(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
芳香族エポキシ樹脂は、ビスフェノールA、Fおよび/またはSに基づくジグリシジルエーテルならびにエポキシノボラックから選択されることを特徴とする、請求項1に記載の光硬化性エポキシ樹脂組成物。
コア-シェルゴムは、ポリブタジエンから形成されるコアおよびポリブタジエン、ポリスチレンまたはポリブタジエン-ポリスチレンコポリマーから形成されるシェルを有するコア-シェルゴムから選択され、コア-シェルゴムは、場合によりマトリックス中に分散してよいことを特徴とする、請求項1または2に記載の光硬化性エポキシ樹脂組成物。
ヒドロキシル基を含む少なくとも1つの軟化剤は、20℃未満のガラス転移温度を有するポリマーまたはオリゴマーであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の光硬化性エポキシ樹脂組成物。
ヒドロキシル基を含む少なくとも1つの軟化剤は、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリカプロラクトンジオールおよびポリカプロラクトントリオールからなる群から選択されることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の光硬化性エポキシ樹脂組成物。
【発明を実施するための形態】
【0005】
第1の態様において、それゆえ本発明は
(a)30〜90重量%、好ましくは50〜85重量%の、少なくとも1つの芳香族エポキシ樹脂;
(b)2〜30重量%、好ましくは5〜15重量%の、強化剤としての少なくとも1つのコア-シェルゴム;
(c)1〜20重量%、好ましくは5〜10重量%の、エポキシ基、カルボキシレート基、アミノ基および/またはヒドロキシル基の中から選択される反応性官能基を含む少なくとも1つの軟化剤;および
(d)1〜4重量%、好ましくは1.5〜2.5重量%の少なくとも1つのカチオン性光開始剤、好ましくはスルホニウム塩および/またはヨードニウム塩を含むカチオン性光開始剤
を含む光硬化性エポキシ樹脂組成物に関する。
【0006】
更なる態様において、本発明は、シーリング材料としての、特に電気化学的腐食に対する保護のための金属含有電線または電気接点をシーリングするための、この種のエポキシ樹脂組成物の使用に関する。
【0007】
また更なる態様において、本発明はまた、電気化学的腐食に対する保護のための金属含有電線または電気接点のシーリング方法であって:
(i)ここに記載された光硬化性エポキシ樹脂組成物をフィルム形状において金属含有電線または電気接点に施す工程;および
(ii)露光によりフィルムを硬化する工程
を含む方法にも関する。
【0008】
ここで使用されるように、用語「少なくとも1つ」は1以上、例えば2、3、4、5、6、7、8、9またはそれ以上を意味する。前記組成物の成分に関して、記載は成分の種類に関し、すなわち「少なくとも1つの芳香族エポキシ樹脂」は例えば、組成物が1種の芳香族エポキシ樹脂または複数の異なる芳香族エポキシ樹脂を含み得ることを意味する。
【0009】
各場合における全組成物に関して、全ての百分率は、他に言及されない限り、重量%である。「少なくとも1つの」種類の成分については、百分率は組成物における特定の種類の成分の総量に関し、すなわち「30〜90重量%の少なくとも1つの芳香族エポキシ樹脂」は例えば、組成物が全体の30〜90重量%の芳香族エポキシ樹脂を含むことを意味する。
【0010】
以下で樹脂組成物に対してここに記載される全ての詳細、事項および実施態様は、所望の使用および方法に適用可能でもあり、逆も同様である。
【0012】
ここで使用可能な芳香族エポキシ樹脂は、好ましくはポリグリシジルエポキシ化合物またはエポキシノボラックである。適当なポリグリシジルエポキシとしては、限定されないが、例えばポリグリシジルエーテル、ポリ(β-メチルグリシジル)エーテル、ポリグリシジルエステルおよびポリ(β-メチルグリシジル)エステルが挙げられる。かかるポリグリシジルエーテルおよびポリ(β-メチルグリシジル)エーテルの例は、レゾルシノールまたはハイドロキノン等の単環式フェノールに基づくもの、およびビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン(ビスフェノールF)、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、(4-ヒドロキシフェニル)スルホン(ビスフェノールF)等の多環式フェノールに基づくもの(上記のものは必要に応じて、例えばアルコキシ基またはハロゲン基で置換されてよい)、ならびにフェノールノボラックおよびクレゾールノボラックである。適当なポリグリシジルエステルおよびポリ(β-メチルグリシジル)エステルは、エピクロロヒドリン、1,3-ジクロロヒドリンまたはβ-メチルエピクロロヒドリンを芳香族ポリカルボン酸、例えばフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸およびピロメリット酸等と反応させることによって調製することができる。上記の芳香族エポキシ樹脂の混合物も適当である。エポキシ樹脂は好ましくは、分子当たりに平均で1より多くの、好ましくは少なくとも2つのエポキシ基を含む。
【0013】
少なくとも1つの芳香族エポキシ樹脂は、種々の実施態様において、ビスフェノールA、Fおよび/またはSに基づくジグリシジルエーテルおよびエポキシノボラックならびにその混合物から、特にビスフェノールAジグリシジルエーテルおよびビスフェノールFジグリシジルエーテルならびにその混合物から選択される。
【0014】
芳香族エポキシ樹脂は、好ましくは120〜1000g/eq、特に好ましくは120〜600g/eq、さらにより特に好ましくは150〜250g/eqのエポキシ当量を有する(DIN 16945に従って決定できる)。
【0015】
ここに記載される組成物において、芳香族エポキシ樹脂はベース樹脂を形成する。これは通常、エポキシ樹脂組成物全体の30〜90重量%、特に50〜85重量%を占める。芳香族エポキシ樹脂の割合は、組成物全体に関して各場合において、少なくとも30重量%、特に少なくとも40重量%、好ましくは少なくとも50重量%、特に好ましくは少なくとも60重量%であり、多くとも90重量%、特に多くとも85重量%、好ましくは多くとも80重量%である。芳香族エポキシ樹脂の好ましい割合は、柔軟性および靱性の観点から特に有利である。
【0017】
本発明により用いられる強化剤はコア-シェルゴム(CSR)である。本発明の種々の実施態様において、強化剤は樹脂マトリックス、特にエポキシ樹脂マトリックス中に分散して存在し得るコア-シェルゴムである。エポキシ樹脂マトリックスは好ましくは芳香族エポキシ樹脂を含み、ここで、マトリックスの芳香族エポキシ樹脂は、特に好ましい実施態様においては、芳香族エポキシベース樹脂に関して上述したものから選択される。特に、適当なマトリックス材料としては、エポキシノボラック、エポキシ基含有ビフェノール、特にビスフェノールA、FまたはSに基づくジグリシジルエーテルが挙げられる。種々の実施態様において、コア-シェルゴムはかかるマトリックス中に分散され、ここで、マトリックスは好ましくは、芳香族エポキシ樹脂、特にビスフェノールA、Fおよび/またはSに基づくジグリシジルエーテルならびにエポキシノボラックから選択される。コア-シェルゴムが芳香族エポキシ樹脂マトリックス中に存在する場合、芳香族エポキシ樹脂の量は、組成物における芳香族エポキシ樹脂全体の割合に考慮される。
【0018】
種々の実施態様において、コア-シェルゴムのシェルを形成する(ポリマー)組成物は、マトリックスおよび/またはベース樹脂として使用されるエポキシ樹脂に対する十分な親和性を有し、その結果、コア-シェルゴム粒子はエポキシ樹脂中に一次粒子として安定に分散して存在する。
【0019】
コア-シェルゴムのコアおよびシェルの両方は、好ましくは0℃未満、好ましくは-30℃以下のガラス
転移温度を有するポリマーからなる。ガラス
転移温度はDSCによって決定することができる(10℃/分の加熱速度でDIN EN ISO 11357に従う)。
【0020】
コア-シェルゴム粒子は、好ましくは0.03〜50μm、特に好ましくは1〜20μm、さらにより特に好ましくは5μm未満の寸法(size)を有する。コア-シェルゴム粒子は通常、ちょうど500nmまたは200nm未満の平均直径を有しさえし、すなわち約25〜22nmまたは50〜150nmである。
【0021】
CSRのコア材料は好ましくは、エラストマー特性を有するジエンホモポリマーまたはコポリマー、例えばブタジエンまたはイソプレンのホモポリマー、ブタジエンまたはイソプレンと、1以上のエチレン性不飽和モノマー、例えばビニル芳香族モノマー、(メタ)アクリロニトリルおよび/または(メタ)アクリレートとのコポリマーからなる。コア材料として好ましいポリマーは、ポリブタジエン、ポリブチルアクリレート、ポリジメチルシロキサン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリ(メタ)アクリル酸およびポリ(メタ)アクリル酸エステル、ならびにポリスチレン、ポリアクリロニトリルまたはポリスルフィドとのそのコ-またはター-ポリマーから、より特に好ましくはポリブタジエン、ポリジメチルシロキサンまたはポリブチルアクリレートから選択される。エラストマー性ポリシロキサン、例えばポリジメチルシロキサンまたは架橋ポリジメチルシロキサン等が、コア材料として適当である。
【0022】
コア材料として既に上述したジエンホモ-およびコ-ポリマーがシェル材料として好ましく用いられる。
【0023】
コア-シェルゴム粒子は複数の層、例えば2より多くの層からなってよい。この種のCSRは好ましくは中心コアを有し、これはエラストマー特性を有する第1のジエンホモポリマーまたはコポリマーからなり、これはエラストマー特性を同じく有する第2の(異なる)ジエンホモポリマーまたはコポリマーから形成される第2のコアによって囲まれる。
【0024】
エラストマー特性を有さないポリマーまたはコポリマー(好ましくは熱可塑性または熱硬化性/架橋性ポリマー)をシェル材料として用いる場合、この種のポリマーは、例えばポリスチレン、ポリ(メタ)アクリルアミド、ポリアクリロニトリル、ポリアクリレートモノ-、コ-またはター-ポリマー、ポリメタクリレートモノ-、コ-またはター-ポリマーまたはスチレン/アクリロニトリル/グリシジルメタクリレートターポリマーから、または1以上の不飽和酸および無水物のモノマー(例えばアクリル酸)の中からのポリマーまたはコポリマーから選択される。
【0025】
本発明の種々の実施態様において、用いられるCSRはコアおよび異なる化学組成物および/または特性を有する少なくとも2つの同心状シェルを有する。
【0026】
ポリブタジエンから形成されるコアおよびポリブタジエン、ポリスチレンまたはポリブタジエン-ポリスチレンコポリマーから形成されるシェルを有する粒子が好ましい。
【0027】
適当なCSRは、例えばKanekaから商業的に得ることができ、エポキシ樹脂中に分散した相分離粒子の形状で存在する。この粒子は、(メタ)アクリレート-ブタジエン-スチレンのコポリマーから形成されるコアを有し、ここで、ブタジエンはコポリマーの第1成分である。
【0028】
エポキシ樹脂中に分散したコア-シェルゴム粒子の更なる市販のマスターバッチは、例えばWacker製の製品Genioperl M23A(ビスフェノールAジグリシジルエーテルに基づく芳香族エポキシ樹脂中における30重量%のCSRの分散体;CSRは約100nmの平均直径を有し、エラストマー性の架橋シリコーンから形成されるコアを含み、この上にエポキシ官能性アクリレートコポリマーがグラフトされている)である。
【0029】
CSRの製造は既知である。CSRは好ましくは乳化重合、懸濁重合、またはマイクロ懸濁重合により、好ましくは乳化重合により得ることができる。ここで、シェルは好ましくはコア上にグラフトされる。CSRにおけるコア層:シェル層の(重量%)比率は、好ましくは50:50〜95:5、特に好ましくは60:40〜90:10である。
【0030】
コア-シェルゴムは好ましくは、コア-シェルゴムが組成物への導入の前に存在する形態、すなわち樹脂マトリックス、特にエポキシ樹脂マトリックス、好ましくは芳香族エポキシ樹脂マトリックス中に分散して用いられる。ここで、CSゴムの割合は、好ましくは約5〜40重量%、好ましくは8〜30重量%であり、ここで、残りは実質的にまたは専らマトリックスからなる。それゆえ、好ましい実施態様は、樹脂マトリックス、特にエポキシ樹脂マトリックス、好ましくは芳香族エポキシ樹脂マトリックス中におけるコア-シェルゴムが強化剤として用いられる場合である。コア-シェルゴムが樹脂マトリックス中にすでに存在する場合、より均質な組成物をより容易にもたらし、より均一な生成物特性、特に柔軟性および靱性に関してより均一な生成物特性をもたらす。
【0031】
異なるCSR(異なる粒子系、ガラス
転移温度、コアポリマー、シェルポリマーを有する)の混合物を用いてもよい。
【0032】
ベース樹脂としての芳香族エポキシ樹脂全体の、コア-シェルゴム粒子に対する比率は通常、好ましくは1:1以上40:1以下、好ましくは3:1〜20:1または5:1〜15:1である。マトリックス(エポキシ系プレポリマー):CSRの比率は、0.2:1以上5:1以下、好ましくは1:1〜3:1である。
【0033】
種々の実施態様において、記載されるエポキシ樹脂組成物はそれゆえ、各場合において組成物全体に関して、2〜30重量%、好ましくは5〜15重量%の、上記の少なくとも1つのコア-シェルゴムを含む。コア-シェルゴムの割合は、各場合において組成物全体に関して、少なくとも2重量%、特に少なくとも3重量%、好ましくは少なくとも5重量%であり、多くとも30重量%、特に多くとも20重量%、好ましくは多くとも15重量%、特に好ましくは多くとも10重量%である。好ましい割合は、柔軟性および靱性の観点から特に有利である。
【0034】
上記のCSRに加えて、本発明による組成物は他の強化剤、例えば補強助剤として以下に記載されるものを含んでよい。
【0036】
ここで用いられる軟化剤は、エポキシ基、カルボキシレート基、アミノ基および/またはヒドロキシル基の中から選択される反応性官能基を含み、硬化過程中に組成物の他の化合物と反応可能な化合物である。上述したように、軟化剤は、特に芳香族エポキシ樹脂と異なる更なる成分であり、そのため、特に、軟化剤は芳香族エポキシ樹脂でない。
【0037】
適当な軟化剤としては、例えば、限定されないが、20℃未満(好ましくは0℃未満または-30℃もしくは-50℃未満)のガラス
転移温度を有し、上記の反応性官能基を含み、硬化過程中に調製物の他の化合物と反応可能なポリマーおよびオリゴマーが挙げられる。
【0038】
特に、エポキシ基およびヒドロキシル基を含む化合物が軟化剤として好ましい。
【0039】
例えば、反応性希釈剤として用いることができ、特に柔軟な骨格を有するエポキシ化合物が適当であり、例えばモノグリシジルエーテル、すなわち一価フェノールまたはアルコールのグリシジルエーテル、またはポリグリシジルエーテルまたはエステル、例えば脂肪族ジオールまたはジカルボン酸のジグリシジルエーテルまたはエステル、または脂環式エポキシ樹脂、例えば3,4-エポキシシクロヘキシル-メタノールに基づく(ジ)エーテルまたは(ジ)エステルである。フェノールのモノグリシジルエーテルまたは一塩基または二塩基カルボン酸の(3,4-エポキシシクロヘキシル-1-イル)メチルエステルが好ましい。脂肪族または脂環式エポキシ化合物が特に好ましい。
【0040】
軟化剤として適当であるかかる化合物としては、限定されないが、カルダノールのモノグリシジルエーテルおよび3,4-エポキシシクロヘキシル-メタノールに基づくジエステル、例えばビス((3,4-エポキシシクロヘキシル)メチル)アジペートが挙げられる。
【0041】
本発明によれば、ヒドロキシル基を含む化合物、特に第1級ヒドロキシル基を含む化合物が同じく適当であり好ましい。これは好ましくは、少なくとも1、好ましくは少なくとも2の官能価を有し、硬化反応を抑制可能である置換基を含まない。ヒドロキシル基を含む化合物は脂肪族または芳香族化合物であってよい。例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオールおよびポリエステル/ポリエーテルポリオール、ヒドロキシル-およびヒドロキシル-/エポキシ-官能化ポリブタジエン、ポリカプロラクトンジオールまたはトリオール、およびエチレン/ブチレンポリオールである。ヒドロキシル基を含む軟化剤は好ましくは200〜5000、好ましくは300〜2500g/molの重量平均分子量(ポリスチレン標準に対してGPCにより決定できる)を有する。ヒドロキシル基を含む軟化剤は好ましくは分子当たり少なくとも2個、好ましくは2.2〜4個のOH基を有する。
【0042】
種々の実施態様において、少なくとも1つの軟化剤は、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(「ポリTHF」)およびポリカプロラクトンジオールまたはトリオール、好ましくはポリカプロラクトントリオールからなる群から選択される。
【0043】
ポリTHFは、好ましくは250〜2500の範囲の重量平均分子量を有し、好ましくはヒドロキシル-末端化であるが、エポキシ-末端化であってもよい。市販のカプロラクトン系オリゴ-またはポリエステルとしては、例えばカプロラクトンとの好ましいトリメチロールプロパントリエステルが挙げられる。
【0044】
種々の好ましい実施態様において、少なくとも1つの軟化剤は、そこに溶解可能であり、分離相を形成しないベース樹脂として用いられるエポキシ樹脂に対して十分な親和性を有する。
【0045】
上記の組成物において、上記のような、少なくとも軟化剤の量は、各場合において組成物全体に関して、1〜20重量%、好ましくは5〜10重量%である。
【0047】
ここで記載される組成物は「光硬化性」であり、すなわち、これは、光によって開始される重合反応によって硬化される。ここで、前記組成物は、特定の光波長の吸収に伴いカチオンを形成する、カチオン性光開始剤の助けにより、カチオン的に重合する。
【0048】
カチオン性光開始剤は、カチオン重合に通常用いられるものの一つであってよい。例として、低い求核性のアニオンを有するオニウム塩、例えばハロニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、スルホニウム塩またはジアゾニウム塩が挙げられる。適当なアニオンは、例えばヘキサフルオロアンチモネート、ヘキサフルオロホスフェートまたはテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートが挙げられる。スルホニウム塩およびヨードニウム塩が好ましく、ここでは、対イオンは、ヘキサフルオロアンチモネート、ヘキサフルオロホスフェートおよび(テトラキス(ペンタフルオロアリール)ボレートの中から、特にトリアリールスルホニウム塩およびビス(アルキルフェニル)ヨードニウム塩の中から選択される。
【0049】
本発明により適当である市販の光開始剤としては、例えば、限定されないが、UV 1242(ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート))、UV 2257(ビス(4-メチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート))、Irgacure 290(トリアリールスルホニウムボレート)(BASF SE)およびCyracure UVI 9676(トリアリールスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート)(Dow Chemicals)が挙げられる。UV 2257が特に好ましい。
【0050】
上記の光開始剤は、個別にまたは混合物として用いてよく、各場合において組成物の全重量に関して、好ましくは1〜4重量%、好ましくは1.5〜2.5重量%の量で用いてよい。
【0052】
本発明による調製物はさらに、更なる追加の成分、例えば接着促進剤、補強助剤、反応性希釈剤、フィラー、染料、顔料、分散剤、消泡剤、酸化防止剤、防炎剤、チキソトロープ剤、安定剤、レオロジー改質剤(例えばヒュームドケイ酸)、劣化(エイジング)抑制剤および/または腐食抑制剤を含んでよい。
【0053】
例えば、エポキシ樹脂とキレート官能基を含む化合物との1以上の反応生成物(キレート-変性エポキシ樹脂として知られるもの)を接着促進剤として用いてよい。
【0054】
かかる反応生成物としては、キレートエポキシまたはエポキシ樹脂として知られる物質が挙げられる。キレート官能基としては、それ自体により又は分子中に位置する他の官能基と共に、二価または多価金属原子とキレート結合を形成可能である官能基が挙げられる。
【0055】
適当なキレート官能基としては、好ましくはリン酸基、例えば-PO(OH)
2)、カルボン酸基(-COOH)、スルホン酸基(-SO
3H)、アミノ基、およびヒドロキシル基(特に芳香族環において互いに隣接するヒドロキシル基)が挙げられる。かかる(キレート)反応生成物の製造は知られている。
【0056】
エポキシ樹脂およびキレート官能基を含む成分の反応生成物は、例えば製品名ADEKA Resin EP-4910N、EP-49-55C、EP-49-10、EP-49-20、EP-49-23およびEP-49-25(Asahi Denka)で市販されている。
【0057】
エポキシ-変性シラン、例えばグリシジルアルキル-変性シラン、特にトリメトキシシラン、好ましくはグリシジオキシプロピルトリメトキシシラン(glycidoxypropyl trimethoxysilane)等を接着促進剤として用いてもよい。この種のシランは、例えばSilquestTM A-187として市販されている。
【0058】
本発明による調製物は通常、調製物全体に関して、好ましくは0.1重量%〜3重量%、さらにより好ましくは0.5〜2重量%の接着促進剤を含む。キレート-変性エポキシ樹脂は、好ましくは1〜2重量%の量で用いられ、記載されるシランは好ましくは0.2〜1重量%、好ましくは約0.5重量%の量で用いられる。
【0059】
反応性希釈剤は、軟化剤としてみなされなければ、各場合において調製物全体に関して0.1〜10重量%、特に好ましくは5〜10重量%の量で本発明により用いてよい。種々の実施態様において、好ましい反応性希釈剤は、脂肪族または芳香族アルコールの、特にC12/C14脂肪アルコールおよびアルキルフェノール、好ましくはパラ-tert-ブチルフェノールのモノグリシジルエーテル、およびオキセタン、特にトリメチロールプロパンオキセタン(TMPO)から選択される。芳香族アルコールのモノグリシジルエーテルおよび特に好ましくは低分子オキセタン、例えばTMPO等が好ましい。
【0060】
ここに記載される組成物は、補強助剤を含んでもよく、特に各場合において組成物全体に関して0.1〜10重量%、特に好ましくは0.5〜2.5重量%の量で補強助剤を含んでもよい。
【0061】
適当な補強助剤は、ヒドロキシル-末端化ポリマーから、好ましくは低いTg(好ましくは0℃未満、好ましくは-30℃以下のガラス
転移温度)を有するヒドロキシル-末端化ポリマー、例えばポリエーテルポリオール、特に種々のポリエーテルポリオールのブロックコポリマーから選択することができ、ここで、コポリマーの一方のブロックは好ましくはエポキシベース樹脂に溶解せず、他方のブロックはエポキシベース樹脂に溶解性であり、その結果、2相が形成される。適当な化合物の例は、商標名FortegraTM 100で市販されるような、ポリペンチレン-ポリエチレングリコールブロックコポリマーである。
【0062】
前記組成物が蛍光マーカーを、好ましくは各場合において組成物全体に関して0.01〜1重量%、特に好ましくは0.05〜0.5重量%の量で、含む場合も有利である。蛍光マーカーの使用により、柔軟性および靱性への悪影響なく、生成物の質のチェックを行うことができる。好ましい蛍光マーカーの例は、4,4'-ビス(2-スルホスチリル)-ビフェニル二ナトリウム塩(4,4'-bis(2-sulfostyrl)-biphenyl disodium salt)(名称Tinopal(登録商標)NFW liquidでBASFから市販):
【化1】
またはTinopal(登録商標)OB(BASF):
【化2】
であり、4,4'-ビス(2-スルホスチリル)-ビフェニル二ナトリウム塩が特に好ましい。
【0063】
本発明による組成物は好ましくは光増感剤も含む。ここで、光増感剤は、より広い波長範囲に亘っておよび/または他の光波長において、特にそれ自体が光開始剤として機能することなく他の波長において、用いる光開始剤が励起されることを可能とする。
【0064】
例えば、ヨードニウム塩に基づく光開始剤は、その励起のために、<280nm(UV-C範囲)の波長を有するUV光を必要とする。より高波長での活性化を可能とするために、より高波長(UV-A範囲)で励起される光増感剤を添加する。励起された分子(光増感剤)は光開始剤と共に「エナジーコンプレックス(energy complex)」に入り、そうしてエポキシの重合を開始する。好ましい例は、9,10-ジブトキシアントラセン、イソプロピルチオキサトンおよび2-エチル-9,10-ジメトキシアントラセンである。
【0065】
光増感剤の割合は、各場合において組成物全体に関して好ましくは0.01〜2重量%、特に好ましくは0.1〜1重量%である。この系の柔軟性および靱性は、ここでは影響されず、または光開始剤-光増感剤系で意図的に調整することができ、ここで、光開始剤の光増感剤に対する比率は好ましくは20:1〜1:1、特に5:1〜2:1である。
【0066】
ここで記載される組成物は、従来技術により調製することができる。
【0067】
本発明による組成物を調製するため、ベース樹脂および強化剤を好ましくは攪拌機において減圧下、室温でブレンドする。軟化剤および、必要に応じて、反応性希釈剤を混合物に添加し、再度減圧下で撹拌する。接着促進剤を添加する場合、これは最終工程で添加し、混合物を室温、減圧下で混合する。蛍光マーカーおよび/または光増感剤を添加する場合、これらは最後に添加し、混合物を再度室温、減圧下で混合する。
【0068】
製造方法の好ましい実施態様において、コア-シェルゴムを強化剤として用い、ベース樹脂中への導入の前に、樹脂マトリックス、特にエポキシ樹脂マトリックス、好ましくは芳香族エポキシ樹脂マトリックス中に存在する。
【0070】
本発明の更なる主題は、コーティングまたはシーリング手段としての、特に電線または電気接点、好ましくは金属からなる又は金属を含む線または電気接点のコーティングまたはシーリングのための、本発明による組成物の使用である。アルミニウム物質をコーティングまたはシーリングするための前記組成物の使用が特に好ましい。
【0071】
この種のコーティングは、例えば電気化学的腐食に対して下部の材料を保護する。
【0072】
ここで記載される光硬化性エポキシ樹脂組成物は、電気化学的腐食に対する保護のために金属含有電線または電気接点をシーリングまたはコーティングする目的で、例えばフィルムの形態で、金属含有電線または電気接点に施す(塗布する)ことができる。前記組成物は、既知の方法によって、例えばスプレー、浸漬等によって施すことができる。その後、前記組成物を光開始カチオン重合によって硬化する。重合反応を開始するために用いられる光は、好ましくは短波光、例えばUV光である。
【0073】
ここで記載される組成物によってコーティングまたはシーリングされた製品、すなわち特に電線または電気接点は、好ましくはアルミニウムを含む、またはアルミニウムからなる。次の実施例は、本発明をより詳細に説明するために用いられる。
本発明の好ましい態様は、以下を包含する。
〔1〕(a)30〜90重量%、好ましくは50〜85重量%の、少なくとも1つの芳香族エポキシ樹脂;
(b)2〜30重量%、好ましくは5〜15重量%の、強化剤としての少なくとも1つのコア-シェルゴム;
(c)1〜20重量%、好ましくは5〜10重量%の、エポキシ基、カルボキシレート基、アミノ基および/またはヒドロキシル基の中から選択される反応性官能基を含む少なくとも1つの軟化剤;および
(d)1〜4重量%、好ましくは1.5〜2.5重量%の、少なくとも1つのカチオン性光開始剤、好ましくはスルホニウム塩および/またはヨードニウム塩を含むカチオン性光開始剤
を含む光硬化性エポキシ樹脂組成物。
〔2〕芳香族エポキシ樹脂は、ビスフェノールA、Fおよび/またはSに基づくジグリシジルエーテルならびにエポキシノボラックから、特にビスフェノールAジグリシジルエーテルおよびビスフェノールFジグリシジルエーテルから選択されることを特徴とする、上記〔1〕に記載の光硬化性エポキシ樹脂組成物。
〔3〕コア-シェルゴムは、ポリブタジエンから形成されるコアおよびポリブタジエン、ポリスチレンまたはポリブタジエン-ポリスチレンコポリマーから形成されるシェルを有するコア-シェルゴムから選択され、コア-シェルゴムは、場合によりマトリックス中に分散してよく、マトリックスは好ましくは、芳香族エポキシ樹脂、特にビスフェノールA、Fおよび/またはSに基づくジグリシジルエーテルならびにエポキシノボラックから選択されることを特徴とする、上記〔1〕または〔2〕に記載の光硬化性エポキシ樹脂組成物。
〔4〕前記少なくとも1つの軟化剤は、20℃未満、好ましくは0℃未満、さらにより好ましくは−30℃未満、非常に好ましくは−50℃未満のガラス転移温度を有するポリマーまたはオリゴマー、特にポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオールまたはポリエステル/ポリエーテルポリオールであることを特徴とする、上記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の光硬化性エポキシ樹脂組成物。
〔5〕前記少なくとも1つの軟化剤は、エポキシ基を含んでなり、特にフェノールのモノグリシジルエーテルまたは一塩基性または二塩基性のカルボン酸の(3,4−エポキシシクロヘキサン−1−イル)メチルエステルであることを特徴とする、上記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の光硬化性エポキシ樹脂組成物。
〔6〕前記少なくとも1つの軟化剤は、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリカプロラクトンジオールまたはトリオール、カルダノールグリシジルエーテルおよびジカルボン酸ビス((3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル)エステル、特にビス((3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル)アジペートからなる群から選択されることを特徴とする、上記〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の光硬化性エポキシ樹脂組成物。
〔7〕光開始剤はスルホニウム塩およびヨードニウム塩から選択され、その対イオンは、ヘキサフルオロアンチモネート、ヘキサフルオロホスフェート、および(テトラキス(ペンタフルオロアリール)ボレートの中から、特にトリアリールスルホニウム塩およびビス(アルキルフェニル)ヨードニウム塩の中から選択されることを特徴とする、上記〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の光硬化性エポキシ樹脂組成物。
〔8〕前記組成物は:
(i)好ましくは0.1〜10重量%、特に好ましくは0.5〜2.5重量%の量の、補強助剤;および/または
(ii)好ましくは0.1〜10重量%、特に好ましくは5〜10重量%の量の、反応性希釈剤;および/または
(iii)好ましくは0.1〜3重量%、特に好ましくは0.5〜2重量%の量の、接着促進剤
も含むことを特徴とする、上記〔1〕〜〔7〕のいずれかに記載の光硬化性エポキシ樹脂組成物。
〔9〕反応性希釈剤は、脂肪族または芳香族アルコールの、特にC12/C14脂肪アルコールおよびアルキルフェノールの、好ましくはパラ-tert-ブチルフェノールの、モノグリシジルエーテル、およびオキセタン、特にトリメチロールプロパンオキセタン(TMPO)から選択されることを特徴とする、上記〔8〕に記載の光硬化性エポキシ樹脂組成物。
〔10〕接着促進剤は、キレート-変性エポキシ樹脂およびエポキシ-変性シランから選択されることを特徴とする、上記〔8〕または〔9〕に記載の光硬化性エポキシ樹脂組成物。
〔11〕補強助剤は、ポリエーテルポリオール、特にポリエーテルポリオールブロックコポリマーから選択され、好ましくは、コポリマーの一方のブロックはエポキシ樹脂中において溶解性でなく、他方のブロックはエポキシ樹脂中において溶解性であり、2相が形成されることを特徴とする、上記〔8〕〜〔10〕のいずれかに記載の光硬化性エポキシ樹脂組成物。
〔12〕シーリング材料としての、特に電気化学的腐食に対する保護のためのシーリング金属含有電線または電気接点のための、上記〔1〕〜〔11〕のいずれかに記載の光硬化性エポキシ樹脂組成物の使用。
〔13〕電気化学的腐食に対する保護のための金属含有電線または電気接点のシーリング方法であって:
(iii)上記〔1〕〜〔11〕のいずれかに記載の光硬化性エポキシ樹脂組成物をフィルム形状において金属含有電線または電気接点に付与する工程;および
(iv)露光によりフィルムを硬化する工程
を含む方法。
〔14〕金属含有電線または電気接点はアルミニウムを含む又はからなることを特徴とする、上記〔12〕に記載の使用または上記〔13〕に記載の方法。
【実施例】
【0074】
実施例:
【0075】
材料:
【0076】
エポキシベース樹脂:
芳香族エポキシ樹脂aE1:BADGE(ビスフェノールAジグリシジルエーテル)およびBFDGE(ビスフェノールFジグリシジルエーテル)のブレンド
脂環式エポキシ樹脂cE2:(3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)
【0077】
【化3】
【0078】
コア-シェル(CS)材料:
CS1:BFDGE+25%CS(ポリブタジエン)
CS2:BADGE+25%CS(スチレン-ブタジエンコポリマー)
CS3:脂環式エポキシ樹脂(ERL 4221)+25%CS(スチレン-ブタジエンコポリマー)
【0079】
とりわけ、CS1およびCS2は優れた柔軟性および靱性を有する生成物をもたらす。
【0080】
補強助剤:Fortera 100(ポリオール由来物)。高い反応性と共に良好な靱性および柔軟性に対して理想的と特定される濃度:2%
【0081】
軟化剤:
F1:カルダノールに基づく一官能性エポキシ
F2:カプロラクトントリオール(Mw 〜300g/mol)
F3:ビス(3,4-エポキシシクロヘキシル)メチル)アジペート
F4:ポリテトラメチレンエーテルグリコール(Mw 〜1400g/mol)
【0082】
全ての軟化剤F1〜F4は、柔軟で適切に靱性のフィルムの製造に適当である。柔軟性に関して最も良好な結果は軟化剤F2の使用により得られた;軟化剤F4も顕著に高い柔軟性をもたらす。F2に関して理想的と特定される濃度:10%
【0083】
反応性希釈剤
R1:パラ-tert-ブチルフェノールの一官能性グリシジルエーテル
R2:C12/C14脂肪酸アルコールの脂肪族モノグリシジルエーテル
R3:トリメチロールプロパンオキセタン(TMPO)
【0084】
標準反応性希釈剤はR1である。R2はR1と比べて低い粘度を有するためにR2を用いたが、生成したフィルムは最小に、より脆い。系の反応速度を高めるためにR3を用いた(オキセタン反応性、OH基がさらに重合を促進する);さらに、R3の使用により柔軟性および靱性が高められたことが見出された。
【0085】
光開始剤(PI):
Cyracure UVI 9676:トリアリールスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート(プロピレンカーボネート中に50重量%溶解;Dow Chemicals):
【0086】
【化4】
【0087】
Irgacure 290:トリアリールスルホニウムボレート(100%;BASF):
【0088】
【化5】
【0089】
UV 1242:ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート(C12/C14グリシジルエーテル中、50重量%;Deuteron):
【0090】
【化6】
【0091】
UV 2257:ビス(4-メチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート(プロピレンカーボネート中、50重量%;Deuteron):
【0092】
【化7】
【0093】
柔軟で靱性の系が、用いた4つの光開始剤全てにより得ることができる。柔軟性および靱性に関して最も良好な結果は、未溶解PIに対して1%のPI濃度(Irgacure 290)または未溶解PIに対して1.5%〜2%(Cyracure UVI 6976;UV 1242およびUV 2257)に対して得られた。
【0094】
接着促進剤:
H1:キレート-変性エポキシ樹脂
H2:3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(glycidoxypropyl trimethoxysilane)
【0095】
実施例1:
【0096】
本発明による組成物を調製するために、ベース樹脂および強化剤を攪拌機中で
真空下、室温でブレンドした。軟化剤および、場合により、反応性希釈剤を混合物に添加し、再度
真空下で撹拌した。次に、光開始剤を添加し、
真空下で撹拌した。接着促進剤を添加した場合、これは最終工程で添加し、混合物を再度室温、
真空下で混合した。
【0097】
柔軟性および靱性をチェックするために、UVA-LOC 1000(30秒、100W、Fe-ドープ水銀ランプ)により硬化した薄いフィルムを製造した。完全な硬化を確かにするため、その後、フィルムを30分間100℃で後硬化した。次に、フィルムを柔軟性および靱性に対して手作業でテストした。
【0098】
次の組成物を調製し、これは、良好な反応性および接着性と共に柔軟性および靱性に関して特に良好な結果により特徴付けられた:
【0099】
【表1】
【0100】
実施例2:比較実施例
【0101】
柔軟性および靱性をチェックする手順およびテスト:UVA-LOC 1000(30秒、1000W、Feドープ水銀ランプ)により硬化した薄いフィルムの製造。劣化(エイジング)挙動を調べるため、次にフィルムをオーブン中で1時間および14時間、130℃で貯蔵し、柔軟性および靱性に対して手作業でテストした。採点基準:1(非常に柔軟/非常に高い引張強度)から6(非常に脆い、高い亀裂成長)。
【0102】
1.エポキシ樹脂の影響
【0103】
本発明による比較として、実施例1からのサンプル1および3を用い、芳香族エポキシベース樹脂を、各場合において、同量の脂環式エポキシ樹脂cE2と置き換えた。
【0104】
【表2】
【0105】
【表3】
【0106】
脂環式エポキシ樹脂の使用は、芳香族エポキシ樹脂に基づく処方と比較して柔軟性のより低い系を明らかにもたらす。
【0107】
この結果は、脂環式系における柔軟性が時間と共に減少することも示す;対照的に、柔軟性および引張強度は、芳香族エポキシ樹脂に基づく系においては、非常により少ない程度に減少する。
【0108】
2.コア-シェル(CS)材料(強化剤)の影響:
【0109】
ここで、芳香族エポキシ樹脂に基づくコア-シェル材料(BFDGE)と対照して脂環式エポキシ樹脂に基づくコア-シェル材料(UVR 6110)の使用を調べた。
【0110】
【表4】
【0111】
【表5】
【0112】
ベースエポキシ樹脂に関する実験の場合において既に見出されたように、芳香族エポキシ樹脂マトリックスに組み込まれたCSゴム粒子の使用が柔軟性および靱性に関して、特にエイジング後に、特に好ましいことが同様に示された。しかし、芳香族エポキシベース樹脂と脂環式エポキシ樹脂マトリックスを有するCS材料との組み合わせも、特に光開始剤UV 2257を用いると、機能的な系をもたらす。脂環式ベースエポキシ樹脂および脂環式エポキシ樹脂マトリックスを有するCSの組み合わせは、芳香族エポキシ樹脂のない系をもたらし、そのため、最も低い柔軟性および靱性を有する系をもたらす。
【0113】
3.軟化剤および補強助剤の影響
【0114】
ここで、この系がどの程度、柔軟かつ引き裂き耐性のフィルムを得るために軟化剤および補強助剤を有しなければならないかについて実験した。この目的のために、比較のために軟化剤および補強助剤を含まない処方、ならびに軟化剤を含まず、補強助剤を含む処方を調製した。
【0115】
【表6】
【0116】
【表7】
【0117】
製造したフィルムは、軟化剤および補強助剤を用いない場合、柔軟性および靱性が低下することを示す。ここで、高い柔軟性および靱性は、軟化剤または軟化剤と補強助剤との組み合わせのいずれかの影響下において得ることができる。光開始剤UV-2257の使用は、再度、より高い靱性を
有する比較的より柔軟性のフィルムをもたらす。