(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
送りローラーがパルプシートを該パルプシートの幅方向一端から他端に亘って支持しつつ粉砕機に向けて送り方向に送り込み、送り込まれた該パルプシートの先端を前記粉砕機が複数の移動する粉砕刃で順次引っ掻くことにより前記パルプシートを粉砕して、吸収体の材料である繊維状パルプを生成する粉砕工程と、
先行パルプシートの後端部と新規の後行パルプシートの先端部とをそれぞれ切断する切断工程と、
前記先行パルプシートと前記後行パルプシートを継ぎ材で継いで継ぎ目付きパルプシートを生成する継ぎ工程とを備え、
前記粉砕工程においては、前記送りローラーにより送り込まれる前記継ぎ目付きパルプシートを先行パルプシート、後行パルプシートの順に粉砕する吸収体製造方法であって、
前記切断工程においては、前記先行パルプシートの後端部と前記新規の後行パルプシートの先端部とを、該後端部の斜め切断線と該先端部の斜め切断線の傾き度合いが同じになるように、かつ、前記傾き度合いについて以下の条件(1)を満たすように、それぞれ斜めに切断し、
前記継ぎ工程においては、該後端部の斜め切断線と該先端部の斜め切断線とを突き合わせた状態で前記先行パルプシートと前記後行パルプシートを前記継ぎ材で継ぐことを特徴とする吸収体製造方法。
条件(1):前記送り方向における前記斜め切断線の長さ>前記送りローラーが前記パルプシートを支持する支持位置から前記粉砕刃の刃先の移動軌跡までの最短距離
移動可能な複数の粉砕刃を備え、パルプシートの先端を前記複数の粉砕刃で順次引っ掻くことにより前記パルプシートを粉砕して、吸収体の材料である繊維状パルプを生成する粉砕機と、
前記パルプシートを該パルプシートの幅方向一端から他端に亘って支持しつつ前記粉砕機に向けて送り方向に送り込む送りローラーと、
先行パルプシートの後端部と新規の後行パルプシートの先端部とをそれぞれ切断する切断装置と、
前記先行パルプシートと前記後行パルプシートを継ぎ材で継いで継ぎ目付きパルプシートを生成する継ぎ装置とを備え、
前記粉砕機は、前記送りローラーにより送り込まれる前記継ぎ目付きパルプシートを先行パルプシート、後行パルプシートの順に粉砕する吸収体製造装置であって、
前記切断装置は、前記先行パルプシートの後端部と前記新規の後行パルプシートの先端部とを、該後端部の斜め切断線と該先端部の斜め切断線の傾き度合いが同じになるように、かつ、前記傾き度合いについて以下の条件(1)を満たすように、それぞれ斜めに切断し、
前記継ぎ装置は、該後端部の斜め切断線と該先端部の斜め切断線とを突き合わせた状態で前記先行パルプシートと前記後行パルプシートを前記継ぎ材で継ぐことを特徴とする吸収体製造装置。
条件(1):前記送り方向における前記斜め切断線の長さ>前記送りローラーが前記パルプシートを支持する支持位置から前記粉砕刃の刃先の移動軌跡までの最短距離
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
【0012】
送りローラーがパルプシートを該パルプシートの幅方向一端から他端に亘って支持しつつ粉砕機に向けて送り方向に送り込み、送り込まれた該パルプシートの先端を前記粉砕機が複数の移動する粉砕刃で順次引っ掻くことにより前記パルプシートを粉砕して、吸収体の材料である繊維状パルプを生成する粉砕工程と、
先行パルプシートの後端部と新規の後行パルプシートの先端部とをそれぞれ切断する切断工程と、
前記先行パルプシートと前記後行パルプシートを継ぎ材で継いで継ぎ目付きパルプシートを生成する継ぎ工程とを備え、
前記粉砕工程においては、前記送りローラーにより送り込まれる前記継ぎ目付きパルプシートを先行パルプシート、後行パルプシートの順に粉砕する吸収体製造方法であって、
前記切断工程においては、前記先行パルプシートの後端部と前記新規の後行パルプシートの先端部とを、該後端部の斜め切断線と該先端部の斜め切断線の傾き度合いが同じになるように、かつ、前記傾き度合いについて以下の条件(1)を満たすように、それぞれ斜めに切断し、
前記継ぎ工程においては、該後端部の斜め切断線と該先端部の斜め切断線とを突き合わせた状態で前記先行パルプシートと前記後行パルプシートを前記継ぎ材で継ぐことを特徴とする吸収体製造方法。
条件(1):前記送り方向における前記斜め切断線の長さ>前記送りローラーが前記パルプシートを支持する支持位置から前記粉砕刃の刃先の移動軌跡までの最短距離
【0013】
このような吸収体製造方法によれば、引き込み現象を抑制することが可能となり、吸収体の品質が低下することを抑止することができる。
【0014】
かかる吸収体製造方法であって、
前記継ぎ材は、粘着テープであり、
前記継ぎ工程においては、前記後端部の斜め切断線と前記先端部の斜め切断線とを突き合わせた状態でこれらの斜め切断線に沿って前記粘着テープを貼ることにより、前記先行パルプシートと前記後行パルプシートを継ぎ、
前記粉砕工程においては、前記パルプシートと共に前記粘着テープを粉砕することが望ましい。
【0015】
このような吸収体製造方法によれば、粘着テープを一部の吸収体に集中させることを抑制することが可能となり、吸収体の品質が低下することをより一層抑止することが可能となる。
【0016】
かかる吸収体製造方法であって、
前記パルプシートは、該パルプシートが紙管に巻き付けられたシートロールから繰り出されたものであり、前記パルプシートの最後端には、前記紙管との接着領域が設けられており、
前記切断工程において、前記先行パルプシートの後端部を切断する際には、前記接着領域よりも前側を切断することが望ましい。
【0017】
このような吸収体製造方法によれば、吸収体の吸収性能や吸収性物品としての衛生性を損なう可能性を抑制することが可能となり、吸収体の品質が低下することをより一層抑止することが可能となる。
【0018】
かかる吸収体製造方法であって、
前記パルプシートは、該パルプシートが紙管に巻き付けられたシートロールから繰り出されたものであり、前記パルプシートの最後端には、前記紙管との接着領域が設けられており、
前記切断工程においては、
前記パルプシートが前記シートロールから繰り出されて前記紙管から外れた後に、前記先行パルプシートの後端部を切断し、
前記紙管から外れた前記パルプシートの前記後端部の巻き癖を矯正するための規制部材が、前記パルプシートの前記後端部を直線状に維持することが望ましい。
【0019】
このような吸収体製造方法によれば、パルプシートの巻き癖による問題の発生を抑制することが可能となる。
【0020】
かかる吸収体製造方法であって、
前記パルプシートの表面及び裏面は、互いに繊維密度が異なっており、
前記継ぎ工程においては、
生成される前記継ぎ目付きパルプシートの一方面において前記先行パルプシートの高繊維密度面と前記後行パルプシートの高繊維密度面が連続し、他方面において前記先行パルプシートの低繊維密度面と前記後行パルプシートの低繊維密度面が連続するように、前記先行パルプシートと前記後行パルプシートを継ぐことが望ましい。
【0021】
このような吸収体製造方法によれば、繊維状パルプを生成するための生成条件の急激な変化を生じさせないようにすることが可能となり、吸収体の品質が低下することをより一層抑止することが可能となる。
【0022】
かかる吸収体製造方法であって、
前記パルプシートは、該パルプシートが紙管に巻き付けられたシートロールから繰り出されたものであり、
取り付けロボットが、前記シートロールを支持するための支持部に、前記シートロールを取り付ける取り付け工程を備えることが望ましい。
【0023】
このような吸収体製造方法によれば、かかる作業を人手に行う場合に比べて、速やかにシートロールを支持部に取り付けることが可能となる。
【0024】
移動可能な複数の粉砕刃を備え、パルプシートの先端を前記複数の粉砕刃で順次引っ掻くことにより前記パルプシートを粉砕して、吸収体の材料である繊維状パルプを生成する粉砕機と、
前記パルプシートを該パルプシートの幅方向一端から他端に亘って支持しつつ前記粉砕機に向けて送り方向に送り込む送りローラーと、
先行パルプシートの後端部と新規の後行パルプシートの先端部とをそれぞれ切断する切断装置と、
前記先行パルプシートと前記後行パルプシートを継ぎ材で継いで継ぎ目付きパルプシートを生成する継ぎ装置とを備え、
前記粉砕機は、前記送りローラーにより送り込まれる前記継ぎ目付きパルプシートを先行パルプシート、後行パルプシートの順に粉砕する吸収体製造装置であって、
前記切断装置は、前記先行パルプシートの後端部と前記新規の後行パルプシートの先端部とを、該後端部の斜め切断線と該先端部の斜め切断線の傾き度合いが同じになるように、かつ、前記傾き度合いについて以下の条件(1)を満たすように、それぞれ斜めに切断し、
前記継ぎ装置は、該後端部の斜め切断線と該先端部の斜め切断線とを突き合わせた状態で前記先行パルプシートと前記後行パルプシートを前記継ぎ材で継ぐことを特徴とする吸収体製造装置。
条件(1):前記送り方向における前記斜め切断線の長さ>前記送りローラーが前記パルプシートを支持する支持位置から前記粉砕刃の刃先の移動軌跡までの最短距離
【0025】
このような吸収体製造装置によれば、前述した吸収体製造方法の場合と同様の作用効果を奏する。
【0026】
===本実施の形態に係る吸収体製造方法について===
本実施形態に係る吸収体製造方法は、吸収体の吸収体製造装置10で使用される。すなわち、本実施の形態に係る吸収体製造方法は、吸収体の製造に供される。
【0027】
図1は本実施の形態に係る吸収体製造装置10の側面概念図である。本実施の形態に係る吸収体製造装置10(吸収体製造方法)は、パルプシート1を粉砕機30で粉砕して吸収体の材料である繊維状パルプを製造する装置(方法)である。
【0028】
本実施の形態に係る吸収体製造装置10は、
図1に示すように、パルプシート1を粉砕機30に送り込む送りローラー20と、送り込まれたパルプシート1を繊維状パルプに粉砕する粉砕機30と、パルプシート1が紙管1rcに巻き付けられたシートロール1rが取り付けられ、該シートロール1rを支持する支持部40と、先行パルプシート1pと後行パルプシート1fを継ぎ合わせて継ぎ目付きパルプシートを生成する継ぎ目付きパルプシート生成装置50と、を有している。
【0029】
また、本実施の形態においては、パルプシート1の長手方向であり、パルプシート1が支持部40から粉砕機30へ向かう方向を送り方向とする。したがって、パルプシートの幅方向は
図1の紙面を貫通する方向となる。そして、送り方向及び幅方向と直交する方向が厚さ方向となる。
【0030】
また、本実施の形態に係る吸収体製造装置10では、
図1に示すように、送り方向において、支持部40、継ぎ目付きパルプシート生成装置50、送りローラー20、粉砕機30の順に各機器が配置されている。
【0031】
<<<パルプシート1について>>>
本実施の形態に係るパルプシート1は、該パルプシート1が紙管に巻き付けられたシートロール1rから繰り出されたものであり、パルプシート1の最後端には紙管1rcとの接着領域Jが設けられている。
【0032】
また、パルプシート1の表面及び裏面は、互いに繊維密度が異なっている。これは、製造時にワイヤーと接触していたワイヤー面と、接触していなかった反対の面とで、その仕上がりに差が生じるためである。具体的には、パルプの水分散液からパルプシート1を生成する工程には、ワイヤー上にパルプの水分散液を配置してワイヤーの目の下方へ水分を抜く工程がある。そして、この工程において、ワイヤーの目から水分を下方へ抜く際に、ワイヤー側近傍の細かいパルプ繊維等も同時に抜けてしまう。そのため、ワイヤー面側とその反対面側とで繊維密度が異なってくる。
【0033】
<<<粉砕工程について>>>
本実施の形態に係る粉砕工程においては、送りローラー20がパルプシート1を該パルプシートの幅方向一端から他端に亘って支持しつつ粉砕機30に向けて送り方向に送り込み、送り込まれた該パルプシー1の先端を前記粉砕機30が複数の移動する粉砕刃31bで順次引っ掻くことにより前記パルプシート1を粉砕して、吸収体の材料である繊維状パルプを生成する。以下、送りローラー20と粉砕機30について説明する。
【0034】
(1)送りローラー20
送りローラー20は、 支持部40に取り付けられたシートロール1rからパルプシート1を繰り出し、パルプシート1を該パルプシートの幅方向一端から他端に亘って支持しつつ粉砕機30に向けて送り方向に送り込む装置である。ここで、「幅方向一端から他端に亘って支持」とは、送りローラー20が支持する範囲が幅方向一端から他端まで及んでいることを意味するものであり、その一端から他端の間絶え間なく連続して送りローラー20がパルプシート1を支持している必要は必ずしもない(送りローラー20とパルプシート1が部分的に接触しない箇所があっても構わない)。
【0035】
送りローラー20は、上下一対のロールであり、各々パルプシート1の幅方向に沿った回転軸を有する。そして、上下一対のロールの少なくとも一方のロールは、駆動源としてサーボモータにより駆動回転される。また、上下一対のロールの少なくとも一方のロールは、互いのロールが接近する方向の押付圧力が、押付圧力部により付与されている。したがって、上下一対のロールは、そのロール隙間においてパルプシート1をパルプシート1の幅方向一端から他端に亘って支持しつつ駆動回転することにより、シートロール1rからパルプシート1を繰り出し、粉砕機30へ送り込む。
【0036】
また、
図1に示すように、送りローラー20は、粉砕機30に近接した位置に設けられている。これは、粉砕機30の複数の粉砕刃31bにより順次引っ掻かれるパルプシート1を、該引っ掻かれる位置のより近くで送りローラー20が支持するためである。言い換えれば、パルプシート1は、粉砕機30へ送り込まれる先端が自由端となる状態において、その先端が粉砕刃31bにより順次引っ掻かれて粉砕される。
【0037】
また、
図1に示すように、本実施の形態に係る送りローラー20は、第一送りローラー21と第二送りローラー22の二つの送りローラー20から構成されている。そして、第一送りローラー21及び第二送りローラー22は、択一的に使用される。そのため、一方が送り込み中の場合には、残る他方は停止中となるように、第一送りローラー21及び第二送りローラー22の切り替えを行う。
【0038】
この送り込み中と停止中の送りローラー20の切り替えは、後述するロール残量検知部RSの検知結果に基づいて、送りローラー制御部(不図示)が第一送りローラー21及び第二送りローラー22の送り込みを制御して行う。すなわち、送り込み中である一方の送りローラー20に係るパルプシート1の残量が少なくなった場合において、停止中である他方の送りローラー20に係るパルプシート1の送り込みを開始し、送り込み中である一方の送りローラー20に係るパルプシート1の送り込みを停止する。
【0039】
ここで本実施の形態に係る送りローラー制御部は、送り込みを停止する一方の送りローラー20に係るパルプシート1を全て粉砕機30へ送り込まずに、一部を後述する継ぎ目付きパルプシート生成装置50に残存させる。この継ぎ目付きパルプシート生成装置50に残存した先行パルプシート1pは、新規の後行パルプシート1fと継がれることにより、一の継ぎ目付きパルプシートとなる。つまり、このような継ぎ工程が、送り込み停止中に行われることとなる。
【0040】
そして、本実施の形態に係る送りローラー制御部は、この第一送りローラー21及び第二送りローラー22の切り替えを繰り返すことにより、パルプシート1を途切れることなく粉砕機30へ送り込む。
【0041】
図2は、パルプシート1を送り込み中の第一送りローラー21から停止中の第二送りローラー22に、粉砕機30への送り込みを実行するローラーを切り替える切り替えのタイミング線図である。
図2のグラフの横軸には経過時間をとり、縦軸には送り込み速度をとっている。
【0042】
図2に示すように、送りローラー制御部は、当該送りローラー20の切り替えにおいて、第一送りローラー21及び第二送りローラー22の送り込み速度の制御を行う。すなわち、送り込みを停止する第一送りローラー21の送り込み速度の減速と、送り込みを開始する第二送りローラー22の送り込み速度の加速とを制御し、送りローラー20の切り替えが行われていない場合(
図2における重複送り込み期間以外の期間)の粉砕機30へのパルプシート1の送り込みと、切り替えが行われている場合(
図2における重複送り込み期間)の粉砕機30へのパルプシート1の送り込みが、同じ送り込み量となるように送り込み速度の制御を行う。したがって、第一送りローラー21及び第二送りローラー22の切り替えが行われているか否かにかかわらず、適量のパルプシート1を粉砕機30へ送り込むことが可能となる。
【0043】
(2)粉砕機30
粉砕機30は、移動可能な複数の粉砕刃31bを備え、パルプシート1の先端を複数の粉砕刃31bで順次引っ掻くことによりパルプシート1を粉砕して、吸収体の材料である繊維状パルプを生成する装置である。
【0044】
粉砕機30は、その外形部分であるケース32と、ケース32内に移動可能な複数の粉砕刃31bを有する粉砕部31を備えている。
【0045】
本実施の形態において、ケース32には、送りローラー20から送り込まれるパルプシート1の粉砕機30内部への投入口が第一送りローラー21と第二送りローラー22に対して一つずつ設けられている。
【0046】
また、粉砕部31は、側面が略円形状で外周部に複数の粉砕刃31bを備えており、少なくともパルプシート1の幅方向一端から他端に亘っている。そして、粉砕部31は、モータ等の適宜な駆動源から回転力を得て、パルプシート1の幅方向に沿う軸芯周りに一定速度で駆動回転する。これにより、複数の粉砕刃31bは、ケース32の投入口から内部に送り込まれたパルプシート1の先端を繊維状パルプに粉砕する。
【0047】
<<<取り付け工程について>>>
本実施の形態に係る取り付け工程においては、取り付けロボット(不図示)が、シートロール1rを支持するための支持部40に、シートロール1rを取り付ける。
【0048】
支持部40は、シートロール1rが取り付けられ、シートロール1rを支持するためのものであり、本実施の形態においては、パルプシート1の幅方向に沿った支持軸である。
【0049】
取り付けロボットは、シートロール1rを取り付けるためのものである。取り付けロボットの例としては、複数の関節を備えた所謂多関節ロボットを挙げることができる。
【0050】
また、本実施の形態においては、取り付けられたシートロール1rのパルプシート1の残量を検知するロール残量検知部RSが設けられている。ロール残量検知部RSの例としては、光電管が挙げることができる。光電管を後述する規制部材55と紙管1rcとの間に設置し、光電管の設置位置をパルプシート1の最後端が通過した際の受光状態の変化等に基づいて、パルプシート1の最後端の通過有無を検出する。
【0051】
本実施の形態においては、
図1に示すように、支持部40は、第一送りローラー21及び第二送りローラー22に対してどちらにも二つ備えられており、互いに略同構成である。したがって、第一送りローラー21及び第二送りローラー22は、それぞれ二つの支持部40を択一的に使用し、どちらかの支持部40に取り付けられたシートロール1rからパルプシート1を繰り出して粉砕機30へ送り込む。
【0052】
前記二つの支持部40については、一方の支持部40に取り付けられたシートロール1rを送りローラー20が送り込み中に、継ぎ目付きパルプシートを生成するための、新規の後行パルプシート1fが取り付けロボットにより、残る他方の支持部40に取り付けられる(取り付け工程に相当)。そして、二つの支持部40から繰り出されたそれぞれのパルプシート1は、継ぎ目付きパルプシート生成装置50において合流し、継ぎ目付きパルプシートが生成される。
【0053】
<<<継ぎ目付きパルプシート生成工程について>>>
継ぎ目付きパルプシート生成工程は、切断工程と継ぎ工程とを有している。
【0054】
本実施の形態に係る切断工程においては、先行パルプシート1pの後端部と新規の後行パルプシート1fの先端部とを、該後端部の斜め切断線(以下、後端部切断線CLpともいう)と該先端部の斜め切断線(以下、先端部切断線CLfともいう)の傾き度合いが同じになるように、かつ、前記傾き度合いについて、送り方向における後端部切断線CLp及び先端部切断線CLfの長さLaが送りローラー20がパルプシート1を支持する支持位置20aから粉砕刃31bの刃先の移動軌跡までの最短距離Lbよりも長くなるように、それぞれ斜めに切断する。
【0055】
また、本実施の形態に係る継ぎ工程においては、切断装置53により切断された先行パルプシート1pの後端部切断線CLpと後行パルプシート1fの先端部切断線CLfとを突き合わせた状態で先行パルプシート1pと後行パルプシート1fを粘着テープ2で継いで継ぎ目付きパルプシートを生成する。
【0056】
(1)継ぎ目付きパルプシート生成装置50
図3は継ぎ目付きパルプシート生成装置50の側面概念図である。なお便宜上、
図3においては、二つある支持部40のうち一の支持部40のみを記載している。継ぎ目付きパルプシート生成装置50は、先行パルプシート1pと新規の後行パルプシート1fとを継いで、継ぎ目付きパルプシートを生成する装置である。
【0057】
本実施の形態に係る継ぎ目付きパルプシート生成装置50は、新規の後行パルプシート1fの先端部を継ぎ目付きパルプシート生成装置50の所定位置に配する配置装置51と、パルプシートの切断及び継ぎの際にパルプシートが移動しないように固定する固定装置52と、先行パルプシート1pと後行パルプシート1fをそれぞれ斜めに切断する切断装置53と、粘着テープ2を貼り付けて継ぎ目付きパルプシートを生成する継ぎ装置54と、先行パルプシート1pの後端部の巻き癖を矯正するための規制部材55と、を有している。以下、配置装置51、固定装置52、切断装置53、継ぎ装置54、規制部材55について説明する。
【0058】
(a)配置装置51
図4A乃至
図4Dは、配置装置51が新規の後行パルプシート1fを継ぎ目付きパルプシート生成装置50の所定位置に配する動作を示した図である。ここで、前記所定位置とは、
図9A及び
図9Bに示す後述する移動部51dの位置であり、具体的には、後行パルプシート1fの先端部が、送り方向前側の固定装置52よりも、送り方向前側に位置する位置であり、後行パルプシート1fが固定装置52により固定されつつ、切断装置53及び継ぎ装置54により加工され得る位置である。
【0059】
本実施の形態に係る配置装置51は、
図4A、
図4B、
図4C、
図4Dの順に動作することにより、継ぎ目付きパルプシート生成装置50の所定位置に新規の後行パルプシート1fを配する装置である。該動作については後述する。
【0060】
本実施の形態に係る配置装置51は、
図4A乃至
図4Dに示すように、後行パルプシート1fの先端部を保持しつつ、継ぎ目付きパルプシート生成装置50の所定位置まで移動する移動部51dと、後行パルプシート1fの先端部を移動部51dにガイドするガイド部51gと、後行パルプシート1fのシートロール1rの外周面に接しつつ回転することにより該シートロール1rを回転させる回転部51rと、を有する。
【0061】
(b)固定装置52
固定装置52は、切断装置53及び継ぎ装置54の送り方向前後の両側に位置し、先行パルプシート1pと後行パルプシート1fの切断及び継ぎの際に、これらのパルプシートが移動しないように厚さ方向の上下から挟み込んで固定する装置である。
【0062】
本実施の形態に係る固定装置52は、上下一対の側面が略矩形状でありパルプシート1の幅方向一端から他端に亘っている挟持部からなる。そして、上下一対の少なくとも一方の挟持部が移動してパルプシート1を挟むようになっている。また、本実施の形態に係る固定装置52は、先行パルプシート1pと新規の後行パルプシート1fを重ねた状態で同時に挟み込んで固定する。
【0063】
(c)切断装置53
切断装置53は、先行パルプシート1pの後端部と新規の後行パルプシート1fの先端部とを、後端部切断線CLpと先端部切断線CLfの傾き度合いが同じになるように、かつ、前記傾き度合いについて、送り方向における後端部切断線CLp及び先端部切断線CLfの長さLaが送りローラー20がパルプシート1を支持する支持位置20aから粉砕刃31bの刃先の移動軌跡までの最短距離Lbよりも長くなるように、それぞれ斜めに切断する装置である(切断工程に相当)。
【0064】
本実施の形態に係る切断装置53は、
図5Aに示すように、上下一対のロータリーシャー刃53b(スリット刃)と、該ロータリーシャー刃53bを回転させる不図示の回転駆動部と、切断装置53の切断方向を調整して切断装置53を移動させる不図示の駆動部と、を備えている。
【0065】
図5Bは継ぎ目付きパルプシートの上面概念図と側面概念図である。
図5Bに示すように、継ぎ目付きパルプシートの継ぎ目CLは、後端部切断線CLpと先端部切断線CLfが突き合わされて、一の継ぎ目CLとして形成されている。すなわち、切断装置53は、後端部切断線CLpと先端部切断線CLfとの傾き度合いが同じになるように切断する。本実施の形態においては、先行パルプシート1pと新規の後行パルプシート1fを重ねた状態において同時に切断することにより、同じ傾き度合いとなるように切断している。
【0066】
図6は送りローラー20と粉砕刃31bの位置関係を示す拡大図である。前述したようにパルプシート1は、粉砕機30へ送り込まれる先端が自由端となる状態において、その先端が粉砕刃31bにより順次引っ掻かれて粉砕される。そして、その支持位置と粉砕位置の距離は、
図6に示すように、送りローラー20がパルプシート1を支持する支持位置20aから粉砕刃31bの刃先の移動軌跡までの最短距離Lbとなる。ここで、本実施の形態に係る継ぎ目付きパルプシートの継ぎ目CLは、
図5Bに示すように、送り方向における長さLaを有している。本実施の形態においては、前記長さLaが前記最短距離Lbよりも長くなるように切断する。このようにした理由については、本実施の形態に係る吸収体製造方法の有効性の項で後述する。
【0067】
また、本実施の形態に係る切断装置53は、上下一対のロータリーシャー刃53bを備えていたが、これに限るものではない。例えば、先行パルプシート1pと新規の後行パルプシート1fを重ねた状態において上部から平刃のような刃物を押し付けて切断する構成をとってもよい。
【0068】
(d)継ぎ装置54
継ぎ装置54は、切断装置53により切断された先行パルプシート1pの後端部切断線CLpと後行パルプシート1fの先端部切断線CLfとを突き合わせた状態で先行パルプシート1pと後行パルプシート1fを粘着テープ2で継いで継ぎ目付きパルプシートを生成する装置である(継ぎ工程に相当)。
【0069】
本実施の形態に係る継ぎ装置54は、継ぎ装置54のテープ貼り付け方向を調整して継ぎ装置54を移動させる駆動部と、粘着テープ2を巻き取ってなるテープロールを取り付けるテープ取り付け部と、テープロールから引き出された粘着テープ2をテープ貼り付け部へ案内するガイドローラと、粘着テープ2を押し付けることにより粘着テープ2を貼り付けるテープ貼り付け部と、粘着テープ2を切断するテープ切断部と、を有している。
【0070】
ここで本実施の形態に係る粘着テープ2は、継ぎ目付きパルプシートとしてパルプシート1と共に粉砕されて繊維状パルプの一部になる。したがって、吸収体と混合しても吸収性能や吸収性物品としての衛生性を損なわないような基材と接着剤を使用している必要がある。例としては、紙粘着テープや布粘着テープやフィルム粘着テープを挙げることができる。
【0071】
(e)規制部材55
規制部材55は、先行パルプシート1pの接着領域Jが紙管1rcから外れて切断された先行パルプシート1pの後端部の巻き癖を矯正して先行パルプシート1pの後端部を直線状に維持する。
【0072】
本実施の形態に係る規制部材55は、送り方向における支持部40から送り方向後側の固定装置52に亘って、パルプシート1の搬送経路に沿って備えられている略板状の部材である。規制部材55の例としては、ステンレス板を挙げることができる。
【0073】
また、規制部材55は先行パルプシート1pの後端部の巻き癖により直線状から円形状に戻ろうと最後端が移動する側に備えられている。つまり、規制部材55は、支持部40から送り方向後側の固定装置52に亘りパルプシート1の搬送経路に沿って、パルプシート1の一方の面側(巻き癖により直線状から円形状に戻ろうと最後端が移動する側)に備えられている。
【0074】
(2)継ぎ目付きパルプシート生成方法
本実施形態に係る継ぎ目付きパルプシート生成方法は、継ぎ目付きパルプシート生成装置50で使用される。すなわち、本実施の形態に係る継ぎ目付きパルプシート生成方法は、継ぎ目付きパルプシートの生成に供される。
【0075】
継ぎ目付きパルプシート生成方法について、継ぎ目付きパルプシート生成装置50の動作に基づいて、
図4A乃至
図4D、
図8及び
図9A乃至
図9Dを用いて説明する。
【0076】
図8は継ぎ目付きパルプシートの生成制御を示したフローチャートである。また、
図9A乃至
図9Dは継ぎ目付きパルプシート生成装置50が継ぎ目付きパルプシートを生成する動作を示した図である。なお便宜上、
図9A乃至
図9Dにおいては、二つある支持部40のうち一の支持部40のみを記載している。以下では
図8のフローチャートの流れに沿って、
図4A乃至
図4D及び
図9A乃至
図9Dを参照しながら本実施の形態に係る継ぎ目付きパルプシート生成方法について説明する。
【0077】
先ず、
図9Aに示すように、新規の後行パルプシート1fを継ぎ目付きパルプシート生成装置50の所定位置に配する(ステップS1)。以下に、
図4A乃至
図4Dを用いて本実施の形態に係る配置装置51の動作を説明する。
【0078】
先ず、
図4Aに示すように、シートロール1rの外周面から離れた位置にあるガイド部51gと回転部51rが、
図4Bに示すように、それぞれシートロール1rの外周面に接する位置に移動する。ガイド部51gは側面が略直角三角形状をしており、該形状が幅方向の一端から他端に亘っている。そして、略直角三角形の底面がシートロール1rの接線に沿うように、かつ、底面と斜面の頂点がシートロール1rに接する位置に移動する。回転部51rは略円形状のローラーであり、ローラーの接線がシートロール1rの接線に沿う位置に移動する。そして、回転部51rは該位置においてシートロール1rに押し付けられる。回転部51rは、幅方向に沿った回転軸と、該回転軸を駆動回転させるサーボモータと、ローラー外周面においてはパルプに対して高い摩擦係数を有する高摩擦部材とを有している。高摩擦部材の例としてはゴムローラーを挙げることができる。かかる状態において回転部51rが駆動回転すると、押し付けられたゴムとパルプの摩擦力により、シートロール1rは回転部51rと連れ回りする。本実施の形態においては、回転部51rは時計回りに、シートロール1rは反時計回りにそれぞれ回転する(
図4Bの状態)。
【0079】
次に、
図4Bの状態において、シートロール1rが回転すると、ガイド部51gの位置にシートロール1rの先端部が移動する。ここで、該先端部はシートロール1rに拘束されていないことから、シートロール1rの外周面に密着しておらず、一般的には先端に隙間を有している。かかる状態において、ガイド部51gはシートロール1rの外周面に接しているので、該隙間にガイド部51gの底面と斜面の頂点が侵入することになる。すなわち、ガイド部51gの斜面上にシートロール1rの先端部が移動することになる。そして、該ガイド部51gの斜面側には移動部51dが設けられており、シートロール1rが回転することにより、該先端部が移動部51dに至るまで移動する(
図4Cの状態)。
【0080】
次に、
図4Cの状態において、移動部51dに至った新規の後行パルプシート1f(シートロール1r)の先端部は、移動部51dに保持される。本実施の形態に係る移動部51dは、
図7に示すように、略凹形状で凹み部分が向きあう構成となっている。そして、パルプシート1の幅方向における一端と他端をそれぞれの凹み部分が上下から挟み込んで保持する。すなわち、幅方向における一端と他端にある略凹形状の凹み部分へ新規の後行パルプシート1fの先端部が移動し、凹み部分を上下から挟み込むことにより、該先端部を保持する。そして、移動部51dは、自走するための駆動部と、該先端部を保持する位置から継ぎ目付きパルプシート生成装置50の所定位置までの経路を案内する経路案内部を有している。したがって、該先端部を保持した移動部51dは、該経路案内部に従って自走することにより、該所定位置まで移動する。
【0081】
ここで、前述した移動部51dは、略凹形状で左右一対の構成であったが、これに限るものではない。例えば、略矩形状で内部にパルプシート1が移動する隙間を有するような構成であってもよい。また、前述した移動部51dは、自走するための駆動部を有していたが、これに限るものではない。例えば、経路案内部が経路上を往復する駆動部を有し、経路案内部が移動部51dを保持して移動させてもよい。
【0082】
次に、先行パルプシート1pと後行パルプシート1fを固定する(ステップS3)。すなわち、固定装置52は、上下一対の挟持部を近接させることにより、該上下一対の挟持部の隙間にある先行パルプシート1pと後行パルプシート1fを押さえつけて固定する。
【0083】
次に、
図9Bに示すように、先行パルプシート1pの後端部と新規の後行パルプシート1fの先端部とを、後端部切断線CLpと先端部切断線CLfの傾き度合いが同じになるように、かつ、前記傾き度合いについて、送り方向における後端部切断線CLp及び先端部切断線CLfの長さLaが送りローラー20がパルプシート1を支持する支持位置20aから粉砕刃31bの刃先の移動軌跡までの最短距離Lbよりも長くなるように、それぞれ斜めに切断する(ステップS5。切断工程に相当)。すなわち、切断装置53は、
図5Aに示すように、上下一対のロータリーシャー刃53bを回転駆動部が回転させつつ、先行パルプシート1pと後行パルプシート1fの幅方向における一端から他端まで移動することにより、先行パルプシート1pと後行パルプシート1fを切断する。ここで、本実施の形態に係る切断装置53は、切断方向を幅方向から送り方向に至るまでの角度において調整することが可能である。すなわち、切断装置53は、先行パルプシート1pの後端部と新規の後行パルプシート1fの先端部とを斜めに切断することが可能である。
【0084】
次に、先行パルプシート1pと後行パルプシート1fを切断して発生した切断片を取り除き、後端部切断線CLpと先端部切断線CLfとを突き合わせた状態とする(ステップS7)。本実施の形態においては、
図9Bに示すように、先行パルプシート1pと後行パルプシート1fとを重ねた状態で同時に切断するため、先行パルプシート1pの切断片は継ぎ目付きパルプシートの厚さ方向の一方側に、後行パルプシート1fの切断片は厚さ方向の他方側に発生する。そのため、切断片を取り除くための切断片を搬送する不図示の切断片搬送部と不図示の回収容器とが継ぎ目付きパルプシートの厚さ方向の両側にそれぞれ備えられている。すなわち、該両側に備えられた切断片搬送部は、切断して該両側に発生した切断片をそれぞれの回収容器へ搬送して取り除く。そして、本実施の形態においては、先行パルプシート1pと後行パルプシート1fは重ねた状態で同時に切断しており、固定装置52による固定を解放して切断片を取り除いた後に固定装置52で再び固定すれば、後端部切断線CLpと先端部切断線CLfとを突き合わせた状態となる。
【0085】
次に、
図9Cに示すように、切断装置53により切断された先行パルプシート1pの後端部切断線CLpと後行パルプシート1fの先端部切断線CLfとを突き合わせた状態で先行パルプシート1pと後行パルプシート1fを粘着テープ2で継いで継ぎ目付きパルプシートを生成する(ステップS9。継ぎ工程に相当)。すなわち、継ぎ装置54は、後端部切断線CLpと先端部切断線CLfとが突き合わされた状態において、テープ貼り付け部を突き合わされた後端部切断線CLpと先端部切断線CLfの幅方向における一方端の位置に移動させる。そして、継ぎ装置54のテープ貼り付け方向が後端部切断線CLpと先端部切断線CLfに沿うように調整する。そして、テープ貼り付け部は、粘着テープ2が後端部切断線CLpと先端部切断線CLfを跨ぐように粘着テープ2を押し付けて貼り付ける。そして、継ぎ装置54は、粘着テープ2を押し付けつつ、後端部切断線CLpと先端部切断線CLfに沿うように幅方向における他方端に至るまで移動する。そして、テープ切断部により粘着テープ2を切断することにより、先行パルプシート1pと後行パルプシート1fを継いで、継ぎ目付きパルプシートを生成する。
【0086】
次に、
図9Dに示すように、固定装置52による継ぎ目付きパルプシートの固定が解放される。そして、該継ぎ目付きパルプシートの粉砕機30への送り込みが開始するまで待機する。
【0087】
<<<本実施の形態に係る吸収体製造方法の有効性について>>>
前述したとおり、本実施の形態に係る吸収体製造方法は、先行パルプシート1pの後端部と新規の後行パルプシート1fの先端部とを、後端部切断線CLpと先端部切断線CLfの傾き度合いが同じになるように、かつ、傾き度合いについて、送り方向における後端部切断線CLp及び先端部切断線CLfの長さLaが送りローラー20がパルプシート1を支持する支持位置20aから粉砕刃31bの刃先の移動軌跡までの最短距離Lbより長くなるようにそれぞれ斜めに切断する切断工程と、後端部切断線CLpと先端部切断線CLfとを突き合わせた状態で先行パルプシート1pと後行パルプシート1fを粘着テープ2で継いで継ぎ目付きパルプシートを生成する継ぎ工程を有することした。
【0088】
図10Aは、幅方向に沿って切断した継ぎ目付きパルプシートを粉砕している図であり、一般的な継ぎ目付きパルプシートを粉砕している比較例である。
図10Bは、斜め方向に切断した継ぎ目付きパルプシートを粉砕している図であり、本実施の形態に係る継ぎ目付きパルプシートを粉砕している本実施例である。
【0089】
前述したとおり、繊維状パルプの生成方法は、送りローラー20の支持位置20aでパルプシート1を支持しつつ粉砕機30へパルプシート1を送り込み、送り込まれたパルプシート1の先端を粉砕機30が備えた粉砕刃31bにより引っ掻き粉砕して生成する方法である。そのため、
図10Aに示すような比較例の継ぎ目付きパルプシートの場合は、送りローラー20の支持位置20aを継ぎ目CLが抜けた後における先行パルプシート1pが粘着テープ2と後行パルプシート1fとを介して送りローラー20の支持位置20aで支持されることとなる。そして、かかる状況においては、粘着テープ2が粉砕刃31bの引っ掻きによる引き込み力により剥がされて、先行パルプシート1pが該引き込み力によって粉砕機30内に急速に引き込まれる可能性がある。すなわち、粉砕機30への引き込み現象が発生する可能性がある。
【0090】
かかる引き込み現象が発生すると、先行パルプシート1pの後端と後行パルプシート1fの先端とに大きな間隔が生じて、粉砕機30へのパルプシート1の送り込みが不連続となる。したがって、適量の繊維状パルプを粉砕することができず、繊維状パルプ不足の吸収体が生成され、吸収体の品質が低下する可能性が高まることとなる。また、前記引き込み現象は、パルプシート1を塊状で粉砕機30内に引き込むので、パルプシート1の先端が引っ掻かれて粉砕されるのではなく、塊状のパルプシート1が引っ掻かれて粉砕されることとなる。すなわち、不適当な繊維状パルプが生成され、吸収体の品質が低下する可能性が高まることとなる。
【0091】
これに対し、本実施の形態においては、
図10Bに示すように、後端部切断線CLpと先端部切断線CLfの傾き度合いが同じになるように、かつ、傾き度合いについて、送り方向における後端部切断線CLp及び先端部切断線CLfの長さLaが送りローラー20がパルプシート1を支持する支持位置20aから粉砕刃31bの刃先の移動軌跡までの最短距離Lbより長くなるようにそれぞれ斜めに切断し、後端部切断線CLpと先端部切断線CLfとを突き合わせた状態で先行パルプシート1pと後行パルプシート1fを粘着テープ2で継いで継ぎ目付きパルプシートを生成することにした。したがって、
図10Bに示すように、送りローラー20の支持位置20aを継ぎ目CLが通過しても継ぎ目CLの一部は支持位置20aよりも後方に残っている。そのため、かかる際に、先行パルプシート1pが送りローラー20の支持位置20aで支持され、前述した引き込み現象を抑制することが可能となり、吸収体の品質が低下することを抑止することができる。
【0092】
また、本実施の形態に係る継ぎ工程においては、後端部切断線CLpと先端部切断線CLfとを突き合わせた状態でこれらの斜め切断線に沿って粘着テープ2を貼ることにより、先行パルプシート1pと後行パルプシート1fを継ぎ、粉砕機30は、パルプシート1と共に粘着テープ2を粉砕することとした。
【0093】
図10Bに示すように、後端部切断線CLpと先端部切断線CLfとに沿って粘着テープ2が貼り付けられた状態と、
図10Aに示すように、幅方向に沿って粘着テープ2が貼り付けられた状態とを比べると、後端部切断線CLpと先端部切断線CLfとに沿って粘着テープ2が貼り付けられた状態のほうが、粘着テープ2を一度に多く粉砕することがない。すなわち、繊維状パルプの一部となる粘着テープ2を一部の吸収体に集中させることを抑制することが可能となり、吸収体の品質が低下することをより一層抑止することが可能となる。
【0094】
また、本実施の形態に係る切断工程においては、先行パルプシート1pの後端部を切断する際には、接着領域Jよりも前側を切断することとした。
【0095】
パルプシート1は、該パルプシート1が紙管1rcに巻き付けられたシートロール1rから繰り出されたものであり、パルプシート1の最後端には、紙管1rcとの接着領域Jが設けられている。そして、接着領域Jには、パルプシート1と紙管1rcを接着していた接着剤と紙管1rcから外れた際に付着した紙管1rcの紙屑とが付着している可能性がある。したがって、接着領域Jを粉砕機30へ送り込むと、接着領域Jが粉砕されて繊維状パルプの一部となり、該接着剤及び該紙屑が吸収体に混在する可能性がある。すなわち、該接着剤及び該紙屑が、吸収性能や吸収性物品としての衛生性を損なうことにより、吸収体の品質が低下する可能性が高まることとなる。
【0096】
これに対し、本実施の形態においては、接着剤と紙管1rcの紙屑とが付着している可能性がある接着領域Jを粉砕することなく事前に排除する。すなわち、吸収体の吸収性能や吸収性物品としての衛生性を損なう可能性を抑制することが可能となり、吸収体の品質が低下することをより一層抑止することが可能となる。
【0097】
また、本実施の形態に係る切断工程においては、パルプシート1がシートロール1rから繰り出されて紙管1rcから外れた後に、先行パルプシート1pの後端部を切断し、紙管1rcから外れたパルプシート1の後端部の巻き癖を矯正するための規制部材55が、パルプシート1の後端部を直線状に維持することとした。
【0098】
規制部材55が紙管1rcから外れた前記後端部パルプシート1の後端部の巻き癖を矯正してパルプシート1の後端部を直線状に維持するため、例えば、継ぎ目付きパルプシートを生成する際に後端部が巻き癖により丸まって、該継ぎ目付きパルプシートの生成を阻害するような問題の発生を抑制することが可能となる。また、例えば、
図11に示すように、パルプシート1が巻き癖により搬送ローラーに巻きついて送りローラー20の送り込みを阻害するような問題の発生を抑制することが可能となる。
【0099】
また、本実施の形態に係る継ぎ工程においては、生成される継ぎ目付きパルプシートの一方面において先行パルプシート1pの高繊維密度面と後行パルプシート1fの高繊維密度面が連続し、他方面において先行パルプシート1pの低繊維密度面と後行パルプシート1fの低繊維密度面が連続するように、先行パルプシート1pと後行パルプシート1fを継ぐこととした。
【0100】
したがって、先行パルプシート1pから後行パルプシート1fへ粉砕対象が変わる際に、粉砕面の繊維密度が急に高くなったり、急に低くなったりするようなことが回避される。したがって、繊維状パルプを生成するための生成条件の急激な変化を生じさせないようにすることが可能となり、吸収体の品質が低下することをより一層抑止することが可能となる。
【0101】
また、本実施の形態においては、取り付けロボットが、シートロール1rを支持するための支持部40に、シートロール1rを取り付ける取り付け工程を備えることとした。
【0102】
すなわち、取り付けロボットは、支持部40にシートロール1rを取り付けることができ、かかる作業を人手に行う場合に比べて、速やかにシートロール1rを支持部40に取り付けることが可能となる。
【0103】
===その他の実施形態===
上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更・改良され得ると共に、本発明には、その等価物が含まれることは言うまでもない。
【0104】
前述の実施形態では、一つの粉砕機30に対して二つの送りローラー20を設けていたが、これに限るものではない。例えば、二つの粉砕機30を設けて、それぞれに一つの送りローラー20を設けても良い。
【0105】
また、上記の実施形態においては、一つの送りローラー20に対して二つの支持部40を設けていたが、これに限るものではない。例えば、一つの送りローラー20に対して一つの支持部40を設けてもよい。
【0106】
また、上記の実施形態(第一実施形態とする)においては、規制部材55を支持部40から送り方向後側の固定装置52に亘りパルプシート1の搬送経路に沿って、パルプシート1の一方の面側(巻き癖により直線状から円形状に戻ろうと最後端が移動する側)のみに備えていたが、これに限るものではない。例えば、
図12に示すように、支持部40から送り方向後側の固定装置52に亘りパルプシート1の搬送経路に沿って、パルプシート1の両方の面側に規制部材55が備えられていてもよい。
【0107】
第一実施形態に係る例は、規制部材55の数を減らすことができる点で優位性を有する。一方で、第二実施形態に係る例は、巻き癖の矯正効果がより高い点で優位性を有する。
【0108】
また、上記の実施形態においては、継ぎ装置54を用いて継ぎ目付きパルプシートを生成したが、この継ぎ装置54の具体例としては、汎用テープ貼りユニットMG−2201TU(マルゴ工業株式会社)を挙げることができる。但し、これに限るものではない。
【0109】
また、上記の実施形態においては、支持部40の軸は駆動源を備えないが、これに限るものではない。例えば、駆動源としてサーボモータを備えており、送りローラー20と同期して駆動回転することにより、シートロール1rからパルプシート1を繰り出してもよいし、配置装置51を用いることなく新規の後行パルプシート1fの先端部を継ぎ目付きパルプシート生成装置50の所定位置に配してもよい。
【0110】
また、上記の実施形態においては、「送りローラー」の一形態として送りローラー20単独でパルプシート1を送る形態を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではない。「送りローラー」の他の形態としては、例えば、送りローラー20で送られる無端ベルト等のベルトを介してパルプシート1を送るような形態であっても構わない。