(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記上流側搬送ローラ対は、前記上流側搬送ローラ対の位置を前記記録媒体の後端が通過した後に離間状態から当接状態になることを特徴とする請求項1に記載の搬送装置。
前記記録媒体の後端が前記上流側搬送ローラ対の位置を通過した後に、離間状態にあった前記上流側搬送ローラ対が当接状態に変更されることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の搬送装置。
前記挟持ローラ対は、前記記録媒体を挟持して搬送するときに前記記録媒体との間に生じる摩擦力が、前記上流側搬送ローラ対のものに比べて大きくなるように形成されたことを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかに記載の搬送装置。
前記挟持ローラ対は、当該挟持ローラ対を構成する2つのローラのそれぞれの回転中心に対して直交する軸を中心に回動することを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれかに記載の搬送装置。
前記挟持ローラ対は、当該挟持ローラに挟持された前記記録媒体を搬送方向に対して斜め方向に変位させるように回動することを特徴とする請求項1〜請求項9のいずれかに記載の搬送装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、この発明を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
【0011】
実施の形態1.
図1〜
図8にて、この発明の実施の形態1について詳細に説明する。
まず、
図1にて、画像形成装置全体の構成・動作について説明する。
図1において、1は画像形成装置としての複写機の装置本体、2は原稿Dの画像情報を光学的に読み込む原稿読込部、3は原稿読込部2で読み込んだ画像情報に基いた露光光Lを感光体ドラム5上に照射する露光部、4は感光体ドラム5上にトナー像(画像)を形成する作像部、7は感光体ドラム5上に形成されたトナー像を記録媒体Pに転写する転写部(画像形成部)、10はセットされた原稿Dを原稿読込部2に搬送する原稿搬送部、12〜14は転写紙等の記録媒体P(シート)が収納された給紙部(給紙カセット)、20は記録媒体P上の未定着画像を定着する定着装置、21は定着装置20に設置された定着ローラ、22は定着装置20に設置された加圧ローラ、30は記録媒体Pを搬送経路に沿って搬送する搬送装置、45は転写部7(画像形成部)に向けて記録媒体Pを搬送する搬送ローラ対としてのタイミングローラ、を示す。
【0012】
図1を参照して、画像形成装置における、通常の画像形成時の動作について説明する。
まず、原稿Dは、原稿搬送部10の搬送ローラによって、原稿台から図中の矢印方向に搬送されて、原稿読込部2上を通過する。このとき、原稿読込部2では、上方を通過する原稿Dの画像情報が光学的に読み取られる。
そして、原稿読込部2で読み取られた光学的な画像情報は、電気信号に変換された後に、露光部3(書込部)に送信される。そして、露光部3からは、その電気信号の画像情報に基づいた露光光L(レーザ光)が、作像部4の感光体ドラム5上に向けて発せられる。
【0013】
一方、作像部4において、感光体ドラム5は図中の時計方向に回転しており、所定の作像プロセス(帯電工程、露光工程、現像工程)を経て、感光体ドラム5上に画像情報に対応した画像(トナー像)が形成される。
その後、感光体ドラム5上に形成された画像は、画像形成部としての転写部7で、搬送ローラ対としてのタイミングローラ45により搬送された記録媒体P上に転写される。
【0014】
一方、
図1及び
図2を参照して、転写部7(画像形成部)に搬送される記録媒体Pは、次のように動作する。
まず、画像形成装置本体1の複数の給紙部12〜14のうち、1つの給紙部が自動又は手動で選択される(例えば、装置本体1に内設された給紙部12が選択されたものとする。)。
そして、給紙部12に収納された記録媒体Pの最上方の1枚が、給紙ローラ41によって、第1搬送ローラ対42、第2搬送ローラ対43が設置された湾曲搬送経路に向けて給送される。
【0015】
その後、記録媒体Pは、湾曲搬送経路から合流部X(装置本体1の外部に設置された2つの給紙部13、14からの搬送経路が合流する部分である。)の位置を通過した後に、第3搬送ローラ対44、整合部51が設置された直線搬送経路を通過して、タイミングローラ45(第4搬送ローラ対)の位置に達する。そして、タイミングローラ45の位置に達した記録媒体Pは、感光体ドラム5上に形成された画像と位置合わせをするためにタイミングを合わせて、転写部7(画像形成部)に向けて搬送される。
【0016】
そして、転写工程後の記録媒体Pは、転写部7の位置を通過した後に、搬送経路を経て定着装置20に達する。定着装置20に達した記録媒体Pは、定着ローラ21と加圧ローラ22との間に送入されて、定着ローラ21から受ける熱と双方の部材21、22から受ける圧力とによって画像が定着される。画像が定着された記録媒体Pは、定着ローラ21と加圧ローラ22との間(ニップ部である。)から送出された後に、画像形成装置本体1から排出される。
こうして、一連の画像形成プロセスが完了する。
【0017】
ここで、
図2を参照して、本実施の形態1における画像形成装置1は、3つの給紙部12〜14から記録媒体Pを転写部7(画像形成部)に向けて給送できるように構成されている。
また、搬送装置30に設置された搬送ローラ対42〜45(符号を付していない搬送ローラ対も含む。)は、いずれも、駆動ローラ(不図示の駆動機構によって回転駆動されるローラである。)と従動ローラ(駆動ローラとの摩擦抵抗によって従動回転するローラである。)とからなるローラ対であって、記録媒体Pを2つのローラで挟持しながら搬送できるように構成されている。
【0018】
ここで、第1の給紙部12からの搬送経路と、第2、第3の給紙部13、14からの搬送経路と、が合流する合流部Xから、タイミングローラ45の位置までの搬送経路として、記録媒体Pの搬送方向に沿って略直線状に形成された直線搬送経路が設けられている。この直線搬送経路は、不図示の直線搬送ガイド板(搬送される記録媒体Pの表裏面を挟むように設置されている。)によって形成されていて、搬送方向に沿って第3搬送ローラ対44、斜行検知センサ35(第1検知手段)、挟持ローラ31(横レジスト・斜行補正ローラ)、CIS36(第2検知手段)、タイミングローラ45、紙検知センサ37(第3検知手段)が設置されている。第3搬送ローラ対44と挟持ローラ31とタイミングローラ45とは、いずれも、駆動ローラと従動ローラとからなるローラ対であって、記録媒体Pを2つのローラで挟持しながら搬送することになる。そして、挟持ローラ31は、斜行補正(搬送方向に対して斜め方向の位置ズレに対する補正である。)と横レジスト補正(幅方向の位置ズレに対する補正である。)との整合動作をおこなうための整合部51としても機能することになるが、これについては後で詳しく説明する。
【0019】
次に、
図2〜
図6を用いて、本実施の形態1において特徴的な搬送装置30について詳述する。
以下、主として、合流部Xから転写部7(画像形成部)に至る搬送経路における構成やそこでおこなわれる動作について説明する。
図2及び
図3を参照して、搬送装置30には、記録媒体Pの直線搬送経路(合流部Xから転写部7に至る搬送経路である。)に沿って、第3搬送ローラ対44、第1検知手段としての斜行検知センサ35、挟持ローラ31(横レジスト・斜行補正ローラ)、第2検知手段としてのCIS36(コンタクト・イメージ・センサ)、タイミングローラ45、第3検知手段としての紙検知センサ37が設置されている。
【0020】
ここで、挟持ローラ31は、幅方向に複数分割されたローラ部を有するローラ対であって、駆動モータ61(
図4を参照できる。)によって回転駆動される駆動ローラ31aと、駆動ローラ31aの回転に従動して回転する従動ローラ31bと、で構成されている。また、挟持ローラ31は、不図示の離間機構によって、ローラ対の当接・離脱動作ができるように構成されている。すなわち、挟持ローラ31は、記録媒体Pを挟持した状態と挟持しない状態とを切り替えられるように離間可能に形成されるとともに、回転することによって記録媒体Pを搬送可能に形成されている。
【0021】
また、挟持ローラ31は、斜め方向に回動(
図3の破線両矢印W方向の回動である。)できるように形成されるとともに、幅方向(
図3の破線矢印S方向である。)に移動できるように形成されている。
詳しくは、
図4を参照して、挟持ローラ31(駆動ローラ31a及び従動ローラ31b)は、ベース部71に対して軸部71aを中心にして回動可能に保持された保持部72に、回転可能に支持されている。また、駆動ローラ31aを回転駆動する駆動モータ61も、保持部72に保持されている。
また、ベース部71の底部には、第1モータ62のモータ軸62aに形成されたピニオンギアに噛合するラックギア71bが形成されている。これにより、第1モータ62の正逆方向の回転駆動によって、挟持ローラ31が幅方向(
図4の両矢印方向であって、
図2の紙面垂直方向、
図3の上下方向である。)に移動することになる。
さらに、ベース部71の幅方向一端側には第2モータ63が設置されていて、この第2モータ63のモータ軸63aに形成されたギアが、保持部72の幅方向一端側に形成されたギア72aに噛合するように形成されている。これにより、第2モータ63の正逆方向の回転駆動によって、挟持ローラ31が軸部71aを中心にして回動(
図4の両矢印方向の回動であって、
図3のW方向の回動である。)することになる。なお、本実施の形態1では、挟持ローラ31が幅方向の中央位置を中心にして回動するように構成したが、挟持ローラ31が幅方向の端部側の位置を中心にして回動するように構成することもできる。
【0022】
そして、挟持ローラ31は、記録媒体Pを挟持した状態で搬送しながら、斜行検知センサ35(第1検知手段)の検知結果に基いて記録媒体の斜め方向の位置ズレ量を補正することになる。すなわち、挟持ローラ31は、搬送経路において搬送される記録媒体Pを斜め方向に変位させて記録媒体Pの斜行補正(スキュー補正)をおこなう手段として機能するものである。
さらに、挟持ローラ31は、記録媒体Pを挟持した状態で搬送しながら、CIS36(第2検知手段)の検知結果に基いて記録媒体Pの幅方向の位置ズレ量を補正することになる。すなわち、挟持ローラ31は、搬送経路において搬送される記録媒体Pを幅方向に変位させて記録媒体Pの横レジスト補正をおこなう手段としても機能するものである。
【0023】
ここで、第3搬送ローラ対44は、挟持ローラ31に対して上流側(搬送方向上流側)の位置に設置されている。第3搬送ローラ対44は、記録媒体Pを挟持した状態で回転することによって記録媒体Pを搬送可能に形成されるとともに、記録媒体Pを挟持した状態と挟持しない状態とを切り替えられるように離間可能に形成された搬送ローラ対である。そして、第3搬送ローラ対44は、記録媒体Pが挟持ローラ31の位置に達して挟持ローラ31によって挟持・搬送される状態になると、記録媒体Pを挟持した状態から挟持しない状態に切り替えられることになる。
【0024】
なお、本実施の形態1において、挟持ローラ31は、記録媒体Pを挟持して搬送するときにその記録媒体Pとの間に生じる摩擦力が、第3搬送ローラ対44のものに比べて大きくなるように形成されている。具体的には、挟持ローラ31における駆動ローラ31aと従動ローラ31bとのそれぞれのローラ部の摩擦係数(又は/及び圧接力)が、第3搬送ローラ対44における駆動ローラと従動ローラとのそれぞれのローラ部の摩擦係数(又は/及び圧接力)に比べて、大きくなるように形成している。これにより、記録媒体Pが挟持ローラ31と第3搬送ローラ対44とによって挟持された状態で搬送されてしまうような状態が生じてしまっても、挟持ローラ31による搬送力(挟持力)が優先されることになるため、挟持ローラ31によっておこなわれる記録媒体Pの斜行補正や横レジスト補正の精度が低下する不具合を抑止することができる。
【0025】
タイミングローラ45(第4搬送ローラ対)は、挟持ローラ31に対して搬送経路の下流側(搬送方向下流側)の位置であって、転写部7(画像形成部)に対して搬送経路の上流側の位置に配設された搬送ローラ対であって、記録媒体Pを挟持した状態で回転することによって記録媒体P(挟持ローラ31によって斜行補正・横レジスト補正がされた後の記録媒体Pである。)を画像形成部に向けて搬送する。
ここで、タイミングローラ45は、回転数可変型の駆動モータ(不図示である。)に接続されていて、記録媒体Pの搬送速度を可変できるように形成されている。そして、第3検知手段としての紙検知センサ37(フォトセンサ)によってタイミングローラ45の位置に記録媒体Pが搬送されたタイミングが検知されると(タイミングローラ45の位置に記録媒体Pが搬送されて、タイミングローラ45によって記録媒体Pが挟持された状態が検知されると)、挟持ローラ31は記録媒体Pを挟持しないように離間されて、さらに紙検知センサ37の検知結果(検知タイミング)に基いてタイミングローラ45による搬送速度が可変される。すなわち、タイミングローラ45によって転写部7に記録媒体Pが搬送されるタイミングと、感光体ドラム5上に形成された画像が転写部7に達するタイミングと、を合わせるように、タイミングローラ45による搬送速度が可変される(画像形成部に向けて搬送される記録媒体Pの搬送タイミングが調整される。)。これにより、タイミングローラ45によって記録媒体Pの搬送を停止することなく、記録媒体Pの縦レジスト補正(搬送方向の位置ズレ補正)をおこなうことができる。
なお、タイミングローラ45は、画像形成部に記録媒体Pの先端が達した直後に、感光体ドラム5との間に線速差が生じて記録媒体P上に転写される画像に歪みが生じないように搬送速度が可変されることになる(感光体ドラム5との線速比が1になるように搬送速度が可変される)。
【0026】
第1検知手段としての斜行検知センサ35は、搬送経路において搬送される記録媒体Pの斜め方向の位置ズレ量(スキュー量)を検知するものである。
詳しくは、
図3を参照して、斜行検知センサ35は、挟持ローラ31に対して搬送経路の上流側であって、第3搬送ローラ対44に対して搬送経路の下流側に設置されている。斜行検知センサ35は、幅方向中心位置から等距離はなれた位置に設置された2つのフォトセンサ(LED等の発光素子とフォトダイオード等の受光素子とからなる。)であって、記録媒体Pの先端部が通過するタイミングのズレを検知することで記録媒体Pの斜行量β(スキュー量)を検知する。そして、本実施の形態1では、斜行検知センサ35の検知結果に基いて、挟持ローラ31によって記録媒体Pを挟持・搬送しながら斜行補正がおこなわれる。
具体例として、
図3を参照して、一点鎖線で示す基準位置(斜行のない正規の位置である。)に対して、記録媒体Pが正方向(回転方向の正方向)に角度βだけ斜行している状態が、斜行検知センサ35によって検知されると、制御部によってその位置ズレ量βを補正量として、挟持ローラ31によって記録媒体Pを挟持した状態で挟持ローラ31を逆方向(回転方向の逆方向であって、
図3の時計方向である。)に角度βだけ回動させることになる。
【0027】
図3を参照して、第2検知手段としてのCIS36は、挟持ローラ31に対して搬送経路の下流側であって、タイミングローラ45に対して搬送経路の上流側に設置されている。CIS36は、幅方向に複数のフォトセンサ(LED等の発光素子とフォトダイオード等の受光素子とからなる。)が並設されたものであって、記録媒体Pの幅方向一端側の側端部Pa(エッジ部)の位置を検知することで横レジストのズレ量を検知する。すなわち、CIS36(第2検知手段)は、搬送装置30の搬送経路において搬送される記録媒体Pの幅方向の位置ズレ量を検知するものである。そして、CIS36の検知結果に基いて、挟持ローラ31による横レジスト補正がおこなわれる。
なお、本実施の形態1では、
図3に示すように、CIS36を幅方向一端側のみに設置して記録媒体Pの幅方向一端側の側端部Paの位置を検知したが、CIS36を幅方向全域にわたって設置して記録媒体Pの幅方向両端のそれぞれの側端部の位置を検知することもできる。
【0028】
そして、CIS36(第2検知手段)の検知結果に基いて、挟持ローラ31によって記録媒体Pを挟持・搬送した状態で挟持ローラ31を幅方向に移動させて、搬送経路において搬送される記録媒体Pの幅方向の位置ズレ(横レジスト)を補正している。
具体例として、
図3を参照して、一点鎖線で示す基準位置(幅方向の位置ズレのない正規の位置である。)に対して、記録媒体Pが幅方向一端側(
図3の下方である。)に距離αだけ位置ズレしている状態が、CIS36によって検知されると、制御部によってその位置ズレ量αを補正量として、挟持ローラ31で記録媒体Pを挟持・搬送した状態で挟持ローラ31を幅方向他端側(
図3の上方である。)に距離αだけ移動させることになる。
【0029】
このように、本実施の形態1において、挟持ローラ31は、記録媒体Pを搬送停止することなく、記録媒体Pを挟持した状態で、斜行検知センサ35(第1検知手段)の検知結果に基いて斜め方向に回動することで記録媒体Pの斜め方向の位置ズレ量を補正するとともに、CIS36(第2検知手段)の検知結果に基いて幅方向に移動することで記録媒体Pの幅方向の位置ズレ量を補正するものである。すなわち、本実施の形態1では、挟持ローラ31が記録媒体Pを搬送可能に回転した状態で、斜行検知センサ35によって記録媒体Pのスキュー量が検知され、その検知結果に基いて記録媒体Pの横レジスト補正がおこなわれ、その後にCIS36によって記録媒体Pの横レジストのズレ量が検知され、その検知結果に基いて記録媒体Pの横レジスト補正がおこなわれる。
これにより、記録媒体Pの搬送を停止して斜行補正や横レジスト補正をおこなう場合に比べて、装置の生産性を格段に向上させることができる。また、斜行補正や横レジスト補正をおこなうときに、挟持ローラ31において幅方向に複数設置されたローラ部同士に線速差が生じることはないため、薄紙や表面の摩擦係数が低い記録媒体Pが通紙される場合などであっても、記録媒体Pに撓みが生じたりスリップが生じたりすることはない。
【0030】
また、本実施の形態1では、上述した斜行補正・横レジスト補正がされた後であって、記録媒体Pがタイミングローラ45に挟持されたときに、挟持ローラ31が記録媒体Pを挟持しないように離間される。
これにより、タイミングローラ45による画像形成部に向けての搬送工程が確実におこなわれるとともに、次に搬送されてくる記録媒体Pに対する整合部51による動作の準備が迅速におこなわれることになる。
【0031】
以下、
図5及び
図6にて、上述のように構成された搬送装置30の動作の一例について詳述する。
なお、
図5(A1)〜(D1)、
図6(A1)〜(C1)は、搬送装置30の動作をその順番にそって示す上面図であって、
図5(A2)〜(D2)、
図6(A2)〜(C2)は、
図5(A1)〜(D1)、
図6(A1)〜(C1)の動作にそれぞれ対応した搬送装置30の側面図である。
まず、
図5(A1)及び(A2)に示すように、給紙部12から給送された記録媒体Pは、第3搬送ローラ対44によって挟持ローラ31の位置に向けて挟持・搬送される(白矢印方向の搬送である。)。そして、記録媒体Pが斜行検知センサ35(第1検知手段)の位置に達すると、斜行検知センサ35によって記録媒体Pのスキュー量βが検知される。
【0032】
その後、
図5(B1)及び(B2)に示すように、記録媒体Pの先端部が挟持ローラ31に達する直前に挟持ローラ31の回転駆動(図の矢印方向の回転駆動である。)が開始され、記録媒体Pが挟持ローラ31に挟持・搬送されると、第3搬送ローラ対44が搬送経路を開放して記録媒体Pを挟持しない方向(実線矢印方向である。)に離間移動する。なお、記録媒体Pの先端部が挟持ローラ31に達するタイミングは、斜行検知センサ35によって記録媒体Pの先端部を検知するタイミングと、記録媒体Pの搬送速度と、斜行検知センサ35の位置から挟持ローラ31の位置までの距離、などに基いて演算部(制御部)で求められる。
【0033】
そして、
図5(C1)及び(C2)に示すように、挟持ローラ31は、記録媒体Pを挟持・搬送しながら、斜行検知センサ35で検知されたスキュー量βを相殺するように軸部71aを中心に回動する。こうして、記録媒体Pのスキューが補正される。
その後、
図5(D1)及び(D2)に示すように、記録媒体P(斜行補正されたものである。)は、挟持ローラ31によって挟持・搬送されながら、その先端部がCIS36(第2検知手段)の位置に達して、その位置で横レジストの位置ズレ量αが検知される。
【0034】
そして、
図6(A1)及び(A2)に示すように、CIS36の検知結果に基いて挟持ローラ31が幅方向に移動する。すなわち、CIS36によって記録媒体Pの横レジストのズレ量が検知されて、そのズレ量を相殺するように挟持ローラ31が幅方向に移動する。こうして、記録媒体Pは、横レジスト補正がおこなわれながら、タイミングローラ45に向けて搬送されることになる。
その後、
図6(B1)及び(B2)に示すように、紙検知センサ37によって記録媒体Pがタイミングローラ45の位置に達した状態が検知されると、記録媒体Pを挟持・搬送していた挟持ローラ31は、搬送経路を開放して記録媒体Pを挟持しない方向(実線矢印方向である。)に離間移動する。
【0035】
その後、
図6(C1)及び(C2)に示すように、感光体ドラム5上の画像にタイミングを合わせるように、タイミングローラ45の回転数(転写部7に達するまでの記録媒体Pの搬送速度)が可変されて、記録媒体Pが転写部7(画像転写部)に向けて搬送される。こうして、記録媒体P上の所望の位置に画像が転写されることになる。
このとき、斜行補正及び横レジスト補正をおこなうために斜め方向に回動して幅方向に移動していた挟持ローラ31は、次に搬送される記録媒体Pに備えて、ホームポジションとしての基準位置(
図5(A1)の位置である。)に回動、移動する。さらに、記録媒体Pの後端が挟持ローラ31の位置を通過した後に、離間状態にあった挟持ローラ31が当接状態(
図5(A2)の状態である。)に戻される。
【0036】
なお、本実施の形態1において、挟持ローラ31は、記録媒体Pを挟持した状態で、斜行検知センサ35(第1検知手段)の検知結果に基いて斜め方向に回動することで記録媒体Pの斜め方向の位置ズレ量を補正するとともに、CIS36(第2検知手段)の検知結果に基いて幅方向に移動することで記録媒体Pの幅方向の位置ズレ量を補正するように動作した。
これに対して、変形例として、挟持ローラ31は、記録媒体Pを挟持する前に斜行検知センサ35(第1検知手段)の検知結果に基いて第1基準位置から斜め方向に回動するとともに、CIS36(第2検知手段)の検知結果に基いて第2基準位置から幅方向に移動した後に、記録媒体Pを挟持した状態で第1基準位置に戻るように斜め方向に回動することで記録媒体Pの斜め方向の位置ズレ量を補正するとともに、第2基準位置に戻るように幅方向に移動することで記録媒体Pの幅方向の位置ズレ量を補正するように動作してもよい。
【0037】
図7及び
図8は、そのような変形例としての搬送装置30の動作の一例を示すものである。
なお、
図7(A1)〜(C1)、
図8(A1)〜(B1)は、搬送装置30の動作をその順番にそって示す上面図であって、
図7(A2)〜(C2)、
図8(A2)〜(B2)は、
図7(A1)〜(C1)、
図8(A1)〜(B1)の動作にそれぞれ対応した搬送装置30の側面図である。
図7(A1)及び(A2)等を参照して、変形例としての搬送装置30は、第2検知手段としてのCIS36が斜行検知センサ35の上流側であって第3搬送ローラ対44の下流側に設置される点を除き、本実施の形態1における搬送装置30とほぼ同様に構成されている。
【0038】
まず、
図7(A1)及び(A2)に示すように、給紙部12から給送された記録媒体Pは、第3搬送ローラ対44によって挟持ローラ31の位置に向けて挟持・搬送される(白矢印方向の搬送である。)。このとき、挟持ローラ31は、回動方向の位置が第1基準位置(斜行のない記録媒体Pに対応した正規の位置である。)にあり、幅方向の位置が第2基準位置(横レジストの位置ズレのない記録媒体Pに対応した正規の位置である。)にある。
そして、記録媒体PがCIS36(第2検知手段)の位置に達すると、CIS36によって記録媒体Pの横レジストの位置ズレ量αが検知される。さらに、記録媒体Pが斜行検知センサ35(第1検知手段)の位置に達すると、斜行検知センサ35によって記録媒体Pのスキュー量βが検知される。なお、CIS36によって直接的に検知される位置ズレ量は、記録媒体Pが斜行した状態でのものであるため、その後に斜行検知センサ35で検知される検知結果と、CIS36の位置から斜行検知センサ35の位置までの距離、などに基いて、斜行がなかった場合における横レジストの位置ズレ量αが演算部(制御部)で求められる。
【0039】
その後、
図7(B1)及び(B2)に示すように、挟持ローラ31は、斜行検知センサ35で検知されたスキュー量βに合わせて同じ傾斜方向に軸部71aを中心に角度βだけ第1基準位置から回動するとともに、CIS36で検知された位置ズレ量αに合わせて同じ幅方向に距離αだけ第2基準位置からシフト移動する。
そして、
図7(C1)及び(C2)に示すように、記録媒体Pの先端部が挟持ローラ31に達する直前に挟持ローラ31の回転駆動(図の矢印方向の回転駆動である。)が開始され、記録媒体Pが挟持ローラ31に挟持・搬送されると、第3搬送ローラ対44が搬送経路を開放して記録媒体Pを挟持しない方向(実線矢印方向である。)に離間移動する。なお、記録媒体Pの先端部が挟持ローラ31に達するタイミングは、斜行検知センサ35やCIS36によって記録媒体Pの先端部を検知するタイミングと、記録媒体Pの搬送速度と、斜行検知センサ35やCIS36の位置から挟持ローラ31の位置までの距離、などに基いて演算部(制御部)で求められる。
【0040】
そして、
図8(A1)及び(A2)に示すように、挟持ローラ31は、記録媒体Pを挟持・搬送しながら、斜行検知センサ35で検知されたスキュー量βを相殺するように軸部71aを中心に第1基準位置に戻るように回動するとともに、CIS36で検知された位置ズレ量αを相殺するように第2基準位置に戻るように幅方向に移動する。こうして、記録媒体Pは、斜行補正と横レジスト補正とがおこなわれながら、タイミングローラ45に向けて搬送されることになる。
その後、
図8(B1)及び(B2)に示すように、紙検知センサ37によって記録媒体Pがタイミングローラ45の位置に達した状態が検知されると、記録媒体Pを挟持・搬送していた挟持ローラ31は、搬送経路を開放して記録媒体Pを挟持しない方向(実線矢印方向である。)に離間移動する。
【0041】
その後、感光体ドラム5上の画像にタイミングを合わせるように、タイミングローラ45の回転数(転写部7に達するまでの記録媒体Pの搬送速度)が可変されて、記録媒体Pが転写部7(画像転写部)に向けて搬送される。こうして、記録媒体P上の所望の位置に画像が転写されることになる。
このとき、挟持ローラ31は、次に搬送される記録媒体Pの斜行補正及び横レジスト補正に備えて、第1基準位置及び第2基準位置に位置していることになる。そして、記録媒体Pの後端が挟持ローラ31の位置を通過した後に、離間状態にあった挟持ローラ31が当接状態(
図7(A2)の状態である。)に戻される。
このような変形例としての搬送装置30においても、本実施の形態1のものと同様の効果を得ることができる。
【0042】
以上説明したように、本実施の形態1においては、挟持ローラ31によって記録媒体Pを挟持した状態で搬送しながら記録媒体Pの斜め方向の位置ズレ量を補正するとともに記録媒体Pの幅方向の位置ズレ量を補正している。これにより、搬送装置30(画像形成装置1)の生産性を低下させることなく、記録媒体Pの斜行補正と横レジスト補正とを高精度におこなうことができる。
【0043】
実施の形態2.
図9〜
図12にて、この発明の実施の形態2について詳細に説明する。
図9は実施の形態2における搬送装置の動作を示す概略図であって、
図10は
図9に続く搬送装置の動作を示す概略図である。また、
図11は変形例としての搬送装置の動作を示す概略図であって、
図12は
図11に続く搬送装置の動作を示す概略図である。
本実施の形態2における搬送装置は、斜行補正をおこなう第1挟持ローラ32と横レジスト補正をおこなう第2挟持ローラ33とが別々に設置されている点が、斜行補正と横レジスト補正とを1つの挟持ローラ31でおこなう前記実施の形態1のものとは相違する。
【0044】
図9(A1)及び(A2)等を参照して、本実施の形態2における搬送装置30は、斜行検知センサ35の位置からCIS36の位置までの搬送経路に、挟持ローラ31の代わりに第1挟持ローラ32と第2挟持ローラ33とが設置される点を除き、本実施の形態1における搬送装置30とほぼ同様に構成されている。
第1挟持ローラ32と第2挟持ローラ33とは、それぞれ、幅方向に複数分割されたローラ部を有するローラ対であって、駆動モータ(不図示である。)によって回転駆動される駆動ローラと、駆動ローラの回転に従動して回転する従動ローラと、で構成されている。また、2つの挟持ローラ32、33は、それぞれ、不図示の離間機構によって、ローラ対の当接・離脱動作ができるように構成されている。すなわち、2つの挟持ローラ32、33は、それぞれ、記録媒体Pを挟持した状態と挟持しない状態とを切り替えられるように離間可能に形成されるとともに、回転することによって記録媒体Pを搬送可能に形成されている。
【0045】
そして、第1挟持ローラ32は、斜行検知センサ35(第1検知手段)の検知結果に基いて斜め方向に回動可能に形成されていて、記録媒体Pを挟持した状態で搬送しながら記録媒体Pの斜め方向の位置ズレ量を補正する斜行補正ローラとして機能する。これに対して、第2挟持ローラ33は、第1挟持ローラ32に対して搬送経路の下流側の位置に配設されて、CIS36(第2検知手段)の検知結果に基いて幅方向に移動可能に形成されていて、第1挟持ローラ32によって斜め方向の位置ズレ量が補正された後の記録媒体Pを挟持した状態で搬送しながら記録媒体Pの幅方向の位置ズレ量を補正する横レジスト補正ローラとして機能する。
特に、本実施の形態2において、第1挟持ローラ32は、記録媒体Pを挟持した状態で斜行検知センサ35の検知結果に基いて斜め方向に回動することで、記録媒体Pの斜め方向の位置ズレ量を補正する。また、第2挟持ローラ33は、第1挟持ローラ32による挟持が解除された記録媒体Pを挟持した状態でCIS36の検知結果に基いて幅方向に移動することで、記録媒体Pの幅方向の位置ズレ量を補正する。
なお、第1挟持ローラ32を軸部32aを中心にして回動する機構や、第2挟持ローラ33を幅方向にシフト移動する機構は、前記実施の形態1において挟持ローラ31を軸部71aを中心にして回動する機構や幅方向にシフト移動する機構を参考にできるため、その詳細な説明については省略する。
【0046】
なお、本実施の形態2において、第1挟持ローラ32は、記録媒体Pを挟持して搬送するときにその記録媒体Pとの間に生じる摩擦力が、第3搬送ローラ対44のものに比べて大きくなるように形成されている。具体的には、第1挟持ローラ32における駆動ローラ31aと従動ローラ31bとのそれぞれのローラ部の摩擦係数(又は/及び圧接力)が、第3搬送ローラ対44における駆動ローラと従動ローラとのそれぞれのローラ部の摩擦係数(又は/及び圧接力)に比べて、大きくなるように形成している。これにより、記録媒体Pが第1挟持ローラ32と第3搬送ローラ対44とによって挟持された状態で搬送されてしまうような状態が生じてしまっても、第1挟持ローラ32による搬送力(挟持力)が優先されることになるため、第1挟持ローラ32によっておこなわれる記録媒体Pの斜行補正の精度が低下する不具合を抑止することができる。
【0047】
図9及び
図10は、本実施の形態2における搬送装置30の動作の一例を示すものである。
なお、
図9(A1)〜(C1)、
図10(A1)〜(C1)は、搬送装置30の動作をその順番にそって示す上面図であって、
図9(A2)〜(C2)、
図10(A2)〜(C2)は、
図9(A1)〜(C1)、
図10(A1)〜(C1)の動作にそれぞれ対応した搬送装置30の側面図である。
【0048】
まず、
図9(A1)及び(A2)に示すように、給紙部12から給送された記録媒体Pは、第3搬送ローラ対44によって第1挟持ローラ32の位置に向けて挟持・搬送される。そして、記録媒体Pが斜行検知センサ35(第1検知手段)の位置に達すると、斜行検知センサ35によって記録媒体Pのスキュー量βが検知される。
【0049】
その後、
図9(B1)及び(B2)に示すように、記録媒体Pの先端部が挟持ローラ31に達する直前に第1挟持ローラ32の回転駆動(図の矢印方向の回転駆動である。)が開始され、記録媒体Pが第1挟持ローラ32に挟持・搬送されると、第3搬送ローラ対44が搬送経路を開放して記録媒体Pを挟持しない方向に離間移動する。
【0050】
そして、
図9(C1)及び(C2)に示すように、第1挟持ローラ32は、記録媒体Pを挟持・搬送しながら、斜行検知センサ35で検知されたスキュー量βを相殺するように軸部32aを中心に回動する。こうして、記録媒体Pは、第1挟持ローラ32によって、スキュー補正されながら、第2挟持ローラ33の位置に向けて挟持・搬送される。
そして、
図10(A1)及び(A2)に示すように、記録媒体Pの先端部が第2挟持ローラ33に達する直前に第2挟持ローラ33の回転駆動(図の矢印方向の回転駆動である。)が開始される。そして、記録媒体P(斜行補正されたものである。)は、第1挟持ローラ32と第2挟持ローラ33とによって挟持・搬送されながら、その先端部がCIS36(第2検知手段)の位置に達して、その位置で横レジストの位置ズレ量αが検知される。
【0051】
そして、
図10(B1)及び(B2)に示すように、CIS36の検知結果に基いて第2挟持ローラ33が幅方向に移動する。すなわち、CIS36によって記録媒体Pの横レジストのズレ量が検知されて、そのズレ量を相殺するように第2挟持ローラ33が幅方向に移動する。こうして、記録媒体Pは、横レジスト補正がおこなわれながら、タイミングローラ45に向けて搬送されることになる。
このとき、第1挟持ローラ32は、第2挟持ローラ33による横レジスト補正を妨げないように、搬送経路を開放して記録媒体Pを挟持しない方向に離間移動する。さらに、斜行補正をおこなうために斜め方向に回動していた第1挟持ローラ32は、次に搬送される記録媒体Pに備えて、ホームポジションである基準位置(
図9(A1)の位置である。)に回動する。
【0052】
その後、
図10(C1)及び(C2)に示すように、紙検知センサ37によって記録媒体Pがタイミングローラ45の位置に達した状態が検知されると、記録媒体Pを挟持・搬送していた第2挟持ローラ33は、搬送経路を開放して記録媒体Pを挟持しない方向に離間移動する。
その後、感光体ドラム5上の画像にタイミングを合わせるように、タイミングローラ45の回転数(転写部7に達するまでの記録媒体Pの搬送速度)が可変されて、記録媒体Pが転写部7(画像転写部)に向けて搬送される。こうして、記録媒体P上の所望の位置に画像が転写されることになる。
このとき、横レジスト補正をおこなうために幅方向に移動していた第2挟持ローラ33は、次に搬送される記録媒体Pに備えて、ホームポジションとしての基準位置(
図9(A1)の位置である。)に移動する。さらに、記録媒体Pの後端が第1挟持ローラ32、第2挟持ローラ33の位置をそれぞれ通過した後に、離間状態にあったそれぞれの挟持ローラ32、33が当接状態(
図9(A2)の状態である。)に戻される。
【0053】
なお、本実施の形態2における搬送装置30の構成に対する変形例として、第1挟持ローラ32は、記録媒体Pを挟持する前に斜行検知センサ35(第1検知手段)の検知結果に基いて第1基準位置から斜め方向に回動した後に、記録媒体Pを挟持した状態で第1基準位置に戻るように斜め方向に回動することで、記録媒体Pの斜め方向の位置ズレ量を補正することができる。さらに、第2挟持ローラ33は、記録媒体Pを挟持する前にCIS36(第2検知手段)の検知結果に基いて第2基準位置から幅方向に移動した後に、第1挟持ローラ32による挟持が解除された記録媒体Pを挟持した状態で第2基準位置に戻るように幅方向に移動することで、記録媒体Pの幅方向の位置ズレ量を補正することができる。
【0054】
図11及び
図12は、そのような変形例としての搬送装置30の動作の一例を示すものである。
なお、
図11(A1)〜(C1)、
図12(A1)〜(C1)は、搬送装置30の動作をその順番にそって示す上面図であって、
図11(A2)〜(C2)、
図12(A2)〜(C2)は、
図11(A1)〜(C1)、
図12(A1)〜(C1)の動作にそれぞれ対応した搬送装置30の側面図である。
図11(A1)及び(A2)等を参照して、変形例としての搬送装置30は、第2検知手段としてのCIS36が斜行検知センサ35の上流側であって第3搬送ローラ対44の下流側に設置される点を除き、本実施の形態2における搬送装置30とほぼ同様に構成されている。
【0055】
まず、
図11(A1)及び(A2)に示すように、給紙部12から給送された記録媒体Pは、第3搬送ローラ対44によって第1挟持ローラ32の位置に向けて挟持・搬送される。このとき、第1挟持ローラ32は、回動方向の位置が第1基準位置にある。また、第2挟持ローラ33は、幅方向の位置が第2基準位置にある。
そして、記録媒体PがCIS36(第2検知手段)の位置に達すると、CIS36によって記録媒体Pの横レジストの位置ズレ量αが検知される。さらに、記録媒体Pが斜行検知センサ35(第1検知手段)の位置に達すると、斜行検知センサ35によって記録媒体Pのスキュー量βが検知される。
その後、
図11(B1)及び(B2)に示すように、第1挟持ローラ32は、斜行検知センサ35で検知されたスキュー量βに合わせて同じ傾斜方向に軸部71aを中心に角度βだけ第1基準位置から回動する。さらに、第2挟持ローラ33は、CIS36で検知された位置ズレ量αに合わせて同じ幅方向に距離αだけ第2基準位置からシフト移動する。
【0056】
そして、
図11(C1)及び(C2)に示すように、記録媒体Pの先端部が第1挟持ローラ32に達する直前に第1挟持ローラ32の回転駆動が開始され、記録媒体Pが第1挟持ローラ32に挟持・搬送されると、第3搬送ローラ対44が搬送経路を開放して記録媒体Pを挟持しない方向に離間移動する。そして、第1挟持ローラ32は、記録媒体Pを挟持・搬送しながら、斜行検知センサ35で検知されたスキュー量βを相殺するように軸部32aを中心に第1基準位置に戻るように回動する。こうして、記録媒体Pは、斜行補正がおこなわれながら、第2挟持ローラ33に向けて搬送されることになる。
【0057】
その後、
図12(A1)及び(A2)に示すように、記録媒体Pの先端部が第2挟持ローラ33に達する直前に第2挟持ローラ33の回転駆動が開始される。
そして、
図12(B1)及び(B2)に示すように、第2挟持ローラ33は、CIS36で検知された位置ズレ量αを相殺するように第2基準位置に戻るように幅方向に移動する。こうして、記録媒体Pは、横レジスト補正がおこなわれながら、タイミングローラ45に向けて搬送されることになる。このとき、第1挟持ローラ32は、第2挟持ローラ33による横レジスト補正を妨げないように、搬送経路を開放して記録媒体Pを挟持しない方向に離間移動する。
【0058】
その後、
図12(C1)及び(C2)に示すように、紙検知センサ37によって記録媒体Pがタイミングローラ45の位置に達した状態が検知されると、記録媒体Pを挟持・搬送していた第2挟持ローラ33は、搬送経路を開放して記録媒体Pを挟持しない方向に離間移動する。
その後、感光体ドラム5上の画像にタイミングを合わせるように、タイミングローラ45の回転数(転写部7に達するまでの記録媒体Pの搬送速度)が可変されて、記録媒体Pが転写部7(画像転写部)に向けて搬送される。こうして、記録媒体P上の所望の位置に画像が転写されることになる。
このとき、2つの挟持ローラ32、33は、それぞれ、次に搬送される記録媒体Pの斜行補正又は横レジスト補正に備えて、第1基準位置又は第2基準位置に位置していることになる。そして、記録媒体Pの後端が2つの挟持ローラ32、33の位置をそれぞれ通過した後に、離間状態にあった2つの挟持ローラ32、33がそれぞれ当接状態(
図11(A2)の状態である。)に戻される。
このような変形例としての搬送装置30においても、本実施の形態2のものと同様の効果を得ることができる。
【0059】
以上説明したように、本実施の形態2においては、第1挟持ローラ32によって記録媒体Pを挟持した状態で搬送しながら記録媒体Pの斜め方向の位置ズレ量を補正して、その後に第2挟持ローラ33によって記録媒体Pを挟持した状態で搬送しながら記録媒体Pの幅方向の位置ズレ量を補正している。これにより、搬送装置30(画像形成装置1)の生産性を低下させることなく、記録媒体Pの斜行補正と横レジスト補正とを高精度におこなうことができる。
【0060】
なお、前記各実施の形態では、モノクロの画像形成装置1に設置される搬送装置30に対して本発明を適用したが、カラーの画像形成装置に設置される搬送装置に対しても当然に本発明を適用することができる。
また、前記各実施の形態では、電子写真方式の画像形成装置1に設置される搬送装置30に対して本発明を適用したが、本発明の適用はこれに限定されることなく、その他の方式の画像形成装置(例えば、インクジェット方式の画像形成装置や、オフセット印刷機などである。)に設置される搬送装置であっても、斜行補正と横レジスト補正とをおこなう搬送装置であれば、それらのすべての搬送装置に対しても当然に本発明を適用することができる。
そして、それらの場合であっても、前記各実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0061】
また、前記各実施の形態では、タイミングローラ45に対して搬送方向上流側の位置に配設された搬送装置30に対して本発明を適用したが、本発明の適用はこれに限定されることなく、その他の位置に設置された搬送装置であっても、斜行補正と横レジスト補正とをおこなう搬送装置であれば、それらのすべての搬送装置に対しても当然に本発明を適用することができる。
また、前記各実施の形態では、2つの搬送経路が合流部Xで合流する搬送装置30に対して本発明を適用したが、3つ以上の搬送経路が合流部Xで合流する搬送装置や、合流部Xがなく1つの搬送経路のみで形成された搬送装置に対しても当然に本発明を適用することができる。
また、前記各実施の形態では、3つの給紙部12〜14が設置された搬送装置30に対して本発明を適用したが、2つ以下又は4つ以上の給紙部が設置された搬送装置に対しても当然に本発明を適用することができる。
そして、それらの場合であっても、前記各実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0062】
なお、本発明が前記各実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、前記各実施の形態の中で示唆した以外にも、前記各実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。また、前記構成部材の数、位置、形状等は前記各実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。
【0063】
なお、本願において、「幅方向」とは、記録媒体の搬送方向に対して直交する方向であるものと定義する。
【0064】
(付記)
(付記1)
搬送経路において記録媒体を搬送する搬送装置であって、
前記搬送経路において搬送される記録媒体の斜め方向の位置ズレ量を検知する第1検知手段と、
前記搬送経路において搬送される記録媒体の幅方向の位置ズレ量を検知する第2検知手段と、
前記第1検知手段の検知結果に基いて斜め方向に回動可能に形成されるとともに、前記第2検知手段の検知結果に基いて幅方向に移動可能に形成されて、記録媒体を挟持した状態で搬送しながら当該記録媒体の斜め方向の位置ズレ量を補正するとともに当該記録媒体の幅方向の位置ズレ量を補正する挟持ローラと、
を備えたことを特徴とする搬送装置。
(付記2)
前記挟持ローラは、記録媒体を挟持した状態で、前記第1検知手段の検知結果に基いて斜め方向に回動することで当該記録媒体の斜め方向の位置ズレ量を補正するとともに、前記第2検知手段の検知結果に基いて幅方向に移動することで当該記録媒体の幅方向の位置ズレ量を補正することを特徴とする付記1に記載の搬送装置。
(付記3)
前記挟持ローラは、記録媒体を挟持する前に前記第1検知手段の検知結果に基いて第1基準位置から斜め方向に回動するとともに前記第2検知手段の検知結果に基いて第2基準位置から幅方向に移動した後に、当該記録媒体を挟持した状態で前記第1基準位置に戻るように斜め方向に回動することで当該記録媒体の斜め方向の位置ズレ量を補正するとともに前記第2基準位置に戻るように幅方向に移動することで当該記録媒体の幅方向の位置ズレ量を補正することを特徴とする付記1に記載の搬送装置。
(付記4)
前記挟持ローラに対して前記搬送経路の下流側の位置に配設されて、記録媒体を挟持した状態で回転することによって記録媒体を画像形成部に向けて搬送するとともに、記録媒体の搬送速度を可変できるように形成された搬送ローラ対と、
前記搬送ローラ対の位置に記録媒体が搬送されたタイミングを検知する第3検知手段と、
を備え、
前記挟持ローラは、前記搬送経路において搬送される記録媒体の斜め方向及び幅方向の位置ズレを補正した後であって、前記搬送ローラ対に当該記録媒体が挟持されたときに、当該記録媒体を挟持しないように離間され、
前記搬送ローラ対は、前記第3検知手段の検知結果に基いて前記搬送速度が可変されることを特徴とする付記1〜付記3のいずれかに記載の搬送装置。
(付記5)
前記挟持ローラに対して前記搬送経路の上流側の位置に配設されて、記録媒体を挟持した状態で回転することによって記録媒体を前記挟持ローラの位置に向けて搬送する搬送ローラ対を備え、
前記挟持ローラは、記録媒体を挟持して搬送するときに当該記録媒体との間に生じる摩擦力が、前記搬送ローラ対のものに比べて大きくなるように形成されたことを特徴とする付記1〜付記4のいずれかに記載の搬送装置。
(付記6)
搬送経路において記録媒体を搬送する搬送装置であって、
前記搬送経路において搬送される記録媒体の斜め方向の位置ズレ量を検知する第1検知手段と、
前記第1検知手段の検知結果に基いて斜め方向に回動可能に形成されるとともに、記録媒体を挟持した状態で搬送しながら当該記録媒体の斜め方向の位置ズレ量を補正する第1挟持ローラと、
前記搬送経路において搬送される記録媒体の幅方向の位置ズレ量を検知する第2検知手段と、
前記第1挟持ローラに対して前記搬送経路の下流側の位置に配設されて、前記第2検知手段の検知結果に基いて幅方向に移動可能に形成されるとともに、前記第1挟持ローラによって斜め方向の位置ズレ量が補正された後の記録媒体を挟持した状態で搬送しながら当該記録媒体の幅方向の位置ズレ量を補正する第2挟持ローラと、
を備えたことを特徴とする搬送装置。
(付記7)
前記第1挟持ローラは、記録媒体を挟持した状態で前記第1検知手段の検知結果に基いて斜め方向に回動することで当該記録媒体の斜め方向の位置ズレ量を補正し、
前記第2挟持ローラは、前記第1挟持ローラによる挟持が解除された記録媒体を挟持した状態で前記第2検知手段の検知結果に基いて幅方向に移動することで当該記録媒体の幅方向の位置ズレ量を補正することを特徴とする付記6に記載の搬送装置。
(付記8)
前記第1挟持ローラは、記録媒体を挟持する前に前記第1検知手段の検知結果に基いて第1基準位置から斜め方向に回動した後に、当該記録媒体を挟持した状態で前記第1基準位置に戻るように斜め方向に回動することで当該記録媒体の斜め方向の位置ズレ量を補正し、
前記第2挟持ローラは、記録媒体を挟持する前に前記第2検知手段の検知結果に基いて第2基準位置から幅方向に移動した後に、前記第1挟持ローラによる挟持が解除された当該記録媒体を挟持した状態で前記第2基準位置に戻るように幅方向に移動することで当該記録媒体の幅方向の位置ズレ量を補正することを特徴とする付記6に記載の搬送装置。
(付記9)
前記第2挟持ローラに対して前記搬送経路の下流側の位置に配設されて、記録媒体を挟持した状態で回転することによって記録媒体を画像形成部に向けて搬送するとともに、記録媒体の搬送速度を可変できるように形成された搬送ローラ対と、
前記搬送ローラ対の位置に記録媒体が搬送されたタイミングを検知する第3検知手段と、
を備え、
前記第2挟持ローラは、前記搬送経路において搬送される記録媒体の幅方向の位置ズレを補正した後であって、前記搬送ローラ対に当該記録媒体が挟持されたときに、当該記録媒体を挟持しないように離間され、
前記搬送ローラ対は、前記第3検知手段の検知結果に基いて前記搬送速度が可変されることを特徴とする付記6〜付記8のいずれかに記載の搬送装置。
(付記10)
前記第1挟持ローラに対して前記搬送経路の上流側の位置に配設されて、記録媒体を挟持した状態で回転することによって記録媒体を前記第1挟持ローラの位置に向けて搬送する搬送ローラ対を備え、
前記第1挟持ローラは、記録媒体を挟持して搬送するときに当該記録媒体との間に生じる摩擦力が、前記搬送ローラ対のものに比べて大きくなるように形成されたことを特徴とする付記6〜付記9のいずれかに記載の搬送装置。
(付記11)
付記1〜付記10のいずれかに記載の搬送装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。