなければならない。
【0049】
ここで規定されたように、「高k誘電体材料」は、高い誘電率κ(二酸化ケイ素と比較して)を有する材料を表している。高κ誘電体は、二酸化ケイ素ゲート誘電体層またはマイクロ電子装置の他の誘電体層を置換するのに用いられることができる。この高k材料としては、二酸化ハフニウム(HfO
2)、酸窒化ハフニウム(HfON)、二酸化ジルコニウム(ZrO
2)、酸窒化ジルコニウム(ZrON)、酸化アルミニウム(Al
2O
3)、酸窒化アルミニウム(AlON)、酸化ハフニウムケイ素(HfSiO
2)、酸化ハフニウムアルミニウム(HfAlO)、酸化ジルコニウムケイ素(ZrSiO
2)、二酸化タンタル(Ta
2O
5)、酸化アルミニウム、Y
2O
3、La
2O
3、酸化チタン(TiO
2)、アルミニウムをドープした二酸化ハフニウム、ビスマスストロンチウムチタン(BST)、または白金ジルコニウムチタン(PZT)であることができる。
【0050】
ここで規定したように、用語「バリア材料」は、当技術分野において金属線、例えば、銅相互接続を封止して、その金属、例えば銅の誘電体材料中への拡散を最小化するのに用いられるいずれかの材料に相当する。好ましいバリア層材料としては、タンタル、チタン、ルテニウム、ハフニウムおよび他の高融点金属ならびにそれらの窒化物およびケイ化物が挙げられる。
【0051】
「実質的に含まない」とは、ここでは0.001質量%未満と規定される。「実質的に含まない」はまた、0.000質量%を包含している。用語「含まない」は、0.000質量%を意味している。
【0052】
ここで用いられる「約」は、言及された値の±5%に相当することが意図されている。
【0053】
この組成物の特定の成分が、零の下限値を含む質量%の範囲を参照して議論された全てのそのような組成物では、そのような成分が、この組成物の種々の特定の態様において存在するか、または存在しないことができること、そしてそのような成分が存在する例においては、それらは、そのような成分が用いられているその組成物の全質量を基準として、0.001質量%の少なさの濃度で存在することができることが理解される。特に断りのない限り、ここに報告される全ての量は、100%である全組成物の質量%である。
【0054】
本発明の広範な実施において、本発明のエッチング溶液は、水、酸化剤、アミン化合物および多官能性有機酸を含む緩衝剤組成物、水混和性溶媒、ならびにフッ化物イオン源を含む、から本質的になる、または、からなる。
【0055】
幾つかの態様では、ここに開示されたエッチング溶液は、以下の化合物、水酸化アンモニウム、第四級水酸化アンモニウム(例えば、TMAH、TEAH、ETMAH)、および無機塩基の少なくとも1種を実質的に含まない、または含まないように配合される。
【0056】
本発明の組成物は、電子装置上の構造全体に亘ってゲートを作成するためのプロセスに用いるために好適である。そのようなプロセスは、当技術分野で知られており、例えば、米国特許出願公開第2017/0179248号明細書、米国特許出願公開第2017/0104062号明細書、米国特許出願公開第2017/0133462号明細書、および米国特許出願公開第2017/0040321号明細書に開示されたプロセスであり、それらの開示がここに参照することによって完全に組み込まれる。
【0057】
ここで用いられる表題は、限定することを意図したものではなく、それらは系統化の目的のためだけに記載されている。
【0058】
ここに開示された組成物は、ケイ素とケイ素−ゲルマニウムの優れた同時の除去を示す
水
【0059】
本発明のエッチング組成物は、水系であり、そして、従って水を含んでいる。本発明では、水は、種々の方法で、例えば、本組成物のキャリアとして、残渣の除去における補助として、本組成物の粘度調整剤として、そして希釈剤として、組成物の1種もしくは2種以上の成分を溶解するように機能する。好ましくは、本洗浄組成物で用いられる水は、脱イオン化(DI)水である。次の段落に記載された水の範囲には、いずれかの供給源からの、本組成物中の全ての水を含んでいる。
【0060】
ほとんどの用途において、本組成物中の水の質量%は、以下の数、0.5、1、5、10、15、20、25、30、40、50、60、65、68、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、82、85、87、90、92、95および96、の群から選択された開始点および終点を有する範囲に存在することが信じられる。本組成物中に用いられることができる水の範囲の例としては、例えば、約0.5質量%〜約90質量%、または10質量%〜約80質量%の水、または約15質量%〜約80質量%、または約20質量%〜約80質量%、または約40質量%〜約75質量%、または約50質量%〜約85質量%、または約65質量%〜約90質量%、または約70〜約8質量%、または約65〜約85質量%の水、が挙げられる。本発明の更に他の態様としては、他の成分の所望の質量%を得るような量の水を含んでいる(ここに規定された水の範囲は、本組成物中の全部の水を含んでいることに注意)。これらの範囲は、従って、例えば、本組成物に、水溶液として加えられた他の成分の一部として加えられた水を含んでいる。
酸化剤
【0061】
本発明のエッチング組成物は、酸化剤(oxidizer)とも称される酸化剤(oxidizing agent)を含んでいる。酸化剤は、ケイ素およびケイ素−ゲルマニウム合金を、対応する酸化物(すなわち、ゲルマニウムまたはケイ素)を形成することによってエッチングするように主に機能する。酸化剤は、いずれかの好適な酸化剤であることができる。好適な酸化剤としては、限定するものではないが、1種もしくは2種以上のペルオキシ化合物、すなわち、少なくとも1つのペルオキシ基(−O−O−)を含む化合物、が挙げられる。好適なペルオキシ化合物としては、例えば、過酸化物、過硫酸塩(例えば、モノペルオキシ硫酸塩およびジペルオキシ硫酸塩)、過炭酸塩、およびそれらの酸、ならびにそれらの塩、ならびにそれらの混合物が挙げられる。他の好適な酸化剤としては、例えば、酸化されたハロゲン化物(例えば、ヨウ素酸塩、過ヨウ素酸塩、およびそれらの酸、ならびにそれらの混合物など)、過ホウ酸、過ホウ酸塩、過炭酸塩、過酸(たとえば、過酢酸、過安息香酸、それらの塩、それらの混合物など)、過マンガン酸塩、セリウム化合物、フェリシアン化物(例えば、フェリシアン化カリウム)、それらの混合物などが挙げられる。
【0062】
幾つかの態様では、酸化剤としては、限定するものではないが、過酸化水素、過ヨウ素酸、ヨウ素酸カリウム、過マンガン酸カリウム、過硫酸アンモニウム、モリブデン酸アンモニウム、硝酸第二鉄、硝酸、硝酸カリウム、アンモニア、およびそれらの混合物が挙げられる。更に他の態様では、酸化剤としては、過酸化水素および過酸化尿素が挙げられる。幾つかの態様では、酸化剤は、過酸化水素である。
【0063】
幾つかの態様では、酸化剤の量(正味)は、本組成物の約0.1質量%〜約20質量%、または約1.0質量%〜約20質量%、または約1.5質量%〜約15質量%、または1.5質量%〜約10質量%、または2質量%〜約10質量%、あるいは本組成物の全質量を基準として、0.1、0.3、0.5、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、7、8、9、10、15および20から選択された開始点および終点を有するいずれかの他の範囲を構成する。
フッ化物イオン源
【0064】
また、本明細書のエッチング組成物は、1種もしくは2種以上のフッ化物イオン源を含んでいる。フッ化物イオンは、酸化剤の作用で形成されるケイ素およびゲルマニウムの酸化物の除去を援けるように主に機能する。本発明によるフッ化物イオン源を提供する典型的な化合物としては、フッ化水素酸、フッ化アンモニウム、第四級アンモニウムフッ化物、例えばフルオロホウ酸塩、フルオロホウ酸、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロホウ酸塩、六フッ化アルミニウム、および下記の式:
R
1NR
2R
3R
4F,
式中、R
1、R
2、R
3およびR
4は、それぞれHまたは(C
1〜C
4)アルキル基を表わす、
を有する脂肪族第1級、第2級もしくは第3級アミンのフッ化物塩がある。典型的には、R
1、R
2、R
3およびR
4基中の炭素原子の総数は、12炭素原子以下である。脂肪族第1級、第2級もしくは第3級アミンのフッ化物塩の例としては、例えばフッ化テトラメチルアンモニウム、フッ化テトラエチルアンモニウム、フッ化メチルトリエチルアンモニウム、およびフッ化テトラブチルアンモニウム。
【0065】
フッ化物イオン源の選択においては、その供給源が、洗浄される表面に悪影響を与えるイオンを放出するか否かに配慮しなければならない。例えば、半導体素子の洗浄においては、洗浄組成物中のナトリウムまたはカルシウムイオンの存在は、その素子の表面に悪影響を与える可能性がある。幾つかの態様では、フッ化物イオン源は、フッ化アンモニウムである。
【0066】
本洗浄組成物中でフッ化物イオン源として用いられる化合物の量は、ほとんどの用途において、40%フッ化アンモニウムの溶液の、約0.01〜約10質量%、または約0.01〜約8質量%、またはその化学量論的等価物を構成することが信じられる。好ましくは、本化合物は、約40%のフッ化アンモニウムの溶液(典型的には、フッ化アンモニウム溶液は水溶液である)の約0.02〜約8質量%、より好ましくは約0.02〜約6質量%、更により好ましくは約1〜約8質量%、そして最も好ましくは約0.025質量%〜約5質量%を構成する。幾つかの態様では、本組成物は、約0.01〜約8質量%または約0.01〜約7質量%のフッ化物イオン源を含み、これは40%フッ化アンモニウム溶液によって提供される。好ましくは、本化合物は、40%のフッ化アンモニウムの、約0.02〜約6質量%のフッ化物イオン源、そして最も好ましくは、約0.025質量%〜約5質量%または約0.04〜約2.5質量%のフッ化物イオン源、または約0.05〜約15質量%、最も好ましくは40質量%のフッ化アンモニウムの、約0.0625質量%〜約12.5質量%、または約0.1〜約6.25質量%を構成する。本組成物に加えられることができる40%フッ化アンモニウムの溶液の質量%としては、以下の数、0.01、0.02、0.025、0.04、0.05、0.06、0.5、0.6、0.75、0.1、0.2、0.5、0.6、0.75、1、2、2.5、3、3.5、4、5、6、7、8、10、12.5、15、17、18および20の群から選択される開始点および終点を有するいずれかの範囲が挙げられる。本組成物に加えられることができるフッ化物イオン源の質量%(正味)は、以下の数、0.01、0.02、0.025、0.04、0.05、0.06、0.5、0.6、0.75、0.1、0.2、0.5、0.6、0.75、1、1.2、1.4、1.6、1.8、2、2.2、2.5、2.7、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、7、8、10、12.5、15、17、18、20、25、30、35、40、45および50の群から選択される開始点および終点を有するいずれかの範囲が挙げられる。本組成物に加えられることができるフッ化物イオン源の質量%(正味)は、例えば、約0.025質量%〜約5質量%、または約0.04〜約2.5質量%、または約0.1質量%〜約2質量%、または約0.5〜約1.5質量%のフッ化物イオン源が挙げられる。
【0067】
用いられるフッ化物イオンの量は、しかしながら、典型的には、洗浄される特定の基材に依存することが理解されなければならない。例えば、特定の洗浄用途では、フッ化物イオンの量は、フッ化物エッチングに対して高い耐久性を有する誘電体材料を含む基材を洗浄する場合には、比較的に高い可能性がある。反対に、他の用途では、フッ化物イオンの量は、例えば、フッ化物エッチングに対して低い耐久性を有する誘電体材料を含む基材を洗浄する場合には、比較的に低くなければならない。
水混和性溶媒
【0068】
本発明のエッチング組成物は、水混和性溶媒を含んでいる。水混和性溶媒は、ケイ素エッチング速度を抑制し、そしてケイ素−ゲルマニウムエッチング速度を高めるように機能する可能性がある。用いられることができる水混和性の有機溶媒の例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール(PG)、ブチルジグリコール(BDG)、1,4−ブタンジオール、トリプロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールプロピルエーテル、ジエチレングリコールn−ブチルエーテル(例えば、Dowanol DBの商品名で市販されている)、ヘキシルオキシプロピルアミン、ポリ(オキシエチレン)ジアミン、ジメチルスルホキシド(DMSO)、テトラヒドロフルフリルアルコール、グリセロール、アルコール、スルホキシド、またはこれらの混合物がある。好ましい溶媒は、アルコール、ジオール、またはそれらの混合物である。最も好ましい溶媒は、ジオール、例えば、ブチルジグリコールである。
【0069】
本発明の幾つかの態様では、水混和性の有機溶媒は、グリコールエーテルであることができる。グリコールエーテルの例としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル、ジエチレングリコールモノベンジルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、トリエチレングリコールメチルエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコール、モノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(DPM)、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジプロピレンモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールジイソプロピルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、1−メトキシ−2−ブタノール、2−メトキシ−1−ブタノール、2−メトキシ−2−メチルブタノール、1,1−ジメトキシエタンおよび2−(2−ブトキシエトキシ)エタノールが挙げられる。
【0070】
ほとんどの用途において、本組成物中の水混和性の有機溶媒の量は、以下の質量%、0.5、1、5、7、9、12、15、20、25、28、30、35、40、45、50、59.5、62、65から選択される開始点および終点を有する範囲であることができることが信じられる。溶媒のそのような範囲の例としては、本組成物の、約0.5質量%〜約59.5質量%、または約1質量%から約50質量%、または約0.5質量%から約50質量%、または約1質量%から約40質量%、または約0.5質量%から約30質量%、または約1質量%から約30質量%、または約5質量%〜約30質量%、または約5質量%〜約15質量%、または約7質量%〜約12質量%、または約10質量%〜約25質量%、または約15質量%〜約25質量%が挙げられる。
アミン化合物
【0071】
本発明の組成物は、以下の役割、pH調整剤として、錯化剤として、および/または緩衝剤組成物中の共役塩基として、好ましくはpH調整剤として、の1つもしくは2つの機能をすることができるアミン化合物を含んでいる。好適なアミン化合物としては、少なくとも1種のアルカノ―ルアミンが挙げられる。好ましいアルカノ―ルアミンとしては、1〜5個の炭素原子を有する第1級、第2級、および第3級である低級アルカノ―ルアミンが挙げられる。そのようなアルカノ―ルアミンの例としては、N−メチルエタノールアミン(NMEA)、モノエタノールアミン(MEA)、ジエタノールアミン、モノ−、ジ−およびトリイソプロパノールアミン、2−(2−アミノエチルアミノ)エタノール、2−(2−アミノエトキシ)エタノール、トリエタノールアミン、N−エチルエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、シクロヘキシルアミンジエタノール、およびそれらの混合物が挙げられる。
【0072】
好ましい態様では、アミン化合物は、トリエタノールアミン(TEA)、ジエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、モノエタノールアミン、アミノ(エトキシ)エタノール(AEE)、N−メチルエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、シクロヘキシルアミンジエタノール、およびそれらの混合物からなる群から選択されるアルカノ―ルアミンである。
【0073】
本組成物中のアミン化合物の量は、ほとんどの用途において、組成物の約0.01質量%〜約50質量%、好ましくは、組成物の約0.08質量%〜約40質量%、またはより好ましくは、組成物の約0.2質量%〜約30質量%を構成することが信じられる。幾つかの態様では、アミン化合物は、本組成物の約0.02質量%〜約15質量%、そしてより好ましくは、約0.03〜約12質量%、または約0.3〜約7質量%、または約0.1〜約3質量%を構成する。本組成物中のアミンの質量%は、以下の数、0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.7、0.09、0.1、0.2、0.3、0.5、0.7、0.9、1、1.2、1.5、1.7、2、2.5、3、3.5、5、7、10、12、15、20、25、30、35、40、45および50の群から選択される開始点および終点を有する範囲内に存在することができる。
【0074】
アミン化合物は、過剰に用いられる場合には、対応する共役酸、例えば多官能性有機酸、が用いられる場合に、緩衝剤の塩基成分としてもまた作用することができる。
緩衝剤
【0075】
本エッチング組成物は、緩衝剤組成物を含んでいる。典型的には、緩衝剤組成物は、アミン化合物(上記で詳述した)、および/または他の塩基および/またはアンモニウム塩ならびに以下に詳述する多官能性有機酸を含む、から本質的になる、または、からなる。アミン化合物に加えて、更なる、または代わりの塩基および/またはアンモニウム塩を、本組成物の緩衝剤として働くように多官能性有機酸と共に作用するように、本組成物に加えることができる。
【0076】
幾つかの態様では、用いられる緩衝剤は、1種もしくは2種以上の多官能性有機酸と対となったアンモニウム塩を含んでおり、その多官能性有機酸は、緩衝剤の共役酸部分として主に機能する。ここで用いられる用語「多官能性有機酸」は、1つ以上のカルボン酸基を有する酸または多塩基酸を表し、例えば、限定するものではないが、(i)ジカルボン酸(例えば、マロン酸、リンゴ酸など)、芳香族部分を有するジカルボン酸(例えば、フタル酸など)、およびそれらの組み合わせ、ならびに(ii)トリカルボン酸(例えば、クエン酸など)、芳香族部分を有するトリカルボン酸(例えば、トリメリト酸など)およびそれらの組み合わせ、が挙げられる。
【0077】
緩衝剤系に好ましい酸としては、少なくとも3つのカルボン酸基を有する多塩基のものがある。そのような酸は、少なくとも第2および第3解離定数を有しており、それらのそれぞれは、そのそれぞれの先立つ定数よりも大きい。このことは、第1のプロトンは単一の負の電荷のイオンから分離し、一方で第2のプロトンは二重の負の電荷のイオンから分離するために、その酸は、第2のプロトンよりも第1のプロトンをより容易に開放することを示している。二重の負の電荷は、プロトンを酸イオンに、強く引き戻すことが信じられる。同様の関係が、第2と第3の分離されたプロトンの間にも存在する。従って、多塩基性酸、例えば少なくとも3つのカルボン酸を有するものは、特には、それらのより高いpKa値に相当するpHでは、溶液のpHを制御するのに有用である。従って、約5〜約7のpKa値を有することに加えて、本発明の好ましい多塩基酸は、複数のpKa値を有しており、ここで最も高いpKaは約5〜約7、または約5〜約6、または約6〜約7、または約5.5〜約6.5である。
【0078】
本発明による少なくとも3つのカルボン酸基を有する多塩基酸は、多水酸基の溶媒と高度に相溶性である。好ましい多塩基酸の例としては、トリカルボン酸(例えば、クエン酸、2−メチルプロパン−1,2,3−トリスカルボン酸、ベンゼン−1,2,3−トリカルボン酸[ヘミメリット]、プロパン−1,2,3−トリカルボン酸[トリカルバリル]、1,cis−2,3−プロペントリカルボン酸[アコニット]など)、テトラカルボン酸(例えば、ブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸、シクロペンタンテトラ−1,2,3,4−カルボン酸、ベンゼン−1,2,4,5−テトラカルボン酸[ピロメリット]など)、ペンタカルボン酸(例えば、ベンゼンペンタカルボン酸)、およびヘキサカルボン酸(例えば、ベンゼンヘキサカルボン酸[メリット])などが挙げられる。それらの酸のそれぞれのpKa値が、テーブル1に与えられている。特に好ましい多塩基酸としては、トリカルボン酸が挙げられ、クエン酸が最も好ましい。
【0080】
好ましい多塩基酸であるクエン酸は、3.13、4.76および6.40の3つのpKa値を有するトリカルボン酸であり、それぞれがクエン酸三水素イオン、クエン酸二水素イオン、およびクエン酸一水素イオンに対応する。本発明の特定の好ましい態様では、緩衝剤系は、クエン酸の塩を含み、特に好ましい緩衝剤は、三塩基性クエン酸アンモニウムおよびクエン酸の水溶液を含む。
【0081】
緩衝剤の多官能性酸成分は、緩衝剤のアンモニウム塩を含む成分と組み合わせて、本発明の組成物に緩衝剤の作用を与える。上記の酸が本発明の態様によるアンモニウム塩基と反応する場合には、それらは、例えば、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、次亜塩素酸アンモニウム、塩素酸アンモニウム、過マンガン酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、第二リン酸アンモニウム、クエン酸二アンモニウム、クエン酸三アンモニウム(TAC)、スルファミン酸アンモニウム、シュウ酸アンモニウム、ギ酸アンモニウム、酒石酸アンモニウム、酒石酸水素アンモニウムおよびグリコール酸アンモニウムを形成する。幾つかの態様では、1種もしくは2種以上の上記のアンモニウム塩は、本組成物に、緩衝剤の一部として(多官能性酸に加えて)、本組成物に緩衝剤として働くように加えられる。それらの態様では、緩衝剤は、1種もしくは2種以上のアンモニウム塩および1種もしくは2種以上の多官能性酸を含むことができる。
【0082】
本開示の本組成物中の多官能性有機酸の量は、約0.1質量%〜約5質量%、または約0.25質量%〜約3質量%、または約0.3質量%〜約2.5質量%、または約0.5質量%〜約2質量%、または約0.3〜約2質量%、または約0.3〜約1.5質量%、または約0.1質量%〜約1質量%であることが信じられる。本組成物中の多官能性の有機酸の質量%は、以下の数、0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.7、0.09、0.1、0.2、0.3、0.5、0.7、0.9、1、1.5、2、2.5、3、5、7、10、15および20の群から選択される開始点および終点を有する範囲内に存在することができる。多官能性の有機酸とともに緩衝剤として作用する塩基、アミンおよび/またはアンモニウム塩の量は、本組成物中に、多官能性の有機酸に対して1:10〜10:1、または1:8〜8:1、または1:5〜5:1、または1:3〜3:1、または1:2〜2:1、または1.5:1〜1:1.5、または1.3:1〜1:1.3、または1.1:1〜1:1.1である量で存在することができる。
【0083】
好ましくは、開示されたエッチング組成物の緩衝剤組成物は、本組成物に、それらがアルカリ性であるように、緩衝剤として働く。幾つかの態様では、pHは2〜12である。他の態様では、pHは2〜10である。他の態様では、pHは3〜9である。他の態様では、pHは、以下のpH値、2、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10、10.5、11、11.5、12、13、13.5の群から選択される開始点および終点を有する範囲内であることができる。
他の随意選択的な成分
【0084】
また、本発明のエッチング組成物は、1種もしくは2種以上の以下の添加剤、キレート化剤、化学改質剤、染料、殺生物剤、および他の添加剤を含むことができる。これらの添加剤は、それらが本組成物の性能に悪影響を与えない範囲で加えることができる。
【0085】
本エッチング組成物中に用いられることができる他の随意選択的な成分としては、金属キレート化剤があり、それは、金属を溶液中に保持する本組成物の能力を向上させ、そして金属の残渣の溶解を促進するように機能することができる。この目的のために有用なキレート化剤の典型的な例としては、以下の有機酸およびそれらの異性体および塩、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ブチレンジアミン四酢酸、(1,2−シクロヘキシレンジアミン)四酢酸(CyDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DETPA)、エチレンジアミン四プロピオン酸、(ヒドロキシエチル)エチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、N,N,N’,N’−エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)(EDTMP)、トリエチレンテトラミン六酢酸(TTHA)、1,3−ジアミノ−2−ヒドロキシプロパン−N,N,N’,N’−四酢酸(DHPTA)、メチルイミノ二酢酸、プロピレンジアミン四酢酸、ニトロ三酢酸(NTA)、酒石酸、グルコン酸、糖酸、グリセリン酸、シュウ酸、フタル酸、マレイン酸、マンデル酸、マロン酸、乳酸、サリチル酸、没食子酸プロピル、ピロガロール、8−ヒドロキシキノリン、およびシステインがある。好ましいキレート化剤は、アミノカルボン酸、例えば、EDTA、CyDTA、およびアミノホスホン酸、例えばEDTMPである。
【0086】
キレート化剤は、存在するのであれば、本組成物中に、本組成物の約0.1質量%〜約10質量%の量、好ましくは約0.5質量%〜約5質量%の量であることが信じられる。
【0087】
幾つかの態様では、本発明の組成物は、本組成物に加えられる上記で列挙されたキレート化剤の幾つか(いずれかの組み合わせで)のいずれかまたは全てを含まない、もしくは実質的に含まない。
【0088】
他の通常知られている成分、例えば染料、殺生物剤などは、本洗浄組成物中に、慣用の量、例えば、全体で本組成物の約5質量%以下の量、で含まれることができる。他の態様では、本組成物は、染料および殺生物剤を実質的に含まない、または含まない。
【0089】
他の態様では、エッチング溶液はナトリウムおよび/またはカルシウムを実質的に含まない(または含まない)。幾つかの態様では、ここに開示された組成物は、以下の化合物、無機酸、アルキルチオール、および有機シランの少なくとも1種を実質的に含まないように配合される。幾つかの態様では、ここに開示された組成物は、無機塩基を実質的に含まない、または含まないように配合される。幾つかの態様では、本組成物はキレート化剤、例えばEDTAおよび/または腐食防止剤、例えばトリアゾールを含まない。幾つかの態様では、本組成物は以下の、水酸化物、金属水酸化物、例えばKOHまたはLiOHまとはNaOHの1種もしくは2種以上を実質的に含まない、または含まないことができる。他の態様では、本組成物は、1種もしくは2種以上のフッ素含有化合物以外のハロゲン化物含有化合物を実質的に含まない、または含まないことができ、例えば、本組成物は、以下の、臭素含有化合物、塩素含有化合物またはヨウ素含有化合物の1種もしくは2種以上を実質的に含まない、または含まないことができる。他の態様では、本組成物は、スルホン酸および/またはホスホン酸および/または硫酸および/または硝酸および/または塩酸を実質的に含まない、または含まないことができる。他の態様では、本組成物は、硫酸塩および/または硝酸塩および/または亜硫酸塩および/または亜硝酸塩を実質的に含まない、または含まないことができる。他の態様では、本組成物は、水酸化アンモニウムおよび/またはエチルジアミンを実質的に含まない、または含まないことができる。他の態様では、本組成物は、ナトリウム含有化合物および/またはカルシウム含有化合物および/またはマンガン含有化合物またはマグネシウム含有化合物および/またはクロム含有化合物および/または硫黄含有化合物および/またはシラン含有化合物および/またはリン含有化合物を実質的に含まない、または含まないことができる。幾つかの態様は、非イオン性界面活性剤および/またはアニオン性界面活性剤および/またはカチオン性界面活性剤および/またはポリエチレンイミンを実質的に含まない、または含まないことができる。
【0090】
本発明のエッチング溶液組成物は、典型的にはこれらの成分を一緒に容器中で室温で、全ての固体が水系の媒質中に溶解するまで混合することによって調製される。
方法
【0091】
他の態様では、ケイ素およびケイ素−ゲルマニウムを含む複合材半導体装置中のケイ素とケイ素−ゲルマニウムを、その複合材半導体装置を、水、酸化剤、アミン化合物と多官能性有機酸とを含む緩衝剤組成物、水混和性溶媒、およびフッ化物イオン源を含む、から本質的になる、または、からなる組成物と接触させることによって、同時にエッチングするための方法を提供する。この方法は、ケイ素とケイ素−ゲルマニウムとを含む複合材半導体装置上のケイ素およびケイ素−ゲルマニウムを同時にエッチングする工程を含んでおり、この方法は、ケイ素とケイ素−ゲルマニウムとを含むその複合材半導体装置を、水、酸化剤、アミン化合物と多官能性有機酸とを含む緩衝剤組成物、水混和性溶媒、およびフッ化物イオン源を含む水性組成物と接触させる工程、ならびにその複合材半導体装置を、ケイ素とケイ素−ゲルマニウムが少なくとも部分的に除去された後に濯ぐ工程、を含んでおり、ここでケイ素のケイ素−ゲルマニウムに対するエッチング速度は、約2:1〜1:2の範囲内である。また、付加的な乾燥工程を、本方法に含むことができる。「少なくとも部分的な除去」とは、その材料の少なくとも50%の除去、好ましくは少なくとも70%の除去を意味している。最も好ましくは、本発明の組成物を用いた少なくとも80%の除去。
【0092】
シリコンはいずれかの方位、例えば(100)または(100)であることができる。幾つかの態様では、シリコンの方位は(110)であり、そして他の態様では、シリコンの方位は(100)である。
【0093】
接触させる工程は、いずれかの好適な方法、例えば浸漬法、スプレイ法によって、または単一ウエハ法によって行われることができる。接触させる工程の間の本組成物の温度は、好ましくは約25〜200℃、そしてより好ましくは約25〜100℃、そしてより好ましくは約25〜100℃である。
【0094】
本発明の組成物は、ケイ素とケイ素−ゲルマニウムを含む基材に、例えば、積層ゲートを装置の全体に亘って製造する間に、用いられた場合に、驚くべきことに、ケイ素とケイ素−ゲルマニウムとの優れた同時のエッチングを示す。幾つかの態様では、ケイ素とケイ素−ゲルマニウムのエッチング速度は、3:1〜1:3であることができる。幾つかの態様では、ケイ素とケイ素−ゲルマニウムのエッチング速度は、1:2.5〜2.5:1、または1:2〜2:1、または1.9:1〜1:1.9、または1.8:1〜1:1.8、または1.7:1〜1:1.7、または1.6:1〜1:1.6、または1.5:1〜1:1.5、または1.4:1〜1:1.4、または1.3:1〜1:1.3、または1.2:1〜1:1.2、または1.1:1〜1:1.1であることができる。他の態様では、ケイ素とケイ素−ゲルマニウムのエッチング速度は、約1:1であることができる。この除去速度の比は処理の前後の厚み(例えば、フィンの)の変化で測定される。
【0095】
接触させる工程の後は、随意選択的なすすぎ工程である。すすぎ工程は、いずれかの好適な手段によって、例えば、浸漬技術またはスプレイ技術によって、基材を脱イオン水ですすぐことによって行うことができる。好ましい態様では、すすぎ工程は、脱イオン水と有機溶媒、例えばイソプロピルアルコール、との混合物を用いて行うことができる。
【0096】
接触させる工程および随意選択的なすすぎ工程の後に、随意選択的な乾燥工程があり、いずれかの好適な方法、例えばイソプロピルアルコール(IPA)蒸気乾燥、加熱によって、求心力によって、または清澄な乾燥空気もしくは不活性ガスを送ることによって、および/またはそれらの組み合わせによって行われる。
【0097】
特徴および利点が、以下に議論される例示的な例によってより完全に示される。
【実施例】
【0098】
洗浄組成物を調製するための包括的な手順
この例の主題である全ての組成物は、250mLのビーカ中で成分を1インチのテフロンコーティングされた攪拌棒で混合することによって調製された。典型的には、このビーカに加えられた最初の材料は脱イオン(DI)水であり、次いで他の成分が特別な順番はなく加えられた。
基材の組成
SiまたはSiGeブランケットウエハが、配合物の開発のためのエッチング速度の試験のために用いられた。SiおよびSiGeフィンを有するパターン化されたウエハが、本発明の組成物を用いて、フィンのトリミングを確認するために用いられた。
処理条件
【0099】
ケイ素およびSiGeのエッチング試験は、400rpmの1/2インチの丸型テフロン攪拌棒を備えた250mLビーカ中の100gのエッチング組成物を用いて行った。このエッチング組成物は、熱盤上で約45℃の温度に加熱された(典型的には25℃〜89℃)。試験片は、この組成物中に、約20分間に亘って攪拌しながら浸漬された。
【0100】
次いで、これらの切片は、DI水浴中に3分間に亘ってすすがれるか、またはスプレイされ、そして次いでろ過された窒素を用いて乾燥された。ケイ素およびケイ素−ゲルマニウムは、エッチングの前後の厚さの変化から評価され、そして透過型電子顕微鏡によって測定された。
例
【0101】
【表2】
【0102】
表2を参照すると、表1の組成物が、25℃のプロセス温度および50秒間のプロセス時間で用いられ、そして例2がまた、90秒間で試験された。例1の組成物では、Si除去の厚さは0.9nmであり、そしてSiGe除去は1.2nmであり、Si:SiGeの除去速度比は1:1.33となった。例2は、50秒間後に4.5nmのSi除去厚さ、そして1.9nmのSiGe除去厚さを与え、1:2.36のSiGe:Siの除去速度比を与えた。例3は、1:1.11のSi:SiGe除去速度を与えた。例1および3の除去厚さは、両方とも約1nmであった。更に、これらの組成物は、酸化物および窒化物と適合性であった。例2では、90秒間でSiおよびSiGeの両方の100%が除去された。プロセス時間は、これらの結果を向上させるように変更されることができる。
【0103】
【表3】
比較例
【0104】
エッチング試験は、400rpmの1/2インチの丸型テフロン攪拌棒を備えた250mLビーカ中で、100gの比較の組成物を用いて行った。これらのエッチング組成物は、熱盤上で約45℃の温度に加熱された。試験片は、これらの組成物中に約20分間に亘って攪拌しながら浸漬された。
【0105】
次いで、SiとSiGeのフィンの交互の層を有するウエハを、DI水浴またはスプレイで3分間すすぎ、続いて、ろ過された窒素を用いて乾燥させた。ケイ素およびケイ素−ゲルマニウムのエッチング速度が、エッチングの前後の厚さの変化から評価され、そして分光エリプソメトリー(MG-1000、Nano-View Co.,Ltd.、韓国、我々はSCI FilmTek SE2000を使用した。)典型的な開始時の層厚さは、Siが1000Å、そしてSiGeが1000Åであった。
【0106】
表3に比較例についてのポリSiおよびSiGeの選択性が示されている。ポリSiのSiGeに対するエッチング速度は、3.4:1超であった。
【0107】
【表4】
Lupasol(商標)800は、BASFによって供給される、ポリエチレンイミンである。
【0108】
前述の説明は、主に例示の目的で意図されている。 本発明は、その例示的な態様について示され、説明されてきたが、その形態および詳細における前述のおよび他の様々な変更、省略、および追加が、本発明の精神および範囲から逸脱することなく行われ得ることが当業者によって理解されなければならない。