(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記記憶部は、前記撮像光学系を構成するレンズの歪曲収差情報を記憶し、前記表示制御部は、前記マーカの表示位置と前記記憶部に記憶されたレンズの歪曲収差情報を基に前記マーカを生成して表示する請求項1に記載の計測支援装置。
前記ヘッドは、前記コリメータから出射された前記計測補助光の出射方向を変更する光学部材であって、前記ヘッドが出射する計測補助光の光軸と前記撮像光学系の光軸とが前記平面においてなす角が前記傾き角になるように前記計測補助光の出射方向を変更する光学部材を有する請求項1から4のいずれか1項に記載の計測支援装置。
前記レーザ光源モジュールから出射された前記計測補助光を前記コリメータまでシングル横モードで伝搬させる光ファイバーを備える請求項1から6のいずれか1項に記載の計測支援装置。
前記コリメータは、屈折率が光軸で最も高く半径方向外側に向かうにつれて減少するグレーデッドインデックス型レンズである請求項1から7のいずれか1項に記載の計測支援装置。
前記コリメータは、屈折率が光軸で最も高く半径方向外側に向かうにつれて減少するグレーデッドインデックス型光ファイバーである請求項1から8のいずれか1項に記載の計測支援装置。
被検体内に挿入される挿入部であって、先端硬質部と、前記先端硬質部の基端側に接続された湾曲部と、前記湾曲部の基端側に接続された軟性部とを有する挿入部と、前記挿入部の基端側に接続された操作部と、を有する内視鏡を備え、
前記コリメータと、前記スポットの光学像を前記撮像素子に結像させる撮像レンズと、が前記先端硬質部に設けられる請求項11に記載の内視鏡システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら上述の特許文献1では、ステレオカメラにより距離を計測するため2台のカメラが必要であり、内視鏡先端部が大きくなってしまうため、被検体への負担が大きかった。さらに、距離計測を行いその結果に基づいて目印の大きさを算出するため、処理が複雑であった。
【0006】
また特許文献2に記載の技術は距離計測を行うためのものであり、処理が複雑な上に被写体の長さや大きさを直接的に求められるものではなかった。さらに、レーザビームが撮像光学系の光軸と平行に照射されるので、観察距離が短い場合(被写体が内視鏡の先端と近接したところに存在する場合)はレーザビームが撮像光学系の視野から外れてしまい、測定できなくなるという問題があった。さらに、被写体距離の変化に対するスポットの位置変化の感度が低く、計測精度が低いという問題があった。さらに、観察光が光ファイバーの先端からそのまま放射されるので距離とともにビームが広がってしまい、観察距離が長いとスポット径が大きくなるとともにスポットの視認が困難になって計測精度が低下してしまう、という問題があった。
【0007】
このように、従来の技術は被写体の大きさ(長さ)を容易かつ高精度に計測できるものではなかった。
【0008】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、被写体の大きさを容易かつ高精度に計測できる計測支援装置、内視鏡システム、内視鏡システムのプロセッサ、及び計測支援方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した目的を達成するため、本発明の第1の態様に係る計測支援装置は、光源から出射された計測補助光を平行な光束にして出射するコリメータを含むヘッドと、ヘッドから出射された計測補助光によりスポットが形成された被写体の画像を撮像光学系及び撮像素子を介して取得する撮像部と、被写体の画像に基づいて撮像素子上のスポットの位置を計測する計測部と、スポットの撮像素子上の位置と被写体の実寸サイズとの関係を示す情報を記憶する記憶部と、計測したスポットの位置に基づいて記憶部から関係を示す情報を取得し、取得した情報に基づいて実寸サイズを示すマーカを生成するマーカ生成部と、スポットが形成された被写体の画像及びマーカを表示装置に表示させる表示制御部であって、被写体の画像においてスポットの近傍にマーカを表示させる表示制御部と、を備え、ヘッドは、光軸が撮像光学系の光軸を含む平面に射影した場合に撮像光学系の光軸に対し0度でない傾き角を有し撮像光学系の画角を横切る計測補助光を出射する。第1の態様では、被写体の実寸サイズを示すマーカが被写体の画像とともに表示されるので、ユーザは被写体(被測定体)とマーカとを比較することにより被写体の大きさを容易に計測することができる。なお、第1の態様において「実寸サイズ」の具体的な値は被写体の種類及び計測の目的等の条件に応じて設定することができる。
【0010】
第1の態様では計測補助光はコリメート光なので、ビーム径及びスポット径が小さく被写体(被測定体)へのマーキングが容易で、かつ位置測定精度が高い。さらに観察距離が長い場合でもビームの広がりがほとんどなく、高精度な計測を行うことができる。また、スポットの位置を計測し、計測結果に基づいて記憶部に記憶された情報を取得してマーカを生成及び表示するので、上述した特許文献1,2のように距離測定の必要がなく、装置構成が簡単で計測が容易である。
【0011】
また、計測補助光の光軸は撮像光学系の光軸を含む平面に射影した場合に撮像光学系の光軸に対し0度でない傾き角を有し、撮像光学系の画角を横切るので、傾き角を適切に設定することにより観察距離が短い場合でも計測補助光が撮像光学系の視野に入るようにすることができる。さらに、計測補助光の光軸は撮像光学系の光軸を含む平面に射影した場合に撮像光学系の光軸に対し0度でない傾き角を有するので、観察距離の変化に対するスポットの位置変化の感度が高く、計測精度が高い。
【0012】
このように、第1の態様に係る計測支援装置では被写体の大きさを容易かつ高精度に計測することができる。
【0013】
第1の態様において、「被写体の撮像素子上の寸法と被写体の実寸サイズとの関係を示す情報」は、例えば実寸サイズに対応したパターンが規則的に記録された計測用図形を撮影することで取得することができる。また、第1の態様においてスポットの「近傍」にマーカを表示するが、マーカの中心をスポットの中心に合わせて表示してもよいし、スポットから離れた位置にマーカを表示してもよい。第1の態様において、レーザ光、LED光等を計測補助光として用いることができる。
【0014】
第2の態様に係る計測支援装置は第1の態様において、ヘッドから出射される計測補助光の光軸は平面(撮像光学系の光軸を含む平面)に存在する。第2の態様は撮像光学系の光軸の方向と計測補助光の光軸の方向との関係の一態様を規定するものであり、撮像光学系の光軸と計測補助光の光軸が同一平面上に存在しマーカの軌跡が画面の中心を通るため、画面中心付近にマーカが存在する領域が広くなり計測精度が向上する。
【0015】
第3の態様に係る計測支援装置は第1または第2の態様において、ヘッドから出射される計測補助光の光軸は平面(撮像光学系の光軸を含む平面)において撮像光学系の光軸と交差する。第3の態様によれば、撮像光学系の光軸の方向と計測補助光の光軸の方向との関係をさらに具体的に規定するもので、光軸同士の関係が単純になるため処理が容易である。なお第3の態様において、光軸同士の交差位置が観察距離範囲の近端と遠端の間になるように、上述の傾き角を設定することが好ましい。このように設定することが好ましいのは、撮像光学系の構成によっては歪曲収差が大きくなり、その場合画像の周辺部ではなく画像中心部での計測を行うことが好ましいが、上述のように傾き角を設定することで画像中心部での計測を行うことが可能になるからである。
【0016】
第4の態様に係る計測支援装置は第1から第3の態様のいずれか1つにおいて、ヘッドは、コリメータから出射された計測補助光の出射方向を変更する光学部材であって、ヘッドが出射する計測補助光の光軸と撮像光学系の光軸とが平面においてなす角が傾き角になるように計測補助光の出射方向を変更する光学部材を有する。第4の態様によれば、光学部材で計測補助光の出射方向を変更するので、ヘッドを真っ直ぐ(撮像光学系の光軸と平行に)配置することができ、計測支援装置の先端部分を小型化(細径化)することができる。
【0017】
第5の態様に係る計測支援装置は第4の態様において、光学部材は傾き角に応じた頂角を有するプリズム部材である。第5の態様は計測補助光の出射方向を変更する光学部材の一態様を規定するものである。
【0018】
第6の態様に係る計測支援装置は第1から第5の態様のいずれか1つにおいて、光源から出射された計測補助光をコリメータまでシングル横モードで伝搬させる光ファイバーを備える。第6の態様によれば、光ファイバーが計測補助光をシングル横モードで伝搬させるので、径が小さく鮮明なスポットを形成することができ、これにより高精度な計測を行うことができる。
【0019】
第7の態様に係る計測支援装置は第1から第6の態様のいずれか1つにおいて、コリメータは、屈折率が光軸で最も高く半径方向外側に向かうにつれて減少するグレーデッドインデックス型レンズである。第7の態様によれば、コリメータがグレーデッドインデックス型レンズ(Graded Indexレンズ)なので、計測補助光を出射するモジュールを小型化(細径化)することができる。
【0020】
第8の態様に係る計測支援装置は第1から第7の態様のいずれか1つにおいて、コリメータは、屈折率が光軸で最も高く半径方向外側に向かうにつれて減少するグレーデッドインデックス型光ファイバーである。第8の態様によれば、コリメータがグレーデッドインデックス型光ファイバー(Graded Indexファイバー)なので、計測補助光を出射するモジュールを小型化(細径化)することができる。
【0021】
第9の態様に係る計測支援装置は第1から第8の態様のいずれか1つにおいて、計測補助光の光軸を平面に射影した場合に、傾き角が1.1度以上50.2度以下である。傾き角が第9の態様で規定する範囲であれば、撮像光学系の光軸と計測補助光の光軸との交差位置が観察距離範囲の近端と遠端の間(近端及び遠端を含む)となるため、撮像光学系の歪曲収差の影響が少ない画像中心部において高精度に計測を行うことができる。なお第9の態様において、傾き角が10.5度以上50.2度以下であることがさらに好ましい。傾き角がこの範囲であれば、画像中心により近い部分で計測を行うことができ、高精度な計測を行うことができるからである。
【0022】
上述した目的を達成するため、本発明の第10の態様に係る内視鏡システムは、第1から第9の態様のいずれか1つに記載の計測支援装置を備える。第10の態様に係る内視鏡システムでは、第1から第9の態様のいずれか1つに係る計測支援装置を備えるので、被写体の大きさを容易かつ高精度に計測することができる。
【0023】
第11の態様に係る内視鏡システムは第10の態様において、被検体内に挿入される挿入部であって、先端硬質部と、先端硬質部の基端側に接続された湾曲部と、湾曲部の基端側に接続された軟性部とを有する挿入部と、挿入部の基端側に接続された操作部と、を有する内視鏡を備え、コリメータと、スポットの光学像を撮像素子に結像させる撮像レンズと、が先端硬質部に設けられる。第11の態様は、内視鏡の先端硬質部の構成の一態様を規定するものである。
【0024】
第12の態様に係る内視鏡システムは第10または第11の態様において、照明光を照射する照明光源と、照明光の照度を制御する制御部と、を有し、制御部は、撮像部によりスポットの画像を取得する計測モードでは、照明光を被写体に照射して被写体を観察する通常観察モードよりも照明光の照度を下げる。スポットを撮像する際の照明光の照度が高すぎると、得られた画像においてスポットとそれ以外の部分とのコントラストが小さくなってスポットの認識ができず、計測ができなくなる場合があるが、第12の態様では、制御部は、撮像部によりスポットの画像を取得する計測モードでは、照明光を被検体に照射して被検体を観察する通常観察モードよりも照明光の照度を下げるので、スポットの鮮明な画像を撮像することができ、これにより高精度な計測を行うことができる。なお第12の態様において、計測モードにおいて照明光の照度をどの程度下げるかは被検体の種類や大きさ、明るさ等に応じて設定してよく、必要に応じ照明光を消灯してもよい。
【0025】
第13の態様に係る内視鏡システムは第10から第12の態様のいずれか1つにおいて、撮像素子は、2次元配列された複数の受光素子からなる複数の画素と、複数の画素に配設された複数のフィルタ色のカラーフィルタと、を備えるカラー撮像素子であり、計測部は、複数のフィルタ色のうち計測補助光の波長に対する感度が最も高いフィルタ色のカラーフィルタが配設された画素の画像信号により生成される画像に基づいてスポットの撮像素子上の位置を計測する。第13の態様によれば、複数のフィルタ色のうち計測補助光の波長に対する感度が最も高いフィルタ色のカラーフィルタが配設された画素の画像信号により生成される画像に基づいてスポットの撮像素子上の位置を計測するので、スポットが鮮明な画像を撮像することができ、これにより高精度な計測を行うことができる。
【0026】
上述した目的を達成するため、本発明の第14の態様に係るプロセッサは、第10から第13の態様のいずれか1つに係る内視鏡システムのプロセッサであって、光源を駆動する光源駆動部と、計測部と、記憶部と、マーカ生成部と、表示制御部と、を備える。第14の態様によれば、第1の態様と同様に被写体の大きさを容易かつ高精度に計測することができる。第14の態様では、計測補助光の光源は例えばスコープ(内視鏡の手元操作部)内に配置されてスコープの電気回路基板部に実装され、プロセッサ(光源駆動部)からの電気信号に応じて点灯、消灯、及び光強度が制御される。
【0027】
第15の態様に係るプロセッサは第14の態様において、光源駆動部はレーザ光源を駆動するレーザ駆動部である。
【0028】
上述した目的を達成するため、本発明の第16の態様に係る計測支援方法は光源から出射された計測補助光を平行な光束にして出射するコリメータを含むヘッドと、計測補助光によりスポットが形成された被写体の画像を撮像光学系及び撮像素子を介して取得する撮像部と、スポットの撮像素子上の位置と被写体の実寸サイズとの関係を示す情報を記憶する記憶部と、を備える計測支援装置を用いた計測支援方法であって、ヘッドから出射される計測補助光の光軸が、撮像光学系の光軸を含む平面に射影した場合に撮像光学系の光軸に対し0度でない傾き角を有するように計測補助光を出射する補助光出射工程と、計測補助光によりスポットが形成された被写体の画像を撮像部を介して取得する撮像工程と、被写体の画像に基づいて撮像素子上のスポットの位置を計測する計測工程と、計測したスポットの位置に基づいて記憶部から関係を示す情報を取得し、取得した情報に基づいて実寸サイズを示すマーカを生成するマーカ生成工程と、スポットが形成された被写体の画像及びマーカを表示装置に表示させる表示制御工程であって、被写体の画像においてスポットの近傍にマーカを表示させる表示制御工程と、を含む。第16の態様によれば、第1の態様と同様に被写体の大きさを容易かつ高精度に計測することができる。
【発明の効果】
【0029】
以上説明したように、本発明の計測支援装置、内視鏡システム、内視鏡システムのプロセッサ、及び計測支援方法によれば、被写体の大きさを容易かつ高精度に計測することができる。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明に係る計測支援装置、内視鏡システム、内視鏡システムのプロセッサ、及び計測支援方法の実施形態について、詳細に説明する。
【0032】
<第1の実施形態>
図1は、第1の実施形態に係る内視鏡システム10(計測支援装置、内視鏡システム、内視鏡システムのプロセッサ)を示す外観図であり、
図2は内視鏡システム10の要部構成を示すブロック図である。
図1,2に示すように、内視鏡システム10は、内視鏡本体110(内視鏡)、内視鏡プロセッサ200(内視鏡システムのプロセッサ)、光源装置300、及びモニタ400から構成される内視鏡装置100を含んでいる。
【0033】
<内視鏡本体の構成>
内視鏡本体110は、手元操作部102(操作部)と、この手元操作部102に連設される挿入部104(挿入部)とを備える。術者は手元操作部102を把持して操作し、挿入部104を被検体の体内に挿入して観察を行う。挿入部104は、手元操作部102側から順に、軟性部112(軟性部)、湾曲部114(湾曲部)、先端硬質部116(先端硬質部)で構成されている。先端硬質部116には、撮像光学系130(撮像部)、照明部123、鉗子口126、レーザモジュール500等が設けられる(
図1〜3参照)。
【0034】
観察や処置の際には、操作部208(
図2参照)の操作により、照明部123の照明用レンズ123A,123Bから可視光と赤外光のいずれか、または両方を照射することができる。また、操作部208の操作により図示せぬ送水ノズルから洗浄水が放出されて、撮像光学系130の撮像レンズ132(撮像レンズ)、及び照明用レンズ123A,123Bを洗浄することができる。先端硬質部116で開口する鉗子口126には不図示の管路が連通しており、この管路に腫瘍摘出等のための図示せぬ処置具が挿通されて、適宜進退して被検体に必要な処置を施せるようになっている。
【0035】
図1〜
図3に示すように、先端硬質部116の先端側端面116Aには撮像レンズ132が配設されており、この撮像レンズ132の奥にCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)型の撮像素子134(撮像素子、カラー撮像素子)、駆動回路136、AFE(Analog Front End)138が配設されて、画像信号を出力するようになっている。撮像素子134はカラー撮像素子であり、特定のパターン配列(ベイヤー配列、GストライプR/B完全市松、X−Trans(登録商標)配列、ハニカム配列等)でマトリクス状に配置(2次元配列)された複数の受光素子により構成される複数の画素を備え、各画素はマイクロレンズ、赤(R)、緑(G)、または青(B)のカラーフィルタ及び光電変換部(フォトダイオード等)を含んでいる。撮像光学系130は、赤,緑,青の3色の画素信号からカラー画像を生成することもできるし、赤,緑,青のうち任意の1色または2色の画素信号から画像を生成することもできる。
【0036】
なお第1の実施形態では撮像素子134がCMOS型の撮像素子である場合について説明するが、撮像素子134はCCD(Charge Coupled Device)型でもよい。
【0037】
被検体(腫瘍部、病変部)の画像やスポット(後述)の光学像は撮像レンズ132により撮像素子134の受光面(結像面)に結像されて電気信号に変換され、不図示の信号ケーブルを介して内視鏡プロセッサ200に出力されて映像信号に変換される。これにより、内視鏡プロセッサ200に接続されたモニタ400に観察画像等(
図16〜20参照)が表示される。
【0038】
また、先端硬質部116の先端側端面116Aには、撮像レンズ132に隣接して照明部123の照明用レンズ123A(可視光用)、123B(赤外光用)が設けられている。照明用レンズ123A,123Bの奥には、後述するライトガイド170の射出端が配設され、このライトガイド170が挿入部104、手元操作部102、及びユニバーサルケーブル106に挿通され、ライトガイド170の入射端がライトガイドコネクタ108内に配置される。
【0039】
先端側端面116Aには、さらにレーザモジュール500のレーザヘッド506(ヘッド)が設けられて、プリズム512(プリズム部材)を介してスポット光(計測補助光)が照射される。レーザモジュール500の構成は後述する。なお第1の実施形態では、
図3に示すようにレーザヘッド506が鉗子口126とは別に設けられているが、本発明に係る計測支援装置及び内視鏡システムにおいては、
図4に示すように、先端硬質部116で開口する鉗子口126に連通する管路(不図示)にレーザヘッド506を挿抜可能に挿通してもよい。この場合レーザヘッド506専用の管路を設ける必要がなく、鉗子口126に連通する管路を他の処置具と共用することができる。
【0040】
<レーザモジュールの構成>
図2及び
図5に示すように、レーザモジュール500はレーザ光源モジュール502(光源、レーザ光源)と、光ファイバー504(光ファイバー)と、レーザヘッド506(ヘッド)とを備える。光ファイバー504の基端側(レーザ光源モジュール502側)はファイバー外皮501で被覆され、先端側(レーザ光を出射する側)はフェルール(ferrule)508に挿入されて接着剤で接着され、端面が研磨される。フェルール508の先端側にGRIN(Graded Index)レンズ510(コリメータ、グレーデッドインデックス型レンズ)が装着され、GRINレンズ510の先端側にプリズム512が装着されて接合体を形成する。フェルール508は光ファイバー504を保持、接続するための部材であり、中心部には光ファイバー504を挿通するための穴が軸方向(
図5の左右方向)に空けられている。フェルール508及びファイバー外皮501の外側に補強材507が設けられて光ファイバー504等を保護する。フェルール508,GRINレンズ510,及びプリズム512はハウジング509に収納され、補強材507及びファイバー外皮501と一体になってレーザヘッド506を構成する。
【0041】
レーザヘッド506において、フェルール508は例えば直径が0.8mm〜1.25mmのものを用いることができる。なお小型化のためには細径のものの方が好ましい。上述の構成により、レーザヘッド506全体としての直径を1.0mm〜1.5mmにすることができる。
【0042】
このように構成されたレーザモジュール500は挿入部104に装着される。具体的には
図2に示すように、レーザ光源モジュール502は手元操作部102(スコープ)の部分に配置され、電気回路基板部に実装される。一方、レーザヘッド506が先端硬質部116に設けられて、光ファイバー504がレーザ光をレーザ光源モジュール502からレーザヘッド506まで導光する。なおレーザ光源モジュール502を光源装置300内に設け、レーザ光を光ファイバー504により先端硬質部116まで導光するようにしてもよい。
【0043】
レーザ光源モジュール502は、図示せぬ電源から電力が供給されて可視波長域のレーザ光を出射するVLD(Visible Laser Diode)と、VLDから出射されたレーザ光を集光する集光レンズ503とを備えるピグテール型モジュール(TOSA;Transmitter Optical Sub Assembly)である(
図6参照)。レーザ光は内視鏡プロセッサ200(CPU210)の制御により必要に応じて出射することができ、スポット光の照射による計測を行う場合(計測モード)のみレーザ光を出射させることで、非出射時には通常の内視鏡と同様に使用することができる(通常モード)。レーザ光源モジュール502は、内視鏡プロセッサ200(光源駆動部、レーザ駆動部)からの電気信号に応じて点灯、消灯、及び光強度が制御される。
【0044】
第1の実施形態において、VLDが出射するレーザ光は半導体レーザによる波長650nmの赤色レーザ光とすることができる。ただし本発明におけるレーザ光の波長はこの態様に限定されるものではない。集光レンズ503で集光されたレーザ光は、光ファイバー504によりGRINレンズ510まで導光される。光ファイバー504はレーザ光をシングル横モードで伝搬させる光ファイバーであり、径が小さく鮮明なスポットを形成することができるので、被写体の大きさを正確に計測することができる。光ファイバー504の途中に中継コネクタを設けてもよい。なお、被写体の種類や大きさ等の観察条件によってスポット径の大きさや鮮明さが計測上問題とならない場合は、光ファイバー504として、レーザ光をマルチモードで伝搬させる光ファイバーを用いてもよい。また、光源としては半導体レーザの代わりにLED(Light-Emitting Diode)を用いてもよく、半導体レーザを発振閾値以下のLED発光状態で使用してもよい。
【0045】
GRINレンズ510は、屈折率が光軸で最も高く半径方向外側に向かうにつれて減少する円筒型のグレーデッドインデックス型レンズ(ラジアル型)であり、光ファイバー504により導光されて入射したレーザ光を平行な光束にして出射するコリメータとして機能する。GRINレンズ510から出射される光束の広がりはGRINレンズ510の長さを調節することで調節でき、平行な光束のレーザ光を出射させるには(λ/4)ピッチ(λはレーザ光の波長)程度にすればよい。
【0046】
GRINレンズ510の先端側にはプリズム512(光学部材、プリズム部材)が装着されている。このプリズム512は計測補助光の出射方向を変更するための光学部材であり、出射方向を変更することにより、計測補助光の光軸を撮像光学系の光軸を含む平面に射影した場合に、計測補助光の光軸が撮像光学系の光軸に対し0度でない傾き角を有し、計測補助光が撮像光学系の画角を横切る。プリズム512はGRINレンズ510のレンズ径に近い大きさに形成されており、先端面が斜めにカットされて上述した傾き角に応じた頂角AL1(具体的な数値は後述の実施例を参照)を有する。
【0047】
<撮像光学系の光軸と計測補助光の光軸の関係>
図7は第1の実施形態に係る先端硬質部116を前方(被写体側)から見た状態を示す図であり、
図3の構成に対応する図である。第1の実施形態では、計測補助光の光軸L1と撮像光学系の光軸L2とは同一平面上に存在し、その同一平面上で交差する。したがって、先端硬質部116を前方(被写体側)から見ると、
図7のように光軸L2が光軸L1上を通るように見える。なお、
図8は
図4の構成に対応する図である。
図4及び
図8に示す態様においても、計測補助光の光軸L1と撮像光学系の光軸L2とは同一平面上に存在し、その同一平面上で交差する。
【0048】
なお、本発明における計測補助光の光軸L1と撮像光学系の光軸L2との関係は、上述した「計測補助光の光軸と撮像光学系の光軸とが同一平面上に存在し、その同一平面上で交差する」態様に限定されるものではく、
図9に示す光軸L1A,L1Bのように撮像光学系の光軸L2と同一平面上に存在しなくてもよい。しかしながらこのような場合においても、計測補助光の光軸を撮像光学系の光軸を含む平面に射影した場合に、計測補助光の光軸は撮像光学系の光軸に対し0度でない傾き角を有し撮像光学系の画角を横切るものとする。
【0049】
上述した特許文献2のように計測補助光の光軸が撮像光学系の光軸と平行(傾き角が0度)である場合、光軸同士の間隔によっては計測補助光の光軸が撮像光学系の画角を横切る点までの距離が遠くなり、その場合至近距離ではスポットが撮影できず計測が困難である。また計測補助光の光軸が撮像光学系の光軸と平行である場合、観察距離の変化に対するスポット位置変化の感度が低く、十分な計測精度が得られない場合がある。これに対し第1の実施形態のように「計測補助光の光軸を撮像光学系の光軸を含む平面に射影した場合に、計測補助光の光軸は撮像光学系の光軸に対し0度でない傾き角を有し撮像光学系の画角を横切る」という構成によれば、至近距離から遠距離まで広範囲の観察距離で計測でき、また距離変化に対するスポット位置変化の感度が高いため高精度に計測することができる。
【0050】
<光源装置の構成>
図2に示すように、光源装置300は、照明用の光源310(照明光源)、絞り330、集光レンズ340、及び光源制御部350(制御部)等から構成されており、照明光(可視光または赤外光)をライトガイド170に入射させる。光源310は、可視光源310A(照明光源)及び赤外光源310B(照明光源)を備えており、可視光及び赤外線の一方または両方を照射可能である。可視光源310A及び赤外光源310Bによる照明光の照度は、光源制御部350(制御部)により制御され、後述するように、スポットを撮像して計測する際(計測モード時)に必要に応じて照明光の照度を下げたり、照明を停止したりすることができるようになっている。
【0051】
ライトガイドコネクタ108(
図1参照)を光源装置300に連結することで、光源装置300から照射された照明光がライトガイド170を介して照明用レンズ123A、123Bに伝送され、照明用レンズ123A、123Bから観察範囲に照射される。
【0052】
<内視鏡プロセッサの構成>
次に、
図2に基づき内視鏡プロセッサ200(計測部、記憶部、マーカ生成部、表示制御部、光源駆動部、レーザ駆動部)の構成を説明する。内視鏡プロセッサ200は、内視鏡装置100から出力される画像信号を画像入力コントローラ202を介して入力し、画像処理部204(計測部、マーカ生成部、表示制御部)で必要な画像処理を行ってビデオ出力部206を介して出力する。これによりモニタ400(表示装置)に観察画像が表示される。これらの処理はCPU(Central Processing Unit;中央処理装置)210(計測部、マーカ生成部、表示制御部)の制御下で行われる。画像処理部204では、ホワイトバランス調整等の画像処理の他、モニタ400に表示する画像の切替や重畳表示、電子ズーム処理、操作モードに応じた画像の表示、画像信号からの特定成分(例えば輝度信号)の抽出等を行う。また画像処理部204では、撮像素子134の結像面におけるスポット位置の測定や、測定した位置に基づくマーカの大きさ(ピクセル数)の算出が行われる(後述)。メモリ212(記憶部)には、CPU210や画像処理部204が行う処理に必要な情報、例えば撮像素子134の結像面におけるスポットの位置とマーカの大きさとの関係があらかじめ記憶されている。この関係は、関数形式で記憶してもよいし、ルックアップテーブル形式で記憶してもよい。
【0053】
また、内視鏡プロセッサ200は操作部208を備えている。操作部208は図示せぬ操作モード設定スイッチや送水指示ボタン等を備えており、また可視光及び/または赤外光の照射を操作することができる。
【0054】
<内視鏡装置による観察>
図10は内視鏡装置100の挿入部104を被検体内に挿入した状態を示す図であり、撮像光学系130を介して撮像範囲IAについて観察画像を取得する様子を示している。
図10では、スポットSP0が腫瘍tm(黒色で隆起している部分)の付近に形成されている様子を示す。
【0055】
<計測処理の流れ>
次に、内視鏡システム10を用いた被検体の計測支援方法について説明する。
図11は計測支援方法の処理を示すフローチャートである。
【0056】
まず、内視鏡装置100の挿入部104を被検体に挿入し、内視鏡システム10を通常観察モードに設定する(ステップS10)。通常観察モードは、光源装置300から照射される照明光を被写体に照射して画像を取得し、被写体を観察するモードである。通常観察モードへの設定は内視鏡システム10の起動時に内視鏡プロセッサ200が自動的に行ってもよいし、ユーザによる操作部208の操作に応じて行ってもよい。
【0057】
内視鏡システム10が通常観察モードに設定されたら、照明光を照射して被写体を撮像し、モニタ400に表示する(ステップS12)。被写体の画像としては静止画を撮像してもよいし、動画を撮像してもよい。撮像の際は、被写体の種類や観察の目的に応じて照明光の種類(可視光または赤外光)を切り換えることが好ましい。ユーザはモニタ400に表示される画像を見ながら挿入部104を進退及び/または屈曲操作して先端硬質部116を観察対象に向け、計測したい被写体を撮像できるようにする。
【0058】
次に、通常観察モードから計測モードに移行するか否かを判断する(ステップS14)。この判断は操作部208を介したユーザ操作の有無に基づいて行ってもよいし、内視鏡プロセッサ200からの切替指令の有無に基づいて行ってもよい。また、内視鏡プロセッサ200が一定のフレーム間隔(1フレーム毎、2フレーム毎等)で通常観察モードと計測モードとを交互に設定してもよい。ステップS14の判断が否定されるとステップS12へ戻って通常観察モードでの撮像を継続し、判断が肯定されるとステップS16へ進んで計測モードに切り替える。
【0059】
計測モードは、レーザヘッド506からレーザ光(計測補助光)を照射して被写体にスポットを形成し、スポットが形成された被写体の画像に基づいて被写体の大きさ(長さ)を計測するためのマーカを生成及び表示するモードである。第1の実施形態では計測補助光として赤色レーザ光を用いるが、内視鏡画像では消化管に赤みがかったものが多いので、計測条件によってはスポットを認識しにくくなる場合がある。そこで計測モードでは、スポットの画像取得及び位置計測の際に照明光を消灯するか、スポットの認識に影響が出ない程度に照度を下げ(ステップS18)、レーザヘッド506から計測補助光を照射する(ステップS20:補助光出射工程)。このような制御は、内視鏡プロセッサ200及び光源制御部350により行うことができる。
【0060】
ステップS22では、計測補助光によりスポットが形成された被写体の画像を撮像する(撮像工程)。観察距離が計測範囲内である場合、撮像光学系130の撮影画角内にスポットが形成される。以下に詳細を説明するように、観察距離に応じて画像内の(撮像素子上の)スポットの位置が異なり、表示すべきマーカの大きさ(ピクセル数)がスポットの位置に応じて異なる。
【0061】
<観察距離に応じたスポット位置の変化>
第1の実施形態では、計測補助光の光軸L1を撮像光学系の光軸L2を含む平面に射影した場合に、光軸L1が光軸L2に対し0度でない傾き角を有し、撮像光学系の画角を横切る。したがって、画像(撮像素子)におけるスポットの位置は被写体までの距離によって異なる。例えば、
図12(光軸L1及び光軸L2を含む平面内において、先端硬質部116を側面方向から見た状態を示す図)に示すように、観察距離の範囲R1において観察可能であるとすると、範囲R1の近端P1、中央付近の点P2、及び遠端P3では、各点での撮像範囲(矢印Q1,Q2,Q3で示す)におけるスポットの位置(各矢印と光軸L1が交わる点)が異なることが分かる。なお、
図12において実線の内側が撮像光学系130の撮像画角であり、一点鎖線の内側が計測画角である。撮像光学系130の撮像画角のうち収差の少ない中央部分で計測を行うようにしている。
【0062】
図13は
図7と同様に先端硬質部116を正面から見た状態を示す図であり、計測補助光の光軸L1、撮像光学系130の光軸L2、及び撮像素子134の撮像範囲R2の関係を仮想的に示した図である。
図13は光軸L1,L2が同一平面上に存在し、その平面上で交差する場合を示している。
図13の例では、観察距離に応じたスポット位置P4,P5,P6(観察距離がそれぞれ近端付近、中央付近、遠端付近の場合に対応)を示している。なお、レーザヘッド506が鉗子口126に設けられている場合(
図8参照)は、
図14に示すように撮像範囲R3においてスポット位置P7,P8,P9(観察距離がそれぞれ近端付近、中央付近、遠端付近の場合に対応)のようになる。
【0063】
図13,14に示すように、観察距離が近端付近の場合のスポット位置と遠端付近の場合のスポット位置とは、撮像光学系130の光軸L2に対し反対側に位置することが分かる。
【0064】
一方、上述した特許文献2のような従来の技術では計測補助光の光軸が撮像光学系の光軸と平行なので、観察距離の変化によるスポット位置の移動が小さい。具体的には、観察距離が短いときはスポットが撮像画像の中心(撮像素子の中心)から離れた位置に存在し、観察距離が長くなるにつれて撮像画像の中心(撮像素子の中心)に近づいていくが、観察距離の近端と遠端とでスポット位置が撮像光学系の光軸の反対側に位置することはない。このような従来の技術に対し、第1の実施形態では上述のように観察距離の変化に対するスポット位置の移動の感度が高く、被写体の大きさを高精度に計測することができる。
【0065】
このように、撮像画像内(撮像素子134上)のスポット位置は撮像光学系130の光軸L2と計測補助光の光軸L1との関係、及び観察距離に応じて異なるが、観察距離が近ければ同一の実寸サイズ(例えば5mm)を示すピクセル数が多くなり、観察距離が遠ければピクセル数が少なくなる。したがって、詳細を後述するように、スポットの位置と被写体の実寸サイズに対応するマーカの大きさ(ピクセル数)との関係を示す情報をあらかじめ記憶しておき、スポット位置に応じてこの情報を取得することで、マーカの大きさを算出することができる。なお、算出の際に観察距離そのものを測定する必要はない。
【0066】
図11のフローチャートに戻り、撮像素子134の撮像面におけるスポットの位置計測(ステップS24:計測工程)について説明する。ステップS24におけるスポットの位置計測は、赤(R)色のフィルタ色のカラーフィルタが配設された画素の画素信号により生成される画像により行う。ここで、撮像素子134の各画素に配設されている各色(赤,緑,青)のカラーフィルタにおける波長と感度との関係は
図15の通りであり、また上述のように、レーザヘッド506から出射されるレーザ光は波長650nmの赤色レーザ光である。即ち、スポット位置の測定は(赤,緑,青)のカラーフィルタのうちレーザ光の波長に対する感度が最も高い赤色のカラーフィルタが配設された画素(R画素)の画像信号により生成される画像に基づいて行われる。この際、画素信号のビットマップデータまたはRAW(Raw image format)データのR画素の信号強度に閾値を設けて二値化し、白部分(信号強度が閾値より高い画素)の重心を算出することで、スポットの位置を高速に認識することができる。なお、実画像(全ての色の画素信号により生成される画像)によりスポットを認識する場合は、緑色及び青色のカラーフィルタが配設された画素(G画素、B画素)の画素信号に閾値を設け、ビットマップデータがあるG画素及びB画素の画素信号の値が閾値以下の画素のみを抽出することが好ましい。
【0067】
なお上述した手法はスポット位置計測の一例であり、画像認識及びスポット認識についての他の公知の手法を採用してもよい。
【0068】
なお、計測モードでは上述のようにスポットの画像取得(ステップS22)及び位置計測(ステップS24)に際して照明光を消灯するかスポットの認識に影響が出ない程度に照度を下げて(ステップS18)、レーザヘッド506から計測補助光を照射する(ステップS20)。これによりスポットが鮮明な画像を取得することができ、スポットの位置を正確に計測して適切な大きさのマーカを生成及び表示することができる。なお照明光は必ずしも減光または消灯する必要はなく、スポットの認識に影響がない場合は照度はそのままでよい。
【0069】
ステップS26では、被写体の実寸サイズを示すマーカを生成する(マーカ生成工程)。上述のように、マーカの大きさは画像内の(即ち、撮像素子の撮像面上の)スポットの位置に応じて異なるので、スポットの位置と被写体の実寸サイズに対応するマーカの大きさ(ピクセル数)との関係をあらかじめ測定してその関係を示す情報をメモリ212に記憶しておき、内視鏡プロセッサ200がステップS24で計測したスポット位置に応じてメモリ212から情報を取得し、取得した情報に基づいてマーカの大きさを求める。スポット位置とマーカの大きさとの関係を求める手順については、詳細を後述する。
【0070】
ステップS28では、観察画像及びマーカをモニタ400に表示する(表示制御工程)。表示条件(マーカの種類、数、実寸サイズ、色等)は、操作部208を介したユーザの操作により設定することができる。
図16は、観察距離が近端に近い状態で、実寸サイズ5mm(観察画像の水平方向及び垂直方向)を示す十字型のマーカM1を被写体(腫瘍tm1)上に形成されたスポットsp1の中心に合わせて表示した様子を示す図である。同様に
図17は、観察距離が観察距離範囲の中央付近の状態でマーカM2をスポットsp2(腫瘍tm2上に形成)の中心に合わせて表示した様子を示す図であり、
図18は観察距離が遠端に近い状態でマーカM3をスポットsp3(腫瘍tm3上に形成)の中心に合わせて表示した様子を示す図である。上述のように計測補助光の光軸L1は撮像光学系130の光軸L2に対し0度でない傾き角を有するため、観察距離によって撮像素子134の撮像面におけるスポットの位置が異なり、このためマーカの表示位置も異なっている。
図16〜18に示すように、観察距離が長くなるにつれて同一の実寸サイズ5mmに対するマーカの大きさが小さくなる(マーカのピクセル数が少なくなる)。
【0071】
上述した
図16〜18では撮像光学系130の歪曲収差の影響を考慮していないが、内視鏡に用いる光学系は一般に広角で歪曲収差が大きく、撮影画像における被写体の形状にも影響がある。したがってマーカについても歪曲収差の影響を考慮(補正)した形態で表示することが好ましい。この場合、歪曲収差は光学系の中心部で少なく周辺部分で大きいため、マーカの表示位置(スポット位置)に応じて補正の有無を決めてもよい。
図19及び
図20は歪曲収差の大きい周辺部においてマーカM1,M3を変形させてマーカM1A,M3Aとして表示した例である。このようにマーカを表示することで、被写体の大きさを正確に計測できる。なお歪曲収差のデータは撮像光学系130の設計値に基づいて設定してもよいし、別途測定して取得してもよい。
【0072】
なお
図16〜18ではスポットの中心とマーカの中心を一致させて表示しているが、計測精度上問題にならない場合はスポットから離れた位置にマーカを表示してもよい。ただしこの場合もスポットの近傍にマーカを表示することが好ましい。
【0073】
なお、マーカを変形して表示するのではなく、撮像画像の歪曲収差を補正し変形させない状態のマーカを補正後の画像に表示してもよい。
【0074】
なお、
図16〜20では被写体の実寸サイズ5mmに対応するマーカを表示しているが、被写体の実寸サイズは観察対象や観察目的に応じて任意の値(例えば、2mm、3mm、10mm等)を設定してよい。また、
図16〜20では十字型のマーカを表示しているが、円形その他の形状のマーカを表示してもよい。マーカの数は一つでも複数でもよいし、実寸サイズに応じてマーカの色を変化させてもよい。このような表示の態様を、操作部208を介した操作により選択できるようにしてもよい。
【0075】
このようなマーカを被写体と対比することにより、ユーザは観察距離を測定することなく、被写体の大きさ(
図16〜20の例では水平方向、垂直方向とも約5mm)を容易に計測することができる。
【0076】
ステップS30では計測モードを終了するか否かを判断する。この判断は操作部208を介したユーザ操作に基づいて行ってもよいし、内視鏡プロセッサ200からの切替指令の有無に基づいて行ってもよい。また、計測モードへの移行の際と同様に、一定フレーム数が経過したら自動的に計測モードを終了して通常観察モードに復帰してもよい。ステップS30の判断が否定されるとステップS20へ戻り、ステップS20からステップS28の処理を繰り返す。ステップS30の判断が肯定されるとステップS32に進んで計測補助光を消灯し、続いてステップS34で照明光の照度を通常照度に戻して通常観察モードに復帰する(ステップS10へ戻る)。なお、通常観察モードでの観察に支障がなければ、計測補助光を消灯しなくてもよい。
【0077】
上述の方法では計測モードで得られる画像が暗く診断が困難になる場合、
図34のフローチャートに示す手順により計測を行ってもよい。
図34のフローチャートでは、計測補助光点灯(ステップS40)後、1フレームは計測のために照明を暗くして(ステップS42)撮像し(ステップS44)、撮像画像に基づいてスポット位置の計測(ステップS46)及びマーカ生成(ステップS48)を行う。続く1フレームは通常の照明光量に設定して(ステップS50)撮像する(ステップS52)。計測補助光を用いた診断及び観察においては、このように暗い画像(ステップS44で撮像した画像)からマーカ情報を生成し(ステップS48)、通常の照明光量の画像(ステップS52で撮像した画像)に重畳表示する(ステップS54)ことにより、観測画像の明るさを通常照明の場合と同じにすることができる。なお
図34のフローチャートにおいて、
図11のフローチャートと同じ部分には同一のステップ番号を付し、説明を省略する。
【0078】
以上説明したように、第1の実施形態に係る内視鏡システム10(計測支援装置、内視鏡システム、内視鏡システムのプロセッサ)及びこれを用いた計測支援方法によれば、被写体の大きさを容易かつ高精度に計測することができる。
【0079】
<スポット位置とマーカの大きさとの関係の測定>
第1の実施形態では、撮像素子134の撮像面におけるスポットの位置と被写体の実寸サイズに対応するマーカの大きさ(ピクセル数)との関係をあらかじめ測定してスポット位置に関連づけてメモリ212に記憶しておき、計測したスポット位置に応じてこの関係を参照してマーカの大きさを算出する。以下、スポット位置とマーカの大きさとの関係の測定手順の例を説明する。なお、ここではマーカは十字型とし、水平方向及び垂直方向の実寸サイズを5mmとして説明するが、本発明におけるマーカはこのような態様に限定されるものではない。
【0080】
スポット位置とマーカの大きさとの関係は、実寸サイズのパターンが規則的に形成されたチャートを撮像することで得ることができる。例えば、計測補助光を出射させることでスポットを形成し、観察距離を変化させてスポットの位置を変えながら実寸サイズと同じ罫(5mm罫)もしくはそれより細かい罫(例えば1mm罫)の方眼紙状のチャートを撮像し、スポット位置(撮像素子の撮像面におけるピクセル座標)と実寸サイズに対応するピクセル数(実寸サイズである5mmが何ピクセルで表されるか)との関係を取得する。
【0081】
図21は、5mm罫のチャートを撮影した状態を示す図である。撮影距離は近端に近い状態であり、罫の間隔が広く写っている。
図21において(x1,y1)は、撮像素子134の撮像面におけるスポットsp4のX,Y方向ピクセル位置(
図21の左上が座標系の原点)である。スポットsp4の位置(x1,y1)での、実寸サイズ5mmに対応するX方向ピクセル数をLx1とし、Y方向ピクセル数をLy1とする。このような測定を、観察距離を変えながら繰り返す。
図22は
図21と同じ5mm罫のチャートを撮影した状態を示す図であるが、
図21の状態よりも撮影距離が遠端に近い状態であり、罫の間隔が狭く写っている。
図22の状態において、撮像素子134の撮像面におけるスポットsp5の位置(x2,y2)での実寸サイズ5mmに対応するX方向ピクセル数をLx2とし、Y方向ピクセル数をLy2とする。そして観察距離を変えながら
図21,22のような測定を繰り返し、結果をプロットする。なお、
図21,22では撮像光学系130の歪曲収差を考慮せず表示している。
【0082】
図23はスポット位置のX座標とLx(マーカのX方向ピクセル数)との関係を示す図であり、
図24はスポット位置のY座標とLxとの関係を示す図である。Lxは
図23の関係よりX方向位置の関数としてLx=g1(x)と表され、また
図24の関係よりY方向位置の関数としてLx=g2(y)と表される。g1,g2は上述したプロット結果から例えば最小二乗法により求めることができる。このように、Lxを表す2つの関数g1,g2が得られるが、スポットのX座標とY座標とは一対一に対応しておりg1,g2のいずれを用いても基本的に同じ結果(同じスポット位置に対しては同じピクセル数)が得られるため、マーカの大きさを算出する際はどちらの関数を用いてもよい。g1,g2のうち位置変化に対するピクセル数変化の感度が高い方の関数を選んでもよい。また、g1,g2の値が大きく異なる場合は「スポットの認識ができなかった」と判断してもよい。
【0083】
第1の実施形態では、このようにして得られた関数g1,g2を示す情報を、関数形式、ルックアップテーブル形式等によりあらかじめメモリ212に記憶しておく。
【0084】
また、
図25はスポット位置のX座標とLy(Y方向ピクセル数)との関係を示す図であり、
図26はスポット位置のY座標とLyとの関係を示す図である。
図25の関係より、LyはX方向位置の関数としてLy=h1(x)と表され、
図26の関係よりLyはY方向位置の関数としてLy=h2(y)と表される。Lyについても、Lxと同様に関数h1,h2のいずれを用いてもよい。
【0085】
<実施例及び比較例>
次に、計測補助光の好ましい傾き角の値について、実施例及び比較例を用いて説明する。
【0086】
<パラメータの定義>
実施例及び比較例で用いるパラメータの定義を、
図27及び
図28を参照しつつ説明する。レーザヘッド506と撮像光学系130の位置関係を、撮像光学系130の光軸L2を含んだ2次元平面に射影して考える。計測(測長)範囲を撮像光学系130の先端からの距離で定義して近端をzn(mm)、遠端をzf(mm)とする。レーザヘッド506と撮像光学系130の中心間の距離をdcl(mm)とする。撮像光学系130の観測できる画角をθ(度;deg)とする。遠端でのスポットの位置は、撮像光学系130の光軸L2からの距離がz1(mm)であるものとする。またその時の像高をz1aとする。近端でのスポットの位置は、撮像光学系130の光軸L2からの距離がz2(mm)であるものとする。またその時の像高をz2aとする。レーザ光(計測補助光)が撮像光学系130の光軸L2を横切る位置は撮像光学系130の先端からの距離がa(mm)であり、横切った位置から遠端までの距離はb(mm)である。なお、
図27においてはレーザヘッド506と撮像光学系130の位置関係を上述の2次元平面に射影しているので、3次元空間では必ずしも両光軸が交わる必要はない(両光軸は
図7,8のような関係でもよいし、
図9のような関係でもよい)。撮像光学系130の光軸L2と計測補助光の光軸L1とのなす角(計測補助光の傾き角)をAngle(度)とする。プリズム512の屈折率をnとしたときに、プリズム512の頂角(
図28参照)をα(度)とする(頂角αは
図5の頂角AL1に対応する)。また、
図28に示すように、計測補助光の出射方向がプリズム512の鏡面512Aに対する垂線となす角をβ(度)とする。
図28において、(a)部分、(b)部分、(c)部分はそれぞれプリズム512の側面図、上面図、背面図である。なお、プリズム512の素材(
図29の“Material”)としては一般名称が「BK7」である光学ガラスとTiO
2(酸化チタン)とのうちいずれか(実施例及び比較例により異なる;
図29参照)を用いたが、これらに限らずレンズに用いるガラス材料等を用いても良い。
【0087】
内視鏡の画像は一般に歪曲収差が大きく画面周辺部(撮影画角周辺部)での測長は望ましくないため、極力画面中心部(撮影画角中心部)での計測(測長)を行いたい。したがって、計測補助光の光軸L1が撮像光学系130の光軸L2を横切る位置は観測距離の近端と遠端の間であることが望ましい。このような観点で、実施例1〜10に示す条件で検討を行った。また、上述の特許文献2のように計測補助光の光軸L1と撮像光学系130の光軸L2が平行である場合を比較例とした。結果を
図29の表に示す。評価の基準は、計測補助光の光軸L1が撮像光学系130の光軸L2を横切る位置は観測距離近端と遠端の間である場合を「非常に良い」、近端または遠端である場合を「良い」、近端から遠端にないものを「不可」とした。
図29の表から分かるように、Angle(傾き角)としては1.1度以上50.2度以下の範囲が好ましく(評価が「良い」または「非常に良い」)、10.5度以上50.2度以下の範囲がさらに好ましい(評価が「非常に良い」)。
【0088】
<その他の実施形態>
上述した第1の実施形態では、レーザヘッド506がGRINレンズ510及びプリズム512を備え、計測補助光が波長650nmの赤色レーザ光である態様について説明したが、本発明においてレーザヘッドの構成及び計測補助光の波長、及びこれらに基づく計測処理はこのような態様に限定されるものではない。レーザヘッドの構成及び計測補助光の波長についての他の態様について、以下に説明する。なお以下の説明において、第1の実施形態と同様の構成には同一の参照符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0089】
<第2の実施形態>
第2の実施形態では、レーザヘッドの構成は第1の実施形態に係るレーザヘッド506と同じであるが、計測補助光の波長が波長445nmの青色レーザ(半導体レーザ)である点が第1の実施形態と異なる。なお半導体レーザの代わりにLEDを用いてもよく、また半導体レーザを発振閾値以下のLED発光状態で用いてもよい。
【0090】
このような構成の第2の実施形態において、スポット位置の計測やマーカの生成は基本的に第1の実施形態と同様であるが、上述のように第2の実施形態では計測補助光に青色レーザを用いるので、スポット位置の計測の際はビットマップデータまたはRAWデータのB信号(青色のカラーフィルタが配設された画素の画素信号)の強度に閾値を設けて画像を2値化し、白部分(信号強度が閾値より高い画素領域)の重心を算出する。実際の観察画像でスポット位置を計測する場合は、G信号,R信号(それぞれ、緑色、赤色のカラーフィルタが配設された画素の画素信号)に閾値を設け、ビットマップデータのあるG信号及びR信号の値が閾値以下の座標を抽出することが好ましい。
【0091】
内視鏡画像では消化管に赤みがかったものが多いので赤色光によるスポットの認識が困難な場合があり、第2の実施形態のように青色光を用いた場合でも認識が不十分な場合がある。この場合、スポットの位置を計測するフレーム(計測モード)では白色の照明光(可視光源310A)を消灯するか、スポットの計測に影響が出ない程度に強度を弱くすることが好ましい。一方でスポットの認識を行うフレーム以外(通常観察モード)では照明光を正規な出力に設定して画像を構築する。このような照明光の制御によって、スポットの認識成功率を大幅に向上させることができる。
【0092】
<第3の実施形態>
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。第3の実施形態では、レーザヘッドの構成は上述した第1,第2の実施形態と同様であるが、第3の実施形態では計測補助光の波長が波長505nmの緑色レーザ(半導体レーザ)である点が第1,第2の実施形態と異なる。なお半導体レーザの代わりにLED(例えば、波長530nm)または固体レーザ(例えば、波長532nm)を用いてもよく、また半導体レーザを発振閾値以下のLED発光状態で用いてもよい。
【0093】
このような構成の第3の実施形態において、スポット位置の計測やマーカの生成は基本的に第1,第2の実施形態と同様であるが、上述のように第3の実施形態では計測補助光に緑色レーザを用いるので、スポット位置の計測の際はビットマップデータまたはRAWデータのG信号(緑色のカラーフィルタが配設された画素の画素信号)の強度に閾値を設けて画像を2値化し、白部分(信号強度が閾値より高い画素領域)の重心を算出する。実際の観察画像でスポット位置を計測する場合は、B信号,R信号(それぞれ、青色、赤色のカラーフィルタが配設された画素の画素信号)に閾値を設け、ビットマップデータのあるB信号及びR信号の値が閾値以下の座標を抽出することが好ましい。
【0094】
内視鏡画像では消化管に赤みがかったものが多いので赤色光によるスポットの認識が困難な場合があり、第3の実施形態のように緑色光を用いた場合でも認識が不十分な場合がある。この場合、スポットの位置を計測するフレーム(計測モード)では白色の照明光(可視光源310A)を消灯するか、スポットの計測に影響が出ない程度に強度を弱くすることが好ましい。一方でスポットの認識を行うフレーム以外(通常観察モード)では照明光を正規な出力に設定して画像を構築する。このような照明光の制御によって、スポットの認識成功率を大幅に向上させることができる。
【0095】
<第4の実施形態>
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。第4の実施形態では、上述した第1〜第3の実施形態とはレーザモジュール(レーザヘッド)の構成が異なる。第4の実施形態に係るレーザモジュール520の構成は
図30の通りであり、レーザヘッド516(ヘッド)において、光ファイバー504の先端側にGRINレンズ510に変えて光ファイバー505(コリメータ、グレーデッドインデックス型光ファイバー)が設けられている。この光ファイバー505は屈折率が光軸で最も高く半径方向外側に向かうにつれて減少するグレーデッドインデックス(Graded Index)型光ファイバーであり、GRINレンズ510と同様に、光ファイバー504により導光されて入射したレーザ光を平行な光束にして出射するコリメータとして機能する。光ファイバー505から出射される光束の広がりは光ファイバー505の長さを調節することで調節でき、平行な光束のレーザ光を出射させるには(λ/4)ピッチ(λはレーザ光の波長)程度にすればよい。
【0096】
第4の実施形態では、計測補助光は波長が波長650nmの赤色レーザ(半導体レーザ)である。なお半導体レーザの代わりにLEDまたは固体レーザを用いてもよく、また半導体レーザを発振閾値以下のLED発光状態で用いてもよい。このような構成の第3の実施形態において、スポット位置の計測やマーカの生成は、計測補助光の波長が共通である第1の実施形態と同様に行うことができる。
【0097】
<第5の実施形態>
次に、本発明の第5の実施形態について説明する。第5の実施形態では、上述した第1〜第4の実施形態とはレーザモジュール(レーザヘッド)の構成が異なる。第5の実施形態に係るレーザモジュール530の構成は
図31の通りであり、レーザヘッド526(ヘッド)の先端部分にプリズムは設けられておらずGRINレンズ510A(コリメータ)が設けられている点が異なっている。GRINレンズ510Aは第1〜第3の実施形態に係るGRINレンズ510と同様に屈折率が光軸で最も高く半径方向外側に向かうにつれて減少するグレーデッドインデックス型レンズであるが、先端側にプリズムが設けられていない分GRINレンズ510よりも光軸方向の長さが長く、また先端が斜めにカットされていて、この斜めにカットされた先端部分がプリズムとして機能する。
図31の角度AL2が
図5,30におけるプリズム512の頂角AL1に対応する。
【0098】
第5の実施形態では、計測補助光は波長が波長650nmの赤色レーザ(半導体レーザ)である。なお半導体レーザの代わりにLEDまたは固体レーザを用いてもよく、また半導体レーザを発振閾値以下のLED発光状態で用いてもよい。このような構成の第5の実施形態において、スポット位置の計測やマーカの生成は、計測補助光の波長が共通である第1,第4の実施形態と同様に行うことができる。
【0099】
上述した第2〜第5の実施形態においても、第1の実施形態と同様に被写体の大きさを容易かつ高精度に計測することができる。
【0100】
<変形例1>
次に、上述した実施形態の変形例について説明する。上述した第1〜第5の実施形態では、プリズム512またはGRINレンズ510Aにより計測補助光の出射角度を変更しているが、本発明において計測補助光の出射角度を変更する手段はこれらの部材に限定されるものではない。例えば
図32の変形例1に示すように、レーザヘッド540から出射されたレーザビームB1(計測補助光)を、レーザヘッド540の前方(先端硬質部116の先端側)に設けられたミラー542で反射することで計測補助光の出射角度を変更してもよい。なお、
図32において参照符号L2,θ2,L3はそれぞれ撮像光学系130の光軸、撮像光学系130の撮影画角、レーザビームB1の光軸を示す。
【0101】
上述した構成により、
図32に示す変形例1においても、上述した第1〜第5の実施形態と同様にレーザビームB1の光軸L3を撮像光学系130の光軸L2を含む平面(
図32の紙面を含む平面)に射影した場合に、光軸L3が光軸L2に対し0度でない傾き角δ1を有し、撮像光学系130の画角を横切って光軸L2と交差している。これにより変形例1においても、第1〜第5の実施形態と同様に被写体の大きさを容易かつ高精度に計測することができる。
【0102】
<変形例2>
上述した第1の実施形態では固体のプリズム512を用いているため計測補助光の傾き角(出射方向)は一定であるが、液体プリズムを用いて計測補助光の傾き角を変更可能に構成してもよい。例えば、WO2012/043211号公報には第1,第2液体の界面位置を制御して光軸に対するプリズム界面の傾きを制御可能な液体プリズムが記載されており、このような液体プリズムを用いることで計測条件に応じて計測補助光の傾き角を変更することができる。なお、変形例2における撮像光学系の光軸と計測補助光の光軸との関係は第1〜第5の実施形態と同様の関係にすることができ、これにより第1〜第5の実施形態及び変形例1と同様に被写体の大きさを容易かつ高精度に計測することができる。
【0103】
<変形例3>
次に、変形例3について説明する。上述した第1〜第5の実施形態及び変形例1,2ではプリズム、GRINレンズ、ミラー、及び液体プリズム等の光学部材により計測補助光の出射方向を変更し計測補助光の光軸が撮像光学系の光軸に対し0度でない傾き角を有するようにしているが、このような状態を実現する手段は光学部材の配置に限定されるものではない。先端硬質部116の径が問題にならない場合は、
図33に示すようにレーザヘッド540を撮像光学系130に対し斜めに配置することができる。
【0104】
これにより、
図33に示す変形例3においても、上述した第1〜第5の実施形態及び変形例1,2と同様に、レーザビームB2の光軸L4を撮像光学系130の光軸L2を含む平面(
図33の紙面を含む平面)に射影した場合に、光軸L4が光軸L2に対し0度でない傾き角δ2を有し、撮像光学系130の画角を横切って光軸L2と交差している。これにより変形例3においても、第1〜第5の実施形態及び変形例1,2と同様に被写体の大きさを容易かつ高精度に計測することができる。
【0105】
<照明用光源の変形例>
上述した実施形態及び変形例では、照明及び観察用の光源装置300(照明光源)が可視光源310A(照明光源)及び赤外光源310B(照明光源)を備える場合について説明しているが、本発明の実施において光源の構成はこのような態様に限られない。例えば(白色)、(青色、緑色、赤色)、または(紫色、青色、緑色、赤色)等波長の異なる複数のLEDの組合せにより光源を構成してもよい。この場合各色のLEDを単独で発光させてもよいし、複数色のLEDを同時に発光させてもよい。また全ての色のLEDを同時に発光させることで白色光を照射してもよい。
【0106】
また、白色光(広帯域光)用レーザ光源及び狭帯域光用レーザ光源により光源装置を構成してもよい。この場合狭帯域光としては青色、紫色等1または複数の波長から選択することができる。
【0107】
また、光源をキセノン光源とし、通常光(白色光)用の光源及び狭帯域光用の光源により光源装置を構成してもよい。この場合、狭帯域光としては青色、緑等1または複数の波長から選択することができ、例えば光源の前方に配置され青色及び緑色のカラーフィルタが設けられた円板状のフィルタ(ロータリカラーフィルタ)を回転させることで照射する狭帯域光の波長を切り替えてもよい。なお狭帯域光は波長の異なる2波長以上の赤外光でもよい。
【0108】
光源装置の光源種類、波長、フィルタの有無等は被写体の種類や観察の目的等に応じて構成することが好ましく、また観察の際は被写体の種類や観察の目的等に応じて照明光の波長を組合せ及び/または切り替えることが好ましい。例えば、上述した各色のLED光の間で、白色レーザ光と第1,第2狭帯域レーザ光(青色、紫色)との間で、青色狭帯域光と緑色狭帯域光との間で、あるいは第1赤外光と第2赤外光との間で照明光の波長を適宜組合せ及び/または切り替えることが好ましい。
【0109】
<撮像素子及び撮像方式の変形例>
上述した実施形態及び変形例では、撮像素子134は各画素に対しカラーフィルタが配設されたカラー撮像素子である場合について説明したが、本発明において撮像素子の構成及び撮像方式はこのような態様に限定されるものではなく、モノクロ撮像素子(CCD型、CMOS型等)でもよい。
【0110】
モノクロ撮像素子を用いる場合、照明光の波長を順次切り替えて面順次(色順次)で撮像することができる。例えば出射する照明光の波長を(紫色、青色、緑色、赤色)の間で順次切り替えてもよいし、広帯域光(白色光)を照射してロータリカラーフィルタ(赤色、緑色、青色等)により出射する照明光の波長を切り替えてもよい。また、1または複数の狭帯域光(緑色、青色等)を照射してロータリカラーフィルタ(緑色、青色等)により出射する照明光の波長を切り替えてもよい。狭帯域光は波長の異なる2波長以上の赤外光でもよい。
【0111】
<その他>
本発明の計測支援装置、内視鏡システム、内視鏡システムのプロセッサ、及び計測支援方法は、生体である被検体を計測する以外に、配管等の生体でない被検体を計測する場合にも適用できる。また本発明の計測支援装置及び計測支援方法は、内視鏡に限らず、工業用部品や製品の寸法や形状を計測する場合にも適用できる。
【0112】
以上で本発明の例に関して説明してきたが、本発明は上述した実施形態及び変形例に限定されず、本発明の精神を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。