特許第6965199号(P6965199)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6965199-気体精製装置及び気体精製方法 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6965199
(24)【登録日】2021年10月22日
(45)【発行日】2021年11月10日
(54)【発明の名称】気体精製装置及び気体精製方法
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/047 20060101AFI20211028BHJP
   C01B 32/50 20170101ALI20211028BHJP
   C01B 39/46 20060101ALI20211028BHJP
   C01B 32/306 20170101ALI20211028BHJP
【FI】
   B01D53/047
   C01B32/50
   C01B39/46
   C01B32/306
【請求項の数】4
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-66773(P2018-66773)
(22)【出願日】2018年3月30日
(65)【公開番号】特開2019-177315(P2019-177315A)
(43)【公開日】2019年10月17日
【審査請求日】2020年3月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】320011650
【氏名又は名称】大陽日酸株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】特許業務法人 志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】富岡 孝文
(72)【発明者】
【氏名】武井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】平野 浩人
【審査官】 壷内 信吾
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭64−003003(JP,A)
【文献】 特開昭62−117612(JP,A)
【文献】 特開平04−126512(JP,A)
【文献】 特開2015−163392(JP,A)
【文献】 特開平01−176416(JP,A)
【文献】 特表2009−531368(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0312591(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/02−53/12
B01J 20/00−20/28,20/30−20/34
C01B 32/00−32/991
F25J 1/00−5/00
C07B 31/00−61/00,63/00−63/04
C07C 1/00−409/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の気体と第2の気体と;除去対象成分と;を含む原料ガスから、圧力変動吸着方式で製品ガスを精製する気体精製装置であって、
前記除去対象成分は、前記第1の気体及び前記第2の気体以外の気体であり、
前記除去対象成分を吸着する第1の吸着剤を有する2つ以上の第1の吸着塔と、
前記第2の気体を吸着する第2の吸着剤を有する、2つ以上の第2の吸着塔と、
前記第1の吸着塔の二次側と前記第2の吸着塔の一次側とを接続し、前記第1の気体及び前記第2の気体が流れる接続ラインと、
各前記第2の吸着塔の二次側と接続され、前記第1の気体が流れる第1の導出ラインと、
各前記第2の吸着塔の一次側と接続され、前記第2の気体が流れる第2の導出ラインと、
前記第2の導出ラインに設けられ、前記第2の吸着剤から前記第2の気体を脱離させる吸引手段と、
前記第2の導出ラインから分岐し、各前記第2の吸着塔の二次側と接続される、熱回収ラインと、
前記熱回収ラインを流れる前記第2の気体と前記第1の導出ラインを流れる前記第1の気体との間で熱交換する熱交換器と、
を備える、気体精製装置。
【請求項2】
前記第1の吸着塔の二次側と接続され、前記第1の吸着剤を再生する再生ガスが流れる再生ラインをさらに備え、前記再生ラインと前記第1の導出ラインとが接続されている、請求項1に記載の気体精製装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の気体精製装置を用いる圧力変動吸着方式の気体精製方法であって、
前記第1の吸着剤に、前記除去対象成分を吸着させ、前記第1の吸着塔から第2の吸着塔bに前記第1の気体及び前記第2の気体を供給し、前記第2の吸着塔bが有する第2の吸着剤bに前記第2の気体を吸着させた後に、
前記第2の吸着剤bから前記第2の気体を脱離させ、
前記第2の気体を前記第2の導出ラインを経由させて前記熱回収ラインに導入し、
前記熱回収ラインを流れる前記第2の気体を前記熱交換器で加熱し、
前記第2の気体を前記熱回収ラインから前記第2の吸着塔bに導入する、気体精製方法。
【請求項4】
前記第2の気体を前記熱交換器で加熱する際に、前記第2の吸着塔bとは異なる第2の吸着塔aに第1の気体及び第2の気体を供給し、前記第2の吸着塔aが有する第2の吸着剤aに前記第2の気体を吸着させ、
前記第1の気体を前記第2の吸着塔aから前記第1の導出ラインに導出する、請求項3に記載の気体精製方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気体精製装置及び気体精製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
工業ガスの製造において、除去対象成分を含む原料ガスを精製して製品ガスを得る装置として、圧力変動吸着方式の装置(PSA装置)が知られている。PSA装置では吸着剤が充填された吸着塔で、原料ガスの精製が行われる(特許文献1)。
【0003】
複数のガス成分を含む混合気体の各成分を分離して精製する場合、吸着剤の種類に合わせて、吸着塔の温度を吸着に適した温度に保持することが一般的である。
特許文献1は、蓄熱材の充填された吸着塔を用いる酸素と窒素との圧力スイング吸着法(PSA)による分離方法を開示している。特許文献1に記載の分離方法では、気体と蓄熱材とを接触させて熱回収を行うことで吸着塔内の温度を保持している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−12367号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら特許文献1に記載の分離方法では、吸着塔内に蓄熱材を充填しているため、吸着塔内の吸着剤の充填量が蓄熱材の充填量の分だけ制限される。そのため吸着塔内に吸着剤のみを充填した場合と比較すると、特許文献1に記載の吸着塔では吸着剤の充填量が少なくなり、製品ガスの純度が低下してしまう。
【0006】
一方、蓄熱材を充填せずに、吸着塔の外部から吸着塔を加温することで、吸着剤の温度を吸着に適した温度に保持する方法も想定される。ところが、外部から吸着塔を加温すると、加温のために熱エネルギーをさらに必要とし、製造コストが上昇するおそれがある。また、外部から吸着塔を加温する場合、吸着塔の内部を均一に加温しにくく、吸着剤の温度を効果的に保持しにくくなり、製品ガスの収率及び純度が低下するおそれもある。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、低コストで製品ガスを高純度かつ高収率で精製できる気体精製装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明は以下の構成を備える。
[1] 第1の気体と第2の気体とを含む原料ガスから、圧力変動吸着方式で製品ガスを精製する気体精製装置であって、前記第1の気体及び前記第2の気体以外の気体を吸着する第1の吸着剤を有する2つ以上の第1の吸着塔と、前記第2の気体を吸着する第2の吸着剤を有する、2つ以上の第2の吸着塔と、前記第1の吸着塔の二次側と前記第2の吸着塔の一次側とを接続し、前記第1の気体及び前記第2の気体が流れる接続ラインと、各前記第2の吸着塔の二次側と接続され、前記第1の気体が流れる第1の導出ラインと、各前記第2の吸着塔の一次側と接続され、前記第2の気体が流れる第2の導出ラインと、前記第2の導出ラインに設けられ、前記第2の吸着剤から前記第2の気体を脱離させる吸引手段と、前記第2の導出ラインから分岐し、各前記第2の吸着塔の二次側と接続される、熱回収ラインと、前記熱回収ラインを流れる前記第2の気体と前記第1の導出ラインを流れる前記第1の気体との間で熱交換する熱交換器と、を備える、気体精製装置。
[2] 前記第1の吸着塔の二次側と接続され、前記第1の吸着剤を再生する再生ガスが流れる再生ラインをさらに備え、前記再生ラインと前記第1の導出ラインとが接続されている、[1]の気体精製装置。
[3] [1]又は[2]の気体精製装置を用いる圧力変動吸着方式の気体精製方法であって、前記第1の吸着剤に前記第1の気体及び前記第2の気体以外の気体を吸着させ、前記第1の吸着塔から第2の吸着塔bに前記第1の気体及び前記第2の気体を供給し、前記第2の吸着塔bが有する第2の吸着剤bに前記第2の気体を吸着させた後に、前記第2の吸着剤bから前記第2の気体を脱離させ、前記第2の気体を前記第2の導出ラインを経由させて前記熱回収ラインに導入し、前記熱回収ラインを流れる前記第2の気体を前記熱交換器で加熱し、前記第2の気体を前記熱回収ラインから前記第2の吸着塔bに導入する、気体精製方法。
[4] 前記第2の気体を前記熱交換器で加熱する際に、前記第2の吸着塔bとは異なる第2の吸着塔aに第1の気体及び第2の気体を供給し、前記第2の吸着塔aが有する第2の吸着剤aに前記第2の気体を吸着させ、
前記第1の気体を前記第2の吸着塔aから前記第1の導出ラインに導出する、[3]の気体精製方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、低コストで製品ガスを高純度かつ高収率で精製できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明を適用した一実施形態である第1の実施形態に係る気体精製装置の構成の一例を示す模式図である。
図2図1の気体精製装置の関連技術に係る気体精製装置の構成の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書における下記の用語の意味は以下の通りである。
「PSA」は、Pressure Swing Adsorptionの略である。本明細書では圧力変動吸着方式を「PSA方式」と記し、PSA方式で気体を精製する装置を「PSA装置」と記す。
吸着剤の「再生」とは、除去対象成分が吸着された吸着剤を再び除去対象成分が吸着され得る状態に戻すことを意味する。
「再生ガス」とは、再生の対象となる吸着剤を有する吸着塔に、吸着剤を再び除去対象成分が吸着され得る状態に戻すために供給される気体を意味する。
「再生排ガス」とは、再生の対象となる吸着剤を有する吸着塔から排出される気体であり、吸着剤の再生に使用された気体を意味する。
【0012】
以下、本発明を適用した一実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために、便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率等が実際と同じであるとは限らない。
【0013】
<気体精製装置>
本実施形態の気体精製装置は、第1の気体と第2の気体と除去対象成分とを含む原料ガスから、製品ガスを精製する装置である。
第1の気体、第2の気体及び除去対象成分は特に限定されない。第1の気体、第2の気体の具体例としては、エタン、エチレン、プロパン、プロペン、ブタン、ブテン等の炭化水素が例示される。除去対象成分としては、窒素、酸素、アルゴン、水蒸気、メタン、一酸化炭素、二酸化炭素等が例示される。
【0014】
第1の気体と第2の気体の組合せとしては、前記の具体例から、少なくとも2種以上を選択できる。これらのなかから、化学的性質又は物理的性質が似ている化合物同士の組合せを選択しても、本発明の効果を得ることができる。化学的性質又は物理的性質が似ている化合物の組合せとしては、エタン及びエチレンの組合せ、プロパン及びプロペンの組合せ、ブタン及びブテンの組合せ等が例示される。
以下の実施形態においては、原料ガスがプロパン(第1の気体)及びプロペン(第2の気体)を含み、除去対象成分として二酸化炭素を含む場合を一形態例として説明する。
【0015】
本実施形態の気体精製装置は、PSA装置である。そのため、以下の実施形態においては、一般的なPSA装置が備える脱圧ライン及び均圧ライン並びにこれらの各ラインに設けられる開閉弁等の構成(即ち、本発明の特徴との関連性が低い構成)に関する説明を省略し、図示を省略する。
【0016】
図1は、本実施形態に係る気体精製装置10の構成の一例を示す模式図である。図1に示すように、気体精製装置10は、原料ガスの供給源1と第1のPSAユニット2と第2のPSAユニット3と吸引ポンプ4と熱交換器5と冷却器6と原料ラインL1と接続ラインL2と第1の導出ラインL3と第2の導出ラインL4と熱回収ラインL5と再生ラインL6と再生排ガスラインL7とを備える。
【0017】
図1に示す気体精製装置10においては、原料ガスが第1のPSAユニット2に供給され、プロパンとプロペンとを含む気体が後述の第2の吸着塔3aの一次側に供給されている。また気体精製装置10においては、後述の第2の吸着剤8bにすでにプロペンが吸着された状態であり、後述の第2の吸着塔3bの一次側からプロペンが導出されている。
以下に気体精製装置10の各構成要素に関して詳しく説明を行う。
【0018】
第1のPSAユニット2は、原料ガスから除去対象成分(本形態例では二酸化炭素である。以下、「二酸化炭素」と記す。)を分離する。第1のPSAユニット2は、第1の吸着塔2a,2bを有する。第1のPSAユニット2において、第1の吸着塔2a,2bの数は、2つ以上であれば特に限定されない。
第1の吸着塔2a,2bは、中空円筒状である。第1の吸着塔2a,2bは内部に第1の吸着剤7a,7bを有する。本形態例においては、第1の吸着剤7a,7bは二酸化炭素を吸着できる形態であれば特に限定されない。第1の吸着剤7a,7bとしては、分子篩炭、アミン担持アルミナ等を含む吸着剤が例示される。第1の吸着剤7a,7bの市販品としては、大阪ガスケミカル社製の分子篩活性炭(MSC)「粒状白鷺3K―M172」(細孔径:3オングストローム)が例示される。ただし、第1の吸着剤7a,7bはこれらの例示に限定されない。
【0019】
原料ラインL1は、第1のPSAユニット2に原料ガスを供給するためのラインである。原料ラインL1は、分岐した二次側(下流側)の端部が第1の吸着塔2a,2bの一次側(上流側)と接続される。
接続ラインL2は、第1の気体(本形態例ではプロパン(C)である。以下、「プロパン」と記す。)と第2の気体(本形態例ではプロペン(C)である。以下、「プロペン」と記す。)とを含む気体を第1のPSAユニット2から第2のPSAユニット3に導出するためのラインである。接続ラインL2は、第1のPSAユニット2の二次側(下流側)と第2の吸着塔3a,3bの一次側(上流側)とを接続する。具体的には、接続ラインL2は、分岐した第1の端部が第1の吸着塔2a,2bの二次側のそれぞれと接続され、分岐した第2の端部が第2の吸着塔3a,3bの一次側のそれぞれと接続される。
【0020】
第2のPSAユニット3は、プロパンとプロペンとを分離する。第2のPSAユニット3は第2の吸着塔3aと第2の吸着塔3bとを有する。本実施形態では、第2のPSAユニット3が2つの第2の吸着塔3a,3bを有するが、他の実施形態では、第2の吸着塔の数は2つ以上であれば、特に限定されない。
第2の吸着塔3a,3bは基本的に同じ構成であり、中空円筒状である。第2の吸着塔3a,3bは内部に第2の吸着剤8a,8bを有する。本形態例においては、第2の吸着剤8a,8bはプロペンを吸着できる形態であれば特に限定されない。第2の吸着剤8a,8bとしては、ゼオライト、銀イオン担持活性炭等を含む吸着剤が例示される。第2の吸着剤8a,8bの市販品としては、東ソー社製のゼオライト「ゼオラムA―4」(細孔径:4オングストローム)が例示される。ただし、第2の吸着剤8a,8bはこれらの例示に限定されない。
【0021】
第1の導出ラインL3は、第2のPSAユニット3の二次側から導出されるプロパンが流れるラインである。第1の導出ラインL3は、分岐した第1の端部が第2の吸着塔3a,3bの二次側のそれぞれと接続され、第2の端部が再生ラインL6と接続される。
第2の導出ラインL4は、第2のPSAユニット3の一次側から導出されるプロペンが流れるラインである。第2の導出ラインL4は、分岐した第1の端部が第2の吸着塔3a,3bの一次側のそれぞれと接続され、第2の端部が図示略の製品ガスタンクと接続されている。第2の導出ラインL4には、吸引ポンプ4が設けられている。図示略の製品ガスタンクには、プロペンが製品ガスとして貯蔵される。
【0022】
吸引ポンプ4は第2の吸着剤8a,8bにプロペンが吸着されている状態において、第2の吸着剤8a,8bからプロペンを脱離させる吸引手段の一例である。これにより、第2のPSAユニット3によって分離されたプロパンの一部を第2の吸着剤8a,8bの再生ガスとして第2の吸着塔3a,3b内に供給せずに、第2の吸着剤8a,8bからプロペンを脱離させることができる。吸引ポンプ4としては真空ポンプが好ましい。
【0023】
熱回収ラインL5は、第2の導出ラインL4から導出されるプロペンが流れるラインである。熱回収ラインL5は、吸引ポンプ4の二次側の部分の第2の導出ラインL4から分岐し、第2の吸着塔3a,3bの二次側と接続される。具体的に熱回収ラインL5は、第1の端部が吸引ポンプ4の二次側の部分の第2の導出ラインL4と接続され、分岐した第2の端部が第2の吸着塔3a,3bの二次側のそれぞれと接続される。熱回収ラインL5には熱交換器5が設けられている。
【0024】
熱交換器5は熱回収ラインL5を流れるプロペンと第1の導出ラインL3を流れるプロパンとの間で熱交換する。熱交換器5は、熱回収ラインL5と第1の導出ラインL3とにわたって、熱回収ラインL5と第1の導出ラインL3とが近接する位置に設けられている。これにより、熱エネルギーのロスを抑えながら、熱回収ラインL5内を流れるプロペンと第1の導出ラインL3内を流れるプロパンとの間で熱交換できる。
【0025】
再生ラインL6は、第1の吸着剤7a,7bを再生する再生ガスを第1の吸着塔2a,2bに供給するためのラインである。ただし、図1においては簡略化のため、再生ラインL6と第1の吸着塔2a,2bとの接続を省略している。
再生ラインL6は、第1の端部が第1の導出ラインL3の第2の端部と接続され、分岐した第2の端部が第1の吸着塔2a,2bの二次側のそれぞれと接続される。これにより、プロパンを第1の吸着剤7a,7bを再生する再生ガスとして、第1の吸着塔2a,2bに供給できる。再生ラインL6には冷却器6が設けられている。
【0026】
冷却器6は、第1の吸着剤7a,7bの再生ガスとして第1の吸着塔2a,2bに供給されるプロパンを冷却する。これにより、プロパンの温度を低下させた状態で第1のPSAユニット2にプロパンを供給できる。
第1の吸着剤7a,7bによる二酸化炭素の除去は、吸着効率の点から、二酸化炭素の吸着に適した温度下で行うことが好ましい。よって、冷却器6を備えることで、第1の吸着剤7a,7bの再生の際に、過度に第1の吸着塔2a,2bの温度が下がりにくくなり、第1の吸着塔2a,2bを二酸化炭素の除去に適した温度に維持しやすくなる。
再生排ガスラインL7は、第1の吸着塔2a,2bから再生排ガスを排出するためのラインである。再生排ガスラインL7は、分岐した第1の端部が第1の吸着塔2a,2bの一次側のそれぞれと接続される。
【0027】
以下、気体精製装置10の比較対象として、関連技術のPSA装置について説明する。図2は、気体精製装置10の関連技術に係る気体精製装置100の構成の一例を示す模式図である。図2に示すように、気体精製装置100は、熱交換器5と熱回収ラインL5とを備えない点以外は、気体精製装置10と同様の構成を備える。
【0028】
図2に示す気体精製装置100においては、原料ガスが第1のPSAユニット2に供給され、プロパンとプロペンとを含む気体が第2の吸着塔3aの一次側に供給されている。また気体精製装置100において、第2の吸着剤8bにすでにプロペンが吸着された状態であり、第2の吸着塔3bの一次側からプロペンが導出されている。
【0029】
この場合、第2の吸着剤8aにプロペンが吸着され、第2の吸着塔3aから第1の導出ラインL3にプロパンが導出される。第2の吸着剤8aにプロペンが吸着されると、吸着反応による熱が発生する。その結果、第2の吸着塔3aの温度が高くなり、第2の吸着塔3aから導出されるプロパンの温度が高くなる。
【0030】
吸引ポンプ4が第2の吸着剤8bからプロペンを脱離させると、第2の吸着塔3bから第2の導出ラインL4にプロペンが導出される。第2の吸着剤8bからプロペンが脱離すると、脱離反応による冷熱が発生する。その結果、第2の吸着塔3bの温度が低くなり、第2の吸着塔3bから導出されるプロペンの温度が低くなる。
【0031】
第2の吸着剤8a,8bによるプロペンの吸着反応は、プロペンの吸着効率が高くなることから、50〜250℃で行うことが好ましく、80〜180℃で行うことがより好ましく、100〜150℃で行うことがさらに好ましい。ところが、気体精製装置100について上述したように、プロペンの脱離にともなう冷熱の発生によって、第2の吸着塔3bの温度が低下することがある。そのため、第2の吸着塔3bでのプロペンの脱離の後に第2の吸着塔3bでプロペンの吸着を行うと、第2の吸着塔3bの温度がプロペンの吸着に適した温度より低くなる場合がある。よって、気体精製装置100においては、第2の吸着塔でのプロペンの吸着効率が低下するおそれがある。
【0032】
これに対し、気体精製装置10は熱交換器5と熱回収ラインL5とを備えるため、熱回収ラインL5内のプロペンと第1の導出ラインL3内のプロパンとの間で熱交換を行うことができる。図1に示す気体精製装置10においては、熱回収ラインL5内のプロペンが第2の吸着剤8bから脱離しているため、相対的に温度が低い。第1の導出ラインL3内のプロパンは、第2の吸着塔3aから導出されているため、相対的に温度が高い。よって、熱回収ラインL5内のプロペンは、第1の導出ラインL3内のプロパンとの熱交換によって、加熱されて温度が高くなる。
【0033】
(作用効果)
気体精製装置10にあっては、図1に示すように、熱交換器5で熱交換を行った後、熱回収ラインL5内のプロペンを第2の吸着塔3bに導入できる。そのため、熱交換によって、温度が高くなったプロペンにより第2の吸着塔3bを加熱できるようになる。その結果、外部から第2の吸着塔3bを加温する必要がなくなり、第2の吸着塔3bの温度をプロペンの吸着に適した温度に維持しやすくなる。
また、熱交換後のプロペンの第2の吸着塔3b内への導入によって、第2の吸着塔3bの内部の加熱を行うことが可能であるため、第2の吸着塔3b内を均一に加温でき、第2の吸着剤の温度を効果的に保持しやすくなる。よって、気体精製装置10によれば、気体精製装置100と比較して低コストでプロペンを高純度かつ高収率で精製できる。
【0034】
さらに、第2の吸着塔3bでのプロペンの脱離の後に、第2の吸着塔3bでプロペンの吸着を行うとき、第2の吸着塔3bの温度がプロペンの吸着に適した温度に近いため、プロペンの吸着効率がよくなり、高収率でプロペンを精製できる。
【0035】
気体精製装置10によれば、プロパンを第1の吸着剤7a,7bを再生する再生ガスとして、第1の吸着塔2a,2bに供給できるため、製品ガスとして貯蔵されるプロペンを第1の吸着剤7a,7bの再生に使用する必要がなくなる。よって、製品ガスであるプロペンの収率が高くなり、さらに高収率でプロペンを精製できる。
【0036】
気体精製装置10は、第2の導出ラインL4から分岐し、第2の吸着塔3a,3bの二次側と接続される熱回収ラインL5を備えるため、熱交換器5を介して製品ガスであるプロペンを循環させ、第2の吸着塔3a,3bの温度の保持に利用できる。このように、第2の吸着塔3a,3bを加熱の際にプロペンを利用しているため、製品ガスとしてのプロペンの純度が低下しにくく、高純度でプロペンを精製できる。
【0037】
気体精製装置10は、第1のPSAユニット2と第2のPSAユニット3とを備えるため、二酸化炭素を第1のPSAユニット2で確実に除去した後に、第2のPSAユニット3でプロパンとプロペンとを分離できる。その結果、プロペンの純度が高くなり、高純度でプロペンを精製できる。
気体精製装置10は吸引ポンプ4を備えるため、第2のPSAユニット3によって分離されたプロパンの一部を第2の吸着塔3a,3b内に供給せずに、第2の吸着剤8a,8bからプロペンを脱離させることができる。そのため、製品ガスであるプロペンにプロパンが混入しにくくなる。その結果、プロペンの純度が高くなり、高純度でプロペンを精製できる。
【0038】
気体精製装置10は冷却器6を備えるため、第1の吸着剤7a,7bの再生の際に、過度に第1の吸着塔2a,2bの温度が下がりにくく、第1の吸着塔2a,2bを二酸化炭素の除去に適した温度に維持しやすい。そのため、二酸化炭素の除去効率がよくなり、製品ガスであるプロペンの純度がさらに高くなる。
【0039】
以上説明した本実施形態では、第2の吸着剤8aでプロペンの吸着反応が起き、第2の吸着剤8bでプロペンの脱離反応が起きている場合を一例として説明したが、第2の吸着剤8aでプロペンの脱離反応が起き、第2の吸着剤8bでプロペンの吸着反応が起きている場合でも、同様の作用効果が得られる。
【0040】
以上、一実施形態に係る気体精製装置10を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。気体精製装置10は、その他の様々な形態で実施可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。
例えば、接続ラインL2、熱回収ラインL5、再生ラインL6のそれぞれには、各ラインを流れる気体の流量の変動を抑制して安定化させることを目的とし、気体を貯蔵するタンクが設けられてもよい。
【0041】
<気体精製方法>
以下、上述した気体精製装置10を用いる本実施形態の気体精製方法について説明する。本実施形態の気体精製方法は、PSA方式の気体精製方法である。そのため、以下の実施形態においては、一般的な(即ち、本発明の特徴との関連性が低い)PSA方式の気体精製方法で行われる脱圧及び均圧等の操作に関する説明を省略する。
【0042】
以下に示す実施形態では、原料ガスを第1のPSAユニットに供給し、第1の吸着塔2a,2b内の第1の吸着剤7a,7bにプロパン及びプロペン以外の気体を吸着させ、第1の吸着塔2a,2bから第2の吸着塔3bにプロパン及びプロペンを供給し、第2の吸着剤8bにプロペンを吸着させた後を一例として、説明する。
即ち、以下の実施形態では、第1の吸着塔2a,2b内の第1の吸着剤7a,7bに二酸化炭素が吸着されており、第2の吸着塔3b内の第2の吸着剤8bにプロペンが吸着されている状態から、気体精製方法の説明を開始する。
【0043】
以下、図1を参照しながら本実施形態の気体精製方法について説明する。図1中、矢印の向きは、気体が流れている方向を意味する。
【0044】
本実施形態の気体精製方法では、原料ガスを第1のPSAユニット2に供給し、第1の吸着塔2a,2b内の第1の吸着剤7a,7bにプロパン及びプロペン以外の気体を吸着させる。これにより、原料ガスから二酸化炭素が除去される。
次いで、プロパンとプロペンとを含む気体を第1のPSAユニット2から第2のPSAユニット3に導出し、プロパン及びプロペンを第2の吸着塔3aに供給する。そして、第2の吸着剤8aにプロペンを吸着させる。これにより、プロパンが第2の吸着塔3aから第1の導出ラインL3に導出されて、プロパンとプロペンとが分離される。
【0045】
本実施形態では、第2の吸着剤8bからプロペンを脱離させる。そして、第2の吸着剤8bから脱離したプロペンの一部を熱回収ラインL5に導入し、第2の吸着剤8bから脱離したプロペンの残部を第2の導出ラインL4から製品ガスとして回収する。第2の吸着剤8bから脱離したプロペンの一部を熱回収ラインL5に導入する際には、第2の導出ラインL4を経由させる。また、プロペンの一部を熱回収ラインL5に導入する際には、熱回収ラインL5に開閉弁を設けて、開閉弁の開閉操作を行ってもよく、熱回収ラインL5にポンプを設けて、ポンプでプロペンを吸引してもよい。
【0046】
熱回収ラインL5に導入するプロペンの流量VL5は、第2の吸着剤8bから脱離したプロペンの流量100体積%に対し、5〜50体積%が好ましく、5〜25体積%がより好ましく、5〜10体積%がさらに好ましい。VL5が前記下限値以上であると、製品ガスであるプロペンの収率がさらに高くなる。VL5が前記上限値以下であると、製品ガスとしてプロペンをさらに低コストで精製できる。
【0047】
本実施形態では、熱回収ラインL5を流れるプロペンを熱交換器5で加熱する。熱交換器5における加熱は、例えば以下のようにして行われる。
本実施形態では、第2の吸着塔3aから第1の導出ラインL3にプロパンを導出している。第2の吸着剤8aにプロペンが吸着されると、吸着反応による熱が発生している。そのため、第2の吸着塔3aから第1の導出ラインL3に導出されるプロパンは、相対的に高温である。
一方で、第2の吸着塔3bでは、プロペンが第2の吸着剤8bから脱離し、脱離反応による冷熱が発生している。そのため、第2の吸着塔3bから第2の導出ラインL4に導出されるプロペンは相対的に低温であり、熱交換器5の一次側(プロペンの流れの上流側)の部分の熱回収ラインL5を流れるプロペンも相対的に低温である。
このように、熱交換器5では熱回収ラインL5内の相対的に低温であるプロペンが、第1の導出ラインL3内の相対的に高温のプロパンによって加熱される。
【0048】
次いで、本実施形態では、熱交換器5で加熱されたプロペンを熱回収ラインL5から第2の吸着塔3bに導入する。このように加熱されたプロペンを第2の吸着塔3bに導入することで、第2の吸着塔3bを加温できる。
【0049】
本実施形態では、第2のPSAユニット3で分離されたプロパンを第1の導出ラインL3から再生ラインL6に導入してもよい。これにより、第1の吸着塔2a,2b内の第1の吸着剤7a,7bの再生ガスとしてプロパンを使用でき、製品ガスであるプロペンを第1の吸着剤7a,7bの再生ガスと使用する必要がなくなる。プロパンを第1の吸着剤7a,7bの再生ガスと使用する際には、冷却器6でプロパンを冷却してもよい。これにより、第1の吸着塔2a,2bを二酸化炭素の除去に適した温度に維持しやすくなる。
【0050】
(作用効果)
以上説明した本実施形態の気体精製方法では、気体精製装置10を用いるため、第2の吸着塔3aから第1の導出ラインL3に導出されるプロパンの熱を、熱回収ライン内のプロペンの加熱に利用でき、第2の吸着塔3bの加温に利用できるようになる。そのため、また外部から第2の吸着塔3bを加温する必要がなくなり、気体精製装置100を用いる場合と比較して低コストでプロペンを精製できる。
【0051】
本実施形態の気体精製方法によれば、第2の吸着塔3bの加温により、第2の吸着塔3bの温度をプロペンの吸着に適した温度に維持しやすくなるため、プロペンの吸着効率がよくなり、高収率でプロペンを精製できる。
また、本実施形態では第1の吸着剤7a,7bに二酸化炭素を吸着させ、二酸化炭素を第1のPSAユニット2で確実に除去した後に、第2の吸着剤からプロペンを脱離させるため、プロペンの純度が高くなり、高純度でプロペンを製造できる。
【0052】
以上説明した本実施形態では、第2の吸着剤8aにプロペンを吸着させ、第2の吸着剤8bからプロペンを脱離させる場合を一例として説明したが、第2の吸着剤8aにプロペンが吸着されている状態で第2の吸着剤8aからプロペンを脱離させ、第2の吸着剤8bにプロペンを吸着させる場合でも、同様の作用効果が得られる。
【0053】
以上説明した本実施形態では、第1の導出ラインL3に導出されるプロパンの熱を、熱回収ライン内のプロペンの加熱に利用し、熱交換によって第2の吸着塔の加温を行うことを特徴とするが、本発明の効果を損なわない範囲で第2の吸着塔3a,3bを外部から加温してもよい。外部から加温する場合、スチーム等による加温を行ってもよい。
【0054】
<実施例>
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の記載によっては限定されない。
【0055】
(略号)
L4:第2のPSAユニット3における製品ガス(プロペン)の流量[Nm/h]。
L3:第2の吸着塔3a,3b内のプロペンの吸着時の圧力[kPaG]。
L4:第2の吸着塔3a,3b内のプロペンの脱離時の圧力[kPaA]。
L5:第2の吸着剤から脱離したプロペンの流量100体積%に対する、熱回収ラインL5に導入するプロペンの流量の比[%]。
:製品ガス中のプロペンの濃度[体積%]。
:製品ガス中の不純物の濃度[体積%]。
【0056】
(実施例1)
実施例1では気体精製装置10を用いて、PSA方式で原料ガスを精製し、プロペンを製品ガスとして回収した。実施例1で使用した原料ガスは、プロパンを50体積%、プロペンを25体積%、二酸化炭素を25体積%含んでいた。
実施例1ではまず、原料ガスを第1のPSAユニット2に供給し、二酸化炭素を除去した。第1のPSAユニット2では、第1の吸着剤として大阪ガスケミカル社製の分子篩活性炭(MSC)「粒状白鷺3K―M172」(細孔径:3オングストローム)を使用した。次いで、第2のPSAユニット3にプロパン及びプロペンを供給し、PSA方式でプロパンとプロペンとを分離した。第2のPSAユニット3では、第2の吸着剤として東ソー社製のゼオライト「ゼオラムA―4」(細孔径:4オングストローム)を使用した。第2のPSAユニット3における第2の吸着塔の吸着と脱離の切替時間は、90秒とし、表1に示す条件下でプロペンを製品ガスとして第2の導出ラインL4から回収した。実施例1では、第2の吸着塔3a,3bに対し、スチームによる加熱を行い、第2の吸着塔3a,3bがプロペンの吸着に適した設定温度Tに維持されやすくなるようにした。
【0057】
【表1】
【0058】
(比較例1)
比較例1では気体精製装置100を用いた以外は、実施例1と同様にし、表1に示す条件下でプロペンを製品ガスとして回収した。なお比較例1でも、第2の吸着塔3a,3bに対し、スチームによる加熱を行った。
【0059】
(第2の吸着塔の温度の測定)
実施例1及び比較例1では、第2の吸着塔3a,3bでそれぞれプロペンを吸着する際の温度を測定した。その結果、実施例1では第2の吸着塔3a,3bの温度は、設定温度Tから±10℃の範囲内で変動した。これに対し、比較例1では、第2の吸着塔3a,3bの温度は、設定温度Tから20〜30℃低下していた。この結果から、気体精製装置10によれば、熱回収ラインL5でプロペンの一部を使用することで、第2の吸着塔3a,3bを効果的に加温できることが示された。そして、実施例1では、第2の吸着塔3a,3bの温度をプロペンの吸着に適した温度に維持しやすくなることが示された。
さらに実施例1では、Cが44体積%であり、Cが56体積%であった。これに対し、比較例1では、Cが34体積%であり、Cが66体積%であった。
以上より、実施例1によれば、比較例1より低コストで製品ガスを高純度かつ高収率で精製できることが判った。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明の気体精製装置及び気体精製方法は、例えば、複数の炭化水素を含む有機物と無機物とを含む混合物から、高濃度の炭化水素ガスを高回収率で回収する技術として産業上利用可能である。
【符号の説明】
【0061】
1…原料ガスの供給源、2…第1のPSAユニット、2a,2b…第1の吸着塔、3…第2のPSAユニット、3a,3b…第2の吸着塔、4…ポンプ、5…熱交換器、6…冷却器、7a,7b…第1の吸着剤、8a,8b…第2の吸着剤、10,100…気体精製装置、L1…原料ライン、L2…接続ライン、L3…第1の導出ライン、L4…第2の導出ライン、L5…熱回収ライン、L6…再生ライン、L7…再生排ガスライン
図1
図2